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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-04
(45)【発行日】2022-03-14
(54)【発明の名称】移動体遷移レポート処理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/30 20120101AFI20220307BHJP
【FI】
G06Q50/30
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2018145334
(22)【出願日】2018-08-01
(65)【公開番号】P2020021325
(43)【公開日】2020-02-06
【審査請求日】2021-06-07
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成30年 7月18日、海運クラブにおいて開催された、TRANS-Day2018 海運ソリューションセミナーで発表。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】502328341
【氏名又は名称】株式会社エイ・アイ・エス
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】薄田 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】瀧澤 秀樹
【審査官】速水 雄太
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-283145(JP,A)
【文献】特表2008-542886(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
出発点から少なくとも1つの中継点を経由し到着点に向けて移動する移動体に搭載されている移動体通信装置から時間の経過及び所在位置に伴って送信される複数種類の遷移レポートのそれぞれを単一の共通フォーマットの遷移レポートとして記載した第1の電子メールにより受信する受信手段と、
受信された前記第1の電子メールにおける前記単一の共通フォーマットの遷移レポートを予め定義されている複数の指定送信先に応じて異なる複数の個別フォーマットの遷移レポートにそれぞれ変換する変換手段と、
変換された前記複数の個別フォーマットの遷移レポートを前記複数の指定送信先に対応する複数の移動体関係者利用通信装置に配信するためにそれぞれ記載した第2の電子メールを生成する生成手段と、を備え、
前記複数種類の遷移レポートのそれぞれは、予め定義されているレポート種別毎の集約レポート項目を含み
前記単一の共通フォーマットの遷移レポートに含まれる集約レポート項目及び前記複数の個別フォーマットの遷移レポートに含まれる個別レポート項目は、前記第1の電子メール及び前記第2の電子メールの本文にそれぞれ記載される、
移動体遷移レポート処理装置。
【請求項2】
前記複数種類の遷移レポートは、出発レポート、定刻レポート及び到着レポートを含む、
請求項1記載の移動体遷移レポート処理装置。
【請求項3】
前記単一の共通フォーマットの遷移レポートは集約レポート項目を含み、前記複数の個別フォーマットの遷移レポートは個別レポート項目をそれぞれ含み、
前記単一の共通フォーマットの遷移レポートにおける集約レポート項目は、各個別フォーマットの遷移レポートにおける個別レポート項目の複数のレポート項目に変換される項目を含む、
請求項1または2記載の移動体遷移レポート処理装置。
【請求項4】
前記集約レポート項目及び前記個別レポート項目は、項目名についての固定文言表示領域及び差込データ入力領域を有し、
前記差込データ入力領域への数値入力は許容範囲が設定されている、
請求項3記載の移動体遷移レポート処理装置。
【請求項5】
前記複数の指定送信先は、前記中継点において更新される送信先を含む、
請求項1、2、3または4記載の移動体遷移レポート処理装置。
【請求項6】
前記移動体は、荷物を運送するための船舶である、
請求項1から5のいずれか1項記載の移動体遷移レポート処理装置。
【請求項7】
前記移動体は、貨物自動車、貨物列車及び貨物航空機のいずれかである、
請求項1から5のいずれか1項記載の移動体遷移レポート処理装置。
【請求項8】
前記移動体通信装置から時間の経過及び所在位置に伴って送信され、データベースに保存されている前記複数種類の遷移レポートに関する蓄積データを分析処理して、付加価値サービスを提供する、
請求項1から7のいずれか1項記載の移動体遷移レポート処理装置。
【請求項9】
出発点から少なくとも1つの中継点を経由し到着点に向けて移動する移動体に搭載されている移動体通信装置から時間の経過及び所在位置に伴って送信される複数種類の遷移レポートのそれぞれを単一の共通フォーマットの遷移レポートとして記載した第1の電子メールにより受信するステップと、
受信された前記第1の電子メールにおける前記単一の共通フォーマットの遷移レポートを予め定義されている複数の指定送信先に応じて異なる複数の個別フォーマットの遷移レポートにそれぞれ変換するステップと、
変換された前記複数の個別フォーマットの遷移レポートを前記複数の指定送信先に対応する複数の移動体関係者利用通信装置に配信するためにそれぞれ記載した第2の電子メールを生成するステップと、をプロセッサが実行し、
前記複数種類の遷移レポートのそれぞれは、予め定義されているレポート種別毎の集約レポート項目を含み
前記単一の共通フォーマットの遷移レポートに含まれる集約レポート項目及び前記複数の個別フォーマットの遷移レポートに含まれる個別レポート項目は、前記第1の電子メール及び前記第2の電子メールの本文にそれぞれ記載される、
移動体遷移レポート処理方法。
【請求項10】
前記複数種類の遷移レポートは、出発レポート、定刻レポート及び到着レポートを含む、
請求項9記載の移動体遷移レポート処理方法。
【請求項11】
前記単一の共通フォーマットの遷移レポートは集約レポート項目を含み、前記複数の個別フォーマットの遷移レポートは個別レポート項目をそれぞれ含み、
前記単一の共通フォーマットの遷移レポートにおける集約レポート項目は、各個別フォーマットの遷移レポートにおける個別レポート項目の複数のレポート項目に変換される項目を含む、
請求項9または10記載の移動体遷移レポート処理方法。
【請求項12】
前記集約レポート項目及び前記個別レポート項目は、項目名についての固定文言表示領域及び差込データ入力領域を有し、
前記差込データ入力領域への数値入力は許容範囲が設定されている、
請求項11記載の移動体遷移レポート処理方法。
【請求項13】
前記複数の指定送信先は、前記中継点において更新される送信先を含む、
請求項9、10、11または12記載の移動体遷移レポート処理方法。
【請求項14】
前記移動体は、荷物を運送するための船舶である、
請求項9から13のいずれか1項記載の移動体遷移レポート処理方法。
【請求項15】
前記移動体は、貨物自動車、貨物列車及び貨物航空機のいずれかである、
請求項9から13のいずれか1項記載の移動体遷移レポート処理方法。
【請求項16】
前記移動体通信装置から時間の経過及び所在位置に伴って送信され、データベースに保存されている前記複数種類の遷移レポートに関する蓄積データを分析処理して、付加価値サービスを提供する、
請求項9から15のいずれか1項記載の移動体遷移レポート処理方法。
【請求項17】
請求項9から16のいずれか1項記載の移動体遷移レポート処理方法をプロセッサに実行させる移動体遷移レポート処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体遷移レポート処理システムに関し、詳細には移動体遷移レポート処理装置、移動体遷移レポート処理方法及び移動体遷移レポート処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
移動体(例えば、船舶)が出発点(出発港)から到着点(到着港)に向けて移動(運航または運行を含む)するとき、安全かつ円滑な移動及び荷物の運送を管理・支援するために、業者及び/または個人を含む複数の移動体関係者が連携する。複数の移動体関係者の連携を可能にするためには、移動体は、移動の過程において、複数種類の遷移レポートのそれぞれを複数の移動体関係者に送信する必要がある。
【0003】
複数種類の遷移レポートは、同一種類の遷移レポートであっても、複数の移動体関係者のそれぞれにより予め定められたフォーマット(書式)に適合しなければならない。したがって、移動体における乗組員は、移動体の移動に伴う安全操作と共に、遷移レポートの作成負荷を強いられることになる。この結果、移動体における乗組員を移動体の移動に伴う安全操作に集中させたいという要求が生じる。
【0004】
例えば、特許文献1には、中央サーバが、データベースに蓄積している共通フォーマットに基づく共通交通情報をサービスサーバそれぞれの独自のフォーマットに基づく個別交通情報に変換し、変換した個別交通情報をサービスサーバに送信する交通情報システムに関する技術が開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、電子伝票保存システムにおいて、複数の異なるフォーマットに対して必要な項目を定義した共通フォーマットを記憶すること、共通フォーマットにデータを一致させるようにマッピングして保存用データを出力すること、保存用データから所望の伝票の形式に応じてデータを抽出することなどの開示がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2013-182490号公報
【文献】特開2007-272700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上述した特許文献1,2に開示されている技術は、移動体における乗組員を移動体の移動に伴う安全操作に集中させることを可能にするという観点においては、全く提案していない。
【0008】
課題は、移動体における乗組員を移動体の移動に伴う安全操作に集中させることを可能にする移動体遷移レポート処理技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、一態様の移動体遷移レポート処理装置は、出発点から少なくとも1つの中継点を経由し到着点に向けて移動する移動体に搭載されている移動体通信装置から時間の経過及び所在位置に伴って送信される複数種類の遷移レポートのそれぞれを単一の共通フォーマットの遷移レポートとして電子メールにより受信する受信手段と、受信された前記単一の共通フォーマットの遷移レポートを予め定義されている複数の指定送信先に応じて異なる複数の個別フォーマットの遷移レポートにそれぞれ変換する変換手段と、変換された前記複数の個別フォーマットの遷移レポートを前記複数の指定送信先に対応する複数の移動体関係者利用通信装置に配信するための電子メールを生成する生成手段とを備え、前記複数種類の遷移レポートのそれぞれは、予め定義されているレポート種別毎の集約レポート項目を含む。
【0010】
上記一態様の移動体遷移レポート処理装置において、前記複数種類のレポートは、出発レポート、定刻レポート及び到着レポートを含む。
【0011】
上記一態様の移動体遷移レポート処理装置において、前記単一の共通フォーマットの遷移レポートは集約レポート項目を含み、前記複数の個別フォーマットの遷移レポートは個別レポート項目をそれぞれ含み、
前記単一の共通フォーマットの遷移レポートにおける集約レポート項目は、各個別フォーマットの遷移レポートにおける個別レポート項目の複数のレポート項目に変換される項目を含む。
【0012】
上記一態様の移動体遷移レポート処理装置において、前記集約レポート項目及び前記個別レポート項目は、項目名についての固定文言表示領域及び差込データ入力領域を有し、
前記差込データ入力領域への数値入力は許容範囲が設定されている。
【0013】
上記一態様の移動体遷移レポート処理装置において、前記複数の指定送信先は、前記中継点において更新される送信先を含む。
【0014】
上記一態様の移動体遷移レポート処理装置において、前記移動体は、荷物を運送するための船舶である。
【0015】
上記一態様の移動体遷移レポート処理装置において、前記移動体は、貨物自動車、貨物列車及び貨物航空機のいずれかである。
【0016】
上記一態様の移動体遷移レポート処理装置において、前記移動体通信装置から時間の経過及び所在位置に伴って送信され、データベースに保存されている前記複数種類の遷移レポートに関する蓄積データを分析処理して、付加価値サービスを提供する。
【0017】
上述した一態様の移動体遷移レポート処理装置の特徴は、移動体遷移レポート処理方法及び移動体遷移レポート処理プログラムとして実施してもよい。
【発明の効果】
【0018】
開示した技術によれば、移動体における乗組員(例えば、船員)を移動体の移動に伴う安全操作に集中させることを可能にする移動体遷移レポート処理技術を提供することができる。
【0019】
他の課題、特徴及び利点は、図面及び特許請求の範囲とともに取り上げられる際に、以下に記載される発明を実施するための形態を読むことにより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】一実施の形態の移動体遷移レポート処理システムの構成を示すブロック図。
図2】一実施の形態における移動体通信装置及び移動体関係者利用通信装置の構成を示す図。
図3】一実施の形態における移動体遷移レポート処理装置の構成を示す図。
図4】一実施の形態における遷移レポートの送信タイミングを説明するための図。
図5】一実施の形態の移動体遷移レポート処理システムの機能を説明するための図。
【0021】
図6】一実施の形態における移動体遷移レポート処理を説明するための図。
図7】一実施の形態における移動体遷移レポート処理を説明するための図。
図8】一実施の形態における移動体遷移レポート処理を説明するための図。
図9】一実施の形態における移動体遷移レポート処理を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して、さらに詳細に説明する。図面には好ましい実施形態が示されている。しかし、多くの異なる形態で実施されることが可能であり、本明細書に記載される実施形態に限定されない。
【0023】
[移動体遷移レポート処理システム]
一実施の形態におけるシステム構成を示す図1を参照すると、移動体遷移レポート処理システム1は、移動体遷移レポート処理装置2、移動体通信装置3、複数の移動体関係者利用通信装置4(4A-4E)、及び通信ネットワーク5を含む。
【0024】
通信ネットワーク5は、通信衛星を利用する無線通信ネットワークとインターネットなどのIP(Internet Protocol)ネットワークとから構成され、移動体遷移レポート処理装置2、移動体通信装置3、及び複数の移動体関係者利用通信装置4をそれぞれ収容する。なお、以下の説明では、不明確にならない限り通信ネットワーク5の介在を省略する。
【0025】
移動体通信装置3は、移動体、ここでは荷物を運送するための船舶(貨物船舶)に搭載された少なくともデータ通信機能を有する通信装置であり、例えば、パーソナルコンピュータなどのコンピュータ端末から構成される。
【0026】
なお、移動体は、荷物を運送するために、出発点から少なくとも1つの中継点を経由し到着点(最終到着点)に向けて移動(運行または運航)するものであれば、貨物自動車、貨物列車、または貨物航空機などであってもよい。
【0027】
移動体通信装置3は、通信ネットワーク5を介して移動体遷移レポート処理装置2とデータ通信を行うために、電子メールアドレス(単に、メールアドレスと記載することもある)及びIPアドレスを割り当てられている。
【0028】
また、移動体通信装置3は、電子メールソフトウェア(メーラ)を有し、このソフトウェアを起動することにより、通信ネットワーク5を介して移動体遷移レポート処理装置2などと電子メール(単に、メールと記載することもある)を送受信可能である。後に詳述する複数種類の遷移レポートは、電子メールにより移動体通信装置3から移動体遷移レポート処理装置2に送信される。
【0029】
更に詳述すると、移動体遷移レポート処理システム1における移動体通信装置3は、図2に例示するように、ハードウェアの構成要素を含んでいる。
つまり、移動体通信装置3は、ハードウェア構成要素として、プロセッサとしてのCPU(Central Processing Unit)31と、作業用メモリとしてのRAM(Random Access Memory)32と、立ち上げのためのブートプログラムを格納したROM(Read Only Memory)33とを備える。
【0030】
移動体通信装置3は、OS(Operating System)、アプリケーションプログラム、及び各種情報(データを含む)を書換え可能に格納する不揮発性のフラッシュメモリ34と、通信制御部35と、NIC(Network Interface Card)などの通信インタフェース(IF)部36とを備える。
また、移動体通信装置3は、表示制御部17と、表示部18と、情報入力・指定部19などとを更に備える。
【0031】
移動体通信装置3において、後に詳述する機能を論理的に実現するには、フラッシュメモリ34に電子メールソフトウェア及び通信装置制御プログラムなどをアプリケーションプログラムとしてインストールしておく。そして、移動体通信装置3においては、電源投入または利用者(船員)による指示を契機に、プロセッサ(CPU)31がアプリケーションプログラムをRAM32に展開して実行する。
【0032】
複数の移動体関係者利用通信装置4(4A-4E)は、移動体の安全かつ円滑な移動及び荷物の運送を管理・支援するために、業者及び/または個人を含む複数の移動体関係者が利用する通信装置であり、例えば、パーソナルコンピュータなどのコンピュータ端末及びスマートフォンなどの携帯電話端末の少なくとも1つを含む単独構成または複合構成をそれぞれ採り得る。
【0033】
ここでは、複数の移動体関係者は、海運会社の運航オペレータ、複数の荷主、船主、船舶管理会社、及び複数の港代理店を含み、移動体関係者利用通信装置4A-4Eをそれぞれ利用する。移動体関係者利用通信装置4Aを利用する海運会社の運航オペレータは、移動体の移動を統括的に管理・支援する操作者である。また、海運会社の運航オペレータは、後に詳述する移動体遷移レポート処理装置2の利用契約者である。
【0034】
移動体関係者利用通信装置4A-4Eは、移動体遷移レポート処理装置2とデータ通信を行うために、それぞれ異なる電子メールアドレス及びIPアドレスを割り当てられている。移動体関係者利用通信装置4A-4Eは、必要に応じて相互間で音声通信を行うために、電話番号を割り当てられている。
【0035】
また、移動体関係者利用通信装置4A-4Eは、電子メールソフトウェアを有し、このソフトウェアを起動することにより、通信ネットワーク5を介して移動体遷移レポート処理装置2などと電子メールを送受信可能である。後に詳述する複数種類の遷移レポートは、電子メールにより移動体遷移レポート処理装置2から移動体関係者利用通信装置4A-4Eに配信(一斉送信)される。
【0036】
更に詳述すると、移動体遷移レポート処理システム1における移動体関係者利用通信装置4A-4Eは、図2に例示した移動体通信装置3と同様のハードウェア構成要素を含んでいるので、図示を省略する。
【0037】
移動体関係者利用通信装置4A-4Eにおいて、後に詳述する機能を論理的に実現するには、フラッシュメモリ34に電子メールソフトウェア及び通信装置制御プログラムなどをアプリケーションプログラムとしてインストールしておく。そして、移動体関係者利用通信装置4A-4Eにおいては、電源投入または利用者(移動体関係者)による指示を契機に、プロセッサ(CPU)31がアプリケーションプログラムをRAM32に展開して実行する。
【0038】
移動体遷移レポート処理装置(サーバと記載することもある)2は、ASP(Application Service Provider)、ISP(インターネット接続事業者:Internet Service Provider)などによって運用及び管理されるサーバコンピュータであり、電子メールの送受信を制御する電子メール送受信制御機能を含む。
【0039】
既存の電子メール送受信制御機能(例えば、Cc、メーリングリストなど)においては、同一本文データ(メールデータ)を異なる送信先(宛先)に配信(一斉送信)可能であるが、異なる本文データを異なる送信先に配信することはできない。
移動体遷移レポート処理装置2は、例えば、移動体の移動を統括的に管理・支援する海運会社の運航オペレータ(操作者)が利用する移動体関係者利用通信装置4Aと連携し、遷移レポートの変換処理を遂行することにより、異なる本文データを異なる送信先に配信することを可能にする。
【0040】
つまり、移動体遷移レポート処理装置2は、出発点(出発港)から少なくとも1つの中継点(中継港)を経由し到着点(到着港)に向けて移動(運航)する移動体(船舶)に搭載されている移動体通信装置3から時間の経過及び所在位置に伴って送信される複数種類の遷移レポートのそれぞれを単一(1通)の共通フォーマットの遷移レポートとして電子メールにより受信する遷移レポート受信機能を備える。ここで、複数種類の遷移レポートは、出発レポート(Departure Report)、定刻レポート(Noon Report)、及び到着レポート(Arrival Report)を含む。共通フォーマットの遷移レポートは集約レポート項目を含む。
【0041】
また、移動体遷移レポート処理装置2は、受信した1通の共通フォーマットの遷移レポートを予め定義されている複数の指定送信先に応じて異なる複数の個別フォーマットの遷移レポートにそれぞれ変換する遷移レポート変換機能を備える。ここで、複数の個別フォーマットの遷移レポートは個別レポート項目をそれぞれ含む。
【0042】
上記共通フォーマットの遷移レポートにおける集約レポート項目は、複数の個別フォーマットの遷移レポートにおける個別レポート項目を包含する。また、上記共通フォーマットの遷移レポートにおける集約レポート項目は、各個別フォーマットの遷移レポートにおける個別レポート項目の複数のレポート項目に変換される項目を含む。
【0043】
移動体遷移レポート処理装置2は、変換した複数の個別フォーマットの遷移レポートを複数の指定送信先に対応する複数の移動体関係者利用通信装置4A-4Eに配信するための電子メールを生成する電子メール生成機能を更に備える。
【0044】
更に詳述すると、移動体遷移レポート処理システム1における移動体遷移レポート処理装置2は、図3に例示するように、ハードウェアの構成要素を含んでいる。
つまり、移動体遷移レポート処理装置2は、ハードウェア構成要素として、プロセッサとしてのCPU21と、作業用メモリとしてのRAM22と、立ち上げのためのブートプログラムを格納したROM23とを備える。
【0045】
また、移動体遷移レポート処理装置2は、OS、アプリケーションプログラム、及び各種情報(データを含む)を書換え可能に格納する不揮発性のフラッシュメモリ24と、通信制御部25と、NICなどの通信インタフェース(IF)部26などとを更に備える。
【0046】
移動体遷移レポート処理装置2において、上記機能及び後に詳述する機能を論理的に実現するには、フラッシュメモリ24に移動体遷移レポート処理プログラムをアプリケーションプログラムとしてインストールしておく。そして、移動体遷移レポート処理装置2においては、電源投入を契機に、プロセッサ(CPU)21がこの処理プログラムをRAM22に常時展開して実行する。
【0047】
[移動体遷移レポート処理]
次に、移動体遷移レポート処理システム1における移動体遷移レポート処理について、図1図3及び関連図(図4図9)を併せ参照して説明する。
【0048】
ここでは、図4に例示するように、移動体遷移レポート処理システム1において、移動体としての船舶(貨物船舶)が、荷物を運送するために、出発港P1から2箇所の中継港P2,P3を経由し到着港(最終到着港)P4に向けて運航し、この船舶に搭載されている移動体通信装置3が、時間の経過及び所在位置に伴って、複数種類の遷移レポートのそれぞれを1通の共通フォーマットの遷移レポートとして電子メールにより送信する場合の移動体遷移レポート処理について説明する。
【0049】
複数種類の遷移レポートは、出発レポートRP1、定刻レポートRP21,RP22、及び到着レポートRP3を含む。出発レポートRP1は、出発港P1、中継港P2、及び中継港P3を出発する時に、送信される遷移レポートである。定刻レポートRP21は、海上運航中の毎日正午に、送信される遷移レポートであり、定刻レポートRP22は、停泊中の毎日正午に、送信される遷移レポートである。また、到着レポートRP3は、中継港P2、中継港P3、及び到着港P4に到着した時に、送信される遷移レポートである。
【0050】
移動体通信装置3及び移動体関係者利用通信装置4A-4Eにおいては、電源投入または利用者による指示を契機に、通信装置制御プログラムなどが起動され、プロセッサ(CPU)31が次に述べる処理を遂行する。また、移動体遷移レポート処理装置2においては、電源投入を契機に、移動体遷移レポート処理プログラムが起動され、プロセッサ(CPU)21が次に述べる処理を遂行する。
【0051】
[S601(図6参照)]集約レポート項目の登録:
サービス利用契約者である海運会社の運航オペレータは、移動体関係者利用通信装置4Aにおいて表示される項目登録画面(図示省略)を介して集約レポート項目の登録を行う。この項目登録画面を表示するデータは、所定のマークアップ言語(例えば、HTML(Hyper Text Markup Language))などにより記述され、サービス利用の事前設定時(航海開始前)に、海運会社の運航オペレータの指定操作に応じて移動体遷移レポート処理装置2から移動体関係者利用通信装置4Aに送信される。
【0052】
海運会社の運航オペレータは、この項目登録画面において、レポート種別毎に、つまり出発レポートRP1、定刻レポートRP21,RP22、到着レポートRP3毎に、集約レポート項目についての項目名及び項目配列順序を項目情報として少なくとも設定(入力)する。
【0053】
[S602]項目定義ファイルの生成:
移動体遷移レポート処理装置2においては、項目名及び項目配列順序がそれぞれ設定されたレポート種別毎の集約レポート項目を項目登録画面を介して移動体関係者利用通信装置4Aから受信し、マスタテーブルTB1に格納する。このマスタテーブルTB1は、データベースDBとして、フラッシュメモリ24に構成される。
【0054】
移動体遷移レポート処理装置2においては、マスタテーブルTB1に格納されたレポート種別毎の集約レポート項目に含まれている項目配列順序に応じて項目名を変更設定した項目定義ファイルをそれぞれ生成し、データベースDBに格納する。ここでは、各項目定義ファイルはHTMLファイルとして生成される。
【0055】
生成された各項目定義ファイルにおける集約レポート項目は、例えば、次に示す項目名の内の必要な項目を選択的に含むことになる。
(a)船舶名(Vessel Name)
(b)レポート名(Report Name)
(c)報告時刻情報:年/月/日、時:分の形式(タイムゾーンLT(Local Time)を含む)
(d)地理的位置情報:緯度(Latitude)及び経度(Longitude)を含む船舶ポジション
(e)移動経過情報:コース(経路)、船速(平均速度)、運航時間(日毎)、運航距離(日毎)、向け地までの距離(港間距離)、次港名など
(f)燃料消費情報:燃料消費量(日毎)、残油量(出発時/到着時/航海終了時)
(g)環境条件情報:気圧、気温、風向、風速、海域の潮流などの気象情報(海象情報)
(h)荷物積載情報:積揚港、積荷、揚荷
【0056】
[S603]項目定義ファイルのダウンロード:
移動体遷移レポート処理装置2におけるデータベースDBに格納されている項目定義ファイル(HTMLファイル)は、移動体関係者利用通信装置4Aにおける海運会社の運航オペレータの指定操作に応じて、移動体関係者利用通信装置4Aにダウンロードされる。
ダウンロードされた項目定義ファイルは、レポート種別毎の集約レポート項目を含み、各集約レポート項目は予め定めた項目配列順序の項目名を含む。
【0057】
[S604]項目定義ファイルの送信:
移動体遷移レポート処理装置2からダウンロードした項目定義ファイルは、移動体関係者利用通信装置4Aにおける海運会社の運航オペレータの指定操作に応じて、電子メールにより移動体通信装置3に事前に送信される。
【0058】
[S605]項目定義ファイルの保存:
移動体通信装置3においては、移動体関係者利用通信装置4Aから送信された項目定義ファイルを電子メールにより受信し、フラッシュメモリ34に構成されるデータベースDB1に保存(格納)する。
【0059】
受信した項目定義ファイルは、レポート種別毎の集約レポート項目を含み、各集約レポート項目は予め定められた項目配列順序の項目名を含む。
したがって、後に詳述する処理S610,S611において、船舶の船員(船長または航海士)が、時間の経過及び所在位置に伴って、複数種類の遷移レポートのそれぞれを1通の共通フォーマットの遷移レポートとして電子メールにより移動体通信装置3から移動体遷移レポート処理装置2に送信することを可能にする。
【0060】
[S606]個別フォーマットの登録:
次に、移動体遷移レポート処理装置2においては、移動体関係者利用通信装置4Aを利用する海運会社の運航オペレータの指定操作に応じて、データベースDBに格納している項目定義ファイルの内容(レポート種別毎の集約レポート項目)を反映した遷移レポートフォーマット登録画面(図7参照)を作成して、移動体関係者利用通信装置4Aに送信する。
【0061】
この遷移レポートフォーマット登録画面を表示するデータは、所定のマークアップ言語などにより記述され、航海開始前に、海運会社の運航オペレータの指定操作に応じて移動体遷移レポート処理装置2から移動体関係者利用通信装置4Aに送信される。
【0062】
移動体関係者利用通信装置4Aにおける海運会社の運航オペレータは、受信した遷移レポートフォーマット登録画面に基づいて、レポート種別毎及び送信先毎の個別レポート項目を含む遷移レポートフォーマットを定義する。定義された個別レポート項目を含む遷移レポートフォーマットは、移動体遷移レポート処理装置2に登録するために、移動体関係者利用通信装置4Aから送信される。
【0063】
ここで、レポート種別毎及び送信先毎の個別レポート項目を含む遷移レポートフォーマットの定義について詳述する。
図7に一例を示すように、レポート種別毎の集約レポート項目を反映した遷移レポートフォーマット登録画面において、集約レポート項目は予め定められた項目配列順序(1)-(12)の項目名を含む。各項目名は固定文言表示領域及び/または差込データ入力領域([ ])を有している。
例えば、項目配列順序(8)の項目名に対応する残油量(ROB)は、送信先の移動体関係者の要求により、個別レポート項目の複数の項目に変換されることもある。つまり、項目配列順序(8)の残油量(ROB)は、新たな項目配列順序(8+n)の出発時残油量(ROB IFO)及び新たな項目配列順序(8+n+1)の到着時残油量(ROB LSMGO)などに項目分けされる。
レポート種別毎及び送信先毎の個別レポート項目を含む遷移レポートフォーマットの定義においては、このような項目分けが設定される。
【0064】
[S607]フォーマット定義ファイルの生成・保存:
移動体遷移レポート処理装置2においては、移動体関係者利用通信装置4Aから送信されたレポート種別毎及び送信先毎の個別レポート項目を含む遷移レポートフォーマットを所定のマークアップ言語形式で受信し、フォーマット定義ファイルをそれぞれ生成してデータベースDBに保存(格納)する。
【0065】
[S608]メール送信先の登録:
続いて、移動体遷移レポート処理装置2においては、移動体関係者利用通信装置4Aを利用する海運会社の運航オペレータの指定操作に応じて、メール送信先登録画面(図示省略)を作成して、移動体関係者利用通信装置4Aに送信する。
【0066】
このメール送信先登録画面を表示するデータは、所定のマークアップ言語などにより記述され、航海開始前または航海開始時に、海運会社の運航オペレータの指定操作に応じて、移動体遷移レポート処理装置2から移動体関係者利用通信装置4Aに送信される。
【0067】
移動体関係者利用通信装置4Aにおける海運会社の運航オペレータは、受信したメール送信先登録画面において、複数の移動体関係者の名称、つまり海運会社(自業者)、複数の荷主、船主、船舶管理会社、及び複数の港代理店の名称と、対応の電子メールアドレスとをメール送信先情報として設定する。設定されたメール送信先情報は、移動体遷移レポート処理装置2に登録するために、移動体関係者利用通信装置4Aから送信される。
【0068】
[S609]送信先定義ファイルの生成・保存:
移動体遷移レポート処理装置2においては、移動体関係者利用通信装置4Aから送信されたメール送信先情報を受信し、送信先定義ファイルを生成してデータベースDBに保存(格納)する。
【0069】
[S610]共通フォーマットの遷移レポートの作成:
移動体通信装置3においては、上記処理S605で移動体関係者利用通信装置4Aから受信し、データベースDB1に保存した項目定義ファイルに基づいて、レポート種別毎の集約レポート項目を含む共通フォーマットの遷移レポートを作成する。
つまり、船舶の船員(船長または航海士)は、時間の経過及び所在位置に応じて、複数種類の遷移レポートの内の該当する遷移レポートにおける差込データ入力領域に必要な項目データを入力する。
ここで、該当遷移レポートにおける差込データ入力領域に入力するための必要な項目データは、GPS(全地球測位システム:Global Positioning System)などの衛星、各種メータ及び各種センサを利用することにより取得可能である。
【0070】
[S611]共通フォーマットの遷移レポートの送信:
そして、作成された1通の共通フォーマットの遷移レポート、つまり出発レポートRP1、定刻レポートRP21,RP22、または到着レポートRP3は、移動体通信装置3における船員の指定操作に応じて、電子メールにより移動体通信装置3から移動体遷移レポート処理装置2に送信される。
【0071】
[S612]共通フォーマットの遷移レポートの受信:
移動体遷移レポート処理装置2においては、荷物を運送するために、出発港P1から2箇所の中継港P2,P3を経由し到着港(最終到着港)P4に向けて運航する船舶に搭載されている移動体通信装置3が、時間の経過及び所在位置に伴って送信する複数種類の遷移レポートのそれぞれを1通の共通フォーマットの遷移レポートとして電子メールにより受信する。
【0072】
[S613]メール情報の取得・保存:
移動体遷移レポート処理装置2においては、受信した共通フォーマットの遷移レポートに基づいて、集約レポート項目に設定されている項目名及び項目データなどを含むメール情報を取得する。そして、取得したメール情報をデータベースDBに保存する。
【0073】
[S614]個別フォーマットの遷移レポートに変換:
移動体遷移レポート処理装置2においては、データベースDBにそれぞれ保存しているフォーマット定義ファイル、送信先定義ファイル、及びメール情報に基づいて、1通の共通フォーマットの遷移レポートRP1,RP21,RP22,RP23を指定送信先に応じて異なる個別レポート項目を含む複数の個別フォーマットの遷移レポートRP1A-RP1E,RP21A-RP22E,RP3A-RP3Eにそれぞれ変換する。
【0074】
[S615]配信メールの生成:
そして、移動体遷移レポート処理装置2においては、変換した複数の個別フォーマットの遷移レポートを複数の指定送信先に対応する移動体関係者利用通信装置4A-4Eに配信するための配信メールを生成する。そして、生成した配信メールは配信処理される。
【0075】
移動体遷移レポート処理装置2においては、この配信メールを生成するとき、次に寄港する港の代理店(移動体関係者利用通信装置4E)にメールが配信されるように、中継港P2及び中継港P3のそれぞれにおいて、送信先定義ファイルを参照して送信先メールアドレスを更新する。
【0076】
ここで生成された配信メール(図8図9参照)は、メールヘッダ、本文、及び署名欄を含む。メールヘッダは、送信先メールアドレス(To,Cc)、送信元メールアドレス(Fm)、送信日(Dt)、及び件名(Re)を含む。件名には、船舶名及びレポート名が含まれる。本文は、指定送信先に応じて異なる個別レポート項目を含む。個別レポート項目は必要な項目名及び必要な項目データを含む。署名欄には、船長名、船舶メールアドレス、及び船舶電話番号が含まれる。図8及び図9は、個別レポート項目を含む個別フォーマットの遷移レポートについての配信メール例を示している。
【0077】
[一実施の形態における特徴及び効果]
上述した一実施の形態の移動体遷移レポート処理システム1における移動体遷移レポート処理装置2は、出発点(出発港)から少なくとも1つの中継点(中継港)を経由し到着点(到着港)に向けて移動(運航)する移動体(船舶)に搭載されている移動体通信装置3から時間の経過及び所在位置に伴って送信される複数種類の遷移レポートのそれぞれを1通の共通フォーマットの遷移レポートとして電子メールにより受信し;受信した1通の共通フォーマットの遷移レポートを予め定義されている複数の指定送信先に応じて異なる複数の個別フォーマットの遷移レポートにそれぞれ変換し;変換した複数の個別フォーマットの遷移レポートを複数の指定送信先に対応する複数の移動体関係者利用通信装置4A-4Eに配信するための電子メールを生成する(図5参照)。
これにより、移動体遷移レポート処理装置2は、例えば、移動体の移動を統括的に管理・支援する海運会社の運航オペレータ(操作者)が利用する移動体関係者利用通信装置4Aと連携し、遷移レポートの変換処理を遂行することにより、異なる本文データを異なる送信先に配信することを可能にする。この結果、移動体における乗組員(船員)を移動体の移動に伴う安全操作に集中させることができる。
【0078】
[一実施の形態における変形例]
上述した一実施の形態の移動体遷移レポート処理システム1においては、次に記載する変形例を採用することが可能である。
【0079】
(1)上述した移動体遷移レポート処理のS601(集約レポート項目の登録)においては、移動体関係者利用通信装置4Aを利用する海運会社の運航オペレータは、項目登録画面において、レポート種別毎に、つまり出発レポートRP1、定刻レポートRP21,RP22、到着レポートRP3毎に、集約レポート項目についての項目名及び項目配列順序を項目情報として少なくとも設定(入力)すると説明した。ここで、項目名が数値項目である場合、最大桁数、小数点以下桁数、最大値、及び最小値などの許容範囲情報を併せて設定してもよい。
これにより、後の処理において、項目データの数値入力に誤りがあった場合、例えば、残油量の桁を間違えた場合、緯度・経度を逆に入力した場合などに、移動体遷移レポート処理装置2において容易に自動検出し、修正を求めることができる。この結果、移動体遷移レポート処理の正確性を補完することができる。
移動体遷移レポート処理装置2における自動検出には、既存の自然言語処理などの言語処理技術を採用すればよく、また必要に応じて自然言語理解のために人工知能(AI)の機械学習分析技術を併用すればよい。
【0080】
(2)上述した移動体遷移レポート処理においては、移動体(船舶)の移動を統括的に管理・支援する海運会社の運航オペレータがサービス利用の事前設定時(航海開始前)などに各種処理操作を行っているが、移動体遷移レポート処理装置2を運用・管理するオペレータ(操作者)が代行してよい。
これにより、移動体遷移レポート処理装置2は、複数の移動体関係者利用通信装置4A-4Eを利用する複数の移動体関係者に対して、アウトソーシングサービスを提供することができる。
【0081】
(3)移動体通信装置3から時間の経過及び所在位置に伴って日々送信され、移動体遷移レポート処理装置2におけるデータベースDBに保存されている複数種類の遷移レポートに関する大量の蓄積データを活用して、次のような拡大(付加価値)サービスを提供してもよい。
船舶パフォーマンス報告サービス(VPRS:Vessel Performance Reporting Service)は、移動経過情報(船速、運航時間及び運航距離など)と、燃料消費情報(燃料消費量)との相関を分析処理して、パフォーマンス分析結果を該当の移動体関係者に報告するサービスである。
航海ルーティングシミュレーションサービス(VRSS:Voyage Routing Simulation Service)は、地理的位置情報と、移動経過情報と、環境条件情報(海象情報)との相関を分析処理して、船型別及び季節別での最適港間ルートを可視化するサービスである。
また、荷動き報告サービス(MCRS:Movements of Cargo Reporting Service)は、荷物積載情報(積揚港、積荷、揚荷、数量など)を利用して世界の荷動きを捉えるサービスである。
移動体遷移レポート処理装置2は、これらの拡大サービスを提供するために、蓄積データの分析処理機能及び表示処理機能を更に備える。大量の蓄積データの分析処理には、人工知能の機械学習分析技術を採用すればよい。
【0082】
[他の変形例]
上述した一実施の形態及び変形例における処理はコンピュータで実行可能なプログラムとして提供され、CD-ROMやフレキシブルディスクなどの非一時的コンピュータ可読記録媒体、さらには通信回線を経て提供可能である。
【0083】
また、上述した一実施の形態及び変形例における各処理はその任意の複数または全てを選択し組合せて実施することもできる。
【符号の説明】
【0084】
1 移動体遷移レポート処理システム
2 移動体遷移レポート処理装置
3 移動体通信装置
4 移動体関係者利用通信装置
4A 移動体関係者利用通信装置
4B 移動体関係者利用通信装置
4C 移動体関係者利用通信装置
4D 移動体関係者利用通信装置
4E 移動体関係者利用通信装置
5 通信ネットワーク
DB データベース
図1
図2
図3
図4
図5
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図9