(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-03
(45)【発行日】2022-03-11
(54)【発明の名称】光源ユニット
(51)【国際特許分類】
F21V 19/00 20060101AFI20220304BHJP
F21V 23/06 20060101ALI20220304BHJP
F21S 41/19 20180101ALI20220304BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20220304BHJP
【FI】
F21V19/00 450
F21V19/00 150
F21V19/00 170
F21V23/06
F21S41/19
F21Y115:10 300
(21)【出願番号】P 2017238241
(22)【出願日】2017-12-13
【審査請求日】2020-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100081433
【氏名又は名称】鈴木 章夫
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 哲也
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-351695(JP,A)
【文献】特開2001-307831(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 19/00
F21V 23/06
F21S 41/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カード基板に光源が搭載され、かつ当該カード基板の一部にカードエッジコネクタが形成されたカード型光源と、当該カードエッジコネクタにより前記カード型光源に嵌合されて給電を行う給電コネクタとを含み、前記カード型光源がランプのベース部に取り付けられた構成の光源ユニットであって、前記ベース部には前記給電コネクタに対応する領域に段差部が形成されていることを特徴とする光源ユニット。
【請求項2】
前記カード型光源は前記カード基板の前記光源を搭載した側と反対側の裏面が前記ベース部の主面に密接した状態で取り付けられ、前記段差部は当該主面の一部に設けられて前記給電コネクタのコネクタ本体を収容する凹部として形成されている請求項1に記載の光源ユニット。
【請求項3】
前記給電コネクタのコネクタ本体は、前記ベース部の外側に突出されていない請求項2に記載の光源ユニット。
【請求項4】
前記カード型光源と前記給電コネクタの一方には、他方との位置合せ状態を確認するための位置合せ手段が設けられている請求項1ないし3のいずれかに記載の光源ユニット。
【請求項5】
前記位置合せ手段は、前記カード型光源に形成されて前記給電コネクタと嵌合する方向に伸びる位置合せ溝であり、前記位置合せ溝は前記給電コネクタが前記
カード型光源に正しく嵌合したときに前記給電コネクタによって覆い隠される請求項4に記載の光源ユニット。
【請求項6】
前記カード型光源は、異なる配列密度で配列された複数の発光素子と、これら発光素子にそれぞれ接続された複数の導電パターンを備え、前記位置合せ溝は、相対的に高い密度で配列された発光素子につながる導電パターンが配設された領域と、相対的に低い密度で配列された発光素子につながる導電パターンが配設された領域との境界位置、または当該相対的に低い密度で配列された発光素子につながる導電パターンが配設された領域内に設けられる請求項5に記載の光源ユニット。
【請求項7】
前記位置合せ手段は、前記カード型光源に開口された位置合せ穴であり、前記給電コネクタが正しく嵌合したときに、当該給電コネクタに開口された位置基準穴と同心位置に配置された状態で当該位置基準穴内に観察される構成である請求項4に記載の光源ユニット。
【請求項8】
前記位置合せ穴と前記位置基準穴
は円形穴である請求項7に記載の光源ユニット。
【請求項9】
前記ベース部は、前記段差部に、前記位置合せ穴と前記位置基準穴に内挿される位置固定ボスを備える請求項7又は8に記載の光源ユニット。
【請求項10】
前記給電コネクタは、前記カードエッジコネクタが内挿される偏平な筒溝を有するコネクタ本体を備え、当該コネクタ本体には前記カード型光源に対向する部位に、当該カード型光源との干渉を防止する逃げ部が形成される請求項1ないし9のいずれかに記載の光源ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用ランプに設けられる光源ユニットに関し、特にカード型の基板に発光素子を搭載したカード型光源を備える光源ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両用ランプでは、近年LED(発光ダイオード)やLD(レーザダイオード)等の発光素子を光源としてユニット化した光源装置、すなわち光源ユニットが提案されている。このような、光源ユニットでは、1つあるいは複数の発光素子をカード型の回路基板(以下、カード基板と称する)に搭載してカード型光源を構成し、このカード型光源をランプ内に組み込むとともに、当該カード型光源を車載電源に電気接続し、発光素子への給電を行うように構成している。
【0003】
従来、このようなカード型光源を用いる光源ユニットでは、所要の形状をしたカード基板の一部に別体の受電コネクタを搭載し、この受電コネクタに車載電源に接続されている給電コネクタを嵌合することにより給電を行う構成がとられている。しかし、この構成では、受電コネクタをカード基板に搭載するための工数がかかるとともに、受電コネクタによってカード型光源を小型化する際の障害になる。そこで、例えば、特許文献1のように、受電コネクタとしてカード基板の一辺部に電極パッドを形成してカードエッジコネクタを形成することにより、別体のコネクタを搭載することを不要にし、工数削減及び小型化を可能にしたカード型光源が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1には、カード型光源に形成されたカードエッジコネクタに対して給電を行うための具体的な構成は記載されていないが、通常ではカードエッジコネクタに嵌合して電気的接続を行うための給電コネクタが設けられる。この給電コネクタはコネクタ本体に設けられた凹溝内に電極端子が配設されており、当該凹溝にカードエッジコネクタが内挿されたときに当該電極端子がカードエッジコネクタの電極パッドに接触して電気的に導通されるようになっている。
【0006】
このようにカード型光源にカードエッジコネクタを設け、このカードエッジコネクタを給電コネクタの凹溝内に内挿したときには、当該給電コネクタのコネクタ本体がカード型光源の表面と裏面の両側に突出した状態となる。そのため、ランプユニットに光源ユニットを取り付けたとき、例えばヒートシンクのベース部の主面にカード型光源を取り付けたときに、給電コネクタが当該ベース部の主面と干渉し、カード型光源を主面に密着した状態で取り付けることができなくなる。したがって、ベース部の主面を基準にして発光素子の光軸位置を位置決めする場合に、その位置決め精度が低下し、ランプの配光特性に好ましくない影響を与えることがある。
【0007】
これを回避するために、カードエッジコネクタをベース部の主面よりも外側に延出させるように配設した上で給電コネクタを嵌合させることで給電コネクタとベース部との干渉を防止することが考えられるが、この場合にはベース部の外側に給電コネクタが突出した状態で配設されることになり、光源ユニットを小型化することが難しくなる。
【0008】
また、カード型光源と給電コネクタを嵌合した状態でカード型光源をベース部に取り付けるときに、両者が所定の状態にまで十分に嵌合されていないとき(以下、半嵌合状態と称する)には、カード型光源をベース部の主面上の所定位置に取り付けることが困難になり、あるいは取り付けができなくなることがある。このような場合には、両者の嵌合状態を修正する作業が必要となり、ランプユニットの組立工程が煩雑、かつ遅延される要因になる。また、半嵌合状態のまま取り付けられると、両者間での電気的な接触が不十分となり、電気抵抗の増大や、点灯時における発熱が顕著になり、光源装置ないしランプユニットの信頼性が低下する要因になる。
【0009】
本発明の目的は、カード型光源をランプ内に正しく取り付けることを可能にするとともに、カード型光源と給電コネクタとの半嵌合状態を解消した小型の光源ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の光源ユニットは、カード基板に光源が搭載され、かつ当該カード基板の一部にカードエッジコネクタが形成されたカード型光源と、当該カードエッジコネクタによりカード型光源に嵌合されて給電を行う給電コネクタとを含んでおり、カード型光源がランプのベース部に取り付けられた構成であって、ベース部には給電コネクタに対応する領域に段差部が形成されている。
【0011】
また、本発明の光源ユニットは、カード型光源には、カードエッジコネクタを構成している部位に、給電コネクタとの位置合せ状態を確認するための位置合せ手段が設けられることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、カード型光源に給電コネクタを嵌合した状態でも、当該カード型光源をランプ内に好適に取り付け、かつ外径寸法が小型化された光源ユニットが得られる。また、本発明によれば、カード型光源と給電コネクタの半嵌合状態を未然に防止し、信頼性を高めた光源ユニットが構成できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の光源ユニットを備えたヘッドランプの、光源ユニットを透視的に表した正面図。
【
図6】カード型光源のカードエッジコネクタと給電コネクタを嵌合したときの断面図。
【
図7】位置合せ溝によりカードエッジコネクタと給電コネクタの嵌合状態を確認する方法を説明する模式的な正面図。
【
図8】位置合せ穴によりカードエッジコネクタと給電コネクタの嵌合状態を確認する方法を説明する模式的な正面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は本発明の光源ユニットを備えた自動車用ヘッドランプHLの正面図であり、一部を透視的に示している。
図2はそのII-II線に沿った概略断面図である。ランプボディ31と、このランプボディ31の前面開口に取着された透光カバー32とで構成されるランプハウジング3内に所要の配光で光照明を行うランプユニット2、ここではハイビーム配光のランプユニットが内装されている。
【0015】
前記ランプユニット2は光源ユニット1と、この光源ユニット1から出射される光を自動車の前方領域に投影する投影レンズ4を備えて構成される。
【0016】
前記光源ユニット1は、概ね平板状をしたベース部51を有するヒートシンク5を備えている。このヒートシンク5はベース部51の周辺部3箇所において、公知のエイミング機構52、例えばエイミングスクリューにより前記ランプボディ31に取り付けられている。このエイミング機構52の詳細については省略するが、エイミング調整を行うことにより当該ヒートシンク5のベース部51は上下方向及び左右方向に傾動可能とされている。前記ベース部51の主面はランプユニットの前方に向けられており、この主面にカード型光源6が取り付けられている。また、このヒートシンク5の後面には放熱ファン53が取り付けられており、当該カード型光源6で発生した熱の放熱効果を高めている。
【0017】
前記ベース部51の主面には、前記カード型光源6と共にリフレクタ8が取り付けられており、カード型光源6から出射した光を所要の方向に向けて反射する。このとき一部の光は遮光される。また、前記ベース部51には、前記投影レンズ4がレンズホルダ41により取り付けられている。この投影レンズ4は前記カード型光源6から出射されて前記リフレクタ8により反射された光をランプユニット2の前方に向けて投影し、自動車の前方領域を所要の配光で照明する。
【0018】
また、前記光源ユニット1は、前記カード型光源6に電気接続する給電コネクタ7を含んでいる。この給電コネクタ7は電気コード71により、図には表れない自動車の車載電源に接続されており、後述するカードエッジコネクタ64を介して嵌合されるカード型光源1に電気接続され、車載電源の電力をカード型光源6に給電して発光させるようになっている。
【0019】
図3は前記カード型光源6と給電コネクタ7の外観斜視図であり、
図4はこれらの一部を破断した正面図である。前記カード型光源6は、所要形状をしたカード基板60を主体に構成されている。このカード基板60は絶縁基板の一方の面に導電膜を所要パターンに形成した導電パターン61を有しており、この一方の面に複数個の発光素子としてのLED62が面実装により搭載されている。ここでは、このカード基板60において、これらLED62が搭載されている側の面を表面と称し、反対側の面を裏面と称する。
【0020】
前記カード基板60は、幅方向(
図4の左右方向)の寸法が所要の幅寸法に形成された素子搭載部60Aと、これよりも両側が後退されて幅寸法が短くされたコネクタ部60Bとで構成されている。そして、前記複数の導電パターン61は、素子搭載部60Aからコネクタ部60Bの両部位にわたって形成されており、前記素子搭載部60Aでは当該導電パターン61の一部は前記複数のLED62の搭載ランド(図示せず)として構成され、前記コネクタ部60Bでは導電パターン61の他の一部は後述するコネクタ電極パッド61Pとして構成されている。
【0021】
前記素子搭載部60Aにおいては、複数の搭載ランドが幅方向にほぼ一列に配置されており、それぞれの搭載ランドにLED62が半田等により面実装されている。
図2に要部を拡大図示するように、各LED62は発光面部62aがランプ前方に向けられ、この発光面部62aを囲むように光反射部62bが設けられている。この光反射部62bは発光面部62aからランプ側方に向けて出射される光をランプ前方に向けて反射する。また、各LED62はボンディングワイヤ62cにより前記各導電パターン61の一端部に電気接続されている。このボンディグワイヤ62cは樹脂63により封止されている。
【0022】
また、前記複数のLED62は、
図4の右側のLED62Hは配列ピッチ寸法が小さくて高密度に配列され、左側のLED62Lは配列ピッチ寸法が大きくて低密度に配列されている。ここでは、右側のLED62Hを高密度LEDと称し、左側のLED62Lを低密度LEDと称する。
【0023】
一方、前記LED62に電気接続された導電パターン61の他端部はコネクタ部60Bの縁部にまで延長され、当該縁部に沿って幅方向に配列されて前記コネクタ電極パッド61Pとして構成されている。これらのコネクタ電極パッド61Pにより、前記コネクタ部60Bの当該縁部はカードエッジコネクタ64として構成される。
【0024】
前記素子搭載部60Aには、幅方向の両端部にそれぞれ一対の円形の穴65,66が板厚方向に貫通されている。それぞれ対をなす穴のうち、
図4における下側の穴65は他方の穴66よりも幾分穴径が大きくされており、この大径の穴65はカード型光源6をベース部51に取り付けるための取付穴として構成され、小径の穴66はベース部51に対してカード型光源6の位置決めを行うための位置決め穴として構成されている。
【0025】
前記コネクタ部60Bには、幅方向の両端に内幅方向に向けて切欠き67が形成されており、掛止溝として構成されている。また、これら掛止溝67に近接してそれぞれ小径の円形穴68が板厚方向に貫通されており、前記給電コネクタ7との嵌合状態を確認するための位置合せ穴として構成されている。この位置合せ穴68は本発明における位置合せ手段の一つの形態である。
【0026】
さらに、前記コネクタ部60Bには、カードエッジコネクタ64を構成している縁部から素子搭載部60Aに向けて垂直な1本の直線状をした細幅の切欠き溝69が形成されている。この切欠き溝69はカード基板60の板厚方向に貫通されており、かつ並列配置されている複数のコネクタ電極パッド61Pのうち、所定のコネクタ電極パッド61Pの間に形成されている。また、この切欠き溝69は、その先端部がカード基板60の表面上での特定の位置となるようにその長さLが正確に決められている。この切欠き溝69は給電コネクタ7との嵌合状態を確認するための位置合せ溝として構成されており、本発明における位置合せ手段の他の形態である。
【0027】
この位置合せ溝69は、前記高密度LED62Hにつながる導電パターン61(61H)の領域AHと、前記低密度LED62Lにつながる導電パターン61(61L)の領域ALとの境界に沿って延長形成されている。これにより、当該位置合せ溝69によって、前記コネクタ部60Bは、高密度LED62Hの導電パターン領域AHと、低密度LED62Lの導電パターン領域ALとに分離される。また、この実施形態では、高密度LED62Hの個数は低密度LED62Lの個数よりも多いので、位置合せ溝69はコネクタ部60Bでの幅方向の中央位置よりも低密度LED62Lの側に偏った位置に形成される。
【0028】
このように位置合せ溝69によってコネクタ部60Bが幅方向に分離されることにより、単位面積当たりの発熱量が大きくなる高密度LED62H側で発生した熱が低密度LED62Lの領域に向けて移動することが抑制され、低密度度LED62L側における温度上昇が抑制できる。また、高密度LED62Hの領域の面積は低密度LED側よりも広いので、高密度LED62Hで発生した熱を当該領域の表面ないし裏面から効果的に放熱させることができる。
【0029】
また、位置合せ溝69は前記領域AL内の一部に設けてもよい。例えば、
図4に仮想線(二点鎖線)で示すように、前記低密度LED62Lにつながる前記導電パターン61Lの間に位置合せ溝69Aとして構成してもよい。このように、低密度側の領域ALに位置合せ溝69Aを形成すれば、高密度側の領域AHの面積が低減されることはなく、当該領域AHにおけるカード基板60の熱容量が大きくなり放熱効果が高められる。
【0030】
一方、前記光源ユニット1の構成要素の一つしての前記給電コネクタ7は、
図3と
図4にも示すように、偏平な矩形筒状をした樹脂製のコネクタ本体70を有しており、その一方の端面70a(以下、前面と称する)に開口されている筒溝72内に前記カード型光源6のカードエッジコネクタ64が内挿されるようになっている。このコネクタ本体70の筒溝72内には、当該カードエッジコネクタ64を構成している複数のコネクタ電極パッド61Pに対応する位置にそれぞれ金属等の導電性部材からなるコネクタ電極端子73が配列されている。これらのコネクタ電極端子73は、前記カードエッジコネクタ64が内挿されたときに対応するコネクタ電極パッド61Pに接触して電気接続されるようになっている。各コネクタ電極端子73には前記電気コード71が接続されている。
【0031】
前記コネクタ本体70の筒溝72内には、前記コネクタ電極端子73の配列方向の中間一部にコネクタ本体70の強度を高めるためのリブ74が形成されている。このリブ74は、前記カード型光源6に設けられている位置合せ溝69に対応する位置である。すなわち、カードエッジコネクタ64が筒溝72に内挿されるときに、位置合せ溝69内にリブ74が進入することにより、当該内挿を可能とするようになっている。前記したように位置合せ溝69は幅方向の中央に対して偏った位置にあり、これに対応してリブ74も幅方向に偏った位置に設けられているので、給電コネクタ7に対してカード型光源6が表裏反対の向きに嵌合されることが防止される。
【0032】
また、前記コネクタ本体70の筒溝72内の各コネクタ電極端子73が配列されている幅方向の両側位置には、それぞれ掛止片75が設けられている。これら掛止片75はコネクタ本体70と一体に形成された片持ち片として構成されている。この掛止片75は筒溝72内にカードエッジコネクタ64が内挿されたときに、コネクタ部60Bの前記掛止溝67に掛止され、その掛止力によってカード型光源6が容易に脱落されないようにする。
【0033】
ここで、前記コネクタ本体70の筒軸方向の寸法、すなわちカード型光源6が嵌合される方向の寸法は、カードエッジコネクタ64が給電コネクタ7内に所定の正しい位置にまで内挿されたときに、当該コネクタ本体70の前面70aが前記位置合せ溝69の先端部と一致する寸法に形成されている。
【0034】
また、前記コネクタ本体70には、その前面70aに近い両側位置に、それぞれ円形をした小径の穴76が、コネクタ本体70の厚み方向に貫通した状態で開口されている。これらの穴76は前記筒溝72が存在する位置において開口されており、位置基準穴として構成されている。この位置基準穴76は前記カード型光源6に設けられている前記位置合せ穴68とほぼ同じ径寸法に形成されており、また、カードエッジコネクタ64と給電コネクタ7が所定の状態に嵌合されたときに前記位置合せ穴68との中心が互いに一致する位置に形成されている。
【0035】
以上の構成のカード型光源6と給電コネクタ7は、相互に嵌合された上で前記ヒートシンク5のベース部51に取り付けられて前記光源ユニット1が構成される。
図5は光源ユニット1の分解斜視図である。前記ヒートシンク5の前記ベース部51の主面には、前記カード型光源6の前記取付穴65に対応する位置に取付ネジ穴54が開口されている。また、前記位置決め穴66に対応する位置に円柱状の位置決めボス55が立設されている。さらに、ベース部51の一方の縁部から前記位置決めボス55に達するまでの領域には、浅い段差部56が形成されている。この段差部56はベース部51の主面の一部を凹設した凹部で構成されており、その幅寸法は前記給電コネクタ7のコネクタ本体70の幅寸法にほぼ等しい寸法であり、その深さは給電コネクタ7と受電コネクタ64を嵌合したときに、カード型光源6のカード基板60の裏面側にコネクタ本体70が突出する厚み寸法にほぼ等しい寸法である。
【0036】
この光源ユニット1を組み立てるには、先ず、カード型光源6を給電コネクタ7に嵌合して両者を一体化する。具体的には、カード型光源6のカードエッジコネクタ64を給電コネクタ7のコネクタ本体70の前面70a側から筒溝72内に内挿する。
図6は内挿したときの断面図であり、
図6(a)のように、内挿されたカードエッジコネクタ64を構成しているカード基板60の表面上の複数のコネクタ電極パッド61Pにそれぞれ給電コネクタ7のコネクタ電極端子73が接触され、相互に電気接続される。
【0037】
また、カードエッジコネクタ64が内挿されると、
図6(b)のように、コネクタ本体70の両側位置にある掛止片75のフック状先端がカード型光源6の掛止溝67に掛止される。このとき、掛止片75と掛止溝67との間に生じるクリック感により、カード型光源6と給電コネクタ7の嵌合状態を触感で確認することができる。また、その掛止力によってカード型光源6が簡単には脱落されないようにすることができる。
【0038】
その上で、
図5に示したように、給電コネクタ7が嵌合されたカード型光源6をベース部51に取り付ける。この取り付けでは、カード型光源6の位置決め穴66にベース部51の位置決めボス55を内挿させることによりカード型光源6の位置決めが行われる。次いで、取付ネジ57をカード型光源6の取付穴65を挿通させた上でベース部51の取付ネジ穴54に螺合させることにより、カード型光源6をベース部51に固定的に取り付ける。
【0039】
なお、この実施形態では、カード型光源6を取り付けるのと同時に、前記リフレクタ8をカード型光源6に重ねた状態で前記取付ネジ57により一体的にベース部51に取り付ける。このリフレクタ8は、
図2に拡大断面を示したように、一部にテーパ型の光反射面82を有する開口81が開けられており、この開口81が前記LED62の発光面部62aに対向位置される。これにより光源ユニット1の組み立てが完了する。その後、詳細な説明は省略するが、
図2に示したように、レンズホルダ41により投影レンズ4をベース部51に取り付けることによりランプユニット2が構成される。
【0040】
このように組み立てられたランプユニット2では、カード型光源6と給電コネクタ7が嵌合されることにより、車載電源の電力がカード型光源6に給電され、LED62が発光される。発光した各LED62の発光面部62aから出射された光はリフレクタ8の開口81を透過する際に光反射面82で反射された後、投影レンズ4により前方に投影される。これにより、ランプユニット2ないしヘッドランプHLが点灯状態となり、自動車の前方領域が照明される。
【0041】
前記光源ユニット1の組み立てに際しては、カード型光源6に給電コネクタ7を嵌合させているが、このときに嵌合が不十分な半嵌合であると、前記したようにランプユニット2の組立工程中にカード型光源6と給電コネクタ7の嵌合が外れてしまうことがあり、ランプユニット2の組立工程不良の要因になる。また、そのままの状態でランプユニット2がヘッドランプHLに組み立てられてしまうと、両者間での電気接続における電気抵抗の増大や、点灯時における発熱が顕著になり、ランプユニット2ないしヘッドランプHLの信頼性が低下するおそれがある。
【0042】
このような組み立てにおける半嵌合を防止するために、
図6(b)に示した掛止片75と掛止溝67が掛止する際のクリック感を利用して嵌合を確認することは可能であるが、このクリック感は組立作業者の触感によるものであるので、感覚の個人差によって確実に半嵌合を防止することは難しい。
【0043】
この半嵌合を確実に防止するために、実施形態の光源ユニット1では、カード型光源6に設けられた位置合せ手段としての位置合せ溝69が有効に機能する。
図7はこの位置合せを説明する正面図であり、カード型光源6のカードエッジコネクタ64を給電コネクタ7に内挿させながら両者を嵌合して行くと、
図7(a)のように、コネクタ本体70の前面70aは位置合せ溝69に沿って移動され、コネクタ本体70が徐々に位置合せ溝69を覆うように移動される。
【0044】
前記したように、コネクタ本体70の嵌合方向の寸法は、位置合せ溝69の長さLに対応する所定の寸法に形成されているので、
図7(b)のように、コネクタ本体70の前面70aが位置合せ溝69の先端に一致され、コネクタ本体70が位置合せ溝69を完全に覆い隠す位置まで移動されたときに、給電コネクタ7がカード型光源6に対して正しい状態に嵌合されたことが確認される。すなわち、位置合せ溝69において光の透過を観察することにより嵌合状態が確認できる。
【0045】
また、位置合せ手段としての位置合せ穴68によれば、
図8に示すように、カード型光源6のカードエッジコネクタ64を給電コネクタ7に内挿させながら両者を嵌合して行くと、コネクタ本体70の位置基準穴76と、カード型光源6の位置合せ穴68が互いに重なる状態となる。すなわち、コネクタ本体70の外側から位置基準穴76の内部を見ると、その内部に位置合せ穴68が観察される。このとき、
図8(a)のように、両コネクタが半嵌合のときには、両穴68,76の中心位置が一致しておらず非円形の穴として観察される。
図8(b)のように、両者が正しく嵌合しているときには、両穴68,76の中心位置が一致して真円形の穴として観察される。したがって、観察される穴の形状を確認することにより嵌合状態が確認できる。
【0046】
これら位置合せ溝69あるいは位置合せ穴68を利用して両コネクタの嵌合を確認する際には、例えば、
図9に示す確認手段を利用することが好ましい。
図9(a)は作業者の目視による確認の場合であり、カード型光源6と給電コネクタ7を嵌合する作業台の下側に光拡散板102を配設し、その下方に照明光源101を配置する。
【0047】
この確認手段では、照明光源101を点灯し、これにより照明された光拡散板102は均一な面光源となる。したがって、この光拡散板102の上で両者を嵌合しながら前記したように位置合せ溝69や位置合せ穴68を目視すれば、位置合せ溝69が給電コネクタ7により完全に覆い隠された状態、あるいは位置基準穴76の内部に観察される明るい穴の形状を確認することが容易になり、両者の確実な嵌合が確認できる。
【0048】
図9(b)は、光電的に確認を行う場合であり、嵌合する作業台の下側に鉛直上方に向けて所要の光束径の平行光を出射する光源部201を配設する。このような光源部201は、例えばLED等の光源202とコリメートレンズ203により実現できる。また、この光源部201の直上位置に受光素子等の受光部204を配設し、受光した光の光量を光量メータ205等によって検出する。
【0049】
この確認手段では、光源部201から出射される光の光路上においてカード型光源6と給電コネクタ7を嵌合させる。光源部201からの光は位置合せ溝69あるいは位置合せ穴68を下方から上方に透過した上で受光部204により受光される。したがって、位置合せ溝69の場合には、受光部204での受光量がほぼ零になったときに正しく嵌合されたことが確認できる。位置合せ穴68の場合には、受光部204での受光量が最大ピークのときに正しく嵌合されたことが確認できる。
【0050】
ここで、カード型光源6をベース部51の主面に取り付けたときの状態を
図10(a)の断面図に示す。カード型光源6はLED62を搭載している表面がランプユニット2の前方に向けられた状態で、その裏面がベース部51の主面に密接した状態に取り付けられる。カードエッジコネクタ64によってカード型光源6に嵌合された給電コネクタ7は、その一部がカード型光源6の裏面側において厚み方向に突出されている。そのため、カード型光源6をベース部51の主面に密着させる場合には、給電コネクタ7を当該主面から外れた側方位置に配置しなければならない。しかし、このようにすると、光源ユニット1の小型化が困難になる。
【0051】
この実施形態では、ベース部51に段差部56を設けているので、給電コネクタ7はこの段差部56内に収容される。したがってカード型光源6の裏面を正しくベース部51の主面に密着させ、光源の位置、特にランプユニット2の光軸方向におけるLED62の位置を正確に設定できる。
【0052】
これと同時に、ベース部51の主面上におけるカード型光源6及び給電コネクタ7を含めた高さ寸法を、段差部56の深さ寸法に相当するだけ低減することができ、光源ユニット1の薄型化が可能になる。また、給電コネクタ7をベース部51の側方に突出させた位置に配置する必要がなく、光源ユニット1の小型化が可能になる。
【0053】
図11は、ヒートシンク5のベース部51の変形例を示す図であり、
図5に示した構成と等価な部分には同一符号を付してある。この変形例では、ベース部51に設けた段差部56の2箇所にそれぞれ円錐状あるいは円柱状の位置固定ボス58が立設されている。これらの位置固定ボス58は、給電コネクタ7が正しく嵌合されているカード型光源6がベース部51に取り付けられたときに、その位置合せ穴68が位置される箇所に設けられている。これら位置固定ボス58は、対応する位置合せ穴68及び前記位置基準穴76とほぼ同じ径寸法に形成されている。
【0054】
この位置固定ボス58を設けることにより、
図10(b)の断面図に示すように、カード型光源6と給電コネクタ7が正しく嵌合されていれば、カード型光源6をベース部51に取り付ける際に、位置固定ボス58は位置合せ穴68と位置基準穴76をスムーズに挿通され、カード型光源6の取り付けは容易である。また、カード型光源6と給電コネクタ7の嵌合が半嵌合に近い状態の場合には、位置固定ボス58が位置合せ穴68と位置基準穴76を挿通されず、カード型光源6をベース部51に取り付けることができなくなる。しかし、この際に無理に挿通させるようにすれば、位置固定ボス58の周面と両穴68,76の内面との当接によって給電コネクタ7に対してカード型光源6を強制的に移動させ、正しい嵌合状態に修正することが可能になる。
【0055】
また、この位置固定ボス58は、位置基準穴68と位置合せ穴76を通して挿入されるので、カード型光源6をベース部51に取り付けたときには給電コネクタ7をベース部51に対して位置拘束することになる。したがって、給電コネクタ7の嵌合が外れて給電コネクタ7がベース部51から脱落することを防止することもできる。なお、位置固定ボス58の代わりに、位置基準穴68と位置合せ穴76を挿通させるネジによりベース部51に固定するようにしてもよい。
【0056】
給電コネクタ7の変形例として、
図12のように、コネクタ本体70の前面70aの両側部を後方に向けて切り欠いた逃げ部77を設けてもよい。この逃げ部77の厚み方向の寸法、すなわち同図の上下方向に沿ったコネクタ本体70の厚み方向の寸法は、少なくともカード型光源6のカード基板60の板厚よりも大きな寸法である。また、逃げ部77の深さ、すなわちコネクタ本体70の前後方向に沿った寸法は可及的に大きな寸法である。
【0057】
この逃げ部77を設けることにより、カード型光源6を給電コネクタ7に嵌合したときに、逃げ部77の深さ寸法だけコネクタ本体70の前面70aがカード基板60のコネクタ部60Bの縁部から進入した状態で嵌合することができる。したがって、コネクタ本体70やカード基板60に公差あるいは製造誤差が生じている場合でも、両コネクタを十分に深い位置まで嵌合させることができ、これら公差や製造誤差による半嵌合を未然に防止することができる。
【0058】
以上のように、実施形態の光源ユニットでは、カード型光源に給電コネクタを嵌合した状態で、当該カード型光源をベース部に取り付けると、ベース部に設けられた段差部において給電コネクタを収容するので、カード型光源をベースに対して密接した状態に取り付けることができ、かつ光源ユニットの高さ寸法を段差部の寸法だけ低減でき、また、給電コネクタをベース部の外側に配置する必要がなく、光源ユニットの小型化が可能になる。
【0059】
また、実施形態の光源ユニットでは、カード型光源と給電コネクタを嵌合する際に、位置合せ溝あるいは位置合せ穴を利用して目視にて両者の嵌合状態を確認することができる。したがって、掛止片と掛止溝とのクリック感に対する作業者の感覚の相違がある場合でも、確実に嵌合状態を確認し、半嵌合を防止することができ、光源ユニットの信頼性が向上できる。
【0060】
前記実施形態では、光源ユニットは、位置合せ基準として、位置合せ溝と位置合せ穴(位置基準穴)の両方を備える構成を説明したが、いずれか一方のみを備える構成であってもよい。また、位置合せ溝をカード基板の縁部から切り欠いているが、嵌合したときにコネクタ本体の前面が位置される部位を含む所要の領域にわたって形成された長溝であってもよい。さらに、位置合せ穴は円形に限られるものではなく、位置基準穴との相対位置が判断できるものであれば三角穴、矩形穴、楕円穴等の他の形状の穴であってもよい。
【0061】
さらに、カード型光源に設ける位置合せ手段は、実施形態の位置合せ溝や位置合せ穴に限られるものではなく、例えば、カード基板に形成するレジストや導電膜の一部を利用して位置合せマークを形成し、この位置合せマークを利用して給電コネクタの嵌合位置を確認するようにしてもよい。
【0062】
また、本発明における位置合せ手段は、前記実施形態の位置合せ穴と位置合せ溝を給電コネクタに形成し、カード型光源との間で嵌合位置を確認するように構成してもよい。
【0063】
なお、図示は省略するが、カード型光源のカード基板を形成する際には、通常1枚の素板から複数のカード基板を分離、分割形成することが行われる。この際、素板の表面にV溝を形成し、このV溝を利用して複数のカード基板を分割形成すると、カードエッジコネクタを形成する箇所の分割縁部にバリが生じ、バリによる給電コネクタへの傷付きや電気的短絡の要因になる。
【0064】
本発明では、素板から複数のカード基板を形成する際に、少なくともカードエッジコネクタを構成する縁部については、プレス加工等による剪断によって形成する。これによりカードエッジコネクタの縁部におけるバリの発生が防止でき、給電コネクタへの傷付きや電気的短絡を防止し、光源ユニットの信頼性が向上する。
【0065】
本発明は実施形態に記載のハイビーム配光のランプユニットに適用される光源ユニットに限定されるものではなく、ロービーム配光のランプユニット、あるいはその他の配光のランプユニットに適用される光源ユニットとして構成できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0066】
1 光源ユニット
2 ランプユニット
3 ランプハウジング
4 投影レンズ
5 ヒートシンク
6 カード型光源
7 給電コネクタ
8 リフレクタ
51 ベース部
56 段差部
58 位置固定ボス
60 カード基板
61 導電パターン
61P コネクタ電極パッド
62 発光素子(光源:LED)
64 カードエッジコネクタ
65 取付穴
66 位置決め穴
68 位置合せ穴(位置合せ手段)
69 位置合せ溝(位置合せ手段)
70 コネクタ本体
72 凹溝
73 コネクタ電極端子
71 電気コード
76 位置基準穴