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▶ 日立住友重機械建機クレーン株式会社の特許一覧

<図1>
  • 特許-油圧ウインチの制御装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-03
(45)【発行日】2022-03-11
(54)【発明の名称】油圧ウインチの制御装置
(51)【国際特許分類】
   B66D 1/44 20060101AFI20220304BHJP
   B66D 1/46 20060101ALI20220304BHJP
【FI】
B66D1/44 D
B66D1/46 E
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018049180
(22)【出願日】2018-03-16
(65)【公開番号】P2019156620
(43)【公開日】2019-09-19
【審査請求日】2020-07-15
(73)【特許権者】
【識別番号】503032946
【氏名又は名称】住友重機械建機クレーン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】特許業務法人 武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松下 達也
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-237526(JP,A)
【文献】特開2001-116071(JP,A)
【文献】特開2009-155022(JP,A)
【文献】特開2015-093749(JP,A)
【文献】特開2008-044699(JP,A)
【文献】特開2013-060279(JP,A)
【文献】特開2002-012392(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66D 1/44
B66D 1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通常運転モードと、前記通常運転モードよりも省燃費運転が可能な省燃費運転モードとを備え、ロープをウインチドラムで巻上げ/巻下げするクレーンに適用され、前記ウインチドラムの回転を制御する油圧ウインチの制御装置であって、
エンジンと、
前記エンジンにより駆動される可変容量型の油圧ポンプと、
前記油圧ポンプからの圧油により回転して前記ウインチドラムを駆動する可変容量型の油圧モータと、
前記ロープを巻上げ/巻下げする巻上/巻下指令を出力するウインチ操作部材と、
前記ウインチ操作部材からの前記巻上/巻下指令に従い、前記エンジンの回転速度を最小回転速度から最大回転速度の範囲で制御するエンジン制御部と、
前記ウインチドラムに作用する負荷を検出するウインチ負荷検出器と、
前記省燃費運転モードにおいて、前記油圧モータのモータ容量を前記通常運転モードより小さいモータ容量に減少させるよう制御するモータ容量制御部と、を備え、
前記エンジン制御部は、前記省燃費運転モードにおける前記エンジンの回転速度の上限値を、前記通常運転モードにおける前記エンジンの最大回転速度よりも低く、かつ、前記ウインチ負荷検出器により検出される前記負荷に応じた値に設定し、
前記省燃費運転モードにおいて、前記油圧ポンプのポンプ容量を前記通常運転モードより大きいポンプ容量に増加させるよう制御するポンプ容量制御部をさらに備える、ことを特徴とする油圧ウインチの制御装置。
【請求項2】
請求項に記載の油圧ウインチの制御装置において、
前記エンジンの回転速度の上限値は、前記ウインチ負荷検出器にて検出される前記負荷が所定の範囲内において、前記ウインチ負荷検出器にて検出される前記負荷が大きくなるに連れて一定の傾きで大きくなるように予め定められる、ことを特徴とする油圧ウインチの制御装置。
【請求項3】
請求項に記載の油圧ウインチの制御装置において、
前記エンジンの回転速度の上限値は、前記ウインチ負荷検出器にて検出される前記負荷が所定の範囲内において、前記ウインチ負荷検出器にて検出される前記負荷が大きくなるに連れて異なる傾きで大きくなるように予め定められる、ことを特徴とする油圧ウインチの制御装置。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1項に記載の油圧ウインチの制御装置において、
前記エンジン制御部は、前記ロープに吊下げられた吊り荷が地面から離れたときに前記ウインチ負荷検出器にて検出される前記負荷を用いて、前記エンジンの回転速度の上限値を設定する、ことを特徴とする油圧ウインチの制御装置。
【請求項5】
請求項1~4の何れか1項に記載の油圧ウインチの制御装置において、
前記ウインチ負荷検出器は、前記ロープのラインプルを検出するラインプル検出器である、ことを特徴とする油圧ウインチの制御装置。
【請求項6】
通常運転モードと、前記通常運転モードよりも省燃費運転が可能な省燃費運転モードとを備え、ロープをウインチドラムで巻上げ/巻下げするクレーンに適用され、前記ウインチドラムの回転を制御する油圧ウインチの制御装置であって、
エンジンと、
前記エンジンにより駆動される可変容量型の油圧ポンプと、
前記油圧ポンプからの圧油により回転して前記ウインチドラムを駆動する可変容量型の油圧モータと、
前記ロープを巻上げ/巻下げする巻上/巻下指令を出力するウインチ操作部材と、
前記ウインチ操作部材からの前記巻上/巻下指令に従い、前記エンジンの回転速度を最小回転速度から最大回転速度の範囲で制御するエンジン制御部と、
前記ウインチドラムに作用する負荷を検出するウインチ負荷検出器と、
前記省燃費運転モードにおいて、前記油圧ポンプのポンプ容量を前記通常運転モードより大きいポンプ容量に増加させるよう制御するポンプ容量制御部と、を備え、
前記エンジン制御部は、前記省燃費運転モードにおける前記エンジンの回転速度の上限値を、前記通常運転モードにおける前記エンジンの最大回転速度よりも低く、かつ、前記ウインチ負荷検出器により検出される前記負荷に応じた値に設定する、ことを特徴とする油圧ウインチの制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレーンに適用される油圧ウインチの制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本技術分野の背景技術として、例えば特許文献1に記載の油圧ウインチの制御装置は、エンジン回転速度が所定回転速度以下、かつ、ラインプルが所定値以下であるときに、ウインチ操作部材が低速側の巻上/巻下操作位置から高速側の巻上/巻下操作位置に向かって操作されると、省燃費高速運転条件が成立したと判定する条件判定手段と、条件判定手段により省燃費高速運転条件が成立したと判定されると、油圧モータのモータ容量を減少させて、最小容量に制御するモータ容量制御手段とを備えている。また、エンジン制御手段は、条件判定手段により省燃費高速運転条件が成立したと判定されると、エンジン回転速度の上限値を最大回転速度よりも小さい所定回転速度に設定する。こうして、特許文献1では、エンジン回転速度を低減させた状態で油圧モータを高速で回転駆動させることで、燃費の向上と騒音の低減を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5863561号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、省燃費高速運転条件が成立した場合にエンジン回転速度の上限値を最大回転速度より小さい所定回転速度に設定しているが、この所定回転速度は予め定められた値、すなわち固定値であるため、クレーンの運転を行う際の燃費の面において改善の余地が残されている。
【0005】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたものであり、その目的は、クレーンの運転を行う際の燃費を向上させることのできる油圧ウインチの制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、代表的な本発明は、通常運転モードと、前記通常運転モードよりも省燃費運転が可能な省燃費運転モードとを備え、ロープをウインチドラムで巻上げ/巻下げするクレーンに適用され、前記ウインチドラムの回転を制御する油圧ウインチの制御装置であって、エンジンと、前記エンジンにより駆動される可変容量型の油圧ポンプと、前記油圧ポンプからの圧油により回転して前記ウインチドラムを駆動する可変容量型の油圧モータと、前記ロープを巻上げ/巻下げする巻上/巻下指令を出力するウインチ操作部材と、前記ウインチ操作部材からの前記巻上/巻下指令に従い、前記エンジンの回転速度を最小回転速度から最大回転速度の範囲で制御するエンジン制御部と、前記ウインチドラムに作用する負荷を検出するウインチ負荷検出器と、前記省燃費運転モードにおいて、前記油圧モータのモータ容量を前記通常運転モードより小さいモータ容量に減少させるよう制御するモータ容量制御部と、を備え、前記エンジン制御部は、前記省燃費運転モードにおける前記エンジンの回転速度の上限値を、前記通常運転モードにおける前記エンジンの最大回転速度よりも低く、かつ、前記ウインチ負荷検出器により検出される前記負荷に応じた値に設定し、前記省燃費運転モードにおいて、前記油圧ポンプのポンプ容量を前記通常運転モードより大きいポンプ容量に増加させるよう制御するポンプ容量制御部をさらに備える、ことを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、クレーンの運転を行う際の燃費を向上させることができる。なお、上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係る油圧ウインチの制御装置が搭載されたクレーンの側面図。
図2】運転室の全体を示す斜視図。
図3】ウインチ操作レバーの操作位置を説明する図。
図4】旋回レバーを示す図。
図5】ウインチの油圧回路の概略構成を示す図。
図6】ウインチの制御装置の構成を示すブロック図。
図7】ラインプル値とエンジンの回転速度の上限値との関係を示す図。
図8】通常運転モードと省燃費運転モードにおけるモータ容量とポンプ容量の使用範囲を示す図。
図9】コントローラで実行される省燃費運転モードの処理の手順を示すフローチャート。
図10】エンジン回転速度とエンジントルクと燃料消費率との関係を示す図。
図11】変形例1に係るラインプル値とエンジンの回転速度の上限値との関係を示す図。
図12】変形例2に係るラインプル値とエンジンの回転速度の上限値との関係を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る油圧ウインチの制御装置が搭載されたクローラクレーン(以下、単にクレーンと記す。)について説明する。図1は、本実施形態に係る油圧ウインチの制御装置が搭載されたクレーン1の外観側面図である。図1に示すように、クレーン1は、一対のクローラを有する走行体101と、走行体101上に搭載された旋回可能な旋回体102と、旋回体102に起伏可能に支持されたブーム103とを有する。旋回体102には、クレーン1の動力源であるエンジン110と、3つのウインチドラム(フロントドラム105aおよびリヤドラム105b、ブーム起伏ドラム107)とが搭載されている。
【0010】
フロントドラム105aの駆動によりフロントドラムワイヤロープ(ロープ)104が巻き上げまたは巻き下げられ、主フック106に吊り下げられた吊り荷106aが昇降する。なお、図1では、リヤドラム105bの駆動により巻き上げまたは巻き下げられるリヤドラムワイヤロープと、このワイヤロープによって昇降される補フックの記載を省略している。ブーム起伏ドラム107の駆動によりブーム起伏ロープ108が巻き上げまたは巻き下げられ、ブーム103が起伏される。
【0011】
図1に示すように、旋回体102には、運転室109が設けられている。図2は運転室109の全体を示す斜視図である。運転室109には、オペレータが着座する運転席201と、運転席201に着座したオペレータが右手で操作する右側レバー群210と、運転席201に着座したオペレータが左手で操作する左側レバー(旋回レバー)221とが設けられている。運転席201の左前方には、表示装置231が設けられ、運転室109の左上方には、省燃費運転モードスイッチ241が設けられている。
【0012】
運転室109の床には、フロントドラム105aを制動するためのフロントドラムブレーキペダル251と、リヤドラム105bを制動するためのリヤドラムブレーキペダル252と、エンジン110の回転速度を増減させるためのアクセルペダル261と、旋回体102を制動するための旋回ブレーキペダル262とが設けられている。
【0013】
右側レバー群210は、一対の走行レバー、すなわち左側のクローラを駆動するための走行レバー、および、右側のクローラを駆動するための走行レバーと、図3に示すように、フロントウインチ操作レバー213F、リヤウインチ操作レバー213R、および、ブーム起伏ウインチ操作レバー213Bとを含んでいる。走行レバーは、前後方向に揺動させることで右側および左側のクローラをそれぞれ駆動するための操作レバーである。フロントウインチ操作レバー213Fは、前後方向に揺動させることでフロントドラム105aを駆動するための操作レバーであり、リヤウインチ操作レバー213Rは、前後方向に揺動させることでリヤドラム105bを駆動するための操作レバーである。ブーム起伏ウインチ操作レバー213Bは、前後方向に揺動させることでブーム起伏ドラム107を駆動するための操作レバーである。
【0014】
図3を参照して、ウインチ操作部材としてのフロントウインチ操作レバー213Fおよびリヤウインチ操作レバー213Rの操作位置について説明する。フロントウインチ操作レバー213Fは、中立位置から車両前方に所定角度回動させたとき、周知のデテント機構によりデテントロックされ、ウインチ巻下1速デテント位置で保持される。フロントウインチ操作レバー213Fは、ウインチ巻下1速デテント位置から車両前方に所定角度回動させたとき、デテント機構によりデテントロックされ、ウインチ巻下2速デテント位置で保持される。フロントウインチ操作レバー213Fは、中立位置から車両後方に所定角度回動させたとき、デテント機構によりデテントロックされ、ウインチ巻上1速デテント位置で保持される。フロントウインチ操作レバー213Fは、ウインチ巻上1速デテント位置から車両後方に所定角度回動させたとき、デテント機構によりデテントロックされ、ウインチ巻上2速デテント位置で保持される。リヤウインチ操作レバー213Rは、フロントウインチ操作レバー213Fと同様、中立位置から車両前方に回動させることで、ウインチ巻下1速デテント位置、ウインチ巻下2速デテント位置に操作することができ、中立位置から車両後方に回動させることで、ウインチ巻上1速デテント位置、ウインチ巻上2速デテント位置に操作することができる。
【0015】
フロントウインチ操作レバー213Fが巻上/巻下1速デテント位置に操作されると、主フック106の吊り下げられた吊りロープ104を低速で巻上げ/巻下げする低速巻上/巻下指令に相当するパイロット圧が出力される。フロントウインチ操作レバー213Fが巻上/巻下2速デテント位置に操作されると、主フック106の吊り下げられた吊りロープ104を高速で巻上げ/巻下げする高速巻上/巻下指令に相当するパイロット圧が出力される。
【0016】
図2に示されている左側レバー、すなわち旋回レバー221は、前後方向に揺動させることで旋回体102を旋回駆動するための操作レバーである。図4に示すように、旋回レバー221は、運転席201に着座するオペレータによって把持される把持部221dを有している。旋回レバー221には、アクセルグリップ221aと、旋回ブレーキスイッチ221bと、エコスイッチ221cとが設けられている。
【0017】
アクセルグリップ221aは、オペレータが左手で握った状態で、上から見たときに時計方向または反時計方向に回転させることでエンジン110の回転速度を増減するための操作装置である。なお、後述するように、省燃費運転モードではエンジン100の回転速度の上限が制限されているため、アクセルグリップ221aを回転させても設定された上限値までしかエンジン100の回転速度を増加させることはできない。旋回ブレーキスイッチ221bは、旋回体102が旋回しないように保持する旋回ブレーキを掛けるか否かを選択するためのスイッチである。エコスイッチ221cは、旋回レバー221を握った状態で操作ができるように、旋回レバー221の把持部221dの下端部に設けられている。エコスイッチ221cの機能の詳細については後述する。
【0018】
図5は、ウインチの油圧回路の概略構成を示す図である。この油圧回路は、エンジン(不図示)により駆動される第1ポンプ131および第2ポンプ132と、エンジン(不図示)により駆動されるパイロットポンプ136と、作動油タンク133と、第1ポンプ131および第2ポンプ132から吐出される圧油により回転する可変容量型の油圧モータ135とを備えている。油圧モータ135は、一対の主管路L1,L2を介して第1ポンプ131および第2ポンプ132から供給される圧油によって駆動される。
【0019】
吊りロープに取り付けられたフックを巻上げ/巻下げるために用いられる油圧モータ135としては、フロントドラム105aを回転させるためのフロントウインチ用モータと、リヤドラム105bを回転させるためのリヤウインチ用モータとがある。図5では、便宜上、ウインチドラム駆動用の油圧モータ135として、フロントウインチ用モータを代表して図示し、フロントウインチ用モータと同様の構成とされるリヤウインチ用モータおよびリヤウインチ用モータを駆動させるための油圧回路については省略している。
【0020】
第1ポンプ131および第2ポンプ132は可変容量型の油圧ポンプであり、それぞれ傾転角度制御部(ポンプ容量制御部)147a,147bによって傾転角度が制御されることでポンプ容量Qpが制御される。傾転角度制御部147aは第1ポンプ131の傾転角度を制御するためのものであって、レギュレータ145、電磁比例弁等を含む。同様に、傾転角度制御部147bは第2ポンプ132の傾転角度を制御するためのものであって、レギュレータ146、電磁比例弁等を含む。レギュレータ145,146の動作は、コントローラ150によって制御されている。すなわち、コントローラ150が図5において図示しない電磁比例弁を駆動してレギュレータ145,146に作用するパイロット圧を調整することで、レギュレータ145,146の動作が制御される(図6参照)。その結果、第1ポンプ131および第2ポンプ132の各ポンプ容量Qpが変更される。
【0021】
油圧モータ135は、第1方向制御弁(低速用弁)141および第2方向制御弁(高速用弁)142で流れが制御された第1ポンプ131および第2ポンプ132からの圧油によって駆動される。油圧モータ135には一速のときに第1ポンプ131からの圧油のみが導かれ、2速のときに第1ポンプ131および第2ポンプ132からの圧油が合流して導かれる。
【0022】
油圧回路は、第1方向制御弁141および第2方向制御弁142と、ウインチの駆動を指令するウインチ操作レバー213(213F)と、ウインチ操作レバー213の操作量に応じたパイロット圧を発生するパイロット弁213a,213bと、モータ容量制御部120とを有する。油圧回路は、パイロット弁213aからの巻上側2次圧またはパイロット弁213bからの巻下側2次圧のいずれかを選択するシャトル弁218とを有する。
【0023】
第1方向制御弁141は、第1ポンプ131から油圧モータ135への圧油の流れを制御し、第2方向制御弁142は、第2ポンプ132から油圧モータ135への圧油の流れを制御する。第1方向制御弁141および第2方向制御弁142は、いずれも上述した運転室109内に設けられたウインチ操作レバー213(213F)の操作方向および操作量に応じて制御される油圧パイロット操作方式の制御弁である。
【0024】
第1方向制御弁141が位置Aに切り換わると、第1ポンプ131の吐出油が主管路L2を介して油圧モータ135に供給され、油圧モータ135が巻上げ方向に回転する。第1方向制御弁141が位置Bに切り換わると、第1ポンプ131の吐出油が主管路L1を介して油圧モータ135に供給され、油圧モータ135が巻下げ方向に回転する。第2方向制御弁142が位置Aに切り換わると、第2ポンプ132の吐出油が主管路L2を介して油圧モータ135に供給され、油圧モータ135が巻上げ方向に回転する。第2方向制御弁142が位置Bに切り換わると、第2ポンプ132の吐出油が主管路L1を介して油圧モータ135に供給され、油圧モータ135が巻下げ方向に回転する。
【0025】
ウインチ操作レバー213を巻上方向(図3において手前方向)または巻下方向(図3において奥方)に操作すると、操作量の増加に伴いパイロット弁213a,213bからの2次圧(以下、パイロット圧と記す。)が上昇する。パイロット圧は第1方向制御弁141および第2方向制御弁142のパイロット部にそれぞれ導かれ、第1方向制御弁141および第2方向制御弁142を切り換える。
【0026】
モータ容量制御部120の構成について説明する。図5に示すようにモータ容量制御部120は、モータ傾転Qmを変化させるピストン121と、第1ポンプ131および第2ポンプ132の吐出圧の高圧側を選択する第1高圧選択弁118と、第1高圧選択弁118からの圧油または油圧モータ135に接続された一対の主管路L1,L2からの圧油の高圧側を選択し、ピストン121の油室R1,R2に導く第2高圧選択弁119と、油室R1への圧油の流れを制御する制御弁123と、シャトル弁218から制御弁123へのパイロット圧を後述のコントローラ150からの指令に基づいて減圧する電磁比例減圧弁160と、第2高圧選択弁119から制御弁123への圧油の流れをカットするカットオフ弁124と、後述する電磁切換弁125と、フィードバック機構126とを有する。
【0027】
油室R1内のピストン径は油室R2内のピストン径よりも大きく、制御弁123およびカットオフ弁124が図示a位置に切り換わると、ピストン121は図示X2方向に移動し、モータ傾転Qm(以下、モータ容量Qmとも記す。)は減少する。一方、制御弁123がc位置に切り換わり、油室R1内の圧力がタンク圧になると、ピストン121はX1方向に移動し、モータ容量Qmは増加する。なお、モータ容量Qmの変化はフィードバック機構126により制御弁123にフィードバックされ、サーボ機構として作用する。
【0028】
制御弁123は、電磁比例減圧弁160を介して供給されるパイロット圧油に応じて切り換わる。図5に示すように、パイロット弁213aまたはパイロット弁213bからのパイロット圧PLは、シャトル弁218を介して電磁比例減圧弁160に導かれ、電磁比例減圧弁160によって減圧された圧油が制御弁123に導かれる。
【0029】
後述する省燃費運転モード条件が成立している状態(すなわち、省燃費運転モードの実行待機状態)で、ウインチ操作レバー213を巻上1速デテント位置から巻上2速デテント位置に向かって、あるいは、巻下1速デテント位置から巻下2速デテント位置に向かって操作すると、省燃費運転モードが実行される。すると、コントローラ150からは電磁比例減圧弁160に制御電流として最大電流が出力される。ウインチ操作レバー213がフル操作されると、パイロット弁213a,213bからは、最大パイロット圧が出力され、電磁比例減圧弁160により減圧されずに、最大パイロット圧が制御弁123に作用し、制御弁123はa位置に切り換えられる。制御弁123がa位置に切り換えられると、第2高圧選択弁119からの圧油が油室R1に導かれてピストン121がX2方向に移動し、モータ傾転が減少する。モータ傾転の減少量はフィードバック機構126により制御弁123にフィードバックされ、モータ容量Qmが最小容量Qm3(図8参照)の状態で制御弁123はb位置に切り換わり、モータ傾転が安定する。
【0030】
カットオフ弁124は、第2高圧選択弁119からの圧油の圧力に応じて切り換わる。第2高圧選択弁119からの圧力がカットオフ圧Pcよりも小さいと、カットオフ弁124はa位置に切り換わり、第2高圧選択弁119から油室R1への圧油の供給が許容される。第2高圧選択弁119からの圧力がカットオフ圧Pcと等しくなると、カットオフ弁124はb位置に切り換わり、油室R1への圧油の供給が禁止され、モータ傾転の減少が防止される。第2高圧選択弁119からの圧力がカットオフ圧Pcより大きくなると、カットオフ弁124はc位置に切り換わり、油室R1の圧油を作動油タンク133に戻し、モータ傾転が大きくなる。
【0031】
カットオフ弁124には、カットオフ圧Pcを設定するためのばね124aが設けられており、カットオフ圧Pcはばね124aの付勢力により所定の圧力に設定されている。
【0032】
このように、本実施形態では、油圧回路にカットオフ弁124を設けているので、油圧モータ135の回路圧に応じてモータ容量Qmが制限される。これにより、吊り荷106aを巻下げる際に回路圧が上昇し、カットオフ圧Pcを超えると、カットオフ弁124が動作することにより、モータ容量Qmが増加して最大容量Qm1に制御され、油圧モータ135の過回転が防止される。
【0033】
次に、ウインチの制御装置の電気的構成について説明する。図6は、ウインチの制御装置の構成を示すブロック図である。コントローラ150は、クレーン1の各部を制御するための制御装置であり、各種の演算を行うCPUや記憶装置であるメモリ、その他周辺機器等を有する。コントローラ150にはエンジンコントローラ110aが接続されている。エンジンコントローラ110aは、エンジン110を始動させる、所定の回転速度で運転させる、停止させる等、エンジン110を制御するための制御装置であり、各種の演算を行うCPUや記憶装置であるメモリ、その他周辺機器等を有する。なお、コントローラ150およびエンジンコントローラ110aは、本発明のエンジン制御部を構成するものである。
【0034】
コントローラ150には、ウインチ操作レバー213の操作位置(操作量)を検出する操作位置検出器151と、エンジン110の実回転速度Naを検出するエンジン回転速度センサ152と、油圧モータ135の回転速度を検出する油圧モータ回転速度センサ135aと、アクセルグリップ221aの操作量を検出する操作量センサ221Sと、省燃費運転モードスイッチ241と、エコスイッチ221cと、ラインプル検出器154と、電磁比例減圧弁160と、電磁切換弁125と、表示装置231と、傾転角度制御部147a,147bを構成する電磁比例弁とが接続されている。
【0035】
操作位置検出器151は、パイロット弁213a,213bから出力されるパイロット圧を検出する圧力センサ(図5において不図示)により構成できる。パイロット圧力センサに代えて、レバーストロークを検出するストロークセンサにより操作位置検出器151を構成してもよい。
【0036】
コントローラ150は、アクセルグリップ221aの操作量センサ221Sで検出されたアクセルグリップ221aの操作量に応じてエンジン110の目標回転速度Ntを設定し、エンジンコントローラ110aに目標回転速度指令を出力して、エンジン110の実回転速度Naを制御する。また、詳しくは後述するが、コントローラ150は、省燃費運転モードでの運転中において、ラインプル検出器154にて検出されたラインプル値に応じてエンジン110の回転速度の上限値を設定し、エンジンコントローラ110aにエンジン110の回転速度の上限値を制限するための制限指令を出力する。エンジンコントローラ110aは、この制限指令に従って、エンジン110の回転速度の上限を制御する。
【0037】
エンジンコントローラ110aは、エンジン回転速度センサ152で検出されたエンジン110の実回転速度Naと、コントローラ150からのエンジン110の目標回転速度Ntとを比較して、エンジン110の実回転速度Naを目標回転速度Ntに近づけるために燃料噴射装置(不図示)を制御する。つまり、エンジンコントローラ110aは、アクセルグリップ221aの操作量センサ221Sで検出されたアクセルグリップ221aの操作量Sgに応じて、最小回転速度Nminから最大回転速度Nmaxの範囲でエンジン110の実回転速度Naを制御する。
【0038】
省燃費運転モードスイッチ241は、後述する省燃費運転モード条件が成立したときに、油圧モータ135のモータ容量Qmを最小容量Qm3に制御する制限モードと、省燃費運転モード条件が成立しても、油圧モータ135のモータ容量Qmを最小容量Qm3に制御しない非制限モードとを選択的に切り換えるモード切換スイッチである。
【0039】
コントローラ150は、操作位置検出器151で検出されたウインチ操作レバー213の操作位置に応じで電磁比例減圧弁160に所定の制御電流を出力する。後述する省燃費運転モード条件が成立していない状態において、コントローラ150は、ウインチ操作レバー213が2速デテント位置に操作されているときには制御電流I=I2(I2<Imax)を出力し、ウインチ操作レバー213が1速デテント位置に操作されているときには、制御電流I=I1(I1<I2)を出力する。後述する省燃費運転モード条件が成立すると、コントローラ150は制御電流I=Imaxを出力する。
【0040】
コントローラ150は、省燃費運転モードスイッチ241がオンされているときには、第1ポンプ131および第2ポンプ132のそれぞれに設けられる傾転角度制御部147a,147bにウインチ操作レバー213の操作量に応じた制御信号を出力する。第1ポンプ131および第2ポンプ132の吐出量は、ウインチ操作レバー213の操作量の増加に応じて増加する。
【0041】
エコスイッチ221cは、省燃費運転モードスイッチ241により選択された制限モードを有効または無効化する切換スイッチである。表示装置231は、省燃費運転モードスイッチ241がオンされたときに「ECO」の表示画面を表示し、後述する省燃費運転モード条件が成立すると、「ECO」の表示画面を反転表示する。
【0042】
ラインプル検出器154は、たとえばピン型ロードセルであり、ラインプル検出器154によってウインチドラムに作用するロープのラインプルTが検出される。
【0043】
本実施形態のクレーン1では、次の(a)および(b)の条件が満たされると、コントローラ150は、省燃費運転モード条件が成立したと判定する。
(a)省燃費運転モードスイッチ241がオン位置にあることが検出されている。
(b)エコスイッチ221cがオン位置にあることが検出されている。
【0044】
省燃費運転モード条件が成立すると、クレーン1は、高速でウインチの巻上げ/巻下げが行われる得る2速操作待機状態になる。この状態で、ウインチ操作レバー213が低速(1速)側の巻上/巻下操作位置から高速(2速)側の巻上/巻下操作位置に向かって操作されると、コントローラ150は、省燃費運転モードに移行する。そして、コントローラ150はモータ容量制御部120を制御して、油圧モータ135のモータ容量Qm(モータ傾転)を減少させ、最小容量Qm3にする。また、コントローラ150は傾転角度制御部147a,147bを制御して、第1ポンプ131および第2ポンプ132のポンプ容量Qpを増加させて最大容量Qp3にする。これにより、油圧モータ135を2速状態のときよりも高速で駆動可能な3速状態とすることができる。3速状態では、エンジン回転速度が所定の上限回転速度のときに、ウインチドラムが2速状態のときよりも高速で巻上げ側あるいは巻下げ側に回転される。
【0045】
さらに、省燃費運転モードに移行すると、コントローラ150は、エンジン110の回転速度の上限値をラインプル値に応じた値に設定し、エンジンコントローラ110aにエンジン回転速度の上限指令を出力する。これにより、エンジンコントローラ110aは、ラインプル値に応じたエンジン110の回転速度の上限までエンジン110を駆動することができる。
【0046】
ラインプル値とエンジン110の回転速度の上限値について詳しく説明する。図7はラインプル値とエンジンの回転速度の上限値との関係を示す図である。図7に示すように、ラインプル値T1~T4までの範囲では、ラインプル値とエンジン回転速度の関係が線形特性となっており、ラインプル値が大きくなるに連れて、エンジン回転速度の上限値がN1~N4まで同じ傾きで大きくなり、ラインプル値がT4~T5までの範囲ではエンジン回転速度の上限値がN4で一定となっている。この特性はコントローラ150の記憶装置に予めテーブルとして記憶されており、コントローラ150にラインプル検出器154にて検出された吊りロープ104のラインプル値が入力されると、コントローラ150は、ラインプル値に対応したエンジン110の回転速度の上限値を求め、エンジンコントローラ110aに上限値の制限指令を出力する。なお、エンジン回転速度の上限値N4は、エンジン110の最小燃料消費率点における回転速度と同じ値に設定している。これにより、エンジン回転速度がN4のときに最適な省燃費運転が可能となる。
【0047】
図8は、通常運転モードと省燃費運転モードにおけるモータ容量とポンプ容量の使用範囲を示す図である。図8に示すように、通常運転モードでは、油圧モータ135のモータ容量Qmの使用範囲がQm1~Qm2(ただしQm1>Qm2)となっており、第1ポンプ131および第2ポンプ132のそれぞれのポンプ容量Qpの使用範囲がQp1~Qp2(ただしQp1>Qp2)となっている。一方、省燃費運転モードでは、油圧モータ135のモータ容量Qmの使用範囲がQm1~Qm3(ただしQm2>Qm3)となっており、第1ポンプ131および第2ポンプ132のそれぞれのポンプ容量Qpの使用範囲がQp3~Qp1(ただし、Qp3>Qp1)となっている。すなわち、省燃費運転モードでは、モータ容量Qmの下限が通常運転モードより小さい値となり、ポンプ容量Qpの上限が通常運転モードより大きい値となっている。そのため、省燃費運転モードでは、エンジン回転速度を下げて、モータ容量Qmを最小容量Qm3にし、ポンプ容量Qpを最大容量Qp3にすることで、ウインチドラムを高速で回転させることができる。
【0048】
図9はコントローラ150で実行される省燃費運転モードの処理の手順を示すフローチャートである。省燃費運転モードが実行されると、コントローラ150は、省燃費運転モードスイッチ241がONされているか否かを判定し(S1)、省燃費運転モードスイッチ241がOFFの場合(S1/No)には処理を終了し、省燃費運転モードスイッチ241がONされている場合(S1/Yes)にはラインプル値を取得する(S2)。コントローラ150は、ラインプル値が所定の変動範囲内に収まっている場合には、主フック106に吊下げられた吊り荷106aが地面から離れたとみなして(地切り作業が完了したとみなして)、ラインプル値を確定する(S4)。次いで、コントローラ150は、図7に示すラインプル値とエンジン回転速度の上限値との関係を規定したテーブルを参照して、ラインプル値に応じたエンジン回転速度の上限値を設定する(S5)。例えば、コントローラ150は、ラインプル値がT3の場合には、図7に示すようにエンジン回転速度の上限値をN3に設定する。
【0049】
次いで、コントローラ150は、ウインチ操作レバー213が高速(2速)側の巻上/巻下操作位置に向かって操作されたか否かを判定する(S6)。ウインチ操作レバー213が高速(2速)側の巻上/巻下操作位置に向かって操作された場合(S6/Yes)には、コントローラ150は、モータ容量をQm3に設定し(S7)、ポンプ容量をQp3に設定する(S8)。
【0050】
次いで、コントローラ150は、ウインチドラム(フロントドラム105a)が過回転であるか否かを判定する(S9)。具体的には、油圧モータ135の回転速度を検出する油圧モータ回転速度センサ135aからの検出信号に基づき、油圧モータ135の回転速度が、所定のドラムの回転速度を超えているか否かによりウインチドラムの過回転の有無を判定する。ウインチドラムが過回転であると判定した場合(S9/Yes)、コントローラ150はモータ容量を増加(S10)して、処理を終了する。一方、ウインチ操作レバー213が高速(2速)側の巻上/巻下操作位置に向かって操作されていない場合(S6/No)には、コントローラ150は、モータ容量をQm2に設定し(S11)、ポンプ容量をQp2に設定(S12)し、処理を終了する。
【0051】
次に、本実施形態の効果について、従来技術と比較して説明する。図10はエンジン回転速度とエンジントルクと燃料消費率との関係を示す図である。図10に示すように、従来技術では、省燃費運転モードにおけるエンジン回転速度の上限値が1つの値(例えばN2とN3の間の値)に固定されていたので、図10のABCDで囲まれた斜線領域でしかエンジン110を駆動できなかった。これに対して、本実施形態では、ラインプル値に応じてエンジン回転速度の上限値をN1~N4までの範囲で可変としたので、省燃費運転モードにおけるエンジン110の使用領域を図10のABCDに囲まれた斜線領域にDCEFで囲まれた斜線領域を加えた領域まで広げることができる。これにより、エンジン110を燃料消費率のより良い線上で駆動できるため、省燃費運転モードにおけるエンジン110の燃費を従来技術と比べてより向上させることができる。
【0052】
(その他の実施形態への言及)
なお、本発明は前述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。前記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者ならば、本明細書に開示の内容から、各種の代替例、修正例、変形例あるいは改良例を実現することができ、これらは添付の特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【0053】
例えば、ラインプル値に対するエンジン110の回転速度の上限値を、異なる傾きで増加させるような特性に基づいて設置しても良い。図11は、変形例1に係るラインプル値とエンジンの回転速度の上限値との関係を示す図である。図11に示すように、変形例1では、ラインプル値がT1~T2の範囲と、T2~T3の範囲と、T3~T4の範囲とでラインプル値に対するエンジン回転速度の上限値が異なる傾きで増加する特性となっている。この特性は、ラインプル値に応じてエンジン回転速度をより適した上限値に設定できるため、エンジン110をより燃料消費率の低い動作点で駆動させることができ、より一層、燃費の向上を実現できる。
【0054】
また、図12は、変形例2に係るラインプル値とエンジンの回転速度の上限値との関係を示す図である。図12に示すように、変形例2では、ラインプル値がT1~T2の範囲と、T3~T4の範囲とでラインプル値に対するエンジン回転速度の上限値が異なる傾きで増加する特性となっており、T2~T3の範囲ではラインプル値の値に対して一定のエンジン回転速度となる特性となっている。このような特性であっても、ラインプル値に応じて適した上限値に設定できるため、より一層、燃費の向上を実現できる。
【0055】
また、この特性は適宜変更可能であり、例えばラインプル値が大きくなるに連れて階段状にエンジン回転速度の上限値が大きくなるような特性としても良い。あるいは、非線形特性に従って、ラインプル値に対するエンジン回転速度の上限値を定めても良い。
【0056】
また、本実施形態では、図9に示すように、ステップS7においてモータ容量Qmを最小容量Qm3に設定し、ステップS8においてポンプ容量Qpを最大容量Qp3に設定することで省燃費運転モードを実行したが、モータ容量Qmとポンプ容量Qpの一方を制御する構成としても良い。すなわち、図9のステップS7とステップS8の一方の処理を省略する構成としても良い。一方の処理を省略する構成であっても、省燃費運転モードにおける燃費向上を実現できる。
【0057】
なお、上記した実施形態では、ウインチ負荷検出器としてラインプル検出器154を用いたが、これに代えて、例えばドラムの層数と油圧モータ135のモータ容量と油圧モータ135のモータ巻上圧力とからラインプル値を推定しても良い。また、本発明は、ウインチドラムに作用する負荷を直接検出することのほかに、例えば、ウインチドラムに作用する負荷の変動を検出し、負荷の変動に基づいて省燃費運転モードにおけるエンジン回転速度の上限値を設定する構成としても良い。すなわち、本発明におけるウインチ負荷検出器は、ウインチドラムに作用する負荷そのものを検出するだけでなく、負荷を間接的に検出するものも含まれる。また、本発明は、クレーンに搭載された全てのウインチドラム、すなわち、フロントドラム105aだけでなくリヤドラム105b、ブーム起伏ドラム107の制御装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0058】
1 クレーン
104 フロントドラムワイヤロープ(吊りロープ)
105a フロントドラム(ウインチドラム)
106 主フック(フック)
106a 吊り荷
110 エンジン
110a エンジンコントローラ(エンジン制御部)
120 モータ容量制御部
131 第1ポンプ(油圧ポンプ)
132 第2ポンプ(油圧ポンプ)
135 油圧モータ
147a,147b 傾転角度制御部(ポンプ容量制御部)
150 コントローラ(エンジン制御部)
154 ラインプル検出器(ウインチ負荷検出器)
213 ウインチ操作レバー(ウインチ操作部材)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12