(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-03
(45)【発行日】2022-03-11
(54)【発明の名称】5-アミノ-2,3-ジヒドロフタラジン-1,4-ジオンの結晶形の製造方法
(51)【国際特許分類】
C07D 237/32 20060101AFI20220304BHJP
A61K 31/502 20060101ALI20220304BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20220304BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20220304BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20220304BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20220304BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220304BHJP
【FI】
C07D237/32
A61K31/502
A61P11/00
A61P17/00
A61P29/00
A61P37/02
A61P43/00 121
(21)【出願番号】P 2018542755
(86)(22)【出願日】2017-02-15
(86)【国際出願番号】 EP2017000227
(87)【国際公開番号】W WO2017140430
(87)【国際公開日】2017-08-24
【審査請求日】2020-02-14
(32)【優先日】2016-02-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】512205898
【氏名又は名称】メトリオファーム アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100116850
【氏名又は名称】廣瀬 隆行
(72)【発明者】
【氏名】マーティン トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ブロイ ヨセフ
(72)【発明者】
【氏名】フリンスナー ジュリアン
(72)【発明者】
【氏名】ブリシュ ヴォルフガング
(72)【発明者】
【氏名】フォン・ウェーゲーナー ヨーグ
【審査官】二星 陽帥
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/123776(WO,A2)
【文献】特表2013-521239(JP,A)
【文献】特開平07-188022(JP,A)
【文献】STOTT, R. A. W. et al.,Purification of luminol for use in enhanced chemluminescence immunoassay,Bioluminescence and Chemiluminescence,1987年,pp. 237-240
【文献】高田則幸,創薬段階における原薬Formスクリーニングと選択,PHARM STAGE,Vol.6, No.10,2007年01月15日,p.20-25
【文献】平山令明編,有機化合物結晶作製ハンドブック -原理とノウハウ-,丸善株式会社,2008年07月25日,p.57-84
【文献】緒方章,化学実験操作法 上巻,株式会社南江堂,1963年11月20日
【文献】NEUMANN, H. et al.,A New Efficient Synthesis of Substituted Luminols Using Multicomponent Reactions,Zeitschrift fur Naturforschung B,2004年,Vol. 59,pp. 431-438
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 237/32
A61K 31/502
A61P 11/00 - 43/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程:
a)脱塩水中Na-ルミノール酸塩の撹拌された溶液を提供する工程;
b)塩酸(10~38%)を5~50℃の温度範囲で1秒~60分かけて前記溶液に加える工程;
c)沈殿物を濾過する工程;
d)前記沈殿物を脱塩水で少なくとも1回洗浄する工程;および
e)前記沈殿物を室温で6~48時間乾燥させる工程;を含む、
5-アミノ-2,3-ジヒドロフタラジン-1,4-ジオンの
結晶形の製造方法であって、
前記5-アミノ-2,3-ジヒドロフタラジン-1,4-ジオンの結晶形が
粉末X線回折によって決定された以下の結晶学値:
d値:11.8;9.8;9.2;8.7;8.1;7.0;6.8;6.6;3.4;3.3;3.3および/または
2θ値:7.5;9.0;9.6;10.2;10.9;12.6;13.1;13.4;25.9;26.7;27.2
を有することを特徴とする、
方法。
【請求項2】
請求項1に記載の5-アミノ-2,3-ジヒドロフタラジン-1,4-ジオンの
結晶形の製造方法であって、
以下の工程:
a)脱塩水中Na-ルミノール酸塩の撹拌された溶液を提供する工程;
b)17%塩酸を室温で30分かけて前記溶液に加える工程;
c)沈殿物を濾過する工程;
d)前記沈殿物を脱塩水で3回洗浄する工程;および
e)前記沈殿物を室温で12時間乾燥させる工程;を含む、
方法。
【請求項3】
5-アミノ-2,3-ジヒドロフタラジン-1,4-ジオンの
結晶形の製造方法であって、
以下の工程:
a)脱塩水中Na-ルミノール酸塩の撹拌された溶液を提供する工程;
b)塩酸(10~38%)を5~50℃の温度範囲で1秒~60分かけて前記溶液に加える工程;
c)沈殿物を濾過する工程;
d)前記沈殿物を脱塩水で少なくとも1回洗浄する工程;および
e)25~200℃/1100~5mbarの真空乾燥機において、
既に凍結された結晶化生成物中の残留溶媒含量が0.1mbarでの昇華によって除去される凍結乾燥機において、または
25~180℃/1050~1mbarでのロータリーエバポレーターにおいて、
一定の質量が得られるまで前記沈殿物を乾燥させる工程を
含み、
前記5-アミノ-2,3-ジヒドロフタラジン-1,4-ジオンの結晶形が
粉末X線回折によって決定された以下の結晶学値:
d値:11.8;9.8;9.2;8.7;8.1;7.0;6.8;6.6;3.4;3.3;3.3および/または
2θ値:7.5;9.0;9.6;10.2;10.9;12.6;13.1;13.4;25.9;26.7;27.2
を有することを特徴とする、
方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
数十年来、5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオン(ルミノール)が犯行現場の捜査員によって使用され、誰かが血液の痕跡を清掃または除去したとしても、それが検出されている(Barni et al.,Talanta 2007,72,896-913を参照されたい)。ヘモグロビン中の鉄によって触媒される酸化による強い発光は、ルミノールを感受性センサーにする。その法医学的使用の他に、ルミノールの合成に関する最初の報告が出て以来、環境から医療までの数多くの他の用途が確立されている(A.J.Schmitz,Uber das Hydrazid der Trimesinsaure und der Hemimellithsaure,Heidelberg,1902)。例えば、ルミノールは、重金属検出または生物分析化学におけるバイオセンシングに使用される(Klopf and Nieman,Anal.Chem.1983,55,1080-1083を参照されたい)。
【化1】
【0002】
ルミノールのアルカリ塩は、構造的に特徴付けられており(Guzei et al.,J.Coord.Chem.2013,66,3722-3739)、ルミノールのナトリウム塩は、最近になって、その医薬品活性のために再び注目されている。Na-ルミノール酸塩は、炎症性疾患および自己免疫疾患の免疫調節治療において大きな可能性を示している。さらに、Na-ルミノール酸塩は、これまでに特徴付けられた3つの結晶構造を含む豊富な多型を示す(国際公開第2011/107295号;PCT/EP第2015/002555号を参照されたい)。
【0003】
しかし、市販のルミノール粉末は、PXRD(粉末X線回折)パターンにおいてかなり広く非常に重なり合った反射を有する範囲によって示される、平均的な結晶化度に悩まされる(実施例1および
図1を参照されたい)。これは、法医学的用途および/または水性ルミノール溶液のように、ルミノールのいくつかの標準的使用については問題ではないが、ルミノールの純粋な結晶形を使用することが非常に望ましい多数の用途がある。多くの医薬品用途において、中性ルミノールは生理学的pHで水溶液に難溶性であり(穏やかなアルカリ環境、pH8~11が良好)、その際に長期安定性の問題が提示されるので、ルミノールのナトリウム塩を使用することが望ましい。しかし、親油性分子が好ましいいくつかの医薬品用途および剤形がある。したがって、例としては、局所剤形、吸入投与のためのエアロゾルおよび長期放出のための遅延剤形である。これらの目的のためには、活性薬剤の純度、生産方法の再現性および長期安定性を証明することが非常に好ましく、GMP標準および医療監督当局によって要求されることさえある。様々な非水性生物分析法においても、中性ルミノールを使用することができる。それらの信頼性および再現性は、明確に定義された安定なルミノール分子にも依存する。このことはルミノールの純粋な結晶形により達成される。
【0004】
ルミノールの結晶形はParadies(Ber.Bunsen-Ges.Phys.Chem 1992,96,1027-1031)によって記載されている。しかし、このルミノールの結晶形の使用は、Paradiesによって記載された結晶形の煩雑で退屈でコストのかかる製造方法によって著しく妨げられている。彼は制御された昇華によってのみこの結晶形を得た。結晶は、20℃に保たれたクーリング・フィンガー(cooling finger)上の密閉環境において、180℃および5トルの真空圧力で成長させた。当技術分野では、この方法で有機分子化合物の結晶を成長させるには数週間必要であることが知られている(J.Bernstein,Polymorphism in Molecular Crystals,Oxford,2002,Chapter 3.5.1.,p.78を参照されたい)。Paradies(1992)およびPawelski(Master thesis,Markische Fachhochschule,Germany,1989)によれば、当技術分野で公知の他の結晶化方法は、相純粋なルミノール結晶を成長させることに明らかに失敗していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2011/107295号
【文献】PCT/EP第2015/002555号
【非特許文献】
【0006】
【文献】Barni et al.,Talanta 2007,72,896-913
【文献】A.J.Schmitz,Uber das Hydrazid der Trimesinsaure und der Hemimellithsaure,Heidelberg,1902
【文献】Klopf and Nieman,Anal.Chem.1983,55,1080-1083
【文献】Guzei et al.,J.Coord.Chem.2013,66,3722-3739
【文献】Paradies,Ber.Bunsen-Ges.Phys.Chem 1992,96,1027-1031
【文献】J.Bernstein,Polymorphism in Molecular Crystals,Oxford,2002,Chapter 3.5.1.,p.78
【文献】Pawelski,Master thesis,Markische Fachhochschule,Germany,1989
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、代替のルミノールの結晶形および/または技術装置の範囲がより小さく、好ましくはかなり短時間で、このルミノールの結晶形を製造する方法を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
驚くべきことに、さらなるルミノールの結晶形が見出された。この新規な結晶形の構造は、結晶の特徴付けのための標準的な分析方法であるPXRD(粉末X線回折)分析によって決定された。このパターンから特徴的なDまたは2θ値を導き出すことができる。「D」は面間隔を示し、「2θ」は2θ角を度で示している。面間隔D(また:d)は、結晶内の2つの連続する平行な格子面間の垂直距離を表す。ブラッグ角θ(θ)は、入射したX線(波長:λ)が結晶の格子面で反射してX線回折パターンを生成する特徴的な角度を示す。両方のパラメータは、ブラッグの法則によって関連づけられている:
【0009】
nλ=2d sin(θ)
【0010】
Dとθの特有の値により、結晶は必然的かつ十分に特徴付けられる。
Paradiesの公表から計算された、ルミノールの結晶形のDおよび2θ値を表1に示す。他のピークの相対強度を計算するために、最大振幅を有するピークを100%とした。
【0011】
表1:D値、2θ値および相対強度l/lo
【表1】
【0012】
最新技術によるこのルミノールの結晶形は、本出願を通して形態Iと名付けられている。
【0013】
表2は、本発明による新規なルミノールの結晶形について見出されたPXRD値を示す。
【0014】
表2:D値、2θ値および相対強度l/lo
【表2】
【0015】
本発明によるこの新規なルミノールの結晶形は、本出願を通して形態IIと名付けられている。
【0016】
形態IIのリートベルト法の後に得られたPXRD図を
図2に示す。表1および表2に示されたD値、2θ値および相対強度の比較は、見出された結晶学的値に関して形態IIが形態Iと有意に異なることを明らかに示している。これは、形態IIがルミノールの新規な多形であることを証明する。
【0017】
市販のルミノールと比較して顕著に改善された構造および相純度の分解能が、鋭く明確に解像された反射ピークから理解できる。
【0018】
図3A+Bは、Paradiesによって公表された形態I(A)および新規な形態II(B)のそれぞれのPXRD値について計算された分子充填の比較を示す。
図4では、隣接する層における三量体のシフトした積層がそれぞれ示されている。見てわかるように、異なる積層が認められる。また、これらのモデルは、両方の結晶形の構造的差異を裏付けている。
【0019】
したがって、ルミノールは、少なくとも2つの結晶形の多形を示す。
【0020】
新規な形態IIは、以下の工程:
a)脱塩水中Na-ルミノール酸塩の撹拌された溶液を提供する工程;
b)塩酸(10~38%)を5~50℃の温度範囲で1秒~60分かけて前記溶液に加える工程;
c)沈殿物を濾過する工程;
d)この沈殿物を脱塩水で少なくとも1回洗浄する工程;および
e)この沈殿物を室温で6~48時間乾燥させる工程;
を含む驚くほど単純な方法(実施例2)によって製造することができる。室温とは、20±5℃の温度範囲を指す。
【0021】
この方法は、形態IIの相純粋なルミノール結晶、すなわち高度の結晶化度を生じる。
【0022】
したがって、本特許出願の課題は、ルミノールの新規な結晶形IIを提供すること、およびルミノールの新規な結晶形IIを製造する方法によって解決される。
【0023】
本発明の方法(それぞれ、工程a)~d))は、5~50℃、好ましくは10~30℃の温度範囲、最も好ましくは22℃において実施することができる。
【0024】
工程b)において添加される塩酸の濃度は、10~38%、好ましくは15~25%の範囲、最も好ましくは17%であり得る。
【0025】
工程b)における塩酸の添加時間範囲は、1秒~60分、好ましくは10分~40分、最も好ましくは30分である。
【0026】
本発明の方法の工程d)によれば、沈殿物は少なくとも1回は洗浄されなければならない。好ましくは沈殿物を少なくとも2回、最も好ましくは少なくとも3回洗浄することが好ましい。
【0027】
本発明の方法の乾燥工程e)の時間範囲は6~48時間、好ましくは10~24時間、最も好ましくは12時間である。
【0028】
好ましい実施形態では、新規結晶形態IIルミノールは、0.4%以下の結晶含水量を有する。これは、多形の相純度に相当する。
【0029】
好ましい実施形態では、本発明による方法は、以下のパラメータで実施される:
-工程a)~e)を室温で行う。
-工程b)において17%塩酸を使用する、
-工程b)において塩酸を30分かけて添加する。
-工程c)において沈殿物を3回洗浄する、
-沈殿物を12時間かけて乾燥する。
【0030】
代替の実施形態では、乾燥工程e)は、25~200℃/1100~5mbarの真空乾燥機において、既に凍結された結晶化生成物中の残留溶媒含量が0.1mbarでの昇華によって除去される凍結乾燥機において、または25~180℃/1050~1mbarでのロータリーエバポレーターにおいて、一定の質量が得られるまで工程d)からの洗浄された沈殿物を乾燥させる工程に変更される。
【0031】
したがって、5-アミノ-2,3-ジヒドロフタラジン-1,4-ジオンの新規な結晶形態IIは、最新技術に記載のように、形態I対して多くの利点を提供する:
・必要な技術装置の複雑さがはるかに少ない
・したがって、本発明の方法による製造コストが著しく低い、
・より簡単な方法による再現性が向上する(失敗の可能性が低い)
・結晶形を得るために必要な時間が大幅に短縮される。
【0032】
ルミノールの分析用途は、生物科学または物質科学のいずれかにおいて広範囲に存在する。ほとんどの場合、酸化によるルミノールの化学発光は、検出ツールとして用いられ、場合によってはその蛍光も用いられる。特に、少量の物質を検出しなければならない場合、超高感度検出法が必要である。このような超高感度法は、検出剤の厳密に規定された量および構造、ならびに信頼性が高く再現性のある製造方法を必要とする。したがって、特にこれらの方法では、市販の形態の代わりに、ルミノールの相純粋な結晶形を使用することが好ましい。Khanら(2015,Appl Biochem Biotechnol 173,pp.333-355)では、ルミノールを検出剤として使用する現在の分析方法の包括的な概要が示されている。それは、臨床検査、臨床研究、イムノアッセイ、腫瘍学、核酸アッセイ、レポーター遺伝子ベースのアッセイ、特定の細胞または分子の局在化のための細胞化学発光、タンパク質定量化、環境モニタリング、Hg2+およびCu2+の検出および定量、法医学、DNA検出、病院環境および医薬品分析における血液検出、例えばフローインジェクション、薬物追跡、および活性薬剤の薬物動態学におけるバイオセンサーとしての使用としてこのような分野に及ぶ。これらの全ての分野において、ルミノールの新規な結晶形態IIを使用することができる。
【0033】
したがって、本発明はまた、検出剤として使用するための前記ルミノールの新規な結晶形態IIの使用に関する。
【0034】
特に好ましい実施形態では、結晶形態IIルミノールは、非水性環境で検出方法に使用される。その際ルミノールは、その結晶形で直接使用することができる。
【0035】
例としては、ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)、キャピラリー電気泳動、高分子膜に固定された分子を有する試験システム、マイクロアレイベースのシステム、質量分析、電子顕微鏡、またはルミノールの陰極電気化学発光(ECL)(Haghighi et al.2015,Electrochimica Acta 154,259-265を参照されたい)である。
【0036】
さらに特に好ましい分析法としては、水または低級アルコール中で適度に強いアルカリ性プロトン性溶媒(pH8~11)においてDMSOを使用する検出アッセイでの使用が挙げられ、中性ルミノールはその中に容易に溶解することができる。
【0037】
さらに、特に好ましい実施形態では、本発明は、(Pax,International Association,Bloodstain Pattern Analysis.Newsletter 2205,pp.11-15で概説されている)法医学目的で使用するための前記結晶形態IIルミノールの使用にも関する。
【0038】
相純粋なルミノール結晶のための最も重要な応用分野の1つは医薬品用途である。一般に、医薬としての活性薬剤は、医薬として許容される剤形の形態で患者に投与される。したがって、本出願はまた、5-アミノ-2,3-ジヒドロフタラジン-1,4-ジオンの本発明の結晶形態IIおよび少なくとも1種の医薬として許容される賦形剤を含む医薬組成物を指す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
「医薬組成物」という用語は、本発明によれば、本発明による少なくとも1種の本発明の活性薬剤の薬学的に適切な用量および剤形、および少なくとも1種の適切な医薬として許容される賦形剤または担体物質、ならびに場合により少なくとも1種の最新技術において公知のさらなる医薬品を意味する。
【0040】
用語「賦形剤」は、この出願において、本発明によるルミノールの結晶形の他の、医薬組成物の各成分を記載するために使用される。適切な賦形剤の選択は、剤形および用量ならびに賦形剤自体による組成物の溶解性および安定性への影響などの様々な要因に依存する。
【0041】
「作用」という用語は、個々の薬剤の固有の具体的作用様式を表す。
【0042】
本発明による少なくとも1種の活性薬剤に関する「効果」および「治療効果」という用語は、少なくとも1種の活性薬剤が投与されている生物に必然的に起こる有益な結果を指す。
【0043】
適用に関して、「治療有効用量」は、本発明による少なくとも1種の活性薬剤の十分な用量が、このような治療を必要とする生物または患者に投与されることを意味する。
【0044】
本発明の少なくとも1種の医薬品と最先端技術の少なくとも1種の医薬品との「共投与」、「併用投与」または「同時投与」という用語は、同時、または互いに近い時点での前述の薬剤の投与、ならびに一貫した実験の中の異なる時間での前記薬剤の投与を含む。前記薬剤の投与の経時的順序は、これらの用語によって制限されない。当業者であれば、記載された投与を、彼の知識および経験から経時的または局所的順序に関して推測することは困難ではないと思われる。
【0045】
用語「生物」は、あらゆる動物、特に脊椎動物、特に霊長類、および最も好ましくはヒトを指す。適用の点で「患者」は、定義可能で診断可能な疾患に罹っているか、またはその素因を有し、予防または治療の目的で適切な活性薬剤が投与される生物である。
【0046】
この出願の意味において、「医学」または「医学の」という用語は人間医学を指し、獣医学も同様に指す。
【0047】
「予防」、「治療」および「療法」という用語は、本発明による少なくとも1種の適切な活性薬剤を、単独、または当技術分野で公知の少なくとも1種のさらなる医薬品と組み合わせて、特定の疾患の発症を予防するため、症状を抑制および軽減するため、または個々の疾患の治癒過程を開始させるために生物に投与することを含む。
【0048】
本発明による使用のための化合物の医薬製剤は、任意の適切な方法、例えば経口(頬側および舌下を含む)、直腸内、膣内、鼻内、吸入器、歯槽、局所的(頬側、舌下、結膜または経皮的を含む)、または非経口的(腹腔内、皮下、筋肉内、静脈内、動脈内または皮内を含む)により投与することができる。
【0049】
製剤は、活性薬剤を少なくとも1種の担体または賦形剤と組み合わせることによって、医薬分野で公知の任意の方法によって製造することができる。
【0050】
したがって、本出願はまた、ルミノールの結晶形態IIおよび少なくとも1種の医薬として許容される賦形剤を含有する医薬組成物を指し、前記少なくとも1種の医薬として許容される賦形剤は、担体、結合剤、滑沢剤、流動化剤、崩壊剤、着色剤、緩衝液、保存剤、可溶化剤、乳化剤、浸透増強剤、酸化防止剤、希釈剤、pH調節剤、加脂溶液(fatiquor)、溶媒、増稠剤(consistency enhancer)、ハイドロトープ剤(hydrotope)、甘味料、酸味料、増粘剤、香味物質、および芳香物質を含む群から選択される。
【0051】
適格な担体は、当技術分野において公知の全ての担体およびこれらの組合せである。固体剤形では、例えば、植物および動物脂肪、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、シリカ、タルカム、酸化亜鉛、または前記物質の混合物であり得る。液体剤形およびエマルジョンについては、適切な担体は、例えば、溶媒、可溶化剤、水、エタノール、イソプロパノール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチルグリコール、綿実油、落花生油、オリーブ油、ヒマシ油、ゴマ油、グリセロール脂肪酸エステル、ポリエチルグリコール、ソルビタンの脂肪酸エステルなどの乳化剤、または前述の物質の混合物である。本発明による懸濁液は、希釈剤(例えば水、エタノールまたはプロピレングリコール)、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンおよびポリオキシエチレンソルビタンエステル、微結晶性セルロース、ベントナイト、寒天、トラガカントなどの当技術分野で公知の担体を使用することができる。
【0052】
経口剤形に適した医薬製剤は、カプセル、錠剤、糖衣錠または丸剤などの個別単位;散剤または顆粒;ジュース、シロップ、ドロップ、茶、水性または非水性液体中の溶液または懸濁液;食用のフォームもしくはムース;またはローション中水中油または油中水として投与することができる。
【0053】
例えば、錠剤またはカプセルのような経口剤形では、活性薬剤は、エタノール、グリセリンまたは水のような経口の非毒性かつ医薬として許容される不活性担体と組み合わせることができる。粉末は、化合物を適切に小さな粒子サイズに粉砕し、同様の方法で粉砕された医薬品担体、例えばデンプンまたはマンニトールのような食用炭水化物と混合することによって製造される。フレーバー、保存剤、分散剤または着色剤もまた存在してよい。
【0054】
カプセルは、前記のように粉末混合物を製造し、それを成形ゼラチンカバーに充填することによって製造することができる。高度に分散したシリカ、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムまたはポリエチレングリコールのような流動化剤および滑沢剤を固体として粉末混合物に添加することができる。カプセル摂取後の薬物の利用可能性を改善するために、寒天、炭酸カルシウムまたは炭酸ナトリウムなどの崩壊剤または可溶化剤を同様に添加することができる。さらに、望ましいか、または必要であれば、適切な結合剤および/または着色剤を混合物に添加することができる。
【0055】
結合剤という用語は、粉末を結合するか、またはそれらを互いに接着し、顆粒形成によってそれらを凝集させる物質を指す。それらは製剤の「接着剤」として役立つ。結合剤は、提供される希釈剤または充填剤の凝集力を増加させる。
【0056】
適切な結合剤は、小麦、トウモロコシ、米またはジャガイモ由来のデンプン、ゼラチン、グルコース、スクロースまたはベータ-ラクトースなどの天然糖、コーン由来の甘味料、アカシア、トラガカントまたはアルギン酸アンモニウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルカルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ケイ酸アルミニウムマグネシウムなどの天然および合成ガム、ワックス等である。組成物中の結合剤のパーセンテージは、1~30重量%、好ましくは2~20重量%、より好ましくは3~10重量%、最も好ましくは3~6重量%の範囲であり得る。
【0057】
滑沢剤という用語は、錠剤、顆粒などのプレス成形型または出口ノズルからの放出を容易にするために、剤形に添加される物質を指す。それらは摩擦または磨耗を減少させる。滑沢剤は、顆粒の表面上、およびそれらとプレス金型の部品との間に存在しなければならないので、通常プレスの直前に添加される。組成物中の滑沢剤の量は、0.05~15重量%、好ましくは0.2~5重量%、より好ましくは0.3~3重量%、最も好ましくは0.3~1.5重量%の間で変動し得る。
【0058】
適切な滑沢剤は、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸カリウムおよびステアリン酸マグネシウムのような金属ステアレート、ステアリン酸、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ホウ酸、高融点ワックス、ポリエチレングリコールなどである。
【0059】
流動化剤は、各薬剤の焼成を防止し、流動が滑らかで一定であるように造粒物の流動特性を改善する材料である。
【0060】
適切な流動化剤としては、二酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、デンプンおよびタルクが挙げられる。組成物中の流動化剤の量は、0.01~10重量%、好ましくは0.1~7重量%、より好ましくは0.2~5重量%、最も好ましくは0.5~2重量%の間で変動し得る。
【0061】
崩壊剤という用語は、それらの崩壊を容易にするために組成物に添加される物質を指す。
【0062】
適切な崩壊剤は、デンプン、カルボキシメチルデンプンなどの冷水水溶性デンプン、メチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロース誘導体、微結晶性セルロースおよびクロスカルメロースナトリウムなどの架橋微結晶性セルロース、グアー、寒天、カラヤ(インディアントラガカント)、ローカストビーンガム、トラガカントなどの天然および合成ガム、ベントナイトなどの粘土、キサンタンガム、アルギン酸およびアルギン酸ナトリウムなどのアルギン酸塩、例えばデンプン、セルロース誘導体、アルギン酸塩、多糖類、デキストランおよび架橋ポリビニルピロリドンにより支持される水分膨張の起泡性組成物を含む群から選択される。組成物中の崩壊剤の量は、1~40重量%、好ましくは3~20重量%、最も好ましくは5~10重量%の間で変動し得る。
【0063】
着色料は、組成物または剤形に着色を付与する賦形剤である。これらの賦形剤は、食品着色剤であり得る。それらは、粘土または酸化アルミニウムのような適切な吸着手段に吸着させることができる。着色剤の量は、組成物の0.01~10重量%、好ましくは0.05~6重量%、より好ましくは0.1~4重量%、最も好ましくは0.1~1重量%の間で変動し得る。
【0064】
適切な食品着色剤は、クルクミン、リボフラビン、リボフラビン-5’-リン酸、タートラジン、アルカンニン(alkanin)、キノリオンイエローWS、ファストイエローAB、リボフラビン-5’-リン酸ナトリウム、黄色2G、サンセットイエローFCF、オレンジGGN、コチニール、カルミン酸、シトラスレッド2、カルモイシン、アマランサス、ポンソー4R、ポンソーSX、ポンソー6R、エリスロシン、レッド2G、アリューラレッドAC、インダスレンブルーRS、パテントブルーV、インジゴカルミン、ブリリアントブルーFCF、クロロフィルおよびクロロフィリン、クロロフィルおよびクロロフィリンの銅錯体、緑色S、ファストグリーンFCF、プレーンカラメル、腐食性亜硫酸カラメル(Caustic sulphite caramel)、アンモニアカラメル、亜硫酸アンモニアカラメル、黒色PN、カーボンブラック、植物性炭素、ブラウンFK、ブラウンHT、アルファ-カロチン、ベータ-カロチン、ガンマ-カロチン、アナトー、ビキシン、ノルビキシン、パプリカオレオレジン、カプサンチン、カプソルビン、リコピン、ベータ-アポ-8-カロテナール、ベータ-アポ-8’-カロテン酸のエチルエステル、フラボキサンチン、ルテイン、クリプトキサンチン、ルビキサンチン、ビオラキサンチン、ロドキサンチン、カンタキサンチン、ゼアキサンチン、シトラキサンチン、アスタキサンチン、ベタニン、アントシアニン、サフラン、炭酸カルシウム、二酸化チタン、酸化鉄、水酸化鉄、アルミニウム、銀、金、色素ルビン、タンニン、オルセイン、グルコン酸鉄、および乳酸第一鉄である。
【0065】
錠剤は、粉末混合物を製造、顆粒化または乾式加圧し、滑沢剤および崩壊剤を加え、混合物を錠剤に圧縮することによって製剤化される。粉末混合物は、適切に粉砕された化合物を前述の希釈剤または基剤と混合し、場合によってはカルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチンまたはポリビニルピロリドンなどの結合剤、例えばパラフィンなどの溶解遅延剤、例えば四級塩などの吸収促進剤、および/または例えばベントナイト、カオリンまたはリン酸二カルシウムなどの吸収剤と混合することによって製造される。粉末混合物は、例えば、シロップ、デンプンペースト、アカシア粘液またはセルロースまたはポリマー材料の溶液などの結合剤で濡らし、それをふるいに通すことによって造粒することができる。造粒の代替として、粉末混合物を打錠機に通して、不均一な形状の塊を生じさせ、粉砕して顆粒を形成することができる。顆粒は、錠剤成形型への粘着を防止するために、ステアリン酸、ステアリン酸塩、タルクまたは鉱油を添加することによって滑沢させることができる。滑沢化された混合物を次に圧縮して錠剤を得る。本発明の化合物はまた、自由流動性の不活性賦形剤と組み合わせてもよく、次いで、直接的に圧縮して、造粒工程または乾式プレス工程を実施することなく錠剤を得ることができる。
【0066】
液体剤形は、溶液、懸濁液およびエマルジョンを含む。例としては、非経口注射用の水および水/プロピレングリコール溶液、または経口溶液、懸濁液およびエマルジョン用の甘味料または乳白剤の添加である。液体剤形としてはまた、鼻腔内投与のための溶液も挙げることができる。
【0067】
さらに、緩衝液または緩衝溶液が、液体製剤、特に医薬液体製剤にとって好ましい。緩衝液、緩衝系および緩衝溶液、特に水溶液という用語は、酸または塩基の添加による、または溶媒での希釈によるpH変化に抵抗する系の能力を指す。好ましい緩衝系はギ酸塩、乳酸塩、安息香酸、シュウ酸塩、フマル酸塩、アニリン、酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液、グルタミン酸緩衝液、リン酸緩衝液、コハク酸塩、ピリジン、フタル酸塩、ヒスチジン、MES(2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸、マレイン酸、カコジル酸(砒酸ジメチル)、炭酸、ADA(N-(2-アセトアミド)イミノ二酢酸、PIPES(4-ピペラジン-ビス-エタンスルホン酸)、BIS-TRISプロパン(1,3-ビス[トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ(mehylaminol)]プロパン)、エチレンジアミン、ACES(2-[(アミノ-2-オキソエチル)アミノ]エタンスルホン酸)、イミダゾール、MOPS(3-(N-モルホリノ(morphino))-プロパンスルホン酸、マロン酸ジエチル、TES(2-[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]アミノエタンスルホン酸、HEPES(N-2-ヒドロキシエチルピペラジン-N’-2-エタンスルホン酸)、ならびに3.8から7.7の間のpKaを有する他の緩衝液からなる群から選択することができる。
【0068】
酢酸緩衝液などの炭酸緩衝液、フマル酸、酒石酸、フタル酸などのジカルボン酸緩衝液、クエン酸などのトリカルボン酸緩衝液が好ましい。
【0069】
好ましい緩衝液のさらなる群は、無機緩衝液、例えば硫酸塩水酸化物、ホウ酸塩水酸化物、炭酸塩水酸化物、シュウ酸塩水酸化物、水酸化カルシウムおよびリン酸緩衝液である。好ましい緩衝液の別の群は、イミダゾール、ジエチレンジアミンおよびピペラジンなどの窒素含有緩衝液(puffer)である。さらに好ましいものは、TES、HEPES、ACES、PIPES、[(2-ヒドロキシ-1,1-ビス-(ヒドロキシメチル)エチル)アミノ]-1-プロパンスルホン酸(TAPS)、4-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-1-プロパンスルホン酸(EEPS)、4-モルホリノ-プロパンスルホン酸(MOPS)およびN、N-ビス-(2-ヒドロキシエチル)-2-アミノエタンスルホン酸(BES)などのスルホン酸緩衝液である。好ましい緩衝液の別の群は、グリシン、グリシル-グリシン、グリシル-グリシル-グリシン、N,N-ビス-(2-ヒドロキシエチル)グリシンおよびN-[2-ヒドロキシ-1,1-ビス(ヒドロキシメチル)エチル]グリシン(トリシン)である。さらに好ましいものは、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、システイン、メチオニン、プロリン、4-ヒドロキシプロリン、Ν,Ν,Ν-トリメチルリジン、3-メチルヒスチジン、5-ヒドロキシ-リジン、o-ホスホセリン、γ-カルボキシグルタミン酸、ε-N-アセチルリジン、ω-N-メチルアルギニン、シトルリン、オルニチンおよびそれらの誘導体などのアミノ酸緩衝液である。
【0070】
液体剤形用の保存剤または補足物質を、必要に応じて使用することができる。これらは、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、ソルビン酸ナトリウム、ソルビン酸カルシウム、メチルパラベン、エチルパラベン、メチルエチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸カルシウム、p-ヒドロキシ安息香酸ヘプチル、パラ-ヒドロキシ安息香酸メチルナトリウム、パラ-ヒドロキシ安息香酸エチルナトリウム、パラ-ヒドロキシ安息香酸プロピルナトリウム、ベンジルアルコール、塩化ベンザルコニウム、フェニルエチルアルコール、クレゾール、塩化セチルピリジニウム、クロロブタノール、チオメルサール(2-(エチル水銀チオ)安息香酸ナトリウム)、二酸化硫黄、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸カルシウム、亜硫酸水素カルシウム、亜硫酸水素カリウム、ビフェニル、オルトフェニルフェノール、オルトフェニルフェノールナトリウム、チアベンダゾール、ナイシン、ナタマイシン、ギ酸、ギ酸ナトリウム、ギ酸カルシウム、ヘキサミン、ホルムアルデヒド、二炭酸ジメチル、亜硝酸カリウム、亜硝酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、酢酸、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カルシウム、酢酸アンモニウム、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸ナトリウム、乳酸、プロピオン酸、プロピオン酸ナトリウム、プロピオン酸カルシウム、プロピオン酸カリウム、ホウ酸、四ホウ酸ナトリウム、二酸化炭素、リンゴ酸、フマル酸、リゾチーム、硫酸銅(II)、塩素、二酸化塩素、および当業者に公知の他の適切な物質または組成物を含む群から選択することができる。
【0071】
特に好ましい医薬組成物は、吸入または静脈内注射による投与に適した凍結乾燥物(フリーズドライ製剤)である。その製造のために、本発明による使用のための化合物を4~5%マンニトール溶液に可溶化し、この溶液を凍結乾燥する。マンニトール溶液は、前述したように、適切な緩衝溶液中で調製することができる。適切な凍結/乾燥保護剤(さらに充填剤または安定剤)のさらなる例は、チオール非含有アルブミン、免疫グロブリン、ポリアルキレンオキシド(例えば、PEG、ポリプロピレングリコール)、トレハロース、グルコース、スクロース、ソルビトール、デキストラン、マルトース、ラフィノース、スタキオースおよび他の単糖類である。マンニトールが好ましい。それらは、当業者に公知の通常の量で凍結乾燥プロセスに使用することができる。
【0072】
本発明による使用のための化合物を含有する坐薬の剤形の製造のために、低融点ワックスならびに脂肪酸グリセリド、例えばカカオ脂の混合物を最初に溶融し、次に5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンを撹拌または他の混合方法で均質に分散させる。溶融した均質な混合物を適当な型に移し、次いで固化するまで冷却する。
【0073】
本発明による使用のための化合物を含有する局所適用には、クリーム、エマルジョン、ローション、ゲル、ヒドロゲル、ペースト、粉末、軟膏、塗布薬、フィルム、リポソーム、皮膚パッチ、経皮パッチ、経皮スプレーまたは懸濁液が適している。
【0074】
界面活性可溶化剤(可溶化剤)として適切なものは、例えば、ジエチレングリコールモノエチルエステル、ポリエチルプロピレングリコールコポリマー、シクロデキストリン、例えばα-シクロデキストリンおよびβ-シクロデキストリン、グリセリルモノステアレート、例えばSolutol HS15(BASF社のMacrogol-15-ヒドロキシステアレート、PEG660-15ヒドロキシステアレート)、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンオキシステアリン酸トリグリセリド、ポリビニルアルコール、ドデシル硫酸ナトリウム、(アニオン性)グリセリルモノオレートなどである。
【0075】
乳化剤は、例えば、以下のアニオン性および非イオン性乳化剤から選択することができる:アニオン性乳化剤ワックス、セチルアルコール、セチルステアリルアルコール、ステアリン酸、オレイン酸、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、2~60モルのエチレンオキシドのヒマシ油への付加生成物および/または硬化ヒマシ油、ウールワックス油(ラノリン)、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン(polyoxyethene)ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン(polyoxyethene)ソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレン(polyoxyethene)ソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレン(polyoxyethene)ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン(polyoxyethene)ソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレン(polyoxyethene)ステアレート、ポリビニルアルコール、メタ酒石酸、酒石酸カルシウム、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸カルシウム、プロパン-1,2-ジオールアルギンネート、カラギーナン、加工ユーケマ藻類、ローカストビーンガム、トラガカント、アカシアゴム、カラヤゴム、ゲランガム、ガティガム、グルコマンナン、ペクチン、アミド化ペクチン、アンモニウムフォスファチド、臭素化植物油、スクロース酢酸イソブチル、ウッドロジンのグリセロールエステル、リン酸二ナトリウム、二リン酸三ナトリウム、二リン酸四ナトリウム、二リン酸二カルシウム、二リン酸二水素カルシウム、三リン酸ナトリウム、三リン酸五カリウム、ポリリン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウムカルシウム、ポリリン酸カルシウム、ポリリン酸アンモニウム、ベータシクロデキストリン、粉末セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルヒドロキシエチルセルロース、クロスカルメロース、酵素加水分解カルボキシメチルセルロース、脂肪酸のモノ-およびジグリセリド、モノステアリン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル、脂肪酸のモノ-およびジグリセリドの酢酸エステル、脂肪酸のモノ-およびジグリセリドの乳酸エステル、脂肪酸のモノ-およびジグリセリドのクエン酸エステル、脂肪酸のモノ-およびジグリセリドの酒石酸エステル、脂肪酸のモノ-およびジグリセリドのモノ-およびジアセチル酒石酸エステル、脂肪酸のモノ-およびジグリセリドの酢酸および酒石酸混合エステル、サクシニル化モノグリセリド、脂肪酸のスクロースエステル、スクロースグリセリド、脂肪酸のポリグリセロールエステル、ポリリシノール酸ポリグリセロール、脂肪酸のプロパン-1,2-ジオールエステル、脂肪酸のプロピレングリコールエステル、グリセロールおよびプロパン-1のラクチル化脂肪酸エステル、脂肪酸のモノ-およびジグリセリドと相互作用する熱酸化大豆油、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ステアロイル-2-乳酸ナトリウム、ステアロイル-2-乳酸カルシウム、酒石酸ステアリル、クエン酸ステアリル、フマル酸ステアリルナトリウム(sodium stearoyl fumarate)、フマル酸ステアリルカルシウム(calcium stearoyl fumarate)、ラウリル硫酸ナトリウム、エトキシル化モノ-およびジグリセリド、メチルグルコシド-ココナッツ油エステル、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタントリオレエート、ポリリン酸カルシウムナトリウム、ポリリン酸カルシウム、ポリリン酸アンモニウム、コール酸、コリン塩、グリセロール架橋デンプン、オクテニルコハク酸デンプンナトリウム、アセチル化酸化デンプン。
【0076】
グリセリンモノオレエート、ステアリン酸、リン脂質、例えばレシチンが好ましい。
【0077】
適切なトリグリセリドは、中鎖および高分子トリグリセリドである。中鎖トリグリセリドは、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリドのような、わずか6~12個の炭素原子を有する脂肪酸のグリセリンエステルである。高分子トリグリセリドは、長鎖脂肪酸を有するグリセリン脂肪酸エステル、例えば、いくつかの天然脂肪から抽出されたトリグリセリド混合物である。中鎖トリグリセリド、特にカプリル酸/カプリン酸トリグリセリドが好ましい。
【0078】
浸透増強剤は、多くの場合、局所剤形で使用される。適切な浸透増強剤としては、当業者に公知の全ての医薬として許容される浸透増強剤、例えば、限定するものではないが、ラウロカプラン、1-ドデシルアザシクロヘプタン-2-オンなどのアゾン;ジメチルスルホキシド、DMAC、DMFなどのスルホキシド;2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドンなどのピロリドン;エタノール、1,2-プロパンジオールまたはデカノールなどのアルコール;プロピレングリコール、ジエチレングリコール、テトラエチレングリコールなどのグリコール;オレイン酸、ラウリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチン酸、ミリスチン酸イソプロピル、カプリン酸などの脂肪酸;ポリオキシエチレン-2-オレイルエーテル、ポリオキシエチレン-2-ステアリルエーテルなどの非イオン性(nonic)界面活性剤;テルペン;テルペノイド;オキサゾリジノン;尿素;セラミド類似体、アゾン類似体、メントール誘導体、エーテル化誘導体、エステル化誘導体、トランスカルバム、カルバメート塩、TXA誘導体、DDAIP(ドデシル2-(ジメチルアミノ)プロパノエート)、DDAK、天然エッセンシャルオイル(全てChen et al.(2014)Asian J.Pharm.Sc.9,51-64に列挙されている);クエン酸トリエチルなどのクエン酸エステル;ハイドロホビンポリペプチド;α-ビサボロール;ジメチルイソソルビド(Arlasolve(登録商標)DMI);エトキシジグリコールが挙げられる。1,2-プロパンジオールが好ましい。
【0079】
局所適用に適した保存剤の典型的な例は、例えば、安息香酸ベンジル、安息香酸、ベンジルアルコール、塩化ベンザルコニウム、N-セチル-N-N-トリメチルアンモニウムブロミド(Cetrimid、Merck)、クロルヘキシジン、クロロブタノール、クロロクレゾール、イミド尿素(imiudurea)、パラベン、例えばメチル、エチル、プロピルまたはブチルパラベン、メチルパラベンナトリウム、プロピルパラベンナトリウム、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、フェノール、フェノキシエタノール、フェニルエチルアルコール、酢酸フェニル水銀、ホウ酸フェニル水銀、硝酸フェニル水銀、ソルビン酸またはチオメルサール(メチル水銀チオサリチレートナトリウム)である。
【0080】
メチルパラベン、プロピルパラベン、ならびにメチルパラベンナトリウムおよびプロピルパラベンナトリウムが好ましい。
【0081】
酸化防止剤の添加は、局所剤形において特に好ましい。酸化防止剤の適切な例としては、メタ重亜硫酸ナトリウム、α-トコフェロール、アスコルビン酸、マレイン酸、アスコルビン酸ナトリウム、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルオール(hydroxytoluol)、フマル酸または没食子酸プロピルが挙げられる。メタ重亜硫酸ナトリウムの使用が好ましい。
【0082】
局所剤形のための適切なpH調節剤は、例えば、水酸化ナトリウム、塩酸、緩衝液、例えば、リン酸二水素ナトリウムまたはリン酸水素二ナトリウムである。
【0083】
クリーム調製物はまた、流動特性を改善するための他の賦形剤および添加剤、例えば、加脂溶液、溶媒、増稠剤またはハイドロトロープ剤(hydrotope)を含有してもよい。本明細書では、同じ群の添加剤または賦形剤からの単一物質だけでなく、いくつかの物質が混合物中に存在してもよい。
【0084】
適切な加脂溶液は、例えば、オレイン酸デシルエステル、水和ヒマシ油、軽質鉱物油、鉱物油、ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムである。
【0085】
適切な溶媒は、コーン油、綿実油、落花生油、ゴマ油、大豆油、オレイン酸エチル、グリセリン、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコールである。
【0086】
増稠剤は、例えば、セチルアルコール、セチルエステルワックス、水和ヒマシ油、微結晶性ワックス、非イオン性乳化剤ワックス、ミツロウ、パラフィンまたはステアリルアルコールである。
【0087】
適切なハイドロトロープ剤(hydrotope)は、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール、またはグリセリンなどのポリオールである。
【0088】
本発明による調製物は、添加剤をさらに含んでもよい。それらは、好ましくは芳香物質および香味物質、特に精油、ビタミン、ならびに糖、砂糖代替物、栄養甘味料、酸味料、水などの可溶化剤、グリコール、グリセリン、増粘剤、甘味料、着色剤もしくは保存剤またはこれらの組合せからから選択されるガレヌス賦形剤がまた、ガレヌス剤形に応じて選択される。
【0089】
適切な芳香物質および香味物質は、この目的のために使用することができ、とりわけ精油を含む。一般に、この用語は、それぞれの特徴的な臭いを有する植物または植物の一部からの揮発性抽出物を指す。それらは水蒸気蒸留によって植物または植物の一部から抽出することができる。
【0090】
例としては、精油、それぞれ、セイジ、クローブ、カモミール、アニス、スターアニス、タイム、ティーツリー、ペパーミント、ミントオイル、メントール、シネオール、ユーカリオイル、マンゴー、イチジク、ラベンダーオイル、カモミールの花、松葉、イトスギ、オレンジ、シタン、プラム、カラント、チェリー、カバノキの葉、シナモン、ライム、グレープフルーツ、タンジェリン、セイヨウネズ、カノコソウ、レモンバーム、レモングラス、パルマローザ、クランベリー、ザクロ、ローズマリー、ショウガ、パイナップル、グアバ、エキナセア、ツタの葉抽出物、ブルーベリー、カキ、メロンなど、またはこれらの混合物ならびにメントール、ペパーミントおよびスターアニスオイル、またはメントールおよびチェリーフレーバーの混合物由来の芳香物質。
【0091】
これらの芳香物質または香味物質は、総組成物に対して0.0001~10重量%(特に組成物中)、好ましくは0.001~6重量%、より好ましくは0.001~4重量%、最も好ましくは0.01~1重量%の範囲で含まれ得る。適用または単一事例に関連して、異なる量を使用することが有利な場合があり得る。
【0092】
本発明の主題はまた、経口投与製剤、凍結乾燥物としての製剤、液体製剤、または局所製剤の製造に使用するための、場合により前述の活性薬剤と組み合わせる、本発明による方法により製造されるルミノールの結晶形である。
【0093】
前述の製剤および医薬組成物は、ルミノールの結晶形態IIに加えて、少なくとも1種のさらなる活性薬剤を含有することができる。
【0094】
この少なくとも1種のさらなる活性薬剤は、ステロイド系および非ステロイド系の抗炎症剤、免疫調節剤、免疫抑制剤、抗生物質、抗感染剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤、鎮痛剤、局所麻酔剤、抗凝固剤、血小板凝集阻害剤、筋弛緩剤、強壮剤および同化剤を含む群から選択することができる。このような活性薬剤の組合せは、このような投与を必要とするヒトにおいて、予防目的および/または治療目的で使用することができる。
【0095】
ステロイド系抗炎症剤の適切な例としては、コルチコステロイド、グルココルチコイド、コルチゾン、酢酸コルチゾン、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、デルタゾン、トリアムシノロン、ピバル酸チキソコルトール、モメタゾン、アムシノニド、ブデソニド、デソニド、フルオシノニド(fluociconide)、フルオシノロン、ハルシノニド、フルオコルトロン、ヒドロコルチゾン-17-バレレート、ハロメタゾン、ジプロピオン酸アルクロメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、ジプロピオン酸ベタメタゾン、プレドニカルベート、クロベタゾン-17-ブチレート、クロベタゾール-17-プロピオネート、カプロン酸フルオロコルトロン、ピバリン酸フルオロコルトロン、酢酸フルプレドニデン、ヒドロコルチゾン-17-ブチレート、ヒドロコルチゾン-17-アセポネート、ヒドロコルチゾン-17-ブテプレート、シクレソニド、フルニソリド、フロ酸フルチカゾン、プロピオン酸フルチカゾン、トリアムシノロンアセトニド、ジプロピオン酸ベクロメタゾンが挙げられる。
【0096】
非ステロイド系抗炎症薬物(NSAID)の適切な例としては、アセチルサリチル酸、サリチル酸およびサリチル酸塩、パラセタモール(アセトアミノフェン)、サルサラート、ジフルニサル、イブプロフェン、デクスイブプロフェン、ナプロキセン、フェノプロフェン、ケトプロフェン、デクスケトプロフェン、フルルビプロフェン、オキサプロジン、ロキソプロフェン、インドメタシン、トルメチン、スリンダク、エトドラク、ケトロラク、ジクロフェナク、アセクロフェナク、ナブメトン、ピロキシカム、メロキシカム、テノキシカム、ドロキシキカム、ロルノキシカム、イソキシカム、フェニルブタゾン、メフェナム酸、メクロフェナム酸、フルフェナミン酸、トルフェナミン酸、セレコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、パレコキシブ、ルミラコキシブ、エトリコキシブ、フィロコキシブ、ニメスリド、クロニキシン、リコフェロン、H-ハルパジド、フルニキシン、チアプロフェン酸が挙げられる。
【0097】
免疫調節剤(IMID)の適切な例は、サリドマイド、レナリドマイド、ポマリドマイドおよびアプレミラストが挙げられる。
【0098】
抗ウイルス剤の適切な例としては、アンクリビロック、アプラビロック、セニクリビロック、エンフビルチド、マラビロク、ビクリビロック、アマンタジン、リマンタジン、プレコナリル、イドクスウリジン、アシクロビル、ブリブジン、ファムシクロビル、ペンシクロビル、ソリブジン、バラシクロビル、シドフォビル、ガンシクロビル、バルガンシクロビル、ソホスブビル(sofosbusvir)、ホスカルネット、リバビリン(ribavirine)、タリバビリン(taribavirine)、フィリブビル、ネスブビル、テゴブビル、フォスデビリン、ファビピラビル、メリメポジブ(merimepodib)、アスナプレビル、バラピラビル、ボセプレビル、シルプレビル、ダノプレビル、ダクラタスビル、ナルラプレビル、テラプレビル、シメプレビル、バニプレビル、ルピントリビル、ホミビルセン、アメナメビル、アリスポリビル、ベビリマット(bevirimate)、レテルモビル、ラニナミビル、オセルタミビル、ペラミビル、ザナミビルが挙げられる。
【0099】
免疫刺激剤の適切な例としては、インターフェロン(α-、β-、γ-、τ-インターフェロン)、インターロイキン、CSF、PDGF、EGF、IGF、THF、レバミゾール、ジメプラノール、イノシンが挙げられる。
【0100】
免疫抑制剤の適切な例は、前述したようなグルココルチコイドの群;(シクロホスファミドなどの)アルキル化剤などの細胞分裂阻害剤、メトトレキセート、アザチオプリン、メルカプトプリン、フルオロウラシル、レフルノミドなどの代謝拮抗剤、タンパク質合成阻害剤、およびダクチノマイシン、アントラサイクリン、マイトマイシンC、ブレオマイシンおよびミトラマイシンなどの特定の抗生物質、ミトキサントロンなどのインターカレート剤;ムロモナブ-CD3、リツキシマブ、ウステキヌマブ、アレムツズマブ、ナタリズマブ、バシリキシマブおよびダクリズマブなどの抗体;シクロスポリン、タクロリムスおよびシロリムスなどのイムノフィリンに作用する薬剤;ならびにβ-インターフェロン、γ-インターフェロン、オピオイド、TNF結合タンパク質、例えばインフリキシマブ、エタネルセプト、アダリムマブなどの分類されていない免疫抑制剤;またはクルクミン、カテキン、ミコフェノール酸、フィンゴリモド、ミリオシンおよびフマル酸ジメチルエステルが挙げられる。
【0101】
抗生物質の適切な例としては、イミペネム、メロペネム、エルタペネム、セファロスポリン、アズトレオナム、ペニシリンGおよびペニシリンVなどのペニシリン、ピペラシリン、メズロシリン、アンピシリン、アモキシシリン、フルクロキサシリン、メチシリン、オキサシリン、クラブラン酸、スルバクタム、タゾバクタム、スルタミシリン、ホスホマイシン、テイコプラニン、バンコマイシン、バシトラシン、コリスチン(colistine)、グラミシジン、ポリミキシンB、チロトリシン、テイクソバクチン、ホスミドマイシン、アミカシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、ネチルマイシン、ストレプトマイシン、トブラマイシン、クロラムフェニコール、フシジン酸(fusidinic acid)、セスロマイシン、ナルボマイシン、テリスロマイシン、クリンダマイシン、リンコマイシン、ダプトマイシン、ダルホプリスチン、キヌプリスチン、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、ロキシスロマイシン、リネゾリド、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、テトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、チゲサイクリン、ノルフロキサシン、エノキサシン、シプロフロキサシン、オフロキサシン、レボフロキサシン、モキシフロキサシン、メトロニダゾール、チニダゾール、アミノクマリン(aminocumarine)、スルファジアジン、スルファドキシン、スルファメトキサゾール(sulfamethoxazol)、スルファサラジン、ピリメタミン、トリメトプリム、およびリファンピシンが挙げられる。
【0102】
抗感染剤は、細菌性、ウイルス性、真菌性、原虫性および虫感染症の治療に用いられる化合物の総称であり、抗生物質、抗ウイルス剤、抗真菌剤、抗原虫剤および駆虫剤を含む。
【0103】
筋弛緩剤の適切な例としては、テルクロニウム、1-エチルカルバモイル-3-(3-トリフルオロメチルフェニル)ピロリジン、メタキサロン、メトカルバモール、メプロバメート、バクロフェン、カリソプロドール、クロルゾキサゾン(chlorzoxanzone)、シクロベンザプリン、ダントロレン、ジアゼパム、オルフェナドリン、キニーネ、ロクロニウム、サクシニルコリン、デカメトニウム、パンクロニウム、ベクロニウム(veruronium)、ラパクロニウム、ダクロニウム、デュアドル(duador)、マルエチン(malouetine)、ジピランジウム、ピペクロニウム、カンドニウム、HS-342、アトラクリウム、ミバクリウム、ドキサクリウム、d-ツボクラリン、ジメチルツボクラリン、ガラミン、アルクロニウム、アナトルキソニウム(anatruxonium)、ジアドニウム、ファザジニウム、トロペニウム(tropeinium)、シサトラクリウム(cisatrucurium)が挙げられる。
【0104】
抗真菌剤の適切な例としては、アバファンギン、アンホテリシンB、カンジシジン、フィリピン、ハマイシン、ナタマイシン、ナイスタチン、リモシジン、ビフォナゾール、ブトコナゾール、クロトリマゾール、エコナゾール、フェンチコナゾール、イソコナゾール、ケトコナゾール、ルリコナゾール、ミコナゾール、オモコナゾール、オキシコナゾール、セルタコナゾール、チオコナゾール、アルバコナゾール、エフィナコナゾール、エポキシコナゾール、フルコナゾール、イサブコナゾール、イトラコナゾール、ポサコナゾール、プロピコナゾール、ラブコナゾール、テルコナゾール、ボリコナゾール、アモロルフィン、ブテナフィン、ナフチフィン(nafitifine)、テルビナフィン、アニデュラファンギン、カスポファンギン、ミカファンギン、安息香酸、シクロピロクス、フルシトシン、グリセオフルビン、ハロプロジン、トルナフテート、ウンデシレン酸、クリスタルバイオレット、ペルーバームが挙げられる。
【0105】
抗原虫剤の適切な例としては、メトロニダゾール、チニダゾール、オルニダゾール、アトバコン、クリオキノール(clioquinole)、クロルキナルドール(chlorquinaldole)、エメチン、イセチオン酸ペンタミジン、エフロルニチン、ニトロフラール、ハロフジノン、ミルテホシン、クロロキン、ヒドロキシクロロキン、メパクリン、プリマキン、アモジアキン、パマキン、ピペラキン、プログアニル、パモ酸シクログアニル(cyclohunail embonate)、キニーネ、メフロキン、ピリメタミン、アーテメータ(artmether)、アルテミシニン、アーテスネート、ジヒドロアルテミシニン、ハロファントリン、ルメファントリン、スルファドキシンが挙げられる。
【0106】
駆虫剤の適切な例としては、メベンダゾール、プラジカンテル、アルベンダゾール、ジエチルカルバマジン、フルベンダゾール、イベルメクチン、レバミソール、メトリホネート、ニクロサミド、オキシクロザニド、オキサムニキン、オキサンテル、ピペラジン、ピランテル、パモ酸ピランテル、モネパンテル(monopantel)、デルクアンテル、硫酸ペレチエリン、ピルビニウム、チアベンダゾール、フェンベンダゾール、トリクラベンダゾール、アバメクチン、スラミン、エモデプシド、パモ酸ピルビニウム、アミノアセトニトリルが挙げられる。
【0107】
局所麻酔剤の適切な例としては、リドカイン、リグノカイン、メントール、アルチカイン、ブピバカイン、ロピバカイン、ベンゾカイン、クロロプロカイン、コカイン、シクロメチカイン、ジメトカイン、ラロカイン、ピペロカイン、プロポキシカイン、プロカイン、ノボカイン、プロパラカイン、テトラカイン、アメトカイン、シンコカイン、ジブカイン、エチドカイン、エトポシド、エトポシド、レボブピバカイン、メピバカイン(meplavacaine)、プリロカイン、トリメカイン、サキシトキシン、ネオサキシトキシン、テトロドトキシン、オイゲノールが挙げられる。
【0108】
鎮痛剤の適切な例としては、上記のNSAID;オピオイド鎮痛剤、例えば、モルヒネ、フェンタニル、メサドン、オキシコドン、カルフェンタニル(carfentanyl)、ジヒドロエトロフィン、オーメフェンタニル、エトロフィン、スフェンタニル、レミフェンタニル、アルフェンタニル、ブプレノルフィン、ヒドロモルホン、レボメタドン、ヒドロコドン、パントラミド(pintramide)、ナルブフィン、タペンタドール、ペンタゾシン、ジヒドロコデイン、コデイン、ペチジン、トラマドール、チリジン、メプタジノール、ナロキソン、ナルトレキソン、ジプレノルフィン、ロペラミド、アポモルフィン;エピバチジン;スコポラミン;ジコニチド;カンナビノイド、例えばテトラヒドロカンナビノール、カンナビジオール、マリノール;フルピルチン;ケタミンおよび上記に列挙した局所麻酔剤が挙げられる。
【0109】
抗凝固剤の適切な例としては、ヘパリン、フェンプロクーモン(Marcumar)およびワルファリンなどのクマリン、アピキサバン、リバロキサバン、エドキサバン、ダビガトラン、キシメラガトラン、ヒルジン、レピルジン、ビバリルジン、クエン酸塩、EDTA、フォンダパリヌクス、アルガトロバン、オタミキサバンが挙げられる。
【0110】
血小板凝集阻害剤の適切な例としては、アブシキシマブ、アセチルサリチル酸、ジピリダモール、クロピドグレル、エプチフィバチド、イロメジン、プロスタサイクリン、プラスグレル、チカグレロール、チクロピジン、チロフィバンが挙げられる。
【0111】
強壮剤は、身体を強化し、緊張活動を増強し、または生理学的機能を回復させる活性薬剤の総称である。それらは、植物または動物由来のものであってもよい。
【0112】
同化剤は、同化性代謝および細胞性コラーゲン足場の強化を支持することができる。しかし、これらの物質をスポーツやボディービルのドーピングに広く乱用することが知られている。したがって、本発明の方法によって生成されたルミノールの結晶形との組合せは、これがそれぞれの国内法の範囲内にある場合にのみ推奨される。
【0113】
本出願はまた、ルミノールの結晶形態IIおよび少なくとも1種の医薬として許容される賦形剤を含む、医薬における予防的または治療的使用のための医薬組成物を指す。
【0114】
当業者は、前述の活性薬剤の標準的な療法に精通していると思われる。前述の活性薬剤または活性薬剤の組合せのそれぞれの剤形および用量は、組合せ活性薬剤および/またはルミノール酸ナトリウムについて既に確立されている標準的な療法に基づいていることが好ましい。
【0115】
特に好ましい実施形態では、医薬における予防的または治療的使用のための前記医薬組成物は、局所的に投与される。特に好ましい実施形態では、前記医薬組成物は、炎症性または自己免疫性の皮膚疾患または呼吸器疾患の予防または治療に使用するためのものである。
【0116】
ほとんどの皮膚疾患は、炎症性の背景を有するか、または他の症状の中で少なくとも炎症性の要素を示す。皮膚疾患の総合的な資料は、ICD-10第12章に示されている。その中で、皮膚疾患は、以下の群に分類される:皮膚の感染症;水疱性疾患;皮膚炎および湿疹;丘疹鱗屑性障害;蕁麻疹および紅斑;皮膚の放射線関連障害;皮膚付属器の障害;皮膚の他の障害。
【0117】
特に重要な炎症性皮膚疾患のサブグループは自己免疫性皮膚疾患である。このような自己免疫性皮膚疾患または皮膚症状を示す自己免疫要素を有する疾患の例は、限定するものではないが、皮膚筋炎、ベーチェット病、ベーチェット病ブドウ膜炎、特発性血小板減少性紫斑病、乾癬、乾癬性関節炎、白斑、前部ブドウ膜炎、辺縁潰瘍性角膜炎、水疱性類天疱瘡、慢性蕁麻疹(蕁麻疹)、デューリング病(疱疹状皮膚炎)、後天性表皮水疱症、円形脱毛症、硬化性苔癬、粘膜性苔癬、線状IgA皮膚炎、落葉状天疱瘡、脂漏性天疱瘡(pemphigus seborrhoicus)、尋常性天疱瘡、SAPHO症候群(滑膜炎、座瘡、膿疱症(pustulitis)、骨増殖症、骨炎)、強皮症、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病、自己免疫性プロゲステロン皮膚炎、シャーガス病、反転型座瘡、シャープ症候群(Sharp’s syndrome)、レイノー現象、天疱瘡、類天疱瘡、内因性ブドウ膜炎、ブラウ症候群、慢性乳児神経皮膚関節症候群、家族性寒冷蕁麻疹、家族性地中海熱、高-lgD症候群、マジード症候群、マックル・ウェルズ症候群、TNF受容体関連周期性症候群、およびアトピー性皮膚炎である。
【0118】
本発明の好ましい剤形は遅延製剤、すなわち、少なくとも1種の活性薬剤を遅延放出する製剤である。これらは、持続放出(SR)、徐放(ER、XR)または制御放出/連続放出(CR)形態としても知られている。
【0119】
適切な製剤および担体は、当業者に公知である(Kleinsorge(1995)Retardformulierungen in der medikamentosen Therapie.Leipzig,Barth 8th ed.)。最も一般的には、活性薬剤は、アクリルまたはキチンのような不溶性物質のマトリックスに包埋されている。したがって、活性薬剤は、マトリックス中のオリフィスを通って出て行く必要がある。いくつかの製剤では、一方の面にレーザー穿孔された穴があり、その反対側に多孔質の膜がある。胃液はこの多孔質膜を攻撃し、反対側の穿孔を通して活性薬剤を流入させ、押し出す。他の製剤では、活性薬剤はマトリックス内で溶解され、これを膨潤させ、ゲルを形成する。その後、活性薬剤はゲルの細孔を通して放出される。他の例としては、胃液に耐性がある、特別にコーティングされた錠剤、カプセルケーシングの溶解後に放出される活性薬剤の遅延ペレットを含む遅延カプセル、複数単位ペレットシステム(MUPS)、経口浸透システム、共鳴、コアセルベーションおよびマイクロカプセル化が挙げられる。
【0120】
そのような遅延製剤の使用により、薬物の放出部位およびその薬物動態を制御することができる。例えば、多くの場合、活性薬剤の剤形が腸の特定の点に達する前に溶解されないことが望ましい。腸を通る途中でpHが変化するので、溶解プロセスはpH依存性になるように設計することもできる。バイオアベイラビリティを増大させるために腸粘膜を通る活性薬剤の吸収が促進されなければならない治療用途では、活性薬剤の塩ではなくその中性形態を使用することが好ましい場合がある。
【0121】
したがって、本出願はまた、遅効性薬物として製剤化される、ルミノールの結晶形態IIを含有する医薬組成物を指す。
【0122】
さらに別の好ましい実施形態は、エアロゾル(エアロゾルスプレー)としてのルミノールの製剤である。エアロゾルは、空気または他の気体中の微細な固体粒子または液滴のコロイドとして定義される。これらの粒子は、1μm未満の直径を有するのが好ましい。医学では、呼吸器疾患の治療または一般的な疾患の呼吸器症状の治療において、活性薬剤の吸入投与がますます普及している。
【0123】
有効直径が10pm未満のエアロゾル粒子は気管支に入る可能性があり、有効直径が2.5μm未満のものは肺内の気体交換領域まで到達することさえできる。したがって、いくつかのエアロゾルは有害でもあり得る望ましくない副作用を有することがあるので、直径サイズは治療すべき疾患に従って設計することができる。エアロゾルは、通常、ネブライザー、定用量吸入器(MDI)または乾燥粉末吸入器(DPI)を用いて患者に投与される。ネブライザーは、医薬品用溶液または懸濁液からエアロゾル液滴を生成するために酸素、圧縮空気または超音波力を使用し、吸入のために患者が使用するマウスピースにそれらを向ける。MDIは、特定の量の活性薬剤をエアロゾルの短い噴出の形で肺に送達する。それらは、クロロフルオロカーボンCFC-11、CFC-12およびCFC-14、またはHFA(ヒドロフルオロアルカン)のような高圧ガスを使用する。これらのエアロゾル由来の活性薬剤の浸透およびバイオアベイラビリティは、リン脂質の使用によって増加させることができる。それらは肺胞内の空気-水界面における表面張力を低下させ、それにより肺を拡張するのに必要な圧力を低減する。DPIは活性薬剤を乾燥粉末の形態で肺に送達する。したがって、例えば活性薬剤が水に難溶性であるか、または水溶液の安定性のような問題がある場合、それらは、活性薬剤の固体エアロゾルの投与に特に有用である。本明細書では、活性薬剤は、DPIに導入されなければならないカプセルに封入されているか、またはDPIの内部に独自の形態で封入されている。患者はマウスピースを口に入れ、5~10秒間急激な深い吸入を行う。
【0124】
エアロゾルで治療することができる炎症性または自己免疫性要素を伴う呼吸器疾患としては、嚢胞性線維症;喘息;COPD(慢性閉塞性肺疾患);肺気腫;風邪、副鼻腔炎、扁桃炎、中耳炎、咽頭炎および喉頭炎などの上気道感染症;肺炎および結核などの下気道感染症;胸膜中皮腫、胸膜感染症、肺塞栓および結核などの胸膜腔疾患;COPDの後遺症としての肺動脈性高血圧、肺水腫、多発性血管炎を伴う肉芽腫症およびグッドパスチャー症候群などの肺血管疾患;塵肺症、放射線線維症、薬物誘導性気道狭窄、関節リウマチの後遺症、急性呼吸窮迫症候群、乳児呼吸窮迫症候群、結核、特発性肺線維症、特発性間質性肺炎、サルコイドーシスなどの拘束性肺疾患;好酸球性肺炎、リンパ脈管筋腫症、肺ランゲルハンス細胞組織球症、肺胞蛋白症および間質性肺疾患が挙げられる。また、肺の悪性腫瘍には、炎症性要素が含まれる。
【0125】
活性薬剤が肺胞を介して直接吸収されるので、多くの場合、塩の代わりに中性形態を使用することが好ましい。
【0126】
したがって、本出願はまた、吸入投与のためのエアロゾルとして製剤化される、ルミノールの結晶形態IIを含有する医薬組成物を指す。最も好ましいのは、DPIによる本発明による投与である。
【0127】
また、法医学的目的のために、ルミノールをエアロゾルの形態で対象部位に噴霧することもできる。
【0128】
実施例
【0129】
全ての標準化学物質はSigma-Aldrichから購入した。
【0130】
実施例1:市販のルミノールのPXRD分析
【0131】
1gの市販のルミノール(Merck)をPXRDにより分析した。測定は、高速高分解能シリコンストリップ検出器(DECTRIS Mythen1K)を備えたCuKα1放射線を用いたSTOE STADI P回折計を使用して、透過構造で行った。サンプルをガラスキャピラリー(直径0.5mm)中に調製した。リートベルト法のための機器パラメータは、Si標準(n=3)を適用して決定した。
【0132】
結晶構造決定:ラウェ群、構造解析およびリートベルト法の指数付け、決定にTOPAS Academic(A.A.Coelho,TOPAS-Academic,version 5.0,Coelho Software,Brisbane,Australia,2007)を用いた。
構造解析は、ルミノール分子のアミド-ヒドロキシイミン互変異性体の剛体モデルを適用して、TOPAS Academicのシミュレーテッドアニーリング法によって達成した。剛体の分子構造は、Materials Studioソフトウェアに実装されているPerdew-Burke-Ernzerhof(PBE)汎関数を用いて一般化勾配近似(GGA)を適用するDMol3モジュールを使用したDFT構造最適化によって得た。
【0133】
構造解析については、シミュレーテッドアニーリング実行において、6つのパラメータ:ルミノールの3つの位置パラメータおよび3つの角度パラメータが包括的に最適化された。
【0134】
得られた構造モデルのリートベルト法を、ピークプロファイルを記述するためのファンンダメンタル・パラメータ・アプローチを使用して実行した。全てのヘテロ原子について結合等方性温度因子を精密化した。水素の温度因子はUiso=1.27 Å2に固定した。
【0135】
Applichem社から購入したルミノールを用いた実験では、定性的に同じ結果が得られた。
【0136】
実施例2:ルミノールの結晶形態IIの結晶化方法
【0137】
Na-ルミノール酸塩を中和することにより、結晶化度の良い相純粋な粉末を得ることができた。500mLの脱塩水中2gのNa-ルミノール酸塩(MetrioPharm)の撹拌された溶液に5mLの塩酸(17%)をゆっくりと添加して、微結晶粉末を得た。
【0138】
沈殿物を濾過し、次いで脱塩水で3回洗浄した後、それを室温で12時間乾燥させた。
【0139】
得られた粉末を実施例1に記載したようにPXRDを用いて分析した。また、結晶構造決定およびリートベルト法を実施例1のように実施した(n=3)
【0140】
実施例3:
【0141】
同時熱重量分析(TG)および示差走査熱量測定(DSC)により、ルミノールの新規な結晶形態IIの320±1℃までの熱安定性が証明された。さらに、固相の他の形態への変態は、結晶性化合物が熱分解するまで観察されない(
図5)。
【図面の簡単な説明】
【0142】
【
図1】市販の5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンのXRPD図。上の線:Merckから購入した5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオン。下の線:AppliChemから購入した5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオン。
【
図2】上の線:5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンの結晶形態IIのXRPD図。下の線:実施例1のXRPD図との差(Δ)。また、5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンの結晶形態IIおよびNaCIの2θ反射も示されている。
【
図3A】Paradiesによって公開された値に従って計算された、結晶形の5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンの分子充填の空間充填モデル。
【
図3B】5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンの結晶形態IIの分子充填の空間充填モデル:それぞれ、上の図:a軸に沿って;中央の図:b軸に沿って;下の図:c軸に沿って。
【
図4A】Paradiesによって公開された値に従って計算された、5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンの結晶形の分子充填の三量体積層モデル
【
図4B】5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンの結晶形態IIの分子充填物の三量体積層モデル
【
図5】5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンの結晶形態IIのTG-DSC図。上の線:TGによって決定される質量損失。下の線:DSCによって決定される熱流量
【0143】
略語
COPD 慢性閉塞性肺疾患
D(または:d) 面間隔
DFT 離散フーリエ変換
DMSO ジメチルスルホキシド
DPI 乾燥粉末吸入器
DSC 示差走査熱量測定
ECL ルミノールの電気化学発光
EDTA エチレンジアミン四酢酸
GMP 優良医薬品製造基準
l/lo (rel)相対強度
l/lo (%)相対強度%
ICD-10 国際疫病分類 第10版
IMID 免疫調節剤
mbar ミリバール
MDI 定用量吸入器
min 分
NSAID 非ステロイド系抗炎症薬
PEG ポリエチレングリコール
PXRD 粉末X線回折
SDS-PAGE ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動
TG 熱重量分析
Uiso 等方性原子変位パラメータ
v/v 体積濃度
θ ブラッグ角θ
重量% 重量パーセント