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7034160磁気共鳴画像法に使用するための高緩和度ガドリニウムキレート化合物
<図1>
  • -磁気共鳴画像法に使用するための高緩和度ガドリニウムキレート化合物 図1
  • -磁気共鳴画像法に使用するための高緩和度ガドリニウムキレート化合物 図2
  • -磁気共鳴画像法に使用するための高緩和度ガドリニウムキレート化合物 図3A
  • -磁気共鳴画像法に使用するための高緩和度ガドリニウムキレート化合物 図3B
  • -磁気共鳴画像法に使用するための高緩和度ガドリニウムキレート化合物 図3C
  • -磁気共鳴画像法に使用するための高緩和度ガドリニウムキレート化合物 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-03
(45)【発行日】2022-03-11
(54)【発明の名称】磁気共鳴画像法に使用するための高緩和度ガドリニウムキレート化合物
(51)【国際特許分類】
   C07D 257/02 20060101AFI20220304BHJP
   A61B 5/055 20060101ALI20220304BHJP
   A61K 49/10 20060101ALI20220304BHJP
   C07C 211/13 20060101ALI20220304BHJP
   C07F 5/00 20060101ALN20220304BHJP
【FI】
C07D257/02 CSP
A61B5/055 383
A61K49/10
C07C211/13
C07F5/00 D
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019528463
(86)(22)【出願日】2017-11-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-05-14
(86)【国際出願番号】 EP2017080306
(87)【国際公開番号】W WO2018096082
(87)【国際公開日】2018-05-31
【審査請求日】2020-11-20
(31)【優先権主張番号】16200932.8
(32)【優先日】2016-11-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】514298139
【氏名又は名称】バイエル・ファルマ・アクティエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マルクス・ベルガー
(72)【発明者】
【氏名】ジェシカ・ロルケ
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ-シュテファン・ヒルガー
(72)【発明者】
【氏名】グレゴール・ヨスト
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・フレンツェル
(72)【発明者】
【氏名】オラフ・パンクニン
(72)【発明者】
【氏名】フーベルトゥス・ピーチュ
【審査官】阿久津 江梨子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/197763(WO,A1)
【文献】特表平9-500660(JP,A)
【文献】特許第6703012(JP,B1)
【文献】独国特許発明第10117242(DE,C1)
【文献】中国特許出願公開第107523205(CN,A)
【文献】国際公開第2008/140840(WO,A1)
【文献】Contrast Media & Molecular Imaging ,2013年,Vol. 8, No. 6,pp. 475-486
【文献】Investigative Radiology ,2000年,Vol. 35, No. 1,pp. 8-24
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 257/02
A61B 5/055
A61K 49/10
C07C 211/13
C07F 5/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)の化合物
【化1】
(式中、
R1は、互いに独立に、水素原子またはメチル基を表し;
R2は、互いに独立に、
C1~C6-アルキル、C3~C6-シクロアルキル、C2~C6-ヒドロキシアルキル、(C1~C3-アルコキシ)-(C2~C4-アルキル)-、2-(2-メトキシエトキシ)エチル、2-(2-エトキシエトキシ)エチル、オキセタン-3-イル、テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル、およびフェニル
から選択される基を表し、
前記C1~C6-アルキル基は任意選択により、同一にまたは異なって、フェニル基で置換されていてもよく、フェニル基は任意選択により1、2または3回、同一にまたは異なって、ハロゲン原子またはC 1~C3-アルキル、C1~C3-ハロアルキル、およびC1~C3-アルコキシから選択される基で置換されていてもよく、
R 2 がフェニル基を表す場合、そのフェニル基は任意選択により、1、2または3回、同一にまたは異なって、ハロゲン原子またはC 1~C3-アルキル、C1~C3-ハロアルキル、およびC1~C3-アルコキシから選択される基で置換されていてもよい)
またはその立体異性体、互変異性体、N-オキシド、水和物、溶媒和物、もしくは塩、またはこれらの混合物。
【請求項2】
R1が水素原子を表し;
R2
C1~C6-アルキル、C3~C6-シクロアルキル、C2~C4-ヒドロキシアルキル、(C1~C3-アルコキシ)-(C2~C4-アルキル)-、オキセタン-3-イル、テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル、およびフェニル
から選択される基を表し、
前記C1~C6-アルキル基は任意選択により、同一にまたは異なって、フェニル基で置換されていてもよく、フェニル基が任意選択により、1、2または3回、同一にまたは異なって、ハロゲン原子またはC 1~C3-アルキル、C1~C3-ハロアルキル、およびC1~C3-アルコキシから選択される基で置換されていてもよく、
R 2 がフェニル基を表す場合、そのフェニル基が任意選択により、1、2または3回、同一にまたは異なって、ハロゲン原子またはC 1~C3-アルキル、C1~C3-ハロアルキル、およびC1~C3-アルコキシから選択される基で置換されていてもよい、
請求項1に記載の化合物またはその立体異性体、互変異性体、N-オキシド、水和物、溶媒和物もしくは塩、またはこれらの混合物。
【請求項3】
R1が水素原子を表し;
R2
C1~C6-アルキル、C3~C6-シクロアルキル、(C1~C3-アルコキシ)-(C2~C4-アルキル)-、およびフェニルから選択される基を表し、
前記C1~C6-アルキル基は任意選択により、同一にまたは異なって、フェニル基で置換されていてもよく、フェニル基は任意選択により、1、2または3回、同一にまたは異なって、ハロゲン原子またはC 1~C3-アルキル、C1~C3-ハロアルキル、およびC1~C3-アルコキシから選択される基で置換されていてもよく、
R 2 がフェニル基を表す場合、そのフェニル基は任意選択により、1、2または3回、同一にまたは異なって、ハロゲン原子またはC 1~C3-アルキル、C1~C3-ハロアルキル、およびC1~C3-アルコキシから選択される基で置換されていてもよい、
請求項1または2に記載の化合物またはその立体異性体、互変異性体、N-オキシド、水和物、溶媒和物もしくは塩、またはこれらの混合物。
【請求項4】
R1が水素原子を表し;
R2
C1~C4-アルキル、C3~C5-シクロアルキル、(C1~C2-アルコキシ)-(C2~C3-アルキル)-、およびフェニル
から選択される基を表し、
前記C1~C4-アルキル基は任意選択により、同一にまたは異なって、フェニル基で置換されていてもよく、フェニル基は任意選択により、1、2または3回、同一にまたは異なって、ハロゲン原子またはC 1~C3-アルキル、C1~C3-ハロアルキル、およびC1~C3-アルコキシから選択される基で置換されていてもよく、
R 2 がフェニル基を表す場合、そのフェニル基は任意選択により、1、2または3回、同一にまたは異なって、ハロゲン原子またはC 1~C3-アルキル、C1~C3-ハロアルキル、およびC1~C3-アルコキシから選択される基で置換されていてもよい、
請求項1、2、または3のいずれか一項に記載の化合物またはその立体異性体、互変異性体、N-オキシド、水和物、溶媒和物もしくは塩、またはこれらの混合物。
【請求項5】
R1が水素原子を表し、
R2
メチル、エチル、イソプロピル、2-メチルプロピル、ベンジル、シクロプロピル、シクロペンチル、2-メトキシエチル、2-エトキシエチル、およびフェニルから選択される基を表す、
請求項1、2、3、または4のいずれか一項に記載の化合物またはその立体異性体、互変異性体、N-オキシド、水和物、溶媒和物もしくは塩、またはこれらの混合物。
【請求項6】
テトラガドリニウム[4,10-ビス(カルボキシラトメチル)-7-{3,13-ジメチル-8,8-ビス({[(メチル{[4,7,10-トリス(カルボキシラトメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]アセチル}アミノ)アセチル]アミノ}-メチル)-2,5,11,14-テトラオキソ-15-[4,7,10-トリス(カルボキシラトメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロ-ドデカン-1-イル]-3,6,10,13-テトラアザペンタデカ-1-イル}-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]-アセテート、
テトラガドリニウム[4,10-ビス(カルボキシラトメチル)-7-{3,13-ジエチル-8,8-ビス({[(エチル{[4,7,10-トリス(カルボキシラトメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]アセチル}アミノ)アセチル]アミノ}-メチル)-2,5,11,14-テトラオキソ-15-[4,7,10-トリス(カルボキシラトメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロ-ドデカン-1-イル]-3,6,10,13-テトラアザペンタデカ-1-イル}-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]アセテート、
テトラガドリニウム{4,10-ビス(カルボキシラトメチル)-7-[15-(2-メトキシエチル)-10,10-ビス[({[(2-メトキシエチル){[4,7,10-トリス(カルボキシラトメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]-アセチル}アミノ]アセチル}アミノ)メチル]-7,13,16-トリオキソ-5-{[4,7,10-トリス(カルボキシラトメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]アセチル}-2-オキサ-5,8,12,15-テトラアザヘプタデカン-17-イル]-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル}アセテート、
テトラガドリニウム{4,10-ビス(カルボキシラトメチル)-7-[16-(2-エトキシエチル)-11,11-ビス[({[(2-エトキシエチル){[4,7,10-トリス(カルボキシラトメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]-アセチル}アミノ]アセチル}アミノ)メチル]-8,14,17-トリオキソ-6-{[4,7,10-トリス(カルボキシラトメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]アセチル}-3-オキサ-6,9,13,16-テトラアザオクタデカン-18-イル]-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル}アセテート、
テトラガドリニウム[4,10-ビス(カルボキシラトメチル)-7-{3,13-ジイソプロピル-8,8-ビス({[(イソプロピル-{[4,7,10-トリス(カルボキシラトメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]アセチル}アミノ)アセチル]-アミノ}メチル)-2,5,11,14-テトラオキソ-15-[4,7,10-トリス(カルボキシラトメチル)-1,4,7,10-テトラアザ-シクロドデカン-1-イル]-3,6,10,13-テトラアザペンタデカ-1-イル}-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]アセテート、
テトラガドリニウム{4,10-ビス(カルボキシラトメチル)-7-[3-イソブチル-8,8-ビス({[(イソブチル{[4,7,10-トリス(カルボキシラトメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]アセチル}アミノ)アセチル]アミノ}-メチル)-15-メチル-2,5,11-トリオキソ-13-{[4,7,10-トリス(カルボキシラトメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロ-ドデカン-1-イル]アセチル}-3,6,10,13-テトラアザヘキサデカ-1-イル]-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル}アセテート、
テトラガドリニウム[4,10-ビス(カルボキシラトメチル)-7-{3,13-ジシクロプロピル-8,8-ビス({[(シクロプロピル-{[4,7,10-トリス(カルボキシラトメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]アセチル}アミノ)アセチル]-アミノ}メチル)-2,5,11,14-テトラオキソ-15-[4,7,10-トリス(カルボキシラトメチル)-1,4,7,10-テトラアザ-シクロドデカン-1-イル]-3,6,10,13-テトラアザペンタデカ-1-イル}-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]アセテート、
テトラガドリニウム[4,10-ビス(カルボキシラトメチル)-7-{3,13-ジシクロペンチル-8,8-ビス({[(シクロペンチル-{[4,7,10-トリス(カルボキシラトメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]アセチル}アミノ)アセチル]-アミノ}メチル)-2,5,11,14-テトラオキソ-15-[4,7,10-トリス(カルボキシラトメチル)-1,4,7,10-テトラアザ-シクロドデカン-1-イル]-3,6,10,13-テトラアザペンタデカ-1-イル}-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]アセテート、
テトラガドリニウム[4,10-ビス(カルボキシラトメチル)-7-{2,5,11,14-テトラオキソ-3,13-ジフェニル-8,8-ビス({[(フェニル{[4,7,10-トリス)]カルボキシラトメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]アセチル}-アミノ)アセチル]アミノ}メチル)-15-[4,7,10-トリス(カルボキシラトメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロ-ドデカン-1-イル]-3,6,10,13-テトラアザペンタデカ-1-イル}-1,4,7,10-テトラアザ1シクロドデカン-1-イル]-アセテート、および
テトラガドリニウム[4,10-ビス(カルボキシラトメチル)-7-{3,13-ジベンジル-8,8-ビス({[(ベンジル{[4,7,10-トリス(カルボキシラトメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]アセチル}アミノ)アセチル]アミノ}-メチル)-2,5,11,14-テトラオキソ-15-[4,7,10-トリス(カルボキシラトメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロ-ドデカン-1-イル]-3,6,10,13-テトラアザペンタデカ-1-イル}-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]、アセテート
からなる群から選択される請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物またはその立体異性体、互変異性体、N-オキシド、水和物、溶媒和物、もしくは塩、またはこれらの混合物。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の一般式(I)の化合物を調製する方法であって、前記方法が、一般式(VIII)の中間体化合物:
【化2】
(式中、R2は請求項1から6のいずれか一項に記載の一般式(I)の化合物について定義される通りであり、LGは4-ニトロフェノール基を表す)
を一般式(IX)の中間体化合物:
【化3】
(式中、R1は請求項1から6のいずれか一項に記載の一般式(I)の化合物について定義される通りである)
またはその塩と反応させて、
それによって、一般式(I)の化合物:
【化4】
(式中、R1およびR2は請求項1から6のいずれか一項に記載の一般式(I)の化合物について定義される通りである)
の化合物を得るステップを含む方法。
【請求項8】
求項1から6のいずれか一項に記載の化合物からなる、磁気共鳴画像法のための造影剤
【請求項9】
画像診断に使用するための請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
診断薬を製造するための請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物またはその混合物の使用。
【請求項11】
磁気共鳴画像法用の造影剤を製造するための請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物またはその混合物の使用。
【請求項12】
効量の1種または複数の請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物及び医薬として許容可能な担体を含む医薬組成物であって、前記医薬組成物を患者に投与し、次に前記患者を磁気共鳴画像法にかけることによって、患者の体組織を画像化するために用いるための、医薬組成物。
【請求項13】
請求項1から6のいずれか一項に記載の一般式(I)の化合物を調製するための、
一般式(VII)の化合物:
【化5】
(式中、R2は請求項1から6のいずれか一項に記載の一般式(I)の化合物について定義される通りである)
の使用。
【請求項14】
請求項1から6のいずれか一項に記載の一般式(I)の化合物を調製するための、
一般式(VIII)の化合物:
【化6】
(式中、R2は請求項1から6のいずれか一項に記載の一般式(I)の化合物について定義される通りであり、LGは4-ニトロフェノール基を表す)
の使用。
【請求項15】
請求項1から6のいずれか一項に記載の一般式(I)の化合物を調製するための、
一般式(IX)の化合物:
【化7】
(式中、R1は請求項1から6のいずれか一項に記載の一般式(I)の化合物について定義される通りである)
またはその塩の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特許請求の範囲において特徴付けられる事項、すなわち低分子量コアポリアミンに基づく新規な高緩和度ガドリニウムキレート化合物(high relaxivity gadolinium compound)、前記化合物を調製する方法、前記化合物のMRI造影剤としての使用、および哺乳動物体内でのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
1.序論
9種類のガドリニウム系造影剤(GBCA)が臨床用途について承認されている:ガドペンテト酸ジメグルミン(Magnevist(登録商標))、ガドテル酸メグルミン(Dotarem(登録商標))、ガドテリドール(ProHance(登録商標))、ガドジアミド(Omniscan(登録商標))、ガドブトロール(Gadovist(登録商標))、ガドベルセタミド(OptiMARK(登録商標))、ガドキセト酸(Primovist(登録商標))、ガドベン酸メグルミン(MultiHance(登録商標))およびガドホスベセット三ナトリウム(Vasovist(登録商標)/Ablavar(登録商標))。ガドキセト酸、ガドベン酸メグルミンおよびガドホスベセット三ナトリウムを除いて、GBCAは体内で厳密に細胞外受動分布を示し、もっぱら腎臓を介して排泄される。
【0003】
ガドキセト酸およびガドベン酸メグルミンは他の薬剤とは異なる薬物動態プロファイルを示す。細胞外分布に加えて、これらは肝臓を通って取り込まれ、また部分的に排泄される。これにより、古典的な画像化の可能性(例えば、中枢神経系、血管造影、四肢、心臓、頭/顔/首、腹部および乳房の画像化)に加えて、肝細胞におけるGBCAの取り込みにより引き起こされる肝実質の強調による肝臓画像化も可能になる。
【0004】
他のGBCAとは対照的に、ガドホスベセット三ナトリウムは体内で受動拡散を示さず、血管腔内に残る。HSA(ヒト血清アルブミン)への可逆的結合によって引き起こされる血管内での延長された期間により、高分解能MR血管造影が可能になる。
【0005】
種々のGBCAは、それらの縦(r1)および横(r2)緩和度によって与えられ、磁場強度、温度および金属キレートの異なる固有因子に依存するそれらの有効性において異なる。固有緩和度に影響を及ぼすパラメータは、主に、ガドリニウムに直接結合した水分子(いわゆる内圏水、q)の数、内圏水分子の平均滞留時間(τm)、第二水和圏中の水分子(いわゆる第二圏水)の数および滞留時間、ならびに回転拡散(τr)である(Helm L.ら, Future Med Chem.2010;2:385~396)。その緩和度に関して、全ての市販のGBCAは互いに非常に類似しており、4~7 Lmmol-1s-1の範囲から得られる。
【0006】
GBCAの感度を高めるための戦略はしばしば文献に記載されている(Caravan P.らChem.Soc.Rev., 2006, 35, 512~523、Helmら, Future Med Chem. 2010;2:385~396、Jacques V., Invest Radiol.2010;45:613~624)。戦略の1つは、キレート中のガドリニウムイオンに直接配位している水分子である内圏水分子(q)の増加である。AAZTAおよびHOPO系配位子の例が示すように、1個から2個への内圏水分子の増加は緩和度の有意な増加をもたらす。緩和度を増大させるための別の戦略は、分子の回転拡散を遅くすることである。いわゆるタンブリング速度(τr、序論参照)は、溶液中の分子のタンブリングを表し、主にGBCAの分子サイズおよびタンパク質結合によって影響される(Merbach A.S.ら, The Chemistry of Contrast Agents in Medical Magnetic Resonance Imaging, 2013, ISBN:978-1-119-99176-2)。
【0007】
GBCAのさらに重要な特徴は、それらの錯体安定性である。GBCAが遊離の毒性Gd3+イオンを放出する可能性は安全上の大きな問題であり、特に末期腎疾患を有する患者にとって最も重要である。腎性全身性線維症(NSF)は、重度の腎不全患者におけるGBCAへの曝露に関連する稀で深刻な症候群である。NSFは皮膚および多くの器官における線維性変化を伴う。2010年に、食品医薬品局(FDA)は、ガドジアミド(Omniscan(登録商標))、ガドベン酸メグルミン(MultiHance(登録商標))、ガドペンテト酸ジメグルミン(Magnevist(登録商標))およびガドベルセタミド(OptiMARK(登録商標))(Yang LらRadiology.2012;265:248~253)を含む、NSFに主に関与している4つのGBCAについての改訂した表示に関する勧告を公開した。一見したところ、全てのGBCAの安定性が非常に高いが、鎖状剤と大環状剤の間および線状剤のイオン性代表種と非イオン性代表種の間には有意な差が存在する。大環状GBCAは最高の錯体安定性を有する(Frenzel T.らInvest Radiol.2008;43:817~828)。リスク患者のより良い認識、低用量の使用、および大環状GBCAのより広範な使用のために、NSFの発生率はここ数年で減少している(Wang Y.らRadiology.2011;260:105~111およびBecker S.らNephron Clin Pract.2012;121:c91~c94)。
【0008】
臨床応用にとって決定的な課題はインビボ安定性である。熱力学的安定性と組み合わされた速度論的不活性は、特に、腎性全身性線維症(NSF)のリスクに関して、q=2キレートのインビボ毒性の最良の予測因子である(Merbach A.S.ら, The Chemistry of Contrast Agents in Medical Magnetic Resonance Imaging, 2013, ISBN:978-1-119-99176-2, 157~208頁)。q=2を有する錯体は緩和度の2倍の増強を示すが、残念ながら、これらはq=1化合物よりも低い安定性を有する(Hermann P.らDalton Trans., 2008, 3027~3047)。
【0009】
2.先行技術の説明、解決すべき課題およびその解答
いくつかの大環状化合物が先行技術に記載されている。
【0010】
欧州特許第1931673号明細書および欧州特許第2457914号明細書は、医用画像用の短いアミノアルコール鎖および金属錯体を含むpyDO3A(q=2)、DO3AおよびDOTA化合物に関する。
【0011】
高い緩和度を有する大環状ランタニドDO3AおよびDOTA様GBCAが先行技術に記載されている。
【0012】
Ranganathan R.S.ら (Investigative Radiology 1998;33:779~797)は、大環状ガドリニウムキレートの緩和度に対する多量体化の効果を調べた。国際公開第199531444号パンフレットは、緩和度が増強した単量体および多量体化合物に関する。
【0013】
米国特許第5679810号明細書は、アミドまたはエステル部分によって互いに結合した交互のキレート剤およびリンカー部分を有する鎖状オリゴマーポリキレート剤化合物およびそれを用いて形成されたキレート、ならびに画像診断におけるその使用に関する。
【0014】
米国特許第5650133号明細書は、ジキレート(dichelant)、特にエステルまたはアミド結合を含む架橋によって結合された2つの大環状キレート基を有する化合物、およびその金属キレート、および画像診断におけるその使用に関する。
【0015】
米国特許第8545813号明細書は、MRI用の造影剤および関連する使用方法に関し、基質に共有結合した様々な数のGd(III)錯体を有するクリックケミストリーによるMR造影剤を記載している。
【0016】
国際公開第2012/059576号パンフレットは、化学交換依存性飽和移動(Chemical Exchange-dependent Saturation Transfer)(CEST)に基づく磁気共鳴画像法(MRI)の分野に関する。
【0017】
Aime S.ら(Contrast Media Mol.Imaging 2013, 8 475~486)は、インビトロ細胞標識用のガドリニウム錯体の使用を記載している。
【0018】
国際公開第2006/002873号パンフレットは、画像診断の分野および高い緩和度を有する新規な造影剤に関する。
【0019】
Zhao G.ら(Inorganica Chimica Acta 406,(2013), 146~152)は、高い緩和度を有する造影剤として2つの多核ガドリニウム大環状錯体を記載している。
【0020】
Zhang W.ら(Z.Anorg.Allg.Chem.2015, 641, (3~4), 578~585)は、MRI用の高い緩和度を有する四核ガドリニウム大環状錯体を記載している。
【0021】
Alexander V.ら(Inorg.Chem.2005, 44, 9434~9443)は、四核ガドリニウム錯体の合成および緩和度の研究を記載している。
【0022】
国際公開第97/32862号パンフレットは、少なくとも2単位のキレート剤を標的担体構造(例えば、タンパク質、アミノ酸またはペプチドなど)のアミノ基に結合している磁気共鳴造影剤としてのガドリニウムポリキレート剤を記載している。
【0023】
米国特許出願公開第2007/202047号明細書は、キレート分子のカルボキシル基の少なくとも1つがアミンと反応する、1,4,7,10-テトラアザシクロ-ドデカン-1,4,7,10-四酢酸(DOTA)およびジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)から選択されるキレート分子から誘導される、磁気共鳴画像法に使用するためのガドリニウムキレート化合物に関する。
【0024】
より高い緩和度を有するGBCAは、一方では有意な線量減少の機会を提供し、他方では標準線量を使用する多くの疾患のMRI検査における感度の増加を提供する(Giesel FL.らEur Radiol 2010, 20:2461~2474)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0025】
【文献】欧州特許第1931673号明細書
【文献】欧州特許第2457914号明細書
【文献】国際公開第199531444号パンフレット
【文献】米国特許第5679810号明細書
【文献】米国特許第5650133号明細書
【文献】米国特許第8545813号明細書
【文献】国際公開第2012/059576号パンフレット
【文献】国際公開第2006/002873号パンフレット
【文献】国際公開第97/32862号パンフレット
【文献】米国特許出願公開第2007/202047号明細書
【非特許文献】
【0026】
【文献】Helm L.ら, Future Med Chem.2010;2:385~396
【文献】Caravan P.らChem. Soc. Rev., 2006, 35, 512~523
【文献】Jacques V.Invest Radiol.2010;45:613~624
【文献】Merbach A.S.ら, The Chemistry of Contrast Agents in Medical Magnetic Resonance Imaging, 2013, ISBN:978-1-119-99176-2
【文献】Yang LらRadiology.2012;265:248~253
【文献】Frenzel T.らInvest Radiol.2008;43:817~828
【文献】Wang Y.らRadiology.2011;260:105~111
【文献】Becker S.らNephron Clin Pract.2012;121:c91~c94
【文献】Hermann P.らDalton Trans., 2008、3027~3047
【文献】Ranganathan R.S.ら Investigative Radiology 1998;33:779~797
【文献】Aime S.ら(Contrast Media Mol.Imaging 2013, 8 475~486)
【文献】Zhao G.ら(Inorganica Chimica Acta 406, (2013), 146~152)
【文献】Zhang W.ら(Z.Anorg.Allg.Chem.2015, 641, (3~4), 578~585)
【文献】Alexander V.ら(Inorg.Chem.2005, 44, 9434~9443)
【文献】Giesel FL.らEur Radiol 2010, 20:2461~2474
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
しかしながら、
- 高い緩和度を示し、
- 好ましい薬物動態プロファイルを示し、
- 完全に排泄され、
- 化学的に安定であり、
- 高い水溶解度を示し、
- 有意な線量減少の可能性を提供し、
- 様々な身体領域の画像化に適している、
磁気共鳴画像法における一般的使用のためのGBCAを提供するという満たされていない医学的ニーズがある。
【0028】
上記先行技術は、本明細書で定義される本発明の一般式(I)の特定の高緩和度細胞外ガドリニウムキレート化合物、あるいは本明細書に記載および定義され、以下で「本発明の化合物」と呼ばれるその立体異性体、互変異性体、N-オキシド、水和物、溶媒和物もしくは塩またはこれらの混合物を記載していない。
【0029】
本発明の前記化合物が驚くべきかつ有利な特性を有することがここで分かり、このことが本発明の基礎を構成している。
【0030】
特に、本発明の前記化合物は、高緩和度、好ましい薬物動態プロファイル、完全な排泄、高い安定性、高い溶解度、有意な線量減少の可能性および全身画像化の可能性というバランスの取れたプロファイルを示すことが分かっており、そのため、磁気共鳴画像法(MRI)用の造影剤として使用され得る。
【課題を解決するための手段】
【0031】
本発明は、新規なクラスの高緩和度細胞外ガドリニウムキレート錯体、その調製方法、およびMRI造影剤としてのその使用を記載する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1A】半透膜(20kDa)を通過する様々な造影剤の拡散を示す図である。動的CT測定を行って、様々な造影剤が半透膜を通して拡散する能力を示した。基準化合物1(Gadovist(登録商標))および4(Gadomer(登録商標))のCT画像と比較した実施例1~10のCT画像である。画像RC1には、経時的なシグナル評価のための代表的な測定領域が示されている。
図1B】半透膜(20kDa)を通過する様々な造影剤の拡散を示す図である。30時間後の基準化合物1(Gadovist(登録商標))および4(Gadomer(登録商標))のCT画像と比較した実施例1~10のCT画像である。
図2A】経時的な動的CT拡散ファントム研究のシグナル分析を示す図である。基準化合物1および4と比較した、実施例1~5についてのウシ胎児溶液中の透析カセットの経時的なハウンスフィールド単位(HU)でのシグナルを示す図である。
図2B】経時的な動的CT拡散ファントム研究のシグナル分析を示す図である。基準化合物1および4と比較した、実施例6~10についてのウシ胎児溶液中の透析カセットの経時的なハウンスフィールド単位(HU)でのシグナルを示す図である。結果は、基準化合物4(Gadomer(登録商標))とは対照的に、調査した化合物の全てが半透膜(20kDa)を通過することができることを実証している。
図3A】(左)低用量(25μmol/kg)の基準化合物1(Gadovist(登録商標))についての代表的なMR血管造影図(最大強度投影)である。100μmol/kgの基準化合物1と比較して、25μmol/kgの実施例化合物6では、血管コントラストの質的な差は見られなかった。低用量の基準化合物における血管コントラストはかなり低い。
図3B】(中央)25μmol/kgの実施例化合物6についての代表的なMR血管造影図(最大強度投影)である。100μmol/kgの基準化合物1と比較して、25μmol/kgの実施例化合物6では、血管コントラストの質的な差は見られなかった。低用量の基準化合物における血管コントラストはかなり低い。
図3C】(右)標準用量(100μmol/kg)の基準化合物1(Gadovist(登録商標))についての代表的なMR血管造影図(最大強度投影)である。100μmol/kgの基準化合物1と比較して、25μmol/kgの実施例化合物6では、血管コントラストの質的な差は見られなかった。低用量の基準化合物における血管コントラストはかなり低い。
図4】標準用量(100μmol/kg)および低用量(25μmol/kg)の基準化合物1(Gadovist(登録商標))と比較した、25μmol/kgの実施例化合物6についての代表的な血管領域におけるシグナル増強(平均±標準偏差)を示す図である。標準用量の基準化合物と比較して化合物6の間に有意な差は存在しないが、低用量の基準化合物と比較して、有意に(p<0.001)高いシグナル増強が見られた。
【発明を実施するための形態】
【0033】
第一の態様によると、本発明は一般式(I)の化合物
【化1】
(式中、
R1は、互いに独立に、水素原子またはメチル基を表し;
R2は、互いに独立に、
C1~C6-アルキル、C3~C6-シクロアルキル、C2~C6-ヒドロキシアルキル、(C1~C3-アルコキシ)-(C2~C4-アルキル)-、2-(2-メトキシエトキシ)エチル、2-(2-エトキシエトキシ)エチル、オキセタン-3-イル、テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル、およびフェニル
から選択される基を表し、
前記C1~C6-アルキル基は任意選択により、同一にまたは異なって、フェニル基で置換されていてもよく、フェニル基は任意選択により1、2または3回、同一にまたは異なって、ハロゲン原子または
C1~C3-アルキル、C1~C3-ハロアルキル、およびC1~C3-アルコキシ
から選択される基で置換されていてもよく、
前記フェニル基は任意選択により、1、2または3回、同一にまたは異なって、ハロゲン原子または
C1~C3-アルキル、C1~C3-ハロアルキル、およびC1~C3-アルコキシ
から選択される基で置換されていてもよい)
またはその立体異性体、互変異性体、N-オキシド、水和物、溶媒和物、もしくは塩、またはこれらの混合物
を網羅する。
【0034】
定義
「置換されている」という用語は、存在している状況下で指定された原子の通常の結合価を超えないという条件で、指定された原子または基上の1個または複数の水素原子が、指示される基から選択されるものによって置き換えられていることを意味する。置換基および/または変数の組み合わせは許容される。
【0035】
「任意選択により置換されていてもよい」という用語は、置換基の数が0に等しいまたは0と異なり得ることを意味する。
【0036】
本発明による化合物中の基が置換されている場合、他に特定しない限り、前記基が1個または複数の置換基で一置換または多置換されることが可能である。本発明の範囲内において、繰り返し生じる全ての基の意味は、互いに独立している。本発明による化合物中の基が、1、2または3個の同一のまたは異なる置換基、特に1個の置換基で置換されることが可能である。
【0037】
複合置換基が2つ以上の部分で構成される、例えば(C1~C3-アルコキシ)-(C2~C6-アルキル)-の場合、所定の部分の位置が前記複合置換基の任意の適切な位置にあることが可能である、すなわち、C1~C3-アルコキシ部分が、前記(C1~C3-アルコキシ)-(C2~C6-アルキル)-基のC2~C6-アルキル部分の任意の炭素原子に結合することができる。このような複合置換基の最初または最後のハイフンは、前記複合置換基と分子の残りの結合点を示す。
【0038】
「含む」という用語は、本明細書において使用される場合、「からなる」を含む。
【0039】
本文中で、いずれかの項目が「本明細書で言及される」と言及されている場合、それは本文のどこにでも言及され得ることを意味する。
【0040】
本文で言及される用語は、以下の意味を有する:
「ハロゲン原子」という用語は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素原子、特にフッ素、塩素または臭素原子を意味する。
【0041】
「C1~C6-アルキル」という用語は、1、2、3、4、5または6個の炭素原子を有する直鎖または分岐の飽和一価炭化水素基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、2-メチルブチル、1-メチルブチル、1-エチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、ネオ-ペンチル、1,1-ジメチルプロピル、ヘキシル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、1-エチルブチル、2-エチルブチル、1,1-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、3,3-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブチル、1,2-ジメチルブチルもしくは1,3-ジメチルブチル基、またはこれらの異性体を意味する。特に、前記基は、1、2、3または4個の炭素原子を有する(「C1~C4-アルキル」)、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチルイソブチル、またはtert-ブチル基、さらに特に1、2または3個の炭素原子を有する(「C1~C3-アルキル」)、例えば、メチル、エチル、n-プロピルまたはイソプロピル基である。
【0042】
「C1~C3-ハロアルキル」という用語は、「C1~C3-アルキル」という用語が上に定義される通りであり、かつ水素原子の1個または複数が同一にまたは異なってハロゲン原子によって置き換えられている、直鎖または分岐の飽和一価炭化水素基を意味する。特に、前記ハロゲン原子はフッ素原子である。前記C1~C3-ハロアルキル基は、例えば、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、2-フルオロエチル、2,2-ジフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、3,3,3-トリフルオロプロピルまたは1,3-ジフルオロプロパン-2-イルである。
【0043】
「C2~C6-ヒドロキシアルキル」という用語は、「C2~C6-アルキル」という用語が上で定義されるものであり、1、2または3個の水素原子がヒドロキシ基で置き換えられている直鎖または分岐の飽和一価炭化水素基、例えば、2-ヒドロキシエチル、3-ヒドロキシプロピル、2-ヒドロキシプロピル、1-ヒドロキシプロパン-2-イル、2,3-ジヒドロキシプロピル、1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イル、1,3-ジヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-2-イル、3-ヒドロキシ-2-メチルプロピル、2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピル基を意味する。
【0044】
「C1~C3-アルコキシ」という用語は、「C1~C3-アルキル」という用語が上に定義される通りである式(C1~C3-アルキル)-O-の直鎖または分岐の飽和一価基、例えば、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシまたはイソプロポキシ基を意味する。
【0045】
「C3~C6-シクロアルキル」という用語は、3、4、5または6個の炭素原子を含む飽和一価単環式またはニ環式炭化水素環(「C3~C6-シクロアルキル」)を意味する。前記C3~C6-シクロアルキル基は、例えば、単環式炭化水素環、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシル基である。
【0046】
本文で使用される「C1~C6」という用語は、例えば、「C1~C6-アルキル」の定義の文脈において、1~6個の有限数の炭素原子、すなわち、1個、2個、3個、4個、5個または6個の炭素原子を有するアルキル基を意味する。
【0047】
さらに、本明細書で使用する場合、本文中で、例えば、「C3~C6-シクロアルキル」の定義の文脈で使用される「C3~C6」という用語は、3~6個、すなわち、3、4、5または6個の炭素原子という有限数の炭素原子を有するシクロアルキル基を意味する。
【0048】
ある範囲の値が与えられる場合、前記範囲は前記範囲内の各値および部分範囲を包含する。
【0049】
例えば:
「C1~C6」はC1、C2、C3、C4、C5、C6、C1~C6、C1~C5、C1~C4、C1~C3、C1~C2、C2~C6、C2~C5、C2~C4、C2~C3、C3~C6、C3~C5、C3~C4、C4~C6、C4~C5およびC5~C6を包含し;
「C1~C4」はC1、C2、C3、C4、C1~C4、C1~C3、C1~C2、C2~C4、C2~C3およびC3~C4を包含し;
「C1~C3」はC1、C2、C3、C1~C3、C1~C2およびC2~C3を包含し;
「C2~C6」はC2、C3、C4、C5、C6、C2~C6、C2~C5、C2~C4、C2~C3、C3~C6、C3~C5、C3~C4、C4~C6、C4~C5およびC5~C6を包含し;
「C3~C6」はC3、C4、C5、C6、C3~C6、C3~C5、C3~C4、C4~C6、C4~C5およびC5~C6を包含する。
【0050】
本発明の化合物は、種々の所望の置換基の位置および性質に応じて、1個または複数の不斉中心を含み得る。不斉炭素原子は、(R)または(S)配置で存在することができ、それは単一の不斉中心の場合にはラセミ混合物、複数の不斉中心の場合にはジアステレオマー混合物をもたらし得る。特定の例では、所定の結合、例えば、指定される化合物の2個の置換芳香環を接合する中心結合の周りの回転が制限されるために非対称が存在する場合もある。
【0051】
好ましい化合物は、より望ましい生物学的活性をもたらすものである。本発明の化合物の分離された、純粋なまたは部分的に精製された異性体および立体異性体あるいはラセミまたはジアステレオマー混合物も本発明の範囲に含まれる。このような材料の精製および分離は、当技術分野で知られている標準的技術によって達成することができる。
【0052】
光学異性体は、従来法によるラセミ混合物の分割、例えば、光学活性酸もしくは塩基を用いたジアステレオ異性体塩の形成、または共有結合性ジアステレオマーの形成によって得ることができる。適当な酸の例には、酒石酸、ジアセチル酒石酸、ジトルオイル酒石酸およびカンファースルホン酸がある。ジアステレオ異性体の混合物は、当技術分野で知られている方法、例えば、クロマトグラフィーまたは分別結晶によって、その物理的および/または化学的違いに基づいて個々のジアステレオマーに分離することができる。その後、光学活性塩基または酸を分離したジアステレオマー塩から遊離させる。光学異性体の別の分離法は、エナンチオマーの分離を最大化するために選択してもよい、従来の誘導体化を用いるまたは用いない、キラルクロマトグラフィー(例えば、キラルHPLCカラム)の使用を含む。適当なキラルHPLCカラムは、Daicel社によって製造されており、例えば、数ある中でも全て日常的に選択可能なChiracel ODおよびChiracel OJがある。誘導体化を用いるまたは用いない酵素分離も有用である。本発明の光学活性化合物はさらに、光学活性出発物質を利用したキラル合成によっても得ることができる。
【0053】
異性体の異なる型を互いから限定するために、IUPAC Rules Section E(Pure Appl Chem 45、11~30、1976)が参照される。
【0054】
本発明は、単一の立体異性体として、または任意の比の前記立体異性体、例えば、R-もしくはS-異性体またはE-もしくはZ-異性体の任意の混合物として本発明の化合物の全ての可能な立体異性体を含む。本発明の化合物の単一の立体異性体、例えば、単一のエナンチオマーまたは単一のジアステレオマーの単離は、任意の適当な先行技術の方法、例えば、クロマトグラフィー、特にキラルクロマトグラフィーによって達成することができる。
【0055】
さらに、本発明の化合物は、本発明の化合物の少なくとも1個の窒素が酸化されているという点で定義されるN-オキシドとして存在することができる。本発明は、全てのこのような可能なN-オキシドを含む。
【0056】
本発明はまた、本明細書に開示される化合物の有用な形態、例えば、代謝産物、水和物、溶媒和物、塩、特に医薬として許容可能な塩、および共沈物に関する。
【0057】
本発明の化合物は水和物または溶媒和物として存在することができ、本発明の化合物は例えば、化合物の結晶格子の構造要素として極性溶媒、特に水、メタノールまたはエタノールを含む。極性溶媒、特に水の量は、化学量論比または非化学量論比で存在し得る。化学量論的溶媒和物の場合、例えば、水和物、半-、(セミ-)、一-、セスキ-、二-、三-、四-、五-等の溶媒和物、または水和物がそれぞれ可能である。本発明は、全てのこのような水和物または溶媒和物を含む。
【0058】
さらに、本発明の化合物は塩の形態で存在し得る。前記塩は無機または有機付加塩のいずれか、特に薬学で習慣的に使用される任意の医薬として許容可能な無機または有機付加塩であり得る。
【0059】
「医薬として許容可能な塩」という用語は、本発明の化合物の比較的非毒性の無機または有機酸付加塩を指す。例えば、S.M.Bergeら「Pharmaceutical Salts」、J.Pharm.Sci.1977、66、1~19を参照されたい。具体的な中性塩の製造は米国特許第5560903号明細書に記載されている。
【0060】
本発明による化合物の医薬として許容可能な塩には、鉱酸およびカルボン酸の塩、例えば、それに限定されないが、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、アスパラギン酸およびグルタミン酸の塩が含まれる。
【0061】
当業者であれば、請求される化合物の酸付加塩が、いくつかの既知の方法のいずれかを介して化合物と適当な無機酸または有機酸の反応によって調製され得ることをさらに認識するだろう。
【0062】
本発明は、単一の塩として、または任意の比の前記塩の任意の混合物として本発明の化合物の全ての可能な塩を含む。
【0063】
本文中、特に実験節において、本発明の中間体および実施例の合成について、化合物を対応する塩基または酸による塩型として言及する場合、それぞれの調製および/または精製工程によって得られる前記塩型の正確な化学量論的組成は、ほとんどの場合、未知である。
【0064】
合成中間体もしくは実施例化合物またはこれらの塩を、(定義する場合)未知の化学量論的組成の水和物などの溶媒和物として、調製および/または精製工程によって得た場合にもこれが同様に当てはまる。
【0065】
第1の態様の第2の実施形態によると、本発明は、
R1が水素原子を表し;
R2
C1~C6-アルキル、C3~C6-シクロアルキル、C2~C4-ヒドロキシアルキル、(C1~C3-アルコキシ)-(C2~C4-アルキル)-、オキセタン-3-イル、テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イルおよびフェニル
から選択される基を表し、
前記C1~C6-アルキル基が任意選択により、同一にまたは異なって、フェニル基で置換されていてもよく、フェニル基が任意選択により、1、2または3回、同一にまたは異なって、ハロゲン原子または
C1~C3-アルキル、C1~C3-ハロアルキルおよびC1~C3-アルコキシ
から選択される基で置換されていてもよく、
前記フェニル基が任意選択により、1、2または3回、同一にまたは異なって、ハロゲン原子または
C1~C3-アルキル、C1~C3-ハロアルキルおよびC1~C3-アルコキシ
から選択される基で置換されていてもよい、
上記の一般式(I)の化合物またはその立体異性体、互変異性体、N-オキシド、水和物、溶媒和物もしくは塩、またはこれらの混合物を網羅する。
【0066】
第1の態様の第3の実施形態によると、本発明は、
R1が水素原子を表し;
R2
C1~C6-アルキル、C3~C6-シクロアルキル、(C1~C3-アルコキシ)-(C2~C4-アルキル)-およびフェニル
から選択される基を表し、
前記C1~C6-アルキル基が任意選択により、同一にまたは異なって、フェニル基で置換されていてもよく、フェニル基が任意選択により、1、2または3回、同一にまたは異なって、ハロゲン原子または
C1~C3-アルキル、C1~C3-ハロアルキルおよびC1~C3-アルコキシ
から選択される基で置換されていてもよく、
前記フェニル基が任意選択により、1、2または3回、同一にまたは異なって、ハロゲン原子または
C1~C3-アルキル、C1~C3-ハロアルキルおよびC1~C3-アルコキシ
から選択される基で置換されていてもよい、
上記の一般式(I)の化合物またはその立体異性体、互変異性体、N-オキシド、水和物、溶媒和物もしくは塩、またはこれらの混合物を網羅する。
【0067】
第1の態様の第4の実施形態によると、本発明は、
R1が水素原子を表し;
R2
C1~C4-アルキル、C3~C5-シクロアルキル、(C1~C2-アルコキシ)-(C2~C3-アルキル)-およびフェニル
から選択される基を表し、
前記C1~C4-アルキル基が任意選択により、同一にまたは異なって、フェニル基で置換されていてもよく、フェニル基が任意選択により、1、2または3回、同一にまたは異なって、ハロゲン原子または
C1~C3-アルキル、C1~C3-ハロアルキルおよびC1~C3-アルコキシ
から選択される基で置換されていてもよく、
前記フェニル基が任意選択により、1、2または3回、同一にまたは異なって、ハロゲン原子または
C1~C3-アルキル、C1~C3-ハロアルキルおよびC1~C3-アルコキシ
から選択される基で置換されていてもよい、
上記の一般式(I)の化合物またはその立体異性体、互変異性体、N-オキシド、水和物、溶媒和物もしくは塩、またはこれらの混合物を網羅する。
【0068】
第1の態様の第5の実施態様によると、本発明は、
R1が水素原子を表し、
R2
メチル、エチル、イソプロピル、2-メチルプロピル、ベンジル、シクロプロピル、シクロペンチル、2-メトキシエチル、2-エトキシエチルおよびフェニル
から選択される基を表す、
上記の一般式(I)の化合物またはその立体異性体、互変異性体、N-オキシド、水和物、溶媒和物もしくは塩、またはこれらの混合物を網羅する。
【0069】
上記態様のさらなる実施形態では、本発明は、
R1が、互いに独立に、水素原子またはメチル基を表す、
式(I)の化合物に関する。
【0070】
上記態様のさらなる実施形態では、本発明は、
R1が水素原子を表す、
式(I)の化合物に関する。
【0071】
上記態様のさらなる実施形態では、本発明は、
R2が、互いに独立に、
C1~C6-アルキル、C3~C6-シクロアルキル、C2~C6-ヒドロキシアルキル、(C1~C3-アルコキシ)-(C2~C4-アルキル)-、2-(2-メトキシエトキシ)エチル、2-(2-エトキシエトキシ)エチル、オキセタン-3-イル、テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イルおよびフェニル
から選択される基を表し、
前記C1~C6-アルキル基が任意選択により、同一にまたは異なって、フェニル基で置換されていてもよく、フェニル基が任意選択により、1、2または3回、同一にまたは異なって、ハロゲン原子または
C1~C3-アルキル、C1~C3-ハロアルキルおよびC1~C3-アルコキシ
から選択される基で置換されていてもよく、
前記フェニル基が任意選択により、1、2または3回、同一にまたは異なって、ハロゲン原子または
C1~C3-アルキル、C1~C3-ハロアルキルおよびC1~C3-アルコキシ
から選択される基で置換されていてもよい、
式(I)の化合物に関する。
【0072】
上記態様のさらなる実施形態では、本発明は、
R2
C1~C6-アルキル、C3~C6-シクロアルキル、C2~C4-ヒドロキシアルキル、(C1~C3-アルコキシ)-(C2~C4-アルキル)-、オキセタン-3-イル、テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イルおよびフェニル
から選択される基を表し、
前記C1~C6-アルキル基が任意選択により、同一にまたは異なって、フェニル基で置換されていてもよく、フェニル基が任意選択により、1、2または3回、同一にまたは異なって、ハロゲン原子または
C1~C3-アルキル、C1~C3-ハロアルキルおよびC1~C3-アルコキシ
から選択される基で置換されていてもよく、
前記フェニル基が任意選択により、1、2または3回、同一にまたは異なって、ハロゲン原子または
C1~C3-アルキル、C1~C3-ハロアルキルおよびC1~C3-アルコキシ
から選択される基で置換されていてもよい、
式(I)の化合物に関する。
【0073】
上記態様のさらなる実施形態では、本発明は、
R2
C1~C6-アルキル、C3~C6-シクロアルキル、、(C1~C3-アルコキシ)-(C2~C4-アルキル)-およびフェニル
から選択される基を表し、
前記C1~C6-アルキル基が任意選択により、同一にまたは異なって、フェニル基で置換されていてもよく、フェニル基が任意選択により、1、2または3回、同一にまたは異なって、ハロゲン原子または
C1~C3-アルキル、C1~C3-ハロアルキルおよびC1~C3-アルコキシ
から選択される基で置換されていてもよく、
前記フェニル基が任意選択により、1、2または3回、同一にまたは異なって、ハロゲン原子または
C1~C3-アルキル、C1~C3-ハロアルキルおよびC1~C3-アルコキシ
から選択される基で置換されていてもよい、
式(I)の化合物に関する。
【0074】
上記態様のさらなる実施形態では、本発明は、
R2
C1~C4-アルキル、C3~C5-シクロアルキル、、(C1~C2-アルコキシ)-(C2~C3-アルキル)-およびフェニル
から選択される基を表し、
前記C1~C4-アルキル基が任意選択により、同一にまたは異なって、フェニル基で置換されていてもよく、フェニル基が任意選択により、1、2または3回、同一にまたは異なって、ハロゲン原子または
C1~C3-アルキル、C1~C3-ハロアルキルおよびC1~C3-アルコキシ
から選択される基で置換されていてもよく、
前記フェニル基が任意選択により、1、2または3回、同一にまたは異なって、ハロゲン原子または
C1~C3-アルキル、C1~C3-ハロアルキルおよびC1~C3-アルコキシ
から選択される基で置換されていてもよい、
式(I)の化合物に関する。
【0075】
上記態様のさらなる実施形態では、本発明は、
R2
メチル、エチル、イソプロピル、2-メチルプロピル、ベンジル、シクロプロピル、シクロペンチル、2-メトキシエチル、2-エトキシエチルおよびフェニル
から選択される基を表す、
式(I)の化合物に関する。
【0076】
本発明はまた上記実施形態の任意の組合せに関することも理解されるべきである。
【0077】
第1の態様の別の実施形態は、以下からなる群から選択される式(I)の化合物:
テトラガドリニウム[4,10-ビス(カルボキシラトメチル)-7-{3,13-ジメチル-8,8-ビス({[(メチル{[4,7,10-トリス(カルボキシラトメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]アセチル}アミノ)アセチル]アミノ}-メチル)-2,5,11,14-テトラオキソ-15-[4,7,10-トリス(カルボキシラトメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロ-ドデカン-1-イル]-3,6,10,13-テトラアザペンタデカ-1-イル}-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]-アセテート、
テトラガドリニウム[4,10-ビス(カルボキシラトメチル)-7-{3,13-ジエチル-8,8-ビス({[(エチル{[4,7,10-トリス(カルボキシラトメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]アセチル}アミノ)アセチル]アミノ}-メチル)-2,5,11,14-テトラオキソ-15-[4,7,10-トリス(カルボキシラトメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロ-ドデカン-1-イル]-3,6,10,13-テトラアザペンタデカ-1-イル}-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]アセテート、
テトラガドリニウム{4,10-ビス(カルボキシラトメチル)-7-[15-(2-メトキシエチル)-10,10-ビス[({[(2-メトキシエチル){[4,7,10-トリス(カルボキシラトメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]-アセチル}アミノ]アセチル}アミノ)メチル]-7,13,16-トリオキソ-5-{[4,7,10-トリス(カルボキシラトメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]アセチル}-2-オキサ-5,8,12,15-テトラアザヘプタデカン-17-イル]-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル}アセテート、
テトラガドリニウム{4,10-ビス(カルボキシラトメチル)-7-[16-(2-エトキシエチル)-11,11-ビス[({[(2-エトキシエチル){[4,7,10-トリス(カルボキシラトメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]-アセチル}アミノ]アセチル}アミノ)メチル]-8,14,17-トリオキソ-6-{[4,7,10-トリス(カルボキシラトメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]アセチル}-3-オキサ-6,9,13,16-テトラアザオクタデカン-18-イル]-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル}アセテート、
テトラガドリニウム[4,10-ビス(カルボキシラトメチル)-7-{3,13-ジイソプロピル-8,8-ビス({[(イソプロピル-{[4,7,10-トリス(カルボキシラトメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]アセチル}アミノ)アセチル]-アミノ}メチル)-2,5,11,14-テトラオキソ-15-[4,7,10-トリス(カルボキシラトメチル)-1,4,7,10-テトラアザ-シクロドデカン-1-イル]-3,6,10,13-テトラアザペンタデカ-1-イル}-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]アセテート、
テトラガドリニウム{4,10-ビス(カルボキシラトメチル)-7-[3-イソブチル-8,8-ビス({[(イソブチル{[4,7,10-トリス(カルボキシラトメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]アセチル}アミノ)アセチル]アミノ}-メチル)-15-メチル-2,5,11-トリオキソ-13-{[4,7,10-トリス(カルボキシラトメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロ-ドデカン-1-イル]アセチル}-3,6,10,13-テトラアザヘキサデカ-1-イル]-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル}アセテート、
テトラガドリニウム[4,10-ビス(カルボキシラトメチル)-7-{3,13-ジシクロプロピル-8,8-ビス({[(シクロプロピル-{[4,7,10-トリス(カルボキシラトメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]アセチル}アミノ)アセチル]-アミノ}メチル)-2,5,11,14-テトラオキソ-15-[4,7,10-トリス(カルボキシラトメチル)-1,4,7,10-テトラアザ-シクロドデカン-1-イル]-3,6,10,13-テトラアザペンタデカ-1-イル}-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]アセテート、
テトラガドリニウム[4,10-ビス(カルボキシラトメチル)-7-{3,13-ジシクロペンチル-8,8-ビス({[(シクロペンチル-{[4,7,10-トリス(カルボキシラトメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]アセチル}アミノ)アセチル]-アミノ}メチル)-2,5,11,14-テトラオキソ-15-[4,7,10-トリス(カルボキシラトメチル)-1,4,7,10-テトラアザ-シクロドデカン-1-イル]-3,6,10,13-テトラアザペンタデカ-1-イル}-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]アセテート、
テトラガドリニウム[4,10-ビス(カルボキシラトメチル)-7-{2,5,11,14-テトラオキソ-3,13-ジフェニル-8,8-ビス({[(フェニル{[4,7,10-トリス)]カルボキシラトメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]アセチル}-アミノ)アセチル]アミノ}メチル)-15-[4,7,10-トリス(カルボキシラトメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロ-ドデカン-1-イル]-3,6,10,13-テトラアザペンタデカ-1-イル}-1,4,7,10-テトラアザ1シクロドデカン-1-イル]-アセテート、および
テトラガドリニウム[4,10-ビス(カルボキシラトメチル)-7-{3,13-ジベンジル-8,8-ビス({[(ベンジル{[4,7,10-トリス(カルボキシラトメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]アセチル}アミノ)アセチル]アミノ}-メチル)-2,5,11,14-テトラオキソ-15-[4,7,10-トリス(カルボキシラトメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロ-ドデカン-1-イル]-3,6,10,13-テトラアザペンタデカ-1-イル}-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]、アセテート
またはその立体異性体、互変異性体、N-オキシド、水和物、溶媒和物もしくは塩、またはこれらの混合物である。
【0078】
別の態様によると、本発明は、本明細書の実験節で記載されるステップを含む、本発明の化合物を調製する方法を網羅する。
【0079】
さらなる態様によると、本発明は、上記の一般式(I)の化合物の調製に有用な中間体化合物を網羅する。
【0080】
特に、本発明は一般式(VI)の中間体化合物:
【化2】
(式中、R2は上記の一般式(I)の化合物について定義される通りである)
を網羅する。
【0081】
特に、本発明は一般式(VII)の中間体化合物:
【化3】
(式中、R2は上記の一般式(I)の化合物について定義される通りである)
を網羅する。
【0082】
特に、本発明は、上に定義される一般式(I)の化合物を調製するための、一般式(VIII)の中間体化合物:
【化4】
(式中、R2は上記の一般式(I)の化合物について定義される通りであり、LGは例えば4-ニトロフェノールなどの活性化脱離基、または以下の一般式(I)の化合物の合成について定義される基を表す)
を網羅する。
【0083】
さらなる態様によると、本発明は、上に定義される一般式(I)の化合物を調製するための、前記中間体化合物の使用を網羅する。
【0084】
さらなる態様によると、本発明は、上に定義される一般式(I)の化合物を調製するための、一般式(VI)の中間体化合物:
【化5】
(式中、R2は上記の一般式(I)の化合物について定義される通りである)
の使用を網羅する。
【0085】
さらなる態様によると、本発明は、上に定義される一般式(I)の化合物を調製するための、一般式(VII)の中間体化合物:
【化6】
(式中、R2は上記の一般式(I)の化合物について定義される通りである)
の使用を網羅する。
【0086】
さらなる態様によると、本発明は、上に定義される一般式(I)の化合物を調製するための、一般式(VIII)の中間体化合物:
【化7】
(式中、R2は上記の一般式(I)の化合物について定義される通りであり、LGは例えば4-ニトロフェノールなどの活性化脱離基、または以下の一般式(I)の化合物の合成について定義される基を表す)
の使用を網羅する。
【0087】
さらなる態様によると、本発明は、上に定義される一般式(I)の化合物を調製するための、一般式(IX)の中間体化合物:
【化8】
(式中、R1は上記の一般式(I)の化合物について定義される通りである)
の使用を網羅する。
【0088】
さらに、本発明は、下記の本文の実施例節で開示される中間体化合物を網羅する。
【0089】
本発明の別の態様は、画像診断のための一般式(I)の化合物の使用である。
【0090】
好ましくは、診断への本発明の化合物の使用が磁気共鳴画像法(MRI)を用いて行われる。
【0091】
本発明の別の態様は、画像診断に使用するための一般式(I)の化合物である。
【0092】
本発明の別の態様は、磁気共鳴画像法(MRI)に使用するための一般式(I)の化合物である。
【0093】
本発明はまた、診断薬を製造するための一般式(I)の化合物も含む。
【0094】
本発明の別の態様は、診断薬を製造するための一般式(I)の化合物またはその混合物の使用である。
【0095】
本発明の別の態様は、磁気共鳴画像法(MRI)用の診断薬を製造するための一般式(I)の化合物またはその混合物の使用である。
【0096】
本発明の別の態様は、患者の体組織を画像化する方法であって、患者に医薬として許容可能な担体中の有効量の1種または複数の一般式(I)の化合物を投与するステップと、患者をNMR断層撮影に供するステップとを含む。このような方法は、米国特許第5560903号明細書に記載されている。
【0097】
診断薬を製造するため、例えば、ヒトまたは動物対象に投与するために、一般式(I)の化合物または混合物を好都合には医薬担体または賦形剤と一緒に製剤化する。本発明の造影剤は、好都合には医薬製剤助剤、例えば、安定剤、抗酸化剤、pH調整剤、香味剤などを含んでもよい。本発明による診断剤の製造は、当技術分野で既知の方法でも行われる(米国特許第5560903号明細書参照)。これらは非経口もしくは経腸投与用にまたは体腔への直接投与用に製剤化され得る。例えば、非経口製剤は、0.0001~5mmolガドリニウム/kg体重、特に0.005~0.5mmolガドリニウム/kg体重の本発明による式(I)の化合物の用量の滅菌溶液または懸濁液を含む。よって、本発明の剤は、生理学的に許容される担体媒体、好ましくは注射用水中の溶液、懸濁液、分散液、シロップ等などの慣用的な医薬製剤であり得る。造影剤を非経口投与用に製剤化する場合、これは好ましくは等張性または高張性であり、pH7.4に近い。
【0098】
さらなる態様では、本発明は、患者を診断および健康監視する方法に関する。この方法は、a)このような診断を必要とするヒトに、上および本明細書に記載されるヒト中の化合物を検出するための本発明の化合物を投与するステップと、b)好ましくは磁気共鳴画像法(MRI)によって、化合物のヒトへの投与から生じるシグナルを測定するステップとを含む。
【0099】
一般的合成
本発明による化合物を以下のスキーム1および2により調製することができる。
【0100】
以下に記載されるスキームおよび手順は、本発明の一般式(I)の化合物への合成経路を示すが、限定的であることを意図していない。スキームに例示されている変換の順序を様々に修正することができることが当業者に自明である。したがって、スキームに例示した変換の順序は、限定するためのものではない。適当な保護機ならびにその導入および切断は当業者に周知である(例えば、T.W.GreeneおよびP.G.M.WutsのProtective Groups in Organic Synthesis、第3版、Wiley 1999参照)。具体例を以下の段落で説明する。
【0101】
単独でまたは別の基の一部として本明細書で使用される「アミン保護基」という用語は、当業者に知られているまたは自明であり、それだけに限らないが、保護基、すなわち、カルバメート、アミド、イミド、N-アルキルアミン、N-アリールアミン、イミン、エナミン、ボラン、N-P保護基、N-スルフェニル、N-スルホニルおよびN-シリルのクラスから選択され、それだけに限らないが、参照により本明細書に含まれる、教科書GreeneおよびWuts、Protecting groups in Organic Synthesis、第3版、494~653頁に記載されるものから選択される。「アミン保護基」は、好ましくはカルボベンジルオキシ(Cbz)、p-メトキシベンジルカルボニル(MozもしくはMeOZ)、tert-ブチルオキシカルボニル(BOC)、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(FMOC)、ベンジル(Bn)、p-メトキシベンジル(PMB)、3,4-ジメトキシベンジル(DMPM)、p-メトキシフェニル(PMP)、トリフェニルメチル(トリチル)、メトキシフェニルジフェニルメチル(MMT)である、または保護アミノ基は1,3-ジオキソ-1,3-ジヒドロ-2H-イソインドール-2-イル(フタルイミド)もしくはアジド基である。
【0102】
単独でまたは別の基の一部として本明細書で使用される「カルボキシル保護基」という用語は、当業者に知られているまたは自明であり、それだけに限らないが、保護基、すなわち、エステル、アミドおよびヒドラジドのクラスから選択され、それだけに限らないが、参照により本明細書に含まれる、教科書GreeneおよびWuts、Protecting groups in Organic Synthesis、第3版、369~453頁に記載されるものから選択される。「カルボキシル保護基」は、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、tert-ブチル、アリル、ベンジル、4-メトキシベンジルまたは4-メトキシフェニルである。
【0103】
本明細書中に引用される文献の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0104】
一般式(VI)の化合物を調製するための経路をスキーム1に記載する。
【0105】
スキーム1
【化9】
スキーム1:一般式(VI)の化合物を調製するための経路(式中、R2は上記の一般式(I)について示される意味を有する)。
【0106】
化合物(II)は、市販されている、または当業者に理解されるように、パブリックドメインから入手可能な手順に従って調製することができる。具体例を実験節で説明する。
【0107】
一般式(II)の化合物を、-70℃~25℃の温度範囲で、例えばジクロロメタンなどの溶媒中、例えばN,N-ジイソプロピルエチルアミンなどの塩基の存在下で、ブロモアセチルブロミドと反応させて、一般式(III)の化合物を得る。
【0108】
一般式(III)の化合物を、25℃~80℃の温度範囲、好ましくは60℃で、例えばアセトニトリルなどの溶媒中、例えば炭酸カリウムなどの塩基の存在下で、化合物(IV)、トリ-tert-ブチル2,2’,2’’-(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-トリイル)トリアセテート{CAS登録番号:122555-91-3:B.Jagadishら、THL 52(17)、2058~2061(2011)参照}と反応させて、一般式(V)の化合物を得る。
【0109】
一般式(V)の化合物のカルボキシル保護基を開裂して一般式(VI)の中間体を得ることは、教科書GreeneおよびWuts、Protecting groups in Organic Synthesis、第2版に記載されているように達成することができる。脱保護は、例えば、一般式(V)の化合物をギ酸に40℃~100℃の温度範囲、好ましくは80℃で溶解および撹拌して一般式(VI)の化合物を得ることによって行われる。
【0110】
一般式(I)の化合物を調製するための経路をスキーム2に記載する。
【化10】
スキーム2:一般式(I)の化合物の調製のための経路(式中、R1およびR2は上記の一般式(I)について示される意味を有し、LGは、例えば4-ニトロフェノールなどの活性化脱離基を表す)。
【0111】
一般式(VI)の中間体と適切なガドリニウム(III)化合物または塩、例えば三酸化ガドリニウム、三酢酸ガドリニウムまたは三酢酸ガドリニウムの水和物、三塩化ガドリニウムまたは三硝酸ガドリニウムの錯体形成は当業者に周知である。一般式(VI)の中間体を水に溶解し、適切なガドリニウム(III)化合物を添加した後、得られた混合物を室温~最高100℃までの温度範囲で撹拌して、一般式(VII)の化合物を得る。一般式(VI)の中間体を、例えば水に溶解し、酸化ガドリニウム(III)を添加し、反応混合物を100℃で撹拌し、一般式(VII)の化合物を得る。
【0112】
一般式(VII)の中間体を、当業者に周知であり、例えばC.A.MontalbettiおよびV.Falque、Tetrahedron 61(2005)、10827~10852頁に詳細に記載される方法によって、一般式(VIII)の活性化エステルに変換することができる。例えば、一般式(VII)の中間体をホルムアミドもしくはTHFまたはこれらの混合物などの溶媒に溶解し、N,N’-ジイソプロピルカルボジイミドの存在下で4-ニトロフェノールと反応させる。反応を、-10℃~室温、好ましくは0℃~5℃の温度範囲で行い、活性化エステル(VIII)を得る。
【0113】
テトラアミン(IX)またはその塩(例えばCAS登録番号:4742-00-1、14302-75-1、69898-47-1、14259-94-0、154074-32-5)を、例えばペンタフルオロフェノール、4-ニトロフェノール、1-ヒドロキシピロリジン-2,5-ジオン、ヒドロキシベンゾトリアゾールまたは3H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-b]ピリジン-3-オールなどの脱離基(LG)によって活性化された一般式(VIII)のGd錯体と反応させて、一般式(I)の化合物を得る。テトラアミン(IX)またはその塩と一般式(VIII)の活性化Gd錯体の反応は、例えばジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド、ピリジンまたはこれらの混合物などの適切な溶媒中で行い、場合により、反応は塩基の存在下で行う。適切な塩基は、例えばトリアルキルアミン、例えばトリエチルアミンまたはN,N-ジイソプロピルエチルアミンである。反応を室温~100℃に及ぶ温度で行い、好ましくは反応を40℃~60℃に及ぶ温度で行う。
【0114】
あるいは、一般式(I)の化合物を、一般式(VII)のカルボン酸と一般式(IX)のアミンの標準的なアミドカップリング反応によって、例えば一般式(VIII)の活性化エステルを一般式(VII)のカルボン酸からその場で生成する反応条件を選択することによって得ることができる。
【0115】
一実施形態によると、本発明はまた、上に定義される一般式(I)の化合物を調製する方法であって、前記方法が、一般式(VIII)の中間化合物:
【化11】
(式中、R2は上記の一般式(I)の化合物について定義される通りであり、LGは例えば4-ニトロフェノールなどの活性化脱離基、または上記の一般式(I)の化合物の合成について定義される通りの基を表す)
を、一般式(IX)の中間体化合物:
【化12】
(式中、R1は上記の一般式(I)の化合物について定義される通りである)
またはその塩と反応させ、
それによって、一般式(I)の化合物
【化13】
(式中、R1およびR2は上記の一般式(I)の化合物について定義される通りである)
を得るステップを含む方法に関する。
【0116】
実験節
【0117】
【表1A】
【表1B】
【0118】
材料および計装
【0119】
合成作業に使用する化学物質は、試薬等級品質のものとし、得たままで使用した。
【0120】
その合成が実験節に記載されていない全ての試薬は、商業的に入手可能である、または既知の化合物である、または当業者によって既知の方法により既知の化合物から形成され得る。
【0121】
1H-NMRスペクトルをそれぞれCDCl3、D2OまたはDMSO-d6中で測定した(室温、Bruker Avance 400分光計、共鳴周波数:1Hについて400.20MHz、またはBruker Avance 300分光計、共鳴周波数:1Hについて300.13MHz)。化学シフトは、外部標準(δ=0ppm)としてのナトリウム(トリメチルシリル)プロピオネート-d4(D2O)またはテトラメチルシラン(DMSO-d6)に対するppmで示す。
【0122】
本発明の方法により製造された化合物および中間体は精製を必要とし得る。有機化合物の精製は当業者に周知であり、同化合物を精製するいくつかの方法が存在し得る。いくつかの場合、精製は必要でない場合もある。いくつかの場合、結晶化によって化合物を精製することができる。いくつかの場合、適当な溶媒を用いて不純物を撹拌することができる。いくつかの場合、例えば、予備充填シリカゲルカートリッジ、例えば、Biotage SNAPカートリッジKP-Sil(登録商標)またはKP-NH(登録商標)をBiotage自動精製装置システム(SP4(登録商標)またはIsolera Four(登録商標))および溶離液(ヘキサン/酢酸エチルまたはDCM/メタノールの勾配など)と組み合わせて使用して、クロマトグラフィー、特にフラッシュカラムクロマトグラフィーによって化合物を精製することができる。いくつかの場合、例えば、ダイオードアレイ検出器および/またはオンラインエレクトロスプレーイオン化質量分析計を備えるWaters自動精製装置を適当な予備充填逆相カラムおよび溶離液、例えば、トリフルオロ酢酸、ギ酸またはアンモニア水などの添加剤を含み得る水およびアセトニトリルの勾配と組み合わせて使用して、分取HPLCによって化合物を精製することができる。
【0123】
実施例を以下のHPLCに基づく分析法によって分析および特徴付けして、特徴的な保持時間および質量スペクトルを測定した:
方法1:UPLC(ACN-HCOOH):
機器:Waters Acquity UPLC-MS SQD 3001;カラム:Acquity UPLC BEH C18 1.7μm 50×2.1mm;溶離液A:水+0.1%ギ酸、溶離液B:アセトニトリル;勾配:0~1.6分1~99%B、1.6~2.0分99%B;流量0.8mL/分;温度:60℃;注入:2μl;DADスキャン:210~400nm;ELSD。
【0124】
方法2:LC-MS:
機器:Agilent 1290 UHPLCMS Tof;カラム:BEH C 18(Waters)1.7μm、50×2.1mm;溶離液A:水+0.05体積%ギ酸(99%)、溶離液B:アセトニトリル+0.05%ギ酸;勾配:0~1.7分98~10%A、1.7~2.0分10%A、2.0~2.5分10~98%A、流量1.2mL/分;温度:60℃;DADスキャン:210~400nm。
【0125】
実施例化合物
実施例1
テトラガドリニウム[4,10-ビス(カルボキシラトメチル)-7-{3,13-ジメチル-8,8-ビス({[(メチル-{[4,7,10-トリス(カルボキシラトメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]アセチル}アミノ)-アセチル]アミノ}メチル)-2,5,11,14-テトラオキソ-15-[4,7,10-トリス(カルボキシラトメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]-3,6,10,13-テトラアザペンタデカ-1-イル}-1,4,7,10-テトラアザシクロ-ドデカン-1-イル]アセテート
【化14】
【0126】
実施例1-1
tert-ブチルN-(ブロモアセチル)-N-メチルグリシネート
【化15】
tert-ブチルN-メチルグリシネートヒドロクロリド(1:1)30.00g(165.1mmol、1当量)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン44.82g(346.8mmol、2.1当量)のジクロロメタン250ml中撹拌懸濁液を-70℃に冷却した。ジクロロメタン70mlに溶解したブロモアセチルブロミド35.67g(176.7mmol、1.07当量)をゆっくり添加した後、反応混合物を一晩かけて室温に加温した。有機層を0.1M塩酸水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および半飽和塩化ナトリウム溶液で2回洗浄した。硫酸ナトリウム上で乾燥させた後、溶媒を減圧下で蒸発させて、標記化合物34.62g(79%、130.1mmol)を得た。
1H-NMR(400MHz,DMSO-d6):δ=1.36-1.47(m,9H),2.80-3.08(m,3H),3.94-4.47(m,4H)ppm.
LC-MS(ES):m/z=266.1および268.1(M+H);Rt=0.91および0.94分。
【0127】
実施例1-2
tert-ブチルN-メチル-N-{[4,7,10-トリス(2-tert-ブトキシ-2-オキソエチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロ-ドデカン-1-イル]アセチル}グリシネート
【化16】
トリ-tert-ブチル2,2’,2’’-(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-トリイル)トリアセテート{CAS番号[122555-91-3];B.Jagadishら、THL 52(17)、2058~2061(2011)参照}6.98g(13.56mmol、1当量)のアセトニトリル175ml中溶液に、炭酸カリウム5.62g(40.69mmol、3当量)およびtert-ブチルN-(ブロモアセチル)-N-メチルグリシネート(実施例1-1)3.80g(13.56mmol、1当量)を添加した。得られた反応混合物を60℃で一晩撹拌した。濾過後、溶液を減圧下で蒸発乾固した。残渣をクロマトグラフィーによって精製して、標記化合物6.63g(70%、9.48mmol)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ=1.38-1.50(m,36H),1.90-4.00(m,29H)ppm.
LC-MS(ES):m/z=700.5(M+H);Rt=1.01分。
【0128】
実施例1-3
N-メチル-N-{[4,7,10-トリス(カルボキシメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]アセチル}-グリシン
【化17】
tert-ブチルN-メチル-N-{[4,7,10-トリス(2-tert-ブトキシ-2-オキソエチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]アセチル}グリシネート(実施例1-2)12.29g(17.56mmol)をギ酸300mlに溶解した。溶液を80℃で2時間撹拌した。減圧下で蒸発させた後、残渣を水600mlに溶解し、ジクロロメタンで繰り返し洗浄した。水層を凍結乾燥によって乾燥させて、標記化合物8.04g(96%、16.90mmol)を得た。
1H-NMR(400MHz,D2O):δ=2.81-2.94(m,3H),2.95-4.05(m,26H)ppm.
LC-MS(ES):m/z=476.2(M+H);Rt=0.22分。
【0129】
実施例1-4
ガドリニウム2,2’,2’’-(10-{2-[(カルボキシメチル)(メチル)アミノ]-2-オキソエチル}-1,4,7,10-テトラ-アザシクロドデカン-1,4,7-トリイル)トリアセテート
【化18】
N-メチル-N-{[4,7,10-トリス(カルボキシメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]アセチル}グリシン(実施例1-3)2.03g(4.28mmol、1当量)を水42mlに溶解した。酸化ガドリニウム(III)697.8mg(1.925mmol、0.45当量)を添加し、得られた反応混合物を100℃で7.5時間撹拌した。室温に冷却した後、活性炭260mgを添加し、黒色懸濁液を室温で一晩撹拌した。濾過した溶液を凍結乾燥によって乾燥させた。残渣を水50mlに溶解し、Dowex 50 W-X2(H型)を添加してpHを2.4に調整した。凍結乾燥により最終生成物を単離し、2.09g(78%、3.32mmol)を得た。
LC-MS(ES):m/z=630.0(M+H);Rt=0.25および0.28分。
【0130】
実施例1-5
ガドリニウム2,2’,2’’-[10-(2-{メチル[2-(4-ニトロフェノキシ)-2-オキソエチル]アミノ}-2-オキソエチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-トリイル]トリアセテート
【化19】
ガドリニウム2,2’,2’’-(10-{2-[(カルボキシメチル)(メチル)アミノ]-2-オキソエチル}-1,4,7,10-テトラ-アザシクロドデカン-1,4,7-トリイル)トリアセテート(実施例1-4)2.09g(3.32mmol、1当量)および4-ニトロフェノール922.0mg(6.64mmol、2当量)を、ホルムアミド6mlおよびTHF4mlに溶解した。溶液を0℃に冷却し、THF280μlに溶解したN,N’-ジイソプロピルカルボジイミド628.0mg(4.98mmol、1.5当量)をゆっくり添加した。得られた反応混合物を0~5℃で5時間撹拌した。THF45mlを滴加すると所望の生成物が沈殿した。標記化合物2.47g(94%、3.13mmol)を濾過によって単離した。
LC-MS(ES):m/z=752.5(M+H);Rt=0.59および0.62分。
【0131】
実施例1
テトラガドリニウム[4,10-ビス(カルボキシラトメチル)-7-{3,13-ジメチル-8,8-ビス({[(メチル-{[4,7,10-トリス(カルボキシラトメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]アセチル}アミノ)-アセチル]アミノ}メチル)-2,5,11,14-テトラオキソ-15-[4,7,10-トリス(カルボキシラトメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]-3,6,10,13-テトラアザペンタデカ-1-イル}-1,4,7,10-テトラアザシクロ-ドデカン-1-イル]アセテート
2,2-ビス(アンモニオメチル)プロパン-1,3-ジアミニウムテトラクロリド[W.Hayesら、Tetrahedron 59(2003)、7983~7996およびS.Duttaら、Inorg.Chem.Communications 13(9)、1074~1080(2010)参照]30.9mg(0.111mmol、1当量)をDMSO16mLに溶解した。N,N-ジイソプロピルエチルアミン115.0mg(0.888mmol、8当量)およびガドリニウム2,2’,2’’-[10-(2-{メチル[2-(4-ニトロフェノキシ)-2-オキソエチル]アミノ}-2-オキソエチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-トリイル]トリアセテート(実施例1-5)1.0g(1.332mmol、12当量)を添加した後、得られた反応混合物を攪拌し、50℃で8時間加熱した。冷却した溶液を減圧下で濃縮した。濃縮物を過剰の酢酸エチル中に撹拌しながら注ぎ入れ、形成した沈殿物を濾別し、真空中で乾燥させた。固体を0.01M水酸化ナトリウム水溶液30mlに溶解し、1M水酸化ナトリウム水溶液を添加することによってpHを12に調整した。pH=12で1時間撹拌した後、1M塩酸水溶液を添加することによってpHを7に調整した。得られた溶液を濾過し、1kDa膜を用いて水で限外濾過し、最終保持液を凍結乾燥した。粗生成物をRPクロマトグラフィーによって精製して標記化合物219mg(77%、0.085mmol)を得た。
UPLC(ACN-HCOOH):Rt=0.39分。
MS(ES):m/z(z=2)=1290.3(M+H)2+,m/z(z=3)=860.8(M+H)3+,m/z(z=4)=646.5(M+H)4+
【0132】
実施例2
テトラガドリニウム[4,10-ビス(カルボキシラトメチル)-7-{3,13-ジエチル-8,8-ビス({[(エチル{[4,7,10-トリス(カルボキシラトメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]アセチル}アミノ)アセチル]アミノ}メチル)-2,5,11,14-テトラオキソ-15-[4,7,10-トリス(カルボキシラトメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]-3,6,10,13-テトラアザペンタデカ-1-イル}-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]アセテート
【化20】
【0133】
実施例2-1
tert-ブチルN-エチルグリシネート
【化21】
THF160mlに溶解したtert-ブチルブロモアセテート31.21g(160.0mmol)を、THF中2Mエタンアミン溶液800mlに滴下した。反応混合物を室温で一晩撹拌した。THFを留去し、残渣をジクロロメタンに溶解し、有機層を0.1M水酸化ナトリウム水溶液で2回洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、蒸発させて、標記化合物23.4g(92%、147.0mmol)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ=1.11(t,3H),1.46(s,9H),1.59(s,1H),2.63(q,2H),3.29(s,2H)ppm.
【0134】
実施例2-2
tert-ブチルN-(ブロモアセチル)-N-エチルグリシネート
【化22】
tert-ブチルN-エチルグリシネート(実施例2-1)23.20g(145.7mmol、1当量)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン20.15g(155.9mmol、1.07当量)およびブロモアセチルブロミド31.47g(155.9mmol、1.07当量)から出発して、実施例1-1に記載される手順に従って化合物を合成して、40.6g(100%、145mmol)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ=1.08-1.29(m,3H),1.42-1.53(m,9H),3.41-3.53(m,2H),3.77-4.02(m,4H)ppm.
LC-MS(ES):m/z=280.0および282.0(M+H);Rt=1.01分。
【0135】
実施例2-3
tert-ブチルN-エチル-N-{[4,7,10-トリス(2-tert-ブトキシ-2-オキソエチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロ-ドデカン-1-イル]アセチル}グリシネート
【化23】
トリ-tert-ブチル2,2’,2’’-(1,4,7,10-テトラアザ-シクロドデカン-1,4,7-トリイル)トリアセテート18.00g(34.97mmol、1当量)、炭酸カリウム14.50g(104.91mmol、3当量)およびtert-ブチルN-(ブロモアセチル)-N-エチルグリシネート(実施例2-2)9.80g(34.97mmol、1当量)から出発して、実施例1-2に記載される手順に従って化合物を合成して、24.8g(100%、34.8mmol)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ=1.02-1.23(m,3H),1.39-1.54(m,36H),1.65-4.90(m,28H)ppm.
LC-MS(ES):m/z=714.6(M+H);Rt=1.01分。
【0136】
実施例2-4
N-エチル-N-{[4,7,10-トリス(カルボキシメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]アセチル}-グリシン
【化24】
【0137】
ギ酸515ml中tert-ブチルN-エチル-N-{[4,7,10-トリス(2-tert-ブトキシ-2-オキソエチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]アセチル}グリシネート(実施例2-3)24.83g(34.78mmol)から出発して、実施例1-3に記載される手順に従って化合物を合成して、18.33g(108%、37.44mmol)を得た。
1H-NMR(400MHz,D2O):δ=0.93-1.22(m,3H),2.90-4.15(m,28H)ppm.
LC-MS(ES):m/z=490.2(M+H);Rt=0.29分。
【0138】
実施例2-5
ガドリニウム2,2’,2’’-(10-{2-[(カルボキシメチル)(エチル)アミノ]-2-オキソエチル}-1,4,7,10-テトラ-アザシクロドデカン-1,4,7-トリイル)トリアセテート
【化25】
N-エチル-N-{[4,7,10-トリス(カルボキシメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]アセチル]グリシン(実施例2-4)17.02g(34.77mmol、1当量)および酸化ガドリニウム(III)5.67g(15.65mmol、0.45当量)から出発して、実施例1-4に記載される手順に従って化合物を合成して、22.90g(102%、35.57mmol)を得た。
LC-MS(ES):m/z=645.1(M+H);Rt=0.31および0.39分。
【0139】
実施例2-6
ガドリニウム2,2’,2’’-[10-(2-{エチル[2-(4-ニトロフェノキシ)-2-オキソエチル]アミノ}-2-オキソエチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-トリイル]トリアセテート
【化26】
ガドリニウム2,2’,2’’-(10-{2-[(カルボキシメチル)(エチル)アミノ]-2-オキソエチル}-1,4,7,10-テトラ-アザシクロドデカン-1,4,7-トリイル)トリアセテート(実施例2-5)4.25g(6.60mmol、1当量)、4-ニトロフェノール1.84g(13.20mmol、2当量)およびN,N’-ジイソプロピルカルボジイミド1.25g(9.90mmol、1.5当量)から出発して、実施例1-5に記載される手順に従って化合物を合成して、5.05g(100%、6.6mmol)を得た。
LC-MS(ES):m/z=766.0(M+H);Rt=0.63および0.65分。
【0140】
実施例2
テトラガドリニウム[4,10-ビス(カルボキシラトメチル)-7-{3,13-ジエチル-8,8-ビス({[(エチル{[4,7,10-トリス(カルボキシラトメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]アセチル}アミノ)アセチル]アミノ}メチル)-2,5,11,14-テトラオキソ-15-[4,7,10-トリス(カルボキシラトメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]-3,6,10,13-テトラアザペンタデカ-1-イル}-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]アセテート
2,2-ビス(アンモニオメチル)プロパン-1,3-ジアミニウムテトラクロリド151.5mg(0.545mmol、1当量)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン563.0mg(4.36mmol、8当量)およびガドリニウム2,2’,2’’-[10-(2-{エチル[2-(4-ニトロフェノキシ)-2-オキソエチル]アミノ}-2-オキソエチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-トリイル]トリアセテート(実施例2-6)5.00g(6.54mmol、12当量)から出発して、実施例1に記載される手順に従って化合物を合成して、413mg(29%、0.16mmol)を得た。
UPLC(ACN-HCOOH):Rt=0.41分。
MS(ES):m/z(z=2)=1318.0(M+H)2+,m/z(z=3)=878.9(M+H)3+
【0141】
実施例3
テトラガドリニウム{4,10-ビス(カルボキシラトメチル)-7-[15-(2-メトキシエチル)-10,10-ビス[({[(2-メトキシエチル){[4,7,10-トリス(カルボキシラトメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]-アセチル}アミノ]アセチル}アミノ)メチル]-7,13,16-トリオキソ-5-{[4,7,10-トリス(カルボキシラトメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]アセチル}-2-オキサ-5,8,12,15-テトラアザヘプタデカン-17-イル]-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル}アセテート
【化27】
【0142】
実施例3-1
tert-ブチルN-(ブロモアセチル)-N-(2-メトキシエチル)グリシネート
【化28】
tert-ブチルN-(2-メトキシエチル)グリシネート[J.T.Suhら、J.Med.Chem.1985(28)、57~66参照]3.73g(19.71mmol、1当量)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン2.73g(21.09mmol、1.07当量)およびブロモアセチルブロミド4.26g(21.09mmol、1.07当量)から出発して、実施例1-1に記載される手順に従って化合物を合成して、6.10g(100%、19.67mmol)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ=1.43-1.52(m,9H),3.26-3.36(m,3H),3.49-3.64(m,4H),3.78-4.00(m,2H),4.01-4.16(m,2H)ppm.
LC-MS(ES):m/z=310.0および312.0(M+H);Rt=1.04分。
【0143】
実施例3-2
tert-ブチルN-(2-メトキシエチル)-N-{[4,7,10-トリス(2-tert-ブトキシ-2-オキソエチル)-1,4,7,10-テトラ-アザシクロドデカン-1-イル]アセチル}グリシネート
【化29】
トリ-tert-ブチル2,2’,2’’-(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-トリイル)トリアセテート4.33g(8.41mmol、1当量)、炭酸カリウム3.49g(25.24mmol、3当量)およびtert-ブチルN-(ブロモアセチル)-N-(2-メトキシエチル)グリシネート(実施例3-1)2.61g(8.41mmol、1当量)から出発して、実施例1-2に記載される手順に従って化合物を合成して、5.81g(84%、7.04mmol)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ=1.36-1.55(m,36H),1.89-4.95(m,33H)ppm.
LC-MS(ES):m/z=744.5(M+H);Rt=1.09分。
【0144】
実施例3-3
N-(2-メトキシエチル)-N-{[4,7,10-トリス(カルボキシメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]-アセチル}グリシン
【化30】
ギ酸120ml中tert-ブチルN-(2-メトキシエチル)-N-{[4,7,10-トリス(2-tert-ブトキシ-2-オキソエチル)-1,4,7,10-テトラ-アザシクロドデカン-1-イル]アセチル}グリシネート(実施例3-2)5.80g(7.80mmol)から出発して、実施例1-3に記載される手順に従って化合物を合成して、4.19g(93%、7.26mmol)を得た。
1H-NMR(400MHz,D2O):δ=2.70-3.98(m,31H),3.99-4.07(m,2H)ppm.
LC-MS(ES):m/z=520.2(M+H);Rt=0.32分。
【0145】
実施例3-4
ガドリニウム2,2’,2’’-(10-{2-[(カルボキシメチル)(2-メトキシエチル)アミノ]-2-オキソエチル}-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-トリイル)トリアセテート
【化31】
N-(2-メトキシエチル)-N-{[4,7,10-トリス(カルボキシメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]アセチル}グリシン(実施例3-3)4.19g(8.07mmol、1当量)および酸化ガドリニウム(III)1.32g(3.63mmol、0.45当量)から出発して、実施例1-4に記載される手順に従って化合物を合成して、5.09g(84%、6.80mmol)を得た。
LC-MS(ES):m/z=675.1(M+H);Rt=0.37および0.42分。
【0146】
実施例3-5
ガドリニウム2,2’,2’’-[10-(2-{(2-メトキシエチル)[2-(4-ニトロフェノキシ)-2-オキソエチル]アミノ}-2-オキソエチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-トリイル]トリアセテート
【化32】
ガドリニウム2,2’,2’’-(10-{2-[(カルボキシメチル)(2-メトキシエチル)アミノ]-2-オキソエチル}-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-トリイル)トリアセテート(実施例3-4)4.57g(6.78mmol、1当量)、4-ニトロフェノール1.89g(13.57mmol、2当量)およびN,N’-ジイソプロピルカルボジイミド1.28g(10.17mmol、1.5当量)から出発して、実施例1-5に記載される手順に従って化合物を合成して、5.26g(97.5%、6.62mmol)を得た。
LC-MS(ES):m/z=796.1(M+H);Rt=0.65および0.67分。
【0147】
実施例3
テトラガドリニウム{4,10-ビス(カルボキシラトメチル)-7-[15-(2-メトキシエチル)-10,10-ビス[({[(2-メトキシエチル){[4,7,10-トリス(カルボキシラトメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]-アセチル}アミノ]アセチル}アミノ)メチル]-7,13,16-トリオキソ-5-{[4,7,10-トリス(カルボキシラトメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]アセチル}-2-オキサ-5,8,12,15-テトラアザヘプタデカン-17-イル]-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル}アセテート
2,2-ビス(アンモニオメチル)プロパン-1,3-ジアミニウムテトラクロリド169.1mg(0.61mmol、1当量)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン629.0mg(4.86mmol、8当量)およびガドリニウム2,2’,2’’-[10-(2-{(2-メトキシエチル)[2-(4-ニトロフェノキシ)-2-オキソエチル]アミノ}-2-オキソエチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-トリイル]トリアセテート(実施例3-5)5.80g(7.30mmol、12当量)から出発して、実施例1に記載される手順に従って化合物を合成して、462mg(39%、0.17mmol)を得た。
UPLC(ACN-HCOOH):Rt=0.44分。
MS(ES):m/z(z=2)=1377.7(M+H)2+,m/z(z=3)=919.7(M+H)3+
【0148】
実施例4
テトラガドリニウム{4,10-ビス(カルボキシラトメチル)-7-[16-(2-エトキシエチル)-11,11-ビス[({[(2-エトキシエチル){[4,7,10-トリス(カルボキシラトメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]-アセチル}アミノ]アセチル}アミノ)メチル]-8,14,17-トリオキソ-6-{[4,7,10-トリス(カルボキシラトメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]アセチル}-3-オキサ-6,9,13,16-テトラアザオクタデカン-18-イル]-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル}アセテート
【化33】
【0149】
実施例4-1
tert-ブチルN-(2-エトキシエチル)グリシネート
【化34】
2-エトキシエタンアミン8.00g(89.75mmol、10当量)およびtert-ブチルブロモアセテート1.75g(8.98mmol、1当量)から出発して、実施例2-1に記載される手順に従って化合物を合成して、1.84g(91%、8.15mmol)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ=1.20(t,3H),1.46(s,9H),1.95(s,1H),2.78(t,2H),3.33(s,2H),3.50(q,2H),3.53(t,2H)ppm.
【0150】
実施例4-2
tert-ブチルN-(ブロモアセチル)-N-(2-エトキシエチル)グリシネート
【化35】
tert-ブチルN-(2-エトキシエチル)グリシネート(実施例4-1)1.80g(8.86mmol、1当量)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン1.23g(9.47mmol、1.07当量)およびブロモアセチルブロミド1.91g(9.47mmol、1.07当量)から出発して、実施例1-1に記載される手順に従って化合物を合成して、2.94g(102%、9.07mmol)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ=1.13-1.21(m,3H),1.43-1.51(m,9H),3.42-3.52(m,2H),3.53-3.64(m,4H),3.76-4.20(m,4H)ppm.
LC-MS(ES):m/z=324.0および326.0(M+H);Rt=1.14分。
【0151】
実施例4-3
tert-ブチルN-(2-エトキシエチル)-N-{[4,7,10-トリス(2-tert-ブトキシ-2-オキソエチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロ-ドデカン-1-イル]アセチル}グリシネート
【化36】
トリ-tert-ブチル2,2’,2’’-(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-トリイル)トリアセテート4.60g(8.94mmol、1当量)、炭酸カリウム3.71g(26.83mmol、3当量)およびtert-ブチルN-(ブロモアセチル)-N-(2-エトキシエチル)グリシネート(実施例4-2)2.90g(8.94mmol、1当量)から出発して、実施例1-2に記載される手順に従って化合物を合成して、6.04g(89%、7.97mmol)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ=1.11-1.22(m,3H),1.34-1.55(m,36H),1.66-5.00(m,32H)ppm.
LC-MS(ES):m/z=758.8(M+H);Rt=1.02分。
【0152】
実施例4-4
N-(2-エトキシエチル)-N-{[4,7,10-トリス(カルボキシメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]-アセチル}グリシン
【化37】
ギ酸125ml中tert-ブチルN-(2-エトキシエチル)-N-{[4,7,10-トリス(2-tert-ブトキシ-2-オキソエチル)-1,4,7,10-テトラ-アザシクロドデカン-1-イル]アセチル}グリシネート(実施例4-3)6.04g(7.97mmol)から出発して、実施例1-3に記載される手順に従って化合物を合成して、4.49g(106%、8.41mmol)を得た。
1H-NMR(400MHz,D2O):δ=0.99-1.09(m,3H),2.64-4.45(m,32H)ppm.
LC-MS(ES):m/z=534.2(M+H);Rt=0.41分。
【0153】
実施例4-5
ガドリニウム2,2’,2’’-(10-{2-[(カルボキシメチル)(2-エトキシエチル)アミノ]-2-オキソエチル}-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-トリイル)トリアセテート
【化38】
N-(2-エトキシエチル)-N-{[4,7,10-トリス(カルボキシメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]アセチル}グリシン(実施例4-4)4.48g(8.40mmol、1当量)および酸化ガドリニウム(III)1.37g(3.78mmol、0.45当量)から出発して、実施例1-4に記載される手順に従って化合物を合成して、5.56g(96%、8.08mmol)を得た。
LC-MS(ES):m/z=689.9(M+H);Rt=0.41および0.46分。
【0154】
実施例4-6
ガドリニウム2,2’,2’’-[10-(2-{(2-エトキシエチル)[2-(4-ニトロフェノキシ)-2-オキソエチル]アミノ}-2-オキソエチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-トリイル]トリアセテート
【化39】
ガドリニウム2,2’,2’’-(10-{2-[(カルボキシメチル)(2-エトキシエチル)アミノ]-2-オキソエチル}-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-トリイル)トリアセテート(実施例4-5)4.93g(7.17mmol、1当量)、4-ニトロフェノール2.00g(14.35mmol、2当量)およびN,N’-ジイソプロピルカルボジイミド1.36g(10.76mmol、1.5当量)から出発して、実施例1-5に記載される手順に従って化合物を合成して、5.05g(87%、6.24mmol)を得た。
LC-MS(ES):m/z=810.3(M+H);Rt=0.72および0.74分。
【0155】
実施例4
テトラガドリニウム{4,10-ビス(カルボキシラトメチル)-7-[16-(2-エトキシエチル)-11,11-ビス[({[(2-エトキシエチル){[4,7,10-トリス(カルボキシラトメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]-アセチル}アミノ]アセチル}アミノ)メチル]-8,14,17-トリオキソ-6-{[4,7,10-トリス(カルボキシラトメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]アセチル}-3-オキサ-6,9,13,16-テトラアザオクタデカン-18-イル]-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル}アセテート
2,2-ビス(アンモニオメチル)プロパン-1,3-ジアミニウムテトラクロリド158.4mg(0.57mmol、1当量)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン589.0mg(4.56mmol、8当量)およびガドリニウム2,2’,2’’-[10-(2-{(2-エトキシエチル)[2-(4-ニトロフェノキシ)-2-オキソエチル]アミノ}-2-オキソエチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-トリイル]トリアセテート(実施例4-6)5.53g(6.84mmol、12当量)から出発して、実施例1に記載される手順に従って化合物を合成して、365mg(23%、0.13mmol)を得た。
UPLC(ACN-HCOOH):Rt=0.51分。
MS(ES):m/z(z=2)=1406.5(M+H)2+,m/z(z=3)=938.3(M+H)3+
【0156】
実施例5
テトラガドリニウム[4,10-ビス(カルボキシラトメチル)-7-{3,13-ジイソプロピル-8,8-ビス({[(イソプロピル-{[4,7,10-トリス(カルボキシラトメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]アセチル}アミノ)アセチル]アミノ}メチル)-2,5,11,14-テトラオキソ-15-[4,7,10-トリス(カルボキシラトメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]-3,6,10,13-テトラアザペンタデカ-1-イル}-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]アセテート
【化40】
【0157】
実施例5-1
tert-ブチルN-イソプロピル-N-{[4,7,10-トリス(2-tert-ブトキシ-2-オキソエチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロ-ドデカン-1-イル]アセチル}グリシネート
【化41】
トリ-tert-ブチル2,2’,2’’-(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-トリイル)トリアセテート5.05g(9.81mmol、1当量)、炭酸カリウム4.07g(29.43mmol、3当量)およびtert-ブチルN-(ブロモアセチル)-N-イソプロピルグリシネート[J.M.Kimら、Carbohydrate Research 298(3)、173~179(1997)参照]2.89g(9.81mmol、1当量)から出発して、実施例1-2に記載される手順に従って化合物を合成して、6.83g(86%、8.44mmol)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ=1.00-1.26(m,6H),1.34-1.56(m,36H),1.68-5.00(m,27H)ppm.
LC-MS(ES):m/z=728.6(M+H);Rt=1.04分。
【0158】
実施例5-2
N-イソプロピル-N-{[4,7,10-トリス(カルボキシメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]アセチル}-グリシン
【化42】
ギ酸140ml中tert-ブチルN-イソプロピル-N-{[4,7,10-トリス(2-tert-ブトキシ-2-オキソエチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]アセチル}グリシネート(実施例5-1)6.83g(9.38mmol)から出発して、実施例1-3に記載される手順に従って化合物を合成して、5.17g(109%、10.27mmol)を得た。
1H-NMR(400MHz,D2O):δ=0.94-1.25(m,6H),2.50-4.42(m,27H)ppm.
LC-MS(ES):m/z=504.2(M+H);Rt=0.41分。
【0159】
実施例5-3
ガドリニウム2,2’,2’’-(10-{2-[(カルボキシメチル)(イソプロピル)アミノ]-2-オキソエチル}-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-トリイル)トリアセテート
【化43】
N-イソプロピル-N-{[4,7,10-トリス(カルボキシメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]アセチル]グリシン(実施例5-2)5.17g(10.27mmol、1当量)および酸化ガドリニウム(III)1.68g(4.62mmol、0.45当量)から出発して、実施例1-4に記載される手順に従って化合物を合成して、6.16g(91%、9.36mmol)を得た。
LC-MS(ES):m/z=659.1(M+H);Rt=0.39および0.42分。
【0160】
実施例5-4
ガドリニウム2,2’,2’’-[10-(2-{イソプロピル[2-(4-ニトロフェノキシ)-2-オキソエチル]アミノ}-2-オキソエチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-トリイル]トリアセテート
【化44】
ガドリニウム2,2’,2’’-(10-{2-[(カルボキシメチル)(イソプロピル)アミノ]-2-オキソエチル}-1,4,7,10-テトラ-アザシクロドデカン-1,4,7-トリイル)トリアセテート(実施例5-3)5.63g(8.56mmol、1当量)、4-ニトロフェノール2.38g(17.12mmol、2当量)およびN,N’-ジイソプロピルカルボジイミド1.62g(12.84mmol、1.5当量)から出発して、実施例1-5に記載される手順に従って化合物を合成して、6.26g(94%、8.04mmol)を得た。
LC-MS(ES):m/z=779.4(M+H);Rt=0.63および0.68分。
【0161】
実施例5
テトラガドリニウム[4,10-ビス(カルボキシラトメチル)-7-{3,13-ジイソプロピル-8,8-ビス({[(イソプロピル-{[4,7,10-トリス(カルボキシラトメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]アセチル}アミノ)アセチル]アミノ}メチル)-2,5,11,14-テトラオキソ-15-[4,7,10-トリス(カルボキシラトメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]-3,6,10,13-テトラアザペンタデカ-1-イル}-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]アセテート
2,2-ビス(アンモニオメチル)プロパン-1,3-ジアミニウムテトラクロリド161.7mg(0.58mmol、1当量)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン752.0mg(4.65mmol、8当量)およびガドリニウム2,2’,2’’-[10-(2-{イソプロピル[2-(4-ニトロフェノキシ)-2-オキソエチル]アミノ}-2-オキソエチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-トリイル]トリアセテート(実施例5-4)6.80g(8.72mmol、12当量)から出発して、実施例1に記載される手順に従って化合物を合成して、262mg(17%、0.097mmol)を得た。
UPLC(ACN-HCOOH):Rt=0.44分。
MS(ES):m/z(z=2)=1347.5(M+H)2+,m/z(z=3)=897.9(M+H)3+
【0162】
実施例6
テトラガドリニウム{4,10-ビス(カルボキシラトメチル)-7-[3-イソブチル-8,8-ビス({[(イソブチル{[4,7,10-トリス(カルボキシラトメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]アセチル}アミノ)アセチル]アミノ}メチル)-15-メチル-2,5,11-トリオキソ-13-{[4,7,10-トリス(カルボキシラトメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]アセチル}-3,6,10,13-テトラアザヘキサデカ-1-イル]-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル}アセテート
【化45】
【0163】
実施例6-1
tert-ブチルN-イソブチル-N-{[4,7,10-トリス(2-tert-ブトキシ-2-オキソエチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロ-ドデカン-1-イル]アセチル}グリシネート
【化46】
トリ-tert-ブチル2,2’,2’’-(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-トリイル)トリアセテート13.73g(26.67mmol、1当量)、炭酸カリウム11.06g(80.01mmol、3当量)およびtert-ブチルN-(ブロモアセチル)-N-イソブチルグリシネート[U.K.Sahaら、Tetrahedron Letters 36(21)、3635~3638(1995)参照]8.22g(26.67mmol、1当量)から出発して、実施例1-2に記載される手順に従って化合物を合成して、13.47g(65%、17.25mmol)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ=0.80-1.04(m,6H),1.24-1.57(m,36H),1.61-4.40(m,29H)ppm.
LC-MS(ES):m/z=742.5(M+H);Rt=1.17分。
【0164】
実施例6-2
N-イソブチル-N-{[4,7,10-トリス(カルボキシメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]アセチル}-グリシン
【化47】
ギ酸270ml中tert-ブチルN-イソブチル-N-{[4,7,10-トリス(2-tert-ブトキシ-2-オキソエチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]アセチル}グリシネート(実施例6-1)13.47g(18.15mmol)から出発して、実施例1-3に記載される手順に従って化合物を合成して、8.79g(94%、17.00mmol)を得た。
1H-NMR(400MHz,D2O):δ=0.71-0.92(m,6H),1.67-1.97(m,1H),2.96-4.03(m,28H)ppm.
LC-MS(ES):m/z=518.8(M+H);Rt=0.44分。
【0165】
実施例6-3
ガドリニウム2,2’,2’’-(10-{2-[(カルボキシメチル)(イソブチル)アミノ]-2-オキソエチル}-1,4,7,10-テトラ-アザシクロドデカン-1,4,7-トリイル)トリアセテート
【化48】
N-イソブチル-N-{[4,7,10-トリス(カルボキシメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]アセチル]グリシン(実施例6-2)8.79g(16.98mmol、1当量)および酸化ガドリニウム(III)2.77g(7.64mmol、0.45当量)から出発して、実施例1-4に記載される手順に従って化合物を合成して、9.62g(76%、12.89mmol)を得た。
LC-MS(ES):m/z=673.1(M+H);Rt=0.43および0.48分。
【0166】
実施例6-4
ガドリニウム2,2’,2’’-[10-(2-{イソブチル[2-(4-ニトロフェノキシ)-2-オキソエチル]アミノ}-2-オキソエチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-トリイル]トリアセテート
【化49】
ガドリニウム2,2’,2’’-(10-{2-[(カルボキシメチル)(イソブチル)アミノ]-2-オキソエチル}-1,4,7,10-テトラ-アザシクロドデカン-1,4,7-トリイル)トリアセテート(実施例6-3)9.12g(13.57mmol、1当量)、4-ニトロフェノール3.78g(27.15mmol、2当量)およびN,N’-ジイソプロピルカルボジイミド2.57g(20.36mmol、1.5当量)から出発して、実施例1-5に記載される手順に従って化合物を合成して、9.67g(81%、10.98mmol)を得た。
LC-MS(ES):m/z=794.3(M+H);Rt=0.74分。
【0167】
実施例6
テトラガドリニウム{4,10-ビス(カルボキシラトメチル)-7-[3-イソブチル-8,8-ビス({[(イソブチル{[4,7,10-トリス(カルボキシラトメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]アセチル}アミノ)アセチル]アミノ}メチル)-15-メチル-2,5,11-トリオキソ-13-{[4,7,10-トリス(カルボキシラトメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]アセチル}-3,6,10,13-テトラアザヘキサデカ-1-イル]-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル}アセテート
2,2-ビス(アンモニオメチル)プロパン-1,3-ジアミニウムテトラクロリド269.0mg(0.97mmol、0.9当量)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン1.11g(8.58mmol、8当量)およびガドリニウム2,2’,2’’-[10-(2-{イソブチル[2-(4-ニトロフェノキシ)-2-オキソエチル]アミノ}-2-オキソエチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-トリイル]トリアセテート(実施例6-4)10.21g(12.88mmol、12当量)から出発して、実施例1に記載される手順に従って化合物を合成して、674mg(25%、0.245mmol)を得た。
UPLC(ACN-HCOOH):Rt=0.54分。
MS(ES):m/z(z=2)=1373.4(M+H)2+,m/z(z=3)=916.0(M+H)3+
【0168】
実施例7
テトラガドリニウム[4,10-ビス(カルボキシラトメチル)-7-{3,13-ジシクロプロピル-8,8-ビス({[(シクロプロピル{[4,7,10-トリス(カルボキシラトメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]アセチル}アミノ)アセチル]アミノ}メチル)-2,5,11,14-テトラオキソ-15-[4,7,10-トリス(カルボキシラトメチル)-1,4,7,10-テトラアザ-シクロドデカン-1-イル]-3,6,10,13-テトラアザペンタデカ-1-イル}-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]アセテート
【化50】
【0169】
実施例7-1
tert-ブチルN-(ブロモアセチル)-N-シクロプロピルグリシネート
【化51】
tert-ブチルN-シクロプロピルグリシネート[J.T.Suhら、J.Med.Chem.28(1)、57~66(1985)参照]1.98g(11.56mmol、1当量)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン1.60g(12.37mmol、1.07当量)およびブロモアセチルブロミド2.50g(12.37mmol、1.07当量)から出発して、実施例1-1に記載される手順に従って化合物を合成して、3.24g(96%、11.09mmol)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ=0.83-1.00(m,4H),1.46(s,9H),2.95-3.04(m,1H),4.00(s,2H),4.16(s,2H)ppm.
LC-MS(ES):m/z=292.3および294.3(M+H);Rt=1.09分。
【0170】
実施例7-2
tert-ブチルN-シクロプロピル-N-{[4,7,10-トリス(2-tert-ブトキシ-2-オキソエチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロ-ドデカン-1-イル]アセチル}グリシネート
【化52】
トリ-tert-ブチル2,2’,2’’-(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-トリイル)トリアセテート5.00g(9.71mmol、1当量)、炭酸カリウム4.03g(29.14mmol、3当量)およびtert-ブチルN-(ブロモアセチル)-N-シクロプロピルグリシネート(実施例7-1)2.84g(8.41mmol、1当量)から出発して、実施例1-2に記載される手順に従って化合物を合成して、6.38g(91%、8.79mmol)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ=0.63-1.02(m,4H),1.35-1.54(m,36H),1.75-4.50(m,27H)ppm.
LC-MS(ES):m/z=726.7(M+H);Rt=0.98分。
【0171】
実施例7-3
N-シクロプロピル-N-{[4,7,10-トリス(カルボキシメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]-アセチル}グリシン
【化53】
ギ酸132ml中tert-ブチルN-シクロプロピル-N-{[4,7,10-トリス(2-tert-ブトキシ-2-オキソエチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]アセチル}グリシネート(実施例7-2)6.38g(8.79mmol)から出発して、実施例1-3に記載される手順に従って化合物を合成して、4.70g(107%、9.37mmol)を得た。
1H-NMR(400MHz,D2O):δ=0.67-0.88(m,4H),2.71-2.79(m,1H),2.88-4.31(m,26H)ppm.
LC-MS(ES):m/z=502.2(M+H);Rt=0.34分。
【0172】
実施例7-4
ガドリニウム2,2’,2’’-(10-{2-[(カルボキシメチル)(シクロプロピル)アミノ]-2-オキソエチル}-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-トリイル)トリアセテート
【化54】
N-シクロプロピル-N-{[4,7,10-トリス(カルボキシメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]アセチル]グリシン(実施例7-3)4.68g(9.33mmol、1当量)および酸化ガドリニウム(III)1.52g(4.20mmol、0.45当量)から出発して、実施例1-4に記載される手順に従って化合物を合成して、5.46g(89%、8.33mmol)を得た。
LC-MS(ES):m/z=657.1(M+H);Rt=0.41分。
【0173】
実施例7-5
ガドリニウム2,2’,2’’-[10-(2-{シクロプロピル[2-(4-ニトロフェノキシ)-2-オキソエチル]アミノ}-2-オキソエチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-トリイル]トリアセテート
【化55】
ガドリニウム2,2’,2’’-(10-{2-[(カルボキシメチル)(シクロプロピル)アミノ]-2-オキソエチル}-1,4,7,10-テトラ-アザシクロドデカン-1,4,7-トリイル)トリアセテート(実施例7-4)4.95g(7.55mmol、1当量)、4-ニトロフェノール2.10g(15.10mmol、2当量)およびN,N’-ジイソプロピルカルボジイミド1.43g(11.32mmol、1.5当量)から出発して、実施例1-5に記載される手順に従って化合物を合成して、5.76g(98%、7.41mmol)を得た。
LC-MS(ES):m/z=778.0(M+H);Rt=0.66分。
【0174】
実施例7
テトラガドリニウム[4,10-ビス(カルボキシラトメチル)-7-{3,13-ジシクロプロピル-8,8-ビス({[(シクロプロピル{[4,7,10-トリス(カルボキシラトメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]アセチル}アミノ)アセチル]アミノ}メチル)-2,5,11,14-テトラオキソ-15-[4,7,10-トリス(カルボキシラトメチル)-1,4,7,10-テトラアザ-シクロドデカン-1-イル]-3,6,10,13-テトラアザペンタデカ-1-イル}-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]アセテート
2,2-ビス(アンモニオメチル)プロパン-1,3-ジアミニウムテトラクロリド188.2mg(0.68mmol、1当量)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン700.0mg(5.42mmol、8当量)およびガドリニウム2,2’,2’’-[10-(2-{シクロプロピル[2-(4-ニトロフェノキシ)-2-オキソエチル]アミノ}-2-オキソエチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-トリイル]トリアセテート(実施例7-5)6.31g(8.12mmol、12当量)から出発して、実施例1に記載される手順に従って化合物を合成して、627mg(35%、0.234mmol)を得た。
UPLC(ACN-HCOOH):Rt=0.44分。
MS(ES):m/z(z=2)=1343.4(M+H)2+,m/z(z=3)=895.8(M+H)3+
【0175】
実施例8
テトラガドリニウム[4,10-ビス(カルボキシラトメチル)-7-{3,13-ジシクロペンチル-8,8-ビス({[(シクロペンチル{[4,7,10-トリス(カルボキシラトメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]アセチル}アミノ)アセチル]アミノ}メチル)-2,5,11,14-テトラオキソ-15-[4,7,10-トリス(カルボキシラトメチル)-1,4,7,10-テトラアザ-シクロドデカン-1-イル]-3,6,10,13-テトラアザペンタデカ-1-イル}-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]アセテート
【化56】
【0176】
実施例8-1
tert-ブチルN-(ブロモアセチル)-N-シクロペンチルグリシネート
【化57】
tert-ブチルN-シクロペンチルグリシネート[J.T.Suhら、J.Med.Chem.28(1)、57~66(1985)参照]5.24g(26.29mmol、1当量)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン3.64g(28.13mmol、1.07当量)およびブロモアセチルブロミド5.68g(28.13mmol、1.07当量)から出発して、実施例1-1に記載される手順に従って化合物を合成して、8.40g(89%、23.61mmol)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ=1.21-2.12(m,17H),3.73-3.86(m,2H),3.94(s,2H),4.14-4.87(m,1H)ppm.
LC-MS(ES):m/z=320.1および322.1(M+H);Rt=1.25分。
【0177】
実施例8-2
tert-ブチルN-シクロペンチル-N-{[4,7,10-トリス(2-tert-ブトキシ-2-オキソエチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロ-ドデカン-1-イル]アセチル}グリシネート
【化58】
トリ-tert-ブチル2,2’,2’’-(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-トリイル)トリアセテート8.07g(15.68mmol、1当量)、炭酸カリウム6.50g(47.03mmol、3当量)およびtert-ブチルN-(ブロモアセチル)-N-シクロペンチルグリシネート(実施例8-1)5.02g(15.68mmol、1当量)から出発して、実施例1-2に記載される手順に従って化合物を合成して、8.95g(76%、11.87mmol)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ=1.33-1.51(m,36H),1.55-5.00(m,35H)ppm.
LC-MS(ES):m/z=754.5(M+H);Rt=1.15分。
【0178】
実施例8-3
N-シクロペンチル-N-{[4,7,10-トリス(カルボキシメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]-アセチル}グリシン
【化59】
ギ酸180ml中tert-ブチルN-シクロペンチル-N-{[4,7,10-トリス(2-tert-ブトキシ-2-オキソエチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]アセチル}グリシネート(実施例8-2)8.94g(11.86mmol)から出発して、実施例1-3に記載される手順に従って化合物を合成して、6.20g(74%、8.78mmol)を得た。
LC-MS(ES):m/z=530.2(M+H);Rt=0.40および0.46分。
【0179】
実施例8-4
ガドリニウム2,2’,2’’-(10-{2-[(カルボキシメチル)(シクロペンチル)アミノ]-2-オキソエチル}-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-トリイル)トリアセテート
【化60】
N-シクロペンチル-N-{[4,7,10-トリス(カルボキシメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]アセチル]グリシン(実施例8-3)6.20g(11.71mmol、1当量)および酸化ガドリニウム(III)1.91g(5.27mmol、0.45当量)から出発して、実施例1-4に記載される手順に従って化合物を合成して、7.21g(90%、10.54mmol)を得た。
LC-MS(ES):m/z=685.0(M+H);Rt=0.44および0.50分。
【0180】
実施例8-5
ガドリニウム2,2’,2’’-[10-(2-{シクロペンチル[2-(4-ニトロフェノキシ)-2-オキソエチル]アミノ}-2-オキソエチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-トリイル]トリアセテート
【化61】
ガドリニウム2,2’,2’’-(10-{2-[(カルボキシメチル)(シクロペンチル)アミノ]-2-オキソエチル}-1,4,7,10-テトラ-アザシクロドデカン-1,4,7-トリイル)トリアセテート(実施例8-4)6.70g(9.80mmol、1当量)、4-ニトロフェノール2.73g(19.60mmol、2当量)およびN,N’-ジイソプロピルカルボジイミド1.86g(14.70mmol、1.5当量)から出発して、実施例1-5に記載される手順に従って化合物を合成して、7.08g(90%、8.79mmol)を得た。
LC-MS(ES):m/z=806.1(M+H);Rt=0.71および0.77分。
【0181】
実施例8
テトラガドリニウム[4,10-ビス(カルボキシラトメチル)-7-{3,13-ジシクロペンチル-8,8-ビス({[(シクロペンチル{[4,7,10-トリス(カルボキシラトメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]アセチル}アミノ)アセチル]アミノ}メチル)-2,5,11,14-テトラオキソ-15-[4,7,10-トリス(カルボキシラトメチル)-1,4,7,10-テトラアザ-シクロドデカン-1-イル]-3,6,10,13-テトラアザペンタデカ-1-イル}-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]アセテート
2,2-ビス(アンモニオメチル)プロパン-1,3-ジアミニウムテトラクロリド130.4mg(0.47mmol、0.6当量)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン808.0mg(6.25mmol、8当量)およびガドリニウム2,2’,2’’-[10-(2-{シクロペンチル[2-(4-ニトロフェノキシ)-2-オキソエチル]アミノ}-2-オキソエチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-トリイル]トリアセテート(実施例8-5)7.55g(9.38mmol、12当量)から出発して、実施例1に記載される手順に従って化合物を合成して、222mg(17%、0.08mmol)を得た。
UPLC(ACN-HCOOH):Rt=0.56分。
MS(ES):m/z(z=2)=1400.0(M+H)2+,m/z(z=3)=933.0(M+H)3+
【0182】
実施例9
テトラガドリニウム[4,10-ビス(カルボキシラトメチル)-7-{2,5,11,14-テトラオキソ-3,13-ジフェニル-8,8-ビス({[(フェニル{[4,7,10-トリス)]カルボキシラトメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]アセチル}アミノ)アセチル]アミノ}メチル)-15-[4,7,10-トリス(カルボキシラトメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]-3,6,10,13-テトラアザペンタデカ-1-イル}-1,4,7,10-テトラアザ1シクロドデカン-1-イル]アセテート
【化62】
【0183】
実施例9-1
tert-ブチルN-フェニル-N-{[4,7,10-トリス(2-tert-ブトキシ-2-オキソエチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロ-ドデカン-1-イル]アセチル}グリシネート
【化63】
トリ-tert-ブチル2,2’,2’’-(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-トリイル)トリアセテート9.00g(17.49mmol、1当量)、炭酸カリウム7.25g(52.46mmol、3当量)およびtert-ブチルN-(ブロモアセチル)-N-フェニルグリシネート[C.Royら、Organic Letters 15(9)、2246~2249(2013)参照]5.74g(17.49mmol、1当量)から出発して、実施例1-2に記載される手順に従って化合物を合成して、7.74g(58%、10.16mmol)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ=1.30-1.64(m,36H),1.67-4.78(m,26H),7.22-7.26(m,2H),7.36-7.46(m,3H)ppm.
LC-MS(ES):m/z=763.5(M+H);Rt=1.11分。
【0184】
実施例9-2
N-フェニル-N-{[4,7,10-トリス(カルボキシメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]アセチル}-グリシン
【化64】
ギ酸144ml中tert-ブチルN-フェニル-N-{[4,7,10-トリス(2-tert-ブトキシ-2-オキソエチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]アセチル}グリシネート(実施例9-1)7.20g(9.45mmol)から出発して、実施例1-3に記載される手順に従って化合物を合成して、5.54g(109%、10.31mmol)を得た。
1H-NMR(400MHz,D2O):δ=2.65-4.42(m,26H),7.12-7.59(m,5H)ppm.
LC-MS(ES):m/z=538.2(M+H);Rt=0.45分。
【0185】
実施例9-3
ガドリニウム2,2’,2’’-(10-{2-[(カルボキシメチル)(フェニル)アミノ]-2-オキソエチル}-1,4,7,10-テトラ-アザシクロドデカン-1,4,7-トリイル)トリアセテート
【化65】
N-フェニル-N-{[4,7,10-トリス(カルボキシメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]アセチル]グリシン(実施例9-2)5.54g(10.31mmol、1当量)および酸化ガドリニウム(III)1.68g(4.64mmol、0.45当量)から出発して、実施例1-4に記載される手順に従って化合物を合成して、7.10g(100%、10.26mmol)を得た。
LC-MS(ES):m/z=693.1(M+H);Rt=0.51分。
【0186】
実施例9-4
ガドリニウム2,2’,2’’-[10-(2-{[2-(4-ニトロフェノキシ)-2-オキソエチル](フェニル)アミノ}-2-オキソエチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-トリイル]トリアセテート
【化66】
ガドリニウム2,2’,2’’-(10-{2-[(カルボキシメチル)(フェニル)アミノ]-2-オキソエチル}-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-トリイル)トリアセテート(実施例9-3)3.93g(5.68mmol、1当量)、4-ニトロフェノール1.58g(11.36mmol、2当量)およびN,N’-ジイソプロピルカルボジイミド1.08g(8.52mmol、1.5当量)から出発して、実施例1-5に記載される手順に従って化合物を合成して、4.06g(88%、4.99mmol)を得た。
LC-MS(ES):m/z=814.3(M+H);Rt=0.77分。
【0187】
実施例9
テトラガドリニウム[4,10-ビス(カルボキシラトメチル)-7-{2,5,11,14-テトラオキソ-3,13-ジフェニル-8,8-ビス({[(フェニル{[4,7,10-トリス)]カルボキシラトメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]アセチル}アミノ)アセチル]アミノ}メチル)-15-[4,7,10-トリス(カルボキシラトメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]-3,6,10,13-テトラアザペンタデカ-1-イル}-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]アセテート
2,2-ビス(アンモニオメチル)プロパン-1,3-ジアミニウムテトラクロリド129.4mg(0.47mmol、1当量)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン481.0mg(3.72mmol、8当量)およびガドリニウム2,2’,2’’-[10-(2-{[2-(4-ニトロフェノキシ)-2-オキソエチル](フェニル)アミノ}-2-オキソエチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-トリイル]トリアセテート(実施例9-4)4.54g(5.59mmol、12当量)から出発して、実施例1に記載される手順に従って化合物を合成して、663mg(50%、0.23mmol)を得た。
UPLC(ACN-HCOOH):Rt=0.61分。
MS(ES):m/z(z=2)=1415.0(M+H)2+,m/z(z=3)=944.4(M+H)3+
【0188】
実施例10
テトラガドリニウム[4,10-ビス(カルボキシラトメチル)-7-{3,13-ジベンジル-8,8-ビス({[(ベンジル-{[4,7,10-トリス(カルボキシラトメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]アセチル}アミノ)-アセチル]アミノ}メチル)-2,5,11,14-テトラオキソ-15-[4,7,10-トリス(カルボキシラトメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]-3,6,10,13-テトラアザペンタデカ-1-イル}-1,4,7,10-テトラアザシクロ-ドデカン-1-イル]アセテート
【化67】
【0189】
実施例10-1
tert-ブチルN-ベンジル-N-{[4,7,10-トリス(2-tert-ブトキシ-2-オキソエチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロ-ドデカン-1-イル]アセチル}グリシネート
【化68】
トリ-tert-ブチル2,2’,2’’-(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-トリイル)トリアセテート16.00g(31.09mmol、1当量)、炭酸カリウム12.89g(93.26mmol、3当量)およびtert-ブチルN-ベンジル-N-(ブロモアセチル)グリシネート[U.Sahaら、THL 36(21)、3635~3638(1995)参照]10.64g(31.09mmol、1当量)から出発して、実施例1-2に記載される手順に従って化合物を合成して、19.32g(80%、24.9mmol)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ=1.29-1.61(m,36H),1.77-5.14(m,28H),7.12-7.40(m,5H)ppm.
LC-MS(ES):m/z=776.6(M+H);Rt=1.11分。
【0190】
実施例10-2
N-ベンジル-N-{[4,7,10-トリス(カルボキシメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]アセチル}-グリシン
【化69】
ギ酸376ml中tert-ブチルN-ベンジル-N-{[4,7,10-トリス(2-tert-ブトキシ-2-オキソエチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]アセチル}グリシネート(実施例10-1)18.80g(24.23mmol)から出発して、実施例1-3に記載される手順に従って化合物を合成して、14.14g(106%、25.63mmol)を得た。
1H-NMR(400MHz,D2O):δ=2.80-4.19(m,26H),4.44-4.58(m,2H),7.12-7.45(m,5H)ppm.
LC-MS(ES):m/z=552.2(M+H);Rt=0.49分。
【0191】
実施例10-3
ガドリニウム2,2’,2’’-(10-{2-[ベンジル(カルボキシメチル)アミノ]-2-オキソエチル}-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-トリイル)トリアセテート
【化70】
N-ベンジル-N-{[4,7,10-トリス(カルボキシメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]アセチル]グリシン(実施例10-2)14.10g(25.56mmol、1当量)および酸化ガドリニウム(III)4.17g(11.50mmol、0.45当量)から出発して、実施例1-4に記載される手順に従って化合物を合成して、17.05g(85%、21.74mmol)を得た。
LC-MS(ES):m/z=707.1(M+H);Rt=0.45および0.53分。
【0192】
実施例10-4
ガドリニウム2,2’,2’’-[10-(2-{ベンジル[2-(4-ニトロフェノキシ)-2-オキソエチル]アミノ}-2-オキソエチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-トリイル]トリアセテート
【化71】
ガドリニウム2,2’,2’’-(10-{2-[ベンジル(カルボキシメチル)アミノ]-2-オキソエチル}-1,4,7,10-テトラ-アザシクロドデカン-1,4,7-トリイル)トリアセテート(実施例10-3)6.50g(9.21mmol、1当量)、4-ニトロフェノール2.56g(18.42mmol、2当量)およびN,N’-ジイソプロピルカルボジイミド1.74g(13.81mmol、1.5当量)から出発して、実施例1-5に記載される手順に従って化合物を合成して、6.42g(84%、7.76mmol)を得た。
LC-MS(ES):m/z=828.2(M+H);Rt=0.78分。
【0193】
実施例10
テトラガドリニウム[4,10-ビス(カルボキシラトメチル)-7-{3,13-ジベンジル-8,8-ビス({[(ベンジル-{[4,7,10-トリス(カルボキシラトメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]アセチル}アミノ)-アセチル]アミノ}メチル)-2,5,11,14-テトラオキソ-15-[4,7,10-トリス(カルボキシラトメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]-3,6,10,13-テトラアザペンタデカ-1-イル}-1,4,7,10-テトラアザシクロ-ドデカン-1-イル]アセテート
2,2-ビス(アンモニオメチル)プロパン-1,3-ジアミニウムテトラクロリド191.9mg(0.69mmol、1当量)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン714.0mg(5.52mmol、8当量)およびガドリニウム2,2’,2’’-[10-(2-{ベンジル[2-(4-ニトロフェノキシ)-2-オキソエチル]アミノ}-2-オキソエチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-トリイル]トリアセテート(実施例10-4)6.85g(8.28mmol、12当量)から出発して、実施例1に記載される手順に従って化合物を合成して、738mg(35%、0.24mmol)を得た。
UPLC(ACN-HCOOH):Rt=0.61分。
MS(ES):m/z(z=2)=1442.6(M+H)2+,m/z(z=3)=961.9(M+H)3+
【0194】
基準化合物1
Gadovist(登録商標)(ガドブトロール、Bayer AG、Leverkusen、ドイツ国)
基準化合物2
Magnevist(登録商標)(ガドペンテト酸ジメグルミン、Bayer AG、Leverkusen、ドイツ国)
基準化合物3
Primovist(登録商標)(ガドキセト酸二ナトリウム、Bayer AG、Leverkusen、ドイツ国)
基準化合物4
Gadomer(登録商標)-17は、欧州特許第0836485号明細書の実施例1kに記載されるように合成した。
【0195】
実施例化合物のインビトロおよびインビボでの特徴付け
実施例を選択されたアッセイで1回または複数回試験した。2回以上試験した場合、データは平均値または中央値のいずれかとして報告し、ここで
・平均値は算術平均値とも呼ばれ、得られた値の和÷試験した回数を表し、
・中央値は昇順または降順で並べた場合の値の群の中央の数を表す。設定されたデータの値の数が奇数の場合、中央値は中央の値になる。設定されたデータの値の数が偶数の場合、中央値は2つの中央の値の算術的平均となる。
【0196】
実施例を1回または複数回合成した。2回以上合成した場合、アッセイのデータは、1つまたは複数の合成バッチの試験から得られたデータセットを利用して計算される平均値または中央値を表す。
【0197】
実施例A
1.4 Tでの緩和度測定
1.41Tでの緩和度測定を、共振周波数60MHzおよび温度37℃で作動するMiniSpec mq60分光計(Bruker Analytik、Karlsruhe、ドイツ国)を用いて行った。T1緩和時間は、少なくとも5×T1の固定緩和遅延を用いて標準的な反転回復(IR)法を用いて決定した。可変反転時間(TI)は、MiniSpec mq60の標準ソフトウェアによって自動的に計算した(8ステップ)。T2測定は、少なくとも5×T1の緩和遅延を適用して、Carr-Purcell-Meiboom-Gill(CPMG)パルスシーケンスを使用することによって行った。
【0198】
各緩和度測定は、3つの異なるGd濃度(0.05~2mMの3つの濃度)を用いて行った。実施例化合物1~10のT1およびT2緩和時間を、異なる媒体中、例えば水中およびヒト血漿中で測定した。
【0199】
ヒト血漿調製:各実験のために、新鮮な血液を10mLクエン酸塩チューブ(Sarstedt S-Monovette 02.1067.001、10mL、クエン酸塩)を用いて有志者から採取した。10mLクエン酸塩チューブを慎重に10回反転させて血液と抗凝固剤を混合し、1811gで15分間、室温で遠心分離した(Eppendorf、Centrifuge 5810R)。
【0200】
緩和度ri(i=1、2)を、水中および血漿中で測定された緩和率Riに基づいて計算した:
Ri=Ri(0)+ri[CGd]、
(式中、Ri(0)はそれぞれの溶媒の緩和率を表し、CGdはガドリニウムに正規化した化合物の濃度を表す)。調査した溶液のガドリニウム濃度を、誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS Agilent 7500a、Waldbronn、ドイツ国)によって検証した。
【0201】
決定された緩和度の値を表1に要約する。
【0202】
【表2】
【0203】
3.0 Tでの緩和度測定
3.0Tでの緩和度測定を、ニーコイル(SENSE-Knee-8、Philips Healthcare、Hamburg、ドイツ国)を使用して、全身3.0T MRIスキャナ(Philips Intera、Philips Healthcare、Hamburg、ドイツ国)で行った。試料管(CryoTubetmバイアル、Thermo Scientific 1.8mL、Roskilde、デンマーク)を、水で満たされた箱の中のプラスチックホルダー中に4および5本管の3列に配置した。温度を37℃に調整した。MRIシーケンスでは、7.46ミリ秒の最短可能エコー時間(TE)を使用した。反転時間は、造影剤含有溶液の全ての緩和時間の推定T1範囲に対応するT1値を測定するためにシーケンスを最適化するように選択した。以下の反転時間(TI)を適用した:50、100、150、200、300、500、700、1000、1400、2100、3200および4500ミリ秒。このシーケンスを、最後のエコーの登録後、3.4秒の一定の緩和遅延で実行した(3450~7900ミリ秒の範囲内の可変TR)。当てはめ手順の詳細については、Rohrerら(Invest.Radiol.2005;40、11:715~724)を参照のされたい。ファントム測定の実験行列は320x320であった。
【0204】
緩和度を、3つの異なる濃度の各化合物(0.05~2mMの3つの濃度)を用いて評価した。
【0205】
実施例化合物のT1緩和時間を、水およびヒト血漿中で測定した。ヒト血漿調製:各実験のために、新鮮な血液を10mLクエン酸塩チューブ(Sarstedt S-Monovette 02.1067.001、10mL、クエン酸塩)を用いて有志者から採取した。10mLクエン酸塩チューブを慎重に10回反転させて血液と抗凝固剤を混合し、1811gで15分間、室温で遠心分離した(Eppendorf、Centrifuge 5810R)。
【0206】
緩和度ri(i=1、2)を、水中および血漿中で測定された緩和率Riに基づいて計算した:
Ri=Ri(0)+ri[CGd]、
(式中、Ri(0)はそれぞれの溶媒の緩和率を表し、CGdはガドリニウムに正規化した化合物の濃度を表す)(表2)。
【0207】
【表3】
【0208】
実施例B
薬物動態パラメータ
実施例6の薬物動態パラメータを雄ラット(Han-Wistar、235~270g、n=3)で決定した。化合物を動物の尾静脈内にボーラスとして滅菌水溶液(53.8mmol Gd/L)として投与した。用量は0.1mmol Gd/kgとした。注射後1、3、5、10、15、30、60、90、120、240、360、480分および1440分に血液を採取し、誘導結合プラズマ質量分析(ICP-MS Agilent 7500a、Waldbronn、ドイツ国)によってGd濃度を決定した。血中レベルを0.625で除算することによって血漿濃度に変換した(ラット血液の血漿画分は、厳密に細胞外分布を推定する)。対照として、3匹の動物(Han-Wistar、248~289g)を同じ方法で低分子量の造影剤である基準化合物1(Gadovist(登録商標))で処理した。
【0209】
得られたデータを3コンパートメントモデル(Phoenix-WinNonlin)に適合させることにより、表3に示される薬物動態学的パラメータを得た。
【0210】
実施例6の薬物動態は、基準化合物1のそれと非常に類似している。
【0211】
【表4】
【0212】
実施例C
化学的安定性
実施例1を、最終濃度5mmol Gd/Lで10mM Tris-HCl緩衝液、pH7.4に別々に溶解した。アリコートを取り出し、残りの無色透明溶液を121℃で20分間オートクレーブ処理した。オートクレーブ処理後、溶液は依然として透明無色であった。オートクレーブ処理の前後に取り出したアリコートをHPLC-ICP-MSで分析して化合物の完全性を決定した。
【0213】
HPLC:カラム:Hypercarb 2.5mm×15cm。溶媒A:水中0.1%ギ酸。溶媒B:アセトニトリル。勾配:10分で100%A→5%A+95%B。流量1ml/分。158Gdに調整したICP-MSによる検出。検出されたGdの強度を表示するクロマトグラムを視覚的に比較した。オートクレーブ処理の前後のクロマトグラムの変化は検出されなかった。オートクレーブ処理中、化合物は安定であった。
【0214】
実施例D
37℃、15日でのヒト血漿中のGd錯体の安定性
実施例1を、1mmol Gd/Lでヒト血漿に別々に溶解した。放出されたGd3+についての基準として、0.1mmol/Lの塩化ガドリニウム(GdCl3)をヒト血漿に溶解した。血漿試料を5%CO2雰囲気下、37℃で15日間インキュベートしてpHを7.4に維持した。インキュベーションの開始時と終了時にアリコートを採取した。錯体から放出されたGd3+の量を、HPLC-ICP-MSによって決定した。カラム:Chelating Sepharose(HiTrap、1mL)。溶媒A:10mM BisTris-HCl pH6.0。溶媒B:15mM HNO3。勾配:100%Aで3分、100%Bで3~10分。流量1mL/分。158Gdに調整したICP-MSによる検出。検出されたGdの強度を表示するクロマトグラムを、ピーク面積分析によって評価した。溶媒AからBへの変化後に溶出したGd3+のピークサイズを記録した。実施例1では、このピークの増加、したがって15日後のGd3+の放出は定量限界未満であった(注入したガドリニウム総量の0.1%未満)。実施例1は生理学的条件下で安定である。
【0215】
実施例E
水溶解度
化合物の調査水溶解度を、微量遠心管(Eppendorf、2.0 mLセーフロックキャップ)中の0.5mL緩衝液(10 mM Tris-HCl)中、室温(20℃)で測定した。固体化合物を緩衝液に段階的に添加した。懸濁液をシェーカー(Heidolph Reax 2000)を用いて混合し、超音波浴(Bandelin、Sonorex Super RK255H)中で5分間処理した。結果を表4に要約する。
【0216】
【表5】
【0217】
実施例F
造影増強磁気共鳴血管造影(CE-MRA)
CE-MRAの有意な用量減少の可能性が、動物モデルにおいて、体重1キログラム当たり100μmolのガドリニウム[100μmol Gd/kg bw](これはヒトの標準用量に匹敵する)と、体重1キログラム当たり25μmolのガドリニウムを用いた低用量プロトコルの個体内比較によって示された。ガドリニウム系MRI造影剤の承認された代表としての、基準化合物1(Gadovist(登録商標))を両方の用量プロトコル(100μmol Gd/kg bwおよび25μmol Gd/kg bw)で使用し、実施例化合物6(25μmol Gd/kg bw)と比較した。
【0218】
造影増強磁気共鳴血管造影試験を、臨床用1.5Tスキャナ(Magnetom Avanto Fit、Siemens Healthcare、Erlangen、ドイツ国)で行った。最適なシグナル利用のために、ボディフレックスコイルと組み合わせたスパインをデータ取得に使用した。試験は、雄ニュージーランド白ウサギ(体重3.6~3.9kg、n=4、Charles River Kisslegg)で行った。動物は、1回の撮像セッション中内で3つ全てのコントラストプロトコルを受けた。コントラストプロトコルの順序は動物間で無作為化した。
【0219】
全ての動物を、最初に、1mL/kg体重を用いて、キシラジン塩酸塩(20mg/mL、Rompun 2%、Bayer Vital GmbH、Leverkusen)と塩酸ケタミン(100mg/mL、Ketavet、Pfizer、Pharmacia GmbH、ベルリン)の混合物(1+2)の体重調整筋肉内注射を用いて麻酔する。挿管された動物(気管内チューブ、Rueschelit Super Safe Clear、カフ3.0mm、Willy Ruesch AG、Kernen、ドイツ国)の連続麻酔を、1時間当たり1キログラム当たり0.9mgのプロポフォール(10mg/mL、Propofol-Lipuro 1%、B.Braun Melsungen AG、Melsungen、ドイツ国)の静脈内注射によって達成する。連続静脈内注射を、MR注入システム(Continuum MR注入システム、Medrad Europe B.V.、AE.Beek、ドイツ国)を使用して行う。気管呼吸(SV 900C、Maquet、Rastatt、ドイツ国)を、55%酸素、毎分40回の呼吸、および毎分体重1キログラム当たり4mLの呼吸量で行う。
【0220】
冠状、軸方向および矢状方向に配向されたローカライザMRIシーケンスに基づいて、大動脈の解剖学的経過を取得する。少量の静脈内試験ボーラス(0.2mL、基準化合物1、引き続いて1.3mLの生理食塩水)を投与して、試験ボーラスシーケンスを用いてピーク間隔までの時間(下行大動脈)を決定した。造影剤注入の開始と画像取得の開始との間のMRA遅延時間は、ピーク間隔までの時間からk空間中心までの時間を差し引くことによって計算した。MRAについては、遅延時間を考慮して造影剤の注入前後に3D FLASHシーケンス(TR=3.3ms、TE=1.2ms、フリップ=25°)を取得した。両測定を呼気息止め内に行った。異なる造影剤適用間の個体内比較のための時間間隔は、20~30分であった。
【0221】
図3は、
C(右):標準用量(100μmol/kg)の基準化合物1(Gadovist(登録商標))および
A(左):低用量(25μmol/kg)の基準化合物1(Gadovist(登録商標))
と比較したB(中央):25μmol/kgの実施例化合物6
についての代表的なMR血管造影図(最大強度投影)を示す。
【0222】
100μmol/kgの基準化合物1と比較して、25μmol/kgの実施例化合物6では、血管コントラストの質的な差は見られなかった。低用量の基準化合物における血管コントラストはかなり低い。
【0223】
定量的画像評価をサブトラクション画像に対して行った(コントラスト後-ベースライン)。目的の領域を、頸動脈(左右)、上行大動脈、下行大動脈(胸郭レベル、肝臓レベル、腎臓レベル、分岐レベル)および腎動脈(左右)に配置した。
【0224】
全領域についてのそれぞれのシグナル増強を図4に示す。実施例化合物6については、基準化合物1の用量の25%で同様のシグナル増強が見られた。同一用量で、実施例化合物6のシグナル増強は有意に高かった。それは、実施例化合物6の高い有効性および対照的に有意な用量減少の可能性がMRAを増強することを実証した。
【0225】
実施例G
動的CT拡散ファントム試験
実施例Aに示されるように、基準化合物4は本発明の化合物と同様の範囲内の緩和度を有する。静脈内注射後、臨床的に承認された全ての小モノマーGBCA(ガドペンテト酸ジメグルミン、ガドテル酸メグルミン、ガドテリドール、ガドジアミド、ガドブトロールおよびガドベルセタミド)は、受動分布により血液および血管外/細胞外空間に分布する(Aime Sら、J Magn Reson Imaging.2009年;30、1259~1267頁)。高いタンパク質結合性を有する造影剤、例えばHSAへの可逆的結合によって引き起こされる血管内に長期間いるガドホスベセット三ナトリウム、または例えば基準化合物4のような大きな流体力学的サイズは、血管壁を通過するのを妨げられる。良好な画像化結果のためには、GBCAの急速な腎排泄のために血管壁を通過する急速な拡散が必要とされる。
【0226】
記載される動的CT拡散試験は、実施例1~10ならびに基準化合物1および4が半透膜(20kDa)を通過する能力を比較する。128列臨床CT装置(SOMATOM Definition、128;Siemens Healthcare、Forcheim、ドイツ国)を使用して、100kVおよび104mAで半透膜を通過する拡散を監視した。造影剤を満たした透析カセット(Slide-A-Lyser、20000 MWCO、0.1~0.5mL容量、Thermo Scientific、Roskilde、デンマーク)をウシ胎児血清溶液(FBS、Sigma、F7524)に入れた0分、1分、2分、3分、5分、10分、15分、20分、30分、45分、60分、2時間、3時間、5時間、7時間、22時間、24時間、30時間後に単一測定を行った。スライス厚2.4mmおよびB30コンボリューション・カーネルを用いて画像を再構成した。調査した実施例1~10ならびに基準化合物1および4の透析カセット中の使用濃度は、20mmol Gd/Lであった。
【0227】
FBS溶液中にカセットを入れた0分および30時間後の時点についての、調査した全ての実施例ならびに基準化合物1および4についての画像化結果を図1に示す。画像解析のために、目的の領域を各時点について中央に位置する1つのスライス上に手動で描いた(代表的な測定領域を図1に示す:画像RC1)。経時的な分析した領域のハウンスフィールド単位(HU)の結果を図2に示す。調査した実施例および基準化合物の計算された拡散半減期を表4に要約する。
【0228】
【表6】
【0229】
図1および計算された半減期データは、基準化合物1(Gadovist(登録商標))と同様に、また基準化合物4とは対照的に、実施例1~10が半透膜を通過することができることを示している。さらに、調査した化合物のデータは、高いタンパク質結合または非常に遅いタンブリング速度を有する他の高緩和度剤(例えば、基準化合物4)とは反対に、本発明の化合物が適時に障壁を克服することができる流体力学的寸法を有することを示している。これらの知見は、本発明の化合物が、例えば血管系の内皮壁などの障壁を克服する能力を示しており、これは全身画像化のための要件である。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4