(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-03
(45)【発行日】2022-03-11
(54)【発明の名称】微細乳化マトリックス、その調製方法及び化粧品
(51)【国際特許分類】
A61K 8/06 20060101AFI20220304BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20220304BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20220304BHJP
A61K 8/63 20060101ALI20220304BHJP
A61K 8/39 20060101ALI20220304BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20220304BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20220304BHJP
A61Q 1/00 20060101ALI20220304BHJP
A61Q 1/14 20060101ALI20220304BHJP
【FI】
A61K8/06
A61K8/34
A61K8/86
A61K8/63
A61K8/39
A61K8/37
A61Q19/00
A61Q1/00
A61Q1/14
(21)【出願番号】P 2020219964
(22)【出願日】2020-12-31
【審査請求日】2020-12-31
(31)【優先権主張番号】202011115801.4
(32)【優先日】2020-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516115577
【氏名又は名称】広東丸美生物技術股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100205936
【氏名又は名称】崔 海龍
(74)【代理人】
【識別番号】100132805
【氏名又は名称】河合 貴之
(72)【発明者】
【氏名】孫 懐慶
(72)【発明者】
【氏名】孫 雲起
(72)【発明者】
【氏名】▲じょう▼ 艶峰
(72)【発明者】
【氏名】佐佐木 公夫
(72)【発明者】
【氏名】裴 運林
(72)【発明者】
【氏名】郭 朝万
(72)【発明者】
【氏名】胡 露
(72)【発明者】
【氏名】▲お▼ 青雲
【審査官】松井 一泰
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-112679(JP,A)
【文献】特開2019-099480(JP,A)
【文献】特開2016-074616(JP,A)
【文献】特開2013-151448(JP,A)
【文献】特開2010-070526(JP,A)
【文献】特開2007-077096(JP,A)
【文献】特開2019-043933(JP,A)
【文献】特開2018-100250(JP,A)
【文献】国際公開第2017/090214(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00- 90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料は、ブチレングリコール1~2重量部、グリセリン2~3重量部、PEG-60水添ヒマシ油0.3~0.4重量部、HLB値が3~7の乳化剤0.1~1重量部、合成油脂0.3~0.5重量部及び水0.1~1重量部で構成され、
前記合成油脂はシリコーン油を含まない、ことを特徴とする微細乳化マトリックス。
【請求項2】
前記微細乳化マトリックスの原料は、
ブチレングリコール1.2~1.8重量部、グリセリン2.3~2.7重量部、PEG-60水添ヒマシ油0.3~0.4重量部、HLB値が3~7の乳化剤0.4~0.8重量部、合成油脂0.3~0.5重量部及び水0.1~1重量部で構成される、ことを特徴とする請求項1に記載の微細乳化マトリックス。
【請求項3】
前記微細乳化マトリックスの原料は、0.001~0.1重量部の油脂をさらに含み、
前記油脂は植物油、鉱物油、シリコーン油及び油溶性活性物質から選択される少なくとも1種である、ことを特徴とする請求項1に記載の微細乳化マトリックス。
【請求項4】
前記油脂はツバキ種子油及び/又は酢酸トコフェロールを含む、ことを特徴とする請求項3に記載の微細乳化マトリックス。
【請求項5】
前記合成油脂はトリ(2-エチルヘキサン酸)グリセリルである、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の微細乳化マトリックス。
【請求項6】
前記HLB値が3~7の乳化剤は、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-3、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-2、ジイソステアリン酸グリセリル、ステアリン酸グリセリルSE、PEG-5フィトステロール及びステアリン酸PEG-5グリセリルの少なくとも1種を含む、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の微細乳化マトリックス。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の微細乳化マトリックスの調製方法であって、
水を除くすべての原料を混合して混合物を得て、前記混合物の温度が60℃以下のときに水を加えて均一に混合させることを含む、ことを特徴とする微細乳化マトリックスの調製方法。
【請求項8】
前記混合物の温度が20~60℃のときに水を加えて均一に混合させる、ことを特徴とする請求項7に記載の微細乳化マトリックスの調製方法。
【請求項9】
水を除くすべての原料を混合して混合物を得るステップは、水を除くすべての原料を混合して65~75℃に加熱して完全に溶解させて前記混合物を得ることを含む、ことを特徴とする請求項7に記載の微細乳化マトリックスの調製方法。
【請求項10】
請求項1~6のいずれか一項に記載の微細乳化マトリックスを含む、ことを特徴とする化粧品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は化粧品の分野に関し、具体的には、微細乳化マトリックス、その調製方法及び化粧品に関する。
【背景技術】
【0002】
微細乳化液は、乳化液と合成液の間の新型の切削液であり、乳化切削液と合成切削液に続く水性切削液の新世代製品であり、微細乳化油を水で高倍率に希釈して形成された微細乳化状の半透明液体であり、微細乳化(micro emulsion)とは、水、油、界面活性剤等によって自発的に形成される熱力学的安定した系である。
【0003】
微細乳化は、高い熱力学的安定性と優れた光透過性等の利点を有する。本願は、新しい微細乳化マトリックスを提供することを目的とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願の実施例の目的は微細乳化マトリックス、その調製方法及び化粧品を提供することにあり、微細乳化マトリックスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願の第1の態様は微細乳化マトリックスを提供しており、微細乳化マトリックスの原料は、
ブチレングリコール1~2重量部、グリセリン2~3重量部、PEG-60水添ヒマシ油0.3~0.4重量部、HLB値が3~7の乳化剤0.1~1重量部、合成油脂0.3~0.5重量部及び水0.1~1重量部で構成され、
前記合成油脂はシリコーン油を含まない。
【0006】
本願の第1の態様のいくつかの実施例において、微細乳化マトリックスの原料は、
ブチレングリコール1.2~1.8重量部、グリセリン2.3~2.7重量部、PEG-60水添ヒマシ油0.3~0.4重量部、HLB値が3~7の乳化剤0.4~0.8重量部、合成油脂0.3~0.5重量部及び水0.1~1重量部で構成される。
【0007】
本願の第1の態様のいくつかの実施例において、微細乳化マトリックスの原料は0.001~0.1重量部の油脂をさらに含み、
前記油脂は植物油、鉱物油、シリコーン油及び油溶性活性物質から選択される少なくとも1種である。
【0008】
本願の第1の態様のいくつかの実施例において、油脂はツバキ種子油及び/又は酢酸トコフェロールを含む。
【0009】
本願の第1の態様のいくつかの実施例において、合成油脂はトリ(2-エチルヘキサン酸)グリセリルである。
【0010】
本願の第1の態様のいくつかの実施例において、HLB値が3~7の乳化剤は、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-3、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-2、ジイソステアリン酸グリセリル、ステアリン酸グリセリルSE、PEG-5フィトステロール及びステアリン酸PEG-5グリセリルの少なくとも1種を含む。
【0011】
本願の第2の態様は上記微細乳化マトリックスの調製方法を提供しており、前記微細乳化マトリックスの調製方法は、
水を除くすべての原料を混合して混合物を得て、前記混合物の温度が60℃以下のときに水を加えて均一に混合させることを含む。
【0012】
本願の他の実施例において、前記混合物の温度が20~60℃のときに水を加えて均一に混合させる。
【0013】
本願の第2の態様のいくつかの実施例において、水を除くすべての原料を混合して混合物を得るステップは、水を除くすべての原料を混合して65~75℃に加熱して完全に溶解させて前記混合物を得ることを含む。
【0014】
本願は、上記微細乳化マトリックスを含む化粧品をさらに提供する。
【発明の効果】
【0015】
本願の実施例に係る微細乳化マトリックス、その調製方法及び化粧品は少なくとも以下の有益な効果を有する。
本願に係る微細乳化マトリックスは、それぞれの配合比での原料の配合により安定性に優れている微細乳化系を得ることができ、高温、低温の両方でも優れた安定性を示し、乳化破壊及び油水分離状況の発生が容易ではない。本願に係る微細乳化マトリックスは、化粧水における合成油脂の油脂溶解度を向上させ、化粧水の油脂選択性を最適化し、化粧水における活性物質の浸透率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本願の実施例の技術案をより明確に説明するために、以下、実施例で使用する必要がある図面を簡単に紹介し、以下の図面は、本願のいくつかの実施例を示すものに過ぎず、したがって、範囲に対する限定と見なされるべきではないことを理解でき、当業者は、創造的な労働を行わない前提でこれらの図面から他の関連する図面を得ることができる。
【0017】
【
図1】実施例1に係る微細乳化マトリックス及び水を加えた後の外観図を示す。
【
図2】実施例2に係る微細乳化マトリックス及び水を加えた後の外観図を示す。
【
図3】実施例3に係る微細乳化マトリックス及び水を加えた後の外観図を示す。
【
図4】実施例4に係る微細乳化マトリックス及び水を加えた後の外観図を示す。
【
図5】実施例5に係る微細乳化マトリックス及び水を加えた後の外観図を示す。
【
図6】実施例6に係る微細乳化マトリックス及び水を加えた後の外観図を示す。
【
図7】比較例1に係る微細乳化マトリックス及び水を加えた後の外観図を示す。
【
図8】実施例7に係る微細乳化マトリックス及び水を加えた後の外観図を示す。
【
図9】実施例8に係る微細乳化マトリックス及び水を加えた後の外観図を示す。
【
図10】実施例9に係る微細乳化マトリックス及び水を加えた後の外観図を示す。
【
図11】実施例10に係る微細乳化マトリックス及び水を加えた後の外観図を示す。
【
図12】実施例11に係る微細乳化マトリックス及び水を加えた後の外観図を示す。
【
図13】比較例2に係る微細乳化マトリックス及び水を加えた後の外観図を示す。
【
図14】実施例12に係る微細乳化マトリックス及び水を加えた後の外観図を示す。
【
図15】実施例13に係る微細乳化マトリックス及び水を加えた後の外観図を示す。
【
図16】実施例14に係る微細乳化マトリックス及び水を加えた後の外観図を示す。
【
図17】比較例3に係る微細乳化マトリックス及び水を加えた後の外観図を示す。
【
図18】比較例4に係る微細乳化マトリックス及び水を加えた後の外観図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本願の実施例の目的、技術案及び利点をより明確にするために、以下、本願の実施例における技術案を明確且つ完全に説明する。実施例に、具体的な条件が明確に示されていない場合、通常の条件又はメーカが推奨する条件に従って行われる。メーカが示されていない使用される試薬又は機器は、いずれも市販を通じて購入できる通常の製品である。
【0019】
以下、本願の実施例の微細乳化マトリックス、その調製方法及び化粧品を詳細に説明する。
【0020】
微細乳化マトリックスであって、微細乳化マトリックスの原料は、
ブチレングリコール1~2重量部、グリセリン2~3重量部、PEG-60水添ヒマシ油0.3~0.4重量部、HLB値が3~7の乳化剤0.1~1重量部、合成油脂0.3~0.5重量部及び水0.1~1重量部で構成され、
前記合成油脂はシリコーン油を含まない、微細乳化マトリックス。
【0021】
本願では、上記成分及び上記配合比の原料を選択することで安定性に優れている微細乳化マトリックスを得ることができる。該微細乳化マトリックスは、乳化破壊、沈殿、層間剥離などの現象を引き起こすことなく、比較的な高温及び低温で6ヶ月間保存することができる。
【0022】
例示的には、微細乳化マトリックスの原料におけるブチレングリコールの重量部は、1重量部、1.1重量部、1.2重量部、1.4重量部、1.5重量部、1.6重量部、1.8重量部、1.9重量部又は2重量部等であってもよい。
【0023】
微細乳化マトリックスの原料におけるグリセリンの重量部は、2重量部、2.2重量部、2.45重量部、2.5重量部、2.62重量部、2.8重量部、2.9重量部又は3重量部等であってもよい。
【0024】
微細乳化マトリックスの原料におけるPEG-60水添ヒマシ油の重量部は、0.3重量部、0.32重量部、0.35重量部、0.36重量部、0.38重量部、0.386重量部又は0.4重量部等であってもよい。
【0025】
本願の実施例において、残りの原料及び配合比はいずれも上記範囲を満たす場合、微細乳化マトリックスにおけるPEG-60水添ヒマシ油の重量部が0.3重量部未満でも0.4重量部を超えても、微細乳化系を形成できない問題があり、混濁した系を得る。
【0026】
微細乳化マトリックス原料におけるHLB値が3~7の乳化剤の重量部は0.1重量部、0.12重量部、0.22重量部、0.34重量部、0.41重量部、0.56重量部、0.67重量部、0.85重量部又は1重量部等であってもよい。
【0027】
本願の実施例において、HLB値が3~7の乳化剤は、ジイソステアリン酸グリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-3、ステアリン酸グリセリルSE、PEG-5フィトステロール、PEG-10フィトステロール、ステアリン酸PEG-5グリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-2から選択される少なくとも1種であってもよい。本実施例において、HLB値が3~7の乳化剤はジイソステアリン酸ポリグリセリル-3を選択する。例えば、メーカのNIHON EMULSIONにより提供される原料名がEMALEX DISG-3(ジイソステアリン酸ポリグリセリル-3)の材料を乳化剤として選択し、該乳化剤のHLB値は5である。
【0028】
残りの原料及び配合比はいずれも上記範囲を満たす場合、微細乳化マトリックスの原料におけるHLB値が3~7の乳化剤の重量部は0.1重量部未満でも1重量部を超えても澄んだ微細乳化系を得ることができない。
【0029】
微細乳化マトリックスの原料における合成油脂0.3~0.5の重量部は、0.3重量部、0.32重量部、0.35重量部、0.36重量部、0.48重量部、0.492重量部又は0.5重量部等であってもよい。
【0030】
合成油脂はシリコーン油を含まない。例えば、本願の実施例において、合成油脂はトリ(2-エチルヘキサン酸)グリセリルを選択してもよい。本願の他実施例において、合成油脂は2-エチルヘキサン酸ヘキサデシル、水素化ポリデセン、イソノナン酸イソノニル、水添ポリブテン等を選択してもよい。
【0031】
従来の微細乳化体系では、油脂類化合物(合成油脂と非合成油脂)が微細乳化系の原料の0.4wt%しか占めることができないため、油脂類化合物の比率を高めると、微細乳化系の不均衡、濁り又は沈殿物が出る問題を引き起こす。
【0032】
本願の実施例は、シリコーン油ではない合成油脂を0.3~0.5重量部に高め、合成油脂の重量部が0.3~0.5重量部の場合は依然として安定した微細乳化系を形成可能である。言い換えれば、本願は安定した微細乳化系の形成を確保する前提で、微細乳化マトリックスにおける合成油脂の溶解度をさらに向上できる。
【0033】
例示的には、微細乳化マトリックスの原料における水の重量部は0.1重量部、0.12重量部、0.22重量部、0.34重量部、0.41重量部、0.56重量部、0.67重量部、0.85重量部又は1重量部等であってもよい。
【0034】
微細乳化マトリックスの原料に、水を加えしか微細乳化系を形成できず、本願において、水の重量部は0.1~1重量部であり、微細乳化マトリックスにおける水の使用量が大幅に減少される。
【0035】
なお、微細乳化マトリックスの原料における水の重量部とは、各原料が微細乳化を形成するのに必要な水量を指し、系が微細乳化系に形成した後に、より多くの量の水を加えて、その乳化破壊を回避することができる。
【0036】
以上のように、残りの原料及び配合比はいずれも上記重量部の範囲を満たす場合、微細乳化マトリックスの原料における水の重量部が0.1重量部未満でも1重量部を超えても、微細乳化系を形成できず、これにより微細乳化マトリックスを得ることができない。
【0037】
さらに、本願のいくつかの実施例において、微細乳化マトリックスの原料は0.001~0.1重量部の油脂をさらに含む。
【0038】
例示的には、微細乳化マトリックスの原料における油脂の重量部は0.001重量部、0.01重量部、0.015重量部、0.03重量部、0.045重量部、0.048重量部、0.052重量部、0.069重量部、0.076重量部、0.089重量部又は0.1重量部等であってもよい。
【0039】
油脂は植物油、鉱物油、シリコーン油及び油溶性活性物質から選択される少なくとも1種である。例えば、シリコーン油、エッセンス等を選択してもよい。例示的には、植物油はツバキ(CAMELLIA JAPONICA)種子油又はマカデミア(MACADAMIA TERNIFOLIA)種子油等であってもよい。シリコーン油はポリジメチルシロキサン、フェニルトリメチコン等であってもよい。油溶性活性物質は酢酸トコフェロール、テトラヘキシルデカン酸アスコルビル等であってもよい。
【0040】
例示的には、ツバキ(CAMELLIA JAPONICA)種子油、酢酸トコフェロールの少なくとも1つを選択してもよい。或いは、油脂は上記合成油脂と同じ成分を採用してもよい。
【0041】
微細乳化マトリックスの原料において、残りの原料及び配合比はいずれも上記重量部の範囲を満たす場合、油脂の重量部が0.1重量部を超えることができず、油脂の分量が0.1重量部を超えると、微細乳化系を形成できず、或いは微細乳化系が不安定であることを引き起こす。
【0042】
本願の実施例に係る微細乳化マトリックスは少なくとも以下の利点を有する。
本願に係る微細乳化マトリックスは、上記それぞれの配合比での原料の配合により安定性に優れている微細乳化系を得ることができ、高温(45℃)、低温(-18℃)で6ヶ月を保存した後に依然として微細乳化系である。微細乳化マトリックスは多くの水と混合した後に依然として微細乳化系であり、乳化破壊の状況が発生しない。
【0043】
本願に係る微細乳化マトリックスは、化粧水における合成油脂の油脂溶解度を向上させ、化粧水の油脂選択性を最適化し、化粧水における活性物質の浸透率を向上させることができる。
【0044】
本願は上記微細乳化マトリックスの調製方法をさらに提供しており、前記微細乳化マトリックスの調製方法は、
水を除くすべての原料を混合して混合物を得て、前記混合物の温度が60℃以下のときに水を加えて均一に混合させることを含む。
【0045】
言い換えれば、原料における水を除く各成分を混合して混合物を得て、混合物を加熱して混合物の温度が60℃以下のときに水を加えて均一に混合させる。
【0046】
本発明者らは、上記処方において、混合物の温度が60℃を超え、例えば、61℃であるときに水を加えて混合すると、無色透明の微細乳化系が得られず、得られた系が混濁状態になることを見出した。
【0047】
例示的には、混合物に水を加えて均一に混合させて形成された微細乳化系は、混合物の温度が、例えば、5℃、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、42℃、45℃、49℃、50℃、59℃又は60℃等であってもよい。
【0048】
さらに、水を除くすべての原料の混合は65~75℃で行われてもよい。例えば、原料における水を除く各成分を混合して65~75℃に加熱して原料を完全に溶解させた後、温度を60℃以下までに冷却したときに水を加えて均一に混合させる。
【0049】
なお、本願の実施例において、60℃以下のときに水を加えて均一に混合させることは微細乳化系を形成する前に水を加えて微細乳化マトリックスを形成することを指す。
【0050】
微細乳化系が形成された後、比較的な高温で貯蔵又は使用可能であり、微細乳化マトリックスの乳化破壊又は不安定を引き起こさない。
【0051】
本願は、上記微細乳化マトリックスを含む化粧品をさらに提供する。
【0052】
例えば、化粧品は微細乳化マトリックス、有効な成分及び配合原料等を含む。化粧品は、メイクアッププライマー(make-up primer)、メイクアップベース(make-up base)、スキンケア水、洗顔クリーム、メイクアップリムーバー等の各種の乳液、クリーム又はエッセンス等に作ることができる。
【0053】
本願の実施例に係る化粧品は安定性に優れている微細乳化マトリックスを使用したため、該化粧品もそれに応じて優れた安定性を有する。
【0054】
以下、実施例を参照しながら本願の特徴及び性能をさらに詳細に説明する。
【0055】
(実施例1)
本実施例は微細乳化マトリックスを提供しており、該微細乳化マトリックスは以下の方法で調製された。
原料の計量:ブチレングリコール1.5重量部、グリセリン2重量部、PEG-60水添ヒマシ油0.3重量部、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-3 0.8重量部、トリ(2-エチルヘキサン酸)グリセリル0.4重量部;水0.5重量部。1重量部は1gである。ジイソステアリン酸ポリグリセリル-3のメーカはNIHON EMULSION、原料名はEMALEX DISG-3、HLB値は5であった。
【0056】
水を除く原料をビーカーに加えて混合し、65℃に加熱して完全に溶解させて均一に撹拌した後、60℃に冷却した後、水を加えて均一に撹拌して微細乳化マトリックスを得た。
【0057】
図1の左の図は実施例1に係る微細乳化マトリックスの外観図を示し、
図1の右の図は実施例1に係る微細乳化マトリックスに100mlの常温の脱イオン水を加えた後に得られた生成物を示した。
図1から分かるように、実施例1で無色透明の微細乳化マトリックスを得て、水を加えた後、半透明で均一で混濁のない系になった。
【0058】
(実施例2)
本実施例は微細乳化マトリックスを提供しており、該微細乳化マトリックスと実施例1の区別は、実施例1におけるジイソステアリン酸ポリグリセリル-3を本実施例の原料におけるジイソステアリン酸ポリグリセリル-2に置き換えることであった。ジイソステアリン酸ポリグリセリル-2のメーカはNIHON EMULSION、原料名はEMALEX DISG-2、HLB値は4であった。
【0059】
図2の左の図は実施例2に係る微細乳化マトリックスの外観図を示し、
図2の右の図は実施例2に係る微細乳化マトリックスに100mlの常温の脱イオン水を加えた後に得られた生成物を示した。
図2から分かるように、実施例2で無色透明の微細乳化マトリックスを得て、水を加えた後、半透明で均一で混濁のない系になった。
【0060】
(実施例3~実施例6)
実施例3~実施例6はそれぞれ微細乳化マトリックスを提供し、実施例1を参照した。
【0061】
実施例3と実施例1の区別は、実施例1におけるジイソステアリン酸ポリグリセリル-3をその原料におけるジイソステアリン酸グリセリルに置き換えることであった。ジイソステアリン酸グリセリルのメーカはNIHON EMULSION、原料名はEMALEX GWIS-200EX、HLB値は3であった。
【0062】
図3の左の図は実施例3に係る微細乳化マトリックスの外観図を示し、
図3の右の図は実施例3に係る微細乳化マトリックスに100mlの常温の脱イオン水を加えた後に得られた生成物を示した。
図3から分かるように、実施例3で無色透明の微細乳化マトリックスを得て、水を加えた後、半透明で均一で混濁のない系になった。
【0063】
実施例4と実施例1の区別は、実施例1におけるジイソステアリン酸ポリグリセリル-3をその原料におけるステアリン酸グリセリルSEに置き換えることであった。ステアリン酸グリセリルSEのメーカは日光、原料名はMGS-AS EV、HLB値は6であった。
【0064】
図4の左の図は実施例4に係る微細乳化マトリックスの外観図を示し、
図4の右の図は実施例4に係る微細乳化マトリックスに100mlの常温の脱イオン水を加えた後に得られた生成物を示した。
【0065】
実施例5と実施例1の区別は、実施例1におけるジイソステアリン酸ポリグリセリル-3をその原料におけるPEG-5フィトステロールに置き換えることであった。PEG-5フィトステロールのメーカはNIHON EMULSION、原料名はEMALEX PS-5、HLB値は7であった。
【0066】
図5の左の図は実施例5に係る微細乳化マトリックスの外観図を示し、
図5の右の図は実施例5に係る微細乳化マトリックスに100mlの常温の脱イオン水を加えた後に得られた生成物を示した。
【0067】
実施例6と実施例1の区別は、実施例1におけるジイソステアリン酸ポリグリセリル-3をその原料におけるステアリン酸PEG-5グリセリルに置き換えることであった。ステアリン酸PEG-5グリセリルのメーカはNIHON EMULSION、原料名はEMALEX GM-5、HLB値は7であった。
【0068】
図6の左の図は実施例6に係る微細乳化マトリックスの外観図を示し、
図6の右の図は実施例6に係る微細乳化マトリックスに100mlの常温の脱イオン水を加えた後に得られた生成物を示した。
【0069】
(比較例1)
比較例1と実施例1の区別は、実施例1におけるジイソステアリン酸ポリグリセリル-3をその原料におけるPEG-10フィトステロールに置き換えることであった。PEG-10フィトステロールのメーカはNIHON EMULSION、原料名はEMALEX PS-10、HLB値は9であった。
【0070】
図7の左の図は比較例1に係る微細乳化マトリックスの外観図を示し、
図7の右の図は比較例1に係る微細乳化マトリックスに100mlの常温の脱イオン水を加えた後に得られた生成物を示した。
【0071】
比較例1から分かるように、無色透明の微細乳化系を得たが、水を加えた後に混濁になり、且つ系が均一ではなく、これは、HLB値が9のPEG-10フィトステロールは安定した微細乳化マトリックスを得ることができないことを示した。
【0072】
実施例1~実施例6から分かるように、他の成分がすべて実施例1に示される配合原料であるときに、HLB値が3~7の乳化剤により安定した微細乳化マトリックスを得ることができる。
【0073】
(実施例7~実施例11)
実施例7~実施例11はそれぞれ微細乳化マトリックスを提供し、実施例1を参照した。
【0074】
実施例7と実施例1の区別は、その原料におけるジイソステアリン酸ポリグリセリル-3の重量部は0.1重量部であることであった。
【0075】
図8の左の図は実施例7に係る微細乳化マトリックスの外観図を示し、
図8の右の図は実施例7に係る微細乳化マトリックスに100mlの常温の脱イオン水を加えた後に得られた生成物を示した。
【0076】
実施例8と実施例1の区別は、その原料におけるジイソステアリン酸ポリグリセリル-3の重量部は0.3重量部であることであった。
【0077】
図9の左の図は実施例8に係る微細乳化マトリックスの外観図を示し、
図9の右の図は実施例8に係る微細乳化マトリックスに100mlの常温の脱イオン水を加えた後に得られた生成物を示した。
【0078】
実施例9と実施例1の区別は、その原料におけるジイソステアリン酸ポリグリセリル-3の重量部は0.5重量部であることであった。
【0079】
図10の左の図は実施例9に係る微細乳化マトリックスの外観図を示し、
図10の右の図は実施例9に係る微細乳化マトリックスに100mlの常温の脱イオン水を加えた後に得られた生成物を示した。
【0080】
実施例10と実施例1の区別は、その原料におけるジイソステアリン酸ポリグリセリル-3の重量部は0.7重量部であることであった。
【0081】
図11の左の図は実施例10に係る微細乳化マトリックスの外観図を示し、
図11の右の図は実施例10に係る微細乳化マトリックスに100mlの常温の脱イオン水を加えた後に得られた生成物を示した。
【0082】
実施例11と実施例1の区別は、その原料におけるジイソステアリン酸ポリグリセリル-3の重量部は1重量部であることであった。
【0083】
図12の左の図は実施例11に係る微細乳化マトリックスの外観図を示し、
図12の右の図は実施例11に係る微細乳化マトリックスに100mlの常温の脱イオン水を加えた後に得られた生成物を示した。
【0084】
(比較例2)
比較例2は微細乳化マトリックスを提供し、実施例1を参照した。
【0085】
比較例2と実施例1の区別は、その原料におけるジイソステアリン酸ポリグリセリル-3の重量部は1.1重量部であることであった。
【0086】
図13の左の図は比較例2に係る微細乳化マトリックスの外観図を示し、
図13の右の図は比較例2に係る微細乳化マトリックスに100mlの常温の脱イオン水を加えた後に得られた生成物を示した。
【0087】
これから分かるように、比較例2により澄んで透明な微細乳化系が得られず、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-3が1.0重量部を超えて1.1重量部に達したときに、得られた微細乳化系は不安定になり、水を加えた後に乳化破壊の現象が出た。
【0088】
(実施例12~実施例14)
実施例12~実施例14はそれぞれ微細乳化マトリックスを提供し、実施例1を参照した。
【0089】
実施例12と実施例1の区別は、調製過程は異なっていることであった。
【0090】
実施例12において、水を除く原料を65℃に加熱して完全に溶解させて均一に攪拌した後、50℃に冷却してから水を加えて均一に攪拌して微細乳化マトリックスを得た。
【0091】
図14の左の図は実施例12に係る微細乳化マトリックスの外観図を示し、
図14の右の図は実施例12に係る微細乳化マトリックスに100mlの常温の脱イオン水を加えた後に得られた生成物を示した。
【0092】
実施例13と実施例1の区別は、実施例13において、水を除く原料を65℃に加熱して完全に溶解させて均一に攪拌した後、40℃に冷却してから水を加えて均一に攪拌して微細乳化マトリックスを得ることであった。
【0093】
図15の左の図は実施例13に係る微細乳化マトリックスの外観図を示し、
図15の右の図は実施例13に係る微細乳化マトリックスに100mlの常温の脱イオン水を加えた後に得られた生成物を示した。
【0094】
実施例14と実施例1の区別は、調製過程は異なっていることであった。
実施例14において、水を除く原料を65℃に加熱して完全に溶解させて均一に攪拌した後、25℃に冷却してから水を加えて均一に攪拌して微細乳化マトリックスを得た。
【0095】
図16の左の図は実施例14に係る微細乳化マトリックスの外観図を示し、
図16の右の図は実施例14に係る微細乳化マトリックスに100mlの常温の脱イオン水を加えた後に得られた生成物を示した。
【0096】
(比較例3)
実施例1を参照し、本比較例と実施例1の区別は、調製過程は異なっていることであった。
【0097】
比較例3において、水を除く原料を65℃に加熱して完全に溶解させて均一に攪拌した後、60.1℃に冷却してから水を加えて均一に攪拌して微細乳化マトリックスを得た。
【0098】
図17の左の図は比較例3に係る微細乳化マトリックスの外観図を示し、
図17の右の図は比較例3に係る微細乳化マトリックスに100mlの常温の脱イオン水を加えた後に得られた生成物を示した。
【0099】
比較例3において、水を加えた後に無色透明状態の微細乳化マトリックスが得られなかった。次に、100mlの水を加えた後、攪拌して混濁で均一ではない系を得た。
【0100】
(比較例4)
本比較例と実施例1の区別は、調製過程は異なっていることであった。
【0101】
比較例4において、水を除く原料を65℃に加熱して完全に溶解させて均一に攪拌した後、65℃に冷却してから水を加えて均一に攪拌して微細乳化マトリックスを得た。
【0102】
図18の左の図は比較例4に係る微細乳化マトリックスの外観図を示し、
図18の右の図は比較例4に係る微細乳化マトリックスに100mlの常温の脱イオン水を加えた後に得られた生成物を示した。
【0103】
比較例4において、水を加えた後に無色透明状態の微細乳化マトリックスが得られなかった。次に、100mlの水を加えた後、攪拌して混濁で均一ではない系を得た。
【0104】
実施例12~実施例14、比較例3及び比較例4から分かるように、調製過程において、水を加える前の混合物の温度は60℃以下とする必要があり、そうでなければ、系が安定した微細乳化マトリックスを得ることができなかった。
【0105】
(実施例15~実施例24)
実施例15~実施例24、比較例5~比較例8はそれぞれ微細乳化マトリックスを提供し、実施例15~実施例24、比較例5~比較例8はいずれも実施例1に係る方法で微細乳化マトリックスを調製し、原料及び比例は表1に示した。表1における第2の列は、各実施例及び比較例がすべて有する原料を示した。
【0106】
形成された微細乳化マトリックスの外観及び100mlを加えた後の状態を観察した。
【0107】
【0108】
表1におけるシリコーン油はポリジメチルシロキサンであり、鉱物油は鉱油であり、油溶性活性物質は酢酸トコフェロールであった。
【0109】
表1から分かるように、本願の実施例15~実施例24のすべては、安定した微細乳化マトリックスを得て、水を加えた後に乳化破壊が発生しなかった。且つ、該系に合成油脂及び油脂の重量部は占める比例が大いで0.5重量部であってもよく、微細乳化マトリックスの油脂溶解度が向上された。該系における植物油、シリコーン油、鉱物油及び油溶性活性物質は多すぎないようにし、多すぎると、微細乳化系が形成されないか、或いは不安定になることを引き起こすことがあった。
【0110】
(実施例25~実施例28)
実施例25~実施例28、比較例9~比較例16はそれぞれ微細乳化マトリックスを提供し、実施例25~実施例28、比較例9~比較例16はいずれも実施例1に係る方法で微細乳化マトリックスを調製し、原料及び比例は表2に示した。形成された微細乳化マトリックスの外観及び100mlを加えた後の状態を観察した。結果は表2に示すように、表2における第2の列は各実施例及び比較例がすべて有する原料を示した。
【0111】
【0112】
表2におけるシリコーン油はポリジメチルシロキサンであり、鉱物油は鉱油であり、油溶性活性物質は酢酸トコフェロールであった。
【0113】
表1における実施例15~18及び表2を組み合わせて参照し、これらから分かるように、ブチレングリコール1~2重量部、グリセリン2~3重量部、PEG-60水添ヒマシ油0.3~0.4重量部、HLB値が3~7の乳化剤0.1~1重量部、合成油脂0.3~0.5重量部及び水0.1~1重量部で構成された場合、油脂の含有量は0.1重量部に達することができ、油脂の含有量が0.1を超えた後、安定ではない微細乳化系を形成し、水を加えた後に乳化破壊が発生することがあった。
【0114】
(実施例29~実施例33)
実施例29~実施例33、比較例17~22はそれぞれ微細乳化マトリックスを提供し、実施例29~実施例33、比較例17~22はいずれも実施例1に係る方法で微細乳化マトリックスを調製し、原料及び比例は表3に示した。形成された微細乳化マトリックスの外観及び100mlを加えた後の状態を観察した。結果は表3に示すように、表3における第2の列は各実施例及び比較例はすべて有する原料を示した。
【0115】
【0116】
表3から分かるように、微細乳化マトリックスにおいて、原料における水の含有量が高い場合、微細乳化系が形成されなかった。水を加えた後、混濁した混合物しか得られなかった。
【0117】
以上から分かるように、本願の微細乳化マトリックスの原料はブチレングリコール1~2重量部、グリセリン2~3重量部、PEG-60水添ヒマシ油0.3~0.4重量部、HLB値が3~7の乳化剤0.1~1重量部、合成油脂0.3~0.5重量部及び水0.1~1重量部で構成され、前記合成油脂はシリコーン油を含まない。各配合比で原料を混合することで微細乳化マトリックスを得て、該微細乳化マトリックスは乳化破壊が容易ではなかった。
【0118】
(試験例)
化粧水の調製:5%のツバキ抽出物、5%のツバキ種子抽出物、5%のツバキ抽出物、フェノキシエタノール0.8%、ヒアルロン酸ナトリウム0.5%、グリシルリジン酸二カリウム0.2%、グリセリン10%、ブチレングリコール10%の重量部で原料を取って、残りは水であった。各原料を混合して化粧水を得た。
【0119】
実施例1で調製された微細乳化マトリックスを取って化粧水と均一に混合させ、微細乳化マトリックスと化粧水の重量比は5:95であった。その状態は半透明でパンブルーの均一な液体であり、乳化破壊と油水分離の状況がないことを観察した。
【0120】
上記化粧水を25℃、45℃、65℃、95℃に1日間置いて、その外観は
図19に示した。
【0121】
図19から分かるように、25℃、45℃、65℃、95℃で乳化破壊、油水分離の状況が発生しないことは、本願の実施例に係る微細乳化マトリックスは優れた安定性を有することを示した。
【0122】
上記微細乳化マトリックスと化粧水の混合物を45℃、-18℃及び7日あたりに交互に(45℃と-18℃)温度安定性について半年間テストし、その外観特性の変化を観察し、そのデータを表4に示した。
【0123】
【0124】
以上から分かるように、本願の実施例に係る微細乳化マトリックスは優れた安定性を有し、乳化破壊の発生が容易ではなく、高温及び低温条件で6ヶ月貯蔵された後に依然として変化が発生しなかった。且つ該微細乳化マトリックスにおいて合成油脂が占める比例は大きく、高い油脂の溶解度を有することが可能である。微細乳化マトリックスの用途が増加された。
【0125】
以上に説明されたのは、本願の好ましい実施例に過ぎず、本願を制限することを意図するものではなく、当業者にとって、本願は、様々な修正及び変更を行うことができる。本願の精神と原則の範囲内で行われたあらゆる変更、同等の交換、改善等は、本願の保護範囲に含まれるべきである。
【要約】 (修正有)
【課題】微細乳化マトリックス、その調製方法、及び微細乳化マトリックスを含む化粧品を提供する。
【解決手段】微細乳化マトリックスの原料は、ブチレングリコール1~2重量部、グリセリン2~3重量部、PEG-60水添ヒマシ油0.3~0.4重量部、HLB値が3~7の乳化剤0.1~1重量部、合成油脂0.3~0.5重量部及び水0.1~1重量部で構成され、前記合成油脂はシリコーン油を含まない、ことを特徴とする。
【効果】本願の微細乳化マトリックスは、それぞれの配合比での原料の配合により安定性に優れている微細乳化系を得ることができ、高温、低温の両方でも優れた安定性を示し、乳化破壊及び油水分離状況の発生が容易ではない。本願の微細乳化マトリックスは、化粧水における合成油脂の油脂溶解度を向上させ、化粧水の油脂選択性を最適化し、化粧水における活性物質の浸透率を向上させることができる。
【選択図】なし