(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-03
(45)【発行日】2022-03-11
(54)【発明の名称】材料パネルを穿孔するためのデバイス
(51)【国際特許分類】
B26F 1/02 20060101AFI20220304BHJP
B26D 7/20 20060101ALI20220304BHJP
B26D 7/18 20060101ALI20220304BHJP
B26D 5/16 20060101ALI20220304BHJP
B26D 7/08 20060101ALI20220304BHJP
D05B 11/00 20060101ALI20220304BHJP
D05B 37/02 20060101ALI20220304BHJP
【FI】
B26F1/02 C
B26D7/20
B26D7/18 G
B26D5/16
B26D7/08 Z
D05B11/00 Z
D05B37/02
(21)【出願番号】P 2018564366
(86)(22)【出願日】2017-06-09
(86)【国際出願番号】 GB2017051695
(87)【国際公開番号】W WO2017212293
(87)【国際公開日】2017-12-14
【審査請求日】2020-06-08
(32)【優先日】2016-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】510001939
【氏名又は名称】アストン マーティン ラゴンダ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Aston Martin Lagonda Limited
【住所又は居所原語表記】Banbury Road,Gaydon,Warwick,Warwickshire CV35 0DB United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】山口 貴史
(72)【発明者】
【氏名】チョダ,バル
【審査官】永井 友子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/076389(WO,A1)
【文献】実開昭57-081098(JP,U)
【文献】特開昭63-028597(JP,A)
【文献】特表2009-544475(JP,A)
【文献】独国特許発明第19541129(DE,C1)
【文献】米国特許第02405598(US,A)
【文献】独国特許出願公開第03614106(DE,A1)
【文献】特開2002-239992(JP,A)
【文献】特開平11-172565(JP,A)
【文献】実開昭52-000785(JP,U)
【文献】米国特許第03730634(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26F 1/02
B26D 7/20
B26D 7/18
B26D 5/16
B26D 7/08
D05B 11/00
D05B 37/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料パネルを穿孔するための装置であって、
ドライバアセンブリと、
前記材料パネルを切削するための切刃を備える穿孔アセンブリと、
当たり面と、
前記材料パネルを前記切刃と前記当たり面との間の材料平面内に保持するための手段であって、前記ドライバアセンブリが、前記材料パネルを切削するべく前記切刃を前記材料平面に通して前記当たり面へ
直線運動で駆動するように構成され、前記装置
は、使用中に前記切刃が前記当たり面上の同じ地点へ繰り返し追突しないように、前記当たり面が前記切刃に対して移動可能であることを特徴とする、保持するための手段と、
を備える、装置。
【請求項2】
前記当たり面が回転可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記当たり面が球面である、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記当たり面が、定点を中心として回転可能なボールの表面である、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記ボールが、ハウジング内に保持され、前記ハウジングの底部に存在する複数のボールベアリング上に着座するように構成される、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記材料パネルを前記材料平面内で前記切刃に対して移動させるための位置決め手段をさらに備える、
請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記材料平面が
、保持手段により保持される材料パネルの下側が前記当たり面と接触してそれらの間に摩擦接続をもたらすように位置決めされ、前記当たり面は、前記材料パネルが前記位置決め手段により前記材料平面内で移動される際に移動することができる、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記当たり面
は1300~1800N/mm2までの間のヤング率を有するボールの表面である、請求項1~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記ドライバアセンブリが、付勢手段に対抗して前記切刃を前記当たり面へ駆動するように構成される、
請求項1~8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
材料パネルを穿孔するための方法であって、
前記材料パネルを切刃と当たり面との間の材料平面内に保持するステップと、
前記材料パネルを切削するべく前記切刃を前記材料平面に通して前記当たり面へ
直線運動で駆動させるステップと、
使用中に前記切刃が前記当たり面上の同じ地点へ繰り返し追突しないように、前記切刃に対して前記当たり面を移動させるステップと、
を含む、方法。
【請求項11】
前記当たり面が回転する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記当たり面が定点を中心として回転する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記材料パネルの下側が前記当たり面と接触してそれらの間に摩擦接続をもたらすように前記材料平面を位置決めするステップと、前記当たり面を移動させるべく前記材料パネルを前記材料平面内で移動させるステップをさらに含む、請求項10
~12
のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
請求項1
~9のいずれか一項に記載の装置を備えるキルティング及び穿孔マシン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穿孔及びキルティングされたパネルを形成する装置及び方法に関する。特に、本発明は、自動車の内装に用いるための穿孔及びキルティングされたパネルを形成する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の内装の豪華な魅力を高めるためにキルティングされたパネルが長年用いられている。キルティングのデザインは、用いられる輪郭のステッチに従って変更することができ、ステッチ間にスタイリッシュな様態に配列される一連の小さい穴、すなわち穿孔を含めることにより、パネルの外観をさらに向上させることができる。このようなパネルの製造は、一般に、2段階プロセスである。第1に、材料パネルにステッチラインをつけるのに自動ソーイング又はキルティングマシンが用いられる。次いで第2に、キルティングされたパネルが、ステッチライン内に及び周りに穴の配列を生み出すために、オスパンチ及びメスダイを備えるプレスツールへ移動される。しかしながら、この2段階プロセスにはいくつかの欠点が付随する。例えば、キルティングマシン及び/又はプレスツールに対してのパネルの位置ずれが生じる可能性があり、これはパネルを台無しにすることがある。パネルが既にキルティングされていて、その後、プレスツールへ移動されるときに、これは特に問題である。さらに、穿孔の配列への何らかの修正は、新しいオスパンチ及びメスダイ構成要素を必要とすることになり、プロセス全体に費用及び複雑さを追加する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、少なくとも上記の問題を克服又は実質的に軽減しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様によれば、ドライバアセンブリと、材料パネルを切削するための切刃を備える穿孔アセンブリと、当たり面と、材料パネルを切刃と当たり面との間の材料平面内に保持するための手段とを備え、ドライバアセンブリが材料パネルを切削するべく切刃を材料平面に通して当たり面へ駆動又は強制するように構成される、材料パネルを穿孔するための装置であって、当たり面が切刃に対して移動可能であることを特徴とする装置が提供される。当たり面が移動可能であることは、使用中に切刃が当たり面上の同じ地点へ繰返し追突せず、当たり面の使用を延長させることを意味する。
【0005】
好ましくは、当たり面は回転可能である。
【0006】
好ましくは、当たり面は球面である。
【0007】
好ましくは、当たり面は、スペース内の定点を中心として回転可能なボールの表面である。ボールは、ハウジング内に保持することができ、ハウジングの底部に存在する複数のボールベアリング上に着座するように構成される。好ましくは、ボールの内部は中実であり、ボールは、0.895から0.92g/cm3までの間の密度及び1300から1800N/mm2までの間のヤング率を有するポリプロピレンで実質的に作製される。
【0008】
好ましくは、装置は、材料パネルを材料平面内で切刃に対して移動させるための位置決め手段をさらに備える。材料平面は、保持手段により保持される材料パネルの下側が当たり面と接触してそれらの間に摩擦接続をもたらすように位置決めされ、当たり面は、材料パネルが位置決め手段により材料平面内で移動される際に移動可能である。この構成は、当たり面を移動させる別個の手段の必要性をなくすことにより、装置の複雑さを低減させる。
【0009】
好ましくは、位置決め手段はパントグラフを備える。
【0010】
好ましくは、当たり面は弾性的に変形可能である。つまり、当たり面は、切刃に当たった後でその元の形態を取り戻す傾向を有する。当たり面が変形可能であることは、切刃が、当たり面へ駆動されるときに実質的に損傷を受けないことを意味する。さらに、当たり面が弾性的に変形可能であることは、最終的に交換を必要とするまで再使用できることを意味する。
【0011】
好ましくは、ドライバアセンブリは、付勢手段に対抗して切刃を当たり面へ駆動するように構成される。
【0012】
本発明の第2の態様によれば、材料パネルを穿孔する方法であって、材料パネルを切刃と当たり面との間の材料平面内に保持するステップと、材料パネルを切削するべく切刃を材料平面に通して当たり面へ駆動又はプレスするステップと、切刃に対して当たり面を移動させるステップとを含む方法が提供される。
【0013】
好ましくは、当たり面は、回転により移動する。
【0014】
好ましくは、当たり面は定点を中心として回転する。
【0015】
好ましくは、方法は、材料パネルの下側が当たり面と接触してそれらの間に摩擦接続をもたらすように材料平面を位置決めするステップと、当たり面を移動させるべく材料パネルを材料平面内で移動させるステップをさらに含む。
【0016】
本発明の第3の態様によれば、ドライバアセンブリと、材料パネルを切削するための切刃を備える穿孔アセンブリと、材料パネルを材料平面内に保持するための手段とを備え、ドライバアセンブリが材料パネルを切削するべく切刃を最上位置から材料平面に通して最下位置へ駆動するように構成される、材料パネルを穿孔するための装置であって、穿孔アセンブリが、最上位置から最下位置への移動中に切刃を回転させるための手段をさらに備えることを特徴とする装置が提供される。切刃が回転するように構成されることは、材料を引裂く又は破る傾向があるオスパンチ及びメスダイを備える従来のプレスツールで見受けられる剪断作用とは対照的に、切刃が材料パネルへ切削することを意味する。これは穿孔の仕上がりを改善し、材料パネルの品質を高め、そしてまた、その耐用年数を増加させることができる。
【0017】
好ましくは、穿孔アセンブリは、ドライバアセンブリに取り付けられる中空の第1のシャフトと、切刃が固定的に設置される第2のシャフトをさらに備え、第2のシャフトは、第1のシャフト内に同軸に設置され、切刃が最上位置から最下位置へ駆動されるときに第1のシャフトに対して軸方向に移動するように構成され、回転手段が、第1のシャフト及び第2のシャフト間のそれぞれの軸方向移動中に切刃を回転させるように構成される。すなわち、切刃は、その最上位置から最下位置への移動中の或る時点で必然的に回転させられる。それぞれの軸方向移動が、シャフトを、切刃が最上位置から最下位置へ駆動されるときに、それぞれ拡張構成から圧縮構成へ移行させる。
【0018】
好ましくは、回転手段は、第2のシャフトに回転可能に取り付けられるローラと、第1のシャフトを取り巻くオープントラックを備え、ローラは、第1のシャフト及び第2のシャフト間のそれぞれの軸方向移動中にオープントラックに沿って最下地点から最上地点へ移動するように構成される。これは、それぞれの軸方向移動を回転運動に変換する単純な構成を提供し、この場合、ローラだけが時折交換を必要とする。好ましくは、ローラは、合成樹脂で作製される。ローラが合成樹脂で作製されることは、ローラがオープントラックに沿って移動する際に第1のシャフトを損傷する可能性が低いことを意味する。
【0019】
好ましくは、第2のシャフトは、切刃の最上位置から最下位置への移動中に材料パネルから切刃にかかる力によって第1のシャフトに対して軸方向に移動するように構成される。
【0020】
好ましくは、第2のシャフトは、付勢手段に対抗して第1のシャフトに対して軸方向に移動するように構成される。さらに、ドライバアセンブリも、付勢手段に対抗して切刃を最上位置から最下位置へ駆動するように構成される。
【0021】
好ましくは、切刃は、少なくとも30度回転するように構成される。より好ましくは、切刃は、40度回転するように構成される。この構成は、切刃が材料パネルを通る間中ずっと回転することを保証する。つまり、切刃は、材料パネルを通る間中ずっと切削する。切刃が回転する範囲は、材料パネルの厚さに応じて変えることができる。
【0022】
好ましくは、材料パネルを材料平面内に保持するための手段は移動可能である。
【0023】
本発明の第4の態様によれば、材料パネルを穿孔するための方法であって、材料パネルを材料平面内に保持するステップと、材料パネルを切削するべく切刃を最上位置から材料平面に通して最下位置へ駆動するステップと、最上位置から最下位置への移動中に切刃を回転させるステップとを含む方法が提供される。
【0024】
好ましくは、切刃は少なくとも30度回転する。
【0025】
本発明の第5の態様によれば、ドライバアセンブリと、材料パネルから材料スラグを切削するための切刃を備える穿孔アセンブリと、材料パネルを材料平面内に保持するための手段とを備え、ドライバアセンブリが材料パネルから材料スラグを切削するべく切刃を最上位置から材料平面に通して最下位置へ駆動するように構成される、材料パネルを穿孔するための装置であって、穿孔アセンブリが、切刃から延びるチャネルと、チャネルと流体連通する吸引手段をさらに備え、チャネルは、材料パネルから材料スラグを切削するべく切刃が材料平面に通して駆動される際に材料スラグを受け入れるように構成され、吸引手段は、チャネルから材料スラグを除去するためにチャネル内に低圧を生み出すように構成されることを特徴とする装置が提供される。低圧は、この場合、大気圧よりも低い静圧を指す。
【0026】
好ましくは、穿孔アセンブリは、最上位置から最下位置への移動中に切刃を回転させるための手段をさらに備える。好ましくは、材料パネルを材料平面内に保持するための手段は移動可能である。
【0027】
好ましくは、穿孔アセンブリは、ドライバアセンブリに取り付けられる第1のシャフトと、切刃が固定的に設置される第2のシャフトをさらに備え、第2のシャフトは、第1のシャフト内に同軸に設置され、切刃が最上位置から最下位置へ駆動されるときに第1のシャフトに対して軸方向に移動するように構成され、回転手段が、第1のシャフト及び第2のシャフト間のそれぞれの軸方向移動中に切刃を回転させるように構成される。
【0028】
好ましくは、回転手段は、第2のシャフトに回転可能に取り付けられるローラと、第1のシャフトを取り巻くオープントラックを備え、ローラは、第1のシャフト及び第2のシャフト間のそれぞれの軸方向移動中にオープントラックに沿って最下地点から最上地点へ移動するように構成される。
【0029】
好ましくは、第2のシャフトは、切刃の最上位置から最下位置への移動中に材料パネルから切刃にかかる力によって第1のシャフトに対して軸方向に移動するように構成される。
【0030】
好ましくは、第2のシャフトは、付勢手段に対抗して第1のシャフトに対して軸方向に移動するように構成される。さらに、ドライバアセンブリも、付勢手段に対抗して切刃を最上位置から最下位置へ駆動するように構成される。
【0031】
好ましくは、吸引手段は、簡易コネクタによりチャネルに接続される可撓チューブによりチャネルに接続される。
【0032】
本発明の第6の態様によれば、材料パネルを穿孔するための方法であって、材料パネルを材料平面内に保持するステップと、材料パネルから材料スラグを切削するべく切刃を最上位置から材料平面に通して最下位置へ駆動するステップと、材料パネルから材料スラグを切削するべく切刃が材料平面に通して駆動される際に、切刃に接続されたチャネル内に材料スラグを受け入れるステップと、チャネルから材料スラグを除去するためにチャネル内に大気圧に対して低圧を生み出すステップを含む、方法が提供される。
【0033】
好ましくは、方法は、その最上位置から最下位置への移動中に切刃を回転させるステップをさらに含む。
【0034】
本発明の第7の態様によれば、本発明の第1、第3、又は第5の態様に記載の装置を備えるキルティング及び穿孔マシンが提供される。
【0035】
ここで本発明の上記の及び他の態様を単なる例として添付図を参照しながら説明する。
【0036】
図面では、同様の部分が同様の参照番号で表される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】本発明に係るキルティング及び穿孔マシンの正面斜視図である。
【
図3】
図1のマシンと共に用いるための穿孔デバイスの斜視図である。
【
図5】
図3の穿孔デバイスのドライバアセンブリの一部の分解図である。
【
図6】
図3の穿孔デバイスに用いられる穿孔アセンブリの分解図である。
【
図7】
図3の穿孔デバイスの穿孔ヘッドの側面図と、犠牲ボール及びボールハウジングの断面図である。
【
図8】従来のプレスツールを用いて材料パネルを穿孔する種々の段階の略図である。
【
図9】
図3の穿孔デバイスを用いて材料パネルを穿孔する種々の段階の略図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1及び
図2は、キルティングデバイス4及び穿孔デバイス6(それらのそれぞれのハウジングなしに示される)を備える、概して2で表されるキルティング及び穿孔マシンを示す。キルティングデバイス4はステッチングヘッド5を及び穿孔デバイス6は穿孔ヘッド7を備え、それぞれのブラケット9に固定的に設置される。ステッチングヘッド5は、そのそれぞれがソーイングのための異なる色の糸を用い得る異なる針を収容するための複数の位置を備える、従来のステッチングヘッドである。マシン2は、テーブル3の実質的に水平な上面10よりも上の固定の位置にブラケット9を保持するように機能する、横ビーム8をさらに備える。表面10は、2つの孔12、14を備え、そのうちの一方の孔12は、ステッチングヘッド5の真下に存在し、他方の孔14は、穿孔ヘッド7の真下に存在する。両方の孔12、14は、小さい開口部18を備えるニードルプレート16により部分的に覆われる。可動パントグラフ20は、表面10よりも上に存在し、概して長方形の構成に互いに対して固定されたいくつかの構成要素22と共に、少なくとも1つの内側フレーム24を備える。内側フレーム24は、キルティング及び穿孔されるべき別個の材料パネルをパントグラフ20内に保持するように機能する。表面10は、5つのトラック28をさらに備え、そのうちの3つは表面10の長さのおよそ3分の1にわたって横方向に延び、残りの2つのトラック28は横トラックに垂直に表面10にわたって延びる。2つのモータ(図示せず)が、パントグラフ20内に保持される材料パネルをステッチングヘッド5及び穿孔ヘッド7に対して位置決めするべく、表面10よりも上の水平面内のトラック28に沿ったパントグラフ20の移動を制御する。キルティングデバイス4、穿孔デバイス6、及びパントグラフ20を制御する2つのモータの制御は、コンピュータ数値制御の使用により自動化される。これは、同じキルティングデバイス4及び穿孔デバイス6を用いて材料パネルに任意の数のデザインが適用されることを可能にする。特に、穿孔の異なる配列に関する異なるオスパンチ及びメスダイ構成要素の必要性をなくす。
【0039】
図3は、穿孔ヘッド7及びハウジング30を備える穿孔デバイス6と、ハウジング30の穴36を通って横ビーム8へ延びる吸引チューブ32を示す。ハウジング30は、穿孔デバイス6の内部への容易なアクセスをもたらすために複数のボルト34を用いてビーム8に固定される。最初にボルト34を緩め、ビーム8から吸引チューブ32を外すことにより、穿孔デバイス6の内部へのアクセスを得るべくハウジング30を取り外すことができる。次いで、ハウジング30を持ち上げて、吸引チューブ32が穴36を通り抜け、ビーム8から離れるようにすることができる。
【0040】
図4は、穿孔デバイス6の内部を示す。吸引チューブ32は、簡易コネクタなどにより概して64で表される穿孔又は駆動アセンブリに接続され、
図1に示されるビーム8を通って収集バケット66へ延びる。穿孔デバイス6は、穿孔アセンブリ64の一部がそれを通って延びるベース25と、穿孔アセンブリ64を圧縮コイルばね70の付勢力に対抗して下方へ駆動する又は押すように構成される概して68で表されるドライバアセンブリをさらに備える。ドライバアセンブリ68は、電気エネルギーを、穿孔アセンブリ64を毎分最高460回駆動するための直線運動に変換するための、電気機械式ソレノイドなどのトランスデューサを備える。ドライバアセンブリ68は、ドライバアセンブリ68の直線運動を案内するための垂直ドライブシャフト72をさらに備える。ブラケット74は、ドライバアセンブリ68の一部をなし、ドライブシャフト72に沿って上方又は下方へ移動するように構成される。
図5を参照すると、ドライバ固定ベース76が、少なくとも1つのソケットボルトによりブラケット74の上側区域に固定的に接続される。ドライバ固定ベース76の下側区域から2つのアーム77が突き出し、それらの間にスペースを画定するべく一方のアームが他方のアームの真上に配置されている。ドライバ構成要素78及びアーム77を通って延びるドライバピン27により、下側アームの下にドライバ構成要素78が保持される。ねじりコイルばね79が、アーム77間に画定されたスペース内でドライバピンの周りに配置される。ねじりコイルばね79の一方の端は、ドライバ固定ベース76の側部に固定され、他方の端は、ドライバ構成要素78の上面から上向きに延びる円筒形区域80により画定されるキャビティ内に保持されるように構成される。ねじりコイルばね79は、ドライバ構成要素78を定位置に保持するように機能し、これにより、ドライバ構成要素78の、ドライバピン27を中心としたドライバアセンブリ68の他の構成要素に対する相対回転を防ぐ。ドライバ構成要素78は、穿孔アセンブリ64の2つのドライバガイド82間に保持されることによりそれらの間に接続をもたらし、ドライバアセンブリ68の直線運動を穿孔アセンブリ64に伝達する。
【0041】
図6に移ると、穿孔アセンブリ64は、中央区域85及び概して86で表される上下の端区域を含む、中空円筒形回転シャフト84を備える。中央区域85は、端区域86に比べてより大きい直径を有し、ねじ穴88を含む。圧縮コイルばね89が、上端区域86の周りに配置され、中央区域85と上端区域86との間の接合部に創出されたショルダ87に載る。穿孔アセンブリ64は、同軸構成で回転シャフト84上でスライドするように構成されるスライドシャフト90をさらに備える。好ましくは、スライドシャフト90は、穿孔アセンブリ64の総重量を減少させることで、ドライバアセンブリ68によって穿孔アセンブリ64を移動することができる最高速度を増加させるために、アルミニウムで作製される。中央区域85の外面とスライドシャフト90の内面との間に小さい隙間をもたらすべく、スライドシャフト90を回転シャフト84の周りに保持するのに固定ナット91が用いられ、これにより、回転シャフト84のスライドシャフト90に対するその縦軸を中心とした回転が可能となる。穿孔アセンブリ64が組み立てられるときに、ばね89は、中央区域85と上端区域86との間に画定される回転シャフト84のショルダ87と、スライドシャフト90の内部の対向面との間に保持される。スライドシャフト90は、シャフトの外周の実質的に3分の1を取り巻く経路を画定するオープントラック93を備え、その最下区域は、回転シャフト84の中央区域85のねじ穴88と並ぶように構成される。ねじ穴88は、ローラ94を支えるように構成されたショルダボタンボルトなどを受け入れるように構成される。回転シャフト84は、穿孔アセンブリ64の動作中にばね89の付勢力に対抗してスライドシャフト90に対して上方へ移動するように構成される。この軸方向の相対運動は、ローラ94をオープントラック93に沿って移動させ、これにより、同時に、スライドシャフト90内で回転シャフト84を回転させる。好ましくは、ローラ94は、ローラ94がオープントラック93に沿って移動する際に回転シャフト84を損傷する可能性を確実に低くする、金属よりも軟らかい材料である合成樹脂で作製される。これは、スライドシャフト90自体がアルミニウムなどの比較的軟らかい材料で作製されるときに特に重要である。回転シャフト84がスライドシャフト90内で回転できる範囲は、オープントラック93の長さにより制限される。図示した実施形態では、シャフト84、90間のそれぞれの回転はおよそ40度である。しかしながら、穿孔アセンブリ64は、シャフト84、90間のそれぞれの回転が40度よりも大きい又は小さいように構成することもできることが当業者には明らかであろう。
【0042】
図7は、同軸に設置された中空の穿孔ナイフ38を備える穿孔ユニット64を示す。ナイフ38が、固定ナット42により回転シャフト84の下端に取り外し可能に接続される。ナイフ38は、円形の切刃95で終端する円錐台形面先端部と、切刃95からナイフ38を通って切刃95から遠位にあるナイフ38の端へ延びる円筒形チャネル96を備える。円筒形チャネル96は、ナイフ38が回転シャフト84に接続されるときに回転シャフト84の中空の内部と流体連通する。ナイフ38は、固定ナット42の底部の穴へ挿入され、固定ナット42の側部に存在するねじ44により生み出される摩擦接続により定位置に取り付けられる。ナイフ38を固定ナット42に取り付けるこの便利な構成は、ナイフ38を交換するときにハウジング30を取り外す必要性をなくす。弾性的に変形可能な犠牲ボール46が、ナイフ38の真下に存在するニードルプレート16の開口部18から突き出ており、穿孔アセンブリ64の動作中に切刃95が当たる、回転可能な球形面として機能する。図示した実施形態では、ボール46の直径は40mmである。好ましくは、ボール46は中実であり、0.855から0.946g/cm
3までの間の密度及び1300から1800N/mm
2までの間のヤング率を有するポリプロピレンで実質的に作製される。これは、ボール46を、交換を必要とする前に、切刃が実質的に30,000回当たる間、確実に使用できているようにする。材料パネルが内側フレーム24内に保持されるときに、ニードルプレート16の上面よりも上に延びるボール46の一部が、材料パネルの下側と直接接触し、それらの間に摩擦接続をもたらす。図示した実施形態では、ボール46の上側区域は、ニードルプレート16の上面よりもおよそ2mm上に延びる。ボール46は、円筒形ボールハウジング48内に保持される。ハウジング48の底部は、周方向に等間隔に配置された複数のボールベアリング52を案内するための同軸のベアリングレース50を備える。ボールベアリング52は、ベアリングレース50上で自由に回転する。代替的に、ボールベアリング52は、ハウジング48の底部上に直接配置されてよい。図示した実施形態では12個のボールベアリング52が用いられる。ボール46は、複数のボールベアリング52上に着座し、これにより、ボール46と各ボールベアリング52との直接接続をもたらすように構成される。ボールベアリング52は、第1に、ボール46をハウジング48の主軸と同軸に位置合わせするように機能し、これにより、ボール46がハウジング48の内側の側部に触れることを防ぐ。第2に、ボールベアリング52の構成は、ボール46が、ハウジング48の主軸とのそのアラインメントを維持しながらハウジング48内で全方向に回転することを可能にする。すなわち、ボール46は、スペース内の定点を中心としてあらゆる方向に回転する状態で該定点にとどまるように構成される。ハウジング48の上端はフランジ54を含み、フランジ54の下面は、ハウジング48を穿孔ベッド58から保持するべく穿孔ベッド58のフランジ付き区域の上面と合うように構成される。ハウジング48は、複数のソケットボルトにより穿孔ベッド58に取り付けられる。ハウジング48は、ボール46の真下に存在する同軸のアクセス穴62をさらに備える。ボール46をハウジング48から持ち上げるためにスクリュードライバなどをアクセス穴62に挿入することができ、これにより、最初にハウジング48を穿孔ベッド58から取り外す必要なしに、ボール46の交換が可能となる。
【0043】
図8は、オスパンチ19及びメスダイ21を備える従来のプレスツールを用いてラミネートされた材料パネル17を穿孔する種々の段階の略図である。この場合、材料パネル17は既にキルティングされているであろう。材料パネル17が、オスパンチ19とメスダイ21との間に保持され、オスパンチ19が、実質的に直線の経路に沿ってメスダイ21に向けて下方へ移動される。メスダイ21に対するオスパンチ19の移動により材料パネル17に生み出された剪断力が、材料スラグ23を材料パネル17から引き離し、オスパンチ19の継続的な移動が、スラグ23をメスダイ21から押し出す。プレスツールの下に保持された収集バケットへのスラグ23の除去を支援するべく、メスダイ21の下流に吸引がかけられる場合がある。複数のスラグ23が一度にパンチされるので、収集バケットは、得てして、開口した容器である。これは結果的に、収集バケットから粉塵などが出てくることがある。次いで、オスパンチ19が上方へ移動し、材料パネル17に穴が残る。
【0044】
図9は、本発明の穿孔デバイス6を用いて材料パネル17を穿孔するステップの略図である。6つの一般ステップが示される。最初の位置又は最上位置から始まるステップ1において、穿孔アセンブリ64が、ナイフ38の切刃95と犠牲ボール46との間の内側フレーム24により保持される材料パネル17の方へ、ドライバアセンブリ68によりその縦軸に沿って下方へ移動される。
【0045】
ステップ2に示すように、切刃95が材料パネル17と接触する際に、切刃95に上向きの力がかかる。この上向きの力は、ばね70の付勢力に対抗して作用するそれらの間の相対運動を生じるスライドシャフト90の下方移動と比べたときに、回転シャフト84の下方移動、すなわち送りモーションを妨げる。すなわち、切刃95に作用する上向きの力は、回転シャフト84をスライドシャフト90に対して上方へ移動させる。この相対運動は、次に、ローラ94をオープントラック93の上面に沿って上方へ移動させ、結果的に、穿孔ユニット64が下方へ移動し続ける際に、同時にスライドシャフト90内で回転シャフト84が回転することになる。送りモーションと回転運動との組み合わせが、従来のプレスツールにより用いられる剪断作用とは対照的に、切刃95で材料パネル17へ切削する切削力を生じる。図示した実施形態では、回転シャフト84は、送りモーション中に時計回りの方向に回転する。しかしながら、穿孔アセンブリ64は、回転シャフト84が送りモーション中に反時計回りの方向に回転するように構成することもできることが当業者には明らかであろう。
【0046】
ばね70の付勢力に対抗する回転シャフト84とスライドシャフト90との間の相対直線運動によって引き起こされる、ナイフ38の同時の下方移動及び回転運動は、ドライバアセンブリ68の下方移動が完了して、送りモーションの終了を呈し、切刃95の最下位置を画定するまで続く。送りモーションの終了は、ステップ3に示すように切刃95が弾性的に変形可能なボール46に当たる時点と実質的に一致するように構成される。ローラ94が、オープントラック93の端に達する際に回転シャフト84のスライドシャフト90に対するどのようなさらなる上方移動も防ぐので、送りモーション中の回転シャフト84の回転もこの時点で完了する。送りモーションの終了時に、スラグ23は、材料パネル17から切り抜かれており、ナイフ38の内部に保持される。
【0047】
ステップ4は、穿孔アセンブリ64の上方移動、すなわち戻りモーションの開始を示す。この段階で、ドライバアセンブリ68の下方移動に抵抗するように構成されたばね70が圧縮される。同様に、回転シャフト84のショルダ87とスライドシャフト90の内部の対向面との間に保持されたばね89も圧縮される。ボール46に切刃95が当たることから生じる力が、ばね89により回転シャフト84からスライドシャフト90へ伝達され、スライドシャフト90をドライバアセンブリ68と共に上方へ移動させる。スライドシャフト90及びドライバアセンブリ68の上方移動は、ドライバアセンブリ68を穿孔デバイス6のベース25から離れる方へ付勢するばね70により支援される。穿孔アセンブリ64のばね89により生じる力は、回転を付勢し且つスライドシャフト84、90を引き離すように機能し、戻りモーションの最初の段階中にスライドシャフト90の上方移動が回転シャフト84に伝達されないようにシャフト84、90間の摩擦力を克服するのに十分なものである。すなわち、回転シャフト84は、ばね89により戻りモーションの最初の段階中に上方への移動を防がれ、一方、スライドシャフト90は、回転シャフト84に対して上方へ移動するように構成される。回転シャフト84に対するスライドシャフト90の上方移動が、ローラ94をオープントラック93の下面に沿って下方へ移動させる。この移動は、次に、回転シャフト84を反時計回りの方向に回転させる。
【0048】
ローラ94がオープントラック93の下端に達すると、戻りモーション中の回転シャフト84の回転が完了する。この時点からのスライドシャフト90の継続的な上方移動が、ナイフ38を材料パネル17に開けられた孔の外へ持ち上げ、ステップ5に示すようにシャフト84、90を前のステップ1の最初の位置に戻るように一緒に移動させる。
【0049】
ステップ6に移ると、穿孔アセンブリ64が最初の位置に戻ると、第2のスラグ23が材料パネル17から切削され得るように、パントグラフ20により材料パネル17を穿孔アセンブリ64に対して水平面内で移動させることができる。材料パネル46が水平面内で移動される際に、材料パネル17とボール46との摩擦係合が、ボール46をボールベアリング52上で回転させる。この運動は、送りモーション中に切刃95がボール46に当たる地点を、前のステップと比べて位置が変化しているステップ6での「x」で示されるように変化させる。
【0050】
これらのステップの全体を通して、収集バケット66の下流に配置されるモータなどにより、ナイフ38内のチャネルに低圧又は真空が適用される。これは、ナイフ38の内部にあるあらゆるスラグ23を、ナイフ38、回転シャフト84、及び吸引チューブ32内のチャネルを通して収集バケット66へ吸い上げる。これは、閉環境でのスラグ23の収集を可能にし、粉塵などが放出されることを防ぐ。切刃95が材料パネルへ切削することは、スラグ23の長手方向の側部が、材料を引裂く又は破る傾向がある従来のプレスツールの剪断作用により生じたスラグ23と比べて、あまり汚くないことを意味する。これは、スラグ23を収集バケット66へ吸引するのをより容易にする。
【0051】
上記の具体的な実施形態は単なる例として説明されており、したがって、限定ではなく例証として考えられるべきである。請求項により定義される場合の本発明の保護範囲から逸脱することなく、説明した実施形態の変形がなされ得ることが理解されるであろう。