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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-03
(45)【発行日】2022-03-11
(54)【発明の名称】ケレップ交換補助具
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/042 20060101AFI20220304BHJP
【FI】
E03C1/042 B
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2017226382
(22)【出願日】2017-11-26
(65)【公開番号】P2019094710
(43)【公開日】2019-06-20
【審査請求日】2020-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】506228250
【氏名又は名称】株式会社アクアリンク
(74)【代理人】
【識別番号】100167081
【弁理士】
【氏名又は名称】本谷 孝夫
(72)【発明者】
【氏名】津金 洋
【審査官】油原 博
(56)【参考文献】
【文献】実開昭58-085672(JP,U)
【文献】特開2010-121431(JP,A)
【文献】実公昭49-000865(JP,Y1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0048832(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/00-1/10
F16L 55/18
F16K 43/00
E03B 9/00、9/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、
内部に入口(30)から吐出口(36)へ連通されると共に、途中に弁座(44)が配置された通水路(40)と、
前記通水路(40)に交差するよう設けられ、中間にスピンドル雌螺子部(54)が設けられたスピンドル保持孔(56)が形成されると共に、前記スピンドル保持孔(56)の周囲にキャップナット(66)螺合用の収納筒雄螺子部(72)が設けられた蛇口本体(20)と、
外周にスピンドル雄螺子部(58)が設けられ、端部に一体的に移動可能、かつ、分離可能にケレップ(22)が装着され、前記スピンドル雄螺子部(58)が前記スピンドル雌螺子部(54)に螺合されて前記弁座(44)に接近又は離隔可能に前記スピンドル保持孔(56)に保持されるスピンドル(52)と、
前記収納筒雄螺子部(72)に螺合され、前記スピンドル(52)を前記スピンドル保持孔(56)に保持するキャップナット(66)、を含み、
前記ケレップ(22)の弁パッキン(26)を前記弁座(44)に圧接又は離隔させることにより前記吐出口(36)からの水道水の吐出を制御するようにした蛇口用のケレップ交換補助具であって、
前記収納筒雄螺子部(72)に装着可能な被装着体(102)と、
前記被装着体(102)に着脱可能な装着体(104)と、
前記装着体(104)に付設され、作業者の手(162H)が挿入可能な開口を有する集水カバー(106)と、
を含むケレップ交換補助具。
【請求項2】
前記被装着体(102)は、筒状であり、内周面に前記収納筒雄螺子部(72)と螺合する被装着体雌螺子部(122)が形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載したケレップ交換補助具。
【請求項3】
前記被装着体(102)は、筒状であり、内周面に前記収納筒雄螺子部(72)に弾接する弾接体(202)が配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載したケレップ交換補助具。
【請求項4】
前記被装着体(102)は、外周面にリング状の凹溝(118)が形成され、
前記凹溝(118)に弾性摩擦体(112)が嵌合される
ことを特徴とする請求項1~3の何れかに記載したケレップ交換補助具。
【請求項5】
前記弾性摩擦体(112)がオーリングである
ことを特徴とする請求項4に記載したケレップ交換補助具。
【請求項6】
前記被装着体(102)は、円筒状である
ことを特徴とする請求項1~5の何れかに記載したケレップ交換補助具。
【請求項7】
前記集水カバー(106)は排水口(178)を有する
ことを特徴とする請求項1~6の何れかに記載のケレップ交換補助具。
【請求項8】
前記装着体(104)が、受入穴(142)を有し、前記受入穴(142)は前記被装着体(102)に嵌合可能である
ことを特徴とする請求項5に記載のケレップ交換補助具。
【請求項9】
前記受入穴(142)の内周面が前記被装着体(102)に装着された前記弾性摩擦体(112)の外周面と密接可能である
ことを特徴とする請求項8に記載のケレップ交換補助具。
【請求項10】
前記集水カバー(106)は、透明且つ柔軟性を有するシートによって構成されている
ことを特徴とする請求項1~9の何れかに記載のケレップ交換補助具。
【請求項11】
前記集水カバー(106)は、前記装着体(104)に交換可能に取り付けられている
ことを特徴とする請求項10に記載のケレップ交換補助具。
【請求項12】
前記集水カバー(106)の前記作業者の手(162H)が挿入可能な挿入開口(154)は、密着手段(164)によって、前記作業者の腕(162A)周囲に実質的に密着されることを特徴とする請求項1~11の何れかに記載のケレップ交換補助具。
【請求項13】
前記排水口(178)は、前記集水カバー(106)に取り付けられた排水管(174)に設けられていることを特徴とする請求項7に記載のケレップ交換補助具。
【請求項14】
前記排水管(174)は、前記集水カバー(106)の周方向における異なる位置に複数配置されている
ことを特徴とする請求項13に記載のケレップ交換補助具。
【請求項15】
前記排水管(174)には、柔軟性を有する排水パイプ(192)が接続される
ことを特徴とする請求項13又は14に記載のケレップ交換補助具。
【請求項16】
前記集水カバー(106)は、前記作業者の手(162H)が挿入可能な挿入開口(154)と前記装着体(104)との間に、周縁側へ拡大するリング状の拡大部(196)が形成され、前記排水口(178)は前記拡大部(196)の底部に配置される
ことを特徴とする請求項13~15の何れかに記載のケレップ交換補助具。
【請求項17】
少なくとも、
内部に入口(30)から吐出口(36)へ連通されると共に、途中に弁座(44)が形成された通水路(40)と、
前記通水路(40)に交差するよう設けられ、中間にスピンドル雌螺子部(54)が設けられたスピンドル保持孔(56)が形成されると共に、前記スピンドル保持孔(56)の周囲にキャップナット螺合用の収納筒雄螺子部(72)が設けられた蛇口本体(20)と、
上端部にハンドル(74)が着脱可能に取り付けられると共に、中間部外周面にスピンドル雄螺子部(58)が設けられ、かつ、下端面にケレップ装着穴(60)が形成され、前記スピンドル雄螺子部(58)が前記スピンドル雌螺子部(54)に螺合されて前記スピンドル保持孔(56)の軸線(46)に沿って前記弁座(44)に対し接近又は離隔するよう移動可能に保持されるスピンドル(52)と、
前記ケレップ装着穴(60)に挿入可能な円柱部(78)及び円形のパッキン受部(24)が前記軸線(46)を軸線として一体的に形成され、前記パッキン受部(24)に弁パッキン(26)が一体的に設けられ、前記円柱部(78)が前記ケレップ装着穴(60)に挿入されることにより前記スピンドル(52)と一体的に移動可能、かつ、前記軸線(46)回りに別体に回転可能なケレップ(22)と、
前記収納筒雄螺子部(72)に螺合され、前記スピンドル(52)を前記スピンドル保持孔(56)に保持するキャップナット(66)により構成される蛇口(18)であって、
前記ケレップ(22)の弁パッキン(26)を前記弁座(44)に圧接又は離隔させることにより前記吐出口(36)からの水道水の吐出を制御するようにした蛇口用のケレップ交換補助具であって、
前記収納筒雄螺子部(72)に螺子込み可能な被装着体雌螺子部(122)を有する円形リング状であって、外周面にパッキン溝(124)が形成された被装着体(102)と、
前記パッキン溝(124)に装着され、前記被装着体(102)の外周面の外側に突出する弾性摩擦体(112)と、
前記被装着体(102)に着脱可能であり、内周面が前記弾性摩擦体(112)の外周面に接触可能な装着体(104)と、
作業者の手(162H)が挿入可能な挿入開口(154)を有する集水カバー(106)と、
前記集水カバー(106)に設けた排水口(178)
を含むケレップ交換補助具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水道の蛇口におけるケレップ交換作業を、水道の元栓を閉じること無く可能にするケレップ交換補助具に関する。
特に、水道の蛇口におけるケレップ交換作業を、水道の元栓を閉じること無く、かつ、周囲に水を飛散させること無く可能にするケレップ交換補助具に関する。
さらには、構成部材が摩耗又は損傷した場合であっても容易に部品交換出来るようにしたケレップ交換補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
図14に示すように、一般家庭や事業場等の各需用者における水道10の配管は、配水本管から配水支管(図示せず)を介して各需用者における給水管12に水道メータ14及び主開閉弁(元栓)16が介設された後、台所、洗面所等における個別の蛇口18に接続される。図15に示すように、蛇口18は、主に、蛇口本体20と、ケレップ22、及び、スピンドル52によって構成されている。蛇口18における水の吐出、停止は一般的には、ケレップ(水栓コマ)22が用いられ、当該ケレップ22は円盤状のパッキン受部24と弁パッキン26によって構成されている。当該弁パッキン26が摩耗し、水漏れが生じるようになった場合には、ケレップ22を交換する。次に蛇口18の概要を図15を参照しつつ説明する。蛇口本体20は、通常、壁28に埋設された金属又は樹脂からなる水道管(図示せず)に一端部が螺子込まれ、固定される。蛇口本体20は、全体的には中空であって、内部の中間に形成された区画壁32によって給水管12に連なる入口30たる入口部通路34と、吐出口36に連なる出口部通路38に区画されている。したがって、蛇口18は入口部通路34と出口部通路38とよりもなる通水路40を含んでいる。区画壁32には入口部通路34と出口部通路38を接続する円形の連通孔42が形成され、連通孔42の出口部通路38側の周縁にはリング状の弁座44が形成されている。換言すれば、通水路40の途中には弁座44が配置されている。連通孔42の軸線46と同軸に出口部通路38に所定の角度をもって連通するスピンドル収納筒48が形成され、スピンドル52が螺合されるスピンドル雌螺子部54がその内面に形成されている。換言すれば、出口部通路38に対し交差する方向にスピンドル保持孔56が形成され、当該スピンドル保持孔56の中間にスピンドル雌螺子部54が形成されている。スピンドル52は、大径部にスピンドル雄螺子部58が形成され、下端部にケレップ装着穴60が軸線46に沿って形成されている。スピンドル雄螺子部58がスピンドル雌螺子部54に螺合され、螺子込み方向に回転される場合、ケレップ22は弁座44に近づき、緩み方向に回転される場合、座金62から離隔される。スピンドル52の中間には座金62及び三角パッキン64が装着され、キャップナット66の下端部内面に形成されたキャップナット雌螺子部68がスピンドル収納筒48の上端部外周面に形成された収納筒雄螺子部72に螺合されて保持される。スピンドル52の上端部小径部70の端部にハンドル74が装着され、ビス76によって固定されている。ケレップ22のパッキン受部24は、上端部が小径の円柱部78、中間が弁座44よりも大径の円盤状のパッキン受部24が形成され、パッキン受部24の端面に円形の弁パッキン26が固定されている。これにより、ハンドル74を回してスピンドル雄螺子部58が螺子込み方向に回転された場合、スピンドル雌螺子部54との協働によって、弁パッキン26が弁座44へ圧接されて蛇口18は閉止状態となり、吐出口36からの水の流出は停止される。一方、ハンドル74がスピンドル雄螺子部58の緩み方向に回転された場合、弁パッキン26は弁座44から離れて吐出口36から水道水が勢いよく流出することになる。
【0003】
弁パッキン26が摩耗して弁座44に密着せず、漏水状態になった場合、ケレップ22を交換する必要がある。ケレップ22の交換作業を図16及び図17を参照しつつ説明する。まず図16(A)に示すように、ビス76を緩めてハンドル74をスピンドル52の上端部小径部70の上端部から取り外し、次いで、同図(B)に示すようにキャップナット66を緩めて収納筒雄螺子部72(スピンドル収納筒48)から取り外す。次いで、図17に示すように、スピンドル52を緩み方向に回してスピンドル雄螺子部58とスピンドル雌螺子部54との螺合を解消した後、スピンドル収納筒48からスピンドル52を抜き出す。スピンドル52を抜き出した際、ケレップ22が一体的に抜き出され、又は、ケレップ22がスピンドル収納筒48内に残留する。残留したケレップ22はピンセット等によってつまみだし、新しいケレップ22の円柱部78をケレップ装着穴60に挿入した後、前述と逆の手順でケレップ22を蛇口本体20に組み付ける。通常、この交換作業は、主開閉弁16を閉じた状態で行なわれる。スピンドル保持孔56から水道水の漏出による周囲への飛散防止、床面の浸水防止、及び、作業の容易化のためである。しかしながら、多くの蛇口18が設置された工場や食堂の厨房等においては、主開閉弁16と多数の蛇口18との間の配管が複雑に設置されている場合があり、蛇口18に対応する主開閉弁16を探し出すことが困難な場合がある。また、主開閉弁16と蛇口18との距離が離れている場合もあり、作業の効率化のため、主開閉弁16を閉止せずともケレップ22を容易に交換できるようにすることが強く要請されている。また、室内に蛇口18が設置されている場合は、ケレップ22の交換に伴う浸水問題を生じないことは必須の要件である。さらに、ハンドル74は、通常、上側に付いているが、希に、逆の下側に配置されている場合もあり、ハンドル74の位置限らず、主開閉弁16を閉じること無く、ケレップ22の交換を出来るようにすることが要請されていた。これらの要請を達成するため、以下の技術が提案されている。
【0004】
第1の従来技術として、略縦長ボール形状の布袋を形成し、該布袋の一方側面中央部に水平方向に突出した開口を設け、該開口部に近接して、開口の片側縁部にロープを上下方向に均等長さにふりわけた中央部を固着し、布袋の他方側面中央部に縦方向に設けたチャックと、上端部に設けた仮止栓と、該仮止栓付近に設けたドライバーと、下端部に設けたネットよりなり、既存の水道蛇口を、上記の開口より布袋内部に封止し、既存の水道蛇口のコマパッキングを、新コマパッキングに入れ替える事を特徴とするコマパッキング取替え具が知られている(特許文献1)。
【0005】
第2の従来技術として、止水栓の止水栓コマ及び上部セットの交換作業に好適なディープソケット形状の水道工具であって、ソケット部の口径側の外周端縁部からガイド用周壁が突設されている水道工具が知られている(特許文献2)。
【0006】
第3の従来技術として、配管の先端部に取り付けられたドレンキャップなどの締結具を緩めたり外す場合に、万が一内圧が作用していても漏れた液体や気体を作業者にかからないようにしながら締結具を外すことができ、作業の安全性を向上させるため、螺子部を有するドレンキャップなどの締結具に係合する係合部をロッド部の先端側に有した本体部と、該本体部に装着されて前記係合部の周囲を囲繞するカバー部材とを具備してなり、該カバー部材の前記本体部側と反対側に前記締結具を挿通自在な開口部を形成した被液などの防止カバー付レンチが知られている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第4740311号(段落0007~0014,図1図8
【文献】実用新案登録第3197807号(段落0009~0026,図1図3
【文献】特開2005-125434(段落0006~0012,図1図4
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
第1の従来技術においては、略縦長ボール形状の布袋内に水道蛇口を収納した後、ロープで当該布袋を水道蛇口に括り付ける。次いで、布袋の縦方向に設けたチャックを空けてそこから手を挿入し、古いケレップ(コマ)を取り外した後、新しいケレップを装着し、元の状態に戻す。本第1の従来技術においては、作業開始前に布袋をロープで水道蛇口にロープで括り付け、終了後は当該ロープを取り外す必要があり、極めて煩雑である。また、主開閉弁を閉じないでケレップの交換を行った場合、スピンドル保持孔から流出する水道水は布袋に阻止されて広範囲に飛散することはないが、布袋の底部はネットであることから、床面に落下することは明らかである。落下した床面が排水構造又は屋外である場合、問題は無いが、その他の場合は床面が浸水すると共に、水道蛇口のハンドルが逆さまに設置された場合も同様にロープで水道蛇口に布袋を括り付けなければならず、俄に採用しがたい。
【0009】
第2の従来技術においては、ソケット部の口径側の外周端縁部からガイド用周壁が突設されているので、当該ガイド用周壁に案内させてケレップ等の交換作業ができ、主開閉弁が閉弁されておらず、水道水がスピンドル孔から勢いよく噴出する場合であっても、作業が容易に行える利点があるが、ソケット部(スピンドル保持孔)から流出した水道水は、貫通孔を介して周囲へ流出し、床面を浸水するため、第1の従来技術と同様に俄に採用しがたい。
【0010】
第3の従来技術においては、締結具に係合する係合部をロッド部の先端側に有した本体部と、該本体部に装着されて前記係合部の周囲を囲繞するカバー部材とを具備してなり、該カバー部材の前記本体部側と反対側に前記締結具を挿通自在な開口部が形成されているので、ドレンキャップを緩めた際に、パイプから想定しないタイミングで液体等が漏れた場合であっても、吹き出した液体や気体はカバー部材の内面に当たってカバー部材の内部を伝わり、カバー部材の開口部から外に流れ落ちるか外部に出るので、作業者への悪影響を回避できる利点はあるが、カバー部材は締付具に係合する本体部と一体であるので、締付具と分離して作業が必要なケレップ交換作業においては俄に採用しがたい問題がある。
【0011】
本発明の基本的目的である第1の目的は、主開閉弁を閉じること無く、かつ、周囲に水道水を実質的に飛散させることなくケレップを交換できるケレップ交換補助具を提供することである。したがって、第1の目的が本発明の基本的目的であるので、少なくとも本第1の目的を達成できる場合、本発明の技術的範囲に属するものであり、以下に記載する従的な目的を達成する必要性はない。
本発明の従的な目的である第2の目的は、主開閉弁を閉じること無く、かつ、周囲に水道水を飛散させることなく、更に、流出水によって床を浸水させないでケレップを交換できるケレップ交換補助具を提供することである。
本発明の従的な目的である第3の目的は、主開閉弁を閉じること無く、かつ、蛇口の取付状態に影響されずに、周囲に水道水を飛散させることなく容易に交換できるケレップ交換補助具を提供することである。
本発明の従的な目的である第4の目的は、主開閉弁を閉じること無くケレップを交換でき、かつ、補修が容易なケレップ交換補助具を提供することである。
本発明の従的な目的である第5の目的は、主開閉弁を閉じること無くケレップを交換でき、かつ、安価なケレップ交換補助具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的を達成するため、請求項1にかかる第1の発明は以下のように構成されている。
少なくとも、
内部に入口から吐出口へ連通されると共に、途中に弁座が形成された通水路と、
前記通水路に交差するよう設けられ、中間にスピンドル雌螺子部が設けられたスピンドル保持孔が形成されると共に、前記スピンドル保持孔の周囲にキャップナット螺合用の収納筒雄螺子部が設けられた蛇口本体と、
外周にスピンドル雄螺子部が設けられ、端部に一体的に移動可能、かつ、分離可能にケレップが装着され、前記スピンドル雄螺子部が前記スピンドル雌螺子部に螺合されて前記弁座に接近又は離隔可能に前記ケレップ保持孔に保持されるスピンドルと、
前記収納筒雄螺子部に螺合され、前記スピンドルを前記ケレップ保持孔に保持するキャップナット、を含み、
前記ケレップの弁パッキンを前記弁座に圧接又は離隔させることにより前記吐出口からの水道水の吐出を制御するようにした蛇口用のケレップ交換補助具であって、
前記収納筒雄螺子部に装着可能な被装着体と、
前記被装着体に着脱可能な装着体と、
前記装着体に付設され、作業者の手が挿入可能な開口を有する集水カバーと、
を含むケレップ交換補助具である。
【0013】
請求項2に係る第2の発明は、
前記被装着体は、筒状であり、内周面に前記収納筒雄螺子部と螺合する被装着体雌螺子部が形成されている
ことを特徴とする第1の発明に記載したケレップ交換補助具である。
【0014】
請求項3に係る第3の発明は、
前記被装着体は、筒状であり、内周面に前記収納筒雄螺子部に弾接する弾接体が配置されている
ことを特徴とする第1の発明のケレップ交換補助具である。
【0015】
請求項4に係る第4の発明は、
前記被装着体は、外周面にリング状の凹溝が形成され、
前記凹溝に弾性摩擦体が嵌合される
ことを特徴とする第1~第3の発明のケレップ交換補助具である。
【0016】
請求項5に係る第5の発明は、
前記弾性摩擦体がオーリングである
ことを特徴とする第4の発明のケレップ交換補助具である
【0017】
請求項6に係る第6の発明は、
前記被装着体は、円筒状である
ことを特徴とする第1~第5の発明の何れかに記載したケレップ交換補助具である。
【0018】
請求項7に係る第7の発明は、
前記集水カバーは排水口を有する
ことを特徴とする第1~第6の発明の何れかのケレップ交換補助具である。
【0019】
請求項8に係る第8の発明は、
前記装着体が、受入穴を有し、前記受入穴は前記被装着体に嵌合可能である
ことを特徴とする第5の発明のケレップ交換補助具である。
【0020】
請求項9に係る第9の発明は、
前記受入穴の内周面が前記被装着体に装着された弾性摩擦体の外周面と密接可能である
ことを特徴とする第8の発明のケレップ交換補助具である。
【0021】
請求項10に係る第10の発明は、
前記集水カバーは、透明且つ柔軟性を有するシートによって構成されている
ことを特徴とする第1~第9の発明のケレップ交換補助具である。
【0022】
請求項11に係る第11の発明は、
前記集水カバーは、前記装着体に交換可能に取り付けられている
ことを特徴とする第10の発明のケレップ交換補助具である。
【0023】
請求項12に係る第12の発明は、
前記集水カバーの前記作業者の手が挿入可能な開口は、密着手段によって、作業者の腕周囲に実質的に密着されることを特徴とする第1~第11の発明のケレップ交換補助具である。
【0024】
請求項13に係る第13の発明は、
前記排水口は、前記集水カバーに取り付けられた排水管に設けられていることを特徴とする第7~第12の発明のケレップ交換補助具である。
【0025】
請求項14に係る第14の発明は、
前記排水管は、前記集水カバーの周方向における異なる位置に複数配置されている
ことを特徴とする第13の発明のケレップ交換補助具である。
【0026】
請求項15に係る第15の発明は、
前記排水管には、柔軟性を有する排水パイプが接続される
ことを特徴とする第13又は第14の発明のケレップ交換補助具である。
【0027】
請求項16に係る第16の発明は、
前記集水カバーは、前記作業者の手が挿入可能な開口と装着体との間に、周縁側へ拡大するリング状の拡大部が形成され、前記排水口は前記拡大部の底部に配置される
ことを特徴とする第13~第15の発明のケレップ交換補助具である。
【0028】
請求項17に係る第17の発明は、
少なくとも、
内部に入口から吐出口へ連通されると共に、途中に弁座が形成された通水路と、
前記通水路に交差するよう設けられ、中間にケレップ雌螺子部が設けられたスピンドル保持孔が形成されると共に、前記スピンドル保持孔の周囲にキャップナット螺合用の収納筒雄螺子部が設けられた蛇口本体と、
上端部にハンドルが着脱可能に取り付けられると共に、中間部外周面にスピンドル雄螺子部が設けられ、かつ、下端面にケレップ装着穴が形成され、前記スピンドル雄螺子部が前記スピンドル雌螺子部に螺合されて前記ケレップ保持孔の軸線に沿って前記弁座に対し接近又は離隔するよう移動可能に保持されるスピンドルと、
前記ケレップ装着穴に挿入可能な円柱部及び円形のパッキン受部が前記軸線を軸線として一体的に形成され、前記パッキン受部に弁パッキンが一体的に設けられ、前記円柱部が前記ケレップ装着穴に挿入されることにより前記スピンドルと一体的に移動可能、かつ、前記軸線回りに別体に回転可能なケレップと、
前記収納筒雄螺子部に螺合され、前記スピンドルを前記ケレップ保持孔に保持するキャップナットにより構成される蛇口であって、
前記ケレップの弁パッキンを前記弁座に圧接又は離隔させることにより前記吐出口からの水道水の吐出を制御するようにした蛇口用のケレップ交換補助具であって、
前記収納筒雄螺子部に螺子込み可能な被装着体雌螺子部を有する円形リング状であって、外周面にパッキン溝が形成された被装着体と、
前記パッキン溝に装着され、被装着体の外周面の外側に突出する弾性体と、
前記被装着体に着脱可能であり、内周面が前記弾性体外周面に接触可能な装着体と、
作業者の手が挿入可能な開口を有する集水カバーと、
前記集水カバーに設けた排水口
を含むケレップ交換補助具である。
【発明の効果】
【0029】
請求項1に係る第1の発明において、ケレップを交換する場合、主開閉弁を閉じること無く、ハンドルを外した後、蛇口本体からキャップナットを外す。次いで、被装着体を収納筒雄螺子部に係合させて固定する。次いで、装着体を被装着体に嵌め込んで装着することにより、装着体に付設された集水カバーを蛇口本体に取り付ける。これにより、蛇口本体のスピンドル保持孔から流出する水道水は集水カバー内へ流出し、周囲に飛散することはない。したがって、装着体を被装着体へ嵌め込むだけで集水カバーを蛇口に取り付けでき、かつ、流出水を飛散させないので、本発明の基本的目的たる第1の目的を達成できる利点がある。
【0030】
請求項2に係る第2の発明において、基本的構成は第1の発明と同一であることから、第1の目的を達成できる。さらに、第2の発明においては、被装着体はその内周面に形成された雌螺子部が、収納筒雄螺子部に螺合されて蛇口本体に固定される。したがって、被装着体は収納筒雄螺子部に螺子込んで蛇口本体に固定されるので、強固に被装着体を蛇口本体に固定できる。よって、ケレップ交換作業を円滑に行うことができる利点がある。
【0031】
請求項3に係る第3の発明において、基本的構成は第1の発明と同一であることから、第1の目的を達成できる。さらに、第3の発明においては、被装着体は、筒状であり、内周面に前記収納筒雄螺子部に弾接する弾接体が配置されている。したがって、被装着体を蛇口本体に固定する場合、被装着体を収納筒雄螺子部に押し込むだけで良いので、容易に装着できる利点がある。
【0032】
請求項4に係る第4の発明において、基本的構成は第1の発明と同一であることから、第1の目的を達成できる。さらに、第4の発明においては、被装着体の外周面にリング状の凹溝が形成され、当該凹溝に弾性摩擦体が嵌合されている。この被装着体に装着体を嵌め込むと、弾性摩擦体が圧縮変形されて装着体内面に圧接するので、装着体が被装着体に摩擦抵抗によって保持され、結果として、蛇口本体に装着される。これにより、被装着体に装着体を嵌め込むだけで良いので、極めて容易に装着体を取り付けできる。したがって、より一層容易に集水カバーを蛇口に取り付けできる利点がある。
【0033】
請求項5に係る第5の発明において、基本的構成は第1の発明と同一であることから、第1の目的を達成できる。さらに、第5の発明においては、弾性摩擦体が一般的に市販されているオーリングであることから、安価に製造でき、第5の目的を達成できる利点がある。
【0034】
請求項6に係る第6の発明において、基本的構成は第1の発明と同一であるので、本発明の基本的目的たる第1の目的を達成できる利点がある。さらに、被装着体が円筒状であるから、製造が容易であり、また、素材の量も少ないので、安価であり、本発明の従的な目的である第5の目的を達成することができる利点がある。
【0035】
請求項7に係る第7の発明において、基本的構成は第1の発明と同一であるので、本発明の基本的目的たる第1の目的を達成できる利点がある。さらに、集水カバーは排水口を有するので、スピンドル保持孔から集水カバー内に噴出し、集水カバー内に溜まった水道水は排水口から排出される。したがって、スピンドル保持孔から流出した水道水は排水口から排出されるので、周囲を浸水させることなくケレップを交換でき、本発明の従的な目的である第3の目的を達成することができる利点がある。
【0036】
請求項8に係る第8の発明において、基本的構成は第1の発明と同一であるので、本発明の基本的目的たる第1の目的を達成できる利点がある。さらに、装着体が、受入穴を有し、前記受入穴は前記被装着体に嵌合可能であるので、装着体の装着孔に被装着体が位置するように嵌め合わせることにより、集水カバーをワンタッチで蛇口本体に装着することが出来、主開閉弁を閉じること無く、かつ、周囲に水道水を飛散させることなく容易にケレップを交換できるので、本発明の従的目的たる第2の目的を達成できる利点がある。
【0037】
請求項9に係る第9の発明において、基本的構成は第1の発明と同一であるので、本発明の基本的目的たる第1の目的を達成できる利点がある。さらに、受入穴の内周面が前記被装着体に装着された弾性摩擦体の外周面と密接可能であることから、装着体の装着孔に被装着体が位置するように嵌め合わせることにより、弾性摩擦体の外周が装着孔の内周面と密接し、それらの間の摩擦力によって集水カバーが容易に蛇口本体から外れないようにワンタッチで蛇口本体に装着することが出来、主開閉弁を閉じること無く、かつ、周囲に水道水を飛散させることなく容易にケレップを交換できるので、本発明の第2の目的を達成できる利点がある。
【0038】
請求項10に係る第10の発明において、基本的構成は第1の発明と同一であるので、本発明の基本的目的たる第1の目的を達成できる利点がある。さらに、集水カバーは、透明且つ柔軟性を有するシートによって構成されていることから、ケレップを交換する際、スピンドル保持孔の位置やスピンドルの状態を確認しながら交換作業ができることから、本発明の第2の目的を達成できる利点がある。
【0039】
請求項11に係る第11の発明において、基本的構成は第1の発明と同一であるので、本発明の基本的目的たる第1の目的を達成できる利点がある。さらに、集水カバーは、前記装着体に交換可能に取り付けられていることから、集水カバーが損傷した場合、新規の集水カバーに容易に交換することができるので、本発明の従的目的たる第4の目的を達成できる利点がある。
【0040】
請求項12に係る第12の発明において、基本的構成は第1の発明と同一であるので、本発明の基本的目的たる第1の目的を達成できる利点がある。さらに、集水カバーに設けられた作業者の手を挿入可能な挿入開口は、密着手段によって、腕周囲に実質的に密着されることから、集水カバー内に流出し、溜まった水道水は、腕挿入用の挿入開口から漏れることが無いので、交換作業に伴って周囲を浸水させることが無く、したがって、本発明の従的目的たる第3の目的を達成できる利点がある。
【0041】
請求項13に係る第13の発明において、基本的構成は第1の発明と同一であるので、本発明の基本的目的たる第1の目的を達成できる利点がある。さらに、第13の発明においては、排水口が集水カバーに取り付けられた排水管に設けられているので、集水カバー内に溜まった水道水は排水管を介して排水される。したがって、交換作業に伴って周囲を浸水させることが無く、本発明の従的目的たる第3の目的を達成できる利点がある。
【0042】
請求項14に係る第14の発明において、基本的構成は第1の発明と同一であるので、本発明の基本的目的たる第1の目的を達成できる利点がある。さらに、排水口が集水カバーの周方向における異なる位置に複数配置されているので、集水カバーの取付状態に拘わらず、排水口が下方に位置するので、集水カバー内に溜まった水道水は排水管を介して排水される。したがって、交換作業に伴って周囲を浸水させることが無く、本発明の従的目的たる第3の目的を達成できる利点がある。
【0043】
請求項15に係る第15の発明において、基本的構成は第1の発明と同一であるので、本発明の基本的目的たる第1の目的を達成できる利点がある。さらに、排水管には、柔軟性を有する排水パイプが接続されるので、障害物がある場合等はその柔軟性を利用して回避させることができ、集水カバー内に溜まった水道水は排水管を介して排水される。したがって、交換作業に伴って周囲を浸水させることが無く、本発明の従的目的たる第3の目的を達成できる利点がある。
【0044】
請求項16に係る第16の発明において、基本的構成は第1の発明と同一であるので、本発明の基本的目的たる第1の目的を達成できる利点がある。さらに、集水カバーは、手を挿入するための前記挿入開口と装着体との間に、周縁側へ拡大するリング状の拡大部が形成され、前記排水口は前記拡大部の底部に配置されるので、集水カバー内に流出した水道水は拡大部内へ流入し、当該拡大部の底部に設けられた排水口から集水カバーの外部へ排水される。したがって、交換作業に伴って周囲を浸水させることが無く、本発明の従的目的たる第3の目的を達成できる利点がある。
【0045】
請求項17に係る第17の発明において、ケレップを交換する場合、主開閉弁を閉じること無く、ハンドルを外した後、蛇口本体のキャップナットを外す。次いで、収納筒雄螺子部に被装着体雌螺子部を有し、かつ、外周面にパッキン溝が形成されたリング状の被装着体を螺子込んで蛇口本体に固定する。パッキン溝には弾性体が装着されている。次いで、装着体を被装着体に嵌め込むことにより弾性体との摩擦接触で装着体をはめ込み、集水カバーを被装着体、したがって蛇口本体に装着する。集水カバーには排水口が設けられている。これにより、蛇口本体のスピンドル保持孔から流出する水道水は集水カバー内へ流出した後、排水口から排出される。したがって、装着体を被装着体へ嵌め込むだけで集水カバーを蛇口に取り付けできるので、本発明の基本的目的たる第1の目的を達成できる利点がある。また、スピンドル保持孔から流出した水道水は集水カバーに設けられた排水口から排水され、交換作業に伴って周囲を浸水させることが無く、本発明の従的目的たる第3の目的を達成できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1図1は、本発明の実施例1のケレップ交換補助具の部分分解正面図である。
図2図2は、本発明の実施例1のケレップ交換補助具の右側面図である。
図3図3は、本発明の実施例1のケレップ交換補助具の図1におけるY―Y線一部断面図である。
図4図4は、本発明の実施例1のケレップ交換補助具に用いる被装着体の図2におけるY―Y線断面図であり、(A)は排水口が1個である例、(B)は排水口が4個である例である。
図5図5は、本発明の実施例1のケレップ交換補助具に用いる被装着体であり、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は(A)中のX―X線断面図である。
図6図6は、本発明の実施例1のケレップ交換補助具に用いる被装着体を蛇口本体に取り付けた状態の縦断面図である。
図7図7は、本発明の実施例1のケレップ交換補助具を用いたケレップ交換作業の説明図である。
図8図8は、本発明の実施例2のケレップ交換補助具の図4と同一位置での断面図である。
図9図9は、本発明の実施例3のケレップ交換補助具の密着手段の説明図である。
図10図10は、本発明の実施例4のケレップ交換補助具の装着体の拡大図であり、(A)は平面図、(B)は(A)におけるX―X線断面図である。
図11図11は、本発明の実施例5のケレップ交換補助具の被装着体を蛇口本体に取り付けた状態の断面図である。
図12図12は、本発明の実施例6のケレップ交換補助具の排水装置の集水カバーの断面図である。
図13図13は、本発明の実施例7のケレップ交換補助具の排水装置の拡大図であり、(A)は平面図、(B)は(A)におけるX-X線断面図である。
図14図14は、従来技術を説明するための家庭における水道配管の説明図である。
図15図15は、従来技術を説明するための蛇口本体の縦断面図である。
図16図16は、従来のケレップ交換手順を説明するための縦断面図であり、(A)はハンドルを取り外した状態、(B)はキャップナットを取り外した状態である。
図17図17は、従来のケレップ交換手順を説明するための縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本発明におけるケレップ交換補助具の最良の形態は、少なくとも、内部に入口から吐出口へ連通されると共に、途中に弁座が形成された通水路と、前記通水路に交差するよう設けられ、中間にスピンドル雌螺子部が設けられたスピンドル保持孔が形成されると共に、前記スピンドル保持孔の周囲にキャップナット螺合用のキャップナット雄螺子部が設けられた蛇口本体と、
上端部にハンドルが着脱可能に取り付けられると共に、中間部外周面にスピンドル雄螺子部が設けられ、下端面にケレップ装着穴が形成され、前記スピンドル雄螺子部が前記スピンドル雌螺子部に螺合されて前記スピンドル保持孔の軸線に沿って前記弁座に接近又は離隔方向に移動可能に保持されるスピンドルと、
前記ケレップ装着穴に挿入可能な円柱部及び円形のパッキン受部が前記軸線を軸線として一体的に形成され、前記パッキン受部にパッキンが一体的に設けられ、前記円柱部が前記ケレップ装着穴に挿入されることにより前記スピンドルと一体的に移動可能、かつ、前記軸線回りに別体に回転可能なケレップと、
前記キャップナット雄螺子部に螺合され、前記スピンドルを前記ケレップ保持孔に保持するキャップナットにより構成される蛇口に用いる
前記ケレップのパッキンを前記弁座に圧接又は離隔させることにより蛇口からの水道水の吐出を制御するようにしたケレップ交換補助具であって、
前記キャップナット雄螺子部に螺子込み可能な被装着体螺子部を有する、円形リング状であって、外周面にパッキン溝が形成された被装着体と、
前記パッキン溝に装着され、被装着体の外周面の外側に突出するオーリングと、
前記被装着体の外側に嵌め合わされ、内周面が前記弾性体外周面に接触可能な嵌合孔を有する装着体と、
前記装着体に一体化され、柔軟性を有する透明材料によって構成されると共に、作業者の手が挿入可能な開口を有すると共に、当該開口部分に作業者の腕に集水カバーの端部を密着させる密着手段を有する集水カバーと、
前記集水カバーに設けた複数の排水口と、
前記排水口に接続した柔軟性を有する排水管と
を含むケレップ交換補助具である。
【実施例1】
【0048】
まず実施例1のケレップ交換補助具100を図1図6を参照して説明する。なお、従来技術において説明した構成と同一部位には同一符号を付し、異なる構成を説明する。
本実施例1におけるケレップ交換補助具100は水道の蛇口18に取り付け、主開閉弁16を閉弁せずにスピンドル保持孔56から水道水が流出する状況下において、当該流出する水道水を飛散させることなくケレップ22を交換できるようにする機能を有し、本実施例1においては、少なくとも、被装着体102、被装着体102に着脱可能な装着体104、及び、装着体104に付設された集水カバー106を含んでいる。
【0049】
まず、被装着体102を説明する。
被装着体102は、蛇口本体20に装着されると共に、集水カバー106が付設された装着体104が装着される機能を有し、本実施例1においては、リング状に形成された被装着体本体108及び弾性摩擦体112を含んでいる。
【0050】
まず被装着体本体108を図5を参照しつつ説明する。
被装着体本体108は、蛇口本体20、具体的にはスピンドル収納筒48に装着されると共に、弾性摩擦体112を外周面に保持する機能を有し、本実施例1においては、所定の直径の透孔114を有する円筒状であって、外面上端部はテーパー部116が形成され、外周中間には凹溝118が全周に形成され、下部内面には収納筒雄螺子部72に螺合される被装着体雌螺子部122が形成されている。テーパー部116は、装着体104を装着する際に装着体104を案内するガイド機能を有し、その延長線は透孔114の軸線に対し約30度で交差するように形成されている。凹溝118は弾性摩擦体112を被装着体本体108の軸線方向にずれないように保持する機能を有し、被装着体本体108の全周に形成された断面角形の凹溝である。被装着体雌螺子部122は、収納筒雄螺子部72に螺合される雌螺子部である。本実施例1において、被装着体雌螺子部122の上側に透孔114の内周面の全周に断面角形溝であるパッキン溝124が形成され、パッキン126が嵌め込まれている。ケレップ22を交換する場合、被装着体本体108は、キャップナット66が取り外された後に、収納筒雄螺子部72に被装着体雌螺子部122を螺合することによって蛇口本体20のスピンドル収納筒48の上端部に固定され、パッキン126とスピンドル収納筒48上端面との間の摩擦抵抗によって被装着体本体108の回転を防止し、容易に脱落しないように保持される。被装着体本体108は、所定の強度を有する発錆し難い材料、例えば、黄銅、樹脂によって成型されることが好ましい。なお被装着体本体108の外形は、四角形、五角形等の多角形、又は、楕円形であってもよい。角形等である場合、手162Hによって締め付けやすいからである。被装着体本体108の外形が角形又は楕円形である場合、後述の装着体104の受入穴142の形状もそれに合わせた形状にする必要がある。
【0051】
次に、弾性摩擦体112を説明する。
弾性摩擦体112は、装着体104を摩擦力によって被装着体102に保持する機能を有し、その内側の一部がパッキン溝124に位置され、外側の一部は被装着体102の外周よりも外方に突出した位置に配置され、当該外方に突出した部分が装着体104の内周面に圧接されることにより、それらの間の摩擦力によって、装着体104を保持するようになっている。本実施例1において、弾性摩擦体112は合成ゴム製のオーリングが用いられている。オーリングは一般的な機械部品であり、安価に、かつ、容易に入手することができる。しかし、オーリング以外の弾性摩擦体112、例えば、天然ゴム、合成ゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム等の熱硬化性樹脂系エラストマー、熱可塑性エラストマー等を採用することができる。また、弾性摩擦体112は、オーリングのように、全周にわたって均一に突出せずとも、1箇所以上突出することにより、前記した被装着体102の保持機能を発揮するものであれば良い。
【0052】
次ぎに装着体104を主に図3を参照しつつ説明する。
装着体104は、被装着体102に装着されて付設された集水カバー106を蛇口本体20に保持させる機能を有し、本実施例1においては、円筒形の装着体本体132と挟持体134を含んでいる。
装着体本体132は、被装着体102の外周にはめ合わされ、被装着体102に支持される機能及び集水カバーに取り付けられる機能を有し、本実施例1においては、段付き筒状体に構成されている。具体的には、中間から下端部までが大径部136に形成され、上端部は大径部136よりも小径の小径部138が形成され、大径部136内には被装着体102が嵌入可能であるが、被装着体102の外方へ突出する弾性摩擦体112は弾性変形しなければ進行できない直径の受入穴142に形成されている。一方、小径部138には受入穴142と同一の装着体軸線144を持ち、かつ、受入穴142よりも小径の通孔146が形成されている。したがって、受入穴142と通孔146とは連通し、それらの間には段差部148が形成されている。小径部138は後述の集水カバー106に形成された丸穴152に挿入され、集水カバー106の内側からあてがわれたリング状の挟持体134に挟持されて、集水カバー106と一体化される。
装着体104は、蛇口本体20のスピンドル収納筒48の上端部に螺合された被装着体102に対し、図6においてその上側から被せ、受入穴142内に被装着体102を受入れ、弾性摩擦体112が変形して被装着体102の上端面が段差部148に当接するまでさし込まれる(図7参照)。通孔146はスピンドル保持孔56よりも大径に形成されている。したがって、被装着体102に装着体104を装着した状態において、スピンドル52をスピンドル雌ねじ54とスピンドル雄ねじ58との螺合を解除する方向に回転させた場合、スピンドル52を通孔146を経由して抜き出すことができる。
【0053】
次ぎに集水カバー106を説明する。
集水カバー106は、ケレップ22を交換する際、スピンドル保持孔56から流出する水道水を周囲に飛散させないように覆う機能を有し、本実施例1においては、縦断面が矩形の横長に形成され、端部に作業者の手を挿入することができる挿入開口154が設けられ、所定位置の周壁156に装着体104が取付けられると共に、装着体104と挿入開口154との間の周壁に排水装置158が形成されている。集水カバー106は透明、かつ、弾性を有することが好ましい。透明であることにより、集水カバー106内の様子や部品の位置関係を確認しつつケレップ22の交換作業ができるからである。したがって、集水カバー106の透明度は高いことが好ましい。また、蛇口18の取付状況は様々であり、狭い場所に取り付けられている場合もあり、作業空間が制限される場合には、集水カバー106が柔軟性を有することにより、蛇口本体20に取り付けられるようにすることが好ましい。したがって、集水カバー106の材質としては、ポリエチレン樹脂、EVA樹脂、ポリスチレン樹脂、AS樹脂、PET樹脂、アクリル樹脂、塩化ビリニデン樹脂、ポリーカーボネート等を採用することができるが、柔軟性及び所定の作業空間を維持することを考慮すると、PET樹脂が好ましい。集水カバー106の形状は、断面矩形に限らず、断面が円形、三角形、又は、5角形以上の多角形でも良く、その容積は、作業者が左手162L又は右手162R(両手を総称して手162Hという。)を挿入してケレップ22の着脱作業ができる大きさであれば良い。しかし、集水カバー106の大きさは特に制限はないが、取り扱いの観点から、可及的に小型化及び軽量化することが好ましい。小型化する場合、集水カバー106を柔軟性を有する材料によって形成し、折りたたむことにより小型化できるようにしても良い。また、本実施例1において、集水カバー106を狭い空間においても使用できるように可及的に小型化している。このため、スピンドル保持孔56から流出した水道水が周囲に飛散しないよう、実質的に通孔146の周囲を集水カバー106によって囲っている。具体的には、図1に示すように、通孔146に対向する天壁106C、左側に位置する左壁106L、右側に位置する右壁106R、及び、装着体104が取り付けられた底壁106B、側方の奥壁106D(図3)によって五方を囲われ、挿入開口154は、通孔146から遠いことから、実質的に囲われているといえる。換言すれば、通孔146は六方を囲われているので、スピンドル保持孔56から通孔146を経由して流出した水道水はそれらの天壁106C、左壁106L、右壁106R、底壁106B、奥壁106D、及び、遠い位置に配置された挿入開口154の構造によって、飛散することがない。天壁106C。左壁106L、右壁106R、及び、底壁106Bの長さは約150mmであり、容量が3~5リットルのペットボトルを流用することができる。装着体104及び排水装置158が取り付けられる集水カバー106の先端部分106Hは、市販されているペットボトル程度の剛性を有することが好ましい。この剛性によって、作業者の手162Hを動かす空間が形成されるからである。また、挿入開口154の近傍の集水カバー106は、柔軟性を有する非透水性素材よりなる柔軟部分106Sにて構成することが好ましい。腕162Aの動きに自由度を増し、さらに、作業者の腕162Aへの集水カバー106の密着性を高め、水道水の流出漏れを防止するためである。
【0054】
次ぎに挿入開口154を説明する。
挿入開口154は、集水カバー106内において作業するため、作業者が手162H(左手162L又は右手162R)を集水カバー106内に挿入できる機能を有し、本実施例1においては、柔軟部分106Sの端部に設けられた開口であり、腕162A(前腕部又は上腕部)に密着させて、集水カバー106内の水道水が挿入開口154から容易に漏れないようにする密着手段164を設けることが好ましい。
【0055】
次に密着手段164を説明する。
密着手段164は、挿入開口154を構成する部位の集水カバー106を、作業者の腕162A(前腕又は上腕)に密着させる機能を有し、本実施例1においては、柔軟部分106Sの端部に縫い付けたゴムテープにより伸縮可能な袖口状に形成されている。密着手段164は、上記機能を発揮すれば他の手段を採用することができ、例えば、紐で腕に縛り付けることができ、また、紐の代わりにゴムバンドにより外側から留めてもよく、必ずしも柔軟部分106Sと一体化されていなくとも良い。
【0056】
次ぎに排水装置158を主に図3を参照しつつ説明する。
排水装置158は、集水カバー106内に流出した水道水を集水カバー106外へ排出させる機能を有し、本実施例1においては、排水体168、排水体固定リング172、及び、排水管174を含んでいると共に、集水カバー106の周壁156に対し、4箇所に設けてあるので、便宜的に装着体104に並列されている排水装置158を第1排水装置158Aとし、時計回りに第2排水装置158B、第3排水装置158C、及び、第4排水装置158Dとして説明するが、これらは同一構成につき、以下第1排水装置158Aを代表して説明する。なお、排水装置158を4箇所に設置することにより、本実施例1においては、集水カバー106の断面が矩形であるため、蛇口本体20の設置状態が通常状態(吐出口36が下向き)、反転状態、左向き状態、又は、右向き状態であっても、4つの排水装置158のうちの何れか1つが、上向きに配置され、当該排水装置158の排水口178から集水カバー106内に流出した水道水を排水することができるからである。したがって、蛇口本体20の取付状態が通常状態等の1種類専用である場合には、排水装置158は装着体104と同一の周壁156に並べて配置した1つのみ設ければ良い。
【0057】
まず、排水体168を説明する。
排水体168は、集水カバー106の周壁156に排水口178を形成する機能を有し、本実施例1においては、上端部に円形フランジ182と下方に所定長で伸びる円筒体184によって構成され、円形フランジ182の上端部が排水口178を構成する。排水体168は、不発錆金属又は樹脂等によって形成されるが、軽量化の観点から、本実施例1においては樹脂にて成形されている。円筒体184は、集水カバー106の周壁156に形成された排水口体穴186に挿入されたリング状の排水体固定リング172を外周に嵌め合わせた状態で接着や溶着によって集水カバー106に固定されている。
【0058】
次に排水管174を説明する。
排水管174は、排水口178から流出する水道水を所定の排水位置に案内する機能を有し、本実施例1においては円筒体184に所定長さを有する可撓ビニール製の可撓性を有する排水パイプ192が用いられている。排水パイプ192が可撓性を有し、かつ、所定の長さを有することにより、床面に設置されている拡大部等に開放先端を配置させることができる。本実施例1において、スピンドル保持孔56から流出した水道水は、集水カバー106内に保留され、所定量以上滞留した場合、当該集水カバー106内の水位が上昇して排水口178に達し、排水口178に流入して排水管174を経由して所定の排水部に案内されて排水される。したがって、排水装置158を用いることにより、スピンドル保持孔56から流出した水道水を床面等を浸水させること無く排水できる利点がある。なお、本ケレップ交換補助具100を屋外で使用する場合において、床面又は地面が濡れても良い場合には、排水装置158を設けずに単に排水体168を設けるだけであってもよい。また、排水装置158を複数設けた場合において、最下部に位置する排水体168に排水管174を接続し、その他の排水装置158に対しては、円筒体184の出口に盲栓を嵌合するようにしても良い。
【0059】
次ぎに本発明に係る実施例1のケレップ交換補助具100を用いてケレップ22を交換する作業を図6及び図7をも参照して説明する。本説明において、蛇口18は通常の設置状態である、吐出口36が下向き状態において設置されているものとする。
【0060】
まず、従来技術において説明したように、ビス76を取り外してハンドル74をスピンドル52の上端部小径部70の先端から取り外す。
【0061】
次いで、キャップナット66をスパナ等の工具を用いて緩めて収納筒雄螺子部72とキャップナット雌螺子部68の螺合を解除し、スピンドル収納筒48から取り外す。
【0062】
次いで、三角パッキン64及び座金62を取り外す。この状態において、スピンドル52は、スピンドル雄螺子部58がスピンドル雌螺子部54に螺合され、弁座44に弁パッキン26が密着されているので、水道水がスピンドル保持孔56から流出することはない。
【0063】
次いで、被装着体102をスピンドル収納筒48に装着する。具体的には、被装着体雌螺子部122を収納筒雄螺子部72の端部にあてがった状態において、手162Hでもってねじ込み方向に回転させて収納筒雄螺子部72に螺合させ、パッキン126がスピンドル収納筒48の端面に圧縮され、被装着体102の螺合力が所定値を超えた場合螺合を終了する(図6参照)。被装着体102のねじ込みは、工具を用いても良い。
【0064】
次いで、集水カバー106を手162Hで持って、装着体104を被装着体102に装着する。すなわち、被装着体102に装着体104の受入穴142がはまり合うようにあてがって、上方から押し下げる。これにより、弾性摩擦体112が受入穴142の内周面によって押圧されて変形されることで、受入穴142内に弾性摩擦体112が受け入れられ、受入穴142内面と弾性摩擦体112外周面との摩擦力に打ち勝って装着体104はその段差部148が被装着体102の上面に当接されるまで押し下げられる。これによって、弾性摩擦体112外周面は、所定の接触圧をもって受入穴142の内周面に接触することから、装着体104に外力が作用しても、前記接触圧による摩擦力によって、装着体104が被装着体102から脱落されることはない。換言すれば、集水カバー106が被装着体102、したがって、蛇口本体20から容易に脱落されないように取り付けられる。
【0065】
次に、交換用のケレップ22を挿入開口154から集水カバー106内に投入する。なお、予め交換用のケレップ22を集水カバー106内に配置しておいても良い。
【0066】
次に、作業者が挿入開口154から利き手162Hを挿入開口154から挿入する。この挿入によって、集水カバー106の挿入開口154を構成する密着手段164がその弾性によって伸縮し、作業者の腕162Aに自動的に密着する。
【0067】
次に、スピンドル52を手162Hで、若しくは、工具を用いて反時計方向へ回転させ、スピンドル52をスピンドル保持孔56から取り出す。この際、スピンドル雄螺子部58とスピンドル雌螺子部54との螺合長の減少に伴い、スピンドル保持孔56からの水道水の漏出が始まり、ケレップ22をスピンドル保持孔56から取り出した後、その流出量は最大となる。この結果、スピンドル保持孔56から水道水が勢いよく噴出した場合であっても、スピンドル保持孔56は五方を周壁156に囲われ、挿入開口154は、腕162Aによって塞がれ、又は、スピンドル保持孔56から遠いので、当該噴出水が周囲に飛散することはない。スピンドル52をスピンドル保持孔56から取り出した際、ケレップ22がケレップ装着穴60から脱落せずに一体となって取り出される場合もある。ケレップ22がスピンドル保持孔56に残った場合、ピンセット等で円柱部78をつまんで取り出す。
【0068】
次に、交換用ケレップ22をスピンドル保持孔56に挿入し、次いでスピンドル52をスピンドル保持孔56に挿入してスピンドル雄螺子部58をスピンドル雌螺子部54に螺合させてねじ込み、弁パッキン26を弁座44に密着させて水道水の流出を止める。なお、ケレップ22の交換は、スピンドル52を集水カバー106から取り出し、スピンドル52におけるケレップ装着穴60にケレップ22の円柱部78を挿入して一体化した後、再び、挿入開口154から集水カバー106内に挿入して後、前述のように、スピンドル保持孔56にケレップ22及びスピンドル52を挿入後、螺合することにより装着しても良い。この交換の間、スピンドル保持孔56からは、水道水が集水カバー106内に流出する。流出した水道水は、周壁156によって周囲への飛散を阻止され、下方部に溜まる。本実施例1においては、装着体104及び排水体168が取り付けられた底壁106B上に溜まり、排水口178から排水管174を介して排水適正場所に排水されるので、室内であったとしても、床面等を浸水させることは無い。
【0069】
次に、集水カバー106を引き上げて装着体104を被装着体102から取り外す。
【0070】
次に被装着体102を緩めて収納筒雄螺子部72と被装着体雌螺子部122との螺合を解消し、被装着体102をスピンドル収納筒48から取り外す。
【0071】
次に、スピンドル収納筒48の上端部に座金62、及び、三角パッキン64を設置し、キャップナット66のキャップナット雌螺子部68を収納筒雄螺子部72に螺合する。
【0072】
次に、ハンドル74をスピンドル52の先端部に嵌め合わせ、ビス76を螺子込んで脱落しないように固定する。これによって、ケレップ22の交換作業は終了する。
【0073】
なお、蛇口18の吐出口36が上向きに装着されている場合、前述の説明とは逆に、スピンドル保持孔56から流出した水道水は、天壁106C上に溜まり、天壁106Cに設けられた第3排水装置158Cの排水口178から排水される。蛇口18の吐出口36が左又は右の横向きである場合、スピンドル保持孔56から流出した水道水は、左壁106L又は右壁106R上に溜まり、それらに配置された第2排水装置158B又は第4排水装置158Dから排水される。したがって、本ケレップ交換補助具100の用途が、蛇口18の吐出口36が下向きの通常の場合のみに用いる場合、排水装置158は装着体104に併設される第1排水装置158Aのみを設ければ良い。また、吐出口36が下向きと上向きの場合は、第1排水装置158A及び第3排水装置158Cを設ければ良い。本実施例1において、通常設置されている蛇口18を例に説明したが、同様の構成を有する水栓、例えば、洗濯機用、洗面所用、台所用、及び、浴室等に用いられている水栓におけるケレップ交換に用いることができる。
【実施例2】
【0074】
次に本発明に係る実施例2を図8を参照して説明する。
実施例2は、集水カバー106の縦断面形状が円形の例である。円形とは、真円の他、楕円形をも含む概念である。本実施例2において、便宜的に、装着体104は断面が円形の集水カバー106の最下部に取付けられ、第1排水装置158Aは、装着体104と並列して設けられ、第2排水装置158Bと第3排水装置158Cは120度間隔で設置され、合計3個配置されている。
本実施例2の集水カバー106を用いた場合の蛇口本体20への装着方法及びケレップ22の交換作業は実施例1と同様である。蛇口18の吐出口36が上向きの場合、流出した水道水は、反対側の周壁156に溜まり、第2排水装置158B又は第3排水装置158Cの排水口178にその水位が達した後、当該排水口178から排出される。本実施例2のように、断面形状が円形の集水カバー106を用いた場合、排水装置158の数を減らすことができるので、安価に構成できる利点がある。
【実施例3】
【0075】
次ぎに実施例3を図9を参照して説明する。
実施例3は、密着手段164の別の例であり、実施例1と同一部には同一符号を付し、異なる構成を説明する。本実施例3における密着手段164は、面ファスナー、所謂、マジックテープ(登録商標)194を活用した例である。すなわち、柔軟部分106Sの端部にマジックテープ194を貼着し、挿入開口154から手162Hを集水カバー106内に挿入した後、マジックテープ194を腕162Aの周囲に密着させた状態で貼り合わせるように結合させる。これによって、集水カバー106内に溜まった水道水が挿入開口154側へ流れた場合であっても、マジックテープ194によって、柔軟部分106Sの端部が腕162Aの周面と密着しているので、集水カバー106内から漏出することはない。密着手段164としては、実施例1及び3の他、環状にした弾性体を柔軟部分106Sの外側から押圧させて装着し、結果として、柔軟部分106Sを腕162Aの周囲に密着させることができる。また、マジックテープ194は柔軟部分106Sと分離し、柔軟部分106Sの外側から巻き付けるようにしても良い。さらに、柔軟部分106Sを紐によって柔軟部分106Sの外側から縛ることにより、装着させることができる。
【実施例4】
【0076】
次ぎに実施例4を図10を参照しつつ説明する。
実施例4は、実施例1に対し、排水装置158を取り付ける集水カバー106の形状、及び、排水装置158の数が異なる。具体的には、集水カバー106における装着体104の両側の集水カバー106の壁面が下方に位置するように形成されている。本実施例4において、集水カバー106は円筒形に構成されているので、装着体104に近接した両側の壁面が所定の幅で拡径された拡大部196、具体的には第1拡大部196Aと第2拡大部196Bに形成されている。換言すれば、拡大部196は溝状に形成されている。そして、第1拡大部196A及び第2拡大部196Bの装着体104と並んだ第1拡大部196Aの部位に第5排水装置158E、第2拡大部196Bの部位に第6排水装置158Fが取り付けられ、それぞれ、第5排水口178E、第6排水口178Fが構成されている。
このように構成された実施例4において、スピンドル保持孔56、したがって、装着体104の通孔146から流出した水道水は、左右の第1拡大部196A又は第2拡大部196Bに流れ込んで低部に溜まり、第5排水口178E又は第6排水口178Fから流出する。これによって、流出した水道水が挿入開口154側へ流れる可能性が減るので、室内設置の蛇口18のケレップ22を交換する際に床面を浸水させる危険性を低下させることができる利点がある。なお、実施例4において、装着体104の左右に第1拡大部196A、第2拡大部196Bをそれぞれ配置したが、どちらか一方であっても良い。また、第1拡大部196A、又は、第2拡大部196Bのそれぞれに、実施例1と同様に複数の排水装置158を配置することもできる。
【実施例5】
【0077】
次ぎに実施例5を図11を参照して説明する。
実施例5は、実施例1と異なる被装着体102の例である。具体的には、実施例1において、被装着体102はスピンドル収納筒48の先端部の収納筒雄螺子部72に被装着体雌螺子部122を螺合させて被装着体102をスピンドル収納筒48に装着したが、本実施例5においては、摩擦係合によって、被装着体102をスピンドル収納筒48の先端部に装着するようにした例である。実施例1と同一部には同一符号を付して説明を省略し、異なる構成を説明する。被装着体102の外径は実施例1よりも大きく形成され、被装着体雌螺子部122に換えて円形の保持孔198が形成され、その内周面に弾性体によって構成されたリング状の弾接体202が接着剤等によって固定されている。弾接体202の内径、したがって、内周面204は、収納筒雄螺子部72の外径よりも僅かに小径とし、弾接体202を所定値以上の力で押し込んだ場合、当該弾接体202が変形して拡径し、収納筒雄螺子部72に嵌まり合い、当該内周面204と収納筒雄螺子部72外面とが圧接状態で嵌まり合うようになっている。収納筒雄螺子部72に弾接体202が嵌まり合った場合、弾接体202の収縮力によって収納筒雄螺子部72に密着するため、被装着体102は収納筒雄螺子部72から脱落し難にくい。この状態で実施例1と同様に装着体104を被装着体102に装着した後、ケレップ22の交換を行う。ケレップ22の交換が終了した後は、内周面204と収納筒雄螺子部72との間の摩擦抵抗に打ち勝って被装着体102をスピンドル収納筒48の上端部から取り外し、実施例1と同様にハンドル74を装着して再開利用に供する。なお、このように被装着体102の外形を、手162Hで掴みやすくするため、外形を六角ナット形状等に形成し、又は、工具が係止できるように係止部を設けることが好ましい。本実施例5のように、被装着体102がスピンドル収納筒48に押し込まれて装着される場合、ワンタッチ的に被装着体102を着脱できるので、操作が容易である利点がある。
【実施例6】
【0078】
次に実施例6を図12を参照して説明する。
実施例6は、実施例1に対し、装着体104を集水カバー106に一体化する構造を、接着方式から挟持方式に変更し、集水カバー106が破損した場合は、集水カバー106のみを交換して装着体104を再利用できるように、また、装着体104が破損した場合は装着体104のみを交換して集水カバー106を再利用できるようにした例である。したがって、図示は省略したが、この装着体104の取付構造は、排水装置158の集水カバー106に対する取付構造にも応用することができる。実施例6の装着体104は、集水カバー106の一部を挟み込んで機械的に集水カバー106に取り付けられる機能を有し、本実施例6において装着体104は、円筒形の装着体本体132と、装着体本体132の上端部に接続された円形リング状のフランジ部206、内側挟持体208、外側挟持体212、当金214、及び、締付手段216を含んでいる。
【0079】
まず装着体本体132を説明する。
装着体本体132は、実施例1と同様に被装着体102に付設された弾性摩擦体112との摩擦接触によって保持される機能を有し、本実施例1においては、被装着体102の直径よりも僅かに大径の内径を有する円筒形に形成されている。装着体本体132の上端部には外方に向かって拡径されたフランジ部206が形成され、また、内方に突出し、通孔146を形成する肩部218が形成され、肩部218の下面は段差部148を構成する。通孔146から上方は皿形の凹部220が形成されている。
【0080】
次ぎにフランジ部206を説明する、
フランジ部206は、締付手段216が係止され、装着体104を集水カバー106に取り付けられる機能を有し、本実施例6においては、装着体本体132に一体化された円形リング体であり、所定数の係止部222、本実施例1においては螺子穴222Sが等間隔で12個形成されている。
【0081】
次ぎに内側挟持体208を説明する。
内側挟持体208は、フランジ部206及び集水カバー106との機密性を確保する機能を有し、本実施例6においては、弾性を有するリング状のシートによって構成され、後述の締付手段216としての螺子体224が貫通する内側貫通孔226が形成されている。
【0082】
次に外側挟持体212を説明する。
外側挟持体212は、集水カバー106と締付手段216との間の機密性を確保する機能を有し、本実施例6においては、弾性を有するリング状のシートによって構成され、後述の締付手段216としての螺子体224が貫通する外側貫通孔228が形成されている。
【0083】
次に当金214を説明する。
当金214は、外側挟持体212がそのリング状面全体で集水カバー106に接するように押圧する機能を有し、本実施例6においてはアルミニューム又は樹脂によってリング状に成型されている。図12からも明らかなように、内側挟持体208、外側挟持体212、及び、当金214は同一の外径及び内径に形成されている。よって、内側挟持体208と外側挟持体212とは、同一部品を用いることができる。
【0084】
次ぎに締付手段216を説明する。
締付手段216は、内側挟持体208、外側挟持体212、及び、当金214を貫通し、その先端がフランジ部206に形成された係止部222に係止されることにより、当金214を外側挟持体212に押し付けることにより集水カバー106、内側挟持体208を押圧することにより、外側挟持体212を集水カバー106に密着させ、当該集水カバー106を内側挟持体208に密着させ、内側挟持体208をフランジ部206に密着させて水密性を有するように構成し、以て、これらの間からの水漏れを防止する機能、及び、締付手段216の係止部222との係止を解除することにより、内側挟持体208、外側挟持体212、及び、当金214を分離できる機能を有し、本実施例6においては、螺子体224が用いられている。換言すれば、螺子体224をフランジ部206の螺子穴222Sに螺子込むことによって、装着体104を集水カバー106に一体化し、螺子体224を螺子穴222Sから離脱させることにより、集水カバー106から装着体104を取り外すことができる。したがって、集水カバー106の一部が破損した場合、螺子体224を緩めて螺子穴222Sからから離脱させて内側挟持体208、集水カバー106、外側挟持体212、及び、当金214を分離して後、集水カバー106を交換した後、再度、螺子体224を螺子穴222Sに螺子込むことで集水カバー106を交換することができる。装着体104が破損した場合も前述と同様に交換することができる。ケレップ22を交換する際は、実施例1と同様である。
【実施例7】
【0085】
次ぎに実施例7を図13を参照しつつ説明する。
実施例7は、排水装置158の異なる例であり、実施例1において、排水装置158は集水カバー106に対し接着又は溶着等分離不可能に固着されていたが、本実施例7においては、排水装置158を集水カバー106と分離できるように構成されている。これによって、集水カバー106の一部又は全部が損傷した場合、集水カバー106のみを交換し、逆に、排水装置158が損傷した場合には、当該排水装置158のみを交換することができる。具体的には、実施例7の排水装置158は、排水管本体232、第1パッキン234、第2パッキン236、及び、締付ナット238を含んでいる。なお、既に説明した部分と同一部には同一符号を付して説明を省略し、異なる構成を説明する。
【0086】
まず排水管本体232を説明する。
排水管本体232は、集水カバー106に取り付けられると共に、排水管174を接続される機能を有し、本実施例1においては、全体的に円筒状であって、上端部外周に排水管雄螺子部242、その下方に排水管フランジ部244、及び、下端部外周面に断面が直角三角形のタケノコ状凹凸によって構成された摺動抵抗部246が設けられている。排水管雄螺子部242は集水カバー106の丸穴152に挿入される。排水管フランジ部244は丸穴152よりも大径であって、その上面は、第1パッキン234と全周にわたり面接触可能である。摺動抵抗部246には、弾性を有する排水管174が嵌め込まれ、摺動抵抗部246の摺動抵抗によって、容易に脱落しないように構成されている。
【0087】
次に第1パッキン234を説明する。
第1パッキン234は、集水カバー106及び排水管フランジ部244の上面に密着し、水密性を保つ機能を有し、本実施例1においては、弾性を有するリング状のシートによって構成されている。第1パッキン234は排水管フランジ部244の上面に載置された後、丸穴152周囲の集水カバー106が載せられる。
【0088】
次ぎに第2パッキン236を説明する。
第2パッキン236は、集水カバー106に密着し、水密性を保つ機能を有し、本実施例1においては、弾性を有するリング状のシートによって構成され、第1パッキン234の上に載せられた集水カバーの上に載せられる。本実施例6において、第2パッキン236と第1パッキン234とは同一の外径及び内径に形成され、厚みは第2パッキン236の方が厚いが、同一品を用いることもできる。
【0089】
次ぎに締付ナット238を説明する。
締付ナット238は、第2パッキン236を押圧し、結果的に第2パッキン236と集水カバー106、集水カバー106と第1パッキン234、及び、第1パッキン234と排水管フランジ部244を密接させる機能を有し、本実施例1においては、排水管雄螺子部242に螺合する六角ナット248によって構成されている。したがって、第1パッキン234、集水カバー106、及び、第2パッキン236を排水管雄螺子部242の周囲において重ねた後、締付ナット238を排水管雄螺子部242に螺合し、工具によって締め付けることにより、前記のように集水カバー106を第1パッキン234、第2パッキン236に密接させる。したがって、締付ナット238を緩めることにより、集水カバー106を取り外し、締め付けることにより取り付けることができる。換言すれば、集水カバー106又は排水装置158の交換をすることができる。
【0090】
なお、実施例6の集水カバー106への排水装置158の取付構造を装着体104の集水カバー106への取付構造に採用することができる。
【符号の説明】
【0091】
20 蛇口本体
22 ケレップ
24 パッキン受部
26 弁パッキン
30 入口
36 吐出口
40 通水路
44 弁座
54 スピンドル雌螺子部
56 スピンドル保持孔
58 スピンドル雄螺子部
52 スピンドル
60 ケレップ装着穴
66 キャップナット
72 キャップナット雌螺子部
74 ハンドル
78 円柱部
102 被装着体
104 装着体
106 集水カバー
112 弾性摩擦体
118 凹溝
122被 装着体雌螺子部
124 パッキン溝
142 受入穴
154 挿入開口
162H 手
164 密着手段
174 排水管
178 排水口
192 排水パイプ
196 拡大部
202 弾接体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17