(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-03
(45)【発行日】2022-03-11
(54)【発明の名称】ロッド整復装置
(51)【国際特許分類】
A61B 17/70 20060101AFI20220304BHJP
【FI】
A61B17/70
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018006384
(22)【出願日】2018-01-18
【審査請求日】2020-12-09
(32)【優先日】2017-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517344273
【氏名又は名称】ケー2エム, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【氏名又は名称】水島 亜希子
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】ミン,カン
(72)【発明者】
【氏名】クネス,ブライアン
【審査官】小河 了一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0191144(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0074418(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0058464(US,A1)
【文献】特表2008-505740(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロッド整復装置であって、
ハウジングと、
脊椎ロッドと係合するように構成されたロッド設置部を含み、前記ハウジングと作動的に結合される、アンビルと、
骨ネジ組立体の係止プラグと係合するように構成された、係止アンビルと、
アーム組立体であって、
前記ハウジングにヒンジ式に結合され、前記アンビルを貫通して延びる、アームと、
前記骨ネジ組立体と係合するように構成され、前記ハウジングにヒンジ式に結合され、前記アンビルを貫通して延びる、第1及び第2の把握部材と、
を含む、アーム組立体と、
前記ハウジングを貫通して延び、前記アンビルと回転可能に結合される、整復ネジと、
前記ハウジングを貫通して延び、前記係止アンビルと回転可能に結合される、係止ネジと、
を備え、前記整復ネジの回転が、前記アーム組立体を、前記アームの遠位部及び前記第1及び第2の把握部材が半径方向に拡張される開位置と、前記アームの遠位部及び前記第1及び第2の把握部材が半径方向に収縮される閉位置との間で遷移させる、ロッド整復装置。
【請求項2】
前記整復ネジが、前記アンビルとの間の軸方向の相対変位を抑制した状態で前記アンビルと回転可能に結合される、請求項1に記載のロッド整復装置。
【請求項3】
前記ハウジングが、前記アーム及び前記第1及び第2の把握部材を受け入れるように寸法設定された複数の切欠き部を画定する、請求項2に記載のロッド整復装置。
【請求項4】
前記アンビルが、前記係止ネジとねじ式に係合するように構成されたネジ付き穴を画定する細長い部材を含む、請求項1に記載のロッド整復装置。
【請求項5】
前記係止ネジが、前記係止アンビルとの間の軸方向の相対変位を抑制した状態で前記係止アンビルと回転可能に結合される、請求項4に記載のロッド整復装置。
【請求項6】
前記第1及び第2の把握部材が、前記アーム組立体が閉位置にあるときに前記骨ネジ組立体と係合するように寸法設定された第1及び第2のガイドチャネルを画定する、請求項1に記載のロッド整復装置。
【請求項7】
前記アンビルの前記ロッド設置部が、前記脊椎ロッドと係合するように構成された弓形凹部を画定する、請求項1に記載のロッド整復装置。
【請求項8】
前記整復ネジが前記ハウジングとねじ式に係合する、請求項1に記載のロッド整復装置。
【請求項9】
前記アンビルが、前記アンビルに対する前記係止アンビルの軸方向の変位を容易にするべく前記係止アンビルの少なくとも一部をスライド可能に受け入れるように構成された切欠き部を画定する、請求項1に記載のロッド整復装置。
【請求項10】
骨ネジ組立体内に脊椎ロッドを整復するためのシステムであって、
脊椎ロッドと、
骨ネジ組立体であって、
前記脊椎ロッドを受け入れるように構成された、ロッド受入部と、
前記脊椎ロッドが前記ロッド受入部にしっかりと固定される係止状態と前記脊椎ロッドを前記ロッド受入部内に再設置可能な係止解除状態との間で遷移可能な係止プラグを含む、ハウジングと、
を含む、骨ネジ組立体と、
ロッド整復装置であって、
ハウジングと、
前記脊椎ロッドと係合するように構成されたロッド設置部材を含み、前記ハウジングと作動的に結合される、アンビルと、
前記骨ネジ組立体の前記係止プラグと係合するように構成された、係止アンビルと、
アーム組立体であって、
前記ハウジングにヒンジ式に結合され、前記アンビルを貫通して延びる、アームと、
前記骨ネジ組立体と係合するように構成され、前記ハウジングにヒンジ式に結合され、前記アンビルを貫通して延びる、一対の把握部材と、
を含む、アーム組立体と、
前記ハウジングを貫通して延び、前記アンビルと回転可能に結合される、整復ネジと、
前記ハウジングを貫通して延び、前記係止アンビルと回転可能に結合される、係止ネジと、
を含み、前記整復ネジの回転が、前記アーム組立体を、前記アームの遠位部及び前記一対の把握部材が半径方向に拡張される開位置と、前記アームの遠位部及び前記一対の把握部材が半径方向に収縮される閉位置との間で遷移させる、
ロッド整復装置と、
を備えるシステム。
【請求項11】
前記係止ネジの回転が、前記係止アンビルを前記アンビルに対して軸方向に変位させる、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記アームが、前記アーム組立体が閉位置にあるときに前記
骨ネジ組立体の前記ロッド受入部 と係合するように構成される、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記係止アンビルが、前記骨ネジ組立体の前記ハウジングを前記係止解除状態と前記係止状態との間で遷移させるべく前記骨ネジ組立体の前記係止プラグに軸方向の力をかけるように構成される、請求項11に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、2017年1月18日に出願された米国特許仮出願整理番号第62/447,519号の利益を主張するものである。
【0002】
本開示は、脊椎手術に関し、より具体的には、骨ネジハウジング内に脊椎ロッドを整復するための及び/又は脊柱の整骨のためのシステム、装置、及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
脊柱が生涯で経験し得る、様々な障害、疾患、及び損傷のタイプが存在する。これらの症状を治療するためのより一般的な解決策の1つは、機械的なハードウェアを用いる外科的手技を含む。脊柱を固定するのに用いられる機械的なハードウェアは、通常、一連の骨ネジ及び脊椎ロッド又はプレートを含む。脊椎手術が行われるときに、骨ネジを椎体内に入れ、次いで、隣接する椎体の間に脊椎ロッドを接続するのが一般的な方法である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
骨ネジの受入スロット内に脊椎ロッドを適切に挿入し、次いで、該接続脊椎ロッドを定位置に留めるプロセスは、外科医がタスクを達成するのに多くの器具を使用し、多くの時間と労力を費やすことをしばしば必要とする。いくつかの隣接する椎骨内の骨ネジが脊椎ロッドによってしっかりと接続されるべきときに、骨ネジの頭部内に脊椎ロッドを挿入し、次いで、各個別の骨ネジに対して定位置に脊椎ロッドを留めるというプロセスを繰り返すことは、困難であり、面倒であり、時間がかかることがある。さらに、脊椎ロッドを一連の骨ネジのそれぞれに接続する際の位置合わせは、手技中に調節を必要とする場合があり、したがって、順次に位置合わせされる骨ネジのそれぞれの頭部内に脊椎ロッドを整復することができ、必要に応じて容易に調節することができ、これにより外科医が最小限の労力と時間のロスでプロセスを促進することができる、装置及び方法が提供されることが有益である。
【0005】
これらの理由で、骨ネジの頭部を制御された整然とした様態でしっかりと把握し、脊椎ロッドの他の部分が他の骨ネジ内に整復される際の容易な位置調整を可能にする様態で該骨ネジの頭部内に脊椎ロッドを整復することができる装置が依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態によれば、脊椎ロッドを骨ネジの頭部内の定位置に制御された整然とした様態で効果的に整復し、脊椎ロッドの他の部分が他の骨ネジ内に設置及び整復される間、脊椎ロッドを定位置に保持し、プロセス中に必要な場合に位置調整を可能にする、ロッド整復装置が提供される。ロッド整復装置は、ハウジング、アンビル、係止アンビル、アーム組立体、整復ネジ、及び係止ネジを含む。アンビルは、ハウジングと作動的に結合され、脊椎ロッドと係合するように構成されたロッド設置部を含む。係止アンビルは、骨ネジ組立体の係止プラグと係合するように構成される。アーム組立体は、ハウジングにヒンジ式に結合され、アンビルを貫通して延びる、アームと、骨ネジ組立体と係合するように構成された、第1及び第2の把握部材とを含む。第1及び第2の把握部材は、ハウジングにヒンジ式に結合され、アンビルを貫通して延びる。整復ネジは、ハウジングを貫通して延び、アンビルと回転可能に結合される。係止ネジは、ハウジングを貫通して延び、係止アンビルと回転可能に結合される。整復ネジの回転が、アーム組立体を、アームの遠位部及び第1及び第2の把握部材が半径方向に拡張される開位置と、アームの遠位部及び第1及び第2の把握部材が半径方向に収縮される閉位置との間で遷移させる。
【0007】
一実施形態では、整復ネジは、アンビルとの間の軸方向の相対変位を抑制した状態でアンビルと回転可能に結合されてよい。
【0008】
別の実施形態では、ハウジングは、アーム及び第1及び第2の把握部材を受け入れるように寸法設定された複数の切欠き部を画定してよい。
【0009】
さらに別の実施形態では、アンビルは、係止ネジとねじ式に係合するように構成されたネジ付き穴を画定する細長い部材を含んでよい。
【0010】
さらにまた別の実施形態では、係止ネジは、係止アンビルとの間の軸方向の相対変位を抑制した状態で係止アンビルと回転可能に結合されてよい。
【0011】
別の実施形態では、第1及び第2の把握部材は、アーム組立体が閉位置にあるときに骨ネジ組立体と係合するように寸法設定された第1及び第2のガイドチャネルを画定してよい。
【0012】
さらに別の実施形態では、アンビルのロッド設置部は、脊椎ロッドと係合するように構成された弓形凹部を画定してよい。
【0013】
さらにまた別の実施形態では、整復ネジは、ハウジングとねじ式に係合してよい。
【0014】
一実施形態では、アンビルは、アンビルに対する係止アンビルの軸方向の変位を容易にするべく係止アンビルの少なくとも一部をスライド可能に受け入れるように構成された切欠き部を画定してよい。
【0015】
本開示の別の実施形態によれば、脊椎ロッド、骨ネジ組立体、及びロッド整復装置を含む、骨ネジ組立体内に脊椎ロッドを整復するためのシステムが提供される。骨ネジ組立体は、脊椎ロッドを受け入れるように構成されたロッド受入部と、脊椎ロッドがロッド受入部にしっかりと固定される係止状態と脊椎ロッドをロッド受入部に対して再設置可能な係止解除状態との間で遷移可能な係止プラグを含むハウジングとを含む。ロッド整復装置は、ハウジング、ハウジングと作動的に結合されるアンビル、骨ネジ組立体の係止プラグと係合するように構成された係止アンビル、アーム組立体、整復ネジ、及び係止ネジを含む。アンビルは、脊椎ロッドと係合するように構成されたロッド設置部を含む。アーム組立体は、ハウジングにヒンジ式に結合され、アンビルを貫通して延びる、アームと、骨ネジ組立体と係合するように構成された、一対の把握部材とを含む。一対の把握部材は、ハウジングにヒンジ式に結合され、アンビルを貫通して延びる。整復ネジは、ハウジングを貫通して延び、アンビルと回転可能に結合される。係止ネジは、ハウジングを貫通して延び、係止アンビルと回転可能に結合される。整復ネジの回転が、アーム組立体を、アームの遠位部及び一対の把握部材が半径方向に拡張される開位置と、アームの遠位部及び一対の把握部材が半径方向に収縮される閉位置との間で遷移させる。
【0016】
一実施形態では、係止ネジの回転が、係止アンビルをアンビルに対して軸方向に変位させることができる。
【0017】
別の実施形態では、アームは、アーム組立体が閉位置にあるときに骨ネジのロッド受入部と係合するように構成されてよい。
【0018】
さらに別の実施形態では、係止アンビルは、骨ネジ組立体のハウジングを係止解除状態と係止状態との間で遷移させるべく骨ネジ組立体の係止プラグに軸方向の力をかけるように構成されてよい。
【0019】
本開示の別の態様によれば、脊椎ロッドを整復する方法であって、ロッド整復装置をロッド整復装置のアームの遠位端及び把握部材が半径方向に拡張される開状態に遷移させることと、ロッド整復装置を骨ネジ組立体の上に取り付けることと、脊椎ロッドを骨ネジ組立体のロッド受入部に隣接して設置することと、ロッド整復装置のアンビルを、ロッド整復装置のハウジングから離れ、ロッド整復装置のアームの遠位端及び把握部材が半径方向に収縮されて骨ネジ組立体と係合する閉状態へ遷移させるべく、ロッド整復装置の整復ネジを回転させることと、脊椎ロッドをロッド受入部内に整復することと、係止プラグを骨ネジ組立体の骨ネジハウジングの中へ前進させるべくロッド整復装置の係止ネジを回転させることによって脊椎ロッドをロッド受入部に留めることとを含む、方法が提供される。
【0020】
一実施形態では、ロッド整復装置の整復ネジを回転させることは、ロッド整復装置のアームを骨ネジのロッド受入部と係合させることを含んでよい。
【0021】
別の実施形態では、ロッド整復装置の整復ネジを回転させることは、把握部材を骨ネジ組立体の骨ネジハウジングと係合させることを含んでよい。
【0022】
さらに別の実施形態では、係止プラグを骨ネジ組立体の骨ネジハウジングの中に部分的に挿入することは、脊椎ロッドへの調節を行うことを含んでよい。
【0023】
本明細書に組み込まれ、その一部をなす添付図は、本開示の実施形態を例示し、上記で与えられた本開示の概要及び以下で与えられる実施形態の詳細な説明と共に、本開示の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本開示の一実施形態に係るロッド整復装置及び骨ネジ組立体の正面図である。
【
図4】部品が分解されている状態の、
図1のロッド整復装置の分解斜視図である。
【
図5】
図1のロッド整復装置のハウジングの斜視図である。
【
図6】
図1のロッド整復装置のアンビルの斜視図である。
【
図8】断面線8-8に沿って切断したときの、
図7のロッド整復装置の断面図である。
【
図9】開位置にある整復装置を例示する、
図1のロッド整復装置の正面図である。
【
図10】骨ネジ組立体上に取り付けられたロッド整復装置を例示する、
図1のロッド整復装置及び骨ネジ組立体の側面図である。
【
図11】骨ネジ組立体上に取り付けられたロッド整復装置を例示する、
図1のロッド整復装置及び骨ネジ組立体の正面図である。
【
図12】脊椎ロッドとの使用を例示する、
図1のロッド整復装置及び骨ネジ組立体の側面図である。
【
図13】脊椎ロッドの整復を例示する、
図12のロッド整復装置及び骨ネジ組立体の正面図である。
【
図14】
図13のロッド整復装置及び骨ネジ組立体の背面図である。
【
図15】骨ネジ組立体の係止プラグと係合する係止アンビルを例示する、
図14のロッド整復装置及び骨ネジ組立体の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
ここで開示される装置の実施形態が、図面を参照して詳細に説明され、いくつかの図面のそれぞれにおける同様の参照番号は同一の又は対応する要素を表す。本明細書で用いられる場合の「遠位」又は「前(leading)」は、ユーザからより遠い装置の部分を指し、一方、「近位」又は「後(trailing)」という用語は、ユーザにより近い装置の部分を指す。加えて、「頭部側」という用語は、患者の頭部に向かう方向を示し、一方、「尾部側」という用語は、患者の脚に向かう方向を示すことが知られている。さらに、「側方」という用語は、患者の体の側部に向かう、すなわち、患者の体の中央から離れる方向を示すように理解される。「後方」という用語は、患者の背面に向かう方向を示し、「前方」という用語は、患者の正面に向かう方向を示す。本明細書で用いられる場合の「臨床医」という用語は、医師、看護師、又は他の医療従事者を指し、介助者を含む場合がある。以下の説明では、不必要な細部において本開示を不明瞭にすることを避けるために、周知の機能又は構造は詳細に説明しない。
【0026】
図1~
図3を参照すると、脊椎ロッドを整復するためのシステムが図示され、概して10で表される。脊椎ロッド300(
図14)を整復するためのシステム10は、ロッド整復装置100、骨ネジ組立体200、及び脊椎ロッド300を含む。ロッド整復装置100は、脊椎ロッド300を骨ネジ組立体200の骨ネジハウジング207内に整復するべく骨ネジ組立体200上に取り付けられるように構成される。ロッド整復装置100は、ハウジング116、脊椎ロッド300を骨ネジハウジング207内に配置するべく脊椎ロッド300と係合するように構成されたアンビル118、ハウジング116と作動的に結合されるアーム組立体120、脊椎ロッド300を骨ネジ組立体200としっかりと固定するべく骨ネジ組立体200の係止プラグ209と係合するように構成された係止アンビル130(
図4)、アンビル118と作動的に結合される整復ネジ112、及び係止アンビル130(
図4)と作動的に結合される係止ネジ114を含む。ハウジング116とアンビル118は、ユニット式の構造体であってよい。
【0027】
図4及び
図5を参照すると、ハウジング116は、整復ネジ112を内部にねじ式に受け入れるように構成された穴140と、係止ネジ114を内部に受け入れるように寸法設定された凹部138とを画定する本体116aを含む。ハウジング116は、切欠き部158a、158b、158cを含む。切欠き部158aは、アーム組立体120のアーム126(
図1)をハウジング116にヒンジ式に留めるべくピン120aを受け入れるように寸法設定された両側の穴119aを画定する。同様に、切欠き部158b、158cは、アーム組立体120のそれぞれの把握部材128a、128bをハウジング116にヒンジ式に留めるべくそれぞれのピン120b、120cを受け入れるように寸法設定されたそれぞれの穴119b、119cを画定する。切欠き部158b、158cは、把握部材128a、128bが骨ネジ組立体200の骨ネジハウジング207(
図1)の対向する側部と係合して骨ネジ組立体200としっかりとバランスの取れた係合をすることができるように、互いに対向していてよい。穴140は、本体116aの中央に画定されてよく、凹部138は、切欠き部158b、158cの間に位置してよい。加えて、凹部138は、係止ネジ114を受け入れるべく弓形の外形を含んでよい。
【0028】
特に
図4を参照すると、整復ネジ112は、アンビル118のベース部分118aに画定された第3の穴140bの舌部148a(
図6)と回転可能に係合するように構成された環状溝154aを画定する遠位部112a、キャビティ132aを画定する近位部112b、及び近位部112aと遠位部112bとの間に延びるネジ部112cを含む。キャビティ132aは、整復ネジ112を回すべくドライバ又は他の器具(図示せず)と滑らずに係合するための、例えば、六角特徴、キー特徴を含む。同様に、係止ネジ114は、係止アンビル130の舌部149と回転可能に係合するように構成された環状溝155aを画定する遠位部114a、キャビティ132bを画定する近位部114b、及び近位部114aと遠位部114bとの間に延びるネジ部114cを含む。キャビティ132bは、係止ネジ112を回すべくドライバ又は他の器具(図示せず)と滑らずに係合するための、例えば、六角特徴、キー特徴を含む。キャビティ132a、132bは、ドライバと係合するための、例えば、すり割り、四角、星型、又はフィリップス型のねじ頭などの任意の適切な構成を有し得ると考えられる。係止ネジ114のネジ部114cは、例えば、より大きな荷重を支持するように構成された粗いアクメねじであってよく、一方、整復ネジ112上のネジ部112cは、より精密なねじであってよいことも想定される。
【0029】
ここで
図4及び
図6を参照すると、アンビル118は、ベース部分118a、ベース部分118aから近位に延びる細長い部分145、及びベース部分118aから遠位に延びる一対のロッド設置部又はロッド設置部材146(1つだけが図示される)を含む。ベース部分118aは、アーム126を内部に受け入れるように寸法設定された穴134、それぞれの把握部材128a、128bを内部に受け入れるように寸法設定された第2の穴136a、136b、及び整復ネジ112を受け入れるように寸法設定された第3の穴140bを画定する。特に、第3の穴140bの内壁148は、該内壁148から半径方向内向きに延びる舌部148aを含む。舌部148aは、整復ネジ112がアンビル118との軸方向の相対移動を抑制した状態でアンビル118と回転可能に留められるように、整復ネジ112の環状溝154aと係合するように構成される。細長い部分145は、ベース部分118aから近位に延びる。細長い部分145は、係止ネジ114とねじ式に係合するように構成されたネジ付き穴145aを画定する。ロッド設置部材146は、ベース部分118aから遠位に延び、脊椎ロッド300を骨ネジ組立体200の骨ネジハウジング207(
図1)内に配置するべく脊椎ロッド300(
図14)と係合するように構成される。
【0030】
ベース部分118aは、係止ピン122を受け入れるように寸法設定された係止ピン穴123(
図4)をさらに画定する。係止ピン122は、係止ネジ114の軸方向の変位を制限するように構成される。ベース部分118aは、穴134の一部にわたって延びるカムピン穴125をさらに画定することができる。カムピン穴125は、カムピン124(
図4)を受け入れるように構成及び寸法設定することができる。このような構成の下で、ロッド整復装置100が開位置(
図9)と閉位置(
図2)との間で遷移するときに、すなわち、アーム126及び把握部材128a、128bの半径方向の拡張及び収縮時に、アーム126のカム部160a、160bは、カムピン124とスライド可能に係合することができる。開位置(
図9)において、アーム126及び把握部材128a、128bのそれぞれは、ハウジング116の中央の縦軸に対して鋭角をなす。閉位置(
図2)において、アーム126及び把握部材128a、128bのそれぞれは、ハウジング116の中央の縦軸と実質的に平行である。
【0031】
図4及び
図8を参照すると、アーム組立体120は、アーム126と、骨ネジハウジング207(
図14)と係合するように構成された第1の把握部材128a及び第2の把握部材128bとを含む。アーム126は、アンビル118の第1の穴134(
図6)を貫通して延びるように寸法設定される。アーム126は、遠位部126a及び近位部126bを含む。近位部126aは、ピン120aによってハウジング116の切欠き部158a(
図5)にヒンジ式に結合される。近位部126bは、カム部160aを含み、遠位部126aは、長手方向にテーパした表面を有するカム部160bを含む。このような構成は、半径方向に収縮された(閉)位置と半径方向に拡張された(開)位置との間のアーム126の遷移を容易にする。細長い把握部材128a、128bのそれぞれも、その半径方向の収縮及び拡張を容易にするためにそれぞれのカム部161a、161bを含んでよい。把握部材128a、128bのそれぞれは、それぞれのローブ166a、166bを含む。各ローブ166a、166bは、骨ネジ組立体200の骨ネジハウジング207に係合するように寸法設定されたガイドチャネル168a、168b(168bだけが図示される)を画定する。
【0032】
図4及び
図8を引き続き参照すると、係止アンビル130は、係止ネジ114の遠位部114aを受け入れるように寸法設定されたキャビティ131を画定する。特に、係止アンビル130は、係止アンビル130を係止ネジ114と、それらの間の軸方向の相対移動を抑制した状態で回転可能に留めるために、係止ネジ114の環状溝155a内に受け入れられる舌部149を含む。このような構成の下で、係止アンビル130は、アンビル118に対して移動することができる。係止アンビル130は、係止アンビル130の軸方向移動をガイドするために、アンビル118に画定された切欠き部118c内にスライド可能に受け入れられるように寸法設定されたガイド130cを含む。このような構成の下で、臨床医は、係止アンビル130をアンビル118に向かう方及び離れる方に移動させるべく係止ネジ114を回転させることができる。
【0033】
ここで
図10を参照すると、骨ネジ組立体200は、係止プラグ209(
図14)を受け入れるように構成された骨ネジハウジング207、骨ネジハウジング207から遠位に延びるネジ付きシャフト205、及び骨ネジハウジング207に隣接して配置されたロッド受入部203を含む。
図14を簡単に参照すると、係止アンビル130が係止プラグ209と係合するときに、係止ネジ114の回転を通じて、係止プラグ209が骨ネジハウジング207の中へ前進させられ、したがって、ロッド受入部203がその内部に配置された脊椎ロッド300を把持し、これにより、脊椎ロッド300を骨ネジ組立体200と留める。係止プラグ209は、脊椎ロッド300の挿入及び/又は除去を可能にする開又は係止解除状態と、骨ネジ組立体200に対する脊椎ロッド300の回転及び長手方向の移動を可能にする半係止状態と、骨ネジ組立体200に対する脊椎ロッド300の位置をしっかりと固定する係止状態との間で移動可能である。この配置は、臨床医が、手技中に脊椎ロッド300にさらなる調整を行うことが依然として可能な状態で、ロッド受入部材203内に脊椎ロッド300を整復することを可能にする。
【0034】
使用の際に、最初に、ロッド整復装置100を骨ネジ組立体200上に取り付けることができるように、骨ネジ組立体200が脊椎(図示せず)の椎骨に取り付けられる(例えば、椎骨にねじ込まれる)。
図9を参照すると、ロッド整復装置100は、最初に、整復ネジ112を、例えば、アンビル118がハウジング116に隣接して設置される最も近位の位置におくことによって、アーム126及び把握部材128a、128bが半径方向に拡張される開位置におかれる。このような構成の下で、アーム126の遠位部126a及び把握部材128a、128bのローブ166a、166bは、骨ネジハウジング207を受け入れるべく離間される。ロッド整復装置100を骨ネジ組立体200に取り付けるために、ロッド整復装置100は、骨ネジ組立体200(
図1)の近位部の上に設置される。
【0035】
アーム126及び把握部材128a、128bは、アーム126及び把握部材128a、128bをそれぞれのピン120a、120b、120c(
図4)を中心として半径方向外方へ回転させる、及び半径方向に収縮された(閉)位置(
図2)と拡張された(開)位置(
図9)との間で遷移させることができるように、ハウジング116にヒンジ式に結合される。アンビル118がハウジング116から離れる方に移動する際に、カムピン124(
図8)がアーム126のカム部160a、160b(
図4)に接してスライドする。同様に、アンビル118がハウジング116から離れる方に移動する際に、把握部材128a、128bのそれぞれのカム部161a、161b(
図4)がアンビル118に接してスライドする。このように、臨床医は、アンビル118を遠位に移動させるべく整復ネジ112を回転させることができ、これにより、アーム126及び把握部材128a、128bが閉位置に遷移する。この時点で、把握部材128a、128bのローブ166a、166bが骨ネジハウジング207と留められ、アーム126の遠位部126aが骨ネジ組立体200のロッド受入部材207と係合する。
【0036】
この時点で、脊椎ロッド300(
図14)は、骨ネジ組立体200のロッド受入部材203(
図12)に隣接して配置されてよい。代替的に、脊椎ロッド300は、ロッド整復装置100を骨ネジ組立体200に取り付ける前に、ロッド受入部材203に隣接して配置されてよい。臨床医は、アンビル118のロッド設置部材146を移動させて脊椎ロッド300を骨ネジ組立体200のロッド受入凹部203内に整復するべく整復ネジ112をさらに回転させることができる。
【0037】
図12及び
図14を参照すると、脊椎ロッド300は、係止プラグ209を用いることによって骨ネジ組立体200のロッド受入凹部203内に留めることができる。特に、係止ネジ114を回転させることにより、係止アンビル130をアンビル118に対して係止プラグ209の方に移動させることができる。
図15をさらに参照すると、係止アンビル130のさらなる変位が、係止プラグ209を骨ネジハウジング207の中へ前進させ、これにより、脊椎ロッド300をロッド受入凹部203内にしっかりと固定させる。このように、係止アンビル130は、係止プラグ209と接触し、脊椎ロッド300を把持する締まり嵌めをもたらす。係止プラグ209は、前述のように脊椎ロッド300にさらなる調整を行うために、骨ネジハウジング207内に半係止され又は前進させられてよいことも想定される。
【0038】
本明細書で具体的に説明され、添付図に示された構造体及び方法は、限定ではない例示的な実施形態であることと、説明、開示、及び図面は、特定の実施形態の単なる例示として解釈されるべきであることを当業者は理解するであろう。したがって、本開示は、説明された正確な実施形態に限定されないことと、本開示の範囲又は精神から逸脱することなく当業者によって種々の他の変化及び修正が加えられ得ることが理解される。
【0039】
加えて、特定の実施形態と組み合わせて図示又は説明された要素及び特徴は、本開示の範囲から逸脱することなく特定の他の実施形態の要素及び特徴と組み合わされてよく、このような修正及び変形も本開示の範囲内に含まれる。したがって、本開示の主題は特に図示され説明されているものによって制限されない。