(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-03
(45)【発行日】2022-03-11
(54)【発明の名称】検査装置、PTP包装機及びPTPシートの製造方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/85 20060101AFI20220304BHJP
G01N 21/27 20060101ALI20220304BHJP
【FI】
G01N21/85 A
G01N21/27 B
(21)【出願番号】P 2019052202
(22)【出願日】2019-03-20
【審査請求日】2020-10-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】小田 将蔵
(72)【発明者】
【氏名】平野 正徳
(72)【発明者】
【氏名】大山 剛
(72)【発明者】
【氏名】坂井田 憲彦
【審査官】小野寺 麻美子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-179846(JP,A)
【文献】特開2012-127827(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0108892(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0017186(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00 - G01N 21/01
G01N 21/17 - G01N 21/61
G01N 21/84 - G01N 21/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に凹部を有しかつコーティングが施された錠剤を検査する検査装置であって、
前記錠剤に対し近赤外光を照射可能な照射手段と、
前記近赤外光が照射された前記錠剤から反射される反射光を分光可能な分光手段と、
前記分光手段にて分光された前記反射光の分光画像を撮像可能な撮像手段と、
前記撮像手段により取得された前記分光画像を基に、前記錠剤上の複数点におけるスペクトルデータを取得可能なスペクトルデータ取得手段と、
前記錠剤上の複数点におけるスペクトルデータのうち、少なくとも前記凹部の底部を含む所定範囲に対応したスペクトルデータを除いたスペクトルデータを用いて、前記錠剤について所定の分析処理を行うことにより異品種を検出可能な分析手段とを備えたことを特徴とする検査装置。
【請求項2】
前記分析手段は、少なくとも前記凹部の底部を含む所定範囲に対し所定のマスク処理を行うことにより、該所定範囲に対応したスペクトルデータを除いたスペクトルデータを把握することを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
表面に凹部を有しかつコーティングが施された錠剤が容器フィルムに形成されたポケット部に収容され、該ポケット部を塞ぐようにカバーフィルムが取着されてなるPTPシートを製造するためのPTP包装機であって、
帯状の前記容器フィルムに対し前記ポケット部を形成するポケット部形成手段と、
前記ポケット部に前記錠剤を充填する充填手段と、
前記ポケット部に前記錠剤が充填された前記容器フィルムに対し、前記ポケット部を塞ぐようにして帯状の前記カバーフィルムを取着する取着手段と、
前記容器フィルムに前記カバーフィルムが取着された帯状体から前記PTPシートを切離す切離手段と、
請求項1又は2に記載の検査装置とを備えたことを特徴とするPTP包装機。
【請求項4】
表面に凹部を有しかつコーティングが施された錠剤が容器フィルムに形成されたポケット部に収容され、該ポケット部を塞ぐようにカバーフィルムが取着されてなるPTPシートを製造するためのPTPシートの製造方法であって、
帯状の前記容器フィルムに対し前記ポケット部を形成するポケット部形成工程と、
前記ポケット部に前記錠剤を充填する充填工程と、
前記ポケット部に前記錠剤が充填された前記容器フィルムに対し、前記ポケット部を塞ぐようにして帯状の前記カバーフィルムを取着する取着工程と、
前記容器フィルムに前記カバーフィルムが取着された帯状体から前記PTPシートを切離す切離工程と、
異品種の混入を検査する検査工程とを備え、
前記検査工程において、
前記錠剤に対し近赤外光を照射する照射工程と、
前記近赤外光が照射された前記錠剤から反射される反射光を分光する分光工程と、
分光された前記反射光の分光画像を撮像する撮像工程と、
前記分光画像を基に、前記錠剤上の複数点におけるスペクトルデータを取得するスペクトルデータ取得工程と、
前記錠剤上の複数点におけるスペクトルデータのうち、少なくとも前記凹部の底部を含む所定範囲に対応したスペクトルデータを除いたスペクトルデータを用いて、前記錠剤について所定の分析処理を行うことにより異品種を検出する分析工程とを備えたことを特徴とするPTPシートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分光分析を利用して異品種錠剤の混入を検査する検査装置、PTP包装機及びPTPシートの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般にPTPシートは、錠剤が充填されるポケット部が形成された容器フィルムと、その容器フィルムに対しポケット部の開口側を密封するように取着されるカバーフィルムとから構成されている。
【0003】
PTPシートの製造に際しては、異品種錠剤の混入を検査する異品種混入検査が行われる。かかる検査の手法としては、近赤外光を錠剤に照射し、その反射光を分光器により分光し、それを撮像して得られるスペクトルデータを基に分析処理(例えば主成分分析)を行うことで異品種錠剤の混入を検出する方法が知られている。
【0004】
一般にスペクトルデータを基に分析処理を行う際には、各錠剤上の複数点におけるスペクトルデータを平均化することで、該錠剤に係る平均スペクトルデータを算出し、該平均スペクトルデータに基づいて、該錠剤の種類を判別する。
【0005】
その中でも、各錠剤の中心位置を検出し、該中心位置の近傍の複数点におけるスペクトルデータを平均化することで、該錠剤に係る平均スペクトルデータを算出し、該平均スペクトルデータに基づいて、該錠剤の種類を判別する技術なども知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1などの従来技術のように、単純に錠剤上の所定領域内のスペクトルデータを平均化するだけでは、該錠剤に係る適切な平均スペクトルデータとならない場合がある。
【0008】
例えば近年では、有効成分又はこれに賦形剤等を加えたものを圧縮成形しただけの素錠の表面に対し、味や臭いのマスキング、酸素バリア性や防湿性、腸溶性、徐放性などの特性を付与するなど種々の目的で、高分子化合物などのコーティング剤で被膜(コーティング層)を形成したフィルムコーティング錠が知られている。
【0009】
一般に被膜は素錠に対し液状のコーティング剤を噴霧し乾燥させる等して形成される。このため、割線や刻印などの凹部が形成された錠剤(素錠)の表面にコーティングが施されている場合、噴霧されたコーティング剤が凹部に流れ込み、凹部の底部において被膜の厚みが厚くなってしまうおそれがある(
図13参照)。
【0010】
かかる場合、凹部の底部に係るスペクトルデータは、コーティング剤の影響を強く受けたものとなるため、錠剤の品種を表すスペクトルデータとは大きく異なるものとなってしまうおそれがある。特に有効成分の含有量が異なる異種錠剤のように、スペクトルデータの似通った異種錠剤を正しく区別することが困難となるおそれがある。
【0011】
通常、割線等は錠剤の中心に設けられるため、特許文献1のように、錠剤の中心位置の近傍の複数点におけるスペクトルデータを平均化した場合には、コーティング剤の影響を強く受けたスペクトルデータが多数含まれてしまい、該錠剤の品種を表す適切なスペクトルデータが得られないおそれがある。
【0012】
結果として、分光分析を利用した異品種錠剤の混入検査に係る検査精度が著しく低下するおそれがある。
【0013】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、分光分析を利用した異品種錠剤の混入検査に係る検査精度の向上を図ることのできる検査装置、PTP包装機及びPTPシートの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
以下、上記課題を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0015】
手段1.表面に凹部(割線や刻印など)を有しかつコーティングが施された錠剤を検査する検査装置であって、
前記錠剤に対し近赤外光を照射可能な照射手段と、
前記近赤外光が照射された前記錠剤から反射される反射光を分光可能な分光手段と、
前記分光手段にて分光された前記反射光の分光画像を撮像可能な撮像手段と、
前記撮像手段により取得された前記分光画像を基に、前記錠剤上の複数点(複数の座標位置)におけるスペクトルデータを取得可能なスペクトルデータ取得手段と、
前記錠剤上の複数点におけるスペクトルデータのうち、少なくとも前記凹部の底部を含む所定範囲に対応したスペクトルデータを除いたスペクトルデータを用いて、前記錠剤について所定の分析処理(例えば主成分分析)を行うことにより異品種を検出可能な分析手段とを備えたことを特徴とする検査装置。
【0016】
上記手段1によれば、例えば素錠の表面に割線や刻印などの凹部が形成されかつその表面がコーティング剤で被覆されたフィルムコーティング錠などの錠剤を検査する場合において、仮に錠剤表面を覆う被膜(コーティング層)の厚みが凹部の底部を含む所定範囲において比較的厚くなっており、該所定範囲におけるスペクトルデータがコーティング剤の影響を強く受けるおそれがある場合においても、該所定範囲におけるスペクトルデータを除外し、錠剤の品種を適切に表したスペクトルデータを取得した上で、錠剤の分光分析を行うことができる。
【0017】
結果として、錠剤上における複数点のスペクトルデータを単純に平均化する構成などと比較して、コーティング剤の影響を極力回避することができ、異品種錠剤の混入検査に係る検査精度の飛躍的な向上を図ることができる。
【0018】
手段2.前記分析手段は、少なくとも前記凹部の底部を含む所定範囲に対し所定のマスク処理を行うことにより、該所定範囲に対応したスペクトルデータを除いたスペクトルデータを把握することを特徴とする手段1に記載の検査装置。
【0019】
上記手段2によれば、マスク処理といった比較的簡単な処理により、上記所定範囲に対応したスペクトルデータを除いたスペクトルデータを把握することができ、処理の簡素化を図ることができる。
【0020】
また、スペクトルデータに対するコーティング剤の影響の程度に寄らず、上記凹部の底部を含む所定範囲全域に係るスペクトルデータを除外することができるため、コーティング剤の影響のみならず、凹部に係る他の影響(例えば凹部に生じる影部の影響など)も除外することができ、検査精度のさらなる向上を図ることができる。
【0021】
手段3.表面に凹部(割線や刻印など)を有しかつコーティングが施された錠剤が容器フィルムに形成されたポケット部に収容され、該ポケット部を塞ぐようにカバーフィルムが取着されてなるPTPシートを製造するためのPTP包装機であって、
帯状の前記容器フィルムに対し前記ポケット部を形成するポケット部形成手段と、
前記ポケット部に前記錠剤を充填する充填手段と、
前記ポケット部に前記錠剤が充填された前記容器フィルムに対し、前記ポケット部を塞ぐようにして帯状の前記カバーフィルムを取着する取着手段と、
前記容器フィルムに前記カバーフィルムが取着された帯状体(帯状のPTPフィルム)から前記PTPシートを切離す切離手段(シート単位に打抜く打抜手段を含む)と、
上記手段1又は2に記載の検査装置とを備えたことを特徴とするPTP包装機。
【0022】
上記手段5のように、上記手段1又は2に係る検査装置をPTP包装機に備えることで、PTPシートの製造過程において異品種を含む不良品を効率的に除外できる等のメリットが生じる。また、PTP包装機は、上記検査装置によって不良と判定されたPTPシートを排出する排出手段を備える構成としてもよい。
【0023】
尚、上記手段3において、上記検査装置を「充填手段によりポケット部に錠剤が充填される前工程」に配置した構成としてもよい。かかる場合、ポケット部に充填される前段階に異品種を排除することが可能となり、不良品となるPTPシートを低減することができる。
【0024】
また、上記検査装置を「充填手段によりポケット部に錠剤が充填された後工程かつ取着手段によりカバーフィルムが取着される前工程」に配置した構成としてもよい。かかる場合、錠剤を遮るものがない状態で検査を実行することができ、さらなる検査精度の向上を図ることができる。
【0025】
また、上記検査装置を「取着手段によりカバーフィルムが取着された後工程かつ切離手段によりPTPシートが切離される前工程」に配置した構成としてもよい。かかる場合、錠剤が入れ替わることがない状態で検査を実行することができ、さらなる検査精度の向上を図ることができる。
【0026】
また、上記検査装置を「切離手段によりPTPシートが切離された後工程」に配置した構成としてもよい。かかる場合、不良品が混ざっていないかを最終段階で確認することができる。
【0027】
手段4.表面に凹部(割線や刻印など)を有しかつコーティングが施された錠剤が容器フィルムに形成されたポケット部に収容され、該ポケット部を塞ぐようにカバーフィルムが取着されてなるPTPシートを製造するためのPTPシートの製造方法であって、
帯状の前記容器フィルムに対し前記ポケット部を形成するポケット部形成工程と、
前記ポケット部に前記錠剤を充填する充填工程と、
前記ポケット部に前記錠剤が充填された前記容器フィルムに対し、前記ポケット部を塞ぐようにして帯状の前記カバーフィルムを取着する取着工程と、
前記容器フィルムに前記カバーフィルムが取着された帯状体(帯状のPTPフィルム)から前記PTPシートを切離す切離工程(シート単位に打抜く打抜工程を含む)と、
異品種の混入を検査する検査工程とを備え、
前記検査工程において、
前記錠剤に対し近赤外光を照射する照射工程と、
前記近赤外光が照射された前記錠剤から反射される反射光を分光する分光工程と、
分光された前記反射光の分光画像を撮像する撮像工程(露光工程)と、
前記分光画像を基に、前記錠剤上の複数点(複数の座標位置)におけるスペクトルデータを取得するスペクトルデータ取得工程と、
前記錠剤上の複数点におけるスペクトルデータのうち、少なくとも前記凹部の底部を含む所定範囲に対応したスペクトルデータを除いたスペクトルデータを用いて、前記錠剤について所定の分析処理(例えば主成分分析)を行うことにより異品種を検出する分析工程とを備えたことを特徴とするPTPシートの製造方法。
【0028】
上記手段4によれば、上記手段3と同様の作用効果が奏される。
【0029】
尚、上記手段4において、上記検査工程を「充填工程の前工程」に行う構成としてもよい。かかる場合、ポケット部に充填される前段階に異品種を排除することが可能となり、不良品となるPTPシートを低減することができる。
【0030】
また、上記検査工程を「充填工程の後工程かつ取着工程の前工程」に行う構成としてもよい。かかる場合、錠剤を遮るものがない状態で検査を実行することができ、検査精度の向上を図ることができる。
【0031】
また、上記検査工程を「取着工程の後工程かつ切離工程の前工程」に行う構成としてもよい。かかる場合、錠剤が入れ替わることがない状態で検査を実行することができ、検査精度の向上を図ることができる。
【0032】
また、上記検査工程を「切離工程の後工程」に行う構成としてもよい。かかる場合、不良品が混ざっていないかを最終段階で確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】(a)はPTPシートを示す斜視図であり、(b)はPTPフィルムを示す斜視図である。
【
図2】PTPシートのポケット部の部分拡大断面図である。
【
図3】PTP包装機の概略構成を示す模式図である。
【
図4】検査装置の電気的構成を示すブロック図である。
【
図5】検査装置の配置構成を模式的に示す斜視図である。
【
図7】スペクトルデータ取得ルーチンを示すフローチャートである。
【
図8】撮像素子に投射された分光スペクトルを示す模式図である。
【
図10】搬送方向撮像範囲とスペクトル画像との関係を説明するための説明図である。
【
図14】(a)は割線領域特定処理を説明するための説明図であり、(b)は、マスク処理を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下に、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。まずPTPシートの構成について詳しく説明する。
【0035】
図1,2に示すように、PTPシート1は、複数のポケット部2を備えた容器フィルム3と、ポケット部2を塞ぐようにして容器フィルム3に取着されたカバーフィルム4とを有している。
【0036】
本実施形態における容器フィルム3は、例えばPP(ポリプロピレン)やPVC(ポリ塩化ビニル)等の透明の熱可塑性樹脂材料により形成され、透光性を有している。一方、カバーフィルム4は、例えばポリプロピレン樹脂等からなるシーラントが表面に設けられた不透明材料(例えばアルミニウム箔等)により構成されている。
【0037】
PTPシート1は、平面視略矩形状に形成されている。PTPシート1には、その長手方向に沿って配列された5個のポケット部2からなるポケット列が、その短手方向に2列形成されている。つまり、計10個のポケット部2が形成されている。各ポケット部2には、錠剤5が1つずつ収容されている。
【0038】
図12、
図13に示すように、錠剤5には、その表裏両面のうちの一方面において、その中心を通り直線状に延びる断面略V字溝状の割線Gが形成されている。そして、錠剤5は、後述する錠剤充填装置21によって、割線Gの形成された面がカバーフィルム4側を向くようにポケット部2に収容される。
【0039】
また、本実施形態に係る錠剤5は、各種有効成分又はこれと賦形剤等とを混合したものを圧縮成形した素錠5Aの表面に対し、所定のコーティング剤で被膜(コーティング層)5Bが形成されたフィルムコーティング錠である。
【0040】
コーティング剤としては、例えばツェイン(トウモロコシ蛋白)、シェラック(天然樹脂)、イーストラップ(酵母細胞壁)、HPC・HPMC(セルロース)などが用途に応じて選択できる。
【0041】
PTPシート1〔
図1(a)参照〕は、帯状の容器フィルム3及び帯状のカバーフィルム4から形成された帯状のPTPフィルム6〔
図1(b)参照〕がシート状に打抜かれることにより製造される。
【0042】
次に、上記PTPシート1を製造するPTP包装機10の概略構成について
図3を参照して説明する。
【0043】
図3に示すように、PTP包装機10の最上流側では、帯状の容器フィルム3の原反がロール状に巻回されている。ロール状に巻回された容器フィルム3の引出し端側は、ガイドロール13に案内されている。容器フィルム3は、ガイドロール13の下流側において間欠送りロール14に掛装されている。間欠送りロール14は、間欠的に回転するモータに連結されており、容器フィルム3を間欠的に搬送する。
【0044】
ガイドロール13と間欠送りロール14との間には、容器フィルム3の搬送経路に沿って、加熱装置15及びポケット部形成装置16が順に配設されている。そして、加熱装置15によって容器フィルム3が加熱されて該容器フィルム3が比較的柔軟になった状態において、ポケット部形成装置16によって容器フィルム3の所定位置に複数のポケット部2が成形される(ポケット部形成工程)。加熱装置15及びポケット部形成装置16によって、本実施形態におけるポケット部形成手段が構成される。ポケット部2の形成は、間欠送りロール14による容器フィルム3の搬送動作間のインターバルの際に行われる。
【0045】
間欠送りロール14から送り出された容器フィルム3は、テンションロール18、ガイドロール19及びフィルム受けロール20の順に掛装されている。フィルム受けロール20は、一定回転するモータに連結されているため、容器フィルム3を連続的に且つ一定速度で搬送する。テンションロール18は、容器フィルム3を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、前記間欠送りロール14とフィルム受けロール20との搬送動作の相違による容器フィルム3の撓みを防止して容器フィルム3を常時緊張状態に保持する。
【0046】
ガイドロール19とフィルム受けロール20との間には、容器フィルム3の搬送経路に沿って、錠剤充填装置21及び検査装置22が順に配設されている。
【0047】
錠剤充填装置21は、ポケット部2に錠剤5を自動的に充填する充填手段としての機能を有する。錠剤充填装置21は、フィルム受けロール20による容器フィルム3の搬送動作と同期して、所定間隔毎にシャッタを開くことで錠剤5を落下させるものであり、このシャッタ開放動作に伴って各ポケット部2に錠剤5が充填される(充填工程)。
【0048】
検査装置22は、分光分析を利用して検査を行う分光分析装置であって、異品種の混入を検査するためのものである。検査装置22の詳細については後述する。
【0049】
一方、帯状に形成されたカバーフィルム4の原反は、最上流側においてロール状に巻回されている。
【0050】
ロール状に巻回されたカバーフィルム4の引出し端は、ガイドロール24を介して加熱ロール25の方へと案内されている。加熱ロール25は、前記フィルム受けロール20に圧接可能となっており、両ロール20,25間に容器フィルム3及びカバーフィルム4が送り込まれるようになっている。
【0051】
そして、容器フィルム3及びカバーフィルム4が、両ロール20,25間を加熱圧接状態で通過することで、容器フィルム3にカバーフィルム4が貼着され、ポケット部2がカバーフィルム4で塞がれる(取着工程)。これにより、錠剤5が各ポケット部2に充填された帯状体としてのPTPフィルム6が製造されるようになっている。加熱ロール25の表面には、シール用の網目状の微細な凸条が形成されており、これが強く圧接することで、強固なシールが実現されるようになっている。フィルム受けロール20及び加熱ロール25により本実施形態における取着手段が構成される。
【0052】
フィルム受けロール20から送り出されたPTPフィルム6は、テンションロール27及び間欠送りロール28の順に掛装されている。間欠送りロール28は、間欠的に回転するモータに連結されているため、PTPフィルム6を間欠的に搬送する。テンションロール27は、PTPフィルム6を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、前記フィルム受けロール20と間欠送りロール28との搬送動作の相違によるPTPフィルム6の撓みを防止してPTPフィルム6を常時緊張状態に保持する。
【0053】
間欠送りロール28から送り出されたPTPフィルム6は、テンションロール31及び間欠送りロール32の順に掛装されている。間欠送りロール32は、間欠的に回転するモータに連結されているため、PTPフィルム6を間欠的に搬送する。テンションロール31は、PTPフィルム6を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、前記間欠送りロール28,32間でのPTPフィルム6の撓みを防止する。
【0054】
間欠送りロール28とテンションロール31との間には、PTPフィルム6の搬送経路に沿って、スリット形成装置33及び刻印装置34が順に配設されている。スリット形成装置33は、PTPフィルム6の所定位置に切離用スリットを形成する機能を有する。また、刻印装置34はPTPフィルム6の所定位置(例えばタグ部)に刻印を付す機能を有する。
【0055】
間欠送りロール32から送り出されたPTPフィルム6は、その下流側においてテンションロール35及び連続送りロール36の順に掛装されている。間欠送りロール32とテンションロール35との間には、PTPフィルム6の搬送経路に沿って、シート打抜装置37が配設されている。シート打抜装置37は、PTPフィルム6をPTPシート1単位にその外縁を打抜くシート打抜手段(切離手段)としての機能を有する。
【0056】
シート打抜装置37によって打抜かれたPTPシート1は、コンベア39によって搬送され、完成品用ホッパ40に一旦貯留される(切離工程)。但し、上記検査装置22によって不良品と判定された場合、その不良品と判定されたPTPシート1は、完成品用ホッパ40へ送られることなく、図示しない排出手段としての不良シート排出機構によって別途排出される。
【0057】
前記連続送りロール36の下流側には、裁断装置41が配設されている。そして、シート打抜装置37による打抜き後に帯状に残った残材部(スクラップ部)を構成する不要フィルム部42は、前記テンションロール35及び連続送りロール36に案内された後、裁断装置41に導かれる。なお、前記連続送りロール36は従動ロールが圧接されており、前記不要フィルム部42を挟持しながら搬送動作を行う。裁断装置41では、不要フィルム部42を所定寸法に裁断しスクラップ処理する機能を有する。このスクラップはスクラップ用ホッパ43に貯留された後、別途廃棄処理される。
【0058】
なお、上記各ロール14,20,28,31,32などは、そのロール表面とポケット部2とが対向する位置関係となっているが、間欠送りロール14等の表面には、ポケット部2が収容される凹部が形成されているため、ポケット部2が潰れてしまうことがない。また、ポケット部2が間欠送りロール14等の各凹部に収容されながら送り動作が行われることで、間欠送り動作や連続送り動作が確実に行われる。
【0059】
また、図示は省略するが、PTP包装機10の下流側には、集積装置、移送装置、包装装置等が順に設置されている。そして、上記完成品用ホッパ40に収容されたバラのPTPシート1は、例えば2枚一組の抱き合せ状態とされた上で、集積装置において複数組ずつ積上げられる。積み上げられた複数のPTPシート1からなる集積体は、移送装置によってバンド結束されつつ包装装置へと移送され、包装装置においてピロー包装等される。
【0060】
PTP包装機10の概略は以上のとおりであるが、以下に上記検査装置22の構成について図面を参照して詳しく説明する。
図4は検査装置22の電気的構成を示すブロック図であり、
図5は検査装置22の配置構成を模式的に示す斜視図である。
【0061】
図4,5に示すように、検査装置22は、照明装置52と、撮像装置53と、照明装置52や撮像装置53の駆動制御など検査装置22内における各種制御や画像処理、演算処理等を実施する制御処理装置54とを備えている。
【0062】
照明装置52及び撮像装置53は、容器フィルム3のポケット部2開口側に配置されている。つまり、本実施形態では、カバーフィルム4が取着される前段階における容器フィルム3のポケット部2開口側から異品種混入検査が行われる。
【0063】
照明装置52は、近赤外光を照射可能に構成された公知のものであり、本実施形態における照射手段を構成する。照明装置52は、連続搬送される容器フィルム3上の所定領域へ向け斜め上方から近赤外光を照射可能に配置されている。
【0064】
本実施形態に係る照明装置52では、連続スペクトルを持つ近赤外光(例えば波長700~2500nmの近赤外領域)を出射可能な光源としてハロゲンランプを採用している。この他、光源としては、重水素放電管、タングステンランプ、キセノンランプなどを用いることができる。
【0065】
図6に示すように、撮像装置53は、光学レンズ61と、分光手段としての二次元分光器62と、撮像手段としてのカメラ63とを備えている。
【0066】
光学レンズ61は、図示しない複数のレンズ等により構成され、入射光を平行光化可能に構成されている。光学レンズ61は、その光軸が鉛直方向(Z方向)に沿って設定されている。
【0067】
また、光学レンズ61は、入射光を後述する二次元分光器62のスリット62aの位置に結像可能なように設定されている。尚、ここでは便宜上、光学レンズ61として両側テレセントリックレンズを採用した例を示すが、当然、像側テレセントリックレンズであってもよい。
【0068】
二次元分光器62は、スリット62aと、入射側レンズ62bと、分光部62cと、出射側レンズ62dとから構成されている。分光部62cは、入射側プリズム62caと、透過型回折格子62cbと、出射側プリズム62ccとから構成されている。
【0069】
かかる構成の下、スリット62aを通過した光は、入射側レンズ62bにより平行光化された後、分光部62cにより分光され、出射側レンズ62dによって後述するカメラ63の撮像素子65に二次元分光画像(分光スペクトル像)として結像される。
【0070】
スリット62aは、細長い略矩形状(線状)に開口形成され、その開口幅方向(短手方向)が容器フィルム3のフィルム搬送方向(X方向)に沿って配設され、その長手方向が前記搬送方向と直交する容器フィルム3のフィルム幅方向(Y方向)に沿って配設されている。これにより、二次元分光器62は、スリット62aの開口幅方向すなわちフィルム搬送方向(X方向)に入射光を分光することとなる。
【0071】
カメラ63は、複数の受光素子(受光部)64が行列状に二次元配列された受光面65aを有する撮像素子65を備えている。本実施形態では、撮像素子65として、近赤外領域のうち例えば波長900~2000nmの波長範囲に対して十分な感度を有した公知のCCDエリアセンサを採用している。
【0072】
勿論、撮像素子は、これに限定されるものではなく、近赤外領域に感度を持つ他のセンサを採用してもよい。例えばCMOSセンサやMCT(HgCdTe)センサ等を採用してもよい。
【0073】
撮像装置53の視野領域(撮像領域)は、フィルム幅方向(Y方向)に沿って延びる線状の領域であって、少なくとも容器フィルム3のフィルム幅方向全域を含む領域となる(
図5の2点鎖線部参照)。一方、フィルム搬送方向(X方向)における撮像装置53の視野領域は、スリット62aの幅に相当する領域となる。つまり、スリット62aを通過した光(スリット光)が撮像素子65の受光面65a上に像を結ぶ領域である。
【0074】
これにより、容器フィルム3のフィルム幅方向(Y方向)の各位置で反射した反射光の分光スペクトルの各波長成分(例えば20nm帯域幅毎)を撮像素子65の各受光素子64がそれぞれ受光することとなる。そして、各受光素子64が受光した光の強度に応じた信号が、デジタル信号に変換された上でカメラ63から制御処理装置54に対し出力される。つまり、撮像素子65の受光面65a全体で撮像された1画面分の画像信号(分光画像データ)が制御処理装置54へ出力されることとなる。
【0075】
制御処理装置54は、検査装置22全体の制御を司るマイクロコンピュータ71、キーボードやマウス、タッチパネル等で構成される「入力手段」としての入力装置72、CRTや液晶などの表示画面を有する「表示手段」としての表示装置73、各種画像データ等を記憶するための画像データ記憶装置74、各種演算結果等を記憶するための演算結果記憶装置75、各種情報を予め記憶しておくための設定データ記憶装置76などを備えている。尚、これら各装置72~76は、マイクロコンピュータ71に対し電気的に接続されている。
【0076】
マイクロコンピュータ71は、演算手段としてのCPU71aや、各種プログラムを記憶するROM71b、演算データや入出力データなどの各種データを一時的に記憶するRAM71cなどを備え、制御処理装置54における各種制御を司る。
【0077】
マイクロコンピュータ71は、PTP包装機10と各種信号を送受信可能に接続されている。これにより、例えばPTP包装機10の不良シート排出機構などを制御することができる。
【0078】
画像データ記憶装置74は、撮像装置53により撮像された分光画像データや、これを基に取得されるスペクトル画像データ、二値化処理された後の二値化画像データ、マスク処理された後のマスク画像データなどを記憶するためのものである。
【0079】
演算結果記憶装置75は、検査結果データや、該検査結果データを確率統計的に処理した統計データなどを記憶するものである。これらの検査結果データや統計データは、適宜表示装置73に表示させることができる。
【0080】
設定データ記憶装置76は、例えば主成分分析に用いるローディングベクトルや判定範囲や、PTPシート1、ポケット部2及び錠剤5の形状及び寸法などを記憶するものである。
【0081】
次に検査装置22によって行われる異品種混入検査(検査工程)の手順について説明する。
【0082】
まずスペクトルデータを取得するスペクトルデータ取得ルーチンについて
図7のフローチャートを参照して説明する。尚、本ルーチンは、容器フィルム3が所定量搬送される毎に繰り返し実行される処理である。
【0083】
制御処理装置54は、まずステップS01において、連続搬送される容器フィルム3(錠剤5)に対し照明装置52から近赤外光を照射しつつ(照射工程)、撮像装置53による撮像処理(露光処理)を実行する。
【0084】
ここで、制御処理装置54は、PTP包装機10に設けられた図示しないエンコーダからの信号に基づいて撮像装置53を駆動制御し、該撮像装置53が撮像する分光画像データを画像データ記憶装置74に取り込む。
【0085】
これにより、照明装置52から容器フィルム3に向け照射された近赤外光のうち、ステップS01の撮像処理の実行期間(露光期間)中において、搬送方向撮像範囲W(
図10参照)にて反射した反射光が撮像装置53に入射する。つまり、1回の撮像処理で搬送方向撮像範囲Wが撮像されることとなる。
【0086】
尚、
図10に示すように、本実施形態では、容器フィルム3が所定量搬送される毎に上記撮像処理が実行されることによって、1つの錠剤5について搬送方向複数箇所の分光スペクトルが撮像される構成となっている。
【0087】
撮像装置53に入射した反射光は二次元分光器62により分光され(分光工程)、カメラ63の撮像素子65により分光画像(分光スペクトル)として撮像される(撮像工程)。
【0088】
図8は、錠剤5上の所定位置にて反射した反射光の分光スペクトルHが撮像素子65の受光面65aに投射された状態を示す模式図である。
図8においては、便宜上、錠剤5に係る分光スペクトルHのみ図示し、その他の部位に係る分光スペクトルについては図示を省略している。
【0089】
撮像装置53により撮像された分光画像(分光スペクトル)データは、インターバル期間中に制御処理装置54へ出力され、画像データ記憶装置74に記憶される。尚、ここでいうインターバル期間とは、画像データの読出期間のことである。つまり、撮像装置53による撮像サイクルは、撮像処理の実行期間である露光期間と、インターバル期間の合計時間で表すことができる。
【0090】
制御処理装置54は、分光画像データが取得されると、ステップS02のデータ生成処理を開始する。
【0091】
データ生成処理では、ステップS01において取得した分光画像データを基にスペクトルデータを生成する。スペクトルデータが生成されると、これを画像データ記憶装置74に記憶し、本ルーチンを一旦終了する。
【0092】
そして、
図10に示すように、容器フィルム3(錠剤5)が所定量搬送される毎に、搬送方向撮像範囲Wが断続的に相対移動していき、上記スペクトルデータ取得ルーチンが繰り返されることにより、画像データ記憶装置74には、各搬送方向撮像範囲Wに対応するスペクトルデータがフィルム搬送方向(X方向)及びフィルム幅方向(Y方向)の位置情報と共に時系列に順次記憶されていく。これにより、画素毎にスペクトルデータを有した二次元的なスペクトル画像Qが生成されていくこととなる(
図11参照)。
【0093】
ここで、本実施形態におけるスペクトル画像Qについて説明する。
図11に示すように、スペクトル画像Qは、複数の画素Qaが二次元配列された画像データである。各画素Qaには、それぞれスペクトルデータ〔複数の波長成分(波長帯域)に係るスペクトル強度(輝度値)を示すデータ〕が含まれている。
【0094】
そして、検査対象となる1つ分のPTPシート1に相当する所定の検査範囲(
図11の二点鎖線部参照)のスペクトル画像Qが取得されると、制御処理装置54は検査ルーチンを実行する。
【0095】
次に検査ルーチンについて
図9のフローチャートを参照して説明する。尚、本ルーチンは、上記検査範囲のスペクトル画像Qが取得される毎に繰り返し行われるものである。
【0096】
制御処理装置54は、まずステップS11において錠剤画素抽出処理を実行する。本処理においては、スペクトル画像Qの各画素Qaのうち、分析対象となる錠剤5に対応する画素(以下、「錠剤画素」という)Qbを抽出する。
【0097】
本実施形態では、例えば各画素Qa毎にスペクトルデータ(各波長成分のスペクトル強度)の積算値を算出し、かかる値が予め定めた第1の閾値δ1以上であるか否かを判定し、スペクトル画像Qに対し二値化処理を行う。そして、得られた第1の二値化画像データを基に錠剤画素Qbを抽出する(
図10,11参照)。ここで、第1の閾値δ1は、割線Gを含む錠剤5全体が明部となるように事前に設定された値である。
【0098】
従って、本実施形態では、
図10に示すように、背景の暗部の影響を受けることなく錠剤5の範囲のみを撮像したデータを含んだ画素Qaが錠剤画素Qbとして抽出されることとなる。
図10は、搬送方向撮像範囲Wとスペクトル画像Qとの関係を説明するための説明図である。
図10,11では、錠剤画素Qbとして抽出された画素を斜線で示している。
【0099】
尚、錠剤画素抽出処理に係る錠剤画素Qbの抽出方法は、これに限られるものではなく、他の方法を採用してもよい。例えば各画素Qaのスペクトルデータ中において、所定波長成分のスペクトル強度(例えば錠剤5の所定の有効成分に対応する波長成分のスペクトル強度など)が予め定めた閾値以上であるか否かを判定し、二値化処理を行うことにより、錠剤画素Qbを抽出する構成としてもよい。
【0100】
次に、制御処理装置54は、ステップS12において錠剤領域特定処理を実行する。本処理によって、検査範囲内の各ポケット部2に収容された10個の錠剤5の領域を特定する。
【0101】
本実施形態では、例えば上記ステップS11で得られた錠剤画素Qbについてラベリング処理を行い、隣接する全ての錠剤画素Qbを同一の錠剤5に属する錠剤画素Qbの連結成分とみなす。
【0102】
これにより、1つの連結成分の範囲を所定のポケット部2内に収容された1つの錠剤5に係る錠剤領域として特定することができる(
図10,11参照)。
図10,11では、各錠剤5に属する複数の錠剤画素Qbの連結成分(錠剤領域)をそれぞれ太枠により囲んでいる。
【0103】
そして、1つの連結成分(錠剤領域)に含まれる複数の錠剤画素Qbのスペクトルデータを、1つの錠剤5上の複数点(複数の座標位置)におけるスペクトルデータとして取り扱うことができる。
【0104】
つまり、上記ステップS02のデータ生成処理、ステップS11の錠剤画素抽出処理、ステップS12の錠剤領域特定処理などの一連の処理工程により、本実施形態におけるスペクトルデータ取得工程が構成され、これを実行する制御処理装置54の機能により、本実施形態におけるスペクトルデータ取得手段が構成されることとなる。
【0105】
尚、錠剤5の領域特定方法は、これに限られるものではなく、他の方法を採用してもよい。例えば特定の画素を中心とした所定の範囲に含まれる画素を該特定の画素と同一の錠剤5に属する画素と判断するようにしてもよい。
【0106】
次に、制御処理装置54は、ステップS13において割線領域特定処理を実行する。本処理では、上記ステップS12において特定された各錠剤5の錠剤領域それぞれについて、そこに含まれる複数の錠剤画素Qbのスペクトルデータを用いて、各錠剤5に係る割線Gの領域を特定する。
【0107】
より詳しくは、例えば1つの錠剤5の錠剤領域に属する複数の錠剤画素Qb毎にスペクトルデータ(各波長成分のスペクトル強度)の積算値を算出し、かかる値が予め定めた第2の閾値δ2以上であるか否かを判定し、スペクトル画像Qに対し二値化処理を行う。そして、得られた第2の二値化画像データを基に、割線Gを除く錠剤5の表面一般部に係る錠剤画素Qbを抽出する。
【0108】
ここで、第2の閾値δ2は、割線Gを除く錠剤5の表面一般部が明部となるように事前に設定された値であり、上記第1の閾値δ1よりも高い値となっている。割線G内は、反射光量の少ない影部を含んでいるため、この位置に係るスペクトルデータは全体的に輝度が低いデータとなる。一方、割線Gが形成されていない錠剤5の表面一般部には影部も生じず、この位置に係るスペクトルデータは全体的に輝度が高いデータとなる。
【0109】
尚、割線領域特定処理において、割線Gを除く錠剤5の表面一般部に係る錠剤画素Qbを抽出する方法は、これに限られるものではなく、他の方法を採用してもよい。例えば1つの錠剤5の錠剤領域に属する各画素Qaのスペクトルデータ中において、所定波長成分のスペクトル強度(例えば錠剤5の所定の有効成分に対応する波長成分のスペクトル強度など)が予め定めた閾値以上であるか否かを判定し、二値化処理を行うことにより、割線Gを除く錠剤5の表面一般部に係る錠剤画素Qbを抽出する構成としてもよい。
【0110】
続いて、上記錠剤5の表面一般部に係る錠剤画素Qbについてラベリング処理を行い、隣接する全ての錠剤画素Qbを錠剤5の表面一般部に属する錠剤画素Qbの連結成分とみなす。これにより、1つの連結成分の範囲を1つの錠剤5に属する2つの塊領域R1,R2のうちの1つとして特定することができる〔
図14(a)参照〕。
【0111】
続いて、
図14(a)に示すように、上記ラベリング処理により得られた2つの塊領域R1,R2のそれぞれの重心位置M1,M2を求め、該重心位置M1,M2を通る線分αの中心点C1を得る。そして、該中心点C1を通り、かつ、前記線分αに直交する線分γを求め、該線分γに±β1の幅を持たせた幅L1の帯状領域を割線Gの形成領域として特定すると共に、線分γの位置を割線GのV字底部Gaの位置として特定する。「割線GのV字底部Ga」が本実施形態における「凹部の底部」に相当する。
【0112】
次に、制御処理装置54は、ステップS14においてマスク処理を実行する。本処理では、各錠剤5の錠剤領域に属する複数の錠剤画素Qbのうち、少なくともV字底部Gaを含む割線Gの所定範囲に対しマスク処理を行う。
【0113】
具体的に、本実施形態では、上記ステップS13においてV字底部Gaの位置として特定された線分γに±β2の幅を持たせた幅L2の帯状領域をマスク設定領域Kとして特定し、マスク処理を実行する〔
図14(b)参照〕。
【0114】
本実施形態では、マスク処理が行われる「幅L2の帯状領域(マスク設定領域K)」が「凹部の底部を含む所定範囲」に相当し、割線Gの形成領域よりも幅の狭い領域となっている(L1>L2)。これに限らず、「幅L2の帯状領域(マスク設定領域K)」、すなわち「凹部の底部を含む所定範囲」が、割線Gの形成領域全域となる構成としてもよい(L1=L2)。
【0115】
次に、制御処理装置54は、ステップS15において平均スペクトル算出処理を実行する。本処理では、各錠剤5に係る平均スペクトルデータをそれぞれ算出する。
【0116】
本実施形態では、各錠剤5の錠剤領域それぞれについて、そこに含まれる複数の錠剤画素Qbのうち、上記ステップS14にて設定されたマスク設定領域K内の錠剤画素Qbを除く、マスク設定領域K外の全て又は一部の錠剤画素Qbのスペクトルデータを用いて、該錠剤5に係る平均スペクトルデータを算出する。
【0117】
尚、割線GのV字底部Gaを含む上記幅L2の帯状領域(マスク設定領域K)は、錠剤5表面の被膜5Bの厚みが比較的厚く、スペクトルデータがコーティング剤の影響を強く受けるおそれがあると想定される領域として事前に設定したものである。つまり、上記マスク処理を行うことで、このようにコーティング剤の影響を強く受ける可能性のあるスペクトルデータを除外した上で、錠剤5に係る平均スペクトルデータを取得することができる。
【0118】
このようにして、検査範囲内の各ポケット部2に収容された10個の錠剤5それぞれに係る平均スペクトルデータが取得されると、制御処理装置54は、これらを1つの検査範囲に係る平均スペクトルデータ群としてまとめて演算結果記憶装置75に記憶する。
【0119】
続くステップS16において、制御処理装置54は、演算結果記憶装置75に設定されたポケット番号カウンタのカウンタ値Pに初期値である「1」を設定する。
【0120】
尚、「ポケット番号」とは、1つの検査範囲内の10個のポケット部2にそれぞれ対応して設定された通し番号であり、前記ポケット番号カウンタのカウンタ値P(以下、単に「ポケット番号カウンタ値P」という)によりポケット部2の位置を特定することができる(
図11参照)。
【0121】
図11に示す例では、例えば左側列の最上部のポケット部2がポケット番号カウンタ値[1]に対応するポケット部2として設定され、右側列の最下部のポケット部2がポケット番号カウンタ値[10]に対応するポケット部2として設定されている。
【0122】
続いて、制御処理装置54は、ステップS17において分析対象データ抽出処理を実行する。本処理においては、上記ステップS15において取得した1つの検査範囲に係る平均スペクトルデータ群(10個の錠剤5の平均スペクトルデータ)から、現在のポケット番号カウンタ値P(例えばP=1)に対応するポケット部2に収容された錠剤5の平均スペクトルデータを抽出する。
【0123】
次に、制御処理装置54は、ステップS17において抽出した錠剤5の平均スペクトルデータについて分析処理を実行する(ステップS18)。
【0124】
例えば本実施形態では、予め取得したローディングベクトルを用いて、上記ステップS15で求めた錠剤5の平均スペクトルデータに対し主成分分析(PCA)を行う。より詳しくは、前記ローディングベクトルと、錠剤5の平均スペクトルデータとを演算することによって主成分得点を算出する。
【0125】
つまり、上記ステップS13の割線領域特定処理、ステップS14のマスク処理、ステップS15の平均スペクトル算出処理などの一連の処理工程により、本実施形態における分析工程が構成され、これを実行する制御処理装置54の機能により、本実施形態における分析手段が構成されることとなる。
【0126】
続いて、制御処理装置54は、ステップS19において錠剤良否判定処理を実行する。本処理においては、上記ステップS18の分析処理における分析結果を基に、現在のポケット番号カウンタ値P(例えばP=1)に対応するポケット部2に収容された錠剤5が良品(同品種)であるか、不良(異品種)であるか判定する。
【0127】
より詳しくは、上記ステップS18で算出した主成分得点をPCA図にプロットし、該プロットされたデータが予め設定された良品範囲内にあれば良品(同品種)、良品範囲外なら不良(異品種)として判定する。
【0128】
そして、制御処理装置54は、該錠剤5に係る判定結果(「良」又は「不良」)を演算結果記憶装置75に記憶する。
【0129】
その後、制御処理装置54は、ステップS20において現在のポケット番号カウンタ値Pに「1」を加えた後、ステップS21へ移行し、新たに設定したポケット番号カウンタ値Pが最大値Pmaxを超えているか否かを判定する。尚、最大値Pmaxは、1つの検査範囲におけるポケット部2の個数の最大値(本実施形態では「10」)である。
【0130】
ここで否定判定された場合には、再度、ステップS17へ戻り、上記一連の処理を実行する。一方、肯定判定された場合には、すべてのポケット部2に係る錠剤5の良否判定が終了したとみなし、ステップS22へ移行する。
【0131】
続くステップS22において、制御処理装置54は、シート良否判定処理を実行する。本処理においては、上記ステップS19の錠剤良否判定処理における判定結果を基に、検査範囲に対応するPTPシート1が良品であるか、不良品であるか判定する。
【0132】
具体的には、検査範囲内に「不良」判定された錠剤5が1つでも存在する場合には、該検査範囲に対応するPTPシート1を「不良品」と判定し、ステップS23へ移行する。
【0133】
一方、検査範囲内に「不良」判定された錠剤5が1つも存在しない場合には、該検査範囲に対応するPTPシート1を「良品」と判定し、ステップS24へ移行する。
【0134】
そして、制御処理装置54は、ステップS23の不良品処理において、該PTPシート1に係る「不良品」判定結果を演算結果記憶装置75に記憶すると共に、その旨をPTP包装機10の不良シート排出機構等へ出力し、検査ルーチンを終了する。
【0135】
一方、制御処理装置54は、ステップS24の良品処理において、該PTPシート1(検査範囲)に係る「良品」判定結果を演算結果記憶装置に記憶し、検査ルーチンを終了する。
【0136】
以上詳述したように、本実施形態によれば、素錠5Aの表面に割線Gが形成されかつその表面がコーティング剤で被覆された錠剤(フィルムコーティング錠)5を検査する場合において、仮に錠剤5表面を覆う被膜(コーティング層)5Bの厚みが割線GのV字底部Gaを含む所定範囲L2において比較的厚くなっており、該所定範囲L2におけるスペクトルデータがコーティング剤の影響を強く受けるおそれがある場合においても、該所定範囲L2におけるスペクトルデータを除外し、錠剤5の品種を適切に表した平均スペクトルデータを取得した上で、錠剤5の分光分析を行うことができる。
【0137】
結果として、錠剤5上における複数点のスペクトルデータを単純に平均化する構成などと比較して、コーティング剤の影響を極力回避することができ、異品種錠剤の混入検査に係る検査精度の飛躍的な向上を図ることができる。
【0138】
また、本実施形態においては、割線GのV字底部Gaを含む所定範囲L2に対しマスク処理を行うことにより、コーティング剤の影響を強く受ける可能性のある該所定範囲L2に対応したスペクトルデータを除外した上で、錠剤5に係る平均スペクトルデータを取得する構成となっている。
【0139】
これにより、スペクトルデータに対するコーティング剤の影響の程度に寄らず、割線GのV字底部Gaを含む所定範囲L2全域に係るスペクトルデータを除外することができるため、コーティング剤の影響のみならず、かかる部位における他の影響(例えば割線Gに生じる影部の影響など)も除外することができ、検査精度のさらなる向上を図ることができる。
【0140】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0141】
(a)検査対象となる錠剤には、医薬品の分野で用いられる錠剤のみならず、食品(サプリメント等の健康補助食品)などの分野で用いられる錠剤も含まれる。
【0142】
(b)検査対象となる錠剤の形状等についても上記実施形態に限定されるものではない。
【0143】
上記実施形態に係る錠剤5は、平面視円形状をなし中央部と周縁部とで厚みが異なる断面略楕円形状の所謂レンズ錠であるが、これに限らず、例えば表裏面が平坦な平錠などを検査対象としてもよい。また、平面視で略楕円形状、略長円形状、略多角形状等となる錠剤などを検査対象としてもよい。
【0144】
また、上記実施形態に係る錠剤5においては、凹部として断面略V字溝状の割線Gが形成された構成となっているが、これに限らず、例えば断面略U字溝状の割線が形成された構成としてもよい。尚、断面略U字溝状の割線においては、割線GのV字底部Gaよりも幅広かつ平坦な底部を有することとなる。つまり、凹部の底部とは、凹部内の最下点位置を含む所定領域を意味する。
【0145】
また、割線に代えて又は加えて、凹部として断面略V字溝状又はU字溝状の刻印が付された錠剤を検査対象としてもよい。勿論。溝状の刻印に限定されるものではなく、平面視で略円形状、略楕円形状、略長円形状、略多角形状等となる刻印が付された錠剤を検査対象としてもよい。
【0146】
(c)容器フィルム3やカバーフィルム4の材料は、上記実施形態に限定されるものではなく、他の材質のものを採用してもよい。例えば容器フィルム3がアルミラミネートフィルムなど、アルミニウムを主材料とした金属材料により形成された構成としてもよい。
【0147】
(d)上記実施形態では、ポケット部2に錠剤5が充填された後工程かつ容器フィルム3に対しカバーフィルム4が取着される前工程において、検査装置22によって、ポケット部2の開口側から錠剤5を照明及び撮像し、異品種混入検査を行う構成となっている。
【0148】
これに限らず、容器フィルム3が透明材料により形成されている場合には、ポケット部2に錠剤5が充填された後工程かつ容器フィルム3に対しカバーフィルム4が取着される前工程において、検査装置22によって、ポケット部2(容器フィルム3)越しに錠剤5を照明及び撮像し、異品種混入検査を行う構成としてもよい。
【0149】
また、容器フィルム3に対しカバーフィルム4が取着された後工程かつPTPフィルム6からPTPシート1が打抜かれる前工程において、検査装置22によって、PTPフィルム6の容器フィルム3側からポケット部2越しに錠剤5を照明及び撮像し、異品種混入検査を行う構成としてもよい。
【0150】
また、PTPフィルム6からPTPシート1が打抜かれた後工程において、検査装置22によって、コンベア39にて搬送されているPTPシート1の容器フィルム3側からポケット部2越しに錠剤5を照明及び撮像し、異品種混入検査を行う構成としてもよい。
【0151】
この際、検査装置22がPTP包装機10内に設けられた構成(インライン)に代えて、PTP包装機10とは別に、オフラインでPTPシート1を検査する装置として検査装置22を備えた構成としてもよい。また、かかる場合に、PTPシート1を搬送可能な搬送手段を検査装置22に備えた構成としてもよい。
【0152】
また、ポケット部2に錠剤5が充填される前工程において、検査装置22による異品種混入検査が行われる構成としてもよい。例えば錠剤充填装置21に錠剤5を投入する前段階に検査を行う構成としてもよい。つまり、PTP包装機10とは別に、オフラインで錠剤5を検査する装置として検査装置22を備えた構成としてもよい。
【0153】
または、ポケット部2に対し錠剤5の充填が完了する前段階にある充填工程において異品種混入検査が行われる構成としてもよい。例えばシャッタを開くことで錠剤5を落下させポケット部2に充填する上記錠剤充填装置21に代えて、錠剤5を吸着搬送しポケット部2へ充填する回転ドラムなどの吸着搬送手段を備えた錠剤充填装置において、錠剤5の吸着搬送中に異品種混入検査を行う構成としてもよい。
【0154】
尚、オフラインで検査を行う場合には、PTPシート1や錠剤5を連続搬送せず、停止した状態で検査を行う構成としてもよい。但し、PTPシート1、又は、PTPフィルム6若しくは容器フィルム3を連続搬送しつつ、インラインで検査を実行した方が生産性の向上を図る上では好ましい。
【0155】
近年、PTPシート1の製造分野などにおいては、生産速度の高速化に伴い、異品種混入検査など各種検査の高速化が求められている。例えばPTP包装機10上で検査を行う場合には、1秒当たり100個以上の錠剤5を検査することが求められる場合もある。
【0156】
(e)照明装置52及び撮像装置53の構成は上記実施形態に限定されるものではない。例えば二次元分光器62に代えて、分光手段として反射型回折格子やプリズム等を採用した構成としてもよい。
【0157】
(f)上記実施形態では、スペクトルデータを主成分分析(PCA)により分析する構成となっているが、これに限らず、PLS回帰分析など、他の公知の方法を用いて分析する構成としてもよい。
【0158】
(g)上記実施形態では、マスク処理を行うにあたり、検査装置22自身が取得したスペクトル画像Qを基に割線G(V字底部Ga)の位置や向きを特定する構成となっている。
【0159】
これに限らず、検査装置22よりも上流側に設置された所定の装置(例えば他の検査装置や、錠剤5に印刷を行う印刷装置など)において取得された割線G(V字底部Ga)の位置や向きに関する情報を基にマスク設定領域Kを設定する構成としてもよい。
【0160】
または、検査装置22の上流側に別途、撮像装置を配置し、これにより取得される画像データを基に割線G(V字底部Ga)の位置や向きに関する情報を取得し、これを基にマスク設定領域Kを設定する構成としてもよい。
【0161】
(h)上記実施形態では、錠剤5に係る平均スペクトルデータを取得するにあたり、割線GのV字底部Gaを含む所定範囲L2に対しマスク処理を行うことにより、コーティング剤の影響を強く受ける可能性のある該所定範囲L2に対応したスペクトルデータを除外する構成となっている。
【0162】
これに代えて、錠剤5に係る平均スペクトルデータを取得するにあたり、例えば錠剤5の錠剤領域に属する複数の錠剤画素Qbの中から、所定のコーティング剤に対応するスペクトルデータが強く表れた錠剤画素Qb(例えば所定のコーティング剤の所定成分に対応する所定波長成分のスペクトル強度、又は、該スペクトル強度の偏差若しくはその割合が所定値以上となる錠剤画素Qbなど)を除外する構成としてもよい。
【0163】
または、錠剤5に係る平均スペクトルデータを取得するにあたり、例えば錠剤5の錠剤領域に属する複数の錠剤画素Qbの中から、良品(適正品種)の錠剤5に対応するスペクトルデータを有する錠剤画素Qb(例えば良品の錠剤5の所定成分に対応する所定波長成分のスペクトル強度、又は、該スペクトル強度の偏差若しくはその割合が所定値以上となる錠剤画素Qbなど)以外の他の錠剤画素Qbを、所定のコーティング剤に対応するスペクトルデータが強く表れた錠剤画素Qbとみなして除外する構成としてもよい。
【0164】
(i)上記実施形態では、錠剤5の平均スペクトルデータを求め、これに基づき錠剤5の分光分析を行う構成となっているが、分析方法はこれに限定されるものではない。
【0165】
例えば錠剤5の錠剤領域に属する複数の錠剤画素Qbのうち、割線GのV字底部Gaを含む所定範囲L2に対応した錠剤画素Qbを除いた残りの錠剤画素Qbのスペクトルデータについて波長成分毎に中央値を選出し、該波長成分毎に選出された中央値によって構成される中央値スペクトルデータを基に錠剤5の分光分析を行う構成としてもよい。
【符号の説明】
【0166】
1…PTPシート、2…ポケット部、3…容器フィルム、4…カバーフィルム、5…錠剤、5A…素錠、5B…被膜、10…PTP包装機、22…検査装置、52…照明装置、53…撮像装置、54…制御処理装置、62…二次元分光器、63…カメラ、G…割線、Ga…V字底部、K…マスク設定領域、R1,R2…塊領域、Q…スペクトル画像、Qa…画素、Qb…錠剤画素。