(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-04
(45)【発行日】2022-03-14
(54)【発明の名称】モバイル端末、及びモバイル端末を用いたサイズ測定方法
(51)【国際特許分類】
G01B 11/24 20060101AFI20220307BHJP
G01B 11/00 20060101ALI20220307BHJP
【FI】
G01B11/24 K
G01B11/00 B
(21)【出願番号】P 2021150605
(22)【出願日】2021-09-15
【審査請求日】2021-09-16
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】512181880
【氏名又は名称】株式会社SAYコンピュータ
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】田屋 直行
(72)【発明者】
【氏名】中野 裕充
(72)【発明者】
【氏名】仲田 史騎
(72)【発明者】
【氏名】志賀 利行
【審査官】仲野 一秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-108933(JP,A)
【文献】特開2018-112521(JP,A)
【文献】特開2021-25853(JP,A)
【文献】特開2021-81196(JP,A)
【文献】特開2010-8352(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マーカが付された直方体の対象物を撮影する撮影部と、
前記直方体の対象物までの深度情報を測定する深度センサと、
前記撮影部で撮影した前記マーカが付された直方体の対象物の撮影画像と、前記深度センサで測定した前記撮影部から前記直方体の対象物までの深度情報と、を取得する取得部と、
取得した前記撮影画像において、前記直方体の対象物の境界線を画像処理により複数抽出し、前記境界線同士が交差する交点を特定して前記直方体の対象物の四隅の座標を前記撮影部のモデル座標として特定し、
前記四隅の座標のそれぞれに対応する背面座標を前記撮影部のモデル座標として抽出し、
前記撮影画像の各画素のそれぞれに対応する前記深度情報を適用して、前記撮影部のモデル座標からワールド座標に変換し、3次元空間における前記直方体の対象物の四隅の座標と当該四隅の背面座標とをワールド座標として抽出する抽出部と、
前記抽出部で抽出した、前記直方体の対象物の四隅の座標と前記四隅の背面座標とに基づいて、前記直方体の対象物の物理的なサイズを測定する測定部と、
を備えることを特徴とするモバイル端末。
【請求項2】
前記マーカは、前記対象物の表面を特定し、
前記抽出部は、
前記マーカにより、前記撮影画像における前記直方体の対象物の表面と背景面とを識別すると共に、前記深度情報に基づいて、前記四隅の背面座標を抽出する、
ことを特徴とする請求項1に記載のモバイル端末。
【請求項3】
表示部をさらに備え、
前記表示部は、
前記測定部で測定した前記直方体の対象物の物理的なサイズを表示する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のモバイル端末。
【請求項4】
前記測定部で測定した前記直方体の対象物の物理的なサイズに基づいて、当該直方体の対象物の収納先を振分する振分部を、さらに備える、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のモバイル端末。
【請求項5】
撮影部で、マーカが付された直方体の対象物を撮影するステップと、
深度センサで、前記直方体の対象物までの深度情報を測定するステップと、
前記撮影部で撮影した前記マーカが付された直方体の対象物の撮影画像と、前記深度センサで測定した前記撮影部から前記直方体の対象物までの深度情報と、を取得するステップと、
取得した前記撮影画像において、前記直方体の対象物の境界線を画像処理により複数抽出するステップと、
前記境界線同士が交差する交点を特定して前記直方体の対象物の四隅の座標を前記撮影部のモデル座標として特定するとともに、前記四隅の座標のそれぞれに対応する背面座標を前記撮影部のモデル座標として抽出するステップと、
前記撮影画像の各画素のそれぞれに対応する前記深度情報を適用して、前記撮影部のモデル座標からワールド座標に変換し、3次元空間における前記直方体の対象物の四隅の座標と当該四隅の背面座標とをワールド座標として抽出するステップと、
抽出した、前記直方体の対象物の四隅の座標と前記四隅の背面座標とに基づいて、前記直方体の対象物の物理的なサイズを測定するステップと、
を含むモバイル端末を用いたサイズ測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、深度センサを有するモバイル端末を用いて、対象物の物理的なサイズを測定する、モバイル端末、及びモバイル端末を用いたサイズ測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、深度センサを利用した、物体のサイズを測定する装置が検討されている。例えば、特許文献1には、物体の表面が平坦でなくとも、物体の厚みを計測する計測装置が開示されている(特許文献1の要約参照)。
【0003】
特許文献1の技術は、撮影部とセンサ部とを備えるカメラと、パーソナルコンピュータで構成される計測装置とを使用し、ベルトコンベアにより搬送される魚体のサイズを計測する計測システムである。特許文献1の記載の計測システムでは、センサ部に深度センサが設けられている。
【0004】
これにより、特許文献1の記載の計測システムは、算出部において、基準面に裁置された検知領域内の魚体の表面における空間座標に関わる情報を利用して、魚体において基準面から検知装置に向かう方向の厚みが最も厚い部分を検知し、当該検知した部分の厚みを魚体の厚みとして算出する(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された計測システムにおいて、算出部は、厚み計測部と、長さ計測部とを備えて構成されている。算出部において行われる厚み計測部と長さ計測部の処理は、処理負荷が大きいため、計測装置としてパーソナルコンピュータが用いられ、各計測処理が行われている。
【0007】
一方、近年、モバイル端末において、技術の進歩が目覚ましく、カメラで撮影した撮影画像に対して、高速でかつ高精度な画像処理を実現しつつある。そこで、モバイル端末に深度センサを搭載し、モバイル端末のカメラで撮影した撮影画像に深度情報を付加することで、撮影画像における撮影対象物の高さを測定することが考えられる。
【0008】
しかしながら、撮影画像に深度情報を付加し、拡張現実(AR(Augmented Reality))機能を適用した場合、モバイル端末は、背景面を認識することができるが、撮影対象物の表面を認識することが困難である。そのため、深度センサを搭載したモバイル端末では、撮影対象物の高さを測定することが難しい。
【0009】
そこで、モバイル端末、及びモバイル端末を用いたサイズ測定方法において、撮影対象物の表面を認識して、撮影対象物の高さを測定することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち、本発明の上記課題は、下記の構成により解決される。
本発明に係るモバイル端末は、マーカが付された直方体の対象物を撮影する撮影部と、前記直方体の対象物までの深度情報を測定する深度センサと、前記撮影部で撮影した前記マーカが付された直方体の対象物の撮影画像と、前記深度センサで測定した前記撮影部から前記直方体の対象物までの深度情報と、を取得する取得部と、取得した前記撮影画像において、前記直方体の対象物の境界線を画像処理により複数抽出し、前記境界線同士が交差する交点を特定して前記直方体の対象物の四隅の座標を前記撮影部のモデル座標として特定し、前記四隅の座標のそれぞれに対応する背面座標を前記撮影部のモデル座標として抽出し、前記撮影画像の各画素のそれぞれに対応する前記深度情報を適用して、前記撮影部のモデル座標からワールド座標に変換し、3次元空間における前記直方体の対象物の四隅の座標と当該四隅の背面座標とをワールド座標として抽出する抽出部と、前記抽出部で抽出した、前記直方体の対象物の四隅の座標と前記四隅の背面座標とに基づいて、前記直方体の対象物の物理的なサイズを測定する測定部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、モバイル端末、及びモバイル端末を用いたサイズ測定方法において、撮影対象物の表面を認識して、撮影対象物の高さを測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本実施形態に係るモバイル端末を使用した箱サイズ測定システムの全体構成を示した説明図である。
【
図2】本実施形態に係るモバイル端末の主な構成例を説明する説明図である。
【
図3】本実施形態に係るモバイル端末のCPUの機能を示した機能ブロック図である。
【
図4】本実施形態に係るモバイル端末が、マーカが付された直方体の対象物を撮影し、その直方体の対象物の物理的なサイズを表示する処理を示したフローチャートである。
【
図5】撮影画像において、抽出部が、直方体の対象物の四隅の座標と、当該四隅の背面座標を抽出して、ワールド座標に変換する処理の概念を示した説明図である。
【
図6】モバイル端末の表示画面において、直方体の対象物の物理的なサイズを測定する方法を示した説明図である。
【
図7】撮影画像において、直方体の対象物の物理的なサイズを測定する方法を示した説明図である。
【
図8】モバイル端末の表示部の表示画面に、直方体の対象物の物理的なサイズを表示した例を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、本発明を実現するための一例であり、本発明が適用される装置の構成や各種条件によって適宜修正又は変更されるべきものであり、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。
【0014】
<本実施形態>
[全体構成]
図1は、本実施形態に係るモバイル端末100を使用した、箱サイズ測定システム1の全体構成を示した説明図である。
図1に示すように、この箱サイズ測定システム1では、背景面200に対象物OBが載置されている。
【0015】
本実施形態に係るモバイル端末100は、背景面200に載置された対象物OBを撮影する。対象物OBには、マーカMKが付されている。対象物OBは、直方体で構成されており、背景面200からの高さが一定になっている。また、モバイル端末100は、対象物OBと背景面200に対して平行になるように設けられる。また、モバイル端末100は、対象物OBの真上から撮影する。
【0016】
対象物OBは、マーカMKが付されることにより、対象物OBの表面が特定されている。すなわち、マーカMKは、対象物OBの表面を特定する。本実施形態では、対象物OBの物理的なサイズを、例えば、横X、縦Y、高さZで示すことにする(
図6参照)。
【0017】
なお、マーカMKは、一例として、直方体の対象物OBに付される紙状に記載された図柄を示しているが、これに限定されるものではない。例えば、マーカMKは、マーカMK自体に厚みを有していてもよく、所定の高さを有していてもよい。また、マーカMKは、筆記具等で記載された図柄、目印等であってもよい。
【0018】
[モバイル端末の構成]
図2は、本実施形態に係るモバイル端末100の主な構成例を説明する説明図である。モバイル端末100は、CPU(Central Processing Unit)110、記憶部120、ROM(Read Only Memory)130、RAM(Random Access Memory)140、入力部150、表示部160、撮影部180、深度センサ190、及び内部バス195を備えて構成されている。モバイル端末100は、例えば、スマートフォン(smartphone)や、タブレット(tablet)端末で構成することができ、本実施形態では、特に限定されるものではない。
【0019】
CPU110、記憶部120、ROM130、及びRAM140は、記憶部120またはROM130に格納されている制御プログラム(不図示)を、CPU110が実行することにより、アプリケーション170として機能する。すなわち、モバイル端末100は、例えば、記憶部120に制御プログラムをインストールすることで、アプリケーション170として実行することができる。
【0020】
CPU110は、中央処理装置であり、記憶部120又はROM130に格納された制御プログラムを実行することにより、
図3に示す各処理を具現化する。CPU110が具現化する各処理については、
図3を用いて後述する。
【0021】
記憶部120は、大容量の記憶装置であり、例えば、不揮発性メモリなどで構成される。記憶部120は、例えば、制御プログラム、撮影画像、測定した直方体の対象物OBの物理的なサイズの情報などを格納する。
【0022】
RAM140は、CPU110により実行制御される各種処理において、ROM130から読み出され、CPU110で実行可能な各種プログラム、入力データ、出力データ、及びパラメータ等を一時的に記憶するワークエリアとして機能する。
【0023】
入力部150は、カーソルキー、数字入力キー、及び各種機能キーなどを備えた入力装置を備えて構成される。入力部150は、押下操作されたキーの押下信号や操作信号を、入力信号としてCPU110に出力する。CPU110は、入力部150からの押下信号や操作信号に基づいて、各種処理を実行する。
【0024】
表示部160は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)のモニタで構成される。表示部160は、CPU110から入力される表示信号の指示に従って、各種画面を表示する。本実施形態では、表示部160は、後述するCPU110の測定部113で測定した直方体の対象物の物理的なサイズを表示する。なお、表示部160および入力部150は、タッチパネルディスプレイを採用することもできる。
【0025】
撮影部180は、カメラにより構成される。撮影部180は、マーカMKが付された直方体の対象物OBを撮影する。撮影部180は、背景面200に載置された直方体の対象物OBを撮影することにより、可視光による直方体の対象物OBと背景面200の2次元画像を出力する。
【0026】
深度センサ190は、撮影部180から直方体の対象物OBまでの深度情報を測定する。具体的には、深度センサ190は、背景面200と直方体の対象物OBに対して、撮影部180からの奥行方向の距離(深度情報)を検出する。深度センサ190は、例えば、赤外線を利用したTOF(Time of Flight)方式によって、撮影部180から直方体の対象物OBまでの距離に関する情報(深度情報)を画素毎に算出する。なお、深度センサ190は、光の射出位置と受光位置とに基づいた三角測距方式によって、撮影部180から直方体の対象物OBまでの距離に関する情報(深度情報)を算出してもよい。深度センサ190は、背景面200の深度情報と直方体の対象物OBの深度情報を検出し、それぞれ画素毎に当該画素に対応する部分の空間座標に関する情報(深度情報)を出力する。
【0027】
内部バス195は、モバイル端末100における各構成要素に対して、電気的に相互に接続する。
【0028】
次に、本実施形態に係るモバイル端末100のCPU110処理(機能)について、
図3を用いて説明する。以下、同一の部材には同一の符号を付し、説明を適宜、省略する。
【0029】
図3は、本実施形態に係るモバイル端末100のCPU110の機能を示した機能ブロック図である。CPU110は、例えば、記憶部120に格納された制御プログラム(不図示)を実行することにより、
図3に示す、取得部111、抽出部112、測定部113、及び振分部114を具現化する。
【0030】
取得部111は、撮影部180で撮影したマーカMKが付された直方体の対象物OBの撮影画像と、深度センサ190で測定した撮影部180から直方体の対象物OBまでの深度情報と、を取得する。取得部111は、取得した、マーカMKが付された撮影画像と、深度情報とを抽出部112に送出する。
【0031】
抽出部112は、取得部111で取得した、マーカMKが付された直方体の対象物OBの撮影画像と深度情報とに基づいて、撮影画像における直方体の対象物OBの四隅の座標と、当該四隅の背面座標とを抽出する。抽出部112は、マーカMKにより、撮影画像における直方体の対象物OBの表面と背景面とを識別すると共に、深度情報に基づいて、四隅の背面座標を抽出することができる。また、抽出部112は、直方体の対象物OBの四隅の座標と、当該四隅の背面座標とを、ワールド座標に変換する。
【0032】
測定部113は、抽出部112で抽出した、直方体の対象物OBの四隅の座標と、当該四隅の背面座標とに基づいて、直方体の対象物OBの物理的なサイズを測定する。
【0033】
表示部160は、測定部113で測定した直方体の対象物OBの物理的なサイズを表示する。
【0034】
振分部114は、測定部113で測定した直方体の対象物OBの物理的なサイズに基づいて、当該直方体の対象物OBの収納先を振分する。振分部114は、例えば、直方体の対象物OBの体積に基づいて、収納先を振り分けることができる。具体的には、振分部114は、体積が100[cm3]以上か否かによって、直方体の対象物OBの収納先を自動的に振り分ける。また、振分部114は、例えば、直方体の対象物OBの高さに基づいて、収納先を振り分けることもできる。具体的には、振分部114は、直方体の対象物OBの高さが20[cm]以上か否かによって、直方体の対象物OBの収納先を自動的に振り分ける。
【0035】
[モバイル端末の処理]
次に、本実施形態に係るモバイル端末100のCPU110の処理を説明する。
図4は、本実施形態に係るモバイル端末100が、マーカMKが付された直方体の対象物OBを撮影し、その直方体の対象物OBの物理的なサイズを表示する処理を示したフローチャートである。なお、適宜、
図5を参照しながら、説明することにする。
【0036】
図5は、撮影画像GZ1~GZ5において、抽出部112が、直方体の対象物画像OBPの四隅(交点P1~交点P4)の座標と、当該四隅の背面座標H1~H4を抽出して、ワールド座標に変換する処理の概念を示した説明図である。
【0037】
まず、モバイル端末100は、ユーザが入力部150を操作することによって、指示を受け付ける。撮影部180は、ユーザの操作により、マーカMKが付された直方体の対象物OBを撮影する(ステップS001)。この場合、深度センサ190は、撮影部180が直方体の対象物OBを撮影するタイミングと同時に、直方体の対象物OBまでの深度情報を測定する。なお、
図5に示す撮影画像GZ1は、対象物OBを撮影している状態を示している。
【0038】
これにより、CPU110の取得部111は、撮影部180で撮影したマーカMKが付された直方体の対象物OBの撮影画像と、深度センサ190で測定した撮影部180から直方体の対象物OBまでの深度情報と、を取得することができる。
【0039】
次に、CPU110の抽出部112は、取得部111で取得した、マーカMKが付された直方体の対象物OBの撮影画像と深度情報とに基づいて、撮影画像における直方体の対象物OBの四隅の座標と、当該四隅の背面座標とを抽出する。
【0040】
具体的には、抽出部112は、撮影画像GZ1において、直方体の対象物OBのエッジ(境界線)を画像処理により抽出する(ステップS003)。
図5の撮影画像GZ2は、画像処理により、直方体の対象物OBのエッジを抽出している状態を示している。
【0041】
次に、抽出部112は、直方体の対象物OBの表面の交点を特定すると共に、背面座標を抽出する(ステップS005)。この場合、抽出部112は、
図5の撮影画像GZ3に示すように、エッジを示す縦線Aと横線Bを検出し、交差する交点P1を特定する。抽出部112は、
図5の撮影画像GZ4に示すように、この交差する交点を特定する処理を四隅に適用して、4つの交点P1~P4である四隅の座標を特定する。また、抽出部112は、同時に背景面200における四隅の背面座標H1~H4を抽出する。すなわち、抽出部112は、各画素に対応した深度情報に基づいて、4つの交点P1~P4のそれぞれに対応する背景面200の座標(背面座標H1~H4)を抽出する。
【0042】
次に、抽出部112は、モデル座標(カメラ座標)からワールド座標に変換する(ステップS007)。モデル座標とは、撮影部180の位置から、直方体の対象物OBの方向を見たときのモバイル端末100固有の座標のことをいう。また、ワールド座標とは、3次元空間における直方体の対象物OBの座標のこという。
【0043】
抽出部112は、撮影された撮影画像の各画素のそれぞれの深度情報を用いて、拡張現実(AR(Augmented Reality))を適用することで、モデル座標から3次元空間における直方体の対象物OBの座標に変換する。抽出部112は、
図5の撮影画像GZ5に示すように、バーチャルの3次元空間上に、4つの交点P1~P4である四隅の座標を表示することができ、交点P1~P4の距離を測定することができる。
【0044】
次に、CPU110の測定部113は、抽出部112で抽出した、直方体の対象物OBの四隅の座標(4つの交点P1~P4)と、当該四隅の背面座標H1~H4とに基づいて、直方体の対象物OBの物理的なサイズを測定する(ステップS009)。
【0045】
図6は、モバイル端末100の表示画面161において、直方体の対象物OBの物理的なサイズを測定する方法を示した説明図である。
図7は、撮影画像GZ6において、直方体の対象物OBの物理的なサイズを測定する方法を示した説明図である。
【0046】
図6と
図7において、同一の部材については、同一の符号を付し、説明を適宜、省略する。
【0047】
図6に示すように、モバイル端末100は、直方体の対象物OBを測定しており、直方体の対象物OBの横X、縦Y、高さZを測定する。また、
図7では、撮影画像GZ6における対象物OBは、背景面200における直方体の対象物OBとして測定されている。
【0048】
測定部113は、例えば、
図6および
図7に示すように、交点P1と交P2の距離と、交点P3と交点P4の距離の平均値を、直方体の対象物OBの横Xの長さとして測定する。また、測定部113は、例えば、交点P1と交P3の距離と、交点P2と交点P4の距離の平均値を、直方体の対象物OBの縦Yの長さとして測定する。
【0049】
また、測定部113は、例えば、交点P2と背面座標H2の距離を、直方体の対象物OBの高さZとして測定する。なお、測定部113は、例えば、交点P1と背面座標H1の距離と、交点P2と背面座標H2の距離と、交点P3と背面座標H3の距離と、交点P4と背面座標H4の距離の平均値を算出し、直方体の対象物OBの高さZとしてもよい。また、対象物OBは、直方体であるため、交点P1と背面座標H1の距離を、直方体の対象物OBの高さZとして測定してもよい。なお、測定部113による測定方法は、特に限定されるものではない。
【0050】
図4に戻り、説明を続ける。
測定部113は、測定部113で測定した直方体の対象物OBの物理的なサイズを表示部160の表示画面に表示する(ステップS011)。
【0051】
図8は、モバイル端末100の表示部160の表示画面162に、直方体の対象物OBの物理的なサイズを表示した例を示した説明図である。
【0052】
図8に示すように、表示画面162の上部に、直方体の対象物OBの測定結果が表示されており、例えば、直方体に対象物OBは、「縦:10.8cm、横:10.8cm、高さ:10.3cm」と表示されている。
【0053】
図4に戻り、説明を続ける。
CPU110の振分部114は、測定部113で測定した直方体の対象物OBの物理的なサイズに基づいて、当該直方体の対象物OBの収納先を振分する(ステップS013)。
【0054】
振分部114は、例えば、直方体の対象物OBの体積に基づいて、収納先を振り分けることができる。振分部114は、具体的には、体積が1000[cm3]以上か否かによって、直方体の対象物OBの収納先を自動的に振り分けることができる。
【0055】
図8の場合、直方体の対象物OBの体積は、約1200[cm
3]になるため、振分部114は、直方体の対象物OBを倉庫Kに格納するように振り分ける。もし、直方体の対象物の体積が、950[cm
3]の場合には、振分部114は、倉庫Lに格納されるように、直方体の対象物OBの収納先を振り分ける。
【0056】
また、振分部114は、例えば、直方体の対象物OBの高さに基づいて、収納先を振り分けることもできる。振分部114は、具体的には、直方体の対象物OBの高さが20[cm]以上か否かによって、直方体の対象物OBの収納先を自動的に振り分けることができる。
【0057】
図8の場合、直方体の対象物OBの高さは、約10[cm]であるため、振分部114は、直方体の対象物OBを倉庫Mに格納するように振り分ける。もし、直方体の対象物の体積が、25[cm]の場合には、振分部114は、倉庫Nに格納されるように、直方体の対象物OBの収納先を振り分ける。
【0058】
振分部114は、直方体の対象物OBの収納先を振り分けると、
図4に示す処理を終了する。
【0059】
以上説明したように、本実施形態に係るモバイル端末100は、撮影部180と、深度センサ190と、取得部111と、抽出部112と、測定部113とを備えて構成されている。
【0060】
取得部111は、撮影部180で撮影したマーカMKが付された直方体の対象物OBの撮影画像と、深度センサ190で測定した撮影部180から直方体の対象物OBまでの深度情報と、を取得する。抽出部112は、マーカMKが付された直方体の対象物OBの撮影画像と深度情報とに基づいて、撮影画像における直方体の対象物OBの四隅の座標(交点P1~P4)と、当該四隅の背面座標H1~H4とを抽出する。測定部113は、直方体の対象物OBの四隅の座標(交点P1~P4)と、当該四隅の背面座標H1~H4とに基づいて、直方体の対象物OBの物理的なサイズを測定する。
【0061】
これにより、本実施形態に係るモバイル端末100は、マーカMKにより対象物OBの表面を認識して、撮影対象物の高さを測定することができる。
【0062】
特に、取得部111、抽出部112、及び測定部113は、アプリケーション170として自動的に実行させることができるので、ユーザは、入力部150を操作して、撮影部180で撮影したマーカMKが付された直方体の対象物OBの撮影画像と、深度センサ190で測定した撮影部180から直方体の対象物OBまでの深度情報と、を取得するだけで、容易に、直方体の対象物OBの物理的なサイズを測定することができる。
【0063】
なお、本実施形態では、モバイル端末100は、マーカMKが付された直方体の対象物OBを撮影するようになっていたが、例えば、対象物OBに図柄が付されている場合は、その図柄をマーカMKとみなしてもよい。
【0064】
これにより、モバイル端末100は、対象物OBに図柄が付されていれば、対象物OBの表面を認識して、撮影対象物の高さを測定することができる。なお、図柄は対象物OBの特徴点になり得るため、図柄が多いほど表面の検出精度が向上し、対象物OBの物理的なサイズの測定精度が向上する。
【0065】
また、本実施形態において、対象物OBに付されたマーカMKは、背景面200との関係で、対象物OBの表面を特定するようにしてもよい。
【0066】
具体的には、背景面200に、ボーダー、ストライプ、市松模様などを設け、直方体の対象物OBの表面を無地とする。これにより、背景面200に載置された直方体の対象物OBは、背景面200によって直方体の対象物OBの表面が特定されるため、対象物OBの高さを測定することができる。この場合、直方体の対象物OBにおけるマーカMKは、無地によって構成される。
【0067】
同様に、背景面200を無地に設定し、対象物OBに付されるマーカMKを、ボーダー、ストライプ、市松模様などで構成するようにしてもよい。
【0068】
また、マーカMKは、図柄、目印、無地、ボーダー、ストライプ、市松模様などに限定されるものではなく、背景面200に対し、反対色で構成されていてもよい。すなわち、本実施形態におけるマーカMKは、背景面200との関係で、対象物OBの表面を特定することができればよい。
【0069】
また、マーカMKは、直方体の対象物OBにおいて、表面に付されていたが、例えば、四隅のいずれか1つに配置するようにしてもよい。この場合、マーカMKが配置された隅において、高さZを測定することができるので、その高さZの測定精度を向上させることができる。
【0070】
また、マーカMKは、直方体の対象物OBの中央に配置されるようにしてもよい。例えば、直方体の対象物OBが空き箱で構成されている場合、空き箱の中央付近が凹むことが想定されるので、マーカMKを対象物OBである空き箱の中央付近に配置することにより、対象物OBの表面を特定する精度を向上させることができる。
【符号の説明】
【0071】
100 モバイル端末
110 CPU
111 取得部
112 抽出部
113 測定部
114 振分部
120 記憶部
130 ROM
140 RAM
150 入力部
160 表示部
170 アプリケーション
180 撮影部
190 深度センサ
195 内部バス
OB 対象物(撮影対象物)
MK マーカ
【要約】
【課題】モバイル端末、及びモバイル端末を用いたサイズ測定方法において、撮影対象物の表面を認識して、撮影対象物の高さを測定すること。
【解決手段】モバイル端末100は、マーカMKが付された直方体の対象物OBを撮影する撮影部180と、直方体の対象物OBまでの深度情報を測定する深度センサ190と、撮影部180で撮影したマーカMKが付された直方体の対象物OBの撮影画像と、深度センサ190で測定した撮影部180から直方体の対象物OBまでの深度情報と、を取得する取得部111と、マーカMKが付された直方体の対象物OBの撮影画像と深度情報とに基づいて、撮影画像における直方体の対象物OBの四隅の座標と、当該四隅の背面座標とを抽出する抽出部112と、直方体の対象物OBの四隅の座標と四隅の背面座標とに基づいて、直方体の対象物OBの物理的なサイズを測定する測定部113と、を備える。
【選択図】
図3