(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-03
(45)【発行日】2022-03-11
(54)【発明の名称】改良された活性および安定性を有する酸性芳香族化触媒
(51)【国際特許分類】
B01J 29/62 20060101AFI20220304BHJP
B01J 37/08 20060101ALI20220304BHJP
B01J 37/00 20060101ALI20220304BHJP
B01J 37/02 20060101ALI20220304BHJP
C07C 15/04 20060101ALI20220304BHJP
C07C 15/06 20060101ALI20220304BHJP
C07C 5/41 20060101ALI20220304BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20220304BHJP
【FI】
B01J29/62 Z
B01J37/08
B01J37/00 D
B01J37/02 101Z
C07C15/04
C07C15/06
C07C5/41
C07B61/00 300
(21)【出願番号】P 2019512821
(86)(22)【出願日】2017-09-07
(86)【国際出願番号】 US2017050485
(87)【国際公開番号】W WO2018049033
(87)【国際公開日】2018-03-15
【審査請求日】2020-08-25
(32)【優先日】2016-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502303175
【氏名又は名称】シェブロン フィリップス ケミカル カンパニー エルピー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アルベス - マノーリ、ガブリエラ、ディー.
【審査官】安齋 美佐子
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-500486(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0160150(US,A1)
【文献】特表2015-510839(JP,A)
【文献】特表2006-527655(JP,A)
【文献】特開昭63-091334(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00-38/74
C07C 1/00-409/44
C07B 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化水素の芳香族化のための担持触媒であって、
K/L型ゼオライト及び結合剤を含む結合ゼオライト基材と、
担持触媒の総重量を基準として、
0.3重量%~3重量%の
白金、
1.8重量%~4重量%の塩素、および
0.4重量%~1.5重量%のフッ素、を含み、
前記担持触媒は、580°F~800°F
(304℃~427℃)の範囲の温度プログラム還元(TPR)曲線上のピーク還元温度によって特徴付けられる、
担持触媒。
【請求項2】
前記担持触媒は、0.5重量%~2重量%の
白金、および/又は2重量%~3.8重量%の塩素、および/または0.5重量%~1.3重量%のフッ素を含む、請求項1に記載の触媒。
【請求項3】
前記担持触媒は、前記担持触媒の総重量を基準として、5重量%~30重量%の結合剤を含む、請求項1または2に記載の触媒。
【請求項4】
前記結合剤は、無機固体酸化物、粘土、またはそれらの組み合わせを含み、任意選択で、前記結合剤は、アルミナ、シリカ、マグネシア、ボリア、チタニア、ジルコニア、それらの混合酸化物、またはそれらの混合物を含む、請求項3に記載の触媒。
【請求項5】
前記担持触媒は、結合L型ゼオライトを
含み、任意選択で、結合バリウムイオン交換L型ゼオライトを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項6】
前記担持触媒は、結合K/L型ゼオライトを
含み、任意選択で、シリカ結合K/L型ゼオライトを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項7】
前記担持触媒は、0.7重量%~1.5重量%の白金を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項8】
前記担持触媒は、600°F~720°F
(315℃~382℃)の範囲のTPR曲線上のピーク還元温度によって特徴付けられる、請求項1~7のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項9】
前記担持触媒は、より低い温度ピークおよびより高い温度ピークを含むTPR曲線によって特徴付けられ、より高い温度ピークはより低い温度ピークよりも高さが大きい、請求項1~8のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項10】
前記担持触媒は、1.5:1~8:1の塩素:フッ素の重量比を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項11】
前記担持触媒は、
同じ触媒調製条件下で、0.3重量%~1.5重量%の塩素を有する触媒のものと実質的に同じ白金分散度、および/または
同じ触媒調製条件下で、0.3重量%~1.5重量%の塩素を有する触媒のものと実質的に同じ表面積、および/または
同じ触媒調製条件下で、0.3重量%~1.5重量%の塩素を有する触媒のものよりも多い総窒素含有量
を有する、請求項1~10のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項12】
前記担持触媒は、
同じ触媒調製条件および芳香族化反応条件下で、0.3重量%~1.5重量%の塩素を有する触媒のものよりも低い
反応後期温度(T
EOR
)、および/または
同じ触媒調製条件および芳香族化反応条件下で、0.3重量%~1.5重量%の塩素を有する触媒のものよりも低い
反応初期温度(T
SOR
)、および/または
同じ触媒調製条件および芳香族化反応条件下で、0.3重量%~1.5重量%の塩素を有する触媒のものよりも低いファウリング速度、および/または
同じ触媒調製条件および芳香族化反応条件下で、0.3重量%~1.5重量%の塩素を有する触媒のものと実質的に同じ芳香族選択性
によって特徴付けられる、請求項1~11のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項13】
T
EOR
が920°F~940°F(493℃~504℃)の範囲であり;
T
SOR
が915°F~935°F(490℃~502℃)の範囲であり;および
ファウリング速度が0.12°F/分(0.067℃/分)未満である、
請求項12に記載の触媒。
【請求項14】
炭化水素の芳香族化のための担持触媒を製造する方法であって、
(a)
K/L型ゼオライト及び結合剤を含む結合ゼオライト基材に遷移金属前駆体、塩素前駆体、およびフッ素前駆体を含浸させて含浸ゼオライト基材を形成することと、
(b)前記含浸ゼオライト基材を乾燥し、次いで焼成して前記担持触媒を製造することと、を含み、前記担持触媒は、前記担持触媒の総重量を基準として、
0.3重量%~3重量%の遷移金属、
1.8重量%~4重量%の塩素、および
0.4重量%~1.5重量%のフッ素を含み、
遷移金属前駆体は白金を含み、
前記担持触媒は、580°F~800°F
(304℃~427℃)の範囲の温度プログラム還元曲線上のピーク還元温度によって特徴付けられる、
方法。
【請求項15】
前記結合ゼオライト基材は、
K/L型ゼオライトを結合剤と組み合わせて混合物を形成することと、
前記混合物を押し出して押出物を形成することと、
前記押出物を乾燥および焼成して焼成基材を形成することと、
前記焼成基材を洗浄、乾燥、および焼成して前記結合ゼオライト基材を形成することと、を含むプロセスによって製造される、請求項
14に記載の方法。
【請求項16】
前記含浸ゼオライト基材を乾燥し、次いで焼成することは、
大気圧または準大気圧で50℃~200℃の範囲の乾燥温度、および/または
200℃~500℃の範囲のピーク焼成温度、および窒素、酸素、空気、またはそれらの任意の組み合わせを含む焼成ガス流
を含む、請求項
14または
15に記載の方法。
【請求項17】
前記結合ゼオライト基材に前記遷移金属前駆体を含浸させることは、前記結合ゼオライト基材を前記遷移金属前駆体と混合することを含む、および/または
前記結合ゼオライト基材に前記塩素前駆体および前記フッ素前駆体を含浸させることは、前記結合ゼオライト基材を前記塩素前駆体および前記フッ素前駆体と混合することを含む、および/または
前記結合ゼオライト基材に前記遷移金属前駆体、前記塩素前駆体、および前記フッ素前駆体を含浸させることは、前記結合ゼオライト基材を、前記遷移金属前駆体、前記塩素前駆体、および前記フッ素前駆体を含む水溶液と混合することを含む、
請求項
14~
16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記含浸ゼオライト基材の乾燥および焼成後に還元ステップをさらに含み、前記還元ステップは、前記担持触媒を還元ガス流と接触させて活性化された触媒を製造することを含み、前記還元ステップは、100℃~700℃の範囲の還元温度で行われる、請求項
14~
17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
反応器系において改質条件下で炭化水素供給物を請求項1~
13のいずれか一項に記載の担持触媒または請求項
18に記載の方法により得られる活性化された触媒と接触させて芳香族生成物を製造することを含み、任意選択で、前記炭化水素供給物は、C
6-C
9アルカンおよび/またはシクロアルカンを含む、改質プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2017年9月7日にPCT国際出願として出願され、参照によりその開示全体が本明細書に組み込まれる2016年9月8日に出願された米国仮特許出願第62/384,746号に対する優先権の利益を主張する。
【0002】
本開示は、担持触媒を製造するための方法に関し、より詳細には、高添加量の塩素が存在する触媒含浸ステップを用いた遷移金属および結合ゼオライト基材を含む担持芳香族化触媒の製造に関する。
【背景技術】
【0003】
しばしば芳香族化または改質と称される、非芳香族炭化水素の芳香族化合物への触媒転換は、ベンゼン、トルエン、キシレン等を製造するために使用され得る重要な工業プロセスである。芳香族化または改質プロセスは、遷移金属系触媒を含む1つ以上の反応器を含み得る反応器系で行われることが多い。これらの触媒は、所望の芳香族化合物に対する選択性および/またはその収率を増加させ得る。これらの触媒はまた、経時的にそれらの活性を徐々に失い、それは所望の芳香族化合物に対する選択性の喪失および/または転換率の低下によってしばしば示唆される。
【0004】
高い触媒活性および選択性、低いファウリング速度、ならびに長い製造工程にわたる安定性を提供する改良された芳香族化触媒を有することが有益であろう。したがって、本開示はこれらの目的を達成することに主に関する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
芳香族化プロセスにおいて使用され得る担持触媒が、本明細書において開示および記載される。一態様において、そのような触媒は、結合ゼオライト基材と、担持触媒の総重量を基準として、約0.3重量%~約3重量%の遷移金属、約1.8重量%~約4重量%の塩素、および約0.4重量%~約1.5重量%のフッ素とを含み得る。多くの場合、これらの担持触媒は、約580°F~約800°Fの範囲の温度プログラム還元曲線上のピーク還元温度によって特徴付けられ得る。
【0006】
担持触媒を製造するための方法もまた本明細書に開示および記載される。担持触媒を製造するためのそのような方法の1つは、(a)結合ゼオライト基材に遷移金属前駆体、塩素前駆体、およびフッ素前駆体を含浸させて含浸ゼオライト基材を形成することと、(b)含浸ゼオライト基材を乾燥し、次いで焼成して担持触媒を製造することと、を含み得る。担持触媒は、一般に、担持触媒の総重量を基準として、約0.3重量%~約3重量%の遷移金属、約1.8重量%~約4重量%の塩素、および約0.4重量%~約1.5重量%のフッ素を含む。担持触媒は、約580°F~約800°Fの範囲の温度プログラム還元曲線上のピーク還元温度によって特徴付けられ得る。
【0007】
本明細書において提供される方法によって製造される担持触媒は、非芳香族炭化水素から芳香族化合物を製造するための芳香族化プロセスにおいて使用され得る。そのような触媒は、優れた選択性(例えば、ベンゼンおよびトルエンに対する)を維持しながら、触媒活性の増加とファウリング速度の低下との予想外の組み合わせを有し得る。
【0008】
前述の概要および以下の詳細な説明はどちらも、例を提供しており、説明のみを目的としている。したがって、前述の概要および以下の詳細な説明は、限定的であると解釈されるべきでない。さらに、本明細書に記載されるものに加えて、特徴または変形例が提供されてもよい。例えば、ある特定の態様が、詳細な説明にて記載される種々の特徴の組み合わせおよび部分的組み合わせを対象としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施例1の担持触媒中のFおよびClの量(重量%)を示すプロットを示す。
【
図2】実施例1の担持触媒の表面積対担持触媒中のClの量(重量%)のプロットを示す。
【
図3】実施例1の担持触媒の白金分散度対担持触媒中のClの量(重量%)のプロットを示す。
【
図4】実施例1の担持触媒中のNおよびClの量(重量%)を説明するプロットを示す。
【
図5】実施例2の担持触媒について芳香族モル選択性およびベンゼン+トルエンモル選択性のプロットを示す。
【
図6】実施例3の担持触媒について収率調整温度対反応時間のプロットを示す。
【
図7】実施例4の担持触媒について温度プログラム還元のプロットを示す。
【
図8】実施例5の担持触媒について反応時間に対する収率調整温度および水素純度のプロットを示す。
【
図9】実施例7の高塩素担持触媒の温度プログラム還元のプロットを示す。
【
図10】実施例7の対照触媒および高塩素担持触媒について収率調整温度対反応時間のプロットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
定義
本明細書において使用される用語をより明確に定義するために、以下の定義が提供される。別段の指示がない限り、以下の定義が本開示に適用される。ある用語が本開示において用いられるが、本明細書において具体的に定義されていない場合、適用される定義が、本明細書に適用されるいずれか他の開示もしくは定義と矛盾しない限り、またはその定義が適用されるいずれの請求項も不明瞭または不可能にしない限り、IUPAC Compendium of Chemical Terminology、2nd Ed(1997)からの定義が適用され得る。参照により本明細書に組み込まれるいずれかの文書によって提供される任意の定義または使用が、本明細書において提供される定義または使用と矛盾する限りにおいて、本明細書において提供される定義または使用が優先する。
【0011】
本明細書において、主題の特徴は、特定の態様内で、異なる特徴の組み合わせが想起され得るように記載される。本明細書に開示される各々のおよびあらゆる態様ならびに特徴について、本明細書に記載される設計、組成物、プロセス、または方法に悪影響を与えない全ての組み合わせが、特定の組み合わせの明白な記載を伴ってまたは伴うことなく企図される。さらに、他に明示的に列挙されない限り、本明細書に開示される任意の態様または特徴が、本開示と一致する本発明の設計、組成物、プロセス、または方法を説明するために組み合わされ得る。
【0012】
本開示において、組成物および方法は、種々の構成要素またはステップを「含む」という観点でしばしば記載されるが、組成物および方法は、別段の記載がない限り、種々の構成要素またはステップ「から本質的になる」または「からなる」であってもよい。
【0013】
用語「a」、「an」、および「the」は、複数形の代替物、例えば、少なくとも1つを含むことが意図される。例えば、「遷移金属」または「塩素前駆体」の開示は、別段の定めがない限り、1つの、または1つより多くの遷移金属もしくは塩素前駆体の混合物もしくは組合せを包含することを意味する。
【0014】
一般に、元素の族は、Chemical and Engineering News,63(5),27,1985に公表された元素周期表の版に示されるナンバリングスキームを用いて示される。いくつかの場合において、元素の族は、その族に割り当てられた一般名称を用いて示されてもよい:例えば、1族元素についてはアルカリ金属、3~12族元素については遷移金属、および17族元素についてはハロゲンまたはハライドである。
【0015】
本明細書に開示されるいずれか特定の化合物または基については、提示されたいずれかの(一般または特定の)名称または構造は、別段の定めがない限り、特定の一連の置換基から生じ得る全ての配座異性体、位置異性体、立体異性体、およびそれらの混合物を包含することが意図される。(一般または特定の)名称または構造は、別段の定めがない限り、当業者によって認識されるであろう、全てのエナンチオマー、ジアステレオマー、およびエナンチオマーまたはラセミ形態のいずれかの他の光学異性体(存在する場合)、ならびに立体異性体の混合物も包含する。例えば、ヘキサンへの一般的言及は、n-ヘキサン、2-メチル-ペンタン、3-メチル-ペンタン、2,2-ジメチル-ブタン、および2,3-ジメチル-ブタンを含み、ブチル基への一般的な言及は、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、およびt-ブチル基を含む。
【0016】
一態様において、化学「基」は、その基が形式上、参照または「親」化合物にどのように由来するかに従って、例えば、たとえその基が事実上そのような様式では合成されなくても、その基を生成するために親化合物から除去される水素原子の数によって、定義または記載することができる。これらの基は、置換基として利用されてもよく、または金属原子に配位もしくは結合されてもよい。例として、「アルキル基」は、形式上、アルカンから1個の水素原子を除去することにより誘導され得る。置換基、リガンド、または他の化学部分が特定の「基」を構成し得るという開示は、その基が記載されるように用いられる場合、化学構造および結合の周知の規則に従うことを意味する。ある基が「によって誘導される」、「に由来する」、「によって形成される」、または「から形成される」と記載する場合、別段の定めがない限り、または文脈がそうではないことを必要としない限り、そのような用語は形式的な意味で使用され、任意の特定の合成方法または手順を反映することを意図しない。
【0017】
種々の数値範囲が本明細書に開示される。本明細書で任意の種類の範囲が開示または請求される場合、別段の定めがない限り、その範囲の端点ならびにその中に包含される部分範囲および部分範囲の組み合わせを含む、そのような範囲が合理的に包含し得るそれぞれの可能な数を個別に開示または請求することを意図する。代表的な例として、本出願は、担持触媒が、ある特定の態様において、担持触媒の総重量を基準として約2重量%~約3.8重量%の塩素を含有し得ることを開示している。担持触媒の塩素含有量が約2重量%~約3.8重量%の範囲内であり得るという開示により、その意図は、塩素含有量がこの範囲内の任意の量であり得ることを列挙することであり、例えば、約2重量%、約2.2重量%、約2.4重量%、約2.6重量%、約2.8重量%、約3重量%、約3.2重量%、約3.4重量%、約3.6重量%、または約3.8重量%に等しくてもよい。さらに、塩素含有量は、約2重量%~約3.8重量%の任意の範囲であってもよく(例えば、塩素含有量は、約2.5重量%~約3.3重量%の範囲内であり得る)、これはまた約2重量%~約3.8重量%の範囲の任意の組み合わせを含む。同様に、本明細書に開示される他の全ての範囲は、この例と同様に解釈されるべきである。
【0018】
「約」という用語は、量、サイズ、配合、パラメータ、ならびに他の量および特性が、正確ではない、および正確である必要はないが、必要に応じて、より大きいまたはより小さいことを含む近似値であってもよく、許容誤差、換算係数、端数処理、測定誤差等、および当業者に既知の他の因子を反映することを意味する。一般に、量、サイズ、配合、パラメータ、または他の量もしくは特徴は、そうであると明示的に述べられているかどうかにかかわらず、「約」または「およそ」である。用語「約」はまた、特定の初期混合物から生じる組成物の異なる平衡条件のために異なる量を包含する。「約」という用語によって修飾されているかどうかにかかわらず、特許請求の範囲はその量の均等物を含む。用語「約」は、報告された数値の10%以内、好ましくは報告された数値の5%以内を意味し得る。
【0019】
本明細書において使用される場合、用語「炭化水素」は、炭素原子および水素原子のみを含む化合物を指す。存在する場合、炭化水素中の特定の基の存在を示すために他の識別子が利用されてもよい(例えば、ハロゲン化炭化水素は、炭化水素中の同等の数の水素原子を置換する1個以上のハロゲン原子の存在を示す)。
【0020】
「芳香族」化合物は、ヒュッケル(4n+2)則に従い、かつ(4n+2)のπ電子を含む(式中、nは1~5の整数である)環状共役二重結合系を含む化合物である。芳香族化合物は、「アレーン」(炭化水素芳香族化合物、例えば、ベンゼン、トルエン、およびキシレン)および「ヘテロアレーン」(芳香族系に特徴的な連続π電子系およびヒュッケル則(4n+2)に対応する多数の面外π電子を維持するように、環状共役二重結合系の1個以上のメチン(-C=)炭素原子を3価または2価のヘテロ原子で置換することにより、形式上はアレーンから誘導されるヘテロ芳香族化合物)を含む。本明細書に開示されるように、用語「置換された」は、芳香族基、アレーン、またはヘテロアレーンを説明するために使用され得、非水素部分は、形式上は化合物中の水素原子を置換し、別段の定めがない限り、非限定的であることが意図される。
【0021】
本明細書で使用される場合、用語「アルカン」は、飽和炭化水素化合物を指す。存在する場合、アルカン中の特定の基の存在を示すために他の識別子が利用されてもよい(例えば、ハロゲン化アルカンは、アルカン中の同等の数の水素原子を置換する1個以上のハロゲン原子の存在を示す)。用語「アルキル基」は、IUPACによって定められた定義に従って本明細書において使用され、アルカンから水素原子を除去することによって形成される1価の基である。アルカンまたはアルキル基は、別段の定めがない限り、直鎖状または分岐状であり得る。
【0022】
「シクロアルカン」は、側鎖を有するまたは有しない飽和環状炭化水素、例えば、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、およびメチルシクロヘキサンである。存在する場合、シクロアルカン中の特定の基の存在を示すために他の識別子が利用されてもよい(例えば、ハロゲン化シクロアルカンは、シクロアルカン中の同等の数の水素原子を置換する1個以上のハロゲン原子の存在を示す)。
【0023】
本明細書で使用される場合、用語「転換可能な炭化水素」、「転換可能なC6種」、または「転換可能なC7種」は、芳香族化プロセス条件下で容易に反応して芳香族炭化水素を形成する炭化水素化合物を指す。「非転換性炭化水素」は、芳香族化プロセス条件下では容易に反応して芳香族炭化水素を形成しない、高度に分岐した炭化水素である。「非転換性炭化水素」は、1個の内部四級炭素とともに6個もしくは7個の炭素原子を有する高度に分岐した炭化水素、または6個の炭素原子および2個の隣接する内部三級炭素を有する炭化水素、またはそれらの混合物を含み得る。「転換可能なC6種」は、1個の内部4級炭素または2個の隣接する内部3級炭素を含まない6個の炭素を含む炭化水素、例えば、n-ヘキサン、2-メチル-ペンタン、3-メチル-ペンタン、シクロヘキサン、およびメチルシクロペンタンである。「転換可能なC7種」は、内部四級炭素を含まない7個の炭素を含む炭化水素、例えば、n-ヘプタン、2-メチル-ヘキサン、3-メチル-ヘキサン、2,3-ジメチル-ペンタン、2,4-ジメチル-ペンタン、メチルシクロヘキサン、およびジメチルシクロペンタンである。6または7個の炭素原子および1個の内部4級炭素を有する高度に分岐した炭化水素は、例えば、2,2-ジメチルブタン、2,2-ジメチルペンタン、3,3-ジメチルペンタン、および2,2,3-トリメチルブタンを含み得る。6個の炭素原子および1個の隣接する内部三級炭素を有する高度に分岐した炭化水素は、例えば、2,3-ジメチルブタンを含み得る。非転換性の高度に分岐した炭化水素は芳香族生成物に容易に転換せず、代わりに、芳香族化プロセス条件下で軽質炭化水素に転換する傾向がある。
【0024】
用語「ハロゲン」はその通常の意味を有する。ハロゲンの例として、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素が挙げられる。
【0025】
モル選択性は以下のように定義される。
【数1】
【数2】
【数3】
【数4】
【0026】
転換率は、供給された「転換可能な」炭化水素1モル当たりに転換されたモル数として定義される。
【数5】
【数6】
【数7】
【0027】
これらの式において、nは連続反応器におけるモル流量またはバッチ式反応器におけるモル数を示す。
【0028】
本明細書において開示されるものと同様のまたは等しい任意の方法および材料が、本発明の実施または試験において用いられ得るが、典型的な方法および材料は本明細書に記載される。
【0029】
本明細書において言及される全ての刊行物および特許は、説明および開示を目的として参照により本明細書に組み込まれ、例えば、刊行物に記載される構成物および方法論は、本明細書に記載される発明と関連付けて用いられ得る。
【0030】
発明の詳細な説明
高塩素含有量を有する担持触媒、そのような担持触媒を製造するための方法、および芳香族化または改質プロセスにおけるこれらの触媒の使用が本明細書に開示される。有益には、低塩素含有量を有する従来の芳香族化触媒と比較して、本明細書に記載の高塩素含有量担持触媒は、意外にも改善された触媒活性および安定性、ならびにより低いファウリング速度を有する。
以下に本発明の一態様を示す。
[発明1]
担持触媒であって、
結合ゼオライト基材と、
担持触媒の総重量を基準として、約0.3重量%~約3重量%の遷移金属、
約1.8重量%~約4重量%の塩素、および
約0.4重量%~約1.5重量%のフッ素、を含み、
前記担持触媒は、約580°F~約800°Fの範囲の温度プログラム還元(TPR)曲線上のピーク還元温度によって特徴付けられる、担持触媒。
[発明2]
前記担持触媒は、約2重量%~約3.8重量%の塩素を含む、発明1に記載の触媒。
[発明3]
前記担持触媒は、約0.5重量%~約1.3重量%のフッ素を含む、発明1または2に記載の触媒。
[発明4]
前記結合ゼオライト基材は、ゼオライトおよび結合剤を含む、発明1~3のいずれか一項に記載の触媒。
[発明5]
前記担持触媒は、前記担持触媒の総重量を基準として、約5重量%~約30重量%の結合剤を含む、発明4に記載の触媒。
[発明6]
前記結合剤は、無機固体酸化物、粘土、またはそれらの組み合わせを含む、発明4または5に記載の触媒。
[発明7]
前記結合剤は、アルミナ、シリカ、マグネシア、ボリア、チタニア、ジルコニア、それらの混合酸化物、またはそれらの混合物を含む、発明4または5に記載の触媒。
[発明8]
前記結合剤は、シリカを含む、発明4または5に記載の触媒。
[発明9]
前記担持触媒は、結合L型ゼオライトを含む、発明1~8のいずれか一項に記載の触媒。
[発明10]
前記担持触媒は、結合バリウムイオン交換L型ゼオライトを含む、発明1~9のいずれか一項に記載の触媒。
[発明11]
前記担持触媒は、結合K/L型ゼオライトを含む、発明1~9のいずれか一項に記載の触媒。
[発明12]
前記担持触媒は、シリカ結合K/L型ゼオライトを含む、発明1~9のいずれか一項に記載の触媒。
[発明13]
前記結合ゼオライト基材は、
K/L型ゼオライトをシリカゾルと組み合わせて混合物を形成することと、
前記混合物を押し出して押出物を形成することと、
前記押出物を乾燥および焼成して焼成基材を形成することと、
前記焼成基材を洗浄、乾燥、および焼成して前記結合ゼオライト基材を形成することと、を含むプロセスによって製造される、発明1~9のいずれか一項に記載の触媒。
[発明14]
前記担持触媒は、約0.5重量%~約2重量%の前記遷移金属を含む、発明1~13のいずれか一項に記載の触媒。
[発明15]
前記遷移金属は、白金を含む、発明1~14のいずれか一項に記載の触媒。
[発明16]
前記担持触媒は、約0.7重量%~約1.5重量%の白金を含む、発明1~15のいずれか一項に記載の触媒。
[発明17]
前記担持触媒は、約600°F~約720°Fの範囲のTPR曲線上のピーク還元温度によって特徴付けられる、発明1~16のいずれか一項に記載の触媒。
[発明18]
前記担持触媒は、より低い温度ピークおよびより高い温度ピークを含むTPR曲線によって特徴付けられ、より高い温度ピークはより低い温度ピークよりも高さが大きい、発明1~17のいずれか一項に記載の触媒。
[発明19]
前記担持触媒は、約1.5:1~約8:1の塩素:フッ素の重量比を含む、発明1~18のいずれか一項に記載の触媒。
[発明20]
前記担持触媒は、同じ触媒調製条件下で、0.3重量%~1.5重量%の塩素を有する触媒のものと実質的に同じ白金分散度を有する、発明1~19のいずれか一項に記載の触媒。
[発明21]
前記担持触媒は、同じ触媒調製条件下で、0.3重量%~1.5重量%の塩素を有する触媒のものと実質的に同じ表面積を有する、発明1~20のいずれか一項に記載の触媒。
[発明22]
前記担持触媒は、同じ触媒調製条件下で、0.3重量%~1.5重量%の塩素を有する触媒のものよりも多い総窒素含有量を有する、発明1~21のいずれか一項に記載の触媒。
[発明23]
前記担持触媒は、約920°F~約940°Fの範囲の反応後期温度(T
EOR
)によって特徴付けられる、発明1~22のいずれか一項に記載の触媒。
[発明24]
前記担持触媒は、同じ触媒調製条件および芳香族化反応条件下で、0.3重量%~1.5重量%の塩素を有する触媒のものよりも低いT
EOR
によって特徴付けられる、発明1~23のいずれか一項に記載の触媒。
[発明25]
前記担持触媒は、約915°F~約935°Fの範囲の反応初期温度(T
SOR
)よって特徴付けられる、発明1~24のいずれか一項に記載の触媒。
[発明26]
前記担持触媒は、同じ触媒調製条件および芳香族化反応条件下で、0.3重量%~1.5重量%の塩素を有する触媒のものよりも低いT
SOR
によって特徴付けられる、発明1~25のいずれか一項に記載の触媒。
[発明27]
前記担持触媒は、約0.12°F/分未満のファウリング速度によって特徴付けられる、発明1~26のいずれか一項に記載の触媒。
[発明28]
前記担持触媒は、同じ触媒調製条件および芳香族化反応条件下で、0.3重量%~1.5重量%の塩素を有する触媒のものよりも低いファウリング速度によって特徴付けられる、発明1~27のいずれか一項に記載の触媒。
[発明29]
前記担持触媒は、同じ触媒調製条件および芳香族化反応条件下で、0.3重量%~1.5重量%の塩素を有する触媒のものと実質的に同じ芳香族選択性によって特徴付けられる、発明1~28のいずれか一項に記載の触媒。
[発明30]
反応器系において改質条件下で炭化水素供給物を担持芳香族化触媒と接触させて芳香族生成物を製造することを含む改質プロセスであって、前記担持芳香族化触媒は、発明1~29のいずれか一項に記載の担持触媒である、改質プロセス。
[発明31]
前記炭化水素供給物は、C
6
-C
9
アルカンおよび/またはシクロアルカンを含む、発明30に記載のプロセス。
[発明32]
担持触媒を製造する方法であって、
(a)結合ゼオライト基材に遷移金属前駆体、塩素前駆体、およびフッ素前駆体を含浸させて含浸ゼオライト基材を形成することと、
(b)前記含浸ゼオライト基材を乾燥し、次いで焼成して前記担持触媒を製造することと、を含み、前記担持触媒は、前記担持触媒の総重量を基準として、
約0.3重量%~約3重量%の遷移金属、
約1.8重量%~約4重量%の塩素、および
約0.4重量%~約1.5重量%のフッ素を含み、
前記担持触媒は、約580°F~約800°Fの範囲の温度プログラム還元曲線上のピーク還元温度によって特徴付けられる、方法。
[発明33]
前記結合ゼオライト基材は、
ゼオライトを結合剤と組み合わせて混合物を形成することと、
前記混合物を押し出して押出物を形成することと、
前記押出物を乾燥および焼成して焼成基材を形成することと、
前記焼成基材を洗浄、乾燥、および焼成して前記結合ゼオライト基材を形成することと、を含むプロセスによって製造される、発明32に記載の方法。
[発明34]
前記含浸ゼオライト基材を乾燥し、次いで焼成することは、大気圧または準大気圧で約50℃~約200℃の範囲の乾燥温度を含む、発明32または33に記載の方法。
[発明35]
前記含浸ゼオライト基材を乾燥し、次いで焼成することは、約200℃~約500℃の範囲のピーク焼成温度、および窒素、酸素、空気、またはそれらの任意の組み合わせを含む焼成ガス流を含む、発明32~34のいずれか一項に記載の方法。
[発明36]
前記結合ゼオライト基材に前記遷移金属前駆体を含浸させることは、前記結合ゼオライト基材を前記遷移金属前駆体と混合することを含む、発明32~35のいずれか一項に記載の方法。
[発明37]
前記結合ゼオライト基材に前記塩素前駆体および前記フッ素前駆体を含浸させることは、前記結合ゼオライト基材を前記塩素前駆体および前記フッ素前駆体と混合することを含む、発明32~36のいずれか一項に記載の方法。
[発明38]
前記結合ゼオライト基材に前記遷移金属前駆体、前記塩素前駆体、および前記フッ素前駆体を含浸させることは、前記結合ゼオライト基材を、前記遷移金属前駆体、前記塩素前駆体、および前記フッ素前駆体を含む水溶液と混合することを含む、発明32~35のいずれか一項に記載の方法。
[発明39]
前記担持触媒は、約2重量%~約3.8重量%の塩素を含む、発明32~38のいずれか一項に記載の方法。
[発明40]
前記担持触媒は、約0.5重量%~約1.3重量%のフッ素を含む、発明32~39のいずれか一項に記載の方法。
[発明41]
前記担持触媒は、前記担持触媒の総重量を基準として、約5重量%~約30重量%の前記結合剤を含む、発明33から40のいずれか一項に記載の方法。
[発明42]
前記結合剤は、無機固体酸化物、粘土、またはそれらの組み合わせを含む、発明33~41のいずれか一項に記載の方法。
[発明43]
前記結合剤は、アルミナ、シリカ、マグネシア、ボリア、チタニア、ジルコニア、それらの混合酸化物、またはそれらの混合物を含む、発明33~41のいずれか一項に記載の方法。
[発明44]
前記結合剤は、シリカを含む、発明33~41のいずれか一項に記載の方法。
[発明45]
前記担持触媒は、結合バリウムイオン交換L型ゼオライトを含む、発明32~44のいずれか一項に記載の方法。
[発明46]
前記担持触媒は、結合K/L型ゼオライトを含む、発明32~44のいずれか一項に記載の方法。
[発明47]
前記担持触媒は、シリカ結合K/L型ゼオライトを含む、発明32~44のいずれか一項に記載の方法。
[発明48]
前記担持触媒は、約0.5重量%~約2重量%の遷移金属を含む、発明32~47のいずれか一項に記載の方法。
[発明49]
前記遷移金属は、白金を含む、発明32~48のいずれか一項に記載の方法。
[発明50]
前記担持触媒は、約0.7重量%~約1.5重量%の白金を含む、発明32~49のいずれか一項に記載の方法。
[発明51]
前記担持触媒は、約600°F~約720°Fの範囲のTPR曲線上のピーク還元温度によって特徴付けられる、発明32~50のいずれか一項に記載の方法。
[発明52]
前記担持触媒は、より低い温度ピークおよびより高い温度ピークを含むTPR曲線によって特徴付けられ、より高い温度ピークはより低い温度ピークよりも高さが大きい、発明32~51のいずれか一項に記載の方法。
[発明53]
前記担持触媒は、約1.5:1~約8:1の塩素:フッ素の重量比を含む、発明32~52のいずれか一項に記載の方法。
[発明54]
前記担持触媒は、同じ触媒調製条件下で、0.3重量%~1.5重量%の塩素を有する触媒のものと実質的に同じ白金分散度を有する、発明32~53のいずれか一項に記載の方法。
[発明55]
前記担持触媒は、同じ触媒調製条件下で、0.3重量%~1.5重量%の塩素を有する触媒のものと実質的に同じ表面積を有する、発明32~54のいずれか一項に記載の方法。
[発明56]
前記担持触媒は、同じ触媒調製条件下で、0.3重量%~1.5重量%の塩素を有する触媒のものよりも多い総窒素含有量を有する、発明32~55のいずれか一項に記載の方法。
[発明57]
前記担持触媒は、約920°F~約940°Fの範囲の反応後期温度(T
EOR
)によって特徴付けられる、発明32~56のいずれか一項に記載の方法。
[発明58]
前記担持触媒は、同じ触媒調製条件および芳香族化反応条件下で、0.3重量%~1.5重量%の塩素を有する触媒のものよりも低いT
EOR
によって特徴付けられる、発明32~57のいずれか一項に記載の方法。
[発明59]
前記担持触媒は、約915°F~約935°Fの範囲の反応初期温度(T
SOR
)よって特徴付けられる、発明32~58のいずれか一項に記載の方法。
[発明60]
前記担持触媒は、同じ触媒調製条件および芳香族化反応条件下で、0.3重量%~1.5重量%の塩素を有する触媒のものよりも低いT
SOR
によって特徴付けられる、発明32~59のいずれか一項に記載の方法。
[発明61]
前記担持触媒は、約0.12°F/分未満のファウリング速度によって特徴付けられる、発明32~60のいずれか一項に記載の方法。
[発明62]
前記担持触媒は、同じ触媒調製条件および芳香族化反応条件下で、0.3重量%~1.5重量%の塩素を有する触媒のものよりも低いファウリング速度によって特徴付けられる、発明32~61のいずれか一項に記載の方法。
[発明63]
前記担持触媒は、同じ触媒調製条件および芳香族化反応条件下で、0.3重量%~1.5重量%の塩素を有する触媒のものと実質的に同じ芳香族選択性によって特徴付けられる、発明32~62のいずれか一項に記載の方法。
[発明64]
発明32~63のいずれか一項に記載の方法によって得られる、担持触媒。
[発明65]
前記含浸ゼオライト基材の乾燥および焼成後に還元ステップをさらに含み、前記還元ステップは、前記担持触媒を還元ガス流と接触させて活性化された触媒を製造することを含む、発明32~63のいずれか一項に記載の方法。
[発明66]
前記還元ステップは、約100℃~約700℃の範囲の還元温度で行われる、発明65に記載の方法。
[発明67]
前記活性化された触媒は、前記活性化された触媒の総重量を基準として、約0.2重量%~約1.3重量%の塩素を含む、発明65または66に記載の方法。
[発明68]
発明65~67のいずれか一項に記載の方法によって得られる、活性化された触媒。
[発明69]
反応器系において改質条件下で炭化水素供給物を発明64に記載の担持触媒または発明68に記載の活性化された触媒と接触させて芳香族生成物を製造することを含む、改質プロセス。
[発明70]
前記炭化水素供給物は、C
6
-C
9
アルカンおよび/またはシクロアルカンを含む、発明69に記載のプロセス。
【0031】
以下の理論に束縛されることを望まないが、本明細書に開示される高塩素含有量担持触媒のものよりも少ない従来の塩素添加量を用いると芳香族化触媒性能が劣る可能性があり、本明細書に開示される高塩素含有量担持触媒のものよりも多い塩素添加量を用いると、ゼオライト基材に所望量の遷移金属、塩素、フッ素、および水をうまく含浸させることが困難になる可能性がある。さらに、従来の塩素添加量は、触媒の酸性度を高めると触媒活性および選択性の両方に有害であるという従来の考えに基づいて、担持触媒の非酸性の性質を維持するようにある程度設計されているため、本明細書に記載の高塩素含有量担持触媒およびそれらの改良された触媒性能は、さらにいっそう驚くべきことである。
【0032】
担持触媒
本明細書に開示される態様と一致するのは、結合ゼオライト基材と、約0.3重量%~約3重量%の遷移金属、約1.8重量%~約4重量%の塩素、および約0.4重量%~約1.5重量%のフッ素とを含む(またはそれらから本質的になる、またはそれらからなる)担持触媒である。これらの重量百分率は、担持触媒の総重量を基準としている。担持触媒は、約580°F~約800°Fの範囲の温度プログラム還元(TPR)曲線上のピーク還元温度によって特徴付けられ得る。一般に、本明細書に開示される触媒のいずれかの特徴(例えば、とりわけ、結合ゼオライト基材、遷移金属および遷移金属含有量、塩素含有量、フッ素含有量、ならびにTPR曲線の特徴)は、本明細書に独立に記載されており、これらの特徴は、開示される担持触媒をさらに説明するために任意の組み合わせで組み合わせることができる。
【0033】
最初に結合ゼオライト基材を参照すると、任意の適切な結合ゼオライト基材が、本明細書に記載の高塩素含有量担持触媒とともに使用され得る。典型的には、結合ゼオライト基材は無機酸化物を含むことができ、その例として、限定されないが、結合中細孔および/または大細孔ゼオライト(アルミノケイ酸)、非晶質無機酸化物、ならびにそれらの混合物が挙げられる。大細孔ゼオライトは、しばしば、約7Å~約12Åの範囲の平均細孔径を有してもよく、大細孔ゼオライトの非限定的な例として、L型ゼオライト、Y型ゼオライト、モルデナイト、オメガゼオライト、βゼオライト等が挙げられる。中細孔ゼオライトは、しばしば、約5Å~約7Åの範囲の平均細孔径を有し得る。非晶質無機酸化物は、限定されないが、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、チタニア、およびそれらの組み合わせを含み得る。
【0034】
「ゼオライト」という用語は、一般に、特定の群の水和結晶性金属アルミノケイ酸塩を指す。これらのゼオライトは、酸素原子を共有することによってアルミニウム原子とケイ素原子とが三次元骨格内で架橋されたSiO4およびAlO4四面体のネットワークを示す。この骨格内では、アルミニウム原子およびケイ素原子の合計に対する酸素原子の比率は、2に等しい可能性がある。骨格は、典型的には、結晶内に金属、アルカリ金属、および/または水素等の陽イオンを含むことによって平衡状態を保つことができる負の電気原子価を示す。
【0035】
いくつかの態様において、結合ゼオライト基材はL型ゼオライトを含み得る。L型ゼオライト担体は、式:M2/nOAl2O3xSiO2yH2Oに従う酸化物のモル比を含み得るゼオライト担体のサブグループである。この式において、「M」は、バリウム、カルシウム、セリウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、ストロンチウム、および/または亜鉛等の交換可能な陽イオン(1つ以上)、ならびにヒドロニウムイオンおよびアンモニウムイオン等の非金属陽イオンを意味し、L型ゼオライトの基本結晶構造を実質的に変化させることなく、他の交換可能な陽イオンで置き換えることができる。式中の「n」は「M」の原子価を表し、「x」は2以上であり、「y」は、ゼオライトのチャネルまたは相互連結した空隙に含まれる水分子の数である。
【0036】
一態様において、結合ゼオライト基材は、K/L型ゼオライトとも称される結合カリウムL型ゼオライトを含み得るが、別の態様において、結合ゼオライト基材はバリウムイオン交換L型ゼオライトを含み得る。本明細書で使用される場合、用語「K/L型ゼオライト」は、ゼオライトに組み込まれる主な陽イオンMがカリウムであるL型ゼオライトを指す。K/L型ゼオライトは、(例えばバリウムで)陽イオン交換され得るか、または遷移金属および1つ以上のハロゲン化物を含浸させて、遷移金属含浸ハロゲン化ゼオライトまたはK/L担持遷移金属-ハロゲン化物ゼオライト触媒を生成することができる。
【0037】
結合ゼオライト基材において、ゼオライトは支持マトリックス(または結合剤)と結合していてもよく、結合剤の非限定的な例として、限定されないが、無機固体酸化物、粘土等、およびそれらの組み合わせを挙げることができる。ゼオライトは、当該技術分野で既知の任意の方法を用いて結合剤または支持マトリックスと結合させることができる。例えば、ゼオライトおよび結合剤を含む結合ゼオライト基材は、K/L型ゼオライト等のゼオライトをシリカゾル等の結合剤と混合し、次いで該混合物を押し出して押出物を形成し、続いて該押出物を乾燥および焼成して焼成基材を形成し、次いで該焼成基材を洗浄、乾燥、および焼成して結合ゼオライト基材を形成することを含むプロセスによって製造することができる。
【0038】
いくつかの態様において、結合剤は、アルミナ、シリカ、マグネシア、ボリア、チタニア、ジルコニア、またはそれらの混合酸化物(例えば、アルミノケイ酸塩)、またはそれらの混合物を含んでもよく、他の態様において、結合剤は、モンモリロナイト、カオリン、セメント、またはそれらの組み合わせを含み得る。本明細書で企図される特定の態様において、結合剤は、シリカ、アルミナ、もしくはそれらの混合酸化物、代替的にシリカ、代替的にアルミナ、または代替的にシリカ-アルミナを含み得る。したがって、結合ゼオライト基材は、シリカ結合Ba/L型ゼオライト、シリカ結合バリウムイオン交換L型ゼオライト、またはシリカ結合K/L型ゼオライト等のシリカ結合L型ゼオライトを含み得る。
【0039】
それらに限定されないが、本明細書に包含される結合ゼオライト基材(または担持触媒)は、約3重量%~約35重量%の結合剤を含み得る。例えば、結合ゼオライト基材(または担持触媒)は、約5重量%~約30重量%、または約10重量%~約30重量%の結合剤を含み得る。これらの重量パーセントは、文脈上必要な場合、結合ゼオライト基材の総重量を基準とするか、または担持触媒の総重量を基準とする。
【0040】
結合ゼオライト基材および担持触媒におけるそれらの使用の例示的な例は、米国特許第5,196,631号、同第6,190,539号、同第6,406,614号、同第6,518,470号、同第6,812,180号、および同第7,153,801号に記載されており、それらの開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0041】
担持触媒は、約0.3重量%~約3重量%の遷移金属を含み得る。例えば、担持触媒は、約0.5重量%~約2.5重量%、約0.5重量%~約2重量%、または約0.7重量%~約1.5重量%の遷移金属を含み得る。これらの重量百分率は、担持触媒の総重量を基準としている。
【0042】
適切な遷移金属の非限定的な例として、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、金、銀、銅等、または2つ以上の遷移金属の組み合わせが挙げられ得る。一態様において、遷移金属は、8~11族の遷移金属または8~10族の遷移金属(1つまたは複数)を含んでもよく、別の態様において、遷移金属は白金(Pt)を含んでもよい。さらに別の態様において、結合ゼオライト基材に1つのみの遷移金属を含浸させるが、該遷移金属は白金である。
【0043】
遷移金属が白金を含む状況において、担持触媒は、約0.3重量%~約3重量%の白金、代替的に約0.5重量%~約2.5重量%の白金、代替的に約0.5重量%~約2重量%の白金、代替的に約0.7重量%~約1.5重量%の白金を含み得る。本明細書で企図される特定の態様において、担持触媒は、結合K/L型ゼオライト上に白金を含み得る。
【0044】
有意には、従来の芳香族化触媒と比較して、本明細書に記載の担持触媒は、担持触媒の総重量を基準として、典型的には約1.8重量%~約4重量%に及ぶ比較的高い塩素(Cl)の添加量を有する。一態様において、担持触媒は、約2重量%~約3.8重量%の塩素を含み得る。別の態様において、担持触媒は、約2.2重量%~約3.6重量%の塩素を含み得る。さらに別の態様において、担持触媒は、約2.2重量%~約3.4重量%の塩素を含み得る。さらに別の態様において、担持触媒は、約2重量%~約3.3重量%の塩素、または約2.5重量%~約3.3重量%の塩素を含み得る。意外なことに、担持触媒中の高添加量の塩素は、改善された触媒活性および安定性、ならびにより低いファウリング速度をもたらし得ることが分かった。
【0045】
担持触媒はまた、担持触媒の総重量を基準として、しばしば約0.4重量%~約1.5重量%、または約0.5重量%~約1.5重量%の範囲のフッ素(F)も含む。例えば、担持触媒は、約0.5重量%~約1.3重量%のフッ素、約0.5重量%~約1.1重量%のフッ素、または約0.6重量%~約0.9重量%のフッ素を含み得る。
【0046】
それらに限定されないが、高塩素含有量担持触媒は、しばしば約1.5:1~約8:1、または約2:1~約6:1の範囲内に属する塩素:フッ素の重量比によって特徴付けられ得る。いくつかの態様において、塩素:フッ素の重量比は約2:1~約5:1の範囲であり得るが、他の態様において、重量比は約3:1~約4.5:1の範囲であり得る。
【0047】
意外なことに、本明細書に記載の高塩素含有量担持触媒は、従来の低塩素含有量担持触媒(すなわち、0.3重量%~1.5重量%のClを有する)とは明らかに異なる温度プログラム還元(TPR)曲線を有し得る。一態様において、例えば、本明細書に開示される高塩素含有量担持触媒は、約580°F~約800°Fの範囲のTPR曲線上のピーク温度によって特徴付けられ得る。別の態様において、TPR曲線上のピーク温度は、約580°F~約750°F、約600°F~約730°F、約600°F~約720°F、または約630°F~約690°Fの範囲内に属し得る。TPR曲線上のピーク温度は、TPR曲線上の最も高いピークの温度である。以下の実施例に示されるように、従来の低塩素含有量担持触媒のピーク温度ははるかに低い。
【0048】
「従来の低塩素含有量担持触媒」は、担持触媒の総重量を基準として0.3重量%~1.5重量%のClの範囲の任意の量のClを含む、本明細書に記載されるような芳香族化触媒を一般に包含する。したがって、従来の低塩素含有量担持触媒は、0.3重量%~1.2重量%のCl、または0.5重量%~1.1重量%のCl等の、0.3重量%~1.5重量%の範囲内の任意のCl含有量を有する担持触媒を含み得る。さらに、従来の低塩素含有量担持触媒は、約0.4重量%、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、約0.9重量%、約1重量%、約1.1重量%、約1.2重量%、約1.3重量%、または約1.4重量%のCl含有量を有し得る。
【0049】
別の態様において、例えば、本明細書に開示される高塩素含有量担持触媒は、従来の低塩素含有量担持触媒のピークTPR温度より少なくとも100°F高いTPR曲線上のピーク温度によって特徴付けられ得る。別の態様において、TPR曲線上のピーク温度は、少なくとも約150°F高いか、少なくとも約200°F高いか、約100°F~約400°F高いか、約120°F~約300°高いか、または約100°F~約250°F高い場合がある。
【0050】
さらに、本明細書に開示される高塩素含有量担持触媒は、より低い温度ピークおよびより高い温度ピーク(すなわち2つのピーク)を有するTPR曲線によって特徴付けられ得、より高い温度ピークはより低い温度ピークよりも高さが大きい。以下の実施例に示されるように、低塩素含有量担持触媒については反対のことが言える:すなわち、より低い温度ピークはより高い温度ピークよりも高さが大きい。
【0051】
さらに、本明細書に開示される高塩素含有量担持触媒は、同じ触媒調製条件下で比較したときに、低塩素含有量担持触媒(すなわち、0.3重量%~1.5重量%のClを有する)のものよりも多い総窒素(N)含有量を有し得る。いくつかの場合において、高塩素含有量担持触媒の総窒素含有量は、低塩素含量担持触媒のものよりも少なくとも約50%多いか、少なくとも約100%多いか、または少なくとも約200%多く、多くの場合最大500~1000%多くてもよい。
【0052】
いくつかの態様において、担持触媒は窒素(N)を含み、これはしばしば、担持触媒の総重量を基準として約0.4重量%~約1.6重量%の範囲である。例えば、担持触媒は、約0.5重量%~約1.4重量%の窒素、約0.6重量%~約1.3重量%の窒素、または約0.7重量%~約1.2重量%の窒素を含み得る。
【0053】
さらに、芳香族化反応における本明細書に開示される高塩素含有量担持触媒の性能が改善される。驚くべきことに、これらの担持触媒は、以下の実施例においてより詳細に論じられるTSOR(反応初期温度)、TEOR(反応後期温度)、およびFR(ファウリング速度)の測定基準によって定量化されるように、より高い触媒活性および安定性を有する。一般に、本明細書に記載の高塩素含有量担持触媒は、同じ触媒調製条件および芳香族化反応条件下で比較したときに、低塩素含有量担持触媒(すなわち、0.3重量%~1.5重量%の塩素を有する)のものよりも低いTSOR、低いTEOR、および/または低いFRを有し得る。したがって、比較は、同じ白金、フッ素、および他の組成特性(塩素含有量を除く)を有し、同じ方法で製造され、同じ芳香族化反応条件下で試験された担持触媒についてのものである(下記実施例3を参照)。
【0054】
高塩素含有量担持触媒は、本明細書に記載されるように、しばしば約915°F~約935°F、または約915°F~約930°Fの範囲内に属し得るTSOR(反応初期温度)によって特徴付けられ得る。追加的または代替的に、これらの担持触媒は、本明細書に記載されるように、しばしば約920°F~約940°F、または約920°Fから約930°Fの範囲内に属し得るTEOR(反応後期温度)によって特徴付けられ得る。追加的または代替的に、これらの担持触媒は、本明細書に記載されるように、しばしば約0.12°F/分未満、または約0.1°F/分未満であり得るFR(ファウリング速度)によって特徴付けられ得る。
【0055】
これらの改良とは対照的に、また意外にも、高塩素含有量担持触媒は、同じ触媒調製条件下で比較したときに、低塩素含有量担持触媒(すなわち、0.3重量%~1.5重量%の塩素を有する)のものに匹敵する表面積および白金分散度を有し得る。例えば、高塩素含有量担持触媒は、同じ触媒調製条件下で比較したときに、低塩素含有量担持触媒と実質的に同じ表面積および白金分散度を有することができる。これらの状況において、「実質的に」同じとは、+/-20%以内、より典型的には+/-15%以内、または+/-10%以内を意味する。
【0056】
さらに、高塩素含有量担持触媒は、同じ触媒調製条件および芳香族化反応条件下で比較したときに、低塩素含有量担持触媒(0.3重量%~1.5重量%の塩素を有する)のものと実質的に同じ芳香族選択性(またはベンゼン+トルエン選択性)によって特徴付けられ得る。これらの状況において、「実質的に」同じとは、+/-10%以内、より典型的には+/-6%以内、または+/-4%以内を意味する。
【0057】
担持触媒を製造するための方法
担持芳香族化触媒等の担持触媒を製造するための種々の方法が開示され、記載される。担持触媒を製造するためのそのような方法の1つは、(a)結合ゼオライト基材に遷移金属前駆体、塩素前駆体、およびフッ素前駆体を含浸させて含浸ゼオライト基材を形成することと、(b)含浸ゼオライト基材を乾燥し、次いで焼成して担持触媒を製造することと、を含み得る(またはそれらから本質的になり得る、またはそれらからなり得る)。担持触媒は、担持触媒の総重量を基準として、約0.3重量%~約3重量%の遷移金属、約1.8重量%~約4重量%の塩素、および約0.4重量%~約1.5重量%のフッ素を含み得る。さらに、担持触媒は、約580°F~約800°Fの範囲の温度プログラム還元(TPR)曲線上のピーク還元温度によって特徴付けられ得る。
【0058】
一般に、本明細書に開示されるいずれかの方法の特徴(例えば、とりわけ、結合ゼオライト基材、遷移金属前駆体、遷移金属および遷移金属含有量、塩素前駆体、塩素含有量、フッ素前駆体、フッ素含有量、TPR曲線の特徴、含浸ステップが行われる条件、乾燥および焼成が行われる条件)が本明細書において独立して説明され、これらの特徴を任意の組み合わせで組み合わせて開示される担持方法をさらに説明することができる。さらに、別段の記載がない限り、開示される方法に列挙されたステップのいずれかの前、最中、および/または後に、他のプロセスステップが行われてもよい。さらに、開示される方法/プロセスのいずれかに従って製造される担持触媒(担持芳香族化触媒等)は、本開示の範囲内であり、本明細書に包含される。
【0059】
担持触媒を製造するための方法(しばしば含浸ステップと称される)のステップ(a)を参照すると、結合ゼオライト基材に遷移金属前駆体、塩素前駆体、およびフッ素前駆体を含浸させて含浸ゼオライト基材を形成することができる。ステップ(a)における結合ゼオライト基材は、当業者に既知の任意の技術によって製造することができる。例えば、ゼオライトおよび結合剤を含む結合ゼオライト基材は、ゼオライトを結合剤と混合するかまたは組み合わせて混合物を形成し、次いで該混合物を押し出して押出物を形成し、続いて該押出物を乾燥および焼成して焼成基材を形成し、次いで該焼成基材を洗浄、乾燥、および焼成して結合ゼオライト基材を形成することを含むプロセスによって製造することができる。
【0060】
含浸ステップにおける遷移金属前駆体、塩素前駆体、およびフッ素前駆体は、結合ゼオライト基材の中または上に遷移金属、塩素、および/またはフッ素を堆積させ、それによって含浸ゼオライト基材を形成することができる任意の化合物を包含する。この説明は、(1)1つの材料のみの前駆体として機能する化合物(例えば、塩化アンモニウムは塩素の塩素前駆体であり得る)、および(2)1つ以上の材料の前駆体として機能する化合物(例えば、塩化白金(II)は、白金および塩素の遷移金属前駆体および塩素前駆体の両方であり得るが、一方、クロロフルオロカーボン化合物は、塩素およびフッ素の塩素前駆体およびフッ素前駆体の両方であり得る)を包含することを意味する。
【0061】
結合ゼオライト基材に白金を含浸させる際に使用するのに適した遷移金属前駆体の例示的かつ非限定的な例として、限定されないが、塩化テトラアミン白金(II)、硝酸テトラアミン白金(II)、白金(II)アセチルアセトネート、塩化白金(II)、テトラクロロ白金酸アンモニウム(II)、塩化白金酸、硝酸白金(II)等、ならびにそれらの混合物または組み合わせが挙げられる。塩素前駆体の例示的かつ非限定的な例として、塩酸、四塩化炭素、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、塩化メチル、塩化メチレン、クロロホルム、塩化アリル、トリクロロエチレン、クロラミン、酸化塩素、塩素酸、二酸化塩素、一塩化二塩素、七酸化二塩素、塩素酸、過塩素酸、塩化アンモニウム、塩化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、塩化テトラプロピルアンモニウム、塩化テトラブチルアンモニウム、塩化メチルトリエチルアンモニウム等、およびそれらの組み合わせが挙げられる。フッ素前駆体の例示的かつ非限定的な例として、フッ化水素酸、2,2,2-トリフルオロエタノール、テトラフルオロエチレン、四フッ化炭素、三フッ化炭素、フルオロメタン、ヘプタフルオロプロパン、デカフルオロブタン、ヘキサフルオロイソプロパノール、テトラフルオロプロパノール、ペンタフルオロプロパノール、ヘキサフルオロフェニルプロパノール、ペルフルオロブチルアルコール、ヘキサフルオロ-2-プロパノール、ペンタフルオロ-1-プロパノール、テトラフルオロ-1-プロパノール、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール、2,2,3,3,3-ペンタフルオロ-1-プロパノール、フッ化アンモニウム、フッ化テトラメチルアンモニウム、フッ化テトラエチルアンモニウム、フッ化テトラプロピルアンモニウム、フッ化テトラブチルアンモニウム、フッ化メチルトリエチルアンモニウム等、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0062】
担持触媒上に遷移金属を適切に分散させる、当業者に既知の任意の適切な方法または技術が、含浸ステップにおいて使用され得る。そのような方法の1つは、結合ゼオライト基材を任意の適切な遷移金属前駆体と混合することを含み、遷移金属前駆体は、水等の任意の適切な溶媒の溶液中に存在し得る。同様に、ハロゲンの場合、含浸ステップは、結合ゼオライト基材を任意の適切な塩素前駆体および/またはフッ素前駆体と任意の順序または順番で混合することを含み得る。例えば、結合ゼオライト基材を、適切な溶媒中で、塩素前駆体の溶液、フッ素前駆体の溶液、または塩素前駆体およびフッ素前駆体の両方の溶液と混合することができる。一態様において、結合ゼオライト基材は、遷移金属前駆体、塩素前駆体、およびフッ素前駆体の組み合わせと(すなわち、全て一緒に)混合されてもよく、例えば、結合ゼオライト基材を、遷移金属前駆体、塩素前駆体、およびフッ素前駆体を含む水溶液と混合することによって達成され得る。インシピエントウェットネス法が用いられてもよい。別の態様において、遷移金属前駆体、塩素前駆体、およびフッ素前駆体と結合ゼオライト基材との組み合わせは、連続的に、または任意の順序もしくは組み合わせで行うことができる。
【0063】
さらに、他の態様において、結合ゼオライト基材に、気相中で塩素および/またはフッ素を含浸させてもよい。例えば、結合ゼオライト基材を、塩素前駆体および/またはフッ素前駆体を含む流れと接触させてもよい。適切な塩素前駆体およびフッ素前駆体は、上に列挙したもの、ならびに塩素ガス(Cl2)およびフッ素ガス(F2)を含む。
【0064】
次にステップ(b)を参照すると、含浸ゼオライト基材を乾燥し、次いで焼成して担持触媒を製造することができる。任意の適切な温度、圧力、期間、および雰囲気が、乾燥および焼成ステップに用いられ得る。
【0065】
一態様において、乾燥ステップは、含浸ゼオライト基材を、不活性ガス(例えば、窒素)、酸素、空気、またはそれらの任意の混合物もしくは組み合わせ、代替的に窒素、代替的にヘリウム、代替的にネオン、代替的にアルゴン、代替的に酸素、または代替的に空気を含む(またはそれらから本質的にからなる、またはそれらからなる)乾燥ガス流と接触させることを含み得る。それらに限定されないが、乾燥ステップは、一般に、約50℃~約200°C、代替的に約100℃~約200°C、代替的に約85℃~約175℃、または代替的に約80℃~約150°Cの範囲の乾燥温度で行われ得る。これらのおよび他の態様において、これらの温度範囲はまた、乾燥ステップが、単一の固定温度ではなく、それぞれの範囲内に属する一連の異なる温度で行われ得る状況を包含することを意味する。いくつかの態様において、乾燥ステップは、大気圧で、または約150トール未満、約125トール未満、約100トール未満、または約50トール未満等の任意の適切な準大気圧で行われ得る。
【0066】
乾燥ステップの期間は、いずれか特定の期間に限定されない。典型的には、乾燥ステップは、30分という短い時間から8時間(またはそれ以上)という長い時間に及ぶ期間に行われ得るが、より典型的には、乾燥ステップは、約1時間~約8時間、例えば、約1時間~約7時間、約1時間~約6時間、約2時間~約7時間、または約2時間~約6時間等の範囲内であり得る期間に行われ得る。
【0067】
焼成ステップは、様々な温度および期間で行われ得る。典型的なピーク焼成温度は、しばしば、約200℃~約600℃、例えば、約215℃~約500℃、約230℃~約450℃、または約230℃~約350℃の範囲内に属する。これらのおよび他の態様において、これらの温度範囲はまた、焼成ステップが、単一の固定温度ではなく、それぞれの範囲内に属する一連の異なる温度(例えば、初期焼成温度、ピーク焼成温度)で行われ得る状況を包含することを意味する。例えば、焼成ステップは、乾燥ステップにおける乾燥温度と同じ初期温度で開始することができる。続いて、焼成の温度を、例えば、約230℃~約350℃の範囲のピーク焼成温度まで経時的に上昇させることができる。
【0068】
焼成ステップの期間は、いずれか特定の期間に限定されない。したがって、焼成ステップは、例えば、30~45分という短い時間から10~12時間、またはそれ以上という長い時間に及ぶ期間に行われ得る。適切な焼成時間は、他の変数の中でも、例えば、初期/ピーク焼成温度および乾燥ステップの条件に依存し得る。しかしながら、一般に、焼成ステップは、約45分~約12時間、例えば、約1時間~約12時間、約1時間~約10時間、約1時間~約5時間、または約1時間~約3時間の範囲内であり得る期間に行われ得る。
【0069】
焼成ステップは、不活性ガス(例えば、窒素)、酸素、空気、またはそれらの任意の混合物もしくは組合せを含む(またはそれらから本質的になる、またはそれらからなる)焼成ガス流中で行われてもよい。いくつかの態様において、焼成ガス流は空気を含み得るが、他の態様において、焼成ガス流は空気と窒素との混合物を含み得る。さらに、ある特定の態様において、焼成ガス流は、窒素および/またはアルゴン等の不活性ガスであり得る。
【0070】
本明細書に開示される担持触媒を調製するための方法は、ステップ(b)の後、すなわち、担持触媒を製造するために含浸ゼオライト基材を乾燥および焼成した後に、還元ステップをさらに含み得る。この還元ステップは、担持触媒を、水素を含む還元ガス流と接触させて還元された(または活性化された)担持触媒を製造することを含み得る。多くの場合、還元ガス流は、単独で、またはヘリウム、ネオン、アルゴン、窒素等の不活性ガスとともに分子状水素を含み、これはこれらの不活性ガスの2つ以上の組み合わせを含む。ある特定の態様において、還元ガス流は、分子状水素および窒素を含み得る(またはそれらから本質的になり得る、またはそれらからなり得る)。さらに、分子状水素は還元ガス流の主成分(50モル%超)であり得るが、他の態様において、分子状水素は微量成分(5~35モル%、または1~6モル%)であり得る。別の態様において、還元ガス流は、分子状水素および炭化水素を含み得る(またはそれらから本質的になり得る、またはそれらからなり得る)。
【0071】
還元ステップは、様々な温度および期間で行われ得る。例えば、還元ステップは、約100℃~約700℃、代替的に約200℃~約600℃、代替的に約200℃~約575℃、代替的に約350℃~約575℃、代替的に約400℃~約550℃、または代替的に約450℃~約550℃で行われてもよい。これらのおよび他の態様において、これらの温度範囲はまた、還元ステップが、単一の固定温度ではなく、それぞれの範囲内に属する一連の異なる温度で行われ得る状況を包含することを意味する。
【0072】
還元ステップの期間は、いずれか特定の期間に限定されない。したがって、還元ステップは、例えば、1時間という短い時間から48~72時間、またはそれ以上という長い時間に及ぶ期間に行われ得る。例えば、還元ステップは、約1時間~約48時間、約3時間~約36時間、約5時間~約36時間、約2時間~約30時間、または約10時間~約30時間の範囲内であり得る期間において行われ得る。
【0073】
一態様において、還元ステップは現場外で行われ得る。この態様において、高塩素含有量担持触媒は、前述の手順に従って還元された(または活性化された)担持触媒に転換される。この還元は、触媒製造現場または他の現場で行われ得る。還元された(または活性化された)担持触媒は、次いで空気下または不活性ガス下で包装され、次いで芳香族化反応器に装填されて芳香族化反応器系において使用される前に保存される。使用前に、最初の還元後、例えば、保存、輸送および装填中に酸化されたあらゆる担持触媒を還元するために還元ステップを行ってもよい。この第2の還元は、以下に記載されるその場での還元と同じかまたはより短い時間を必要とし得る。
【0074】
別の態様において、還元ステップはその場で行われてもよい。この態様において、高塩素含有量担持触媒は焼成ステップ後に包装される。高塩素含有量担持触媒は、芳香族化反応器に装填する前に長期間保存することができる。装填後、高塩素含有量担持触媒は、次いで前述の手順に従って還元された(または活性化された)担持触媒に転換される。
【0075】
意外なことに、本明細書に開示される担持触媒の高い塩素含有量にもかかわらず、還元された(または活性化された)担持触媒は、還元ステップ後に存在する塩素が著しく少ない場合がある。例えば、還元された(または活性化された)担持触媒は、約0.2重量%~約1.3重量%の塩素、約0.2重量%~約0.8重量%の塩素、または約0.3重量%~約1重量%の塩素を含み得る。これらの重量百分率は、還元された(または活性化された)担持触媒の総重量を基準としている。
【0076】
芳香族化触媒を用いた改質プロセス
炭化水素を改質するための種々のプロセスもまた、本明細書に包含される。そのような改質プロセスの1つは、反応器系において改質条件下で炭化水素供給物を担持芳香族化触媒と接触させて芳香族生成物を製造することを含み得る(またはそれらから本質的になり得る、またはそれらからなり得る)。改質プロセスで使用される担持芳香族化触媒は、本明細書に開示される任意の担持触媒(すなわち、本明細書に開示される任意の高塩素含有量担持触媒)であり得る、かつ/または、本明細書に開示される担持触媒を製造するための任意の方法によって製造され得る。
【0077】
改質のための反応器系およびそれぞれの改質条件は、当業者に周知であり、例えば、米国特許第4,456,527号、同第5,389,235号、同第5,401,386号、同第5,401,365号、同第6,207,042号、および同第7,932,425号に記載されており、それらの開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0078】
同様に、典型的な炭化水素供給物が、これらの参考文献に開示されている。多くの場合、炭化水素供給物はナフサストリームまたはライトナフサストリームであり得る。ある特定の態様において、炭化水素供給物は、非芳香族炭化水素を含んでもよく、例えば、炭化水素供給物は、C6-C9アルカンおよび/もしくはシクロアルカン、またはC6-C8アルカンおよび/もしくはシクロアルカン(例えば、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン)等を含み得る。
【0079】
本明細書に記載されるように、また意外にも、本明細書の高塩素含有量担持触媒は、低塩素含有量担持触媒(すなわち0.3重量%~1.5重量%のClを有する)と比較して、改良された触媒活性および安定性、ならびに芳香族化または改質反応において低いファウリング速度を有し得る。
【実施例】
【0080】
本発明は、以下の実施例によってさらに説明されるが、それらは決して本発明の範囲に対して制限を課すと解釈されるべきでない。種々の他の態様、変形例、およびその均等物は、本明細書の記載を読んだ後、本発明の主旨または添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、それら自体が当業者に示唆され得る。
【0081】
Pt、Cl、F、およびNの重量パーセントは、別段の記載がない限り、蛍光X線(XRF)を用いて決定され、担持触媒の総重量を基準としている。表面積はBET法を用いて決定され、白金分散度はCO化学吸着によって決定された。
【0082】
担持触媒を、別段の断りのない限り、以下の一般的手順を用いて芳香族化反応におけるそれらの性能について試験した。担持芳香族化触媒を粉砕し、約25~45メッシュ(US)に篩い分けし、1ccの篩い分けされた担持触媒を温度制御された炉内の外径3/8インチのステンレス鋼反応器容器に入れた。流れる分子状水素下で担持触媒を還元した後、脂肪族炭化水素および分子状水素の供給流を100psigの圧力、1.3:1の水素:炭化水素のモル比、および12時間-1の液空間速度(LHSV)で反応容器に導入した。脂肪族炭化水素供給物は、約0.61モル分率の転換可能なC6種および0.21モル分率の転換可能なC7種を含んでいた。残りは、芳香族、C8+、および非転換炭化水素であった。次いで、ガスクロマトグラフィーで決定した場合に反応器流出物のC5
+留分中に標的転換率である63重量%の芳香族を維持するように反応器温度を調整した。存在するベンゼンおよびトルエンを含む多数の供給原料成分および生成物成分の量も、選択性を算出するために記録した。
【0083】
反応初期の温度(TSOR)および担持触媒試料のファウリング速度(FRと略される、°F/時間の単位)は、上に提供した標準的な試験条件で芳香族(ベンゼンおよびトルエン等)の全収率を経時的に63重量%に維持するのに必要な温度(収率調整触媒温度)をプロットすることにより決定した。本明細書で使用される場合、用語「収率調整温度」は、反応器流出物が反応器流出物のC5
+留分中に63重量%の芳香族を含まない場合に採取される試料を考慮するように調整された、実験室規模の反応器系における触媒床温度を指す。調整係数(例えば、°F/重量%の単位)は、同様の触媒を用いた先行実験によって決定された。15~40時間に収集された温度の線形回帰分析は、式Tadj=FR*t+TSORをもたらし、式中Tadjは収率調整温度であり、FRはファウリング速度であり、tは時間であり、TSORは反応初期温度(仮想時間ゼロで63重量%の芳香族の収率を達成するのに必要な温度)である。合計流通時間は40時間であり、40時間での反応後期温度(TEORと略される)も決定した:TEORは、40時間の運転の終了時に63重量%の芳香族の収率を達成するのに必要な温度である。15時間より前の温度がTSORおよびFRの決定に含まれなかった主な理由は、初期の低転換率および触媒侵入条件であった。
【0084】
温度プログラム還元(TPR)は、触媒活性材料の還元性を温度の関数として(これらの実施例では水素を用いて)調べる方法である。TPR試験のために、焼成触媒を粉砕し、25~45メッシュ(US)に篩い分けし、例えば単純なU管であり得る試料容器に入れた。次いで、この試料容器を温度調節器および熱電対を備えたオーブンに入れて触媒床の温度を記録した。試料容器を最初に不活性ガス(例えば、アルゴンまたは窒素)でパージした。数分後、10体積%の水素を、流量調整器を用いて50cc/分の全ガス流量で不活性ガス流に導入した。測定開始前に、試料容器を室温の測定ガスでフラッシュした。次いで、試料容器をオーブン内で10℃/分の速度で加熱した。試料容器からの流出物は、温度の関数としての水素吸収量を測定するために熱伝導率検出器に送られた。
【0085】
実施例1
実施例1の出発材料として、約17重量%のシリカ結合剤からなる標準結合KL型ゼオライト基材を使用した。塩化白金テトラアンモニウム(Pt(NH3)4Cl2xH2O)、塩化アンモニウム、およびフッ化アンモニウムを含む水溶液と接触させることによるインシピエントウェットネス法を用いて、結合ゼオライト基材にPt、ClおよびFを含浸させた。次いで、含浸基材を95℃で乾燥し、900°Fで焼成して担持芳香族化触媒を形成した。
【0086】
実施例1では、約1重量%のPt、0.6重量%のF、および様々なCl含有量を含む担持触媒を製造した。
図1は、これらの担持触媒のFおよびCl含有量を示し、Clの量は1重量%未満~3重量%超に及ぶ。この広範囲のCl含有量にもかかわらず、担持触媒の表面積は
図2に示すように実質的に一定であり、担持触媒中の白金分散度は
図3に示すように実質的に一定であった。対照的に、
図4は、担持触媒のN含有量が担持触媒のCl含有量とともに直線的に増加したことを示している。
【0087】
実施例2
実施例2では、実施例1に記載されるように担持触媒を製造し、Cl含有量の範囲は0.7重量%~3.1重量%であった。これらの担持触媒を2つの標準的な担持触媒と比較した:大規模対照(0.98重量%のPt、0.85重量%のCl、および0.71重量%のFを有する)および実験室対照(1.01重量%のPt、0.87重量%のCl、および0.61重量%のFを有する)。大規模対照および実験室対照は、ほぼ同一の担持触媒であり、大規模対照は、触媒製造業者に典型的な大規模機器で製造された歴史的対照触媒であり、研究室対照は、実験室触媒と同じ時期に同じ機器を使用して実験室で作製された対照触媒である。
【0088】
前述の40時間試験手順を用いて、各担持触媒について芳香族に対する選択性およびベンゼン+トルエンに対する選択性を決定した。
図5は、これらの担持触媒についての平均芳香族選択性と平均ベンゼン+トルエン選択性とを比較している。
図5に示すように、0.7重量%~3.1重量%のClを有する担持触媒の選択性能は標準触媒に匹敵し、Clの量(多い対少ない)は、担持触媒の選択性能に有意な影響を与えなかった。
【0089】
実施例3
実施例3では、実施例1に記載されるように担持触媒を製造し、Cl含有量は0.75重量%、1.1重量%、2.2重量%、2.7重量%、および3.1重量%であった。これらの担持触媒を2つの標準的な芳香族化触媒である大規模対照および実験室対照と比較した。
【0090】
図6は、前述の40時間試験手順を用いて、各担持触媒について収率調整温度と反応時間とを比較している。表Iは、
図6からの関連する触媒性能測定基準を要約する。表および図に示されるように、高塩素含有量担持触媒(2.2~3.1重量%)は、意外にも、全ての触媒の中で最良の性能、すなわち、最高の触媒活性(最低のT
SORおよびT
EOR)および最低のファウリング速度を有していた。興味深いことに、これらの有益な結果は、触媒表面積、白金分散度、または触媒選択性における有意な変化なしに達成された(実施例1および実施例2を参照)。
【表1】
【0091】
実施例4
実施例4では、実施例1に記載されるように担持触媒を製造し、Cl含有量は1.1重量%、2.2重量%、2.7重量%、および3.1重量%であった。
図7は、約0.9重量%のCl(大規模対照)、1.1重量%のCl、2.2重量%のCl、2.7重量%のCl、および3.1重量%のClを含む担持触媒の温度プログラム還元(TPR)のプロットである。
【0092】
高塩素含有量担持触媒(2.2~3.1重量%)と低塩素含有量担持触媒(0.9~1.1重量%)との比較から、いくつかの一般的傾向が観察される。第1に、ピーク温度(曲線上の最も高いピークの温度)は、低塩素含有量担持触媒と比較して高塩素含有量担持触媒が有意に高い。第2に、ピークの相対的な高さに関しては、高塩素含有量担持触媒のより高い温度ピークはより低い温度ピークよりも大きいが、低塩素含有量担持触媒の場合はその逆である。表IIは、
図7のプロットからそれぞれのピーク温度および2番目に大きいピークの温度を要約する。
【表2】
【0093】
実施例5
実施例5では、実施例1に記載されるように担持触媒を製造し、Cl含有量は2.7重量%であった。この触媒を、長期活性および安定性性能、ならびに触媒ファウリング速度について、大規模対照触媒(0.85重量%Cl)に対して評価した。この2500時間試験では、80ccの担持触媒を窒素中10モル%の水素中で還元し、次いで脂肪族炭化水素および分子状水素の供給流を65psigの圧力、2:1の水素:炭化水素比、およびLHSV=1.6時間-1で触媒を含む1インチ反応器に導入し、経時的な触媒性能データを得た。芳香族の全収率は、前述のように温度を調節して所望の収率を維持することによって2500時間の運転にわたって83.5重量%に維持した。
【0094】
図8は、各触媒について収率調整温度と反応時間とを比較している。図に示すように、高塩素含有量担持触媒(2.7重量%)は、意外にも、優れた性能、すなわち、2500時間の運転全体を通してより高い触媒活性(より低いT
SORおよびT
EOR)およびより低いファウリング速度を有し、より安定性の高い触媒であることが示唆された。
【0095】
実施例6
実施例6では、実施例1に記載されるように担持触媒を製造し、Cl含有量は2.7重量%であった。この触媒を大規模対照触媒に対して評価した。これらの触媒を、100%H
2を用いて950°Fで1時間、制御された還元ステップに供し、還元ステップの後に残るClの量を決定した。表IIIは、その結果を要約する。F含有量は比較的不変であるが、Cl含有量およびN含有量は、驚くべきことに、還元(または活性化)ステップの前に、担持芳香族化触媒中に存在するそれぞれの量から有意に減少する。
【表3】
【0096】
実施例7
実施例7では、実施例1に記載されるように担持触媒を製造し、Pt含有量は約1重量%、Cl含有量は2.5重量%であった。表IVは、高塩素含有量触媒および大規模対照触媒の触媒特性を要約する。これらの触媒の白金含有量、白金分散度、表面積、およびF含有量は実質的に同じであり、一方ClおよびN含有量は高塩素含有量触媒(2.5重量%Cl)が有意に高かった。
図9は、2.5重量%のClを含む担持触媒の温度プログラム還元(TPR)のプロットである。ピーク温度は約668°Fであり、2番目に大きいピークの温度は約490°Fであった。これらの温度は、実施例4で評価された高塩素含有量触媒と一致する(表IIおよび
図7参照)。
【0097】
図10は、大規模対照触媒および高塩素含有量触媒(2.5重量%Cl)について収率調整温度と反応時間とを比較している。芳香族(ベンゼンおよびトルエン等)の全収率が標準的な試験条件で経時的に66重量%に維持されたことを除いて、実施例3の40時間試験手順を用いた。表Vは、
図10からの関連する触媒性能測定基準を要約する。表および図に示されるように、高塩素含有量担持触媒(2.5重量%)は、意外にも、対照触媒のそれよりはるかに優れた性能、すなわち、より高い触媒活性(より低いT
SORおよびT
EOR)およびより低いファウリング速度を有していた。興味深いことに、これらの有益な結果は、白金含有量、白金分散度、表面積、および触媒のF含有量における有意な変化なしに達成された。
【表4】
【表5】
【0098】
本発明は、多数の態様および特定の実施例に関連して前述されている。上記の詳細な説明を考慮すると、多くの変形例が、当業者に示唆されよう。全てのそのような明白な変形例は、添付の特許請求の範囲の完全に意図される範囲内である。本発明の他の態様は、限定されないが、以下を含む(態様は、「含む」として記載されるが、代替的には、「から本質的になる」または「からなる」であってもよい)。
態様1 担持触媒を製造する方法であって、
(a)結合ゼオライト基材に遷移金属前駆体、塩素前駆体、およびフッ素前駆体を含浸させて含浸ゼオライト基材を形成することと、
(b)含浸ゼオライト基材を乾燥し、次いで焼成して担持触媒を製造することと、を含み、担持触媒は、担持触媒の総重量を基準として、
約0.3重量%~約3重量%の遷移金属、
約1.8重量%~約4重量%の塩素、および
約0.4重量%~約1.5重量%のフッ素を含み、
担持触媒は、約580°F~約800°Fの範囲の温度プログラム還元曲線上のピーク還元温度によって特徴付けられる、方法。
【0099】
態様2 結合ゼオライト基材は、
ゼオライトを結合剤と組み合わせて混合物を形成し、該混合物を押し出して押出物を形成することと、
該押出物を乾燥および焼成して焼成基材を形成することと、
該焼成基材を洗浄、乾燥、および焼成して結合ゼオライト基材を形成することと、を含むプロセスによって製造される、態様1に記載の方法。
【0100】
態様3 含浸ゼオライト基材を乾燥し、次いで焼成することは、任意の適切な乾燥条件または本明細書に開示される任意の乾燥条件、例えば、約50℃~約200℃、または約80℃~約150℃の範囲の乾燥温度、および、大気圧または準大気圧、例えば、約150トール未満、または約50トール未満での乾燥を含む、態様1または2に記載の方法。
【0101】
態様4 含浸ゼオライト基材を乾燥し、次いで焼成することは、任意の適切な焼成条件または本明細書に開示される任意の焼成条件、例えば、約200℃~約500℃、または230°C~350°Cの範囲のピーク焼成温度、および窒素、酸素、空気、またはそれらの任意の組み合わせを含む焼成ガス流を含む、態様1~3のいずれか1つに記載の方法。
【0102】
態様5 方法は、含浸ゼオライト基材の乾燥および焼成の後に還元ステップをさらに含み、還元ステップは、担持触媒を任意の適切な還元ガス流または本明細書に開示される任意の還元ガス流(例えば、水素を含む)と接触させて還元された(または活性化された)担持触媒を製造することを含む、態様1~4のいずれか1つに記載の方法。
【0103】
態様6 還元ステップは、任意の適切な還元温度または本明細書に開示される任意の還元温度で、例えば、約100℃~約700℃、または約200℃~約600℃の範囲で行われる、態様5に記載の方法。
【0104】
態様7 結合ゼオライト基材に遷移金属前駆体を含浸させることは、結合ゼオライト基材を、任意の適切な遷移金属前駆体または本明細書に開示される任意の遷移金属前駆体、例えば、塩化テトラアミン白金(II)、硝酸テトラアミン白金(II)、白金(II)アセチルアセトネート、塩化白金(II)、テトラクロロ白金酸アンモニウム(II)、塩化白金酸、硝酸白金(II)等、またはそれらの組み合わせと混合することを含む、態様1~6のいずれか1つに記載の方法。
【0105】
態様8 結合ゼオライト基材に塩素前駆体およびフッ素前駆体を含浸させることは、結合ゼオライト基材を、任意の適切な塩素前駆体および/もしくはフッ素前駆体、または本明細書に開示される任意の塩素前駆体および/もしくはフッ素前駆体、例えば、塩化アンモニウム、塩化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、塩化テトラプロピルアンモニウム、塩化テトラブチルアンモニウム、塩化メチルトリエチルアンモニウム、フッ化アンモニウム、フッ化テトラメチルアンモニウム、フッ化テトラエチルアンモニウム、フッ化テトラプロピルアンモニウム、フッ化テトラブチルアンモニウム、フッ化メチルトリエチルアンモニウム等、またはそれらの組み合わせと混合することを含む、態様1~7のいずれか1つに記載の方法。
【0106】
態様9 結合ゼオライト基材に遷移金属前駆体、塩素前駆体、およびフッ素前駆体を含浸させることは、結合ゼオライト基材を、遷移金属前駆体、塩素前駆体、および/またはフッ素前駆体を含む水溶液と混合することを含む、態様1~8のいずれか1つに記載の方法。
【0107】
態様10 態様1~9のいずれか1つに記載の方法によって得られる担持触媒、例えば、担持芳香族化触媒。
【0108】
態様11 担持触媒であって、
結合ゼオライト基材と、
担持触媒の総重量を基準として、約0.3重量%~約3重量%の遷移金属、
約1.8重量%~約4重量%の塩素、および
約0.4重量%~約1.5重量%のフッ素と、を含み、
担持触媒は、約580°F~約800°Fの範囲の温度プログラム還元曲線上のピーク還元温度によって特徴付けられる、担持触媒。
【0109】
態様12 担持触媒は、本明細書に開示される任意の重量パーセントの塩素、例えば、約2重量%~約3.8重量%、約2.2重量%~約3.6重量%の塩素、約2.2重量%~約3.4重量%、または約2.5重量%~約3.3重量%の塩素を含む、態様1~11のいずれか1つに記載の触媒または方法。
【0110】
態様13 担持触媒は、本明細書に開示される任意の重量パーセントのフッ素、例えば、約0.5重量%~約1.3重量%、約0.5重量%~約1.1重量%、または約0.6重量%~約0.9重量%のフッ素を含む、態様1~12のいずれか1つに記載の触媒または方法。
【0111】
態様14 結合ゼオライト基材(または担持触媒)は、ゼオライトおよび結合剤を含む、態様1~13のいずれか1つに記載の触媒または方法。
【0112】
態様15 結合ゼオライト基材(または担持触媒)は、本明細書に開示される任意の重量パーセントの結合剤、例えば、結合ゼオライト基材(または担持触媒)の総重量を基準として、約3重量%~約35重量%、または約5重量%~約30重量%の結合剤を含む、態様14に記載の触媒または方法。
【0113】
態様16 結合剤は、無機固体酸化物、粘土、またはそれらの組み合わせを含む、態様14または15に記載の触媒または方法。
【0114】
態様17 結合剤は、アルミナ、シリカ、マグネシア、ボリア、チタニア、ジルコニア、それらの混合酸化物、またはそれらの混合物を含む、態様14または15に記載の触媒または方法。
【0115】
態様18 結合剤は、シリカを含む、態様14または15に記載の触媒または方法。
【0116】
態様19 結合ゼオライト基材(または担持触媒)は、結合L型ゼオライトを含む、態様1~18のいずれか1つに記載の触媒または方法。
【0117】
態様20 結合ゼオライト基材(または担持触媒)は、結合バリウムイオン交換L型ゼオライトを含む、態様1~18のいずれか一項に記載の触媒または方法。
【0118】
態様21 結合ゼオライト基材(または担持触媒)は、結合K/L型ゼオライトを含む、態様1~18のいずれか1つに記載の触媒または方法。
【0119】
態様22 結合ゼオライト基材(または担持触媒)は、シリカ結合K/L型ゼオライトを含む、態様1~17のいずれか1つに記載の触媒または方法。
【0120】
態様23 結合ゼオライト基材は、
K/L型ゼオライトをシリカゾルと組み合わせて混合物を形成し、該混合物を押し出して押出物を形成することと、
該押出物を乾燥および焼成して焼成基材を形成することと、
該焼成基材を洗浄、乾燥、および焼成して結合ゼオライト基材を形成することと、を含むプロセスによって製造される、態様22に記載の触媒または方法。
【0121】
態様24 担持触媒は、本明細書に開示される任意の重量パーセントの遷移金属、例えば、約0.5重量%~約2.5重量%、約0.5重量%~約2重量%、または約0.7重量%~約1.5重量%の遷移金属を含む、態様1~23のいずれか1つに記載の触媒または方法。
【0122】
態様25 遷移金属は白金を含む、態様1~24のいずれか1つに記載の触媒または方法。
【0123】
態様26 担持触媒は、本明細書に開示される任意の重量パーセントの白金、例えば、約0.5重量%~約2.5重量%、約0.5重量%~約2重量%、または約0.7重量%~約1.5重量%の白金を含む、態様1~25のいずれか1つに記載の触媒または方法。
【0124】
態様27 担持触媒は、本明細書に開示される任意の範囲のTPR曲線上のピーク温度、例えば、約580°F~約750°F、約600°F~約730°F、または約600°F~約720°Fによって特徴付けられる、態様1~26のいずれか1つに記載の触媒または方法。
【0125】
態様28 担持触媒は、より低い温度ピークおよびより高い温度ピークを含むTPR曲線によって特徴付けられ、より高い温度ピークはより低い温度ピークよりも高さが大きい、態様1~27のいずれか1つに記載の触媒または方法。
【0126】
態様29 担持触媒は、本明細書に開示される塩素:フッ素の任意の重量比、例えば、約1.5:1~約8:1、約2:1~約5:1、または約3:1~約4.5:1を含む、態様1~28のいずれか1つに記載の触媒または方法。
【0127】
態様30 還元された(または活性化された)担持触媒は、本明細書に開示される任意の重量パーセントの塩素、例えば、還元された(または活性化された)担持触媒の総重量を基準として、約0.2重量%~約1.3重量%、約0.2重量%~約0.8重量%、または約0.3重量%~約1重量%の塩素を含む、態様6~31のいずれか1つに記載の触媒または方法。
【0128】
態様31 担持触媒は、同じ触媒調製条件下で、0.3重量%~1.5重量%の塩素を有する触媒のものと実質的に同じ白金分散度を有する、態様1~30のいずれか1つに記載の触媒または方法。
【0129】
態様32 担持触媒は、同じ触媒調製条件下で、0.3重量%~1.5重量%の塩素を有する触媒のものと実質的に同じ表面積を有する、態様1~31のいずれか1つに記載の触媒または方法。
【0130】
態様33 担持触媒は、同じ触媒調製条件下で、0.3重量%~1.5重量%の塩素を有する触媒のものよりも多い(本明細書に開示される任意の量だけ、例えば、少なくとも約50%以上、少なくとも約100%以上、または少なくとも約200%以上)総窒素含有量を有する、態様1~32のいずれか1つに記載の触媒または方法。
【0131】
態様34 担持触媒は、本明細書に開示される任意の範囲のTEOR(反応後期温度)、例えば、約920°F~約940°F、または約920°F~約930°Fによって特徴付けられる、態様1~33のいずれか1つに記載の触媒または方法。
【0132】
態様35 担持触媒は、同じ触媒調製条件および芳香族化反応条件下で、0.3重量%~1.5重量%の塩素を有する触媒のものよりも低いTEORによって特徴付けられる、態様1~34のいずれか1つに記載の触媒または方法。
【0133】
態様36 担持触媒は、本明細書に開示される任意の範囲のTSOR(反応初期温度)、例えば約915°F~約935°F、または約915°F~約930°Fによって特徴付けられる、態様1~35のいずれか1つに記載の触媒または方法。
【0134】
態様37 担持触媒は、同じ触媒調製条件および芳香族化反応条件下で、0.3重量%~1.5重量%の塩素を有する触媒のものよりも低いTSORによって特徴付けられる、態様1~36のいずれか1つに記載の触媒または方法。
【0135】
態様38 担持触媒は、本明細書に開示される任意の範囲のファウリング速度、例えば、約0.12°F/分未満、または約0.1°F/分未満によって特徴付けられる、態様1~37のいずれか1つに記載の触媒または方法。
【0136】
態様39 担持触媒は、同じ触媒調製条件および芳香族化反応条件下で、0.3重量%~1.5重量%の塩素を有する触媒のものよりも低いファウリング速度によって特徴付けられる、態様1~38のいずれか1つに記載の触媒または方法。
【0137】
態様40 担持触媒は、同じ触媒調製条件および芳香族化反応条件下で、0.3重量%~1.5重量%の塩素を有する触媒のものと実質的に同じ芳香族選択性(またはベンゼン+トルエン選択性)によって特徴付けられる、態様1~39のいずれか1つに記載の触媒または方法。
【0138】
態様41 反応器系において改質条件下で炭化水素供給物を担持芳香族化触媒と接触させて芳香族生成物を製造することを含む改質プロセスであって、担持芳香族化触媒は、態様1~40のいずれか1つに記載の担持触媒(または還元されたもしくは活性化された触媒)である、改質プロセス。
【0139】
態様42 炭化水素供給物は、本明細書に開示される任意の炭化水素供給物であり、例えば、C6-C9アルカンおよび/もしくはシクロアルカンを含む、またはC6-C8アルカンおよび/もしくはシクロアルカンを含む非芳香族炭化水素を含む、態様41に記載のプロセス。