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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-03
(45)【発行日】2022-03-11
(54)【発明の名称】自己位置合わせ工具ガイド
(51)【国際特許分類】
   B25H 5/00 20060101AFI20220304BHJP
   B23B 45/14 20060101ALI20220304BHJP
   B62K 17/00 20060101ALI20220304BHJP
【FI】
B25H5/00 Z
B23B45/14
B62K17/00
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020527869
(86)(22)【出願日】2018-10-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-12
(86)【国際出願番号】 EP2018079655
(87)【国際公開番号】W WO2019101478
(87)【国際公開日】2019-05-31
【審査請求日】2020-05-19
(31)【優先権主張番号】17203222.9
(32)【優先日】2017-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591010170
【氏名又は名称】ヒルティ アクチエンゲゼルシャフト
【住所又は居所原語表記】Feldkircherstrasse 100, 9494 Schaan, LIECHTENSTEIN
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】特許業務法人ナガトアンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】シュミット, ペール
(72)【発明者】
【氏名】ブララ, ダリオ
(72)【発明者】
【氏名】カンドチコ, ゼルヘイ
【審査官】山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】独国実用新案第000029709281(DE,U1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0007425(US,A1)
【文献】米国特許第05794721(US,A)
【文献】特開平06-108662(JP,A)
【文献】特開平06-182677(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104959651(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25H 5/00
B23B 45/14
B62K 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪軸(28)上で互いに対してオフセットして配置された2つだけの車輪(27)、前記車輪(27)の前記車輪軸(28)に連結された駆動装置(21)、及び前記駆動装置(21)を制御する操縦システム(20)を有するシャーシ(8)
前記操縦システム(20)を介して前記駆動装置(21)を制御することで前記シャーシ(8)を特定の位置(4)に移動させた状態で、天井(3)に対して地上から作業するための携帯型電動工具(6)を固定する保持具(5)と、
前記シャーシ(8)に堅固に取付けられ、且つ前記保持具(5)が上部に取り付けられた昇降機構(7)であって、前記昇降機構(7)は前記保持具(5)を昇降軸(25)に平行に上昇させるための推進システム(24)を有する、昇降機構(7)と、
前記天井(3)に対する前記携帯型電動工具)の接触圧を検出するセンサ(49)であって、前記接触圧は重力の方向(26)に作用する、センサ(49)と、
検出された前記接触圧が一定になるように前記推進システム(24)の推進速度調整する制御端末(22)と、
前記車輪軸(28)に対する前記昇降機構(7)の重心(G)の横方向の偏位(x)であって、重力方向に対して垂直な方向への偏位(x)を検出するための重心センサ(34)と、を有し、
前記操縦システム(20)は、前記駆動装置(21)を起動させて前記偏位(x)を打ち消すトルクを出力させ、これにより前記昇降機構(7)の重心(G)の釣り合いをとるように構成されている、自動位置合わせ式の工具ガイド(1)。
【請求項2】
請求項1に記載の工具ガイド(1)のための制御方法であって、
前記シャーシ(8)の釣合いをとることによって前記昇降機構(7)を位置合わせさせるステップであって、前記シャーシ(8)は前記車輪(27)を駆動することによって釣合いをとる、ステップと、
前記推進システム(24)を用いて前記昇降機構(7)を上昇させるステップと、
前記センサ(49)を用いて垂直方向(26)の接触圧を検出するステップと、
前記接触圧が一定になるように、前記推進システム(24)の推進速度を調整するステップと、を有する、制御方法。
【請求項3】
前記工具ガイド(1)が垂直に位置合わせされ前記接触圧を示す接触信号が存在する場合、前記釣合いをとることが一時停止され、前記シャーシ(8)のブレーキ(53)が起動されることを特徴とする、請求項に記載の制御方法。
【請求項4】
前記接触圧が閾値を超えた場合、前記工具ガイド(1)の前記保持具(5)の中に挿入された携帯型電動工具(6)が起動されることを特徴とする、請求項又はに記載の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自己位置合わせ工具ガイド、及び工具ガイド用の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
吊り天井は、大きな建物において、特に産業用及びオフィス用の建物において頻繁に遭遇する設計要素である。技術的な設置、例えば電気設備、換気システム、照明、及び防音処理は、シェルの天井と吊り天井との間に敷設される場合があり、以降の点検及び保守のためにアクセス可能である。設備及び吊り天井の支持構造体は、シェルの天井に、ダウェル、ねじ、又は類似要素を用いて締結される。吊り天井を構築するために、シェルの天井に穴が穿孔され、その中にダウェル又はねじがねじ込まれ得る。穴の横方向位置は、支持下部構造によって予め定められている。
【0003】
穴の穿孔は時間を要する。ユーザは、梯子又は足場を用いてのみシェルの高い吊り下げ天井に到達することができる。梯子は、特定位置の下に置かれなければならず、ユーザは梯子を登り、穴を穿孔し、梯子を降り、梯子を次の位置に移動する。
【0004】
独国特許出願公開第3328582A1号明細書は、インパクト式ダウェルを部屋の天井に取り付けるための可動式天井穿孔及び組立機器について記載している。天井穿孔機器は、入れ子式ピラーに取り付けられたインパクトドリルに基づいている。入れ子式ピラーは、台車上で揺れ動く形態で吊り下げられている。ユーザは、所望の場所の下に天井穿孔機器を移動することができ、ピラーによって室内天井に対してインパクトドリルをセットすることができ、天井に穴を穿孔することができる。インパクトドリルは、スイッチパネルを介して制御され得る。階段を経由する輸送のために、機器は、4つのパーツ、すなわち、台車、入れ子式ピラー、インパクトドリル、及びスイッチパネルに分解されなければならない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の改良形態は自己位置合わせ工具ガイドに関する。工具ガイドは、保持具、昇降機構、及びシャーシを有する。保持具は、携帯型電動工具を固定するためである。保持具は、昇降機構上に取り付けられている。昇降機構は、保持具を垂直に上昇させるための推進システムを有する。シャーシは、車輪軸上の2つの車輪、車輪に連結された駆動装置、及び操縦システムを有する。昇降機構は、シャーシに堅固に取り付けられている。重心センサが、車輪軸に対する昇降機構の重心の横方向の偏位を検出するように構成されている。操縦システムは、駆動装置を起動させて偏位を打ち消すトルクを出力させるように構成されている。
【0006】
自己位置合わせ工具ガイドは、アセンブリの数を減らすことが可能なことによって、非常に小型で軽量な構造を可能にしている。動的な安定化により、ちょうど1つの車輪上又は2つの車輪上において、工具ガイドの安定な起立姿勢が可能になる。
【0007】
工具の軸は、駆動装置コントローラ及び車輪を用いて、定められた方法で位置合わせされる。工具が特定方向から偏位している間、車輪は能動的に逆トルクを加え、それにより、工具は再び正しく位置合わせされる。これは、工具を天井に置く場合に特に必要である。床面及びシェルの天井には起伏があって水平方向に対して傾斜しており、従って、工具には横断方向の力が作用する。自由に揺れ動く工具は、偏位することで横断方向の力を回避することになり、従って、工具の誤った位置合わせにつながることになる。
【0008】
本発明の改良形態は、携帯型電動工具を固定する保持具、昇降機構、及び自己釣合い式シャーシを含む。保持具は、昇降機構上に取り付けられ、昇降機構の推進システムを用いて、昇降軸と平行に上昇させることができ、且つ下降させることができる。自己釣合い式シャーシは、車輪軸上の2つの車輪、及び車輪に連結された駆動装置を有する。昇降機構は、シャーシに堅固に取り付けられている。傾斜センサが、水平面に対するシャーシの車輪軸の傾斜を検出する。操縦システムは、傾斜がゼロに等しくなるまで、操縦システムが駆動装置を用いてシャーシを垂直軸の周りに回転させるモードS9を有する。加えて、工具ガイドは、車輪軸に対して重心Gの横方向の偏位xを検出するための重心センサを有する。操縦システムは、偏位を打ち消すトルクを出力させるように構成されている。
【0009】
2つの車輪の上にだけ起立している工具ガイドにとって、垂直軸の周りの回転によってのみ、車輪軸が水平方向と平行に位置合わせされ得る位置が常に存在する。3つ以上の車輪を有するシステムでは、昇降機構は、車輪軸に対して枢動可能に取り付けられなければならない。
【0010】
本発明による自己位置合わせ工具ガイドの改良形態は、天井で作業するための携帯型電動工具を固定する保持具、昇降機構、及び自己釣合い式シャーシを有する。保持具は、昇降機構に取り付けられている。昇降機構は、保持具を昇降軸と平行に上昇させるための推進システムを有する。自己釣合い式シャーシは、車輪軸上の2つの車輪、車輪に連結された駆動装置、及び操縦システムを有する。センサは保持具の接触圧を検出する役割を担い、接触圧は重力の方向に作用する。制御端末は、検出された接触圧に応じて推進システムを起動させる。
【0011】
本発明による自己位置合わせ工具ガイドの改良形態は、天井で作業するための携帯型電動工具を固定する保持具、昇降機構、及び自己釣合い式シャーシを有する。保持具は、昇降機構に取り付けられている。昇降機構は、保持具を昇降軸と平行に上昇させるための推進システムを有する。自己釣合い式シャーシは、車輪軸上の2つの車輪、車輪に連結された駆動装置、及び操縦システムを有する。接触センサは、保持具と天井との間接的接触を検出する役割を担う。シャーシは、ブレーキを有する。コントローラは、ブレーキが起動され、自己釣合い式シャーシの釣合いが起動停止されているモードS9を有する。
【0012】
工具ガイドは一般に、2つの車輪だけで床面に触れる。直立した起立姿勢は、シャーシの釣合いをとることによってのみ確実になる。天井での作業中、第3の接触点が生じ、これは、釣合いなしで直立した起立姿勢をとるには十分であり得る。釣合いをとることのない静的起立姿勢は、作業中は有利な場合がある。ブレーキは、安定性を支援する。
【0013】
本発明による自己位置合わせ工具ガイドの改良形態は、携帯型電動工具を固定する保持具、昇降機構、及び自己釣合い式シャーシを有する。保持具は、昇降機構上に取り付けられている。推進システムは、保持具を昇降軸に平行に上昇させる役割を担う。制御端末は、ユーザに推進システムを操作させる役割を担う。自己釣合い式シャーシは、車輪軸上の2つの車輪、車輪に連結された駆動装置、及びオペレータによるシャーシの操作のための操縦システムを有する。電気蓄電池(32)の配置は、推進システム及び駆動装置に電力を供給するようになっている。非常用の電力装置は、電気蓄電池(32)の配置の充電状態を判定するための充電状態センサを有する。起動停止ユニットは、充電状態が非常時充電を下回って低下したことに応答して、制御端末を起動停止させる。
【0014】
工具ガイドは、それ自身の電源を有する。電源は、昇降機構を、任意選択的に携帯型電動工具を操作するために利用可能であるが、シャーシ用にも利用可能である。充電状態が低い時は、制御端末の、従って、昇降機構及び携帯型電動工具の起動停止によって、蓄電池を充電するか又は取り替える必要があることがユーザに強調される。これは、蓄電池が空になり釣合いを喪失した結果、工具ガイドが転倒することを防止する。
【0015】
以下の記載は、例示的実施形態に基づいて本発明について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】正面から見た自己位置合わせ工具ガイドを示す。
図2】I-I断面で見た自己位置合わせ工具ガイドを示す。
図3】I-I断面で見た天井で作業中の自己位置合わせ工具ガイドを示す。
図4】状態遷移図を示す。
図5】位置合わせ(平衡)を説明する図を示す。
図6】前進方向及び後退方向の位置合わせを説明する図を示す。
図7】横断方向の位置合わせを説明する図を示す。
図8】横断方向の位置合わせを説明する図を示す。
図9】状態遷移図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
他の記載がない限り、同一の又は機能的に同一の要素は、同じ参照番号によって示される。本明細書との関連において、垂直は、重力に平行な方向を意味し、水平は、重力に対して直角をなす方向又は平面を意味する。
【0018】
図1及び図2はシェル内での設置作業のための例示的な自己位置合わせ工具ガイド1を示す。例えば、通風管の設置にはシェルの天井3に複数の穴2が必要である。穴2は、特定の位置4に、例えば位置合わせされて、位置決めされることが意図されている。更には、穴2は互いに平行で、例えば、垂直に向けられていることが意図されている。位置4は、例えば、平面で示される。監督者が、シェルの天井3のカラー標識によって、位置4を示すことができる。天井3での他の設置作業は、釘を打つこと、ねじをねじ込むこと、サンダー仕上げなどを含み得る。
【0019】
図1及び図2は自己位置合わせ工具ガイド1の実施形態を概略的に示す。工具ガイド1は、携帯型電動工具6用の保持具5、電動昇降機構7、電動シャーシ8、コントローラ9、及びコンソール10を有する。
【0020】
ユーザは、用途に応じて、工具ガイド1に、好適な携帯型電動工具6及び好適な工具11を装備させることができる。シェルに穴2を穿孔するために、これらは、例えば、インパクト機構12を有するハンマードリル、及び焼結カーバイド金属チップを有するドリルである。携帯型電動工具6は、昇降機構7上の保持具5の中に挿入され得る。ロック13は、携帯型電動工具6を保持具5内に固定する。ロック13は好ましくは、工具なしで解放され得る。他の実施形態では、携帯型電動工具は保持具5に永続的に接続、例えば、ねじ止めされ得る。
【0021】
ハンマードリルは、携帯型電動工具6の単なる一例である。他の例としては、電気ねじ回し、釘締め、アングルグラインダ、グルーガン、スプレーガンなどが挙げられる。携帯型電動工具6の一種は、その操作のために、交換可能な工具11、例えば、ドリル、のみ、ねじ回しビット、切削ホイールなどを駆動する。他の種類の携帯型電動工具6は、消耗材料、例えば釘、ねじ、塗料及び接着剤を直接処理する。携帯型電動工具6はそれ自身の駆動装置によって特徴付けられ、それを用いて、工具11が駆動されるか、又は消耗材料が打ち込まれるか若しくは塗布される。ユーザは、携帯型電動工具6を使用するのに、いかなる手動力も印加する必要はない。携帯型電動工具は、電動工具と呼ばれる。電源14は、電気的に又は燃料によって駆動され得る。例としては、電気モータ、電気ポンプ、ガス供給内燃機関、動力駆動ピストンなどが挙げられる。電源14は(始動)ボタン15に結合している。始動ボタン15が押されると、電源14が起動する。始動ボタン15は好ましくは、遠隔で始動可能であるか、又はロック可能である。
【0022】
携帯型電動工具6は、市販の携帯型電動工具6であり得る。携帯型電動工具6は、ハンドル16、及び典型的には、追加のハンドルを締結するためのハウジング部分17を有する。携帯型電動工具6は、ハンドルなしで設計され得る。保持具5はまた、手持ち式でない携帯型電動工具用に構成され得る。
【0023】
携帯型電動工具6は、その設計によって規定される作業軸18を有する。工具11の先端又は消耗材料の先端が、作業軸18上にある。先端は作業軸18に沿って移動する。先端は、作業される下地表面、例えば、天井3に最初に触れる。
【0024】
図4は工具ガイド1の状態遷移図を示す。ユーザは、コンソール10を用いて工具ガイド1を起動させる。シャーシ8は、ユーザが工具ガイド1を部屋全体にわたり床面19の上を移動させることができる(可動)モードS1にある。コントローラ9は、工具ガイド1の操縦システム20を起動させる。ユーザは、コンソール10を介して移動方向及び速度を指定することができる。ユーザは、工具ガイド1を操縦して、印を付けた位置4のうちの1つに移動させる。シャーシ8は、それ自身の動力によりシャーシ8を床面19上で移動させる駆動装置21を有する。シャーシ8の移動の方向及び速度は、工具ガイド1の操縦システム20によって制御される。この目的のために、操縦システム20は、とりわけ、コンソール10によって入力される、移動の速度及び方向に関する仕様を処理する。
【0025】
ユーザは、印を付けた位置4で工具ガイド1を停止させる。ユーザは、コンソール10を介して、シャーシ8を(起立)モードS2に設定する。コントローラ9は、ユーザに対して操縦システム20をブロックするか、又は操縦システム22を非稼働に切り替える。操縦システム20は、コンソール10によって入力される移動の速度及び方向に関する仕様を無視する。工具ガイド1は、現在占めている位置4に留まる。操縦システム20は、現在の位置4を検出することができる。シャーシ8が現在の位置4を去るか又は現在の位置4から出ると、操縦システム20は、シャーシ8を移動させて検出された位置4に戻すための制御信号を自動的に生成する。
【0026】
ユーザは、昇降機構7を用いて携帯型電動工具6を上昇させるために、コンソール10を介して(昇降)モードS3を起動させることができる。コントローラ9は、昇降モードが起動され得る前に、シャーシ8を強制的に起立モードS2にする。シャーシ8が静止するまで、コントローラ9は昇降モードの起動を遅延させることができる。昇降モードにおいて、ユーザ用の制御端末22が有効になるか、又は起動される。ユーザは、コンソール10を介して、移動方向23、すなわち上又は下、並びに昇降機構7の昇降速度及び位置を指定することができる。保持具5は、それに対応して、昇降機構7によって移動する。制御端末22は、コンソール10を介して指定される垂直移動方向及び昇降速度を考慮して、昇降機構7の推進システム24を起動させる。昇降機構7は、保持具5、及び任意選択的に保持具5に挿入された携帯型電動工具6を、固定された昇降軸25に沿って上昇又は下降させる。昇降機構7は、昇降軸25上での単軸の並進移動に限定される。
【0027】
携帯型電動工具6の作業軸18は、昇降軸25と平行である。一改良形態では、保持具5の設計が、平行な位置合わせを強制する。携帯型電動工具6は、例えば、保持具5の形状が携帯型電動工具6のハウジングに整合しているので、規定された一形態でのみ保持具5に挿入され得る。一改良形態では、作業軸18を昇降軸25上に位置合わせさせるために、保持具5は、昇降軸25に対して傾斜した(枢動)軸の周りに枢動可能である。
【0028】
昇降軸25、従って作業軸18は、シャーシ8によって天井3に対して動的に位置合わせされる。シャーシ8は、昇降軸25を、垂直に、すなわち重力に平行に位置合わせさせる。
【0029】
携帯型電動工具6は、好ましくは、制御端末22を介してスイッチを入れることができる。工具11は、天井3で動作することができ、例えば穴2を穿孔することができる。コントローラ9は(作業)モードS4を有することができ、天井3での作業の間、昇降機構7の推進システム24を自動的に制御する。作業モードは、例えばコンソール10において手動で起動され得る。作業モードにおいて、制御端末22は、昇降機構7の昇降速度を工具11の作業の進展に適合させる。昇降機構7及び工具11は、過大な負荷に対して保護され得る。作業目標、例えばドリル穴の深さは、制御端末22に指定され得る。作業目標に到達した後、制御端末22は推進システム24を自動的に停止させることができる。加えて、工具11が天井3から嵌合解除される程度まで、制御端末22は昇降機構7を自動的に下降させることができる。
【0030】
ユーザは、この時、工具ガイド1を次の印を付けた位置4に偏位させることができる。ユーザは、工具ガイド1を可動モードS1に切り替える。制御端末22は、ユーザに対してブロックされる。携帯型電動工具6は、強制的にスイッチが遮断される。工具ガイド1は、停止する前に、工具11が依然として天井3と嵌合しているかどうかを調べることができる。例えば、操縦システム20は、シャーシ8を指定された小距離だけ一方向26に移動させ、打ち消すトルクがシャーシ8に作用しているかどうかを調べる。操縦システム20は、シャーシ8を以前の位置4に移動させ、起立モードに変化させ、制御端末22に昇降機構7を下降させる。
【0031】
シャーシ8は、駆動装置21に連結された2つの車輪27を有する。2つの車輪27は、横軸又は車輪軸28上で互いに対してオフセットして配置されている。車輪軸28は、2つの車輪27の中心を通って延びている。車輪27は、互いに平行な場合があり、又は、車輪27は、ホイールキャンバ及び/又はトー角度ゆえに、互いに対して数度だけ傾斜している。2つの車輪27は、実質的に車輪軸28の周りを回転する。車輪27の各々は、駆動装置21に連結されている。駆動装置21は、例えば、2台の電気モータ29を備え得る。車輪27はそれぞれ、電気モータ29のうちの1つの、回転子30に直接位置している。代替として、車輪27は、クラッチ及びトランスミッションを介して中央電気モータ29に連結され得る。駆動装置21は、車輪27上の車輪軸28の周りに作用するトルクを加える。回転駆動された車輪27は、シャーシ8を床面19上で移動させる。2つの車輪27が同一速度で回転する時、シャーシ8は直進移動する。車輪27は、駆動装置21によって個別に駆動され得る。車輪27の異なるトルク及び異なる回転速度により、シャーシは角を回って移動することが可能になる。シャーシ8をその垂直軸の周りに回転させるために、車輪27は好ましくは、反対向きに駆動され得る。駆動装置21は、回転速度用の制御信号及び2つの車輪27のトルクを操縦システム20から受信する。操縦システム20は、指定された操縦運動、例えばユーザによって指定された操縦運動に応答して制御信号を生成する。駆動装置21は、車輪27の出力トルク及び回転速度を検出するためのセンサ配置を有することができる。検出された測定データは、操縦運動の偏差を調整するために操縦システム20に転送され得る。
【0032】
シャーシ8及び工具ガイド1は現在、2つの車輪27だけで床面19上に起立している。2つの接触点P1、P2は、車輪軸28と平行な線上に位置する。ライン外の、床面19との第3の接触点が、静的に安定な起立姿勢をとるには欠落している。工具ガイド1は、対策なしでは転倒する。操縦システム20は、昇降機構7の重心Gの釣合いをとることによって動的平衡を実現する。重心Gの検出に基づき、操縦システム20は駆動装置21を制御して転倒を打ち消すトルクを発生させる。
【0033】
昇降機構7は、シャーシ8上に取り付けられている。昇降機構7は、シャーシ8に対して非可動であり、特に、昇降機構7は、駆動装置21及び車輪軸28に対して非可動である。昇降機構7は好ましくは、駆動装置21の固定子31に堅固に接続している。駆動装置21は、同一サイズで反対回転方向のトルク及び反作用トルクを、原則として対で発生させる。トルクは、駆動装置21の回転子30によって、車輪27に作用する。反作用トルクは、駆動装置21の固定子31を介して昇降機構7に作用する。
【0034】
工具ガイド1の重量は、シャーシ8の重量及び昇降機構7の重量で構成される。携帯型電動工具6の重量は、単に昇降機構7の重量に加えられる。シャーシ8の重心は、ほぼ車輪軸28上に位置する。車輪27、駆動装置21、及び蓄電池32は、車輪軸28の周りに対称的に配置されている。昇降機構7の重心Gは、車輪軸28より上に位置する。重心Gが車輪軸28の垂直方向の上方にある場合は、工具ガイド1は、準安定的でしかないが起立する(平衡、図5)。横方向の偏位xはゼロに等しい。重心Gが、車輪軸28に対して横方向33にオフセットしている場合、すなわち、横方向xがゼロに一致しない場合、工具ガイド1は転倒する(図6)。
【0035】
操縦システム20は、昇降機構7の重心Gの横方向の偏位xを検出するための(重心)センサ34を有する。重心Gの横方向の偏位xが平衡の外側にあると、計量値が異なる結果となる。昇降機構7は、重力に対して傾斜しており、それに対応して、重心センサ34は傾斜センサを備えることができる。転倒する運動は、特徴的な加速につながり、重心センサ34は、速度、加速度、回転率、及び/又は車輪軸28の周りの回転運動を決定するためのジャイロセンサ、加速度センサ、回転率センサなどを備えることができる。傾斜した昇降機構7は、駆動装置21にトルクを加える。重心センサ34は、トルク、非垂直力などを検出するためのトルクセンサ、力センサなどを備えることができる。センサは機械的、光学的、磁気的、又は電気的な効果に基づいて、上述の変数を検出することができる。操縦システム20は、偏位xに基づいて昇降機構7を立たせるためのトルクを決定する制御シーケンスを含む。例えば、操縦システム20は、偏位xに比例するトルクを指定することができる。操縦システム20は、トルクを生成する駆動装置21に、トルクを制御信号の形で送信する。制御シーケンスは、偏位xをゼロに調整する制御ループを備えることができる。例えば制御シーケンスを携帯型電動工具6の異なる重量に適合させるために、加速因子及び積分成分などの制御パラメータを適合させることが好ましい場合がある。
【0036】
昇降機構7は、駆動装置21のモータ力により、垂直に位置合わせされる。昇降機構7は、平衡への妨害によって始動させることができ、制御シーケンスに反応して垂直位置合わせ状態の周りに繰り返し揺れ動くことができる。揺動運動の後は、ユーザは、いかなる更なる運動も確認することができない。昇降機構7に作用するトルクは、車輪27に作用するトルクと対抗している。それに対応して車輪27は回転し、その結果、シャーシ8は偏位xの方向26に移動する(図6)。シャーシ8は、昇降機構7と同様に中心位置の周りに揺れ動く。床面19上の車輪27の摩擦及びグリップが揺れ動きを減衰させる。
【0037】
シャーシ8の静的に不安定な起立姿勢及び釣合いが、昇降軸25を垂直に位置合わせするために使用される。動的平衡において、重心Gは、車輪軸28の垂直方向の上方に位置する。昇降機構7は、重心G及び車輪軸28を通る線が昇降軸25に平行となるように、車輪軸28に対して配置されている。重心Gの位置4を様々な携帯型電動工具6に対して適合させるために、例示的な昇降機構7は、保持具5上に補償用重り35を有する。補償用重り35は、昇降軸25から様々な距離でロック可能である。補償用重り35の代わりに、調節により、偏位xを指定されたオフセットに調整することができる。オフセットは好ましくは、昇降機構7の調整位置を考慮する。昇降機構7の高さに関係なく、動的釣合いは昇降軸25を垂直に位置合わせする。
【0038】
車輪軸28が水平に位置する場合、動的釣合いが垂直位置合わせを確実にする。偏位xは、車輪軸28と直角をなす平面内に位置する。平坦でない床面19又は傾斜した床面19の場合、車輪軸28は水平面に対して傾斜し得る(図7)。車輪軸28の傾斜36は、昇降機構7のちょうどそのような傾斜に移転される。傾斜36は、車輪軸28及び垂直軸がわたる平面内に位置する。車輪軸28の傾斜は、動的釣合いによって直接補償されることができない。
【0039】
天井3の処理のために、傾斜36も、好ましくは補償される。昇降モードS3が起動されると、例示的なコントローラ9は、傾斜36を始動させる。工具ガイド1が特定の位置4に位置付けられた時、ユーザ又は外部コントローラ9は昇降機構S3を起動させることになる。補償はまた、異なるモードで始動され得る。例えば、特定のモードが補償用に提供される場合があり、そのモードは、例えば、位置4に到達した時、又はユーザによる問い合わせの時点で自動的に始動される。
【0040】
従って、位置合わせは、第一に、2つの車輪27を同じ高さに調整することを実施する。工具ガイド1は、例えば、作業軸18と一致する垂直軸の周りに回転する。垂直軸は、車輪軸28と直角をなして、実質的に垂直軸に沿って延びる軸を意味する。工具ガイド1は好ましくは、垂直軸が特定の位置4を通って延びるように位置付けられる。操縦システム20は、2つの車輪27を同じ回転速度で反対方向26に回転させる。従って、工具ガイド1及び工具11は、同じ位置4に留まる。占有空間が小さいコンパクトな設計により、空間が限定されていたとしても、この回転は典型的には可能である。回転は、車輪軸28の傾斜36がゼロに等しくなるまで起こる。工具ガイド1は2つの車輪27だけで床面19に触れるので、各位置4において、車輪27の全てが同じ高さにある少なくとも1つの設定が存在する。傾斜センサ37は、水平面に対する車輪軸28の傾斜を検出することができる。傾斜センサ37は、例えば、重心センサ34によって、又は同様の方法で実現することができる。操縦システム20は、昇降機構7を、車輪軸28と直角をなす横方向26に釣合いをとる。2つの車輪27にかかるトルクは、同じ方向26に作用し、典型的には同じ大きさである。
【0041】
操縦システム20は、例えば、進行方向及び速度用の入力要素を有するコンソール10を備える。例示的なコンソール10は、2軸ジョイスティックに基づく。他のコンソールは、例えば、進行方向用の操縦ホイール及び速度用のスライドを有することができる。コンソール10は、好ましくは工具ガイド1から取り外し可能である。コンソール10によって生成される制御信号は、無線、光学、又は有線に基づいて駆動装置21に送信される。操縦システム20は、ユーザによってシャーシ8に加えられた押す力又は引く力を検出することができる。力の作用下で、シャーシ8は、押す力又は引く力の方向26に倒れる。操縦システム20は、シャーシ8の偏位xを検出する。シャーシ8の速度は、例えば、偏位xに比例する場合がある。
【0042】
例示的な昇降機構7は、線形レールガイド38に基づく。2本の平行なプロファイルレール39は、シャーシ8に締結されている。2本のプロファイルレール39は、昇降軸25を画定する。インペラ40が、2本のプロファイルレール39に嵌合する。インペラ40は、昇降軸25に沿ったプロファイルレール39上を変位可能である。電気モータ41及びスピンドル42が、インペラ40用の推進システム24を形成する。スピンドル42は、2本のプロファイルレール39の間に、回転可能に取り付けられている。インペラ40は、スピンドル42に嵌合するねじ山43を有する。電気モータ41は、スピンドル42を、その長手方向軸の周りに回転させ、ねじ山43は、回転運動を昇降軸25に沿った運動に変換する。例示した昇降機構7は、入れ子式昇降機構の例である。プロファイルレール及びインペラ40の代わりに、又はそれに加えて、一方を他方の中に挿入した管が同様に使用され得る。別の推進システム24は、モータによって駆動されるラック及びピニオンに基づく。代替として、液圧プレス又は空気圧プレスも昇降機構7を上昇させることができる。
【0043】
例示的な昇降機構7は、動力駆動昇降機構7に加えて、手動入れ子式プラットフォーム44を備えることができる。プラットフォーム44は、比較的コンパクトに構築され得る。動力駆動部分を、プラットフォームを用いて基本高さに持ってくることができる。プラットフォーム44は、1段式又は多段式プラットフォームであり得る。例示的なプラットフォーム44は、レールガイドに基づく。
【0044】
例示的な保持具5は、張力ストラップ46を有する谷形のシェル45を有する。ハンドル16は、シェル45内に位置付けられ、張力ストラップ46によりシェル45内に固定され得る。携帯型電動工具6のハウジングは、第2の張力ストラップ47を用いて保持具5に縛り付けることができる。保持具5は、好ましくは昇降軸25に直角に変位可能である。保持具5は、例えば、あり継手ガイド48上を変位可能であり得る。ユーザは、作業軸18を車輪軸28に対して垂直に位置付けることができる。保持具5は、昇降軸25と平行な、作業軸18の精密な位置合わせを許容する角度設定部を備えることができる。角度設定部は、例えば、継手及び調整ねじを備える。
【0045】
昇降機構7は好ましくは、天井3への接触圧を決定するセンサ49を装備している。例えば、保持具5は、ばね50上で垂直方向26に支持されている。接触圧は、ばね50を圧縮する。変位センサ51、例えばスライドポテンショメータは、ばね50が圧縮される変位距離を決定する。ばね定数は既知であれば、センサ49は接触圧を決定する。接触圧を決定する他のセンサは、圧電効果、歪みゲージなどに基づき得る。他の改良形態は接触圧を間接的に決定する。例えば、センサ49は、推進システム24の電力消費、例えば電流消費の評価を含む。電力消費と、接触圧の測定値との相関が、センサ内のテーブルに格納される。最初に工具11を天井3に抗して押し付けることは、接触圧の急増として、センサ49によって検出される。センサ49は、工具11が天井3に抗して位置していることを制御信号で制御端末22に示す。制御端末22は、それに対応して昇降機構7の手動制御を停止し、処理モードに変化することができる。好ましい変形形態では、接触圧についての目標値が制御端末22に格納されている。目標値は、ユーザによって事前に入力されるか又は選択され得る。目標値は、工具11、例えばドリルの直径に依存する。推進システム24は、接触圧が一定になるように調整される。保護回路52の一部としてのセンサ49は、接触圧についての測定値を提供することができる。測定値が閾値を超えた場合、保護回路52は昇降機構7の上昇を停止する。
【0046】
一改良形態では、工具11が天井3に触れた場合、工具ガイド1は動的釣合いを一時停止させ得る。接触点が天井3に抗していることにより、工具ガイド1は、静止して起立することができる。工具ガイド1は、車輪27がブレーキ53によってロックされる停止モードS5に変化することができる(図9)。釣合い及び関連するわずかな揺れ動き運動は止まる。
【0047】
工具ガイド1は、天井3との接触を検出する(接触)センサ54を有する。工具11、消耗材料、又は携帯型電動工具6は、典型的には天井3に触れる。保持具5は、天井3に間接的に触れる。接触センサ54は(接触)信号をコントローラ9に出力し、信号には工具11が天井3と接触しているかどうかが符号化されている。接触センサ54は、例えば、昇降機構7の接触圧又は接触圧の測定値を評価することができる。接触圧が閾値を超えるか、又は接触圧の変化率が閾値を超えると、接触センサ54は接触を示す。工具ガイド1を2つの車輪27及び天井3の接触点を介して静的に安定な起立姿勢に保持するのに、関連する接触圧が十分なように、閾値の大きさが設定されることが好ましい。接触センサ54は、例えば、センサ49又は類似したセンサ49によって実現され得る。
【0048】
接触信号が存在する場合、コントローラ9は好ましくは、シャーシ8の釣合いをとることを一時停止する。接触信号が最小限の持続時間にわたって発生するまで、コントローラ9は一時停止を遅延させることができる。接触信号が存在する場合、操縦システム20は、昇降機構7が垂直に位置合わせされているかどうかを調べる。操縦システム20が垂直位置合わせ状態からの偏差を検出した場合、制御端末22はそれに応答して昇降機構7を下降させる。下降は、所定の行程、例えば1cmで生じ得る。代替として、行程は、垂直位置合わせ状態からの偏差、及び/又は昇降機構7の高さに基づき決定され得る。例えば、ストロークは、角度寸法の偏差と昇降機構7の現在の高さとの積に比例する。工具11は、天井3から取り外される。その結果、接触センサ54は、天井3との接触をもはや示さない。コントローラ9は、操縦システム20による釣合いをとることを直ちに再起動させる。操縦システム20は、昇降機構7を垂直に位置合わせする。昇降機構7が垂直に位置合わせされるまで、コントローラ9は、本段落に記載される方法を反復的に繰り返すことができる。コントローラ9は引き続いて、少なくとも、好ましくは接触信号が発生する程度まで昇降機構7を上昇させる。このとき工具ガイド1は、垂直に位置合わせされている。
【0049】
シャーシ8は、好ましくはブレーキ53を有する。ブレーキ53は好ましくは、工具ガイド1が垂直に位置合わせされ、接触信号が存在すると直ぐに起動される。ブレーキ53は、シャーシ8の車輪27を永続的にロックするパーキングブレーキである。ブレーキ53は、例えば、エンジンブレーキとして理解される。ブレーキ53は、車輪27の運動に対抗する電磁力を発生させる。ブレーキ53は、受動的であり得る。電気モータ29は、電気モータの回転子30が回転する場合、発電機の原則に従って固定子31内で電流を発生させることができる。発電機の原則を用いた電気モータ29の実施例は、直流モータ、交直両用モータなどである。発電機によって発生する電流は負荷抵抗を介してブレーキ53によって短絡される。反作用磁場は、回転子30の回転運動に対立する。代替として、回転速度センサ又は運動センサが運動を検出することができる。操縦システム20は、運動を打ち消すように推進システム24を操縦するために、対応する制御信号を決定する。ブレーキ53はまた、シャーシ8内の機械式ブレーキ、例えばディスクブレーキ又はドラムブレーキによって実現され得る。機械式ブレーキ53は、モータブレーキを手助けすることができる。
【0050】
工具ガイド1は、1つ以上の蓄電池32、55を有する。蓄電池55は、操縦システム20、制御端末22、駆動装置21の電気モータ29、推進システムの電気モータ41、及び任意選択的に携帯型電動工具6に電流を供給する。蓄電池55は、据置蓄電池32、及び1つ以上の取り外し可能な蓄電池55を備えることができる。据置蓄電池32は好ましくは、シャーシ8内に組み込まれている。工具ガイド1は、取り外し可能な蓄電池55用の対応する電気機械インタフェースを有する。インタフェースは、例えば、携帯型電動工具6のインタフェースに対応する。ユーザは、放電した蓄電池55を充電された蓄電池55と交換することができ、放電した蓄電池55を別個の充電ステーションで充電することができる。携帯型電動工具6の電力消費は、典型的には200ワットを大幅に超える。それに対応して、大容量が蓄電池によって供給されなければならない。据置蓄電池32は、他の蓄電池55に電気的に接続している。充電調節器56が、据置蓄電池32を他の蓄電池55で充電する。充電調節器56は好ましくは、据置蓄電池32の充電状態を、非常時の値を上回るように維持する。ユーザは、他の蓄電池55を、危険を犯すことなく取り外すことができる。非常時の値があるので、据置蓄電池32は、シャーシ8を少なくとも10分間、好ましくは少なくとも30分間にわたって釣り合わせるのに十分な充電状態を有する。
【0051】
蓄電池32、55の充電状態が非常時の値を下回って降下した場合、工具ガイド1は(非常時)モードS9に入る。非常時モードは、工具ガイド1の安全な起立姿勢を確保する。シャーシ8及び操縦システム20には、電流が供給される。ユーザは、工具ガイド1を充電ステーションに、又は他の所望の場所に移動させることができる。他の電力消費部は好ましくは起動停止され、特に、昇降機構7及び携帯型電動工具6は起動停止される。例えば、制御端末22は、ユーザからの入力に対してブロックされ得る。ユーザは、制御端末22をもはや上昇させることはできない。携帯型電動工具6は、スイッチによって蓄電池から切り離され得る。昇降機構7は、非常時モードにおいて、自動的に最も低い高さに移動され得る。非常時モードでは、工具ガイド1は非常時モードを光学的又は音響的に示すことができる。
図1
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図9