(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-03
(45)【発行日】2022-03-11
(54)【発明の名称】プリペイド式流体供給方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/06 20120101AFI20220304BHJP
G07F 15/10 20060101ALI20220304BHJP
【FI】
G06Q50/06
G07F15/10 101
(21)【出願番号】P 2018003884
(22)【出願日】2018-01-13
【審査請求日】2020-12-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000222657
【氏名又は名称】東洋計器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090170
【氏名又は名称】横沢 志郎
(72)【発明者】
【氏名】土田 泰秀
(72)【発明者】
【氏名】横沢 正彦
【審査官】池田 聡史
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-164338(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107464359(CN,A)
【文献】特開2007-101466(JP,A)
【文献】特開平11-053637(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G07F 15/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体利用者にプリペイド方式で流体料金を精算させ、流体のプリペイド残量が零になると前記流体利用者に対する流体の供給を遮断するプリペイド式流体供給方法において、
システム管理サーバと、
前記流体利用者による流体消費場所に設置した流量メーターおよびプリペイド端末と、
前記流体利用者に対する連絡先である連絡先通信端末と
を備えており、
前記プリペイド端末は、前記プリペイド残量の更新、および、前記流量メーターによる流体使用流量の計測値に基づき前記プリペイド残量の減算処理を行い、
前記システム管理サーバあるいは前記プリペイド端末は、
前記プリペイド残量が減ったことを示す残量通知を、システム管理サーバあるいは前記プリペイド端末から、前記流体利用者の連絡先通信端末に送信するための残量通知時点を設定する残量通知時点設定の処理と、
設定された前記残量通知時点に至ると、前記システム管理サーバあるいは前記プリペイド端末から、前記連絡先通信端末に前記残量通知を送信させる残量通知の処理
と、
前記残量通知を行う残量通知時間帯を設定する残量通知時間帯設定の処理と
を行い、
前記残量通知時点設定の処理では、前記残量通知時点として複数の時点を設定し、
前記残量通知の処理では、設定された各残量通知時点において、当該残量通知時点のプリペイド残量の残量値を含む情報を前記残量通知として送信
し、前記残量通知時点が設定された前記残量通知時間帯から外れている場合には、前記残量通知時間帯まで待って、前記残量通知を送信するプリペイド式流体供給方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記残量通知時点設定の処理では、前記残量通知時点として、前記残量値を表す複数の値を設定可能であり、
前記残量通知の処理では、前記プリペイド残量が、設定された複数の前記残量値まで減少した時点のそれぞれにおいて、前記残量通知を送信するプリペイド式流体供給方法。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記システム管理サーバあるいは前記プリペイド端末は、前記残量値が零になると流体の供給を遮断する流体遮断の処理では、前記流体利用者により流体が使用されている間は流体遮断を行わず、流体使用終了時点の後に前記流体遮断を行わせるプリペイド式流体供給方法。
【請求項4】
請求項3において、
前記システム管理サーバあるいは前記プリペイド端末は、
前記流体利用者による流体使用状況に基づき、流体の利用頻度の高い時間帯あるいは流体の利用量の多い時間帯を、流体使用時間帯として算出する流体使用状況監視の処理を行い、
前記流体遮断の処理では、前記流体使用終了時点の後であって、前記流体使用時間帯以外の時間帯に、前記流体遮断を行わせるプリペイド式流体供給方法。
【請求項5】
請求項3または4において、
前記システム管理サーバあるいは前記プリペイド端末は、
前記残量値が零になった時点から前記流体遮断が行われた時点までに使用された流体の使用料金を未決済流体料金として算出する未決済流体料金算出の処理と、
前記流体利用者による次回のプリペイド方式での流体料金の精算時に、前記未決済流体料金の精算も併せて行う未決済流体料金精算の処理と
を行うプリペイド式流体供給方法。
【請求項6】
流体利用者にプリペイド方式で流体料金を精算させ、流体のプリペイド残量が零になると前記流体利用者に対する流体の供給を遮断するプリペイド式流体供給システムにおいて、
システム管理サーバと、
前記流体利用者による流体消費場所に設置した流量メーターおよびプリペイド端末と、
前記流体利用者に対する連絡先である連絡先通信端末と
を備えており、
前記プリペイド端末は、前記プリペイド残量の更新、および、前記流量メーターによる流体使用流量の計測値に基づき前記プリペイド残量の減算処理を行い、
前記システム管理サーバあるいは前記プリペイド端末は、
前記プリペイド残量が減ったことを示す残量通知を、前記流体利用者の連絡先通信端末に送信するための残量通知時点を設定する残量通知時点設定機能と、
設定された前記残量通知時点に至ると、前記連絡先通信端末に前記残量通知を送信する残量通知機能と、
前記残量通知を行う残量通知時間帯を設定する残量通知時間帯設定機能と
を備えており、
前記残量通知時点設定機能は、前記残量通知時点として、前記プリペイド残量の残量値を表す複数の値を設定可能であり、
前記残量通知機能は、前記プリペイド残量が、設定された複数の前記残量値まで減少した時点のそれぞれにおいて、当該残量通知時点の前記残量値を含む情報を前記残量通知として送信し、前記残量通知時点が設定された前記残量通知時間帯から外れている場合には、前記残量通知時間帯まで待って、前記残量通知を送信するプリペイド式流体供給システム。
【請求項7】
請求項6において、
前記システム管理サーバあるいは前記プリペイド端末は、
前記残量値が零になると流体の供給を遮断する流体遮断機能と、
前記流体利用者による流体使用状況に基づき、流体の利用頻度の高い時間帯あるいは流体の利用量の多い時間帯を、流体使用時間帯として算出する流体使用状況監視機能と
を備えており、
前記流体遮断機能は、前記流体利用者により流体が使用されている間は流体遮断を行わず、流体使用終了時点の後であって、前記流体使用時間帯以外の時間帯に、前記流体遮断を行うプリペイド式流体供給システム。
【請求項8】
請求項7において、
前記プリペイド端末は、
前記残量値が零になった時点から前記流体遮断が行われた時点までに使用された流体の使用料金を未決済流体料金として算出する未決済流体料金算出機能と、
前記流体利用者による次回の前記プリペイド残量の更新時に、前記未決済流体料金の精算を行う未決済流体料金精算機能と
を備えているプリペイド式流体供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス利用者あるいは水道利用者(以下、ガスおよび水道を纏めて流体と呼ぶ。)にプリペイド方式でガス料金あるいは水道料金を精算させ、流体のプリペイド残量が少なくなると利用者に残量通知を行い、残量が零になると流体利用者に対する流体の供給を遮断するプリペイド式流体供給方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
流体供給システム、例えば、ガスを供給するガス供給システムとして、ガス料金の精算をプリペイド方式で行う方法が知られている。特許文献1には、プリペイドカードを用いてガス料金をプリペイド可能なガスメーターが提案されている。ガスメーターは、プリペイド残量が少なくなると警告を発生する通知機能を備え、ガス利用者にプリペイドカードのガス料金のチャージを催促する。また、特許文献2に記載のプリペイド式のガス供給システムでは、プリペイド残量が零になっても、ガスが使用されている間はガスの供給を止めず、ガス使用が止んだ後にガス遮断弁を閉じるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-126627号公報
【文献】特開2007-101466号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のプリペイド式流体供給方法あるいはシステムにおいては次のような課題がある。まず、流体(ガスあるいは水道)のプリペイド残量が残り少なくなった場合の残量通知を、利用者が見逃す場合がある。例えば、携帯電話などの利用者側の通信端末に対して残量通知のメール等を送っても、睡眠中等のように、利用者が残量通知を確認できない状況にある場合がある。残量通知を見落とすと、ガスあるいは水道の料金がプリペイされないのでプリペイド残量が零になり、遮断弁が強制遮断されてしまう。このような事態を回避するために、利用者が確実に残量通知を確認できることが必要である。
【0005】
また、例えば特許文献2に記載のシステムでは、ガスの使用中にガスが強制遮断されることを回避するために、ガス使用が止んだ後にガスの強制遮断を行っている。しかしながら、ガスが断続して繰り返し使用される時間帯、例えば夕食時等において途中でガス供給が止まってしまうことは、ガス利用者にとって極めて不便である。水道の場合も同様である。
【0006】
さらに、プリペイド残量が零になった後においても上記のようにガスあるいは水道の使用を許可した場合に、特許文献2に記載のシステムでは、定期的にガス検針などを行う検針員が、未決済のガス料金を精算している。しかしながら、このような超過料金であっても、人手に頼ることなく精算できることが望ましい。
【0007】
本発明の目的は、このようなプリペイド式流体供給方法あるいはシステムにおける残量通知に関連する問題点に鑑みて、利用者にとって望ましい形態で残量通知を行い得るプリペイド式流体供給方法およびシステムを提供することにある。
【0008】
また、本発明の目的は、残量通知後にプリペイド残量が零になった場合の流体供給の強制遮断を、流体利用者に不便を与えることの無い形態で行い得るプリペイド式流体供給方法およびシステムを提供することにある。
【0009】
さらに、本発明の目的は、流体利用者の不便を回避するために生じた流体の超過料金の精算を人手に頼らずに行い得るプリペイド式流体供給方法およびシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明は、流体利用者にプリペイド方式で流体料金を精算させ、流体のプリペイド残量が零になると前記流体利用者に対する流体の供給を遮断するプリペイド式流体供給方法において、
プリペイド残量が所定の残量値まで減ったことを示す残量通知を、システム管理サーバから、流体利用者の連絡先通信端末に送信するための残量通知時点を設定する残量通知時点設定の処理を行い、
設定された残量通知時点に至ると、システム管理サーバから連絡先通信端末に残量通知を送信する残量通知の処理を行い、
残量通知時点設定の処理では、システム管理サーバによって、あるいは、連絡先通信端末からシステム管理サーバを介して、残量通知時点として複数の時点を設定し、
残量通知の処理では、設定された各残量通知時点において、当該残量通知時点の残量値(プリペイド残量)を含む情報を前記残量通知として送信することを特徴としている。
【0011】
本発明の方法では、残量通知時点を複数設定できる。換言すると、残量通知が複数回行われる。例えば、流体利用者は、都合の良い残量通知時点を複数設定しおくことにより、プリペイド残量が零になる前に、そのことを確実に確認できる。
【0012】
ここで、残量通知時点設定の処理では、通常は、残量通知時点として、残量値を表す複数の値が設定される。例えば、流体使用開始時点のプリペイド残量を基準として、プリペイド残量が例えば、50%に減った時点、25%に減った時点、10%に減った時点に残量通知を受けるために、これらの値が設定される。残量通知の処理では、プリペイド残量が、設定された複数の残量値、例えば、50%、25%、10%まで減少した時点のそれぞれにおいて、これらの残量値を含む情報を残量通知として送信する。
【0013】
また、本発明の方法においては、残量通知を行う残量通知時間帯を設定する残量通知時間帯設定の処理を行っている。残量通知の処理では、残量通知時点が、設定された残量通知時間帯から外れている場合には、残量通知時間帯まで待って、残量通知を送信する。残量通知時間帯の設定も、流体利用者が自分の連絡先通信端末からシステム管理サーバにアクセスして行うことができる。あるいは、システム管理者がシステム管理サーバに直接に設定することができる。システム管理サーバに設定されているデフォルト値である残量通知時間帯を使用し、流体利用者による変更要求を受け付けて変更してもよい。
【0014】
このように、残量通知時点を流体利用者の都合のよい時間帯に設定することにより、残量通知を確実に流体利用者に確認させることができる。これにより、流体利用者の意図しない流体強制遮断という事態を回避できる。
【0015】
次に、本発明の方法において、残量通知後のプリペイド残量が零になった場合の流体遮断の処理は、流体利用者により流体が使用されている間は流体遮断を行わず、流体使用終了時点の後に流体遮断を行うことが望ましい。
【0016】
この場合においても、流体利用者による流体使用状況に基づき、流体の使用頻度の高い時間帯あるいは流体の使用量の多い時間帯を、流体使用時間帯として算出する流体使用状況監視の処理を行い、流体遮断の処理では、流体使用終了時点の後であって、流体使用時間帯以外の時間帯に、流体遮断を行うことが望ましい。
【0017】
流体利用者による流体使用頻度、流体使用量の多い時間帯を避けて、流体の強制遮断を行うことにより、残量通知を見逃してしまった流体利用者に対する流体強制遮断に起因する不便を最小限に抑えることができる。
【0018】
このように流体遮断を遅らせることで発生する未決済流体料金は、流体利用者による次回の流体料金のチャージ時(プリペイ時)に精算すればよい。すなわち、本発明の方法では、残量値が零になった時点から流体遮断が行われた時点までに使用された流体の使用料金を未決済流体料金として算出する未決済流体料金算出の処理を行い、前記の流体利用者による次回のプリペイド方式での流体料金の精算時に、未決済流体料金の精算も併せて行う未決済流体料金精算の処理を行う。
【0019】
次に、本発明は、流体利用者にプリペイド方式で流体料金を精算させ、流体のプリペイド残量が零になると流体利用者に対する流体の供給を遮断するプリペイド式流体供給システムであって、
システム管理サーバと、
流体利用者による流体消費場所に設置した流量メーターおよびプリペイド端末と、
流体利用者に対する連絡先である連絡先通信端末と
を備えており、
プリペイド端末は、プリペイド残量の更新、および、流量メーターによる流体使用流量の計測値に基づき前記プリペイド残量の減算処理を行い、
システム管理サーバあるいは前記プリペイド端末は、
プリペイド残量が減ったことを示す残量通知を、流体利用者の連絡先通信端末に送信するための残量通知時点を設定する残量通知時点設定機能と、
設定された残量通知時点に至ると、連絡先通信端末に残量通知を送信する残量通知機能と、
残量通知を行う残量通知時間帯を設定する残量通知時間帯設定機能と
を備えており、
残量通知時点設定機能は、残量通知時点として、残量値を表す複数の値を設定可能であり、
残量通知機能は、プリペイド残量が、設定された複数の前記残量値まで減少した時点のそれぞれにおいて、当該残量通知時点の残量値を含む情報を残量通知として送信し、残量通知時点が設定された残量通知時間帯から外れている場合には、残量通知時間帯まで待って、残量通知を送信することを特徴としている。
【0020】
また、システム管理サーバあるいはプリペイド端末は、さらに、
残量値が零になると流体の供給を遮断する流体遮断機能と、
流体利用者による流体使用状況に基づき、流体の利用頻度の高い時間帯あるいは流体の利用量の多い時間帯を、流体使用時間帯として算出する流体使用状況監視機能と
を備えており、
流体遮断機能は、流体利用者により流体が使用されている間は流体遮断を行わず、流体使用終了時点の後であって、流体使用時間帯以外の時間帯に、流体遮断を行うことが望ましい。
【0021】
さらに、前記プリペイド端末は、
残量値が零になった時点から流体遮断が行われた時点までに使用された流体の使用料金を未決済流体料金として算出する未決済流体料金算出機能と、
流体利用者による次回の前記プリペイド残量の更新時に、未決済流体料金の精算を行う未決済流体料金精算機能と
を備えていることが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明を適用したプリペイド式ガス供給システムの全体構成図である。
【
図2】プリペイド式ガス供給システムの各部の構成を示す機能ブロック図である。
【
図3】プリペイド式ガス供給システムに用いる専用カード(プリペイドカード)の発行手順を示す説明図である。
【
図4】プリペイド式ガス供給システムにおける残量通知の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、図面を参照して、本発明を適用したプリペイド式流体供給システムの実施の形態を説明する。以下の実施の形態は本発明をガス供給システムに適用したものであるが、本発明はプリペイド式水道供給システムに対しても同様に適用可能である。
【0024】
図1は本実施の形態に係るプリペイド式ガス供給システムを示す説明図である。プリペイド式ガス供給システム1(以下、単に「システム1」と呼ぶ。)は、システム管理者(ガス事業者等)に設置されているシステム管理サーバ2と、各コンビニエンスストア3(i)(i=1、2、3・・・)に設置されているマルチメディア端末であるコンビニ店頭端末4およびキャッシュレジスター5と、住宅、アパートなどの各ガス消費場所6(j)(j=1、2、3・・・)のガス利用者が所有する連絡先通信端末7(PC、スマートフォン等)から構成される。システム管理サーバ2は、インターネット等の一般通信回線8を介して、ガス料金の精算用(プリペイ用)の端末として機能するコンビニ店頭端末4およびガス利用者の連絡先通信端末7のそれぞれに通信接続可能である。
【0025】
各ガス消費場所6(j)には、ガスメーター11を介してガスが各ガス機器12(k)(k=1、2、3・・・)に供給可能なガス供給設備が設置されている。ガス機器12(k)には、給湯用ガス機器12(1)、暖房用ガス機器12(2)、厨房用ガス機器12(3)等が含まれている。各ガス消費場所6(j)におけるガスの使用は、ガスメーター11に接続されたプリペイド端末13に付属のプリペイドカードとして用いるICカード等からなる専用カード14を用いて行う。プリペイド端末13には端末識別用の読取側ID情報ID(13)が記憶保持されており、専用カード14にも同一あるいは当該読取側ID情報ID(13)に一対一に対応付けされたカード識別用のカード側ID情報ID(14)が付与されている。
【0026】
図2は、システム管理サーバ2、および、各ガス消費場所6(j)に設置されているプリペイド端末13が外付けされたガスメーター11の機能ブロック図である。ガスメーター11は例えば超音波ガスメーターであり、制御部21aと、ガス消費場所6(j)での使用流量を計測する計測部21bとを備えている。ガスメーター11の内部のガス計測用のガス通路22には遮断弁23が配置されており、遮断弁23が開くと、ガス消費場所6(j)でのガスの使用が可能になり、閉じるとガスの使用が出来なくなる。
【0027】
プリペイド端末13は、ガスメーター11との間で通信を行う通信部24、システム管理サーバ2との間で通信を行う通信部25、カード読取部26、操作・表示部27および制御部28を備えている。ガスメーター11は、プリペイド端末13を介して、システム管理サーバ2との間で情報等の送受を行う。ガスメーター11のガス流量の計測値などのガス検針値は、定期的に、あるいは、要求に応じて、システム管理サーバ2に送信される。システム管理サーバ2において、各ガス消費場所6(j)でガス使用状況等が集中監視される。
【0028】
カード読取部26は、ガス消費場所6(j)でガスを使用するために用いる専用カード14に記録されているプリペイド金額情報等を読み取る。カード読取部26は、識別用の読取側ID情報ID(13)を記憶保持しており、専用カード14からプリペイド金額を読み取る際に、当該専用カード14に記録されているカード側ID情報ID(14)を読み取り、専用カード14の認証を行い、カード側ID情報が読取側ID情報に一致する場合にのみ、専用カード14の使用を許可して、そこからプリペイド金額の読取を行う。
【0029】
プリペイド端末13の制御部28は、記憶部29を備えていると共に、使用料金算出部30、残金算出部31およびガス利用制限部32、ガス利用状況算出部33、および表示制御部34として機能する。表示制御部34の制御の下に、操作・表示部27の表示画面にはプリペイド残額等の表示が行われる。
【0030】
記憶部29には、動作制御用プログラム、料金体系に関する情報等が記憶保持される。使用料金算出部30は、設定料金体系に基づき、ガス消費場所6(j)でのガスの使用料金を算出する。残金算出部31は、カード読取部26によって読み取られたプリペイド金額を表すプリペイド残量から、使用料金算出部30で算出された使用料金を減算して、プリペイド残量を更新する。
【0031】
ガス利用制限部32は、プリペイド残量が零になるまではガスメーター11の遮断弁23を開状態に維持してガスの使用を許可する。また、ガス利用制限部32は、ガス利用状況算出部33によって検出されるガス利用状況に基づき、プリペイド残量が零になると、ガスメーター11の遮断弁23を強制遮断してガス利用を制限するガス遮断機能を備えている。
【0032】
ガス利用状況算出部33は、各ガス消費場所6(j)におけるガス利用者によるガス使用の有無を検出する機能を備えている。また、ガス使用状況に基づき、1日におけるガスの利用頻度の高い時間帯あるいはガスの利用量の多い時間帯を、ガス使用時間帯として算出するガス使用状況監視機能を備えている。ガス利用制限部32のガス遮断機能は、ガス使用状態においてはガス遮断を行わず、また、ガス使用が止んだ後のガス使用時間帯以外の時間帯にガス遮断を行う。
【0033】
ここで、使用料金算出部30は、上記のようにガス遮断を遅らせることで発生する未決済の超過ガス料金を算出する未決済ガス料金算出機能を備えている。また、残金算出部31は、超過ガス料金をガス使用開始時にプリペイド残量から一括減算する未決済ガス料金精算機能を備えている。これにより、未決済の超過ガス料金の回収を確実に行うことができる。
【0034】
一方、各ガス消費場所6(j)のガス使用状況を監視しているシステム管理サーバ2は、残量通知機能2aを備えている。各ガス消費場所6(j)でのプリペイド残量を監視し、設定された残量通知時点になると、システム管理サーバ2は、プリペイド残量が所定の残量値まで減ったことを示す残量通知を、各ガス消費場所6(j)のガス利用者10の連絡先通信端末7に送信する。
【0035】
また、システム管理サーバ2は、残量通知をガス利用者の連絡先通信端末7に送信するための残量通知時点を設定する残量通知時点設定機能2bを備えている。システム管理者(ガス事業者等)は、プリペイド残量が所定の残量値まで減った時点で残量通知を行うように、システム管理サーバ2の残量通知時点設定機能2bを用いて、当該システム管理サーバ2に設定できる。また、ガス利用者は連絡先通信端末7からシステム管理サーバ2によって運営されるインターネット上のサイトにアクセスして、残量通知時点設定機能2bを用いて、残量通知時点を任意に設定可能である。
【0036】
例えば、デフォルト値として、チャージ時点のプリペイド残量を100%として、残量通知時点として、プリペイド残量の残量値が50%に減った時点、25%に減った時点、0%になった時点が設定される。システム管理者あるいはガス利用者は、残量通知時点設定機能2bにより、残量通知時点の数および残量値を変更可能である。
【0037】
これに加えて、本例では、システム管理サーバ2は、残量通知を行う残量通知時間帯を設定可能な残量通知時間帯設定機能2cを備えている。残量通知機能2aは、残量通知時点が設定された残量通知時間帯から外れている場合には、残量通知時間帯まで待って、残量通知を送信する。システム管理者(ガス事業者等)は、システム管理サーバ2の残量通知時間帯設定機能2cを用いて、残量通知時間帯をシステム管理サーバ2に設定できる。また、ガス利用者は連絡先通信端末7からシステム管理サーバ2によって運営されるインターネット上のサイトにアクセスして、残量通知時間帯設定機能2cを用いて、残量通知時間帯を設定可能である。
【0038】
(プリペイド方式によるガス料金の精算)
図3は、システム1における専用カード14の発行手順を示す説明図である。ガス消費場所6(j)においてガスの使用を開始しようとするガス利用者10は、連絡先通信端末7、例えばスマートフォンからシステム管理者(ガス事業者等)のシステム管理サーバ2にアクセスして、プリペイド支払請求書(電子請求)の発行要求を行う(ステップST1)。なお、ガス利用者10がシステム管理者(ガス事業者)の顧客データベースに登録されていない場合には、ガス利用者10の身元識別情報、ガス消費地情報を含む登録情報を用いて登録手続きが行われる。
【0039】
システム管理サーバ2は、発行要求を受け付けると、連絡先通信端末7に対して、ガス消費場所6(j)のプリペイド端末13に割り当てられている読取側ID情報ID(13)と同一あるいは一対一に対応付けされた料金収納用番号が付された金額選択式のプリペイド支払請求書15を発行する(ステップST2)。
【0040】
ガス利用者10は、プリペイド端末13に備え付けの専用カード14を持参して、最寄りのコンビニエンスストア3(i)に出向き(ステップST3)、プリペイド支払請求書15の料金収納用番号を用いて、コンビニ店頭端末4において、支払請求書16をプリントアウトする(ステップST4)。プリントアウトされた支払請求書16を会計窓口に持ち寄り、プリペイド金額を選択し、選択した金額の現金の支払いを行う(ステップST5)。
【0041】
会計窓口の店員は、キャッシュレジスター5に受取金額の入金処理を行い、入金されたプリペイド金額情報を、利用者が持参した専用カード14に書き込む処理を行う(ステップST6)。このようにしてガス料金のプリペイド金額が入金されると、入金情報がシステム管理サーバ2等に送信され、プリペイド金額の電子決済処理が行われる。
【0042】
ガス利用者10は、プリペイド金額が記録された専用カード14をガス消費場所6(j)に持ち帰り、プリペイド端末13に翳しあるいは挿入して、プリペイド端末13にプリペイド金額を読み込ませて、当該金額がプリペイド残量に加算(チャージ)される。最初の使用時には、プリペイド残量は零であるので、読み込まれたプリペイド金額がプリペイド残量として記録される。これにより、ガス消費場所6(j)において、プリペイド残量分のガスの使用が可能になる。
【0043】
(処理動作の例)
図4は、システム1における各ガス消費場所6(j)におけるプリペイド残量に基づく残量通知動作を中心に示す概略フローチャートである。事前に、ガス利用者10によって、残量通知時点として、残量値が50%、25%の2つが設定されているものとする。残量値が0%の残量通知時点は変更できない固定した時点である。本例では、残量通知は3回行われる。また、ガス利用者10によって、残量通知時間帯として、18時から22時までの時間帯が設定されているものとする。
【0044】
ガス消費場所6(j)でガスが使用されると、プリペイド端末13では、それに対応するガス料金分だけ、プリペイド残量の減算処理が行われる。プリペイド端末13において更新されるプリペイド残量は、システム管理サーバ2に定期的に送信されている(ステップST21)。プリペイド残量が更新される毎に、プリペイド残量が設定されている残量通知時点(50%、25%、0%)まで減少したか否かを判別する(ステップST22)。
【0045】
プリペイド残量が第1残量通知時点である50%の時点になると、システム管理サーバ2は、設定されている残量通知時間帯であるか否かを判定する(ステップST23)。残量通知時間帯内の時点である場合には、ガス利用者の連絡先通信端末7に第1回目の残量通知をメール通知する。あるいは、連絡先通信端末7にインストールされている残量管理ソフトを起動して、画面上に残量通知を表示する(ステップST24。残量通知時間帯から外れている場合には、残量通知時間帯まで待って残量通知を行う。
【0046】
プリペイド残量が第2残量通知時点である25%の時点になると、システム管理サーバ2は、設定されている残量通知時間帯であるか否かを判定する(ステップST25)。残量通知時間帯内の時点である場合には、ガス利用者の連絡先通信端末7に第2回目の残量通知をメール通知する。あるいは、連絡先通信端末7にインストールされている残量管理ソフトを起動して、画面上に残量通知を表示する(ステップST26)。この場合には、プリペイド残量が残り少ない状況なので、残量通知を、所定時間を開けて複数回、例えば2回行う(ステップST27)。残量通知時間帯から外れている場合には、残量通知時間帯まで待って残量通知を行う。なお、第1回目の残量通知の場合と同様に、1回だけ、第2回目の残量通知を行うことも可能である。
【0047】
第3残量通知時点である0%の場合には、残量通知時間帯まで待つことなく、直ちに、残量値が0%である旨の残量通知を送る(ステップST28)。また、残量通知時間帯において、再度、残量値が0%になった旨の警告である残量通知を行うことが望ましい。これにより、ガスが強制遮断される事態を回避、あるいは、強制遮断によってガスが使用できない期間が長くなることを防止する。
【0048】
次に、ガス消費場所6(j)の側においては、プリペイド端末13は、プリペイド残量の残量値が0%になった場合には、ガスが使用されているか否かを判定する(ステップST29)。また、ガスが使用されていない場合には、現時点が、ガス使用時間帯であるか否かを判定する(ステップST30)。ガスが使用されておらず、ガス使用時間帯から外れている場合には、遮断弁23を閉じてガスの供給を強制遮断する(ステップST31)。
【0049】
ガスが使用されている場合にはガスの使用が止むまで待つ。また、ガスの使用が止み、ガス使用時間帯から外れた時点においてガスを強制遮断する。このように、ガスが使用されておらず、かつ、ガス使用時間帯から外れた時間帯においてガスが強制遮断されるので、ガス強制遮断に起因するガス利用者の不便を最小限に抑えることができる。
【0050】
ガスの強制遮断を直ちに行わなかった場合にはガスの超過料金が発生する。プリペイド端末13では超過料金を未決済ガス料金として算出し、記憶保持する(ステップST32)。ガス利用者がガス使用を再開した時点で、プリペイド残量から未決済ガス料金を精算する(ステップST33、34)。
【0051】
上記の例では、残量通知を、システム管理サーバ2から連絡先通信端末7に送信している。各ガス消費場所に設置したプリペイド端末13に、連絡先通信端末7と直接に通信可能な通信機能を付設し、プリペイド端末13から連絡先通信端末7に残量通知を行うこともできる。また、上記の例では、ガスメーター11にプリペイド端末13を外付けした構成を採用している。ガスメーター11にプリペイド端末13を内蔵してもよい。
【0052】
なお、上記の例では、説明を簡単にするために、システム管理サーバ2に、ガス消費場所6(j)でのガス使用状況の監視を行うガス管理機能およびプリペイド式によるガス料金精算機能を持たせている。これらを、別個の端末あるいはサーバが行い、双方が連携してプリペイド式ガス供給システムを構築してもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 プリペイド式ガス供給システム
2 システム管理サーバ
2a 残量通知機能
2b 残量通知時点設定機能
2c 残量通知時間帯設定機能
3(i) コンビニエンスストア
4 コンビニ店頭端末
5 キャッシュレジスター
6(j) ガス消費場所
7 連絡先通信端末
8 一般通信回線
10 ガス利用者
11 ガスメーター
12(k) ガス機器
13 プリペイド端末
14 専用カード
15 プリペイド支払請求書
16 支払請求書
21a 制御部
21b 計測部
22 ガス通路
23 遮断弁
24 通信部
25 通信部
26 カード読取部
27 操作・表示部
28 制御部
29 記憶部
30 使用料金算出部
31 残金算出部
32 ガス利用制限部
33 ガス利用状況算出部
34 表示制御部
ID(13) 読取側ID情報
ID(14) カード側ID情報