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  • 特許-空気圧縮機 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-02
(45)【発行日】2022-03-10
(54)【発明の名称】空気圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04B 49/02 20060101AFI20220303BHJP
【FI】
F04B49/02 331D
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019556086
(86)(22)【出願日】2018-03-14
(86)【国際出願番号】 JP2018009999
(87)【国際公開番号】W WO2019102631
(87)【国際公開日】2019-05-31
【審査請求日】2020-02-20
(31)【優先権主張番号】P 2017225975
(32)【優先日】2017-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】大畠 瑛人
【審査官】田谷 宗隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-066980(JP,A)
【文献】特開2013-155718(JP,A)
【文献】特開2011-220288(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 49/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気を圧縮する圧縮機本体と、
前記圧縮機本体により圧縮された気体を貯留する貯留タンクと、
回転軸を回転させて前記圧縮機本体を駆動するモータと、
前記モータの駆動を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、
前記モータに供給される電圧値が第1の電圧値より低い場合に、圧縮機の停止時間を検知し、前記停止時間が長くなるに従い、前記モータを再起動する圧力である運転再起動圧力を高く設定し、前記停止時間が第1の時間以上の場合には、前記モータに供給される電圧値が前記第1の電圧値以上の場合に設定された前記運転再起動圧力と同じ圧力に、前記運転再起動圧力を変更し、前記停止時間に基づいて、前記モータの駆動を停止する圧力である運転停止圧力を変更することを特徴とする空気圧縮機。
【請求項2】
請求項1に記載の空気圧縮機において、前記制御部は、前記停止時間に基づいて、設定された複数の圧力のうちいずれかを選択して、選択した圧力に前記運転再起動圧力を変更することを特徴とする空気圧縮機。
【請求項3】
請求項1に記載の空気圧縮機において、前記貯留タンクの圧力をセンシングする圧力センサを有し、前記制御部は、センシングした圧力が、変更した前記運転再起動圧力に達した場合に、前記モータを再起動する制御をすることを特徴とする空気圧縮機。
【請求項4】
請求項1に記載の空気圧縮機において、前記制御部は、前記停止時間に基づいて、設定された複数の圧力のうちいずれかを選択して、前記モータの駆動を停止する圧力である運転停止圧力を選択した圧力に変更することを特徴とする空気圧縮機。
【請求項5】
請求項4に記載の空気圧縮機において、前記停止時間が長くなるに従い、前記運転停止圧力を高く設定し、前記制御部は、前記停止時間が第1の時間以上の場合には、前記モータに供給される電圧値が前記第1の電圧値以上の場合に設定された前記運転停止圧力と同じ圧力に、前記運転停止圧力を変更することを特徴とする空気圧縮機。
【請求項6】
請求項4に記載の空気圧縮機において、前記貯留タンクの圧力をセンシングする圧力センサを有し、前記制御部は、センシングした圧力が、変更した前記運転停止圧力に達した場合に、前記モータの駆動を停止する制御をすることを特徴とする空気圧縮機。
【請求項7】
請求項1に記載の空気圧縮機において、可搬可能な構造であり、
前記貯留タンクの圧力は、2.0MPa以上5.0MPa未満であり、
前記モータを駆動することで生じる回転運動を往復運動に変換する機構と、前記圧縮機本体で往復運動をする機構とを有し、
前記往復運動をする機構が前記圧縮機本体の圧縮室内で空気圧縮をすることを特徴とする空気圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気圧縮機に関し、特に、供給電圧が低下する状況で有効な空気圧縮機の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
釘打ち機や塗装機のエア源として使用される可搬型の空気圧縮機は、屋外の仮設電源で使用されることに加え、コードリール等の使用やタコ足配線により供給電圧が不安定になる環境で用いられることが想定される製品である。日本国内での使用においては、通常の電源電圧が100Vであるのに対し、環境によっては電源電圧が50Vをきる場合もある。
【0003】
特許文献1に記載の技術では、低電圧時に運転停止圧力および運転復帰圧力を変更することで、低電圧時の圧縮機の運転停止を防ぐ技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-220288号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
主に釘打ち機のエア源として用いられる空気圧縮機は、作業効率向上のため高圧化が進んでいる。当該空気圧縮機は、往復動型の圧縮機であり、高圧化に対応するため二段圧縮方式を採用しているが、規定の最高圧力まで圧縮し圧縮機が停止した際、高圧側シリンダ内に残圧が残る。ユーザが、釘打ち機等のエア工具を使用することで貯留タンク内の圧力が低下し、圧縮機は再起動しようとするが、高圧側シリンダ内に残圧があると起動時の負荷トルクとなってしまう。モータの駆動トルクが負荷トルクより大きい場合は再起動可能であるが、圧縮機への供給電圧が低い場合はモータの駆動トルクが低下し、再起動は困難となる。
【0006】
そこで、特許文献1では、圧縮機への供給電圧が所定値より低下した場合に圧縮機の制御圧力範囲を引き下げ、高圧側シリンダ内の残圧を下げることで、負荷トルクを下げ、起動性を確保している。電磁弁やプッシュソレノイド等を用い、圧縮機が停止するたびにシリンダ内の圧力を排気すれば上記問題は発生しないが、電磁弁等の信頼性確保やコストの面で課題が残る。
【0007】
供給電圧に応じ制御圧力範囲を引き下げる制御を用いることで、起動性および圧縮機の信頼性は確保できるが、通常時より制御圧力範囲が低下するため、貯留タンクに貯留可能な空気量が低下し、それに伴いユーザの作業効率も低下していた。
【0008】
本発明の目的は、供給電圧が下がった場合においても、制御圧力を必要以上に低下させることがなく、貯留タンクへの貯留圧力を高くして、ユーザの作業効率を改善する空気圧縮機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の好ましい一例は、空気を圧縮する圧縮機本体と、前記圧縮機本体により圧縮された気体を貯留する貯留タンクと、回転軸を回転させて前記圧縮機本体を駆動するモータと、前記モータの駆動を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記モータに供給される電圧値が第1の電圧値より低い場合に、圧縮機の停止時間を検知し、前記停止時間に基づいて、前記モータの駆動を停止する圧力である運転停止圧力を変更する空気圧縮機である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、供給電圧が下がった場合においても、制御圧力を必要以上に低下させることがなく、貯留タンクへの貯留圧力が高くなるため、ユーザの作業効率を改善した空気圧縮機を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例1に係る圧縮機の本体内部構成の説明図。
図2】実施例1に係る圧縮機の外観図。
図3図2の切断線A-Aにおける圧縮機の断面図。
図4】圧縮機の通常運転パターンを示す図。
図5】圧縮機の低電圧運転パターンを示す図。
図6】実施例1に係る圧縮機の運転パターンの例を示す図。
図7】実施例1に係る空気圧縮機の制御システム図。
図8】実施例1に係る制御部が実行するフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施例について、図面に基づいて、詳細に説明する。
【実施例1】
【0013】
実施例1に係るタンク一体式空気圧縮機において空気を圧縮する圧縮機本体1の構造を、図1図2を用いて説明する。
【0014】
1は、空気を圧縮する圧縮機本体である。圧縮機本体1は、クランクケース1Aとクランクケース1Aに取り付けられたシリンダ18を備えている。クランクケース1A内にはモータ6のシャフト(回転軸)6Aが貫通している。
【0015】
1Aは、圧縮機本体1及びモータ6を覆うクランクケースである。クランクケース1Aの一端側にはステータ2が直接固定され、ベアリング3が装着されており、ステータ2の取り付け側と反対側には、ベアリング4が装着された軸受箱5が嵌合される構造となっている。また、クランクケース1A内を貫通するシャフト6Aの中央部にはキー12を有する。また、空気をシール、圧縮するためのピストンリング13を有した連接棒組14が、ベアリング15と偏心したエキセントリック16を介してバランス17と共に挿入される。連接棒組14およびバランス17は、クランクケース1Aおよび軸受箱5に装着された2個のベアリング3、4によって両側から支持されている。
【0016】
6は、圧縮機本体1を駆動するモータである。モータ6は、ステータ2、ベアリング3、シャフト6A、キー7、ロータ8、ワッシャ9を有する。シャフト6Aの端部には、冷却ファン10が設けられている。また、シャフト6Aの一端側に、キー7を介してロータ8が装着されている。ロータ8は、ワッシャ9と冷却ファン10を取り付けるためのファンシャフト11によって、軸方向に固定されている。
【0017】
10は、後述するカバー26の内部に冷却風を供給し、圧縮機本体1、貯留タンク24、25などのタンク一体式空気圧縮機の構成要素を冷却するための冷却ファンである。冷却ファン10はファンシャフト11によってシャフト6Aの端部に設けられ、モータ6によって駆動される。18は、クランクケースに取り付けられたシリンダである。実施例1では、シリンダ18を2つ設け、一対のシリンダ18がクランクケースを挟んで互いに対向するように取り付けた。シリンダ18は、フランジ19、空気弁20、通しボルト22を備える。
【0018】
クランクケース1Aには、シリンダ18を取り付けるためのフランジ19が設けられており、シリンダ18、空気弁20、シリンダヘッド21が、通しボルト22によってフランジ19に固定され、圧縮室23を形成している。
【0019】
実施例1における圧縮機本体1の動作について説明する。実施例1における圧縮機本体1は、ロータ8の駆動によりシャフト6Aが回転すると、エキセントリック16によって連接棒組14およびピストンリング13が圧縮室23内を往復運動する。このピストンリング13が、上死点から下死点へ向かう吸い込み工程ではシリンダヘッド21、空気弁20を通じて圧縮室23内へ空気を吸い込む。逆に、ピストンリング13が、上死点へ向かう吐き出し工程では吸い込んだ空気を圧縮しつつ、空気弁20、シリンダヘッド21を通じて吐き出す構造である。シリンダヘッド21を通じて吐き出された空気は後述の貯留タンク24、25に貯留される。
【0020】
次に、実施例1における圧縮機本体1の制御について図3を用いて説明する。
図3は、図2の切断線A-Aにおけるタンク一体式空気圧縮機の断面図である。2本の貯留タンク24、25の上部に圧縮機本体1が配置され、2本の貯留タンク24、25の間にはタンク一体式空気圧縮機の運転を制御する制御部30が配置されている。タンク一体式空気圧縮機は圧力運転制御方式を採用しており、貯留タンク24に取り付けた圧力センサ31にてセンシングした圧力に応じて、制御部30で運転制御を行う。
【0021】
次に、実施例1のタンク一体式空気圧縮機に係る運転制御方法について、圧縮機の通常運転パターンを示す図4、および圧縮機の低電圧運転パターンを示す図5を用いて説明する。
【0022】
当該空気圧縮機は、電流制御、回転数制御、圧力制御を組み合わせた運転制御を行っている。電流制御は、制御部30にて電流値を検知し、閾値を超えないようにする制御であり、回転数制御はモータ6に備えた回転センサにより所定の回転数になるようにする制御である。圧力制御は、圧力センサ31にて貯留タンク24、25内の圧力を検知し、圧力が所定の圧力P1まで上昇すると運転を停止し、貯留タンク24、25内のエアが消費され、圧力が所定の圧力P2まで低下すると、運転を再起動する制御である。
【0023】
タンク一体式空気圧縮機においては、通常の圧力制御に加え、低電圧時の圧力制御を備えている。釘打ち機などのエア源として使用される当該機においては、可搬な構造であり、仮設電源で用いられる場合も多く、またコードリール等の使用やタコ足配線により供給電圧が不安定にある場合がある。供給電圧が通常の100Vより低下すると、モータ6の駆動トルクが不足し、通常の運転停止圧力P1まで、空気圧縮が出来ないリスクや、通常の運転再起動圧力P2で起動できないリスクがある。
【0024】
そこで、特許文献1に記載したように、従来のタンク一体式空気圧縮機においては、製品保護の観点から停電圧時の圧力制御として、供給電圧が規定値より低下した場合、運転圧力の制御範囲を引き下げている。空気圧縮機を起動し、貯留タンク24、25の圧力が通常の運転停止圧力P1に達すると、制御部30は、モータ6の駆動を停止させ、空気圧縮機は停止する。ここで、空気圧縮機への供給電圧が、規定の第1の電圧値(例えば80V)より低い場合には、図5に示すように、運転再起動圧力を通常のP2からP4に、運転停止圧力を、P1からP3に変更する。再び圧縮機への供給電圧が規定値(例えば80V)以上になった場合は、運転停止圧力および運転再起動圧力を、それぞれ、通常の圧力制御範囲のP1およびP2に変更する。
【0025】
ここで、実施例1に係る圧縮機の圧力制御について図1図4図6を用いて説明する。
圧縮機への供給電圧が下がり、図4に示す通常の圧力制御範囲P1-P2において正常運転できない、特に、圧縮機停止後に、図1で示す、モータ6を駆動させて、クランク機構により回転運動を往復運動に変換することで圧縮をする空気圧縮機では、高圧側の圧縮室23内に圧縮空気が残留することが、運転の再起動ができない問題の主な原因である。圧縮室23内に圧縮空気が残留すると負荷トルクとなり、供給電圧が低下するとモータ6の起動トルクが低下する。機械損失も含めた負荷トルクが起動トルクを上回る場合にモータ6は起動できず起動不良となる。圧縮室23内に圧縮空気が残留し、起動不良などの作業性の低下の問題が発生するのは、貯留タンクの圧力が、2.0MPa以上5.0MPa未満の高圧の場合である。
【0026】
一方で、圧縮室23内に残留した圧縮空気は、圧縮機停止後に、ピストンリング13とシリンダ18の隙間よりクランクケース1A内に徐々に抜ける。これにより圧縮室23内に残留した圧縮空気の圧力が低下すれば、負荷トルクが低下しモータ6は起動し易くなる。
【0027】
実施例が対象とする空気圧縮機における空気圧縮には、PTFEを基材としたピストンリングおよびアルミニウム製のシリンダを用いているが、シールラインを形成するピストンリング外周とシリンダ内面には微小な隙間があり、時間が経過すると共に圧縮機停止時にシリンダ内に残った圧力がブローバイとしてシリンダから抜けていく。シリンダ内から残圧が抜ければ、製品への供給電圧が低下しモータの駆動トルクが低下した状態でも圧縮機の起動性を確保可能となる。実施例1においては、圧縮機の停止時間を制御部にて検知し、所定時間が経過した場合、運転停止圧力と運転再起動圧力といった制御圧力の範囲の引き下げ幅を減らす、もしくは引き下げを行わない。
【0028】
実施例1においては、図6に示すとおり、圧縮機停止後に制御部30にて供給電圧と停止時間を検知し、例え供給電圧が所定値(例えば80V)以下であっても、圧縮機停止後の時間が所定時間(例えば10秒)以上であれば、運転停止圧力および運転再起動圧力の引き下げ幅を減らす。
【0029】
実施例1では、所定時間(例えば10秒)未満であれば、図5に示したように、低電圧時には、運転停止圧力を、P1からP3に引き下げる。さらに、モータ6を再起動させる際の運転再起動圧力を、P2からP4に引き下げる。
【0030】
圧縮機停止後の時間が、所定時間(例えば10秒)以上であれば、図6に示したように、運転停止圧力をP1からP5に、引き下げる。さらに、運転再起動圧力を、P2からP6に引き下げる。
【0031】
また、圧縮機停止後の時間が、第1の時間(例えば20秒)以上であれば、圧縮機への供給電圧が規定の第1の電圧値(例えば80V)以上における、通常の運転停止圧力P1および運転再起動圧P2と同じ圧力とする。よって、圧縮機停止後の時間が第1の時間(例えば20秒)以上あれば、圧縮機への供給電圧が規定の第1の電圧値より低い場合であっても、停止圧力および運転再起動圧力の引き下げは行わなくてもよい。
【0032】
空気圧縮機の制御に関するシステム構成図である図7を用いて、システム構成の説明をする。本システム構成には、次のような構成要素がある。貯留タンク24に取り付けられ、貯留タンク24内の圧力を検知する圧力センサ31、空気圧縮機に供給電圧を提供する電源705、電源705の電圧を検知するとともに、内部に備えたタイマーで空気圧縮機の停止時間を計測する制御部30、制御部30が検知した電源705の電圧が低電圧状態の場合には、制御部30の指示に基づいて、電源705の電圧が低電圧状態であることを、図示しない操作部からユーザに報知するように信号を出力するスイッチ基板702、制御部30により制御されるモータ6である。
【0033】
実施例1における空気圧縮機の制御部が実行する制御フローの例を、図8を用いて説明する。
制御部30は、圧縮機が停止するように制御する(S801)。空気圧縮機の運転を停止する運転停止圧力を4.2MPaに設定し、空気圧縮機が再起動する圧力を3.2MPaに設定する(S802)。電源705の電圧が、80V未満であるかどうかを制御部30が判断する(S803)。80V未満場合には、制御部30は、低電圧警報を出力するように、スイッチ基板702に信号を出力し、スイッチ基板702から、操作部などにより、低電圧状態にあることをユーザに知らせ、低電圧モードONとする(S804)。80V以上の場合には、本フローは終了する。
【0034】
制御部30は、内部のタイマーで、圧縮機が停止してからの時間を計測し、圧縮機停止時間が、10秒未満、20秒未満、および20秒以上であるかどうかの判断する(S805、S807、S809)。圧縮機停止時間が、10秒未満である場合には、運転停止圧力を、3.2MPa、再起動圧力を2.5MPaに設定する(S806)。圧縮機停止時間が、10秒以上で20秒未満である場合には、運転停止圧力を3.8MPa、再起動圧力を2.8MPaに設定する(S808)。圧縮機停止時間が、20秒以上である場合には、運転停止圧力を4.2MPa、再起動圧力を3.2MPaに設定する(S810)。
【0035】
制御部30は、圧力センサ31が検知した貯留タンク24内の圧力が、S806、S808、S810で設定された各停止圧力になった場合には、モータ6の駆動を停止するように制御し、圧縮機を停止させるようにする(S811)。制御部30は、圧力センサ31が検知した貯留タンク24内の圧力が、S806、S808、S810で設定された各再起動圧力になった場合には、モータ6を再起動するように制御し、圧縮機を再起動させるようにする(S815)。
【0036】
電源705の電圧が、80V未満であるかどうかを制御部30が判断する(S812)。80V未満場合には、低電圧警報を出力するように、スイッチ基板702に信号を出力し、スイッチ基板702から、操作部などにより、低電圧状態にあることを知らせ、低電圧モードONとする(S814)。そして、S805、S807、S809に戻り、制御部30は、内部のタイマーで、圧縮機が停止してからの時間を計測し、圧縮機停止時間が、10秒未満、10秒以上で20秒未満、および20秒以上であるかどうかの判断をする。
【0037】
電源705の電圧が、80V以上の場合には、制御部30は、低電圧警報を停止するように制御をし、低電圧モードOFFとする(S813)。そして、本実施例のフローは終了する。
【0038】
実施例1では、圧縮機停止時間に対応した停止圧力、再起動圧力が、上記に示す値で説明したが、上記した値に限らず、停止時間が長くなるに従い、運転停止圧力、再起動圧力を高くするような設定値であれば、作業性の向上につながる。
【0039】
実施例1によれば、低電圧時においても、圧縮機の圧力制御範囲を変更しない、若しくは引き下げ幅を減らすことで貯留タンク24、25に貯留する圧縮空気の圧力を高く保つことができるため、釘打ち可能本数を増やすことができ、ユーザにとっては作業性の向上につながる。
【符号の説明】
【0040】
1 圧縮機本体
6 モータ
18 シリンダ
24、25 貯留タンク
31 圧力センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8