(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-03
(45)【発行日】2022-03-11
(54)【発明の名称】モジュールモータと磁気ベアリングとのアセンブリ、およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H02K 7/09 20060101AFI20220304BHJP
H02K 15/14 20060101ALI20220304BHJP
H02K 9/19 20060101ALI20220304BHJP
H02K 9/08 20060101ALI20220304BHJP
F16C 32/04 20060101ALI20220304BHJP
F16C 37/00 20060101ALI20220304BHJP
【FI】
H02K7/09
H02K15/14 A
H02K15/14 Z
H02K9/19 A
H02K9/08 A
H02K9/08 B
F16C32/04 Z
F16C37/00 Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020005908
(22)【出願日】2020-01-17
(62)【分割の表示】P 2015031430の分割
【原出願日】2015-02-20
【審査請求日】2020-02-10
(32)【優先日】2014-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】513157198
【氏名又は名称】エスカエフ・マニュティック・メシャトロニク
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】エドゥアルド・カラスコ
【審査官】若林 治男
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0065300(US,A1)
【文献】実開昭62-107554(JP,U)
【文献】特開平10-084694(JP,A)
【文献】特開2004-229418(JP,A)
【文献】特開昭59-068595(JP,A)
【文献】米国特許第05971229(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 7/09
H02K 15/14
H02K 9/19
H02K 9/08
F16C 32/04
F16C 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転機械であって、
長手軸X-X´に直交した平坦な基準面(17)を形成した第1端部(16)と、軸磁気アバットメント(3)のサポートを形成した第2端部(22)と、外側円筒基準面(15)を備えた第1端、前記第2端部(22)に固定された第2端、冷却液体流れ通路(11)が外面に設けられた中央部(10)、ガス状流体の入口のための開口部(18)が設けられた第1中間部、およびガス状流体の出口のための開口部(19)が設けられた第2中間部、を形成した円筒壁(14)と、を具備した位置決め筐体(1)であって、該位置決め筐体(1)は、自身の軸として前記長手軸X-X´を備え、且つ内側円筒基準面(41)および前記長手軸X-X´に直交した平坦な基準面(42)が設けられた第1端を形成したロータ(4)を受容し、電気モータ(6)は、前記位置決め筐体(1)の前記円筒壁(14)の前記中央部(10)の内面に装着されたステータ(61,62)、および前記ロータ(4)の外側面に装着された電機子(60)を具備した、位置決め筐体(1)と、
前記位置決め筐体(1)の前記円筒壁(14)の前記第1中間部の内面に装着されたステータ(71,72)、および前記ロータ(4)の外側面に装着された電機子(70)を具備した第1ラジアル磁気ベアリング(7)と、前記位置決め筐体(1)の前記円筒壁(14)の前記第2中間部の内面に装着されたステータ(81,82)、および前記ロータ(4)の外側面に装着された電機子(80)を具備した第2ラジアル磁気ベアリング(8)と、前記長手軸X-X´に直交した、前記ロータ(4)の第2端に装着されたロータ電機子(45)、および前記第2端部(22)に装着された2つのステータサブアセンブリ(31,33;32,34)を具備した前記軸磁気アバットメント(3)と、前記位置決め筐体(1)の第1端部(16)と前記ロータ(4)の第1端との間に配置された第1機械的補助ベアリング(91)と、前記位置決め筐体(1)の第2端部(22)と前記ロータ(4)の第2端との間に配置された第2機械的補助ベアリング(92)と、を備えた磁気ベアリングのアセンブリと、
前記位置決め筐体(1)の前記外側円筒基準面(15)と協働する部分(157;357)を備えた内側面(151;351)を形成した円筒壁、および前記位置決め筐体(1)の前記第1端部(16)の前記平坦な基準面(17)と協働する平坦な第1端面(158;358)を具備した主筐体(150;350)
であって、ガス状冷却流体の入口のための開口部(155;355)であって、前記第1中間部に配置された前記ガス状流体の入口のための開口部(18)の1つに面して配置された、ガス状流体の入口のための開口部(155;355)と、ガス状冷却流体の出口のための開口部(156;356)であって、前記第2中間部に配置された前記ガス状流体の出口のための開口部(19)の1つに面して配置された、ガス状流体の出口のための開口部(156;356)と、前記冷却液体流れ通路(11)に通じた冷却液体入口(153;353)および冷却液体出口(154;354)と、を含んだ主筐体(150;350)と、
前記ロータ(4)の第1端に接続され、且つ前記ロータ(4)の前記内側円筒基準面(41)および前記平坦な基準面(42)に対して位置決めされた機能部材(252)を具備した機能ユニット(250)と、
前記主筐体(150;350)の前記平坦な第1端面(158)に対して当接する端部(256)を備えた第2筐体(251)であって、前記磁気ベアリングのアセンブリの調節を再実施することなく、前記位置決め筐体(1)の第1端部(16)が前記主筐体(150;350)と前記第2筐体(251)との間に固定的に維持される、第2筐体(251)と、
を具備していることを特徴とする回転機械。
【請求項2】
前記回転機械は、前記位置決め筐体(1)に対する前記ロータの軸方向位置および径方向位置を検出するための第1および第2位置検出器(75,78)をさらに具備し、該位置検出器は個々に前記第1ラジアル磁気ベアリング(7)の近傍、および前記第2ラジアル磁気ベアリング(8)の近傍に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の回転機械。
【請求項3】
前記位置決め筐体(1)の円筒壁(14)の前記中央部(10)は、その外面の第1端および第2端にガスケットハウジング(12,13)をさらに具備し、該ハウジングの間に前記冷却液体流れ通路(11)を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の回転機械。
【請求項4】
前記主筐体(150)は、前記軸磁気アバットメント(3)の外側に配置された漏れのない閉鎖端壁(152)をさらに具備していることを特徴とする請求項
1に記載の回転機械。
【請求項5】
前記主筐体(350)は、前記軸磁気アバットメント(3)の外側において前記長手軸X-X´に直交した追加の平坦な基準面(360)を形成する厚さの円筒壁を含んでいることを特徴とする請求項
1に記載の回転機械。
【請求項6】
前記回転機械は、前記主筐体(350)の前記追加の平坦な基準面(360)に対して当接する端部(456)を備えた第2筐体(451,456)と、前記ロータ(4)の第2端に接続され、且つ前記軸磁気アバットメント(3)の横に配置された前記ロータ(4)の第2内側円筒基準面(43)および平坦な第2基準面に対して位置決めされた機能部材(452)と、を具備した第2機能ユニット(450)を含んでいることを特徴とする請求項
5に記載の回転機械。
【請求項7】
遠心コンプレッサまたはタービン発電機を構成していることを特徴とする請求項1~
6のいずれか一項に記載の回転機械。
【請求項8】
回転機械の製造方法であって、該製造方法は、
i) モジュールモータと磁気ベアリングのアセンブリとを製造するステップであって、
a) 長手軸X-X´に直交した平坦な基準面(17)を形成した第1端部(16)、軸磁気アバットメント(3)のサポートを形成した第2端部(22)、外側円筒基準面(15)を備えた第1端を形成した円筒壁(14)、前記第2端部(22)に固定された第2端、冷却液体流れ通路(11)が外面に設けられた中央部、ガス状流体の入口のための開口部(18)が設けられた第1中間部、およびガス状流体の出口のための開口部(19)が設けられた第2中間部、を具備した位置決め筐体(1)と、
b) 自身の軸として前記長手軸X-X´を備え、且つ内側円筒基準面(41)および長手軸X-X´に直交した平坦な基準面(42)が設けられた第1端を形成したロータ(4)と、
c) 前記位置決め筐体(1)の円筒壁(14)の中央部の内面に装着されたステータ(61,62)、および前記ロータ(4)の外側面に装着された電機子(60)を具備した電気モータ(6)と、
d) 前記位置決め筐体(1)の円筒壁(14)の第1中間部の内面に装着されたステータ(71,72)、および前記ロータ(4)の外側面に装着された電機子(70)を具備した第1ラジアル磁気ベアリング(7)と、
e) 前記位置決め筐体(1)の円筒壁(14)の第2中間部の内面に装着されたステータ(81,82)、および前記ロータ(4)の外側面に装着された電機子(80)を具備した第2ラジアル磁気ベアリング(8)と、
f) 前記長手軸X-X´に直交した、前記ロータ(4)の第2端に装着されたロータ電機子(45)、および前記第2端部(22)に装着された2つのステータサブアセンブリ(31,33;32,34)を具備した軸磁気アバットメント(3)と、
g) 前記位置決め筐体(1)の第1端部(16)と前記ロータ(4)の第1端との間に配置された第1機械的補助ベアリング(91)と、
h) 前記位置決め筐体(1)の第2端部(22)と前記ロータ(4)の第2端との間に配置された第2機械的補助ベアリング(92)と、を一体に組み立てることによって前記アセンブリを製造するステップと、
ii) 前記モジュールモータと磁気ベアリングのアセンブリとを受容した前記位置決め筐体(1)を、内側面(151;351)を備えた円筒壁を具備した主筐体(150;350)内に軸方向にスライドさせて、前記内側面の部分(157;357)を前記位置決め筐体(1)の前記外側円筒基準面(15)と協働させ、且つ前記主筐体(150;350)の平坦な第1端面(158;358)を前記位置決め筐体(1)の前記第1端部(16)の平坦な基準面(17)と協働させるステップ
であって、前記主筐体(150;350)は、ガス状冷却流体の入口のための開口部(155;355)であって、前記第1中間部に配置された前記ガス状流体の入口のための開口部(18)の1つに面して配置された、ガス状流体の入口のための開口部(155;355)と、ガス状冷却流体の出口のための開口部(156;356)であって、前記第2中間部に配置された前記ガス状流体の出口のための開口部(19)の1つに面して配置された、ガス状流体の出口のための開口部(156;356)と、前記冷却液体流れ通路(11)に通じた冷却液体入口(153;353)および冷却液体出口(154;354)と、を含んだ、協働させるステップと、
iii) 第2筐体(251,256)および機能部材(252)を具備した機能ユニット(250)を組み立て、前記第2筐体(251,256)の端部(256)を前記主筐体(150;350)の前記平坦な第1端面(158)に対して当接させ、これにより前記位置決め筐体(1)の第1端部(16)が、前記主筐体(150;350)と前記第2筐体(251)との間に固定的に保持され、且つ前記磁気ベアリングのアセンブリの調節を再実施することなく、前記機能部材(252)を前記ロータ(4)の第1端に接続し、ならびに前記機能部材(252)を前記内側円筒基準面(41)に対しておよび前記ロータ(4)の平坦な基準面(42)に対して位置決めするステップと、
を含んでいることを特徴とする製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モジュールモータと磁気ベアリングとのアセンブリ、およびその製造方法に関し、また、本発明は、遠心コンプレッサ、浸漬ロータ型ロータリーポンプ、タービン発電機ユニット、またはそのような回転機械への応用にも関する。
【背景技術】
【0002】
浸漬ロータ型ロータリーポンプは特許文献1から知られており、この文献では、ポンプはロータに固定されたポンプホイールを具備し、ロータは電気モータによって駆動され、且つ磁気ベアリングを利用して筐体に対して支持されている。そのタイプの機械においては、一体に組み立てるための機械部品の数は多く、これによって調節を複雑にしており、高コストをもたらしている。
【0003】
より詳細には、そのようなポンプを形成した要素は、個別にモータのためにおよび各磁気ベアリングに関して一体に組み立てられ、部品、特にロータに関連した部品を調節する場合に、それはしばしばある要素を分解および再組立てする必要がある。これは、必要とされた空隙を形成するために、調節されるために必要な寸法が、非常に正確な数値に適合させるためであり、空隙は効率の理由から大きすぎてはならず、ロータとステータとの間の接触を回避するために小さすぎてもならないためである。したがって、そのようなタイプの機械の組み立ては、形成される複数の基準面を必要とし、各磁気ベアリングおよびロータは、正確に位置決めされることが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、前述の欠点を改善することであり、特に電気モータと磁気ベアリングとが設けられた回転機械の組み立てを容易にすることである。
【0006】
本発明は、使用者が、電気モータおよび磁気ベアリングを筐体内においてポンプインペラのような機能要素と一体にすることによって構成された支持要素を形成したアセンブリを自分自身で組み入れることを可能とすることも、目的としている。
【0007】
本発明は、特に磁気ベアリングを備えた電気モータに適合した回転機械の製造の簡略化、それ故、その製造コストの減少を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、これらの目的は、長手軸X-X´に直交した平坦な基準面を形成した第1端部と、軸磁気アバットメントのサポートを形成した第2端部と、外側円筒基準面を備えた第1端、第2端部に固定された第2端、冷却液体流れ通路が外面に設けられた中央部、ガス状流体の入口のための開口部が設けられた第1中間部、およびガス状流体の出口のための開口部が設けられた第2中間部を形成した円筒壁と、を具備した位置決め筐体と;自身の軸として長手軸X-X´を備え、且つ内側円筒基準面および長手軸X-X´に直交した平坦な基準面が設けられた第1端を形成したロータと;位置決め筐体の円筒壁の中央部の内面に装着されたステータ、およびロータの外側面に装着された電機子を具備した電気モータと;位置決め筐体の円筒壁の第1中間部の内面に装着されたステータ、およびロータの外側面に装着された電機子を具備した第1ラジアル磁気ベアリングと;位置決め筐体の円筒壁の第2中間部の内面に装着されたステータ、およびロータの外側面に装着された電機子を具備した第2ラジアル磁気ベアリングと;長手軸X-X´に直交したロータの第2端に装着されたロータ電機子、および軸磁気アバットメントサポートに装着された2つのステータサブアセンブリを具備した軸磁気アバットメントと;位置決め筐体の第1端部とロータの第1端との間に配置された第1機械的補助ベアリングと;位置決め筐体の第2端部とロータの第2端との間に配置された第2機械的補助ベアリングと;を具備していることを特徴とするモジュールモータと磁気ベアリングとのアセンブリによって達成されている。
【0009】
本発明のモジュールアセンブリは、位置決め筐体に対するロータの軸方向位置および径方向位置を検出するための第1および第2位置検出器をさらに具備し、これらの位置検出器は個々に第1ラジアル磁気ベアリングの近傍、および第2ラジアル磁気ベアリングの近傍に配置されている。
【0010】
本発明の態様によれば、位置決め筐体の円筒壁の中央部は、その外面の第1端および第2端にガスケットハウジングを具備し、ハウジングの間に冷却液体流れ通路を備えている。
【0011】
本発明は、これまでに定義されたモジュールアセンブリと、外側円筒基準面と協働する部分を備えた内側面を形成した円筒壁、および第1端部の平坦な基準面を協働する平坦な第1端面を具備した主筐体と;主筐体の平坦な第1端面に対して当接する端部を備えた第2筐体、およびロータの第1端に接続され、且つロータの内側円筒基準面および平坦な基準面に対して位置決めされた機能部材を具備した機能ユニットと;を具備している回転機械も提供している。
【0012】
有利なことに、本発明の回転機械は主筐体を含み、この主筐体は、ガス状冷却流体の入口のための開口部であって、この開口部は、第1中間部に配置されたガス状流体の入口のための開口部の1つに面して配置されたガス状流体の入口のための開口部と、ガス状冷却流体の出口のための開口部であって、第2中間部に配置されたガス状流体の出口開口部の1つに面して配置されたガス状流体の出口のための開口部と、冷却液体流れ通路に通じた冷却液体入口および冷却液体出口と、を含んでいる。
【0013】
特別な実施形態においては、本発明の回転機械において、主筐体は、軸磁気アバットメントの外側に配置された漏れのない閉鎖端壁をさらに具備している。
【0014】
別の特別な実施形態においては、本発明の回転機械においては、主筐体は、軸磁気アバットメントの外側において長手軸X-X´に直交した追加の平坦な基準面を形成する厚さの円筒壁を含んでいる。
【0015】
そのような状況において、本発明の回転機械は、主筐体の追加の平坦な基準面に対して当接する端部を備えた第2筐体と、ロータの第2端に接続され、且つ軸磁気アバットメントの横に配置されたロータの第2内側円筒基準面および平坦な第2基準面に対して位置決めされた機能部材と、を具備した第2機能ユニットを含んでいてもよい。
【0016】
本発明の回転機械は、例えば遠心コンプレッサまたはタービン発電機を構成していてもよい。
【0017】
本発明は、回転機械の製造方法であって、この製造方法は、
i) モジュールモータと磁気ベアリングとのアセンブリを製造するステップであって、
a) 長手軸X-X´に直交した平坦な基準面を形成した第1端部、軸磁気アバットメントのサポートを形成した第2端部、外側円筒基準面を備えた第1端を形成した円筒壁、第2端部に固定された第2端、冷却液体流れ通路が外面に設けられた中央部、ガス状流体の入口のための開口部が設けられた第1中間部、およびガス状流体の出口のための開口部が設けられた第2中間部、を具備した位置決め筐体と、
b) その軸として長手軸X-X´を備え、且つ内側円筒基準面および長手軸X-X´に直交した平坦な基準面が設けられた第1端を形成したロータと、
c) 位置決め筐体の円筒壁の中央部の内面に装着されたステータ、およびロータの外側面に装着された電機子を具備した電気モータと、
d) 位置決め筐体の円筒壁の第1中間部の内面に装着されたステータ、およびロータの外側面に装着された電機子を具備した第1ラジアル磁気ベアリングと、
e) 位置決め筐体の円筒壁の第2中間部の内面に装着されたステータ、およびロータの外側面に装着された電機子を具備した第2ラジアル磁気ベアリングと、
f) 長手軸X-X´に直交した、ロータの第2端に装着されたロータ電機子、および軸磁気アバットメントサポートに装着された2つのステータサブアセンブリを具備した軸アバットメントと、
g) 位置決め筐体の第1端部とロータの第1端との間に配置された第1機械的補助ベアリングと、
h) 位置決め筐体の第2端部とロータの第2端との間に配置された第2機械的補助ベアリングと、を一体に組み立てることによってアセンブリを製造するステップと、
ii) モジュールモータと磁気ベアリングとのアセンブリを、内側面を備えた円筒壁を具備した主筐体内に軸方向にスライドさせて、内側面の部分を外側円筒基準面と協働させ、且つ主筐体の平坦な第1端面を第1端部の平坦な基準面と協働させるステップと、
iii) 第2筐体および機能部材を具備した機能ユニットを組み立て、第2筐体の端部を主筐体の平坦な第1端面に対して当接させ、且つ機能部材をロータの第1端に接続し、ならびに機能部材を内側円筒基準面に対しておよびロータの平坦な基準面に対して位置決めするステップと、を含んでいる。
【0018】
要約すると、本発明は原則的にモジュールモータと磁気ベアリングとのアセンブリに関係し、そのアセンブリは、平坦な基準面、外側円筒基準面、冷却液体流れ通路を備えた外面が設けられた中央部、ならびにガス状流体入口および出口開口部を備えた中間部を備えた位置決め筐体と;内側円筒基準面および平坦な基準面を形成したロータと;電気モータと;ラジアル磁気ベアリングと;軸アバットメントと;機械的補助ベアリングと;を具備している。
【0019】
次に、モジュールアセンブリは、単にスライドされることによって主筐体内に組み込まれ、磁気ベアリングの調節を再実施することなく機能ユニットに直接接続されることが可能である。
【0020】
本発明においては、モジュールモータと磁気ベアリングとのアセンブリは、すべての機械的パラメータが専用化された工具を使用することによって調節されたモータのメーカーによって、工場内で製造されてもよい。その後、モジュールアセンブリは主筐体内に組み込まれ、いくつかの特別な機器に適合され、所与の機能ユニットは、少数の機械的インターフェイス(基準面)のみを含んだ位置決め筐体を使用することによって、モータおよび磁気ベアリングに関連した基本パラメータを改善することなくそのままそこに接続されることが可能である。さらに、冷却通路が位置決め筐体に形成された場合、および位置決め筐体の中間部に複数の開口部が存在しているために、モータのための冷却システムを実施することが最終ユーザに関しても容易である。
【0021】
したがって、単一のモジュールモータと磁気ベアリングとのアセンブリを伴って、本発明は、ポンプ、ベンチレータ、ファン、およびコンプレッサを含んだ遠心コンプレッサ、またはタービン発電機ユニットを含んだ、より一般的なターボ機械のような、異なった回転機械の全範囲を提供することが可能である。
【0022】
本発明の他の特徴および利点は、添付図を参照するとともに、非限定的な例として与えられた特別な実施形態の以下の記載から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明のモジュールモータと磁気ベアリングとのアセンブリの図式的な軸方向断面を示した図である。
【
図2】位置決め筐体とポンプインペラのような機能部材との
図1のモジュールアセンブリを組み立てる方法を示した分解図である。
【
図3】多様な要素とともに組み立てられた後に得られた最終的な機械の図式的な軸方向断面を示した、
図2の様式の分解図である。
【
図4】開放された、すなわち密封的にシールされていないアセンブリ内に組み込まれた、
図1のモジュールアセンブリの図式的な軸方向断面を示した図である。
【
図5】2つのインペラを備えた機械に組み込まれた、
図1のモジュールアセンブリの図式的な軸方向断面を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本記載は、本発明のモジュールモータと磁気ベアリングとのアセンブリの例を示した
図1に関連しており、このアセンブリは、電気モータ6がロータ4の回転を駆動することを可能にするために必要な、一方でラジアル磁気ベアリング7、8およびアキシャル磁気ベアリング3を利用して物理的接触無しに、ロータを浮揚した状態に維持するために必要な、すべての機械的要素を含んでいる。
【0025】
モジュールアセンブリは、モータ6ならびに磁気ベアリング3、7、および8のすべての物理的パラメータを調節することを可能にした位置決め筐体1を具備している。位置決め筐体1は、長手軸X-X´に直交した平坦な基準面17を備えた第1端部16と、アキシャル磁気ベアリング3のためのサポートを形成した第2端部22と、を具備している。
【0026】
位置決め筐体1は、外側円筒基準面15を備えた第1端を形成した円筒壁14と、第2端部22に固定された第2端と、冷却液体流れ通路11とともに外面に設けられた中央部10と、モータ6ならびに磁気ベアリング7および8を冷却するためのガス状冷却流体の入口のための開口部18を備えた第1中間部と、ガス状冷却流体の出口のための開口部19を備えた第2中間部と、も具備している。位置決め筐体1の円筒壁14の中央部10は、冷却液体流れ通路11を備えた外面の第1端および第2端においてガスケットハウジング12、13をさらに具備し、通路11はガスケットハウジングの間にある。
【0027】
その軸として長手軸X-X´を備えたロータ4は、内側円筒基準面41を備えた第1端と、長手軸X-X´に直交した平坦な基準面42と、を形成している。この第1端においては、ロータ4は、以下に記載されたインペラのような機能部材の接続要素を受容するためのタップネジも備えている。ロータ4の他端においては、ボルト44のような接続部材が、ロータ4を軸アバットメント3のロータ面45に固定している。
【0028】
電気モータ6は、ロータ4の外側面に装着された電機子60と、位置決め筐体1の円筒壁14の中央部の内面に装着されたステータと、を備え、ステータは強磁性体薄板の積層体から形成されたコア61と、コア61に関連した巻線62と、を具備している。
【0029】
ラジアル磁気ベアリング7、8は同一であり、それらはモータ6の両側に配置されている。それらの各々は、ロータ4の外側面に装着された強磁性材料から形成された環状電機子70、80と、ヨーク71、81を形成し、巻線72、82を支持し、且つ位置決め筐体1の円筒壁14の中間部の個々の内面に装着されたステータ電磁石と、を備えている。
【0030】
軸アバットメント3は、長手軸X-X´に直交したロータ4の第2端に装着されたロータ電機子45と、軸アバットメントサポート22に装着され且つロータ電機子45の両側に配置された2つのステータサブアセンブリ31、33および32、34と、を具備している。軸アバットメント3の各ステータは、ヨーク31、32、および巻線33、34を具備している。
【0031】
モジュールアセンブリは、位置決め筐体1に対するロータ4の軸方向位置および径方向位置を検出するための第1位置検出器75および第2位置検出器85をさらに具備し、これらの位置検出器は、個々に第1ラジアル磁気ベアリング7の近傍および第2ラジアル磁気ベアリング8の近傍に配置され、有利には誘導タイプとされてもよい。
【0032】
第1機械的補助ベアリング91、または緊急ベアリングは、位置決め筐体1の第1端部とロータ4の第1端との間に配置され、第2機械的補助ベアリング92は、位置決め筐体1の第2端部22とロータ4の第2端との間に配置されている。機械的補助ベアリング91および92は、モータ6が起動もしくは停止する場合、または磁気ベアリング7、8が破損した場合にのみ使用可能となる。
【0033】
図2~5を参照して、
図1に関連して記載されたモータと磁気ベアリングとのアセンブリを使用した回転機械の組み立ての方法が以下に記載されている。
【0034】
したがって、回転機械を組み立てるための本発明の方法は、
図1に示されたようなモジュールモータと磁気ベアリングとのアセンブリの組み立てから成る第1ステップi)を含み、このステップでは、
a)長手軸X-X´に直交した平坦な基準面17を形成した第1端部16、軸磁気アバットメント3のサポートを形成した第2端部22、外側円筒基準面15を備えた第1端を形成した円筒壁14、第2端部22に固定された第2端、冷却液体流れ通路11を備えた外面に設けられた中央部10、ガス状冷却流体の入口のための開口部18が設けられた第1中間部、およびガス状冷却流体の出口のための開口部19が設けられた第2中間部、を具備した位置決め筐体1と、
b)その軸として長手軸X-X´を備え、且つ内側円筒基準面41および長手軸X-X´に直交した平坦な基準面42が設けられた第1端を形成したロータ4と、
c)位置決め筐体1の円筒壁14の中央部の内面に装着されたステータ61、62、およびロータ4の外側面に装着された電機子60を具備した電気モータ6と、
d)位置決め筐体1の円筒壁14の第1中間部の内面に装着されたステータ71、72、およびロータ4の外側面に装着された電機子70を具備した第1ラジアル磁気ベアリング7と、
e)位置決め筐体1の円筒壁14の第2中間部の内面に装着されたステータ81、82、およびロータ4の外側面に装着された電機子80を具備した第2ラジアル磁気ベアリング8と、
f)長手軸X-X´に直交した、ロータ4の第2端に装着されたロータ電機子45、および軸磁気アバットメントサポート22に装着された2つのステータサブアセンブリ31、33;32、34を具備した軸アバットメント3と、
g)位置決め筐体1の第1端部16とロータ4の第1端との間に配置された第1機械的補助ベアリング91と、
h)位置決め筐体1の第2端部22とロータ4の第2端との間に配置された第2機械的補助ベアリング92と、
を組み立てる。
【0035】
図2に示されたような、回転機械を製造するための本発明の方法は、モジュールモータと磁気ベアリングとのアセンブリ50を、内側面151を形成した円筒壁を備えた主筐体150内に軸方向にスライドさせて、この内側面の部分157を外側円筒基準面15と協働させ、且つ主筐体150の平坦な第1端面158を
図1の位置決め筐体1の第1端部16の平坦な基準面17と協働させることから成るステップii)を含んでいる。平坦な端面158は、ガスケットを受容することを目的として、軸X-X´上に中心がある円形溝159を含んでいてもよい(
図2および
図3参照)。
【0036】
図2に示されたような、回転機械を製造するための本発明の方法は、第2筐体251、256および機能部材252を具備した機能ユニット250を、第2筐体251、256の端部256を主筐体150の平坦な第1端面158に対して当接させることによって、且つ例えばネジ253をロータ4の第1端のネジと協働させる補助を伴って機能部材252を接続することによって、一方で例えばポンプインペラのような機能部材252の円筒面255および平端面254を、それぞれ内側円筒基準面41に対しておよびロータ4の平坦な基準面42に対して位置決めすることによって、組み立てることから成るステップiii)を最終的に含んでいる。
【0037】
図2および
図3に見られているように、主筐体150はガス状冷却流体の入口のための開口部155を含み、この開口部は、位置決め筐体1の第1中間部内に配置されたガス状流体の入口のための開口部18の1つに面している。主筐体150はガス状冷却流体の出口のための開口部156も含み、この開口部は、位置決め筐体1の第2中間部内に配置されたガス状流体の出口のための開口部19の1つに面して配置されている。主筐体150は、位置決め筐体1の中央部10の冷却液体通路11に通じた冷却液体入口153および冷却液体出口154を含んでいる。
【0038】
図2および
図3に示された実施形態においては、主筐体150は、軸磁気アバットメント3の外側に配置された漏れのない閉鎖端壁152をさらに具備している。
【0039】
図3は、主筐体150および機能ユニット250を備えた、本発明により組み立てられたモジュールモータと磁気ベアリングとのアセンブリ50に由来した回転機械を示している。
【0040】
したがって、本発明は、多様な材料で形成され且つ内側面151を与える多様な形状および厚さ、特に円筒位置決め面157および平坦な端面158を現した主筐体150を形成すること、およびモジュールアセンブリ50の基準面15、17を合致させることを可能にしている。したがって、接点に関係した条件は減少され、磁気ベアリング7、8、軸アバットメント3、センサ75、78、およびモータ6の位置決めに関係した条件は、位置決めハウジング1に対してモジュールアセンブリ50内において事前に決定され、モジュールアセンブリ50を主筐体150および機能ユニット250と、特に軸方向位置検出器75および径方向位置検出器78に関して組み立てる場合に、追加の調整は必要ない。
【0041】
さらに、モータ6のためのおよび磁気ベアリング7、8のための冷却回路に関連して、モジュールアセンブリ50を特に回転機械に統合する場合に実施される必要のある適合は非常に小さく、これは液体冷却回路が位置決め筐体内の中央部10内の通路11によって既に形成されており、そのことが主筐体150の壁内の冷却液体のための入口153および出口154を、他の複雑な機械加工作業を実施する必要なく設けることを満たしているためである。同じ様式において、位置決め筐体1の中間部に複数の開口部18、19が存在しているため、冷却ガス入口オリフィス155および冷却ガス出口オリフィス156を、位置決め筐体1の開口部18、19に対して位置決めすることが容易である。
【0042】
本発明は多様な実施形態を現し得、開放されたまたは密封されたシステムを形成し得、1つの機能ユニットまたは2つの機能ユニットを備えたシステムを形成し得る。
【0043】
実施例の目的で、変形において、溝159ならびに
図2および
図3の主筐体150の端面158内に配置された対応したガスケットは、機能ユニット250の第2筐体251、256の端部256内に同等の様式において設けられ得ることが観察される。
【0044】
図4は回転機械の例を示しており、この回転機械においては、主筐体350は、軸磁気アバットメント3の外側の長手軸X-X´に直交した追加の平坦な基準面360を形成した厚さの円筒壁を備えている。そのような状況下において、主筐体350は開放されており、
図2および
図3の主筐体150の端面152を含んでいない。または、
図4の実施形態においては、参照符号351および353~358は、
図2および
図3に示された主筐体150の参照符号151および153~158に対応しており、対応した要素は再度記載されていない。
【0045】
図5は、
図1に示された種類のモジュールモータとベアリングアセンブリ50とを具備した回転機械の例を示しており、この回転機械は
図2および
図3を参照して記載されたような第1機能ユニット250、および機能ユニット250に類似した第2機能ユニット450を備えており、第2機能ユニット450は、
図2~5の機能ユニット250の要素251、252、および256に個々に対応した要素451、452、および456を備えている。モジュールアセンブリ50の2つの端に接続された機能ユニット250および450の部品を形成した2つのインペラ252および452を備えた
図5の実施形態においては、モジュールアセンブリ50の軸アバットメントのロータ電機子サポートは、ロータ4に固定された可動部材452と協働した円筒基準面43を形成している。この円筒基準面43は、可動部材252(
図2)の円筒基準面255と協働するための円筒基準面41(
図1)の役割と同一の役割を果たしている。モジュールアセンブリ50の
図5の軸アバットメントのロータ電機子サポートは、可動部材252(
図2)の端面254と協働するための平坦な基準面42(
図1)に類似した平坦な端部基準面を形成してもよい。
【0046】
要約すると、
図5の実施形態においては、最後の回転機械は第2機能ユニット450および機能部材452を含み、第2機能ユニット450は、主筐体350の追加の平坦な基準面360に対して当接する端部456を備えた第2筐体451、456を具備し、機能部材452はロータ4の第2端に接続され、第2内側円筒基準面43に対して且つ軸磁気アバットメントの横に配置されたロータ4の平坦な第2基準面に対して位置決めされている。
【符号の説明】
【0047】
1 ・・・位置決め筐体
3 ・・・アキシャル磁気ベアリング
4 ・・・ロータ
6 ・・・電気モータ
7、8 ・・・ラジアル磁気ベアリング
10 ・・・中央部
11 ・・・冷却液体流れ通路
12、13 ・・・ガスケットハウジング
14 ・・・円筒壁
15 ・・・外側円筒基準面
16 ・・・第1端部
17、42 ・・・基準面
18、19 ・・・開口部
22 ・・・第2端部
31、32 ・・・ヨーク
33、34 ・・・巻線
41 ・・・内側円筒基準面
44 ・・・ボルト
45 ・・・ロータ電機子
60 ・・・電機子
61 ・・・コア
62、72、82 ・・・巻線
70、80 ・・・環状電機子
71、81 ・・・ヨーク
91、92 ・・・機械的補助ベアリング
150、350 ・・・主筐体
152 ・・・閉鎖端壁
153 ・・・冷却液体入口
154 ・・・冷却液体出口
155、156 ・・・開口部
158 ・・・端面
159 ・・・円形溝
250 ・・・機能ユニット
251、256 ・・・第2筐体
252 ・・・機能部材
450 ・・・第2機能ユニット