(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-02
(45)【発行日】2022-03-10
(54)【発明の名称】車両用軌道のコア
(51)【国際特許分類】
B62D 55/253 20060101AFI20220303BHJP
【FI】
B62D55/253 E
B62D55/253 D
B62D55/253 C
(21)【出願番号】P 2020541657
(86)(22)【出願日】2019-01-30
(86)【国際出願番号】 US2019015764
(87)【国際公開番号】W WO2019152460
(87)【国際公開日】2019-08-08
【審査請求日】2020-09-30
(32)【優先日】2018-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517428344
【氏名又は名称】エスアールジェイ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100188329
【氏名又は名称】田村 義行
(72)【発明者】
【氏名】チ,ウ・ヨン
【審査官】米澤 篤
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-176208(JP,A)
【文献】特開2010-120550(JP,A)
【文献】特開2013-1349(JP,A)
【文献】特開平5-170148(JP,A)
【文献】米国特許第5209706(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 55/253
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用軌道であって、
軌道本体と、
複数のコアと、
を備え、前記複数のコアの各コアが、
第1の端部、および前記第1の端部の反対側の第2の端部を備え、前記第1の端部と第2の端部との間に延びた第1の軸線に沿って測定された本体の幅、および前記第1の軸線に直交する第2の軸線に沿って測定された本体の長さを有する、本体と、
前記本体の前記第1の端部から延びた、第1の縁部と、
前記本体の前記第2の端部から延びた、第2の縁部と
を備え、
前記第1の縁部および第2の縁部の各々が、それぞれの前記本体の主面から延びた少なくとも1つの突起部を画定し、前記少なくとも1つの突起部が、前記本体の長さ未満の突起長さを有し、
前記第1の縁部および第2の縁部は、各々が、対応する第1の側面、および対応する第2の側面を備え、
前記少なくとも1つの突起部は、正方形または三角形の外形を有し、
前記第1の縁部または第2の縁部の少なくとも一方において、前記少なくとも1つの突起部は、少なくとも2つの突起、または、対応する縁部の第1の側面及び第2の側面からオフセットした1つの突起、を含み、
前記複数のコアの各コアが、前記軌道本体内に少なくとも部分的に埋め込まれている、 車両用軌道。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用軌道において、前記軌道本体が、前記第1の縁部および第2の縁部の各々の、前記少なくとも1つの突起部を包む、車両用軌道。
【請求項3】
請求項1または2に記載の車両用軌道において、前記第1の縁部または前記第2の縁部のうちの少なくとも一方が、2つの突起部を画定し、前記第1の縁部または第2の縁部それぞれが、前記2つの突起部の間にチャネルを画定し、前記軌道本体が、前記2つの突起部を包み、前記チャネルを通って延びている、車両用軌道。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の車両用軌道において
、
前記第1の縁部または前記第2の縁部のうちの少なくとも一方が、1つの突起部のみを画定し、前記1つの突起部が、第3の側面および第4の側面を備え、
前記第1の縁部または第2の縁部それぞれが、2つの側部領域を画定し、前記2つの側部領域のうちの第1の側部領域が、前記第3の側面に近接し、前記2つの側部領域のうちの第2の側部領域が、前記第4の側面に近接し、それによって前記第3の側面および第4の側面が、前記第1の縁部および第2の縁部それぞれの前記第1の側面および第2の側面それぞれからオフセットされており、
前記軌道本体が、前記1つの突起部を包み、前記第1の縁部または第2の縁部それぞれの前記2つの側部領域内に延びている、車両用軌道。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の車両用軌道において、前記複数のコアの各コアの前記本体が、前記車両用軌道を回転させるよう構成された
駆動スプロケットホイールと位置を合わせるよう構成されている、少なくとも1つのラグ突起部を画定する、車両用軌道。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の車両用軌道において、前記軌道本体がエラストマからなり、前記複数のコアが金属からなる、車両用軌道。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の車両用軌道において、前記第1の縁部および第2の縁部の各々の前記少なくとも1つの突起部が、前記軌道本体に力が加えられたとき、前記軌道本体を支持するよう構成されている、車両用軌道。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の車両用軌道において、前記軌道本体は、前記第1の縁部または前記第2の縁部それぞれに対応する前記軌道本体の側部に力が加えられたときに、前記第1の縁部または前記第2の部それぞれにおける前記少なくとも1つの突起部の周りで少なくとも部分的に変形するよう構成されている、車両用軌道。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の車両用軌道において、前記第1の軸線が、前記軌道本体の長手方向に対して垂直に延びている、車両用軌道。
【請求項10】
車両用軌道のコアであって、
第1の端部、および前記第1の端部の反対側の第2の端部を備え、前記第1の端部と第2の端部との間に延びた第1の軸線に沿って測定された本体の幅、および前記第1の軸線に直交する第2の軸線に沿って測定された本体の長さを有する、本体と、
前記本体の前記第1の端部から延びた、第1の縁部と、
前記本体の前記第2の端部から延びた、第2の縁部と
を備え、
前記第1の縁部および第2の縁部の各々が、前記本体の主面から延びた少なくとも1つの突起部を画定し、前記少なくとも1つの突起部が、前記本体の長さ未満の突起長さを有し、
前記第1の縁部および第2の縁部は、各々が、対応する第1の側面、および対応する第2の側面を備え、
前記少なくとも1つの突起部は、正方形または三角形の外形を有し、
前記第1の縁部または第2の縁部の少なくとも1つにおいて、前記少なくとも1つの突起部は、少なくとも2つの突起、または、対応する縁部の第1の側面及び第2の側面からオフセットした1つの突起、を含み、
前記車両用軌道のコアが、また、車両用軌道の軌道本体内に少なくとも部分的に埋め込まれるよう構成されている、 車両用軌道のコア。
【請求項11】
請求項10に記載の車両用軌道のコアにおいて、前記第1の縁部または前記第2の縁部のうちの少なくとも一方が、2つの突起部を画定し、前記第1の縁部または第2の縁部それぞれが、前記2つの突起部の間にチャネルを画定する、車両用軌道のコア。
【請求項12】
請求項10または11に記載の車両用軌道のコアにおいて
、
前記第1の縁部または前記第2の縁部のうちの少なくとも一方が、1つの突起部のみを画定し、前記1つの突起部が、第3の側面および第4の側面を備え、
前記第1の縁部または第2の縁部それぞれが、2つの側部領域を画定し、前記2つの側部領域のうちの第1の側部領域が、前記第3の側面に近接し、前記2つの側部領域のうちの第2の側部領域が、前記第4の側面に近接し、それによって前記第3の側面および第4の側面が、前記第1の縁部および第2の縁部それぞれの前記第1の側面および第2の側面それぞれからオフセットされている、車両用軌道のコア。
【請求項13】
請求項10~12のいずれか一項に記載の車両用軌道のコアにおいて、前記本体が、前記車両用軌道を回転させるよう構成された
駆動スプロケットホイールと位置を合わせるよう構成されている、少なくとも1つのラグ突起部を画定する、車両用軌道のコア。
【請求項14】
請求項
10~13のいずれか一項に記載の車両用軌道のコアにおいて、前記車両用軌道のコアが単一の連続した金属片からなる、車両用軌道のコア。
【請求項15】
車両用軌道を形成する方法であって、
複数のコアを形成するステップを含み、前記複数のコアの各コアが、
第1の端部、および前記第1の端部の反対側の第2の端部を備え、前記第1の端部と第2の端部との間に延びた第1の軸線に沿って測定された本体の幅、および前記第1の軸
線に直交する第2の軸線に沿って測定された本体の長さを有する、本体と、
前記本体の前記第1の端部から延びた、第1の縁部と、
前記本体の前記第2の端部から延びた、第2の縁部と
を備え、
前記第1の縁部および第2の縁部の各々が、それぞれの前記本体の主面から延びた少なくとも1つの突起部を画定し、前記少なくとも1つの突起部が、前記本体の長さ未満の突起長さを有し、
前記第1の縁部および第2の縁部は、各々が、対応する第1の側面、および対応する第2の側面を備え、
前記少なくとも1つの突起部は、正方形または三角形の外形を有し、
前記第1の縁部または第2の縁部の少なくとも1つにおいて、前記少なくとも1つの突起部は、少なくとも2つの突起、または、対応する縁部の第1の側面及び第2の側面からオフセットした1つの突起、を含み、
前記方法は、また、前記複数のコアの各コアが、前記軌道本体内に少なくとも部分的に埋め込まれるよう、前記複数のコアの各コアの少なくとも一部の周りに軌道本体を形成するステップを含む、
方法。
【請求項16】
請求項
15に記載の方法において、前記第1の縁部または前記第2の縁部のうちの少なくとも一方が、2つの突起部を画定し、前記第1の縁部または第2の縁部それぞれが、前記2つの突起部の間にチャネルを画定し、前記軌道本体に前記第1の縁部および前記第2の縁部の各々の前記少なくとも1つの突起部を包むステップが、前記軌道本体に前記2つの突起部を包み、前記チャネルを通して前記軌道本体を形成するステップを含む、方法。
【請求項17】
請求項
15または16に記載の方法において、前記軌道本体を各コアの少なくとも一部の周りに形成するステップの前に、接着剤またはプライマを前記複数のコアを適用するステップをさらに含む、方法。
【請求項18】
請求項1に記載の車両用軌道において、
前記複数のコアの各コアの前記本体が、前記車両用軌道を回転させるよう構成された駆動スプロケットホイールと位置を合わせるよう構成されている、少なくとも2つのラグ突起部を画定し、
前記少なくとも2つのラグ突起部は、前記本体の幅の中点を通る第2の軸線に対して対称に構成されている、
車両用軌道。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本出願は、2018年1月31日に出願された「VEHICLE TRACK CORE」と題する米国仮特許出願第62/624,437号の利益を主張している、2019年1月29日に出願された「VEHICLE TRACK CORE」と題する米国特許出願第16/260,397号の優先権を主張する。
【0002】
[0002]本開示は車両用軌道に関し、より詳細には、1つまたは複数のコアを含む車両用軌道に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]土木作業用車両(例えば掘削機、スキッドステア軌道ローダ(skid steer track loaders)、またはマルチテレイン軌道ローダ(multi-terrain track loaders))および農作業用車両など、多くのオフロード車両は、例えば1つまたは複数の駆動スプロケットを含み得る駆動システムに連結された、車両用軌道を含む。車両用軌道は、円形断面を有する従来のホイールでは適切にグリップできない地面上でトラクションをもたらすのに役立ち得る。例えば、車両用軌道を伴う車両は、2つ以上の円形ホイールを伴う車両よりも大きい表面積をつなぎ得る。それは、不均等または緩い地面(砂利または泥)などの、円形ホイールを伴う車両では通常移動できない地面を、車両用軌道を伴う車両が移動するのに役立ち得る。
【0004】
[0004]いくつかの場合において、車両用軌道は、金属、成形ゴムなどのゴム、または金属とゴムとの組み合わせで形成される。車両用軌道は、単一の一体片として成形されるか、車両用軌道を画定するよう共に連結された相互接続部材のアセンブリであってよい。いくつかの車両用軌道は、駆動システムと係合するように構成された第1の内側と、1つまたは複数の共通面から延び、トレッドパターンを画定する複数の突起部(例えば「トラクションラグ(traction lug)」または「トレッドラグ」)を含む第2の外側と、を伴う軌道本体を含む。いくつかの例において、車両用軌道は、軌道本体内に埋め込まれた複数のコアを含み得る。これらのコアは、車両用軌道の形状の一部を画定し、駆動システムなどと係合し得る。
【発明の概要】
【0005】
[0005]本開示は、車両用軌道のコア、ならびに1つまたは複数のコアを含む車両用軌道に関するシステムおよび方法を説明する。いくつかの例において、コア(本明細書では「車両用軌道のコア」とも称する)は、本体、第1の縁部、および第2の縁部を含み得る。第1の縁部および第2の縁部の各々は、それぞれの本体の主面から延びた少なくとも1つの突起部を画定する。少なくとも1つの突起部の幅は、縁部の幅未満であり、車両用軌道の軌道本体は、この少なくとも1つの突起部を包む。このような車両用軌道のコアは、軌道本体が、コアによって支持されること、および少なくとも部分的に少なくとも1つの突起部の周りで変形することの両方を可能にし得る。このように、軌道本体は、少なくとも1つの突起部からの支持によって、コアのそれぞれの縁部に対応する軌道本体の側部に力を加えられた際に、破壊または著しい変形が防止され得る。その一方で、軌道本体は、少なくとも1つの突起部の周りで少なくとも部分的に変形可能である。部分的な変形、および少なくとも1つの突起部周りの軌道本体の可撓性は、所与の力に応じて軌道本体が受ける少なくともいくらかのストレスを軽減させるのに役立ち得る。軌道本体が受ける少なくともいくらかのストレスを軽減させることは、軌道本体のクラックの形成、軌道本体のクラックの拡がり、軌道本体の摩耗を軽減させることなど、車両用軌道の耐用寿命を増加させ、かつコアと軌道本体との分離などを防止し得る。
【0006】
[0006]1つの例において、車両用軌道は、軌道本体および複数のコアを含み、複数のコアの各コアは、軌道本体内に少なくとも部分的に埋め込まれる。複数のコアの各コアは、第1の端部、および第1の端部の反対側の第2の端部を含む本体を含む。本体は、第1の端部と第2の端部との間に延びた第1の軸線に沿って測定された本体の幅、および第1の軸線に直交する第2の軸線に沿って測定された本体の長さを有する。複数のコアの各コアは、本体の第1の端部から延びた第1の縁部、および本体の第2の端部から延びた第2の縁部も含む。第1の縁部および第2の縁部の各々は、それぞれの本体の主面から延びた少なくとも1つの突起部を画定する。少なくとも1つの突起部は、本体の長さ未満の突起長さを有する。
【0007】
[0007]別の例において、車両用軌道は、軌道本体および複数のコアを含み、複数のコアの各コアは、軌道本体内に少なくとも部分的に埋め込まれる。複数のコアの各コアは、第1の端部、および第1の端部の反対側の第2の端部を含む本体を含む。本体は、第1の端部と第2の端部との間に延びた第1の軸線に沿って測定された本体の幅、および第1の軸線に直交する第2の軸線に沿って測定された本体の長さを有する。複数のコアの各コアは、本体の第1の端部から延びた第1の縁部、および本体の第2の端部から延びた第2の縁部も含む。第1の縁部および第2の縁部の各々は、それぞれの本体の主面から延びた少なくとも1つの突起部を画定する。少なくとも1つの突起部は、本体の長さ未満の突起長さを有する。
【0008】
[0008]別の例において、車両用軌道を形成する方法は、複数のコアを形成するステップを含み、複数のコアの各コアは、第1の端部、および第1の端部の反対側の第2の端部を含む本体を含む。本体は、第1の端部と第2の端部との間に延びた第1の軸線に沿って測定された本体の幅、および第1の軸線に直交する第2の軸線に沿って測定された本体の長さを有する。複数のコアの各コアは、本体の第1の端部から延びた第1の縁部、および本体の第2の端部から延びた第2の縁部も含む。第1の縁部および第2の縁部の各々は、それぞれの本体の主面から延びた少なくとも1つの突起部を画定する。少なくとも1つの突起部は、本体の長さ未満の突起長さを有する。方法は、また、複数のコアの各コアが、軌道本体内に少なくとも部分的に埋め込まれるように、複数のコアの各コアの少なくとも一部の周りに軌道本体を形成するステップを含む。
【0009】
[0009]他の例において、方法は、本明細書で説明する任意の車両用軌道および/または車両用のコアを使用するステップを含む。
[0010]本開示の1つまたは複数の例の詳細は、添付の図面および以下の記載において説明する。本開示の他の特徴、目的、および利点は、これらの説明および図、ならびに特許請求の範囲から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】[0011]軌道本体および複数のコアを含む、例示的な車両用軌道の一部の斜視図であり、車両用軌道は駆動スプロケットホイール周りに取り付けられている。
【
図2】[0012]例示的な車両用軌道の一部の斜視図、および例示的な軌道本体内に埋め込まれた複数の例示的なコアを示す図である。
【
図3】[0013]車両用軌道の軌道本体に、少なくとも部分的に埋め込まれるよう構成された、例示的なコアの斜視図である。
【
図4】[0014]車両用軌道の軌道本体に、少なくとも部分的に埋め込まれるよう構成された、別の例示的なコアの斜視図である。
【
図5A】[0015]障害物を含む地表面上の、例示的な車両用軌道の一部の概略図である。
【
図5B】[0015]障害物を含む地表面上の、例示的な車両用軌道の一部の概略図である。
【
図6】[0016]車両用軌道を形成する例示的な技術を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0017]本明細書で説明する例において、車両用軌道は、軌道本体と、軌道本体に埋め込まれるか、または軌道本体に全体的もしくは部分的に囲まれ得る、1つまたは複数のコアとを含む。軌道本体は、車両用軌道に取り付けられた車両を動かすために、車両の駆動システムと係合するよう、かつ地表面と係合するよう構成されている。コアは、軌道本体を安定させるよう、軌道本体の形状を維持するよう、軌道本体を強化するよう、軌道本体の1つまたは複数の構造を画定するよう、および/または軌道本体が受けるストレスを軽減させるよう、構成されている。
【0012】
[0018]本開示で説明するいくつかの例において、コアは、本体、および第1の縁部および第2の縁部を含み得る。これら縁部の各々は、それぞれの本体の主面から延びた少なくとも1つの突起部を画定する。少なくとも1つの突起部の長さは、本体の長さ未満であり、車両用軌道の軌道本体は、この少なくとも1つの突起部を包む。このように構成された車両用軌道のコアは、軌道本体をコアによって支持させられ得る。その一方で軌道本体のそれぞれの側部にストレスが加えられたときに、軌道本体を、少なくとも1つの突起部の周りで少なくとも部分的に変形させることも可能にする。部分的な変形および支持の組み合わせによって、加えられた所与の力に応じて軌道本体が受ける少なくともいくらかのストレスを軽減し、軌道本体の破壊などを防止し得る。軌道本体が受ける少なくともいくらかのストレスを軽減させることによって、車両用軌道の耐用寿命を増加させ得る。例えば、軌道本体のクラックの形成、軌道本体のクラックの拡がり、軌道本体の摩耗、コアと軌道本体との分離などが、軽減または遅延され得る。
【0013】
[0019]車両用軌道のコアが、軌道本体を少なくとも1つの突起部に対して部分的に変形可能にする、少なくとも1つの突起部を含まない例において、車両用軌道のコアを包む軌道本体は、車両用軌道のコアから外れ、突起部の周りで変形もしくは曲がることができず、および/または軌道本体に力が加えられたときに、車両用軌道のコアによって支持されない場合がある。その結果、軌道本体に力を加えると、軌道本体のストレスを増加させ、軌道本体にクラックを形成し、軌道本体にすでに形成されているクラックを拡げ、コアと軌道本体との間を分離し、または軌道本体の他の摩耗をもたらす場合がある。このような摩耗、軌道本体の車両用軌道のコアからの外れ、軌道本体の支持の欠落、軌道本体の強制的な剛性、またはそれらの組み合わせにより、車両用軌道の耐用寿命を減少させ得る。
【0014】
[0020]
図1は、軌道本体14および複数のコア16を含む、例示的な車両用軌道10の一部の斜視図であり、軌道10は駆動スプロケットホイール12の周りに取り付けられている。例えば車両用軌道10は、循環軌道本体を画定するか、または1つまたは複数の駆動スプロケットホイール12(例えば2つの駆動スプロケットホイール12)によって駆動されるよう構成された、連続軌道を画定し得る。例えば駆動スプロケットホイール12は、車両の駆動システムの一部であってよい。駆動システムは、駆動スプロケットホイール12から車両用軌道10の反対側端部に位置付けられた駆動スプロケットホイールなど、1つまたは複数の他の駆動スプロケットホイールも含み得る。駆動モータによって作動させることができる駆動スプロケットホイール12は、車両用軌道10と係合して、車両用軌道10を回転させる。車両用軌道10は、回転して地表面と係合するので、車両用軌道10が取り付けられた車両は、車両用軌道10が回転する方向に従って、前方または後方のいずれかに動く。他の例において、他の駆動機構が車両用軌道10を駆動するために使用され得る。車両用軌道10は、限定ではないが、土木作業用車両(例えばスキッドステアローダ)または農作業用車両(例えばトラクタ)などの産業車両に使用され得る。
【0015】
[0021]
図1において、車両用軌道10の一部を切り取って、軌道本体14の第1の側14Aおよび第2の側14Bを示す。軌道本体14の第2の側14Bは、軌道本体14の第1の側14Aの反対側にある。軌道本体14の、第1の側14Aと第2の側14Bとの間に配設されているのは、補強部材26およびコア16であり、これらは以下で詳細に説明する。軌道本体14の第1の側14Aの一部は、軌道本体14内に埋め込まれた複数のコア16のうちのいくつかのコア16を示すために、切り取られている。
【0016】
[0022]第1の側14Aは、軌道本体14の内側範囲を画定し、車両用軌道10を車両の駆動システムに取り付けるよう構成されている。
図1に示す例において、第1の側14Aは、2列のガイドラグ18Aおよび18B(一括して「ガイドラグ18」)を含み、それらは、駆動スプロケットホイール12を車両用軌道10に、位置合わせおよび係合させるのに役立つ。詳細には、ガイドラグ18は、駆動スプロケットホイール12を受け入れるようサイズおよび形状を決められた、ガイドチャネル20を画定する。各列のガイドラグ18は、長手方向(または連続車両用軌道の場合は外周方向)に、反対側の列の対応するガイドラグ18に位置を合わせられる(例えば一方のガイドラグ18Aは、反対側のガイドラグ18Bに位置を合わせられる)。しかし、他の例において、ガイドラグ18は、反対側の列の対応するガイドラグ18に部分的に長手方向に重複するよう配置され得るか、または、2列のガイドラグ18が軌道本体14に沿って同じ長手方向位置をとらないよう、反対側の列のガイドラグ18と交互に配置され得る。
【0017】
[0023]軌道本体14の第1の側14Aは、車両用軌道10が駆動スプロケットホイール12に取り付けられたときに、駆動スプロケットホイール12の駆動スプロケットの歯12Aに係合するよう構成された複数のリブ22も画定する。駆動スプロケットホイール12が回転すると、駆動スプロケットの歯12Aがリブ22間で画定されたアパーチャに係合し、それが車両用軌道10を回転させる。車両用軌道10の回転の結果、車両用軌道10(および車両用軌道10が取り付けられた任意の車両)は、第1の方向(例えば前方)に動く。駆動スプロケットホイール12が反対方向に回転されると、車両用軌道10は、第1の方向の反対である第2の方向(例えば後方)に動く。
【0018】
[0024]駆動スプロケットホイール12が
図1の例で示される一方、他の例において、他の駆動システムを使用して、車両用軌道10を支持および駆動し得る。例えば、軌道本体14の第1の側14Aの中央に係合するのではなく、車両駆動システムは、軌道本体14の肩部14C、14Dと係合するスプロケットを含み得る。この例において、軌道本体14の第1の側14Aは、
図1に示されるような実質的に中央ではなく、軌道本体14の肩部14C、14Dに隣接したガイドラグ18を含み得る。
【0019】
[0025]軌道本体14の第2の側14Bは、軌道本体14の外側範囲(または、非円形軌道本体14の場合は周辺)を画定し、第2の側14Bの少なくとも一部は、車両用軌道10が車両に取り付けられたとき、外部表面(例えば地面)と係合するよう構成され、したがって第2の側14Bは、軌道本体14の「外」側と称され得る。軌道本体14が外部表面と係合するのに役立つよう、第2の側14Bは、共通面から延びた複数のトラクションラグによって画定されたトレッドパターン24を備える。いくつかの例において、トレッドパターン24は、車両用軌道10の用途、車両用軌道10に望まれる性能特性、車両用軌道10が取り付けられる車両のタイプなどに基づいて、設計される。トレッドパターン24は、特定の要求に適合する任意の好適なパターンであってよい。
【0020】
[0026]車両用軌道10の軌道本体14は、単一で成形される材料片によって画定されるか、または、車両用軌道を画定するよう共に連結または結合された相互接続部材のアセンブリであってよい。いくつかの例において、車両用軌道10の軌道本体14は、エラストマを含む(例えばエラストマから形成されるか、またはエラストマを含む)。例えば、軌道本体14として、天然ゴム、合成ゴム、または他のエラストマ材料を挙げることができる。好適な合成ゴムの例として、スチレンブタジエンゴムおよびポリブタジエンゴムが挙げられる。いくつかの例において、軌道本体14は、所望の材料特性を得るのに役立つよう、補強剤、加硫促進剤、オゾン分解防止剤、酸化防止剤、加硫剤、抑制剤、ゴム柔軟剤、粘着付与剤など、他の薬剤および活性剤も含み得る。軌道本体14の正確な組成は、車両用軌道10の使用が意図される特定の用途を含む、様々な要因に依存し得る。
【0021】
[0027]エラストマの軌道本体14は、車両のより良好な機動性、より良好な乗り心地、および/またはスチール製の車両用軌道と比較して向上したトラクションをもたらすのに役立ち得る。1つの例において、第1の側14A(ガイドラグ18およびリブ22を含む)を含むゴムは、約63デュロメータ(durometer)硬度~約83デュロメータ硬度の範囲を有し、その一方で第2の側14Bを含むゴムは、約53デュロメータ硬度~約73デュロメータ硬度の範囲を有する。1つの例として、約73デュロメータ硬度を有するゴムを使用して、第1の側14Aを形成し、一方で約63デュロメータ硬度を有するゴムを使用して、第2の側14Bを形成し得る。しかし他の例において、軌道本体14は、他のデュロメータ硬度を有するエラストマまたは他の材料から、形成され得る。ゴムのデュロメータ硬度は、ショアA硬度計を用いて測定され得る。
【0022】
[0028]車両用軌道10の強度を増加させるため、車両用軌道10は、軌道本体14に連結された複数の補強部材26を含み得る。補強部材26は、軌道本体14の実質的に長手方向に延びている。軌道本体14の長手方向は、軌道本体14の外周または周囲を画定する方向に相当し得る。補強部材26は、軌道本体14の層間に設置することによって、または成形プロセス中に補強部材26を軌道本体14に埋め込むことによって、軌道本体14に埋め込まれ得る。車両用軌道10は、任意の好適な配置で、任意の好適な数の補強部材26を含み得る。例えばいくつかの例において、軌道本体14は、約30~約80個の補強部材26を含み得る。補強部材26の数は、軌道本体14の幅、および/または車両用軌道10の所望の用途に基づいて、選択され得る。
【0023】
[0029]補強部材26は、約400キログラムの最小引張強さを有する、可撓性スチールコード(またはケーブル)であってよい。各補強部材26の両端は、いくつかの例において共に連結され得る。例えば、各補強部材26の両端は互いに隣接されてよく、それは継ぎ目のない接続と称してよい。または両端は、少なくとも1つの方向に重複し、継ぎ目のある接続を称してよい。
【0024】
[0030]補強部材26に加えて、車両用軌道10は、軌道本体14に埋め込まれた複数のコア16も含む。いくつかの例において、軌道本体14に埋め込まれたコア16、または軌道本体14に埋め込まれたコア16の一部も、包まれてよい(例えば軌道本体14に実質的に包含される)。複数のコア16は、任意の好適な数のコア16を含み得る。いくつかの場合、コア16は、車両用軌道10の「リンク」とも称してよい。コア16は、軌道本体14に(例えば部分的または全体的に)埋め込まれてよく、それによって各コア16の少なくとも一部は、軌道本体14内にあるか、または軌道本体14に囲まれる。いくつかの例において、コア16は軌道本体14に全体的に埋め込まれてよく、コア16は車両用軌道10の一部として露出されなくてよい。他の例において、コア16は軌道本体14に部分的に埋め込まれ、コア16の一部は車両用軌道10の一部として露出され得る(例えば軌道本体14に埋め込まれていないコア16の部分は可視となり得る)。
【0025】
[0031]軌道本体14が複数の材料層を含むような、いくつかの例において、コア16は材料層間に位置付けられ得る(例えば埋め込まれ得る)。あるいは、軌道本体14が成形される例において、コア16は、材料を硬化させる前に成形材料の中に導入され、軌道本体14を形成し得る。それによって成形材料が、部分的または全体的に、コア16の各々を囲む。いずれの場合も、コア16は、部分的または全体的に軌道本体14に埋め込まれ得る。
【0026】
[0032]コア16は、任意の好適な材料から作られてよい。いくつかの例において、コア16として、スチール、鉄、または別の金属などの金属が挙げられる。いくつかの例において、コア16は、単一の連続した金属片を含み得る。例えば、コア16は、金属ロッドまたは金属からの鋳造を用いて、熱間鍛造によって製造され得る。他の例において、コア16は、2つ以上のセクションからなり、共に装着されてコア16を形成し得る。1つの例として、コア16の第1のセクションは、車両用軌道10を動かすのに役立つよう、駆動スプロケットの歯12Aに位置を合わせるよう構成され得、第2のセクションは、コア16の残りの部分であってよい。いくつかの例において、2つのセクションは装着されるか、または単一のコア16に一体化され得る。
【0027】
[0033]コア16は、軌道本体14を支持するよう構成され、一方で、軌道本体14のそれぞれの側部に力が加えられたときに、軌道本体14が、少なくとも部分的に変形および/または曲がることも可能にする。コア16は、第1の縁部および第2の縁部を含み、それらは各々、それぞれの縁部の長さ(軌道本体14の長手方向に測定)未満の長さ(軌道本体14の長手方向に測定)を有する少なくとも1つの突起部を画定する。コア16は、軌道本体14に埋め込まれ、軌道本体14は少なくとも1つの突起部を包み得る。それによって軌道本体14は支持され、軌道本体14に力が加えられたとき、少なくとも1つの突起部の周りで変形できる。例えば、軌道本体14は、少なくとも1つの突起部を実質的に包含することによって、少なくとも1つの突起部を包み得る。
【0028】
[0034]
図2は、例示的な軌道本体37内に埋め込まれた複数の例示的なコア29を示す、例示的な車両用軌道28の一部の斜視図である。車両用軌道28は、
図1の車両用軌道10と実質的に同様であってよい。例えば、軌道本体37は、軌道本体14と実質的に同様または同じであってよく、補強部材39は、補強部材26と実質的に同様または同じであってよく、ガイドラグ33A、33Bは、ガイドラグ18A、18Bと実質的に同様または同じであってよく、ガイドチャネル35は、ガイドチャネル20と実質的に同様または同じであってよい。コア29は、車両用軌道に含まれ得るコアの例であり、
図1に示されたコア16以外の異なる構成を有するよう示される。いくつかの例において、複数のコア29のうちの各コア29は、同様の構成であってよい。したがって以下の図面の説明は、特定のコア29を説明するが、この説明は複数のコア29のうちの他のコアにも適用され得ることを理解されたい。
【0029】
[0035]複数のコアの各コア29は、本体30および縁部38A、38Bを含む。本体30は、任意の好適な形状であってよく、第1の端部36A、および第1の端部36Aの反対側の第2の端部36Bを含む。本体30は、第1の端部36Aと第2の端部36Bとの間に延びた本体の幅を画定し得る。
図2に示されるように、コア29は、第1の軸線Aに沿って測定された本体の幅W
Bを画定する。いくつかの例において、第1の軸線Aは、軌道本体37の長手(または外周)方向に対して垂直(本明細書では直交とも称する)に延びている。いくつかの場合において、本体の幅W
Bは、軌道本体37の幅の大部分を横断して(例えば、軌道本体37の長手方向または外周方向に対して垂直に)延びてよい。
【0030】
[0036]本体30は、第1の軸線Aに直交する第2の軸線Bに沿って測定された本体の長さLBなど、本体の長さも画定し得る。いくつかの例において、第2の軸線Bは、軌道本体37の長手(または外周)方向である。いくつかの場合において、本体30の本体の幅WBは、本体30の本体の長さLBよりも長くてよい。
【0031】
[0037]縁部は、本体30の各端部36A、36Bから延びている。例えば、第1の縁部38Aは第1の端部36Aから延び、第2の縁部38Bは第2の端部36Bから延びている。第1の縁部38Aおよび第2の縁部38Bの各々は、本体30の主面31から延びている少なくとも1つの突起部40Aおよび40Bそれぞれを画定し得る。本体30の主面31は、縁部38A、38Bを含まない1つまたは複数のコア29の表面、および/または任意の構造(例えばラグ突起部32A、32B、または本体30によって画定されたラグチャネル34)を含み得る。いくつかの例において、主面31は、車両の駆動システム(例えば
図1の第1の側14Aと同様のもの)と係合するよう構成された、軌道本体37の第1の側に対応、または位置を合わせられる。
【0032】
[0038]少なくとも1つの突起部40A、40Bは、任意の好適な形状であってよい。例えば、各縁部38A、38Bの少なくとも1つの突起部40A、40Bは、正方形の外形、円形の外形、三角形の外形、または任意の他の外形を有し得る。いくつかの例において、各縁部38A、38Bの少なくとも1つの突起部40A、40Bは、両方の縁部38A、38Bで同じ形状および/またはサイズである。他の例において、各縁部38A、38Bの各突起部40A、40Bの形状および/またはサイズは、異なっていてもよい。
【0033】
[0039]各コア29は軌道本体37に埋め込まれ、それによって軌道本体37は、各縁部38A、38Bの少なくとも1つの突起部40A、40Bを包む。例えば、軌道本体37は、例えば少なくとも1つの突起部40A、40Bと接触する方向で、少なくとも1つの突起部40A、40Bを実質的に包含する、または囲み得る。いくつかの例において、軌道本体37によって包まれたコア29は、軌道本体37に包まれていないコアと比較して、より堅固に軌道本体37内で保持され得る(かつ軌道本体37に対する動きが少ない場合がある)。他の例において、コア29は軌道本体37に埋め込まれるが、軌道本体37によって包まれなくてよい。例えば、コア29は、軌道本体37によって画定されたポケットに埋め込まれ得るが、このポケットは、コア29の1つまたは複数の部分の形状に密接に適合しないか、または全体的には囲まれなくてよい。これらの例のうちのいくつかにおいて、コア29の全ての部分が同時に軌道本体37と接触するのでなくてよい。軌道本体37がコア29を包む例において、軌道本体37のポケットは、コア29の形状に密接に対応してよく、それによってポケットは比較的正確に対応し、少なくとも1つの突起部40A、40Bの形状およびサイズを囲む。いくつかの例において、軌道本体37によって包まれたコア29は、軌道本体37から分離する可能性が低いか、または軌道本体37内で顕著に動く可能性が低い場合がある。
【0034】
[0040]各突起部40A、40Bは、それぞれの本体30の本体の幅W
B未満である突起幅W
Pを有する。この幅は、長さL
P、L
Bそれぞれに直交する方向で測定される。その結果、各縁部38A、38Bは、チャネル(
図3)、側部領域(
図4)などを、少なくとも1つの突起部40A、40Bに加えて画定し得る。チャネルまたは側部領域は、軌道本体37に力が加えられたときに、軌道本体37を、少なくとも1つの突起部40A、40Bに対して、チャネルまたは側部領域の方向に、少なくとも部分的に変形可能にし得る。例えば、それぞれの縁部38A、38Bに対応する軌道本体37の側部に力が加えられたときに、軌道本体37の一部は、少なくとも1つの突起部40A、40Bに対して押し込んでよく、軌道本体37の1つまたは複数の他の部分は、少なくとも1つの突起部40A、40Bの周りで、チャネルまたは側部領域の方向に曲がり得る。このように、各縁部38A、38Bは、軌道本体37を(例えば少なくとも1つの突起部40A、40Bによって)支持するよう、かつ、第1の縁部38Aまたは第2の縁部38Bのうちの一方に対応する軌道本体37の側部に力が加えられたときに、軌道本体37が各突起部40A、40Bの周りで(例えばチャネルまたは側部領域によって)少なくとも部分的に変形できるよう、構成されている。
【0035】
[0041]複数のコア29は、軌道本体37に埋め込まれることによって、車両用軌道28の1つまたは複数の構造を画定し得る。例えば、コア29の本体30は、ガイドラグ33A、33Bを画定する1つまたは複数のラグ突起部32A、32Bを画定し得る。
図2に示されるように、本体30は、第1のラグ突起部32Aおよび第2のラグ突起部32Bを画定する。複数のコア29が軌道本体37に埋め込まれるため、各コアの形状は車両用軌道28の形状の一部(例えばそれぞれのコア29を囲む軌道本体37の一部)を画定し得る。例えば、本体30によって画定されたラグ突起部32A、32Bは、車両用軌道28のガイドラグ33A、33Bを画定し得る。このように、ラグ突起部32A、32B、およびラグ突起部32A、32Bによって画定されたガイドラグ33A、33Bは、車両用軌道28を回転させるよう構成された駆動スプロケットホイール(例えば
図1の駆動スプロケットホイール12)に位置を合わせるよう構成され得る。いくつかの例において、本体30は、第1のラグ突起部32Aと第2のラグ突起部32Bとの間のラグチャネル34なども、画定し得る。ラグ突起部32A、32Bと同様、ラグチャネル34は、車両用軌道28の形状の一部を画定し得る。
図2の例において、ラグチャネル34はガイドチャネル35を画定する。
【0036】
[0042]ラグ突起部32A、32B、およびラグチャネル34は、特定の要求および車両用軌道28の意図された使用に適合するよう、任意の好適なサイズまたは形状としてよい。例えば、ラグ突起部32A、32Bおよびラグチャネル34は、ラグ突起部32A、32Bおよびラグチャネル34によって画定されたガイドラグ33A、33Bおよびガイドチャネル35が、車両用軌道28を回転させるよう構成された駆動スプロケットホイール(例えば
図1の駆動スプロケットホイール12)と位置が合わされるよう、任意の好適なサイズまたは形状であってよい。
【0037】
[0043]
図3は、車両用軌道10の軌道本体14に、少なくとも部分的に埋め込まれるよう構成された、例示的なコア50の斜視図である。コア50は、
図1のコア16または
図2のコア29の例である。いくつかの例において、コア50は、ラグ突起部32A、32B、およびラグチャネル34を画定する。他の例において、コア50は、2つのラグ突起部32A、32Bよりも少ない、もしくは多いラグ突起部を画定するか、またはコア50は、ラグ突起部32A、32Bを画定しなくてよい。同様に、コア50は1つより多いラグチャネル34を画定するか、またはコア50はラグチャネル34を画定しなくてよい。
【0038】
[0044]コア50は、第1の縁部52Aおよび第2の縁部52Bを含む。第1の縁部52Aおよび第2の縁部52Bの各々は、本体30の主面31から延びた少なくとも1つの突起部を画定する。
図3の例において、第1の縁部52Aは、2つの突起部54Aおよび54Bを画定し、第2の縁部52Bは、2つの突起部54Cおよび54Dを画定する。いくつかの例において、コア50が車両用軌道10の中に組み込まれたとき、軌道本体14は、各縁部の2つの突起部54A~54Dを包み得る。突起部54A~54Dの各々は、軌道本体14に力が加えられたときに、軌道本体14を支持するのに役立ち得る。例えば、第1の縁部52Aの突起部54Aおよび54Bは、矢印A1および/またはA2の方向に力が加えられるように、第1の縁部52Aに対応する軌道本体14の側部に力が加えられたとき、軌道本体14を支持し得る。
【0039】
[0045]いくつかの例において、軌道本体14の支持は、軌道本体14をその形状に維持するのに役立つこと、軌道本体14が破壊または実質的に変形するのを防止すること、軌道本体14の地表面への係合を維持すること、などを含み得る。突起部54A~54Dによる軌道本体14の支持は、車両用軌道10に取り付けられた車両の安定性の増加、および/または車両用軌道10の耐用寿命の増加をもたらし得る。軌道本体14に力が(例えば矢印A1および/またはA2の方向に)加えられたとき、軌道本体14は矢印A1および/またはA2の方向に動かされ、軌道本体14の一部が突起部54Aおよび/または54Bに対して押し込まれることになり得る。矢印A1および/またはA2の方向に、この力が加えられる間、軌道本体14は突起部54Aおよび54Bによって支持されてよく、これは軌道本体14の形状を維持するのに役立ち、かつ軌道本体14の破壊または完全な変形を防止し得る。
【0040】
[0046]各突起部54A~54Dは、コア50の本体30の長さ未満の突起長さを有する。例えば、突起部54Aは、本体の長さL
B1未満の突起長さL
P1を有し、突起部54Bは、本体の長さL
B1未満の突起長さL
P2を有し、突起部54Cは、本体の長さL
B1未満の突起長さL
P3を有し、突起部54Dは、本体の長さL
B1未満の突起長さL
P4を有する。
図3の例において、第1の縁部52Aおよび第2の縁部52Bの各々によって画定された、突起部54A~54Dの各対は、本体の長さL
B1未満である、組み合わされた突起長さ(例えばL
P1+L
P2またはL
P3+L
P4)を有する。このように、第1の端部52Aおよび第2の縁部52Bの各々は、突起部54A~54Dのそれぞれの対の間のチャネルも画定し得る。例えば、第1の縁部52Aはチャネル56Aを画定し、第2の縁部52Bはチャネル56Bを画定する。したがって、軌道本体14が各突起部54A~54Dを包むとき、軌道本体14も、突起部54A~54Dの各対の間のチャネル56A、56Bを通って延び、各突起部54A~54Dを実質的に包含する。
【0041】
[0047]チャネル56Aおよびチャネル56Bは、特定の要求および車両用軌道10の意図された使用に適合するよう、任意の好適な形状および/またはサイズとしてよい。いくつかの例において、軌道本体14のそれぞれの側部に所与の力が加えられたとき、より大きいチャネルは、より小さいチャネルよりも、軌道本体14が変形および/または曲がるのを可能にし得る。他方で、いくつかの例において、より大きいチャネルは、より小さいチャネルを画定する縁部の突起部よりも、それぞれの縁部の2つの突起部を小さくさせ得る。より小さい突起部は、より大きい突起部と比較して、軌道本体14のそれぞれの側部に力が加えられたとき、軌道本体14に、より小さい支持しかもたらさない場合がある。いくつかの例において、各突起部54A~54Dの長さLP1、LP2、LP3、LP4は、それぞれの縁部52A、52Bのそれぞれのチャネル56A、56Bの長さLC1、LC2以上であってよい。他の例において、各突起部54A~54Dの長さLP1、LP2、LP3、LP4は、それぞれの縁部52A、52Bのそれぞれのチャネル56A、56Bの長さLC1、LC2未満であってよい。
【0042】
[0048]
図3の例において、チャネル56A、56Bは、コア50の本体の長さL
B1に沿って、第1の縁部または第2の縁部52A、52Bそれぞれの実質的に中央にあるよう示されている。他の例において、チャネル56A、56Bのうちの少なくとも一方は、コア50の本体の長さL
B1に沿って、第1の縁部または第2の縁部52A、52Bそれぞれの実質的に中央になくてもよい。これは、例えば所与の縁部52Aまたは52Bの、突起部54Aおよび54B、または54Cおよび54Dが、それぞれ異なる長さL
P1およびL
P2、またはL
P3およびL
P4を有する場合に生じ得る。
【0043】
[0049]チャネル56A、56Bの各々は、軌道本体14に力が加えられたとき、軌道本体14が、突起部54A~54Dの周りで少なくとも部分的に変形するのを可能にし得る。例えば、第1の縁部52Aのチャネル56Aは、第1の縁部52Aに対応する軌道本体14の側部に力が加えられたとき、軌道本体14が突起部54Aおよび54Bの周りで少なくとも部分的に変形するのを可能にし得る。チャネル56Aは、矢印Bの方向に力が加えられたら、軌道本体14が矢印Bの方向にチャネル56Aに向けて変形するなど、突起部54Aおよび54Bの周りで少なくとも部分的に変形するのを可能にし得る。このように、軌道本体14は突起部54Aおよび54Bによって支持され得る一方で、突起部54Aおよび54Bの周りで少なくとも部分的に(例えばチャネル56Aに向けて)変形する。第1の縁部52Aと同様に、第2の縁部52Bの突起部54Cおよび54Dは、第2の縁部52Bに対応する軌道本体14の側部に力が加えられたとき、軌道本体14を支持し得る。第2の縁部52Bのチャネル56Bは、チャネル56Bに向けた方向に力が加えられたとき、軌道本体14が、突起部54C、54Dの周りで変形するのを可能にし得る。
【0044】
[0050]突起部54A~54Dによる軌道本体14の支持と、チャネル56A、56Bに向けた、突起部54A~54Dの周りでの軌道本体14の少なくとも部分的な変形との組み合わせは、
図1または
図2の車両用軌道10などの車両用軌道の耐用寿命を増加させ得る。例えば、軌道本体14のクラックの形成、軌道本体14のクラックのサイズの拡がりもしくは増加、または軌道本体14の他の摩耗は、軽減もしくは遅延され得る。追加または代替として、本明細書で説明したコアは、コア50が軌道本体14から分離する(例えば中に埋め込まれなくなるか、またはコア50と軌道本体14との間の任意の接着を低減させる)のを減少または防止さえし得る。いくつかの例において、コアが軌道本体から分離する場合、軌道本体の摩耗は増加または加速され得る。例えば、軌道本体内に現存するクラックは、コアが軌道本体に良好に埋め込まれるか、または接着された車両用軌道10と比較して、軌道本体14内のコアの動きのために、より早く大きくなり得る。さらに、軌道本体14からの1つまたは複数のコア16の分離は、車両用軌道を回転させるよう構成された駆動スプロケットホイールとの位置合わせおよび/または係合を低減させることになり得る。
【0045】
[0051]
図4は、車両用軌道10の軌道本体14に、少なくとも部分的に埋め込まれるよう構成された、別の例示的なコア60の斜視図である。コア60は、
図1または
図2のコア16の例である。コア60は、コア50(
図3)などの他のタイプのコアと共に車両用軌道10に使用され得るか、または実質的に同一(例えば同一であるが製造のばらつきがある)のコア60のみが、特定の車両用軌道10に使用され得る。いくつかの例において、コア60は、ラグ突起部76A、76B、およびラグチャネル78を画定する。他の例において、コア60は、2つのラグ突起部76A、76Bよりも少なく、もしくは多く画定するか、またはコア60は、ラグ突起部76A、76Bを画定しなくてよい。同様に、コア60は1つより多いラグチャネル78を画定するか、またはコア60はラグチャネル78を画定しなくてよい。
【0046】
[0052]コア60は、第1の縁部62A、および第1の縁部62Aからコア60の反対側の第2の縁部62Bを含む。第1の縁部62Aおよび第2の縁部62Bの各々は、それぞれの本体72の主面74から延びている少なくとも1つの突起部を画定する。
図4の例において、第1の縁部62Aは1つの突起部64Aのみを画定し、第2の縁部62Bは1つの突起部64Bのみを画定する。いくつかの例において、コア60が軌道本体14に埋め込まれたとき、軌道本体14は、各縁部の各突起部64A、64Bを包み、各突起部64A、64Bを実質的に包含する。各突起部64A、64Bは、軌道本体14に力が加えられたときに、軌道本体14を支持し得る。例えば、第1の縁部62Aの突起部64Aは、矢印Aの方向に力が加えられたときなど、第1の縁部62Aに対応する軌道本体14の側部に力が加えられたときに、軌道本体14を支持し得る。このような力が加えられたときに、軌道本体14は矢印Aの方向に動かされ、軌道本体14の一部を突起部64Aに押し込むことになり得る。同様に、第2の縁部62Bの突起部64Bは、第2の縁部62Bに対応する軌道本体14の側部に力が加えられたとき、軌道本体14を支持し得る。このように、軌道本体14は、力が加えられたとき、突起部64A、64Bによって支持され、それによって軌道本体14の破壊または完全な変形を防止し得る。
【0047】
[0053]各突起部64A、64Bは、コア60の本体72の長さLB2未満の突起長さを有する。例えば、突起部64Aは、本体の長さLB2未満の突起長さLP5を有し、突起部64Bは、本体の長さLB2未満の突起長さLP6を有する。コア60の本体の長さLB2は、本体72の第1の側面66Aと第2の側面66Bとの間で延びてよく、各突起部64A、64Bの突起長さLP5、LP6は、それぞれの突起部64A、64Bの第3の側面68Aと第4の側面68Bとの間で延びてよい。いくつかの例において、突起部64Aの第3の側面68Aは、本体72の第1の側面66Aからオフセットされている。このように、第1の縁部62Aは、第3の側面68Aに近接した(例えば突起部64Aの隣の)第1の側部領域70Aを画定し得る。追加または代替として、突起部64Aの第4の側面68Bは、本体72の第2の側面66Bからオフセットされている。いくつかのこのような例において、第1の縁部62Aは、追加または代替として、第4の側面68Bに近接した(例えば突起部64Aの隣だが第1の側部領域70Aの反対側の)第2の側部領域70Bを画定し得る。縁部62Bは、第1の側部領域および第2の側部領域70A、70Bと同様に、第3の側部領域70Cおよび第4の側部領域70Dを画定し得る。軌道本体14が各突起部64A、64Bを包むとき、軌道本体14も各側部領域70A~70D内で延び、各突起部64A、64Bを囲み、実質的に包含する。
【0048】
[0054]側部領域70A~70Dの各々は、軌道本体14に力が加えられたとき、軌道本体14が突起部64A、64Bの周りで少なくとも部分的に変形するのを可能にし得る。例えば、第1の縁部62Aの側部領域70A、70Bは、第1の縁部62Aに対応する軌道本体14の側部に力が加えられたとき、軌道本体14が突起部64Aの周りで少なくとも部分的に変形するのを可能にし得る。側部領域70A、70Bは、力が加えられたとき、軌道本体14が突起部64Aの周りで少なくとも部分的に変形するのを可能にし、それによって軌道本体14は、側部70A、70Bに向けて矢印B1およびB2の方向で変形し得る。このように、軌道本体14が突起部64Aによって支持され得る一方で、突起部64Aの周りで(例えば側部領域70A、70Bに向けて)少なくとも部分的に変形する。
【0049】
[0055]
図4の例において、第2の縁部62Bは、第1の縁部62Aの側部領域70A、70Bと同様に、側部領域70C、70Dを含む。次に、突起部64Bは、第2の縁部62Bに対応する軌道本体14の側部に力が加えられたとき、軌道本体14を支持し、側部領域70C、70Dは、側部領域70C、70Dの方向に力が加えられたとき、軌道本体14が突起部64Bの周りで変形するのを可能にし得る。
【0050】
[0056]突起部64A、64Bによる軌道本体14の支持と、側部領域70A~70Dに向けた、突起部64A、64Bの周りの軌道本体14の少なくとも部分的な変形との組み合わせは、
図1または
図2の車両用軌道10などの車両用軌道の耐用寿命を増加させ得る。例えば、軌道本体14のクラックの形成、軌道本体14のクラックのサイズの拡がりもしくは増加、または軌道本体14の他の摩耗は、軽減され得る。追加または代替として、本明細書で説明したコアは、コア60が軌道本体14から分離する(例えば中に埋め込まれなくなるか、またはコア60と軌道本体14との間の任意の接着を低減させる)のを減少または防止さえし得る。
【0051】
[0057]
図4の例において、突起部64A、64Bは、コア60の本体の長さL
B2に沿って第1の縁部または第2の縁部62A、62Bそれぞれの実質的に中央にあるよう示されている。他の例において、突起部64A、64Bのうちの少なくとも一方は、コア60の本体の長さL
B2に沿って第1の縁部または第2の縁部62A、62Bそれぞれの実質的に中央になくてもよい。さらに、第1の縁部および第2の縁部62A、62Bの各々が2つの側部領域70A、70B、または70C、70Dを画定しているように示されているが、いくつかの例において、第1の縁部および/または第2の縁部は一方の側部領域のみを画定し得る。
【0052】
[0058]1つまたは2つの突起部、1つのチャネル、および/または2つの側部領域を含む、各縁部を伴うコアの例が、本明細書で特に説明されたが、各縁部は、本体の長さ未満の突起長さを有する任意の数の突起部、任意の数のチャネル、および/または任意の数の側部領域を画定し得る。例えば、車両用軌道のコアの一方または両方の縁部は、3つの突起部および2つのチャネルを画定し得る。さらに、コアの第1の縁部および第2の縁部は、いくつかの例において同じではなくてよい。1つの例として、コアは、
図3の第1の縁部52Aと同様の第1の縁部、および
図4の第2の縁部62Bと同様の第2の縁部を含み得る。
【0053】
[0059]
図5Aおよび
図5Bは、障害物82A、82Bを含む地表面80上の、車両用軌道28の例示的な部分の斜視図である。
図5Aおよび
図5Bは、軌道本体37およびコア29の両方を示すための、車両用軌道28の断面を示す。
図5Aおよび
図5Bの例において、単一のコア29が軌道本体37に埋め込まれて示される。しかし、車両用軌道28は、
図2で説明したように複数のコア29を含み得る。いくつかの例において、車両用軌道28が係合する地表面80は、全体的に平坦でない場合がある。例えば、地表面80は、
図5Aおよび
図5Bで確認されるように、車両用軌道28が遭遇する障害物82A、82Bを含み得る。障害物82A、82Bは、車両用軌道28にかかる力の増大、車両用軌道28にかかる力の配分の変化等を引き起こし得る、地表面80上のあらゆるもの含み得る。例えば、
図5Aの例のように、障害物82Aは岩、地表面80の隆起物、デブリなどであってよい。
図5Bの例のような別の例のように、障害物82Bは、縁石、中央分離帯、障壁などであってよい。他の例において、障害物82A、82Bは、異なる形態であってよい。
【0054】
[0060]障害物82A、82Bは、車両用軌道28に1つまたは複数の増加した力を加えるか、車両用軌道28に加えられた力の配分を変化させるか、またはその両方をもたらし得る。例えば、
図5Aで確認されるように、障害物82Aは、車両用軌道28に1つまたは複数の増加した力F1、F2をもたらし得る。1つの例として、増加した力F1、F2は、車両用軌道28に取り付けられた車両の重量配分が変化することに起因し得る。例えば、車両用軌道28が障害物82Aに接触するため、車両用軌道28は地表面80とは、もはや完全に係合し得ない。いくつかの例において、地表面80と完全に係合していない車両用軌道28は、車両用軌道28に取り付けられた車両の重量を、まだ地表面80と係合している車両用軌道28の部分の方向に移し得る。次に、地表面80と係合している車両用軌道28の部分は、増加した力F1、F2を受け得る。追加または代替として、車両用軌道28が障害物82A、82B自体に接触することで、車両用軌道28に増加した力を加え得る。例えば、
図5Bの例において、車両用軌道28が障害物82Bに接触することで、車両用軌道28に増加した力F3、F4を加えることになる。
【0055】
[0061]車両用軌道28に増加した力F1、F2、F3、および/またはF4を加えることは、車両用軌道28にさらなるストレスを加え、いくつかの例において、車両用軌道28の摩耗を増加または加速させ得る。例えば、軌道本体37のクラックの形成、軌道本体37のクラックの拡がり、軌道本体37からのコア29の分離などは、さらなるストレスによって増加または加速され得る。いくつかの例において、第1の縁部および第2の縁部38A、38Bを含むコア29(または本明細書で説明した他のコア)の使用は、障害物82A、82Bによって加えられたストレスなど、車両用軌道28へのさらなるストレスの影響を緩和するのに役立ち得る。例えば、縁部38A、38B(例えば各縁部38A、38Bの少なくとも1つの突起部40A、40B)は、軌道本体37に増加した力F1、F2、F3、および/またはF4が加えられたとき、軌道本体37を支持し得る。縁部38A、38B(例えば各縁部38A、38Bのチャネルまたは側部領域)も、軌道本体37が少なくとも部分的に(例えば各縁部38A、38Bの少なくとも1つの突起部40A、40Bの周りで)変形するのを可能にし得る。少なくとも1つの突起部40A、40Bに対する軌道本体37の部分的な変形は、増加した力F1、F2、F3、および/またはF4によるストレスを、軌道本体37の他の部分に分散させるのに役立ち得る。それは、増加した力F1、F2、F3、および/またはF4による軌道本体37のストレスポイントを最小限に抑え得る。例えば、力F1、F2、F3、および/またはF4から、ならびに縁部38A、38Bに対して相対的に限定された少なくとも1つの突起部40A、40Bに対して押し込む軌道本体37からではなく、少なくとも1つの突起部40A、40Bに対する軌道本体37の可撓性が、軌道本体37にわたってストレスを分散させるのに役立ち得る。このように、軌道本体37は、完全な変形または破壊を防止され、増加した力F1、F2、F3、および/またはF4の適用下でいくらかの可撓性を有することもでき、軌道本体37(または軌道本体37の少なくとも一部)のストレスを軽減させる。
【0056】
[0062]
図6は、車両用軌道を形成する例示的な技術を示す流れ図である。
図6の技術は、
図2の車両用軌道10および軌道本体28に対して説明する。しかし他の例において、
図6の技術は、軌道本体28を含む車両用軌道10以外の、軌道本体を含む車両用軌道を形成するために使用され得る。
【0057】
[0063]
図6の技術は、複数のコア29を形成すること(90)を含む。各コア29は、第1の端部36Aと、第1の端部36Aの反対側の第2の端部36Bを有する本体30を含むよう形成され得る。本体30は、第1の端部36Aと第2の端部36Bとの間に延びた第1の軸線Aに沿って測定された本体の幅W
B、および第1の軸線Aに直交する第2の軸線Bに沿って測定された本体の長さL
Bを有し得る。各コア29は、本体30の第1の端部36Aから延びた第1の縁部38A、および本体30の第2の端部36Bから延びた第2の縁部38Bも含み得る。縁部38A、38Bの各々は、本体30の主面31から延びた少なくとも1つの突起部40A、40Bを画定し、少なくとも1つの突起部40A、40Bは、本体の長さL
B未満の突起長さL
Pを有し得る。
【0058】
[0064]いくつかの例において、複数のコア29は金属を含む。いくつかのこのような例において、複数のコア29の各コア29は、単一の連続した金属片を含み得る。他の例において、各コア29は、2つ以上のセクションからなり、共に装着されてコア29の本体30および/または縁部38A、38Bを形成し得る。
【0059】
[0065]複数のコア29は、任意の好適な技術を用いて形成され得る。例えば、複数のコア29は、熱間鍛造技術、金属ロッド技術、鋳造技術、または別の技術を用いて形成され得る。いくつかの例において、コア29の形状は、鋳造技術を用いて制御するのがより容易であり得る。コア29の品質の一貫性は、熱間鍛造技術を用いて制御するのがより容易であり得る。
【0060】
[0066]いくつかの例において、
図6の技術は、形成後に複数のコア29を洗浄することを含み得る。例えば、複数のコア29は、化学洗浄技術を用いて洗浄され得る。追加または代替として、複数のコア29は、デブリおよび/または残留物を複数のコア29から除去するため、ブラシ、スポンジ、タオルなどを用いるなど、機械的技術を用いて洗浄され得る。
図6の技術は、複数のコア29に接着剤および/またはプライマを適用することも含み得る。例えば、ノースカロライナ州のCaryの、LORD Corporation社で入手可能な、Chemlok205(登録商標)プライマまたは接着剤などの、ゴム金属接着剤および/またはプライマを、複数のコア29に適用し、複数のコア29と軌道本体37との間の接着の促進に役立てることができる。いくつかの例において、複数のコア29は、接着剤および/またはプライマを適用した後、乾燥させてもよい。
【0061】
[0067]
図6の技術は、複数のコア29の各コア29の少なくとも一部の周りに軌道本体37を形成すること(92)を、さらに含む。このように、複数のコア29の各コア29は、軌道本体37内に少なくとも部分的に埋め込まれてよい。いくつかの例において、複数のコア29の各コア29の少なくとも一部の周りに軌道本体37を形成することは、軌道本体37の第1の縁部38Aおよび第2の縁部38Bの各々で、少なくとも1つの突起部40A、40Bを包むことを含む。第1の縁部38Aおよび第2の縁部38Bの各々が、2つの突起部およびこれら2つの突起部の間のチャネル(
図3)を画定する例において、軌道本体37の第1の縁部38Aおよび第2の縁部38Bの各々で、少なくとも1つの突起部40A、40Bを包むことは、軌道本体37の2つの突起部を包むこと、およびチャネルを通る軌道本体37を形成することを含む。第1の縁部38Aおよび第2の縁部38Bの各々が、1つの突起部のみ、およびそれぞれの突起部の各側面に近接した2つの側部領域(
図4)を画定する例において、軌道本体37の第1の縁部38Aおよび第2の縁部38Bの各々で、少なくとも1つの突起部40A、40Bを包むことは、軌道本体37に1つの突起部を包むこと、および第1の縁部または第2の縁部それぞれの2つの側部領域内に、軌道本体37を形成することを含む。いずれの場合も、軌道本体37に少なくとも1つの突起部40A、40Bを包むことは、軌道本体37が、各縁部38A、38Bの少なくとも1つの突起部40A、40Bを実質的に包含することになり得る。
【0062】
[0068]軌道本体37は、天然ゴム、合成ゴムなどのエラストマ、または他のエラストマ材料を含み得る。軌道本体37が天然ゴムまたは合成ゴムを含む例において、軌道本体37を複数のコア29の各コア29の少なくとも一部の周りに形成することは、加硫技術を含み得る。いくつかの例において、軌道本体37を、複数のコア29の各コア29の少なくとも一部の周りに形成することは、成型技術を含み得る。
【0063】
[0069]様々な例を説明した。これらおよび他の例は、以下の特許請求の範囲内にある。