(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-02
(45)【発行日】2022-03-10
(54)【発明の名称】多段式に安全に圧力解放する圧力計
(51)【国際特許分類】
G01L 19/06 20060101AFI20220303BHJP
G01L 7/16 20060101ALI20220303BHJP
【FI】
G01L19/06 Z
G01L7/16
(21)【出願番号】P 2020209806
(22)【出願日】2020-12-18
【審査請求日】2020-12-18
(32)【優先日】2019-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】501164676
【氏名又は名称】周 文三
(73)【特許権者】
【識別番号】519443952
【氏名又は名称】周 承賢
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】周 文三
(72)【発明者】
【氏名】周 承賢
【審査官】公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-061786(JP,A)
【文献】特開2014-149290(JP,A)
【文献】特開2016-061785(JP,A)
【文献】米国特許第04754648(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 7/00-23/32
G01L 27/00-27/02
F04B 39/00-39/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多段式に安全に圧力解放する圧力計であって、
前記圧力計は、中空状の円管体と、過圧保護ユニットを有する推進器と、漏れ防止ばねと、弾性部材と、キャップと、を備え、
前記中空状の円管体は、透明円筒状を呈してチャンバを有し、前記円管体の末端の外側中央部には、コネクタが設けられ、前記コネクタは、前記円管体の前記チャンバと連通した内通路を有し、前記円管体の末端近くの外側には、数字が刻印された圧力値を示す表示ユニットが結合され、前記円管体は、前記チャンバに設けられた2つの異なる円形口径の左セクション及び右セクションを有し、前記左セクションと前記右セクションとの間には
、リング部が設けられ、前記円管体の外筒壁には、少なくとも1つの気体抜き孔が形成され、
前記過圧保護ユニットを有する推進器は、前記円管体内に配設され、空気圧縮機が発生させた圧縮空気が前記円管体内に流入すると、前記過圧保護ユニットを有する推進器が押動されて直線移動され、前記推進器の移動距離により今現在の圧力値を指し示し、前記推進器は、一端に開口端が設けられ、他端に底端ベースが設けられ、前記推進器内には、内空部が設けられ、前記底端ベースの前記内空部の底部の中心部には、開口端から突出した中空管が延設され、前記底端ベースの前記中空管の内部には、排気経路を有する突起部が設けられ、
前記漏れ防止ばねは、前記推進器の前記中空管内に配設され、一端が前記突起部上に当接され、他端が前記過圧保護ユニットに当接され、
前記弾性部材は、前記推進器の前記内空部中に収容されるとともに、前記中空管の外周を取り囲むように嵌設され、
前記キャップは、内面側の中央部に中心ベースが設けられ、前記中心ベースの頂端には、1つの十字状突きピンが延設され、前記十字状突きピンは非円形柱体であり、前記キャップの外向面には、環状配列された複数の排気道が形成され、前記弾性部材の他端は、前記キャップ上に当接され、
前記空気圧縮機が発生させた圧縮空気は、前記コネクタの前記内通路から前記円管体内に流入可能であり、前記過圧保護ユニットを有する推進器が異なる入力圧力値を受取り、前記入力圧力値が所定の安全圧力値を超えた場合、少なくとも1つの前記気体抜き孔から前記圧力計の外側へ超過圧力を放出し、前記過圧保護ユニットを有する推進器が限界点まで移動すると、前記推進器の末端の前記排気経路上に配設され、前記排気経路を閉止するために用いる前記過圧保護ユニットは、前記キャップの前端の前記十字状突きピンにより押し開かれ、前記圧力計内の高圧空気が前記排気経路及び前記中空管から前記円管体の前記チャンバに流入された後、前記キャップに形成された前記排気道及び前記気体抜き孔から超過圧力が開放されることを特徴とする、多段式に安全に圧力解放する圧力計。
【請求項2】
前記円管体は、雄ねじ部を有する開口端が一端に設けられ、1対の嵌合クランプを有する末端が他端に設けられ、前記コネクタ上には、互いに離隔されるように配置された2つの気密Oリングが取付けられ、
前記円管体の中心軸線Cを基準とし、前記内通路の近くには半径がXである前記左セクションが設けられ、前記開口端に隣接した箇所には、半径がYである前記右セクションが設けられ、半径Xは、半径Yより小さく、前記左セクションと前記右セクションとの境界末端には、前記円管体の内部
に中心軸線Cに対して傾いたリング部が設けられ、前記リング部近くの前記左セクションの前記円管体の外筒壁には、第1の気体抜き孔が形成され、前記リング部近くの前記右セクションの前記円管体の外筒壁には、第2の気体抜き孔が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の多段式に安全に圧力解放する圧力計。
【請求項3】
前記推進器の前記底端ベースの外側面には、凹溝が凹設され、前記底端ベースの外側面の前記凹溝と、前記排気経路と、前記中空管とは互いに連通し、前記推進器の前記中空管の底部と前記推進器の筒壁との間には、環状凹部が形成され、前記底端ベースの周側部には、着色Oリングが嵌設可能な環状凹溝が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の多段式に安全に圧力解放する圧力計。
【請求項4】
前記過圧保護ユニットは、前端部を有する排気弁であり、前記前端部の他端には、縦杆が延設され、前記縦杆の末端には、互いに対をなす2つのサイドウイングが設けられ、
前記排気弁の前記サイドウイングの端部は、前記推進器の前記底端ベースの外側面の前記凹溝から前記排気経路及び前記漏れ防止ばねに挿入され、
前記排気弁の前記サイドウイングは、前記漏れ防止ばねの他端に係止され、前記排気弁の前記前端部が前記推進器の前記底端ベースの外側面の前記凹溝に着座されると、前記漏れ防止ばねが前記排気弁の前記縦杆に嵌設され、一端が前記推進器の前記突起部上に当接され、他端が前記排気弁の前記サイドウイングに当接され、前記漏れ防止ばねの付勢力により、前記排気弁が初期位置にある場合、前記排気弁の前記前端部が前記推進器の前記底端ベースの外側面の前記凹溝に密着され、前記排気弁の前記前端部により前記推進器の前記排気経路が閉止されることを特徴とする請求項3に記載の多段式に安全に圧力解放する圧力計。
【請求項5】
前記弾性部材は、メインバネであり、
前記メインバネの一端は、前記推進器の前記環状凹部に当接されることを特徴とする請求項3に記載の多段式に安全に圧力解放する圧力計。
【請求項6】
前記キャップは、内周面に雌ねじ部が設けられ、前記キャップの前記中心ベースと前記キャップの内側壁との間には、環状収容溝が形成され、前記キャップの前記十字状突きピンの外周面には、内方に凹んだ流通溝が形成され、前記十字状突きピンの最外径は、前記中心ベースの外径直径より小さく、前記十字状突きピンと前記中心ベースとの接続箇所には、ショルダーが設けられ、前記ショルダーと前記中心ベースとの接続箇所には、頂上壁が形成され、前記排気道は、前記キャップの前記環状収容溝と連通して気体圧力が外部に排出され、前記キャップは、前記雌ねじ部を介して前記円管体の前記開口端の前記雄ねじ部に螺合されて前記円管体に位置決めされ、前記円管体と前記キャップとの螺合深さを調整することにより前記圧力計の圧力値を調整し、前記メインバネの他端は、前記キャップの頂上壁に当接され、前記メインバネの内径縁は、前記キャップの前記ショルダーの外壁に当接されることを特徴とする請求項5に記載の多段式に安全に圧力解放する圧力計。
【請求項7】
数字が刻印された圧力値を示す前記表示ユニットの内側面が、前記円管体と分離可能に結合されるか一体成形されて前記圧力計が形成されることを特徴とする請求項1に記載の多段式に安全に圧力解放する圧力計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多段式に安全に圧力解放する圧力計に関し、特に、空気圧縮機に圧力計が着脱自在に結合され、圧力計がピストン運動のような方式により圧力を表示し、圧力計に少なくとも1つの気体抜き孔及び過圧保護ユニットが設けられているため、取付けられた圧力計により今現在の圧力値の変化を測定することができる上、圧力値が所定の安全圧力値に達した場合、少なくとも1つの気体抜き孔から超過圧力を開放し、圧力値が所定の最大安全圧力値に達した場合、圧力計に設けられた気体抜き孔及び過圧保護ユニットにより同時に超過圧力を開放することができるため、空気圧縮機に安全弁を別途取付けなくても安全が確保でき、気体被注入物が過圧により損壊してしまうことを防ぐ、多段式に安全に圧力解放する圧力計に関する。
【背景技術】
【0002】
初期の空気圧縮機、特に、自動車のタイヤ、エアーマットなどの物品に気体注入するために用いる小型の空気圧縮機は、本体の空気貯蔵ユニット上に僅か2本の排気マニホールド(duct)が設けられ、そのうち一方のマニホールドは、円筒状の圧力表示計に取付けられ、他方のマニホールドは、エアーノズルを一端に有するフレキシブル管に接続されている。エアーノズルは、例えば、自動車のタイヤなどの気体被注入物に接続され、空気圧縮機が駆動して発生させた圧縮空気を気体被注入物に注入させる。圧力表示計は、今現在の圧力値を使用者が目視し、気体注入を行う際の安全性を判断するために用いる。このような従来の円筒状の圧力表示計は、ブルドン管(Burden Tube)原理を利用して作ったメカニカルゲージ圧力計に属し、このようなブルドン管式圧力表示計には多くの精密部品が必要であったため、使用する精密部品が故障すると、測定の精度が低下してしまった。そのため、ブルドン管式圧力表示計の使用機能は理想的でなかった。このようなブルドン管式圧力表示計の使用上の問題点を改善するために、従来技術の特許文献として気体注入装置の圧力表示装置が日本にて実用新案登録出願され、既に公告されている。当該特許文献の圧力表示装置は、中空管体を有し、その管体の両端には、保護カバー及び吸気継手がそれぞれ設けられる。管体内には、直線運動する平面板体及びばねが配設され、管体の外側には、メーターが配設され、管体の最も特徴的なことは、圧力解放可能な圧力解放孔が形成されている点であり、プッシャが気体注入装置の圧縮空気を受けると、平面板体がばねを圧縮して直線移動し、気体注入圧力が最高設定圧力を超えたときに、中空管体に形成された圧力解放孔から超過圧力を開放し、気体被注入物の気体注入の安全性を確保する。従来技術の既に公告された本考案の構造は、従来のブルドン管式圧力表示計の問題点を改善することができたが、過圧安全保護として用いる圧力解放孔の作用面積が小さすぎて点状の円孔を呈していた。気体注入速度が非常に速かったため、圧力解放孔により瞬間的に圧力を開放させる機能が低い上、そこを通過する埃や気体注入装置の本体に運転をスムーズにするために用いる潤滑油に含まれる埃などにより圧力解放孔が詰まり、圧力解放の機能が下がったり失われたりしてしまうことがあった。ここで、長尺状体の平面板体の一端は、プッシャの嵌状溝に着脱可能に接続され、他端が保護カバーの中央部に形成された穿孔に挿通され、プッシャ及びばねが気体注入装置の高周波の振動の影響を受け、平面板体とプッシャとが接続された一端が緩んだりずれたりし易く、平面板体の他端が斜めに移動してしまうこともあった。このように進行経路がずれると、保護カバーの穿孔内に挿通された板体の周囲と穿孔との間で摩擦力が増大し、穿孔の周壁が摩損して穿孔面積が大きくなってしまうことがあり、このように摩損して面積が大きくなった穿孔で平面板体が揺れて振動すると、平面板体とプッシャとが緩んだり完全に外れたりしてしまうことがあり、圧力測定に問題が生じたり精度が低下したりしてしまうことがあった。また、板体の直線移動の長さにメーターを加えた構成長さは、表示装置全体の空間設計上の長さを増大させてしまうという問題を発生させるため、改善の余地があった。そのため、本発明者は、従来の圧力計の問題点に鑑み、本発明の多段式に安全に圧力解放する圧力計を研究開発した。本発明の多段式に安全に圧力解放する圧力計は、特に、空気圧縮機に圧力計が着脱自在に結合され、圧力計がピストン運動のような方式により圧力を表示し、圧力計に少なくとも1つの気体抜き孔及び過圧保護ユニットが設けられているため、取付けられた圧力計により今現在の圧力値の変化を測定することができる上、圧力値が所定の安全圧力値に達した場合、少なくとも1つの気体抜き孔から超過圧力を開放し、圧力値が所定の最大安全圧力値に達した場合、圧力計に設けられた気体抜き孔及び過圧保護ユニットにより同時に超過圧力を開放することができるため、空気圧縮機に安全弁を別途取付けなくても、安全を確保し、気体被注入物が過圧により損壊してしまうことを防ぐことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、空気圧縮機の空気貯蔵ユニット上に設けたマニホールドが、過圧保護ユニットを有する圧力計に直接接続され、圧力計に少なくとも1つの気体抜き孔及び過圧保護ユニットが設けられているため、取付けられた圧力計により今現在の圧力値の変化を測定することができる上、圧力値が所定の安全圧力値に達した場合、少なくとも1つの気体抜き孔から超過圧力を開放し、圧力値が所定の最大安全圧力値に達した場合、圧力計に設けられた気体抜き孔及び過圧保護ユニットにより同時に超過圧力を開放することができるため、空気圧縮機上のもう一つの排気マニホールド内に圧力安全弁を別途取付ける必要がない、多段式に安全に圧力解放する圧力計を提供することにある。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る圧力計が空気圧縮機に取付けられた状態を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態に係る圧力計を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態に係る圧力計を示す分解斜視図である。
【
図4】
図4は、本発明の一実施形態に係る円管体を示す断面図である。
【
図5】
図5は、本発明の一実施形態に係る圧力計の推進器を示す断面斜視図である。
【
図6】
図6は、本発明の一実施形態に係る圧力計を示す上面図である。
【
図7】
図7は、本発明の一実施形態に係る圧力計を示す底面図である。
【
図8】
図8は、本発明の一実施形態に係る圧力計を示す側面図である。
【
図9】
図9は、本発明の空気弁と推進器とが結合された状態を示す断面図である。
【
図10】
図10は、本発明の一実施形態に係る圧力計の圧力が零を示すときの状態の断面図である。
【
図11】
図11は、本発明の圧力計が圧力源を受け、推進器がピストンのような運動を行う状態を示す断面図である。
【
図12】
図12は、本発明の圧力計が超過圧力を受けたときに、その超過圧力の気体を放出する状態を示す断面図である。
【
図13】
図13は、本発明の圧力計が圧力源を受け、推進器がピストンのような運動を行うとともに、限界点まで移動する気体放出動作を示す断面図である。
【
図14】
図14は、本発明の圧力計のもう一つの実施形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
図1~
図4を参照する。
図1~
図4に示すように、本発明の一実施形態に係る多段式に安全に圧力解放する圧力計10は、空気圧縮機9と接続されるとともに、中空状の円管体1と、過圧保護ユニットを有する推進器2と、漏れ防止ばね34と、弾性部材と、キャップ5と、を備える。
【0006】
中空状の円管体1は、透明円筒状を呈してチャンバ11を有し、雄ねじ部121を有する開口端12が一端に設けられ、1対の嵌合クランプ131を有する末端13が他端に設けられる。末端13の外側中央部には、コネクタ14が設けられる。コネクタ14は、円管体1のチャンバ11と連通した内通路140を有し、コネクタ14上には、互いに離隔されるように配置された2つの気密Oリング15,16が取付けられ、円管体1の末端13近くの外側には、数字が刻印された圧力値を示す表示ユニット17が結合され、表示ユニット17の内側面が円管体1から分離可能な圧力計10が形成される。円管体1は、チャンバ11に2つの異なる円形口径の左セクション111及び右セクション112が設けられる。
図4に示す方向及び円管体1の中心軸線Cを基準とし、内通路140の近くには半径がXである左セクション111が設けられる。開口端12に隣接した箇所には、半径がYである右セクション112が設けられる。半径Xは、半径Yより小さい(X<Y)。左セクション111と右セクション112との境界末端には、円管体1内部に放射線状に配列されて傾いた(中心軸線Cに対して傾いた)リング部113が設けられる。本実施形態において、小口径の左セクション111の半径Xから、連続した漸増口径の方式により、右セクション112の半径Yまで延び、左セクション111と右セクション112との間には、放射線状のリング部113が設けられる。リング部113の周面(
図4で示された方向で見ると)は、直線状又は弧形状でもよい。リング部113近くの左セクション111の円管体1の外筒壁には、第1の気体抜き孔18が形成される。リング部113近くの右セクション112の円管体1の外筒壁には、第2の気体抜き孔19が形成される(
図4及び
図7を併せて参照する)。
【0007】
過圧保護ユニットを有する推進器2は、前述した円管体1内に配設され、空気圧縮機9が発生させた圧縮空気が前述した円管体1内に流入すると、推進器2が押動されて直線移動され、推進器2の移動距離により今現在の圧力値を指し示す(
図6を参照する)。
図3及び
図5を参照する。
図3及び
図5に示すように、本発明の一実施形態に係る推進器2は、一端に開口端21が設けられ、他端に底端ベース22が設けられる。底端ベース22の外側面には、凹溝221が凹設される。推進器2内には、内空部23が設けられる。底端ベース22の内空部23の底部の中心部には、開口端21から突出した中空管24が延設され、底端ベース22の中空管24の内部には、排気経路250を有する突起部25が設けられる。即ち、底端ベース22の外側面の凹溝221と、排気経路250と、中空管24とは互いに連通し、中空管24の底部と推進器2の筒壁との間には、環状凹部26が形成される。前述した底端ベース22の周側部には、着色Oリング28が嵌設可能な環状凹溝27が形成されている。本実施形態の過圧保護ユニットは、前端部31を有する排気弁3である。前端部31の他端には、縦杆32が延設されている。縦杆32の末端には、互いに対をなす2つのサイドウイング33が設けられる。漏れ防止ばね34は、推進器2の中空管24内に配設され、漏れ防止ばね34の一端は、突起部25上に当接される。前述した排気弁3のサイドウイング33の端部は、推進器2の底端ベース22の外側面の凹溝221から排気経路250及び漏れ防止ばね34に挿入され、排気弁3のサイドウイング33は、漏れ防止ばね34の他端に係止される。排気弁3の前端部31が推進器2の底端ベース22の外側面の凹溝221に着座されると、漏れ防止ばね34が排気弁3の縦杆32に嵌設され、一端が推進器2の突起部25上に当接され、他端が排気弁3のサイドウイング33に当接され、漏れ防止ばね34の付勢力により、排気弁3が初期位置にある場合、排気弁3の前端部31が推進器2の底端ベース22の外側面の凹溝221に密着され、排気弁3の前端部31により推進器2の排気経路250が閉止される(
図9及び
図10を参照する)。
【0008】
前述した排気弁3と結合された推進器2は、前述した円管体1内に収容されると、底端ベース22がチャンバ11の底部に当接される。コネクタ14の内通路140と円管体1のチャンバ11とが連通され、圧力源の入力圧力が内通路140、円管体1のチャンバ11を介し、推進器2及び排気弁3の前端部31を押圧し、推進器2と、推進器2と結合された排気弁3とが、円管体1の左セクション111と右セクション112との間でピストンのような運動を行う方式によりチャンバ11中で直線移動する(
図10~
図13を参照する)。
【0009】
弾性部材は、例えばバネであり、本実施形態ではメインバネ4が用いられている。メインバネ4は、前述した推進器2の内空部23中に収容され、中空管24の外周を取り囲むように嵌設され、環状凹部26に一端が当接される。
【0010】
キャップ5は、内周面に雌ねじ部50が設けられ、内面側の中央部に中心ベース51が設けられる。中心ベース51とキャップ5の内側壁との間には、環状収容溝53が形成される。中心ベース51の頂端には、1つの十字状突きピン52が延設されている。十字状突きピン52は非円形柱体である。十字状突きピン52の外周面には、内方に凹んだ流通溝520が形成される。十字状突きピン52の最外径は、中心ベース51の外径直径より小さい。十字状突きピン52と中心ベース51との接続箇所には、ショルダー511が設けられる。ショルダー511と中心ベース51との接続箇所には、頂上壁512が形成され、キャップ5の外向面には、環状配列された複数の排気道54が形成される。
図8に示すように、排気道54は、キャップ5の環状収容溝53と連通して気体圧力が外部に排出される(
図10~
図13を参照する)。キャップ5は、雌ねじ部50を介して円管体1の開口端12の雄ねじ部121に螺合されて円管体1に位置決めされる。円管体1とキャップ5との螺合深さを調整することにより圧力計10の圧力値を調整することができる。前述したメインバネ4の他端は、キャップ5の頂上壁512に当接される。メインバネ4の内径縁は、キャップ5のショルダー511の外壁に当接される。円管体1と、排気弁3に結合された推進器2と、着色Oリング28と、気密Oリング15,16と、メインバネ4と、キャップ5とを完全に組み合わせると、
図2及び
図3の実施形態が示すような圧力計10が形成される。
【0011】
図1及び
図11を参照する。
図1及び
図11に示すように、外界の圧力源が、円管体1のコネクタ14の内通路140から圧力計10の円管体1内に流入し、その入力された外界圧力により推進器2が内部のメインバネ4に力を付与し、入力され続ける外界圧力が、排気弁3に結合された推進器2をキャップ5に向かって移動させる。そのときに発生した圧力値を、使用者は透明状の円管体1を介し、着色Oリング28が位置する表示ユニット17上の数字が刻印された圧力値を鮮明に見ることができる(
図6を参照する)。入力された圧力値が所定の安全圧力値を超えた場合、推進器2の底端ベース22の周側部に設けた着色Oリング28が円管体1の左セクション111の外筒壁に形成した第1の気体抜き孔18を横切ると、超過圧力が第1の気体抜き孔18を介して圧力計10の外部へ直ちに放出される(
図11を参照する)。続いて、圧力計10の内部に流入した外界圧力により押動し、排気弁3と結合した推進器2をキャップ5に向かって移動させる。推進器2の底端ベース22の周側部に設けた着色Oリング28が小口径の左セクション111からリング部113を横切ると、超過圧力が推進器2上に設けた着色Oリング28及びリング部113により形成された間隙114を通って、360度全方向の圧力解放方式で右セクション112に流入し、超過圧力が、第1の気体抜き孔18及び右セクション112の外筒壁に形成した第2の気体抜き孔19を介して圧力計10の外部に放出される(
図12を参照する)。安全に保護するために、圧力計10の推進器2が限界点まで移動すると、推進器2の末端の排気経路250上に配設され、排気経路250を閉止するために用いる排気弁3は、キャップ5前端の十字状突きピン52により押し開かれ、圧力計10内の高圧空気が凹溝221、排気経路250、中空管24、十字状突きピン52の流通溝520を介して円管体1のチャンバ11及びキャップ5の環状収容溝53に速やかに流入した後、キャップ5が有する排気道54、前述した第1の気体抜き孔18及び第2の気体抜き孔19を介して超過圧力が開放される(
図13を参照する)。また、気体を注入する際、不適切な操作により過圧現象が発生した場合、推進器2の中空管24の末端がキャップ5のショルダー511に当接されるようにしてメインバネ4を保護し、超過圧力によりメインバネ4が変形してしまうことを防ぐ(
図13を参照する)。
【0012】
図14を参照する。
図14に示すように、数字が刻印された圧力値を示す表示ユニット17の内側面が、円管体1と一体成形されて圧力計10が形成される。
【0013】
上述したことから分かるように、本発明の多段式に安全に圧力解放する圧力計は、空気圧縮機9の空気貯蔵ユニット上に設けた排気マニホールドが、過圧保護ユニットを有する圧力計10に直接接続される。圧力計10の推進器2が異なる入力圧力値を受取ると、入力圧力値が所定の安全圧力値を超えた場合、少なくとも1つの気体抜き孔から圧力計10の外側へ超過圧力を放出し、圧力計10の推進器2がさらに多くの入力圧力値を受取る場合、少なくとも2つの気体抜き孔から圧力計10の外側へ超過圧力を放出し、圧力計10の推進器2が限界点まで移動されると、推進器2の末端の排気経路250上に設置されて排気経路250を閉止する排気弁3が、キャップ5の前端に設けられた十字状突きピン52により押し開かれ、圧力計10内の高圧空気が排気経路250を介して推進器2中に流入した後、キャップ5に形成された排気道54及び前述した気体抜き孔から超過圧力が放出されるため、空気圧縮機9の他方の排気マニホールド上に圧力安全弁を取付けなくても、気体被注入物の安全を確保することができる。そのため、本発明は、構造設計が従来の物と異なり、圧力値を正確に測定することができる上、実用的である。また、過圧保護ユニットにより過圧気体注入されることを防ぐため安全性が高く、新規性及び進歩性を有する。
【符号の説明】
【0014】
1:円管体
2:推進器
3:排気弁
4:メインバネ
5:キャップ
9:空気圧縮機
10:圧力計
11:チャンバ
12:開口端
13:末端
14:コネクタ
15:気密Oリング
16:気密Oリング
17:表示ユニット
18:第1の気体抜き孔
19:第2の気体抜き孔
21:開口端
22:底端ベース
23:内空部
24:中空管
25:突起部
26:環状凹部
27:環状凹溝
28:着色Oリング
31:前端部
32:縦杆
33:サイドウイング
34:漏れ防止ばね
50:雌ねじ部
51:中心ベース
52:十字状突きピン
53:環状収容溝
54:排気道
111:左セクション
112:右セクション
113:リング部
114:間隙
121:雄ねじ部
131:嵌合クランプ
140:内通路
221:凹溝
250:排気経路
511:ショルダー
512:頂上壁
520:流通溝
C:中心軸線
X:半径
Y:半径