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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-03
(45)【発行日】2022-03-11
(54)【発明の名称】編組カテーテルアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/00 20060101AFI20220304BHJP
   A61M 25/06 20060101ALI20220304BHJP
【FI】
A61M25/00 620
A61M25/06 550
【請求項の数】 40
(21)【出願番号】P 2018560834
(86)(22)【出願日】2017-05-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-07-18
(86)【国際出願番号】 US2017033319
(87)【国際公開番号】W WO2017201280
(87)【国際公開日】2017-11-23
【審査請求日】2020-05-08
(31)【優先権主張番号】62/338,491
(32)【優先日】2016-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/598,114
(32)【優先日】2017-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517145326
【氏名又は名称】ノルメディクス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】NORMEDIX,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100116322
【弁理士】
【氏名又は名称】桑垣 衛
(72)【発明者】
【氏名】ガンスケ、カール ブイ.
(72)【発明者】
【氏名】ウェルチ、ジェフリー エム.
(72)【発明者】
【氏名】サットン、グレッグ スチュアート
【審査官】上石 大
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/189828(WO,A1)
【文献】特開平08-317986(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0101261(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/00
A61M 25/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテル近位部からカテーテル遠位部に延びるカテーテル本体であって、
インナライナと、
アウタスリーブと、
を含む、前記カテーテル本体と、
前記カテーテル本体の内部にあり、かつ、前記インナライナと前記アウタスリーブとの間にある編組アセンブリであって、
前記カテーテル本体の周りを第1の方向に螺旋状に延びる1以上の第1の素線を含む第1の素線アレイと、
前記第1の素線アレイと織り合わされる編組ブレイスであって、1以上の第2の素線を有し、前記カテーテル本体の周りを前記第1の方向とは反対の第2の方向に延び、前記第2の素線が前記第1の素線のよりも少なくとも1桁大きいを有し、かつ、前記第1の素線アレイを固定し支える、編組ブレイスと、
を含む、前記編組アセンブリと、
前記編組アセンブリの外側に沿って螺旋状に延びるコイルと、
を備え
前記編組ブレイスは、前記カテーテル本体の周りを螺旋状に延びる少なくとも1つの案内凹部を含み、前記コイルは、前記少なくとも1つの案内凹部の内部に受け入れられる、カテーテルアセンブリ。
【請求項2】
前記1以上の第2の素線は、前記1以上の第1の素線の第1の素線幅よりも大きい第2の素線幅を有する、請求項1に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項3】
前記編組ブレイスは、前記第1の素線アレイと織り合わされたコイルを含む、請求項1に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項4】
前記コイルは、円形断面を含む、請求項3に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項5】
前記アウタスリーブは、前記編組アセンブリ上にリフローされ、前記リフローされたアウタスリーブは、前記編組ブレイスを前記カテーテル本体の内部に固定し、かつ、前記リフローされたアウタスリーブと前記編組ブレイスとは、協働して前記第1の素線アレイを構造的に支える、請求項1に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項6】
前記編組アセンブリは、トルク伝達性及び耐キンク性の編組アセンブリを含み、
前記第1の素線アレイは、第1のトルク伝達性及び第1の耐キンク性を含み、かつ、
前記編組ブレイスは、前記第1の耐キンク性よりも大きい第2の耐キンク性を含む、請求項1に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項7】
前記編組ブレイスは、前記第1の素線アレイの前記第1のトルク伝達性よりも小さい第2のトルク伝達性を含む、請求項6に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項8】
前記少なくとも1つの案内凹部は、前記編組ブレイスの近位面又は遠位面の1つに沿って延びる、請求項に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項9】
前記コイルと前記編組ブレイスとは、両者の間に前記編組アセンブリをクランプする、請求項に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項10】
カテーテル近位部からカテーテル遠位部に延びるカテーテル本体であって、インナライナとアウタスリーブとを含む、前記カテーテル本体と、
前記カテーテル本体の内部にあり、かつ、前記インナライナと前記アウタスリーブとの間にある編組アセンブリであって、
前記カテーテル本体の周りを第1の方向に螺旋状に延びる1以上の第1の素線を含む第1の素線アレイと、
前記カテーテル本体の周りを、前記第1の方向とは反対の第2の方向に螺旋状に延びる1以上の第2の素線を含む第2の素線アレイと、
を含み、
前記第1の素線アレイ又は前記第2の素線アレイの少なくとも1つは、前記第1の素線又は前記第2の素線とともに螺旋状に延びる少なくとも1つの案内凹部を含む、前記編組アセンブリと、
前記少なくとも1つの案内凹部の内部に受け入れられ、かつ、前記第1の素線又は前記第2の素線とともに前記カテーテル本体の周りを螺旋状に延びるコイルと
を備えるカテーテルアセンブリ。
【請求項11】
前記第2の素線アレイの前記1以上の第2の素線は、素線断面を横断するより大きなを有し、前記より大きなは、前記第1の素線アレイの前記1以上の第1の素線のより小さいよりも大きい、請求項10に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項12】
前記少なくとも1つの案内凹部は、前記より大きなを含む前記第2の素線アレイに沿って延びており、前記少なくとも1つの案内凹部は、前記より大きなに比例して変化する凹部深さを含む、請求項11に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項13】
前記1以上の第2の素線は、扁平又は卵形の素線を含み、前記より大きなは、前記扁平又は卵形の素線の幅及び厚さのうちの1つ以上を含む、請求項11に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項14】
前記1以上の第2の素線は、円形の素線を含み、前記より大きなは、前記円形の素線の直径を含む、請求項11に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項15】
前記コイルは、コイルの輪郭を含み、前記コイルの輪郭の少なくとも第1の部分が、前記少なくとも1つの案内凹部の内部に受け入れられる、請求項10に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項16】
前記コイルの輪郭は、前記コイルの輪郭の第2の部分を含み、前記コイルの輪郭の前記第2の部分が、前記アウタスリーブの内部に受け入れられる、請求項15に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項17】
前記コイルは、コイルの輪郭を含み、前記コイルの輪郭の少なくとも一部は、前記少なくとも1つの案内凹部の内部に受け入れられており、かつ、前記編組アセンブリの編組の輪郭と同じ範囲を占める、請求項10に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項18】
前記コイルは、約0.001インチ~約0.010インチ(約0.025ミリメートル~約0.254ミリメートル)の直径を含む、請求項10に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項19】
前記第1の素線アレイ又は前記第2の素線アレイの少なくとも1つは、
前記第1の素線アレイ又は前記第2の素線アレイの近位面に沿って延びる近位案内凹部と、
前記第1の素線アレイ又は前記第2の素線アレイの遠位面に沿って延びる遠位案内凹部と、
を含む、請求項10に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項20】
前記コイルは、前記近位案内凹部又は前記遠位案内凹部の1つの中に受け入れられる、請求項19に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項21】
前記コイルは、第1のコイル及び第2のコイルを含み、前記第1のコイルは、前記近位案内凹部の内部に受け入れられ、前記第2のコイルは、前記遠位案内凹部の内部に受け入れられる、請求項20に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項22】
前記コイルは、前記編組アセンブリの外側に延出する、請求項10に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項23】
前記コイルは、前記編組アセンブリの内側に延出する、請求項10に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項24】
カテーテル近位部からカテーテル遠位部に延びるカテーテル本体であって、
インナライナと、
アウタスリーブと、
を含む、前記カテーテル本体と、
前記カテーテル本体の内部にあり、かつ、前記インナライナと前記アウタスリーブとの間にある編組アセンブリであって、
前記カテーテル本体の周りを第1の方向に螺旋状に延びる1以上の第1の素線を含む第1の素線アレイと、
前記カテーテル本体の周りを、前記第1の方向とは反対の第2の方向に螺旋状に延びる1以上の第2の素線とを含み、前記第2の素線は、前記第1の素線のよりも少なくとも1桁大きいを含む、第2の素線アレイと、
を含む前記編組アセンブリと、
を備え
前記編組アセンブリは、前記第1の素線アレイ又は前記第2の素線アレイの1つに沿って延びる少なくとも1つの案内凹部を含み、かつ、前記少なくとも1つの案内凹部の内部に受け入れられるコイルを備える、カテーテルアセンブリ。
【請求項25】
前記1以上の第2の素線の少なくとも第2の素線幅は、前記第1の素線数と前記第2の素線数との違いに応じて、前記1以上の第1の素線の第1の素線幅よりも大きい、請求項24に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項26】
前記第1の素線数が前記第2の素線数よりも多い場合、前記1以上の第2の素線の少なくとも第2の素線幅は、前記1以上の第1の素線の第1の素線幅よりも大きい、請求項24に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項27】
前記1以上の第1の素線の第1の素線数と、前記1以上の第2の素線の第2の素線数とは、15:1、14:2、13:3、12:4、11:5、10:6、9:7、8:8、7:9、6:10、5:11、4:12、3:13、2:14、1:15を含む比率で存在する、請求項24に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項28】
前記1以上の第2の素線の少なくとも第2の素線幅は、前記1以上の第1の素線の第1の素線幅よりも大きい、請求項24に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項29】
前記第2の素線幅は、前記第1の素線幅よりも少なくとも1桁大きい、請求項28に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項30】
前記第1の素線及び前記第2の素線の少なくとも1本は、扁平又は卵形の断面を含む、請求項24に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項31】
前記第1の素線及び前記第2の素線の少なくとも1本は、約0.0005インチ~約0.005インチ(約0.013ミリメートル~約0.127ミリメートル)の厚さ寸法と約0.001インチ~約0.030インチ(約0.0254ミリメートル~約0.762ミリメートル)の幅寸法とを含む、請求項30に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項32】
前記コイルは、前記第1の素線アレイと前記第2の素線アレイのいずれかに沿って延びる前記少なくとも1つの案内凹部に応じて前記第1の素線アレイ又は前記第2の素線アレイのいずれの螺旋にも追従する、請求項24に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項33】
前記コイルは、コイルの輪郭を含み、前記コイルの輪郭の少なくとも一部は、前記少なくとも1つの案内凹部に配置される、請求項24に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項34】
前記コイルは、コイルの輪郭を含み、前記コイルの輪郭の少なくとも一部は、前記編組アセンブリの編組の輪郭と同じ範囲を占める、請求項24に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項35】
前記コイルは、約0.001インチ~約0.010インチ(約0.025ミリメートル~約0.254ミリメートル)の直径を含む、請求項24に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項36】
前記第1の素線アレイ又は前記第2の素線アレイの前記第1の素線又は前記第2の素線の少なくとも一方は、他方の前記第2の素線アレイ又は前記第1の素線アレイと織り合わされたコイルである、請求項24に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項37】
前記コイルは、約0.001インチ~約0.010インチ(約0.025ミリメートル~約0.254ミリメートル)の直径を含む、請求項36に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項38】
前記第1の素線アレイ又は前記第2の素線アレイの少なくとも一方は、他方の前記第2の素線アレイ又は前記第1の素線アレイと織り合わされた編組ブレイスを含む、請求項24に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項39】
前記アウタスリーブは、前記編組アセンブリ上にリフローされ、前記リフローされたアウタスリーブは、前記編組ブレイスを前記カテーテル本体の内部に固定し、かつ、前記リフローされたアウタスリーブと前記第1の素線アレイ又は前記第2の素線アレイの前記編組ブレイスとは、協働して他方の前記第2の素線アレイ又は前記第1の素線アレイを構造的に支える、請求項38に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項40】
前記1以上の第1の素線及び前記1以上の第2の素線は、30~180の1インチ当たり(25.4ミリメートル当たり)のピック数(PPI)を有する、請求項24に記載のカテーテルアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本文書は、一般に、限定するものではないが、診断法又は治療法に用いられる器械を含むカテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
イントロデューサシース、ガイドカテーテル等は、診断法及び治療法に用いられる。シース及びガイドカテーテルは、カテーテルを含む他の器械を導くために用いられ、他の器械は、脈管系の内部に、脈管系を介して1つ以上の目的位置に導かれる。カテーテルは、1つ以上のシース又はガイドカテーテルを通じて送達され、選択的に、スタイレット、ガイドワイヤ等を用いて、脈管系を通じてシース又はガイドカテーテルの遠位端を越えて誘導される。いくつかの例において、シース及びガイドカテーテルは、脈管系を通じて(例えばガイドワイヤを用いて)同様に誘導される。
【0003】
脈管、血栓、プラーク等を含む脈管系の様々な機構を介した送達は、これらのカテーテル(イントロデューサシース、ガイドカテーテル、カテーテル等の1つを含む)の1つ以上の操作によって行われる。かかる操作は、(例えば、近位カテーテル端から遠位カテーテル端に向けての)カテーテルの軸押し、(例えば、カテーテルの縦軸と直角の)脈管系又は他の導管内での曲がりを誘導するためのカテーテルの横曲げ、及び(例えば、近位カテーテル端を回転させ、遠位カテーテル端を同様に回転させることによる)カテーテルの回転、のうちの1つ以上を含む。
【発明の概要】
【0004】
本発明者らは、とりわけ、解決すべき課題は、押し込み性、トルク伝達性及び柔軟性のうちの1つ以上を含むカテーテルの操作特性を高めつつ、カテーテルのキンキングを最小限にすることを含み得ると認識している。従来のカテーテルは、より曲げやすく製造される(例えば、導管又は脈管内で曲げることができ、回転を誘導することができる)ので、該カテーテルは、多くの場合、キンキングを起こしやすくなっている。さらに、いくつかの例において、従来のカテーテルは、トルク伝達性を高めるための編組(例えば、ポリマー、ニチノール、ステンレス鋼等)を含む。これらの例における編組の組み込みによって、多くの場合、カテーテルの耐キンク性が低下する。カテーテルは、いくつかの例において、カテーテルの内部に1つ以上のコイル(例えば、ニチノール、ステンレス鋼コイル等のうちの1つ以上)を含むことによって耐キンク性がより高くなるように製造される。1つ以上のコイルは、カテーテルの耐キンク性を高めるが、編組によって得られるトルク伝達性は付与しない。さらにまた、コイルと編組とを併用することによってカテーテルの寸法は大きくなり、もしそのように寸法が大きくなければカテーテル又はカテーテル内の導線、器械若しくは他の機構の配置を通じて輸液、カテーテル、器械等の送達に利用可能なはずの貴重な空間(例えばルーメン空間)を相応じて消費する。
【0005】
種々の比率、サイズ及びピッチ(1インチ当たり(25.4ミリメートル当たり)のピック数(picks per inch)の逆数)の編組素線のペアリング、編組を有する1つ以上のコイルの組み込み等を含むカテーテルの構造的機構の1つ以上の特性を変えること等によって、本発明はこれらの課題の解決策を提供するのに役立つことができる。一例において、編組は、左手方向に編組された素線の第1のアレイ(X)及び、右手方向に編組された素線の第2のアレイ(Y)を含む。カテーテルに所望の程度のトルク伝達性を付与するために、素線数が変えられる(例えば用例ベースでの素線数16におけるX:Yは、15:1、14:2、12:4、10:6、8:8、6:10、12:4、14:2、15:1等)。他の例において、素線の第1のアレイと第2のアレイとについて、素線の寸法は異なる。例えば、第1の素線アレイ(X)における素線の寸法(幅及び高さのうちの1つ以上)は、第2の素線アレイ(Y)における素線の寸法より小さい。一例において、より少数の素線を有する素線アレイの素線の寸法は、より多数の素線を有する素線アレイの素線の寸法より比較的大きい。例えば、より少数の素線の寸法の増大は、1方向(例えば左回り回転)におけるトルク伝達性の増強を付与することができるが、より多数の素線は、反対方向(例えば右回り回転)におけるトルク伝達性の増強を付与することができる。
【0006】
さらに、提案された配置は、カテーテルの耐キンク性を増強させる。先に議論したように、従来の編組カテーテルは(いくつかの例において)、コイルを含むカテーテルに関しては比較的キンキングを起こしやすい。本明細書に記載の編組素線を含むカテーテルは、キンキングにも抵抗する。一例において、編組は、第2の素線アレイの寸法に関して、比較的大きい寸法(例えば幅)を有するアレイの素線を有する第2の素線アレイにおいて、より少数の素線を含む。いくつかの例において、第2の素線アレイの素線は、第1の素線アレイの素線より少なくとも1桁大きい幅を含む。第2の素線アレイは、より多数の素線を含む第1の素線アレイの上下に延びる編組ブレイスを、当該第2の素線アレイ自身によって提供する。編組ブレイスは、例えばリフローされたアウタスリーブを有するカテーテルの内部に固定される。(カテーテル内の所定の位置に固定された)編組ブレイスは、第1の素線アレイを構造的に支え、カテーテルが、例えば曲がりくねった脈管系内で撓んでいるときであっても、第1の素線アレイのその巻かれた形状への維持を向上させる。換言すれば、編組ブレイス(例えば第2の素線アレイ)は、カテーテル内の所定の位置に第1の素線アレイを固定し、キンキングに抵抗する構造支持体を編組に提供する。すなわち、編組ブレイスは、もし当該編組ブレイスがなければ第1の素線アレイに存在するはずのキンキングを最小限にする(例えば除去するか又は減少させる)、第1の素線アレイと織り合わされたカテーテル本体の内部の支持骨組(ケージ、フレーム等)を提供する。
【0007】
選択的に、第2の素線アレイは、コイルの寸法に等しいか又はそれに近い寸法を有する1以上の素線を含む。すなわち、編組は、素線アレイの少なくとも1つの一部として1つ以上の編組コイルを含む。編組コイルは、耐キンク性を高めるために素線アレイの少なくとも1つに支持を提供する編組ブレイスの別の例であり、その一方で、相手側の素線アレイは、トルク伝達性を高める。さらに、コイルの寸法と同等の寸法を有する素線(例えば、素線アレイの少なくとも1つがコイルを含む)の組み込みは、別々にコイルが巻かれている編組、又は直下に配置されたコイルを有する編組を含むアセンブリに対し、相対的に編組の輪郭を最小限にする。
【0008】
第2の素線アレイは、第1の素線アレイを固定するとともに構造支持体を提供するので、一例において、(例えば編組ブレイスを形成する)第2の素線アレイ素線のより大きな寸法のため、編組のピッチ(すなわち、1インチ当たり(25.4ミリメートル当たり)のピック数すなわちPPI(picks per inch)の逆数)は、もしそのような寸法でなければカテーテルがキンキングをより起こしやすいはずのレベルに容易に調整される。例えば、第1の素線アレイのピッチを(例えば45度以上に)増加させることによって、カテーテルのトルク伝達性は増強する。逆に、より大きいピッチ(例えばより小さいPPI)を有する第1の素線アレイは、耐キンク性が低い。第1の素線アレイで編組された第2の素線アレイは、第1の素線アレイを構造的に支え、もしそうでなければ第1の素線アレイによって最小限にされるはずの耐キンク性を高める。実際上、第1の素線アレイは、編組の耐キンク性を高める一方、第2の素線アレイは、トルク伝達性の増強を容易にする。
【0009】
別の例において、1つ以上の追加のコイルが編組に含まれる。既述のように、いくつかの例において、コイルの組み込みは、カテーテル内の空間を好ましくなく消費するか、或いは追加の構成要素を収容するためにより大きな外径をカテーテルが有することを必要とする。本発明は、編組に設けられる案内凹部、例えば第1の素線アレイ又は第2の素線アレイの1つに編組に沿って形成される螺旋トラックを用いることによって、この課題の解決策を提供することにも役立つことができる。一例において、第2の素線アレイは、前述のように、第1の素線アレイに対してより少数の素線を含む。選択的に、第2の素線アレイは、編組にさらなる構造支持体を提供しつつ、同時に編組の「弱い」方向(例えば、第1の素線アレイにおける限られた数の素線の巻かれた方向)におけるトルク伝達性を増強する、より大きな寸法を含む。第2の素線アレイの螺旋トラックは、第2の素線アレイに沿って延びる案内凹部を提供し、その中にコイル(の少なくとも一部)を収容するように構成される。案内凹部の内部のコイルの位置決めは、コイルの全体的な輪郭を最小限にし、それとともにコイルは、カテーテルにさらなる耐キンク性を提供する。一例において、第2の素線アレイを含むカテーテルは、第1の素線アレイに構造支持体を提供し、さらなるコイルは、第2の素線アレイと協働してそれらの間に第1の素線アレイをクランプし、カテーテルの耐キンク性をさらに高める。
【0010】
選択的に、第1のコイルは、第1の素線アレイの近位面(例えば第1の案内凹部の内部)に装備され、第2のコイルは、第1の素線アレイの遠位面(第2の案内凹部の内部)に装備される。編組及びコイルアセンブリ上にスリーブをリフローすることによって、案内凹部の内部の所定の位置に少なくとも1つのコイルを固定する。さらに、案内凹部は、コイルの輪郭を最小限にするため、比較的厚いスリーブを必要とすることなく、スリーブは、容易にカテーテル内でコイルを覆い、組み込む。
【0011】
本概要は、本特許出願の主題のいくつかの概要を提供することを意図している。本開示の排他的又は網羅的な説明を提供することを意図していない。発明の詳細な説明は、本特許出願についてのさらなる情報を提供するために含まれる。
【0012】
図面において、図面は必ずしも縮尺どおりではなく、同じ数は、異なる図面を通じて同様な構成要素を指す場合がある。異なる添え字を有する同じ数は、同様な構成要素の異なる例を表す場合がある。図面は、限定するものではなく、例として、本文書に記載の種々の実施形態を大略的に示す。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】一実施形態による、カテーテルの正面図。
図2】一実施形態による、カテーテルの背面図。
図3】一実施形態による、カテーテルの断面図。
図4】一実施形態による、カテーテルの部分断面図。
図5】一実施形態による、カテーテルの部分断面図。
図6】一実施形態による、カテーテルの部分断面図。
図7】一実施形態による、カテーテルの部分断面図。
図8】一実施形態による、カテーテルの部分断面図。
図9】一実施形態による、カテーテルの部分断面図。
図10】一実施形態による、カテーテルの正面図。
図11】縦軸(右側図)及び直交軸(左側図)に沿って作成した、例示的なカテーテルの複合断面図。
図12】縦軸に沿った部分断面(右側図)及び直交軸に沿った断面(左側図)を有する、別の例示的なカテーテルの複合断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本技術は、種々の変更及び代替形態が可能であり、例及び図面を用いてそれらの特質を示してきたが、それらを詳細に説明する。しかしながら、本願は、記載された特定の実施形態に限定されないことを理解すべきである。逆に、本願は、本技術の精神及び範囲内にある変更物、等価物及び代替物を含むものとする。
【0015】
本明細書に記載の本開示の実施形態は、網羅的なものではなく、以下の詳細な説明に開示されたとおりの形態にその開示を限定すべきものでもないことが意図される。むしろ、実施形態は、当業者が、本開示の原理及び実施を認識し理解できるように選択され、記載される。
【0016】
本明細書に記載のすべての刊行物及び特許は参照により本書に組み込まれる。本明細書に開示された刊行物及び特許は、単にそれらの開示のために提供されるものである。本書における記載は、本発明者らが、本明細書に記載の任意の刊行物及び特許の両方又は一方を含む任意の刊行物及び特許の両方又は一方に先行する権利がないと認めるものとして解釈してはならない。
【0017】
本明細書に記載のカテーテルの例によって、新規な設計、構造及び材料を提供することで、現行のカテーテル技術に関連する課題を解決することができる。本明細書に記載のカテーテルは、選択的に、1つ以上の脈管又は導管(例えば動脈、静脈、脈管、体内通路又は空洞等)にアクセスすることを含む介入処置に用いられる。さらに、本明細書に記載のカテーテルは、ナビゲーション中に、キンキングを最小限にすると同時に、カテーテルの撓み、トルク伝達性、及び他の機械特性の増強を容易にする。例えば肥満患者における橈骨動脈アクセス、すなわち大腿アプローチにおいて、顕著な動脈蛇行に遭遇する場合に、本明細書に記載のカテーテルは、このような脈管を経由するナビゲーションのために構成される。本明細書に記載のカテーテルは、限定するものではないが、イントロデューサシース、ガイドカテーテル、送達カテーテル、又は、診断法若しくは治療法に用いられる他の一般的な管状装置(例えば器械、流体送達導管、バルーン等を含む)を含む。
【0018】
種々の実施形態において、カテーテルは、巻かれた金属内層(編組アセンブリ)を用いて製作され、内側及び外側のポリマー層、例えばそれぞれインナライナとアウタスリーブとで被覆された、複合組立チューブを含む。金属内層は、多条(素線6~30本)螺旋巻の編組構造で構築される。いくつかの実施形態において、タイトなワイヤマトリックスを実現するために、1以上の素線の断面が部分的に扁平又は卵形(例えば長方形を含む)になるように、素線はスエージ加工される。他の例において、編組アセンブリは、1つ以上のスエージ加工されていない円形、正方形又は長方形の素線で(選択的に、スエージ加工された形状を有する他の素線と組み合わせて)製造される。本明細書に記載されるように、編組アセンブリは、素線アレイ、例えば螺旋巻され織り合わされた第1の素線及び第2の素線アレイを含む。
【0019】
種々の実施形態において、編組アセンブリの壁厚は、約0.0005インチ~約0.020インチ(約0.013ミリメートル~約0.508ミリメートル)の厚さである。編組アセンブリは、例えば、キンキング、座屈、柔軟性、半径方向強度、及び、カテーテルのルーメン断面の円形を維持することに関して、現行のガイドカテーテルと比較してカテーテルの機械的完全性を改善する。この改善は、一例において、素線アレイのそれぞれにおける素線の数を変えることによって達成される(例えば、合計素線数が素線16本の場合、15:1、14:2、13:3、12:4、11:5、10:6、9:7、8:8、7:9、6:10、5:11、4:12、3:13、2:14、1:15を含むがこれに限定されない種々の比率で達成される)。
【0020】
別の例において、改善された機械特性は、1つ以上のアレイにおける1以上の素線の寸法(例えば断面の寸法)を変えることによって達成される。例えば、比率14:2のアレイにおいて、第1の素線(素線14本)は、断面についての第1の素線寸法を含み、該第1の素線寸法は、直径、厚さ、又は幅のうちの1つ以上が、第2の素線(素線2本)の対応する寸法より小さい。換言すれば、第2の素線は、第1の素線と比較して、数は少ないが、少なくとも1つの断面寸法は大きい。本明細書に記載されるように、第2の素線は、編組ブレイスのように、より細い第1の素線を構造的に支え、それによって(例えば、撓んでいる間にキンキング又は座屈のない)所望の形状に第1の素線を維持する、フレーム、骨組、ケージ等として機能する。選択的に、第2の素線は、第1の素線と織り合わされた、コイル等の1以上の素線を含む。コイルは、前述の第2の素線と同様に、第1の素線の編組ブレイスとして機能する。第1の素線(及び編組ブレイスを含む第2の素線)は、カテーテルに改善されたトルク伝達性を付与する一方、編組ブレイスは、編組アセンブリを構造的に支え、少なくとも、高められた耐キンク性を提供する。編組ブレイスを含めることで、編組アセンブリに編組ブレイスの輪郭が組み込まれることとなり、この組み込みによって、編組アセンブリへの上方又は下方に追加的な支持構造体の結合が避けられ、かかる結合に伴う空間の消費(すなわち、カテーテルが大きくなること)が回避される。
【0021】
さらに別の例において、本明細書に記載のカテーテルは、例えば素線アレイの1つによって提供される案内凹部に、編組アセンブリに沿って巻かれたコイルを含む。コイルは、カテーテルの機械特性を向上させる。選択的に、コイルは、例えば編組ブレイスを含む1以上の素線に沿って螺旋状に延びる。コイルと編組ブレイスとは、協働してカテーテル内の所定の位置に(上述した)第1の素線を捕捉し、保持する。さらに、編組アセンブリと選択的なコイルとにアウタスリーブ(例えばリフローされた又は収縮したスリーブ)を馴染ませることによって、編組ブレイスと(選択的な)コイルのそれぞれが、所定の位置に固定される。アウタスリーブと編組ブレイスとは、第1の素線を所定の位置に捕捉して保持し、カテーテルのキンキングを最小限にする(例えば、除去するか又は減少させる)。コイルが編組アセンブリに沿って含まれる場合、コイルと編組ブレイスとは、アウタスリーブの内部に捕捉され(例えばリフローされ)、両者間に第1の素線をクランプする。それによって、第1の素線のキンキング、座屈等は、アウタスリーブと併用される編組ブレイス又はコイルのうちの1つ以上によって、防止される。
【0022】
少なくともいくつかの例において、本開示のカテーテルは、外側のポリマー層等のアウタスリーブと、内側のポリマー層等のインナライナをも含む。一実施形態において、外側のポリマー層及び内側のポリマー層は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、Pebax(登録商標)又はポリウレタン等のうちの1つ以上のポリマーを含む。ポリマー層は、ポリマーの熱収縮又はリフローによって編組アセンブリに取り付けられる。ポリマー層の壁厚は、各層について、千分の1.0インチ~約千分の3.0インチ(約25.4マイクロメートル~76.2マイクロメートル)である。
【0023】
種々の実施形態において、カテーテルは、湾曲した遠位末端領域等の予備成形された湾曲部を含む。カテーテルは、例えば、湾曲した形状が指定されるカテーテルの金属部分の熱処理によって、予備成形された湾曲形状を得る。湾曲部は、体温でその形状を保持し、経時的には概ね軟化しない(例えば、意図せずに形状が変化することはない)。ガイドカテーテルは、選択的に、柔らかい(低デュロメータの)ポリマー遠位端、種々の遠位湾曲形状、不透過性遠位マーカーバンド、近位ルアーアダプタ等を含む。
【0024】
本明細書に記載のカテーテルは、大きさが3Fから34Fまでであり、長さが少なくとも15cm以上~205cm以下である。既述のように、本明細書に記載の機構、要素及び機能並びにそれらの等価物は、限定するものではないが、イントロデューサシース、ガイドカテーテル、器械又は送達ルーメンの1つ以上を含むカテーテル等を含む、種々のカテーテルに用いられる。すなわち、トルク伝達性、押し込み性、柔軟性、耐キンク性等のそれぞれの増強は、種々のカテーテル方式及びタイプに容易に適用される。
【0025】
図面を参照すると、図1は、一実施形態による、ガイドカテーテル100の正面図を示す。図2は、ガイドカテーテル100の背面図を示す。図3は、図1及び図2に示したガイドカテーテル100の断面図を示す。一実施形態において、ガイドカテーテル100は、患者の脈管系に介入カテーテルを挿入するように構成することができる。
【0026】
一実施形態において、カテーテル100は、遠位端部(遠位端104を含む)と近位端部(近位端106を含む)とを有するカテーテル本体102(例えば、選択的なルーメンを有する主管状シャフト)を含む。遠位端104は、近位端106から管状シャフト102の対向端にある。遠位端104は、ポリマーの少なくとも1つの層を含む。別の例において、遠位端104は、ポリマーの少なくとも2つの層を含む。選択的に、遠位端104は内層及び外層を含む。一例において、遠位端104の内層はPTFEを含む。別の例において、遠位端104の外層はPebax(登録商標)を含む。一実施形態において、遠位端104は、少なくとも0.05インチ(約1.3ミリメートル)の長さを有する。別の実施形態において、遠位端104は、少なくとも0.02インチ(約0.51ミリメートル)の長さを有する。さらに別の実施形態において、遠位端104は、0.02インチ(約0.51ミリメートル)以下の長さを有する。さらなる実施形態において、遠位端104は、0.5インチ(約12.7ミリメートル)以下の長さであることができる。
【0027】
種々の実施形態において、カテーテル本体(例えば、管状シャフト102を含む)は、主インナ構造層、例えば、本明細書に記載の編組アセンブリ、個別コイル又はその組み合わせのうちの1つ以上を含む。主インナ構造層は、近位端部と遠位端部との間に(例えば、カテーテル本体の長さの全長又はその一部に沿って)延びる、螺旋状で織り合わされた編組アセンブリを含む。種々の実施形態において、編組アセンブリは、カテーテルのインナライナの少なくとも一部を覆う。アウタスリーブ、例えば収縮チューブ、リフローポリマー等は、編組アセンブリを囲繞し、少なくともいくつかの例において、編組アセンブリの隙間空間(例えば、素線、コイル、編組の正逆の螺旋等の間)に馴染ませられる。
【0028】
本明細書に記載されるように、主管状シャフト102を含むカテーテル本体は、外層(例えば、アウタスリーブ等のジャケット)を含む。外層は、選択的にポリマーを含む。外層は、編組アセンブリ(例えばジャケット、コート、カバー等)を囲繞している。外層(収縮チューブ)の収縮又は編組アセンブリの含浸のうちの1つ以上、及び、選択的にインナライナの接触(リフローによる)によって、外層は、編組アセンブリ及び選択的にインナライナに固定される(例えば固く結合される)。
【0029】
種々の実施形態において、カテーテル(例えば、主管状シャフト102を含むカテーテル本体)のインナライナは、ポリマーを含む。内層(例えばインナライナ)は、編組アセンブリ(例えば、ジャケット、コート又はカバー等)の内表面に沿って延びており、該内表面に結合される。内層は、ライナ上への編組アセンブリの圧縮(例えば収縮チューブを含むアウタスリーブによる)、ライナ上への編組アセンブリの編組中になされる圧縮、(インナライナにリフローされたポリマーの接触及び結合を含む)リフローされたアウタスリーブの編組アセンブリへの含浸、のうちの1つ以上によって、主インナ構造層に結合される(例えば固く結合される)。
【0030】
主管状シャフト102は、選択的に、例えば遠位端104を含む遠位端部に、又はその付近に、湾曲部を含む(図10に示す)。湾曲形状は、解剖学的適合性のために構成される。編組アセンブリ又は別の金属部分と同様に、この形状は選択的に形成され、主管状シャフト102に熱加工される。一例において、編組アセンブリは、遠位端部の湾曲部の前の遠位部で終端する。
【0031】
種々の実施形態において、編組アセンブリは、積層によってアウタスリーブとインナライナとが融合しないように、内層(インナライナ)と外層(アウタスリーブ)との間で積層される。
【0032】
一実施形態において、カテーテルは、少なくとも60cm、かつ、200cm以下の長さである。別の実施形態において、主管状シャフト102は、少なくとも10cm、かつ、300cm以下の長さである。さらに別の実施形態において、主管状シャフト102は、少なくとも30cm、かつ、250cm以下の長さである。さらなる実施形態において、主管状シャフト102は、少なくとも50cm、かつ、225cm以下の長さである。
【0033】
一実施形態において、主管状シャフト102は、少なくとも0.060インチ(約1.52ミリメートル)であり、かつ、0.115インチ(約2.92ミリメートル)以下の外径(例えば、カテーテル本体の残部と結合したときのアウタスリーブの外径)を含む。別の実施形態において、主管状シャフト102は、少なくとも0.060インチ(約1.52ミリメートル)の外径を含む。さらなる実施形態において、主管状シャフト102は、少なくとも0.040インチ(約1.02ミリメートル)の外径を含む。さらに別の実施形態において、主管状シャフト102は、少なくとも0.050インチ(約1.3ミリメートル)の外径を含む。さらなる実施形態において、主管状シャフト102は、少なくとも0.070インチ(約1.78ミリメートル)、少なくとも0.080インチ(約2.03ミリメートル)等の外径を含む。さらに別の実施形態において、主管状シャフト102は0.115インチ(約2.921ミリメートル)以下の外径を有する。さらなる例において、主管状シャフト102は、限定するものではないが、0.095インチ(約2.41ミリメートル)以下、0.105インチ(約2.67ミリメートル)以下、0.125インチ(約3.18ミリメートル)以下、0.135インチ(約3.43ミリメートル)以下を含む外径を有する。
【0034】
図4及び図5に、種々の実施形態によるカテーテル100の一部の断面図を示す。示された例において、カテーテル100は、ルーメン400を含む。他の例において、カテーテルは開口ルーメンを有さない。図5は、遠位端104の一部の断面を示す。図5に見られるように、一例におけるガイドカテーテル100は、1つ以上の開口部506を含む。種々の実施形態において、主管状シャフト102を含むカテーテル本体は、カテーテル100の内側からカテーテルの外側に開く開口部506を含む。一実施形態において、遠位端104は開口部506を含む。
【0035】
図6は、一実施形態による、カテーテル100の縦軸に沿った主管状シャフト102の一部の断面図を示す。図7は、主管状シャフト102の末端からの断面図(例えばカテーテル100の縦軸に直交する)を示す。一実施形態において、主管状シャフト102を含むカテーテル本体は編組アセンブリ608を含む。編組アセンブリ608は、カテーテル本体の周囲に、正逆(左右)方向に織り合わされた2つ又は素線アレイを含む。本明細書に記載されるように、素線アレイのそれぞれは、扁平又は卵形の(例えばスエージ加工された)素線、コイル(円形の素線)等を含むがこれに限定されない、1以上の素線を含む。種々の実施形態において、編組アセンブリは、限定するものではないが、金属(ステンレス鋼、ニチノール等)、ポリマー、本明細書に記載の材料のうちの2つ以上で構築される素線の複合物又は組み合わせで構築される、1以上の素線を含む。
【0036】
種々の実施形態において、編組アセンブリ608の素線は、スエージ加工される。種々の実施形態において、編組アセンブリの構成要素である素線は、30~180の1インチ当たり(25.4ミリメートル当たり)のピック数(ピッチの逆数)を有する、少なくとも2~30本の素線を含む。種々の実施形態において、編組アセンブリは、少なくとも4本、かつ、24本以下の素線を含む。他の実施形態において、編組アセンブリは、少なくとも8本、かつ、16本以下の素線を含む。種々の実施形態において、編組アセンブリ608の金属素線は、限定するものではないが、長方形の断面、円形断面、卵形断面、楕円断面(卵形の別の例)等を含む断面形状を含む。種々の実施形態において、編組アセンブリ608の素線は、編組の形状に編組を織り合わせる前に、例えばPTFEで、コーティングされる。
【0037】
一実施形態において、編組アセンブリ608は溶接終端を含む。一実施形態において、編組アセンブリ608は、金コーティングを有する遠位端を含む。種々の実施形態において、金コーティングは、約0.5mm~2mmの厚さである。他の実施形態において、金コーティングは、約0.4mm~2.5mmの厚さである。さらに他の実施形態において、金コーティングは、0.25mm~3mmの厚さである。
【0038】
一実施形態において、編組アセンブリ608は、約0.0015インチ~約0.010インチ(約0.038ミリメートル~約0.25ミリメートル)の厚さ(例えば編組アセンブリの外側から編組アセンブリの内側まで)を含む。別の実施形態において、編組アセンブリ608は、少なくとも0.0010インチ(約0.025ミリメートル)の厚さを含む。さらに別の実施形態において、編組アセンブリ608は、少なくとも0.0005インチ(約0.0013ミリメートル)の厚さを含む。他の実施形態において、主内側編組アセンブリ608は、0.015インチ(約0.38ミリメートル)以下の厚さを含む。さらに他の実施形態において、編組アセンブリ608は0.020インチ(約0.51ミリメートル)以下の厚さを含む。
【0039】
本明細書に記載されるように、主管状シャフト102を含むカテーテル本体は、アウタスリーブ等の外層610を含む。少なくとも一例において、外層610はポリマーを含む。外層610は、編組アセンブリ608の少なくとも一部の周囲に延びる(例えば、ジャケット、カバー、コート等)。一実施形態において、外層610は、少なくとも約0.001インチ(約0.025ミリメートル)であり、かつ、約0.005インチ(約0.13ミリメートル)以下の厚さである。別の実施形態において、外層610は、少なくとも約0.0007インチ(約0.018ミリメートル)の厚さである。さらに別の実施形態において、外層610は、少なくとも約0.0005インチ(約0.0013ミリメートル)の厚さである。さらに別の実施形態において、外層610は、約0.007インチ(約0.18ミリメートル)以下の厚さである。さらなる実施形態において、外層は、約0.01インチ(約0.25ミリメートル)以下の厚さである。
【0040】
選択的に、外層610は、限定するものではないが、Pebax(登録商標)、PTFE、収縮チューブ等を含む、1つ以上のポリマーを含む。別の例において、外層610はナイロンを含む。一実施形態において、外層610は親水性ポリマーでコーティングされる。別の例において、外層610は、少なくとも2つの層を含む。選択的に、2つの層のそれぞれは、Pebax(登録商標)又は本明細書に記載の1つ以上のポリマーを含む。別の例において、外層610は熱収縮性であり、ぴったりと結合して編組アセンブリ608上に外層610を形成する。さらに別の例において、外層610は、加熱されて編組アセンブリ608の周囲にリフローする、リフロー可能なポリマーを含む。選択的に、リフローされる外層610は、外層610内の1以上の素線(編組ブレイスを含む)を含浸し、捕捉する。本明細書に記載されるように、外層610は、編組ブレイス(例えば本明細書に記載のコイル、素線等)及び選択的な個別コイルと協力して、カテーテル100の顕著な撓みがあっても、(本明細書に記載の構造支持体なしの編組アセンブリに対して)特定の(キンキングのない)形状に編組アセンブリ608を維持する。
【0041】
一実施形態において、主管状シャフト102を含むカテーテル本体は、内層612等のインナライナを含む。内層612は、限定するものではないが、(図6及び図7に示すように、強度を提供し、選択的な中央ルーメンを通じて器械の通過を容易にするために)PTFE等の潤滑性ポリマーを含むポリマーを含む。内層612は、少なくとも編組アセンブリ608の内部に沿って延びる。
【0042】
一実施形態において、内層612は、少なくとも約0.001インチ(約0.03ミリメートル)であり、かつ、約0.005インチ(約0.13ミリメートル)以下の厚さである。別の実施形態において、内層612は、少なくとも約0.0007インチ(約0.018ミリメートル)の厚さである。さらに別の実施形態において、内層612は、少なくとも約0.0005インチ(約0.001ミリメートル)の厚さである。別の例において、内層612は、約0.007インチ(約0.18ミリメートル)以下の厚さである。さらに別の例において、内層は、約0.01インチ(約0.25ミリメートル)以下の厚さである。選択的に、内層612は、限定するものではないが、PTFE(前述)、ナイロン及びコーティングされた(例えば親水性ポリマーでコーティングされた)ポリマーを含む、1つ以上のポリマーを含む。
【0043】
一実施形態において、外層610(アウタスリーブ)及び内層612(インナライナ)は、例えば、編組アセンブリ608を介して融合される(図6及び図8に示す)。図8は、一実施形態による、主管状シャフト802の一部(カテーテル本体の一部)の断面図を示す。図9は、主管状シャフト802の末端からの断面図を示す。種々の実施形態において、主管状シャフト802は、編組アセンブリ814を含む。編組アセンブリ814は、選択的な内側編組アセンブリ808(又は他の構造支持体層)と外層810との間に配置される。別の例において、編組アセンブリ814は、アウタスリーブ(例えば外層810)とインナライナ(例えば内層812)との間にある。さらに別の例において、編組アセンブリ814は、外層810の一部の内部に配置される。別の例において、編組アセンブリ814は、選択的な内側編組アセンブリ808の少なくとも一部を覆う。
【0044】
一実施形態において、編組アセンブリ814の素線は、限定するものではないが、ステンレス鋼、ニチノール等を含む金属又はポリマーを含む。一実施形態において、編組アセンブリ814は、少なくとも約0.0005インチ(約0.0013ミリメートル)であり、かつ、約0.010インチ(約0.254ミリメートル)以下の厚さである。別の実施形態において、編組アセンブリ814は、少なくとも約0.005インチ(約0.13ミリメートル)であり、かつ、約0.010インチ(約0.254ミリメートル)以下の厚さである。さらに別の実施形態において、編組アセンブリ814は、少なくとも約0.0004インチ(約10.16マイクロメートル)の厚さである。さらなる実施形態において、編組アセンブリ814は、少なくとも約0.0003インチ(約7.62マイクロメートル)の厚さである。他の実施形態において、編組アセンブリ814は、約0.015インチ(約0.38ミリメートル)以下、約0.020インチ(約0.51ミリメートル)以下の厚さ等である。
【0045】
図10は、一実施形態による、例示的なガイドカテーテル1000の正面図を示す。ガイドカテーテル1000は、遠位端湾曲部1016を含む。遠位端湾曲部1016は、一例において、解剖学的適合性のために構成される。本明細書に記載されるように、遠位端湾曲部1016は、熱加工され、例えば、本明細書に記載の1つ以上の編組アセンブリ、セパレートの金属機構等を含む領域におけるカテーテル1000の形成可能な部分から構成される。遠位端湾曲部1016は、体温でその形状を保持し、経時的には概ね軟化しないため、指定されていない湾曲部の形状変化は防がれる。
【0046】
本明細書に記載のカテーテルは、正逆の螺旋状に延びる1以上のそれぞれの第1の素線及び第2の素線を含む、素線アレイのそれぞれを有する少なくとも第1の及び第2の織り合わされた素線アレイを有する編組アセンブリを含むカテーテル本体を含む。編組アセンブリは、インナライナとアウタスリーブとの間にある。少なくとも一例において、素線間の隙間空間、素線アレイ等を含む編組アセンブリには、アウタスリーブが馴染ませられる。
【0047】
編組アセンブリは、多条(例えば、素線6~30本)螺旋巻され織り合わされた編組構造で構築される。いくつかの実施形態において、タイトなワイヤマトリックスを実現するために、1以上の素線の断面が部分的に扁平又は卵形(例えば長方形及び長円形を含む)になるように、素線にはスエージ加工される。他の例において、編組アセンブリは、1つ以上のスエージ加工されていない円形、正方形又は長方形の素線で(選択的にスエージ加工された形状を有する他の素線と組み合わせて)製造される。一例において、第1の素線及び第2の素線アレイの1つ又は両方の1以上の素線は、コイルの寸法及び特性(例えば円形又は卵形断面、ヤング率、曲げ弾性率等の材料特性等)に近似する素線を含む。編組ブレイス1102の一例を、円形(コイル)素線によって、編組アセンブリ1100の一部として図11に示す(また、カテーテルの縦軸に沿って作成した右側の断面図に示される)。
【0048】
種々の実施形態において、編組アセンブリ1100の壁厚は、約0.0005インチ~約0.020インチ(約0.013ミリメートル~約0.508ミリメートル)の厚さである。編組アセンブリ1100は、キンキング、座屈、柔軟性、半径方向強度及び、カテーテルのルーメン1109の断面の円形を維持することに関して、現行のガイドカテーテルと比較してカテーテル1101の機械特性を改善する。カテーテルの編組アセンブリ1100は、限定するものではないが、1つ以上のトルク伝達性、柔軟性、押し込み性、又は耐キンク性を含むカテーテルの特性もまた改善する。この改善は、一例において、素線アレイ1104、1106のそれぞれにおける素線(例えば素線、コイル等)の数を変えることによって達成される(例えば、合計素線数が素線16本の場合、15:1、14:2、13:3、12:4、11:5、10:6、9:7、8:8、7:9、6:10、5:11、4:12、3:13、2:14、1:15を含むがこれに限定されない種々の比率で達成される)。偏った比率を含む編組アセンブリ1200の一例を、第1の素線アレイ1202中に第1の素線14本を有し、第2の素線アレイ1204中に第2の素線2本を有する素線数16本の編組の例を含む図12に示す。例示目的で、織り合わせは除いている(しかしながら、編組アセンブリ中には存在する)。
【0049】
別の例において、1つ以上の改善された機械特性は、1つ以上のアレイにおける1以上の素線の寸法(例えば断面の寸法)を変えることによって達成される。例えば、比率14:2のアレイにおいて、第1の素線(第1の素線アレイの素線14本)は、直径、厚さ又は幅のうちの1つ以上が、第2の素線(第2の素線アレイの素線2本)の対応する寸法より小さいような、断面における第1の素線寸法を含む。換言すれば、第2の素線は、第1の素線と比較して、数は少ないが、少なくとも1つの断面寸法は大きい。本明細書に記載されるように、第2の素線は、編組ブレイスのように、より細い第1の素線を構造的に支え、それによって(例えば、撓みの間、キンキング又は座屈のない)所望の形状に第1の素線を維持するフレーム、骨組、ケージ等を提供する。第1の素線及び第2の素線アレイ1202、1204の間で異なる寸法を有する素線を含む編組アセンブリ1200の一例を図12に示す。示されるように、第2の素線アレイ1204の第2の素線(例えばコイル、素線等)は、第1の素線アレイ1202の第1の素線に対して少なくとも1つのより大きな寸法を有する。一例において、第2の素線は、第1の素線より少なくとも1桁大きい、幅等の寸法を有する。
【0050】
選択的に、第2の素線は、第1の素線と織り合わされた、コイル等の1以上の素線を含む。コイルを含む第2の素線の例(コイル形状及び寸法を有する素線を含む)は、図11に示される。図11には、第2の素線の1つのアレイ1106が示されるが、他の例は、第1の素線アレイ1104の対応する数で織り合わされた第2の素線の複数のアレイを含む。1つ以上の織り合わされたコイルは、第1の素線用の編組ブレイスの別の例である。第1の素線(及び編組ブレイス1102を含む第2の素線)は、カテーテルに、改善されたトルク伝達性を付与し、一方で、編組ブレイス1102は、編組アセンブリ1100を構造的に支え、高められた耐キンク性(及び、選択的に、押し込み性及びトルク伝達性を含む他の改善された特性)を提供する。編組ブレイス1102を含めることで、編組アセンブリに編組ブレイスの輪郭が組み込まれることとなり、この組み込みによって、編組アセンブリへの上方又は下方に追加的な支持構造体(コイル等)を組み込むことが最小限にされ、かかる組み込みに伴う空間の消費(すなわち、カテーテルが大きくなること)が回避される。
【0051】
さらに別の例において、本明細書に記載のカテーテルは、例えば素線アレイ1202、1204の1つによって提供される案内凹部1208に、編組アセンブリ1200に沿って巻かれたコイル1206を含む。個別コイルの一例は、第2の素線アレイ1204に沿って延びる1つ以上のコイル1206によって図12に示される。コイル1206は、カテーテル1201の機械特性を向上させる。選択的に、コイル1206は、例えば編組ブレイス1210を含む1以上の素線に沿って螺旋状に延びる。コイル1206及び編組ブレイス1210は、協働して、カテーテル1201内の所定の位置に第1の素線(前述)1202を捕捉し、保持する。さらに、編組アセンブリ1200と選択的なコイル1206とにアウタスリーブ1212を馴染ませる(例えば、リフローされた又は収縮したスリーブ)ことによって、編組ブレイス1210と(選択的な)コイル1206のそれぞれが所定の位置に固定される。アウタスリーブ1212と編組ブレイス1210とは、第1の素線1202を所定の位置に捕捉して保持し、カテーテル1201のキンキングを最小限にする(例えば、除去するか又は減少させる)。コイル1206が編組アセンブリ1200に沿って含まれる場合、コイルと編組ブレイスとは、アウタスリーブ1212の内部に捕捉され(例えばリフローされ)、両者間に第1の素線1202をクランプする。それによって、第1の素線のキンキング、座屈等は、アウタスリーブ1212との併用される編組ブレイス1210又はコイル1206のうちの1つ以上によって、防止される。
【0052】
図12にさらに示すように、カテーテル1201は、第2の素線アレイ1204に隣接した1つ以上の案内凹部1208をさらに含む。第2の素線アレイ1204の1つ以上の面1214、1216は、案内凹部1208を形成する。例えば、図12に示すように、第2の素線アレイ1204は、近位面と遠位面1214、1216とを含む。1つ以上の案内凹部1208は、素線アレイ1202、1204の1つ(この例では第2のアレイ1204が示される)の螺旋トラックに従い、選択的に2つの案内凹部(1つは、第2の素線アレイ1204の近位面1214に沿い、もう1つは、その遠位面1216に沿っている)を含む。第2の素線アレイ1204は、第1の素線アレイ1202に織り合わされて編組アセンブリ1200を形成しているため、第2の素線アレイ1204が編組アセンブリの外側(例えば第1の素線アレイ1202の第1の素線のパスの間)にある場合、近位面及び遠位面1214、1216が存在する。少なくともこれらのゾーンにおいて、コイル1206は編組アセンブリ1200の内部に部分的に受け入れられており、それによって、アウタスリーブ内でコイル1206を含むために用いられる空間(例えばアウタスリーブ1212の厚さ)は最小限となる。一例において、編組アセンブリ1200は、カテーテル1201の内部にコイル1206を保持するために必要な空間を最小限にする一方で、個別コイル1206の組み込み及び機械特性(例えば耐キンク性等)に対する利点を促進する。コイル1206の輪郭の少なくとも一部は、残部が外層1212の内部にある一方で、案内凹部1208の内部に包まれる。外層1212は、一例において、(窪んだ)コイルの外表面に直接隣接したその外側によって薄くなる。
【0053】
本明細書に既述のように、カテーテル1101、1201に特定の機械特性を提供するために、編組アセンブリ1100、1200に含まれ、編組アセンブリに沿っている素線の比率、素線の寸法、及び構成要素のうちの1つ以上が変えられる。例えば、カテーテル1101、1201に特定のトルク伝達性を付与し、同時に耐キンク性を高めるために、素線の種々の比率及び寸法が用いられる。カテーテルの機械特性をさらに増強するために、編組アセンブリ1100、1200に沿って、例えば編組アセンブリ1200の案内凹部1208の内部に、1つ以上の選択的な個別コイル1206を選択的に装備する。本明細書で提供される表1、表2及び表3は、限定するものではないが、第1の素線及び第2の素線アレイ間の素線比率、素線寸法、素線形状、個別コイル及びそれらの位置を含む、編組アセンブリの種々の機構のそれぞれの例を記載している。これらの機構は、治療法又は診断法に特定の特性を提供するために選択され、カテーテルに実装される。
【0054】
表1(下記)は、合計素線数16本の素線数を含む編組アセンブリの一例を提供する。示されるように、第1の素線及び第2の素線アレイ間の比率、及びいくつかの例において、それらの断面形状は、編組形状の例のそれぞれの間で異なる。より本数の少ない素線アレイ(例えば6本以下)は、円形の素線(例えばコイル等)の選択肢を含むが、いくつかの例において、より多い素線本数、例えば素線6本より多い素線アレイでも円形の素線は含まれる。
【0055】
【表1】
表2は、第1の素線及び第2の素線アレイのそれぞれの寸法を含む素線形状について説明する。いくつかの例において、(例えば第2の素線アレイの)より大きな素線寸法は、より小さい他の素線アレイ(例えば第1の素線アレイ)の素線寸法と組み合わされる。約0.001インチ~約0.01インチ(約0.025ミリメートル~約0.254ミリメートル)の寸法を含む、円形断面を有する素線の例もまた提供される。表2は、さらに、桁の列に、第1の素線及び第2の素線アレイの寸法間の相対的差異を定性的に示す。示されるように、少なくともいくつかの素線形状は、他の(例えば第2の)素線アレイの他の素線の対応する寸法と比較して、幅又は直径等の寸法が少なくとも1桁大きい1つのアレイの1以上の素線を提供する。
【0056】
【表2】
表3は、編組アセンブリを有する1つ以上の個別コイルの配置を説明する。さらに、この表は、例えば、先に図12に示した1つ以上の案内凹部1208に沿い、素線アレイ、例えばより大きな寸法を有し、相応じてより大きな凹部を有する(例えば第2の素線の厚さ又は直径に対応する深さを有する)第2の素線アレイ1204、の1つに沿って提供される案内凹部の内部のコイルの位置の選択肢を説明する。種々の例において、1つ以上のコイルは、近位又は遠位の案内凹部1208の内部に(例えば、第2の素線アセンブリ等の素線アセンブリの近位面又は遠位面1214、1216に沿って)位置する。
【0057】
【表3】
本明細書において、カテーテル形状の種々の想定例が提供される。該形状は、表1、表2及び表3で提供される形状のうちの1つ以上をアセンブルすることによって描かれ、選択された形状に基づく機械特性の変化を提供する(例えば、アレイの1つにおけるより大きな素線等の編組ブレイス、コイル等の組み込みは耐キンク性を改善する)。
【0058】
例1のカテーテルは、編組アセンブリを含み、該編組アセンブリは、(例えば、編組アセンブリと、選択的にインナライナを有するアウタスリーブとの結合を容易にするために)ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製インナライナと当該編組アセンブリとの間に設けられた中間締付層を有するPTFE製インナライナに設けられる。インナライナは、外径約0.255インチ~約0.256インチ(約6.48ミリメートル~約6.502ミリメートル)を有し、(インナライナ上の)締付層外径は、約0.260インチ~約0.2605インチ(約6.60ミリメートル~約6.62ミリメートル)であり、(締付層上の)編組アセンブリ外径は、約0.270インチ~約0.271インチ(約6.86ミリメートル~約6.88ミリメートル)である。Pebax(登録商標)等のアウタスリーブは、カテーテルに沿って、編組アセンブリ上に提供される。
【0059】
例2のカテーテルは、編組アセンブリ外側に沿って延びる個別コイルを有する編組アセンブリを含む。編組アセンブリは、第1の素線対第2の素線の8:8の比率を含む。一例において、第1の素線は、約0.002インチ(約0.05ミリメートル)(厚さ)×約0.015インチ(約0.38ミリメートル)(幅)の断面寸法を有する。第2の素線は同じ寸法を有する。別の例において、第2の素線は、前述の寸法(例えば0.002インチ(0.051ミリメートル)×0.015インチ(約0.38ミリメートル))を有する一方、第1の素線は、約0.0005インチ(約0.0013ミリメートル)×0.003インチ(約0.076ミリメートル)の断面寸法を有する。この例において、第2の素線は、第1の素線より1桁大きい寸法を有する。編組アセンブリは、中間締付層を有するPTFE製インナライナ上に提供される。インナライナは、約0.2555インチ~約0.2565インチ(約6.49ミリメートル~約6.515ミリメートル)の外径を有し、(インナライナ上の)締付層外径は、約0.2585インチ~約0.259インチ(約6.57ミリメートル~約6.58ミリメートル)であり、(締付層上の)編組アセンブリ外径は、約0.261インチ~約0.2615インチ(約6.63ミリメートル~約6.64ミリメートル)である。コイルは、編組アセンブリ上にロードされ、Pebax(登録商標)等のアウタスリーブに沿って保持される。一例において、アウタスリーブは、55Dのデュロメータを有し、約0.280インチ~約0.285インチ(約7.11ミリメートル~約7.24ミリメートル)の外径を有する。選択的に、コイルの末端は、編組アセンブリの対応する末端の近くに固定され、コイルは編組アセンブリの周囲に同じ方向に巻かれる(例えば近位から遠位に)。別の例において、コイルは、本明細書に記載の1つの素線アレイの1つ以上の案内凹部に沿って巻かれる。
【0060】
例3のカテーテルは、第1の素線アレイに素線8本、第2の素線アレイに素線8本の8:8の比率を有する編組アセンブリを含む。編組アセンブリは、(例えば、編組アセンブリと、選択的にインナライナを有するアウタスリーブとの結合を容易にするために)PTFEと編組アセンブリとの間に中間締付層が提供されるPTFE製インナライナ上に提供される。インナライナは、約0.255インチ~約0.266インチ(約6.48ミリメートル~約6.76ミリメートル)の外径を有し、締付層外径は、約0.258インチ~約0.259インチ(約6.55ミリメートル~約6.58ミリメートル)であり、編組アセンブリ外径は、約0.263インチ~約0.264インチ(約6.68ミリメートル~約6.71ミリメートル)である。第1の素線は、0.0005インチ(約0.0013ミリメートル)(厚さ)×0.003インチ(約0.076ミリメートル)(幅)の断面寸法を有する。第2の素線は、0.002インチ(約0.05ミリメートル)(厚さ)×0.015インチ(約0.38ミリメートル)(幅)の断面寸法を有する。第2の素線は、第1の素線より1桁大きい寸法を有する。編組アセンブリは、1インチ当たり(25.4ミリメートル当たり)のピック数50で編組され、55Dのデュロメータを有する、外径が約0.280インチ~約0.285インチ(約7.11ミリメートル~約7.24ミリメートル)のポリマーに封入される。
【0061】
(例3に関連する)他の例において、編組アセンブリは、同じ寸法を有する第1の素線について、14:2又は12:4の比率を有する。この例において、1インチ当たり(25.4ミリメートル当たり)のピック数は、(例えば、50より大きい、例えば180PPIまで)選択的に増加される。さらに別例において、編組アセンブリは、第1の素線対第2の素線が15:1の比率を有する。第1の素線及び第2の素線のそれぞれは、直前に示した8:8の例と同じ寸法を含む。
【0062】
いずれの例(例えば、8:8、14:2、12:4、15:1の比率)においても、カテーテルは、選択的に個別コイルを含む。例えば、15:1の比率を含む最後の例において、コイルは、第2の素線アレイ(例えば第2の素線1本を含む)に沿って形成される案内凹部の内部に位置する。これらの例において、案内凹部は、編組アセンブリに沿って延びる1つ以上の螺旋溝のように見える。耐キンク性の増強を提供することに加えて、コイルの組み込みは、カテーテルの半径方向強度(崩壊に対する抵抗性)を向上させる。
【0063】
例4のカテーテルは、第1の素線アレイに第1の素線14本、第2の素線アレイに第2の素線2本の14:2の比率を有する編組アセンブリを含む。前記の例と同様にして、編組アセンブリは、PTFE製インナライナ(例えば、図11における内側スリーブ1107及び図12における内側スリーブ1203)上に提供され、中間締付層(例えばそれぞれ1103、1205)がPTFE製インナライナと編組アセンブリとの間に提供される。前記インナライナは、約0.255インチ~約0.256インチ(約6.48ミリメートル~約6.502ミリメートル)の外径を有し、締付層外径は、約0.258インチ~約0.259インチ(約6.55ミリメートル~約6.58ミリメートル)であり、編組アセンブリ外径は、約0.263インチ~約0.2635インチ(約6.68ミリメートル~約6.69ミリメートル)である。第1の素線は、0.0005(厚さ)インチ×0.003(幅)インチ(約0.0013ミリメートル(厚さ)×0.076(幅)ミリメートル)の断面寸法を有する。第2の素線は、0.002(厚さ)インチ×0.015(幅)インチ(約0.05ミリメートル(厚さ)×0.38ミリメートル(幅)ミリメートル)の断面寸法を有し、第1の素線より1桁大きい。選択的に、第2の素線アレイの素線2本は、180度離れて(例えばカテーテルの反対側に)互い違いに配置され、二重螺旋を形成する。編組アセンブリは、90PPIで編組され、55Dのデュロメータを有する、外径約0.280インチ~約0.285インチ(約7.11ミリメートル~約7.24ミリメートル)のポリマー(例えばアウタスリーブ1105)に封入される。
【0064】
例5のカテーテルは、第1の素線アレイに第1の素線15本、第2の素線アレイに第2の素線1本の15:1の比率を有する編組アセンブリを含む。素線は、160PPIで提供される。前記の例と同様にして、編組アセンブリは、PTFE製インナライナ上に提供され、中間締付層がPTFE製インナライナと編組アセンブリとの間に提供される。前記インナライナは、約0.2555インチ~約0.256インチ(約6.49ミリメートル~約6.502ミリメートル)の外径を有し、締付層外径は、約0.258インチ~約0.259インチ(約6.55ミリメートル~約6.58ミリメートル)であり、編組アセンブリ外径は、約0.2625インチ~約0.2635インチ(約6.67ミリメートル~約6.69ミリメートル)である。第1の素線は、0.0005(厚さ)インチ×0.003(幅)インチ(約0.0013ミリメートル(厚さ)×約0.076(幅)ミリメートル)の断面寸法を有する。第2の素線は、0.002(厚さ)インチ×0.015(幅)インチ(約0.05ミリメートル(厚さ)×約0.38ミリメートル(幅)ミリメートル)の断面寸法を有し、第1の素線より1桁大きい。
【0065】
この例において、第2の素線アレイは、(例えば、素線アレイの近位面又は遠位面に沿って)少なくとも1つの案内凹部を備え、コイルは、素線アレイに沿って巻かれ、案内凹部の内部に位置する(凹部は、コイルの配置のガイドとして機能する)。コイルは、少なくとも部分的に案内凹部の内部に受け入れられ、その輪郭は、部分的に素線アレイ及びその案内凹部に吸収されるため、コイルの輪郭は、減少する。一例において、コイルが特定の方向(例えば左側)に巻かれる場合、第2の素線アレイも左回りに巻かれ(かつ、第1の素線アレイは、右回りに巻かれ)、案内凹部の内部のコイルの配置が確実にされる。
【0066】
編組アセンブリ及びコイルは、55Dのデュロメータを有する、外径約0.280インチ~約0.285インチ(約7.11ミリメートル~約7.24ミリメートル)のポリマー(アウタスリーブ)に封入される。選択的に、アウタスリーブは、複数回(例えば少なくとも2回)リフローされ、スリーブ内のガス気泡が除去される。例5のカテーテルは、少なくとも他の例のいくつかと比較して、増強された半径方向強度及び柔軟性を有する。
【0067】
例6は、15:1、14:2、12:4等の比率を有する編組アセンブリを含むカテーテルの抜粋を含む。編組アセンブリは、コイルの寸法に等しいか又はそれに近い寸法を有する第2の素線を含む。例えば、約0.003インチ~約0.005インチ(約0.13ミリメートル)の素線(コイル)直径(例えば本明細書に記載の0.002×0.015素線より大きい)。第2の素線アレイの第2の素線は、第1の素線アレイに織り合わされる。一例において、第2の素線は、例えば第2の素線の本数に従って、カテーテル本体の周囲に互い違いに配置される(90度間隔で第2の素線4本、120度間隔で3本、180度間隔で2本等)。選択的に、これらのカテーテル及びそれぞれの第2の素線アレイは、第2の素線アレイの1つ以上の案内凹部の内部に位置する個別コイルと組み合わされる。
【0068】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈上、その内容が明確に他のことを指す場合を除いて、複数指示対象を含むことに留意すべきである。したがって、例えば、「ある(a)化合物」を含む組成物は、2つ以上の化合物の混合物を含む。用語「又は」は、一般に、その内容が明確に他のことを指す場合を除いて、「及び/又は」を含む意味で用いられることにも留意すべきである。
【0069】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において、語句「構成される」は、特定の課題を実行するか、又は特定の構成を採用するように構築又は構成されるシステム、装置又は他の構造物を記載するということにも留意すべきである。語句「構成される」は、配置される、構成される、構築及び配置される、構築される、製造され配置される等の他の同様な語句と同義で使用することができる。
【0070】
本明細書における全ての刊行物及び特許出願は、本技術が属する技術分野での通常の技術レベルを示す。すべての刊行物及び特許出願は、個々の刊行物又は特許出願が参照によって個別かつ、具体的に示されるかのように、参照によって本願に組み込まれる。
【0071】
種々の具体的かつ、好ましい実施形態及び技術に関して本技術を説明してきた。しかしながら、本技術の精神及び範囲内に留まりつつ、多くの変形及び変更を行ってもよいことが理解されるべきである。
【0072】
様々な注記及び実施例
実施例1は、カテーテル近位部からカテーテル遠位部に延びるカテーテル本体であって、インナライナと、アウタスリーブと、を含む、前記カテーテル本体と、前記カテーテル本体の内部にあり、かつ、前記インナライナと前記アウタスリーブとの間にある編組アセンブリであって、前記カテーテル本体の周りを第1の方向に螺旋状に延びる1以上の第1の素線を含む第1の素線アレイと、前記第1の素線アレイと織り合わされ、前記カテーテル本体の周りを前記第1の方向とは反対の第2の方向に延び、前記第1の素線アレイを固定し支える、編組ブレイスと、を含む、前記編組アセンブリと、を備える、カテーテルアセンブリといった主題を含み得る。
【0073】
実施例2は、実施例1の主題を含み得る、又は選択的に組み合わされ得るものであって、前記編組ブレイスは、1以上の第2の素線を含む第2の素線アレイを含むことを選択的に含み得る。
【0074】
実施例3は、実施例1又は実施例2の主題を含み得る、又は選択的に組み合わされ得るものであって、前記1以上の第2の素線は、前記1以上の第1の素線の第1の素線幅よりも大きい第2の素線幅を有することを選択的に含み得る。
【0075】
実施例4は、実施例1から実施例3の主題を含み得る、又は選択的に組み合わされ得るものであって、前記第2の素線幅は、前記第1の素線幅よりも少なくとも1桁大きいことを選択的に含み得る。
【0076】
実施例5は、実施例1から実施例4の主題を含み得る、又は選択的に組み合わされ得るものであって、前記第2の素線アレイは、前記第1の素線アレイの前記第1の素線よりも少ない第2の素線を含むことを選択的に含み得る。
【0077】
実施例6は、実施例1から実施例5の主題を含み得る、又は選択的に組み合わされ得るものであって、前記編組ブレイスは、前記第1の素線アレイと織り合わされたコイルを含むことを選択的に含み得る。
【0078】
実施例7は、実施例1から実施例6の主題を含み得る、又は選択的に組み合わされ得るものであって、前記コイルは、円形断面を含むことを選択的に含み得る。
実施例8は、実施例1から実施例7の主題を含み得る、又は選択的に組み合わされ得るものであって、前記アウタスリーブは、前記編組アセンブリ上にリフローされ、前記リフローされたアウタスリーブは、前記編組ブレイスを前記カテーテル本体の内部に固定し、かつ、前記リフローされたアウタスリーブと前記編組ブレイスとは、協働して前記第1の素線アレイを構造的に支えることを選択的に含み得る。
【0079】
実施例9は、実施例1から8の主題を含み得る、又は選択的に組み合わされ得るものであって、前記編組アセンブリは、トルク伝達性及び耐キンク性の編組アセンブリを含み、前記第1の素線アレイは、第1のトルク伝達性及び第1の耐キンク性を含み、かつ、前記編組ブレイスは、前記第1の耐キンク性よりも大きい第2の耐キンク性を含むことを選択的に含み得る。
【0080】
実施例10は、実施例1から実施例9の主題を含み得る、又は選択的に組み合わされ得るものであって、前記編組ブレイスは、前記第1の素線アレイの前記第1のトルク伝達性よりも小さい第2のトルク伝達性を含むことを選択的に含み得る。
【0081】
実施例11は、実施例1から実施例10の主題を含み得る、又は選択的に組み合わされ得るものであって、前記編組アセンブリの外側に沿って螺旋状に延びるコイルを備えることを選択的に含み得る。
【0082】
実施例12は、実施例1から実施例11の主題を含み得る、又は選択的に組み合わされ得るものであって、前記編組ブレイスは、前記カテーテル本体の周りを螺旋状に延びる少なくとも1つの案内凹部を含み、前記コイルは、前記少なくとも1つの案内凹部の内部に受け入れられることを選択的に含み得る。
【0083】
実施例13は、実施例1から実施例12の主題を含み得る、又は選択的に組み合わされ得るものであって、前記少なくとも1つの案内凹部は、前記編組ブレイスの近位面又は遠位面の1つに沿って延びることを選択的に含み得る。
【0084】
実施例14は、実施例1から実施例13の主題を含み得る、又は選択的に組み合わされ得るものであって、前記コイルと前記編組ブレイスとは、両者の間に前記編組アセンブリをクランプすることを選択的に含み得る。
【0085】
実施例15は、実施例1から実施例14の主題を含み得る、又は選択的に組み合わされ得るものであって、カテーテル近位部からカテーテル遠位部に延びるカテーテル本体であって、インナライナとアウタスリーブとを含む、前記カテーテル本体と、前記カテーテル本体の内部にあり、かつ、前記インナライナと前記アウタスリーブとの間にある編組アセンブリであって、前記カテーテル本体の周りを第1の方向に螺旋状に延びる1以上の第1の素線を含む第1の素線アレイと、前記カテーテル本体の周りを、前記第1の方向とは反対の第2の方向に螺旋状に延びる1以上の第2の素線を含む第2の素線アレイと、を含み、前記第1の素線アレイ又は前記第2の素線アレイの少なくとも1つは、前記第1の素線又は前記第2の素線とともに螺旋状に延びる少なくとも1つの案内凹部を含む、前記編組アセンブリと、前記少なくとも1つの案内凹部の内部に受け入れられ、かつ、前記第1の素線又は前記第2の素線とともに前記カテーテル本体の周りを螺旋状に延びるコイルとを備えるカテーテルアセンブリことを選択的に含み得る。
【0086】
実施例16は、実施例1から実施例15の主題を含み得る、又は選択的に組み合わされ得るものであって、前記第2の素線アレイの前記1以上の第2の素線は、素線断面を横断するより大きな寸法を有し、前記より大きな寸法は、前記第1の素線アレイの前記1以上の第1の素線のより小さい寸法よりも大きいことを選択的に含み得る。
【0087】
実施例17は、実施例1から実施例16の主題を含み得る、又は選択的に組み合わされ得るものであって、前記少なくとも1つの案内凹部は、前記より大きな寸法を含む前記第2の素線アレイに沿って延びており、前記少なくとも1つの案内凹部は、前記より大きな寸法に比例して変化する凹部深さを含むことを選択的に含み得る。
【0088】
実施例18は、実施例1から実施例17の主題を含み得る、又は選択的に組み合わされ得るものであって、前記1以上の第2の素線は、扁平又は卵形の素線を含み、前記より大きな寸法は、前記扁平又は卵形の素線の幅及び厚さのうちの1つ以上を含むことを選択的に含み得る。
【0089】
実施例19は、実施例1から実施例18の主題を含み得る、又は選択的に組み合わされ得るものであって、前記1以上の第2の素線は、円形の素線を含み、前記より大きな寸法は、前記円形の素線の直径を含むことを選択的に含み得る。
【0090】
実施例20は、実施例1から実施例19の主題を含み得る、又は選択的に組み合わされ得るものであって、前記コイルは、コイルの輪郭を含み、前記コイルの輪郭の少なくとも第1の部分が、前記少なくとも1つの案内凹部の内部に受け入れられることを選択的に含み得る。
【0091】
実施例21は、実施例1から実施例20の主題を含み得る、又は選択的に組み合わされ得るものであって、前記コイルの輪郭は、前記コイルの輪郭の第2の部分を含み、前記コイルの輪郭の前記第2の部分が、前記アウタスリーブの内部に受け入れられることを選択的に含み得る。
【0092】
実施例22は、実施例1から実施例21の主題を含み得る、又は選択的に組み合わされ得るものであって、前記コイルは、コイルの輪郭を含み、前記コイルの輪郭の少なくとも一部は、前記少なくとも1つの案内凹部の内部に受け入れられており、かつ、前記編組アセンブリの編組の輪郭と同じ範囲を占めることを選択的に含み得る。
【0093】
実施例23は、実施例1から実施例22の主題を含み得る、又は選択的に組み合わされ得るものであって、前記コイルは、約0.001インチ~約0.010インチ(約0.025ミリメートル~約0.254ミリメートル)の直径を含むことを選択的に含み得る。
【0094】
実施例24は、実施例1から実施例25の主題を含み得る、又は選択的に組み合わされ得るものであって、前記第1の素線アレイ又は前記第2の素線アレイの少なくとも1つが、前記第1の素線アレイ又は前記第2の素線アレイの近位面に沿って延びる近位案内凹部と、前記第1の素線アレイ又は前記第2の素線アレイの遠位面に沿って延びる遠位案内凹部と、を含むことを選択的に含み得る。
【0095】
実施例25は、実施例1から実施例24の主題を含み得る、又は選択的に組み合わされ得るものであって、前記コイルは、前記近位案内凹部又は前記遠位案内凹部の1つの中に受け入れられることを選択的に含み得る。
【0096】
実施例26は、実施例1から実施例25の主題を含み得る、又は選択的に組み合わされ得るものであって、前記コイルは、第1のコイル及び第2のコイルを含み、前記第1のコイルは、前記近位案内凹部の内部に受け入れられ、前記第2のコイルは、前記遠位案内凹部の内部に受け入れられることを選択的に含み得る。
【0097】
実施例27は、実施例1から実施例27の主題を含み得る、又は選択的に組み合わされ得るものであって、前記コイルは、前記編組アセンブリの外側に延出することを選択的に含み得る。
【0098】
実施例28は、実施例1から27の主題を含み得る、又は選択的に組み合わされ得るものであって、前記コイルは、前記編組アセンブリの内側に延出することを選択的に含み得る。
【0099】
実施例29は、実施例1から28の主題を含み得る、又は選択的に組み合わされ得るものであって、カテーテル近位部からカテーテル遠位部に延びるカテーテル本体であって、インナライナと、アウタスリーブと、を含む、前記カテーテル本体と、前記カテーテル本体の内部にあり、かつ、前記インナライナと前記アウタスリーブとの間にある編組アセンブリであって、前記カテーテル本体の周りを第1の方向に螺旋状に延びる1以上の第1の素線を含む第1の素線アレイと、前記カテーテル本体の周りを、前記第1の方向とは反対の第2の方向に螺旋状に延びる1以上の第2の素線とを含む第2の素線アレイと、を含む、前記編組アセンブリと、を備える、カテーテルアセンブリといった主題を含み得ることを選択的に含み得る。
【0100】
実施例30は、実施例1から実施例29の主題を含み得る、又は選択的に組み合わされ得るものであって、前記1以上の第1の素線の第1の素線数は、前記1以上の第2の素線の第2の素線数よりも多いことを選択的に含み得る。
【0101】
実施例31は、実施例1から実施例30の主題を含み得る、又は選択的に組み合わされ得るものであって、前記1以上の第2の素線の少なくとも第2の素線幅は、前記第1の素線数と前記第2の素線数との違いに応じて、前記1以上の第1の素線の第1の素線幅よりも大きいことを選択的に含み得る。
【0102】
実施例32は、実施例1から実施例31の主題を含み得る、又は選択的に組み合わされ得るものであって、前記第1の素線数が前記第2の素線数よりも多い場合、前記1以上の第2の素線の少なくとも第2の素線幅は、前記1以上の第1の素線の第1の素線幅よりも大きいことを選択的に含み得る。
【0103】
実施例33は、実施例1から実施例32の主題を含み得る、又は選択的に組み合わされ得るものであって、前記1以上の第1の素線の第1の素線数と、前記1以上の第2の素線の第2の素線数とは、15:1、14:2、13:3、12:4、11:5、10:6、9:7、8:8、7:9、6:10、5:11、4:12、3:13、2:14、1:15を含む比率で存在することを選択的に含み得る。
【0104】
実施例34は、実施例1から実施例33の主題を含み得る、又は選択的に組み合わされ得るものであって、前記1以上の第2の素線の少なくとも第2の素線幅は、前記1以上の第1の素線の第1の素線幅よりも大きいことを選択的に含み得る。
【0105】
実施例35は、実施例1から実施例34の主題を含み得る、又は選択的に組み合わされ得るものであって、前記第2の素線幅は、前記第1の素線幅よりも少なくとも1桁大きいことを選択的に含み得る。
【0106】
実施例36は、実施例1から実施例35の主題を含み得る、又は選択的に組み合わされ得るものであって、前記第1の素線及び前記第2の素線の少なくとも1本は、扁平又は卵形の断面を含むことを選択的に含み得る。
【0107】
実施例37は、実施例1から実施例36の主題を含み得る、又は選択的に組み合わされ得るものであって、前記第1の素線及び前記第2の素線の少なくとも1本は、約0.0005インチ~約0.005インチ(約0.013ミリメートル~約0.127ミリメートル)の厚さ寸法と約0.001インチ~約0.030インチ(約0.0254ミリメートル~約0.762ミリメートル)の幅寸法とを含むことを選択的に含み得る。
【0108】
実施例38は、実施例1から実施例37の主題を含み得る、又は選択的に組み合わされ得るものであって、前記編組アセンブリは、前記第1の素線アレイ又は前記第2の素線アレイの1つに沿って延びる少なくとも1つの案内凹部を含み、かつ、前記少なくとも1つの案内凹部の内部に受け入れられるコイルを備えることを選択的に含み得る。
【0109】
実施例39は、実施例1から実施例38の主題を含み得る、又は選択的に組み合わされ得るものであって、前記コイルは、前記第1の素線アレイと前記第2の素線アレイのいずれかが延びる前記少なくとも1つの案内凹部に応じて前記第1の素線アレイ又は前記第2の素線アレイのいずれの螺旋にも追従することを選択的に含み得る。
【0110】
実施例40は、実施例1から実施例39の主題を含み得る、又は選択的に組み合わされ得るものであって、前記コイルは、コイルの輪郭を含み、前記コイルの輪郭の少なくとも一部は、前記少なくとも1つの案内凹部に位置することを選択的に含み得る。
【0111】
実施例41は、実施例1から実施例40の主題を含み得る、又は選択的に組み合わされ得るものであって、前記コイルは、コイルの輪郭を含み、前記コイルの輪郭の少なくとも一部は、前記編組アセンブリの編組の輪郭と同じ範囲を占めることを選択的に含み得る。
【0112】
実施例42は、実施例1から実施例41の主題を含み得る、又は選択的に組み合わされ得るものであって、前記コイルは、約0.001インチ~約0.010インチ(約0.025ミリメートル~約0.254ミリメートル)の直径を含むことを選択的に含み得る。
【0113】
実施例43は、実施例1から実施例42の主題を含み得る、又は選択的に組み合わされ得るものであって、前記第1の素線アレイ又は前記第2の素線アレイの前記第1の素線又は前記第2の素線の少なくとも一方は、他方の前記第2の素線アレイ又は前記第1の素線アレイと織り合わされたコイルであることを選択的に含み得る。
【0114】
実施例44は、実施例1から実施例43の主題を含み得る、又は選択的に組み合わされ得るものであって、前記コイルは、約0.001インチ~約0.010インチ(約0.025ミリメートル~約0.254ミリメートル)の直径を含むことを選択的に含み得る。
【0115】
実施例45は、実施例1から実施例44の主題を含み得る、又は選択的に組み合わされ得るものであって、前記第1の素線アレイ又は前記第2の素線アレイの少なくとも一方は、他方の前記第2の素線アレイ又は前記第1の素線アレイと織り合わされた編組ブレイスを含むことを選択的に含み得る。
【0116】
実施例46は、実施例1から実施例45の主題を含み得る、又は選択的に組み合わされ得るものであって、前記アウタスリーブは、前記編組アセンブリ上にリフローされ、前記リフローされたアウタスリーブは、前記編組ブレイスを前記カテーテル本体の内部に固定し、かつ、前記リフローされたアウタスリーブと前記第1の素線アレイ又は前記第2の素線アレイの前記編組ブレイスとは、協働して他方の前記第2の素線アレイ又は前記第1の素線アレイを構造的に支えることを選択的に含み得る。
【0117】
実施例47は、実施例1から46の主題を含み得る、又は選択的に組み合わされ得るものであって、前記1以上の第1の素線及び前記1以上の第2の素線は、30~180の1インチ当たり(25.4ミリメートル当たり)のピック数(PPI)を有することを選択的に含み得る。
【0118】
これらの非限定的な実施例のそれぞれは、単独で行うこともでき、又は、種々の順列又は組み合わせで他の実施例の1つ以上と組み合わせることもできる。
上記の詳細な説明は、詳細な説明の一部を成す添付図面の参照を含む。図面は、例示として、本開示を実施することができる特定の実施形態を示す。これらの実施形態は、本明細書において「実施例」とも呼ぶ。このような実施例は、図示又は記載される要素とは別の要素を含むことができる。しかしながら、本発明者らは、図示又は記載される要素のみが提供される実施例も考える。そのうえ、本発明者らは、ここに図示若しくは記載される特定の実施例(若しくはそれらのうちの1つ以上の側面)に関して、又は他の実施例(若しくはそれらのうちの1つ以上の側面)に関して、図示若しくは記載されるこれらの要素の任意の組み合わせ又は順列(若しくはそれらのうちの1つ以上の側面)を用いる実施例も考える。
【0119】
本文書と、参照によって組み込まれた文書との間に用法の矛盾が生じた場合には、本文書の用法が優先する。
本文書において、用語「1つ(の)(a又はan)」は、特許文書で一般的なように、1つ又は2つ以上を含むように使用され、任意の他の「少なくとも1つの」又は「1つ以上の」の例又は用法とは無関係である。本文書において、用語「又は」は、特に指示がない限り、非排他的な「又は」を意味するように使用され、したがって、「A又はB」は、「AだがBでない」、「BだがAでない」及び「A及びB」を含む。本文書において、用語「含む(including)」及び「in which」は、それぞれ、用語「含む(comprising)」及び「wherein」の平易な英語の同義語として用いられる。また、下記の特許請求の範囲では、用語「含む(including)」及び「含む(comprising)」はオープンエンドである。すなわち、請求項内のかかる用語の後に記載される要素に加えて要素を含む、システム、装置、物品、組成、製法又はプロセスは、依然としてその請求項の範囲内にあるものとしてみなされる。さらに、下記の特許請求の範囲では、用語「第1の」、「第2の」及び「第3の」等は、単に符号として使用され、それらの対象に数値的要件を課すものではない。
【0120】
上記の記述は例示であって、限定的ではないことが意図される。例えば、上述の例(又は1つ若しくは複数のその態様)は、互いに組み合わせて使用され得る。他の実施形態も、上記の記述を検討すれば、当業者等によって使用され得る。要約書は、読み手が技術的開示の本質を迅速に確認できるよう、37C.F.R.§1.72(b)に準拠して提供される。それは、特許請求の範囲又は意味を解釈又は限定するために使用されないとの理解のもと、提出される。また、上述の「発明を実施するための形態」では、開示を合理化するためにさまざまな特徴が一群とされることがある。このことは、特許請求されていないが開示される特徴が、任意の請求項に不可欠である旨の意図と解釈されるべきではない。むしろ、発明の主題は、開示される特定の実施形態の全部の特徴にあるとは限らないことがある。このように、以下の請求項は、本明細書において実施例又は実施形態として「発明を実施するための形態」に組み込まれ、各請求項は、個別の実施形態として独立しており、そのような実施形態は、さまざまな組み合わせ又は入れ替えにおいて互いに組み合わせられ得ると想定される。本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照して、そのような請求項に権利が認められる均等物の全範囲とともに判断されるべきである。
図1
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