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特許7033778生体認証システム、生体認証プログラムおよび生体認証方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-03
(45)【発行日】2022-03-11
(54)【発明の名称】生体認証システム、生体認証プログラムおよび生体認証方法
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20220304BHJP
【FI】
G06T7/00 510A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2017215013
(22)【出願日】2017-11-07
(65)【公開番号】P2019087051
(43)【公開日】2019-06-06
【審査請求日】2020-07-31
(73)【特許権者】
【識別番号】516063278
【氏名又は名称】株式会社ELEMENTS
(74)【代理人】
【識別番号】110000844
【氏名又は名称】特許業務法人 クレイア特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久田 康弘
【審査官】新井 則和
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/047025(WO,A1)
【文献】特開2008-250508(JP,A)
【文献】特開2004-204629(JP,A)
【文献】特開2008-269556(JP,A)
【文献】特開2003-296770(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の生体データと登録された複数の生体データとを照合して認証する生体認証システムであって、
前記複数の生体データを登録する生体データ登録手段と、
前記利用者の生体データが認証された位置情報と、前記位置情報の履歴とを記録する、位置情報保存手段と、
前記複数の生体データについて複数の階層からなる索引を作成する索引作成手段と、
前記複数の生体データを前記索引に応じて複数の生体データのグループに構成する生体データグループ構成手段と、
一の前記グループに登録された生体データの数が所定数を超過した場合に、前記索引の階層を増加し、前記グループに登録された前記生体データの数を前記所定数以下にする、索引更新手段と、
前記位置情報および/または前記位置情報の履歴に応じて、前記グループにおける前記利用者の生体データの照合順を更新し、または前記利用者の生体データを照合から排除する、生体データグループ更新手段と、を備え、
前記生体データグループ更新手段は、
前記利用者の生体データが認証された位置、および所定時間に移動可能な距離を算出し、前記所定時間に移動可能な距離を超えた位置において前記利用者の生体データを照合から排除するとともに、前記所定時間に移動可能な距離を超えた位置において、前記利用者の生体データの照合がされた場合に、前記生体認証の結果を不許可とし、前記利用者に報知し、
前記索引の階層のうち少なくとも一つが、前記位置情報および/または前記位置情報の履歴に応じて構成されており、
前記位置情報の履歴に基づき前記利用者の行動パターンを算出し、前記グループにおける前記利用者の生体データの照合順を更新するとともに、特定の頻度で認証されている場所がある場合には、あらかじめ当該場所の前記グループ内における前記利用者の生体データが初期に検索されるように照合順を変更する、生体認証システム。
【請求項2】
前記生体データが、指紋データ、指静脈データ、掌静脈データ、掌紋データ、虹彩データ、網膜データ、声紋データおよび顔認証データのいずれか又は複数の組み合わせである、請求項1に記載の生体認証システム。
【請求項3】
利用者の生体データと登録された複数の生体データとを照合して認証する生体認証プログラムであって、
前記複数の生体データを登録する生体データ登録処理と、
前記利用者の生体データが認証された位置情報と、前記位置情報の履歴とを記録する、位置情報保存処理と、
前記複数の生体データについて複数の階層からなる索引を作成する索引作成処理と、
前記複数の生体データを前記索引に応じて複数の生体データのグループに構成する生体データグループ構成処理と、
一の前記グループに登録された生体データの数が所定数を超過した場合に、前記索引の階層を増加し、前記グループに登録された前記生体データの数を前記所定数以下にする、索引更新処理と、
前記位置情報および/または前記位置情報の履歴に応じて、前記グループにおける前記利用者の生体データの照合順を更新し、または前記利用者の生体データを照合から排除する、生体データグループ更新処理と、
前記生体データグループ更新処理は、
前記利用者の生体データが認証された位置、および所定時間に移動可能な距離を算出し、前記所定時間に移動可能な距離を超えた位置において前記利用者の生体データを照合から排除するとともに、前記所定時間に移動可能な距離を超えた位置において、前記利用者の生体データの照合がされた場合に、前記生体認証の結果を不許可とし、前記利用者に報知し、
前記索引の階層のうち少なくとも一つが、前記位置情報および/または前記位置情報の履歴に応じて構成されており、
前記位置情報の履歴に基づき前記利用者の行動パターンを算出し、前記グループにおける前記利用者の生体データの照合順を更新するとともに、特定の頻度で認証されている場所がある場合には、あらかじめ当該場所の前記グループ内における前記利用者の生体データが初期に検索されるように照合順を変更することを実行させる生体認証プログラム。
【請求項4】
利用者の生体データと登録された複数の生体データとを照合して認証する生体認証方法であって、
前記複数の生体データを登録する生体データ登録工程と、
前記利用者の生体データが認証された位置情報と、前記位置情報の履歴とを記録する、位置情報保存工程と、
前記複数の生体データについて複数の階層からなる索引を作成する索引作成工程と、
前記複数の生体データを前記索引に応じて複数の生体データのグループに構成する生体データグループ構成工程と、
一の前記グループに登録された生体データの数が所定数を超過した場合に、前記索引の階層を増加し、前記グループに登録された前記生体データの数を前記所定数以下にする、索引更新工程と、
前記位置情報および/または前記位置情報の履歴に応じて、前記グループにおける前記利用者の生体データの照合順を更新し、または前記利用者の生体データを照合から排除する、生体データグループ更新工程と、を含み、
前記生体データグループ更新工程は、
前記利用者の生体データが認証された位置、および所定時間に移動可能な距離を算出し、前記所定時間に移動可能な距離を超えた位置において前記利用者の生体データを照合から排除するとともに、
前記所定時間に移動可能な距離を超えた位置において、前記利用者の生体データの照合がされた場合に、前記生体認証の結果を不許可とし、前記利用者に報知し、
前記索引の階層のうち少なくとも一つが、前記位置情報および/または前記位置情報の履歴に応じて構成されており、
前記位置情報の履歴に基づき前記利用者の行動パターンを算出し、前記グループにおける前記利用者の生体データの照合順を更新するとともに、特定の頻度で認証されている場所がある場合には、あらかじめ当該場所の前記グループ内における前記利用者の生体データが初期に検索されるように照合順を変更することを含む生体認証方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体認証システム、生体認証プログラムおよび生体認証方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から人の生体的特徴を用いた個人認証装置が実用化されている。用いられる生体的特徴として、指紋、静脈、虹彩、声紋などがあり、銀行のATMでは静脈を用いた静脈認証装置が普及している。
【0003】
例えば、特許文献1(特開2011-86130号公報)には、多数の利用者が利用する指紋認証システムにおける認証処理の高速化について開示されている。特許文献1記載の指紋認証システムにおける認証処理の高速化は、複数の指紋センサを有する指紋認証システムであって、指紋データが入力された場合、当該指紋データが入力された指紋センサに応じて、当該指紋データが属するグループを特定するグループ特定手段と、指紋データの登録の場合、入力された指紋データを、前記グループ特定手段により特定されたグループと関連付けて記憶装置に登録する登録手段と、指紋データの認証の場合、入力された指紋データと、前記記憶装置に登録された指紋データのうち当該入力された指紋データと同一のグループに関連付けられた指紋データとを照合する照合手段とを備えるものである。
【0004】
さらに、特許文献2(特開2008-250508号公報)には、コンピュータに利用者により生体の一部の画像が入力された入力生体画像と、該入力生体画像の比較対象として予め登録された登録者の参照生体画像とを照合することにより生体認証処理を実行させる生体認証プログラム、生体認証システム及び生体認証方法について開示されている。
特許文献2記載の生体認証システムは、予測サーバでは、他の認証装置から登録者及びその登録者による他の認証装置の認証時刻を取得し(1)、該取得した登録者による他の認証装置の認証時刻から該登録者が生体認証装置に到着する時刻を予測し(2)、該予測した登録者の到着予測時刻を生体認証装置に通知し(3)、生体認証装置では、予測サーバにより通知された登録者の到着予測時刻を保持しておき、該保持しておいた登録者の到着予測時刻に基づいて、入力生体画像と照合する参照生体画像の順序(照合順)を決定するものである。
【0005】
また、特許文献3(WO2016/047025)には、高速処理を実現できる指紋認証システムについて開示されている。特許文献3の指紋認証システムは、複数の階層(n+1)を有する索引データと、索引データに応じて指紋データFDを指紋データTFDとして登録する登録部と、索引データに応じて指紋データFDを登録された指紋データTFDと照合する照合装置と、を含むものである。グループ毎に指紋データTFDを区分することができるので、登録された指紋データTFDの登録個数が多い場合でも、処理スピードを速めることについて開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2011-86130号公報
【文献】特開2008-250508号公報
【文献】WO2016/047025
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の技術は、所定人数に対する生体認証の照合を行うことが可能であるものの、登録された生体データの母数が多くなると、全ての生体データについて順次生体認証を照合しているので処理時間がかかるという問題がある。そのため、照合の処理時間を短くするため特許文献1ではグループ情報をあらかじめ入力しなければならないという問題がある。そして、特許文献1の技術において、当該グループ情報を失念した場合、生体認証が機能しないという問題が生じる。
また、引用文献2および3では事前入力が不要で高速処理を実現できる指紋認証システムについて開示されているが、これについても、生体認証の対象者数が多くなり、登録された生体データの母数が多くなると、全ての生体データについて順次生体認証を照合しているのでコンピュータリソースの消費が多くなり、処理時間がかかるという問題があった。また、認証の正確性をさらに高める必要があった。
【0008】
本発明の目的は、登録された生体データの母数が多くなった場合でもコンピュータリソースの消費を抑え、高速処理を実現できる生体認証システム、生体認証プログラムおよび生体認証方法を提供することである。
本発明の他の目的は、認証に必要な照合の件数を減らすことで、より正確な認証を行うことができる生体認証システム、生体認証プログラムおよび生体認証方法を提供することである。
また、本発明のさらに他の目的は、認証者の行動範囲を算出することで、第三者の不正認証を防止することができる生体認証システム、生体認証プログラムおよび生体認証方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)
一局面に従う生体認証システムは、利用者の生体データと登録された複数の生体データとを照合して認証する生体認証システムであって、複数の生体データを登録する生体データ登録手段と、利用者の生体データが認証された位置情報と、位置情報の履歴とを記録する、位置情報保存手段と、複数の生体データについて複数の階層からなる索引を作成する索引作成手段と、複数の生体データを索引に応じて複数の生体データのグループに構成する生体データグループ構成手段と、一のグループに登録された生体データの数が所定数を超過した場合に、索引の階層を増加し、グループに登録された生体データの数を所定数以下にする、索引更新手段と、位置情報および/または位置情報の履歴に応じて、グループにおける利用者の生体データの照合順を更新し、または利用者の生体データを照合から排除する、生体データグループ更新手段と、を備えるものである。
【0010】
この場合、索引(インデックス)は、複数の階層により形成される。例えば、第1段階における索引が三種類あり、第2段階における索引が三種類ある場合、各グループに登録される生体データの個数を、平均的に11.1%にすることができる。
すなわち、第1段階における索引により、100%を、それぞれ約33.3%ずつにグループ分けして登録でき、第2段階における索引により、約11.1%ずつにグループ分けすることができる。その結果、生体データを有効にグループ分けすることができる。
また、グループに登録された生体データの数を所定数以下になるよう索引を変化させて構成する。その結果、登録されたすべての生体データを照合等に使用する場合と比較して、一部のグループにおける生体データのみを照合するので、ンピュータリソースの消費を抑え、高速処理を実現することができる。
【0011】
さらに、位置情報保存手段では、利用者の生体データが認証された位置情報と位置情報の履歴とを蓄積する。これにより例えば、ある利用者が頻繁に訪れる場所がある場合に、グループ内における当該利用者の生体データの照合順を前に更新する。これにより、効率的に照合をすることができるため、コンピュータリソースの消費を抑え、高速処理を実現することができる。
また、ある利用者がある場所で認証をした場合に、他の場所では当該利用者は認証をすることが物理的にできない。したがってこの場合に当該利用者の生体データを照合の対象から排除することができる。これにより、効率的に照合をすることができるため、コンピュータリソースの消費を抑え、高速処理を実現することができる。また、認証に必要な照合の件数を減らすことで、より正確な認証を行うことができる。
【0012】
利用者の生体データと登録された複数の生体データとを照合して認証するにあたっては、当該利用者が分類される一部のグループのみ照合すればよく、さらに利用者の位置情報の履歴によってグループにおける照合順が更新されており、さらに認証することがない利用者は照合の対象から排除されている。したがって、コンピュータリソースの消費を抑え、高速処理を実現することができるとともに、より正確な認証を行うことができる。
【0013】
(2)
第2の発明にかかる生体認証システムは、一局面に従う生体認証システムにおいて、生体データグループ更新手段は、利用者の生体データが認証された位置、および所定時間に移動可能な距離を算出し、所定時間に移動可能な距離を超えた位置において利用者の生体データを照合から排除してもよい。
【0014】
この場合、ある利用者がある場所で認証をした場合に、距離の離れた場所では、所定時間を経過するまでは当該利用者は認証をすることが物理的にできない。したがってこの場合に当該利用者の生体データを照合の対象から排除することができる。
これにより、効率的に照合をすることができるため、コンピュータリソースの消費を抑え、高速処理を実現することができる。また、認証に必要な照合の件数を減らすことで、より正確な認証を行うことができる。
【0015】
(3)
第3の発明にかかる生体認証システムは、第2の生体認証システムにおいて、所定時間に移動可能な距離を超えた位置において、利用者の生体データの照合がされた場合に、生体認証の結果を不許可とし、利用者に報知してもよい。
【0016】
ある利用者がある場所で認証をした場合に、距離の離れた場所では、所定時間を経過するまでは当該利用者は認証をすることが物理的にできない。それにもかかわらず、当該利用者の認証がされる場合は、不正な認証である可能性がある。その場合は、生体認証の結果を不許可とし、当該利用者にアクセスがあった旨を報知する。これにより、第三者の不正認証を防止することができる。
【0017】
(4)
第4の発明にかかる生体認証システムは、一局面から第3に従う生体認証システムにおいて、生体データグループ更新手段は、位置情報の履歴に基づき利用者の行動パターンを算出し、グループにおける利用者の生体データの照合順を更新してもよい。
【0018】
ある利用者が頻繁に訪れる場所がある場合に、生体データの照合順を更新するだけでなく、当該利用者の行動パターンを算出する。これにより、例えば通勤および出張などで、当該利用者が定期的な移動を伴う場合に、グループ内における当該利用者の生体データの照合順をあらかじめ更新する。これにより、効率的に照合をすることができるため、コンピュータリソースの消費を抑え、高速処理を実現することができる。
【0019】
(5)
第5の発明にかかる生体認証システムは、一局面から第4に従う生体認証システムにおいて、生体データグループ構成手段は、索引の階層のうち少なくとも一つが、位置情報および/または位置情報の履歴に応じて構成されていてもよい。
【0020】
これにより効率的に認証をすることができるため、コンピュータリソースの消費を抑え、高速処理を実現することができる。
位置情報および/または位置情報の履歴に基づいて、生体データの照合を行うため、生活圏内が限定されている場合、定期的に所定の位置に移動する場合等において、高速処理を実現することができる。
また、位置情報に基づいて、時間的に移動が困難な位置において生体データの照合が行われた場合には、エラーを発生させることができるため、生体認証システム全体の精度を向上させることができる。
【0021】
(6)
第6の発明にかかる生体認証システムは、一局面から第5に従う生体認証システムにおいて、生体データが、指紋データ、指静脈データ、掌静脈データ、掌紋データ、虹彩データ、網膜データ、声紋データおよび顔認証データのいずれか又は複数の組み合わせであってよい。
【0022】
本発明においては、コンピュータリソースの消費を抑え、高速処理が可能であるため、様々な種類の生体認証をすることができる。また、複数の生体認証を組み合わせることにより、より正確な認証をすることができる。
【0023】
(7)
他の局面に従う生体認証プログラムは、利用者の生体データと登録された複数の生体データとを照合して認証する生体認証プログラムであって、利用者の生体データと登録された複数の生体データとを照合して認証する生体認証プログラムであって、複数の生体データを登録する生体データ登録処理と、利用者の生体データが認証された位置情報と、位置情報の履歴とを記録する、位置情報保存処理と、複数の生体データについて複数の階層からなる索引を作成する索引作成処理と、複数の生体データを索引に応じて複数の生体データのグループに構成する生体データグループ構成処理と、一のグループに登録された生体データの数が所定数を超過した場合に、索引の階層を増加し、グループに登録された生体データの数を所定数以下にする、索引更新処理と、位置情報および/または位置情報の履歴に応じて、グループにおける利用者の生体データの照合順を更新し、または利用者の生体データを照合から排除する、生体データグループ更新処理と、を実行させるものである。
【0024】
この場合、索引(インデックス)は、複数の階層により形成される。例えば、第1段階における索引が三種類あり、第2段階における索引が三種類ある場合、各グループに登録される生体データの個数を、平均的に11.1%にすることができる。
すなわち、第1段階における索引により、100%を、それぞれ約33.3%ずつにグループ分けして登録でき、第2段階における索引により、約11.1%ずつにグループ分けすることができる。その結果、生体データを有効にグループ分けすることができる。
また、グループに登録された生体データの数を所定数以下になるよう索引を変化させて構成する。その結果、登録されたすべての生体データを照合等に使用する場合と比較し、一部のグループにおける生体データのみを照合するので、ンピュータリソースの消費を抑え、高速処理を実現することができる。
【0025】
さらに、位置情報保存手段では、利用者の生体データが認証された位置情報と位置情報の履歴とを蓄積する。これにより例えば、ある利用者が頻繁に訪れる場所がある場合に、グループ内における当該利用者の生体データの照合順を前に更新する。これにより、効率的に照合をすることができるため、コンピュータリソースの消費を抑え、高速処理を実現することができる。
また、ある利用者がある場所で認証をした場合に、他の場所では当該利用者は認証をすることが物理的にできない。したがってこの場合に当該利用者の生体データを照合の対象から排除することができる。これにより、効率的に照合をすることができるため、コンピュータリソースの消費を抑え、高速処理を実現することができる。また、認証に必要な照合の件数を減らすことで、より正確な認証を行うことができる。
【0026】
利用者の生体データと登録された複数の生体データとを照合して認証するにあたっては、当該利用者が分類される一部のグループのみ照合すればよく、さらに利用者の位置情報の履歴によってグループにおける照合順が更新されており、さらに認証することがない利用者は照合の対象から排除されている。したがって、コンピュータリソースの消費を抑え、高速処理を実現することができるとともに、より正確な認証を行うことができる。
【0027】
(8)
さらに他の局面に係る生体認証方法は、利用者の生体データと登録された複数の生体データとを照合して認証する生体認証方法であって、複数の生体データを登録する生体データ登録工程と、利用者の生体データが認証された位置情報と、位置情報の履歴とを記録する、位置情報保存工程と、複数の生体データについて複数の階層からなる索引を作成する索引作成工程と、複数の生体データを索引に応じて複数の生体データのグループに構成する生体データグループ構成工程と、一のグループに登録された生体データの数が所定数を超過した場合に、索引の階層を増加し、グループに登録された生体データの数を所定数以下にする、索引更新工程と、位置情報および/または位置情報の履歴に応じて、グループにおける利用者の生体データの照合順を更新し、または利用者の生体データを照合から排除する、生体データグループ更新工程と、を含むものである。
【0028】
この場合、索引(インデックス)は、複数の階層により形成される。例えば、第1段階における索引が三種類あり、第2段階における索引が三種類ある場合、各グループに登録される生体データの個数を、平均的に11.1%にすることができる。
すなわち、第1段階における索引により、100%を、それぞれ約33.3%ずつにグループ分けして登録でき、第2段階における索引により、約11.1%ずつにグループ分けすることができる。その結果、生体データを有効にグループ分けすることができる。
また、グループに登録された生体データの数を所定数以下になるよう索引を変化させて構成する。その結果、登録されたすべての生体データを照合等に使用する場合と比較し、一部のグループにおける生体データのみを照合するので、ンピュータリソースの消費を抑え、高速処理を実現することができる。
【0029】
さらに、位置情報保存手段では、利用者の生体データが認証された位置情報と位置情報の履歴とを蓄積する。これにより例えば、ある利用者が頻繁に訪れる場所がある場合に、グループ内における当該利用者の生体データの照合順を前に更新する。これにより、効率的に照合をすることができるため、コンピュータリソースの消費を抑え、高速処理を実現することができる。
また、ある利用者がある場所で認証をした場合に、他の場所では当該利用者は認証をすることが物理的にできない。したがってこの場合に当該利用者の生体データを照合の対象から排除することができる。これにより、効率的に照合をすることができるため、コンピュータリソースの消費を抑え、高速処理を実現することができる。また、認証に必要な照合の件数を減らすことで、より正確な認証を行うことができる。
【0030】
利用者の生体データと登録された複数の生体データとを照合して認証するにあたっては、当該利用者が分類される一部のグループのみ照合すればよく、さらに利用者の位置情報の履歴によってグループにおける照合順が更新されており、さらに認証することがない利用者は照合の対象から排除されている。したがって、コンピュータリソースの消費を抑え、高速処理を実現することができるとともに、より正確な認証を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本実施の形態に係る生体照合システムの概略構成の一例を示す模式図である。
図2】生体登録装置の一例を示す模式図である。
図3】本実施の形態における位置情報保存部を説明するための一例を示す模式図である。
図4】本実施の形態における図3の処理を示すフローチャートである。
図5】本実施の形態における生体照合処理の動作を示すフローチャートである。
図6】生体照合処理における照合の一例を示す模式図である。
図7】登録部400の各グループのいずれか1つに個々に登録された生体データTFDの個数が1万個を超過した場合の処理を説明するための模式図である。
図8図8の処理の一例を示すフローチャートである。
図9図8および図9の処理の一例を示すフローチャートである。
図10】階層追加処理の一例を示す模式図である。
図11】階層追加処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0033】
<実施の形態>
(生体認証システム100)
図1は、生体認証システム100の概略構成の一例を示す模式図である。
【0034】
図1に示すように、生体認証システム100は、生体データ取得装置200、第1~第n索引判定装置300、生体データ登録部400、位置情報保存部500、照合装置600、および判定結果表示部700を含む。生体データ登録部400には、生体情報の特質または特徴に応じて分類分けされた生体データのグループが複数用意されている。
【0035】
図2は、生体登録装置の一例を示す模式図である。図2に示すように、第1~第n索引判定装置300は、n+1個の段数を有する索引判定装置からなる(nは、任意の正の整数)。例えば、第1索引判定装置310は、生体データ取得装置200から生体データFDを受け取り、3種類に判定し、区分して送信する。
具体的に、生体データ取得装置200で取得する生体データが指紋データである場合、第1索引判定装置310は、指紋データFDの特徴または特質から、例えばLOOP、WHORLまたはARCHの3種類に大きく区分することができる。
【0036】
(生体データ登録手段)
生体データ登録手段においては、まず、生体データ取得装置200により生体データFDが取得される。生体データ取得装置200は、取得した生体データFDを第1~第n索引判定装置300に与える。
【0037】
第1~第n索引判定装置300は、後述する複数の段階を有する索引に応じて生体データFDの判定を行う。第1~第n索引判定装置300は、索引の情報(以下、索引データと呼ぶ)と生体データFDとを結び付けて生体データ登録部400に生体データFDを与える。生体データ登録部400は、生体データFDを生体データTFDとして、索引データに応じた適切な生体データのグループへ登録を行う。
【0038】
生体データ取得装置200で取得する生体データは、指紋データ、指静脈データ、掌静脈データ、掌紋データ、虹彩データ、網膜データ、声紋データおよび顔認証データのいずれか又は複数の組み合わせであってよい。本発明においては、コンピュータリソースの消費が抑えられ、高速処理が可能であるため、様々な種類の生体認証をすることができる。
【0039】
また、例えば顔認証データおよび指紋データの2つを利用して認証を行うなど、複数の生体認証を組み合わせることによって、より正確な認証をすることができる。
また、例えば、顔認証で認証できない場合に指紋認証を行うなど、主となる生体認証の補完的な形で他の生体認証を組み合わせて使用することもできる。これにより、多数の認証者を処理する必要がある場合にもスムーズに生体認証の処理を進めることができる。
【0040】
(照合処理)
生体照合処理においては、生体データ取得装置200、第1~第n索引判定装置300、登録部400、照合装置600、および判定結果表示部700を用いる。
生体照合処理においては、まず、生体データ取得装置200により生体データFDが取得される。生体データ取得装置200は、取得した生体データFDを第1~第n索引判定装置300に与える。
【0041】
第1~第n索引判定装置300は、複数の段階を有する索引データに応じて生体データFDの判定を行う。第1~第n索引判定装置300は、生体データFDから当該索引データを列挙し、生体データFDの特質または特徴に応じた最も適切な生体データのグループを判定する。生体照合処理の詳細については、後述する。
【0042】
照合装置600では、生体データ取得装置200からの生体データFDと、第1~第n索引判定装置300で判定された生体データのグループにおける生体データTFDとのパターンマッチングを行ない、判定結果を判定結果表示部700に与える。
判定結果表示部700は、内蔵された表示部(図示せず)に判定結果を表示する。
なお、上記においては、判定結果表示部700に内蔵された表示部を例示したが、これに限定されず、判定結果を信号出力する信号出力部を有してもよい。
【0043】
(位置情報保存手段)
位置情報保存部500は、図3に示すように、利用者の生体データが認証された位置情報と位置情報の履歴とを蓄積する。生体認証されたそれぞれの位置において、どの利用者がいつ認証されたかを随時記録をして、生体グループ更新手段に使用する。
(生体グループ更新手段)
【0044】
ある利用者がある場所で認証した場合に、距離の離れた場所では、所定時間を経過するまでは当該利用者は物理的に認証することができない。したがってこの場合に当該利用者の生体データを照合の対象から排除することができる。
具体的には、図3に示すように、生体認証取得装置200が設置された位置を登録する(図3(a))。そして、生体認証取得装置200が設置された位置から、他の生体認証取得装置200の間の移動可能時間をあらかじめ登録する(図3(b))。そのうえで、利用者の認証があった場所と時刻を位置情報保存部500に保存し(図3(c))、各位置における生体認証取得装置200の利用可能な者のみを抽出し時間毎に更新する(図3(d))。
このように、時間的距離的に認証不可能な利用者の生体データを、照合の対象からあらかじめ排除することで、照合装置600におけるパターンマッチングの母数を減らすことができる。
【0045】
(不正認証不許可・報知)
上述のように、ある利用者がある場所で認証をした場合に、距離が離れた場所では、所定時間を経過するまでは当該利用者は認証をすることが物理的にできない。それにもかかわらず、当該利用者の認証のアクセスがされた場合は、不正な認証アクセスである可能性がある。その場合は、生体認証の結果を不許可とし、当該利用者にアクセスがあった旨を報知する。これにより、第三者の不正認証を防止することができる。
具体的には、生体データを照合の対象から排除した者および場所のリストをあらかじめ作成する。ある場所で認証アクセスが行われ、生体グループ内のマッチングが不一致であった場合であって、当該認証者が、生体データの照合対象から排除した者(リストに該当)であった場合は、不正認証のアクセスがされた可能性が高いため、生体認証の結果を不許可とし、当該利用者にアクセスがあった旨を報知する。
報知にあたっては、生体認証システムの管理者に報知してもよく、また、不正利用が引き続き行われることがないよう、暫くの間、当該認証者の利用を停止するなどの措置をしてもよい。
【0046】
(行動パターンによる更新)
ある利用者が頻繁に訪れる場所がある場合に、当該場所のグループ内における当該利用者の生体データの照合順を前に更新する。また、例えば通勤および出張などで、当該利用者が定期的な移動を伴う場合に、当該場所のグループ内における当該利用者の生体データの照合順をあらかじめ前に更新する。
具体的には、位置情報保存部500において、認証された利用者について例えば過去1年間の認証の履歴を調べる。そして、特定の頻度(例えば毎日、毎週または毎月)で認証されている場所がある場合には、あらかじめ次の認証の時にあわせて、その場所のグループ内における当該利用者の生体データが照合装置600により初期に検索されるように、照合順を変更するように設定しておく。すなわち、照合順をあらかじめ前に更新するとは、照合装置600により初期に生体データが照合されるように照合順を変更することを意味する。
このようにすることで、照合装置600においてパターンマッチングをする際に、当該利用者が早い段階で照合される確率が高くなる。
【0047】
(索引作成手段)
図2は、生体登録装置の一例を示す模式図である。図2に示すように、第1~第n索引判定装置300は、n+1個の段数を有する索引判定装置からなる(nは、任意の正の整数)。
例えば、第1索引判定装置310は、生体データ取得装置200から生体データFDを受け取り、3種類に判定し、区分して送信する。
具体的に、第1索引判定装置310は、生体データFDの特徴または特質から区分することができる。
【0048】
図2に示すように、第1索引判定装置310の下部に、複数の区分された第2索引判定装置320、第2索引判定装置321、および第2索引判定装置322が設けられる。
さらに、第2索引判定装置320の下部には、複数の区分された第n索引判定装置331、および第n索引判定装置332が設けられる。
同様に、第2索引判定装置321の下部には、第n索引判定装置が複数設けられ(図示省略)、第2索引判定装置332の下部には、第n索引判定装置33P(Pは、任意の正の整数)が設けられる。
このように、第1~第n索引判定装置300においては、複数の索引判定装置が複数の段階(n+1の段)で設けられている。
【0049】
そして、例えば、生体データ取得装置200で取得する生体データが、指紋データである場合、指紋認証のデータとしては、指紋の紋様のパターン、すなわち、少なくともLOOP、WHORLまたはARCHの3種類に大きく区分することができるので、これらを索引として有効に利用することができる。
【0050】
(生体データグループ構成手段)
続いて、図1に示すように、第1~第n索引判定装置300には、登録部400が設けられている。図2に示すように、登録部400は、第1グループ401から第m+2グループ40m+2(mは、任意の正の整数)までの複数のグループを有する。
各グループには、生体情報の認証に必要な特徴ごとに分類分けがされるため、同じグループには特徴が類似した生体情報を有する各利用者の生体データが集合することになる。
【0051】
第n索引判定装置331の下部に、登録部400の第1グループ401、第2グループ402、第3グループ403が設けられる。
同様に、第n索引判定装置332の下部に、登録部400の第4グループ404、第5グループ405、第6グループ406が設けられる。
同様に、第n索引判定装置33Pの下部に、登録部400の第mグループ40m、第m+1グループ40m+1、第m+2グループ40m+2が設けられる。
【0052】
(生体照合処理の動作を示すフローチャート)
図5は、本実施の形態における生体照合処理の動作を示すフローチャートであり、図6は、生体照合処理における照合の一例を示す模式図である。
【0053】
まず、図5に示すように、生体照合処理においては、生体データ取得装置200により生体データFDを取得する(ステップS1)。
次いで、生体データ取得装置200により取得された生体データFDを第1索引判定装置310に送信し、第1索引判定結果が、生体データFDにおける特質または特徴について何れの分類に該当するか、を判定する(ステップS2)。
【0054】
ここで、例えばステップS2の処理において生体データFDが1Aに該当すると判定した場合、第2索引判定装置320は、生体データFDにおける特質または特徴について、さらに2A条件、2B条件、2C条件に該当するかを判定する(ステップS3)。
【0055】
続いて、ステップS3の処理において生体データFDが2A条件に該当すると判定した場合、第n索引判定装置331は、生体データFDが所定の条件に該当するか否かを判定する(ステップSn)。
そして、索引データに応じて、登録部400の第1グループ401から第m+2グループ40m+2までのいずれか1つの該当するグループに登録された生体データTFDを取得する(ステップSn+1)。
【0056】
各グループにおいては、図3に示すように、生体認証されたそれぞれの位置において、どの利用者がいつ認証されたかを随時記録をして、生体グループ更新手段に使用する。
具体的には、図4に示すように、あらかじめ、生体認証取得装置200が設置された位置を登録する(ステップS11)。そして、生体認証取得装置200が設置された位置から、他の生体認証取得装置200の間の移動可能時間を登録する(ステップS12)。
そのうえで、利用者の認証があった場合に、認証があった場所と時刻を位置情報保存部500に保存する(ステップS13)。そして、各位置における生体認証取得装置200の利用可能な者のみを抽出し時間毎に更新する。さらに、時間的距離的に認証不可能な利用者の生体データを、照合の対象からあらかじめ排除する更新を行う(ステップS14)。これにより、照合装置600におけるパターンマッチングの母数を減らすことができる。
また、ある利用者が特定の頻度(例えば毎日、毎週または毎月)で認証されている場所がある場合には、あらかじめ次の認証の時にあわせて、その場所のグループ内における当該利用者の生体データの照合順を前に設定する更新を行う(ステップS14)。このようにすることで、照合装置600においてパターンマッチングをする際に、当該利用者が早い段階で照合される確率が高くなる。
【0057】
図5に示すように、照合装置600は、登録された所定のグループの生体データTFDと、照合対象の生体データFDとをパターンマッチング照合させる(ステップS21)。
【0058】
次いで、照合装置600は、ステップS21の処理において、所定のグループの登録された全生体データTFDと、照合対象の生体データFDとが、一致しないと判定した場合、判定結果表示部700に不一致表示を表示させる(ステップS23)。
一方、照合装置600は、ステップS21の処理において、所定のグループの登録された全生体データTFDの中から、照合対象の生体データFDと一致すると判定した場合、判定結果表示部700に一致表示を表示させる(ステップS22)。
【0059】
このように、照合装置600は、索引データに応じてグループ毎に区分して登録された所定数の生体データTFDを用いてパターンマッチング処理を行うため、処理スピードが長時間かかることを防止することができる。
【0060】
なお、上記の実施の形態においては、判定結果表示部700を用いることとしたが、これに限定されず、判定結果を信号出力として出力させる等、任意の手法を用いてもよい。
【0061】
(索引更新手段)
続いて、上記の実施の形態にかかる生体照合システム100の索引更新手段の例について詳細に説明を行う。本実施の形態においては、1のグループに、数億万件または数千万件の生体データTFDが登録された場合、照合処理を行う場合に、時間がかかるため多大な問題となる。
【0062】
本実施の形態にかかる生体照合システム100においては、第1~第n索引判定装置300および登録部400の更新を行う。以下、第1~第n索引判定装置300および登録部400の更新について説明を行う。
【0063】
(階層追加処理)
図7は、階層追加処理の一例を示す模式図であり、図8は、階層追加処理の一例を示すフローチャートである。
【0064】
階層追加処理においては、各グループのいずれか1つのグループに、登録された指紋データ数が1万個を超えた場合に実施される。
【0065】
図8に示すように、生体照合システム100は、登録部400の各グループのいずれか1つに個々に登録された生体データTFDの個数が1万個を超過するか否か判定する(ステップS71)。図8に示すように、生体照合システム100において各グループのうちいずれかのグループが1万個を超過した場合、第1~第n索引判定装置のn数を増加させる(ステップS72)。
【0066】
すなわち、生体照合システム100の第1~第n階層まで形成される第1~第n索引判定装置を、第1~第n+1階層まで形成される第1~第n+1索引判定装置へと移行させる。
その結果、第1グループ401から第m+2グル-プ40m+2L(Lは、任意の正の整数)まで増加させることができる。その後、登録部400の各グループのいずれか1つに個々に登録された生体データTFDの個数が1万個を超過するか否かを再判定する(ステップS71)。
【0067】
その結果、第1グループ401から第m+2Lグル-プ40m+2L(Lは、任意の正の整数)まで各グループを細分化することができる。
したがって、第1グループ401から第m+2Lグル-プ40m+2Lの個々に登録された生体データTFDの個数を1万個以下にすることができるので、照合装置600が照合を行う際に、短時間で実施することができる。
【0068】
本発明に係る生体認証システム100においては、索引データ(インデックス)が、複数の階層(n+1)により形成される。その結果、登録部400における生体データFDを生体データTFDとして有効にグループ分けして登録することができる。
さらに、照合装置600において、照合すべき生体データが、複数の階層(n+1)により区分され、当該索引データに応じて、予め登録部400に登録された生体データTFDと照合されることにより、短時間で生体データFDの照合を行うことができる。
特に、第n+1段階(n:正の整数)の索引を形成することにより、生体データTFDの母数が数億個または数千万個ある場合においても、索引データによりグループ分けされた数千個の生体データTFDと照合するだけで照合処理を行うことができるので、照合速度を短くすることができる。
【0069】
また、索引データが、生体データFDの特質または特徴に基づくものであるので、生体データFDの特質または特徴ごとにグループ化することができる。特に、登録されたすべての生体データTFDを照合等に使用する場合と比較し、アクセススピードを速めて処理の負荷を低減することができる。
【0070】
この場合、グループの階層が深くなると、分類する観点によっては、各索引データにおける隣接する他のグループであっても、類似する特徴を有する生体情報が含まれる可能性が発生する。このような場合は、必要に応じて隣接する他のグループも照合の対象とすることができる。また、隣接する他のグループを照合する頻度によっては、グループの構成を再構成してもよい。
【0071】
(索引の順番の入替処理)
上記の実施の形態において生体照合システム100は、第1~第n索引判定装置300(nは、任意の正の整数)および第1グループ401から第m+2グル-プ40m+2(mは、任意の正の整数)であることとしているが、以下に開示する例によりn数およびm数を決定してもよい。
【0072】
図9および図10は、登録部400の各グループのいずれか1つに個々に登録された生体データTFDの個数が1万個を超過した場合の処理を説明するための模式図であり、図11は、図9および図10の処理の一例を示すフローチャートである。
【0073】
図9(a)に示すように、例えば、生体照合システム100の登録部400では、各登録グループの第1グループには2千個、第2グループには2万個、第3グループには500個、第4グループには千個、第5グループには1万五千個、第6グループには500個に分類されている。
【0074】
この場合、本実施の形態における生体照合システム100の登録部400は、図11に示すように、第1グループから第m+2グループのいずれかが、1万個を超過するか否かを判定する(ステップS51)。
第1グループから第m+2グループのいずれかが1万個を超過している場合、相関性を判定し、索引の順番を入れ替える(ステップS52)。
上記の例示において、生体データにおける特質または特徴について分類を行う。なお、索引の順番は機械学習の結果により決定してもよい。
【0075】
(索引の相関性)
図9(a)に示すように、例えば、第1グループ、第2グループ、および第3グループのうち第2グループにおいて登録される生体データ数が2万個になっている。したがって、図11のステップS51の処理において、Yesとなり、相関性を判定し、索引の順番を入れ替える。図9の例においては、第n索引判定結果Sn+1を、第n索引判定結果Sn+αに入れ替えている。その結果、図9(b)に示すように、第2グループにおいて登録される生体データ数を8500個まで低減させることができる。
【0076】
また、第1グル―プに登録される生体データ数は8500個、第3グループに登録される生体データ数は6500個であり、全て1万個以下であるため、図11の処理は終了される。
【0077】
図10(a),(b)を用いて索引の相関性について説明を行う。図10(a)に示すように、第n索引判定結果Snおよび第n索引判定結果Sn+1を用いた場合、3000個、20000個、500個の3つに区分される。
一方、図10(b)に示すように、第n索引判定結果Snおよび第n索引判定結果Sn+αを用いた場合、8500個、8500個、6500個の3つに区分される。
したがって、第n索引判定結果Snおよび第n索引判定結果Sn+1は、相関性が高いため、生体データ数を均等に区分することができないという問題がある。一方、第n索引判定結果Snおよび第n索引判定結果Sn+αは、相関性が低いため、指紋データ数をほぼ均等に区分することができるというメリットが生じる。
登録部400は、当該処理を繰り返し行い、データ数が均等になるまで、索引の順序を入れ替る。
【0078】
本発明においては、索引データが、「索引」に相当し、生体データFD、生体データTFDが「生体データ」に相当し、登録部400が「登録部」に相当し、生体認証システム100が「生体認証システム」に相当し、第1グループ、第2グループ、~、第m+2グループが、「グループ」に相当し、第n索引判定装置331、~、33Pが「複数の階層」の最終段に相当し、フローチャートが、「生体認証プログラムまたは生体認証方法」に相当する。
【0079】
本発明の好ましい一実施の形態は上記の通りであるが、本発明はそれだけに制限されない。本発明の精神と範囲から逸脱することのない様々な実施形態が他になされることは理解されよう。さらに、本実施形態において、本発明の構成による作用および効果を述べているが、これら作用および効果は、一例であり、本発明を限定するものではない。
【符号の説明】
【0080】
100 生体認証システム
331、~、33P 第n索引判定装置
400 登録部
600 照合装置
900 登録装置
FD、TFD 生体データ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11