(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-03
(45)【発行日】2022-03-11
(54)【発明の名称】冷却機能付き衣服
(51)【国際特許分類】
A41D 13/005 20060101AFI20220304BHJP
【FI】
A41D13/005 103
(21)【出願番号】P 2017030658
(22)【出願日】2017-02-22
【審査請求日】2019-12-06
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成29年1月13-15日に幕張メッセにおいて開催された東京オートサロン2017で展示
(73)【特許権者】
【識別番号】504439872
【氏名又は名称】株式会社エイチ・ピー・アイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000512
【氏名又は名称】特許業務法人山田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】人見 隆之
【審査官】冨江 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-77207(JP,A)
【文献】特開2009-127147(JP,A)
【文献】特開昭63-189757(JP,A)
【文献】登録実用新案第3170178(JP,U)
【文献】実開平7-17352(JP,U)
【文献】特開2003-113507(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D13/00-13/12、20/00
F25D9/00、17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者が着用する着用部と、
該着用部のなす面に沿って配置され、内部を冷媒液が流通する冷却チューブと、
断熱層を形成した保冷構造にて構成され、内部に冷媒液と共に保冷剤を収容して冷媒液を冷却する冷却ユニットと、
該冷却ユニットにて冷却した冷媒液を前記冷却チューブへ送り込むポンプユニットと
を備えた冷却機能付き衣服であって、
前記冷却ユニットは、
前記保冷剤として丁度一本の飲料入容器を収容可能に構成されており、
前記飲料入容器を収容する本体部と、
該本体部の上部を開閉可能に覆う蓋部と、
該蓋部の下面から前記本体部側へ突出するように形成され、円筒形状の内周面に前記飲料入容器のキャップを外した頭部を固定可能に構成された支持リングと、
前記蓋部の上面における前記支持リングに対応する位置に形成され、前記支持リングと連通する飲用口と
該飲用口を開閉するよう、前記蓋部に取り付けた飲用蓋と
を備えたことを特徴とする冷却機能付き衣服。
【請求項2】
前記冷却ユニットから冷媒液を送り出す冷媒液出口から前記冷却ユニット内に向かって延びる柔軟性の延長ホースと、
該延長ホースの先端に取り付けられた錘と
を備えたことを特徴とする請求項
1に記載の冷却機能付き衣服。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高温の環境下で人体を冷却する目的で着用される、冷却機能付きの衣服に関する。
【背景技術】
【0002】
高温の環境下で人が活動する際には、人体を熱から保護し、あるいは快適性を保つために、冷却機能を有する衣服を着用する場合がある。
【0003】
例えば、自動車競技の分野では、車体重量の軽減、走行性能の確保といった観点から車両にエアコンが搭載されないことが多く、エンジンの排熱等も相俟って、コックピット内が非常な高温となることがあり、運転席内の温度は時季によっては摂氏70度にも達する。このため、ドライバー間で、クールスーツ等と呼ばれる冷却機能付きの衣服を着用し、体を冷却しながらレースに臨むことが近年、普及しつつある。
【0004】
同様の事情は、例えば高熱の現場で活動する消防士等にも存在する。また、このような特定の分野に限らず、真夏の炎天下等で労働や娯楽、その他種々の活動を行う際、高温への対策が必要となる状況が様々な局面で生じ得る。こうした要求に応えるべく、これまでにも様々なタイプの冷却機能付き衣服が提案され、開発されている。
【0005】
ただし、多くの冷却機能付き衣服は、実用面を検討すると、性能は製品毎に一長一短である。例えば、予冷した保冷剤をポケットに収納するタイプでは持続時間に限界があるし、冷媒を循環させるチューブを布地に組み込んだタイプでは冷媒を貯留する大型のボックスが必要で、運搬性の点で劣る。また、いずれのタイプでも、着用時に違和感を生じてしまうことや、体の動かしやすさを阻害するという欠点を除去することは困難である。
【0006】
下記の特許文献1には、こうした各種の冷却機能付き衣服に見られる弱点を克服しつつ、冷却性能をも確保すべく開発された冷却下着が記載されている。下着本体に複数の柔軟なチューブを配置し、該チューブに対しポンプユニットにより導入チャンバから冷却液を送り込み、排出チャンバから抜き出すようにしている。冷却剤としては、例えば1リットル程度の容量の冷却剤タンク内に、700~800ml程度の氷と共に200~300ml程度の呼び水を収容し、氷を溶かしながら前記チューブ内で水を循環させる。冷却剤タンクは、キャリアバッグ等に収納して着用者のベルト等に係止できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1に記載の冷却下着は、具体的な使用環境を想定した場合、必ずしもそれらに対し最適化されているわけではない。例えば70℃の温度下で1時間~2時間程度の自動車競技に使用することを想定すると冷却の持続時間に不満が残るなど、特に冷却剤タンクの性能等に関して未だ改良の余地を残していると言える。
【0009】
本発明は、斯かる実情に鑑み、高温下における冷却の持続時間を向上し得る冷却機能付き衣服を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、使用者が着用する着用部と、該着用部のなす面に沿って配置され、内部を冷媒液が流通する冷却チューブと、断熱層を形成した保冷構造にて構成され、内部に冷媒液と共に保冷剤を収容して冷媒液を冷却する冷却ユニットと、該冷却ユニットにて冷却した冷媒液を前記冷却チューブへ送り込むポンプユニットとを備えた冷却機能付き衣服であって、前記冷却ユニットは、前記保冷剤として丁度一本の飲料入容器を収容可能に構成されており、前記飲料入容器を収容する本体部と、該本体部の上部を開閉可能に覆う蓋部と、該蓋部の下面から前記本体部側へ突出するように形成され、円筒形状の内周面に前記飲料入容器のキャップを外した頭部を固定可能に構成された支持リングと、前記蓋部の上面における前記支持リングに対応する位置に形成され、前記支持リングと連通する飲用口と、該飲用口を開閉するよう、前記蓋部に取り付けらた飲用蓋とを備えたことを特徴とする冷却機能付き衣服にかかるものである。
【0011】
而して、このようにすれば、冷却ユニットの内部を周囲の高温に曝されにくくし、長時間にわたって冷媒液の冷却を持続することができる一方、使用に伴って飲料入容器内で溶融した飲料を使用者の飲用に供することができ、しかも、飲料入容器が蓋部に固定されるので、冷却ユニット内で動くことがない。また、飲用蓋を開放するだけで飲料入容器の内容物を飲用に供することができ、簡便である。
【0012】
本発明の冷却機能付き衣服は、前記冷却ユニットから冷媒液を送り出す冷媒液出口から前記冷却ユニット内に向かって延びる柔軟性の延長ホースと、該延長ホースの先端に取り付けられた錘とを備えることができ、このようにすれば、延長ホースの先端部が冷媒中に常に沈んだ状態となるので、冷却ユニットの傾きによらず、冷媒液の吸い出しをスムーズに行うことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の冷却機能付き衣服によれば、高温下における冷却の持続時間を向上し得るという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の参考例による冷却機能付き衣服の全体構成を示す図である。
【
図2】本発明の冷却機能付き衣服における着用部の形態の一例を示す図であり、着用部の背側の形状を示している。
【
図3】本発明の冷却機能付き衣服における着用部の形態の一例を示す図であり、着用部の腹側の形状を示している。
【
図4】本発明の参考例における冷却ユニットの形態を示す側面図である。
【
図5】本発明の参考例における冷却ユニットの形態を示す平面図である。
【
図6】本発明の第一実施例による冷却機能付き衣服の全体構成を示す図である。
【
図7】本発明の第一実施例における冷却ユニットの形態を示す断面図である。
【
図8】本発明の第二実施例における冷却ユニットの形態を示す断面図である。
【
図9】本発明の第二実施例における冷却ユニットの形態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0016】
図1~
図5は本発明の実施による冷却機能付き衣服の形態の参考例を示している。
図1に示す如く、本参考例の冷却機能付き衣服1は、使用者が着用する着用部2と、該着用部2に接続される冷却ユニット3とを備えている。
【0017】
着用部2の構成は、上記特許文献1に記載されている下着本体と共通しており、
図2、
図3に示す如く、右前身頃2aと左前身頃2bとの間をファスナ2cにより開閉可能に接続した袖のないベスト型の衣服である。着用部2は織地や編地、不織布、ネット地といった各種の生地を用いて形成することができ、編地で形成される場合には、着用部2の編目を通して可撓性の冷却チューブ4を編み込むことで、該冷却チューブ4を着用部2のなす面に沿って支持させることができる。着用部2がネット地で形成される場合は、網目に冷却チューブ4を通すことで同様に冷却チューブ4を支持することができ、また、着用部2が織地や不織布で形成される場合は、着用部2に例えばベルト通しのような図示しない保持具を適宜備えれば良い。
【0018】
ここに示した例では、全部で8本の冷却チューブ4が着用部2に配置されている。また、着用部2の後身頃2dの下方には、各々左右方向に沿って二個のチャンバ(第一のチャンバ5及び第二のチャンバ6)が配置されており、各冷却チューブ4は、それぞれ一端を第一のチャンバ5に、他端を第二のチャンバ6に接続されている。後身頃2dの下方における取付位置は、第一のチャンバ5が第二のチャンバ6より上側であり、二つのチャンバ5,6は、後身頃2d下方において互いに平行をなしている。
【0019】
チャンバ5,6は、各々円筒形状をなす中空の部材であり、一端が開放され、他端が閉塞されている。円筒形状をなす第一のチャンバ5の円筒面には各冷却チューブ4の一端が接続されて第一のチャンバ5の内部と連通し、また、円筒形状をなす第二のチャンバ6の円筒面には各冷却チューブ4の他端が接続されて第二のチャンバ6の内部と連通している。
【0020】
冷却チューブ4の配置について説明する。計8本の冷却チューブ4のうち、冷却チューブ4a,4bは、それぞれ第一のチャンバ5又は第二のチャンバ6の左右方向に関して中央部から略真上に立ち上がり、着用部2の襟部2eにて左右に振り分けられ、襟部2eを各々上下に蛇行しつつ略半周して前側に至った後、折り返してさらに上下に蛇行しつつ略半周して後側に戻る。さらに、左右の肩甲骨の内側を上下に折り返してN字状を描いてから略真下に向かい、それぞれ第二のチャンバ6又は第一のチャンバ5の左右方向に関して中央部まで到達する。
【0021】
冷却チューブ4c,4dは、それぞれ第一のチャンバ5又は第二のチャンバ6における冷却チューブ4a,4bの接続位置の左右方向外側から略真上に立ち上がり、肩甲骨の内側にてN字状をなす冷却チューブ4a,4bの下方から該冷却チューブ4a,4bの外側に逸れて両肩の上部に延び、ここで折り返して左右の脇の下から前側に至る。前側にて、横向きの大U字形状を描きつつ下方へ延びた後、折り返して前記大U字形状の内側に小U字形状を描いてから背側へ至り、一旦上方へ向かってから肩部にて再度折り返して略真下に向かい、それぞれ第二のチャンバ6又は第一のチャンバ5における冷却チューブ4a,4bの接続位置の左右方向外側まで到達する。
【0022】
冷却チューブ4e,4fは、それぞれ第一のチャンバ5又は第二のチャンバ6における冷却チューブ4c,4dの接続位置の左右方向外側から略真上に立ち上がり、肩部に配置された冷却チューブ4c,4dの下方にて外側に逸れ、S字形状を描いてから前側に至る。前側では、冷却チューブ4c,4dの前記大U字形状を迂回しつつ上方へ向かい、胸部にて左右に折り返してジグザグ形状を成した後、襟部2eの下方にて折り返し、腹部にて外側に逸れて背側へ至り、下方に延びてそれぞれ第二のチャンバ6又は第一のチャンバ5における冷却チューブ4c,4dの接続位置の左右方向外側まで到達する。
【0023】
冷却チューブ4g,4hは、それぞれ第一のチャンバ5又は第二のチャンバ6における冷却チューブ4e,4fの接続位置の左右方向外側から上方へ立ち上がり、冷却チューブ4e,4fの下方にて外側に逸れて腹側へ至る。腹部の中央に至った後、下方へ延びてから外側に折れてC字形状をなし、S字形状を描いてから背側に回る。背側では、第一のチャンバ5と第二のチャンバ6の下方を着用部2の中央へ延びてから上方へ折り返して再び腹側へ回り、前記C字形状の内側で折り返してから再び背側に至り、それぞれ第二のチャンバ6又は第一のチャンバ5における冷却チューブ4e,4fの接続位置の左右方向外側まで到達する。
【0024】
図1に示す如く、第一のチャンバ5と第二のチャンバ6は、それぞれ第一の接続管7及び第二の接続管8を介して冷却ユニット3に接続されている。冷却ユニット3は、
図4、
図5に示す如く、内部に冷媒液Wを貯留する筐体9を備えてなり、該筐体9と隣接する位置に、冷媒液Wを循環させるためのポンプユニット10を備えている。筐体9は、L字形の断面形状を有するベースプレート11の底面11aに脚部9aを連結されており、ベースプレート11の側面11bにポンプユニット10が配置されている。
【0025】
筐体9の内部には、保冷剤12と共に冷媒液Wが貯留される。保冷剤12としては、例えば樹脂製の容器内にポリアクリル酸ナトリウムのような高吸水性樹脂や防腐剤と共に水が封入された一般的な保冷剤を用いることができる。冷媒液Wとしては、例えば水が用いられる。
【0026】
保冷剤12は、内部に封入する液体の溶質の濃度等を調整することで適宜変更でき、これにより、冷却ユニット3における冷媒液Wの保冷性能を調節することが可能である。本参考例の場合、保冷剤12として、融点が約マイナス16℃のタイプの保冷剤12aと、融点が約0℃のタイプの保冷剤12bの二種類を採用している。保冷剤12a,12bは各々板状の直方体形状に形成されており、これら板状の保冷剤12a,12bを筐体9内で各々垂直方向に沿った面をなすように配置し、且つ二種類の保冷剤12a,12bを水平方向に交互に配列するように並べている。
【0027】
筐体9は、本体部9bと、該本体部9bの上面を開閉する蓋部9cのそれぞれを、アルミやステンレス等の金属板に断熱材を挟み込んで断熱層を形成した保冷構造にて構成したボックスである。蓋部9cの内側には、本体部9bとの間にパッキン9dが備えられ、本体部9bに貯留した冷媒液Wが漏れ出さないようになっている。
【0028】
深型の本体部9bの内部には、上述の如く二種類の保冷剤12a,12bが配置される。本体部9bの側壁と保冷剤12の間に生じる隙間には、二個の充填材9eを配し、本体部9bの内部を保冷剤12が自由に動くことがないようにしている。充填材9eとしては、液体である冷媒液Wを保持し、且つ該冷媒液Wの通過を許容しつつ保冷剤12を一定の場所に支持可能な素材、例えば連続気泡型のスポンジ等が適している。
【0029】
また、本体部9bに収容した保冷剤12の上側には一個の充填材9fが配置される。この充填材9fは、例えば単独気泡型の発泡スチロール等で形成されており、保冷剤12と蓋部9cとの間に挟み込まれることで、充填材9eと共に保冷剤12を一定の場所に支持するようになっている。
【0030】
ここで、本参考例では、各保冷剤12を本体部9b内で一定の場所に支持するための部材として充填材9e,9fを備えた場合を説明したが、こうした充填材9e,9fに代えて、あるいは充填材9e,9fに加えて、例えば本体部9b内に適宜仕切板を備えることにより、保冷剤12を一定の場所に支持するよう構成することも可能である。その際、前記仕切板には適宜穴や隙間を備え、前記仕切板を越えて冷媒液Wが自由に移動できるようにすると良い。
【0031】
本体部9bと蓋部9cにより形成される内部空間は、冷媒液出口9gと冷媒液入口9hの二箇所において外部と連通している。冷媒液出口9g及び冷媒液入口9hの内側からは、それぞれ本体部9bの内部空間へ内部ホース(出口側内部ホース13及び入口側内部ホース14)が延びている。出口側内部ホース13の一端は冷媒液出口9gの内側に接続されており、他端はそこから充填材9eの上方を通って本体部9b内における冷媒液出口9gとは反対側の内壁へ向かって延びて下方に向かい、本体部9bの底部に達している。入口側内部ホース14は、一端を冷媒液入口9hに接続され、他端は該冷媒液入口9hの近傍に位置している。こうして、出口側内部ホース13の吸込口である他端と、入口側内部ホース14の吐出口である他端とは、連続気泡型スポンジである充填材9eを挟んで隔てられている。
【0032】
ポンプユニット10の出側には、出口ホース15が連結されて着用部2(
図1参照)へ延びており、ポンプユニット10の入側は、吸入管16を介して冷却ユニット3の冷媒液出口9gの外側に接続されている。冷媒液入口9hの外側には、入口ホース17が連結されて着用部2(
図1参照)へ延びている。
【0033】
図1に示す如く、出口ホース15と入口ホース17の端部は、第一の接続管7及び第二の接続管8の端部に備えたダブルコネクタ18により、それぞれ第一の接続管7又は第二の接続管8に接続されている。すなわち、ダブルコネクタ18は、第一の接続管7の一端を出口ホース15に接続するコネクタと、第二の接続管8の一端を入口ホース17に接続するコネクタとが一体に構成された部品である。また、ダブルコネクタ18には図示しないバルブが備えられており、接続管7,8とホース15,17の付け外しに際して接続管7,8の端部から冷媒液Wが垂れることを防止するようになっている。
【0034】
第一の接続管7の他端はコネクタ7aを介して第一のチャンバ5の開放端に接続され、第二の接続管8の他端はコネクタ8aを介して第二のチャンバ6の開放端に接続されている。ポンプユニット10は、図示しない電源装置(例えば、12Vの電源装置)により、ポンプユニット10内に備えた図示しないポンプを駆動するようになっており、本体部9b内の冷媒液W(
図4、
図5参照)を第一の接続管7から第一のチャンバ5へ送り込むことができるようになっている。
【0035】
次に、上記した本参考例の作動を説明する。
【0036】
本参考例の冷却機能付き衣服1を使用するにあたっては、使用者の上半身に着用部2を着用し、
図4、
図5に示す如く、冷却ユニット3を構成する筐体9内に保冷剤12を収容する。筐体9は、本体部9bの上面に備えた蓋部9cを開放することで内部にアクセスできる。本体部9bに、冷凍庫等で予冷した保冷剤12を上方から投入すると共に、冷媒液Wとして水を満たす。保冷剤12の上に充填材9fを配置し、蓋部9cを閉じる。
【0037】
筐体9の外部に延びるホース15,17の端部には、接続管7,8の端部を接続する。この際、上述の如く、ホース15,17は接続管7,8の端部にダブルコネクタ18を介して接続されるので、出口ホース15を第一の接続管7に、入口ホース17を第二の接続管8に、それぞれ別個に連結するような手間をかけることなく、一度の動作でホース15,17と接続管7,8とを連結することができる。
【0038】
この状態で、ポンプユニット10の電源スイッチ(図示せず)をオンにすると、本体部9b内の保冷剤12によって冷却された冷媒液Wが、出口側内部ホース13から冷媒液出口9g、吸入管16を通ってポンプユニット10の入側へ向かって吸い出される。そして、ポンプユニット10の出側から出口ホース15を通り、第一の接続管7を介して第一のチャンバ5に送り込まれる(
図1参照)。第一のチャンバ5に導入された冷媒液Wは、8本の冷却チューブ4の一端から該各冷却チューブ4に流入し、着用部2のなす面に沿って流れた後、各冷却チューブ4の他端から第二のチャンバ6へ排出され(
図1参照)、第二の接続管8から入口ホース17を通って本体部9bに戻される。本体部9bの冷媒液入口9hから入口側内部ホース14を通って本体部9bの内部に戻された冷媒液Wは、保冷剤12同士の隙間や、連続気泡型のスポンジである充填材9eの内部を通過し、冷却された上で出口側内部ホース13から冷媒液出口9gへ再度吸い出される。
【0039】
こうして、冷媒液Wは冷却チューブ4を流通する間に使用者の体温を回収し、本体部9bにて保冷剤12により冷却されながら、着用部2と冷却ユニット3の間を循環する。
【0040】
本参考例の冷却機能付き衣服1は、特に自動車競技のほか、車両を運転する際の利用に適しており、例えば運転席に着席した使用者が着用部2を着用し、冷却ユニット3を助手席等に載置する形で使用する。この際、助手席は運転席と同様に高温となるが、本参考例の冷却機能付き衣服1の場合、冷媒液W及び保冷剤12を収容した冷却ユニット3が上述の如く断熱層による保冷構造をなしている。したがって、冷却ユニット3の内部が周囲の高温に曝されにくく、長時間にわたって冷媒液Wの冷却を持続することができる。この際、冷媒液Wを冷却するために保冷剤12を用いているので、従来の如き氷水による冷却と比較して、さらに冷却性能の持続時間を引き延ばすことを可能としている。しかも、本参考例の場合、上述の如く二種類の保冷剤12a,12bを交互に配列した構成により、冷却持続時間を一層向上させている。また、氷水により冷媒液Wを冷却する場合、氷は使用に伴って溶融してしまうが、本参考例の如く保冷剤12を用いれば何度でも再利用することができ、使用の度に用意する冷媒液Wとしての水は最少限の量で済む。
【0041】
こうした持続時間の向上と共に、本参考例では、冷却ユニット3をなるべく軽量にすることも可能としている。従来の如き樹脂製のクーラーボックスに氷水を収納して水を循環させるタイプの冷却機能付き衣服の場合、自動車競技にて冷却性能に関し所要の持続時間を実現しようとすれば、氷水を含むクーラーボックスの総重量は12kg~14kg程度に達する。一方、本参考例の冷却機能付き衣服1によれば、冷却ユニット3の重量は保冷剤12や冷媒液Wを含んでも7kg~9kg程度とし、サイズも大幅に小型化することが可能である。そして、本願出願人による試験によれば、70℃の温度下において着用した場合、1.5時間程度の間、冷却を続けることが可能である。これは、一般的な自動車競技においては十分な時間である。
【0042】
また、自動車競技に冷却機能付き衣服1を使用する場合、冷却ユニット3に対しては前後左右に慣性力が作用することになるが、本参考例の冷却機能付き衣服1では、本体部9b内に収容した保冷剤12の周囲に充填材9e,9fを備えている。こうすることで、本体部9b内において保冷剤12が充填材9e,9fにより一定の場所に支持され、慣性力を受けても保冷剤12が本体部9b内の一方に偏るようなことがない。したがって、本体部9b内における冷媒液Wの循環や、保冷剤12による冷却性能を一定に保つことができる。
【0043】
発泡スチロール等で構成される充填材9fには、断熱材としての役割も備わっている。すなわち、保冷剤12と蓋部9cとの間に充填材9fを備えることで、蓋部9cから本体部9b内への熱の伝達を抑え、冷却ユニット3の保冷性能を増すことができる。また同時に、充填材9fが本体部9b内で一定の体積を占め、空気の入り込む余地を減らすことにより、冷却機能付き衣服1の使用中、冷媒液Wが慣性力等の影響を受けて本体部9b内で偏りを生じることを防止することもできる。
【0044】
また、上述の如く、出口側内部ホース13の吸込口と、入口側内部ホース14の吐出口とは、保冷剤12と本体部9bの側壁との間に備えられる充填材9eを挟んで隔てられている。このため、入口側内部ホース14から本体部9b内に引き込まれた冷媒液Wは、引き込まれた直後に出口側内部ホース13から吸い出されていくようなことはなく、保冷剤12の間を迂回したり、充填材9eの内部を通過したりしながら、本体部9b内を時間をかけて移動してから出口側内部ホース13から吸い出される。このため、着用部2にて熱を回収して本体部9bへ戻された冷媒液Wは、本体部9b内で十分に冷却されてから、再度着用部2へ送り出されることになる。
【0045】
以上のように、上記本参考例の冷却機能付き衣服1においては、使用者が着用する着用部2と、該着用部2のなす面に沿って配置され、内部を冷媒液Wが流通する冷却チューブ4と、断熱層を形成した保冷構造にて構成され、内部に冷媒液Wと共に保冷剤12を収容して冷媒液Wを冷却する冷却ユニット3と、該冷却ユニット3にて冷却した冷媒液Wを冷却チューブ4へ送り込むポンプユニット10とを備えているので、冷却ユニット3の内部を周囲の高温に曝されにくくし、長時間にわたって冷媒液Wの冷却を持続することができる。
【0046】
また、本参考例においては、保冷剤12として、異なる融点を有する二種類の保冷剤12a,12bが冷却ユニット3内に交互に配置されるので、冷却持続時間を一層向上させることができる。
【0047】
また、本参考例において、保冷剤12は、冷却ユニット3内において一定の場所に支持可能に構成されているので、慣性力を受けて保冷剤12が冷却ユニット3内の一方に偏るようなことがなく、冷却ユニット3内における冷媒液Wの循環や、保冷剤12による冷却性能を一定に保つことができる。
【0048】
また、本参考例においては、冷却ユニット3内に、連続気泡型のスポンジにより形成された充填材9eを配し、着用部2から冷媒液Wを冷却ユニット3内に戻す内部ホース(入口側内部ホース)14の吐出口と、冷却ユニット3内の冷媒液Wを冷却ユニット3から吸い出す内部ホース(出口側内部ホース)13の吸込口とが、充填材9eを隔てて配置されるので、着用部2にて熱を回収して冷却ユニット3へ戻された冷媒液Wを、冷却ユニット3内で十分に冷却してから、再度着用部2へ送り出すことができる。
【0049】
したがって、上記本参考例によれば、高温下における冷却の持続時間を向上し得る。
【0050】
図6、
図7は本発明の冷却機能付き衣服の形態の第一実施例を示すものである。本第一実施例の冷却機能付き衣服21の場合、着用部2は上記参考例(
図1~
図5参照)と共通しているが、該着用部2に接続される冷却ユニットの構成が異なっており、冷却ユニット22を著しく小型化した点に特徴がある。
【0051】
図7に示す如く、冷却ユニット22は、円筒形状の本体部22aの上部をスクリュー式の蓋部22bにより開閉可能に構成してなる。本体部22aは、真空の断熱層を備えた金属の二重構造にて構成される容器であり、保冷剤として丁度一本の飲料入容器24を収容できるようになっている。
【0052】
飲料入容器24は、例えば容量400ml~600ml、主には500mlのペットボトル入りの市販の清涼飲料水であり、スーパーマーケットやコンビニエンスストアといった一般的な店舗で普通に購入できるものである。こうしたペットボトル入りの清涼飲料水は、むろん種類によって形状が区々であるが、概ね直径65mm程度の柱状であるので、本体部22aの内径を67mm以上100mm以下程度に設定すれば、容量500ml前後の規格のペットボトルであればほとんどの製品を収容することができる。
【0053】
本体部22aに収容可能とする飲料入容器24の数は、丁度一本が好適である。二本以上とすると、後述する携帯性や、飲用の際の利便性が損なわれるからである。
【0054】
本体部22aの上面を構成する蓋部22bには、該蓋部22bのなす面を貫通するように冷媒液出口22cと冷媒液入口22dが備えられており、本体部22aと蓋部22bにより形成される内部空間は、冷媒液出口22cと冷媒液入口22dの二箇所において外部と連通している。
【0055】
蓋部22bの本体部22a側の面である下面には、本体部22a側へ突出するように円筒形の外嵌リング22e及び支持リング22fが形成されている。外嵌リング22eの径は支持リング22fよりも大きく、外嵌リング22e及び支持リング22fのなす軸は本体部22a及び蓋部22bの中心軸と一致している。外嵌リング22eの外周面には螺旋状のピッチが形成されていると共に、本体部22aの外嵌リング22eに対応する位置の内周面にも同様のピッチが形成してあり、蓋部22bを本体部22a上部の開口部にねじ込むことで、蓋部22bを本体部22aに固定できるようになっている。
【0056】
支持リング22fの内径は、飲料入容器24の頭部を挿し込める大きさに設定されている。一般的なペットボトルは、頭部が径30mm程度の蓋として構成されているので、支持リング22fの内径は30mmより大きく且つ45mm以下程度とすれば良い。また、支持リング22fの内側にはスポンジ等で構成された充填材22gが詰め込んである。こうして、冷却ユニット22に飲料入容器24を収容する際には、該飲料入容器24の頭部を充填材22gを圧縮しながら支持リング22fの内側に差し込むことで、充填材22gの弾力により、飲料入容器24が冷却ユニット22内で動き回ることを防止することができる。
【0057】
外嵌リング22eと支持リング22fの間には、リング状の保冷部材22hが備えられている。この保冷部材22hは、樹脂で形成された外殻の内部にポリアクリル酸ナトリウム等の高吸水性樹脂や防腐剤と共に水を封入した部材であり、外嵌リング22eと支持リング22fの間に嵌め込むことができるようになっている。
【0058】
また、本体部22aの底には短円筒形状のスペーサ22iを収容することができる。このスペーサ22iは、飲料入容器24の高さが冷却ユニット22内の空間に対して小さい場合に、該冷却ユニット22内における飲料入容器24の移動を制限するために本体部22aに収容される。また、スペーサ22iは、保冷部材22hと同様に樹脂で形成された外殻の内部にポリアクリル酸ナトリウム等の高吸水性樹脂や防腐剤と共に水を封入してなり、保冷部材22hと共に冷却ユニット22の保冷機能を補助する機能をも有している。
【0059】
冷媒液出口22cには、蓋部22bの下面から本体部22aの底部に延びる延長ホース22jが接続されている。保冷部材22hには、冷媒液出口22cに対応する位置に上下に貫通する穴が設けられており、延長ホース22jは、前記穴を通じて冷媒液出口22cから本体部22a内へ延びている。延長ホース22jは柔軟性を有するシリコンゴム等の素材により構成されており、冷媒液入口22dと反対側の先端には、該先端における冷媒液Wの流路を囲むようにリング状の錘22kが備えられている。
【0060】
また、保冷部材22hにおける冷媒液入口22dに対応する位置にも、同様に保冷部材22hを上下に貫通する穴が設けられている。
【0061】
蓋部22bの冷媒液出口22cの外側には吸入管25の一端が連結され、該吸入管25の他端はポンプユニット23の入側へ接続される。ポンプユニット23の出側は、出口ホース26を介して着用部2の第一のチャンバ5に接続された第一の接続管7に連結される(
図6参照)。蓋部22bの冷媒液入口22dは、入口ホース27を介して着用部2の第二のチャンバ6に接続された第二の接続管8に連結される(
図6参照)。ポンプユニット23には、ポンプと共に該ポンプを駆動する電源装置が内蔵されており、該電源装置からは、例えば四本の単三電池により、6Vの電圧にて電力が供給されるようになっている。
【0062】
次に、上記した本第一実施例の作動を説明する。
【0063】
本第一実施例の冷却機能付き衣服21を使用するにあたっては、使用者の上半身に着用部2を着用し(
図6参照)、冷却ユニット22の本体部22aに保冷剤である飲料入容器24を収容し、さらに冷媒液Wとして水を満たす(
図7参照)。
【0064】
この際、飲料入容器24は予め冷凍庫等により予冷し、内部の飲料を凍結させておく。また、蓋部22bに取り付ける保冷部材22hも同様に予冷する。さらに必要に応じ、本体部22aにはスペーサ22iをも収容することができるが、その場合には、スペーサ22iも同様に予冷しておくと良い。
【0065】
上述の如く、蓋部22bの冷媒液出口22cとポンプユニット23の入側とを吸入管25により連結し、ポンプユニット23の出側は出口ホース26を介して第一の接続管7に連結する。蓋部22bの冷媒液入口22dは、入口ホース27を介して第二の接続管8に連結する(
図6参照)。
【0066】
この状態で、ポンプユニット23の電源スイッチ(図示せず)をオンにすると、保冷剤24によって冷却された冷媒液Wが吸入管25からポンプユニット23へ吸い出され、出口ホース26から第一の接続管7を介して第一のチャンバ5に送り込まれる。第一のチャンバ5に導入された冷媒液Wは、着用部2のなす面に沿って流れた後、第二の接続管8から入口ホース27を通って冷却ユニット22に戻される。こうして、冷媒液Wは冷却ユニット22、ポンプユニット23及び着用部2の間を循環する。
【0067】
この際、冷却ユニット22内において、冷媒液入口22dから蓋部22b付近へ導入された冷媒液Wは、保冷剤である飲料入容器24の周囲を通過しつつ本体部22a内を底部に向かって移動し、該底部にて延長ホース22jの先端から吸い出され、該延長ホース22jに導かれて蓋部22bへ向かい、冷媒液出口22cから流出する。こうして、本体部22a内を通過する際、冷媒液Wと保冷剤24とが長く接触することにより、熱交換が効率良く行われるようになっている。
【0068】
ここで、上述の如く、延長ホース22jは柔軟性を有する素材で構成されていると共に先端には錘22kが取り付けられている。したがって、冷却機能付き衣服21を使用する際、冷却ユニット22が傾動すると、延長ホース22jの先端は、錘22kを伴い、重力に従って本体部22a内を上下に移動することになる。こうすることにより、錘22kの取り付けられた延長ホース22jの先端部が、本体部22a内の冷媒液W中に常に沈んだ状態となるので、冷却ユニット22の傾きによらず、延長ホース22jを介した冷媒液Wの吸い出しをスムーズに行うことができる。
【0069】
本第一実施例の特徴は、第一に携帯性である。すなわち、冷却ユニット22の大きさを、500mlのペットボトルを収容できる程度としているので、冷却ユニット22のサイズ及び重量が小さく、容易に携行することが可能である。また、ポンプユニット23も簡単に携行できる大きさであるので、冷却ユニット22及びポンプユニット23を使用者の衣服等に連結することで、屋外における労働等に用いることができるほか、例えば自転車のフレームに冷却ユニット22を搭載し、搭乗者の体を冷却するといった使い方も可能である。また、野外での活動に限らず、例えば工場等の屋内で使用すれば、仮にエアコンの作動をオフ、あるいは設定温度を高めにしていても快適な体感温度にて活動することが可能であり、夏季における節電対策の一環として利用し得る。
【0070】
尚、ここでは冷却ユニット22とポンプユニット23とを別々に備えた場合を例示したが、ポンプユニット23を冷却ユニット22に内蔵したり、冷却ユニット22とポンプユニット23を一体の部品として構成することも可能である。
【0071】
さらに、使用に伴い、本体部22aに収容された飲料入容器24内の飲料は、着用部2にて回収した熱により徐々に溶融していくが、本第一実施例の場合、この溶融した飲料を使用者の飲用に供することもでき、使用者にとっては熱中症への対策ともなり得る。無論、保冷剤としての飲料入容器24の冷却性能は、飲料を飲用した分だけ落ちてしまうが、その際には保冷剤24として新たな飲料入容器を本体部22aに収容すれば、冷却性能を復活させることができる。近年では、コンビニエンスストア等で凍らせたペットボトル入り清涼飲料水を販売しているので、そういった商品を購入して補充すれば良い。
【0072】
以上のように、上記本第一実施例の冷却機能付き衣服21において、冷却ユニット22は、保冷剤として丁度一本の飲料入容器24を収容可能に構成されているので、使用に伴って飲料入容器24内で溶融した飲料を使用者の飲用に供することができる。
【0073】
また、本第一実施例の冷却機能付き衣服21は、冷却ユニット22から冷媒液Wを送り出す冷媒液出口22cから冷却ユニット22内に向かって延びる柔軟性の延長ホース22jと、該延長ホース22jの先端に取り付けられた錘22kとを備えているので、延長ホース22jの先端部が冷媒液W中に常に沈んだ状態となり、冷却ユニット22の傾きによらず、冷媒液Wの吸い出しをスムーズに行うことができる。
【0074】
その他の構成や作用効果については上記参考例と同様であるため省略するが、上記本第一実施例によっても、高温下における冷却の持続時間を向上し得る。
【0075】
図8、
図9は本発明の冷却機能付き衣服の形態の第二実施例を示すものである。本第二実施例の冷却機能付き衣服31の場合、着用部2やポンプユニット10に関しては上記参考例や第一実施例(
図2、
図3及び
図6、
図7参照)と共通しているが、冷却ユニット32、特に蓋部32aの構成が異なっている。
【0076】
すなわち、本第二実施例では、冷却ユニット32内に保冷剤として丁度一本の飲料入容器24を収容するようにした点に関しては上記第一実施例の冷却機能付き衣服21(
図6、
図7参照)と同様であるが、蓋部32aに備えた円筒形状の支持リング32bの内周面に螺旋状のピッチを形成し、キャップを外した飲料入容器24の飲み口に備えたピッチと螺合するよう構成した点を特徴としている。一般的なペットボトルでは、飲み口の外周面ないしキャップの内周面に備えたピッチの規格が概ね共通しているので、支持リング32bの内周面に、前記キャップの内周面のピッチに即した形状のピッチを設けることにより、蓋部32aに対し、キャップを外した飲料入容器24の飲み口を直接固定することができる。
【0077】
蓋部32aの上面には、支持リング32bと対応する位置に突出する円筒形状の飲用口32cが備えられている。飲用口32cは、蓋部32a下面の支持リング32bと直接連通しており、該支持リング32bに飲料入容器24の飲み口を固定すると、該飲み口が支持リング32b及び飲用口32cを介して蓋部32aの上面と連通した状態となる。
【0078】
蓋部32aの上面には、さらに飲用口32cを覆うように飲用蓋32dが設けられている。飲用蓋32dは、飲用口32cを密閉可能に覆うと共に、該飲用口32cを開閉可能に蓋部32aに対して取り付けられている。
【0079】
上述の如き構成の本第二実施例の冷却機能付き衣服31を使用する際には、まず凍結させた飲料入容器24の頭部のキャップを開封し、飲み口を蓋部32aの支持リング32bに直接固定し、その状態で、飲料入容器24を本体部22aに収容し、蓋部32aを本体部22aに固定すれば良い。
【0080】
このようにすると、冷却機能付き衣服31の使用にあたり、冷却ユニット32に収容した飲料入容器24は蓋部32aに固定されているので、飲料入容器24が冷却ユニット32内で動くことがない。また、飲料入容器24の内容物を飲用に供するにあたっては、飲用蓋32dを開放すれば、飲料入容器24の飲み口と連通する飲用口32cが現れるので、そこから飲料を口に運べば良い。すなわち、上記第一実施例(
図7参照)では、飲用の際、まず蓋部22bを捻って開封してから本体部22aに収容された飲料入容器24を取り出し、さらに飲料入容器24のキャップを開封するという手順を踏む必要があるが、これに対し本第二実施例では、飲用蓋32dを開放するだけで飲用に及ぶことができるので、非常に簡便である。
【0081】
以上のように、上記本第二実施例の冷却機能付き衣服31において、冷却ユニット32は、飲料入容器24を収容する本体部22aと、該本体部22aの上部を開閉可能に覆う蓋部32aと、該蓋部32aの下面から本体部22a側へ突出するように形成され、円筒形状の内周面に飲料入容器24のキャップを外した頭部を固定可能に構成された支持リング32bと、蓋部32aの上面における支持リング32bに対応する位置に形成され、支持リング32bと連通する飲用口32cと、該飲用口32cを開閉するよう、蓋部32aに取り付けらた飲用蓋32dとを備えているので、飲料入容器24が蓋部32aに固定され、冷却ユニット32内で動くことがない。また、飲用蓋32dを開放するだけで保冷剤(飲料入容器)24の内容物を飲用に供することができ、簡便である。
【0082】
その他の構成や作用効果については上記第一実施例と同様であるため省略するが、上記本第二実施例によっても、高温下における冷却の持続時間を向上し得る。
【0083】
尚、本発明の冷却機能付き衣服は、上述の実施例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0084】
1 冷却機能付き衣服
2 着用部
3 冷却ユニット
4 冷却チューブ
9e 充填材
10 ポンプユニット
12 保冷剤
12a 保冷剤
12b 保冷剤
13 内部ホース(出口側内部ホース)
14 内部ホース(入口側内部ホース)
21 冷却機能付き衣服
22 冷却ユニット
22a 本体部
22c 冷媒液出口
22j 延長ホース
22k 錘
23 ポンプユニット
24 保冷剤(飲料入容器)
31 冷却機能付き衣服
32 冷却ユニット
32a 蓋部
32b 支持リング
32c 飲用口
32d 飲用蓋
W 冷媒液