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特許7034108プログラム、方法、サーバ装置及び通信端末
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-03
(45)【発行日】2022-03-11
(54)【発明の名称】プログラム、方法、サーバ装置及び通信端末
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/10 20060101AFI20220304BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20220304BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20220304BHJP
【FI】
G08B25/10 A
G08B25/04 K
H04M11/00 301
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019019185
(22)【出願日】2019-02-05
(65)【公開番号】P2020126494
(43)【公開日】2020-08-20
【審査請求日】2019-12-06
(73)【特許権者】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100207778
【弁理士】
【氏名又は名称】阿形 直起
(72)【発明者】
【氏名】古野 雅人
【審査官】山田 倍司
(56)【参考文献】
【文献】特許第6379271(JP,B1)
【文献】特開2003-027529(JP,A)
【文献】特開2010-154126(JP,A)
【文献】特表2014-522599(JP,A)
【文献】特開2009-086982(JP,A)
【文献】特開2007-072541(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108322890(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 13/00
G08B 19/00-31/00
G08G 1/00-99/00
H04B 7/24- 7/26
H04L 51/00-51/58
67/00-67/75
H04M 1/00
1/24- 3/00
3/16- 3/20
3/38- 3/58
7/00- 7/16
11/00-11/10
99/00
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶部を備え、通信端末の領域外への移動を監視端末に報知するサーバ装置のプログラムであって、
前記通信端末の位置情報の精度を示す精度情報を前記記憶部に記憶し、
所定期間における前記通信端末の位置情報の履歴に含まれる位置情報が示す位置のうちから相互の距離が最も大きい2つの位置を特定し、
前記特定された2つの位置の中点を中心とし、且つ、前記相互の距離を直径とする円の内側の領域を第1領域として設定し、
前記精度情報に基づいて、前記第1領域を包含する第2領域を設定し、
前記通信端末の位置情報を前記通信端末から取得し、
前記通信端末の位置情報の履歴に基づいて、前記通信端末が前記第1領域の内側から前記第2領域の外側に移動したか否かを判定し、
前記通信端末が前記第1領域の内側から前記第2領域の外側に移動したと判定された場合、前記通信端末の領域外への移動を前記監視端末に報知する、
ことを前記サーバ装置に実行させるプログラム。
【請求項2】
前記第1領域を設定することにおいて、複数の所定期間における前記通信端末の位置情報の履歴に基づいて複数の第1領域を設定し、
前記判定することにおいて、前記通信端末の位置情報を取得した時刻に基づいて、前記複数の第1領域のうちの何れかを選択し、
前記通信端末が前記選択された第1領域の内側から当該第1領域を包含する第2領域の外側に移動したか否かを判定する、
ことを前記サーバ装置に実行させる請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
複数の設定期間に関連付けて複数の設定領域を前記記憶部に記憶し、
前記第1領域を設定することにおいて、複数の設定領域のうちから設定期間に基づいて選択された設定領域を第1領域として設定し、
前記通信端末が前記第1領域の内側から当該第1領域を包含する第2領域の外側に移動したと判定された場合、前記通信端末が前記第1領域である設定領域の次の設定期間に関連付けられた設定領域の内側に位置するか否かを判定し、
前記通信端末が前記次の設定期間に関連付けられた設定領域の内側に位置しないと判定された場合、警告を前記監視端末に報知する、
ことを前記サーバ装置に実行させる請求項1に記載のプログラム。
【請求項4】
前記第2領域を包含する第3領域をさらに設定し、
前記報知することにおいて、前記通信端末が前記第1領域の内側から前記第2領域の外側であり且つ前記第3領域の内側である領域を経由することなく前記第3領域の外側に移動した場合、前記通信端末の領域外への移動を報知しない、
ことを前記サーバ装置に実行させる請求項1-3の何れか一項に記載のプログラム。
【請求項5】
前記第1領域及び前記第2領域は、3次元領域であり、
前記位置情報は、緯度情報、経度情報及び高度情報を含む、
請求項1-4の何れか一項に記載のプログラム。
【請求項6】
記憶部を備え、通信端末の領域外への移動を監視端末に報知するサーバ装置によって実行される方法であって、
前記通信端末の位置情報の精度を示す精度情報を前記記憶部に記憶し、
所定期間における前記通信端末の位置情報の履歴に含まれる位置情報が示す位置のうちから相互の距離が最も大きい2つの位置を特定し、
前記特定された2つの位置の中点を中心とし、且つ、前記相互の距離を直径とする円の内側の領域を第1領域として設定し、
前記精度情報に基づいて、前記第1領域を包含する第2領域を設定し、
前記通信端末の位置情報を前記通信端末から取得し、
前記通信端末の位置情報の履歴に基づいて、前記通信端末が前記第1領域の内側から前記第2領域の外側に移動したか否かを判定し、
前記通信端末が前記第1領域の内側から前記第2領域の外側に移動したと判定された場合、前記通信端末の領域外への移動を前記監視端末に報知する、
ことを含む方法。
【請求項7】
通信端末の領域外への移動を監視端末に報知するサーバ装置であって、
前記通信端末の位置情報の精度を示す精度情報を記憶する記憶部と、
所定期間における前記通信端末の位置情報の履歴に含まれる位置情報が示す位置のうちから相互の距離が最も大きい2つの位置を特定し、前記特定された2つの位置の中点を中心とし、且つ、前記相互の距離を直径とする円の内側の領域を第1領域として設定する第1領域設定部と、
前記精度情報に基づいて、前記第1領域を包含する第2領域を設定する第2領域設定部と、
前記通信端末の位置情報を前記通信端末から取得する位置情報取得部と、
前記通信端末の位置情報の履歴に基づいて、前記通信端末が前記第1領域の内側から前記第2領域の外側に移動したか否かを判定する判定部と、
前記通信端末が前記第1領域の内側から前記第2領域の外側に移動したと判定された場合、前記通信端末の領域外への移動を前記監視端末に報知する報知部と、
を備える、サーバ装置。
【請求項8】
通信端末と、前記通信端末の領域外への移動を監視端末に報知するサーバ装置と、を含む報知システムであって、
前記通信端末は、
前記通信端末の位置情報を前記サーバ装置に送信する送信部を備え、
前記サーバ装置は、
前記通信端末の前記位置情報の精度を示す精度情報を記憶する記憶部と、
所定期間における前記通信端末の位置情報の履歴に含まれる位置情報が示す位置のうちから相互の距離が最も大きい2つの位置を特定し、前記特定された2つの位置の中点を中心とし、且つ、前記相互の距離を直径とする円の内側の領域を第1領域として設定する第1領域設定部と、
前記精度情報に基づいて、前記第1領域を包含する第2領域を設定する第2領域設定部と、
前記通信端末の位置情報を前記通信端末から取得する位置情報取得部と、
前記通信端末の位置情報の履歴に基づいて、前記通信端末が前記第1領域の内側から前記第2領域の外側に移動したか否かを判定する判定部と
前記通信端末が前記第1領域の内側から前記第2領域の外側に移動したと判定された場合、前記通信端末の領域外への移動を前記監視端末に報知する報知部と、を備える
報知システム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム、方法、サーバ装置及び通信端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、子どもの見守りや労働者の労務管理等を目的として、あらかじめ設定された地理的領域の外側に被監視者が移動した場合に、領域外への移動を監視者の端末(監視端末)に報知するサービスが提供されている。例えば、特許文献1には、測位機能を備え、測位結果に基づいて所定の地理的領域の境界をまたいで被監視者が境界外に移動したと判定された場合等に、予め定められた受信者に電子メールを送信する追跡デバイスが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-197405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなサービスにおいては、GPS(Global Positioning System)等に基づいて被監視者の位置情報を取得することが広く行われている。しかしながら、GPS等に基づいて取得される位置情報は、GPS受信機の性能や測位信号の受信状態に応じた誤差を含むことが知られている。したがって、位置情報の誤差により、通信端末が領域内に位置しているにもかかわらず、領域外への移動が誤って報知される可能性がある。このような誤った報知は、サービスに対する監視者の信頼を低下させるとともに、不要な通信トラフィックを生成するため、好ましくない。したがって、位置情報に誤差が含まれる場合でも、通信端末が領域外に移動したか否かを正しく判定することが望まれていた。
【0005】
本発明は、このような課題を解決すべくなされたものであり、位置情報の精度にかかわらず通信端末の領域外への移動を正しく報知することを可能とするプログラム、方法、サーバ装置及び通信端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るプログラムは、記憶部を備え、通信端末の領域外への移動を監視端末に報知するサーバ装置のプログラムであって、通信端末の位置情報の精度を示す精度情報を記憶部に記憶し、所定の地理的領域である第1領域を設定し、精度情報に基づいて、第1領域を包含する第2領域を設定し、通信端末の位置情報を通信端末から取得し、通信端末の位置情報の履歴に基づいて、通信端末が第1領域の内側から第2領域の外側に移動したか否かを判定し、通信端末が第1領域の内側から第2領域の外側に移動したと判定された場合、通信端末の領域外への移動を監視端末に報知する、ことをサーバ装置に実行させる。
【0007】
また、本発明に係るプログラムは、第1領域を設定することにおいて、所定期間における通信端末の位置情報の履歴に含まれる位置情報が示す位置のうちから相互の距離が最も大きい2つの位置を特定し、特定された2つの位置の中点を中心とし、且つ、相互の距離を直径とする円の内側の領域を第1領域として設定する、ことをサーバ装置に実行させる、ことが好ましい。
【0008】
また、本発明に係るプログラムは、第1領域を設定することにおいて、複数の所定期間における通信端末の位置情報の履歴に基づいて複数の第1領域を設定し、判定することにおいて、通信端末の位置情報を取得した時刻に基づいて、複数の第1領域のうちの何れかを選択し、通信端末が選択された第1領域の内側から第1領域を包含する第2領域の外側に移動したか否かを判定する、ことをサーバ装置に実行させる、ことが好ましい。
【0009】
また、本発明に係るプログラムは、複数の設定期間に関連付けて複数の設定領域を記憶部に記憶し、第1領域を設定することにおいて、複数の設定領域のうちから設定期間に基づいて選択された設定領域を第1領域として設定し、通信端末が第1領域の内側から第1領域を包含する第2領域の外側に移動したと判定された場合、通信端末が第1領域である設定領域の次の設定期間に関連付けられた第1領域の内側に位置するか否かを判定し、通信端末が次の設定期間に関連付けられた設定領域の内側に位置しないと判定された場合、警告を監視端末に報知する、ことをサーバ装置に実行させる、ことが好ましい。
【0010】
また、本発明に係るプログラムは、第2領域を包含する第3領域をさらに設定し、報知することにおいて、通信端末が第1領域の内側から第2領域の外側であり且つ第3領域の内側である領域を経由することなく第3領域の外側に移動した場合、通信端末の領域外への移動を報知しない、ことをサーバ装置に実行させる、ことが好ましい。
【0011】
また、本発明に係るプログラムにおいて、第1領域及び第2領域は、3次元領域であり、位置情報は、緯度情報、経度情報及び高度情報を含む、ことが好ましい。
【0012】
本発明に係る方法は、記憶部を備え、通信端末の領域外への移動を監視端末に報知するサーバ装置によって実行される方法であって、通信端末の位置情報の精度を示す精度情報を記憶部に記憶し、所定の地理的領域である第1領域を設定し、精度情報に基づいて、第1領域を包含する第2領域を設定し、通信端末の位置情報を通信端末から取得し、通信端末の位置情報の履歴に基づいて、通信端末が第1領域の内側から第2領域の外側に移動したか否かを判定し、通信端末が第1領域の内側から第2領域の外側に移動したと判定された場合、通信端末の領域外への移動を監視端末に報知する、ことを含む。
【0013】
本発明に係るサーバ装置は、通信端末の領域外への移動を監視端末に報知するサーバ装置であって、通信端末の位置情報の精度を示す精度情報を記憶する記憶部と、所定の地理的領域である第1領域を設定する第1領域設定部と、精度情報に基づいて、第1領域を包含する第2領域を設定する第2領域設定部と、通信端末の位置情報を通信端末から取得する位置情報取得部と、通信端末の位置情報の履歴に基づいて、通信端末が第1領域の内側から第2領域の外側に移動したか否かを判定する判定部と、通信端末が第1領域の内側から第2領域の外側に移動したと判定された場合、通信端末の領域外への移動を監視端末に報知する報知部と、を備える。
【0014】
本発明に係る通信端末は、領域外への移動がサーバ装置によって監視端末に報知される通信端末であって、通信端末の位置情報をサーバ装置に送信する送信部を備え、位置情報は、通信端末の位置情報の精度を示す精度情報を記憶する記憶部と、所定の地理的領域である第1領域を設定する第1領域設定部と、精度情報に基づいて、第1領域を包含する第2領域を設定する第2領域設定部と、通信端末の位置情報を通信端末から取得する位置情報取得部と、を備えるサーバ装置が、通信端末が第1領域の内側から第2領域の外側に移動したか否かを判定し、通信端末が第1領域の内側から第2領域の外側に移動したと判定された場合、通信端末の領域外への移動を監視端末に報知するために用いられる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るプログラム、方法、サーバ装置及び通信端末は、位置情報の精度にかかわらず通信端末の領域外への移動を正しく報知することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1の実施形態の概要を説明するための模式図である。
図2】報知システム1の概略構成の一例を示す図である。
図3】通信端末2の概略構成の一例を示す図である。
図4】サーバ装置3の概略構成の一例を示す図である。
図5】(a)は、通信端末テーブルT1のデータ構造の一例を示す図であり、(b)は、位置情報テーブルT2のデータ構造の一例を示す図である。
図6】監視端末4の概略構成の一例を示す図である。
図7】報知システム1による処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
図8】監視端末4の表示部44に表示される第1領域入力画面800の一例を示す図である。
図9】第1領域特定情報を生成する処理の例を説明するための模式図である。
図10】本発明の第2の実施形態の概要を説明するための模式図である。
図11】領域テーブルT3のデータ構造の一例を示す図である。
図12】報知システム1による処理の流れの他の一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ、本発明の様々な実施形態について説明する。ただし、本発明の技術的範囲はそれらの実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0018】
(第1の実施形態)
以下では、図1から図9を用いて本発明の第1の実施形態について説明する。
【0019】
(報知システムの概要)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る報知システムの概要を説明するための模式図である。第1の実施形態に係る報知システムは、例えば、被監視者が、被監視者の移動が予定されていない地点に移動した場合に監視者に通知するためのサービス(所謂「見守りサービス」)を提供するものである。
【0020】
報知システムは、互いに通信可能に接続されたサーバ装置、通信端末及び監視端末を含む。サーバ装置は、通信端末の領域外への移動の有無を判定し、監視端末に報知する機能を備え、報知サービスの提供者によって管理される。通信端末は、被監視者によって携行され、サーバ装置に位置情報を送信する。被監視者は、例えば、子ども又は高齢者である。監視端末は、監視者によって携行され、サーバ装置からの報知を受付け、それを表示等することによって監視者に通知する。監視者は、例えば、保護者である。
【0021】
サーバ装置は、通信端末の位置情報の精度を示す精度情報を記憶する。精度情報は、通信端末の位置情報(例えば、緯度及び経度)が真の値と比較してどの程度誤差を含んでいるかを示す値であり、例えば、誤差のRMS(Root Mean Square)値である。
【0022】
続いて、サーバ装置は、所定の地理的領域である第1領域を設定する。第1領域は、被監視者の移動が予定されている地点を含む領域である。第1領域は、例えば、監視者又は報知サービスの提供者によって決定される領域である。この場合、サーバ装置は、監視者によって監視端末に入力された、第1領域を特定する情報を監視端末から受信することによって第1領域を設定する。図1に示す例では、第1領域は円形の領域であり、サーバ装置は、第1領域の中心の緯度及び経度並びに半径の情報を取得することによって、第1領域を設定する。第1領域は、3次元領域(例えば、円柱形又は球形等の領域)でもよい。
【0023】
続いて、サーバ装置は、精度情報に基づいて、第1領域を包含する第2領域を設定する。図1に示す例では、第2領域は、第1領域よりも大きい半径を有する、第1領域の同心円である。この場合、第2領域の半径の値は、第1領域の半径の値に、精度情報で示された値を定数倍(例えば、2倍)した値を加算した値である。
【0024】
続いて、サーバ装置は、通信端末の位置情報を通信端末から取得する。位置情報は、通信端末の現在位置の緯度及び経度を含む情報である。サーバ装置は、通信端末が備える測位機能によって生成される位置情報を、通信端末から受信することによって取得する。サーバ装置は、取得した位置情報を記憶する。
【0025】
続いて、サーバ装置は、通信端末の位置情報の履歴に基づいて、通信端末が第1領域の内側から第2領域の外側に移動したか否かを判定する。例えば、サーバ装置は、最新の位置情報が示す位置が第2領域の外側であり、且つ、その直前に取得された位置情報が示す位置が第1領域の内側である場合に、通信端末が第1領域の内側から第2領域の外側に移動したと判定する。
【0026】
続いて、サーバ装置は、通信端末が第1領域の内側から第2領域の外側に移動したと判定された場合、通信端末の領域外への移動を監視端末に報知する。例えば、サーバ装置は、あらかじめ記憶された監視端末のメールアドレスに電子メールを送信することによって、通信端末の領域外への移動を監視端末に報知する。
【0027】
以上説明したように、本実施形態に係るサーバ装置は、通信端末が第1領域の内側から第2領域の外側に移動した場合に、通信端末の領域外への移動を監視端末に報知する。そして、第2領域は、精度情報に基づいて、第1領域を包含するように設定される。このようにすることで、サーバ装置は、通信端末が第1領域の境界付近に位置する場合でも、位置情報の誤差によって第2領域の外側に移動したと判定される可能性が低くなり、通信端末の領域外への移動を正しく報知することを可能とする。
【0028】
なお、上述した図1の説明は、本発明の内容への理解を深めるための説明にすぎない。本発明は、具体的には、次に説明する各実施形態において実施され、且つ、本発明の原則を実質的に超えずに、さまざまな変形例によって実施されてもよい。このような変形例はすべて、本発明および本明細書の開示範囲に含まれる。
【0029】
(報知システム1の構成)
図2は、本実施形態に係る報知システム1の概略構成の一例を示す図である。報知システム1は、通信端末2と、サーバ装置3と、監視端末4とを含む。通信端末2と、サーバ装置3と、監視端末4とは、ネットワーク5を介して相互に通信可能に接続される。
【0030】
通信端末2は、測位機能と通信機能とを有し、被監視者に携行される端末である。通信端末2は、測位機能と通信機能とを有する多機能携帯電話(所謂「スマートフォン」)、携帯電話(所謂「フィーチャーフォン」)又は携帯ゲーム機等でもよい。
【0031】
サーバ装置3は、報知サービスの提供者によって管理される、ワークステーション又はPC(Personal Computer)等の情報処理装置である。報知サービスの提供者は、例えば、地方自治体や学校等である。報知サービスの提供者は、通信端末又は監視端末を提供する通信事業者でもよい。
【0032】
監視端末4は、監視者によって携行又は所有される端末である。監視端末4は、例えば、監視者が携行する多機能携帯電話、携帯電話、ノートPC又はタブレットPC等である。監視端末4は、監視者が所有するデスクトップPC等でもよい。
【0033】
ネットワーク5は、例えば、インターネットである。ネットワーク5は、イントラネット、LAN(Local Area Network)、移動体通信網等の他のネットワークを含んでもよい。
【0034】
(通信端末2の構成)
図3は、通信端末2の概略構成の一例を示す図である。通信端末2は、通信端末通信部21と、通信端末記憶部22と、測位部23と、通信端末処理部24とを含む。
【0035】
通信端末通信部21は、ネットワーク5を介して通信端末2をサーバ装置3と通信可能にする通信インタフェース回路を備える。通信端末通信部21が備える通信インタフェース回路は、LTE(Long Term Evolution)、LPWA(Low Power Wide Area)又は無線LAN等の任意の無線通信方式の通信インタフェース回路等である。通信端末通信部21は、通信端末処理部24から供給されたデータをサーバ装置3に送信するとともに、サーバ装置3から送信されたデータを受信し、通信端末処理部24に供給する。
【0036】
通信端末記憶部22は、プログラム又はデータを記憶するためのデバイスであり、例えば、半導体メモリ装置を備える。通信端末記憶部22は、通信端末処理部24による処理に用いられるオペレーティングシステムプログラム、ドライバプログラム、アプリケーションプログラム、データ等を記憶する。
【0037】
測位部23は、通信端末2が位置情報を生成するためのデバイスであり、例えば、GPS受信機及び気圧センサ等を備える。測位部23は、例えば、GPS受信機が受信したGPS衛星からの測位信号に基づいて、通信端末2の位置の緯度、経度及び高度の値を含む位置情報を生成する。また、測位部23は、気圧センサが取得した気圧の変化に基づいて、通信端末2の位置の高度の値を含む位置情報を生成する。測位部23は、測位信号と気圧とを併用して、より精度の高い位置情報を生成してもよい。また、測位部23は、地図情報(例えば、所定の緯度及び経度の値に対応する地点の海抜高度)をサーバ装置3又は図示しない地図情報サーバ等から取得して、より精度の高い位置情報を生成してもよい。測位部23は、生成した緯度、経度及び高度の値を含む位置情報を、通信端末処理部24に供給する。
【0038】
通信端末処理部24は、一又は複数個のプロセッサ及びその周辺回路を備える。通信端末処理部24は、例えばCPU(Central Processing Unit)であり、通信端末2の動作を統括的に制御する。なお、通信端末処理部24は、DSP(Digital Signal Processor)、LSI(Large-Scaled IC)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等でもよい。通信端末処理部24は、通信端末記憶部22に記憶されているプログラムに基づいて通信端末2の各種処理が適切な手順で実行されるように、通信端末通信部21及び測位部23の動作を制御する。通信端末処理部24は、通信端末記憶部22に記憶されているプログラムに基づいて処理を実行する。また、通信端末処理部24は、複数のプログラムを並列に実行することができる。
【0039】
通信端末処理部24は、送信処理部241を機能ブロックとして備える。送信処理部241は、通信端末処理部24が実行するプログラムによって実現される機能モジュールである。また、送信処理部241は、ファームウェアとして通信端末2に実装されてもよい。
【0040】
(サーバ装置3の構成)
図4は、サーバ装置3の概略構成の一例を示す図である。サーバ装置3は、サーバ通信部31と、サーバ記憶部32と、サーバ処理部33とを備える。
【0041】
サーバ通信部31は、ネットワーク5を介してサーバ装置3を通信端末2及び監視端末4と通信可能にする通信インタフェース回路を備える。サーバ通信部31が備える通信インタフェース回路は、有線LANの通信インタフェース回路等である。サーバ通信部31は、サーバ処理部33から供給されたデータを通信端末2又は監視端末4に送信するとともに、通信端末2又は監視端末4から送信されたデータを受信し、サーバ処理部33に供給する。
【0042】
サーバ記憶部32は、プログラム又はデータを記憶するためのデバイスであり、例えば、フラッシュメモリ等の半導体メモリ装置を備える。サーバ記憶部32は、磁気ディスクを備えてもよい。サーバ記憶部32は、サーバ処理部33による処理に用いられるオペレーティングシステムプログラム、ドライバプログラム、アプリケーションプログラム、データ等を記憶する。プログラムは、例えば、CD-ROM、DVD-ROM等のコンピュータ読み取り可能な可搬型記憶媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いてサーバ記憶部32にインストールされる。
【0043】
サーバ処理部33は、一又は複数個のプロセッサ及びその周辺回路を備える。サーバ処理部33は、例えばCPUであり、サーバ装置3の動作を統括的に制御する。なお、サーバ処理部33は、DSP、LSI、ASIC、FPGA等であってもよい。サーバ処理部33は、サーバ記憶部32に記憶されているプログラムに基づいてサーバ装置3の各種処理が適切な手順で実行されるように、サーバ通信部31の動作を制御する。サーバ処理部33は、サーバ記憶部32に記憶されているプログラムに基づいて処理を実行する。また、サーバ処理部33は、複数のプログラムを並列に実行することができる。
【0044】
サーバ処理部33は、領域設定部331と、位置情報取得部332と、判定部333と、報知部334とを備える。これらの各部は、サーバ処理部33が実行するプログラムによって実現される機能モジュールである。また、これらの各部は、ファームウェアとしてサーバ装置3に実装されてもよい。
【0045】
(データ構造)
図5(a)は、サーバ記憶部32に記憶される、通信端末に関する情報を管理する通信端末テーブルT1のデータ構造の一例を示す図である。通信端末テーブルT1は、識別情報、監視端末情報、精度情報、第1領域特定情報及び第2領域特定情報等を互いに関連付けて記憶している。
【0046】
識別情報は、通信端末2を一意に識別するための情報であり、例えば、通信端末2のそれぞれに割り当てられた文字列である。識別情報は、通信端末2に対応付けられたIMSI(International Mobile Subscriber Identity)又はMAC(Media Access Control)アドレス等でもよい。また、識別情報は、通信端末2に固有の他の任意のID(Identification)でもよい。識別情報は、例えば、報知サービスの提供者等によってあらかじめ入力される。
【0047】
監視端末情報は、通信端末2に対応する監視端末4を識別するための情報と、監視端末4に報知をするための連絡先の情報を含む。連絡先は、例えば、監視端末4のメールアドレス又は監視端末4に対してプッシュ通知を行うための識別子等である。監視端末情報は、例えば、報知サービスの開始後に監視端末4から取得される。
【0048】
精度情報は、通信端末2が取得する位置情報の精度を示す情報である。精度情報は、例えば、位置情報の誤差のRMS値又は確率誤差円の半径等である。また、精度情報は、水平方向の精度(緯度及び経度の値の精度)情報と鉛直方向の精度(高度の値の精度)情報とを含んでもよい。精度情報は、例えば、通信端末2の測位部23が備えるGPS受信機又は気圧センサ等の種類に応じてあらかじめ定められた値である。精度情報は、通信端末2から測位信号の受信状況等を取得することにより、更新されてもよい。
【0049】
第1領域特定情報及び第2領域特定情報は、3次元領域である第1領域及び第2領域をそれぞれ特定する情報である。第1領域及び第2領域が円柱形の領域である場合、第1領域特定情報及び第2領域特定情報は、例えば、円形である底面の中心の緯度、経度の値、底面の半径の値及び高さの値を含む。第1領域特定情報及び第2領域特定情報は、後述するように、サーバ装置3によって設定されることによって記憶される。
【0050】
図5(b)は、サーバ記憶部32に記憶される位置情報テーブルT2のデータ構造の一例を示す図である。位置情報テーブルT2は、識別情報と位置情報と取得時刻とを互いに関連付けて記憶している。
【0051】
識別情報は、通信端末2を一意に識別するための情報である。位置情報は、サーバ装置3が通信端末2から取得した、通信端末2の位置を示す情報である。取得時刻は、サーバ装置3が通信端末2から位置情報を取得した時刻である。図5(b)に示す例では、位置情報は、緯度、経度及び高度の値を含んでいる。高度の値は、対地高度を示す値であるが、所定の基準面からの高度(例えば、海抜高度)を示す値でもよい。
【0052】
図5(b)に示すように、位置情報テーブルT2において、一の識別情報に関連付けられた複数の位置情報と取得時刻が記憶されている。すなわち、位置情報テーブルT2には、識別情報と関連付けて、通信端末2の位置情報の履歴が記憶されている。
【0053】
(監視端末4の構成)
図6は、監視端末4の概略構成の一例を示す図である。監視端末4は、監視端末通信部41と、監視端末記憶部42と、操作部43と、表示部44と、監視端末処理部45とを備える。
【0054】
監視端末通信部41は、ネットワーク5を介して監視端末4をサーバ装置3と通信可能にする通信インタフェース回路を備える。監視端末通信部41が備える通信インタフェース回路は、LTE又は無線LANの通信インタフェース回路等である。監視端末通信部41は、監視端末処理部45から供給されたデータをサーバ装置3に送信するとともに、サーバ装置3から送信されたデータを受信し、監視端末処理部45に供給する。
【0055】
監視端末記憶部42は、プログラム又はデータを記憶するためのデバイスであり、例えば、半導体メモリ装置を備える。監視端末記憶部42は、監視端末処理部45による処理に用いられるオペレーティングシステムプログラム、ドライバプログラム、アプリケーションプログラム、データ等を記憶する。
【0056】
操作部43は、監視者による監視端末4の操作を受付けるためのデバイスであり、例えば、キーパッド等である。操作部43は、後述する表示部44と一体化されたタッチパネルであってもよい。操作部43は、ユーザによる文字、数字、記号等の入力操作を受付ける。操作部43は、ユーザによる操作を受付けた場合、その操作に対応する信号を生成し、監視端末処理部45に供給する。
【0057】
表示部44は、監視者に対して画像等を表示するデバイスであり、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイである。表示部44は、監視端末処理部45から供給されるデータに応じた画像等を表示する。
【0058】
監視端末処理部45は、一又は複数個のプロセッサ及びその周辺回路を備える。監視端末処理部45は、例えばCPUであり、監視端末4の動作を統括的に制御する。なお、監視端末処理部45は、DSP、LSI、ASIC、FPGA等でもよい。監視端末処理部45は、監視端末記憶部42に記憶されているプログラムに基づいて監視端末4の各種処理が適切な手順で実行されるように、監視端末通信部41及び表示部44の動作を制御する。監視端末処理部45は、監視端末記憶部42に記憶されているプログラムに基づいて処理を実行する。また、監視端末処理部45は、複数のプログラムを並列に実行することができる。
【0059】
監視端末処理部45は、領域取得部451と、表示処理部452とをその機能ブロックとして備える。これらの各部は、監視端末処理部45が実行するプログラムによって実現される機能モジュールである。また、これらの各部は、ファームウェアとして監視端末4に実装されてもよい。
【0060】
(報知処理)
図7は、本実施形態において通信端末処理部24、サーバ処理部33及び監視端末処理部45によって実行される報知処理の流れを示すシーケンス図である。
【0061】
まず、監視端末4の領域取得部451は、第1領域特定情報を取得する(S101)。領域取得部451は、第1領域入力画面を表示部44に表示する。続いて、領域取得部451は、監視者による操作部43の操作によって第1領域入力画面に入力された情報を第1領域特定情報として取得する。
【0062】
図8は、監視端末4の表示部44に表示される第1領域入力画面800の一例を示す図である。
【0063】
領域取得部451は、監視者の操作部43に対する所定の操作に応じて、第1領域入力画面800を表示する。所定の操作は、例えば、報知サービスのアプリケーションプログラムの実行を指示する操作である。所定の操作は、ブラウザアプリケーションプログラムに対して所定の表示データの表示を指示する操作でもよい。この場合、領域取得部451は、監視端末記憶部42に記憶され、又は、サーバ装置3若しくは図示しない外部装置から取得された表示データに基づいて第1領域入力画面800を表示する。
【0064】
第1領域入力画面800は、地図表示領域801と、中心点表示オブジェクト802と、半径入力オブジェクト803と、高さ入力オブジェクト804と、領域表示オブジェクト805と、決定ボタンオブジェクト806とを含む。なお、図8に示す第1領域入力画面800は、第1領域が円柱形である場合の一例であり、取得される第1領域特定情報は、底面の中心の緯度、経度の値、底面の半径の値及び高さの値である。
【0065】
地図表示領域801は、地図画像が表示される領域である。中心点表示オブジェクト802は、監視者によって選択された、第1領域の底面の中心の位置を地図画像に重畳して示すオブジェクトである。半径入力オブジェクト803は、監視者が第1領域の底面の半径の値を入力するためのオブジェクトである。高さ入力オブジェクト804は、監視者が第1領域の高さの値を入力するためのオブジェクトである。高さの値は、例えば、対地高度である。なお、高さの値は、範囲で入力されてもよく、高さの値に代えて建物の階数が入力されてもよい。半径入力オブジェクト803及び高さ入力オブジェクト804は、例えば、テキストボックス又はドロップダウンリストである。領域表示オブジェクト805は、中心点表示オブジェクト802によって示される位置を中心とし、半径入力オブジェクト803に入力された値を半径の値とする円形の領域を地図画像に重畳して示すオブジェクトである。決定ボタンオブジェクト806は、監視者が入力した情報を第1領域特定情報としてサーバ装置3に送信するためのオブジェクトである。
【0066】
第1領域入力画面800が表示されると、監視者は、地図表示領域801の任意の位置を第1領域の底面の中心の位置として選択する。中心の位置が選択されたことに応じて、領域取得部451は、選択された点の緯度及び経度の値を取得するとともに、選択された位置に中心点表示オブジェクト802を表示する。続いて、監視者は、半径入力オブジェクト803に第1領域の底面の半径の値を入力し、高さ入力オブジェクト804に第1領域の高さの値を入力する。これらの値が入力されたことに応じて、領域取得部451は、半径及び高さの値を取得するとともに、緯度、経度及び半径の値に基づいて領域表示オブジェクト805を表示する。続いて、監視者は、領域表示オブジェクト805によって示される領域を確認し、決定ボタンオブジェクト806を選択する。決定ボタンオブジェクト806が選択されたことに応じて、領域取得部451は、監視端末通信部41を介して、取得した緯度、経度、半径及び高さの値を第1領域特定情報としてサーバ装置3に送信する(S102)。
【0067】
なお、上述した説明では、第1領域は円柱形であるものとしたが、これに限られない。例えば、第1領域は、球形でもよい。この場合、第1領域入力画面800において、高さ入力オブジェクト804は表示されず、領域取得部451は、中心の緯度、経度及び半径の値を取得し、第1領域特定情報としてサーバ装置3に送信する。また、第1領域は、角柱形でもよい。この場合、半径入力オブジェクト803は表示されず、領域取得部451は、第1領域の底面の各頂点の緯度及び経度並びに第1領域の高さの値を取得し、第1領域特定情報としてサーバ装置3に送信する。
【0068】
図7に戻り、サーバ装置3の領域設定部331は、所定の地理的領域である第1領域を設定する(S103)。領域設定部331は、監視端末4から第1領域特定情報を取得したことに応じ、通信端末テーブルT1を参照し、第1領域特定情報を送信した監視端末4に対応する通信端末2を特定する。続いて、取得した第1領域特定情報を、特定した通信端末2に関連付けて通信端末テーブルT1に記憶することにより、第1領域を設定する。なお、領域設定部331は、第1領域設定部及び第2領域設定部の一例である。
【0069】
続いて、領域設定部331は、精度情報に基づいて、第1領域を包含する第2領域を設定する(S104)。領域設定部331は、通信端末テーブルT1を参照し、第1領域特定情報と精度情報とに基づいて、第2領域特定情報を生成する。続いて、領域設定部331は、生成した第2領域特定情報を特定した通信端末2に関連付けて通信端末テーブルT1に記憶することにより、第2領域を設定する。
【0070】
以下では、第1領域が円柱形である場合に、領域設定部331が第2領域特定情報を生成する方法について説明する。まず、領域設定部331は、通信端末テーブルT1に記憶された精度情報と第1領域特定情報を取得する。続いて、領域設定部331は、第1領域特定情報に含まれる半径の値に、精度情報の定数倍(例えば、2倍)を加算するとともに、第1領域特定情報に含まれる高さの値に、精度情報の定数倍を加算する。領域設定部331は、第1領域特定情報に含まれる緯度及び経度の値並びに加算後の半径及び高さの値を含む第2領域特定情報を生成する。なお、精度情報が水平方向の精度情報と鉛直方向の精度情報とを含む場合、領域設定部331は、半径の値に水平方向の精度情報の定数倍を加算するとともに、高さの値に鉛直方向の精度情報の定数倍を加算する。
【0071】
なお、第1領域が他の形状である場合、領域設定部331は、任意の点を中心として第1領域を所定比率で拡大することにより、第2領域特定情報を生成してよい。任意の点は、例えば、第1領域の各頂点の幾何中心である。所定比率は、例えば、第1領域の各頂点の拡大前後の距離が、精度情報の定数倍を下回らないような値である。
【0072】
続いて、通信端末2の送信処理部241は、測位部23が生成した位置情報を取得し(S105)、通信端末通信部21を介してサーバ装置3に送信する。送信処理部241は、位置情報を所定の時間間隔(例えば、5分)で送信してもよく、サーバ装置3からの要求に応じて送信してもよい。なお、送信処理部241は、送信部の一例である。
【0073】
続いて、サーバ装置3の位置情報取得部332は、通信端末2の位置情報を通信端末2から取得する(S106)。位置情報取得部332は、サーバ通信部31を介して、位置情報を通信端末2から取得する。続いて、位置情報取得部332は、位置情報を取得したことに応じて、それぞれの位置情報を取得した取得時刻を特定する。続いて、位置情報取得部332は、取得した位置情報と特定した取得時刻とを通信端末2に関連付けて位置情報テーブルT2に記憶する。
【0074】
続いて、判定部333は、通信端末2の位置情報の履歴に基づいて、通信端末2が第1領域の内側から第2領域の外側に移動したか否かを判定する(S107)。判定部333は、位置情報テーブルT2を参照し、通信端末2に関連付けられた位置情報のうち、最新の位置情報が示す位置が第2領域の外側であるか否かを判定する。最新の位置情報が示す位置が第2領域の外側であると判定された場合、判定部333は、その直前に取得された位置情報が示す位置が第1領域の内側であるか否かを判定する。直前に取得された位置情報が示す位置が第1領域の内側であると判定された場合、判定部333は、通信端末2が第1領域の内側から第2領域の外側に移動したと判定する。
【0075】
直前に取得された位置情報が示す位置が第2領域の内側であり且つ第1領域の外側である場合、判定部333は、さらにその直前に取得された位置情報が示す位置が第1領域の内側であるか、又は、第2領域の外側であるかを判定する。第1領域の内側であると判定された場合、判定部333は、通信端末2が第1領域の内側から第2領域の外側に移動したと判定する。第2領域の外側であると判定された場合、判定部333は、通信端末2が第1領域の内側から第2領域の外側に移動しておらず、継続して第2領域の外側に位置していたと判定する。なお、直前に取得された位置情報が示す位置が第2領域の内側であり且つ第1領域の外側であると判定された場合、判定部333は、さらにその直前に取得された位置情報が示す位置について、同様の判定を繰り返す。
【0076】
続いて、通信端末2が第1領域の内側から第2領域の外側に移動したと判定された場合、報知部334は、通信端末2の領域外への移動を監視端末4に報知する(S108)。報知部334は、通信端末テーブルT1に記憶された、通信端末2に関連付けられた監視端末4の連絡先を取得する。続いて、報知部334は、通信端末の領域外への移動を示すメッセージを連絡先に送信することで、通信端末2の領域外への移動を監視端末4に報知する。
【0077】
続いて、監視端末4の表示処理部452は、報知の内容を表示部44に表示し(S109)、一連の処理を終了する。
【0078】
以上説明したように、本実施形態に係るサーバ装置3は、通信端末2が第1領域の内側から、精度情報に基づいて設定された、第1領域を包含する第2領域の外側に移動した場合、通信端末2の領域外への移動を監視端末4に報知する。このようにすることで、通信端末が第1領域の境界付近に位置する場合でも、サーバ装置3は、位置情報の精度にかかわらず通信端末の領域外への移動を正しく報知することを可能とする。
【0079】
また、本実施形態に係るサーバ装置3において、第1領域及び第2領域は3次元領域であり、位置情報は、緯度情報、経度情報及び高度情報を含む。このようにすることで、サーバ装置3は、例えば、特定の建物内において被監視者の移動が予定されていない階層への移動があった場合に、監視端末4に報知する。そして、監視者は、より細やかに被監視者を監視することが可能となる。
【0080】
(変形例1)
上述した説明では、サーバ装置3は、監視端末4から第1領域特定情報を取得することによって第1領域を設定したが、これに限られない。例えば、サーバ装置3は、通信端末2の位置情報の履歴に基づいて第1領域を設定してもよい。
【0081】
この場合、図7に示した報知処理において、S101及びS102は実行されない。また、S103において、サーバ装置3の領域設定部331は、位置情報テーブルT2を参照し、受信時刻が所定期間(例えば、現在時刻から1週間前までの期間)に含まれる位置情報を位置情報の履歴として取得する。続いて、領域設定部331は、取得した所定期間における通信端末2の位置情報の履歴に基づいて、第1領域特定情報を生成する。続いて、領域設定部331は、生成した第1領域特定情報を通信端末2に関連付けて通信端末テーブルT1に記憶することにより、第1領域を設定する。
【0082】
図9は、領域設定部331が位置情報の履歴に基づいて第1領域特定情報を生成する処理の例を説明するための模式図である。以下では、図9を用いて、本実施形態において領域設定部331が位置情報の履歴に基づいて第1領域特定情報を生成する処理のいくつかの例を説明する。
【0083】
図9(a)は、領域設定部331が第1領域特定情報を生成する処理の一例を説明するための模式図である。図9(a)に示す例では、領域設定部331は、所定期間における通信端末2の位置情報の履歴に含まれる位置情報が示す複数の位置901のうちから相互の距離が最も大きい2つの位置902を特定する。
【0084】
続いて、領域設定部331は、特定された2つの位置902の中点を中心903とし、且つ、相互の距離を直径とする円904の内側の領域を第1領域として設定する。領域設定部331は、中心903の緯度及び経度の値並びに円904の半径の値を含む第1領域特定情報を生成し、通信端末2に関連付けて通信端末テーブルT1に関連付けて記憶することで、第1領域を設定する。なお、生成される第1領域特定情報は、さらに高さの値を含んでよい。この場合、領域設定部331は、複数の位置901のうちから最も高度の値が大きい位置901を特定し、特定された位置901の高度の値を第1領域特定情報が含む高さの値とする。
【0085】
図9(b)は、領域設定部331が第1領域特定情報を生成する処理の他の一例を説明するための模式図である。図9(b)に示す例では、領域設定部331は、所定期間における通信端末2の位置情報の履歴に含まれる位置情報が示す位置911の凸包912を算出する。凸包912は、例えば、ドロネー分割等の公知の手法で算出される。領域設定部331は、凸包912を構成する各頂点の緯度及び経度の値を含む第1領域特定情報を生成し、通信端末2に関連付けて通信端末テーブルT1に関連付けて記憶することで、第1領域を設定する。なお、領域設定部331は、凸包912の外接円を第1領域として設定してもよい。
【0086】
図9(a)又は図9(b)に示す処理により第1領域特定情報を生成することで、サーバ装置3は、被監視者が通常移動する地点を含む第1領域を自動的に設定することができ、監視者が第1領域を設定する負担を低減することができる。また、上述した方法で第1領域が設定されることにより、第1領域は、被監視者が通常移動する地点を含み、且つ、可能な限り狭い領域となる。仮に、第1領域が被監視者が通常移動する地点に対して広く設定された場合、被監視者が通常移動する地点を離れてから第2領域の外側に移動して監視者が報知を受けるまでの時間が長くなり、監視者は、いち早く報知を受けることができない。これに対し、サーバ装置3は、図9(a)又は図9(b)に示す処理より第1領域を可能な限り狭い領域として設定することにより、被監視者が意図しない移動を開始したときに監視者がいち早く報知を受けることを可能とする。
【0087】
(変形例2)
なお、上述した説明において、複数の所定期間毎に複数の第1領域を設定してもよい。
【0088】
この場合、S103において、領域設定部331は、複数の所定期間における通信端末2の位置情報の履歴に基づいて複数の第1領域を設定する。以下では、複数の所定期間が一の期間(例えば、月曜日から金曜日までの期間)及び他の期間(例えば、土曜日から日曜日までの期間)の二つの期間である場合について説明する。この場合、領域設定部331は、位置情報テーブルT2を参照して、受信時刻が一の期間に含まれる位置情報を取得する。続いて、領域設定部331は、取得した一の所定期間における位置情報の履歴に基づいて、一の第1領域を設定する。続いて、領域設定部331は、位置情報テーブルT2を参照して、受信時刻が他の所定期間に含まれる位置情報を取得する。続いて、領域設定部331は、取得した他の所定期間における位置情報の履歴に基づいて、他の第1領域を設定する。
【0089】
続いて、S104において、領域設定部331は、設定された複数の第1領域のそれぞれに基づいて、複数の第2領域を設定する。
【0090】
続いて、S107において、判定部333は、通信端末2の位置情報を取得した時刻に基づいて、複数の第1領域の内の何れかを選択する。判定部333は、通信端末2に関連付けられた位置情報のうち、最新の位置情報の受信時刻に対応する所定期間を特定する。例えば、最新の位置情報の受信時刻が月曜日から金曜日の期間に含まれる場合、上述した一の期間を受信時刻に対応する所定期間として特定する。また、受信時刻が土曜日から日曜日の期間に含まれる場合、上述した他の期間を受信時刻に対応する所定期間として特定する。判定部333は、特定した所定期間に関連付けられた第1領域を選択する。
【0091】
続いて、S107において、判定部333は、通信端末2が選択された第1領域の内側からその第1領域を包含する第2領域の外側に移動したか否かを判定する。このようにすることで、期間(例えば、曜日)ごとに被監視者の移動が予定されている地点が異なる場合でも、サーバ装置3は、位置情報の精度にかかわらず通信端末の領域外への移動を正しく報知することを可能とする。
【0092】
(変形例3)
上述した説明では、サーバ装置3は、第1領域と第2領域とを設定したが、これに限られない。例えば、サーバ装置3は、第2領域を包含する第3領域を更に設定し、通信端末2が第2領域の内側から第3領域の外側に移動した場合に、報知を行わないようにしてもよい。
【0093】
この場合、S104の後に、領域設定部331は、第2領域を包含する第3領域を設定する。領域設定部331は、通信端末テーブルT1を参照し、通信端末2に関連付けられた第2領域特定情報を取得する。続いて、領域設定部331は、第2領域特定情報に基づいて第3領域特定情報を生成し、通信端末2に関連付けて通信端末テーブルT1に記憶することで、第3領域を設定する。
【0094】
続いて、S107において、判定部333は、通信端末2が第1領域の内側から第2領域の外側であり且つ第3領域の内側である領域を経由することなく第3領域の外側に移動したか否かをさらに判定する。そして、第1領域の内側から第2領域の外側であり且つ第3領域の内側である領域を経由することなく第3領域の外側に移動したと判定された場合、報知部334は、報知を行わない。
【0095】
第2領域が円柱形である場合、第3領域の底面は、例えば、第2領域の底面の中心の位置を中心とし、且つ、第2領域の底面の半径よりも大きい値の半径を有する円形である。また、第3領域の底面の半径の値は、S106においてサーバ装置3が位置情報を取得する時間間隔に基づいて、十分大きい値に設定される。例えば、サーバ装置3が5分間隔で位置情報を取得する場合、第3領域の半径は、被監視者が5分間で移動することが想定されないような距離(例えば、10キロメートル)程度だけ第2領域よりも大きい値に設定される。
【0096】
一般に、GPSを用いた測位機能において、測位信号の受信強度が低下すると、位置情報は大きな誤差を含むようになることがある。したがって、通信端末2が第1領域の内側から第2領域の外側であり且つ第3領域の内側である領域を経由することなく第3領域の外側に移動した場合、通信端末2の位置情報は大きな誤差を含んだものである蓋然性が高い。サーバ装置3は、このような場合に報知を行わないことにより、誤った報知が行われる可能性をより低減することを可能とする。
【0097】
(第2の実施形態)
以下では、図10から図12を用いて本発明の第2の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態と同様の構成については、同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0098】
(報知システムの概要)
図10は、本発明の第2の実施形態に係る報知システムの概要について説明するための模式図である。第2の実施形態に係る報知システムは、例えば、建設現場における建設工事の進捗を施工管理者が把握するためのサービスを提供するものである。
【0099】
報知システムは、互いに通信可能に接続されたサーバ装置、通信端末及び監視端末を含む。サーバ装置は、通信端末の領域外への移動の有無を判定し、監視端末に報知する機能を備える。通信端末は、被監視者によって携行され、サーバ装置に位置情報を送信する。被監視者は、建設工事の進捗とともにその位置が変化する建設機械の操縦者であり、図10に示す例では、高層ビルの建設現場におけるタワークレーンの操縦者である。タワークレーンは、高層ビルの建設工事が進捗するに伴いその高度が高くなるため、タワークレーンの操縦者の高度に基づいて建設工事の進捗を把握することができる。なお、通信端末は、被監視者によって携行されず、建設機械又は建設資材に備え付けられてもよい。監視端末は、監視者によって操作される端末であり、サーバ装置からの報知を受付け、それを表示等することによって監視者に通知する。監視者は、建設工事の進捗を管理する施工管理者である。
【0100】
サーバ装置は、通信端末の精度情報を記憶するとともに、複数の期間に関連付けて複数の作業領域を記憶する。複数の作業領域は、関連付けられた各作業期間において建設機械が位置する領域、すなわち、工事が行われる領域を示す。高層ビルの建設工事においては、低層階から高層階に向かって工事が行われる。したがって、図10に示す例では、複数の作業領域は、後の作業期間に関連付けられた作業領域の方が高い位置を示す領域となっている。また、図10に示す例では、作業領域は3次元領域であるが、高度又は水平方向の位置のみが規定された領域でもよい。
【0101】
続いて、サーバ装置は、複数の設定領域のうちから期間に基づいて選択された作業領域を第1領域として設定する。サーバ装置は、例えば、現在時刻が含まれる期間に関連付けられた作業領域を第1領域として設定する。図10に示す例では、領域Aが第1領域として設定されている。
【0102】
続いて、サーバ装置は、精度情報に基づいて、第1領域を包含する第2領域を設定する。
【0103】
続いて、サーバ装置は、通信端末の位置情報を通信端末から取得し、通信端末の位置情報の履歴に基づいて、通信端末が第1領域の内側から第2領域の外側に移動したか否かを判定する。通信端末が第1領域の内側から第2領域の外側に移動したと判定された場合、サーバ装置は、通信端末の領域外への移動を監視端末に報知するとともに、通信端末が第1領域の次の期間に関連付けられた次の作業領域の内側に位置するか否かを判定する。図10に示す例では、通信端末は、第1領域である領域Aの内側から外側に移動している(なお、通信端末は、図示しない第2領域の外側に移動したものとする。)。したがって、サーバ装置は、通信端末の領域外への移動を監視端末に報知する。また、図10に示す例では、第1領域である領域Aの次の期間には、領域Bが関連付けられている。したがって、サーバ装置は、通信端末が領域Bの内側に位置するか否かを判定する。
【0104】
通信端末が次の作業領域の内側に位置しないと判定された場合、サーバ装置は、警告を監視端末に報知する。警告は、例えば、あらかじめ記憶された監視端末のメールアドレスに電子メールを送信することによって報知される。図10に示す例では、通信端末は、領域Bの内側に位置していない。したがって、サーバ装置は、警告を監視端末に報知する。
【0105】
以上説明したように、本実施形態に係るサーバ装置は、通信端末が第1領域の内側から第2領域の外側に移動した場合に、通信端末の領域外への移動を監視端末に報知する。このようにすることで、監視者は、通信端末が異なる作業領域に移動したこと、すなわち、建設工事が進捗したことを容易に把握することができる。また、本実施形態に係るサーバ装置は、通信端末が次の作業領域の内側に位置しないと判定された場合、警告を監視端末に報知する。このようにすることで、監視者は、通信端末が予定と異なる作業領域に移動したことをいち早く把握することができる。
【0106】
(報知システム1の構成)
本実施形態に係る報知システム1は、通信端末2と、サーバ装置3と、監視端末4とを含む。通信端末2と、サーバ装置3と、監視端末4とは、ネットワーク5を介して相互に通信可能に接続される。報知システム1、通信端末2、サーバ装置3及び監視端末4の概略構成については、第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0107】
(データ構造)
図11は、通信端末テーブルT1及び位置情報テーブルT2とともにサーバ記憶部32に記憶される、複数の作業領域に関する情報を管理する作業領域テーブルT3のデータ構造の一例を示す図である。作業領域テーブルT3は、領域識別情報、作業期間及び領域特定情報等を互いに関連付けて記憶している。
【0108】
領域識別情報は、作業領域を一意に識別するための情報であり、例えば、複数の作業領域のそれぞれに関連付けられた文字列である。作業期間は、各作業領域の内側に通信端末2が位置することが予定されている期間として、あらかじめ監視者によって定められた期間である。領域特定情報は、それぞれの作業領域を地理的に特定するための情報である。図11に示す例では、それぞれの作業領域は円柱形であり、底面の中心の緯度及び経度の値、底面の半径の値並びに領域の高さの範囲が領域特定情報として記憶されている。なお、領域特定情報として高さの範囲のみが記憶されてもよい。この場合、通信端末2から取得される位置情報のうちの高さの値が領域特定情報に含まれる高さの範囲に含まれる場合、通信端末2は作業領域内に位置すると判定される。また、建設工事が水平方向に進む場合(例えば、道路の建設工事等)においては、領域特定情報として緯度、経度及び半径の値のみ(又は、緯度、経度の値の範囲等)が記憶されてもよい。なお、図11に示す例では、連続する二つの期間に関連付けられた各領域は接しているが、各領域は重複してもよく、離れていてもよい。なお、作業領域及び作業期間は、設定領域及び設定期間の一例である。
【0109】
(報知処理)
図12は、本実施形態において通信端末処理部24、サーバ処理部33及び監視端末処理部45によって実行される報知処理の流れを示すシーケンス図である。
【0110】
まず、サーバ装置3の領域設定部331は、複数の作業領域のうちから作業期間に基づいて選択された作業領域を第1領域として設定する(S201)。領域設定部331は、作業領域テーブルT3を参照し、現在時刻が含まれる作業期間に関連付けられた作業領域を選択する。続いて、領域設定部331は、選択した作業領域に関連付けられた領域特定情報を取得し、通信端末2に関連付けて通信端末テーブルT1に記憶することにより、選択された作業領域を第1領域として設定する。
【0111】
続いて、領域設定部331は、精度情報に基づいて、第1領域を包含する第2領域を設定する(S202)。
【0112】
続いて、通信端末2の送信処理部241は、通信端末2の位置情報をサーバ装置3に送信する(S203)。
【0113】
続いて、位置情報取得部332は、通信端末2の位置情報を通信端末2から取得する(S204)。
【0114】
続いて、判定部333は、通信端末2の位置情報の履歴に基づいて、通信端末が第1領域の内側から第2領域の外側に移動したか否かを判定する(S205)。
【0115】
続いて、通信端末2が第1領域の内側から第2領域の外側に移動したと判定された場合、報知部334は、通信端末2の領域外への移動を監視端末4に報知する(S206)。
【0116】
続いて、監視端末4の表示処理部452は、報知の内容を表示部44に表示する(S207)。
【0117】
続いて、通信端末2が第1領域の内側から第2領域の外側に移動したと判定された場合、サーバ装置3の判定部333は、通信端末2が第1領域である作業領域の次の期間に関連付けられた作業領域の内側に位置するか否かを判定する(S208)。例えば、複数の作業期間が日付により定められている場合、判定部333は、作業領域テーブルT3を参照し、第1領域である作業領域に関連付けられた作業期間の終了日を特定する。続いて、判定部333は、特定した終了日の翌日を開始日とする作業期間に関連付けられた作業領域を特定する。続いて、判定部333は、通信端末2の位置情報が、特定した作業領域の内側に位置するか否かを判定する。
【0118】
続いて、通信端末2が次の期間に関連付けられた作業期間の内側に位置しないと判定された場合、報知部334は、警告を監視端末4に報知する(S209)。
【0119】
続いて、監視端末4の表示処理部452は、報知の内容を表示部44に表示し(S210)、一連の処理を終了する。
【0120】
以上説明したように、本発明の第2の実施形態に係るサーバ装置3は、通信端末2が第1領域である作業領域を包含する第2領域の外側へ移動し、且つ、次の作業期間に関連付けられた作業領域の内側に位置しない場合に、監視端末4に警告を報知する。このようにすることで、監視者は、建設工事等の作業が既定の順序で進捗していないことを正しく把握することができる。
【0121】
なお、上述した各実施形態において、サーバ装置3の機能の一部または全部は、通信端末2又は監視端末4によって提供されてもよい。
【0122】
例えば、通信端末2によって、サーバ装置3の機能の全部が提供されてもよい。この場合、通信端末2の通信端末記憶部22は、サーバ記憶部32に記憶されていた各種テーブルを記憶する。そして、図7の報知処理のS103、S104及びS106乃至S108が、通信端末処理部24によって実行される。また、監視端末4によって、サーバ装置3の機能の全部が提供されてもよい。この場合、監視端末4の監視端末記憶部42は、各種テーブルを記憶する。そして、図7の報知処理のS103、S104、S106及びS107が、監視端末処理部45によって実行される。
【0123】
当業者は、本発明の精神および範囲から外れることなく、様々な変更、置換及び修正をこれに加えることが可能であることを理解されたい。例えば、上述した各部の処理は、本発明の範囲において、適宜に異なる順序で実行されてもよい。また、上述した実施形態及び変形例は、本発明の範囲において、適宜に組み合わせて実施されてもよい。
【符号の説明】
【0124】
2 通信端末
21 通信端末通信部
22 通信端末記憶部
23 測位部
241 送信処理部
3 サーバ装置
31 サーバ通信部
32 サーバ記憶部
331 領域設定部
332 位置情報取得部
333 判定部
334 報知部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12