(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-03
(45)【発行日】2022-03-11
(54)【発明の名称】ハニカム構造体及び排気ガス浄化装置
(51)【国際特許分類】
B01J 35/02 20060101AFI20220304BHJP
B01J 35/04 20060101ALI20220304BHJP
B01J 23/86 20060101ALI20220304BHJP
F01N 3/023 20060101ALI20220304BHJP
F01N 3/027 20060101ALI20220304BHJP
F01N 3/20 20060101ALI20220304BHJP
F01N 3/24 20060101ALI20220304BHJP
【FI】
B01J35/02 G ZAB
B01J35/04 301E
B01J35/04 301P
B01J23/86 A
B01J35/04 301H
F01N3/023 E
F01N3/027 D
F01N3/20 K
F01N3/24 L
(21)【出願番号】P 2021508143
(86)(22)【出願日】2020-01-27
(86)【国際出願番号】 JP2020002855
(87)【国際公開番号】W WO2020195108
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2021-04-15
(31)【優先権主張番号】P 2019055632
(32)【優先日】2019-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】宮入 由紀夫
(72)【発明者】
【氏名】桝田 昌明
(72)【発明者】
【氏名】加藤 恭平
(72)【発明者】
【氏名】細田 和也
(72)【発明者】
【氏名】木俣 貴文
【審査官】森坂 英昭
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/195107(WO,A2)
【文献】特開2016-187766(JP,A)
【文献】特開2006-057584(JP,A)
【文献】特開2004-342540(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00 - 38/74
F01N 3/023
F01N 3/027
F01N 3/20
F01N 3/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周壁と、
前記外周壁の内側に配設され、一方の端面から他方の端面まで貫通して流路を形成する複数のセルを区画形成する多孔質の隔壁と、
を有する柱状のハニカム構造体であって、
前記セル内に、最大透磁率、キュリー点及び固有抵抗値のうちの少なくとも二つが異なる二種類以上の磁性体を含むハニカム構造体。
【請求項2】
前記セルは、
前記一方の端面側が開口して前記他方の端面に目封止部を有する複数のセルAと、
前記セルAとそれぞれ交互に配置され、前記他方の端面側が開口して前記一方の端面に目封止部を有する複数のセルBと、
を含む請求項1に記載のハニカム構造体。
【請求項3】
前記二種類以上の磁性体が、それぞれ異なる前記セル内に含まれている請求項1または2に記載のハニカム構造体。
【請求項4】
前記二種類以上の磁性体の少なくとも一種がワイヤー状である請求項3に記載のハニカム構造体。
【請求項5】
前記セルは、複数の第1のセルと、断面積が前記第1のセルの断面積より小さい、複数の第2のセルとで構成されており、
前記複数の第2のセルのそれぞれの内部が、前記二種類以上の磁性体のうちいずれか一種を含む材料で充填されており、
前記複数の第2のセルが、それぞれ前記複数の第1のセルの少なくとも1つと隣接して配置されている請求項3または4に記載のハニカム構造体。
【請求項6】
前記二種類以上の磁性体が二種類の磁性体であり、
前記二種類の磁性体が、それぞれ前記セルの隔壁の表面にコートされている請求項3に記載のハニカム構造体。
【請求項7】
前記セルは、前記一方の端面側が開口して前記他方の端面に目封止部を有する複数のセルAと、前記セルAとそれぞれ交互に配置され、前記他方の端面側が開口して前記一方の端面に目封止部を有する複数のセルBとを含み、
少なくとも一部の前記セルA及び前記セルBの隔壁の表面に透過膜が設けられ、前記二種類以上の磁性体が、それぞれ前記透過膜に含まれている請求項3に記載のハニカム構造体。
【請求項8】
前記セルは、前記一方の端面側が開口して前記他方の端面に目封止部を有する複数のセルAと、前記セルAとそれぞれ交互に配置され、前記他方の端面側が開口して前記一方の端面に目封止部を有する複数のセルBとを含み、
前記セルAの目封止部及び前記セルBの目封止部の一方または両方が、前記二種類以上の磁性体を含む請求項3に記載のハニカム構造体。
【請求項9】
前記二種類以上の磁性体が、それぞれ同じ前記セル内に含まれている請求項1または2に記載のハニカム構造体。
【請求項10】
前記二種類以上の磁性体が、互いに前記セルの隔壁の表面における異なる位置に設けられている請求項9に記載のハニカム構造体。
【請求項11】
前記二種類以上の磁性体が、それぞれワイヤー状であり、互いに同じ前記セル内で離間して設けられている請求項9に記載のハニカム構造体。
【請求項12】
前記二種類以上の磁性体が、それぞれワイヤー状であり、少なくとも1つの前記ワイヤー状の磁性体の表面が反応防止層で被覆されている請求項9に記載のハニカム構造体。
【請求項13】
前記二種類以上の磁性体が、種類ごとに独立して前記セルの隔壁の表面にコートされており、前記独立した磁性体のコートが、前記セルが伸びる方向の法線方向に順に積層されるように形成され、
前記独立した磁性体のコート同士の間に、反応防止層が設けられている請求項9に記載のハニカム構造体。
【請求項14】
前記セルは、前記一方の端面側が開口して前記他方の端面に目封止部を有する複数のセルAと、前記セルAとそれぞれ交互に配置され、前記他方の端面側が開口して前記一方の端面に目封止部を有する複数のセルBとを含み、
前記セルAの目封止部及び前記セルBの目封止部の一方または両方が、前記二種類以上の磁性体を含み、
前記二種類以上の磁性体を含む目封止部において、前記二種類以上の磁性体が種類ごとに独立して、前記セルが伸びる方向に順に設けられている、請求項9に記載のハニカム構造体。
【請求項15】
前記二種類以上の磁性体が、それぞれ粒子であり、前記二種類以上の磁性体の粒子の少なくとも一種が反応防止層で被覆されている請求項9に記載のハニカム構造体。
【請求項16】
前記二種類以上の磁性体の少なくとも一種は、700℃以上のキュリー点を有する請求項1~15のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
【請求項17】
前記二種類以上の磁性体の少なくとも一種は、50μΩcm以上の固有抵抗値を有する請求項1~16のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
【請求項18】
前記二種類以上の磁性体の少なくとも一種は、10000以上の最大透磁率を有する請求項1~17のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
【請求項19】
前記隔壁及び外周壁がセラミックス材料で構成されている請求項1~18のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
【請求項20】
前記セラミックス材料がコージェライト、炭化珪素、チタン酸アルミニウム、窒化珪素、ムライト、及び、アルミナからなる群から選択される少なくとも1つである請求項19に記載のハニカム構造体。
【請求項21】
請求項1~20のいずれか一項に記載のハニカム構造体と、
前記ハニカム構造体の外周を螺旋状に周回するコイル配線と、
前記ハニカム構造体及び前記コイル配線を収容する金属管と、
を有する排気ガス浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハニカム構造体及び排気ガス浄化装置に関する。とりわけ、水分が気化する温度までの加熱に要する時間、及び、触媒を担持させたときの触媒活性化温度までの加熱に要する時間がいずれも短く、誘導加熱によるカーボン微粒子などの燃焼除去が可能なハニカム構造体及び排気ガス浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の排ガスには、通常は不完全燃焼の結果として一酸化炭素、炭化水素、窒素酸化物などの有害成分やカーボンなどの微粒子が含まれる。人体への健康被害低減の観点から、自動車排ガス中の有害ガス成分および微粒子の低減要求が高まっている。
【0003】
しかしながら、現在、これらの有害成分は、エンジン始動直後という、触媒温度が低く、触媒活性が不十分な期間に排出されている。このため、排ガス中の有害成分が、触媒活性化温度に達する前に触媒で浄化されずに排出されるおそれがある。このような要求に応えるためには、触媒活性化温度に達する前に触媒で浄化されずに排出されるエミッションを極力低減させることが必要であり、例えば、電気加熱技術を利用した対策が知られている。
【0004】
このような技術として、特許文献1には、触媒担体ハニカムとして広く使用されているコージェライトハニカムの一部のセルに、磁性体ワイヤーを挿入する技術が提案されている。当該技術によれば、ハニカム外周のコイルに電流を流し、誘導加熱によりワイヤー温度を上昇させ、その熱でハニカム温度を上昇させることができる。
【0005】
ガソリンエンジンやディーゼルエンジンの排気カーボン微粒子も人体の健康への影響があるため低減要求が高く、このような排ガス処理には、ハニカム構造体に交互に目封止部を設けたウォールフロー型のフィルタが用いられている。当該フィルタで捕集したカーボン微粒子(スス)は、排気ガスを高温化することにより燃焼除去している。しかしながら、燃焼除去にかかる時間が長いと、排気ガス温度を高温化するために必要な燃料の消費が増加してしまう問題が生じる。また、搭載スペース確保の観点からは、比較的スペースの余裕のある床下位置に搭載することが、排気システム構成上の設計自由度確保の観点から好ましい。しかしながら、車両床下に当該フィルタを配置すると、エンジンからの排気温度が低くなり、カーボン微粒子を燃焼除去できない問題が生じる。
【0006】
この対策として、特許文献2には、フィルタの隔壁表面に磁性体微粒子を分散配置して、電磁誘導加熱により加熱する技術が開示されている。また、特許文献3には、フィルタの目封止部に磁性体ワイヤーを挿入する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許出願公開第2017/0022868号明細書
【文献】国際公開第2016/021186号
【文献】米国特許出願公開第2017/0014763号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
車両の床下に配管を設置した場合、エンジン駆動で発生した凝縮水が溜まっており、排ガスフィルタにも多くの水分が含まれている。このように、多くの水分が含まれた排ガスフィルタは、触媒活性化温度まで加熱するためには水分の気化熱も必要となり、触媒活性化温度に達するまでにより時間がかかる。
【0009】
また、水分が気化する温度(約100℃)までフィルタを短時間で加熱できたとしても、当該温度を超えて、さらにカーボン微粒子などが良好に燃焼する温度までフィルタを加熱できなければ、良好な排ガス処理ができない。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑み、水分が気化する温度までの加熱に要する時間、及び、触媒を担持させたときの触媒活性化温度までの加熱に要する時間がいずれも短く、誘導加熱によるカーボン微粒子などの燃焼除去が可能なハニカム構造体及び排気ガス浄化装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは鋭意検討の結果、ハニカム構造体の流体の流路となるセル内に、最大透磁率、キュリー点及び固有抵抗値のうちの少なくとも二つが異なる二種類以上の磁性体を設ける構成とすることで、上記課題を解決できることを見出した。すなわち、本発明は以下のように特定される。
(1)外周壁と、
前記外周壁の内側に配設され、一方の端面から他方の端面まで貫通して流路を形成する複数のセルを区画形成する多孔質の隔壁と、
を有する柱状のハニカム構造体であって、
前記セル内に、最大透磁率、キュリー点及び固有抵抗値のうちの少なくとも二つが異なる二種類以上の磁性体を含むハニカム構造体。
(2)(1)のハニカム構造体と、
前記ハニカム構造体の外周を螺旋状に周回するコイル配線と、
前記ハニカム構造体及び前記コイル配線を収容する金属管と、
を有する排気ガス浄化装置。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、水分が気化する温度までの加熱に要する時間、及び、触媒を担持させたときの触媒活性化温度までの加熱に要する時間がいずれも短く、誘導加熱によるカーボン微粒子などの燃焼除去が可能なハニカム構造体及び排気ガス浄化装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態のハニカム構造体を模式的に示す斜視図である。
【
図2】(a)本発明の実施形態1に係るハニカム構造体の目封止部を有するセル及び隔壁における、セルの延伸方向に平行な断面を模式的に示す断面図である。(b)本発明の実施形態1に係るハニカム構造体の目封止部を有するセル及び隔壁における、セルの延伸方向に垂直な断面を模式的に示す断面図である。
【
図3】(a)本発明の実施形態2に係るハニカム構造体の目封止部を有するセル及び隔壁における、セルの延伸方向に平行な断面を模式的に示す断面図である。(b)本発明の実施形態2に係るハニカム構造体の一方の端面を模式的に示す平面図である。
【
図4】(a)本発明の実施形態3に係るハニカム構造体の目封止部を有するセル及び隔壁における、セルの延伸方向に平行な断面を模式的に示す断面図である。(b)本発明の実施形態3に係るハニカム構造体の一方の端面を模式的に示す平面図である。(c)本発明の実施形態3に係るハニカム構造体の一方の端面の別の一形態を模式的に示す平面図である。
【
図5】本発明の実施形態4に係るハニカム構造体の一方の端面の一部を模式的に示す平面図である。
【
図6】(a)本発明の実施形態5に係るハニカム構造体の目封止部を有するセル及び隔壁における、セルの延伸方向に平行な断面を模式的に示す断面図である。(b)本発明の実施形態5に係るハニカム構造体の目封止部を有するセル及び隔壁における、セルの延伸方向に垂直な断面を模式的に示す断面図である。
【
図7】(a)本発明の実施形態6に係るハニカム構造体の目封止部を有するセル及び隔壁における、セルの延伸方向に平行な断面を模式的に示す断面図である。(b)本発明の実施形態6に係るハニカム構造体の目封止部を有するセル及び隔壁における、セルの延伸方向に平行な断面の別の一形態を模式的に示す断面図である。
【
図8】(a)本発明の実施形態7に係るハニカム構造体の目封止部を有するセル及び隔壁における、セルの延伸方向に平行な断面を模式的に示す断面図である。(b)本発明の実施形態7に係るハニカム構造体の一方の端面を模式的に示す平面図である。(c)本発明の実施形態7に係るハニカム構造体の一方の端面の別の一形態を模式的に示す平面図である。
【
図9】(a)本発明の実施形態8に係るハニカム構造体のセル内に設けられる二種類の異なる磁性体の外観模式図である。(b)本発明の実施形態8に係るハニカム構造体のセル内に設けられる二種類の異なる磁性体の別の一形態に係る外観模式図である。
【
図10】ハニカム構造体が組み込まれた排気ガス浄化装置の排気ガス流路の概略図である。
【
図11】実施例1、参考例1及び2の500kHzの誘導加熱試験におけるハニカム構造体の端面温度を示すグラフである。
【
図12】実施例2、参考例3及び4の30kHzの誘導加熱試験におけるハニカム構造体の端面温度を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明のハニカム構造体の実施形態について説明するが、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
【0015】
<1.ハニカム構造体>
図1には、本発明の一実施形態のハニカム構造体1を模式的に示す斜視図が記載されている。ハニカム構造体1は、柱状に形成されており、外周壁11と、外周壁11の内側に配設され、一方の端面13から他方の端面14まで貫通して流路を形成する複数のセル15を区画形成する多孔質の隔壁12とを備える。図示のハニカム構造体1において、セル15は、一方の端面13側が開口して他方の端面14に目封止部19を有する複数のセルAと、セルAとそれぞれ交互に配置され、他方の端面14側が開口して一方の端面13に目封止部19を有する複数のセルBとを備える。セルA及びセルBは隔壁12を挟んで交互に隣接配置されており、両端面は市松模様を形成する。セルA及びセルBの数、配置、形状等及び隔壁12の厚み等は制限されず、必要に応じて適宜設計することができる。このようなハニカム構造体1は、排ガスを浄化するフィルタ(ハニカムフィルタ)として用いることができる。なお、上述のハニカム構造体1は、セル15内に目封止部19を設けた構成としているが、これに限られない。すなわち、本発明に係るハニカム構造体は、ハニカムフィルタとして用いない場合は、目封止部19を設けなくてもよい。
【0016】
ハニカム構造体1は、セル15内に、二種類以上の磁性体を含んでいる。ハニカム構造体1は、後述のように、当該二種類以上の磁性体のセル15内における配置や形状等によって、様々な実施形態を取り得る。以下、各実施形態について詳述する。
【0017】
(実施形態1)
図2(a)は、本発明の実施形態1に係るハニカム構造体10の目封止部19を有するセル15及び隔壁12における、セル15の延伸方向に平行な断面を模式的に示す断面図である。
図2(b)は、本発明の実施形態1に係るハニカム構造体10の目封止部19を有するセル15及び隔壁12における、セル15の延伸方向に垂直な断面を模式的に示す断面図である。
【0018】
ハニカム構造体10には、二種類の磁性体16、17が、それぞれ異なるセル15内に含まれている。ハニカム構造体10の磁性体16、17は、二種類以上であれば特に限定されず、三種類、四種類または五種類以上が、それぞれ異なるセル15内に含まれていてもよい。
【0019】
図2において、磁性体16、17は、それぞれセル15内の隔壁12の表面をコートするように設けられている。磁性体16、17は、それぞれセル15内の空間を全て埋めるように充填されていてもよい。磁性体16、17が設けられたセル15は、ハニカム構造体10の一方の端面13及び他方の端面14の両方において、目封止部19が設けられている。ハニカム構造体10の目封止部19は、従来公知のハニカム構造体の目封止部として用いられるものと同様に構成されたものを用いることができる。なお、磁性体16、17が、それぞれセル15内に充填されている場合は、目封止部19はなくてもよい。
【0020】
磁性体16、17が設けられたセル15の位置は特に限定されないが、磁性体16と磁性体17とは、後述のように機能が異なるため、それぞれが設けられたセル15を順に設けることが好ましい。例えば、セル15の延伸方向に垂直な断面において、縦方向及び横方向に、それぞれ、磁性体16が設けられたセル15と磁性体17が設けられたセル15とを交互に設けることが好ましい。また、磁性体16が設けられたセル15と磁性体17が設けられたセル15とは、隣接して設けてもよく、離間して設けてもよい。磁性体16が設けられたセル15と磁性体17が設けられたセル15との設置位置または設置数は、ハニカム構造体10の加熱効率及び圧力損失を考慮して、適宜設計することができる。
【0021】
二種類の磁性体16、17は、それぞれ異なるセル15内に設けられ、互いに、最大透磁率、キュリー点及び固有抵抗値のうちの少なくとも二つが異なる。磁性体16、17の最大透磁率、キュリー点及び固有抵抗値の違いは、後述のように、ハニカム構造体10の加熱時の温度上昇等にそれぞれ異なる影響を与える。例えば、磁性体16、17の最大透磁率を調整することで、エンジン始動時のハニカム構造体10の温度の立ち上がり速度、特に水分が気化する温度(約100℃)、さらにそれを超えて触媒が活性化する温度(約300℃)まで到達する時間を早めることができる。また、磁性体16、17のキュリー点を調整することで、ハニカム構造体10を、カーボン微粒子などが良好に燃焼するような高温にすることができる。また、磁性体16、17の固有抵抗値を調整することで、発熱量を制御することができる。すなわち、二種類の磁性体16、17を、それぞれ異なるセル15内に設け、互いに、最大透磁率、キュリー点及び固有抵抗値のうちの少なくとも二つが異なる構成とすることで、一つのハニカム構造体10において、ある部分では水分が気化する温度(約100℃)まで早期に温度上昇させ、ある部分ではカーボン微粒子などが良好に燃焼するような高温まで温度上昇させ、ある部分では早期に触媒活性化温度域に上げることができる。このため、ハニカム構造体10全体として、水分が気化する温度までの加熱に要する時間が短く、誘導加熱によるカーボン微粒子などの燃焼除去が可能となる。また、触媒が担持されたフィルタの場合、触媒活性の時間を短くすることができ、かつ触媒反応熱でPM酸化温度までの昇温のためのエネルギーも低減できる。
【0022】
磁性体16、17は、上述のように、三種類、四種類または五種類以上であっても、互いに、最大透磁率、キュリー点及び固有抵抗値のうちの少なくとも二つが異なる。具体的に、三種類の磁性体a、b、cが設けられている場合を例に挙げると、磁性体aと磁性体bとは、互いに、最大透磁率、キュリー点及び固有抵抗値のうちの少なくとも二つが異なる。また、磁性体bと磁性体cとは、互いに、最大透磁率、キュリー点及び固有抵抗値のうちの少なくとも二つが異なる。さらに、磁性体cと磁性体aとは、互いに、最大透磁率、キュリー点及び固有抵抗値のうちの少なくとも二つが異なる。
【0023】
磁性体16、17は、磁性材料であり、磁場により磁化され、磁場の強さにより磁化の状態も変わる。これを表したものが「磁化曲線」である。磁化曲線は、横軸には磁場Hを目盛り、縦軸には、磁束密度Bを目盛る場合(B-H曲線)がある。磁性材料に全く磁場が加えられていない状態を消磁状態といい原点Oで表す。磁場を加えていくと、原点Oから、磁束密度が増加していき飽和する曲線を描く。この曲線が「初磁化曲線」である。初磁化曲線上の点と原点を結ぶ直線の傾きが「透磁率」である。透磁率は、磁場が浸透するといったような意味合いで、磁性材料の磁化のしやすさの目安となる。原点付近の磁場が小さい所での透磁率が「初透磁率」であり、初磁化曲線上で最大となる透磁率が「最大透磁率」である。
【0024】
磁性体16、17の少なくとも一種は、10000以上の最大透磁率を有するのが好ましい。このような構成によれば、当該磁性体16、17を有するハニカム構造体10を誘電加熱した際、水分が気化する温度(約100℃)まで、さらには触媒が活性化する温度(約300℃)まで、短時間に温度を上昇させることができる。磁性体16、17の少なくとも一種は、25000以上の最大透磁率を有するのがより好ましく、50000以上の最大透磁率を有するのが更により好ましい。10000以上の最大透磁率を有する磁性体としては、例えば、残部Fe-10質量%Si-5質量%Al、49質量%Co-49質量%Fe-2質量%V、残部Fe-36質量%Ni、残部Fe-45質量%Ni等がある。
【0025】
磁性体16、17の少なくとも一種は、700℃以上のキュリー点を有するのが好ましい。磁性体16、17のキュリー点が700℃以上であると、触媒活性化温度以上に触媒温度を上昇させるのに十分なハニカム温度に達することが可能になるのはもちろん、セル15内に捕集されたPM(粒子状物質)を燃焼除去してハニカム構造フィルタを再生させることが容易となる。700℃以上のキュリー点を有する磁性体としては、例えば、残部Co-20質量%Fe、残部Co-25質量%Ni-4質量%Fe、残部Fe-15~35質量%Co、残部Fe-17質量%Co-2質量%Cr-1質量%Mo、残部Fe-49質量%Co-2質量%V、残部Fe-18質量%Co-10質量%Cr-2質量%Mo-1質量%Al、残部Fe-27質量%Co-1質量%Nb、残部Fe-20質量%Co-1質量%Cr-2質量%V、残部Fe-35質量%Co-1質量%Cr、純コバルト、純鉄、電磁軟鉄、残部Fe-0.1~0.5質量%Mn、残部Fe-3質量%Si等がある。ここで、磁性体のキュリー点は、強磁性の特性を失う温度をさす。
【0026】
磁性体16、17の少なくとも一種は、25℃で50μΩcm以上の固有抵抗値を有するのが好ましい。このような構成によれば、誘導加熱による発熱量をより高くすることができる。25℃で50μΩcm以上の固有抵抗値を有する磁性体としては、例えば、残部Fe-18質量%Cr、残部Fe-13質量%Cr-2質量%Si、残部Fe-20質量%Cr-2質量%Si-2質量%Mo、残部Fe-10質量%Si-5質量%Al、残部Fe-18質量%Co-10質量%Cr-2質量%Mo-1質量%Al、残部Fe-36質量%Ni、残部Fe-45質量%Ni等がある。
【0027】
磁性体16、17の少なくとも一種は、100A/m以上の保磁力を有するのが好ましい。このような構成によれば、当該磁性体16、17を有するハニカム構造体10を誘電加熱した際、水分が気化する温度(約100℃)まで、さらには触媒が活性化する温度(約300℃)まで、短時間に温度を上昇させることができる。100A/m以上の保磁力を有する磁性体としては、残部Fe-35質量%Co、残部Fe-20質量%Co-1質量%V、残部Fe-13質量%Cr-2質量%Si、残部Fe-18質量%Cr等がある。50μΩcm以上の固有抵抗値を有する磁性体とキュリー点の高い磁性体とを組み合わせることにより、初期昇温を早く、かつ最高到達温度も高くすることができるので、より好ましい。
【0028】
ハニカム構造体10の隔壁12及び外周壁11の材質については特に制限はないが、多数の細孔を有する多孔質体であることが必要であるため、通常は、セラミックス材料で形成される。例えば、コージェライト、炭化珪素、チタン酸アルミニウム、窒化珪素、ムライト、アルミナ、珪素-炭化珪素系複合材料、炭化珪素-コージェライト系複合材料の、特に珪素-炭化珪素複合材又は炭化珪素を主成分とする焼結体が挙げられる。本明細書において「炭化珪素系」とは、ハニカム構造体10が炭化珪素を、ハニカム構造体10全体の50質量%以上含有していることを意味する。ハニカム構造体10が珪素-炭化珪素複合材を主成分とするというのは、ハニカム構造体10が珪素-炭化珪素複合材(合計質量)を、ハニカム構造体10全体の90質量%以上含有していることを意味する。ここで、珪素-炭化珪素複合材は、骨材としての炭化珪素粒子、及び炭化珪素粒子を結合させる結合材としての珪素を含有するものであり、複数の炭化珪素粒子が、炭化珪素粒子間に細孔を形成するようにして、珪素によって結合されていることが好ましい。また、ハニカム構造体10が炭化珪素を主成分とするというのは、ハニカム構造体10が炭化珪素(合計質量)を、ハニカム構造体10全体の90質量%以上含有していることを意味する。
【0029】
好ましくは、ハニカム構造体10は、コージェライト、炭化珪素、チタン酸アルミニウム、窒化珪素、ムライト、アルミナからなる群から選択される少なくとも1つのセラミックス材料で形成される。
【0030】
ハニカム構造体10のセル形状は特に限定されないが、ハニカム構造体10の中心軸に直交する断面において、三角形、四角形、五角形、六角形、八角形等の多角形、円形、又は楕円形であることが好ましく、その他不定形であってもよい。
【0031】
また、ハニカム構造体10の外形としては、特に限定されないが、端面が円形の柱状(円柱形状)、端面がオーバル形状の柱状、端面が多角形(四角形、五角形、六角形、七角形、八角形等)の柱状等の形状とすることができる。また、ハニカム構造体10の大きさは、特に限定されないが、中心軸方向長さが40~500mmが好ましい。また、例えば、ハニカム構造体10の外形が円筒状の場合、その端面の半径が50~500mmであることが好ましい。
【0032】
ハニカム構造体10の隔壁12の厚さは、0.10~0.50mmであることが好ましく、製造の容易さの点で、0.25~0.45mmであることが更に好ましい。例えば、0.20mm以上であると、ハニカム構造体10の強度がより向上し、0.50mm以下であると、ハニカム構造体10をフィルタとして用いた場合に、圧力損失をより小さくすることができる。なお、この隔壁12の厚さは、中心軸方向断面を顕微鏡観察する方法で測定した平均値である。
【0033】
また、ハニカム構造体10を構成する隔壁12の気孔率は、30~70%であることが好ましく、製造の容易さの点で40~65%であることが更に好ましい。30%以上であると、圧力損失が減少しやすく、70%以下であると、ハニカム構造体10の強度を維持できる。
【0034】
また、多孔質の隔壁12の平均細孔径は、5~30μmであることが好ましく、10~25μmであることが更に好ましい。5μm以上であると、フィルタとして用いた場合に、圧力損失を小さくすることができ、30μm以下であると、ハニカム構造体10の強度を維持できる。なお、本明細書において、「平均細孔径」、「気孔率」というときには、水銀圧入法により測定した平均細孔径、気孔率を意味するものとする。
【0035】
ハニカム構造体10のセル密度も特に制限はないが、5~93セル/cm2の範囲であることが好ましく、5~63セル/cm2の範囲であることがより好ましく、31~54セル/cm2の範囲であることが更に好ましい。
【0036】
このようなハニカム構造体10は、セラミックス原料を含有する坏土を、一方の端面から他方の端面まで貫通し流体の流路となる複数のセル15を区画形成する隔壁12を有するハニカム状に成形して、ハニカム成形体を形成し、このハニカム成形体を、乾燥した後に焼成することによって作製される。そして、このようなハニカム構造体を、本実施形態のハニカム構造体10として用いる場合には、外周壁をハニカム構造部と一体的に押し出してそのまま外周壁として使用してもよいし、成形又は焼成後に、ハニカム成形体(ハニカム構造体)の外周を研削して所定形状とし、この外周を研削したハニカム構造体に、コーティング材を塗布して外周コーティングを形成してもよい。なお、本実施形態のハニカム構造体1においては、例えば、ハニカム構造体の最外周を研削せずに、外周を有したハニカム構造体を用い、この外周を有するハニカム構造体の外周面(即ち、ハニカム構造体の外周の更に外側)に、更に、上記コーティング材を塗布して、外周コーティングを形成してもよい。即ち、前者の場合には、ハニカム構造体の外周面には、コーティング材からなる外周コーティングのみが最外周に位置する外周壁となる。一方、後者の場合には、ハニカム構造体の外周面に、更にコーティング材からなる外周コーティングが積層された、最外周に位置する、二層構造の外周壁が形成される。外周壁をハニカム構造部と一体的に押し出してそのまま焼成し、外周の加工無しに、外周壁として使用してもよい。
【0037】
コーティング材の組成は特に限定されるものではなく、種々の公知のコーティング材を適宜使用することができる。コーティング材は、コロイダルシリカ、有機バインダ、粘土等を更に含有させてもよい。なお、有機バインダは、0.05~0.5質量%用いることが好ましく、0.1~0.2質量%用いることが更に好ましい。また、粘土は、0.2~2.0質量%用いることが好ましく、0.4~0.8質量%用いることが更に好ましい。
【0038】
なお、ハニカム構造体10は、隔壁12が一体的に形成された一体型のハニカム構造体10に限定されることはなく、例えば、多孔質の隔壁12を有し、隔壁12によって流体の流路となる複数のセル15が区画形成された柱状のハニカムセグメントが、接合材層を介して複数個組み合わされた構造を有するハニカム構造体10(以下、「接合型ハニカム構造体」ということがある)であってもよい。
【0039】
また、本実施形態のハニカム構造体10は、複数のセル15の内壁を形成する多孔質の隔壁12の表面及び/又は隔壁12の細孔内に触媒が担持されたものであってもよい。このように、本実施形態のハニカム構造体10は、触媒を担持した触媒担体や、排ガス中の粒状物質(カーボン微粒子)を浄化するために目封止部19を設けたフィルタ(例えば、ディーゼルパティキュレートフィルタ(以下、「DPF」ともいう))として構成されたものであってもよい。
【0040】
触媒の種類については特に制限なく、ハニカム構造体10の使用目的や用途に応じて適宜選択することができる。例えば、貴金属系触媒又はこれら以外の触媒が挙げられる。貴金属系触媒としては、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)といった貴金属をアルミナ細孔表面に担持し、セリア、ジルコニア等の助触媒を含む三元触媒や酸化触媒、又は、アルカリ土類金属と白金を窒素酸化物(NOx)の吸蔵成分として含むNOx吸蔵還元触媒(LNT触媒)が例示される。貴金属を用いない触媒として、銅置換又は鉄置換ゼオライトを含むNOx選択還元触媒(SCR触媒)等が例示される。また、これらの触媒からなる群から選択される2種以上の触媒を用いてもよい。なお、触媒の担持方法についても特に制限はなく、従来、ハニカム構造体に触媒を担持する担持方法に準じて行うことができる。
【0041】
焼成ハニカム構造体のそれぞれをハニカムセグメントとして利用し、複数のハニカムセグメントの側面同士を接合材で接合して一体化し、ハニカムセグメントが接合された状態のハニカム構造体とすることができる。ハニカムセグメントが接合された状態のハニカム構造体は例えば以下のように製造することができる。各ハニカムセグメントの両底面に接合材付着防止用マスクを貼り付けた状態で、接合面(側面)に接合材を塗工する。
【0042】
次に、これらのハニカムセグメントを、ハニカムセグメントの互いの側面同士が対向するように隣接して配置し、隣接するハニカムセグメント同士を圧着した後、加熱乾燥する。このようにして、隣接するハニカムセグメントの側面同士が接合材によって接合されたハニカム構造体を作製する。ハニカム構造体に対しては、外周部を研削加工して所望の形状(例えば円柱状)とし、外周面にコーティング材を塗工した後、加熱乾燥させて外周壁11を形成してもよい。
【0043】
接合材付着防止用マスクの材料は、特に制限はないが、例えばポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド、又はテフロン(登録商標)等の合成樹脂を好適に使用可能である。また、マスクは粘着層を備えていることが好ましく、粘着層の材料は、アクリル系樹脂、ゴム系(例えば、天然ゴム又は合成ゴムを主成分とするゴム)、又はシリコン系樹脂であることが好ましい。
【0044】
接合材付着防止用マスクとしては、例えば厚みが20~50μmの粘着フィルムを好適に使用することができる。
【0045】
接合材としては、例えば、セラミックス粉末、分散媒(例えば、水等)、及び必要に応じて、バインダ、解膠剤、発泡樹脂等の添加剤を混合することによって調製したものを用いることができる。セラミックスとしては、コージェライト、ムライト、ジルコン、チタン酸アルミニウム、炭化珪素、窒化珪素、ジルコニア、スピネル、インディアライト、サフィリン、コランダム、及びチタニアからなる群から選ばれる少なくとも一種を含有するセラミックスであることが好ましく、ハニカム構造体と同材質であることがより好ましい。バインダとしては、ポリビニルアルコールやメチルセルロース、CMC(カルボキシメチルセルロース)などを挙げることができる。
【0046】
ハニカム構造体10は、隔壁12の表面の少なくとも一部において、通気性を有する表面層を有してもよい。ここで、通気性を有するとは、表面層のパーミアビリティーが、1.0×10-13m2以上であることをいう。圧力損失をさらに低減する観点から、パーミアビリティーが、1.0×10-12m2以上であることが好ましい。表面層が通気性を有することで、表面層に起因するハニカム構造体10の圧力損失を抑制することができる。
【0047】
また、本明細書において「パーミアビリティー」は、下記式(1)により算出される物性値をいい、所定のガスがその物(隔壁12)を通過する際の通過抵抗を表す指標となる値である。ここで、下記式(1)中、Cはパーミアビリティー(m2)、Fはガス流量(cm3/s)、Tは試料厚み(cm)、Vはガス粘性(dynes・sec/cm2)、Dは試料直径(cm)、Pはガス圧力(PSI)を示す。なお、下記式(1)中の数値は、13.839(PSI)=1(atm)であり、68947.6(dynes・sec/cm2)=1(PSI)である。
【0048】
【数1】
パーミアビリティーを測定する際には、表面層つきの隔壁12を切り出し、この表面層つきの状態で、パーミアビリティーを測定した後、表面層を削りとった状態でのパーミアビリティー測定を行い、表面層と隔壁基材の厚さの比率と、これらのパーミアビリティー測定結果から、表面層のパーミアビリティーを算出する。
【0049】
表面層の気孔率は、50%以上であることが好ましく、60%以上がより好ましく、70%以上がさらに好ましい。50%以上の気孔率を有することで、圧力損失を抑えることができる。ただし、気孔率が高すぎると表面層が脆くなり、はがれやすくなるので、90%以下とすることが好ましい。
【0050】
水銀圧入法により表面層の気孔率を測定する方法として、表面層と基材とを有するサンプルでの水銀ポロシカーブと、表面層のみを削って取り除いた基材のみの水銀ポロシカーブの差を表面層の水銀ポロシカーブとみなし、削りとった質量と水銀ポロシカーブとから表面層の気孔率が算出される。SEM画像撮影を行い、表面層部分の画像解析により、空隙部と個体部の面積比率から表面層の気孔率を算出しても良い。
【0051】
また、表面層の平均細孔直径は、10μm以下であることが好ましく、5μm以下であることがより好ましく、4μm以下であることがさらに好ましく、3μm以下であることが特に好ましい。平均細孔直径を10μm以下とすることで、高い粒子捕集効率を達成することができる。ただし、表面層の平均細孔直径が小さすぎると圧力損失が増加してしまうので、0.5μm以上とすることが好ましい。
【0052】
水銀圧入法により表面層の平均細孔直径を測定する方法として、水銀ポロシメータでのピーク値という形にして、表面層つきでの水銀ポロシカーブ(細孔容積頻度)と表面層のみを削って取り除いた基材のみの水銀ポロシカーブの差を表面層の水銀ポロシカーブとし、そのピークを平均細孔直径とする。また、ハニカム構造体10の断面のSEM画像を撮影し表面層部分の画像解析により、空隙部と個体部の2値化を行い、ランダムに20以上の空隙を選択してその内接円の平均を平均細孔直径としても良い。
【0053】
また、表面層の厚みは特に限定されない。ただし、表面層の効果をより顕著に得るためには、表面層の厚みが10μm以上であることが好ましい。一方、圧力損失の増加を回避する観点から、表面層の厚みが80μm以下であることが好ましい。表面層の厚みはより好ましくは50μm以下である。表面層の厚みの測定方法として、例えば表面層が形成されたハニカム構造体10を、セル15が伸びる方向に垂直な方向に切断して、その断面から表面層の厚みを測定し、任意の5点の厚みの測定値の平均を取ることができる。
【0054】
次に、ハニカム構造体10の製造方法を説明する。まず、多孔質の隔壁を有し、隔壁によって複数のセルが区画形成されたハニカム構造体を作製する。例えば、コージェライトからなるハニカム構造体を作製する場合には、まず、坏土用材料としてコージェライト化原料を用意する。コージェライト化原料は、コージェライト結晶の理論組成となるように各成分を配合するため、シリカ源成分、マグネシア源成分、及びアルミナ源成分等を配合する。このうちシリカ源成分としては、石英、溶融シリカを用いることが好ましく、更に、このシリカ源成分の粒径を100~150μmとすることが好ましい。
【0055】
マグネシア源成分としては、例えば、タルク、マグネサイト等を挙げることができる。これらの中でも、タルクが好ましい。タルクは、コージェライト化原料中37~43質量%含有させることが好ましい。タルクの粒径(平均粒子径)は、5~50μmであることが好ましく、10~40μmであることが更に好ましい。また、マグネシア(MgO)源成分は、不純物としてFe2O3、CaO、Na2O、K2O等を含有していてもよい。
【0056】
アルミナ源成分としては、不純物が少ないという点で、酸化アルミニウム及び水酸化アルミニウムの少なくとも一種を含有するものが好ましい。また、コージェライト化原料中、水酸化アルミニウムは10~30質量%含有させることが好ましく、酸化アルミニウムは0~20質量%含有させることが好ましい。
【0057】
次に、コージェライト化原料に添加する坏土用材料(添加剤)を用意する。添加剤として、少なくともバインダと造孔剤を用いる。そして、バインダと造孔剤以外には、分散剤や界面活性剤を使用することができる。
【0058】
造孔剤としては、コージェライトの焼成温度以下において酸素と反応して酸化除去可能な物質、又は、コージェライトの焼成温度以下の温度に融点を有する低融点反応物質等を用いることができる。酸化除去可能な物質としては、例えば、樹脂(特に、粒子状の樹脂)、黒鉛(特に、粒子状の黒鉛)等を挙げることができる。低融点反応物質としては、鉄、銅、亜鉛、鉛、アルミニウム、及びニッケルからなる群より選択される少なくとも一種の金属、これらの金属を主成分とする合金(例えば、鉄の場合には炭素鋼や鋳鉄、ステンレス鋼)、又は、二種以上を主成分とする合金を用いることができる。これらの中でも、低融点反応物質は、粉粒状又は繊維状の鉄合金であることが好ましい。更に、その粒径又は繊維径(平均径)は10~200μmであることが好ましい。低融点反応物質の形状は、球状、巻菱形状、金平糖状等が挙げられ、これらの形状であると、細孔の形状をコントロールすることが容易となるため好ましい。
【0059】
バインダとしては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等を挙げることができる。また、分散剤としては、例えば、デキストリン、ポリアルコール等を挙げることができる。また、界面活性剤としては、例えば、脂肪酸石鹸を挙げることができる。なお、添加剤は、一種単独又は二種以上用いることができる。
【0060】
次に、コージェライト化原料100質量部に対して、バインダを3~8質量部、造孔剤を3~40質量部、分散剤を0.1~2質量部、水を10~40質量部の割合で混合し、これら坏土用材料を混練し、坏土を調製する。
【0061】
次に、調製した坏土を、押出成形法、射出成形法、プレス成形法等でハニカム形状に成形し、生のハニカム成形体を得る。連続成形が容易であり、例えばコージェライト結晶を配向させることができることから、押出成形法を採用することが好ましい。押出成形法は、真空土練機、ラム式押出成形機、2軸スクリュー式連続押出成形機等の装置を用いて行うことができる。
【0062】
次に、ハニカム成形体を乾燥させて所定の寸法に調整してハニカム乾燥体を得る。ハニカム成形体の乾燥は、熱風乾燥、マイクロ波乾燥、誘電乾燥、減圧乾燥、真空乾燥、凍結乾燥等で行うことができる。なお、全体を迅速且つ均一に乾燥することができることから、熱風乾燥と、マイクロ波乾燥又は誘電乾燥と、を組み合わせて乾燥を行うことが好ましい。
【0063】
次に、最大透磁率、キュリー点及び固有抵抗値のうちの少なくとも二つが異なる、二種類の磁性体を構成する材料を、ハニカム乾燥体のそれぞれ異なるセル内の隔壁の表面をコートするように設ける。具体的には、まず、磁性体粉末とガラス粉末を9:1の体積比で配合し、これにバインダ、分散材、水を配合し、ペーストを作製し、これを隔壁セル内に注入する。次に、乾燥、脱脂後、真空雰囲気化でセル壁に焼付する。バインダには、カルボキシメチルセルロース等が使える。
【0064】
次に、目封止部の原料を用意する。目封止部の材料(目封止用スラリー)は、隔壁(ハニカム乾燥体)と同じ坏土用材料を用いてもよいし、異なる材料を用いてもよい。具体的には、セラミック原料、界面活性剤、及び水を混合し、必要に応じて焼結助剤、造孔剤等を添加してスラリー状にし、ミキサー等を使用して混練することにより得ることができる。
【0065】
次に、ハニカム乾燥体の一方の端面のセル開口部の一部にマスクを施し、その端面を、目封止用スラリーが貯留された貯留容器中に浸漬して、マスクをしていないセルに目封止用スラリーを充填する。同様にして、ハニカム乾燥体の他方の端面のセル開口部の一部にマスクを施し、その端面を、目封止用スラリーが貯留された貯留容器中に浸漬して、マスクをしていないセルに目封止用スラリーを充填する。このとき、上記二種類の磁性体がコートされたセルについては、両端を目封止する。その後、乾燥させ、焼成することによって、目封止部を有するハニカム構造体を得る。上記乾燥の条件は、ハニカム成形体を乾燥させる条件と同様の条件を採用することができる。また、上記焼成の条件は、コージェライト化原料を用いた場合には、通常、大気雰囲気下、1410~1440℃の温度で3~15時間とすることができる。
【0066】
目封止の方法としては、ペースト状の材料を、スキージのようなへらで押し込むのが簡単な方法である。スキージの押し込み回数で深さを制御するのが簡単である。深く磁性体を入れたいセルの部分は、押し込み回数を多くし、周辺の浅い箇所は押し込み回数を少なくする。
【0067】
また、得られたハニカム構造体は、その外周面に外周壁が形成された状態で作製される場合には、その外周面を研削し、外周壁を取り除いた状態としてもよい。このようにして外周壁を取り除いたハニカム構造体の外周に、後の工程にて、コーティング材を塗布して外周コーティングを形成する。また、外周面を研削する場合には、外周壁の一部を研削して取り除き、その部分に、コーティング材によって外周コーティングを形成してもよい。
【0068】
コーティング材を調製する場合には、例えば、2軸回転式の縦型ミキサーを用いて調製することができる。
【0069】
また、コーティング材には、コロイダルシリカ、有機バインダ、粘土等を更に含有させてもよい。なお、有機バインダは、0.05~0.5質量%用いることが好ましく、0.1~0.2質量%用いることが更に好ましい。また、粘土は、0.2~2.0質量%用いることが好ましく、0.4~0.8質量%用いることが更に好ましい。
【0070】
先に作製したハニカム構造体の外周面に、コーティング材を塗布し、塗布したコーティング材を乾燥させて、外周コーティングを形成する。このように構成することによって、乾燥・熱処理時の外周コーティングのクラックの発生を効果的に抑制することができる。
【0071】
コーティング材の塗工方法としては、例えば、ハニカム構造体を回転台の上に載せて回転させ、コーティング材をブレード状の塗布ノズルから吐出させながらハニカム構造体の外周部に沿うように塗布ノズルを押し付けて塗布する方法を挙げることができる。このように構成することによって、コーティング材を均一な厚さで塗布することができる。また、形成した外周コーティングの表面粗さが小さくなり、外観に優れ、且つ熱衝撃によって破損し難い外周コーティングを形成することができる。
【0072】
なお、ハニカム構造体の外周面が研削されて、外周壁が取り除かれたものの場合には、ハニカム構造体の外周面全体にコーティング材を塗布して外周コーティングを形成する。一方、ハニカム構造体の外周面に外周壁が存在する、或いは、一部の外周壁が取り除かれている場合には、部分的にコーティング材を塗布して外周コーティングを形成してもよいし、勿論、ハニカム構造体の外周面全域にコーティング材を塗布して外周コーティングを形成してもよい。
【0073】
塗布したコーティング材(即ち、未乾燥の外周コーティング)を乾燥する方法については特に制限はないが、例えば、乾燥クラック防止の観点から、室温にて24時間以上保持することでコーティング材中の水分の25%以上を乾燥させた後、電気炉にて600℃で1時間以上保持することで水分及び有機物を除去する方法を好適に用いることができる。
【0074】
また、ハニカム構造体のセルの開口部が予め封止されていない場合には、外周コーティングを形成した後に、セルの開口部に目封止を行ってもよい。
【0075】
また、得られたハニカム構造体は、その外周面にレーザーを照射することによって、コーティング材に含まれる炭化珪素粉末が発色するため、得られたハニカム構造体の外周コーティングに、レーザー光を照射して、製品情報等を印字(マーキング)してもよい。
【0076】
レーザーによるマーキングの際に使用するレーザー光としては、例えば、炭酸ガス(CO2)レーザー、YAGレーザー、YVO4レーザーを好適例として挙げることができる。レーザー光を照射するレーザーの条件については、使用するレーザーの種類に応じて適宜選択することができるが、例えば、CO2レーザーを用いた場合には、出力15~25W、スキャンスピード400~600mm/sでマーキングすることが好ましい。このようにマーキングすることによって、照射部分が、黒色から緑色のような暗色を呈するように発色し、非照射部分との発色によるコントラストが極めて良好なものとなる。
【0077】
ハニカム構造体に触媒を担持する場合には、上記レーザーによる印字を行った後でも、印字部分が劣化することがなく、触媒の担持後でも、上記印字を良好に判読することができる。なお、触媒の担持方法については特に制限はなく、従来のハニカム構造体の製造方法にて行われている触媒担持の方法に準じて行うことができる。
【0078】
(実施形態2)
図3(a)は、本発明の実施形態2に係るハニカム構造体20の目封止部19を有するセル15及び隔壁12における、セル15の延伸方向に平行な断面を模式的に示す断面図である。
図3(b)は、本発明の実施形態2に係るハニカム構造体20の一方の端面13を模式的に示す平面図である。
図3(b)に示すように、本発明の実施形態2に係るハニカム構造体20は、セル15を構成するセルA及びセルBがそれぞれ縦横に交互に並んだ千鳥配置となっている。
【0079】
ハニカム構造体20のセル15は、少なくとも一部のセルA及びセルBの隔壁12の表面に透過膜26、27が設けられている。透過膜26、27は、互いに異なるセル15内に設けられている。透過膜26、27は、互いに異なる磁性体を含んでいる。透過膜26に含まれる磁性体と、透過膜27に含まれる磁性体とは、最大透磁率、キュリー点及び固有抵抗値のうちの少なくとも二つが異なる。透過膜26、27にそれぞれ含まれる磁性体は、実施形態1で示した磁性体16、17を用いることができる。このような構成により、ハニカム構造体20は、セル15内に、最大透磁率、キュリー点及び固有抵抗値のうちの少なくとも二つが異なる二種類以上の磁性体を含むため、実施形態1と同様に、水分が気化する温度までの加熱に要する時間、及び、触媒が担持されたフィルタの場合の触媒活性の時間がいずれも短く、誘導加熱によるカーボン微粒子などの燃焼除去が可能となる。
【0080】
ハニカム構造体20の透過膜26、27は、二種類以上であれば特に限定されず、三種類、四種類または五種類以上が、それぞれ異なるセル15内に含まれていてもよい。例えば、互いに最大透磁率、キュリー点及び固有抵抗値のうちの少なくとも二つが異なる三種類の磁性体を、それぞれ一種類だけ含む合計三種類の透過膜を、異なるセル15内に設けてもよい。
【0081】
透過膜26、27は、実施形態1で示した表面層と同様の通気性を有する。また、透過膜26、27は、実施形態1で示した表面層を構成する材料に、磁性体16、17を含有させて構成することができる。透過膜26、27に含める磁性体16、17の割合は、特に限定されないが、透過膜26、27に対して磁性体16、17を50~90体積%含めることができる。
【0082】
透過膜26、27に含める磁性体として磁性体粒子を用いる場合、その重量平均粒子径は20μm以下であることが好ましい。重量平均粒子径を20μm以下とすることで、目標とする透過膜26、27の平均細孔直径、厚さ、気孔率を全て満足する範囲におさめることが、他のコントロール可能な設計因子との組み合わせで可能となる。なお、磁性体粒子の重量平均粒子径の下限は特に設けないが、例えば0.5μm以上とすることができる。重量平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置で測定するものとする。
【0083】
また、磁性体粒子の最短径dが0.1~5μmであり、磁性体の最長径をLμmとしたとき、L/d≧3であることが好ましい。これにより、電気伝導性を保ちつつ通気性を十分に確保する透過膜26、27の微構造が確保できる。最短径dとは、SEM画像からの画像解析により50粒子について粒子の最長径に直交する線分のうち最大となる線分をその粒子における最短径とし、これを粒子の数で平均することで、最短径dを求められるものである。長さとは、SEM画像において50以上の粒子の最長径を粒子の数で平均することで、最長径Lを求められる。好ましくは、磁性体が針状である。針状とは、L/d≧5をいう。
【0084】
ハニカム構造体20の製造方法としては、実施形態1に示すハニカム構造体10の製造方法に対し、磁性体16、17を設ける代わりに、磁性体を含む透過膜26、27を設けること以外は、同様にして実施することができる。ハニカム構造体20の透過膜26、27の形成は、例えば、まず、母材に磁性体16を混合して透過膜26の材料とし、母材に磁性体17を混合して透過膜27の材料とする。母材としては特に限定されないが、例えば金属又はガラスを主成分とする材料であってもよく、シリカ又はアルミナを主成分とする材料であってもよく、これらに有機物又は無機物が更に含まれた材料であってもよい。次に、透過膜26、27の材料を、ハニカム乾燥体のそれぞれ異なるセル内の隔壁の表面をコートするように設ける。透過膜は、混合した粉末を乾式で片側から吸引して塗布することができる。または混合粉をスラリー化またはペースト化して湿式で塗布することができる。次に、目封止部を設ける以降は、実施形態1と同様の方法によって製造することができる。
【0085】
(実施形態3)
図4(a)は、本発明の実施形態3に係るハニカム構造体30の目封止部19を有するセル15及び隔壁12における、セル15の延伸方向に平行な断面を模式的に示す断面図である。
図4(b)は、本発明の実施形態3に係るハニカム構造体30の一方の端面13を模式的に示す平面図である。また、
図4(c)は、本発明の実施形態3に係るハニカム構造体30の一方の端面13の別の一形態を模式的に示す平面図である。
図4(b)及び(c)に示すように、本発明の実施形態3に係るハニカム構造体30は、セル15を構成するセルA及びセルBがそれぞれ縦横に交互に並んだ千鳥配置となっている。
【0086】
ハニカム構造体30は、一方の端面13が流体の流入側の端面となり、他方の端面14が流体の流出側の端面となる。流体の流入側の端面13は、異なるセルBに目封止部36、37がそれぞれ設けられている。
図4(b)では、目封止部36、37の内、同じ種類のものをそれぞれ縦横に配置した例を示している。
図4(c)では、目封止部36、37の内、異なる種類のものをそれぞれ縦横に交互に配置した例を示している。流体の流出側の端面14は、実施形態1で用いたものと同様の目封止部19を設けている。
【0087】
目封止部36、37は、互いに異なる磁性体を含んでいる。目封止部36に含まれる磁性体と、目封止部37に含まれる磁性体とは、最大透磁率、キュリー点及び固有抵抗値のうちの少なくとも二つが異なる。目封止部36、37にそれぞれ含まれる磁性体は、実施形態1で示した磁性体16、17を用いることができる。このような構成により、ハニカム構造体30は、セル15内に、最大透磁率、キュリー点及び固有抵抗値のうちの少なくとも二つが異なる二種類以上の磁性体を含むため、実施形態1と同様に、水分が気化する温度までの加熱に要する時間、及び、触媒が担持されたフィルタの場合の触媒活性の時間がいずれも短く、誘導加熱によるカーボン微粒子などの燃焼除去が可能となる。
【0088】
ハニカム構造体30の目封止部36、37は、二種類以上であれば特に限定されず、三種類、四種類または五種類以上が、それぞれ異なるセル15内に含まれていてもよい。例えば、互いに最大透磁率、キュリー点及び固有抵抗値のうちの少なくとも二つが異なる三種類の磁性体を、それぞれ一種類だけ含む合計三種類の目封止部を、異なるセル15内に設けてもよい。
【0089】
目封止部36、37は、従来公知のハニカム構造体の目封止部として用いられる材料を母材として、当該母材が磁性体16、17を含むものでもよく、磁性体16、17のみで構成されていてもよい。
【0090】
図4(a)に示すように、ハニカム構造体30は、流体の流入側の端面13において、異なるセルBに磁性体を含む目封止部36、37がそれぞれ設けられている。このため、ハニカム構造体30を用いた排気ガス浄化装置において、ハニカム構造体30の外周を螺旋状に周回するコイル配線をセルBの目封止部36、37に対応する位置に配置する。すなわち、ハニカム構造体30の流体の流入側の端面付近において外周を螺旋状に周回するようにコイル配線を配置して誘導加熱するだけで、流入側で加熱された端面からの熱が流体の移動とともに隔壁12及びセル15内を伝播し、流出側まで加熱される。従って、ハニカム構造体30の長さ方向に亘って全体を加熱する必要がなくなり、エネルギー効率が良好となる。また、ハニカム構造体30の長さ方向に亘って全体を加熱することなく局所加熱のみでよいため、PM(粒子状物質)の燃焼までの投入電力を低減することができる。また、セル15内の端面付近に偏在しやすいPM(粒子状物質)を迅速に燃焼除去してハニカム構造フィルタを再生させることが容易となる。
【0091】
また、ハニカム構造体30は、このような構成に限定されず、端面13、14が、それぞれ流体の流入側の端面であってもよく、流出側の端面であってもよい。また、ハニカム構造体30のセル15を構成するセルAの目封止部及びセルBの目封止部の一方または両方が、当該二種類以上の磁性体を含んでもよい。セル15を構成するセルAの目封止部及びセルBの目封止部の一方または両方が磁性体を含む構成とすることで、ハニカム構造体30をハニカムフィルタとして用いたときの目封止部がそのまま磁性体を含むこととなる。このため、磁性体を含む材料を充填するためだけにハニカム構造体30のセル15を使用する必要がなくなり、その結果、圧力損失の増加を抑制することができる。
【0092】
図示のハニカム構造体30では、磁性体を含むセルBの目封止部36、37のセルが延びる方向の深さが、ハニカム構造体30の中心から外周に向かうにつれて徐々に小さくなっている。このような構成によれば、セルBの目封止部36、37に対応する位置にコイル配線を配置する、すなわち、ハニカム構造体30の流体の流入側の端面13付近において外周を螺旋状に周回するようにコイル配線を配置して誘導加熱したとき、ハニカム構造体30の外周側の目封止部36、37の深さが最も短くなる。また、中心に進むにつれ目封止部36、37が徐々に深くなっていく。このため、誘導加熱による熱が外側の目封止部36、37で遮断され難く、ハニカム構造体30の中心まで良好に加熱される。ハニカム構造体30の中心から外周に向かうにつれて徐々に小さくなっている形態としては、特に限定されず、適宜設計可能であるが、例えばハニカム構造体30の中心から外周に向かうにつれて均等な割合で小さくなっているものが好ましい。図示のハニカム構造体30では、上述のように磁性体を含むセルBの目封止部36、37のセルが延びる方向の深さが、ハニカム構造体30の中心から外周に向かうにつれて徐々に小さくなっている。また、これに限られず、磁性体を含むセルAの目封止部19及びセルBの目封止部36、37の一方又は両方のセルが延びる方向の深さが、ハニカム構造体30の中心から外周に向かうにつれて徐々に小さくなっていてもよい。また、磁性体を含むセルAの目封止部19及びセルBの目封止部36、37の一方又は両方のセルが延びる方向の深さを、所望の目的に適宜合わせるように、ハニカム構造体30の中心から最外周に向かうにつれて変化するように形成してもよい。
【0093】
ハニカム構造体30の製造方法としては、実施形態1に示すハニカム構造体10の製造方法に対し、磁性体16、17をセル15内の表面に設ける代わりに、セルBに磁性体を含む目封止部36、37を設けること以外は、同様にして実施することができる。ハニカム構造体30の目封止部36、37の形成は、例えば、まず、母材に磁性体16を混合して目封止部36の材料とし、母材に磁性体17を混合して目封止部37の材料とする。次に、目封止部36、37の材料を、ハニカム乾燥体のそれぞれ異なるセルBの目封止部とする。目封止部を設ける以降は、実施形態1と同様の方法によって製造することができる。
【0094】
(実施形態4)
図5は、本発明の実施形態4に係るハニカム構造体40の一方の端面の一部を模式的に示す平面図である。ハニカム構造体40は、セル15を構成するセルAとセルBとの間に、断面積がセルA及びセルB(第1のセル)の断面積より小さいセル(第2のセル)41が配置されている。
【0095】
複数の第2のセル41のそれぞれの内部は、二種類の磁性体46、47のうちいずれか一種を含む材料で充填されている。ここで、当該「充填」は、第2のセル41の内部に磁性体46、47を含む材料が隙間なく詰め込まれている状態であってもよく、第2のセル41の内部に隙間(磁性体46、47を含む材料が無い空間)がある状態であってもよい。二種類の磁性体46、47は、最大透磁率、キュリー点及び固有抵抗値のうちの少なくとも二つが異なっている。ハニカム構造体40は、このような構成により、実施形態1と同様に、水分が気化する温度までの加熱に要する時間、及び、触媒が担持されたフィルタの場合の触媒活性の時間がいずれも短く、誘導加熱によるカーボン微粒子などの燃焼除去が可能となる。
【0096】
ハニカム構造体40の磁性体46、47は、二種類以上であれば特に限定されず、三種類、四種類または五種類以上が、それぞれ異なる第2のセル41内に含まれていてもよい。例えば、互いに最大透磁率、キュリー点及び固有抵抗値のうちの少なくとも二つが異なる三種類の磁性体を、異なる第2のセル41内に設けてもよい。
【0097】
第2のセル41は、セルAとセルBとの間に設けられなくてもよく、セルA及びセルBの少なくとも一方と隣接して配置していればよい。このような構成によれば、セルA及びセルBの少なくとも一方と隣接してされた第2のセル41内に磁性体46、47を含む材料が充填されているため、ハニカム構造体40は電磁誘導により加熱される。そのため、ハニカム構造体40自体に電気を流す必要がなく、凝縮水が発生する環境でも短絡の発生を抑制することができる。また、セル15より断面積が小さい第2のセル41に磁性体46、47を含む材料が充填されるため、流体の流路となるセル15に磁性体46、47を含む材料を充填して当該流路を犠牲にする必要がない。これにより、ハニカム構造体40の圧力損失の増加の抑制と良好な加熱効率とを両立することが可能となる。また、排ガス中の有害ガス成分を触媒により浄化する場合には、ハニカム構造体をこのような構成にすることによって、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンの始動時に触媒の温度を誘導加熱により早期に触媒活性化温度以上に加熱することができる。
【0098】
セル15の断面形状は、四角形におけるそれぞれの角部が欠損して新たにそれぞれ2つの角部が形成されたような、合計で8つの角部を有する八角形に形成されている。複数のセル15はいずれもこのような八角形の形状を有し、ハニカム構造体40の最外周に対し同一方向に沿って規則的に配置されている。
【0099】
複数のセル15は、それぞれ多角形の開口を有し、複数の第2のセル41が、それぞれ複数のセル15の多角形の開口の少なくとも1つの角部に隣接して配置されていてもよい。このような構成によれば、複数のセル15がハニカム構造体40の断面において最密構造をとるように配置させやすく、また、流体の流路となるセル15を犠牲にすることなく、または、セル15の断面積の低減を最低限にしながら磁性体46、47を含む材料で充填された第2のセル41を隣接して配置することができる。このため、ハニカム構造体40の圧力損失の増加を抑制することができ、且つ、ハニカム構造体40の加熱効率をより向上させることが可能となる。また、セル15の角部は、触媒を担持させる場合において、セル15の内部に設ける触媒成分を薄く含浸させるための触媒ウォッシュコートが偏在しやすい部分でもあるため、当該角部付近に磁性体46、47を含む材料が充填された第2のセル41を設けることで、触媒加熱による浄化率向上効果が高くなる。
【0100】
セル15、第2のセル41及び隔壁12の配置構成は
図5に例示のものに限られず、第2のセル41がそれぞれセルA及びセルBの少なくとも1つと隣接して配置されていれば特に限定されない。また、セル15及び第2のセル41の形状は特に限定されず、中心軸に直交する断面において、三角形、四角形、五角形、六角形、八角形等の多角形、円形、又は楕円形であることが好ましく、その他不定形であってもよい。セル15及び第2のセル41の数、配置、形状等及び隔壁の厚み等は制限されず、必要に応じて適宜設計することができる。
【0101】
第2のセル41の断面積はセル15の断面積より小さければ特に限定されないが、複数のセル15及び複数の第2のセル41の断面積の合計に対する複数の第2のセル41の断面積の割合が10%以下であるのが好ましい。このような構成によれば、ハニカム構造体40の良好な加熱効率を維持しながら、圧力損失の増加をより抑制することができる。複数のセル15及び複数の第2のセル41の断面積の合計に対する複数の第2のセル41の断面積の割合は、8%以下であるのがより好ましく、5%以下であるのが更により好ましい。複数のセル15及び複数の第2のセル41の断面積の合計に対する複数の第2のセル41の断面積の割合の下限値については、ハニカム構造体40の加熱効率をどの程度にするかにもよるが、典型的には1%以上、又は、2%以上とすることができる。
【0102】
複数のセル15の等価水力直径が、複数の第2のセル41の等価水力直径の2倍以上であるのが好ましい。このような構成によれば、ハニカム構造体40の良好な加熱効率を維持しながら、圧力損失の増加をより抑制することができる。複数のセル15の等価水力直径が、複数の第2のセル41の等価水力直径の5倍以上であるのがより好ましく、8倍以上であるのが更により好ましい。
【0103】
第2のセル41の内部に充填される磁性体46、47を含む材料は、磁性体46、47と磁性体46、47を含有する母材とで構成されている。母材としては特に限定されないが、例えば金属又はガラスを主成分とする材料であってもよく、シリカ又はアルミナを主成分とする材料であってもよく、これらに有機物又は無機物が更に含まれた材料であってもよい。また、磁性体46、47だけを第2のセル41に充填してもよい。
【0104】
磁性体46、47の形状は特に限定されないが、線状であってもよく、粒子状であってもよい。線状の磁性体46、47を用いる場合は、金属ワイヤー等の1本の線状の磁性体46、47を含む材料を第2のセル41内に充填させてもよく、複数本の線状の磁性体を46、47含む材料を第2のセル41内に充填させてもよい。粒子状の磁性体46、47を用いる場合は、磁性体46、47の粒径は第2のセル41の径の大きさ以下の範囲で適宜設定される。具体的には、重量平均粒子径は20μm以下が好ましい。磁性体46、47の重量平均粒子径の下限は特に設けないが、例えば0.5μm以上とすることができる。なお、重量平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置で測定する。また、粒子状の磁性体46、47単独で構成された粉末を第2のセル41内に充填させてもよく、磁性体46、47とガラス等の他の材料との複合粉末として第2のセル41内に充填させてもよい。当該粉末の第2のセル41内への充填は、当該粉末が第2のセル41内の隔壁に被覆された状態であってもよい。磁性体46、47を含む材料として、このように粉末を利用した場合は、線材の磁性体46、47を含む材料を用いた場合より、誘導加熱周波数を高く設定(例えば100kHz以上に設定)することにより、線材の磁性体46、47を含む材料と同等の昇温速度性能を得ることができる。
【0105】
ハニカム構造体40の製造方法としては、実施形態1に示すハニカム構造体10の製造方法に対し、ハニカム乾燥体を、第2のセル41が、セルA及びセルBの少なくとも一方と隣接して配置された構造に形成し、異なる第2のセル41内に磁性体を充填する以外は、同様に製造することができる。
【0106】
第2のセル内に磁性体を充填する方法としては、主には以下の3つの方法がある。
・磁性体と、金属又はガラスを主成分とする結合材とを含むスラリーをハニカム構造体の第2のセル内に流し込み、当該金属の融点、又は、ガラスの軟化点以上の温度で加熱して固める方法。
・磁性体と、シリカ又はアルミナを主成分とする接着材料とを含むスラリーをハニカム構造体の第2のセル内に流し込み、加熱してシリカ又はアルミナを固化する方法。
・ワイヤー状等の線状の磁性体を含む材料をハニカム構造体の第2のセル内に挿入する方法。
【0107】
スラリーをハニカム構造体の第2のセル内に流し込むには、例えば、スラリーをハニカム構造体の第2のセル内に流通させる、又はスラリーをハニカム構造体の第2のセル内に浸漬すればよい。ここで、金属又はガラスを主成分とする結合材を使用する場合は、製造時にハニカム基材の耐熱温度以下で一度溶融又は軟化させる必要があるので、結合材の融点又は軟化点の温度以上で加熱することが好ましい。また、使用環境においては、最高温度が約700℃に到達するため、この温度以上の融点又は軟化点を有する金属又はガラスを用いることがより好ましい。具体的な融点又は軟化点としては、例えば、800~1200℃である。一方、シリカ又はアルミナを主成分とする接着材料を用いる場合は、製造時に加熱乾燥によって接着材料が固化することができるものであることが好ましい。加熱乾燥によって上記接着材料が固化することができるものとしては、例えば、シリカまたはアルミナのコロイド分散体が挙げられ、シリカおよびアルミナを含むコロイド分散体であってもよい。また、使用環境における最高温度が約700℃に到達するため、この温度以上の耐熱温度を有するシリカ又はアルミナを用いることがより好ましい。スラリーをハニカム構造体の第2のセル内に流し込んだ後、ハニカム構造体下流に吸引治具を取り付け、ハニカム構造体下流である他方の開口端部側より吸引し余剰水分を取り除き、磁性体を含む材料を充填する。磁性体を含む材料を加熱処理する条件としては、温度800~1200℃、0.5~3時間で加熱することが好ましい。
アルミナやシリカを主成分とする接着材料を用いる場合においては、スラリーをセル内に流し込む工程はハニカム成形、乾燥体の段階で行っても良い。この場合は、スラリーをハニカム構造体の第2のセル内に流し込んだ後、ハニカム構造体を乾燥した後、ハニカム構造体の焼成工程において、磁性体が接着材料に固定する工程が同時に行われる。シリカ又はアルミナは、乾燥により固化する効果を発現することが好ましい。
また、上記金属やガラスを主成分とする結合材を添加する以外に、磁性体に予め金属又はガラスを主成分とする結合材をコートさせておいてもよい。また、磁性体粒子と結合材を含む複合粒子を形成する工程を設けてもよい。
【0108】
スラリーは、例えば、磁性体と、上記接着材料又は上記結合材と、有機バインダと、水又はアルコールとを混合することで得ることができる。さらに、スラリーに対して、更に、油脂と、界面活性剤と、を加えて、混合し、エマルジョン化してもよい。
【0109】
(実施形態5)
図6(a)は、本発明の実施形態5に係るハニカム構造体50の目封止部19を有するセル15及び隔壁12における、セル15の延伸方向に平行な断面を模式的に示す断面図である。
図6(b)は、本発明の実施形態5に係るハニカム構造体50の目封止部19を有するセル15及び隔壁12における、セル15の延伸方向に垂直な断面を模式的に示す断面図である。
【0110】
ハニカム構造体50には、二種類の磁性体56、57が、それぞれ同じセル15内に含まれている。ハニカム構造体50の磁性体56、57は、二種類以上であれば特に限定されず、三種類、四種類または五種類以上が、それぞれ同じセル15内に含まれていてもよい。
【0111】
磁性体56、57は、それぞれセル15内の隔壁12の表面をコートするように設けられている。磁性体56、57は、それぞれセル15内の空間を全て埋めるように充填されていてもよい。磁性体56、57が設けられたセル15は、ハニカム構造体10の一方の端面13及び他方の端面14の両方において、目封止部19が設けられている。磁性体56、57は、反応し合うことを抑制するために、互いにセル15の隔壁12の表面における異なる位置に設けられているのが好ましい。また、磁性体56、57は、互いに離間して設けられているのが好ましい。
【0112】
磁性体56、57は、互いに、最大透磁率、キュリー点及び固有抵抗値のうちの少なくとも二つが異なる。磁性体56、57としては、実施形態1で示した磁性体16、17を用いることができる。このような構成により、ハニカム構造体50は、セル15内に、最大透磁率、キュリー点及び固有抵抗値のうちの少なくとも二つが異なる二種類以上の磁性体を含むため、実施形態1と同様に、水分が気化する温度までの加熱に要する時間、及び、触媒が担持されたフィルタの場合の触媒活性の時間がいずれも短く、誘導加熱によるカーボン微粒子などの燃焼除去が可能となる。
【0113】
ハニカム構造体50の磁性体56、57は、二種類以上であれば特に限定されず、三種類、四種類または五種類以上が、それぞれ同じセル15内に含まれていてもよい。例えば、互いに最大透磁率、キュリー点及び固有抵抗値のうちの少なくとも二つが異なる三種類の磁性体を、同じセル15内に設けてもよい。
【0114】
ハニカム構造体50の磁性体56、57が設けられたセル15の位置は特に限定されないが、磁性体56と磁性体57とは、上述のように機能が異なるため、互いに近接するよりは離間して配置されるのが好ましい。例えば、
図6(a)及び(b)に示すように、一方の端面13側に磁性体56を設け、他方の端面14側に磁性体57を設けたセル15と、一方の端面13側に磁性体57を設け、他方の端面14側に磁性体56を設けたセル15とが交互に配置されているのが好ましい。磁性体56、57が設けられたセル15の設置位置または設置数は、ハニカム構造体50の加熱効率及び圧力損失を考慮して、適宜設計することができる。
【0115】
磁性体56、57は、それぞれワイヤー状であり、互いに同じセル15内で離間して設けられていてもよい。また、磁性体56、57は、ワイヤー状であり、少なくとも1つのワイヤー状の磁性体の表面が反応防止層で被覆されていてもよい。このような場合、磁性体56、57は、互いに反応防止層によって反応し合うことが抑制される。このため、ワイヤー状の磁性体56、57を同じセル15内で離間して設ける必要はなく、互いにセル15内において、セル15が伸びる方向の法線方向に順に積層させて設けることができる。また、ワイヤー状の磁性体56、57を同じセル15内でセル15が伸びる方向に連続して、すなわち接触させて設けることができる。反応防止層としては、磁性体56と磁性体57とが接触することにより、または接触して加熱されることにより、反応することを抑制することができる材料で形成されている。反応防止層の材料としては、例えば、SiO2-Al2O3-MgO系ガラス等が挙げられる。
【0116】
ハニカム構造体50の製造方法としては、実施形態1に示すハニカム構造体10の製造方法に対し、磁性体を設けるセル15を、同じセルとする以外は同様に実施することができる。
【0117】
(実施形態6)
図7(a)は、本発明の実施形態6に係るハニカム構造体60の目封止部19を有するセル15及び隔壁12における、セル15の延伸方向に平行な断面を模式的に示す断面図である。
図7(b)は、本発明の実施形態6に係るハニカム構造体60の目封止部19を有するセル15及び隔壁12における、セル15の延伸方向に平行な断面の別の一形態を模式的に示す断面図である。
【0118】
ハニカム構造体60には、二種類の磁性体66、67が、それぞれ同じセル15内に含まれている。ハニカム構造体60の磁性体66、67は、二種類以上であれば特に限定されず、三種類、四種類または五種類以上が、それぞれ同じセル15内に含まれていてもよい。例えば、互いに最大透磁率、キュリー点及び固有抵抗値のうちの少なくとも二つが異なる三種類の磁性体を、同じセル15内に設けてもよい。
【0119】
図7(a)に示す形態では、磁性体67は、セル15内の隔壁12の表面をコートするように設けられている。磁性体66は、磁性体67上をコートするように設けられている。磁性体66、67が設けられたセル15は、ハニカム構造体60の一方の端面13及び他方の端面14の両方において、目封止部19が設けられている。
図7(b)に示す形態では、磁性体66、67は、互いに反応し合うことを抑制するために、磁性体66、67のコート同士の間に、反応防止層68が設けられている。反応防止層68は、実施形態5で示した反応防止層と同様のものを用いることができる。
【0120】
実施形態6に係るハニカム構造体60は、
図7(a)及び(b)に示す構成に限らず、二種類以上の磁性体が、種類ごとに独立してセルの隔壁の表面にコートされており、独立した磁性体のコートが、セルが伸びる方向の法線方向に順に積層されるように形成されていてもよい。また、当該独立した磁性体のコート同士の間に、反応防止層が設けられていてもよい。
【0121】
磁性体66、67は、互いに、最大透磁率、キュリー点及び固有抵抗値のうちの少なくとも二つが異なる。磁性体66、67としては、実施形態1で示した磁性体16、17を用いることができる。このような構成により、ハニカム構造体60は、セル15内に、最大透磁率、キュリー点及び固有抵抗値のうちの少なくとも二つが異なる二種類以上の磁性体を含むため、実施形態1と同様に、水分が気化する温度までの加熱に要する時間、及び、触媒が担持されたフィルタの場合の触媒活性の時間がいずれも短く、誘導加熱によるカーボン微粒子などの燃焼除去が可能となる。
【0122】
ハニカム構造体50の製造方法としては、実施形態1に示すハニカム構造体10の製造方法に対し、磁性体を設けるセル15を同じセルとし、さらに異なる磁性体を隔壁の表面に順にコートする以外は同様に実施することができる。
【0123】
(実施形態7)
図8(a)は、本発明の実施形態7に係るハニカム構造体70の目封止部19を有するセル15及び隔壁12における、セル15の延伸方向に平行な断面を模式的に示す断面図である。
図8(b)は、本発明の実施形態7に係るハニカム構造体70の一方の端面13を模式的に示す平面図である。また、
図8(c)は、本発明の実施形態7に係るハニカム構造体70の一方の端面13の別の一形態を模式的に示す平面図である。
図8(b)及び(c)に示すように、本発明の実施形態7に係るハニカム構造体70は、セル15を構成するセルA及びセルBがそれぞれ縦横に交互に並んだ千鳥配置となっている。
【0124】
ハニカム構造体70は、一方の端面13が流体の流入側の端面となり、他方の端面14が流体の流出側の端面となる。流体の流入側の端面13は、同じセルBに目封止部76、77がそれぞれ設けられている。
図8(b)では、端面13付近の目封止部について、目封止部76、77の内、同じ種類のものをそれぞれ縦横に配置した例を示している。
図4(c)では、端面13付近の目封止部について、目封止部76、77の内、異なる種類のものをそれぞれ縦横に交互に配置した例を示している。流体の流出側の端面14は、実施形態1で用いたものと同様の目封止部19を設けている。
【0125】
目封止部76、77は、互いに異なる磁性体を含んでいる。目封止部76に含まれる磁性体と、目封止部77に含まれる磁性体とは、最大透磁率、キュリー点及び固有抵抗値のうちの少なくとも二つが異なる。目封止部76、77にそれぞれ含まれる磁性体は、実施形態1で示した磁性体16、17を用いることができる。このような構成により、ハニカム構造体70は、セル15内に、最大透磁率、キュリー点及び固有抵抗値のうちの少なくとも二つが異なる二種類以上の磁性体を含むため、実施形態1と同様に、水分が気化する温度までの加熱に要する時間、及び、触媒が担持されたフィルタの場合の触媒活性の時間がいずれも短く、誘導加熱によるカーボン微粒子などの燃焼除去が可能となる。
【0126】
ハニカム構造体70の目封止部76、77は、二種類以上であれば特に限定されず、三種類、四種類または五種類以上が、それぞれ同じセル15内に含まれていてもよい。例えば、互いに最大透磁率、キュリー点及び固有抵抗値のうちの少なくとも二つが異なる三種類の磁性体を、それぞれ一種類だけ含む合計三種類の目封止部を、同じセル15内に設けてもよい。
【0127】
目封止部76と目封止部77とは、同じセル15内において、反応し合うことを抑制するために、セル15が伸びる方向に順に、離間して設けられているのが好ましい。
【0128】
目封止部76、77は、従来公知のハニカム構造体の目封止部として用いられる材料を母材として、当該母材が磁性体16、17を含むものでもよく、磁性体16、17のみで構成されていてもよい。
【0129】
図8(a)に示すように、ハニカム構造体70は、流体の流入側の端面13において、同じセルBに磁性体を含む目封止部76、77がそれぞれ設けられている。このため、ハニカム構造体70の流体の流入側の端面付近において外周を螺旋状に周回するようにコイル配線を配置して誘導加熱するだけで、流入側で加熱された端面からの熱が流体の移動とともに隔壁12及びセル15内を伝播し、流出側まで加熱される。従って、エネルギー効率が良好となり、PM(粒子状物質)の燃焼までの投入電力を低減することができる。また、セル15内の端面付近に偏在しやすいPM(粒子状物質)を迅速に燃焼除去してハニカム構造フィルタを再生させることが容易となる。
【0130】
また、ハニカム構造体70は、このような構成に限定されず、端面13、14が、それぞれ流体の流入側の端面であってもよく、流出側の端面であってもよい。また、ハニカム構造体70のセル15を構成するセルAの目封止部及びセルBの目封止部の一方または両方が、当該二種類以上の磁性体を含んでもよい。そして、当該二種類以上の磁性体を含む目封止部において、二種類以上の磁性体が種類ごとに独立して、セルが伸びる方向に順に設けられていてもよい。セル15を構成するセルAの目封止部及びセルBの目封止部の一方または両方が磁性体を含む構成とすることで、ハニカム構造体70をハニカムフィルタとして用いたときの目封止部がそのまま磁性体を含むこととなる。このため、磁性体を含む材料を充填するためだけにハニカム構造体70のセル15を使用する必要がなくなり、その結果、圧力損失の増加を抑制することができる。
【0131】
図示のハニカム構造体70では、磁性体を含むセルBの目封止部76、77のセルが延びる方向の深さが、ハニカム構造体70の中心から外周に向かうにつれて徐々に小さくなっている。このような構成によれば、誘導加熱による熱が外側の目封止部76、77で遮断され難く、ハニカム構造体70の中心まで良好に加熱される。ハニカム構造体70の中心から外周に向かうにつれて徐々に小さくなっている形態としては、特に限定されず、適宜設計可能であるが、例えばハニカム構造体70の中心から外周に向かうにつれて均等な割合で小さくなっているものが好ましい。図示のハニカム構造体70では、上述のように磁性体を含むセルBの目封止部76、77のセルが延びる方向の深さが、ハニカム構造体70の中心から外周に向かうにつれて徐々に小さくなっているが、これに限られず、磁性体を含むセルAの目封止部19及びセルBの目封止部76、77の一方又は両方のセルが延びる方向の深さが、ハニカム構造体70の中心から外周に向かうにつれて徐々に小さくなっていてもよい。また、磁性体を含むセルAの目封止部19及びセルBの目封止部76、77の一方又は両方のセルが延びる方向の深さを、所望の目的に適宜合わせるように、ハニカム構造体70の中心から最外周に向かうにつれて変化するように形成してもよい。
【0132】
ハニカム構造体70の製造方法としては、実施形態6に示すハニカム構造体60の製造方法に対し、磁性体をセル15内の表面に設ける代わりに、セルBに磁性体を含む目封止部76、77を設けること以外は、同様にして実施することができる。ハニカム構造体70の目封止部76、77の形成は、例えば、まず、母材に磁性体16を混合して目封止部76の材料とし、母材に磁性体17を混合して目封止部77の材料とする。次に、目封止部76、77の材料を、ハニカム乾燥体の同じセルB内において、セルBが伸びる方向に順に、離間して設ける。このようにして目封止部を設ける以降は、実施形態6と同様の方法によって製造することができる。
【0133】
(実施形態8)
図9(a)は、本発明の実施形態8に係るハニカム構造体のセル15内に設けられる二種類の異なる磁性体86、87の外観模式図である。
図9(b)は、本発明の実施形態8に係るハニカム構造体のセル15内に設けられる二種類の異なる磁性体86、87の別の一形態に係る外観模式図である。
【0134】
実施形態8に係るハニカム構造体のセル15内に設けられる二種類の異なる磁性体86、87は、それぞれ粒子である。また、二種類の異なる磁性体86、87の粒子の少なくとも一種が反応防止層88で被覆されていてもよい。実施形態8に係るハニカム構造体では、二種類の異なる磁性体86、87の粒子は、同じセル15内に設けられる。二種類の異なる磁性体86、87の粒子をセル15内に充填してもよく、隔壁12の表面にコートしてもよく、目封止部19に含めてもよい。
【0135】
磁性体86、87は、互いに、最大透磁率、キュリー点及び固有抵抗値のうちの少なくとも二つが異なる。磁性体86、87の粒子としては、実施形態1で示した磁性体16、17の内、粒子状に形成できるものを用いることができる。このような構成により、実施形態8に係るハニカム構造体は、セル15内に、最大透磁率、キュリー点及び固有抵抗値のうちの少なくとも二つが異なる二種類以上の磁性体を含むため、実施形態1と同様に、水分が気化する温度までの加熱に要する時間、及び、触媒が担持されたフィルタの場合の触媒活性の時間がいずれも短く、誘導加熱によるカーボン微粒子などの燃焼除去が可能となる。
【0136】
反応防止層88は、磁性体86、87の粒子表面を被覆することができ、且つ、磁性体86、87の反応を抑制することができる材料を用いる。このような反応防止層88の材料としては、SiO2系材料が挙げられる。具体的には、SiO2-Al2O3-MgO、SiO2-Al2O3、SiO2-MgO、SiO2-SrO、SiO2-CaO、SiO2-CeO、SiO2-ZrO2、SiO2-Y2O3、SiO2-Y2O3-Yb2O3、SiO2-La2O3等が挙げられる。
【0137】
実施形態8に係るハニカム構造体の製造方法としては、実施形態5~7に示すハニカム構造体50、60、70の製造方法に対し、2種類の異なる磁性体を粒子で形成してそれぞれ同じセル15内に設けること以外は同様に実施することができる。
【0138】
<2.排気ガス浄化装置>
上述した本発明の各実施形態に係るハニカム構造体を用いて排気ガス浄化装置を構成することができる。
図10は、例として、ハニカム構造体1が組み込まれた排気ガス浄化装置6の排気ガス流路の概略図を示している。排気ガス浄化装置6は、ハニカム構造体1とハニカム構造体1の外周を螺旋状に周回するコイル配線4とを有する。また、排気ガス浄化装置6は、ハニカム構造体1及びコイル配線4を収容する金属管2を有する。金属管2の拡径部2aに排気ガス浄化装置6を配置することができる。コイル配線4は固定部材5によって金属管2内に固定されてもよい。固定部材5は、セラミック繊維等の耐熱性部材であることが好ましい。ハニカム構造体1は触媒を担持してもよい。
【0139】
コイル配線4は、ハニカム構造体1の外周に螺旋状に巻かれる。2以上のコイル配線4が用いられる形態も想定される。スイッチSWのオン(ON)に応じて交流電源CSから供給される交流電流がコイル配線4に流れ、この結果として、コイル配線4の周囲には周期的に変化する磁界が生じる。なお、スイッチSWのオン・オフが制御部3により制御される。制御部3は、エンジンの始動に同期してスイッチSWをオンさせ、コイル配線4に交流電流を流すことができる。なお、エンジンの始動とは無関係に(例えば、運転手により押される加熱スイッチの作動に応じて)制御部3がスイッチSWをオンする形態も想定される。
【0140】
本開示においては、コイル配線4に流れる交流電流に応じた磁界の変化に応じてハニカム構造体1が昇温する。これによりハニカム構造体1により捕集されるカーボン微粒子などが燃焼する。また、ハニカム構造体1が触媒を担持する場合、ハニカム構造体1の昇温は、ハニカム構造体1に含まれる触媒担体より担持された触媒の温度を高め、触媒反応が促進される。端的には、一酸化炭素(CO)、窒化酸化物(NOx)、炭化水素(CH)が、二酸化炭素(CO2)、窒素(N2)、水(H2O)に酸化又は還元される。
【実施例】
【0141】
以下、本発明及びその利点をより良く理解するための実施例を例示するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0142】
<実施例1>
直径82mm、長さ85mm、隔壁厚さが0.1mm、隔壁間距離が約1mmの円柱状のコージェライト製ハニカムに、5×5セル間隔に1セルの隔壁内に磁性体をコーティングし、ハニカム構造体とした。磁性体コーティングしたセルとしては、残部Fe-17質量%Cr粉末のコーティングセルと残部Fe-49質量%Co-2質量%V粉末のコーティングセルとを交互に配置した。磁性体コーティング量は約30gであった。
次に、誘導加熱装置を用いて、当該ハニカム構造体の加熱試験を行い、ハニカム構造体の端面の温度を赤外線温度計で測定した。投入電力は、4kWとし、誘導加熱周波数は500kHzで、ハニカム構造体の昇温性能を比較した。なお、ハニカム構造体の外周にコイルを3周分周回させた。コイルの無負荷のインダクタンスは1.0μHとした。コイルに組み合わせたコンデンサは、0.1μFの容量のコンデンサを選んだ。トランスの変圧比は7:1とした。
図11に、当該加熱試験における各誘導加熱周波数500kHzにおける時間(秒)-温度(℃)の関係を表したグラフを示す。
【0143】
<参考例1及び2>
実施例1と同じ円柱状のコージェライト製ハニカムを準備した。次に、5×5セル間隔に1セルの隔壁内に、参考例1では、残部Fe-17質量%Cr粉末をコーティングし、参考例2では、残部Fe-49質量%Co-2質量%V粉末をコーティングして、ハニカム構造体を得た。参考例1及び2のハニカム構造体の磁性体量は、それぞれ約30gであった。
次に、実施例1と同様に、誘導加熱装置を用いて、当該ハニカム構造体の加熱試験を行った。ハニカム構造体の端面の温度を赤外線温度計で測定した結果を、
図11に実施例1と合わせて示す。
【0144】
<評価>
実施例1のハニカム構造体は、触媒活性化温度への到達時間は参考例1のハニカム構造体に比べると遅れるものの、参考例2のハニカム構造体と比べると十分早かった。また、参考例1のハニカム構造体がカーボン微粒子の燃焼温度600℃に達成しないのに対し、実施例1のハニカム構造体は、650℃を超えて加熱されており、燃焼除去が行えることが確認できた。
【0145】
<実施例2>
平均粒子径10μmの残部Fe-17質量%Cr粉末と平均粒子径が10μmの100質量%Co粉末とを各々プレス成形し、1100℃で焼成し、密度が95%以上の残部Fe-17質量%Cr焼結体と100%Co焼結体とを得た。次に、焼結体から1mm×1mm×25mmの角棒を切出し、2種類の磁性体を得た。
次に、隔壁厚さが0.1mm、隔壁間距離が約1mmのコージェライト製ハニカムから、20mm×12mm×25mmの矩形状のハニカム基材を切出した。当該ハニカム基材において、20×12mmの断面には15セル×9セルがあった。このうちの5セル×5セルごとに上述の磁性体の角棒を挿入して、ハニカム構造体を作製した。すなわち、3ヶ所×2ヶ所、合計6ヶ所に磁性体を配置した。磁性体の配置構成については、残部Fe-17質量%Cr焼結体である磁性体と、100%Co焼結体である磁性体とを交互に配置した。
次に、誘導加熱装置を用いて、当該ハニカム構造体の加熱試験を行い、ハニカム構造体の端面の温度を赤外線温度計で測定した。電圧285V、電流15A、誘導加熱周波数は30kHzで、ハニカム構造体の昇温性能を比較した。なお、ハニカム構造体の外周にコイルを9周分周回させた。
図12に、当該加熱試験における各誘導加熱周波数30kHzにおける時間(秒)-温度(℃)の関係を表したグラフを示す。
【0146】
<参考例3、4>
実施例2と同じ矩形状のコージェライト製ハニカムを準備した。
次に、参考例3として、5セル×5セルごとに上述の残部Fe-17質量%Cr焼結体である磁性体の角棒を挿入して、ハニカム構造体を作製した。すなわち、3ヶ所×2ヶ所、合計6ヶ所に同じ種類の磁性体を配置した。
また、参考例4として、5セル×5セルごとに上述の100質量%Co焼結体である磁性体の角棒を挿入して、ハニカム構造体を作製した。すなわち、3ヶ所×2ヶ所、合計6ヶ所に同じ種類の磁性体を配置した。
次に、実施例2と同様に、誘導加熱装置を用いて、当該ハニカム構造体の加熱試験を行った。ハニカム構造体の端面の温度を赤外線温度計で測定した結果を、
図12に実施例2と合わせて示す。
【0147】
<評価>
磁性体として、残部Fe-17質量%Cr焼結体のみを用いた参考例3のハニカム構造体は、300℃までの加熱速度が速く、水の蒸発、触媒の活性温度までは、誘導加熱で早く昇温できたが、カーボン微粒子の燃焼温度600℃まで昇温することはできなかった。一方、磁性体として、100質量%Co焼結体のみを用いた参考例4のハニカム構造体は、カーボン微粒子の燃焼温度600℃以上に誘導加熱で加熱できたが、水の蒸発温度、触媒活性化温度域の昇温に時間を要した。磁性体として、残部Fe-17質量%Crと100質量%Coとを交互に配置した実施例2のハニカム構造体は、水の蒸発温度域、触媒活性域まで早く昇温でき、かつカーボン微粒子の燃焼温度600℃まで昇温できた。
【符号の説明】
【0148】
1、10、20、30、40、50、60、70 ハニカム構造体
2 金属管
3 制御部
4 コイル配線
5 固定部材
6 排気ガス浄化装置
11 外周壁
12 隔壁
13、14 端面
15 セル(セルA+セルB)
16、17、46、47、56、57、66、67、86、87 磁性体
19、36、37、76、77 目封止部
26、27 透過膜
41 第2のセル
68、88 反応防止層