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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-03
(45)【発行日】2022-03-11
(54)【発明の名称】医療用の穿刺針
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/32 20060101AFI20220304BHJP
【FI】
A61M5/32 520
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018136040
(22)【出願日】2018-07-19
(65)【公開番号】P2019058649
(43)【公開日】2019-04-18
【審査請求日】2021-04-12
(31)【優先権主張番号】P 2017187158
(32)【優先日】2017-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(72)【発明者】
【氏名】上田 武彦
【審査官】上田 真誠
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2002/002161(WO,A1)
【文献】米国特許第03308822(US,A)
【文献】特開2008-154842(JP,A)
【文献】国際公開第2017/017934(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状の本体部の先端部に刃面が形成されている医療用の穿刺針であって、
前記刃面は、前記本体部の中心軸線に対して傾斜し、針先まで延在する第1刃面部と、前記第1刃面部の裏側に形成され、前記第1刃面部と互いに交差する稜線により前記針先まで延在する刃縁を形成する第2刃面部と、を備え、
前記第2刃面部は、前記中心軸線に直交する直交断面において、前記針先を通り前記中心軸線を含む仮想平面に対する角度が異なる第1平面及び第2平面を備え、
前記第2平面は、前記刃面を前記中心軸線と平行な中心軸線方向に沿って前記針先側から見た先端視において、前記第1平面より前記針先から遠い位置にあり、
前記直交断面における前記仮想平面に対する前記第2平面の角度は、前記直交断面における前記仮想平面に対する前記第1平面の角度よりも小さく、
前記刃縁は、
前記第1刃面部、及び、前記第2刃面部の前記第1平面、が交差する稜線により形成される第1刃縁部と、
前記第1刃面部、及び、前記第2刃面部の前記第2平面、が交差する稜線により形成される第2刃縁部と、を備え、
前記第1刃縁部は前記針先まで延在しており、
前記第2刃縁部は、前記先端視において前記本体部の外周面に連続しており、
前記先端視において、前記第1刃縁部の長さは、前記第2刃縁部の長さよりも長い、医療用の穿刺針。
【請求項2】
前記第2刃面部は、前記直交断面における前記仮想平面に対する角度が前記第1平面及び前記第2平面と異なり、前記先端視において前記第1平面と前記第2平面との間に位置する少なくとも1つの第3平面を備え、
前記直交断面における前記仮想平面に対する前記第3平面の角度は、前記直交断面における前記仮想平面に対する前記第1平面の角度よりも小さく、かつ、前記直交断面における前記仮想平面に対する前記第2平面の角度よりも大きい、請求項に記載の医療用の穿刺針。
【請求項3】
前記刃縁は、前記先端視において前記第1刃縁部と前記第2刃縁部との間の位置に、前記第1刃面部、及び、前記第2刃面部の前記第3平面、が交差する稜線により形成される少なくとも1つの第3刃縁部を備え、
前記第1刃縁部、前記第2刃縁部、及び、前記少なくとも1つの第3刃縁部、の各刃縁部は、前記先端視において、前記針先から遠い位置にあるほど、前記仮想平面に対する角度が小さい、請求項に記載の医療用の穿刺針。
【請求項4】
前記先端視において、前記第1刃縁部の長さは、前記少なくとも1つの第3刃縁部の長さを足し合わせた全長よりも長い、請求項に記載の医療用の穿刺針。
【請求項5】
前記第2平面と前記第3平面とが交差する稜線により形成された尾根部は、前記中心軸線に沿って延在している、請求項2乃至4のいずれか1つに記載の医療用の穿刺針。
【請求項6】
前記第1平面と前記第3平面とが交差する稜線により形成された尾根部は、前記中心軸線に沿って延在している、請求項2乃至5のいずれか1つに記載の医療用の穿刺針。
【請求項7】
前記刃縁を第1刃縁とした場合に、前記刃面は、前記第1刃面部の裏側に形成され、前記第1刃面部と互いに交差する稜線により前記針先まで延在する第2刃縁を形成する第3刃面部、を備え、
前記2刃面部及び前記第3刃面部は、互いが交差する稜線により、前記中心軸線に沿って前記針先まで延在する第3刃縁を形成している、請求項1乃至に記載の医療用の穿刺針。
【請求項8】
前記第3刃面部は、前記仮想平面に対して、前記第2刃面部と対称な形状を有する、請求項に記載の医療用の穿刺針。
【請求項9】
棒状の本体部の先端部に刃面が形成されている医療用の穿刺針であって、
前記刃面は、前記本体部の中心軸線に対して傾斜し、針先まで延在する第1刃面部と、前記第1刃面部の裏側に形成され、前記第1刃面部と互いに交差する稜線により前記針先まで延在する刃縁を形成する第2刃面部と、を備え、
前記第2刃面部は、前記中心軸線に直交する直交断面において、前記針先を通り前記中心軸線を含む仮想平面に対する角度が異なる第1平面及び第2平面を備え、
前記刃縁は、前記刃面を前記中心軸線と平行な中心軸線方向に沿って前記針先側から見た先端視において、前記刃縁の両端を結ぶ直線よりも前記本体部の径方向の外側に張り出すように延在しており、
前記刃縁は、
前記第1刃面部、及び、前記第2刃面部の前記第1平面、が交差する稜線により形成される第1刃縁部と、
前記第1刃面部、及び、前記第2刃面部の前記第2平面、が交差する稜線により形成される第2刃縁部と、を備え、
前記第1刃縁部は前記針先まで延在しており、
前記第2刃縁部は、前記先端視において前記本体部の外周面に連続しており、
前記先端視において、前記第1刃縁部の長さは、前記第2刃縁部の長さよりも長い、医療用の穿刺針。
【請求項10】
棒状の本体部の先端部に刃面が形成されている医療用の穿刺針であって、
前記刃面は、前記本体部の中心軸線に対して傾斜し、針先まで延在する第1刃面部と、前記第1刃面部の裏側に形成され、前記第1刃面部と互いに交差する稜線により前記針先まで延在する刃縁を形成する第2刃面部と、を備え、
前記第2刃面部は、前記中心軸線に直交する直交断面において、前記針先を通り前記中心軸線を含む仮想平面に対する角度が異なる第1平面及び第2平面を備え、
前記刃縁は、前記第1刃面部、及び、前記第2刃面部の前記第1平面、が交差する稜線により形成される、前記針先まで延在する第1刃縁部と、前記第1刃面部、及び、前記第2刃面部の前記第2平面、が交差する稜線により形成される第2刃縁部と、を備え、
前記第1刃縁部は、前記刃面を前記中心軸線と平行な中心軸線方向に沿って前記針先側から見た先端視において、前記針先から、前記刃縁の両端を結ぶ直線よりも前記本体部の径方向の外側に位置する終端点まで、延在しており、
前記第2刃縁部は、前記先端視において前記本体部の外周面に連続しており、
前記先端視において、前記第1刃縁部の長さは、前記第2刃縁部の長さよりも長い、医療用の穿刺針。
【請求項11】
棒状の本体部の先端部に刃面が形成されている医療用の穿刺針であって、
前記刃面は、
前記本体部の中心軸線に対して傾斜し、針先まで延在する第1刃面部と、
前記第1刃面部の裏側に形成され、前記第1刃面部と互いに交差する稜線により前記針先まで延在する刃縁を形成する第2刃面部と、を備え、
前記第2刃面部は、
前記中心軸線に直交する直交断面において、前記針先を通り前記中心軸線を含む仮想平面に対する角度が異なる第1平面、第2平面、及び、少なくとも1つの第3平面、を備え、
前記第2平面は、前記刃面を前記中心軸線と平行な中心軸線方向に沿って前記針先側から見た先端視において、前記第1平面より前記針先から遠い位置にあり、
前記少なくとも1つの第3平面は、前記先端視において前記第1平面と前記第2平面との間に位置し、
前記刃縁は、
前記第1刃面部、及び、前記第2刃面部の前記第1平面、が交差する稜線により形成される、前記針先まで延在する第1刃縁部と、
前記第1刃面部、及び、前記第2刃面部の前記第2平面、が交差する稜線により形成される、前記先端視において前記本体部の外周面に連続している第2刃縁部と、
前記先端視において前記第1刃縁部と前記第2刃縁部との間の位置に、前記第1刃面部、及び、前記第2刃面部の前記第3平面、が交差する稜線により形成される少なくとも1つの第3刃縁部と、を備え、
前記先端視において、前記第1刃縁部の長さは、前記少なくとも1つの第3刃縁部の長さを足し合わせた全長よりも長い、医療用の穿刺針。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は医療用の穿刺針に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、採血針や輸液用の留置針などの医療用の穿刺針としては、穿刺針を人体へ穿刺する際の痛みを軽減するため、先端部に、穿刺針の長手方向に対して傾斜した刃面を備えるものが知られている。
【0003】
特許文献1には、この種の穿刺針として、刃面形状が所謂「バックカット・ベベル・ポイント」(以下、単に「バックカット型」と記載する。)と呼ばれる刃面を備えるものが開示されている。特許文献1に開示されたバックカット型の刃面を有する穿刺針は、直進性に優れることから、例えば、動脈への穿刺や中心静脈への穿刺など、体表面から体内の比較的深い位置にある目的部位まで穿刺する際に利用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-004249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示のバックカット型の刃面を有する穿刺針は、正面側の刃面部としてのフラットカット面と、背面側の刃面部としての平面状のバックカット面と、を備えており、フラットカット面とバックカット面とが互いに交差する稜線により、針先まで延在する刃縁としての直線状の切れ刃を形成している。そのため、特許文献1に開示の穿刺針を穿刺する際には、この刃縁が皮膚を切り裂くように働き、刺通抵抗を低減することができるため、患者等が感じる痛みが軽減される。
【0006】
しかしながら、例えば穿刺針の肉厚が薄肉になると、平面状のバックカット面が小さくなるため、皮膚を切り裂く切れ刃の長さを確保し難くなる。そのため、針先近傍では刃縁としての切れ刃により皮膚を切り裂くことができるが、針先とは反対側の切れ刃の基端が皮膚を通過すると、その後は穿刺針の外面が切り口を強引に押し広げるように挿入されていくため、皮膚の切り口が押し広げられる際の痛みを患者は感じることになる。
【0007】
本発明の目的は、刃縁の長さを確保し易いバックカット型の刃面の構成を有する医療用の穿刺針を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様としての医療用の穿刺針は、棒状の本体部の先端部に刃面が形成されている医療用の穿刺針であって、前記刃面は、前記本体部の中心軸線に対して傾斜し、針先まで延在する第1刃面部と、前記第1刃面部の裏側に形成され、前記第1刃面部と互いに交差する稜線により前記針先まで延在する刃縁を形成する第2刃面部と、を備え、前記第2刃面部は、前記中心軸線に直交する直交断面において、前記針先を通り前記中心軸線を含む仮想平面に対する角度が異なる第1平面及び第2平面を備え、前記第2平面は、前記刃面を前記中心軸線と平行な中心軸線方向に沿って前記針先側から見た先端視において、前記第1平面より前記針先から遠い位置にあり、前記直交断面における前記仮想平面に対する前記第2平面の角度は、前記直交断面における前記仮想平面に対する前記第1平面の角度よりも小さい。
【0009】
本発明に1つの実施形態として、前記刃縁は、前記第1刃面部、及び、前記第2刃面部の前記第1平面、が交差する稜線により形成される刃縁部を備え、前記刃縁部は前記針先まで延在している。
【0010】
本発明の1つの実施形態として、前記刃縁部を第1刃縁部とした場合に、前記刃縁は、前記第1刃面部、及び、前記第2刃面部の前記第2平面、が交差する稜線により形成される第2刃縁部を備え、前記第2刃縁部は、前記先端視において前記本体部の外周面に連続している。
【0011】
本発明の1つの実施形態として、前記先端視において、前記第1刃縁部の長さは、前記第2刃縁部の長さよりも長い。
【0012】
本発明の1つの実施形態として、前記第2刃面部は、前記直交断面における前記仮想平面に対する角度が前記第1平面及び前記第2平面と異なり、前記先端視において前記第1平面と前記第2平面との間に位置する少なくとも1つの第3平面を備え、前記直交断面における前記仮想平面に対する前記第3平面の角度は、前記直交断面における前記仮想平面に対する前記第1平面の角度よりも小さく、かつ、前記直交断面における前記仮想平面に対する前記第2平面の角度よりも大きい。
【0013】
本発明の1つの実施形態として、前記刃縁は、前記先端視において前記第1刃縁部と前記第2刃縁部との間の位置に、前記第1刃面部、及び、前記第2刃面部の前記第3平面、が交差する稜線により形成される少なくとも1つの第3刃縁部を備え、前記第1刃縁部、前記第2刃縁部、及び、前記少なくとも1つの第3刃縁部、の各刃縁部は、前記先端視において、前記針先から遠い位置にあるほど、前記仮想平面に対する角度が小さい。
【0014】
本発明の1つの実施形態として、前記先端視において、前記第1刃縁部の長さは、前記少なくとも1つの第3刃縁部の長さを足し合わせた全長よりも長い。
【0015】
本発明の1つの実施形態として、前記第2平面と前記第3平面とが交差する稜線により形成された尾根部は、前記中心軸線に沿って延在している。
【0016】
本発明の1つの実施形態として、前記第1平面と前記第3平面とが交差する稜線により形成された尾根部は、前記中心軸線に沿って延在している。
【0017】
本発明の1つの実施形態として、前記刃縁を第1刃縁とした場合に、前記刃面は、前記第1刃面部の裏側に形成され、前記第1刃面部と互いに交差する稜線により前記針先まで延在する第2刃縁を形成する第3刃面部、を備え、前記2刃面部及び前記第3刃面部は、互いが交差する稜線により、前記中心軸線に沿って前記針先まで延在する第3刃縁を形成している。
【0018】
本発明の1つの実施形態として、前記第3刃面部は、前記仮想平面に対して、前記第2刃面部と対称な形状を有する。
【0019】
本発明の第2の態様としての医療用の穿刺針は、棒状の本体部の先端部に刃面が形成されている医療用の穿刺針であって、前記刃面は、前記本体部の中心軸線に対して傾斜し、針先まで延在する第1刃面部と、前記第1刃面部の裏側に形成され、前記第1刃面部と互いに交差する稜線により前記針先まで延在する刃縁を形成する第2刃面部と、を備え、前記第2刃面部は、前記中心軸線に直交する直交断面において、前記針先を通り前記中心軸線を含む仮想平面に対する角度が異なる複数の平面を備え、前記刃縁は、前記刃面を前記中心軸線と平行な中心軸線方向に沿って前記針先側から見た先端視において、前記刃縁の両端を結ぶ直線よりも前記本体部の径方向の外側に張り出すように延在している。
【0020】
本発明の第3の態様としての医療用の穿刺針は、棒状の本体部の先端部に刃面が形成されている医療用の穿刺針であって、前記刃面は、前記本体部の中心軸線に対して傾斜し、針先まで延在する第1刃面部と、前記第1刃面部の裏側に形成され、前記第1刃面部と互いに交差する稜線により前記針先まで延在する刃縁を形成する第2刃面部と、を備え、前記第2刃面部は、前記中心軸線に直交する直交断面において、前記針先を通り前記中心軸線を含む仮想平面に対する角度が異なる複数の平面を備え、前記刃縁は、前記第1刃面部、及び、前記複数の平面の1つである第1平面、が交差する稜線により形成される、前記針先まで延在する第1刃縁部を備え、前記第1刃縁部は、前記刃面を前記中心軸線と平行な中心軸線方向に沿って前記針先側から見た先端視において、前記針先から、前記刃縁の両端を結ぶ直線よりも前記本体部の径方向の外側に位置する終端点まで、延在している。
【0021】
本発明の第4の態様としての医療用の穿刺針は、棒状の本体部の先端部に刃面が形成されている医療用の穿刺針であって、前記刃面は、前記本体部の中心軸線に対して傾斜し、針先まで延在する第1刃面部と、前記第1刃面部の裏側に形成され、前記第1刃面部と互いに交差する稜線により前記針先まで延在する刃縁を形成する第2刃面部と、を備え、前記第2刃面部は、前記中心軸線に直交する直交断面において、前記針先を通り前記中心軸線を含む仮想平面に対する角度が異なる第1平面、第2平面、及び、少なくとも1つの第3平面、を備え、前記第2平面は、前記刃面を前記中心軸線と平行な中心軸線方向に沿って前記針先側から見た先端視において、前記第1平面より前記針先から遠い位置にあり、前記少なくとも1つの第3平面は、前記先端視において前記第1平面と前記第2平面との間に位置し、前記刃縁は、前記第1刃面部、及び、前記第2刃面部の前記第1平面、が交差する稜線により形成される、前記針先まで延在する第1刃縁部と、前記第1刃面部、及び、前記第2刃面部の前記第2平面、が交差する稜線により形成される、前記先端視において前記本体部の外周面に連続している第2刃縁部と、前記先端視において前記第1刃縁部と前記第2刃縁部との間の位置に、前記第1刃面部、及び、前記第2刃面部の前記第3平面、が交差する稜線により形成される少なくとも1つの第3刃縁部と、を備え、前記先端視において、前記第1刃縁部の長さは、前記少なくとも1つの第3刃縁部の長さを足し合わせた全長よりも長い。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、刃縁の長さを確保し易いバックカット型の刃面の構成を有する医療用の穿刺針を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1(a)は穿刺針1の正面図、図1(b)は穿刺針1の側面図、図1(c)は穿刺針1の背面図、図1(d)は穿刺針1の斜視図である。
図2図2(a)は図1(a)に示す穿刺針1の正面図の一部を拡大して示す拡大正面図であり、図2(b)は図1(b)に示す穿刺針1の側面図の一部を拡大して示す拡大側面図である。図2(c)は図1(c)に示す穿刺針1の背面図の一部を拡大して示す拡大背面図である。
図3A図2(a)におけるI-I断面図である。
図3B図2(a)におけるII-II断面図である。
図3C図2(a)におけるIII-III断面図である。
図3D図2(a)におけるIV-IV断面図である。
図3E図2(a)におけるV-V断面図である。
図3F図2(a)におけるVI-VI断面図である。
図4A】穿刺針1の刃面4を中心軸線方向Aに沿って針先8側から見た図である。
図4B図4Aにおける一点鎖線で囲まれた部分を拡大して示す図である。
図5】穿刺針1の第2刃面部6とその比較例とを比較する図である。
図6】穿刺針1の第2刃面部6により形成される切り口と、その比較例である第2刃面部により形成される切り口と、を比較する図である。
図7】穿刺針1の変形例としての穿刺針101の刃面104を中心軸線方向Aに沿って針先108側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本開示に係る医療用の穿刺針の実施形態について、図1図7を参照して説明する。各図において共通する部材・部位には同一の符号を付している。
【0025】
図1は、一実施形態としての穿刺針1を示す図である。具体的に、図1(a)は穿刺針1の正面を示す正面図である。図1(b)は穿刺針1の側面図である。図1(c)は穿刺針1の正面と反対側の背面を示す背面図である。図1(d)は穿刺針1の斜視図である。
【0026】
図1に示すように、穿刺針1は、棒状の本体部2を備えており、この本体部2の先端部3に刃面4が形成されている。
【0027】
図2(a)は、図1(a)に示す穿刺針1の本体部2の先端部3近傍を拡大して示す拡大正面図である。図2(b)は、図1(b)に示す穿刺針1の本体部2の先端部3近傍を拡大して示す拡大側面図である。図2(c)は、図1(c)に示す穿刺針1の本体部2の先端部3近傍を拡大して示す拡大背面図である。
【0028】
図2に示すように、本実施形態の本体部2は、本体部2の中心軸線Oと平行な中心軸線方向Aにおいて、本体部2の基端部から先端部3まで連通する中空部10を区画している。以下、中空部10を区画する穿刺針1について例示説明するが、中空部10を区画していない中実の穿刺針としてもよい。
【0029】
本実施形態の本体部2は、中空棒状、すなわち筒状の管体である。より具体的に、本実施形態の本体部2は、略円形状の断面外形を有する管体である。ここで言う「断面外形」の「断面」とは、本体部2の中心軸線Oと直交する横断面を意味する。
【0030】
刃面4は複数の刃面部により構成されており、図1図2に示すように、本実施形態の刃面4は、正面側刃面部としての第1刃面部5と、背面側刃面部としての第2刃面部6及び第3刃面部7と、を備えている。つまり、穿刺針1は、バックカット型の刃面4を備えている。
【0031】
第1刃面部5は、本体部2の中心軸線Oに対して傾斜し、針先8まで延在している。また、本実施形態の第1刃面部5は、1つの平面により構成されている。本実施形態の第1刃面部5は、中心軸線Oに対して例えば12度や18度等の所定の角度で傾斜した平面である。「針先」とは、本体部2の中心軸線方向Aにおける先端であり、穿刺針1の先端を意味する。
【0032】
図1図2に示すように、第2刃面部6は、第1刃面部5の裏側に形成され、第1刃面部5と互いに交差する稜線により針先8まで延在する第1刃縁9aを形成している。第2刃面部6は、少なくとも複数の平面を含んでいる。より具体的に、本実施形態の第2刃面部6は、複数の平面により構成されている。第2刃面部6の各平面の詳細は後述する。
【0033】
図1図2に示すように、第3刃面部7は、第1刃面部5の裏側に形成され、第1刃面部5と互いに交差する稜線により針先8まで延在する第2刃縁9bを形成している。第3刃面部7は、少なくとも複数の平面を含んでいる。より具体的に、本実施形態の第3刃面部7は、複数の平面により構成されている。第3刃面部7の各平面の詳細は後述する。
【0034】
図2(a)に示すように、第1刃面部5の内縁13は、中空部10の針先8側の一端である開口11を区画している。また、図2(a)に示すように、第1刃面部5の外縁14は、針先8まで延在する第1刃縁9a及び第2刃縁9bと、基端側外縁部17と、により形成されている。
【0035】
より具体的に、第1刃縁9aは、針先8から、第1刃面部5の外縁14上の終端点Pまで延在している。また、第2刃縁9bは、針先8から、第1刃面部5の外縁14上の終端点Qまで延在している。したがって、上述した第1刃面部5の外縁14における基端側外縁部17は、終端点P及びQよりも中心軸線方向Aの基端側の部分である。
【0036】
また、本実施形態において、第2刃面部6及び第3刃面部7は、互いが交差する稜線により、中心軸線Oに沿って針先8まで延在する第3刃縁9cを形成している。
【0037】
このように、本実施形態の穿刺針1の刃面4には、第1刃縁9a、第2刃縁9b及び第3刃縁9cが形成されている。そのため、穿刺針1を生体表面から生体内に穿刺する際には、第1刃縁9a、第2刃縁9b及び第3刃縁9cが皮膚を切り裂くように働き、刺通抵抗を低減することができる。
【0038】
本実施形態において、第2刃面部6及び第3刃面部7は、針先8を通り中心軸線Oを含む仮想平面に対して対称な形状を有している。また、本実施形態において、第2刃面部6及び第3刃面部7が交差する稜線により形成される第3刃縁9cは、中心軸線方向Aに略平行な直線状であり、この第3刃縁9cもまた、上記仮想平面上で延在している。また、本実施形態において、上述の仮想平面は、第1刃面部5に対して直交している。以下、説明の便宜上、針先8を通り中心軸線Oを含む上述の仮想平面を、単に「中心平面X」と記載する。本実施形態の穿刺針1は、中心平面Xについて対称な構成を有する中空針である。
【0039】
次に、図3を参照して、本体部2の中心軸線Oに直交する直交断面における刃面4の形状について説明する。以下、説明の便宜上、本体部2の中心軸線Oに直交する直交断面を、単に「直交断面」と記載する。図3A図3Fそれぞれは、中心軸線方向Aの異なる位置での直交断面を示す図である。
【0040】
具体的に、図3Aは、中心軸線方向Aにおいて刃面4の第1刃面部5のみが形成されている領域での直交断面である。図3B図3Fは、中心軸線方向Aにおいて刃面4の第1刃面部5、第2刃面部6及び第3刃面部7が形成されている領域での直交断面を示している。
【0041】
図3A図3Fに示すように、第1刃面部5は、中心軸線方向Aの位置によらず直交断面において中心平面Xに対して略直交して延在する、平面により構成されている。換言すれば、第1刃面部5の直交断面における中心平面Xに対する角度δは、中心軸線方向Aの位置によらず、略90度である。
【0042】
図3B図3Fに示すように、第2刃面部6は、直交断面において、中心平面Xに対する鋭角の角度θが異なる第1平面21、第2平面22及び複数の第3平面23、を備える。また、図3B図3Fに示すように、第1平面21、第2平面22及び複数の第3平面23は、中心平面Xからの距離が異なる位置に形成されている。中心平面Xからの距離は、第1平面21、複数の第3平面23、第2平面22、の順で遠くなる。ここで言う「中心平面Xからの距離」とは、直交断面において中心平面Xに直交する方向での、中心平面Xからの最短距離を意味する。図3Bでは、第1平面21の中心平面Xからの距離L1、第2平面22の中心平面Xからの距離L2、及び、1つの第3平面23の中心平面Xからの距離L3、を示している。
【0043】
図3Bに示すように、第2平面22の角度θ2は、第1平面21の角度θ1よりも小さい。また、図3Bに示すように、複数の第3平面23のうち任意の1つの第3平面23の角度θ3は、第1平面21の角度θ1よりも小さく、かつ、第2平面22の角度θ2よりも大きい。
【0044】
特に、本実施形態では、複数の第3平面23として、3つの第3平面23a、23b及び23cを備えている。第3平面23aは、3つの第3平面23a、23b及び23cのうち、本体部2の周方向Bにおいて針先8に最も近い位置に設けられている。第3平面23cは、3つの第3平面23a、23b及び23cのうち、周方向Bにおいて針先8から最も遠い位置に設けられている。第3平面23bは、周方向Bにおいて、他の2つの第3平面23a及び23bの間の位置に設けられている。従って、本実施形態の第2刃面部6では、周方向Bにおいて針先8から遠ざかるにつれて、第1平面21、第3平面23a、第3平面23b、第3平面23c、第2平面22の順に配置されている。そして、周方向Bで隣接する平面同士は、互いが交差する稜線である、後述の尾根部41、42、43及び44、を介して連続している(図2(c)参照)。
【0045】
図3Bに示すように、3つの第3平面23a、23b及び23cそれぞれの中心平面Xからの距離Lは異なっており、中心平面Xに最も近い第3平面23aの角度θ3aは、他の2つの第3平面23b及び23cの角度θ3b及びθ3cよりも大きい。また、中心平面Xから最も遠い第3平面23cの角度θ3cは、他の2つの第3平面23a及び23bの角度θ3a及びθ3bよりも小さい。すなわち、3つの第3平面23a、23b及び23cは、中心平面Xからの距離Lが遠くなるにつれて、直交断面における中心平面Xに対する角度θが漸減している。
【0046】
したがって、本実施形態の第2刃面部6の第1平面21、第2平面22、及び複数の第3平面23は、直交断面における中心平面Xからの距離L(図3B参照)が遠い平面ほど、直交断面における中心平面Xに対する角度θが小さい。したがって、本実施形態では、第1平面21、第3平面23a、第3平面23b、第3平面23c、第2平面22、の順に角度θが漸減している。すなわち、図3A図3Fに示すように、第1平面21の角度θ1、第3平面23aの角度θ3a、第3平面23bの角度θ3b、第3平面23cの角度θ3c、第2平面22の角度θ2、の順で、角度θは漸減している。
【0047】
ここで、図3B図3Fに示すように、第1平面21の角度θ1は、中心軸線方向Aの位置によって変化しない。つまり、第1平面21の角度θ1は、中心軸線方向Aの位置によらず一定である。
【0048】
また、第2平面22の角度θ2についても、中心軸線方向Aの位置によらず一定である。
【0049】
更に、第3平面23の角度θ3についても、中心軸線方向Aの位置によらず一定である。より具体的に、複数の第3平面23の1つである第3平面23aの角度θ3aは、中心軸線方向Aの位置によらず一定である。また、複数の第3平面23の1つである第3平面23bの角度θ3bも、中心軸線方向Aの位置によらず一定である。更に、複数の第3平面23の1つである第3平面23cの角度θ3cも、中心軸線方向Aの位置によらず一定である。
【0050】
本実施形態の第3刃面部7は、中心平面Xに対して、第2刃面部6と対称な形状を有している。そのため、説明を省略するが、本実施形態の第3刃面部7についても、第2刃面部6と同様、第1平面、第2平面、及び複数の第3平面を備えており、第2刃面部6の第1平面21、第2平面22及び複数の第3平面23の角度θの角度関係と同様の角度関係を有している。また、本実施形態の第2刃縁9bについても、中心平面Xに対して、第1刃縁9aと対称な形状を有している。
【0051】
図4Aは、刃面4を中心軸線方向Aに沿って針先8側から見た先端視を示す図である。第2平面22は、先端視(図4A参照)において、第1平面21より針先8から遠い位置にある。換言すれば、第2平面22は、直交断面(図3参照)において、第1平面21より中心平面Xから遠い位置にある。
【0052】
また、図4Aに示すように、複数の第3平面23のうち任意の1つの第3平面23は、先端視において、第1平面21より針先8から遠い位置にあり、かつ、第2平面22より針先8に近い位置にある。換言すれば、任意の1つの第3平面23は、直交断面(図3参照)において、第1平面21より中心平面Xから遠い位置にあり、かつ、第2平面22より中心平面Xに近い位置にある。
【0053】
以上のように、第2刃面部6の第2平面22は、先端視(図4A参照)において、第2刃面部6の第1平面21より針先8から遠い位置にあり、直交断面における中心平面Xに対する第2平面22の角度θ2(図3B参照)は、直交断面における中心平面Xに対する第1平面21の角度θ1(図3B参照)よりも小さい。このような構成にすることで、直交断面における中心平面Xに対する角度θが第1平面21と等しい1つの平面のみで構成される第2刃面部と比較して、第1刃面部5と第2刃面部6との稜線により形成される第1刃縁9aの長さをより長く確保することができる。また、上述の構成にすることで、直交断面における中心平面Xに対する角度θが第1平面21よりも小さく、かつ、第2平面22よりも大きい、1つの平面のみで構成される第2刃面部と比較しても、第1刃縁9aの長さをより長く確保することができる。更に、直交断面における中心平面Xに対する角度θが第1平面21よりも小さく、かつ、第2平面22よりも大きい、1つの平面のみで構成される第2刃面部と比較して、皮膚上の切り口を大きくすることができる。
【0054】
図5図6を参照して上述の作用効果を説明する。図5は、図2(c)の針先8近傍を更に拡大した図である。但し、図5では、本実施形態の第2刃面部6の比較例として、直交断面における中心平面Xに対する角度θ(図3参照)が第1平面21と等しい1つの平面のみで構成される第2刃面部600を二点鎖線により示している。図5に示すように、第2刃面部6及び第1刃面部5(図1等参照)が交差して形成される第1刃縁9aは、背面視において、針先角度γ1を有している。また、図5に示すように、比較例としての第2刃面部600及び第1刃面部5(図1等参照)が交差して形成される比較刃縁900aは、背面視において、針先角度γ2を有している。図5に示すように、背面視での第1刃縁9aの針先角度γ1は、背面視での比較刃縁900aの針先角度γ2と等しい。ここで言う「背面視での刃縁の針先角度」とは、背面視(図5参照)において、針先を通過し中心軸線方向Aに平行に延在する仮想線と、刃縁と、のなす角度を意味する。
【0055】
しかしながら、図5に示すように、第2刃面部6によれば、第1刃縁9aを比較刃縁900aよりも長くすることができる。具体的に、第2刃面部6は、第1平面21に加えて、第2平面22を備えるため、第1刃縁9aの終端点Pの位置を、比較刃縁900aの終端点P´よりも中心軸線方向Aの基端側に形成することができる。これにより、第1刃縁9aの長さを、比較刃縁900aよりも長く確保することができる。これにより、後述する切れ幅W1(図4A参照)を大きくすることができる。切れ幅W1の詳細は後述する。
【0056】
また、図5では、本実施形態の第2刃面部6の別の比較例として、直交断面における中心平面Xに対する角度θ(図3参照)が第1平面21よりも小さく、かつ、第2平面22よりも大きい、1つの平面のみで構成される第2刃面部601を二点鎖線により示している。図5に示すように、第2刃面部6及び比較例としての第2刃面部601の中心軸線方向Aにおける形成領域は同じである。しかしながら、第2刃面部6及び第1刃面部5(図1等参照)が交差して形成する第1刃縁9aと、比較例としての第2刃面部601及び第1刃面部5(図1等参照)が交差して形成する比較刃縁901aと、を比較すると、背面視(図5参照)での第1刃縁9aの針先角度γ1は、背面視(図5参照)での比較刃縁901aの針先角度γ3よりも大きい。換言すれば、第2刃面部6は、第1刃縁9aが比較刃縁901aよりも背面視(図5参照)で外側に凸状に張り出すように、形成されている。そのため、第1刃縁9aの長さを、比較刃縁901aよりも長く確保することができる。
【0057】
図6は、図5に示す第1刃縁9aにより形成される皮膚上の切り口CS1と、図5に示す比較刃縁901aにより形成される皮膚上の切り口CS2と、を比較する図である。より具体的に、図6では、第1刃縁9a(図5参照)が中心平面X(図5参照)に対して対称に形成されている場合に形成される切り口CS1を示している。また、図6では、比較刃縁901a(図5参照)が中心平面Xに対して対称に形成されている場合に形成される切り口CS2を示している。上述したように、第1刃縁9aが比較刃縁901aよりも長いため、図6に示すように、穿刺の際に第1刃縁9aにより形成される切り口CS1の長さを、比較刃縁901aにより形成される切り口CS2の長さよりも、長くすることができる。つまり、穿刺の際に第1刃縁9aにより形成される切り口CS1を、比較刃縁901aにより形成される切り口CS2よりも、大きくすることができる。これにより、切り口が本体部2の断面形状に近づくため、穿刺時に、第1刃面部5(図1等参照)の内縁13(図2(a)等参照)の中心軸線方向Aの基端であるアゴ部15(図2(a)参照)、及び、本体部2の外周面、が通過する際の刺通抵抗を低減することができる。また、穿刺針1を例えば留置針の内針として使用する場合、留置針の外針としてのカテーテルとの間の段差による刺通抵抗についても、低減することができる。
【0058】
更に、第1刃縁9aによれば、比較刃縁900a及び901aと比較して、中心軸線方向Aにおける基端側で、本体部2の外周面とより滑らかに連続させることができる。すなわち、図2(a)に示すように、第1刃縁9a及び基端側外縁部17を、終端点Pにおいて角部が形成されないように、滑らかに連続させることができる。
【0059】
第2刃面部6と第3刃面部7とは、上述したように、中心平面Xに対して対称な形状を有している。したがって、第3刃面部7についても、第2刃面部6と同様、上述の作用効果を有している。しかしながら、第2刃面部6のみを、少なくとも第1平面21及び第2平面22を含む構成とし、第3刃面部7を、複数の平面を含まない構成としてもよい。但し、本実施形態のように、第2刃面部6及び第3刃面部7の両方を、第1平面21及び第2平面22を備える構成とすれば、第2刃面部6のみを、第1平面21及び第2平面22を備える構成とする場合と比較して、第1刃縁9a及び第2刃縁9bとの長さの総和、すなわち、第1刃面部5の外縁14上において終端点Pから針先8通って終端点Qに至る長さを、より長く確保することができる。第1刃縁9a及び第2刃縁9bの長さの詳細については後述する(図4A図4B参照)。
【0060】
本実施形態における穿刺針1の材料としては、ステンレス鋼、アルミニウムまたはアルミニウム合金、チタンまたはチタン合金等の金属材料を使用することができる。
【0061】
以下、本実施形態の本体部2の各構成及び特徴部について詳しく説明する。
【0062】
本実施形態の本体部2は、中心軸線方向Aにおいて、内周面の内径及び外周面の外径が一様な管体であり、中心軸線方向Aにおける先端部3とは反対側の端部である基端部は、針基等を介して例えばシリンジや輸液ラインのコネクタなどの医療用器具に接続される。
【0063】
本実施形態では、筒状の本体部2の内周面が中空部10を区画し、内周面の内径及び外周面の外径が中心軸線方向Aにおいて一様な構成であるが、この構成に限られない。例えば、本体部2の内周面の内径及び外周面の外径が、中心軸線方向Aにおいて、基端側から針先8側に向かって漸減する構成としてもよい。また、例えば、本体部2の外径を、中心軸線方向Aにおいて基端側から針先8側に向かうにつれて漸減するテーパー形状とし、本体部2の内径を、中心軸線方向Aにおいて一様な構成とすることもできる。更に、中心軸線方向Aにおける一部の領域に、中心軸線方向Aにおいて針先8側に向かうにつれて内径が漸減する、又は漸増する部位を設けるなど、本体部2の内径及び外径は、穿刺針1の用途等に応じて、各種構成を採用することが可能である。
【0064】
図1(b)、図2(b)に示すように、第1刃面部5は、中心軸線方向Aに対して傾斜する平面であり、中心軸線方向Aにおいて、第1刃面部5の一端は針先8であり、他端は本体部2の外周面と連続している。第1刃面部5の中心軸線方向Aに対する傾斜角度は、中心軸線方向Aに平行な断面において、中心軸線方向Aに対する本体部2の外周面の傾斜角度よりも大きい。本実施形態では、穿刺針1の本体部2の外径が中心軸線方向Aにおいて一様な構成であり、中心軸線方向Aに平行な断面視では、本体部2の外周面は中心軸線方向Aに延在している。従って、第1刃面部5が、中心軸線方向Aに対して傾斜していれば、第1刃面部5の傾斜角度は、本体部2の外周面の傾斜角度よりも大きくなる。但し、穿刺針1の本体部2を、その外径が中心軸線方向Aにおいて針先8側に向かうにつれて漸減又は漸増する構成とする場合には、第1刃面部5は、第1刃面部5と直交する断面において、中心軸線方向Aに対して傾斜するのみならず、本体部2の外周面に対しても傾斜するように構成する。
【0065】
ここで、図2(a)に示すように、第1刃面部5の外縁14は、第1刃縁9aと、第2刃縁9bと、第1刃縁9aの終端点P及び第2刃縁9bの終端点Qを繋ぐ凸型曲線形状の基端側外縁部17と、で構成されている。
【0066】
第1刃縁9a及び第2刃縁9bそれぞれは、複数の直線が連続することで形成されている。第1刃縁9aと基端側外縁部17とは、終端点Pの位置で、角となる頂点が小さくなるように、滑らかに連続している。また、第2刃縁9bと基端側外縁部17とは、終端点Qの位置で、角となる頂点が小さくなるように、滑らかに連続している。このように、終端点P及び終端点Qの位置で形成される頂点を小さくすれば、終端点P及び終端点Qの位置が皮膚を通過する際に刺通抵抗が大きくなることを抑制することができる。
【0067】
第3刃縁9cは、上述したように、第2刃面部6及び第3刃面部7が交差する稜線により形成される。第3刃縁9cは、上述したように、穿刺針1を人体へ穿刺する際に皮膚を切り裂く切れ刃として働くため、穿刺時の針先8近傍での刺通抵抗を低減することができる。
【0068】
次に、第1刃縁9a及び第2刃縁9bの詳細について説明する。
【0069】
上述したように、第2刃面部6の第2平面22は、先端視(図4A参照)において、第2刃面部6の第1平面21より針先8から遠い位置にあり、直交断面における中心平面Xに対する第2平面22の角度θ2(図3B参照)は、直交断面における中心平面Xに対する第1平面21の角度θ1(図3B参照)よりも小さい。このような構成とすれば、第2刃面部を1つの平面のみで構成する場合と比較して、第1刃縁9aの長さをより長く確保し易くなる。換言すれば、第2刃面部6をこのような複数の平面を含む構成とすれば、図4Aに示すように、刃面4を針先8側から見た先端視で、中心軸線Oを中心とした針先8から終端点Pまでの中心角度β1で表される第1刃縁9aの周方向延在範囲を大きくすることができる。この第1刃縁9aの周方向延在範囲としては、例えば、中心角度β1が50度以上とすることが可能であり、70度以上とすることも可能である。
【0070】
このように、第2刃面部6を上述した複数の平面を含む構成にすることにより、第1刃縁9aをより長く確保することが可能となるため、穿刺針1の穿刺時に第1刃縁9aにより皮膚を切り裂くことが可能な切り幅W1(図4A参照)を大きくすることができる。つまり、上述した第1平面21及び第2平面22を含む第2刃面部6は、1つの平面のみで構成された第2刃面部と比較して、第1刃縁9aによる切り幅W1を大きくすることができる。したがって、第1刃縁9aが皮膚を通過した後に、穿刺針1の本体部2の外周面や、穿刺針1を内針として穿刺針1の周囲に装着され、穿刺針1と共に穿刺される外針としてのカテーテルの外周面により、皮膚の切り口が強引に押し広げられる押し広げ量を抑制することができる。そのため、穿刺時に患者が感じる痛みを軽減することが可能となる。また、切り幅W1を大きくすることができれば、穿刺針1を例えば留置針の内針として用いる場合に、穿刺針1を覆う外針としてのカテーテルが皮膚及び血管に入り易く、また、穿刺時にカテーテルが捲れることを抑制することができる。
【0071】
第3刃面部7についても、上述した第2刃面部6と同様である。したがって、第3刃面部7を、第2刃面部6と同様、複数の平面を含む構成とすれば、図4Aに示すように、刃面4を針先8側から見た先端視で、中心軸線Oを中心とした針先8から終端点Qまでの中心角度β2で表される第2刃縁9bの周方向延在範囲を大きくすることができる。この第2刃縁9bの周方向延在範囲としては、例えば、中心角度β2が50度以上とすることが可能であり、70度以上とすることも可能である。
【0072】
このように、第3刃面部7を上述した複数の平面を含む構成にすることにより、第2刃縁9bをより長く確保することが可能となるため、穿刺針1の穿刺時に第2刃縁9bにより皮膚を切り裂くことが可能な切り幅W2(図4A参照)を大きくすることができる。つまり、上述した曲面で構成された第3刃面部7は、1つの平面のみで構成された第3刃面部と比較して、第2刃縁9bによる切り幅W2を大きくすることができる。したがって、第2刃縁9bが皮膚を通過した後に、穿刺針1の本体部2の外周面や、穿刺針1を内針として穿刺針1の周囲に装着され、穿刺針1と共に穿刺される外針の外面により、皮膚の切り口が強引に押し広げられる押し広げ量を抑制することができる。そのため、穿刺時に患者が感じる痛みを軽減することが可能となる。また、切り幅W2を大きくすることができれば、穿刺針1を例えば留置針の内針として用いる場合に、穿刺針1を覆う外針としてのカテーテルが皮膚及び血管に入り易く、また、穿刺時にカテーテルが捲れることを抑制することができる。
【0073】
そして、本実施形態のように、第2刃面部6及び第3刃面部7をいずれも上述した複数の平面を含む構成とすれば、第1刃縁9aによる切り幅W1と第2刃縁9bによる切り幅W2の総和を、第2刃面部6のみを複数の平面を含む構成とする場合よりも、更に大きくすることができるため好ましい。
【0074】
また、図4Aに示すように、本実施形態の第1刃縁9aは、第1刃縁部31、第2刃縁部32、及び、複数の第3刃縁部33を備える。
【0075】
第1刃縁部31は、第1刃面部5、及び、第2刃面部6の第1平面21、が交差する稜線により形成されている。そして、本実施形態の第1刃縁部31は、針先8まで延在している。また、第2刃縁部32は、第1刃面部5、及び、第2刃面部6の第2平面22、が交差する稜線により形成されている。そして、本実施形態の第2刃縁部32は、先端視(図4A参照)において、本体部2の外周面に連続している。つまり、本実施形態の第1刃縁部31は、先端視(図4A参照)において針先8から本体部2の外周面まで延在する第1刃縁9aのうち、針先8に連続する一端部を形成している。また、本実施形態の第2刃縁部32は、先端視(図4A参照)において針先8から本体部2の外周面まで延在する第1刃縁9aのうち、本体部2の外周面に連続する他端部を形成している。換言すれば、図4Aに示すように、本実施形態の第1平面21は、第2刃面部6において、本体部2の周方向Bで針先8に最も近い位置に形成されている。また、本実施形態の第2平面22は、第2刃面部6において、本体部2の周方向Bで針先8から最も遠い位置に形成されている。
【0076】
また、先端視(図4A参照)において、本実施形態の第1刃縁部31の長さは、第2刃縁部32の長さよりも長い。このように、針先8まで延在する第1刃縁部31の長さを、第2刃縁部32よりも長くすることにより、背面視(図5等参照)での第1刃縁9aの針先角度γ1を、より大きくし易い構成にすることができる。
【0077】
更に、本実施形態の第2刃面部6は、上述したように、第1平面21及び第2平面22の他に、3つの第3平面23を備えている。本実施形態の3つの第3平面23は、直交断面における中心平面Xに対する角度θ(図3B等参照)が第1平面21及び第2平面22と異なり、先端視(図4A参照)において第1平面21と第2平面22との間に位置している。本実施形態の第2刃面部6は、3つの第3平面23を備えるが、第3平面23の数は複数に限らず、1つであってもよい。
【0078】
そして、先端視(図4A参照)において、本実施形態の第1刃縁部31の長さは、第2刃縁部32の長さよりも長いことに加えて、任意の1つの第3平面23の長さよりも長い。更に、先端視(図4A参照)において、本実施形態の第1刃縁部31の長さは、複数(本実施形態では3つ)の第3平面23の長さを足し合わせた全長よりも長い。このようにすることで、背面視(図5等参照)での第1刃縁9aの針先角度γ1を、より一層大きくし易い。そのため、針先8近傍の細い位置で、より大きな切れ幅を形成でき、穿刺時に患者が感じる痛みを、より一層低減することができる。
【0079】
特に、第1刃縁部31の長さは、第1刃縁9aの全長の1/4以上とすることが好ましく、1/3以上とすることが特に好ましい。
【0080】
第3刃縁部33は、先端視(図4A参照)において第1刃縁部31と第2刃縁部32との間の位置に、第1刃面部5、及び、第2刃面部6の第3平面23、が交差する稜線により形成されている。具体的に、本実施形態の第1刃縁9aは、3つの第3刃縁部33を備える。3つの第3刃縁部33の1つは、第1刃面部5と、第2刃面部6の3つの第3平面23のうち周方向Bにおいて針先8に最も近い第3平面23aと、が交差する稜線により形成される針先側刃縁部33aである。また、3つの第3刃縁部33の別の1つは、第1刃面部5と、第2刃面部6の3つの第3平面23のうち周方向Bにおいて針先8から最も遠い第3平面23cと、が交差する稜線により形成される外周側刃縁部33cである。更に、3つの第3刃縁部33の残りの1つは、第1刃面部5と、第2刃面部6の3つの第3平面23のうち周方向Bにおいて2つの第3平面23a及び23cの間に位置する第3平面23bと、が交差する稜線により形成される中間刃縁部33bである。
【0081】
図4Bは、図4Aにおける一点鎖線で囲まれた部分を拡大した図である。図4Bに示すように、本実施形態では、第1刃縁部31、第2刃縁部32、及び、複数の第3刃縁部33、の各刃縁部は、先端視(図4A参照)において、針先8から遠い位置にあるほど、中心平面Xに対する角度αが小さい。より具体的には、図4Bに示すように、α1>α3a>α3b>α3c>α2の関係になっている。「α1」は、第1刃縁部31の角度である。「α3a」は、第3刃縁部33の針先側刃縁部33aの角度である。「α3b」は、第3刃縁部33の中間刃縁部33bの角度である。「α3c」は、第3刃縁部33の外周側刃縁部33cの角度である。「α2」は、第2刃縁部32の角度である。つまり、先端視(図4A図4B参照)において、第1刃縁9aを構成する各刃縁部の中心平面Xに対する角度αは、針先8から遠ざかるにつれて漸減する。このような構成とすれば、第1刃縁9aの長さを、比較刃縁900a(図5参照)よりも長くすることができる。また、刃縁9aの形状が滑らかとなり、刺通抵抗を低減することができる。
【0082】
また、図2(c)に示すように、第2平面22と第3平面23とが交差する稜線により形成された尾根部41、より具体的に、第2平面22と第3平面23cとが交差する稜線により形成された尾根部41は、中心軸線Oに沿って延在している。このように、尾根部41の延在方向を中心軸線Oに沿う方向にすることで、尾根部が中心軸線Oに直交して延在する構成と比較して、尾根部41がジャンクションとなって刺通抵抗を増大させることを抑制することができる。「中心軸線Oに沿う」とは、中心軸線Oに平行であることに限らず、中心軸線Oに対して所定角度以下(例えば30度以下)で傾斜する構成も含み意味である。本実施形態の尾根部41は、中心軸線Oに対して5度~15度の角度で傾斜した状態で、中心軸線Oに沿って延在している。
【0083】
更に、図2(c)に示すように、第1平面21と第3平面23とが交差する稜線により形成された尾根部42、より具体的に、第1平面21と第3平面23aとが交差する稜線により形成された尾根部42は、中心軸線Oに沿って延在している。このように、尾根部42の延在方向を中心軸線Oに沿う方向にすることで、尾根部が中心軸線Oに直交して延在する構成と比較して、尾根部42がジャンクションとなって刺通抵抗を増大させることを抑制することができる。本実施形態の尾根部42は、中心軸線Oに対して5度~15度の角度で傾斜した状態で、中心軸線Oに沿って延在している。
【0084】
また更に、複数の第3平面23同士が交差する稜線により形成される別の尾根部43及び44についても、中心軸線Oに沿って延在している。このようにすることで、尾根部43及び44がジャンクションとなって刺通抵抗を増大させることを抑制することができる。本実施形態の尾根部43及び44は、中心軸線Oに対して5度~15度の角度で傾斜した状態で、中心軸線Oに沿って延在している。
【0085】
特に、図2(c)に示すように、本実施形態の尾根部41、42、43及び44は、背面視において、中心軸線方向Aにおいて基端側から針先8側に向かうにつれて、中心軸線Oに近づくように、5度~15度の角度で傾斜している。このように、尾根部41、42、43及び44を、中心軸線方向Aにおいて基端側から針先8側に向かうにつれて中心軸線Oに近づくように、中心軸線Oに沿って延在させることで、尾根部41、42、43及び44が穿刺時に刺通抵抗になることを、より一層抑制することができる。
【0086】
また、図2(c)に示すように、尾根部41、42、43及び44は、周方向Bにおいて針先8から遠ざかる位置にあるほど、延在方向の長さが短い。
【0087】
上述した複数配置された尾根部について、背面視(図2(c)参照)中心軸線Oからより遠い位置にある尾根部は、中心軸線Oにより近い尾根部よりも、中心軸線方向Aに対する角度が大きい。具体的には、背面視(図2(c)参照)において、尾根部41の中心軸線方向Aに対する角度は、尾根部42の中心軸線方向Aに対する角度よりも大きい。
【0088】
上述したように、本実施形態の第3刃面部7は、中心平面Xに対して第2刃面部6と対称の形状を有しており、第2刃面部6と同様の作用効果を有するため、ここでは説明を省略する。
【0089】
本実施形態において、図5に示されるように、第2刃面部6における第1平面21の面積は、第2平面22の面積よりも大きい。また、第2刃面部6における第1平面21、第2平面22及び第3平面23の面積の和は、1つの平面のみで構成されている比較例としての第2刃面部601(図5参照)の面積よりも大きい。これらにより、皮膚から刺入して生体組織を通過する際の穿刺針1の直進性を良好に保つことができる。
【0090】
また、第1刃縁9aは、先端視(図4A参照)において、第1刃縁9aの両端を結ぶ直線T1よりも本体部2の径方向の外側(図4Aの矢印「C」に示す方向)に張り出すように延在している。図4Aに示す先端視において第1刃縁9aの両端を結ぶ直線T1とは、針先8と、第1刃縁9aの終端点Pと、を通過する仮想直線を意味する。このような構成とすることにより、第1刃縁9aの長さを長く確保することができる。
【0091】
更に、第2刃縁9bは、先端視(図4A参照)において、第2刃縁9bの両端を結ぶ直線T2よりも本体部2の径方向の外側(図4Aの矢印「C」に示す方向)に張り出すように延在している。図4Aに示す先端視において第2刃縁9bの両端を結ぶ直線T2とは、針先8と、第2刃縁9bの終端点Qと、を通過する仮想直線を意味する。このような構成とすることにより、第2刃縁9bの長さを長く確保することができる。
【0092】
上述したように、第1刃縁9aは、第1刃面部5(図1等参照)、及び、直交断面(図3A図3F参照)での中心平面Xに対する角度が互いに異なる複数の平面(本実施形態では第1平面21、第2平面22、3つの第3平面23)の1つである第1平面21、が交差する稜線により形成される、針先8まで延在する第1刃縁部31を備えている。図4Bに示すように、第1刃縁部31は、刃面4(図1等参照)を中心軸線方向Aに沿って針先8側から見た先端視において、針先8から、第1刃縁9aの両端を結ぶ直線T1よりも本体部2の径方向の外側(図4Bの矢印「C」に示す方向)に位置する終端点S1まで、延在している。このようにすることで、第1刃縁9aの長さを長く確保することができる。第2刃縁9bについても同様の構成を有している。つまり、第2刃縁9bの第1刃縁部31についても、刃面4(図1等参照)を中心軸線方向Aに沿って針先8側から見た先端視において、針先8から、第2刃縁9bの両端を結ぶ直線T2よりも本体部2の径方向の外側に位置する終端点S2まで、延在している。
【0093】
本開示に係る穿刺針は、様々な具体的構成により実現することが可能であり、上述した構成に限られず、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない限り、種々の変形・変更が可能である。例えば、図1に示す穿刺針1の本体部2は、任意の横断面が略円形状の断面外形を有するものであるが、この構成に限られず、例えば、任意の横断面が略楕円形状の断面外形を有する本体部としてもよく、任意の横断面が略円形状及び略楕円形状のいずれかの断面外形を有する本体部としてもよい。更に、断面外形が略円形状又は略楕円形状となる部分を一部に有する本体部であってもよい。また更に、円形状以外の形状としては、長軸及び短軸が規定させるオーバル状の断面外形を有するものであればよく、上述した楕円形状に限られず、例えば長方形の短辺両端に半円形を合わせた角丸長方形であってもよい。
【0094】
図7は、穿刺針101の刃面104を針先108側から見た先端視を示す図である。図7に示すように、先端視で、楕円形状の外周面を有する先端部103を備える本体部102としてもよい。図7に示す本体部102は、上述した本体部2(図1等参照)と比較して、先端部103の位置での外周面の形状が相違している。また、図7に示す本体部102は、上述した本体部2(図1等参照)と比較して、第2刃面部106及び第3刃面部107における平面の数が相違している。図7に示す本体部102のその他の構成は、上述した本体部2と同様である。すなわち、図7に示す本体部102の先端部103には刃面104が形成されており、この刃面104は、第1刃面部5、第2刃面部106及び第3刃面部107を備えている。図7に示す第2刃面部106は、第1平面21、第2平面22及び1つのみの第3平面23により構成されている。図7に示す第3刃面部107は、中心平面Xに対して、第2刃面部106と対称な形状を有している。
【0095】
このように、本体部の外周面の形状、及び、第2刃面部及び第3刃面部の平面の数は、特に限定されず、適宜設計することができる。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本開示は医療用の穿刺針に関する。
【符号の説明】
【0097】
1、101:穿刺針
2、102:本体部
3、103:先端部
4、104:刃面
5:第1刃面部
6、106:第2刃面部
7、107:第3刃面部
8、108:針先
9a:第1刃縁
9b:第2刃縁
9c:第3刃縁
10:中空部
11:開口
13:第1刃面部の内縁
14:第1刃面部の外縁
15:アゴ部
17:第1刃面部の外縁の基端側外縁部
21:第1平面
22:第2平面
23、23a、23b、23c:第3平面
31:第1刃縁部
32:第2刃縁部
33:第3刃縁部
33a:針先側刃縁部
33b:中間刃縁部
33c:外周側刃縁部
41、42、43、44:尾根部
600、601:比較例としての第2刃面部
900a、901a:比較刃縁
A:本体部の中心軸線方向
B:本体部の周方向
C:本体部の径方向の外側
CS1、CS2:皮膚上の切り口
L:中心平面からの距離
O:本体部の中心軸線
P:第1刃縁の終端点
P´;比較刃縁の終端点
Q:第2刃縁の終端点
S1、S2:第1刃縁部の終端点
T1、T2:先端視において刃縁の両端を結ぶ直線
W1、W2:切り幅
X:中心平面(針先を通り中心軸線を含む仮想平面)
θ、δ:中心軸線に直交する直交断面における中心平面に対する角度
α:先端視における中心平面に対する刃縁部の角度
β1、β2:先端視で中心軸線を中心とした針先から刃縁の終端点までの中心角度
γ1、γ2、γ3:背面視での刃縁の針先角度
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図4A
図4B
図5
図6
図7