(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-03
(45)【発行日】2022-03-11
(54)【発明の名称】防犯ブザー
(51)【国際特許分類】
G10K 9/12 20060101AFI20220304BHJP
G08B 23/00 20060101ALI20220304BHJP
【FI】
G10K9/12 D
G08B23/00 520A
(21)【出願番号】P 2019065329
(22)【出願日】2019-03-29
【審査請求日】2021-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】591287864
【氏名又は名称】株式会社レイメイ藤井
(74)【代理人】
【識別番号】100093104
【氏名又は名称】船津 暢宏
(72)【発明者】
【氏名】園上 貴紀
【審査官】大野 弘
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3206713(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10K 9/12
G08B 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
防犯ブザーであって、
正面と背面とを有する本体と、
前記正面に形成され、警報音を発生させるスピーカと、
前記背面の一部に形成された凹形状の凹部と、
前記凹部に前記背面側から前記正面側に向かって押して前記警報音を発生させるボタン式スイッチとを備えることを特徴とする防犯ブザー。
【請求項2】
ボタン式スイッチは、特定期間押下された場合にオンとなることを特徴とする請求項1記載の防犯ブザー。
【請求項3】
凹形状となっていない背面にベルトを固定する固定部を有することを特徴とする請求項1又は2記載の防犯ブザー。
【請求項4】
本体上部にループを開閉可能なフックを設けたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載の防犯ブザー。
【請求項5】
本体に、LEDライトと、前記ライトを点灯するLEDライトスイッチとを設けたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか記載の防犯ブザー。
【請求項6】
LEDライトスイッチをオンすると、警報音を特定時間連続して発生させるための電池残量があるか否か判定し、前記警報音を連続して発生させるための電池残量がないと判定した場合には、表示部に電池交換を促す表示を行わせる制御部を有することを特徴とする請求項5記載の防犯ブザー。
【請求項7】
本体に内蔵する電池の蓋を押えるネジが、2番プラスドライバーに対応していることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか記載の防犯ブザー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防犯ブザーに係り、特に、誤動作を防止すると共に片手で緊急時に簡易に鳴音できる防犯ブザーに関する。
【背景技術】
【0002】
[従来の技術]
防犯ブザーは、危険な状況に遭遇した場合、ブザー鳴動により周囲へ報知する防犯用品であり、主に子供、女性、高齢者などが外出時に携帯している。
特に、小学生のランドセルに防犯ブザーを取り付けることが一般的である。
【0003】
防犯ブザーのタイプとしては、ひもを強く引っ張ってピンを抜いて鳴音させるタイプと、ボタンを押して鳴音させるタイプがある。
但し、両タイプとも、誤動作防止のために簡単な動作では鳴音しない構成となっている。
【0004】
[関連技術]
尚、関連する先行技術として、実用新案登録第3104228号公報「携帯用防犯ブザー」(特許文献1)、実用新案登録第3141271号公報「携帯型緊急通報装置および携帯型報知装置」(特許文献2)、特開2007-140809号公報「携帯用防犯ブザー」(特許文献3)、特開2008-186062号公報「携帯型防犯用具」(特許文献4)がある。
【0005】
特許文献1には、裏側にスイッチが設けられ、ブザー本体が衣服等から取り外されたことを検出して、鳴音する構成が示されている。
特許文献2には、表面の窪みにボタンを配置し、誤操作を防止する紙製の膜を設けた構成が示されている。
【0006】
特許文献3には、両側面に設けたスイッチを同時に押すことで、ブザーを鳴音させる構成が示されている。
特許文献4には、腕時計型で、表面に設けたボタンを押して回すことでブザーを鳴音させる構成が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】実用新案登録第3104228号公報
【文献】実用新案登録第3141271号公報
【文献】特開2007-140809号公報
【文献】特開2008-186062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の防犯ブザーでは、誤動作を防止するために簡単な動作で警報音を鳴音させないようになっているので、力の弱い子供が緊急事態に迅速に鳴音できるものとはなっていないという問題点があった。
【0009】
尚、特許文献1~4には、誤動作を防止すると共に力の弱い子供でも簡易・迅速に警報音を鳴音させる構造についての記載がない。
【0010】
本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、誤動作を防止すると共に簡易・迅速に警報音を鳴音させることができる防犯ブザーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、防犯ブザーであって、正面と背面とを有する本体と、正面に形成され、警報音を発生させるスピーカと、背面の一部に形成された凹形状の凹部と、凹部に背面側から正面側に向かって押して警報音を発生させるボタン式スイッチとを備えることを特徴とする。
【0012】
本発明は、上記防犯ブザーにおいて、ボタン式スイッチが、特定期間押下された場合にオンとなることを特徴とする。
【0013】
本発明は、上記防犯ブザーにおいて、凹形状となっていない背面にベルトを固定する固定部を有することを特徴とする。
【0014】
本発明は、上記防犯ブザーにおいて、本体上部にループを開閉可能なフックを設けたことを特徴とする。
【0015】
本発明は、上記防犯ブザーにおいて、本体に、LEDライトと、当該ライトを点灯するLEDライトスイッチとを設けたことを特徴とする。
【0016】
本発明は、上記防犯ブザーにおいて、LEDライトスイッチをオンすると、警報音を特定時間連続して発生させるための電池残量があるか否か判定し、警報音を連続して発生させるための電池残量がないと判定した場合には、表示部に電池交換を促す表示を行わせる制御部を有することを特徴とする。
【0017】
本発明は、上記防犯ブザーにおいて、本体に内蔵する電池の蓋を押えるネジが、2番プラスドライバーに対応していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、本体には正面と背面とを有し、スピーカが、正面に形成されて警報音を発生させるものであり、凹形状の凹部が背面の一部に形成され、ボタン式スイッチが、凹部に背面側から正面側に向かって押して警報音を発生させる防犯ブザーとしているので、誤動作を防止すると共に簡易・迅速に警報音を鳴音させることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図5】本ブザーの電池フタを外した状態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
[実施の形態の概要]
本発明の実施の形態に係る防犯ブザー(本ブザー)は、本体の正面に警報音を発生させるスピーカが形成され、本体の背面の一部が内側に凹形状の凹部となっており、その凹部に本体の背面側から正面側に押して警報音を発生させるボタン式スイッチを備えたものとしているので、肩ベルトの表面に本体の背面が向くよう配置すると、ボタン式スイッチが肩ベルト表面と本体の背面との間の空間に設けられることになるので、表から誤ってボタン式スイッチが押されることがなく、誤動作を防止でき、その空間に指を差し込んでボタン式スイッチを押すことで簡易・迅速に警報音を鳴音できるものである。
【0021】
[本ブザー:
図1~3]
本ブザーについて
図1~3を参照しながら説明する。
図1は、本ブザーの正面概略図であり、
図2は、本ブザーの側面概略図であり、
図3は、本ブザーの背面概略図である。
本ブザーは、
図1に示すように、本体10の正面の上側に設けられたスピーカ11と、正面中央に設けられた三角形のLED(Light Emitting Diode)ライトスイッチ12と、正面下側に電池切れ状態になりつつあることをお知らせするライト点滅部13と、本体10の底面に設けられたLEDライト14と、本体10の上面に設けられたD環15と、金具フック22と、連結部21と、背面で固定される固定ベルト3とを有している。
【0022】
また、本ブザーは、
図2、
図3に示すように、背面の上側に凹形状の凹部16が形成され、その凹部16内に警報スイッチ17が配置され、凹形状ではない背面の下側は電池フタ18と固定ベルト3の通し穴19が形成されている。
【0023】
[本ブザーの各部]
本ブザーの各部について具体的に説明する。
スピーカ11は、円形をしており、当該円形の周囲の隙間から警報音が出力される。尚、スピーカ11の円形の表面には反射シールが貼られ、夜間の車のライトに反射するものとなっている。
【0024】
LEDライトスイッチ12は、本体10の底面に設けられたLEDライト14を点灯又は消灯するもので、指で押したまま(オンする)で点灯し、指を離す(オフする)と消灯するようになっている。
【0025】
ライト点滅部13は、LEDライトスイッチ12をオンした際に、内部の制御部が電池の容量がスピーカ11を鳴音させるのに十分な容量か否かを、測定した電池の電圧値を基に判定する。例えば、LEDライトスイッチ12をオンした際に、連続して20分間の吹鳴ができない電池残量になると、ライト点滅部13を点滅させて、電池交換が必要なことを知らせるものである。また、LEDライトスイッチ12をオンした際に、十分な電池残量であればLEDライト14を点灯させる。
尚、20分間の吹鳴は、公益財団法人全国防犯協会連合会の優良防犯ブザーの認定の基準となっている。ライト点滅部13は、請求項の表示部に相当している。
【0026】
LEDライト14は、本体10の底面に設けられ、LEDライトスイッチ12のオン(押したまま)で点灯し、オフ(指を離して)で消灯する。
D環15は、本体10の上面に設けられ、連結部21に接続する。
金具フック22は、開閉可能なフックであり、ランドセルの肩ベルトのD環に固定される。
【0027】
連結部21は、金具フック22と本体10のD環15を連結する。
固定ベルト3は、本体10の背面で固定され、肩ベルトに固定される。
具体的には、固定ベルト3は、両端にそれぞれ接着する面ファスナーが形成され、当該面ファスナーで両端を接着して肩ベルトに固定される。
【0028】
また、凹部16は、背面の上側に凹形状で形成され、背面の上半分がえぐり取られた状態となっている。具体的には、凹部16の本体10の縦方向の側面を取り除いたものとなっている。当該凹形状の空間には、警報スイッチ17が配置されているも、子供の指を挿入できる広さとなっている。
【0029】
警報スイッチ17は、押しボタン式のスイッチであり、凹部16内に配置され、本体10の背面側から正面側に押す構造となっており、特定期間、例えば1秒以上押下された場合に、警報音を鳴音するものである。特定期間は、2秒又は3秒以上であってもよい。
つまり、誤って警報スイッチ17が押された場合でも、その押された期間が特定期間より短い場合には、鳴音しない機能を備えている。
【0030】
電池フタ18は、凹形状ではない背面の下側に設けられ、ネジ18dで固定され、内部にはボタン電池が装填されている。
通し穴19は、電池フタ18と本体10の背面との間に形成された隙間であって、固定ベルト3を通すものである。固定ベルト3は、電池フタ18の一部で押さえ込まれて固定されるようになっている。
【0031】
[本ブザーの部分断面:
図4]
次に、本ブザーの部分断面について
図4を参照しながら説明する。
図4は、本ブザーの部分断面説明図である。尚、
図4では本ブザーの下側の断面を示している。
本ブザーは、
図4に示すように、正面側にLEDライトスイッチ12と、ライト点滅部13とが設けられ、底面にはLEDライト14が設けられ、下側に突出している。
【0032】
また、本ブザーの裏面側は、警報スイッチ17と、電池フタ18とが設けられ、電池フタ18の内側には、ボタン電池4a,4bが収納(装填)され、電池フタ18がネジ18dで固定されている。
尚、電池フタ18を固定するネジ18dは、ネジサイズが汎用性がある2番プラスドライバーに対応している。
更に、電池フタ18と本体10との間には、通し穴19の隙間が形成されている。その通し穴19には、固定ベルト3が設置される。
【0033】
[本ブザーの電池フタ18を外した状態:
図5]
次に、本ブザーの電池フタ18を外した状態について
図5を参照しながら説明する。
図5は、本ブザーの電池フタを外した状態の概略図である。
本ブザーは、
図5に示すように、電池フタ18を外すと、電池4a,4bを収納する空間が形成されており、電池フタ18を固定するネジ18dが挿入されるネジ穴41が形成されている。
また、ネジ穴41の下側には、電池フタ18の係止部18cが挿入される凹形状の受止部42が形成されている。
【0034】
[電池フタ18の裏面:
図6]
次に、本ブザーの電池フタ18の裏面について
図6を参照しながら説明する。
図6は、電池フタ18の裏面の概略図である。
電池フタ18の裏面は、
図6に示すように、中央にネジ18dを貫通させる貫通孔18bが形成され、その下側にベルト押え部18aと係止部18cが形成されている。
【0035】
ベルト押え部18aは、固定ベルト3を挟み込むために、厚みが薄くなっている。この厚みの薄さが、通し穴19の空間を形成している。
係止部18cは、2つの凸形状で突出しており、凹形状の受止部42に挿入される。係止部18cが受止部42に挿入されることで、ネジ18dが緩んでも電池フタ18がずれないようになっている。
【0036】
[動作]
次に、本防犯ブザーの動作について説明する。
危険な状況に遭遇した場合に、本ブザーの凹部16の隙間に指を差し込んで警報スイッチ17を特定期間押下すると、スピーカ11から警報音が鳴音する。
【0037】
警報スイッチ17は、肩ベルトの表面と本体10の凹部16との間の空間で、凹部16に設けられているので、正面から誤って押下されることがほとんどなく、例え、誤って押下されたとしても、特定期間押下されなければ、警報音は鳴音せず、誤動作を防止できる。
また、凹部16の空間に指を差し込んで警報スイッチ17を特定期間押下すれば、迅速・簡易に警報音を鳴音できる。
【0038】
[実施の形態の効果]
本防犯ブザーによれば、本体10の正面に警報音を発生させるスピーカ11が形成され、本体10の背面の一部が内側に凹形状の凹部16となっており、その凹部16に本体10の背面側から正面側に押して警報音を発生させるボタン式の警報スイッチ17を備えたものとしているので、肩ベルトの表面に本体10の背面が向くよう配置すると、警報スイッチ17が肩ベルト表面と本体10の背面との間の空間に設けられることになるので、表から誤って警報スイッチ17が押されることがなく、誤動作を防止でき、その空間に指を差し込んで警報スイッチ17を押すことで簡易・迅速に警報音を鳴音できる効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、誤動作を防止すると共に簡易・迅速に警報音を鳴音させることができる防犯ブザーに好適である。
【符号の説明】
【0040】
3…固定ベルト、 4a,4b…電池、 10…本体、 11…スピーカ、 12…LEDライトスイッチ、 13…ライト点滅部、 14…LEDライト、 15…D環、 16…凹部、 17…警報スイッチ、 18…電池フタ、 18a…ベルト押え部、 18b…貫通孔、 18c…係止部、 18d…ネジ、 19…通し穴、 21…連結部、 22…金具フック、 41…ネジ穴、 42…受止部