(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-03
(45)【発行日】2022-03-11
(54)【発明の名称】点検窓
(51)【国際特許分類】
F16J 15/10 20060101AFI20220304BHJP
【FI】
F16J15/10 Z
(21)【出願番号】P 2019514086
(86)(22)【出願日】2017-09-14
(86)【国際出願番号】 EP2017073171
(87)【国際公開番号】W WO2018050762
(87)【国際公開日】2018-03-22
【審査請求日】2020-06-19
(32)【優先日】2016-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】518042280
【氏名又は名称】イートン インテリジェント パワー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Eaton Intelligent Power Limited
【住所又は居所原語表記】30 Pembroke Road, Dublin 4 D04 Y0C2, Ireland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マルセル ファン デイク
【審査官】保田 亨介
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第204885850(CN,U)
【文献】米国特許第04789363(US,A)
【文献】特開2016-114155(JP,A)
【文献】特開2015-127586(JP,A)
【文献】実開昭55-108922(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2005/0279317(US,A1)
【文献】特開平04-004362(JP,A)
【文献】特開2008-106805(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B25/00-33/00
F01M1/00-9/12
F16B21/00-21/20
F16J12/00-15/14
F16N1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングのシート材料壁の、半径方向内向きに延出された突起が設けられた穴の中に取り付けるための点検窓であって、該点検窓が、取付面を有する本体と、前記取付面上に配置され前記取付面から垂直に延在する円筒壁とを備え、いくつかのL字形状スロットが、前記円筒壁の外周縁に設けられ、ガスケットが、前記取付面上に配置されて、前記円筒壁を取り囲んでおり、前記本体と前記円筒壁とは、一体の透明材料から成り、前記ガスケットが、前記本体の第1の穴内へと延出する延長部分を有
し、前記ガスケットが、前記L字形状スロットの一部を覆う、点検窓。
【請求項2】
前記ガスケットは、2K射出成形によって得られた前記一体の透明材料に融着される、請求項1に記載の点検窓。
【請求項3】
前記本体の中央部分
の厚さが、前記中央部分を囲む前記本体の部分
および前記ガスケットの厚さより薄
い、請求項1または2に記載の点検窓。
【請求項4】
前記本体が、前記取付面の反対側の、前記取付面に対して実質的に平行である第2の面を有し、取付工具との連結のために、いくつかの第2の穴が前記第2の面に配置されている、請求項1から3のいずれか1項に記載の点検窓。
【請求項5】
前記本体が、ディスク形状であり、前記第2の穴が、前記ディスク形状の本体の周縁に沿って等間隔に分散して配置されている、請求項4に記載の点検窓。
【請求項6】
前記L字形状スロットのいくつかに、前記スロットの端部壁に
、前記点検窓の周方向
を向くノッチが設けられている、請求項1から5のいずれか1項に記載の点検窓。
【請求項7】
前記シート材料壁に穴が設けられ、該穴に、半径方向内向きに延出した突起が設けられ、前記点検窓が、前記穴の中に取り付けられると、前記突起が前記L字形状スロット内に延在する、請求項1から6のいずれか1項に記載の点検窓とハウジングのシート材料壁との組合せ。
【請求項8】
前記取付工具が、取付面と、前記取付面から垂直に延在するいくつかのピンと、を有する本体を備え、前記ピンの位置および数が、前記点検窓の前記本体の前記第2の面の前記第2の穴に対応する、請求項4または5に記載の点検窓と取付工具との組合せ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穴の中に取り付けるための、特に、例えば開閉装置のハウジングといったようなハウジングのシート材料壁の中に取り付けるための、点検窓に関する。
【背景技術】
【0002】
開閉装置のハウジングは、例えば内部に中電圧機器および高電圧機器が収容されるものであって、ある種の国際的な保護定格(IP定格)に準拠する必要があり、特に、気密的である必要がある。さらに、ハウジングは、電気的な故障の結果としての突然の圧力上昇に耐え得る必要がある。ハウジング内の圧力を逃がすために、ハウジング内の指定された噴出弁だけが開くべきである。
【0003】
ハウジング内の開閉装置を検査するために、ハウジングの壁に点検窓を設けることが公知である。例えば、US2004227987は、ハウジングの壁に対して気密的に取り付けられた点検窓であって、内圧に耐え得る点検窓を開示している。しかしながら、この実施形態の構成は、複雑であって多くの構成部材を必要とし、この従来技術による点検窓を壁内に取り付けるには、かなりの時間を必要とする。
【0004】
さらに、この従来技術の点検窓においては、積層された構成部材の数が多いため、各接触面ごとにリークが起こり得ることにより、気密性を確保することが困難である。
【0005】
発明の概要
したがって、本発明の目的は、上述した欠点を軽減することである。
【0006】
この目的は、本発明によって達成され、本発明においては、点検窓は、取付面と、この取付面上に配置され、この取付面から垂直に延在した円筒壁と、を有する本体を備え、いくつかのL字形状スロットが、円筒壁の外周縁に設けられ、ガスケットが、取付面上に配置されていて、円筒壁を取り囲んでおり、本体と円筒壁とは、一体の透明材料から形成されている。
【0007】
外周面上に配置されたL字形状スロットは、径方向内向きに延出された突起が設けられた穴と組み合わされることにより、バヨネット取付を提供する。バヨネット取付に基づき、点検窓は、穴の突起がL字形状スロット内へとスライド進入するように穴の中へと円筒壁を単に挿入することによって、次に、穴の突起がL字形状スロット内にロックされるように点検窓を回転させることによって、ハウジングのシート材料壁に対して迅速に取り付けることができる。
【0008】
点検窓のバヨネット取付の追加的な利点は、穴内への点検窓の取付時に、ガスケットが圧縮されることである。このことは、ハウジング壁と点検窓の本体との間の信頼性高い気密シールを提供する。
【0009】
点検窓の本体および円筒壁は、透明材料からなる単一の一体の部分として具現される。本体および円筒壁を単一部材として具現することにより、この単一部材の強度が最適化される。典型的には、そのような部材は、射出成形によって製造することができる。これにより、円筒壁に、L字形状スロットを容易に形成することができる。
【0010】
バヨネット取付を提供するために、L字形状スロットは、円筒壁の軸線に対して平行に延在する第1脚と、円筒壁に対して接線方向に延在する第2脚と、を有している。
【0011】
本発明による点検窓の好ましい実施形態においては、ガスケットは、2K射出成形によって得られたもののように、一体の透明材料に対して融着されている。
【0012】
一体の透明材料に対してガスケットを融着することにより、ガスケットと本体との間の気密性が最大化される。さらに、製造時には、ガスケットを、2K射出成形によって容易に提供することができ、例えば熱可塑性材料といったような個別の材料が、透明材料と一緒に型内へと射出される。熱可塑性材料がガスケットを提供し、他方、透明材料が、円筒壁を有した一体の本体を提供する。2K射出成形に基づき、ガスケットは、透明材料に対して融着されることとなる。
【0013】
本発明による点検窓の他の実施形態においては、本体の中央部分は、本体のうちの、中央部分を囲んでいる部分と比較して、より薄い厚さを有している。
【0014】
中央部分の厚さを低減することにより、透明材料を通しての視認性が改良され、これと同時に、中央部分を囲んでいる部分は、バヨネット取付のための十分な構造的強度を提供するのに最適な厚さを有することができる。
【0015】
本発明による点検窓の他の好ましい実施形態においては、本体は、取付面とは反対側に、取付面に対して実質的に平行な第2の面を有し、この第2の面には、取付工具に対しての連結のためのいくつかの穴が配置されている。
【0016】
ピンを有した取付工具を、ピンを穴内に延在させた状態で、点検窓上に配置することができる。取付工具を使用した場合には、点検窓を、壁の穴の中へと容易に挿入することができて、さらに容易に回転させることができ、これにより、穴内に点検窓をロックすることができる。
【0017】
好ましくは、本体は、ディスク形状とされ、穴は、ディスク形状の本体の周縁に沿って等間隔に分散して配置されている。
【0018】
本発明による点検窓のさらに他の実施形態においては、ガスケットには、拡大した延長部分が設けられ、延長部分は、本体内へと延出されている。
【0019】
延長部分は、本体上へのガスケットの追加的な機械的取付を提供し、これは、圧力差に対しての大きな抵抗性に寄与する。
【0020】
本発明による点検窓のさらに別の実施形態においては、L字形状スロットのいくつかのものには、L字形状スロットの端部壁のところにおいて径方向に、ノッチが設けられている。このノッチは、点検窓が内部に配置されることとなる穴の突起が端部壁に対して完全には当接しないことを、保証する。もしそうでなければ、典型的には金属製の、多くの場合には鋭利な突起は、点検窓を形成するプラスチックに対して応力を引き起こしてしまう可能性があり、これにより、プラスチックを過度に摩耗させてしまったりさらにはプラスチックを破損さえさせてしまったりする可能性がある。
【0021】
本発明は、また、本発明による点検窓と、ハウジングのシート材料壁と、の組合せに関するものであって、シート材料壁には、穴が設けられ、この穴には、径方向内向きに延出された突起が設けられ、点検窓は、穴の中に取り付けられ、突起が、L字形状スロット内に延在する。
【0022】
最後に、本発明は、また、第2の面に穴を有した点検窓と、取付工具と、の組合せに関するものであって、取付工具は、本体を備え、この本体は、取付面と、この取付面から垂直に延在するいくつかのピンと、を有し、ピンの位置および数は、点検窓の本体の第2の面の穴の数に対応している。
【0023】
本発明における上記の特徴点および他の特徴点は、添付図面と関連付けて、明らかなものとされる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、本発明による点検窓の一実施形態を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、点検窓とハウジング壁との、本発明による組合せを示している。
【
図4】
図4は、本発明による点検窓を取り付けるための、本発明による工具を示している。
【
図6】
図6は、
図1の実施形態に関する一変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、本発明による点検窓1を示している。点検窓1は、ディスク形状の本体2を備えており、この本体2上には、厚さdを有した円筒壁3が配置されている。円筒壁3の外周縁4上には、L字形状スロット5が設けられている。
【0026】
ガスケット6が、本体2の取付面7上に設けられている。このガスケット6は、円筒壁3を取り囲んでいる。
【0027】
円筒壁3内には、中央部分8が設けられており、この中央部分8は、好ましくは、本体2の周縁部分よりも薄い厚さを有している。中央部分8は、一体の透明材料からなる部分であって、点検窓の窓部分として機能する。円筒壁3も、また、一体の透明材料からなる部分であるけれども、円筒壁3は、主に、L字形状スロットのための強度を提供するものであり、これにより、バヨネット式の取付を行うことができる。
【0028】
図2は、本発明による組合せ10を示している。組合せ10は、シート材料壁12を有したハウジング11を備えており、シート材料壁12には、穴13が設けられている。穴13には、この穴13のエッジに沿って、突起14が設けられ、突起14は、点検窓1のL字形状スロット5と係合する。
【0029】
図3は、
図1の点検窓1を、逆側から図示している。点検窓1は、本体2上に第2の面20を備えており、この第2の面20は、取付面7に対して実質的に平行である。
【0030】
第2の面20には、この第2の面20の周縁エッジに沿って、いくつかの穴21が設けられている。破線によって、透明な中央部分8を通して、円筒壁3が図示されている。
【0031】
図4は、取付工具30を示している。この取付工具30は、取付面32を有した本体31を備えている。いくつかのピン33が、取付面32上に配置され、取付面32から垂直に延在している。ピン33は、ピン33が点検窓1の第2の面20の穴21内に挿入され得るように位置決めされ、寸法決めされている。
【0032】
本体31には、両側に位置した2つのハンドル34が取り付けられ、これにより、点検窓1に対して連結した際には、工具30を容易に回転させることができる。取付面32には、さらに、この取付面32の周縁に沿って、直立壁35が設けられ、これにより、工具30に対して点検窓1を容易に中心合わせすることができる。
【0033】
図5は、
図1の実施形態を示す側面図である。L字形状スロット5の各々は、直立壁25および水平方向壁26によって、区画されている。いくつかのL字形状スロット5においては、例えば、直径方向反対側に位置する2つのL字形状スロット5においては、直立壁25に、ノッチ27あるいは突起が設けられている。このノッチ27は、点検窓が配置される穴13の突起14が、直立壁25に対して完全には当接しないことを、保証する。もしそうでなければ、典型的には金属製の、多くの場合には鋭利な突起14が、点検窓を構成するプラスチック材料に対して応力集中を引き起こしてしまう可能性があり、これにより、プラスチック材料を過度に摩耗させてしまったりさらには破損さえさせてしまったりする恐れがある。
【0034】
図6は、
図1の実施形態に関する一変形例の断面を示している。同じ特徴点には、同じ参照符号が付されている。
【0035】
この実施形態40においては、ガスケット6に、テーパー形状の延長部分41が設けられ、テーパー形状の延長部分41は、本体2の穴内へと延出されている。ガスケット6は、典型的には本体2と一緒に2K射出成形され、使用時には本体2とハウジング11との間にクランプされ、テーパー形状の延長部分41は、本体2上へのガスケット6の追加的な機械的取付を提供する。このことは、さらに、圧力差が生じた際に、ガスケットが吹き飛ばされないことおよび点検窓が気密性を失わないことを、保証する。