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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-03
(45)【発行日】2022-03-11
(54)【発明の名称】小分子AMPK活性化剤
(51)【国際特許分類】
   C07C 217/64 20060101AFI20220304BHJP
   A61K 31/138 20060101ALI20220304BHJP
   A61K 31/137 20060101ALI20220304BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20220304BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20220304BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20220304BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20220304BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220304BHJP
   A61K 31/352 20060101ALI20220304BHJP
   A61K 31/397 20060101ALI20220304BHJP
   A61K 31/4418 20060101ALI20220304BHJP
   A61K 31/47 20060101ALI20220304BHJP
【FI】
C07C217/64 CSP
A61K31/138
A61K31/137
A61P3/00
A61P11/00
A61P29/00
A61P31/04
A61P43/00 111
A61K31/352
A61K31/397
A61K31/4418
A61K31/47
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019519219
(86)(22)【出願日】2017-10-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-12-05
(86)【国際出願番号】 US2017055109
(87)【国際公開番号】W WO2018067685
(87)【国際公開日】2018-04-12
【審査請求日】2020-10-02
(31)【優先権主張番号】62/404,592
(32)【優先日】2016-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501102988
【氏名又は名称】ユニバーシティ オブ ピッツバーグ -オブ ザ コモンウェルス システム オブ ハイヤー エデュケイション
【住所又は居所原語表記】1st Floor Gardner Steel Conference Center,130 Thackeray Avenue,Pittsburgh PA 15260,United States of America
(73)【特許権者】
【識別番号】519122208
【氏名又は名称】ジ ユナイテッド ステイツ アズ リプリゼンティッド バイ ザ デパートメント オブ ヴェテランズ アフェアズ
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ベイベイ
(72)【発明者】
【氏名】マッラムパッリ,ラマ,ケイ.
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ユアン
【審査官】水島 英一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開昭57-026653(JP,A)
【文献】特表2004-535420(JP,A)
【文献】Bulletin of the Faculty of Pharmacy (Cairo University),2002年,40(2),23-29
【文献】Bulletin of the Faculty of Pharmacy (Cairo University),2002年,40(1),23-29
【文献】DATABASE REGISTRY on STN,2002年,RN 424805-21-0
【文献】DATABASE REGISTRY on STN,2012年,RN 1392100-59-2
【文献】DATABASE REGISTRY on STN,2011年,RN 1288379-85-0
【文献】DATABASE REGISTRY on STN,2009年,RN 1181769-10-7
【文献】DATABASE REGISTRY on STN,2008年,RN 1069519-97-6
【文献】DATABASE REGISTRY on STN,2008年,RN 1065487-01-5
【文献】DATABASE REGISTRY on STN,2008年,RN 1061046-20-5
【文献】DATABASE REGISTRY on STN,2002年,RN 449783-37-3
【文献】DATABASE REGISTRY on STN,2002年,RN 424810-74-2
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
【化1】

【化2】
及び
【化3】
からなる群から選択される化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項2】

【化4】
を有する請求項1に記載の化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項3】

【化5】
を有する請求項1に記載の化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項4】

【化6】
を有する請求項1に記載の化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
ユビキチンE3リガーゼの結合をもたらすための組成物であって、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩を含む組成物。
【請求項6】
炎症の治療をそれを必要とする対象において実施するための組成物であって、治療上有効な量の請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩を含む組成物。
【請求項7】
敗血症の治療をそれを必要とする対象において実施するための組成物であって、治療上有効な量の請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩を含む組成物。
【請求項8】
急性肺障害の治療をそれを必要とする対象において実施するための組成物であって、治療上有効な量の請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩を含む組成物。
【請求項9】
リン酸化されたAMPKのレベルの増大をそれを必要とする対象において実施するための組成物であって、治療上有効な量の請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩を含む組成物。
【請求項10】
細胞においてFbxo48とリン酸化されたAMPKとの間の相互作用を妨害するための組成物であって、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩を含む組成物。
【請求項11】
メタボリックシンドロームの治療をそれを必要とする対象において実施するための組成物であって、治療上有効な量の請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩を含む組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる2016年10月5日に出願された米国仮出願第62/404,592号の優先権の利益を主張する。
【0002】
政府認可権利
本発明は、NIHにより授与された認可番号HL096376、HL097376、HL098174、HL081784、HL114453、HL116472、及びHL132862の下での政府支援によりなされた。政府は本発明に一定の権利を有する。
【0003】
本主題は、広く、AMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)のユビキチン化(ubiquination)及びその後の分解を防止する化合物に関する。
【背景技術】
【0004】
AMPKは、5' AMP活性化プロテインキナーゼ又は5'アデノシン一リン酸活性化プロテインキナーゼとしても知られており、細胞のエネルギー恒常性において役割を果たす酵素である。AMPKは、環境ストレス要因に応答して活性化されて細胞のエネルギーバランスを回復させる代謝燃料ゲージ及び優れた代謝調節剤(主要代謝制御因子)として機能する。代謝ストレスの際、AMPKは同化作用(anabolic)を抑制し、異化作用プロセス(catabolic process)を促進してエネルギー恒常性を回復させる。心臓において、AMPKはグルコース及び脂肪酸代謝経路の活性化を調和させて、必要な場合、例えば心臓の虚血/再灌流及び肥大の間、心筋ATPの生産増大を確保して、保護及び不適応(maladaptive)の両方と考えることができるAMPK活性の増大を引き起こす。
【0005】
AMPKは、3つのサブユニット、即ち一緒になって機能性の酵素を構成する触媒キナーゼαサブユニット並びに2つの関連調節サブユニットβ及びγ(サブユニット)から成る絶対ヘテロ三量体(obligate heterotrimer)として存在し、肝臓、脳、及び骨格筋をはじめとする多くの組織で発現する。Winder WW, Hardie DG, Am. J. Physiol., 277 (1 Pt 1): E1-10 (1999)。
【0006】
AMPKは、グルコースの細胞内取込、脂肪酸のβ-酸化並びにグルコーストランスポーター4(GLUT4)及びミトコンドリアの生物発生を含む幾つかの細胞内システムを調節する代謝のマスタースイッチとして作用する。Thomson et al., Am. J. Physiol. Endocrinol. Metab., 292(1): E196-202 (2007); Ojuka EO, Proc. Nutr. Soc., 63(2): 275-8 (2004); Durante et al., Am. J. Physiol. Endocrinol. Metab., 283(1): E178-86 (2002); Bergeron et al., Am. J. Physiol., 276(5 Pt 1): E938-44 (1999); Winder WW, J. Appl. Physiol., 91(3): 1017-28 (2001)。Johns Hopkinsのマウスに関する最近の論文は、脳AMPKの活性が薬理学的に阻害されると、マウスは食べる量が減り、体重が減少したことを示した。AMPK活性が薬理学的に上昇するとマウスは食べる量が増え、体重が増加した。Gabriele et al., J. Neurochem., 109 Suppl 1: 17-23 (2009)。冬眠動物における調査もまた、AMPKの活性化が冬眠からの覚醒を誘発し、食物摂取を刺激することを示している。Florant, et al., JEB, 213: 2031-2037 (2010)。ブリテン島での調査は、食欲を刺激するホルモングレリンもまたAMPKレベルに影響を及ぼすことを示している。Wang et al., FEBS letters, 584:1503-8 (2010)。抗糖尿病薬メトホルミン(Glucophage)はAMPKを刺激することにより作用し(Zhou et al., J. Clin. Invest., 108 (8): 1167-74 (2001); Musi et al., Diabetes, 51(7):2074-81 (2002))、肝臓における低減したグルコース産生及び筋肉における低下したインスリン抵抗性を導く(メトホルミンは通常、重量増加及び食欲増進ではなく重量減少及び食欲低下を引き起こすが、これはJohns Hopkinsのマウス研究結果を前提として期待されるものとは反対である)。最近の研究は、アルツハイマー病の発症におけるAMPKの過剰生産の関与を示唆している。Polleux, F., "Scripps Research Institute scientists help unravel central mystery of Alzheimer's disease," Press Release dated 10-Apr-2013, from www.eurekalert.org (EurekAlert!)。これはメトホルミンの安全性に関する理論的懸念を生じた。
【0007】
AMPKは、細胞のエネルギー状態を感知することによる代謝恒常性の主要制御因子(マスターレギュレーター)である。エネルギーストレス中細胞内ATPレベルが低下すると、AMPKは最初AMP又はADPの結合及びそのキナーゼドメインの活性化ループ内のスレオニン残基(Thr-172)のリン酸化によって活性化される。最近、AMPKαのユビキチン化はLKB1によるAMPKαリン酸化をブロックすることが報告された。脱ユビキチン化酵素USP10はAMPKαのユビキチン化を特異的に除去してLKB1によるAMPKαリン酸化を促進する。エネルギーストレス下では、USP10活性は次にUSP10のSer76のAMPKにより媒介されるリン酸化によって高められる。こうして、USP10及びAMPKは細胞のエネルギー状態の変動に応答してAMPK活性化の増幅を確保する重要なフィードフォワードループを形成する。このフィードフォワードループの崩壊は不適切なAMPK活性化及び多数の代謝欠陥を引き起こす。Deng et al., Mol. Cell, 67:614-624 (2016)。
【0008】
癌特異的なユビキチンリガーゼによるAMPKの分解が文献に報告されている。癌細胞は時折、上流の調節性キナーゼの突然変異により成長制限的AMPK経路を抑制する可能性がある。AMPKを癌特異的なMAGE-A3/6-TRIM28ユビキチンリガーゼによるそのユビキチン化及び分解によって抑制する機序はPineda et al., Cell, 160(4):715-728 (2015)に記載されている。Pinedaらは、MAGE-A3/6が癌細胞の生存に必要であり、非癌性細胞の腫瘍形成特性を駆動するのに充分であると報告している。MAGE-A3/6-TRIM28の標的のスクリーニングにより、MAGE-A3/6-TRIM28がAMPKα1をユビキチン化及び分解することが明らかになった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【文献】Winder WW, Hardie DG, Am. J. Physiol., 277 (1 Pt 1): E1-10 (1999)
【文献】Thomson et al., Am. J. Physiol. Endocrinol. Metab., 292(1): E196-202 (2007)
【文献】Ojuka EO, Proc. Nutr. Soc., 63(2): 275-8 (2004)
【文献】Durante et al., Am. J. Physiol. Endocrinol. Metab., 283(1): E178-86 (2002)
【文献】Bergeron et al., Am. J. Physiol., 276(5 Pt 1): E938-44 (1999)
【文献】Winder WW, J. Appl. Physiol., 91(3): 1017-28 (2001)
【文献】Gabriele et al., J. Neurochem., 109 Suppl 1: 17-23 (2009)
【文献】Florant, et al., JEB, 213: 2031-2037 (2010)
【文献】Wang et al., FEBS letters, 584:1503-8 (2010)
【文献】Zhou et al., J. Clin. Invest., 108 (8): 1167-74 (2001)
【文献】Musi et al., Diabetes, 51(7):2074-81 (2002)
【文献】Polleux, F., 「Scripps Research Institute scientists help unravel central mystery of Alzheimer's disease,」、Press Release dated 10-Apr-2013, from www.eurekalert.org (EurekAlert!)
【文献】Deng et al., Mol. Cell, 67:614-624 (2016)
【文献】Pineda et al., Cell, 160(4):715-728 (2015)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
当技術分野ではAMPKのユビキチン化及びその後の分解を防止する化合物に対するニーズがある。本主題はこのニーズを満たす。
【課題を解決するための手段】
【0011】
1つの局面において、本明細書では式Iの化合物
【0012】
【化1】
(式中、
XはC0~3アルキル、-(CH2)2-NH-(CH2)2-、-NH-CH2-、-O-CH2-、-O-(CH2)2-、-(CH2)2-O-(CH2)2-、又は-(CH2)-C(NH2)-(CH2)a-であり、
ZはC1~2アルキル、-(CH2)-NH-(CH2)-、-(CH2)-O-(CH2)-、又は-(CH2)a-C(NH2)-(CH2)-であり、
aは0又は1であり、
R1及びR2の少なくとも1つは-(CHRA)b-Yであり、ここで各々のRAは独立してH、又は置換若しくは非置換のアリールであり、bは0又は1~3の整数であり、
R1及びR2の残りの1つは-(CH2)c-Yであるか、又はH、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のカルボシクリル、及び置換若しくは非置換のヘテロシクリルからなる群から選択され、cは0又は1~3の整数であり、
各々のYは独立して置換又は非置換のアリールであるか、あるいは
R1及びR2は、それらが結合している窒素と一緒になって、置換又は非置換の複素環を形成しており、
R3はアルキル、カルボシクリル、アリール、又はヘテロアリール基であり、各々のアルキル、カルボシクリル、アリール、又はヘテロアリール基は場合により1つ以上の
【0013】
【化2】
により置換されており、ここで
AはC=O、SO、SO2、又は-(C(RB)2)d-であり、ここで各々のRBは独立してH、D、ハロゲン、OH、置換又は非置換のアルキル、及び置換又は非置換のアルコキシから選択され、
dは0又は1~3の整数であり、
Bは、置換又は非置換のアルキル、置換又は非置換のアルコキシ、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のカルボシクリル、置換又は非置換のヘテロシクリル、及び置換又は非置換のヘテロアリールからなる群から選択される)
若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルが提供される。幾つかの実施形態において、R3は場合により1つ以上の
【0014】
【化3】
により置換されているアルキル基である。幾つかの実施形態において、R3は場合により1つ以上の
【0015】
【化4】
により置換されているカルボシクリル基である。幾つかの実施形態において、R3は場合により1つ以上の
【0016】
【化5】
により置換されているアリール基である。幾つかの実施形態において、R3は場合により1つ以上の
【0017】
【化6】
により置換されているヘテロアリール基である。
【0018】
別の局面において、本明細書では式IIの化合物
【0019】
【化7】
(式中、
XはC0~3アルキル、-(CH2)2-NH-(CH2)2-、-NH-CH2-、-O-CH2-、-O-(CH2)2-、-(CH2)2-O-(CH2)2-、又は-(CH2)-C(NH2)-(CH2)a-であり、
ZはC1~2アルキル、-(CH2)-NH-(CH2)-、-(CH2)-O-(CH2)-、又は-(CH2)a-C(NH2)-(CH2)-であり、
aは0又は1であり、
R1及びR2の少なくとも1つは-(CHRA)b-Yであり、ここで各々のRAは独立してH、又は置換若しくは非置換のアリールであり、bは0又は1~3の整数であり、
R1及びR2の残りの1つは-(CH2)c-Yであるか、又はH、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のカルボシクリル、及び置換若しくは非置換のヘテロシクリルからなる群から選択され、cは0又は1~3の整数であり、
各々のYは独立して置換又は非置換のアリールであるか、あるいは
R1及びR2は、それらが結合している窒素と一緒になって、置換又は非置換の複素環を形成しており、
R3は場合により1つ以上の
【0020】
【化8】
により置換されているアリール又はヘテロアリール基であり、ここで
AはC=O、SO、SO2、又は-(C(RB)2)d-であり、ここで各々のRBは独立してH、D、ハロゲン、OH、置換又は非置換のアルキル、及び置換又は非置換のアルコキシから選択され、
dは0又は1~3の整数であり、
Bは、C1~6アルキル、ハロアルキル、C1~6アルコキシ、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のカルボシクリル、置換又は非置換のヘテロシクリル、及び置換又は非置換のヘテロアリールからなる群から選択される)
若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルが提供される。
【0021】
式I又は式IIの幾つかの実施形態において、R3は非置換のフェニル、非置換のナフチル、又は1つ又は2つの
【0022】
【化9】
により置換されているフェニルである。式I又は式IIの幾つかの実施形態において、R3は非置換のフェニル又は1つの
【0023】
【化10】
により置換されているフェニルである。式I又は式IIの幾つかの実施形態において、R3は1つの
【0024】
【化11】
により置換されているフェニルである。式I又は式IIの幾つかの実施形態において、Aは-(C(RB)2)d-である。式I又は式IIの幾つかの実施形態において、RBはH、又は置換若しくは非置換のアルキルである。式I又は式IIの幾つかの実施形態において、dは0である。式I又は式IIの幾つかの実施形態において、dは1~3の整数である。式I又は式IIの幾つかの実施形態において、AはC=Oである。式I又は式IIの幾つかの実施形態において、AはSO又はSO2である。式I又は式IIの幾つかの実施形態において、Bは、C2~6アルキル、ハロアルキル、C2~6アルコキシ、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のカルボシクリル、置換又は非置換のヘテロシクリル、及び置換又は非置換のヘテロアリールからなる群から選択される。式I又は式IIの幾つかの実施形態において、Bは、C2~6アルキル、ハロアルキル、C2~6アルコキシ、置換又は非置換のフェニル、置換又は非置換のC3~8カルボシクリル、及び置換又は非置換の6員のヘテロアリールからなる群から選択される。式I又は式IIの幾つかの実施形態において、Bは、ハロアルキル、C2~6アルコキシ、置換又は非置換のフェニル、C3~8カルボシクリル、及び置換又は非置換の6員のヘテロアリールからなる群から選択される。式I又は式IIの幾つかの実施形態において、置換又は非置換の6員のヘテロアリールは置換又は非置換のピリジンである。式I又は式IIの幾つかの実施形態において、R3は非置換のフェニルである。式I又は式IIの幾つかの実施形態において、XはC0~3アルキル、-NH-CH2-、又は-O-CH2-である。式I又は式IIの幾つかの実施形態において、XはC0~3アルキルである。式I又は式IIの幾つかの実施形態において、XはC0アルキルである。式I又は式IIの幾つかの実施形態において、XはC1~3アルキルである。式I又は式IIの幾つかの実施形態において、XはC2アルキルである。式I又は式IIの幾つかの実施形態において、XはCH2CH2である。式I又は式IIの幾つかの実施形態において、Xは-NH-CH2-である。式I又は式IIの幾つかの実施形態において、Xは-O-CH2-である。式I又は式IIの幾つかの実施形態において、ZはC1~2アルキルである。式I又は式IIの幾つかの実施
形態において、ZはC1アルキルである。式I又は式IIの幾つかの実施形態において、ZはCH2である。式I又は式IIの幾つかの実施形態において、R1及びR2の少なくとも1つは-(CHRA)b-Yであり、ここで各々のRAは独立してH、又は置換若しくは非置換のアリールであり、bは0又は1~3の整数であり、R1及びR2の残りの1つは-(CH2)c-Yであるか、又はH、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のカルボシクリル、及び置換若しくは非置換のヘテロシクリルからなる群から選択され、cは0又は1~3の整数であり、各々のYは独立して置換又は非置換のアリールである。式I又は式IIの幾つかの実施形態において、R1及びR2の残りの1つは-(CH2)c-Yであるか、又はH、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアリール、及び置換若しくは非置換のカルボシクリルからなる群から選択され、cは0又は1~3の整数である。式I又は式IIの幾つかの実施形態において、R1及びR2の残りの1つは-(CH2)c-Y又はHであり、cは0又は1~3の整数である。式I又は式IIの幾つかの実施形態において、bは0又は1であり、R1及びR2の残りの1つは-(CH2)-Y又はHである。式I又は式IIの幾つかの実施形態において、各々のRAは独立してH、又は置換若しくは非置換のフェニルであり、bは0又は1であり、R1及びR2の残りの1つは-(CH2)-Y又はHであり、各々のYは置換又は非置換のフェニルである。式I又は式IIの幾つかの実施形態において、RAはHである。式I又は式IIの幾つかの実施形態において、RAはフェニルである。式I又は式IIの幾つかの実施形態において、bは1である。式I又は式IIの幾つかの実施形態において、bは0である。式I又は式IIの幾つかの実施形態において、R1及びR2の残りの1つは-(CH2)-Yである。式I又は式IIの幾つかの実施形態において、R1及びR2の残りの1つはHである。式I又は式IIの幾つかの実施形態において、R1及びR2は、それらが結合している窒素と一緒になって、置換又は非置換の複素環を形成している。式I又は式IIの幾つかの実施形態において、R1及びR2は、それらが結合している窒素と一緒になって、置換又は非置換のテトラヒドロイソキノリンを形成している。
【0025】
別の局面において、本明細書では、
【0026】
【化12】
からなる群から選択される化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルが提供される。
【0027】
別の局面において、本明細書では、
【0028】
【化13】
からなる群から選択される化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルが提供される。
【0029】
別の局面において、本明細書ではユビキチンE3リガーゼの結合をもたらす方法が提供され、この方法はユビキチンE3リガーゼと本明細書に記載されている化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルとを接触させることを含む。
【0030】
別の局面において、本明細書では炎症の治療をそれを必要とする対象において実施する方法が提供され、この方法は対象に治療上有効な量の本明細書に記載されている化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルを投与することを含む。
【0031】
別の局面において、本明細書ではサイトカインにより駆動される炎症の治療をそれを必要とする対象において実施する方法が提供され、この方法は対象に治療上有効な量の本明細書に記載されている化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルを投与することを含む。
【0032】
別の局面において、本明細書では敗血症の治療をそれを必要とする対象において実施する方法が提供され、この方法は対象に治療上有効な量の本明細書に記載されている化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルを投与することを含む。
【0033】
別の局面において、本明細書では急性肺障害の治療をそれを必要とする対象において実施する方法が提供され、この方法は対象に治療上有効な量の本明細書に記載されている化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルを投与することを含む。
【0034】
別の局面において、本明細書ではメタボリックシンドロームの治療をそれを必要とする対象において実施する方法が提供され、この方法は対象に治療上有効な量の本明細書に記載されている化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルを投与することを含む。
【0035】
別の局面において、本明細書ではリン酸化されたAMPKのレベルの増大をそれを必要とする対象において実施する方法が提供され、この方法は対象に治療上有効な量の本明細書に記載されている化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルを投与することを含む。
【0036】
別の局面において、本明細書では細胞におけるFbxo48とリン酸化されたAMPKとの間の相互作用を妨害する方法が提供され、この方法は細胞と本明細書に記載されている化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルとを接触させることを含む。
【0037】
別の局面において、本明細書ではFbxo48とリン酸化されたAMPKとの間の相互作用の妨害をそれを必要とする対象において実施する方法が提供され、この方法は対象に治療上有効な量の本明細書に記載されている化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルを投与することを含む。
【0038】
以上の全般的な説明並びに以下の図面の簡単な説明及び詳細な説明は代表的で説明的なものであり、特許請求の範囲に記載の主題の更なる説明を提供することを意図している。その他の目的、利点、及び新規な特徴は以下の図面の簡単な説明及び主題の詳細な説明から当業者にはすぐに明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】(A)ヒト気管支上皮細胞(Beas2b)に漸増量のFbxo48プラスミドをトランスフェクトした。24時間(h)後、イムノブロッティングのために細胞を集めた。(B)ビオチン標識したAMPKペプチドを先ずストレプトアビジンビーズに結合させた。次いでAMPKビーズをインビトロ合成したFbxo48タンパク質と共に2hインキュベートした。次いでビーズを洗浄し、タンパク質を溶離した後イムノブロッティングでアッセイした。(C)Beas2B細胞にコントロール(対照)のshRNA又はLkb1 shRNAを48hトランスフェクトした。次いで細胞を、グルコースを含まない2%DMEM培地に曝露した後イムノブロッティングのために集めた。(D)Beas2B細胞にコントロールのshRNA又はLkb1 shRNAを48hトランスフェクトした。次いで細胞を、CHXに曝露した後イムノブロッティングでアッセイした。
図2】(A)Fbxo48タンパク質相同性モデル。大きな球はFbxo48内の潜在的な薬物結合キャビティーを示す。(B)候補の阻害剤化合物1とFbxo48キャビティーとのドッキング研究。
図3】(A)Beas2b細胞を、グルコースを含むDMEM2%培地で24h培養した後グルコース不含培地に取り換えた。次いで細胞をイムノブロッティングのために集めるまでの時間DMSO又は化合物1(2μM)に曝露した。(B)Beas2B細胞を、様々な用量の化合物1に18h曝露した後イムノブロッティングのために集めた。(C)Beas2b細胞を、グルコースを含むDMEM2%培地で24h培養した後グルコース不含培地に取り換えた。次いで細胞を様々な用量のAICARに化合物1併用処理あり又はなしで曝露した。18h後、細胞を集めた後イムノブロッティングでアッセイした。
図4】(A)Beas2b細胞を、グルコースを含むDMEM2%培地で24h培養した後グルコース不含培地に取り換えた。次いで細胞を、用量依存的に化合物12に18h曝露した後イムノブロッティングのために集めた。(B)Beas2b細胞を、グルコースを含むDMEM2%培地で24h培養した後化合物12で用量依存的に処理した。次いで18h後、細胞をイムノブロッティングのために集めた。(C)Beas2b細胞を、グルコースを含むDMEM2%培地で24培養した後グルコース不含培地に取り換えた。次いで細胞を化合物12に18h曝露した後mRNA分析のために集めた。(D)50K PBMC細胞を96ウェルプレートで培養した後化合物12に4h曝露した。次いで細胞をLPS(10ng/ml)で更に2h処理した。次いで培地を集め、IL-1b濃度をELISAで決定した。
図5】C57BL6マウスにビヒクル、0.04、0.2、1又は5mg/kgの化合物12をi.p.投与した。10分(min)後マウスにi.p.注射によりLPS(大腸菌(E. coli)、3mg/kg)を与え、2h後マウスを安楽死させ、IL1-β、IL-6及びTNFαの測定のために血液を集めた。パネル(A)~(C)にはサイトカインレベルの阻害率%を薬物用量の関数として示す。データは各々の用量においてn=3マウス/群を表す。
図6】腸管穿孔モデル(cecal ligation and puncture、CLP)手順の前にマウスを麻酔した。次いで直後に化合物12(10mg/kg)を腹腔内(i.p.)注射により投与した。24h後、マウスを安楽死させ、IL-6、TNF、及びIL1-βのレベルのアッセイのために血液を集めた(A~C)。(D)マウスのCLP後細菌数の決定のために腹腔液を得た。また肺も生理食塩水で洗浄し、摘出した後、ホモジナイズした。洗浄サイトカイン分泌(E~G)、タンパク質(H)、細胞数(I)を測定した。データはn=4~5マウス/群を示し、*P<0.05 化合物12対ビヒクル。
図7】化合物12(2又は10mg/kg)をi.p.注射によりマウスに投与し、マウスに即刻緑膿菌(P. aeruginosa)(PA103株、1.5×104cfu/マウス、i.t.)を更に18hチャレンジさせるか又はしなかった(コントロール、CON)。次いでマウスを安楽死させ、肺を生理食塩水で洗浄し、摘出した後ホモジナイズした。洗浄タンパク質(A)、細胞数(B)、細菌数(C)及びサイトカイン分泌(D~F)を測定した。G.肺をホモジナイズした後イムノブロッティングによりアッセイした。データはn=5~6マウス/群のデータを代表し、*P<0.05はビヒクルに対する。
図8】化合物12(2又は10mg/kg)をi.p.注射によりマウスに投与し、マウスに即刻LPS(大腸菌、3mg/kg、i.t.)を更に18hチャレンジさせるか又はしなかった(コントロール、CON)。次いでマウスを安楽死させ、肺を生理食塩水で洗浄し、摘出した後、ホモジナイズした。洗浄タンパク質(A)、細胞数(B)及びサイトカイン分泌(C~E)を測定した。(F)肺をホモジナイズした後イムノブロッティングによりアッセイした。データはn=5~6マウス/群のデータを代表し、*P<0.05はビヒクルに対する。
図9】(A)Beas2b細胞を、グルコースを含むDMEM2%培地で24h培養した後グルコース不含培地に取り換えた。次いで細胞を化合物23又はメトホルミンに用量依存的に18h曝露した後イムノブロッティングのために集めた。(B)Beas2b細胞を、グルコースを含むDMEM2%培地で24h培養した後グルコース不含培地に取り換え、化合物12又は化合物23で用量依存的に処理した。次いで6h後イムノブロッティングのために細胞を集めた。(C)Beas2b細胞を、グルコースを含むDMEM2%培地で24h培養した後グルコース不含培地に取り換え、化合物12又は化合物23で用量依存的に処理した。次いで18h後イムノブロッティングのために細胞を集めた。(D)Beas2b細胞にAMPK phospho mimic T172D又はphospho dead T172A突然変異体を24hトランスフェクトした。次いで細胞をグルコース不含培地に取り換え、化合物23に用量又は時間依存的に曝露した後イムノブロッティングのために集めた。(E)Beas2b細胞にコントロールのsiRNA又はFbxo48 siRNAを48hトランスフェクトした後グルコース不含培地に取り換えた。次いで細胞を化合物23に用量依存的に曝露した後イムノブロッティングのために集めた。(F)化合物23の化学構造。
図10】(A)50K PBMC細胞を96ウェルプレートで培養した後化合物23に18h曝露した。次いで細胞をLPS(10ng/ml)で更に4h処理した。次いで培地を集め、TNF及びIL-1b濃度をELISAにより決定した。(B)PBMC細胞(1mL、1.0×106/ml)を化合物23(5μM)で18h処理した。次いで細胞を100ng/mlのLPSで4h処理した。サイトカイン放出をヒトサイトカインアレイ(R&D systems)によりモニターした。サイトカインアレイドットブロットからの結果を定量化し、グラフに示した。
図11】(A~B)C57BL6マウスにビヒクル、0.08、0.4、2又は10mg/kgの化合物23をi.p.投与した。10min後マウスにi.p.注射によりLPS(大腸菌、3mg/kg)を与え、2h後マウスを安楽死させ、IL-6及びTNFαの測定のために血液を集めた。パネル(A~B.)にはサイトカインレベルを薬物用量の関数として示す。データは各々の用量でのn=3マウス/群を表す。(C~G)化合物23(2又は10mg/kg)をi.p.注射によりマウスに投与し、マウスに即刻LPS(大腸菌、3mg/kg、i.t.)を更に18hチャレンジさせるか、又はしなかった(コントロール、CON)。次いでマウスを安楽死させ、肺を生理食塩水で洗浄し、摘出した後ホモジナイズした。洗浄タンパク質(C)、細胞数(D)及びサイトカイン分泌(E~G)を測定した。データはn=5マウス/群のデータを代表し、*P<0.05はビヒクルに対する。
図12】食餌誘発肥満マウスに高脂肪食を19週与えた後、ビヒクル又は薬物を一日一回14日間注射した。マウスの日々の体重(グラム)を示す。
図13図12のデータの個々の点を示す。
図14図12と同じ研究の、日々の体重を0日の体重の百分率として示す。
図15図14のデータの個々の点を示す。
図16図12と同じ研究の、0日から14日までの体重(BW)の変化を、グラムの変化として表して示す。
図17図16のデータの個々の点を示す。
図18図12と同じ研究の、0日から14日までの体重(BW)の変化を、0日からの変化のパーセント(増減率)として表して示す。
図19図18のデータの個々の点を示す。
図20図12と同じ研究の、0日から14日までの脂肪量の変化を、グラムで表して示す。
図21図20のデータの個々の点を示す。
図22図12と同じ研究の、0日から14日までの脂肪量の変化を、変化のパーセントとして表して示す。
図23図22のデータの個々の点を示す。
図24図12と同じ研究の、0日から14日までの除脂肪量の変化を、グラムで表して示す。
図25図24のデータの個々の点を示す。
図26図12と同じ研究の、0日から14日までの除脂肪量の変化を、変化のパーセントとして表して示す。
図27図26のデータの個々の点を示す。
図28】高脂肪食を与えた(20週)C57BL6Jマウスを4pmから始めて一晩絶食させた。マウスに1経口用量のビヒクル又は薬物(AICAR、200mg/kg、BC1618、20mg/kg)を5pmに、追加の用量を次の朝7amに与えた。体重測定値を示す。
図29図28と同じ研究で、追加の用量の2h後絶食血漿グルコースを測定した。絶食血漿グルコースの測定値を示す。
図30】食餌誘発肥満マウスに1×ビヒクル又はBC1618(20mg/kg)を投薬した後一晩絶食させ、続いて1×(20mg/kg)を朝投薬した後、高インスリン正常血糖クランプ(hyperinsulinemic euglycemic clamp)を施行した。体重測定値を示す。
図31図30と同じ研究の、絶食血漿グルコース及びグルコース注入率値を示す。
図32図30と同じ研究の、グルコース注入率値を示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、様々な実施形態について記載する。これらの具体的な実施形態は本明細書中に述べられているより広い局面に対する網羅的な記載又は限定として意図されたものではないことに注意されたい。特定の実施形態に関連して記載される1つの局面は必ずしもその実施形態に限定されることはなく、任意の他の実施形態(1つ又は複数)と共に実施することができる。
【0041】
I.化合物
1つの局面において、本明細書では式Iの化合物
【0042】
【化14】
(式中、
XはC0~3アルキル、-(CH2)2-NH-(CH2)2-、-NH-CH2-、-O-CH2-、-O-(CH2)2-、-(CH2)2-O-(CH2)2-、又は-(CH2)-C(NH2)-(CH2)a-であり、
ZはC1~2アルキル、-(CH2)-NH-(CH2)-、-(CH2)-O-(CH2)-、又は-(CH2)a-C(NH2)-(CH2)-であり、
aは0又は1であり、
R1及びR2の少なくとも1つは-(CHRA)b-Yであり、ここで各々のRAは独立してH、又は置換若しくは非置換のアリールであり、bは0又は1~3の整数であり、
R1及びR2の残りの1つは-(CH2)c-Yであるか、又はH、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のカルボシクリル、及び置換若しくは非置換のヘテロシクリルからなる群から選択され、cは0又は1~3の整数であり、
各々のYは独立して置換又は非置換のアリールであるか、あるいは
R1及びR2は、それらが結合している窒素と一緒になって、置換又は非置換の複素環を形成しており、
R3はアルキル、カルボシクリル、アリール、又はヘテロアリール基であり、ここで各々のアルキル、カルボシクリル、アリール、又はヘテロアリール基は場合により1つ以上の
【0043】
【化15】
により置換されており、ここで
AはC=O、SO、SO2、又は-(C(RB)2)d-であり、ここで各々のRBは独立してH、D、ハロゲン、OH、置換又は非置換のアルキル、及び置換又は非置換のアルコキシから選択され、
dは、0又は1~3の整数であり、
Bは、置換又は非置換のアルキル、置換又は非置換のアルコキシ、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のカルボシクリル、置換又は非置換のヘテロシクリル、及び置換又は非置換のヘテロアリールからなる群から選択される)
若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルが提供される。
【0044】
式Iの幾つかの実施形態において、R3は場合により1つ以上の
【0045】
【化16】
により置換されているアルキル基である。式Iの幾つかの実施形態において、R3は場合により1つ以上の
【0046】
【化17】
により置換されているカルボシクリル基である。式Iの幾つかの実施形態において、R3は場合により1つ以上の
【0047】
【化18】
により置換されているアリール基である。式Iの幾つかの実施形態において、R3は場合により1つ以上の
【0048】
【化19】
により置換されているヘテロアリール基である。
【0049】
別の局面において、本明細書では式IIの化合物
【0050】
【化20】
(式中、
XはC0~3アルキル、-(CH2)2-NH-(CH2)2-、-NH-CH2-、-O-CH2-、-O-(CH2)2-、-(CH2)2-O-(CH2)2-、又は-(CH2)-C(NH2)-(CH2)a-であり、
ZはC1~2アルキル、-(CH2)-NH-(CH2)-、-(CH2)-O-(CH2)-、又は-(CH2)a-C(NH2)-(CH2)-であり、
aは0又は1であり、
R1及びR2の少なくとも1つは-(CHRA)b-Yであり、ここで各々のRAは独立してH、又は置換若しくは非置換のアリールであり、bは0又は1~3の整数であり、
R1及びR2の残りの1つは-(CH2)c-Yであるか、又はH、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のカルボシクリル、及び置換若しくは非置換のヘテロシクリルからなる群から選択され、cは0又は1~3の整数であり、
各々のYは独立して置換又は非置換のアリールであるか、あるいは
R1及びR2は、それらが結合している窒素と一緒になって、置換又は非置換の複素環を形成しており、
R3は場合により1つ以上の
【0051】
【化21】
により置換されているアリール又はヘテロアリール基であり、ここで
AはC=O、SO、SO2、又は-(C(RB)2)d-であり、ここで各々のRBは独立してH、D、ハロゲン、OH、置換又は非置換のアルキル、及び置換又は非置換のアルコキシから選択され、
dは0又は1~3の整数であり、
Bは、C1~6アルキル、ハロアルキル、C1~6アルコキシ、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のカルボシクリル、置換又は非置換のヘテロシクリル、及び置換又は非置換のヘテロアリールからなる群から選択される)
若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルが提供される。
【0052】
式I又は式IIの幾つかの実施形態において、R3は非置換のフェニル、非置換のナフチル、又は1つ又は2つの
【0053】
【化22】
により置換されているフェニルである。式I又は式IIの幾つかの実施形態において、R3は非置換のフェニル又は1つの
【0054】
【化23】
により置換されているフェニルである。式I又は式IIの幾つかの実施形態において、R3は1つの
【0055】
【化24】
により置換されているフェニルである。式I又は式IIの幾つかの実施形態において、R3は2つの
【0056】
【化25】
により置換されているフェニルである。式I又は式IIの幾つかの実施形態において、R3は非置換のフェニルである。式I又は式IIの幾つかの実施形態において、R3は非置換のナフチルである。
【0057】
式I又は式IIの幾つかの実施形態において、Aは-(C(RB)2)d-である。式I又は式IIの幾つかの実施形態において、RBはH、又は置換若しくは非置換のアルキルである。式I又は式IIの幾つかの実施形態において、RBはHである。式I又は式IIの幾つかの実施形態において、RBは置換又は非置換のアルキルである。式I又は式IIの幾つかの実施形態において、RBは置換アルキルである。式I又は式IIの幾つかの実施形態において、RBはアルキルである。式I又は式IIの幾つかの実施形態において、dは0である。式I又は式IIの幾つかの実施形態において、dは1~3の整数である。式I又は式IIの幾つかの実施形態において、dは1である。式I又は式IIの幾つかの実施形態において、dは2である。式I又は式IIの幾つかの実施形態において、dは3である。
【0058】
式I又は式IIの幾つかの実施形態において、AはC=Oである。式I又は式IIの幾つかの実施形態において、AはSO又はSO2である。式I又は式IIの幾つかの実施形態において、AはSOである。式I又は式IIの幾つかの実施形態において、AはSO2である。
【0059】
式I又は式IIの幾つかの実施形態において、Bは、C2~6アルキル、ハロアルキル、C2~6アルコキシ、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のカルボシクリル、置換又は非置換のヘテロシクリル、及び置換又は非置換のヘテロアリールからなる群から選択される。
【0060】
式I又は式IIの幾つかの実施形態において、Bは、C2~6アルキル、ハロアルキル、C2~6アルコキシ、置換又は非置換のフェニル、置換又は非置換のC3~8カルボシクリル、及び置換又は非置換の6員のヘテロアリールからなる群から選択される。式I又は式IIの更なる実施形態において、置換又は非置換の6員のヘテロアリールは置換又は非置換のピリジンである。
【0061】
式I又は式IIの幾つかの実施形態において、Bは、ハロアルキル、C2~6アルコキシ、置換又は非置換のフェニル、C3~8カルボシクリル、及び置換又は非置換の6員のヘテロアリールからなる群から選択される。式I又は式IIの更なる実施形態において、置換又は非置換の6員のヘテロアリールは置換又は非置換のピリジンである。
【0062】
式I又は式IIの幾つかの実施形態において、XはC0~3アルキル、-NH-CH2-、又は-O-CH2-である。式I又は式IIの幾つかの実施形態において、XはC0~3アルキルである。式I又は式IIの幾つかの実施形態において、XはC0アルキルである。式I又は式IIの幾つかの実施形態において、XはC1~3アルキルである。式I又は式IIの幾つかの実施形態において、XはC1アルキルである。式I又は式IIの幾つかの実施形態において、XはC2アルキルである。式I又は式IIの幾つかの実施形態において、XはC3アルキルである。式I又は式IIの幾つかの実施形態において、XはCH2CH2である。式I又は式IIの幾つかの実施形態において、Xは-NH-CH2-である。式I又は式IIの幾つかの実施形態において、Xは-O-CH2-である。
【0063】
式I又は式IIの幾つかの実施形態において、ZはC1~2アルキルである。式I又は式IIの幾つかの実施形態において、ZはC1アルキルである。式I又は式IIの幾つかの実施形態において、ZはCH2である。式I又は式IIの幾つかの実施形態において、ZはC2アルキルである。
【0064】
式I又は式IIの幾つかの実施形態において、R1及びR2の少なくとも1つは-(CHRA)b-Yであり、ここで各々のRAは独立してH、又は置換若しくは非置換のアリールであり、bは0又は1~3の整数であり、R1及びR2の残りの1つは-(CH2)c-Yであるか、又はH、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のカルボシクリル、及び置換若しくは非置換のヘテロシクリルからなる群から選択され、cは0又は1~3の整数であり、各々のYは独立して置換又は非置換のアリールである。式I又は式IIの更なる実施形態において、R1及びR2の残りの1つは-(CH2)c-Yであるか、又はH、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアリール、及び置換若しくは非置換のカルボシクリルからなる群から選択され、cは0又は1~3の整数である。式I又は式IIの更に別の実施形態において、R1及びR2の残りの1つは-(CH2)c-Y又はHであり、cは0又は1~3の整数である。式I又は式IIの更に別の実施形態において、R1及びR2の残りの1つは-(CH2)c-Y又はHであり、cは0又は1である。式I又は式IIの更に別の実施形態において、bは0又は1であり、R1及びR2の残りの1つは-(CH2)-Y又はHである。式I又は式IIの幾つかの実施形態において、各々のRAは独立してH、又は置換若しくは非置換のフェニルであり、bは0又は1であり、R1及びR2の残りの1つは-(CH2)-Y又はHであり、各々のYは置換又は非置換のフェニルである。
【0065】
式I又は式IIの幾つかの実施形態において、R1及びR2の少なくとも1つは-(CHRA)-Yであり、ここでRAは置換又は非置換のフェニルであり、R1及びR2の残りの1つはHであり、各々のYは独立して置換又は非置換のフェニルである。
【0066】
式I又は式IIの幾つかの実施形態において、R1及びR2の少なくとも1つは-(CH2)-Yであり、R1及びR2の残りの1つは-(CH2)-Yであり、各々のYは独立して置換又は非置換のアリールである。式I又は式IIの幾つかの実施形態において、R1及びR2の少なくとも1つは-(CH2)-Yであり、R1及びR2の残りの1つは-(CH2)-Yであり、各々のYは独立して置換又は非置換のフェニルである。
【0067】
式I又は式IIの幾つかの実施形態において、R1及びR2の少なくとも1つは-(CH2CHRA)-Yであり、ここでRAはH、又は置換若しくは非置換のアリールであり、R1及びR2の残りの1つはHであり、Yは置換又は非置換のアリールである。式I又は式IIの幾つかの実施形態において、R1及びR2の少なくとも1つは-(CH2CHRA)-Yであり、ここでRAはH、又は置換若しくは非置換のアリールであり、R1及びR2の残りの1つはHであり、Yは置換又は非置換のフェニルである。
【0068】
式I又は式IIの幾つかの実施形態において、RAはHである。式I又は式IIの幾つかの実施形態において、RAはフェニルである。式I又は式IIの幾つかの実施形態において、RAは置換フェニルである。
【0069】
式I又は式IIの幾つかの実施形態において、bは3である。式I又は式IIの幾つかの実施形態において、bは2である。式I又は式IIの幾つかの実施形態において、bは1である。式I又は式IIの幾つかの実施形態において、bは0である。
【0070】
式I又は式IIの幾つかの実施形態において、R1及びR2の残りの1つは-(CH2)-Yである。式I又は式IIの幾つかの実施形態において、R1及びR2の残りの1つはHである。
【0071】
式I又は式IIの幾つかの実施形態において、R1及びR2は、それらが結合している窒素と一緒になって、置換又は非置換の複素環を形成している。式I又は式IIの更なる実施形態において、R1及びR2は、それらが結合している窒素と一緒になって、置換又は非置換のテトラヒドロイソキノリンを形成している。
【0072】
別の局面において、本明細書では
【0073】
【化26】
からなる群から選択される化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルが提供される。
【0074】
別の局面において、本明細書では
【0075】
【化27】
からなる群から選択される化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルが提供される。
【0076】
II.使用の方法
別の局面において、本明細書ではユビキチンE3リガーゼの結合をもたらす方法が提供され、この方法はユビキチンE3リガーゼと式I又はIIの化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルとを接触させることを含む。
【0077】
別の局面において、本明細書では炎症の治療をそれを必要とする対象において実施する方法が提供され、この方法は対象に治療上有効な量の式I又はIIの化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルを投与することを含む。
【0078】
別の局面において、本明細書ではサイトカインにより駆動される炎症の治療をそれを必要とする対象において実施する方法が提供され、この方法は対象に治療上有効な量の式I又はIIの化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルを投与することを含む。
【0079】
別の局面において、本明細書では炎症性疾患の治療をそれを必要とする対象において実施する方法が提供され、この方法は対象に治療上有効な量の式I又はIIの化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルを投与することを含む。本明細書に開示されている化合物により治療し得る炎症性疾患としては、炎症性要素を保有するあらゆる疾患が挙げられる。実例の炎症性疾患としては、急性及び慢性の炎症性疾患、例えば喘息、慢性閉塞性肺疾患、肺線維症、肺臓炎(過敏性肺臓炎及び放射線肺臓炎を含む)、肺炎、嚢胞性線維症、乾癬、関節炎/リウマチ性関節炎、鼻炎、咽頭炎、膀胱炎、前立腺炎、皮膚炎、花粉症をはじめとするアレルギー、腎炎、結膜炎、脳炎、髄膜炎、眼炎(opthalmitis)、ブドウ膜炎、胸膜炎、心膜炎、心筋炎、アテローム性動脈硬化、ヒト免疫不全ウィルス関連炎症、糖尿病、骨関節炎、乾癬性関節炎、炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性結腸炎)/大腸炎、敗血症、血管炎、滑液包炎、結合組織病、自己免疫疾患、例えば全身性エリテマトーデス(SLE)、リウマチ性多発筋痛症、強皮症、ウェゲナー肉芽腫症、側頭動脈炎、脈管炎、クリオグロブリン血症、及び多発性硬化症、ウィルス若しくはインフルエンザ誘発炎症、又は浮腫が挙げられる。本明細書に開示されている化合物は敗血症、肺炎、インフルエンザ誘発炎症、浮腫、神経障害、大腸炎、関節炎、クローン病、糖尿病、皮膚、目及び耳の炎症(例えば、乾癬、ブドウ膜炎/眼炎、外耳炎)、全身性エリテマトーデス(SLE)、並びに全身性エリテマトーデス(SLE)を治療するのに特に有効であり得る。本明細書に開示されている化合物はアルツハイマー、パーキンソン、及び神経障害性疼痛などの神経疾患を治療するのに有用であり得る。本明細書に開示されている化合物はまた、例えば、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、肺炎レンサ球菌(Streptococcus pneumoniae)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenza)、又は大腸菌(Escherichia coli)による病原性感染により誘発された炎症及び組織障害を治療するのにも有用であり得る。本明細書に開示されている化合物は殊に敗血症又は肺炎を治療するのに有効であり得る。
【0080】
別の局面において、本明細書では敗血症の治療をそれを必要とする対象において実施する方法が提供され、この方法は対象に治療上有効な量の式I又はIIの化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルを投与することを含む。
【0081】
別の局面において、本明細書では肺炎の治療をそれを必要とする対象において実施する方法が提供され、この方法は対象に治療上有効な量の式I又はIIの化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルを投与することを含む。
【0082】
別の局面において、本明細書では急性肺障害の治療をそれを必要とする対象において実施する方法が提供され、この方法は対象に治療上有効な量の式I又はIIの化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルを投与することを含む。
【0083】
別の局面において、本明細書ではメタボリックシンドロームの治療をそれを必要とする対象において実施する方法が提供され、この方法は対象に治療上有効な量の式I又はIIの化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルを投与することを含む。
【0084】
別の局面において、本明細書ではリン酸化されたAMPKのレベルの増大をそれを必要とする対象において実施する方法が提供され、この方法は対象に治療上有効な量の式I又はIIの化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルを投与することを含む。
【0085】
別の局面において、本明細書では細胞においてFbxo48とリン酸化されたAMPKとの間の相互作用を妨害する方法が提供され、この方法は細胞と式I又はIIの化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルとを接触させることを含む。
【0086】
別の局面において、本明細書ではFbxo48とリン酸化されたAMPKとの間の相互作用の妨害をそれを必要とする対象において実施する方法が提供され、この方法は対象に治療上有効な量の式I又はIIの化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルを投与することを含む。
【0087】
式I若しくは式IIで表される化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物、又はそのような化合物若しくはその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物を含む組成物は、治療を必要とする患者又は対象に、個別に、又は類似又は相乗的な生物活性を有する他の治療剤と組み合わせて投与することができる。更に、本明細書に記載されている化合物及び組成物は開業医により単一用量又は多数回一日用量として投与することができる。
【0088】
本開示の化合物を含む組成物は1種以上の薬学的に許容される賦形剤を含む製剤として個体に投与することができる。様々な薬学的に許容される賦形剤が当技術分野で公知であり、ここで詳細に述べる必要はない。薬学的に許容される賦形剤は、例えば、A. Gennaro (2000) 「Remington: The Science and Practice of Pharmacy」, 20th edition, Lippincott, Williams, & Wilkins; Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems (1999) H. C. Ansel et al., eds 7th ed., Lippincott, Williams, & Wilkins;及びHandbook of Pharmaceutical Excipients (2000) A. H. Kibbe et al., eds., 3rd ed. Amer. Pharmaceutical Assoc.をはじめとする様々な刊行物に十分に記載されている。
【0089】
本方法において、活性薬剤(1種又は複数種)は、所望の治療効果を得ることができる任意の便利な手段を用いて患者又は対象に投与すればよい。このように、薬剤は治療のための投与用に様々な製剤中に組み込むことができる。より特定的には、本主題の薬剤は適切な薬学的に許容される担体又は希釈剤との組合せにより医薬組成物中に配合することができ、錠剤、カプセル、粉末、顆粒、軟膏、溶液、座薬、注射、吸入剤及びエアロゾルなどの、固体、半固体、液体又は気体の形態の調製物に配合され得る。従って、薬剤の投与は、限定されることはないが、経口、口腔、直腸、非経口、腹腔内、皮内、局所、肺、鼻、吸入、経皮、気管内、等の投与をはじめとする様々な方法で達成することができる。
【0090】
投与される投薬量は、受容者の年齢、健康状態、体重、及び/若しくは病状、もしあれば併用治療の種類、治療の頻度、並びに/又は所望の生物学的効果の種類及び大きさなどの多数の要因に依存し得る。典型的な投薬量は約0.1~約20mg/kg/d、又はこれら2つの量の間の任意の量であり得る。他の典型的な投薬量としては、限定されることはないが、約0.1~約10mg/kg/d又は約0.5~約10mg/kg/dが挙げられる。更に他の典型的な投薬量としては、限定されることはないが、約0.1、約0.2、約0.3、約0.4、約0.5、約0.6、約0.7、約0.8、約0.9、約1、約1.5、約2、約2.5、約3、約3.5、約4、約4.5、約5、約5.5、約6、約6.5、約7、約7.5、約8、約8.5、約9、約9.5、約10、約10.5、約11、約11.5、約12、約12.5、約13、約13.5、約14、約14.5、約15、約15.5、約16、約16.5、約17、約17.5、約18、約18.5、約19、約19.5、又は約20mg/kg/dが挙げられる。併用療法を使用するとき、化合物及び他の治療剤はいろいろな時間間隔で別々に、又は同時に投与することができる。
【0091】
III.医薬製剤
医薬組成物及び医薬は本明細書に記載されている1種以上の化合物、そのプロドラッグ、その薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物、その立体異性体、その互変異性体、又はその溶媒和物と薬学的に許容される担体、賦形剤、結合剤、希釈剤などとを混合することによって調製することができる。
【0092】
本方法において、活性薬剤(1種又は複数種)は、所望の治療効果をもたらすことができる任意の都合のよい手段を用いて宿主に投与することができる。即ち、薬剤は治療投与用の様々な製剤中に組み込むことができる。より特定的には、本主題の薬剤は適当な薬学的に許容される担体又は希釈剤との組合せにより医薬組成物中に配合することができ、錠剤、カプセル、粉末、顆粒、軟膏、溶液、座薬、注射、吸入剤及びエアロゾルなどの、固体、半固体、液体又は気体の形態の調製物に製剤化することができる。
【0093】
医薬剤形において、薬剤はその薬学的に許容される塩の形態で投与することができ、又は薬剤は単独で、若しくは他の薬学的に活性な化合物と組み合わせるのと同様に、適切に会合(association)させて使用してもよい。以下の方法及び賦形剤は単に典型的であり、いかなる意味でも限定することはない。
【0094】
本明細書に開示されている化合物及び組成物は、本明細書に記載されているように、サイトカインにより駆動される炎症を予防又は治療する製剤及び医薬を調製するのに使用することができる。幾つかの実施形態において、本明細書に開示されている化合物及び組成物は本明細書に記載されている炎症性疾患を予防又は治療する製剤及び医薬を調製するのに使用することができる。幾つかの実施形態において、本明細書に開示されている化合物及び組成物は敗血症を予防又は治療する製剤及び医薬を調製するのに使用することができる。幾つかの実施形態において、本明細書に開示されている化合物及び組成物は肺炎を予防又は治療する製剤及び医薬を調製するのに使用することができる。幾つかの実施形態において、本明細書に開示されている化合物及び組成物は急性肺障害を予防又は治療する製剤及び医薬を調製するのに使用することができる。
【0095】
そのような組成物は、限定されることはないが、例えば、顆粒、粉末、錠剤、カプセル、シロップ、座薬、注射、乳剤、エリキシル剤、懸濁液又は溶液の形態などの、任意の薬学的に許容される形態であってもよい。組成物は、例えば、経口、非経口、肺、局所、直腸、鼻、膣内の投与による、又は埋込リザーバを介するなどの、任意の薬学的に許容される投与経路用に製剤化することができる。非経口又は全身性の投与としては、限定されることはないが、皮下、静脈内、腹腔内、筋肉内、関節内、滑液嚢内、胸骨内、髄腔内、病巣内及び頭蓋内の注射が挙げられる。以下の剤形は例示であり、本主題を限定するように解釈するべきではない。
【0096】
本明細書に開示されている化合物の薬学的に許容される塩は本技術の範囲内と考えられる。本明細書に開示されている化合物は幾つかの塩基性窒素基を有しており、従って、薬学的に許容される塩は無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、及びリン酸)、有機酸(例えば、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、乳酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、及びp-トルエンスルホン酸)又は酸性アミノ酸(例えば、アスパラギン酸及びグルタミン酸)を用いて形成することができる。本明細書に開示されている化合物は酸性の置換基を有していることがあり、そのような場合、アルカリ及びアルカリ土類金属(例えば、Na+、Li+、K+、Ca2+、Mg2+、Zn2+)などの金属、有機アミン(例えば、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン)又は塩基性アミノ酸(例えば、アルギニン、リジン及びオルニチン)と共に塩を形成することができる。
【0097】
本明細書に開示されている技術の範囲内のある化合物はプロドラッグといわれる誘導体である。表現「プロドラッグ」は公知の直接作用する薬物の誘導体、例えばエステル及びアミドを意味し、この誘導体は薬物と比較して高まった送達特性及び治療的価値を有しており、酵素的又は化学的なプロセスにより活性な薬物に変換される。Notari, R. E., 「Theory and Practice of Prodrug Kinetics, 」 Methods in Enzymology, 112: 309-23 (1985)、Bodor, N., 「Novel Approaches in Prodrug Design,」 Drugs of the Future, 6: 165-82 (1981)、及びBundgaard, H., 「Design of Prodrugs: Bioreversible-Derivatives for Various Functional Groups and Chemical Entities,」 in DESIGN OF PRODRUGS (H. Bundgaard, ed.), Elsevier (1985), and Goodman and Gilmans, The Pharmacological Basis Of Therapeutics, 8th ed., McGraw-Hill (1992)を参照されたい。
【0098】
経口、口腔、及び舌下の投与用には、粉末、懸濁液、顆粒、錠剤、丸薬、カプセル、ジェルカップ、及びカプレットが固体の剤形として許容される。これらは、例えば、本明細書に記載されている1種以上の化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは互変異性体とデンプン又は他の添加剤などの少なくとも1つの添加剤とを混合することによって調製することができる。適切な添加剤としては、限定されることはないが、スクロース、ラクトース、セルロース糖類、マンニトール、マルチトール、デキストラン、デンプン、寒天、アルジネート(alginate)、キチン、キトサン、ペクチン、トラガカントガム、アラビアゴム、ゼラチン、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、合成若しくは半合成ポリマー又はグリセリドをはじめとする、あらゆる薬学的に許容される賦形剤が挙げられる。場合により、経口剤形は投与に役立つ他の成分、例えば不活性な希釈剤、又は滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム、又は保存料、例えばパラベン若しくはソルビン酸、又は酸化防止剤、例えばアスコルビン酸、トコフェロール若しくはシステイン、崩壊剤、結合剤、増粘剤、緩衝剤、甘味料、香味剤又は芳香剤を含むことができる。錠剤及び丸薬は更に当技術分野で公知の適切なコーティング材で処理してもよい。
【0099】
以上広く記載した本主題は、例示として提供され、本主題を制限する意図のない以下の実施例を参照すると、より容易に理解されるであろう。
【0100】
IV.定義
本明細書で使用されるとき、「約」は当業者によって理解され、使用される状況に応じてある程度変化し得る。使用されている状況を考慮して当業者にとって明らかでない用語が使用されるならば、「約」はその特定の用語のプラスマイナス10%までを意味し得る。
【0101】
要素を説明する上で(殊に添付の特許請求の範囲との関連で)用語「a」及び「an」及び「the」及び同様な指示対象の使用は、本明細書中で他に示さない限り、又は前後関係により明らかに矛盾しない限り、単数及び複数の両方を含むと解釈されたい。本明細書で値の範囲の記述は、本明細書中で他に示さない限り、単に、その範囲内に入る各々の別個の値を個々に言及する略記法としての役目を果たすことを意図したものであり、各々の別個の値はあたかも本明細書に個別に記述されているかのように本明細書中に組み込まれる。本明細書に記載されている全ての方法は、本明細書中で他に示さない限り、又はその他前後関係により明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で実行することができる。本明細書中で提供される任意及び全ての例、又は典型的な言葉(例えば、「など」)の使用は、単に、他に述べない限りその実施形態をより良く明らかにすることを意図したものであり、特許請求の範囲の範囲に制限を課すものではない。本明細書中のいかなる言葉も特許請求の範囲に記載されていない要素を必須のものとして示すと解釈してはならない。
【0102】
本明細書で使用されるとき、用語「アルキル」とは、もっぱら炭素及び水素の原子のみからなり、不飽和を含有せず、1~15個の炭素原子を有する直鎖又は分岐の炭化水素鎖基(例えば、C1~C15アルキル)を示す。ある実施形態において、アルキルは1~13個の炭素原子を含む(例えば、C1~C13アルキル)。ある実施形態において、アルキルは1~8個の炭素原子を含む(例えば、C1~C8アルキル)。ある実施形態において、アルキルは1~6個の炭素原子を含む(例えば、C1~C6アルキル)。ある実施形態において、アルキルは2~8個の炭素原子を含む(例えば、C2~C8アルキル)。ある実施形態において、アルキルは2~6個の炭素原子を含む(例えば、C2~C6アルキル)。ある実施形態において、アルキルは1~3個の炭素原子を含む(例えば、C1~C3アルキル)。他の実施形態において、アルキルは5~15個の炭素原子を含む(例えば、C5~C15アルキル)。他の実施形態において、アルキルは5~8個の炭素原子を含む(例えば、C5~C8アルキル)。アルキル、例えばメチル(Me)、エチル(Et)、n-プロピル、1-メチルエチル(iso-プロピル)、n-ブチル、n-ペンチル、1,1-ジメチルエチル(t-ブチル)、3-メチルヘキシル、2-メチルヘキシル、などは、単結合により分子の残部に結合する。幾つかの実施形態において、置換アルキル基は次の置換基、即ち、ハロ、シアノ、ニトロ、オキソ、チオキソ、-ORa、-SRa、-OC(O)-Rb、-N(Ra)2、-C(O)Ra、-C(O)ORa、-C(O)N(Ra)2、-N(Ra)C(O)ORa、-N(Ra)C(O)Ra、N(Ra)S(O)2Rb、-S(O)2ORa及び-S(O)2N(Ra)2の1つ以上により置換されており、ここで各々のRaは独立して水素、アルキル、フルオロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール又はヘテロアリールアルキルであり、各々のRbは独立してアルキル、フルオロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール又はヘテロアリールアルキルである。
【0103】
用語「アルコキシ」は本明細書で使用されるときアルキルエーテル基を示し、ここで用語アルキルは本明細書で定義されている通りである。適切なアルキルエーテル基の非限定例としては、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、iso-ブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、シクロペントキシ、などが挙げられる。
【0104】
用語「アリール」とは、環炭素原子から水素原子を除去することによって芳香族の単環式又は多環式の炭化水素環系から誘導される基を示す。芳香族の単環式又は多環式の炭化水素環系は水素及び6~18個の炭素原子の炭素のみを含有し、環系の環の少なくとも1つは完全に不飽和であり、即ち、ヒュッケル理論に従う環状の非局在化した(4n+2)π-電子系を含有する。幾つかの実施形態において、アリール基は6~10個の炭素原子を有する。アリール基としては、限定されることはないが、フェニル、フルオレニル、及びナフチルなどの基が挙げられる。幾つかの実施形態において、用語「置換アリール」は、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、フルオロアルキル、シアノ、ニトロ、場合により置換されているアリール、場合により置換されているアラルキル、場合により置換されているアラルケニル、場合により置換されているアラルキニル、場合により置換されているカルボシクリル、場合により置換されているカルボシクリルアルキル、場合により置換されているヘテロシクリル、場合により置換されているヘテロシクリルアルキル、場合により置換されているヘテロアリール、場合により置換されているヘテロアリールアルキル、-Rc-ORa、-Rc-OC(O)-Rb、-Rc-N(Ra)2、-Rc-C(O)Ra、-Rc-C(O)ORa、-Rc-C(O)N(Ra)2、-Rc-O-Rd-C(O)N(Ra)2、-Rc-N(Ra)C(O)ORa、-Rc-N(Ra)C(O)Ra、-Rc-N(Ra)S(O)2Rb、-Rc-S(O)2ORa及び-Rc-S(O)2N(Ra)2から独立して選択される1つ以上の置換基により置換されているアリール基を包含することを意味し、ここで各々のRaは独立して水素、アルキル、フルオロアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール(場合により1つ以上のハロ基で置換されている)、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール又はヘテロアリールアルキルであり、各々のRbは独立してアルキル、フルオロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール又はヘテロアリールアルキルであり、各々のRcは独立して直接結合又は直鎖若しくは分岐のアルキレン、アルケニ
レン、若しくはアルキニレン鎖であり、Rdは直鎖又は分岐のアルキレン、アルケニレン、又はアルキニレン鎖であり、上記置換基の各々は他に示さない限り非置換である。
【0105】
用語「カルボシクリル」とは、もっぱら炭素及び水素の原子のみからなり、3~15個の炭素原子を有する、縮合又は架橋の環系を含んでいてもよい、安定な非芳香族の単環式又は多環式の炭化水素基を示す。ある実施形態において、カルボシクリルは3~10個の炭素原子を含む。幾つかの実施形態において、カルボシクリルは5~7個の炭素原子を含む。幾つかの実施形態において、カルボシクリルは4~7個の炭素原子を含む。幾つかの実施形態において、カルボシクリルは5~6個の炭素原子を含む。カルボシクリルは単結合により分子の残部に結合する。カルボシクリルは飽和であっても(即ち、C-C単結合のみを含有する)、又は不飽和であっても(即ち、1つ以上の二重結合を含有する)よい。完全に飽和したカルボシクリル基はまた「シクロアルキル」ともいわれる。単環式のシクロアルキルの例としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及びシクロオクチルが挙げられる。不飽和のカルボシクリルはまた「シクロアルケニル」ともいわれる。単環式のシクロアルケニルの例としては、例えば、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、及びシクロオクテニルが挙げられる。多環式のカルボシクリル基としては、例えば、アダマンチル、ノルボルニル(即ち、ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル)、ノルボルネニル、デカリニル、7,7-ジメチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、などが挙げられる。幾つかの実施形態において、用語「置換カルボシクリル」は、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、フルオロアルキル、オキソ、チオキソ、シアノ、ニトロ、場合により置換されているアリール、場合により置換されているアラルキル、場合により置換されているアラルケニル、場合により置換されているアラルキニル、場合により置換されているカルボシクリル、場合により置換されているカルボシクリルアルキル、場合により置換されているヘテロシクリル、場合により置換されているヘテロシクリルアルキル、場合により置換されているヘテロアリール、場合により置換されているヘテロアリールアルキル、-Rc-ORa、-Rc-SRa、-Rc-OC(O)-Rb、-Rc-N(Ra)2、-Rc-C(O)Ra、-Rc-C(O)ORa、-Rc-C(O)N(Ra)2、-Rc-O-Rd-C(O)N(Ra)2、-Rc-N(Ra)C(O)ORa、-Rc-N(Ra)C(O)Ra、-Rc-N(Ra)S(O)2Rb、-Rc-S(O)2ORa及び-Rc-S(O)2N(Ra)2から独立して選択される1つ以上の置換基により置換されているカルボシクリル基を含むことを意味し、ここで、各々のRaは独立して水素、アルキル、フルオロアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール(場合により1つ以上のハロ基で置換されてる)、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール又はヘテロアリールアルキルであり、各々のRbは独立してアルキル、フルオロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール又はヘテロアリールアルキルであり、各々のRcは独立して直接結合、又は直鎖若しくは分岐のアルキレン、アルケニレン、若しくはアルキニレン鎖である。
【0106】
用語「ハロ」又は「ハロゲン」とは、本明細書で使用されるとき、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素を示す。幾つかの実施形態において、ハロゲンはフッ素、塩素、又は臭素から選択され得、個々にフッ素又は塩素又は臭素であり得る。
【0107】
用語「ハロアルキル」とは、本明細書で使用されるとき、1つ以上の上で定義したハロ基で置換されているアルキル基を示し、ここで用語アルキルは本明細書で定義されている通りである。ハロアルキルの非限定例としては、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、1-フルオロメチル-2-フルオロエチル、などが挙げられる。
【0108】
用語「ヘテロアリール」とは、1~17個の炭素原子並びに窒素、酸素及び硫黄から選択される1~6個のヘテロ原子を含む5~18員の芳香族環基から誘導される基を示す。本明細書で使用されるとき、ヘテロアリール基は単環式、二環式、三環式又は四環式の環系であってよく、この環系の環の少なくとも1つは完全に不飽和であり、即ち、ヒュッケル理論に従う環状の非局在化した(4n+2)π-電子系を含有する。ヘテロアリールには縮合又は架橋の環系が含まれる。幾つかの実施形態において、ヘテロアリール基のヘテロ原子(1個又は複数個)は場合により酸化されている。幾つかの実施形態において、1つ以上の窒素原子は、存在するならば、場合により四級化されている。ヘテロアリールは環(1つ又は複数)の任意の原子を介して分子の残部に結合する。ヘテロアリールの例としては、限定されることはないが、アゼピニル、アクリジニル、ベンズイミダゾリル、ベンズインドリル、1,3-ベンゾジオキソリル、ベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾ[d]チアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾ[b][1,4]ジオキセピニル、ベンゾ[b][1,4]オキサジニル、1,4-ベンゾジオキサニル、ベンゾナフトフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾジオキシニル、ベンゾピラニル、ベンゾピラノニル、ベンゾフラニル、ベンゾフラノニル、ベンゾチエニル(ベンゾチオフェニル)、ベンゾチエノ[3,2-d]ピリミジニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾ[4,6]イミダゾ[l,2-a]ピリジニル、カルバゾリル、シンノリニル、シクロペンタ[d]ピリミジニル、6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[4,5]チエノ[2,3-d]ピリミジニル、5,6-ジヒドロベンゾ[h]キナゾリニル、5,6-ジヒドロベンゾ[h]シンノリニル、6,7-ジヒドロ-5H-ベンゾ[6,7]シクロヘプタ[l,2-c]ピリダジニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、フラニル、フラノニル、フロ[3,2-c]ピリジニル、5,6,7,8,9,10-ヘキサヒドロシクロオクタ[d]ピリミジニル、5,6,7,8,9,10-ヘキサヒドロシクロオクタ[d]ピリダジニル、5,6,7,8,9,10-ヘキサヒドロシクロオクタ[d]ピリジニル、イソチアゾリル、イミダゾリル、インダゾリル、インドリル、インダゾリル、
イソインドリル、インドリニル、イソインドリニル、イソキノリル、インドリジニル、イソオキサゾリル、5,8-メタノ-5,6,7,8-テトラヒドロキナゾリニル、ナフチリジニル、1,6-ナフチリジノニル、オキサジアゾリル、2-オキソアゼピニル、オキサゾリル、オキシラニル、5,6,6a,7,8,9,10,10a-オクタヒドロベンゾ[h]キナゾリニル、1-フェニル-lH-ピロリル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、フタラジニル、プテリジニル、プリニル、ピロリル、ピラゾリル、ピラゾロ[3,4-d]ピリミジニル、ピリジニル、ピリド[3,2-d]ピリミジニル、ピリド[3,4-d]ピリミジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピロリル、キナゾリニル、キノキサリニル、キノリニル、イソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、5,6,7,8-テトラヒドロキナゾリニル、5,6,7,8-テトラヒドロベンゾ[4,5]チエノ[2,3-d]ピリミジニル、6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-シクロヘプタ[4,5]チエノ[2,3-d]ピリミジニル、5,6,7,8-テトラヒドロピリド[4,5-c]ピリダジニル、チアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、トリアジニル、チエノ[2,3-d]ピリミジニル、チエノ[3,2-d]ピリミジニル、チエノ[2,3-c]ピリジニル、及びチオフェニル(即ちチエニル)が挙げられる。幾つかの実施形態において、用語「置換ヘテロアリール」は、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、フルオロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、オキソ、チオキソ、シアノ、ニトロ、場合により置換されているアリール、場合により置換されているアラルキル、場合により置換されているアラルケニル、場合により置換されているアラルキニル、場合により置換されているカルボシクリル、場合により置換されているカルボシクリルアルキル、場合により置換されているヘテロシクリル、場合により置換されているヘテロシクリルアルキル、場合により置換されているヘテロアリール、場合により置換されているヘテロアリールアルキル、-Rc-ORa、-Rc-SRa、-Rc-OC(O)-Rb、-Rc-N(Ra)2、-Rc-C(O)Ra、-Rc-C(O)ORa、-Rc-C(O)N(Ra)2、-Rc-O-Rd-C(O)N(Ra
)2、-Rc-N(Ra)C(O)ORa、-Rc-N(Ra)C(O)Ra、-Rc-N(Ra)S(O)2Rb、-Rc-S(O)2ORa及び-Rc-S(O)2N(Ra)2から選択される1つ以上の置換基により置換されている上で定義したヘテロアリール基を含むことを意味し、ここで、各々のRaは独立して水素、アルキル、フルオロアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール(場合により1つ以上のハロ基で置換されている)、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール又はヘテロアリールアルキルであり、各々のRbは独立してアルキル、フルオロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール又はヘテロアリールアルキルであり、各々のRcは独立して直接結合又は直鎖若しくは分岐のアルキレン、アルケニレン、若しくはアルキニレン鎖である。
【0109】
用語「ヘテロシクリル」とは、3~12個の炭素原子並びに窒素、酸素及び硫黄から選択される1~6個のヘテロ原子を含む安定な4~18員の非芳香族環基をいう。本明細書中他に特に断らない限り、ヘテロシクリル基は単環式、二環式、三環式又は四環式の環系であり、縮合又は架橋の環系を含み得る。ヘテロシクリル基のヘテロ原子は場合により酸化されていてもよい。幾つかの実施形態において、1つ以上の窒素原子は、存在するならば、場合により四級化されている。ヘテロシクリル基は部分的又は完全に飽和している。ヘテロシクリルは環(1つ又は複数)の任意の原子を介して分子の残部に結合し得る。そのようなヘテロシクリル基の例としては、限定されることはないが、ジオキソラニル、チエニル[l,3]ジチアニル、デカヒドロイソキノリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、イソチアゾリジニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、オクタヒドロインドリル、オクタヒドロイソインドリル、2-オキソピペラジニル、2-オキソピペリジニル、2-オキソピロリジニル、オキサゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、4-ピペリドニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、キヌクリジニル、チアゾリジニル、テトラヒドロフリル、トリチアニル、テトラヒドロピラニル、チオモルホリニル、チアモルホリニル、1-オキソ-チオモルホリニル、及び1,1-ジオキソ-チオモルホリニルが挙げられる。幾つかの実施形態において、用語「置換ヘテロシクリル」は、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、フルオロアルキル、オキソ、チオキソ、シアノ、ニトロ、場合により置換されているアリール、場合により置換されているアラルキル、場合により置換されているアラルケニル、場合により置換されているアラルキニル、場合により置換されているカルボシクリル、場合により置換されているカルボシクリルアルキル、場合により置換されているヘテロシクリル、場合により置換されているヘテロシクリルアルキル、場合により置換されているヘテロアリール、場合により置換されているヘテロアリールアルキル、-Rc-ORa、-Rc-SRa、-Rc-OC(O)-Rb、-Rc-N(Ra)2、-Rc-C(O)Ra、-Rc-C(O)ORa、-Rc-C(O)N(Ra)2、-Rc-O-Rd-C(O)N(Ra)2、-Rc-N(Ra)C(O)ORa、-Rc-N(Ra)C(O)Ra、-Rc-N(Ra)S(O)2Rb、-Rc-S(O)2ORa及び-Rc-S(O)2N(Ra)2から選択される1つ以上の置換基により置換されている上で定義したヘテロシクリル基を含むことを意味し、ここで、各々のRaは独立して水素、アルキル、フルオロアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール(場合により1つ以上のハロ基で置換されている)、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール又はヘテロアリールアルキルであり、各々のRbは独立してアルキル、フルオロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール又はヘテロアリールアルキルであり、各々のRcは独立して直接結合又は直鎖若しくは分岐のアルキレン、アルケニレン、若しくはアルキニレン鎖である。
【0110】
用語「任意選択」又は「場合により」は、その後に続いて記載されている事象又は状況が起こっても起こらなくてもよく、その記載にはその事象又は状況が起こる場合と起こらない場合とが包含されることを意味する。例えば、「場合により置換されているアリール」は、そのアリール基が置換されていても置換されていなくてもよく、この記載が置換アリール基と置換をもたないアリール基との両方を含むことを意味する。
【0111】
用語「立体異性体」は、個々の分子の空間内での原子の配向のみが異なる全ての異性体に対する一般用語である。これには、エナンチオマー及び1より多くのキラル中心を有する互いの鏡像ではない化合物の異性体(ジアステレオマー)が含まれる。
【0112】
用語「エナンチオマー」及び「エナンチオマー性」とは、その鏡像に重ね合わせことができず、そのため光学的に活性である分子を示し、ここでエナンチオマーは偏光面を1つの方向に回転し、その鏡像化合物は偏光面を反対方向に回転する。
【0113】
本明細書で使用されるとき、用語「互変異性体」とは、ある化合物の、水素及び二重結合がその分子の他の原子に対して変化した位置を有する特定の異性体をいう。互変異性体の例としては、ケト-エノール形、イミン-エナミン形、アミド-イミノアルコール形、アミジン-アミニジン形、ニトロソ-オキシム形、チオケトン-エンチオール形、N-ニトロソ-ヒドロキシアゾ形、ニトロ-aci-ニトロ形、及びピリジオン(pyridione)-ヒドロキシピリジン形がある。
【0114】
用語「薬学的に許容される」とは、生物学的又はその他望ましくないことがない物質をいい、即ち、その物質は、それが含有される組成物の他の成分のいずれとも有害な相互作用をすることなく、又はいかなる望ましくない生物学的な影響も生じることなく、患者に投与される医薬組成物中に組み込むことができる。用語「薬学的に許容される」が医薬の担体又は賦形剤を意味して使用されるとき、その担体若しくは賦形剤が毒物学的及び製造試験の必要基準に適合するか又はアメリカ食品医薬品局により作成された不活性成分指針(Inactive Ingredient Guide)に含まれていることを示唆している。
【0115】
用語「患者」とは、治療が望ましいあらゆる動物をいう。患者は哺乳類でよく、通例、本明細書で使用されるとき、患者はヒト個体である。
【0116】
用語「薬学的に許容される塩」は、本明細書で使用されるとき、本主題の化合物の塩又は両性イオン形態を表し、これらは水又は油に可溶性又は分散性であり、過度の毒性、刺激、及びアレルギー応答なしに病気の治療に適しており、正当なベネフィット/リスク比にふさわしく、且つそれらの使用目的に有効である。塩は、化合物の最終の単離及び精製中に、又は別途遊離塩基の形態の適当な化合物と適切な酸とを反応させることによって調製することができる。代表的な酸付加塩としては、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、L-アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩(ベシル酸塩)、重硫酸塩、酪酸塩、カンホレート(camphorate)、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、ジグルコン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、ゲンチシン酸塩、グルタル酸塩、グリセロリン酸塩、グリコール酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、馬尿酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩(イセチオン酸塩)、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、DL-マンデル酸塩、メシチレンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフチレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、ホスホン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ピログルタミン酸塩、コハク酸塩、スルホン酸塩、酒石酸塩、L-酒石酸塩、トリクロロ酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、リン酸塩、グルタミン酸塩、重炭酸塩、パラ-トルエンスルホン酸塩(p-トシル酸塩)、及びウンデカン酸塩が挙げられる。また、本主題の化合物中の塩基性の基はメチル、エチル、プロピル、及びブチルの塩化物、臭化物、及びヨウ化物;ジメチル、ジエチル、ジブチル、及びジアミルの硫酸エステル;デシル、ラウリル、ミリスチル、及びステリル(steryl)の塩化物、臭化物、及びヨウ化物;並びにベンジル及びフェネチルの臭化物で四級化することができる。薬学的に許容される付加塩を形成するのに使用することができる酸の例としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、及びリン酸などの無機酸、並びにシュウ酸、マレイン酸、コハク酸、及びクエン酸などの有機酸が挙げられる。塩はまた、化合物のアルカリ金属又はアルカリ土類イオンとの配位によっても形成することができる。従って、本主題は本主題の化合物のナトリウム、カリウム、マグネシウム、及びカルシウム塩などを予期している。
【0117】
薬剤の「有効な」量は、所望の治療効果を促進するのに有効な、治療剤の量、又は治療剤の送達割合を意味する。正確な所望の治療効果は治療しようとする状態、投与される製剤、及び当業者に了承されているその他の様々な要因に応じて変わり得る。
【0118】
用語「溶媒和物」はその最も広い意味で使用される。例えば、用語溶媒和物には本主題の化合物が1つ以上の結合水分子を含有するときに形成される水和物が含まれる。
【0119】
用語「治療する」又は「治療」とは、統計的に有意な程度又は当業者にとって検出可能な程度に、疾患に関連する状態、症状、又はパラメーターを改善するか、又は疾患の進行を妨げるのに有効な量、方法、又は様式で、ある療法を施すことをいう。有効な量、方法、又は様式は対象に応じて変えることができ、患者に合わせて調整してもよい。
【実施例
【0120】
本主題を例証するために以下の実施例を挙げる。しかしながら、本主題はこれらの実施例に記載される具体的な条件又は詳細に限定されないことを理解されたい。
【0121】
[実施例]
[実施例1]
初期実験。
スクリーニングにより、SCFサブユニットFbxo48発現がAMPKタンパク質安定性を調節することが決定された(データは示さない)。特に、Fbxo48異所性発現はAMPK及びphospho-AMPKレベルを用量依存的に低下させた(図1A)。更に、AMPKリン酸化及び活性化に必要とされる重要な残基T172を含有するFbxo48とAMPKとの間の特定の結合領域が同定された。AMPKから誘導されたビオチン-標識ペプチドを、Fbxo48をプルダウンするためのベイトとして使用したペプチド結合実験を行った。興味深いことに、Fbxo48はT172残基がリン酸化されているペプチド2と劇的により大きい相互作用を示した。同様な結合パターンは、T172がphospho-mimicとしてグルタミン酸に突然変異したペプチド3で観察された(図1B)。これらの実験はFbxo48がT172部位においてphospho-AMPKを標的とすることを示唆している。更に、shRNAを用いてLkb1をノックダウンすることによって上流の分子経路を調査した。図1Cに示されているように、細胞飢餓はAMPKリン酸化を促進し、次にこれがAMPK総タンパク質を減少させる。しかし、Lkb1ノックダウンはAMPKリン酸化レベルを劇的に低下させ、AMPK総タンパク質を安定化した。更に、Lkb1 shRNAはCHXチェイスを用いてAMPKタンパク質を安定化させたことが示された(図1D)。
【0122】
[実施例2]
インシリコスクリーニング。
分子ドッキング解析及びスコアランキング演算を用いて、Fbxo48ドメインキャビティーにフィットし得る潜在的なリガンドを査定した(図2A)。Discovery Studio 3.5のLibDockプログラムによって、3百万の潜在的なリガンドをFbxo48ポケットについてバーチャルにスクリーニングした。この初期段階のスクリーニングの後、化合物1(表1)が同定された。図2BはFbxo48に結合した化合物1のインシリコドッキングモデルを示す。
【0123】
[実施例3]
化合物1(BC1583)のインビトロ研究。
化合物1を、Beas2B細胞を用いるインビトロアッセイで研究した。化合物1はビヒクルコントロールと比較して2h以内にphospho-AMPKレベルを劇的に増大させた(図3A)。次に、化合物1をBeas2B細胞内で用量依存的に試験したところ、2μMでphospho-AMPKレベルが劇的に増大した(図3B)。更に、化合物1と公知のAMPK活性化剤AICARとの相乗効果を検査した。図3Cに示されているように、AICARは、用量依存的ではあるが、約0.05mMの非常に高い濃度で、phospho-AMPKレベルを増大させた。しかしながら、AICARと化合物1との両方で細胞を併用処理すると、4μMの化合物1はAICAR効果を完全に飽和した。4μMの化合物1は単独で、phospho-AMPK及び下流のp-ACCレベルを、0.25mMでのAICAR処理を十分超えて、増大させた(図3C)。
【0124】
[実施例4]
同定及びインビトロ特性決定に至るヒット。
化合物1のアナログを構築することによってSAR研究を行った。これらの化合物の1つ、化合物12(BC1609)は、AMPKリン酸化に対して更により改善された活性を示した。100~500nMで、化合物12はグルコースあり又はなしでphospho-AMPK及び下流のp-ACCレベルを有効に増大させた(図4A~B)。化合物12はAMPKα1及びAMPKα2の両者のmRNAレベルを有効に低下させ、高レベルの活性AMPKに起因する細胞補償機序を示唆した(図4C)。これはまた、化合物12がAMPKの真正の活性化剤であることも示唆している。化合物12をPBMCで更に試験した。簡単に述べると、PBMCを様々な濃度の化合物12で4h処理した後LPS(10ng/ml)に2h曝露した。化合物12はPBMCからのLPS誘発IL-1放出を潜在的に阻害することが観察された(図4D)。
【0125】
[実施例5]
LPS-誘発敗血症モデルにおける化合物12(BC1609)。
敗血症モデルにおいて、化合物12をi.p.注射によって様々な用量でマウスに投与し、10min後、マウスにLPS(大腸菌、3mg/kg i.p.)を与えた。2時間後、マウスを安楽死させ、血液を集め、IL-1β、IL-6及びTNFαサイトカインレベルをアッセイした。化合物12はインビボで高い効能を示した(阻害用量[ID50]IL-1β=0.1mg/kg、ID50IL-6=0.4mg/kg、及びID50TNF-α=0.4mg/kg)(図5)。これらの阻害濃度は、化合物12の予測された齧歯動物の経口LD50用量が約20g/kgであることを考えると非常に低い。従って、化合物12はインビボで予測された毒性用量よりずっと低い用量において生物活性を発揮する。
【0126】
[実施例6]
CLP-誘発敗血症モデルにおける化合物12(BC1609)。
化合物12を腸管穿孔(CLP)-誘発敗血症のモデルで検査した。CLPのマウスは有意に増大したサイトカイン放出を有していた。化合物12処理はマウスにおいて3種全ての循環炎症促進性サイトカインのCLP-誘発分泌を有意に弱めた(図6A~C)が、CLP-誘発敗血症モデルにおける細菌数に影響を及ぼさなかった(図6D)。更に、CLP-誘発敗血症モデルはまた、高まったBALサイトカイン、タンパク質及び細胞数に示されるように(図6E~I)、24hで肺障害も引き起こした。しかしながら、化合物12はCLP-誘発肺障害の重症度を有効に低減することができた。
【0127】
[実施例7]
肺炎の動物モデルにおける化合物12(BC1609)。
化合物12を2の肺炎モデルでシュードモナス(Pseudomonas)又はLPS内毒素を用いて試験した。先ず、化合物12は、PA103感染後洗浄細菌数に影響を及ぼすことなく洗浄タンパク質濃度、洗浄細胞数を実質的に低下させた(図7A~C)。化合物12はまた、洗浄炎症促進性サイトカインを用量依存的に有効に低減する(図7D~F)。薬剤のこれらの有益な効果は肺組織内のpAMPKレベルの劇的な増大を伴った(図7G)。化合物12の同様な効果はLPS肺炎モデルで観察され、それによって化合物12は洗浄タンパク質濃度、細胞数及びサイトカイン放出を有意に低下させた(図8A~E)。化合物12はまた、このモデルにおいて肺組織内のpAMPKレベルを有効に増大させた(図8F)。
【0128】
[実施例8]
化合物23(BC1618)のインビトロ特性決定。
化合物23を、Beas2B細胞を用いたインビトロ研究で試験し、メトホルミンと比較した。化合物23はマイクロモル(μM)以下の濃度(submicromolar concentration)でpAMPKリン酸化及び下流の基質ACCリン酸化を劇的に増大させるが、メトホルミンはミリモル濃度で同様な結果を達成する(図9A)。同様に、化合物23はまた、化合物12と比較して同等又は多少改善された活性も示した(図9B及び9C)。コントロール実験として、化合物23の、AMPK phospho mimic T172D突然変異体及びphospho dead突然変異体T172Aのレベルを増大させる能力を査定した。図9Dに示されているように、化合物23は、T172D phospho mimic突然変異体を劇的に増大させ、化合物23がpAMPK分解をブロックすることを示唆している。更に、化合物23は実際にFbxo48/pAMPK経路を標的とすることが確かめられた。siRNAを使用してFbxo48をノックダウンさせ、そのような細胞を化合物23で処理した。図9Eに示されているように、Fbxo48ノックダウンはpAMPK及びpACCレベルを増大させるのに充分であり、化合物23は経路を更に活性化することはできない。
【0129】
化合物23をインビトロ炎症アッセイで試験した。50K PBMC細胞を96ウェルプレートで培養した後、化合物23に18h曝露した。次いで細胞をLPS(10ng/ml)で更に4h処理した。次いで培地を集め、TNF及びIL-1bに関してアッセイした。化合物23はTNF及びIL-1bサイトカインの両者を用量依存的に低下させた(図10A)。サイトカインアレイを使用して、どのサイトカイン/ケモカインが化合物23により調節されたのか概略を得た。図10Bに示されているように、化合物23はCD40、GMCSF、IL-1b、IL-1ra、IL-2、IL-12、IL-13、ITAC及びTNFを低下させた。
【0130】
[実施例9]
化合物23(BC1618)のインビボ特性決定。
化合物23を敗血症モデルで試験した。化合物23をi.p.注射によって様々な用量でマウスに投与し、10min後、マウスにLPS(大腸菌、3mg/kg i.p.)を与えた。2h後、マウスを安楽死させ、血液を集め、IL-6及びTNFαのサイトカインレベルをアッセイした。化合物23はインビボで高い効能を示した(阻害用量ID50 IL-6=0.4mg/kg、及びID50 TNF-α=0.4mg/kg)(図11A及び11B)。最後に、化合物23を、LPS内毒素を用いた肺炎モデルで試験した。先ず、化合物23は洗浄タンパク質濃度及び洗浄細胞数を実質的に低下させた(図11C~D)。化合物23はまた、洗浄炎症促進性サイトカインも用量依存的に有効に低下させた(図11E~G)。このように化合物23はLPSにより誘発される肺障害に対して肺を保護する。
【0131】
[実施例10]
化合物11(BC1601)の調製。
アミノジフェニルメタン(5mmol)及び2-[(4-フルオロフェノキシ)メチル]オキシラン(5mmol)を合わせ、N2下70℃で一晩撹拌した。反応混合物を冷却して黄色の油を生成させ、次いでカラムクロマトグラフィーを用いて精製して最終生成物を黄色の結晶として得た(1.2g、68%収率)。
【0132】
[実施例11]
化合物12(BC1609)の調製。
ジベンジルアミン(5mmol)及び2-[(4-フルオロフェノキシ)メチル]オキシラン(5mmol)を合わせ、N2下70℃で一晩撹拌した。反応混合物を冷却して褐色の油を生成させ、次いでカラムクロマトグラフィーを用いて精製して最終生成物を黄色の油として得た(1.4g、77%収率)。
【0133】
[実施例12]
化合物13(BC15160)の調製。
アミノジフェニルメタン(5mmol)及び2-(フェノキシメチル)オキシラン(5mmol)を合わせ、N2下70℃で一晩撹拌した。反応混合物を冷却すると、白色の結晶が形成された。次いで生成物を酢酸エチル(15mL)中で再結晶させて所望の生成物を白色の粉末として得た(1.0g、58%収率)。
【0134】
[実施例13]
化合物14(BC15161)の調製。
2,2-ジフェニルエチルアミン(5mmol)及び2-(フェノキシメチル)オキシラン(5mmol)を合わせ、N2下70℃で一晩撹拌した。反応混合物を冷却して黄色の油を生成させた。次いで生成物を、カラムクロマトグラフを用いて精製して最終生成物の黄色の粉末を得た(0.8g、50%収率)。
【0135】
[実施例14]
化合物15(BC1602)の調製。
9H-キサンテン-9-アミン(4mmol)及び2-(フェノキシメチル)オキシラン(4mmol)をDMF(2mL)中に溶かし、N2下100℃で3h撹拌した。反応混合物を冷却して黄色の油を生成させた。次いでブライン(30mL)を反応混合物に撹拌しながら15min間で加えて生成物を遊離させた。次いで生成物をろ過し、水で洗浄し、真空下一晩乾燥して生成物を黄色の粉末として得た(1.29g、84%収率)。
【0136】
[実施例15]
化合物16(BC1603)の調製。
ジベンジルアミン(5mmol)及び2-(フェノキシメチル)オキシラン(5mmol)をイソプロパノール(20mL)中に溶かし、4h加熱還流した。次いで溶媒を真空下で除去して最終生成物を黄色の油として得た(1.6g、90%収率)。
【0137】
[実施例16]
化合物17(BC1604)の調製。
2,2-ジフェニルエチルアミン(5mmol)及び2-[(4-メトキシフェノキシ)メチル]-オキシラン(5mmol)をイソプロパノール(20mL)中に溶かし、一晩加熱還流した。次いで溶媒を真空下で除去して最終生成物を黄色の結晶として得た(1.7g、90%収率)。
【0138】
[実施例17]
化合物18(BC1606)の調製。
エピクロロヒドリン(0.01mol)及び4-シクロヘキシル-フェノール(0.01mol)を、30mmolのNaOHを含有する水(30mL)に加えた。反応混合物を1h還流し、冷却した。白色の沈殿をろ過し、水で洗浄し、真空下で乾燥した。次いで生成物をエタノール中で再結晶させて2-[(4-シクロヘキシルフェノキシ)メチル]-オキシラン(白色の結晶、2.7g、100%収率)を得た。2-[(4-シクロヘキシルフェノキシ)メチル]-オキシラン(4mmol)及びアミノジフェニルメタン(4mmol)をエタノール中に溶かし、一晩N2下で加熱還流した。次いで溶媒を真空下で除去して最終生成物を黄色の結晶として得た(1.4g、0.84%収率)。
【0139】
[実施例18]
化合物19(BC1607)の調製。
エピクロロヒドリン(0.02mmol)及びジベンジルアミン(0.02mmol)を合わせ、N2下90℃で一晩撹拌した。反応混合物を冷却して1-[ビス(フェニルメチル)アミノ]-3-クロロ-2-プロパノール(黄色の油、100%収率)を得た。1-[ビス(フェニルメチル)アミノ]-3-クロロ-2-プロパノール(3mmol)及び4-シクロヘキシル-フェノール(3mmol)を、10mmolのNaOHを含有する水(20mL)に加えた。反応混合物を1h加熱還流し、冷却した。酢酸エチル(2×20mL)を使用して生成物を抽出した。次いで溶媒を真空下で除去して最終生成物を黄色の結晶として得た(0.9g、0.66%収率)。
【0140】
[実施例19]
化合物20(BC1608)の調製。
エピクロロヒドリン(0.01mol)及び4-シクロヘキシル-フェノール(0.01mol)を、30mmolのNaOHを含有する水(30mL)に加えた。反応混合物を1h加熱還流し、冷却した。白色の沈殿をろ過し、水で洗浄し、真空下で乾燥した。次いで生成物をエタノール中で再結晶させて2-[(4-シクロヘキシルフェノキシ)メチル]-オキシラン(白色の結晶、2.7g、100%収率)を得た。2-[(4-シクロヘキシルフェノキシ)メチル]-オキシラン(4mmol)及び2,2-ジフェニルエチルアミン(4mmol)をエタノール中に溶かし、一晩N2下で還流した。次いで溶媒を真空下で除去して最終生成物を黄色の結晶として得た(1.5g、0.87%収率)。
【0141】
[実施例20]
化合物21(BC1610)の調製。
エピクロロヒドリン(0.02mmol)及びジベンジルアミン(0.02mmol)を合わせ、N2下90℃で一晩撹拌した。反応混合物を冷却して1-[ビス(フェニルメチル)アミノ]-3-クロロ-2-プロパノール(黄色の油、100%収率)を得た。1-[ビス(フェニルメチル)アミノ]-3-クロロ-2-プロパノール(3mmol)及び(4-ヒドロキシフェニル)フェニル-メタノン(3mmol)を、9mmolのNaOHを含有する水(20mL)に加えた。反応混合物を1h加熱還流し、冷却した。酢酸エチル(2×20mL)を使用して生成物を抽出した。次いで溶媒を真空下で除去して最終生成物を黄色の油として得た(0.83g、58%収率)。
【0142】
[実施例21]
化合物22(BC1611)の調製。
エピクロロヒドリン(0.02mmol)及びジベンジルアミン(0.02mmol)を合わせ、N2下90℃で一晩撹拌した。反応混合物を冷却して1-[ビス(フェニルメチル)アミノ]-3-クロロ-2-プロパノール(黄色の油、100%収率)を得た。1-[ビス(フェニルメチル)アミノ]-3-クロロ-2-プロパノール(3mmol)及び4-(2-ピリジニル)-フェノール(3mmol)を、9mmolのNaOHを含有する水(20mL)に加えた。反応混合物を1h加熱還流し、冷却した。酢酸エチル(2×20mL)を使用して生成物を抽出した。次いで溶媒を真空下で除去して最終生成物を黄色の油として得た(0.75g、54%収率)。
【0143】
[実施例22]
化合物23(BC1618)の調製。
ジベンジルアミン(5mmol)及び2-{[4-(トリフルオロメチル)フェノキシ]メチル}オキシラン(5mmol)を合わせ、N2下70℃で24h撹拌した。反応混合物を冷却して白色の結晶を生成させ、次いでカラムクロマトグラフィーを用いて精製して最終生成物を白色の粉末として得た(2.03g、86%収率)。
【0144】
表1の追加の化合物は上に記載した実施例に準じて調製した、又は調製することができる。表1のデータは以下の方法で得られた。ヒト気管支上皮細胞(Beas2B)を6-ウェルプレートに18h播種した。次いで細胞をグルコースなしのDMEM培地及び様々な濃度の化合物に更に18h曝露した後、イムノブロッティングのために集めた。
【0145】
[実施例23]
食餌誘発肥満マウス研究。
食餌誘発肥満マウスはJackson Labsから到着し、研究前の2週間、付属住居(satellite housing)で回復させた。マウスは25週齢で、研究の時点で19週間高脂肪食を給餌されていた。体重、脂肪及び除脂肪量を測定し、研究に先立って体重を群当たり約46.5g平均に合わせるためにマウスを群分けした。急性投薬試験に従って、マウスに、ビヒクル又は薬物を、正午と午後2時の間に、1日1回、14日間注射した(BC1618-L(低用量)=8mg/kg/d、BC1618-H(高用量)=40mg/kg/d)。毎日体重を記録した(図12~15)。図12及び図13は体重をグラムで示し、図14及び図15は体重を0日(D0)の体重に対する百分率として示す。全ての群で体重が減少したが、AICAR及びBC1618のいずれも、体重減少に対して効果があるようである。
【0146】
図16~19は、0日~14日の体重(BW)の変化(Δ)を、グラムの変化として(図16及び図17)又は0日からの変化のパーセントとして(図18及び図19)表して示す。ここでも、AICAR又はBC1618に起因する効果があるようである。
【0147】
体重を合わせた動物でD0及び14日(D14)に再び身体組成を測定した。図20~23のデータは、D0~D14の脂肪量の変化をグラムで(図20及び図21)又は変化のパーセントとして(図22及び図23)表して示す。データは主として、ビヒクル単独の効果並びにAICAR及びBC1618の明らかな添加効果がある体重に対して観察された効果を反映している。
【0148】
図24~27のデータは、D0~D14の除脂肪量の変化をグラムとして(図24及び図25)及び変化のパーセントとして(図26及び図27)表して示す。全体として、14日にわたって除脂肪量を低減するビヒクル及び薬物の適度の効果が見られるが、群間に差はない。従って、14日にわたるBWの変化は除脂肪量ではなく脂肪量の変化を反映している。
【0149】
[実施例24]
マウスにおける急性経口投薬研究。
高脂肪食給餌(20週)C57BL6Jマウスを午後4時から一晩絶食させた。1経口用量のビヒクル又は薬物(200mg/kgのAICAR、20mg/kgのBC1618)を午後5時に、及び追加の用量を翌朝7時にマウスに与えた。2h後9時に絶食血漿グルコースを測定し、続いて腹腔内耐糖能試験を行った(1g/kg体重のグルコース)。研究時の体重に差はなかった(図28)。絶食血漿グルコースはビヒクルと比較してAICAR及びBC1618の処理群でそれぞれ10%及び25%低下した(P=0.08、一元配置ANOVA、図29)。群間で耐糖能に差はなかった(データは示さない)。
【0150】
[実施例25]
高インスリン正常血糖クランプ研究。
食餌誘発肥満マウスに一晩絶食させる前に1×ビヒクル又はBC1618(20mg/kg)を投薬し、続いて高インスリン正常血糖クランプに先立って1×(20mg/kg)を朝投薬した。クランプに先立って群間に体重の差はなかった(図30)。絶食血漿グルコースはBC1618処理マウスで適度に低下した(111±3対100±6 mg/dl、P=0.12)。血漿グルコースレベルはクランプの間適合していた(図31、上部)。1618処理マウスで正常血糖を維持するのに必要とされるグルコース注入率(GIR)はVEH処理マウスよりおよそ2倍大きく(図31下部、図32は最後の40minにわたる平均、P<0.001)、改善された全身インスリン感受性を示している。
【0151】
以上の実施例は本発明を例証するために挙げられている。しかしながら、本発明の思想と範囲はこれらの実施例に記載されている特定の条件又は詳細に限定されないと理解されたい。限定されることはないが米国特許をはじめとする、本明細書で言及された全ての公に利用可能な文献は参照により特に組み込まれる。
【0152】
当業者には明らかなように、本発明の方法及び組成物において本発明の思想又は範囲から逸脱することなく様々な修正及び変更をすることができる。従って、本発明は、これらの発明の修正及び変更が添付の特許請求の範囲及びその均等物の範囲内に入る限り、それらの修正及び変更に及ぶことが意図されている。
【0153】
Para. A. 式Iの化合物
【0154】
【化28】
(式中、
XはC0~3アルキル、-(CH2)2-NH-(CH2)2-、-NH-CH2-、-O-CH2-、-O-(CH2)2-、-(CH2)2-O-(CH2)2-、又は-(CH2)-C(NH2)-(CH2)a-であり、
ZはC1~2アルキル、-(CH2)-NH-(CH2)-、-(CH2)-O-(CH2)-、又は-(CH2)a-C(NH2)-(CH2)-であり、
aは0又は1であり、
R1及びR2の少なくとも1つは-(CHRA)b-Yであり、ここで、各々のRAは独立してH、又は置換若しくは非置換のアリールであり、bは0又は1~3の整数であり、
R1及びR2の残りの1つは-(CH2)c-Yであるか、又はH、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のカルボシクリル、及び置換若しくは非置換のヘテロシクリルからなる群から選択され、cは0又は1~3の整数であり、
各々のYは独立して置換又は非置換のアリールであるか、あるいは
R1及びR2は、それらが結合している窒素と一緒になって、置換又は非置換の複素環を形成しており、
R3はアルキル、カルボシクリル、アリール、又はヘテロアリール基であり、ここで各々のアルキル、カルボシクリル、アリール、又はヘテロアリール基は場合により1つ以上の
【0155】
【化29】
により置換されており、ここで
AはC=O、SO、SO2、又は-(C(RB)2)d-であり、ここで各々のRBは独立してH、D、ハロゲン、OH、置換又は非置換のアルキル、及び置換又は非置換のアルコキシから選択され、
dは0又は1~3の整数であり、
Bは、置換又は非置換のアルキル、置換又は非置換のアルコキシ、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のカルボシクリル、置換又は非置換のヘテロシクリル、及び置換又は非置換のヘテロアリールからなる群から選択される)
若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
【0156】
Para. B. R3が場合により1つ以上の
【0157】
【化30】
により置換されているアルキル基である、Para. Aの化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
【0158】
Para. C. R3が場合により1つ以上の
【0159】
【化31】
により置換されているカルボシクリル基である、Para. Aの化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
【0160】
Para. D. R3が場合により1つ以上の
【0161】
【化32】
により置換されているアリール基である、Para. Aの化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
【0162】
Para. E. R3が場合により1つ以上の
【0163】
【化33】
により置換されているヘテロアリール基である、Para. Aの化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
【0164】
Para. F. 式IIの化合物
【0165】
【化34】
(式中、
XはC0~3アルキル、-(CH2)2-NH-(CH2)2-、-NH-CH2-、-O-CH2-、-O-(CH2)2-、-(CH2)2-O-(CH2)2-、又は-(CH2)-C(NH2)-(CH2)a-であり、
ZはC1~2アルキル、-(CH2)-NH-(CH2)-、-(CH2)-O-(CH2)-、又は-(CH2)a-C(NH2)-(CH2)-であり、
aは0又は1であり、
R1及びR2の少なくとも1つは-(CHRA)b-Yであり、ここで各々のRAは独立してH、又は置換若しくは非置換のアリールであり、bは0又は1~3の整数であり、
R1及びR2の残りの1つは-(CH2)c-Yであるか、又はH、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のカルボシクリル、及び置換若しくは非置換のヘテロシクリルからなる群から選択され、cは0又は1~3の整数であり、
各々のYは独立して置換又は非置換のアリールであるか、あるいは
R1及びR2は、それらが結合している窒素と一緒になって、置換又は非置換の複素環を形成しており、
R3は場合により1つ以上の
【0166】
【化35】
により置換されているアリール又はヘテロアリール基であり、ここで
AはC=O、SO、SO2、又は-(C(RB)2)d-であり、ここで各々のRBは独立してH、D、ハロゲン、OH、置換又は非置換のアルキル、及び置換又は非置換のアルコキシから選択され、
dは0又は1~3の整数であり、
Bは、C1~6アルキル、ハロアルキル、C1~6アルコキシ、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のカルボシクリル、置換又は非置換のヘテロシクリル、及び置換又は非置換のヘテロアリールからなる群から選択される)
若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
【0167】
Para. G. R3が非置換のフェニル、非置換のナフチル、又は1つ又は2つの
【0168】
【化36】
で置換されているフェニルである、Para. Fの化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
【0169】
Para. H. R3が非置換のフェニル又は1つの
【0170】
【化37】
で置換されているフェニルである、Para. Gの化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
【0171】
Para. I. R3が1つの
【0172】
【化38】
で置換されているフェニルである、Para. Hの化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
【0173】
Para. J. Aが-(C(RB)2)d-である、Para. A~Iのいずれか1つの化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
【0174】
Para. K. RBがH、又は置換若しくは非置換のアルキルである、Para. Jの化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
【0175】
Para. L. dが0である、Para. Jの化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
【0176】
Para. M. dが1~3の整数である、Para. J若しくはPara. Kの化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
【0177】
Para. N. AがC=Oである、Para. A~Iのいずれか1つの化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
【0178】
Para. O. AがSO又はSO2である、Para. A~Iのいずれか1つの化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
【0179】
Para. P. Bが、C2~6アルキル、ハロアルキル、C2~6アルコキシ、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のカルボシクリル、置換又は非置換のヘテロシクリル、及び置換又は非置換のヘテロアリールからなる群から選択される、Para. A~Oのいずれか1つの化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
【0180】
Para. Q. Bが、C2~6アルキル、ハロアルキル、C2~6アルコキシ、置換又は非置換のフェニル、置換又は非置換のC3~8カルボシクリル、及び置換又は非置換の6員のヘテロアリールからなる群から選択される、Para. Pの化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
【0181】
Para. R. Bが、ハロアルキル、C2~6アルコキシ、置換又は非置換のフェニル、C3~8カルボシクリル、及び置換又は非置換の6員のヘテロアリールからなる群から選択される、Para. Qの化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
【0182】
Para. S. 置換又は非置換の6員のヘテロアリールが置換又は非置換のピリジンである、Para. Q若しくはPara. Rの化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
【0183】
Para. T. R3が非置換のフェニルである、Para. Hの化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
【0184】
Para. U. XがC0~3アルキル、-NH-CH2-、又は-O-CH2-である、Para. A~Tのいずれか1つの化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
【0185】
Para. V. XがC0~3アルキルである、Para. A~Uのいずれか1つの化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
【0186】
Para. W. XがC0アルキルである、Para. Vの化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
【0187】
Para. X. XがC1~3アルキルである、Para. Vの化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
【0188】
Para. Y. XがC2アルキルである、Para. Xの化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
【0189】
Para. Z. XがCH2CH2である、Para. Yの化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
【0190】
Para. AA. Xが-NH-CH2-である、Para. A~Uのいずれか1つの化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
【0191】
Para. AB. Xが-O-CH2-である、Para. A~Uのいずれか1つの化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
【0192】
Para. AC. ZがC1~2アルキルである、Para. A~ABのいずれか1つの化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
【0193】
Para. AD. ZがC1アルキルである、Para. ACの化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
【0194】
Para. AE. ZがCH2である、Para. AB若しくはPara. ACの化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
【0195】
Para. AF. R1及びR2の少なくとも1つが-(CHRA)b-Yであり、ここで各々のRAは独立してH、又は置換若しくは非置換のアリールであり、bは0又は1~3の整数であり、R1及びR2の残りの1つは-(CH2)c-Yであるか、又はH、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のカルボシクリル、及び置換若しくは非置換のヘテロシクリルからなる群から選択され、cは0又は1~3の整数であり、各々のYは独立して置換又は非置換のアリールである、Para. A~AEのいずれか1つの化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
【0196】
Para. AG. R1及びR2の残りの1つが-(CH2)c-Yであるか、又はH、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアリール、及び置換若しくは非置換のカルボシクリルからなる群から選択され、cが0又は1~3の整数である、Para. A~AFのいずれか1つの化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
【0197】
Para. AH. R1及びR2の残りの1つが-(CH2)c-Y又はHであり、cが0又は1~3の整数である、Para. A~AGのいずれか1つの化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
【0198】
Para. AI. bが0又は1であり、R1及びR2の残りの1つが-(CH2)-Y又はHである、Para. A~AHのいずれか1つの化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
【0199】
Para. AJ. 各々のRAが独立してH、又は置換若しくは非置換のフェニルであり、bが0又は1であり、R1及びR2の残りの1つが-(CH2)-Y又はHであり、各々のYが置換又は非置換のフェニルである、Para. A~AIのいずれか1つの化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
【0200】
Para. AK. RAがHである、Para. A~AJのいずれか1つの化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
【0201】
Para. AL. RAがフェニルである、Para. A~AJのいずれか1つの化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
【0202】
Para. AM. bが1である、Para. A~ALのいずれか1つの化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
【0203】
Para. AN. bが0である、Para. A~ALのいずれか1つの化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
【0204】
Para. AO. R1及びR2の残りの1つが-(CH2)-Yである、Para. A~ANのいずれか1つの化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
【0205】
Para. AP. R1及びR2の残りの1つがHである、Para. A~ANのいずれか1つの化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
【0206】
Para. AQ. R1及びR2が、それらが結合している窒素と一緒になって、置換又は非置換の複素環を形成している、Para. A~AEのいずれか1つの化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
【0207】
Para. AR. R1及びR2が、それらが結合している窒素と一緒になって、置換又は非置換のテトラヒドロイソキノリンを形成している、Para. AQの化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
【0208】
Para. AS.
【0209】
【化39】
からなる群から選択される化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
【0210】
Para. AT.
【0211】
【化40】
からなる群から選択される化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
【0212】
Para. AU. ユビキチンE3リガーゼの結合をもたらす方法であって、ユビキチンE3リガーゼとPara. A~ATのいずれか1つの化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルとを接触させることを含む方法。
【0213】
Para. AV. 炎症の治療をそれを必要とする対象において実施する方法であって、治療上有効な量のPara. A~ATのいずれか1つの化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルを対象に投与することを含む方法。
【0214】
Para. AW. サイトカインにより駆動される炎症の治療をそれを必要とする対象において実施する方法であって、治療上有効な量のPara. A~ATのいずれか1つの化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルを対象に投与することを含む方法。
【0215】
Para. AX. 敗血症の治療をそれを必要とする対象において実施する方法であって、治療上有効な量のPara. A~ATのいずれか1つの化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルを対象に投与することを含む方法。
【0216】
Para. AY. 急性肺障害の治療をそれを必要とする対象において実施する方法であって、治療上有効な量のPara. A~ATのいずれか1つの化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルを対象に投与することを含む方法。
【0217】
Para. AZ. リン酸化されたAMPKのレベルの増大をそれを必要とする対象において実施する方法であって、治療上有効な量のPara. A~ATのいずれか1つの化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルを対象に投与することを含む方法。
【0218】
Para. BA. 細胞においてFbxo48とリン酸化されたAMPKとの間の相互作用を妨害する方法であって、細胞とPara. A~ATのいずれか1つの化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルとを接触させることを含む方法。
【0219】
Para. BB. Fbxo48とリン酸化されたAMPKとの間の相互作用の妨害をそれを必要とする対象において実施する方法であって、治療上有効な量のPara. A~ATのいずれか1つの化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルを対象に投与することを含む方法。
【0220】
Para. BC. メタボリックシンドロームの治療をそれを必要とする対象において実施する方法であって、治療上有効な量のPara. A~ATのいずれか1つの化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルを対象に投与することを含む方法。
【0221】
【表1】
【0222】
一定の実施形態について例示し記載してきたが、当技術分野の通常の技術に従って、添付の特許請求の範囲に定義されているそのより広い局面内の技術から逸脱することなく変更及び修正をなすことができると理解されたい。
【0223】
本明細書に例示として記載されている実施形態は、適宜、本明細書に具体的に開示されていない任意の要素(複数可)、限定(複数可)なしに実施してもよい。従って、例えば、用語「含む」、「包含する」、「含有する」等は広く限定なく読むべきである。加えて、本明細書で使用されている用語及び表現は限定ではなく説明として使用されており、そのような用語及び表現の使用は示され記載されている特徴又はその一部のすべての均等物を除外する意図はなく、様々な修正が特許請求の範囲に記載の技術の範囲内で可能であることが認識される。更に、「から本質的になる」という表現は、具体的に列挙されている要素と特許請求の範囲に記載の技術の基本的且つ新規な特徴に実質的に影響を及ぼさない追加の要素とを含むものと理解され得る。「からなる」という表現は具体的に示されていない任意の要素を排除する。
【0224】
本開示は本出願に記載されている特定の実施形態に限定されない。当業者には明らかなように、その思想及び範囲から逸脱することなく多くの修正及び変更をなすことができる。本明細書に列挙されているものに加えて、本開示の範囲内の機能的に等価な方法及び組成物は以上の記載から当業者には明らかであり得る。そのような修正及び変更は添付の特許請求の範囲の範囲内に入ることが意図されている。本開示は、添付の特許請求の範囲の用語、及びそのような特許請求の範囲が権利を有する均等物の全範囲によってのみ制限される。本開示は特定の方法、試薬、化合物、又は組成物(これらは当然変化することができる)に限定されないと理解されたい。また、本明細書で使用されている術語は特定の実施形態を説明する目的のみのものであり、限定することを意図したものでないことも理解されたい。
【0225】
加えて、本開示の特徴又は局面がマーカッシュグループで記載されている場合、当業者には認識され得るように、本開示はその記載によりマーカッシュグループのすべての個々のメンバー又はメンバーのサブグループに関連して記載されている。
【0226】
当業者には理解され得るように、あらゆる目的のために、特に書面による説明を提供する上で、本明細書に開示されている全ての範囲は可能なあらゆる部分範囲並びにその部分範囲の組合せも包含する。記載されているいずれの範囲も、充分に説明されており、同範囲を少なくとも等しい半分ずつ、3分の1、4分の1、5分の1、10分の1、等に分けることを可能にしているものと容易に認識され得る。非限定例として、本明細書に記載されている各々の範囲は容易に下部の3分の1、中央の3分の1及び上部の3分の1、等に分けることができる。また当業者には理解され得るように、例えば「まで」、「少なくとも」、「より大きい」、「未満」などのあらゆる言葉は、記述されている数を包含し、その後上記のような部分範囲に分けることができる範囲を示す。最後に、当業者には理解され得るように、ある範囲は各々個々のメンバーを包含する。
【0227】
本明細書で参照した全ての刊行物、特許出願、発行特許、及びその他の文献は、参照により、各々個々の刊行物、特許出願、発行特許、又はその他の文献が具体的且つ個別に参照によりその全体が組み込まれると示されているかのように本明細書に組み込まれる。参照により組み込まれたテキストに含有されている定義は、本開示内の定義と矛盾する範囲で排除される。
【0228】
他の実施形態は添付の特許請求の範囲に記載されている。
いくつかの実施形態を以下に示す。
項1
式Iの化合物
【化41】
(式中、
XはC 0~3 アルキル、-(CH 2 ) 2 -NH-(CH 2 ) 2 -、-NH-CH 2 -、-O-CH 2 -、-O-(CH 2 ) 2 -、-(CH 2 ) 2 -O-(CH 2 ) 2 -、又は-(CH 2 )-C(NH 2 )-(CH 2 ) a -であり、
ZはC 1~2 アルキル、-(CH 2 )-NH-(CH 2 )-、-(CH 2 )-O-(CH 2 )-、又は-(CH 2 ) a -C(NH 2 )-(CH 2 )-であり、
aは0又は1であり、
R 1 及びR 2 の少なくとも1つは-(CHR A ) b -Yであり、ここで、各々のR A は独立してH、又は置換若しくは非置換のアリールであり、bは0又は1~3の整数であり、
R 1 及びR 2 の残りの1つは-(CH 2 ) c -Yであるか、又はH、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のカルボシクリル、及び置換若しくは非置換のヘテロシクリルからなる群から選択され、cは0又は1~3の整数であり、
各々のYは独立して置換又は非置換のアリールであるか、あるいは
R 1 及びR 2 は、それらが結合している窒素と一緒になって、置換又は非置換の複素環を形成しており、
R 3 はアルキル、カルボシクリル、アリール、又はヘテロアリール基であり、ここで各々のアルキル、カルボシクリル、アリール、又はヘテロアリール基は場合により1つ以上の
【化42】
により置換されており、ここで、
AはC=O、SO、SO 2 、又は-(C(R B ) 2 ) d -であり、ここで各々のR B は独立してH、D、ハロゲン、OH、置換又は非置換のアルキル、及び置換又は非置換のアルコキシから選択され、
dは0又は1~3の整数であり、
Bは、置換又は非置換のアルキル、置換又は非置換のアルコキシ、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のカルボシクリル、置換又は非置換のヘテロシクリル、及び置換又は非置換のヘテロアリールからなる群から選択される)
若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
項2
R 3 が、場合により1つ以上の
【化43】
により置換されているアルキル基である、項1に記載の化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
項3
R 3 が、場合により1つ以上の
【化44】
により置換されているカルボシクリル基である、項1に記載の化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
項4
R 3 が、場合により1つ以上の
【化45】
により置換されているアリール基である、項1に記載の化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
項5
R 3 が、場合により1つ以上の
【化46】
により置換されているヘテロアリール基である、項1に記載の化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
項6
式IIの化合物
【化47】
(式中、
XはC 0~3 アルキル、-(CH 2 ) 2 -NH-(CH 2 ) 2 -、-NH-CH 2 -、-O-CH 2 -、-O-(CH 2 ) 2 -、-(CH 2 ) 2 -O-(CH 2 ) 2 -、又は-(CH 2 )-C(NH 2 )-(CH 2 ) a -であり、
ZはC 1~2 アルキル、-(CH 2 )-NH-(CH 2 )-、-(CH 2 )-O-(CH 2 )-、又は-(CH 2 ) a -C(NH 2 )-(CH 2 )-であり、
aは0又は1であり、
R 1 及びR 2 の少なくとも1つは-(CHR A ) b -Yであり、ここで、各々のR A は独立してH、又は置換若しくは非置換のアリールであり、bは0又は1~3の整数であり、
R 1 及びR 2 の残りの1つは-(CH 2 ) c -Yであるか、又はH、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のカルボシクリル、及び置換若しくは非置換のヘテロシクリルからなる群から選択され、cは0又は1~3の整数であり、
各々のYは独立して置換又は非置換のアリールであるか、あるいは
R 1 及びR 2 は、それらが結合している窒素と一緒になって、置換又は非置換の複素環を形成しており、
R 3 は場合により1つ以上の
【化48】
により置換されているアリール又はヘテロアリール基であり、ここで、
AはC=O、SO、SO 2 、又は-(C(R B ) 2 ) d -であり、ここで各々のR B は独立してH、D、ハロゲン、OH、置換又は非置換のアルキル、及び置換又は非置換のアルコキシから選択され、
dは0又は1~3の整数であり、
Bは、C 1~6 アルキル、ハロアルキル、C 1~6 アルコキシ、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のカルボシクリル、置換又は非置換のヘテロシクリル、及び置換又は非置換のヘテロアリールからなる群から選択される)
若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
項7
R 3 が、非置換のフェニル、非置換のナフチル、又は1つ若しくは2つの
【化49】
で置換されているフェニルである、項6に記載の化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
項8
R 3 が、非置換のフェニル又は1つの
【化50】
で置換されているフェニルである、項7に記載の化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
項9
R 3 が、1つの
【化51】
で置換されているフェニルである、項8に記載の化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
項10
Aが-(C(R B ) 2 ) d -である、項1~9のいずれか一項に記載の化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
項11
R B が、H、又は置換若しくは非置換のアルキルである、項1~10のいずれか一項に記載の化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
項12
dが0である、項1~11のいずれか一項に記載の化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
項13
dが1~3の整数である、項1~12のいずれか一項に記載の化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
項14
AがC=Oである、項1~9、11、12、及び13のいずれか一項に記載の化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
項15
AがSO又はSO 2 である、項1~9、11、12、及び13のいずれか一項に記載の化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
項16
Bが、C 2~6 アルキル、ハロアルキル、C 2~6 アルコキシ、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のカルボシクリル、置換又は非置換のヘテロシクリル、及び置換又は非置換のヘテロアリールからなる群から選択される、項1~15のいずれか一項に記載の化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
項17
Bが、C 2~6 アルキル、ハロアルキル、C 2~6 アルコキシ、置換又は非置換のフェニル、置換又は非置換のC 3~8 カルボシクリル、及び置換又は非置換の6員のヘテロアリールからなる群から選択される、項16に記載の化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
項18
Bが、ハロアルキル、C 2~6 アルコキシ、置換又は非置換のフェニル、C 3~8 カルボシクリル、及び置換又は非置換の6員のヘテロアリールからなる群から選択される、項17に記載の化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
項19
置換又は非置換の6員のヘテロアリールが置換又は非置換のピリジンである、項17に記載の化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
項20
R 3 が非置換のフェニルである、項8に記載の化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
項21
XがC 0~3 アルキル、-NH-CH 2 -、又は-O-CH 2 -である、項1~20のいずれか一項に記載の化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
項22
XがC 0~3 アルキルである、項1~20のいずれか一項に記載の化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
項23
XがC 0 アルキルである、項22に記載の化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
項24
XがC 1~3 アルキルである、項22に記載の化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
項25
XがC 2 アルキルである、項24に記載の化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
項26
XがCH 2 CH 2 である、項25に記載の化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
項27
Xが-NH-CH 2 -である、項1~20のいずれか一項に記載の化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
項28
Xが-O-CH 2 -である、項1~20のいずれか一項に記載の化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
項29
ZがC 1~2 アルキルである、項1~28のいずれか一項に記載の化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
項30
ZがC 1 アルキルである、項29に記載の化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
項31
ZがCH 2 である、項28に記載の化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
項32
R 1 及びR 2 の少なくとも1つが-(CHR A ) b -Yであり、ここで各々のR A は独立してH、又は置換若しくは非置換のアリールであり、bは0又は1~3の整数であり、R 1 及びR 2 の残りの1つが-(CH 2 ) c -Yであるか、又はH、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のカルボシクリル、及び置換若しくは非置換のヘテロシクリルからなる群から選択され、cは0又は1~3の整数であり、各々のYは独立して置換又は非置換のアリールである、項1~31のいずれか一項に記載の化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
項33
R 1 及びR 2 の残りの1つが-(CH 2 ) c -Yであるか、又はH、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアリール、及び置換若しくは非置換のカルボシクリルからなる群から選択され、cは0又は1~3の整数である、項1~31のいずれか一項に記載の化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
項34
R 1 及びR 2 の残りの1つが-(CH 2 ) c -Y又はHであり、cが0又は1~3の整数である、項1~31のいずれか一項に記載の化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
項35
bが0又は1であり、R 1 及びR 2 の残りの1つが-(CH 2 )-Y又はHである、項1~31のいずれか一項に記載の化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
項36
各々のR A が独立してH、又は置換若しくは非置換のフェニルであり、bが0又は1であり、R 1 及びR 2 の残りの1つが-(CH 2 )-Y又はHであり、各々のYが置換又は非置換のフェニルである、項1~31のいずれか一項に記載の化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
項37
R A がHである、項1~31のいずれか一項に記載の化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
項38
R A がフェニルである、項1~31のいずれか一項に記載の化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
項39
bが1である、項1~31のいずれか一項に記載の化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
項40
bが0である、項1~31のいずれか一項に記載の化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
項41
R 1 及びR 2 の残りの1つが-(CH 2 )-Yである、項1~31のいずれか一項に記載の化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
項42
R 1 及びR 2 の残りの1つがHである、項1~31のいずれか一項に記載の化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
項43
R 1 及びR 2 が、それらが結合している窒素と一緒になって、置換又は非置換の複素環を形成している、項1~31のいずれか一項に記載の化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
項44
R 1 及びR 2 が、それらが結合している窒素と一緒になって、置換又は非置換のテトラヒドロイソキノリンを形成している、項43に記載の化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
項45
【化52】
からなる群から選択される化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
項46
【化53】
からなる群から選択される化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
項47
ユビキチンE3リガーゼの結合をもたらす方法であって、ユビキチンE3リガーゼと項1~46のいずれか一項に記載の化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルとを接触させることを含む方法。
項48
炎症の治療をそれを必要とする対象において実施する方法であって、対象に治療上有効な量の項1~46のいずれか一項に記載の化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルを投与することを含む方法。
項49
サイトカインにより駆動される炎症の治療をそれを必要とする対象において実施する方法であって、対象に治療上有効な量の項1~46のいずれか一項に記載の化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルを投与することを含む方法。
項50
敗血症の治療をそれを必要とする対象において実施する方法であって、対象に治療上有効な量の項1~46のいずれか一項に記載の化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルを投与することを含む方法。
項51
急性肺障害の治療をそれを必要とする対象において実施する方法であって、対象に治療上有効な量の項1~46のいずれか一項に記載の化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルを投与することを含む方法。
項52
リン酸化されたAMPKのレベルの増大をそれを必要とする対象において実施する方法であって、対象に治療上有効な量の項1~46のいずれか一項に記載の化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルを投与することを含む方法。
項53
細胞においてFbxo48とリン酸化されたAMPKとの間の相互作用を妨害する方法であって、細胞と項1~46のいずれか一項に記載の化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルとを接触させることを含む方法。
項54
Fbxo48とリン酸化されたAMPKとの間の相互作用の妨害をそれを必要とする対象において実施する方法であって、対象に治療上有効な量の項1~46のいずれか一項に記載の化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルを投与することを含む方法。
項55
メタボリックシンドロームの治療をそれを必要とする対象において実施する方法であって、対象に治療上有効な量の項1~46のいずれか一項に記載の化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルを投与することを含む方法。
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