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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-04
(45)【発行日】2022-03-14
(54)【発明の名称】図形内文字列一覧表抽出管理ソフトウェア
(51)【国際特許分類】
   G06V 30/14 20220101AFI20220307BHJP
   G06V 30/412 20220101ALI20220307BHJP
【FI】
G06K9/20 340K
G06K9/20 340C
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019227744
(22)【出願日】2019-11-29
(65)【公開番号】P2021086590
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2021-08-25
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、権利譲渡・実施許諾の用意がある。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519320170
【氏名又は名称】ベルケンシステムズ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 純二
【審査官】佐藤 実
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-5887(JP,A)
【文献】国際公開第2018/003100(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06V 30/14
G06V 30/412
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
図形内に、識別用記号と認識番号、および任意の文字、数字、記号のいずれかの組み合わせで入力された文字列データを一つ以上含む図面データを記憶・表示する図面データ保管部と、
前記図面データに記述されている全文字情報の中から、抽出すべき前記文字列データを識別する為の識別用記号を定義する、識別用記号記憶部と、
前記図面データの中から前記識別用記号記憶部で指定された識別用記号を含む前記文字列データを抽出してデータベースに保管する文字列抽出保管部と、
認識番号とそれに対応する任意の補足文字列からなる一覧表データを作成し、保管する一覧表作成部と、
前記データベースに格納された前記認識番号と前記一覧表に格納された認識番号の照合を行い、両者が一致した場合に当該認識番号、および前記図面データ保管部に保管されている図面データ内の認識番号に対応する前記文字列データと一覧表に保管されている認識番号に対応する前記補足文字列を、統合一覧表に結合する統合結合部
を具備することを特徴とするソフトウェア。
【請求項5】
前記文字列抽出保管部は、前記文字列データが前記図面データの図形の中や外の任意の位置に記入されていても前記識別用記号を含む文字列データを抽出できることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のソフトウェア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の図形や文字列からなる図面データと、その文字列を抽出した一覧表を、一体管理するソフトウェアに関する。
【背景技術】
【0002】
任意の図形で構成された図面データから、そこに記載された文字列を抽出して一覧表にする技術として、例えば特許文献1の様に画像の中から文字列を認識して抽出する技術が開発されている。これらは、「業務プロセス可視化ツール」の一つとして広く使われているBPR(Business process reengineering)ソフトウェアとしても市販されている。これらのソフトウェアは、業務の流れを示すフローチャート(図面データ)に複数の文字列からなる「業務プロセス上の課題や問題点など」を記入でき、それらを課題一覧表にまとめる「課題一覧表ファイル出力機能」を保有しているものが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第3913985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ユーザーは課題に対する対策計画を立案することが目的であるため、課題一覧表に出力された後のファイルに対策や日程、担当者などの様々な列の追記を行って計画を検討するものである。ところが、前記「課題一覧表ファイル出力機能」はこれら追記された情報の無い新規の一覧表ファイルを出力してしまうため、いったんユーザーが一覧表を出力したものに手動入力で列の追記などの改版を行っていた場合、次に出力した一覧表ファイルにはユーザーが手動入力したデータが含まれていない。そのため、ユーザーは自身で入力した過去のデータをコピーし、新たに出力した一覧表に手動で張り付けるといった手間がかかる問題があった。
【0005】
本発明は、このような問題に鑑みなされたものであり、ユーザーは図面データから複数回課題一覧表を出力してそれを手動改版しても、手動で入力した対策や日程などの情報と図面データに記載された課題を紐付けて表に自動集計することを実現するソフトウェアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するため、本発明の一実施形態では、ユーザーが図面データに様々な課題情報を記入する際、課題一覧表に抽出したい文字列を識別するための識別用記号を定め、それを含む文字列の形式で記入することを前提とする。ここで、ユーザーは前記識別用記号を前記図面データ内の課題情報以外には使わないこととする。本実施形態における図形内文字列一覧表抽出管理ソフトウェアは、前記図面データ内に記載された文字情報全体の中から、識別用記号を含む文字列を検索・抽出し、識別用記号に続いて入力されている認識番号および課題等の文字列をデータベースに出力する。ユーザーは次に、該ソフトウェアを使って認識番号に対応した課題への対策情報等を追加入力すると、該ソフトウェアが前記データベースに保管されている認識番号との照合を行い、これらが一致した場合に、データベースの中で該当する課題の文字列と、ユーザーが入力した対策情報を紐付けて課題一覧表に統合する。
【0007】
以後、ユーザーが図面データに記載されている課題情報を修正しても、または課題一覧表の対策情報を修正しても、認識番号が変更されない限り、該ソフトウェアが両方の情報を使って課題一覧表を自動的に更新する。
【0008】
ここで、前記識別用記号は、ユーザーが指定する文字・数字・記号からなる1文字以上の文字列であることが望ましい。
【0009】
前記文字列抽出保管部は、課題の文字列が前記図面データの図形の中や外の任意の位置に記入されていても、文字情報として認識できる限り、前記識別用記号を含む課題情報を抽出できる機能を有することが望ましい。
【発明の効果】
【0010】
この図形内文字列一覧表抽出管理ソフトウェアは、図面データの中に大量に記載されている文字情報の中から、ユーザーが必要とする文字列データを、識別用記号をもとに一覧表に自動的に抽出でき、さらに、その一覧表に列を追加して追記される付加情報はその後何回前記抽出作業を行っても上書きされることなく保存される為、過去の一覧表からの転写などの手間を省くことができ、極めて作業効率の高いソフトウェアを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】 本発明の一実施形態における図形内文字列一覧抽出管理ソフトウェアのブロック図である。
図2】 文字列1Aの構造図の一実施例である。
図3】 本発明の一実施形態における業務フロー図の例である。
図4】 本発明の一実施形態における図面データの図である。
図5】 本発明の一実施形態における文字列データベースの例である。
図6】 本発明の一実施形態における一覧表の例である。
図7】 本発明の一実施形態における統合一覧表の例である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明にかかる実施の形態を図1から図7に基づいて説明する。
【0013】
図1において、データ部は図形内文字列一覧抽出管理ソフトウェアで取り扱う入力情報と出力情報、および該ソフトウェアが処理の途中結果を格納する電子ファイルとデータベースである。機能部は該ソフトウェアが持つ機能の構成を示しており、データ部内の各データを入力・出力情報として各機能が動作する。
【0014】
ここで、図面データ1はその内部に文字列1Aが一つ以上記入されている図面ファイルであり、図面データ保管部6により入力・保存される。文字列1Aは図2に示す書き方で書かれるものとし、識別用記号2、複数の文字列1Aの中から一つを特定する為の認識番号3Aと任意の文章である文字列データ3Bを含む一連の文字列情報である。
【0015】
ユーザーは、識別用記号記憶部8により識別用記号2として1文字以上の任意の記号や文字を登録する。この、識別用記号2は、例えば、「◇」、「○」、「□」、「No」、「(※)」など通常の電子計算機でユーザーが入力可能な任意の1文字以上の文字である。
【0016】
文字列抽出保管部7は、前記図面データ1の中から、前記識別用記号2を含む文字列1Aを検索・抽出し、文字列データベース3に格納する。この文字列抽出保管部7は、図面データ1の図形の中や外の任意の位置に文字列データ3Bが記入されていても、文字情報として認識できる限り、識別用記号2を含む情報を抽出できる。この時、該ソフトウェアは、各文字列1Aの中に記載された認識番号3Aと文字列データ3Bを表形式で抽出して文字列データベース3に格納する。
【0017】
一覧表作成部9は、認識番号3Aで特定される文字列データ3Bに対し、ユーザーが任意の補足文字列4Aを入力する機能を有する。
【0018】
統合結合部10は、認識番号3Aに対応する文字列データ3Bと補足文字列4Aをそれぞれ統合一覧表5に自動的に結合する機能を有する。
【0019】
以後、ユーザーは図面データ1に記入されている文字列1Aを修正しても、一覧表4上に記載されている補足文字列4Aを修正しても、認識番号3Aが変更されない限り、文字列抽出保管部7と統合結合部10を作動させることにより、統合一覧表5が自動的に修正される。
【0020】
以下、図1における各部の動作を、業務フローと業務課題対策管理の流れを例として説明する。
【0021】
本図形内文字列一覧抽出管理ソフトウェアのユーザーは、まずワードプロセッサーや表計算ソフトウェアを使って、所属組織の業務の流れを図3に例示する業務フロー図にとりまとめる。通常、業務には対策を要する課題や問題が散在するものであり、その発生場所を示す為には業務フロー図の中のどこでどのような課題が発生しているか図示するのが便利であるため、ユーザーは図4の様に業務フロー図の中の必要箇所に図2に示す文字列1Aの書式で課題を記入する。ここで、図4では、識別用記号2として「◇」を使っている。次にユーザーは該ソフトウェアの図面データ保管部6を使って、前記図4を図面データ1として該ソフトウェアに取り込む。また、ユーザーは前記図4で使用した識別用記号2「◇」を識別用記号記憶部8に登録する。
【0022】
ユーザーはここで文字列抽出保管部7を動作させると、識別用記号2「◇」を図面データ1の中に記載された全文字列から自動的に検索・情報抽出し、図5に例示する様に認識番号3Aおよびそれに対応する文字列データ3Bを表形式で文字列データベース3に書き込む。
【0023】
一方で、本図形内文字列一覧抽出管理ソフトウェアのユーザーは、図面データ1とは別に、課題に対する対策などを一覧表で計画立案し進捗管理したい為、図6に例示するように一覧表作成部9を使って、認識番号3Aに対応する補足文字列4Aを一覧表4に登録する。
【0024】
ここで、ユーザーが統合結合部10を作動させると、該ソフトウェアが文字列データベース3と一覧表4を参照し、それぞれから同じ認識番号3Aに対応する文字列データ3Bと補足文字列4Aを抽出して、統合一覧表5の1行に自動的に結合させ、図7に例示する様に課題と対策の一覧表が自動作成される。
【0025】
以後認識番号3Aを変更しない限り、図面データ上の文字列1A内の文字列データ3Bを変更しても、その時点より前に作成された補足文字列4Aを上書きすることなく、あるいは、一覧表4上での補足文字列4Aを変更しても、その時点より前に作成された文字列データ3Bを上書きすることなく、その都度にユーザーが文字列抽出部7と統合結合部10を動作させることで、統合一覧表5が最新の状態に自動更新される。
【0026】
なお、本図形内文字列一覧表抽出管理ソフトウェアは、図面データ1から識別用記号2により課題データを抽出する課題管理の用途だけでなく、数値やその他の文字情報の一覧表抽出をする用途にも利用できる。また、業務フロー図だけではなく、工場で使われる工程設計図や電気・機械などの各種設計図面など、補足情報が入力された画像ファイルと、画像ファイルに書き込みきれない追加情報ファイルの二つを、統合一覧表にまとめる用途としても利用できる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明に係る図形内文字列一覧表抽出管理ソフトウェアは、図面データ内に記載された文字列を抽出して一覧表にまとめて管理する用途に広く利用することができる。
【符号の説明】
【0028】
1 図面データ
1A 文字列
2 識別用記号
3 文字列データベース
3A 認識番号
3B 文字列データ
4 一覧表
4A 補足文字列
5 統合一覧表
6 図面データ保管部
7 文字列抽出保管部
8 識別用記号記憶部
9 一覧表作成部
10 統合結合部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7