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特許7033959反作用トルクを逃がす支持ブラケットと、パワースクリュードライバーとを有するアッセンブリ
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  • 特許-反作用トルクを逃がす支持ブラケットと、パワースクリュードライバーとを有するアッセンブリ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-03
(45)【発行日】2022-03-11
(54)【発明の名称】反作用トルクを逃がす支持ブラケットと、パワースクリュードライバーとを有するアッセンブリ
(51)【国際特許分類】
   B25B 21/00 20060101AFI20220304BHJP
【FI】
B25B21/00 N
【請求項の数】 4
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018040610
(22)【出願日】2018-03-07
(65)【公開番号】P2018149672
(43)【公開日】2018-09-27
【審査請求日】2020-11-24
(31)【優先権主張番号】10 2017 105 025.6
(32)【優先日】2017-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】507335012
【氏名又は名称】ヨルク ホーマン
【氏名又は名称原語表記】Joerg Hohmann
【住所又は居所原語表記】Uhlandstrasse 6a, D-59872 Meschede, Germany
(73)【特許権者】
【識別番号】507335023
【氏名又は名称】フランク ホーマン
【氏名又は名称原語表記】Frank Hohmann
【住所又は居所原語表記】Josef-Menke-Strasse 25, D-59581 Warstein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヨルク ホーマン
(72)【発明者】
【氏名】フランク ホーマン
【審査官】奥隅 隆
(56)【参考文献】
【文献】独国実用新案第202013004157(DE,U1)
【文献】独国特許出願公開第102015111570(DE,A1)
【文献】米国特許第04794825(US,A)
【文献】特表2011-500344(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B 21/00-23/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
反作用トルクを逃がす支持ブラケット(1)と、パワースクリュードライバー(2)とを有するアッセンブリであって、前記パワースクリュードライバー(2)は、駆動部分(3)と、出力軸(7)を備えるギヤハウジング(4)とを備え、前記出力軸(7)は、前記ギヤハウジング(4)から前方に延出し、該ギヤハウジング(4)の周囲に外歯スプライン(8)が設けられ、該外歯スプライン(8)の歯(9)が、後方に向かって、前記ギヤハウジング(4)をその外周にわたって取り囲む溝(10)にまで延在し、該溝の溝底(11)が、前記歯(9)の歯先(13)が描く直径(D2)よりも小さい直径(D1)に位置し、前記支持ブラケット(1)は、環状の取付けフランジ(16)および内歯スプラインを有する取付け部分(15)と、前記出力軸(7)から側方にずらされて配置されるとともに外部の対応支持部に対して配置可能な支持足部(18)とを有し、前記取付けフランジ(16)の前記スプラインは、前記ギヤハウジング(4)の前記スプライン(8)と協働し、これによって、前記支持ブラケット(1)は、前記ギヤハウジング(4)に対して相対回動不能であり、前記取付けフランジ(16)に係止要素(20)が配置され、該係止要素(20)は、ロック設定またはリリース設定をとることができ、前記ロック設定では、前記支持ブラケット(1)は、前記ギヤハウジング(4)に長手方向で固定される、アッセンブリにおいて、
前記ロック設定において、前記係止要素(20)は、前記溝(10)内に部分的にまたは完全に達し、これによって、前記支持ブラケット(1)を前記ギヤハウジング(4)に前記長手方向で係止
前記係止要素(20)は、固定装置(25)の構成部材であり、該固定装置(25)は、作動要素(21)をさらに備え、該作動要素(21)は、ピン(31)であり、該ピン(31)は、接線方向に変位可能に前記取付けフランジ(16)内に配置され、圧縮ばね(30)に対して予付勢され、前記ピン(31)は、前記リリース設定において前記係止要素(20)を部分的に収容するリンクまたは凹部(35)を有する、
アッセンブリ。
【請求項2】
前記作動要素(21)は、前記取付けフランジ(16)の孔(36)内でガイドされる前記ピン(31)と、ピン端部を形成する拡張されたヘッド(37)とから構成されることを特徴とする、請求項1記載のアッセンブリ。
【請求項3】
前記圧縮ばね(30)は、一方では、前記ピン(31)の、前記ヘッド(37)と反対の側の端部に対して支持され、他方では、前記孔(36)を外部に対して閉鎖するプラグ(40)に対して支持されることを特徴とする、請求項記載のアッセンブリ。
【請求項4】
前記プラグ(40)は、前記孔(36)内に圧入されるかまたはねじり込みによって取り付けられることを特徴とする、請求項記載のアッセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反作用トルクを逃がす支持ブラケットと、パワースクリュードライバーとを有するアッセンブリであって、パワースクリュードライバーは、駆動部分と、出力軸を備えるギヤハウジングとを備え、出力軸は、ギヤハウジングから前方に延出し、ギヤハウジングの周囲に外歯スプラインが設けられ、外歯スプラインの歯が、後方に向かって、ギヤハウジングをその外周にわたって取り囲む溝にまで延在し、溝の溝底が、歯の歯先が描く直径よりも小さい直径に位置し、支持ブラケットは、環状の取付けフランジおよび内歯スプラインを有する取付け部分と、出力軸から側方にずらされて配置されるとともに外部の対応支持部に対して配置可能な支持足部とを有し、取付けフランジのスプラインは、ギヤハウジングのスプラインと協働し、これによって、支持ブラケットは、ギヤハウジングに対して相対回動不能であり、取付けフランジに係止要素が配置され、係止要素は、ロック設定またはリリース設定をとることができ、ロック設定では、支持ブラケットは、ギヤハウジングに長手方向で固定される、アッセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
ねじ回し運転中、パワースクリュードライバーは、通常、使用者によってハンドルを介して保持される。ねじ回しプロセスの過程で発生するかなり大きくなることも多い反作用トルクは、パワースクリュードライバーに回転に耐えるように取り付けられた支持ブラケットを介して逃がすことができる。このために、支持ブラケットは、既存の固定構成要素、例えば隣接するねじ接続部に当接させるかまたは隣接するねじ接続部に対して支持されなければならない。このとき、隣接するねじ接続部は、対応支持部として機能する。これにより、反作用トルクが、例えばハンドルを介してパワースクリュードライバーの使用者に伝達されることが回避される。多くの場合、発生する反作用トルクは、事前に予測することが困難であり、使用者にとって計り知れないリスクをもたらすおそれがあるとともに、可能性として、パワースクリュードライバーの反動を引き起こすおそれがある。したがって、パワースクリュードライバーの運転信頼性は、パワースクリュードライバーにおける適切な支持ブラケット構成によって向上する。さらに、これにより、パワースクリュードライバーのより快適な使用ももたらされる。
【0003】
独国特許出願公開第102009005997号明細書から、このような支持ブラケットをパワースクリュードライバーに取り付けるために、支持ブラケットは、内歯を有する環状の取付けフランジを有し、出力軸を囲むとともに対応する外歯を有するギヤハウジングに押し嵌めることができることが知られている。こうして、支持ブラケットは、ギヤハウジングに対して相対回動不能になる。出力軸の長手方向においても支持ブラケットを固定するために、内歯の歯または歯元に、例えば径方向に変位可能であるように嵌め込まれたボールが配置される。ばね付勢作動ピンは、リンク内に少なくとも部分的にボールを収容する。作動ピンの作動状態において、ボールは、外歯の歯面または歯先に挟まり、それにより、ギヤハウジングを支持ブラケットに対して軸線方向で固定する。
【0004】
これに伴う欠点は、長手方向における取付けが、クランプ力または摩擦力のみに基づくことであり得る。そのため、ブラケットによってパワースクリュードライバーに相当の圧縮負荷または引張負荷が及ぼされる場合、取付け設定が解除され、支持ブラケットが、取付けフランジとともに、パワースクリュードライバーのギヤハウジングから滑り落ちる危険がある。また、クランプ力および摩擦力に基づく取付けでは、材料が摩損することにより、材料摩耗の増大が起こる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、パワースクリュードライバーへの支持ブラケットの確実、安全かつ低摩耗の取付けを可能にする、反作用トルクを逃がす支持ブラケットと、パワースクリュードライバーとを有するアッセンブリを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、請求項1に記載の特徴を有する、反作用トルクを逃がす支持ブラケットと、パワースクリュードライバーとを有するアッセンブリが提案される。
【0007】
本発明に係るアッセンブリは、まず、反作用トルクを逃がす支持ブラケットと、パワースクリュードライバーとから成っている。パワースクリュードライバーは、駆動部分と、出力軸を備えるギヤハウジングとを備え、出力軸は、ギヤハウジングから前方に延出する。パワースクリュードライバーは、更なる構成要素も備えることができる。これらの構成要素には、ハンドルと、電気駆動式のパワースクリュードライバーの場合には蓄電池モジュールと、制御要素と、可視インジケーターおよび/または可聴インジケーターとが含まれる。一方、本発明は、空圧駆動式のパワースクリュードライバーにおいても実現可能である。
【0008】
ギヤハウジングの周囲には、外歯スプラインが設けられ、外歯スプラインの歯は、後方に向かって、ギヤハウジングをその外周全体にわたって取り囲む溝にまで延在し、この溝の溝底は、外歯スプラインの歯先が描く直径よりも小さい直径に位置する。
【0009】
支持ブラケットは、環状の取付けフランジおよび内歯スプラインを有する取付け部分を有し、外部の対応支持部に対して配置可能であるとともに、出力軸から側方にずらされて配置された支持足部を有する支持部分を有する。取付けフランジの内歯スプラインは、ギヤハウジングの外歯スプラインと協働し、これによって、支持ブラケットが、ギヤハウジングに対して相対回動不能となる。
【0010】
取付けフランジには、係止要素が配置され、係止要素は、ロック設定またはリリース設定をとることができる。ロック設定では、支持ブラケットは、ギヤハウジングに長手方向で固定される。ロック設定において、係止要素は、溝内に少なくとも部分的に達し、これによって、支持ブラケットをギヤハウジングに長手方向、厳密に云うと、1つの規定された長手方向位置で係止する。
【0011】
本発明によれば、パワースクリュードライバーにおいて、ギヤハウジングに多くの場合に何らかの形で存在する溝が、支持ブラケットを1つの特定の長手方向位置で係止するために用いられる。したがって、独国特許出願公開第102009005997号明細書による解決手段と異なり、この取付けは、純粋に不確実な(non-positive)固定に基づかず、長期の使用でも低い摩耗を呈する。また、複数のそのような固定装置を取付けフランジの全周にわたって配置し、例えば、確実な(positive)係止をさらに向上させることも可能である。
【0012】
本発明の好ましい実施の形態によれば、係止要素は、固定装置の構成部材であり、固定装置は、作動要素をさらに備え、作動要素は、ピンであり、ピンは、接線方向に変位可能に取付けフランジ内に配置され、圧縮ばねに対して予付勢され、ピンは、リリース設定において係止要素を部分的に収容するリンクまたは凹部を有する。接線方向での作動要素またはピンの配置に起因して、使用者が作動させる際のピンへのアクセス性が容易になる。従来技術からは、このようなピンを軸線方向に配置することが知られている。軸線方向での配置は、ねじを回す状況によっては、ピンへのアクセス性が、結果として、より困難になる可能性がある。ピンの作動は、例えば、支持ブラケットの再調整のための緊急のねじ回し状況においても必要なものとなり得る。特に狭い空間条件では、側方からピンを作動させることができることは有利である。
【0013】
本発明の更なる実施の形態によれば、作動要素は、取付けフランジの孔内でガイドされるピンと、ピン端部を形成する拡張されたヘッドとから構成されることが有利である。作動要素の2部分特性に起因して、一方では、孔内での作動要素の良好なガイドが確実になり、また、他方では、外部からの容易な操作性も確実になる。ピンとヘッドとは、一体で形成されてもよいし、例えば共に螺合されてもよい。したがって、ヘッドは、雌ねじを有する孔を有することができ、この雌ねじにピンが雄ねじでもって螺合される。
【0014】
また、圧縮ばねは、一方では、ピンの、ヘッドと反対の側の端部に対して支持され、他方では、孔を外部に対して閉鎖するプラグに対して支持されると有利である。ピンの端部に対する圧縮ばねの支持は、本発明に係るアッセンブリに本質的なものである。こうすることによってのみ、係止要素が、ロック設定において溝内に少なくとも部分的に係合することができる。したがって、ばね力自体は、固定装置のロック設定に必要な位置にピンを保持する。孔を外部に対して閉鎖するプラグに対する圧縮ばねの更なる支持は、プラグを取り外すと、圧縮ばねとピンまたは係止要素との双方を孔から容易に取り外し、例えば交換することができる点で有利である。さらに、孔から外部に延び、同様にプラグによってシール可能な更なるダクトまたは孔を設けてもよい。
【0015】
本発明の更なる実施の形態によれば、プラグは、孔内に圧入されるかまたはねじり込みによって取り付けられる。これにより、必要に応じてかつ必要なときに、例えばピン、係止要素または圧縮ばねをメンテナンス目的で孔から取り出し、かつ/または交換しなければならないときに、プラグを単純かつ迅速に取り外すことが可能になる。当然ながら、取付けフランジに設けられ、ピンのガイド孔に接続される更なる孔もプラグによって、それぞれの孔内にプラグを圧入するかまたはねじり込むようにしてシールすることができる。
【0016】
本発明の更なる詳細および利点は、本発明に係るアッセンブリの例示的な実施の形態を示す添付図面の以下の記載から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】パワースクリュードライバーと、このパワースクリュードライバーに取り付けられた支持ブラケットとを備えたアッセンブリの概略図である。
図2】ギヤハウジングに取り付けられた支持ブラケットを伴う、パワースクリュードライバーのギヤハウジングの概略図である。
図3】支持ブラケットとギヤハウジングとの間の取付け領域の拡大側面図である。
図4図3の細部IVの拡大詳細図である。
図5図3の視点V-Vの方向による、取付けフランジの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係るアッセンブリの構成部材は、パワースクリュードライバー2およびねじ回しトルクを吸収する支持ブラケット1である。図1には、この支持ブラケット1が取り付けられた対応するパワースクリュードライバー2が示してある。このパワースクリュードライバー2は、まず、駆動部分3と、ギヤハウジング4とから構成されている。これら2つの構成要素は、例えばスイベルジョイントを介して互いに接続されていてもよい。
【0019】
駆動部分3内には、パワースクリュードライバー2を運転するために、モータ装置を設けることができる。また、原理的には、空圧的なまたは電気的な運転法も可能である。さらに、駆動部分3の近くに、ハンドル5と、蓄電池6または電池を設けることができる。このような蓄電池6は、パワースクリュードライバー2に交換可能に取り付けることができる。蓄電池6は、パワースクリュードライバー2の運転に必要な電気エネルギーを提供する。当然ながら、このようなパワースクリュードライバー2には、適切なケーブル接続を介して電気エネルギーを供給することもできる。ギヤハウジング4内には、パワースクリュードライバー2の運転に必要な伝達構成要素、例えばトルクコンバーターおよびギヤ機構を配置することもできる。また、ギヤハウジング4から前方に延出する出力軸7も基本構成部材である。この出力軸はその前端において、工具を取り付ける多角形部12で終端している。
【0020】
パワースクリュードライバー2の運転のために、使用者は自身の手でハンドル5を介してパワースクリュードライバー2を保持する。このパワースクリュードライバー2の作動またはねじ回し運転の制御は、主として、適切なスイッチ14の作動によって行われる。付加的なスイッチ17を介して、出力軸7の回転方向を逆転させることができる。
【0021】
同様に図1から認めることができるように、パワースクリュードライバー2またはギヤハウジング4の前端に支持ブラケット1を取り付けることができる。本質的には、支持ブラケット1は、出力軸7の回転軸線から側方にずらされて配置されている。支持ブラケット1は、環状の取付けフランジ16を有する取付け部分15と、外部の対応支持部に対して配置可能な支持足部18を有する支持部分19とを有する。外部の対応支持部は、他の機械部分または構成要素、例えば、ねじ接続部の隣接するナットによって形成することができる。
【0022】
特に図2および図3において認めることができるように、取付けフランジ16には、係止要素20および作動要素21を備える固定装置25が配置されている。作動要素21は、出力軸7の回転軸線に対して接線方向、したがって、横方向に変位可能であるように、取付けフランジ16内に配置される。作動要素21の変位は、この作動要素21を形成するピン31の、径方向に拡張されたヘッド37の作動によって発生させることができる。
【0023】
作動要素21は、好ましくは二部分構成である。すなわち、作動要素21は、取付けフランジ16の孔36内でガイドされるピン31と、ピン端部を形成する拡張されたヘッド37とから成っている。
【0024】
図3および図4から明らかであるように、ギヤハウジング4の周囲に外歯スプライン8が設けられている。この外歯スプライン8の歯9は、後方に向かって、したがって、駆動部分3の方向でギヤハウジング4をその外周全体にわたって取り囲む溝10にまで延在している。この溝10の溝底11は、ここでは、歯9の歯先13が描く直径D2よりも小さい直径D1に位置している。スプライン8は、ギヤハウジング4の周方向に設けられた個々の歯9のアレイであり、これらの歯は、全て長手方向に延在している。個々の歯9は、それぞれ歯面23と歯先13とによって形成されている。歯9は、間隙および歯元24によって分離されている。
【0025】
また、環状の取付けフランジ16に内歯スプラインが設けられている。この内歯スプラインはギヤハウジング4のスプライン8と協働し、これによって、支持ブラケット1がギヤハウジング4に対して相対回動不能である。具体的には、これは、取付けフランジ16の内歯スプラインの歯が、ギヤハウジング4のスプライン8の歯9の個々の歯面23の間に位置するノッチに係合し、また、外歯スプラインの歯が、内歯スプラインの間のノッチに係合することを意味している。
【0026】
本発明によれば、固定装置25が、ロック設定またはリリース設定をとることができる。ロック設定では、支持ブラケット1がギヤハウジング4に出力軸7の長手方向で固定される。このために、係止要素20、好ましくはボールが、固定装置25のロック設定において、溝10内に少なくとも部分的に達している(図4)。ただし、同じくロック設定において、係止要素20の少なくとも一部は、取付けフランジ16内に存在したままである。
【0027】
固定装置25をロック設定からリリース設定にするためには、作動要素21を使用者の側で作動させる必要がある。リリース設定では、支持ブラケット1または取付けフランジ16をギヤハウジング4から引き離すことができる。特に図5に示したように、作動要素21は、パワースクリュードライバーの回転軸線に対して接線方向に変位可能であるように、取付けフランジ16内に配置されたピン31であり、このピンは、圧縮ばね30に対して予付勢されている。ピンは、リンクまたは凹部35を有する。
【0028】
好ましくは、作動要素21は、取付けフランジ16の孔36内でガイドされるピン31と、ピン端部を形成する拡張されたヘッド37とから構成されている。ピン31およびヘッド37は、好ましくは二部分構成であるが、一部分構成または一体型構成とすることもできる。ヘッド37は、ピン31と比べて拡張されていて、例えば径方向に拡張されている。ヘッド37の、径方向に拡張された部分は、取付けフランジ16の孔36の外側に位置しており、使用者が作動させることができる。
【0029】
図5に示したように、ヘッド37は、ピン31をヘッド37の孔41内に、例えば螺合によって収容することができる。したがって、ピン31とヘッド37とは、運転接続状態にある。作動要素21の作動時、したがって、ヘッド37の作動時、ピン31は、ばね30の力に抗して孔36内に押し込まれる。圧縮ばね30は、ピン31のヘッド37と反対の側のピン31の端部に支持され、圧縮ばね30の他方の側は、孔36を外部に対してシールするプラグ40に支持される。このプラグ40は、孔36内に圧入されてもよいし、ねじり込みによって取り付けられてもよい。ねじり込みの場合には、プラグ40が適切な雄ねじを有していて、孔36が、この雄ねじに対応する雌ねじを有している。
【0030】
さらに、取付けフランジ16には、外部から孔36にアクセスすることを可能にする別の開口を設けることもできる。したがって、適切な開口45を取付けフランジ16においてピン31の側方に設けることができる。この孔36もプラグ46によってシールすることができる。プラグ40,46が取り外された場合には、孔36内にまたは取付けフランジ16に配置されている構成要素、特に圧縮ばね30、作動要素21および係止要素20を、孔36またはフランジ16から取り外して、交換することができる。このことは、特にメンテナンス目的で有利である。
【0031】
図5には、取付けフランジ16が固定装置25とともに、図3による断面A-Aにおいて示してある。考慮される視認方向は、図3に適切な矢印で示してある。図5による表現では、固定装置25がロック設定にある。作動要素21が作動されると、ヘッド37がピン31とともに圧縮ばね30の方向に移動させられる。その後、この圧縮ばね30が圧縮されるかまたは縮められ、係止要素20またはボールがピン31のリンクまたは凹部35内に滑り戻ることができる。このリリース設定では、係止要素20は、ロック設定と比べて、ギヤハウジング4の溝10内に達していない。支持ブラケット1を出力軸7の長手方向においてパワースクリュードライバー2から引き離すことができる。ロック設定では、この動きが不可能となる。なぜならば、係止要素20またはボールが、溝10内に部分的に達していることに起因して後方の歯端に係合し、支持ブラケット1をギヤハウジング4またはパワースクリュードライバー2に対して1つの特定の長手方向位置において、厳密に云うと、形状結合によって係止するからである。係止要素20と作動要素21とは、同種の材料で製造されてもよいし、異種の材料で製造されてもよい。係止要素20と作動要素21とは、特に金属から製造することができる。
【符号の説明】
【0032】
1 支持ブラケット
2 パワースクリュードライバー
3 駆動部分
4 ギヤハウジング
5 ハンドル
6 蓄電池
7 出力軸
8 外歯スプライン
9 歯
10 溝
11 溝底
12 多角形部
13 歯先
14 スイッチ
15 取付け部分
16 取付けフランジ
17 スイッチ
18 支持足部
19 支持部分
20 係止要素
21 作動要素
23 歯面
24 歯元
25 固定装置
30 圧縮ばね
31 ピン
35 凹部
36 孔
37 ヘッド
40 プラグ
41 孔
45 開口
46 プラグ
D1 直径
D2 直径
図1
図2
図3
図4
図5