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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-03
(45)【発行日】2022-03-11
(54)【発明の名称】動力サイクルシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   F01K 23/10 20060101AFI20220304BHJP
   F01K 7/32 20060101ALI20220304BHJP
   F01K 25/10 20060101ALI20220304BHJP
   F02G 5/02 20060101ALI20220304BHJP
【FI】
F01K23/10 Z
F01K7/32
F01K25/10 E
F02G5/02 B
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019506134
(86)(22)【出願日】2017-09-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-11-07
(86)【国際出願番号】 US2017052294
(87)【国際公開番号】W WO2018057523
(87)【国際公開日】2018-03-29
【審査請求日】2020-08-18
(31)【優先権主張番号】62/398,168
(32)【優先日】2016-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513257731
【氏名又は名称】ガス テクノロジー インスティテュート
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】ファン,メーガン
(72)【発明者】
【氏名】イーストランド,アンソニー
【審査官】所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04498289(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0060002(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01K 23/10
F01K 7/32
F01K 25/10
F02G 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力を生成するための方法であって:
熱および燃焼排ガスを生成するために、燃焼器内で酸化性物質とともに燃料物質を燃焼する工程と;
燃焼器からの熱を、燃焼処理によって生成された熱の第1の部分と、燃焼処理によって生成された熱の第2の部分とに分離する工程と;
動力および第2の排ガスを生成するために、燃焼処理によって生成された、少なくとも燃焼排ガスの一部および前記熱の第1の部分を直接SCOブレイトン動力サイクルに供給する工程と;
加熱された水蒸気および第3の排ガスを生成するために、少なくとも第2の排ガスの一部を蒸気ランキン動力サイクルに供給する工程と;
加熱された水蒸気からより高温の蒸気を生成し、その高温の蒸気をタービンに導入してさらなる動力を生成するために、燃焼処理によって生成された熱の第2の部分を直接蒸気ランキン動力サイクルに供給する工程とを含む、方法。
【請求項2】
燃料物質は、化石燃料材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
化石燃料材料は、石炭または天然ガスを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
動力および第2の排ガスを生成するために、燃焼処理によって生成された、少なくとも燃焼排ガスの一部および前記熱の第1の部分を前記SCOブレイトン動力サイクルに供給する工程は:
動力および高温SCO2タービン排ガスを生成するために、高温SCO2をタービンに導入する工程と;
高温SCO2タービン排ガスからの熱の少なくとも一部を回収する工程とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
高温SCO2は:
加熱されたSCO2を形成するために、SCO2を少なくとも燃焼排ガスの一部との熱交換伝達に導入する工程と;
高温SCO2を形成するために、加熱されたSCO2を熱処理によって生成された熱の第1の部分との熱交換伝達に導入する工程とを含む、方法によって形成される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
高温SCO2タービン排ガスからの熱は、少なくとも900°Fの温度のSCO2の形で回収される、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも900°Fの温度のSCO2は、タービンへの導入前に、最大1300°Fの温度まで加熱される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも900°Fの温度のSCO2は、燃焼排ガスとの熱交換伝達によって部分的に加熱される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも900°Fの温度のSCO2は:
加熱されたSCO2を生成するために、少なくとも900°Fの温度のSCO2を少なくとも燃焼排ガスの一部との熱交換伝達に導入する工程と;
高温SCO2を形成するために、加熱されたSCO2を燃焼処理によって生成された熱の第1の部分との熱交換伝達に導入する工程とを含む、方法によって加熱される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
より低い温度およびより低い圧力で動力および蒸気の生成物を生成するために、高温高圧の蒸気を膨張させるタービンと;
第2の排ガスとの熱交換伝達に導入される蒸気を形成するために、蒸気の生成物を少なくとも部分的に再加圧および再加熱する工程とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
高温高圧の蒸気は、燃焼排ガスとの熱交換伝達によって、少なくとも部分的に加熱される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
発電所システムであって;
酸化性物質とともに燃料物質を燃焼させて、熱および燃焼排ガスを生成するための燃焼器と;
燃焼器によって生成された燃焼排ガスおよび熱の第1の部分を利用して、動力および第2の排ガスを生成するためのSCOブレイトン動力サイクルと;
燃焼器によって生成された第2の排ガスおよび熱の第2の部分を利用して、さらなる動力および第3の排ガスを生成するための蒸気ランキン動力サイクルとを含み、
前記燃焼器と前記SCO ブレイトン動力サイクルは、
前記燃焼器によって生成された少なくとも燃焼排ガスの一部および熱の第1の部分が前記SCO ブレイトン発電サイクルに直接供給されるように伝達し、
前記燃焼器と前記SCO ブレイトン動力サイクルと前記蒸気ランキン動力サイクルは、
少なくとも第2の排ガスの一部が前記SCO ブレイトン発電サイクルから蒸気ランキン動力サイクルに直接供給され、かつ、前記燃焼器によって生成された第2の熱の部分が前記燃焼器から蒸気ランキン動力サイクルの2つの熱交換器に直接供給されるように伝達し、
前記蒸気ランキン動力サイクルは、
前記2つの熱交換器の間にある第1タービンと、前記2つの熱交換器のうち第2の熱交換器の後にある第2タービンとを備える
発電所システム。
【請求項13】
燃焼器は一定の熱源セクションを提供する、請求項12に記載の発電所システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、化石燃料熱源とともに使用するような動力サイクル、そしてとりわけ、そのような動力サイクルの高性能バージョンに関する。
【0002】
一実施形態では、超臨界COテクノロジー(SCOT)および蒸気ランキンテクノロジーの両方を利用する高性能発電所のための新しい構成が提供される。
【背景技術】
【0003】
関連技術の議論
化石燃料の適用は、典型的に、高い燃焼温度を有するか、あるいは作り出す;したがって、それらは、動力サイクルへの適用のために、広範囲の熱エネルギー(例えば、200°Fから2500°Fまで)を提供することができる。現在の石炭発電所は、一般的に、蒸気ランキンサイクルのみを利用し、炭素捕捉を伴って約32.5%の正味プラント効率を有する。蒸気ランキンサイクルを使用する利点は、広範囲な熱統合およびボイラー用水の予備加熱を介して、熱源の大きな温度デルタを処理する、その性能である。しかしながら、蒸気サイクルに関する欠点は、低いプラント効率であることと、そのようなシステムに望まれ、必要とされるかもしれない設置面積よりも大きいことである。
【0004】
より小さな設置面積を可能にするその高出力密度ゆえに、蒸気の代わりに超臨界CO(SCO2)を利用するよう推進されてきた。超臨界状態の比較的高密度のCO2、およびSCO2ブレイトンサイクルで使用されるより小さなタービン圧力比の結果として、そのようなSCO2の技術に依存する設備は小型化され得る。さらに、熱の多くは、SCO2サイクル自体の中で回収されるため、そのようなSCO2サイクルの効率は、蒸気サイクルのそれよりはるかに高い。したがって、SCO2ブレイトンサイクルは確かに、低い効率および大きな設置面積の問題に対処することができる。
【0005】
しかしながら、SCO2ブレイトンサイクルの欠点は、それが典型的に化石燃料熱源を十分に統合しないということである。多くの熱は、サイクル自体の中で回収されるため、SCO2サイクルに熱が加えられる温度の範囲は小さい;したがって、化石熱源中、または化石熱源から利用可能であるより低いグレードの熱の多くは、SCO2ブレイトンサイクルだけのプロセスまたはシステムでは使用不可能である。すなわち、化石熱源を統合する場合、化石熱源から生産された、または化石熱源からもたらされたより低いグレードの熱の多くが、SCOTサイクルにおいては使用不可能である。様々なSCO2ブレイトンカスケードサイクルが、より多くの低グレードの熱を取り込もうと設計され得るが、400°F以下の熱が、一般的に未使用のままであるという問題が残る。これは、全体的なプラント効率の望ましくない低下をもたらす。
【発明の概要】
【0006】
主題の開発の一般的な目的は、動力を生成するための改良された方法およびシステムを提供することである。
【0007】
発明のより具体的な目的は、上記の問題の1つ以上を克服することである。
【0008】
主題の開発の少なくとも選択された態様のさらに具体的な目的は、動力、特に、化石燃料材料から動力を生成するための方法およびシステムを提供することであり、その方法およびシステムは、望ましくは、例えば、もっぱらSCO2ブレイトンサイクル処理に依存する処理と比較して、低グレードの熱をより多くまたはより良く利用することなどによって、化石燃料材料から生産されるか、あるいはもたらされる熱エネルギーをより良くまたはより効率的に利用する。
【0009】
主題の開発の1つの態様に従って、動力を生成するための方法が提供される。
【0010】
一実施形態に従って、1つのそのような方法は、熱および燃焼排ガスを生成するために、燃焼器内で酸化性物質とともに燃料物質を燃焼させる工程を含む。燃焼処理によって生成される少なくとも燃焼排ガスの一部および熱の第1の部分は、SCOブレイトン動力サイクルに供給され、動力および第2の排ガスを生成する。燃焼処理によって生成される少なくとも第2の排ガスの一部および熱の第2の部分は、蒸気ランキン動力サイクルに供給され、さらなる動力および第3の排ガスを生成する。
【0011】
主題の開発の別の態様に従って、発電所システムが提供される。
【0012】
一実施形態に従って、そのような発電所システムの1つは、酸化性物質とともに燃料物質を燃焼させて、熱と燃焼排ガスを生成する燃焼器と、燃焼器によって生成される燃焼排ガスおよび熱の第1の部分を利用して、動力および第2の排ガスを生成するSCOブレイトン動力サイクルと、ならびに燃焼器によって生成される第2の排ガスおよび熱の第2の部分を利用して、さらなる動力および第3の排ガスを生成する蒸気ランキン動力サイクルとを含む。
【0013】
したがって、開発の1つの態様に従って、さらに以下に詳述されるように、より効率の高いSCO2ブレイトンサイクルでより高いグレードの熱を利用しながら、蒸気ランキンサイクルを含むことで低グレードの熱を利用する方法およびシステムが提供されるのが望ましく、これは、全体的な性能を向上させる。したがって、主題の開発は、望ましくは、できるだけ多くの利用可能な低グレードの熱を蒸気ランキン動力サイクルに運ぶことによって廃熱の量を減少させながら、できるだけ多くの熱を高い効率のSCOブレイトン動力サイクルに運ぶように役立つことができる。
【0014】
他の目的および利点は、添付された請求項および図面とあわせて、以下の詳細な説明から当業者には明白であろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明の目的および特徴は、図面とあわせて以下の説明から、より一層理解されるであろう:
図1】主題の開発の1つの態様による、プロセスおよびシステムの単純化されたブロックフロー図である;
図2】主題の開発の1つの態様による、SCO2ブレイトンサイクルのプロセスおよびシステムの単純化されたブロックフロー図である;および、
図3】主題の開発の1つの態様による、再熱を用いるランキン蒸気サイクルのプロセスおよびシステムの単純化されたブロックフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、超臨界CO2(SCO2)ブレイトンサイクルおよび従来の超臨界蒸気ランキン技術を組み合わせた動力を生成するための方法およびシステムを提供し、そのような方法およびシステムは、他の一般的に達成可能な方法およびシステムよりも大きく、または高い効率である。
【0017】
図1は、主題の開発の1つの態様による、そのような処理および関連システムの一般的な単純化された概要を提供する。より具体的には、図1は、一実施形態に従って、参照番号(10)によって一般的に指定される、プロセスおよびシステムの単純化されたブロックフロー図を例証する。
【0018】
図示されるように、燃料物質(12)の流れおよび酸化性物質(14)の流れは、燃焼器(16)に供給される。
【0019】
主題の開発のために使用される適切な燃料物質は、例えば、石炭および天然ガスなどの化石燃料材料を含み、燃料物質は炭素質である。
【0020】
適切な酸化性物質は、酸素、空気、および、例えば酸素富化空気などのこれらの組み合わせを含む。
【0021】
当業者によって理解され、そして本明細書において提供される教示によって導かれるように、主題の開発の実施において、様々な燃焼器装置が適切に使用され得る。1つの好ましい実施形態に従って、燃焼器は適切に流動床の形であり得る。例えば、2017年2月14日に発行され、本明細書において参照によりその全体が取り込まれる米国特許9,567,876に示され、および/または記載された流動床反応器は、主題の開発の実施において有利に利用され得る。一般的に、適切な燃焼器装置は、セクションに一定の熱源を潜在的に供給することができる燃焼器装置を含む。
【0022】
燃焼器(16)において、燃料物質は、酸化性物質に反応、例えば燃焼して、それぞれライン(20)および(22)を経由して燃焼器(16)から出るように示される熱と、ライン(24)を経由して燃焼器(16)から出るように示される、例えば、1600°Fおよび120psiaの燃焼排ガスとを生成する。
【0023】
燃焼排ガスはライン(24)を経由して、また燃焼器生成熱の第1の部分は、ライン(20)を経由して、参照番号(30)で指定されるSCOブレイトン動力サイクルに導入されるか供給されることによって、矢印(32)で示されるか表される動力と、ライン(34)を経由してSCOブレイトン動力サイクル(30)から出るように示される、例えば、955°Fおよび115psiaの第2の排ガスとを生成する。
【0024】
第2の排ガスはライン(34)を経由し、また燃焼器生成熱の第2の部分は、ライン(22)を経由し、参照番号(40)で指定される蒸気ランキン動力サイクルに導入されるか供給されることによって、矢印(42)で示されるか表される動力と、ライン(44)を経由して蒸気ランキン動力サイクル(40)から出るように示される、例えば、200°Fおよび110psia第3の排ガスを生成する。
【0025】
図示されるように、ライン(44)の第3の排ガスを、燃焼後の炭素捕捉クリーンアップのために通過させることができる;スタック排出(stack discharge)、または他の方法で望ましいように適切に処理される。
【0026】
次に図2を見ると、主題の開発の一実施形態に従って、SCO2ブレイトン動力サイクル(30)をより詳細に示す、単純化されたブロックフロー図が例証される。より具体的には、図2は、効率を向上、増加、または望ましく最大化させるためのSCO2ブレイトン動力サイクルと燃焼器の統合について強調して、SCO2ブレイトン動力サイクル(30)プロセスおよびシステムをより詳細に示し、ここで、そのような最大化されたプラント効率とは、ブレイトンサイクルおよび蒸気サイクルの動力出力の合計を燃料資源からの発熱量で割った測定値である。
【0027】
図2で示されるように、SCO2ブレイトン動力サイクル(30)は2つの熱源を使用する:対流熱交換器(312)(1600F~250Fから利用可能な熱)および直接床内恒温熱交換器(314)(1600°Fで利用可能な熱)。
【0028】
高温回収熱交換器(316)からのSCO2は、ライン(320)を経由して対流熱交換器(312)の熱源に入る。一実施形態では、ライン(320)のSCO2は、930°Fの温度で4040psiaの圧力である。熱交換器(312)においては、SCO2は、ライン(24)を経由して熱交換器(312)へと導入される、例えば、1600°Fおよび120psiaなどの燃焼排ガスとの熱交換伝達状態で通過される。そのような処理は、例えば、1035°Fおよび4030psiaの加熱されたSCO2を形成し、これは、ライン(322)を経由して直接床内恒温熱交換器(314)へ渡される。そのような処理はまた、熱交換器(312)から出る、例えば、955°Fおよび115psiaの排気流(34)をもたらす。
【0029】
床内熱交換器(314)において、SCO2は、燃焼器からライン(20)を経由して床内熱交換器(314)へと渡される燃焼器生成熱の第1の部分との熱交換伝達状態で渡される。一実施形態では、燃焼器生産熱の第1の部分は、1600°Fで120psiaである。
【0030】
床内熱交換器(314)から出るSCO2は、例えば1300°Fおよび4000psiaでライン(326)を通過する。当業者、および本明細書で提供される教示に導かれた者ならば、1300°Fが一般的な現在の高温高圧ボイラー管の限界であることを理解するであろう。しかしながら、さらなる技術の進化は、さらに高い温度でSCO2または他の伝熱材料の利用を可能にする。
【0031】
SCO2は、発電機(図示せず)に取り付けられるようなタービン(330)で膨張し、矢印(32)で表される動力を作り出す。
【0032】
例えば、1000°Fおよび1200psiaの結果としてもたらされるSCO2は、ライン(322)を経由して、高温回収熱交換器(316)に渡される。高温回収熱交換器(316)において、SCO2は、例えば、420°Fおよび1150psiaで冷まされ、ライン(334)を経由して低温回収熱交換器(336)へと渡され、ここで、それが、例えば175°Fおよび1135psiaでさらに冷やされ、ライン(340)を経由して放出される。
【0033】
例証された実施形態において、SCO2ライン(340)は分割されて、再循環圧縮機(344)に向かけれるライン(342)、および主圧縮機(354)に向けられるライン(352)を形成する。
【0034】
再循環圧縮機(344)において、SCO2は圧縮される。例えば、4060psiaおよび400°Fで圧縮される、リサイクルコンプレッサから生じるSCO2は、ライン(346)を通過する。
【0035】
主圧縮機(354)に入る前に、SCO2は冷却器(353)で、例えば、90°Fに冷やされる。その後、それはライン(355)を経由して主圧縮機(354)に渡される。その後、それは、例えば、4080psiaで圧縮され、例えば、165°Fの温度でライン(356)を経由して低温回収熱交換器(336)に渡され、ここで加熱される。そのように熱されたSCO2は、ライン(358)を通過し、SCO2流線(346)と結合されて、例えば、415°Fおよび4060psiaのライン(360)を形成する。その後、ライン(360)のSCO2は、さらなる熱を高温回収熱交換器(316)で回収し、例えばライン(320)を経由して、例えば熱源対流熱交換器(312)などの熱源に再循環される。図2から明白なように、循環に要求されるデルタ温度は930°Fから1300°Fのみである。従って、930°Fより下の熱源の熱は、ブレイトンサイクルにおいて使われないままとなる。
【0036】
次に、図3を見ると、主題の開発の一実施形態に従って、再熱(40)を用いた蒸気ランキン動力サイクルをより詳細に示す、単純化されたブロックフロー図が例証される。
【0037】
図3で示されるように、再熱(40)を用いた蒸気ランキン動力サイクルは、対流熱交換器(412)(958°Fから250°Fで利用可能な熱)および2つの床内熱交換器(414)および(416)(少なくとも1600°Fの一定の熱源から利用可能な熱)を利用する。例えば、一実施形態では、第1の床内熱交換器部分については、蒸気は、770°Fから1100°Fの蒸気を要する流動床内のチューブを介して流れ、その後、蒸気が高圧蒸気タービンを通り抜ける。第2の床内熱交換器部分については、蒸気は640°Fから1100°Fまでになり、その後、より低い圧力の蒸気タービンを介して送られる。
【0038】
例えば、230°Fおよび4000psiaの蒸気は、ライン(420)を経由して熱源対流熱交換器(412)へと送られ、そこでそれは、ライン(34)を経由して、熱交換器(412)へと導入された、例えば955°Fおよび115psiaの燃焼排ガスとの熱交換伝達状態で渡される。そのような処理は、例えば、770°Fおよび3850psiaの加熱水蒸気を形成し、ライン(422)を経由して床内熱交換器(414)へと渡される。そのような処理はまた、熱交換器(412)から出る、例えば、250°Fおよび110psiaの排気流(44)をもたらす。
【0039】
床内熱交換器(414)において、蒸気は、燃焼器からライン(22)を経由して床内熱交換器(414)に渡される、燃焼器生成熱の第2の部分の第1部との熱交換伝達状態で渡される。一実施形態では、そのような燃焼器生成熱の第2の部分は、1600°Fおよび120psiaである。
【0040】
床内熱交換器(414)では、蒸気は、例えば1100°Fまで加熱される。
【0041】
例えば、1100°Fおよび3850psiaの床内熱交換器(414)からの蒸気は、ライン(424)を経由して、第1のタービン(426)へと渡される。
【0042】
蒸気は、発電機(図示せず)に取り付けられるようなタービン(426)で膨張し、矢印(42)で表される動力を作り出す。
【0043】
例えば、640°Fおよび750psiaの結果としてもたらされる蒸気は、ライン(430)を経由して第2の床内熱交換器(416)へと渡され、そこで、燃焼器から床内熱交換器(416)へと渡される燃焼器生成熱(22’)の第2の部分の第2部との熱交換伝達状態で渡される。一実施形態では、そのような燃焼器生成熱の第2の部分は、1600°Fおよび120psiaである。
【0044】
第2の床内熱交換器(416)からの蒸気は、ライン(432)を経由して、例えば、1100°Fおよび700psiaで第2のタービン(434)に渡される。蒸気は、発電機(図示せず)に取り付けられるようなタービン(434)で膨張し、矢印(42’)で表される動力を作成する。
【0045】
例えば、130°Fおよび2psiaの結果としてもたらされる蒸気は、ライン(436)を経由して凝縮器(440)に渡され、そこで物質が適切に凝縮される。
【0046】
例えば100°Fおよび2psiaの結果としてもたらされる凝縮された物質は、ライン(442)を経由してポンプ(444)へと渡される。ポンプ(444)では、さらなるシステム熱統合処理(450)のために、およびライン(420)の蒸気をもたらすなどのために、該物質は適切に加圧され、例えば103°Fおよび1010psiaでライン(446)を通過する。
【0047】
図3から明白なように、蒸気サイクルに必要な熱の温度範囲は230°Fから1100°Fである;したがって、ブレイトンサイクルでは使用することができなかった化石熱源からの低いグレードの熱を、代わりに、蒸気サイクルに有利に適用することができる。
【0048】
主題の開発の一実施形態では、床内熱交換器で利用可能な熱の81%が、SCO2ブレイトンサイクルのために使用された一方、19%が蒸気サイクルのために使用された。さらに、対流熱交換器で利用可能な熱の54%がSCO2ブレイトンサイクルのために使用される一方、46%が蒸気サイクルのために使用された。
【0049】
主題の開発の好ましい態様に従って、ボトミングサイクルとして使用される蒸気ランキンサイクルの他の技術とは異なり、本主題の開発は、熱源から直接加熱されるSCO2ブレイトン動力サイクルおよび蒸気ランキン動力サイクルの両方を利用する。より具体的に、そして図示されるように、2つの動力サイクルは、床内熱交換器内で平列に加熱され、かつ熱交換器内の対流の部分で直列に加熱され得ることが望ましい。
【0050】
したがって、主題の開発の少なくとも1つの態様は、より高い正味プラント効率を提供する、改良された動力を提供する。
【0051】
当業者、および本明細書で提供される教示によって導かれた者は、本主題の開発は、例えば、酸化性物質として酸素を利用し、隔離のために炭素の捕捉を含む実施形態を含む、様々な文脈で適切に実施され得ることを理解するであろう。本主題の開発の1つの態様に従って、そのような特定のプラントは、炭素の捕捉を伴う従来の蒸気ランキンプラントよりも高い効率を有する。
【0052】
本主題の開発の少なくとも1つの態様は、より高い正味プラント効率を提供する、改良された動力サイクルを提供する。
【0053】
したがって、本対象発明の開発の少なくとも1つの態様に従うシステムおよび処理は、化石燃料発電所に関する現在の最先端技術と比較して、より高い正味プラント効率を望ましく生成することができるか、結果としてもたらすことができる。
【0054】
前述の詳細な説明において、本発明はその特定の好ましい実施形態に関して記載してきたが、多くの詳細は例証のために記載されており、本発明がさらなる実施形態の変化を受けやすいこと、および、本明細書で記載される詳細のいくつかは、本発明の基本原理から逸脱することなくかなり変更することができることは、当業者にとって明白であろう。
図1
図2
図3