(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-03
(45)【発行日】2022-03-11
(54)【発明の名称】機械のロード/アンロード装置、板状ワークピース加工用機械およびその機械のワークピース支持体、ならびにその機械でのロードおよびアンロードの方法
(51)【国際特許分類】
B23Q 7/00 20060101AFI20220304BHJP
B21D 43/28 20060101ALI20220304BHJP
B23K 26/60 20140101ALI20220304BHJP
B23K 26/08 20140101ALI20220304BHJP
B23K 26/10 20060101ALI20220304BHJP
【FI】
B23Q7/00 Z
B21D43/28
B23K26/60
B23K26/10
(21)【出願番号】P 2019517145
(86)(22)【出願日】2017-05-29
(86)【国際出願番号】 EP2017062928
(87)【国際公開番号】W WO2017211611
(87)【国際公開日】2017-12-14
【審査請求日】2019-08-06
(31)【優先権主張番号】102016110542.2
(32)【優先日】2016-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】502063914
【氏名又は名称】トルンプ・ヴェルクツォイクマシーネン・ゲーエム・ベーハー・ウント・コンパニ・カーゲー
(73)【特許権者】
【識別番号】518436618
【氏名又は名称】ジェイ・シュマルツ・ゲーエムベーハ―
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】ダイス,マグヌス
(72)【発明者】
【氏名】エッパーライン,ペーター
(72)【発明者】
【氏名】シュマウダー,フランク
(72)【発明者】
【氏名】ゲックル,ファビアン
(72)【発明者】
【氏名】オットナド,イェンス
(72)【発明者】
【氏名】プロコプ,ハインツ-ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】シュトレーベル,シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】ドゥンクマン,ヴァルター
(72)【発明者】
【氏名】アイゼレ,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ヘーン,ライナー
(72)【発明者】
【氏名】プラウエルン,ディルク
(72)【発明者】
【氏名】ライニッシュ,ハーマン
【審査官】村上 哲
(56)【参考文献】
【文献】独国特許発明第102015207122(DE,B3)
【文献】国際公開第96/014965(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 7/00
B21D 28/00
B21D 43/00
B23K 26/60
B23K 26/08
B23K 37/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状ワークピースの分離加工用の機械のロード/アンロード装置であって、
支持フレーム(25)上に構成されるとともにベースフレーム(23,72)上で垂直方向に上下動可能に配置された2つの支持ストラット(26)と、水平方向にシフト可能に前記支持ストラット(26)上に取り付けられた少なくとも1つの支持ビーム(29)と、前記支持ビーム(29)上にシフト可能に組み込まれた少なくとも1つのロード/アンロード・モジュール(31)と、を備えた、ロード/アンロード装置において、
前記ロード/アンロード・モジュール(31)は、切り離されたワークピース部分(70)を持ち上げるための、垂直方向上向きのリフト装置(37)と、未加工の板状ワークピース(14)を保持するための、垂直方向下向きの把持装置(38)と、を有することを特徴とする、ロード/アンロード装置。
【請求項2】
前記支持ビーム(29)の上方で前記リフト装置(37)を、下方で前記把持装置(38)を位置決めすることを特徴とする、請求項1に記載のロード/アンロード装置。
【請求項3】
前記リフト装置(37)と前記把持装置(38)は、共通のガイド部(36)によって、互いに対して固定的に関連付けられており、前記ガイド部(36)によって、前記支持ビーム(29)上にシフト可能に取り付けられている、ことを特徴とする、請求項1に記載のロード/アンロード装置。
【請求項4】
前記支持ビーム(29)上の前記ロード/アンロード・モジュール(31)の終端位置において、前記リフト装置(37)が前記支持ストラット(26)の上方に重なるように、前記リフト装置(37)は、前記把持装置(38)に対して、前記支持ビーム(29)の長手方向にずらして配置されていることを特徴とする、請求項1に記載のロード/アンロード装置。
【請求項5】
前記支持ビーム(29)上にシフト可能に組み込まれた複数のロード/アンロード・モジュール(31)を、互いに対して、前記リフト装置(37)が互いに隣接して配置されて大型のリフトユニットを形成するような位置に移動させることが可能であることを特徴とする、請求項1に記載のロード/アンロード装置。
【請求項6】
前記支持ストラット(26)に沿ってシフト可能に駆動される少なくとも1つの支持ビーム(29)、およびシフト可能で非駆動の少なくとも1つの支持ビーム(30)を、前記支持ストラット(26)上に配置していることを特徴とする、請求項1に記載のロード/アンロード装置。
【請求項7】
前記非駆動の支持ビーム(30)は、1つ以上の把持装置(38)のみを有することを特徴とする、請求項6に記載のロード/アンロード装置。
【請求項8】
前記非駆動の支持ビーム(30)の複数の把持装置(38)を、前記支持ビーム(30)上で案内されるキャリッジ(34)上に配置していることを特徴とする、請求項7に記載のロード/アンロード装置。
【請求項9】
前記リフト装置(37)は、前記支持ビーム(29)に交差する方向に延在しており、これにより、2つの被駆動支持ビーム(29)とその間に介在する非駆動の支持ビーム(30)が並置されたときに、前記被駆動支持ビーム(29)の2つのリフト装置(37)は、端面において互いに当接する、ことを特徴とする、請求項1に記載のロード/アンロード装置。
【請求項10】
前記リフト装置(37)は、複数の個別に制御可能なピンモジュール(42)で構成されており、前記ピンモジュールは、1つ以上の伸縮リフトピン(43)を有する、ことを特徴とする、請求項1に記載のロード/アンロード装置。
【請求項11】
前記把持装置(38)は、垂直方向に上下動可能な、少なくとも1つの吸引要素(45)を有することを特徴とする、請求項1に記載のロード/アンロード装置。
【請求項12】
前記リフト装置(37)の制御および前記把持装置(38)の垂直移動のための、共通の圧縮空気供給装置が設けられていることを特徴とする、請求項1に記載のロード/アンロード装置。
【請求項13】
前記把持装置(38)に隣接して、前記ロード/アンロード・モジュール(31)において垂直方向下向きに、押さえ装置(48)を配置していることを特徴とする、請求項1に記載のロード/アンロード装置。
【請求項14】
ワークピース(14)の加工中の加工対象ワークピース(14)の支持用および加工済みワークピース部分(70)の支持用のワークピース支持体(8)を備えた、板状ワークピース分離加工用機械であって、
請求項1に記載のロード/アンロード装置(12)を、前記ワークピース支持体(8)に対して、下方で垂直方向に可動に、または横方向に隣接して、配置していることと、
前記ワークピース支持体(8)または前記ワークピース支持体(8)の支持部(10)は、前記ロード/アンロード装置(12)の上方または下方で水平方向にシフト可能であることと、を特徴とする機械。
【請求項15】
前記ワークピース支持体(8)または当該機械(1)の支持部(9)のワークピース支持面は、間隙(57)を形成するように互いに平行に離間した複数の輪郭体(56)で構成されており、前記輪郭体(56)の各々は、支持ボールもしくはローラ、または前記輪郭体(56)に沿って延在するブラシ要素(59)を有する、ことを特徴とする、請求項14に記載の機械。
【請求項16】
前記リフト装置(37)は、前記輪郭体(56)に対して垂直な方向に互いに間隔を有した複数の伸縮リフトピン(43)を有し、前記間隔は、前記間隙(57)の間隔に対応している、ことを特徴とする、請求項15に記載の機械。
【請求項17】
前記ロード/アンロード装置(12)を、前記ワークピース支持体(8)の支持部(9)の下に配置しており、前記支持部(9)は、前記ロード/アンロード装置(12)によって垂直方向に移動させることが可能である、ことを特徴とする、請求項14に記載の機械。
【請求項18】
請求項14に記載の機械であって、前記ワークピース支持体(8)のワークピース支持面は、間隙(57)を形成するように互いに平行に離間した複数の輪郭体(56)で構成され
、そして
前記輪郭体(56)の各々は、前記輪郭体(56)に沿って延在する少なくとも1つのブラシ要素(59)を有し、前記輪郭体(56)は、前記ワークピース支持面に対して平行に配置された端面(65)を有し、前記端面(65)に、前記ブラシ要素(59)を設けており、前記ブラシ要素(59)は、複数列の剛毛束(61)を含み、前記ブラシ要素(59)の長手方向外縁に沿った少なくとも1列の剛毛束(61)は、垂直方向の配置に対して外側方に傾斜している、ことを特徴とする
機械。
【請求項19】
前記輪郭体(56)は、その長手延在方向に曲げ剛性を有し、矩形管もしくは多角形管として、またはT字形もしくはH字形の輪郭体(56)として、形成されている、ことを特徴とする、請求項18に記載の
機械。
【請求項20】
前記輪郭体(56)の幅に対する前記輪郭体(56)の長さの比は、150未満であり、前記輪郭体(56)の高さに対する前記輪郭体(56)の長さの比は、100未満である、ことを特徴とする、請求項19に記載の
機械。
【請求項21】
前記ブラシ要素(59)は、複数の間隙および/または複数列の剛毛束(61)を含み、前記ブラシ要素(59)の長手方向外縁に沿った少なくとも1列の剛毛束(61)は、当該ワークピース支持体(8)の垂線に対して45°未満の角度(α)で、垂直方向の配置に対して外側方に傾斜している、ことを特徴とする、請求項18に記載の
機械。
【請求項22】
2つのブラシ要素(59)の間で前記間隙(57)に沿って残る空間(67)は10mm未満であるか、または前記2つのブラシ要素(59)によって前記間隙(57)は閉じられている、ことを特徴とする、請求項18に記載の
機械。
【請求項23】
前記間隙(57)の間隙中心の間隔(68)は、100mm未満であることを特徴とする、請求項18に記載の
機械。
【請求項24】
請求項14に記載の機械(1)のワークピース支持体(8)において、ワークピース(14)および加工済みワークピース部分(70)をロードおよびアンロードする方法であって、
前記ロード/アンロード装置(12)のロード/アンロード・モジュール(31)の少なくとも1つのリフト装置(37)を用いることによる、切り離されたワークピース部分(70)のアンロードと、前記ワークピース支持体(8)への新たなワークピース(14)のロードとの間に、前記ロード/アンロード装置(12)の垂直移動、および前記ロード/アンロード装置(12)の上方または下方での前記ワークピース支持体(8)または前記ワークピース支持体(8)の支持部(10)の水平移動を行う、ことを特徴とする方法。
【請求項25】
前記リフト装置(37)は、リフトピン(43)を有し、前記ワークピース部分(70)を持ち上げるための前記リフトピン(43)を、前記ワークピース支持体(8)における間隙(57)を通して案内して、持ち上げるべき前記ワークピース部分(70)の下側に当接するように移行させ、保持要素(63)を用いて前記ワークピース部分(70)を持ち上げる際に、さらなる押圧力によって前記リフトピン(43)を前記ワークピース支持体(8)に対して上に伸長させる、ことを特徴とする、請求項24に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板状ワークピースの分離加工用の機械のロード/アンロード装置に関するものである。本発明は、さらに、ロード/アンロード装置を備えた、板状ワークピース加工用機械に関する。本発明は、さらに、かかる板状ワークピース加工用機械のワークピース支持体に関し、さらに、板状ワークピース加工用機械のワークピース支持体上のワークピース部分をアンロードする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ワークピースの加工中に加工対象ワークピースを支持するため、およびワークピースの加工時にワークピースから生産される加工品を支持するための、ワークピース支持体を備えた、板状ワークピース加工用機械は、特許文献1で知られており、この場合、ワークピース支持体は、第1の支持部と、追加の支持部と、ワークピース移動装置と、を有する。第1の支持部は、ロード側支持部として設けられており、機械のロード領域に配置されている。追加の支持部は、ロード領域から水平方向にずれた、機械のアンロード領域に設けられている。第1の支持部は、ロードレベルと、ロードレベルより上方の待避レベルと、に可動である。追加の支持部は、アンロード領域からロード領域に可動である。
【0003】
ロード領域における第1の支持部の下方に、ロード装置が設けられており、このロード装置により、未加工のワークピースを把持して持ち上げることができ、次に、このときロード領域に延びる追加の支持部に、その未加工のワークピースを載置する。その後、追加の支持部をアンロード領域に戻すように動かすとともに、第1の支持部を下降させることで、両支持部は共に作業レベルに位置するようになる。
【0004】
加工済みのワークピース部分を第1の支持部から取り出すために、別個のハンドリング装置を設けることができる。あるいは、加工済み部品を手動で取り出すこともできる。より小型のワークピース部分は、第1の支持部と追加の支持部との間の間隙を通して取り出すことができる。このように加工済みワークピース部分を取り出すことは、特許文献2で知られている。
【0005】
さらに、ワークピース支持体を備えた機械は、特許文献3で知られており、この場合、ワークピース支持体に隣接してハンドリング装置が配置されている。このハンドリング装置によって、未加工のワークピースをワークピース支持体に供給する。ワークピース移動装置によって、加工対象ワークピースは、ワークピース支持体の移動方向に交差する方向に動かされる。続いて、加工対象ワークピースは、加工のために必要であるように、機械の加工具に対する水平面内に供給される。板状ワークピースの加工後に、ワークピースの加工時に生産された加工品(格子状残材)は、アンロード側の支持部の上で、ワークピース移動装置によって動かされる。アンロード側の支持部は、加工品と共に、ハンドリング装置の水平プラットフォームの上に動かされる。続いて、加工品は、ハンドリング装置のグリッパにより把持される。次に、加工品の下のアンロード側支持部を引き抜く。その後、加工品は、重力の影響によって、加工品の下に配置されているハンドリング装置の水平プラットフォーム上に載置される。
【0006】
さらに、板状ワークピース加工用機械は、特許文献4で知られており、この場合、板状ワークピースからワークピース部分を分離した後に、ワークピースの下方に設けられているリフト装置を、取り出し対象のワークピース部分に対して位置決めする。取り出し対象のワークピース部分の上方で、カウンタブラケットを位置決めする。次に、取り出し対象のワークピース部分を、一方でリフト装置により押圧し、他方でカウンタブラケットにより支持して、リフト装置により、ワークピース支持面に対して垂直に、持ち上げ方向の取り出し移動によって動かす。その後、カウンタブラケットにより、ワークピース部分を動かして、ロード/アンロード・ステーションに載置する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】独国特許第102015207122号明細書
【文献】独国特許第102013226818号明細書
【文献】米国特許出願公開第2003/0147729号明細書
【文献】独国特許出願公開第102014209811号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、ロード/アンロード装置、および板状ワークピース加工用機械、およびワークピース支持体、ならびに、ワークピースおよびワークピース部分をロードおよびアンロードする方法を提案することであり、これにより、コンパクトな構成、ならびに移動軸および移動装置の多重使用が可能となる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の基本的な目的は、板状ワークピースの分離加工用の機械のロード/アンロード装置によって解決され、この装置は、少なくとも1つのロード/アンロード・モジュールを備え、そのロード/アンロード・モジュールは、切り離されたワークピース部分をワークピース支持体に対して持ち上げるための、垂直方向上向きのリフト装置と、未加工の板状ワークピースを固定するための、垂直方向下向きの把持装置と、を有する。ロード/アンロード装置の支持ストラットは、ロード/アンロード・モジュールを支持するものであって、上下動可能に、機械ベースフレーム上またはロード/アンロード装置の単独ベースフレーム上に組み入れることができる。これにより、未加工のワークピースの把持が可能となるように、ロード/アンロード・モジュールをロードレベルに下降させることができ、その未加工のワークピースを、その後、より高いレベルに持ち上げて、その板状材をワークピース支持体の支持部に載置する。さらに、ワークピース支持体の支持部に載置されている加工済みワークピースを、ワークピース支持体のワークピース支持面に対して上方に持ち上げるために、ロード/アンロード・モジュールを、同じ軸に沿って、同じ移動装置により、持ち上げレベルに上昇させることができる。支持ストラットは、閉形状の支持フレーム上に構成することができ、ロード/アンロード・モジュールをシフト可能に支持している少なくとも1つの支持ビームをシフト可能に支持している。二者択一的に、支持ストラットは、ベースフレームにおいて相互連結を案内されることなく支持され得るか、または相互連結のための少なくとも1つのクロスバーを有し得る。
【0010】
このロード/アンロード装置では、好ましくは、支持ストラット上または支持フレーム上でシフト可能な支持ビームの上方でリフト装置が、下方で把持装置が位置決めされる。これにより、ワークピース支持体を備える機械のベースフレームにも、このロード/アンロード装置を組み入れ可能とするための、コンパクトな構成を得ることができる。
【0011】
リフト装置と把持装置は、好ましくは共通のガイド部によって、互いに対して固定的に関連付けられており、好ましくは、そのガイド部によって、支持ビーム上に取り付けられており、一緒に、支持ビームに沿ってシフト可能である。これにより、ロード/アンロード装置がコンパクトな構成となる。さらに、リフト装置および/または把持装置のハンドリング作業に応じた位置決めおよびシフト移動の制御が簡単化される。
【0012】
好ましくは、ロード/アンロード・モジュールのリフト装置と把持装置は、支持ビームに対するロード/アンロード・モジュールの終端位置においてリフト装置が支持ストラットの上方に位置決めされるように、支持ビームの長手方向にずらして配置される。これには、例えば、この終端位置にあるリフト装置を、例えばワークピース支持体の第1と第2の支持部の間の切れ目間隙である加工位置に近接させて位置決めできるとともに、その切れ目間隙に近接して位置決めされているワークピース部分を持ち上げてアンロードすることもできる、という利点がある。
【0013】
ロード/アンロード装置の少なくとも1つの支持ビーム上に、複数のロード/アンロード・モジュールを設けることができ、それらのロード/アンロード・モジュールを互いに、それらのリフト装置が互いに隣接して配置されて大型のリフトユニットを形成するような位置に移動させることができる。これにより、アンロード作業における高い柔軟性を確保する。例えば、支持ビーム上に設けられた個々のロード/アンロード・モジュールを、それぞれ異なるワークピース部分に割り当てることができ、または一連のリフト装置の数に応じた大型のリフトユニットを形成することができる。
【0014】
効果的には、支持ビーム上に配置されたロード/アンロード・モジュールは、共通の駆動装置によってシフト可能に駆動される。これにより、やはりコスト効果的かつコンパクトな構成を得ることができる。それらのロード/アンロード・モジュールによる支持ビームに沿ったシフト移動を個別に制御するために、それぞれのロード/アンロード・モジュールに、制御可能なカップリングを設けることができ、そのカップリングを駆動装置に結合することができる。
【0015】
ロード/アンロード・モジュールを持ち上げ位置に位置決めするために、最初に、第1の移動経路に沿って粗位置決めを行うことができ、この粗位置決めは、ロード/アンロード・モジュールの駆動装置の変位測定装置を用いて制御される。次に、駆動装置の変位測定装置の測定値を絶対測定値と比較することによって、ロード/アンロード・モジュールの微細位置決めを行うことができる。これにより、ワークピース支持面に対してワークピース部分の確実な持ち上げが可能となるように、持ち上げ位置として、支持ビームに沿ったロード/アンロード・モジュールの正確な位置決めが設定される。
【0016】
このロード/アンロード装置では、さらに、好ましくは、支持ストラットまたは支持フレームに沿ってシフト可能に駆動される少なくとも1つの支持ビーム、およびシフト可能で非駆動の支持ビームが、支持ストラット上または支持部フレーム上に配置される。この非駆動の支持ビームは、いわゆるマスタ・スレーブ原理に従って、隣接する被駆動支持ビームにも従動する。これにより、駆動装置を省くことができる。非駆動の支持ビームを引張りにより従動可能とするためには、2つの支持ビームを結合するためのカップリング装置を設けなければならない。特に、支持ストラットまたは支持フレームに沿ってシフト可能に駆動される2つの支持ビームと、それらの間に、シフト可能かつ非駆動の支持ビームと、をロード/アンロード装置に配置することができ、これにより、その非駆動の支持ビームを、2つの被駆動支持ビームのそれぞれ1つで正方向と負方向に押して動かすことができ、カップリング装置は不要である。
【0017】
さらに、好ましくは、非駆動の支持ビームは、少なくとも1つの把持装置を有するのみで、リフト装置を有していない。その把持装置は、大型の板状ワークピースの場合のロード作業を、それらのワークピースが撓まないように、支援するものである。切り離されたワークピース部分、または加工済みのワークピース部分は、未加工のワークピースよりも小さいので、ロード/アンロード装置のリフト装置の数は、把持装置の数よりも少数であるように選択するのが効果的である。
【0018】
好ましくは、非駆動の支持ビームの複数の把持装置を、支持ビームに沿ってシフト可能なキャリッジ上に配置する。これにより、これらの把持装置は、例えばワークピース移動ユニットのクランプ爪に差し込まれて水平移動するときの未加工ワークピースに従動することができる。これらの把持装置またはキャリッジを始点位置に戻すために、特に空圧シリンダまたはバネである戻し要素を、好ましくは支持ビームに設けることができる。
【0019】
さらに、好ましくは、ロード/アンロード・モジュールのリフト装置は、支持ビームに交差する方向に延在しており、これにより、2つの被駆動支持ビームとそれらの間のリフト装置なしの支持ビームが並置されたときに、被駆動支持ビームの2つのリフト装置は、その端面において互いに接触(接合)する。このようにして、大型のワークピース部分を取り出すために複数のリフト装置を用いる場合に、閉じたリフト面を形成する。
【0020】
ロード/アンロード・モジュールのリフト装置は、効果的には、複数の個別に制御可能なピンモジュールで構成されており、それらのピンモジュールは、伸縮可能に好ましくは同じく個別に制御される1つ以上のリフトピンを有する。これにより、リフト装置の規模を変更すべきときに、個々のピンモジュールを交換すること、および、追加のピンモジュールによりリフト装置を容易に拡張すること、が可能となる。
【0021】
効果的には、リフトピンの伸長動作は、空圧制御される。伸長させるリフトピンの数に応じて、個々のリフトピンの押圧力は調整可能とすることができる。各リフトピンは、例えば、100ニュートンの力を付与することができる。ワークピース部分を持ち上げるために複数のリフトピンを用いる場合には、全体の力が規定の閾値未満であるように、個々のリフトピンの力を制限することができる。
【0022】
ロード/アンロード・モジュールの把持装置は、好ましくは、特に真空吸引カップである少なくとも1つの吸引要素を有し、これは、効果的には、垂直方向に上下動可能である。持ち上げるべきワークピースとスタックの残りのワークピースとの間の接着力を高めなければならない場合であっても、把持装置の垂直シフト移動によって、未加工のワークピースのスタックから未加工のワークピースを把持して持ち上げる際の解決策を得ることが可能となる。支持ビームに沿った複数の把持装置の時間をずらした垂直移動によって、いわゆる剥離作業を開始させて実施することが可能である。
【0023】
ロード/アンロード・モジュールのリフトピンの移動と把持装置の垂直移動の両方を、共通の圧縮空気供給装置により制御可能とすることができる。これにより、やはり構造が単純化されるとともに、よりコンパクトな構成が得られる。
【0024】
把持装置に隣接して、ロード/アンロード・モジュール上に垂直方向下向きに、押さえ装置を配置することができる。これにより、ワークピースのスタックからのワークピースの剥離を支援するように、把持装置の垂直方向の持ち上げ動作中に、持ち上げるべきワークピースを押さえることができる。
【0025】
本発明の基本的な目的は、さらに、加工対象ワークピースの支持用および加工済みワークピース部分の支持用のワークピース支持体を備えた、板状ワークピース分離加工用機械によって解決され、この機械では、上記の実施形態のいずれかによるロード/アンロード装置が、ワークピース支持体の下方で垂直方向に可動に、またはワークピース支持体の横方向に隣接して、設けられており、ワークピース支持体またはワークピース支持体の支持部は、ロード/アンロード装置の上方または下方で水平方向に可動またはシフト可能である。
【0026】
本発明による機械の第1の実施形態では、ワークピース支持体は、第1の支持部と、水平方向に可動である追加の支持部と、を有し、ロード/アンロード装置は、第1の支持部の下方に配置されている。これにより、ロード/アンロード装置を、省スペースで、機械の機械ベースフレーム内に組み入れて、機械ベースフレーム内で位置決めすることが可能である。
【0027】
この場合、ロード/アンロード装置の支持ストラットまたは支持フレームは、好ましくは、さらにワークピース支持体の第1の支持部を組み入れて支持するように構成される。このようにして、第1の支持部は、ロード/アンロード装置と高さを共にしてシフト可能であり、これにより、第1の支持部の下方かつロード/アンロード装置の下方で、未加工のワークピースをロードするために追加の支持部を水平方向のシフト移動によって位置決めすることができる。このためには、ロード/アンロード装置の支持ストラットまたは支持フレームは、ワークピースが設定された把持装置の下に追加の支持部を配置することができるところまで、上方に移動可能でなければならない。
【0028】
第2の代替案によれば、特に既存の機械において、機械のベースフレームまたは機械のワークピース支持体に隣接した専用のフレームに、ロード/アンロード装置を配置することが可能となり、これにより、ロードおよびアンロードを自動化することで、サイクル時間の短縮、およびその結果としてのプロセス時間の最適化が得られる。このための要件は、機械のワークピース支持体またはワークピース支持体の少なくとも1つの支持部が、ロード/アンロード装置の上方および下方で位置決め可能であるように、水平方向にシフト可能であることである。
【0029】
機械のワークピース支持体または支持部が、間隙をそれぞれ形成して互いに平行に離間した複数の輪郭体で形成されている場合、かつ、輪郭体に対して垂直な方向に互いに間隔を有した複数の伸縮リフトピンをリフト装置が有し、その間隔が間隙の間隔に対応している場合には、これにより、ロード/アンロード・モジュールの柔軟な位置決めが可能となる。それらの輪郭体の間の間隙に平行な方向に、ロード/アンロード・モジュールを無段階で位置決めすることができる。
【0030】
本発明の基本的な目的は、さらに、板状ワークピース分離加工用機械のワークピース支持体によって解決され、このワークピース支持体は、互いに平行に離間した複数の輪郭体で形成されたワークピース支持面を有し、隣接する2つの輪郭体の間にそれぞれ間隙を形成している。それらの輪郭体の各々は、ワークピースを支持するための支持ボールもしくはローラ、または少なくとも1つのブラシ要素のいずれかを有し、そのブラシ要素は、輪郭体に沿って延在しており、その上にワークピース支持体が支持するワークピースが当接する。このようなワークピース支持面によって、ワークピース支持面の輪郭体が沿って延在しているXY平面上の方向に、リフト装置のリフトピンを無段階で位置決めすることが可能となる。従って、ワークピース支持体のグリッドパターンまたは孔パターンとは関係なく、XY平面上の一方向において、リフト装置による持ち上げ位置を制御することが可能であり、さらに、それは無段階であることが可能である。好ましくは、それらの輪郭体の間に形成される間隙は、機械の加工具の(主軸である)移動軸に平行に延在する。ワークピース支持体上または支持部上の板状ワークピースに主に発生させるシフト移動は、XY平面内の間隙に対して垂直な方向に発生させることが効果的である。この構成により、持ち上げるべきワークピース部分に対するリフト装置(群)の位置決めにおける最大限の柔軟性を確保する。それらの間隙に垂直な方向には、ワークピース支持体における間隙のグリッドにリフト装置は拘束されていて、無段階での位置決めが不可能であり、本構成では、ワークピース(部分)を無段階にシフト移動させることが可能である。この結果として、ワークピース支持体におけるグリッドに関係なく、ワークピース部分に対するリフト装置の無段階での位置決めが可能である。
【0031】
好ましくは、輪郭体は、それらの長手延在方向に曲げ剛性を有するように構成される。これにより、より大型のワークピース支持面までカバーすることも可能であるとともに、平坦な支持面が形成される。効果的には、それらの輪郭体は、矩形管として、またはT字形もしくはH字形の輪郭体として、形成される。その輪郭形状の十分な曲げ剛性を確保するために、輪郭体の幅に対する輪郭体の長さの比は150未満であることが好ましい。従って、輪郭体は、当接するワークピースの移動時の摩擦力によって曲げ変形しすぎないように、その長さに応じた最小幅を有する。ワークピース支持面に対して垂直方向の輪郭体の十分な曲げ剛性を得るためには、輪郭体の高さに対する長さの比は、100未満であることが好ましい。
【0032】
ここで規定した閾値は、それらの輪郭体が、例えばワークピース支持面の中央において、クロス部材により相互連結されている場合には、超えることが可能である。しかしながら、そのようなクロス部材によって、リフトピンの作用に関してデッドゾーンが生じるため、リフトピンの位置決めにおける柔軟性は低くなる。
【0033】
それらの輪郭体は、好ましくは、ワークピース支持面に対して平行に配置された端面を有し、その端面にブラシ要素が設けられている。これにより、ブラシで構成されたワークピース支持面を得ることができ、これに沿って、加工対象ワークピースを、加工のために、少なくとも一方向に低摩擦で前後に動かすことができる。
【0034】
さらに、好ましくは、ブラシ要素は、複数の剛毛束を含み、ブラシ要素の長手方向外縁に沿った少なくとも1列の剛毛束は、垂直方向の配置に対して外側方に傾斜している。これらの剛毛束の、ワークピース支持体の垂線から外側への傾斜角は、ワークピース支持体を横切って動かされるワークピースが剛毛束に引っ掛からないように、この場合、好ましくは45°未満である。
【0035】
輪郭体上のこれらのブラシ要素によって、それらの間の間隙を減少させることができ、これにより、十分に閉じたワークピース支持体が形成されて、任意の輪郭のワークピースを、引っ掛かることなく、ワークピース支持体上で前後に動かすことができる。この目的のため、ワークピース支持体のいずれの場所にもブラシのない間隙が形成されないことが好ましく、いずれの場合も、2つのブラシ要素の間で間隙に沿って残る空間は、10mm未満でなければならない。
【0036】
特に、載置されているワークピース部分に間隙を通して作用するリフト装置の位置決めのための十分な柔軟性を確保するために、輪郭体の間に形成される間隙の間隙中心の間隔は、100mm未満であることが好ましい。
【0037】
本発明の基本的な目的は、さらに、上記の段落で記載した板状ワークピース分離加工用機械でのロードおよびアンロードの方法によって解決され、この方法では、ロード/アンロード装置のロード/アンロード・モジュールの少なくとも1つのリフト装置を用いることによる、切り離されたワークピース部分のアンロードと、ワークピース支持体への新たなワークピースのロードとの間に、ワークピース支持体または支持部がロード/アンロード装置の上方または下方に配置されるように、ロード/アンロード装置の垂直移動、およびワークピース支持体またはワークピース支持体の支持部の水平移動を行う。このような方法により、移動軸および駆動装置の多重使用が可能となる。
【0038】
好ましくは、このような方法は、互いに平行に配置された複数の輪郭体を有するワークピース支持体上において実施され、輪郭体の間には間隙が形成されており、リフト装置を有するロード/アンロード装置の少なくとも1つのロード/アンロード・モジュールは、ワークピース支持体上に載置されている持ち上げるべきワークピース部分の下方のアンロード位置に位置決めされる。
【0039】
ロード/アンロード装置のリフト装置がリフトピンを有する場合に、ワークピース部分を持ち上げるためのリフトピンは、機械のワークピース支持体において輪郭体の間に形成された間隙を通して案内して、持ち上げるべきワークピース部分の下側に当接するように移行させることができる。これにより、輪郭体に平行な方向にリフト装置を位置決めすることが柔軟ひいては迅速に可能となる。
【0040】
リフト装置のリフトピンは、例えば、リフト装置からの伸長動作の際に、2つの輪郭体の間のそれぞれの間隙を通して案内して、ワークピース部分の下側に少なくとも当接するように移行させることができる。
【0041】
持ち上げる際のワークピース部分に、複数のリフトピンを当接または係合させる場合に、傾くことなく持ち上げることができる。ワークピース部分を持ち上げる場合に、ワークピース部分をリフトピンで持ち上げる前に、保持要素を上方からワークピース部分の上に動かして、把持位置に移行させてから、リフトピンの伸長動作を制御して、リフトピンを、持ち上げるべきワークピース部分の下側に当接するように案内し、そして最後に、保持要素およびリフトピンを一緒に、ワークピース支持面に対して上方に動かすことができる。これにより、確実な持ち上げを行う。リフトピンが、ワークピース部分の下側から作用することにより、ワークピース部分を、格子状残材において引っ掛けたり傾けたりすることなく、持ち上げることが確保される。
【0042】
あるいは、ワークピース部分をワークピース支持体に対して持ち上げるようにリフトピンの伸長動作を制御し、その後、保持要素を、上からワークピース部分の上に供給して、格子状残材に対して持ち上げられたワークピース部分に係合させ、そして、例えばアンロード・ステーションに移送する。
【0043】
本発明およびさらなる効果的な実施形態ならびにその改良については、図面に示す例によって、以下で、より詳細に記載および説明する。明細書および図面で示す特徴は、個々に、またはいくつかの異なる組み合わせで、本発明により適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】
図1は、2部式のワークピース支持体を備えた、板を切断するための機械の斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1による機械のワークピース支持体の第1の支持部の斜視図である。
【
図3】
図3は、ロード/アンロード装置の斜視図である。
【
図4】
図4は、ロード/アンロード・モジュールの斜視図である。
【
図5】
図5は、支持ビーム上のロード/アンロード・モジュールの斜視図である。
【
図6】
図6は、支持ビーム上のロード/アンロード・モジュールの把持装置の斜視図である。
【
図7】
図7は、作業位置にあるリフト装置の斜視図である。
【
図8】
図8は、支持ビーム上の複数のロード/アンロード・モジュールの配置の斜視図である。
【
図9】
図9は、ロード/アンロード装置の複数の並置された支持ビームの斜視図である。
【
図10】
図10は、第1の支持部および追加の支持部のワークピース支持体の概略断面図である。
【
図15】
図15は、代替構成のロード/アンロード装置を備えた、
図1による機械の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図1に、例えばレーザ切断機として構成することができる機械1を斜視図で示している。これは、ロード領域2とアンロード領域3とを有する。ロード領域2とアンロード領域3との間に、加工ステーション4が配置されている。加工ステーション4は、門型キャリア6を有する門型ガイド構造5を備える。特にレーザ切断ヘッド7である加工ヘッドを、門型キャリア6に沿って第1の軸方向(Y軸方向)にシフトさせることができる。ウォータジェット切断機、レーザ溶接機、打ち抜き機、または打ち抜きレーザ切断複合機は、
図1による機械1のさらなる例となる。
【0046】
機械1の門型キャリア6の下方で、加工ステーション4の両側にワークピース支持体8が広がっている。ワークピース支持体8は、2つの部分で形成されており、ロード側支持部9と、ロード側支持部9に対して第2の軸方向(X軸方向)に可動である追加の支持部10と、を含む。
図1では、追加の支持部10は、機械1のアンロード領域3に配置されている。
【0047】
ロード側支持部9は、
図1では、機械ベースフレーム23の一部である機械1の枠状支持構造11の上に配置されている。ロード側支持部9の下方に、
図1では隠れているロード/アンロード装置12(
図2および
図3)が配置されている。ロード/アンロード装置12は、図示の例では原板パレット13であるワークピースストレージの上方に配置されている。原板パレット13上には、未加工の板状ワークピースまたは原板(ブランク板)14が積み重ねられている。あるいは、少なくとも半加工済みワークピースを供給することもできる。原板パレット13は、レール15上で、枠状支持構造11の内部の位置と外の位置との間で移動可能である。
【0048】
機械1のアンロード領域3において、生産物トレイとして設けられた格子状残材パレット16は、レール17上で、枠状支持構造11の内部の位置と枠状支持構造11の外の位置との間で移動可能である。格子状残材パレット16は、格子状残材18の形態の加工品を支持する。
【0049】
図1は、さらに、モータ駆動により支持構造11に沿ってX方向にシフト可能に駆動されるワークピース移動装置19を示している。ワークピース移動装置19のクランプ爪20は、ワークピース移動装置19において原板14または格子状残材18をクランプ固定するために用いられる。
【0050】
図2に、ロード領域2の支持部9を斜視図で示しており、同図では、支持部9のワークピース支持体8を部分的に切り欠いている。これにより、支持部9のワークピース支持体8の下に配置されたロード/アンロード装置12が見えている。ロード/アンロード装置12は、機械ベースフレーム23上において、モータ駆動により上下動可能に取り付けられている。ロード/アンロード装置12は、2つの支持ストラット26を含む支持フレーム25(
図3)を有し、支持フレーム25は、例えば、機械ベースフレーム23の凸部の上に載置されている。好ましくは、支持フレーム25は、2つの支持ストラット26と2つのクロスビーム27とによって完全に閉じたフレームとして構成される。2つのクロスビーム27の間で、支持ストラット26上に、複数の支持ビーム29がY方向の順方向および逆方向にシフト可能に組み込まれている。3つの支持ビーム29のうちの2つは、例えばモータで駆動される。モータ駆動される支持ビーム29の上に、1つ以上のロード/アンロード・モジュール31を設けている。2つの被駆動支持ビーム29の間でシフト可能に位置決めされる非駆動の支持ビーム30は、1つ以上の把持装置33を組み入れている。例えば、支持ビーム30に沿ってシフト可能であるキャリッジ34上に、3つの把持装置33を設けている。好ましくは、キャリッジ34は駆動を受けない。例えば、ワークピース移動装置19のクランプ爪20に未加工のワークピース14を差し込んだときのキャリッジ34を、始点位置とは異なる位置に移行させた場合には、詳細には図示していない空圧シリンダによって、キャリッジ34を始点位置に戻すことができる。
【0051】
支持ビーム29は、詳細には図示していない駆動装置により、支持ストラット26に沿ってシフト可能に制御される。この場合、例えば第1と第3の支持ビーム29に係合するベルト駆動装置を設けることができ、このとき、支持ビーム29のシフト移動を個別に制御するために、支持ビーム29とベルト駆動装置との間にそれぞれ制御可能なカップリングを設けることができる。真ん中の支持ビーム30は、この場合、外側の支持ビーム29の1つによって強制的に従動させられる。
【0052】
図4に、ロード/アンロード・モジュール31を斜視図で概略的に示している。このロード/アンロード・モジュール31は、ロード/アンロード・モジュール31を案内することを少なくとも目的の一部として支持ビーム29を取り囲むガイド部36を有する。ガイド部36の上方にリフト装置37が、ガイド部36の下方に把持装置38が、配置されている。好ましくは、リフト装置37と把持装置38は、側板39によって、互いに対して固定的に位置決めされている。リフト装置37と把持装置38は、互いに対して、支持ビーム29の長手方向にずらして配置されている。
【0053】
図5は、支持ビーム29上のロード/アンロード・モジュール31の概略詳細図を示している。ロード/アンロード・モジュール31は、リニアガイド41によって、支持ビーム29に沿ってシフト可能に案内される。リフト装置37は、一連に配置された複数のピンモジュール42を含む。それぞれのピンモジュール42は、ピンモジュール42における共通の長手軸に配列された例えば3つのリフトピン43(
図7)を有する。それらのピンモジュール42の長手軸は、支持ビーム29の長手方向に平行に配置されている。一連にされたピンモジュール42は、Y方向すなわち支持ビーム29のシフト方向に平行に、または支持ビーム29の長手軸に交差する方向に、支持ビーム29の幅を越えて延在している。個々のピンモジュール42のピン43を伸縮させるために、それらは空圧駆動される。それぞれのピンモジュール42を制御可能であることが好ましい。また、ピンモジュール42内の個々のリフトピン43をそれぞれ個別に伸長可能に制御するように規定することもできる。
【0054】
リフト装置37と反対側に位置して下向きの、把持装置38の吸引要素45を図示している。この吸引要素45は、例えば、真空吸引カップとして構成される。吸引要素45は、駆動装置46によって、垂直方向に上下動させることができる。把持装置38に隣接して、効果的には支持ビーム29の反対側に、吸引要素45と同じ高さに押さえ装置48が設けられており、これは支持ローラ49を有する。
【0055】
図6の、支持ビーム29の下方からの斜視図に、駆動装置51を示しており、これにより、ロード/アンロード・モジュール(群)を支持ビーム29に沿ってモータ駆動でシフトさせることができる。好ましくは、駆動ベルト52を有するベルト駆動装置が設けられており、その駆動ベルト52に、ロード/アンロード・モジュール31をシフト移動のために結合することができる。
【0056】
図7に、リフトピン43が伸長された状態のリフト装置37の斜視図を示している。例として、ピンモジュール42のすべてのリフトピン43を、リフトピン43が完全に伸長された作業位置44で示している。
【0057】
複数のロード/アンロード・モジュール31が支持ビーム29上に配置される場合には、それらを、
図8に示すように互いに隣接させて位置決めすることができ、または、
図3に示すように支持ビーム29上で互いに独立に離して位置決めすることができる。より大型のワークピース部分を持ち上げる場合の大面積のリフト領域を形成するために、リフト装置37またはピンモジュール42を互いに隣接させて位置決めすることができる。ガイド部36は、
図8に示すように、それらを相互に噛合または連接させて配置可能であるように構成される。
【0058】
図9に、より大型のリフト面を形成するための、ロード/アンロード・モジュール31のさらなる構成を示している。モータ駆動される2つの外側の支持ビーム29を、互いに近接させるように動かす。この場合、左側と右側の支持ビーム29のリフト装置37のそれぞれの端面は互いに面一で当接して、非駆動の支持ビーム30にまたがる。この目的のため、支持ビーム29の長手方向に交差する方向に非駆動の支持ビーム30の幅の半分にわたって延在するピンモジュール42の数が選択される。
【0059】
図10に、
図2のワークピース支持体8の概略断面図を示している。ワークピース支持体8は、互いに隣接して配置された多数の輪郭体56で形成されており、それらは互いに、それらの間に形成された間隙57を有して配置されている。輪郭体56の長手軸は、Y方向に配置されている。輪郭体56は、長さI(
図2)でワークピース支持体9のフレーム58まで及んでいる。輪郭体56は、例えば、幅dかつ高さhの矩形管として構成することができる。輪郭体56の幅dに対する輪郭体56の長さIの比は、150未満であるように構成されることが好ましい。輪郭体の高さhに対する輪郭体56の長さIの比は、100未満であるように構成されることが好ましい。特に、このような比率では、曲げ剛性を有する輪郭体56が構成され、これにより、載置されたワークピース14またはワークピース部分70の移動時に作用する力を受けるために、全体として剛性のワークピース支持体9を形成する。これらの矩形管は、共通のフレーム58上またはフレーム58内に配置されており、管の長手側は間隙57を形成し、狭幅の上側または端面65はブラシ要素59の支持面を形成するような、向きで配置されている。間隙幅57は、リフトピン43の直径よりも大きく、好ましくは、リフトピン43の直径の1.5倍~3倍に相当する。間隙57の相互の間隔68、すなわち、その間隙中心点の間隔は、100mm未満である。
【0060】
ブラシ要素59は、ブラシ片の形態で構成されたものであって、横断方向および長手方向にわたる複数の剛毛束61を有し、これらが合わさって、ワークピース支持体8のワークピース支持面を形成している。ブラシ要素59の長手側に沿って、外側の少なくとも1列の剛毛束61は、垂直に対して角度αで外側に傾斜した向きに配置されている。角度αは、45°未満である。これらの外向きの剛毛束61は、これにより、残る空間67が10mmの値未満であるように、間隙57の幅を減少させて、その上に載置されるワークピース部分70のための十分に閉じたワークピース支持面を形成する。ワークピース部分70をワークピース支持レベルまたはワークピース支持面に対して持ち上げるために、リフトピン43を、間隙57に通して、剛毛束61の脇を上方へと案内することができ、これにより、容易にワークピース部分70をワークピース支持体8に対して持ち上げることが可能となる。
【0061】
図11~14で、ロード/アンロード装置12によって、未加工のワークピースまたは原板14をロードするため、および少なくとも1つの加工済みワークピース部分70をアンロードするための、作業手順について、さらに詳細に以下で説明する。
【0062】
図1による第1の支持部9および追加の支持部10の配置であると仮定して、機械1のワークピース支持体8に原板14をロードするためには、ロード/アンロード装置12を、より低いレベルである持ち上げレベルまで下降させ、これにより、ワークピーススタックから得られる1つの原板14をロード/アンロード・モジュール31の把持装置38で把持する。その後、ロード/アンロード装置12をロードレベルまで上昇させ、このとき、同時に第1の支持部9も上方に案内される。この目的のため、ロード/アンロード装置12の支持フレーム25により、支持部9のフレーム58を、支持面から、または機械ベースフレーム23上の支持点から、持ち上げて、上方に動かす。その後、追加の支持部10をロード領域2に移動させて、ロード/アンロード装置12の下に位置決めする(
図11)。次に、ロード/アンロード装置12により、原板14を、追加の支持部10の上に載置して、ワークピース移動装置19のクランプ爪20に差し込む。真空を解除した後に、追加の支持部10を、ワークピース移動装置19と共に、アンロード領域3に移動させる。支持部9を作業レベルまで下降させ、これにより、支持部9と支持部10は、
図12に示すように、同じ高さである作業レベルに位置決めされる。その後、原板14および/または個々のワークピース部分70に対して、詳細には図示していない加工を行う。より小型のワークピース部分は、第1の支持部9と追加の支持部10との間の間隙を通して、機械1から取り出すことができる。より大型のワークピース部分70をアンロードするためには、ロード/アンロード装置12のロード/アンロード・モジュール31を、持ち上げレベルに位置決めし、これにより、リフト装置37は、ワークピース支持体8の下側に直接隣接するように位置決めされる(
図13)。その後、または同時に、保持要素移動装置64により、保持要素63を、持ち上げるべきワークピース部分70の上方に位置決めする。持ち上げるべきワークピース部分70上まで、保持要素63または保持要素群63を下降させて当接させる。次に、ワークピース部分70のサイズに応じたピンモジュール42のリフトピン43を伸長させるように制御し、このとき、リフトピン43は、ワークピース支持体8の輪郭体56の間の間隙57を通して案内されて、ワークピース部分70の下側に当接する。保持要素63は、好ましくは、吸着グリッパとして構成されており、ワークピース部分70を把持する。その後、ワークピース部分70を、保持要素63と共に、垂直方向上方(Z方向)に動かす。リフトピン43に付与される押圧力により、場合によっては、格子状残材18に対するワークピース部分70の持ち上げ動作が支援される。これにより、格子状残材18によってワークピース部分70が傾いたり引っ掛かったりする場合に、ワークピース部分70の解放を実現することができる。次に、保持要素63を、支持部9、10の外の領域に移動させて、ワークピース部分70を載置する。例えば、加工済みワークピース部分70を受け取るために用いられる積み重ね装置または受取装置またはパレットを、機械ベースフレーム23の端面66に設けることができる。
【0063】
ロード/アンロード・モジュール31を用いた、このアンロード作業によって、あらゆる切断済みワークピース部分70をアンロードすることができる。また、支持部9と追加の支持部10との間の間隙を通して案内することできないサイズを有するようなワークピース部分70のみを、アンロードすることも可能である。
【0064】
その後、格子状残材18をアンロード領域3に移す。格子状残材18がアンロード領域3に配置されている(
図14)と仮定して、第1の支持部9をロードレベルまで上昇させる。追加の支持部10を、
図11に示すように、ロード位置にシフトさせる。これにより、格子状残材18を下に放して、格子状残材パレット16上に載置することができる。新たなロードサイクルを開始させることができる。
【0065】
図15に、機械ベースフレーム23に対して位置決めされるロード/アンロード装置12を備えた、機械1のさらなる代替実施形態を示している。このロード/アンロード装置12は、専用のフレーム72を有し、例えば、機械ベースフレーム23の端面66に関連付けられている。未加工のワークピースまたは原板14および切断済みワークピース部分70のロード/アンロード作業は、
図11~14による上記の作業手順と同様に行われるが、本例では、
図11~14に関連して記載した機械1のロード領域2における場合のように、ロード/アンロード装置12内に対して延出もしくは退避するため、または支持フレーム25の上方もしくは下方に配置されるために、第1の支持部9のみがX方向に水平移動可能でなければならない。さらに別の機械1では、ワークピース支持体8を切れ目なく構成して、全体として水平に移動可能とすることができる。
【0066】
別個のロード/アンロード装置12を機械1に割り当てることは、ロードおよびアンロードが自動化されることによって、その後のプロセス時間を増やすことができるという利点がある。