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特許7034256担持型カーボン触媒の製造方法、担持型カーボン触媒及びその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-03
(45)【発行日】2022-03-11
(54)【発明の名称】担持型カーボン触媒の製造方法、担持型カーボン触媒及びその使用
(51)【国際特許分類】
   B01J 37/02 20060101AFI20220304BHJP
   B01J 27/24 20060101ALI20220304BHJP
   B01J 27/22 20060101ALI20220304BHJP
   B01J 21/18 20060101ALI20220304BHJP
   C07C 17/25 20060101ALI20220304BHJP
   C07C 21/06 20060101ALI20220304BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20220304BHJP
【FI】
B01J37/02 301P
B01J27/24 Z
B01J27/22 Z
B01J21/18 Z
C07C17/25
C07C21/06
C07B61/00 300
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020507689
(86)(22)【出願日】2019-04-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-24
(86)【国際出願番号】 CN2019085315
(87)【国際公開番号】W WO2020220313
(87)【国際公開日】2020-11-05
【審査請求日】2020-02-05
(73)【特許権者】
【識別番号】503190796
【氏名又は名称】中国科学院大▲連▼化学物理研究所
【氏名又は名称原語表記】DALIAN INSTITUTE OF CHEMICAL PHYSICS,CHINESE ACADEMY OF SCIENCES
(73)【特許権者】
【識別番号】520044047
【氏名又は名称】台湾塑膠工業股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】徐 金銘
(72)【発明者】
【氏名】樊 斯斯
(72)【発明者】
【氏名】黄 延強
(72)【発明者】
【氏名】張 涛
(72)【発明者】
【氏名】ホワン チン リエン
(72)【発明者】
【氏名】ハン ワン トン
(72)【発明者】
【氏名】チェン ユ チェン
(72)【発明者】
【氏名】ウー チェン ホイ
(72)【発明者】
【氏名】チェン ヤー ウェン
(72)【発明者】
【氏名】ウェン ミン シェン
(72)【発明者】
【氏名】チャン チャオ チン
(72)【発明者】
【氏名】ホワン ツァオ チェン
【審査官】山本 吾一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0133291(US,A1)
【文献】特開平08-059649(JP,A)
【文献】特開平09-249590(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105833892(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104289247(CN,A)
【文献】ZHAO, W. et al.,RSC Adv.,2015年,5,pp.104071-104078,DOI:10.1039/c5ra20916a
【文献】XU, J. et al.,Carbon,2014年,80,pp.610-616,DOI:10.1016/j.carbon.2014.09.004
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J
C07C
C07B
JSTPlus(JDreamIII)
JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
担持型カーボン触媒の製造方法であって、
有機ケイ素源を含有するガスを、酸化ケイ素類材料と接触させ、前駆体を得る工程(1)と、
前駆体を、有機炭素源を含有するガスと接触させ、前記担持型カーボン触媒を得る工程(2)と、
を含み、
工程(1)において、前記有機ケイ素源が、式Iで表される化合物、式IIで表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、
【化1】
[式中、R 、R 、R 、R は、独立にして、水素原子、C ~C 12 の炭化水素基、C ~C 12 の置換炭化水素基、C ~C のヒドロカルビルオキシ基、C ~C のアルキルアシルオキシ基、ハロゲン元素又はアミノ基からなる群より選ばれ、かつ
、R 、R 、R のうちの少なくとも1つは、C ~C 12 の炭化水素基又はC ~C 12 の置換炭化水素基であり、かつ
、R 、R 、R のうちの少なくとも1つは、水素原子、C ~C のヒドロカルビルオキシ基、C ~C のアルキルアシルオキシ基、ハロゲン元素又はアミノ基である。]
【化2】
[式中、AはO又はNHである。
、R 、R 、R 、R 、R 10 は、独立にして、水素原子、C ~C 12 の炭化水素基、C ~C 12 の置換炭化水素基、C ~C のヒドロカルビルオキシ基、C ~C のアルキルアシルオキシ基、ハロゲン元素又はアミノ基からなる群より選ばれ、かつ
、R 、R のうちの少なくとも1つは、C ~C 12 の炭化水素基又はC ~C 12 の置換炭化水素基であり、R 、R 、R 10 のうちの少なくとも1つは、C ~C 12 の炭化水素基又はC ~C 12 の置換炭化水素基である。]
工程(2)において、前記有機炭素源がC ~C 18 の有機化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、
前記有機化合物は、窒素、酸素、ホウ素、リン、硫黄からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する
ことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記置換炭化水素基に置換基を含有し、前記置換基が、ハロゲン元素、アミノ基、オキシラニル基、メルカプト基、シアノ基、イソシアネート基、エチレンジアミン基からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、請求項に記載の製造方法。
【請求項3】
工程(1)において、前記有機ケイ素源が、ジクロロジメチルシラン、ヘキサメチルジシロキサン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジメトキシジメチルシランからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
工程(1)において、前記有機ケイ素源を含有するガスに不活性ガスを含有又は含有せず、
前記不活性ガスが、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガスからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
工程(1)において、前記酸化ケイ素類材料は多孔質シリカであることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
工程(1)において、有機ケイ素源を含有するガスを酸化ケイ素類材料と接触させる接触温度が100~500℃、接触時間が0.1~10時間であることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項7】
工程(1)において、有機ケイ素源を含有するガスを酸化ケイ素類材料と接触させる接触温度が200~450℃、接触時間が0.2~4時間であることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項8】
前記前駆体において、前記酸化ケイ素類材料の質量パーセント含有量が80wt%~98wt%であることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項9】
前記前駆体において、前記酸化ケイ素類材料の質量パーセント含有量が90wt%~97wt%であることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項10】
工程(2)において、前記有機炭素源が、ニトリル類化合物、ピリジン類化合物、有機ホスフィン化合物、有機ホウ素化合物、チオフェン類化合物、フェノール類化合物、アルコール類化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項11】
工程(2)において、有機炭素源を含有するガスに不活性ガスを含有し、
前記不活性ガスが、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガスからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項12】
工程(2)において、前記前駆体を有機炭素源を含有するガスと接触させる接触温度が500~1000℃、接触時間が0.1~10時間であることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項13】
工程(2)において、前記前駆体を有機炭素源を含有するガスと接触させる接触温度が600~900℃、接触時間が0.1~4時間であることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項14】
前記担持型カーボン触媒において、前記酸化ケイ素類材料の質量パーセント含有量が60wt%~95wt%であることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項15】
前記担持型カーボン触媒において、前記酸化ケイ素類材料の質量パーセント含有量が75wt%~93wt%であることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項16】
有機ケイ素源を含有するガスを、酸化ケイ素類材料と接触させ、前駆体を得る工程(1)と、
前駆体を、有機炭素源を含有するガスと接触させ、担持型カーボン触媒を得る工程(2)と、
1,2-ジクロロエタンを含有する原料ガスを、工程(2)で得られた担持型カーボン触媒が担持されている固定床反応器に導入し、塩化ビニルを製造する工程(3)と、
を含み、
工程(1)において、前記有機ケイ素源が、式Iで表される化合物、式IIで表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、
【化1】
[式中、R 、R 、R 、R は、独立にして、水素原子、C ~C 12 の炭化水素基、C ~C 12 の置換炭化水素基、C ~C のヒドロカルビルオキシ基、C ~C のアルキルアシルオキシ基、ハロゲン元素又はアミノ基からなる群より選ばれ、かつ
、R 、R 、R のうちの少なくとも1つは、C ~C 12 の炭化水素基又はC ~C 12 の置換炭化水素基であり、かつ
、R 、R 、R のうちの少なくとも1つは、水素原子、C ~C のヒドロカルビルオキシ基、C ~C のアルキルアシルオキシ基、ハロゲン元素又はアミノ基である。]
【化2】
[式中、AはO又はNHである。
、R 、R 、R 、R 、R 10 は、独立にして、水素原子、C ~C 12 の炭化水素基、C ~C 12 の置換炭化水素基、C ~C のヒドロカルビルオキシ基、C ~C のアルキルアシルオキシ基、ハロゲン元素又はアミノ基からなる群より選ばれ、かつ
、R 、R のうちの少なくとも1つは、C ~C 12 の炭化水素基又はC ~C 12 の置換炭化水素基であり、R 、R 、R 10 のうちの少なくとも1つは、C ~C 12 の炭化水素基又はC ~C 12 の置換炭化水素基である。]
工程(2)において、前記有機炭素源がC ~C 18 の有機化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、
前記有機化合物は、窒素、酸素、ホウ素、リン、硫黄からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する、1,2-ジクロロエタンから塩化ビニルを製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、担持型カーボン触媒の製造方法に関し、具体的には、多孔質酸化ケイ素の表面にカーボン堆積を制御可能に生成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、多孔質カーボン材料は、高い比表面積を有するため、一般的に触媒担体とされ、良好な熱安定性、化学的不活性を有し、金属または金属酸化物を担持する触媒として広く用いられている。現在、製造方法を制御すること、あるいは化学処理することにより、カーボン材料の表面に大量の欠陥サイトを生じるとともに、酸素、窒素、リン、硫黄又はホウ素等のヘテロ原子を含有する飽和又は不飽和官能基を生じることができ、さらに、一定の酸・塩基性質及び酸化還元能力を有して、多孔質カーボン材料自体が、例えばハロゲン化アルカンの脱ハロゲン化水素反応、アルカンとエチルベンゼンからオレフィンを製造する脱水素反応、セルロースの加水分解反応及びエステル交換反応等に対して触媒活性を備えるようになることを示す研究が多くなっている。不均一系触媒の場合に対して、反応が触媒の表面にのみ発生し、多孔質カーボン材料骨格内部の触媒活性への影響が極めて小さいことを考慮すると、含窒素多孔質カーボン触媒を担持型とすることができ、すなわち、酸化ケイ素等の無機多孔質材料の表面に薄いドーパントカーボン材料を1層被覆し、担持型カーボン触媒に製造して形成すると、触媒のコストを大幅に低減することができる。
【0003】
不純物金属イオンの少ない比較的純粋な多孔質酸化ケイ素の表面において、温度が低い場合、有機物から形成し得るカーボン堆積が非常に少なく、一定量の触媒活性を有するカーボン層を得ることは非常に難しい。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、従来技術の不足を克服することにあり、不純物金属イオンの少ない比較的純粋な多孔質酸化ケイ素の表面に、その他の元素を含有するドーパントカーボンが担持されている触媒の製造方法を提供する。
【0005】
当該方法は、化学気相堆積反応の温度及びエネルギー消耗を大幅に低下させ、触媒のコストを有効に低減することができる。
【0006】
本発明の1つの態様は、担持型カーボン触媒の製造方法を提供し、当該方法は、少なくとも、
(1)有機ケイ素源を含有するガスを、酸化ケイ素類材料と接触させ、前駆体を得る工程と、
(2)前駆体を、有機炭素源を含有するガスと接触させ、前記担持型カーボン触媒を得る工程と、を含む。
【0007】
好ましくは、工程(1)において、前記有機ケイ素源が、式Iで表される化合物、式IIで表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
【0008】
【化1】
[式中、R、R、R、Rは、独立にして、水素原子、C~C12の炭化水素基、C~C12の置換炭化水素基、C~Cのヒドロカルビルオキシ基、C~Cのアルキルアシルオキシ基、C~Cのヒドロカルビルオキシアシル基、ハロゲン元素又はアミノ基からなる群より選ばれ、かつ
、R、R、Rのうちの少なくとも1つは、C~C12の炭化水素基又はC~C12の置換炭化水素基であり、かつ
、R、R、Rのうちの少なくとも1つは、水素原子、C~Cのヒドロカルビルオキシ基、C~Cのヒドロカルアシルオキシ基、ハロゲン元素又はアミノ基である。]
【0009】
【化2】
[式中、AはO又はNHである。
、R、R、R、R、R10は、独立にして、水素原子、C~C12の炭化水素基、C~C12の置換炭化水素基、C~Cのヒドロカルビルオキシ基、C~Cのアルキルアシルオキシ基、C~Cのヒドロカルビルオキシアシル基、ハロゲン元素又はアミノ基からなる群より選ばれ、かつ
、R、Rのうちの少なくとも1つは、C~C12の炭化水素基又はC~C12の置換炭化水素基であり、R、R、R10のうちの少なくとも1つは、C~C12の炭化水素基又はC~C12の置換炭化水素基である。]
【0010】
オプションで、前記置換炭化水素基に置換基を含有し、前記置換基が、ハロゲン元素、アミノ基、オキシラニル基、メルカプト基、シアノ基、イソシアネート基-N=C=O及びエチレンジアミン基-NHCNHからなる群より選ばれる少なくとも1種である。
【0011】
オプションで、前記C~Cのヒドロカルビルオキシ基はC~Cのアルコキシ基である。
【0012】
オプションで、工程(1)において、前記有機ケイ素源が、ジクロロジメチルシラン、ヘキサメチルジシロキサン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジメトキシジメチルシランからなる群より選ばれる少なくとも1種である。
【0013】
オプションで、工程(1)において、前記有機ケイ素源を含有するガスに不活性ガスを含有又は含有せず、前記不活性ガスが窒素ガス又は不活性ガスであってもよく、前記不活性ガスがアルゴンガス、ヘリウムガス等からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
【0014】
当業者は、実際の必要性に応じて、前記有機ケイ素源を含有するガスにおける不活性ガスと有機ケイ素源との割合を選択することができる。好ましくは、前記有機ケイ素源を含有するガスにおいて、不活性ガスの体積パーセント含有量が≦99.5%である。より好ましくは、前記有機ケイ素源を含有するガスにおいて、不活性ガスの体積パーセント含有量が10%~90%である。
【0015】
オプションで、工程(1)において、前記酸化ケイ素類材料は、シリカゲルを含む多孔質シリカである。
【0016】
オプションで、工程(1)において、有機ケイ素源を含有するガスを酸化ケイ素類材料と接触させる接触温度が100~500℃、接触時間が0.1~10時間である。
【0017】
好ましくは、工程(1)において、有機ケイ素源を含有するガスを酸化ケイ素類材料と接触させる接触温度が200~450℃、接触時間が0.2~4時間である。
【0018】
オプションで、工程(2)において、前記有機ケイ素源の重量空間速度が0.01~8h-1である。好ましくは、工程(2)において、前記有機ケイ素源の重量空間速度が0.1~1h-1である。
【0019】
オプションで、前記前駆体において、前記酸化ケイ素類材料の質量パーセント含有量が80wt%~98wt%である。好ましくは、前記前駆体において、前記酸化ケイ素類材料の質量パーセント含有量が90wt%~97wt%である。すなわち、工程(1)において、有機ケイ素源ガスが前記酸化ケイ素類材料の表面に堆積した後、シランを形成し、前記シランの質量含有量が、シランを担持した後のシリカ質量に対して2~20%、好ましくは3~10%である。
【0020】
当業者は、実際の必要性に応じて、有機炭素源の具体的な種類を選択することができ、原則として、気相堆積が可能な有機化合物であれば、いずれも本願の有機炭素源として用いられる。
【0021】
オプションで、工程(2)において、前記有機炭素源が、C~C18の有機化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、前記有機化合物が、窒素、酸素、ホウ素、リン、硫黄からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する。
【0022】
オプションで、工程(2)において、前記有機炭素源が、C~C18の酸素含有有機化合物、C~C18の窒素含有有機化合物、C~C18のホウ素含有有機化合物、C~C18のリン含有有機化合物、C~C18の硫黄含有有機化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
【0023】
前記酸素含有有機化合物が、アルコール類化合物、エーテル類化合物、エステル類化合物、ケトン類化合物、フェノール類化合物、アルデヒド類化合物、フラン類化合物、カルボン酸、カルボン酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種である。
【0024】
前記窒素含有有機化合物が、アミン類化合物、ニトリル類化合物、ピリジン類化合物、イミダゾール類化合物、ピロール類化合物、ニトロ基化合物、ニトロソ基化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
【0025】
前記ホウ素含有有機化合物が、アルキルホウ素又は有機ホウ酸からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
【0026】
前記リン含有有機化合物が、アルキルホスフィン又は有機ホスホン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
【0027】
前記硫黄含有有機化合物が、メルカプタン類化合物、チオエーテル類化合物、チオフェノール類化合物、チオフェン類化合物、アルキルスルホン酸類化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
【0028】
好ましくは、工程(2)において、前記有機炭素源が、ニトリル類化合物、ピリジン類化合物、有機ホスフィン化合物、有機ホウ素化合物、チオフェン類化合物、フェノール類化合物、アルコール類化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
【0029】
オプションで、工程(2)において、有機炭素源を含有するガスに不活性ガスを含有又は含有せず、前記不活性ガスは、窒素ガス又は不活性ガスであってもよく、前記不活性ガスが、アルゴンガス、ヘリウムガス等からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
【0030】
当業者は、実際の必要性に応じて、前記有機炭素源を含有するガスにおける不活性ガスと有機ケイ素源との割合を選択することができる。好ましくは、前記有機炭素源を含有するガスにおいて、不活性ガスの体積パーセント含有量が≦99.5%である。より好ましくは、前記有機炭素源を含有するガスにおいて、不活性ガスの体積パーセント含有量が10%~90%である。
【0031】
オプションで、工程(2)において、前記前駆体を有機炭素源を含有するガスと接触させる接触温度が500~1000℃、接触時間が0.1~10時間である。
【0032】
好ましくは、工程(2)において、前記前駆体を有機炭素源を含有するガスと接触させる接触温度が600~900℃、接触時間が0.1~4時間である。
【0033】
オプションで、工程(2)において、前記有機炭素源の重量空間速度が0.01~8h-1である。好ましくは、工程(2)において、前記有機炭素源の重量空間速度が0.1~2h-1である。
【0034】
オプションで、前記担持型カーボン触媒において、前記酸化ケイ素類材料の質量パーセント含有量が60wt%~95wt%である。
【0035】
好ましくは、前記担持型カーボン触媒において、前記酸化ケイ素類材料の質量パーセント含有量が75wt%~93wt%である。
【0036】
すなわち、気相堆積したカーボンの質量含有量が触媒質量の5~40%であり、好ましくは7~25%である。
【0037】
工程(1)において堆積したシランを、高温で加熱分解してラジカル基を形成し、工程(2)において有機物をシリカゲルの表面に熱分解してカーボン堆積を形成するように誘導し、堆積したカーボン量を空気中で焼成してカーボンを除去した後に重量減少量を算出する方法により測定することができる。
【0038】
工程(1)において堆積したシラン量は、工程(1)のシリカゲルの重量増加により測定することができる。
【0039】
本発明の全体的な構想は以下の方案に基づく。
【0040】
工程(1)において、炭化水素基又は置換炭化水素基を含有するシランをシリカゲルの表面にグラフトし、シランについては、少なくとも1個の炭化水素基又は置換炭化水素基を有し、かつ、シリカゲルの表面の水酸基と反応し得る基、例えば水素原子、ハロゲン元素、アルコキシ基等を少なくとも1個有することが要求され、これによってシリカゲルをシリカゲルの表面にグラフトする。
【0041】
工程(2)において、高温でシリカゲルの表面にグラフトされたシラン上の炭化水素基又は置換炭化水素基を加熱分解してラジカル基(有機ラジカル基及びシリコンラジカル基)を形成し、工程(2)において添加された有機物の熱分解を誘導して、シリカゲルの表面にカーボン堆積を形成することにより、有機物を低い温度でシリカゲルの表面に堆積できるのを促進する。
【0042】
本願のもう1つの態様によれば、上記いずれか1項の方法により製造された担持型カーボン触媒を提供する。
【0043】
本願のもう1つの態様によれば、前記担持型カーボン触媒の、ハロゲン化炭化水素の脱ハロゲン化水素、アセチレンのハイドロクロライションによる塩化ビニルの製造、アセチレン及びジクロロエタンによる塩化ビニルの製造、アルカンの脱水素によるオレフィンの製造又はエチルベンゼン脱水素によるスチレンの製造への使用を提供する。
【0044】
本願のもう1つの態様によれば、1,2-ジクロロエタンを含有する原料ガスを、触媒が担持されている固定床反応器に導入し、塩化ビニルを製造し、
前記触媒が上記の担持型カーボン触媒からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、1,2-ジクロロエタンから塩化ビニルを製造する方法を提供する。
【0045】
本願において、
~C12、C~C、C~C18等は、いずれも基に含まれる炭素数を指す。例えば、「C~C12の炭化水素基」とは、含有する炭素数が1~12の炭化水素基を指す。
【0046】
前記「炭化水素基」は、炭化水素系化合物分子上のいずれか1個の水素原子が失われてなる基である。前記炭化水素系化合物は、アルカン化合物、オレフィン化合物、アルキン化合物、芳香族炭化水素化合物を含む。
【0047】
前記「置換炭化水素基」は、炭化水素基上の少なくとも1個の水素原子が置換基により置換されてなる基である。
【0048】
前記「アルキル基」は、アルカン化合物分子上のいずれか1個の水素原子が失われてなる基である。前記アルカン化合物は、直鎖アルカン、分岐鎖アルカン、シクロアルカン、分岐鎖を有するシクロアルカンを含む。
【0049】
前記「置換アルキル基」とは、アルキル基上の少なくとも1個の水素原子が置換基により置換されてなる基を指す。
【0050】
前記「ヒドロカルビルオキシ基」とは、アルコール類化合物は水酸基上の水素原子が失われてなる基を指す。
【0051】
前記「アルキルアシルオキシ基」とは、カルボン酸類化合物はカルボキシル基上の水素原子が失われてなる基を指す。
【0052】
前記「ヒドロカルビルオキシアシル基」とは、ギ酸炭化水素エステル類化合物はHCOOR上の水素原子が失われてなる基を指す。ただし、Rは炭化水素基である。好ましくは、RはC~Cのアルキル基である。
【0053】
前記「アミノ基」は、化学式が-NR であり、式中、Rは水素原子及び/又は炭化水素基であり、好ましくは、Rは水素原子及び/又はC~Cのアルキル基である。
【0054】
本願は下記の有益な効果を有するが、これらに限られない。
【0055】
(1)本願が提供する触媒の製造方法は、まず担体の表面に有機シランをグラフトし、カーボン材料を触媒担体上に十分に担持することができる。
【0056】
(2)本願が提供する触媒の製造方法は、ヘテロ原子含有カーボン材料を酸化ケイ素類材料上に化学気相堆積する温度及びエネルギー消耗を大幅に低下させ、触媒のコストを有効に低減する。
【0057】
(3)本願に記載の方法により製造された触媒は、1,2-ジクロロエタンを熱分解して塩化ビニルを製造する反応に用いられ、塩化ビニルの選択率が99%を超える。
【図面の簡単な説明】
【0058】
図1】は試料1の写真である。
図2】は試料2の写真である。
図3】は試料D-1の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0059】
担持型カーボン触媒の製造方法は、下記工程(1)、(2)を含む。
【0060】
(1)有機ケイ素源ガスを気相堆積法により触媒担体としての多孔質シリカの表面に堆積する。
【0061】
(2)工程(1)で処理された多孔質シリカの表面に有機物ガスを導入し、多孔質シリカの表面にカーボンを気相堆積により担持する。
【0062】
実施例において、シリカゲルビーズが青島海洋化工有限公司から購入され、その粒子径が2mm~4mmであり、無色透明である。
【0063】
シリカゲル粉が東営一鳴新材料有限公司から購入され、その粒子径が80メッシュ~120メッシュであり、白色である。
【0064】
FNGシリカゲルが青島海洋化工有限公司から購入され、その粒子径が2mm~4mmであり、白色である。
【0065】
実施例1
質量濃度20%の塩酸で酸洗されたFNGシリカゲルを担体とし、ジメチルジクロロシランを工程(1)の有機ケイ素源とし、アセトニトリルを工程(2)の気相堆積有機前駆体とする。
【0066】
(1)FNGシリカゲル 65mLを石英管に入れて、管式炉内に放置し、窒素ガスをキャリアガスとして導入して温度を400℃に上昇させた後、ガス流路を切り換えて窒素ガスがバブリング装置を通過した後に石英管に入り、ガス化されたジクロロジメチルシランが石英管内に持ち込まれ、気相堆積により有機シランをグラフトする過程を行い、2h持続し、前駆体を得た。気相堆積において、窒素ガスの流速が100mL/minであり、ジクロロジメチルシランバブリング装置の温度が25℃であった。
【0067】
(2)ガス流路を切り換えて窒素ガスがシランバブリング装置を通過せずに石英管に直接に入り、800℃に昇温した後、再びガス流路を切り換えて窒素ガスがもう1つのバブリング装置に通過した後に石英管に入り、ガス化されたアセトニトリルが石英管内に持ち込まれ、化学気相堆積過程を行い、2h持続した。気相堆積において、窒素ガスの流速が100mL/minであり、アセトニトリルバブリング装置の温度が65℃であった。
【0068】
ガス流路を切り換えて窒素ガスがもう1つのバブリング装置を通過せずに石英管に直接に入り、窒素ガスの中で自然に降温した後に窒素を含有する担持型カーボン触媒試料を得、試料1と記した。
【0069】
前駆体とFNGシリカゲルとの質量比が1.10:1であった。
【0070】
試料1の質量とFNGシリカゲルとの質量比が1.12:1であった。
【0071】
試料1の写真を図1に示す。図1から、試料1の表面が黒色を呈し、カーボン材料が担体上に十分に担持されていることがわかった。
【0072】
実施例2
シリカゲル粉を担体とし、ヘキサメチルジシロキサンを工程(1)の有機ケイ素源とし、ピリジンを工程(2)の気相堆積有機前駆体とした。
【0073】
(1)シリカゲル粉 125mLを石英管に入れて、管式炉内に放置し、窒素ガスをキャリアガスとして導入して温度を400℃に上昇させた後、ガス流路を切り換えて窒素ガスがバブリング装置を通過した後に石英管に入り、ガス化されたヘキサメチルジシロキサンが石英管内に持ち込まれ、気相堆積により有機シランをグラフトする過程を行い、2時間持続した。気相堆積において、窒素ガスの流速が200mL/minであり、ヘキサメチルジシロキサンバブリング装置の温度が30℃であった。
【0074】
(2)ガス流路を切り換えて窒素ガスがシランバブリング装置を通過せずに石英管に直接に入り、750℃に昇温した後、再びガス流路を切り換えて窒素ガスがもう1つのバブリング装置を通過した後に石英管に入り、ガス化されたピリジンが石英管内に持ち込まれ、化学気相堆積過程を行い、2時間持続した。気相堆積において、窒素ガスの流速が250mL/minであり、ピリジンバブリング装置の温度が90℃であった。
【0075】
ガス流路を切り換えて窒素ガスがもう1つのバブリング装置を通過せずに石英管に直接に入り、窒素ガスの中で自然に降温した後に窒素を含有する担持型カーボン触媒試料を得、試料2と記した。
【0076】
前駆体とシリカゲルビーズとの質量比が1.08:1であった。
【0077】
試料2の質量とシリカゲルビーズとの質量比が1.17:1であった。
【0078】
試料2の写真を図2に示す。図2から、試料2の表面が黒色を呈し、カーボン材料が担体上に十分に担持されていることがわかった。
【0079】
実施例3
質量濃度20%の塩酸で酸洗されたシリカゲルビーズを担体とし、トリメチルクロロシランを工程(1)の有機ケイ素源とし、トリフェニルホスフィンを工程(2)の気相堆積有機前駆体とした。
【0080】
(1)シリカゲルビーズ 65mLを石英管に入れて、管式炉内に放置し、アルゴンガスをキャリアガスとして導入して温度を400℃に上昇させた後、ガス流路を切り換えてアルゴンガスがバブリング装置を通過した後に石英管に入らせ、ガス化されたトリメチルクロロシランが石英管内に持ち込まれ、気相堆積により有機シランをグラフトする過程を行い、2時間持続した。気相堆積において、窒素ガスの流速が100mL/minであり、トリメチルクロロシランバブリング装置の温度が30℃であった。
【0081】
(2)ガス流路を切り換えてアルゴンガスがバブリング装置を通過せずに石英管に直接に入り、800℃に昇温した後、再びガス流路を切り換えてアルゴンガスがもう1つのバブリング装置を通過した後に石英管に入らせ、ガス化されたトリフェニルホスフィンが石英管内に持ち込まれ、化学気相堆積過程を行い、4時間持続した。気相堆積において、窒素ガスの流速が100mL/minであり、トリフェニルホスフィンバブリング装置の温度が280℃であった。
【0082】
ガス流路を切り換えてアルゴンガスがもう1つのバブリング装置を通過せずに石英管に直接に入り、アルゴンガスの中で自然に降温した後にリンを含有する担持型カーボン触媒試料を得、試料3と記した。
【0083】
前駆体とシリカゲルビーズとの質量比が1.10:1であった。
【0084】
試料3の質量とシリカゲルビーズとの質量比が1.06:1であった。
【0085】
試料3の外観が試料1と類似し、試料3の表面が黒色を呈し、カーボン材料が担体上に十分に担持されていることがわかった。
【0086】
実施例4
質量濃度20%の塩酸で酸洗されたシリカゲルビーズを担体とし、フェニルトリクロロシランを工程(1)の有機ケイ素源とし、トリフェニルボランを工程(2)の気相堆積有機前駆体とした。
【0087】
(1)シリカゲルビーズ 65mLを石英管に入れて、管式炉内に放置し、窒素ガスをキャリアガスとして導入して温度を400℃に上昇させた後、ガス流路を切り換えて窒素ガスがバブリング装置を通過した後に石英管に入り、ガス化されたフェニルトリクロロシランが石英管内に持ち込まれ、気相堆積により有機シランをグラフトする過程を行い、2h持続した。気相堆積において、窒素ガスの流速が100mL/minであり、フェニルトリクロロシランバブリング装置の温度が120℃であった。
【0088】
(2)ガス流路を切り換えて窒素ガスがバブリング装置を通過せずに石英管に直接に入り、750℃に昇温した後、再びガス流路を切り換えて窒素ガスがもう1つのバブリング装置を通過した後に石英管に入り、ガス化されたトリフェニルボランが石英管内に持ち込まれ、化学気相堆積過程を行い、2h持続した。気相堆積において、窒素ガスの流速が100mL/minであり、トリフェニルボランバブリング装置の温度が280℃であった。
【0089】
ガス流路を切り換えて窒素ガスがもう1つのバブリング装置を通過せずに石英管に直接に入り、窒素ガスの中で自然に降温した後にホウ素を含有する担持型カーボン触媒試料を得、試料4と記した。
【0090】
前駆体とシリカゲルビーズとの質量比が1.06:1であった。
【0091】
試料4の質量とシリカゲルビーズとの質量比が1.07:1であった。
【0092】
試料4の外観が試料1と類似し、試料4の表面が黒色を呈し、カーボン材料が担体上に十分に担持されていることがわかった。
【0093】
実施例5
質量濃度20%の塩酸で酸洗されたシリカゲルビーズを担体とし、ジメチルジクロロシランを工程(1)の有機ケイ素源とし、チオフェンを工程(2)の気相堆積有機前駆体とした。
【0094】
(1)シリカゲルビーズ 65mLを石英管に入れて、管式炉内に放置し、窒素ガスをキャリアガスとして導入して温度を400℃に上昇させた後、ガス流路を切り換えて窒素ガスがバブリング装置を通過した後に石英管に入り、ガス化されたジクロロジメチルシランが石英管内に持ち込まれ、気相堆積により有機シランをグラフトする過程を行い、2h持続した。気相堆積において、窒素ガスの流速が100mL/minであり、ジクロロジメチルシランバブリング装置の温度が20℃であった。
【0095】
(2)ガス流路を切り換えて窒素ガスがバブリング装置を通過せずに石英管に直接に入り、700℃に昇温した後、フィードポンプを用いてチオフェンを石英管内に仕込み、化学気相堆積過程を行い、0.2h持続した。気相堆積において、窒素ガスの流速が100mL/minであり、チオフェンの流速が0.25mL/minであった。
【0096】
窒素ガスの中で自然に降温して硫黄を含有する担持型カーボン触媒試料を得、試料5と記した。
【0097】
前駆体とシリカゲルビーズとの質量比が1.10:1であった。
【0098】
試料5の質量とシリカゲルビーズとの質量比が1.06:1であった。
【0099】
試料5の外観が試料1と類似し、試料5の表面が黒色を呈し、カーボン材料が担体上に十分に担持されていることがわかった。
【0100】
実施例6
質量濃度20%の塩酸で酸洗されたシリカゲルビーズを担体とし、ジメトキシジメチルシランを工程(1)の有機ケイ素源とし、フェノールを工程(2)の気相堆積有機前駆体とした。
【0101】
(1)シリカゲルビーズ 65mLを石英管に入れて、管式炉内に放置し、窒素ガスをキャリアガスとして導入して温度を400℃に上昇させ、ガス流路を切り換えて窒素ガスがバブリング装置を通過した後に石英管に入り、ガス化されたジクロロジメチルシランが石英管内に持ち込まれ、気相堆積により有機シランをグラフトする過程を行い、2h持続した。気相堆積において、窒素ガスの流速が100mL/minであり、ジメトキシジメチルシランバブリング装置の温度が20℃であった。
【0102】
(2)ガス流路を切り換えて窒素ガスがバブリング装置を通過せずに石英管に直接に入り、800℃に昇温した後に、再びガス流路を切り換えて窒素ガスがもう1つのバブリング装置を通過した後に石英管に入り、ガス化されたフェノールを石英管内に仕込み、化学気相堆積過程を行い、0.2h持続した。気相堆積において、窒素ガスの流速が100mL/minであり、フェノールバブリング装置の温度が130℃であった。
【0103】
ガス流路を切り換えて窒素ガスがもう1つのバブリング装置を通過せずに石英管に直接に入り、窒素ガスの中で自然に降温して酸素を含有する担持型カーボン触媒試料を得、試料6と記した。
【0104】
前駆体とシリカゲルビーズとの質量比が1.08:1であった。
【0105】
試料6の質量とシリカゲルビーズとの質量比が1.05:1であった。
【0106】
試料6の外観が試料1と類似し、試料6の表面が黒色を呈し、カーボン材料が担体上に十分に担持されていることがわかった。
【0107】
実施例7 触媒の性能測定
それぞれ試料1~6を触媒とし、1,2-ジクロロエタンを熱分解して塩化ビニルを製造する反応に用いた触媒性能を測定し、具体的なステップ及び条件を以下に示す。
【0108】
恒流ポンプで1,2-ジクロロエタン液体を蒸発器内で予熱してガス化した後、触媒が担持されている固定床反応器に導入し、反応器温度が250℃であり、1,2-ジクロロエタンの体積空間速度(GHSV)が133h-1であった。
【0109】
反応の結果から明らかなように、試料1~6を触媒とし、1,2-ジクロロエタンを熱分解して塩化ビニルを製造する反応に用いると、ジクロロエタンの転化率がいずれも15%を超え、塩化ビニルの選択率がいずれも99%を超えた。試料1を典型的な代表として、そのジクロロエタンの転化率が40%であり、塩化ビニルの選択率が99%を超えた。
【0110】
比較例1
気相堆積により有機シランをグラフトする過程を含まない以外、その他のステップ及び条件を実施例1と同様にし、具体的に以下に示す。
【0111】
FNGシリカゲル 65mLを石英管に入れて、管式炉内に放置し、窒素ガスをキャリアガスとして導入してを800℃に温度上昇させた後、ガス流路を切り換えて窒素ガスがアセトニトリルバブリング装置を通過した後に石英管に入り、ガス化されたアセトニトリルが石英管内に持ち込まれ、化学気相堆積過程を行い、2h持続した。ガス流路を切り換えて窒素ガスがバブリング装置を通過せずに石英管に直接に入り、窒素ガスの中で自然に降温した後に、得られた試料を試料D-1と記した。
【0112】
試料D-1の試料写真を図3に示す。図3から明らかなように、試料D-1の表面が非常に浅い灰色を呈し、FNGシリカゲルの表面に担持されているカーボン材料の量が極めて少ないことがわかった。もし有機ケイ素源を予めグラフトしていなければ、窒素含有有機物がほとんどシリカゲル担体上に担持できない。
【0113】
以上の説明は、本願の幾つかの実施例に過ぎず、本願を限定することを意図するものではなく、本願を好適な実施例で上記のように説明しているが、それは本願を制限するためのものではなく、当業者であれば、本願の技術的方案の範囲から逸脱しない限り、上記説明している技術的内容を利用して行った幾つかの変更又は修正はいずれも等価実施例に同等であり、いずれも技術的方案の範囲内に属する。
図1
図2
図3