(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-03
(45)【発行日】2022-03-11
(54)【発明の名称】管穴あけ用取り付け具
(51)【国際特許分類】
F16L 41/06 20060101AFI20220304BHJP
B26F 1/16 20060101ALI20220304BHJP
【FI】
F16L41/06
B26F1/16
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018032258
(22)【出願日】2018-02-26
【審査請求日】2020-11-02
(32)【優先日】2017-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】518066574
【氏名又は名称】ゲオルク フィッシャー ヴァーフィン アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Georg Fischer Wavin AG
【住所又は居所原語表記】Ebnatstrasse 111, 8200 Schaffhausen, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヨナス ヴェーバー
(72)【発明者】
【氏名】ヨナス ヒュシー
(72)【発明者】
【氏名】エトヴィン ハープリュッツェル
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第03692044(US,A)
【文献】英国特許出願公開第02330634(GB,A)
【文献】独国特許出願公開第19603254(DE,A1)
【文献】独国特許出願公開第02051702(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 41/06
B26F 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
好適にはプラスチックから成る、中心軸線(3)を有し、媒体を搬送する主管(2)のための管穴あけ用取り付け具(1)であって、該管穴あけ用取り付け具(1)は主管(2)に配置されており、サドル部材(4)と、中心軸線(6)を有する出口管(5)と、穿孔管片(7)とを有し、該穿孔管片(7)内には、前記主管(2)の穴あけのための、好適にはねじ山を備えた穿孔装置(8)が摺動可能に配置されており、前記穿孔管片(7)は中心軸線(9)を有している、管穴あけ用取り付け具(1)において、
前記出口管(5)の前記中心軸線(6)は水平に
、かつ前記穿孔装置(8)によって前記主管に穿孔された孔(13)を通って延在しており、前記主管(2)の上方の頂点(10)よりも下方に配置されて
おり、前記出口管は変向されずに、前記主管に直接進入もしくは接続されており、前記穿孔管片(7)の前記中心軸線(9)は、前記主管(2)の前記中心軸線(3)に垂直に向けられており、または、前記穿孔管片(7)の前記中心軸線(9)は、前記主管(2)の前記中心軸線(3)に直角に交差していることを特徴とする、管穴あけ用取り付け具(1)。
【請求項2】
前記出口管(5)の上方の頂部線(11)は、前記主管(2)の前記上方の頂点(10)よりも下方に配置されている、請求項1記載の管穴あけ用取り付け具(1)。
【請求項3】
前記穿孔管片(7)の前記中心軸線(9)は、前記出口管(5)の前記中心軸線(6)に対して角度α<90°を成して配置されている、請求項1
または2記載の管穴あけ用取り付け具(1)。
【請求項4】
前記穿孔管片(7)の前記中心軸線(9)と前記出口管(5)の前記中心軸線(6)とは1つの平面(12)上に配置されており、該平面(12)は、前記主管の前記中心軸線(3)に対して直角に配置されている、請求項1から
3までのいずれか1項記載の管穴あけ用取り付け具(1)。
【請求項5】
前記サドル部材(4)は穿孔開口(14)を有しており、該穿孔開口は好適には、前記穿孔装置(8)の穿孔直径に相当しており、前記出口管(5)の前記中心軸線(6)は前記穿孔開口(14)を通って延在している、請求項1から
4までのいずれか1項記載の管穴あけ用取り付け具(1)。
【請求項6】
前記穿孔管片(7)の前記中心軸線(9)と前記出口管(5)の前記中心軸線(6)とは1つの平面(12)上に延在しており、前記主管(2)の内径の領域内で互いに交差している、請求項1から
5までのいずれか1項記載の管穴あけ用取り付け具(1)。
【請求項7】
前記穿孔管片(7)における穴あけ中のシール性はシール部材(15)を介して保証されており、該シール部材(15)は前記穿孔管片(7)の内径のところに配置されており、好適には前記シール部材(15)はOリングまたは異形シール部材として形成されている、請求項1から
6までのいずれか1項記載の管穴あけ用取り付け具(1)。
【請求項8】
前記シール部材(15)はプラスチックシールドとして形成されており、該プラスチックシールドは、穿孔前は前記穿孔管片(7)を閉鎖しており、穿孔後、前記穿孔管片(7)と前記穿孔装置(8)との間のシール部材(15)として機能する、請求項
7記載の管穴あけ用取り付け具(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、好適にはプラスチックから成り、中心軸線を有し、媒体を搬送する、好適にはガスまたは水の主管のための管穴あけ用取り付け具であって、この管穴あけ用取り付け具は、主管に配置され、サドル部材と、中心軸線を有する出口管と、穿孔管片とを有し、穿孔管片内には、主管の穴あけのための、好適にはねじ山を備えた穿孔装置が摺動可能に配置されており、穿孔管片は中心軸線を有している、管穴あけ用取り付け具に関する。
【背景技術】
【0002】
このような管穴あけ用取り付け具は、先行技術により公知であり、分岐管路を主管に接続するために用いられる。通常、このような穴あけ用取り付け具は、既に敷設されている主管の外周の最も高い点に配置され、これにより孔は上方から垂直に主管に直接設けられる。このような穴あけ用T字形部材は、独国特許出願公開第19932401号明細書に開示されている。このような穴あけ用T字形部材の欠点は、高い流れ抵抗に起因する高い圧力損失にある。このような高い流れ抵抗は、まず穴あけ管片を介して90°変向され、次いでもう一度、出口管片で再び90°変向される媒体の複数回にわたる変向により生じる。
【0003】
さらにより大きな欠点は、構成高さにある。このような穴あけ用T字形部材が突出することにより、またはこのような穴あけ用T字形部材が主管を越えて突出することにより、組み付け段階中に、穴あけ用T字形部材に損傷が生じる危険性が高くなる。さらに、穴あけ用T字形部材のこのような形状は、その突出により凍結しやすいという傾向があり、または管穴あけ用取り付け具内の媒体が凍結するという傾向がある。
【0004】
米国特許第3692044号明細書にも穴あけ用取り付け具が開示されている。この穴あけ用取り付け具は確かに、構成高さを減らすように組み付けることができるが、穿孔管片と出口管片との間の通路を通して、媒体を複数回変向させる必要がある。少なくとも2回の90°の変向によって、貫流が著しく制限される。
【0005】
独国特許出願公開第19603254号明細書には、V字形に配置される穴あけ用取り付け具の別の構成が開示されている。ここでは、頂部位置に対して90°の組み付け角度が提案されており、明らかに減じられた構成高さが示されている。しかしながら、構成形式は、本明細書により提案された構成形式とは明らかに異なる。独国特許出願公開第19603254号明細書では、穿孔管片および出口管片が、管路を通って位置する1つの共通の軸方向平面に配置されている。さらに、穴あけ管片は屈曲しており、このことは穴あけの際に問題となる恐れがある。別の点としては、サドルの領域に位置し、本明細書により提案されるように管内部領域にはない軸線の交点が挙げられる。その結果、提案される態様によるものよりも流れが著しく減じられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、構成高さが減じられるか、または出口管が主管の上方に配置されていない管穴あけ用取り付け具であって、流れ抵抗を減らし、その結果、圧力損失を減らすことのできる管穴あけ用取り付け具を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、この課題は、出口管の中心軸線が水平に延在しており、主管の上方の頂点よりも下方に配置されていることによって解決される。
【0008】
管穴あけ用取り付け具は好適にはプラスチックから形成される。管穴あけ用取り付け具は、主管に孔を設けるために主管に配置されており、これにより管穴あけ用取り付け具に配置された出口管を介して管路を接続することができる。管穴あけ用取り付け具は、主管を所定の領域で取り囲むサドル部材を備える。好適には、サドル部材はヒートコイルを備え、このヒートコイルにより、加熱によってサドル部材を主管に溶着により接続することができる。管穴あけ用取り付け具は、主管から出る管路に接続することができる出口管を備える。管穴あけ用取り付け具に配置された穿孔管片は、その内部に配置された穿孔装置を有しており、この穿孔装置は、主管に孔を設けるために穿孔管片の中心軸線に沿って摺動することができる。
【0009】
好適には、管穴あけ用取り付け具は、サドル部材と、穿孔管片と、出口管と一体に形成されている。出口管の中心軸線、または出口管は水平に延在しており、この場合、出口管の中心軸線は、主管の上方の頂点よりも下方に配置されている。したがって、出口管は変向されずに直接、主管の外周に接続される。これにより、先行技術により公知である管穴あけ用取り付け具に対して多くの利点が得られる。出口管、または出口管の中心軸線が、主管の頂点よりも下方に配置されていることにより、管穴あけ用取り付け具はより僅かな構成高さを有しており、または管穴あけ用取り付け具は主管を越えて突出しない。これは、冬期における凍結の危険を減らし、組み付け作業中の損傷の危険も減らす。さらに、出口管が主管に直接接続しているので、媒体の多重の変向を省くことができ、これにより流れ抵抗が減少し、したがって圧力損失も減少する。
【0010】
出口管の上方の頂部線が、主管の上方の頂点よりも下方に配置されているならば、これは好適な構成として示される。主管の上方の頂点とは、この頂点に位置する接線が水平に延在している、管の外周の外径における最も高い点を意味する。水平に延在する出口管の上方の頂部線は、出口管の外径に沿って、最も高い点上に、または出口管の頂点を通って延在する。この配置により、出口管は常に、主管の外径の最も高い点よりも下方に延在することが保証される。
【0011】
穿孔管片の好適な配置は、穿孔管片の中心軸線が、主管の中心軸線に垂直に向けられている、または穿孔管片の中心軸線が、主管の中心軸線に直角に交差していることにある。主管に対する穿孔管片の垂直な配置により、主管に対して直角な最適な穴あけが可能となる。
【0012】
穿孔管片は好適には、出口管に対して傾けられて方向付けられている。すなわち、穿孔管片の中心軸線は、水平に向けられた出口管の中心軸線に対して角度α<90°の角度を成して延在している。
【0013】
好適には、穿孔管片の中心軸線と、出口管片の中心軸線とは1つの平面に延在しており、この平面は主管の中心軸線に対して直角に方向付けられており、または、主管の中心軸線がこの平面に対して、またはこの平面を通って垂直に延在している。
【0014】
出口管の中心軸線が、管穴あけ用取り付け具に配置された穿孔装置によって形成された、主管における孔を通って延在しているならば、有利である。穿孔管片の配置によって、および相応して形成された孔および水平に配置された出口管片によって、できるだけ僅かな流れ抵抗が形成され、これにより僅かな圧力損失しか生じない。
【0015】
サドル部材は好適には、穿孔装置の穿孔直径に相当するか、またはこの直径より僅かに大きい穿孔開口を有している。出口管の中心軸線は穿孔開口を通って延在しており、これによっても最適な流れの経過が得られる。
【0016】
好適には、サドル部材における穿孔開口から出口管の内径への移行部は、流れの経過に良好に影響を与えるために丸み付けられて形成されている。
【0017】
好適には、穿孔管片の中心軸線と出口管の中心軸線とは1つの平面に延在しており、これら軸線は主管の内径の領域内で互いに交差している。
【0018】
穿孔管片における穴あけ中のシール性がシール部材によって保証されていると有利である。このシール部材は、穿孔管片の内径のところに配置されており、好適にはこのシール部材はOリングまたは異形シール部材として形成されている。このシール部材は、穴あけ中に穿孔管片を通って媒体が外部に流れないこと、および管穴あけ用取り付け具の組み付け後にも媒体が外部に漏れないことを保証する。
【0019】
本発明による管穴あけ用取り付け具の別の好適な構成として、シール部材の領域に、または穿孔管片の最も下方の領域に、プラスチックシールドとして配置されている穿孔管片におけるシール部材が考えられる。このプラスチックシールドは穿孔管片を閉鎖しており、最初に穿孔されなければならない。次いで、穿孔されたプラスチックシールドは、穿孔装置における、または穿孔装置と穿孔管片との間におけるシール部材として機能し、これにより、穴あけ中にまたは穴あけ後に、穿孔管片を介して媒体が流出することはできない。
【0020】
本発明の実施例を図面に基づき説明するが、本発明はこの実施例のみに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】主管に取り付けられた本発明による管穴あけ用取り付け具を示す断面図である。
【
図2】主管に取り付けられた本発明による管穴あけ用取り付け具を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1に示した図は、本発明による管穴あけ用取り付け具1を示しており、この管穴あけ用取り付け具1は、主管2に取り付けられているかまたは溶接されている。主管2は、媒体の搬送のために用いられ、好適にはプラスチックから製造されている。主管2は中心軸線3を有している。管穴あけ用取り付け具1は、サドル部材4を介して主管2に、好適にはヒートコイル(図示せず)によって取り付けられているかまたは溶接されている。管穴あけ用取り付け具1は、出口管5と穿孔管片7とを含む。好適には、管穴あけ用取り付け具1は、サドル部材4と、出口管5と、穿孔管片7と一体に形成されている。穿孔管片7には、穿孔装置8が配置されており、この穿孔装置8は、相応する孔13または穴13を主管に設けるために、穿孔管片7の中心軸線9に沿って摺動することができる。出口管5または出口管5の中心軸線6は水平に向けられており、出口管5の中心軸線6は、主管2の頂点10よりも下方に配置されている。出口管5は、主管から出る管路の接続のために用いられる。頂点10は、主管2の外径の最も高い点に位置しているか、またはこの点を通る接線の延在は水平となっている。出口管5または管穴あけ用取り付け具1のこのような配置により、出口管5が主管2に直接進入し、先行技術により公知であるような変向は行われない。これにより、流れ抵抗が減少し、したがって圧力損失も減少する。管穴あけ用取り付け具1およびその穿孔管片7および出口管5の配置により圧力損失が減少することにより、比較的小さい穿孔直径または穿孔装置8を使用することができ、これにより主管2に孔13を穿孔するための穴あけ力も減らすことができる。
【0023】
本発明による管穴あけ用取り付け具1の有利な構成では、出口管5の外周に沿って、最も高い点上に延在するか、または出口管の頂点を通って延在する、出口管5の上方の頂部線11は、主管2の上方の頂点10よりも下方に配置されている。このような配置により、出口管5が主管2を越えて突出しないことが保証されており、これにより組み付け段階における望ましくない損傷を回避できる。穿孔管片7の中心軸線9は、主管2の中心軸線3に対して垂直に延在しており、これにより主管2の最適な穴あけが可能であり、穿孔装置8は主管2の外面に対して直角に当接する。穿孔管片7または穿孔管片7の中心軸線9は、主管2の中心軸線3に対して角度α<90°となるように傾けられており、この場合、
図2からよく判るように、中心軸線6,9は同じ平面12に配置されている。平面12は主管2の中心軸線3に対して直角に延在しているか、または主管2の中心軸線3が平面12を通って垂直に延在している。
【0024】
図1からよく判るように、出口管5の中心軸線6は、穿孔管片7内で摺動可能な穿孔装置8によって穿孔された孔13を通って水平に延在している。サドル部材4または穴あけ用取り付け具1には、穿孔装置8の直径に相当する、またはこの直径よりも幾分大きく形成されている穿孔開口14が設けられており、出口管5の中心軸線6は勿論、穿孔開口14も通って延在している。穿孔管片7の中心軸線6および出口管5の中心軸線6は、既に述べたように、平面12上に位置しており、
図1からよく判るように、主管2の内径の領域内で互いに交差している。穴あけ用取り付け具1のシール性を保証するために、好適には穿孔管片7の内径のところにシール部材15が配置されている。シール部材15は、穴あけ中に穿孔管片7を介して、または穴あけ後にも、媒体が外部に漏れないことを保証する。代替的に、プラスチックシールド(図示せず)を穿孔管片7に設けることもできる。このプラスチックシールドは穿孔装置8によって貫通穿孔する必要があり、これにより穴あけ用取り付け具1をシールするためのシール部材が形成される。好適には、プラスチックシールドはシール部材の領域に、または主管近くに配置されており、貫通穿孔されるまで穿孔管片7を閉鎖している。
【符号の説明】
【0025】
1 穴あけ用取り付け具
2 主管
3 主管の中心軸線
4 サドル部材
5 出口管
6 出口管の中心軸線
7 穿孔管片
8 穿孔装置
9 穿孔管片の中心軸線
10 主管の上方の頂点
11 出口管の上方の頂部線
12 平面
13 孔
14 穿孔開口
15 シール部材
α 穿孔管片の中心軸線と出口管の中心軸線との角度