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特許7034449退勤時刻決定システム、退勤時刻決定装置および退勤時刻決定プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-04
(45)【発行日】2022-03-14
(54)【発明の名称】退勤時刻決定システム、退勤時刻決定装置および退勤時刻決定プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/10 20120101AFI20220307BHJP
【FI】
G06Q10/10 342
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021190598
(22)【出願日】2021-11-24
【審査請求日】2021-11-24
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】715011241
【氏名又は名称】Dr.JOY株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100146950
【弁理士】
【氏名又は名称】南 俊宏
(72)【発明者】
【氏名】石松 宏章
【審査官】岡 裕之
(56)【参考文献】
【文献】特許第6738064(JP,B1)
【文献】特開2008-299366(JP,A)
【文献】特開2005-11184(JP,A)
【文献】特開2000-11225(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0228379(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検知システムと退勤時刻決定装置とを備える退勤時刻決定システムであって、
前記検知システムは、一方が医療者によって所持され、他方が1つ以上の所定の施設に設置されている発信機と受信機とを有しており、当該医療者が当該所定の施設のいずれかに滞在している時に当該発信機を識別する発信機識別情報と当該受信機を識別する受信機識別情報とを含む検知信号を繰り返して生成し、当該生成した検知信号を送信し、
前記退勤時刻決定装置が、
前記検知システムから送信される検知信号を受信すると、当該検知信号の検知時刻を特定し、当該検知信号に含まれる発信機識別情報と受信機識別情報とに基づいて医療者と当該医療者が滞在している所定の施設とを特定し、当該検知時刻を含む、当該医療者の当該所定の施設についての滞在情報を取得する検知部と、
前記検知部によって取得された医療者の滞在情報に含まれる検知時刻に基づいて連続的に取得されていたとみなされる一連の当該滞在情報が途切れた時刻に始まり、かつ所定の時間以上滞在情報を取得できなかった時間帯を未検知時間帯と決定する未検知時間帯決定部と、
前記未検知時間帯決定部によって決定された未検知時間帯の中から、終わる時刻が24時を超えている未検知時間帯を1つ選択し、当該選択された未検知時間帯が始まる時刻を前記医療者の退勤時刻と決定する退勤時刻決定部と、
を備える、
退勤時刻決定システム。
【請求項2】
前記退勤時刻決定部が、前記未検知時間帯の始まりが24時から前記所定の時間を引いた時刻以前である場合には前記終わる時刻が24時を超えるか否かを24時に判別して退勤時刻を決定し、一方、未検知時間帯の始まりが24時から前記所定の時間を引いた時刻より後である場合には、当該未検知時間帯の始まりから前記所定の時間が経過した時に退勤時刻を決定する請求項1に記載の退勤時刻決定システム。
【請求項3】
前記検知部が、前記医療者が滞在していると特定された所定の施設が当該医療者の所定の勤務先施設である場合に、滞在情報を取得する請求項1または2に記載の退勤時刻決定システム。
【請求項4】
前記退勤時刻決定部によって選択された未検知時間帯が終わる時刻が前記退勤時刻における滞在情報の次に前記検知部によって取得された滞在情報に含まれる検知時刻である場合に、当該終わる時刻を出勤時刻と決定する出勤時刻決定部を備える請求項1ないし3のいずれか1項に記載の退勤時刻決定システム。
【請求項5】
前記退勤時刻決定部が、時間的に最も早い未検知時間帯を選択する請求項1ないし4のいずれか1項に記載の退勤時刻決定システム。
【請求項6】
前記退勤時刻決定部が、時間的に最も遅い未検知時間帯を選択する請求項1ないし4のいずれか1項に記載の退勤時刻決定システム。
【請求項7】
前記退勤時刻決定部が、時間的に最も長い未検知時間帯を選択する請求項1ないし4のいずれか1項に記載の退勤時刻決定システム。
【請求項8】
一方が医療者によって所持され、他方が1つ以上の所定の施設に設置されている発信機と受信機とを有しており、当該医療者が当該所定の施設のいずれかに滞在している時に当該発信機を識別する発信機識別情報と当該受信機を識別する受信機識別情報とを含む検知信号を繰り返して生成し、当該生成した検知信号を送信する検知システムから、検知信号を受信すると、当該検知信号の検知時刻を特定し、当該検知信号に含まれる発信機識別情報と受信機識別情報とに基づいて医療者と当該医療者が滞在している所定の施設とを特定し、当該検知時刻を含む、当該医療者の当該所定の施設についての滞在情報を取得する検知部と、
前記検知部によって取得された医療者の滞在情報に含まれる検知時刻に基づいて連続的に取得されていたとみなされる一連の当該滞在情報が途切れた時刻に始まり、かつ所定の時間以上滞在情報を取得できなかった時間帯を未検知時間帯と決定する未検知時間帯決定部と、
前記未検知時間帯決定部によって決定された未検知時間帯の中から、終わる時刻が24時を超えている未検知時間帯を1つ選択し、当該選択された未検知時間帯が始まる時刻を前記医療者の退勤時刻と決定する退勤時刻決定部と、
を備える退勤時刻決定装置。
【請求項9】
コンピュータを、
一方が医療者によって所持され、他方が1つ以上の所定の施設に設置されている発信機と受信機とを有しており、当該医療者が当該所定の施設のいずれかに滞在している時に当該発信機を識別する発信機識別情報と当該受信機を識別する受信機識別情報とを含む検知信号を繰り返して生成し、当該生成した検知信号を送信する検知システムから、検知信号を受信すると、当該検知信号の検知時刻を特定し、当該検知信号に含まれる発信機識別情報と受信機識別情報とに基づいて医療者と当該医療者が滞在している所定の施設とを特定し、当該検知時刻を含む、当該医療者の当該所定の施設についての滞在情報を取得する検知手段、
前記検知手段によって取得された医療者の滞在情報に含まれる検知時刻に基づいて連続的に取得されていたとみなされる一連の当該滞在情報が途切れた時刻に始まり、かつ所定の時間以上滞在情報を取得できなかった時間帯を未検知時間帯と決定する未検知時間帯決定手段、
前記未検知時間帯決定手段によって決定された未検知時間帯の中から、終わる時刻が24時を超えている未検知時間帯を1つ選択し、当該選択された未検知時間帯が始まる時刻を前記医療者の退勤時刻と決定する退勤時刻決定手段、
として機能させるための退勤時刻決定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療者の退勤時刻を決定する退勤時刻決定システム、退勤時刻決定装置および退勤時刻決定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一方がユーザによって携帯され、他方が所定の複数の場所に設置されているビーコン発信機とビーコン受信機から送信される情報に基づいて、ユーザの勤務状況を求める勤怠管理装置が知られている(例えば、特許文献1と特許文献2参照。)。勤務状況は、例えば、業務、自己研鑽、休憩、外出である。これらの勤怠管理装置は、ユーザの出勤時刻と退勤時刻も求める。出勤時刻はユーザが最初に施設に入った時刻であり、退勤時刻はユーザが最後に施設を離れた時刻である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-111250号公報
【文献】特開2021-114008号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、医師や看護師のような医療者は、退勤した後でも、緊急時にオンコールで呼び出され、日付をまたいで勤務し、翌日の早朝に再度退勤する場合がある。特許文献1と特許文献2に記載の勤怠管理装置では、このような場合に退勤時刻を求めることができない。
【0005】
本発明の目的は、オンコールで呼び出されて日付をまたいで勤務する可能性がある医療者の退勤時刻を決定することができる退勤時刻決定システム、退勤時刻決定装置および退勤時刻決定プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の退勤時刻決定システムは、
検知システムと退勤時刻決定装置とを備える退勤時刻決定システムであって、
前記検知システムは、一方が医療者によって所持され、他方が1つ以上の所定の施設に設置されている発信機と受信機とを有しており、当該医療者が当該所定の施設のいずれかに滞在している時に当該発信機を識別する発信機識別情報と当該受信機を識別する受信機識別情報とを含む検知信号を繰り返して生成し、当該生成した検知信号を送信し、
前記退勤時刻決定装置が、
前記検知システムから送信される検知信号を受信すると、当該検知信号の検知時刻を特定し、当該検知信号に含まれる発信機識別情報と受信機識別情報とに基づいて医療者と当該医療者が滞在している所定の施設とを特定し、当該検知時刻を含む、当該医療者の当該所定の施設についての滞在情報を取得する検知部と、
前記検知部によって取得された医療者の滞在情報に含まれる検知時刻に基づいて連続的に取得されていたとみなされる一連の当該滞在情報が途切れた時刻に始まり、かつ所定の時間以上滞在情報を取得できなかった時間帯を未検知時間帯と決定する未検知時間帯決定部と、
前記未検知時間帯決定部によって決定された未検知時間帯の中から、終わる時刻が24時を超えている未検知時間帯を1つ選択し、当該選択された未検知時間帯が始まる時刻を前記医療者の退勤時刻と決定する退勤時刻決定部と、
を備える。
【0007】
好ましくは、本発明の退勤時刻決定システムは、
前記退勤時刻決定部が、前記未検知時間帯の始まりが24時から前記所定の時間を引いた時刻以前である場合には前記終わる時刻が24時を超えるか否かを24時に判別して退勤時刻を決定し、一方、未検知時間帯の始まりが24時から前記所定の時間を引いた時刻より後である場合には、当該未検知時間帯の始まりから前記所定の時間が経過した時に退勤時刻を決定する。
【0008】
好ましくは、本発明の退勤時刻決定システムは、
前記検知部が、前記医療者が滞在していると特定された所定の施設が当該医療者の所定の勤務先施設である場合に、滞在情報を取得する。
【0009】
好ましくは、本発明の退勤時刻決定システムは、
前記退勤時刻決定部によって選択された未検知時間帯が終わる時刻が前記退勤時刻における滞在情報の次に前記検知部によって取得された滞在情報に含まれる検知時刻である場合に、当該終わる時刻を出勤時刻と決定する出勤時刻決定部を備える。
【0010】
好ましくは、本発明の退勤時刻決定システムは、
前記退勤時刻決定部が、時間的に最も早い未検知時間帯を選択する。
【0011】
好ましくは、本発明の退勤時刻決定システムは、
前記退勤時刻決定部が、時間的に最も遅い未検知時間帯を選択する。
【0012】
好ましくは、本発明の退勤時刻決定システムは、
前記退勤時刻決定部が、時間的に最も長い未検知時間帯を選択する。
【0013】
また、本発明の退勤時刻決定装置は、
一方が医療者によって所持され、他方が1つ以上の所定の施設に設置されている発信機と受信機とを有しており、当該医療者が当該所定の施設のいずれかに滞在している時に当該発信機を識別する発信機識別情報と当該受信機を識別する受信機識別情報とを含む検知信号を繰り返して生成し、当該生成した検知信号を送信する検知システムから、検知信号を受信すると、当該検知信号の検知時刻を特定し、当該検知信号に含まれる発信機識別情報と受信機識別情報とに基づいて医療者と当該医療者が滞在している所定の施設とを特定し、当該検知時刻を含む、当該医療者の当該所定の施設についての滞在情報を取得する検知部と、
前記検知部によって取得された医療者の滞在情報に含まれる検知時刻に基づいて連続的に取得されていたとみなされる一連の当該滞在情報が途切れた時刻に始まり、かつ所定の時間以上滞在情報を取得できなかった時間帯を未検知時間帯と決定する未検知時間帯決定部と、
前記未検知時間帯決定部によって決定された未検知時間帯の中から、終わる時刻が24時を超えている未検知時間帯を1つ選択し、当該選択された未検知時間帯が始まる時刻を前記医療者の退勤時刻と決定する退勤時刻決定部と、
を備える。
【0014】
また、本発明の退勤時刻決定プログラムは、
コンピュータを、
一方が医療者によって所持され、他方が1つ以上の所定の施設に設置されている発信機と受信機とを有しており、当該医療者が当該所定の施設のいずれかに滞在している時に当該発信機を識別する発信機識別情報と当該受信機を識別する受信機識別情報とを含む検知信号を繰り返して生成し、当該生成した検知信号を送信する検知システムから、検知信号を受信すると、当該検知信号の検知時刻を特定し、当該検知信号に含まれる発信機識別情報と受信機識別情報とに基づいて医療者と当該医療者が滞在している所定の施設とを特定し、当該検知時刻を含む、当該医療者の当該所定の施設についての滞在情報を取得する検知手段、
前記検知手段によって取得された医療者の滞在情報に含まれる検知時刻に基づいて連続的に取得されていたとみなされる一連の当該滞在情報が途切れた時刻に始まり、かつ所定の時間以上滞在情報を取得できなかった時間帯を未検知時間帯と決定する未検知時間帯決定手段、
前記未検知時間帯決定手段によって決定された未検知時間帯の中から、終わる時刻が24時を超えている未検知時間帯を1つ選択し、当該選択された未検知時間帯が始まる時刻を前記医療者の退勤時刻と決定する退勤時刻決定手段、
として機能させる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、オンコールで呼び出されて日付をまたいで勤務する可能性がある医療者の退勤時刻を決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係る退勤時刻決定システムの構成の一例を示す図である。
図2】検知システムの構成の第1の例を示す図である。
図3図2の検知システムから送信される検知信号の一例を示す図である。
図4】検知システムの構成の第2の例を示す図である。
図5図4の検知システムから送信される検知信号の一例を示す図である。
図6】検知システムの構成の第3の例を示す図である。
図7図6の検知システムから送信される検知信号の一例を示す図である。
図8】退勤時刻決定装置の構成の一例を示す図である。
図9】医療者テーブルの一例を示す図である。
図10】滞在施設テーブルの一例を示す図である。
図11】滞在情報の構成の一例を示す図である。
図12】退勤時刻と出勤時刻の第1の例を示す図である。
図13】退勤時刻と出勤時刻の第2の例を示す図である。
図14】退勤時刻と出勤時刻の第3の例を示す図である。
図15】退勤判定時間が1時間と定められている場合に生じた3つの未検知時間帯の一例を示す図である。図15(A)は、時間的に最も早い未検知時間帯を選択する例を示す。図15(B)は、時間的に最も長い未検知時間帯を選択する例を示す。図15(C)は、時間的に最も遅い未検知時間帯を選択する例を示す。
図16】早期に退勤時刻を決定する方法の一例を示す図である。図16(A)は、未検知時間帯の始まりが(24時-退勤判定時間)以前である場合の例である。図16(B)は、未検知時間帯の始まりが(24時-退勤判定時間)よりも後である場合の例である。
図17】退勤時刻決定装置における退勤時刻決定処理の流れの一例を示す図である。
図18】医療者が2つの施設で勤務する場合の医療者テーブルの一例を示す図である。
図19】医療者が2つの施設で勤務する場合の滞在施設テーブル270の一例を示す図である。
図20】医療者が2つの施設で勤務する場合の退勤時刻の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態に係る退勤時刻決定システムについて図面を参照しながら詳細に説明する。なお、実施形態を説明する全図において、共通の構成要素には同一の符号を付し、繰り返しの説明を省略する。
【0018】
図1は、本発明の実施形態に係る退勤時刻決定システム1の構成の一例を示す。
退勤時刻決定システム1は、検知システム100と、退勤時刻決定装置200とを有する。
検知システム100と退勤時刻決定装置200とは、有線または無線でネットワーク10に接続されている。退勤時刻決定装置200は、ネットワーク10を介して検知システム100から送信される検知信号を受信する。
【0019】
検知システム100は、複数の発信機と複数の受信機とを有している。発信機と受信機は、一方が医療者によって所持され、他方が1つ以上の所定の施設に設置されている。発信機は、発信機識別情報を受信機に送信する。発信機は、発信機識別情報により検知システム100全体で一意に識別される。受信機は、発信機識別情報と受信機識別情報とを送信する。受信機は、受信機識別情報により検知システム100全体で一意に識別される。検知システム100は、医療者が所定の施設のいずれかに滞在しているときに検知信号を繰り返して送信する。検知信号は、発信機識別情報と受信機識別情報とを含む。
医療者は、例えば、医師、薬剤師、看護師、臨床検査技師等である。
所定の施設は、例えば、病院、診療所、介護施設等である。
発信機と受信機は、例えばBluetooth Low Energy(BLE)方式に準拠したビーコン発信機とビーコン受信機である。または、検知システム100は、RFID(Radio Frequency Identifier)であってもよい。この場合、発信機はRFタグ、受信機はRFタグの読取機である。
【0020】
図2は、検知システム100の構成の第1の例100Aを示す。
検知システム100Aは、ビーコン発信機101と、ビーコン受信機102と、検知信号取得装置110とを有する。
ビーコン受信機102は有線または無線でネットワーク10に接続されている。検知信号取得装置110は有線または無線でネットワーク10に接続されている。ネットワーク10を介してビーコン受信機102から検知信号取得装置110にデータを送信することができる。
【0021】
ビーコン発信機101は、個々の医療者によってそれぞれ所持される。ビーコン発信機101は、BLE方式によるビーコン信号を周期的に発信する。ビーコン信号は、ビーコン発信機ID(Identifier)を含む。ビーコン発信機IDは、各ビーコン発信機101を検知システム100A全体で一意に識別する識別情報である。ビーコン発信機IDは、各ビーコン発信機101を所持している医療者を検知システム100A全体で一意に識別するための医療者識別情報でもある。
【0022】
ビーコン受信機102は、所定の施設(例えば、A病院)の各出入口や、施設内の各部屋にそれぞれ設置されている。各出入口と各部屋は、所定の区域の例である。各部屋は、例えば、外科診察室、内科診察室、耳鼻科診察室、皮膚科診察室、手術室、ロッカー室、会議室、休憩室、食堂等である。施設が大学病院である場合、ビーコン受信機102は、教授室、研究室、講義室にそれぞれ設置されていてもよい。
ビーコン受信機102は、ビーコン信号を通信可能な範囲に検知したとき、ビーコン信号を受信し、ビーコン発信機IDを取得する。ビーコン受信機102は、自らを検知システム100A全体で一意に識別するためのビーコン受信機IDをその記憶部に記憶している。ビーコン受信機102は、ビーコン信号を受信すると、ビーコン発信機IDとビーコン受信機IDとを含む信号を検知信号取得装置110に送信する。ビーコン発信機101とビーコン受信機102とが通信可能な距離は、2.5mから50m程度である。
なお、ビーコン受信機102は、スマートホンや携帯電話、タブレット、ノートパソコン等であってもよい。
【0023】
検知信号取得装置110は、CPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)等で構成される主メモリと、ハードディスク等で構成される記憶部とを備える。検知信号取得装置110は、例えば、コンピュータで実現することができる。また、検知信号取得装置110は、例えば、クラウドコンピューティングで実現することができる。
検知信号取得装置110の記憶部には、検知信号取得プログラムが格納されている。検知信号取得装置110のCPUがその記憶部から主メモリに検知信号取得プログラムを読み出して実行することにより、検知信号取得装置110の機能が実現される。
【0024】
検知信号取得装置110は、ビーコン受信機102からビーコン発信機IDとビーコン受信機IDを含む信号を受信すると、図3に示す検知信号120を繰り返して生成し、生成した検知信号120を退勤時刻決定装置200に送信する。検知信号120は、ビーコン発信機ID121と、ビーコン受信機ID122と、検知時刻123とを含む。
ビーコン発信機ID121は、医療者によって所持されるビーコン発信機101を検知システム100A全体で一意に識別する識別情報である。ビーコン発信機ID121は、ビーコン発信機101を所持する医療者を検知システム100A全体で一意に識別する医療者識別情報でもある。
ビーコン受信機ID122は、所定の施設(例えば、A病院)内の所定の区域に設置されたビーコン受信機102を検知システム100A全体で一意に識別する識別情報である。ビーコン受信機ID122は、ビーコン受信機102が設置された区域を検知システム100A全体で一意に識別する区域識別情報でもある。ビーコン受信機ID122により、ビーコン受信機102が設置された施設を識別するとともに、その施設内の区域を識別することができる。
検知時刻123は、例えば、検知信号取得装置110がビーコン受信機102からビーコン発信機ID121とビーコン受信機ID122とを含む信号を受信した時刻を示す情報である。または、検知時刻123は、ビーコン受信機102がビーコン発信機101からビーコン信号を受信した時刻を示す情報であってもよい。
【0025】
なお、検知信号取得装置110は、ビーコン受信機102からビーコン発信機IDとビーコン受信機IDとを含む信号を受信する毎に検知信号120を退勤時刻決定装置200に送信してもよいし、受信したビーコン発信機IDとビーコン受信機IDに検知時刻を付加して一旦記憶部に蓄積し、退勤時刻決定装置200からの送信要求に応答して、検知信号120をまとめて退勤時刻決定装置200に送信してもよい。
また、検知信号取得装置110は無くても良く、ビーコン受信機102が検知信号120を生成し、生成した検知信号120を退勤時刻決定装置200に送信する構成とすることもできる。
ビーコン発信機ID121は本発明の発信機識別情報の例であり、ビーコン受信機ID122は本発明の受信機識別情報の例である。
【0026】
図4は、検知システム100の構成の第2の例100Bを示す。
検知システム100Bは、ビーコン発信機131と、ビーコン受信機132と、検知信号取得装置110とを有する。検知システム100Bは、複数のビーコン発信機131が所定の施設(例えば、病院A)に設置されており、医療者がビーコン発信機132を所持する点が検知システム100Aと異なる。検知システム100Bの検知信号取得装置110は、検知システム100Aに含まれるものとほぼ同一の構成である。
ビーコン受信機132は有線または無線でネットワーク10に接続されている。ネットワーク10を介してビーコン受信機132から検知信号取得装置110にデータを送信することができる。
【0027】
ビーコン発信機131は、所定の施設(例えば、A病院)の各出入口や、施設内の各部屋にそれぞれ設置されている。ビーコン発信機131は、BLE方式によるビーコン信号を周期的に発信する。ビーコン信号は、ビーコン発信機IDを含む。ビーコン発信機IDは、各ビーコン発信機131を検知システム100B全体で一意に識別する識別情報である。
【0028】
ビーコン受信機132は、個々の医療者によってそれぞれ所持される。ビーコン受信機132は、ビーコン信号を通信可能な範囲に検知したとき、ビーコン信号を受信し、ビーコン発信機IDを取得する。ビーコン受信機132は、自らを検知システム100B全体で一意に識別するためのビーコン受信機IDをその記憶部に記憶している。ビーコン受信機IDは、各ビーコン受信機132を所持している医療者を検知システム100B全体で一意に識別するための医療者識別情報でもある。ビーコン受信機132は、ビーコン信号を受信すると、ビーコン発信機IDとビーコン受信機IDとを含む信号を検知信号取得装置110に送信する。
なお、ビーコン受信機132は、スマートホンや携帯電話、タブレット、ノートパソコン等であってもよい。
【0029】
検知信号取得装置110は、ビーコン受信機132からビーコン発信機IDとビーコン受信機IDを含む信号を受信すると、図5に示す検知信号140を繰り返して生成し、生成した検知信号140を退勤時刻決定装置200に送信する。検知信号140は、ビーコン発信機ID141と、ビーコン受信機ID142と、検知時刻143とを含む。
ビーコン発信機ID141は、所定の施設(例えば、A病院)内の所定の区域に設置されたビーコン発信機131を検知システム100B全体で一意に識別する識別情報である。ビーコン発信機ID141は、ビーコン発信機131が設置された区域を検知システム100B全体で一意に識別する区域識別情報でもある。ビーコン発信機ID141により、ビーコン発信機131が設置された施設を識別するとともに、その施設内の区域を識別することができる。
ビーコン受信機ID142は、医療者によって所持されるビーコン受信機132を検知システム100B全体で一意に識別する識別情報である。ビーコン受信機ID142は、ビーコン受信機132を所持する医療者を検知システム100B全体で一意に識別する医療者識別情報でもある。
検知時刻143は、例えば、検知信号取得装置110がビーコン受信機132からビーコン発信機ID141とビーコン受信機ID142とを含む信号を受信した時刻を示す情報である。または、検知時刻143は、ビーコン受信機132がビーコン発信機131からビーコン信号を受信した時刻を示す情報であってもよい。
【0030】
なお、検知信号取得装置110は、ビーコン受信機132からビーコン発信機IDとビーコン受信機IDとを含む信号を受信する毎に検知信号140を退勤時刻決定装置200に送信してもよいし、受信したビーコン発信機IDとビーコン受信機IDに検知時刻を付加して一旦記憶部に蓄積し、退勤時刻決定装置200からの送信要求に応答して、検知信号140をまとめて退勤時刻決定装置200に送信してもよい。
また、検知信号取得装置110は無くても良く、ビーコン受信機132が検知信号140を生成し、生成した検知信号140を退勤時刻決定装置200に送信する構成とすることもできる。
ビーコン発信機ID141は本発明の発信機識別情報の例であり、ビーコン受信機ID142は本発明の受信機識別情報の例である。
【0031】
図6は、検知システム100の構成の第3の例100Cを示す。
検知システム100Cは、RFタグ151とRFタグ読取機152とを有する。RFタグ読取機152は無線または有線でネットワーク10に接続されている。
RFタグ151は、個々の医療者によってそれぞれ所持される。RFタグ151は、例えばUHF帯(920MHz帯)のパッシブタグである。RFタグ151には、タグIDが付与されている。タグIDは、RFタグ151を検知システム100C全体で一意に識別する識別情報である。タグIDは、各RFタグ151を所持している医療者を検知システム100C全体で一意に識別する医療者識別情報でもある。
RFタグ読取機152は、所定の施設(例えば、A病院)の各出入口や、施設内の各部屋にそれぞれ設置されている。RFタグ読取機152は、自らを検知システム100C全体で一意に識別するための読取機IDをその記憶部に記憶している。RFタグ読取機152は、周期的に繰り返して電波を発信する。RFタグ151は、RFタグ読取機152からの電波を受信すると電力を生じて動作し、タグIDを含むタグ信号をRFタグ読取機152に送信する。RFタグ読取機152は、タグ信号を受信すると、検知信号160(図7参照)を生成し、生成した検知信号160を退勤時刻決定装置200に送信する。
RFタグ読取機152とRFタグ151とが通信可能な距離は、6m程度である。
【0032】
図7に示すように、検知信号160は、タグID161と、読取機ID162と、検知時刻163とを含む。
タグID161は、医療者によって所持されるRFタグ151を検知システム100C全体で一意に識別する識別情報である。タグID161は、RFタグ151を所持する医療者を検知システム100C全体で一意に識別する医療者識別情報でもある。
読取機ID162は、所定の施設(例えば、A病院)内の所定の区域に設置されたRFタグ読取機152を検知システム100C全体で一意に識別する識別情報である。読取機ID162は、RFタグ読取機152が設置された区域を検知システム100C全体で一意に識別する区域識別情報でもある。読取機ID162により、RFタグ読取機152が設置された施設を識別するとともに、その施設内の区域を識別することができる。
検知時刻163は、例えば、RFタグ読取機152がRFタグ151からタグ信号を受信した時刻を示す情報である。
【0033】
なお、上記ではRFタグ151はパッシブタグとしたが、RFタグ読取機152が発信する電波とRFタグ151との角度によってはRFタグ151がRFタグ読取機152の電波を受信できないため、RFタグ151がタグ信号を送信できないおそれがある。このため、RFタグ読取機152の設置場所には制限が生じる。
また、例えば、米Mojix社のSTAR systemは、RFタグへの電力供給用送信機とタグ信号の受信機を分離することで、UHF帯(920Hz帯)のパッシブタグから広い範囲でタグ信号を読み取ることを可能としている。検知システム100Cでも、RFタグへの電力供給用送信機とタグ信号の受信機を分離することとしてもよい、
また、RFタグ151は、パッシブタグではなく、アクティブタグやセミアクティブタグであってもよい。
RFタグ151は、本発明の発信機の例であり、タグID161は本発明の発信機識別情報の例である。また、RFタグ読取機152は本発明の受信機の例であり、読取機ID162は本発明の受信機識別情報の例である。
【0034】
図8は、退勤時刻決定装置200の構成の一例を示す。
退勤時刻決定装置200は、CPUと、RAM等で構成される主メモリと、ハードディスク等で構成される記憶部250とを備える。退勤時刻決定装置200は、例えば、コンピュータで実現することができる。また、退勤時刻決定装置200は、例えば、クラウドコンピューティングで実現することができる。
退勤時刻決定装置200の記憶部250には、医療者テーブル260と、滞在施設テーブル270と、退勤時刻決定プログラム290とが格納されている。
退勤時刻決定装置200のCPUが記憶部250から主メモリに退勤時刻決定プログラム290を読み出して実行することにより、検知部210と、未検知時間帯決定部220と、退勤時刻決定部230と、出勤時刻決定部240と、出力部245との各部の機能が実現される。
【0035】
図9は、医療者テーブル260の一例を示す。
医療者テーブル260には、医療者情報が登録されている。医療者情報は、医療者ID261と、医療者名262と、施設名263と、施設ID264とを含む。
医療者ID261は、医療者を検知システム100A全体で一意に識別する識別情報である。図2の検知システム100Aの場合、医療者ID261は図3の検知信号120に含まれるビーコン発信機ID121に対応する。
医療者名262は、ビーコン発信機101を所持する医療者の名前である。
施設名263は、医療者が勤務する勤務先の施設の名称である。
施設ID264は、勤務先の施設を検知システム100A全体で一意に識別する識別情報である。
【0036】
なお、図9は、検知システム100が図2の検知システム100Aである場合の例である。
検知システム100が図4の検知システム100Bである場合、医療者ID261は図5の検知信号140に含まれるビーコン受信機ID142に対応する。医療者名262は、ビーコン受信機132を所持する医療者の名前である。
また、検知システム100が図6の検知システム100Cである場合、医療者ID261は図7の検知信号160に含まれるタグID161に対応する。医療者名262は、RFタグ151を所持する医療者の名前である。
【0037】
図10は、滞在施設テーブル270の一例を示す。
滞在施設テーブル270には、滞在施設情報が登録されている。滞在施設情報は、区域ID271と、施設名272と、施設ID273と、区域名274とを含む。
区域ID271は、所定の施設(例えば、A病院)内の所定の区域を検知システム100A全体で一意に識別する識別情報である。図2の検知システム100Aの場合、区域ID271は図3の検知信号120に含まれるビーコン受信機ID122に対応する。区域ID271により、ビーコン受信機102が設置された施設を識別することもできる。
施設名272は、区域ID271で識別される区域が含まれる施設の名称である。
施設ID273は、区域ID271で識別される区域が含まれる施設を検知システム100A全体で一意に識別する施設識別情報である。
区域名274は、区域ID271で識別される区域の名称である。
【0038】
なお、図10は、検知システム100が図2の検知システム100Aである場合の例である。
検知システム100が図4の検知システム100Bである場合、区域ID271は図5の検知信号140に含まれるビーコン発信機ID141に対応する。区域ID271は、所定の施設(例えば、A病院)内の所定の区域を検知システム100B全体で一意に識別する識別情報である。施設ID273は、区域ID271で識別される区域が含まれる施設を検知システム100B全体で一意に識別する施設識別情報である。
また、検知システム100が図6の検知システム100Cである場合、区域ID271は図7の検知信号160に含まれる読取機ID162に対応する。区域ID271は、所定の施設(例えば、A病院)内の所定の区域を検知システム100C全体で一意に識別する識別情報である。施設ID273は、区域ID271で識別される区域が含まれる施設を検知システム100C全体で一意に識別する施設識別情報である。
【0039】
以下に、退勤時刻決定装置200の各部の詳細について説明する。以下では、図2の検知システム100Aを例として説明するが、図4の検知システム100Bと図6の検知システム100Cについても同様である。
検知部210は、検知システム100Aから送信される検知信号を受信すると、検知信号120に含まれる検知時刻123を検知時刻として特定し、取得する。
なお、検知部210は、検知信号120に含まれる検知時刻123ではなく、検知システム100Aから送信される検知信号120を退勤時刻決定装置200が受信した時刻を検知時刻として特定し、取得してもよい。
【0040】
次に、検知部210は、検知信号120に含まれるビーコン発信機ID121をキーとして医療者テーブル260を検索し、ビーコン発信機ID121を含む医療者情報を取得してビーコン発信機101を所持している医療者を特定する。また、検知部210は、検知信号120に含まれるビーコン受信機ID122をキーとして滞在施設テーブル260を検索し、ビーコン受信機ID122を含む滞在施設情報を取得し、取得した滞在施設情報に含まれる施設名272と施設ID273によりその医療者が滞在している施設を特定する。
【0041】
検知部210は、医療者が滞在していると特定された施設がその医療者の勤務先施設である場合に、滞在情報280を作成して取得する。すなわち、検知部210は、まず、ビーコン発信機ID121をキーとして医療者テーブル260を検索したときに検索された医療者情報から施設ID264を取得する。そして、検知部210は、この施設ID264がビーコン受信機ID122をキーとして滞在施設テーブル270を検索したときに取得した施設ID273と一致したときに滞在情報280を作成して取得する。
【0042】
滞在情報280は、図11に示すように、医療者ID281と、施設ID282と、検知時刻283とを含む。
医療者ID281は、医療者を検知システム100A全体で一意に識別する識別情報である。医療者ID281は、図9の医療者テーブル260に格納されている医療者情報に含まれる医療者ID261に対応する。
施設ID282は、施設を検知システム100A全体で一意に識別する施設識別情報である。施設ID282は、図10の滞在施設テーブル270に格納されている滞在施設情報に含まれる施設ID273に対応する。
検知時刻283は、例えば、検知信号120に含まれる検知時刻123である。
【0043】
次に、本実施形態における退勤時刻および出勤時刻の決定方法について説明する。
本実施形態における退勤時刻および出勤時刻の決定条件は、退勤時刻と出勤時刻の間隔が所定の退勤判定時間以上であり、かつ出勤時刻が24時を超えていることである。
医療者は退勤した直後にオンコール等により施設に戻ったり、施設の外で短時間の休憩を取って施設に戻ったりする場合がある。このような短時間の外出で退勤時刻と出勤時刻を決定することは望ましくない。
また、例えば休憩室のように、施設内にビーコン受信機102が設置されていない区域が存在する場合がある。医療者がこのような区域に短時間滞在し、施設内のビーコン受信機102が設置されている区域に戻った時に退勤時刻と出勤時刻を決定することは望ましくない。
このように短時間の外出や休憩等で退勤時刻と出勤時刻が決定されることを防ぐために、本実施形態では、退勤時刻と出勤時刻の間隔が退勤判定時間以上であることを退勤時刻および出勤時刻の決定条件の一つとしている。
なお、退勤判定時間は本発明における所定の時間の例である。
【0044】
図12は、退勤時刻と出勤時刻の第1の例を示す。
図12は、医療者が19時で一旦退勤したが、23時30分にオンコールで呼び出され、午前3時まで勤務して再度退勤し、午前8時に出勤した例である。この例では、退勤判定時間は3時間である。
この第1の例では、午前3時~午前8時の時間帯の間隔は5時間であり、退勤判定時間以上である。そして、その時間帯の終わりは8時であり、24時を超えている。午前3時~午前8時の時間帯は、本実施形態における退勤時刻と出勤時刻の判定条件を満たす。このため、午前3時が退勤時刻、午前8時が出勤時刻と決定される。
なお、19時から23時30分の時間帯は、間隔が4時間30分であり、退勤判定時間以上である。しかし、その時間帯の終わりは23時30分であり、24時前である。この時間帯は、本実施形態における退勤時刻および出勤時刻の条件を満たしていない。
【0045】
図12の中の縦の破線は、滞在情報280を示す。縦の破線は、滞在情報280に含まれる検知時刻283に対応する位置に描かれている。医療者が施設に滞在している間、滞在情報280が取得される。ビーコン発信機101のビーコン信号を受信可能な距離にビーコン受信機102があったとしても、ビーコン受信機102がビーコン信号の受信をミスする場合がある。このため、滞在情報280の間隔は少し空く場合がある。本実施形態では、滞在情報280の間隔が少し空いていたとしても、医療者の滞在情報280に含まれる検知時刻283に基づいて一連の滞在情報280が連続的に取得されていたとみなされる時間帯を検知時間帯という。そして、検知時間帯に含まれる一連の滞在情報280が途切れた時刻に始まり、かつ退勤判定時間以上の間滞在情報280を取得できなかった時間帯を未検知時間帯という。
図12の例では、19時まで、23時30分~午前3時、および午前8時以降は、検知時間帯である。19時~23時30分、および午前3時~午前8時は未検知時間帯である。
2番目の未検知時間帯が始まる時刻(退勤時刻)は午前3時であり、それが終わる時刻(出勤時刻)は午前8時である。未検知時間帯が始まる時刻と終わる時刻の間に、滞在情報は存在しない。従って、未検知時間帯が終わる時刻は、未検知時間帯が始まる時刻に検知部210によって取得された滞在情報の次に検知部210によって取得された滞在情報に含まれる検知時刻である。
【0046】
上記を実現するために、未検知時間帯決定部220と退勤時刻決定部230と出勤時刻決定部240と出力部245とはそれぞれ以下のように動作する。
未検知時間帯決定部220は、検知部210によって取得された医療者の滞在情報280に含まれる検知時刻283に基づいて連続的に取得されていたとみなされる一連の滞在情報280が途切れた時刻(検知時間帯の終わり)に始まり、かつ退勤判定時間以上の間滞在情報を取得できなかった時間帯を未検知時間帯と決定する。なお、退勤判定時間は本発明における所定の時間の例である。
退勤時刻決定部230は、未検知時間帯決定部220によって決定された未検知時間帯の中から、終わる時刻が24時を超えている未検知時間帯を1つ選択し、選択された未検知時間帯が始まる時刻を医療者の退勤時刻と決定する。
退勤時刻決定部230によって選択された未検知時間帯が終わる時刻は、退勤時刻における滞在情報280の次に検知部210によって滞在情報280が取得されている場合、その滞在情報280に含まれる検知時刻283である。この場合、出勤時刻決定部240は、選択された未検知時間帯が終わる時刻を出勤時刻と決定する。
【0047】
各医療者と各施設の管理者は、それぞれ端末を所持している。端末はスマートホンや携帯電話、タブレット、パソコン等である。出力部245は、退勤時刻決定部230と出勤時刻決定部240によってそれぞれ決定された退勤時刻と出勤時刻を各医療者の端末および/または各施設の管理者の端末に送信することができる。端末は、退勤時刻決定装置200から送信された退勤時刻と出勤時刻を受信すると、例えば、そのディスプレイ等に退勤時刻と出勤時刻を表示する。
【0048】
図13は、退勤時刻と出勤時刻の第2の例を示す。
図13は、医療者が日勤した翌日に勤務を休んだ場合の例である。図13の第2の例では、前日19時に退勤した後、医療者が後日出勤するまで出勤時刻は不明である。この場合、退勤時刻決定部230と出勤時刻決定部240は、例えば、医療者が後日出勤した時に退勤時刻と出勤時刻を決定する。退勤時刻は19時と決定される。
ただし、この場合、図13に示すように、退勤時刻決定部230は、所定の標準出勤時刻を未検知時間帯が終わる時刻とみなして退勤時刻を決定することもできる。標準出勤時刻は、早出や遅刻の判定の基準となる時刻である。標準出勤時刻は、施設の規則としてその施設に勤務する全医療者に共通に定めてもよいし、または、各医療者の勤務状況を考慮して医療者毎に定めてもよい。図13は、午前8時が標準出勤時刻である場合の例である。退勤時刻決定部は、例えば、午前8時に退勤時刻を19時と決定する。
【0049】
図14は、退勤時刻と出勤時刻の第3の例を示す。
図14は、医療者が当直に連続して日勤した場合の例である。図14の第3の例では、当直の開始時刻から午前8時(標準出勤時刻)までの間に未検知時間帯は存在しない。この場合、退勤時刻決定部230と出勤時刻決定部240は、標準出勤時刻をそれぞれ前日の退勤時刻および当日の出勤時刻と決定する。図14の例では、退勤時刻と出勤時刻は両方とも午前8時と決定される。
【0050】
図15は、退勤判定時間が1時間と定められている場合に生じた3つの未検知時間帯の一例を示す。
図15に示すように、未検知時間帯決定部220は、複数の時間帯を未検知時間帯と決定する場合がある。図15は、医療者が23時に一旦退勤した後に、24時30分にオンコールで呼び出されて午前3時に退勤し、その後、再度午前5時にオンコールで呼び出されて午前7時に退勤した場合の例である。未検知時間帯決定部220は、23時~24時30分、午前3時~午前5時、および午前7時~午前8時の3つの時間帯を未検知時間帯と決定する。
この場合、退勤時刻決定部230は、例えば、時間的に最も早い(時間的に最も前の)未検知時間帯を選択して退勤時刻を決定することが可能である。また、退勤時刻決定部230は、例えば、時間的に最も長い未検知時間帯を選択して退勤時刻を決定することが可能である。また、退勤時刻決定部230は、例えば、時間的に最も遅い(時間的に最も後の)未検知時間帯を選択して退勤時刻を決定することが可能である。
【0051】
図15(A)は、退勤時刻決定部230が時間的に最も早い未検知時間帯を選択する例である。退勤時刻決定部230は、23時~24時30分の時間帯を未検知時間帯として選択し、23時を退勤時刻と決定する。このとき、出勤時刻決定部240は、24時30分を出勤時刻と決定する。
図15(B)は、退勤時刻決定部230が時間的に最も長い未検知時間帯を選択する例である。午前3時~午前5時が他の2つの未検知時間帯よりも長い。このため、退勤時刻決定部230は、午前3時~午前5時の時間帯を未検知時間帯として選択し、午前3時を退勤時刻と決定する。このとき、出勤時刻決定部240は、午前5時を出勤時刻と決定する。
図15(C)は、退勤時刻決定部230が時間的に最も遅い未検知時間帯を選択する例である。退勤時刻決定部230は、午前7時~午前8時の時間帯を未検知時間帯として選択し、午前7時を退勤時刻と決定する。このとき、出勤時刻決定部240は、午前8時を出勤時刻と決定する。
【0052】
退勤時刻決定部230が、未検知時間帯が終わる時に退勤時刻を決定すると、未検知時間帯が長い場合には退勤時刻が決定されるまで時間がかかる。そこで、退勤時刻決定部230は、未検知時間帯が終わる時刻が24時を超えていると判別できた時に、医療者の退勤時刻を決定することが考えられる。
例えば、退勤判定時間が3時間である場合、24時-退勤判定時間=21時である。図16(A)に示すように、未検知時間帯の始まりが21時(24時-退勤判定時間)以前である場合、退勤時刻決定部230は未検知時間帯が終わる時刻が24時を超えているか否かを24時に判別して退勤時刻を決定する。そして、出勤時刻決定部240は、出勤時刻を未検知時間帯の終わりに決定する。図16(A)の例では、退勤時刻の判別時刻は24時、退勤時刻は20時、出勤時刻は午前3時である。
一方、図16(B)に示すように、未検知時間帯の始まりが21時(24時-退勤判定時間)より後である場合には、退勤時刻決定部230は未検知時間帯の始まりから退勤判定時間が経過した時に退勤時刻を決定する。そして、出勤時刻決定部240は、出勤時刻を未検知時間帯の終わりに決定する。図16(B)の例では、退勤時刻の判別時刻は午前2時であり、退勤時刻は23時、出勤時刻は午前5時である。
【0053】
また、図15(B)のように退勤時刻決定部230が時間的に最も長い未検知時間帯を選択する場合と図15(C)のように退勤時刻決定部230が時間的に最も遅い未検知時間帯を選択する場合には、全ての未検知時間帯が確定するまで(例えば、標準出勤時刻を過ぎるまで)退勤時刻と出勤時刻を確定させることができない。しかし、医療者の端末や施設の管理者の端末に退勤時刻と出勤時刻を表示させている場合、これらはできるだけ早く表示させることが望ましい。
そこで、未検知時間帯決定部220が未検知時間帯を決定する毎に退勤時刻決定部230と出勤時刻決定部240はそれぞれ仮の退勤時刻と仮の出勤時刻を求め、出力部245が端末にそれらを送信することが考えられる。最終的な退勤時刻と出勤時刻は例えば標準出勤時刻に確定し、出力部245は標準出勤時刻にそれらを端末に送信する。
例えば、図15(C)の例では、24時30分には退勤時刻が23時、出勤時刻が24時30分と端末に表示される。午前3時から午前5時まで端末上で退勤時刻と出勤時刻の表示は消される。そして、午前5時に端末に退勤時刻が午前3時、出勤時刻が午前5時と表示される。午前7時から午前8時まで端末上で退勤時刻と出勤時刻の表示は消される。最終的に、午前8時に退勤時刻は午前7時、出勤時刻は午前8時と確定し、端末にそれらが表示される。
同様に、図15(B)のように退勤時刻決定部230が時間的に最も長い未検知時間帯を選択する場合にも、最終的に退勤時刻と出勤時刻が確定するまで、仮の退勤時刻と仮の出勤時刻を端末に表示させることができる。
【0054】
図17は、退勤時刻決定装置200における退勤時刻決定処理の流れの一例を示す。
検知部210は、検知システム100から送信される検知信号を受信すると、検知信号の検知時刻を特定する(S1)。次に、検知部210は、検知信号120に含まれるビーコン発信機ID121をキーとして医療者テーブル260を検索し、ビーコン発信機ID121を含む医療者情報を取得してビーコン発信機101を所持している医療者を特定する(S2)。また、検知部210は、検知信号120に含まれるビーコン受信機ID122をキーとして滞在施設テーブル260を検索し、ビーコン受信機ID122を含む滞在施設情報を取得し、取得した滞在施設情報に含まれる施設名272と施設ID273によりその医療者が滞在している施設を特定する(S3)。検知部210は、ステップS2で検索された医療者情報から施設ID264を取得する(S4)。そして、ステップS3で取得した施設ID273とステップS4で取得した施設ID264とが一致したならば(S5:Yes)、検知部210は滞在情報280を作成して取得する(S6)。
一方、施設ID273と施設ID264とが一致しないならば(S5:No)、例えば、ステップS1に戻って次の検知信号の受信を待つ。
【0055】
続いて、未検知時間帯決定部220は、検知部210によって取得された医療者の滞在情報280に含まれる検知時刻283に基づいて連続的に取得されていたとみなされる一連の滞在情報280が途切れた時刻(検知時間帯の終わり)に始まり、かつ退勤判定時間以上の間滞在情報を取得できなかった時間帯を未検知時間帯と決定する(S7)。
次に、退勤時刻決定部230は、未検知時間帯決定部220によって決定された未検知時間帯の中から、終わる時刻が24時を超えている未検知時間帯を1つ選択し、選択された未検知時間帯が始まる時刻を医療者の退勤時刻と決定する(S8)。
次に、退勤時刻決定部230によって選択された未検知時間帯が終わる時刻が退勤時刻における滞在情報280の次に検知部210によって取得された滞在情報280に含まれる検知時刻283である場合に、出勤時刻決定部240は選択された未検知時間帯が終わる時刻を出勤時刻と決定する(S9)。
【0056】
退勤時刻決定装置200は、医療者の勤務先が複数存在する場合であっても、勤務先が1つの場合と同様に動作する。
図18図19は、医療者(山田孝雄)がA病院とB病院の2つの施設で勤務する場合の医療者テーブル260と滞在施設テーブル270の例を示す。
医療者ID261=6993の山田孝雄は、例えば本務先がA病院であり、兼務先がB病院である。山田孝雄はA病院とB病院で診療を行う。ビーコン受信機102はA病院とB病院に設置されている。図18に示すように、医療者テーブル260の山田孝雄の医療者情報には施設名263=A病院と施設ID264=1643、および施設名263=B病院と施設ID264=5172とが設定されている。この場合、図20に示すように、山田孝雄が午前中はA病院で診察を行い、B病院に移動して14時から19時までB病院で診察を行うと、退勤時刻決定部230は19時を退勤時刻と決定する。
このように、施設の管理者等が本務先のA病院と兼務先のB病院の両方の勤務を通して山田孝雄の退勤時刻を把握したい場合には、医療者テーブル260の山田孝雄の医療者情報にA病院の施設名263と施設ID264=1643、およびB病院の施設名263と施設ID264=5172を設定すればよい
【0057】
なお、音波を用いて医療者の滞在施設を特定する方法が知られている。この方法では、例えばスピーカーから高周波帯の音波のビーコンを発信し、マイクで受信することにより医療者の滞在施設を特定する。上述した実施形態では、医療者の滞在施設を特定する方法としてBLE方式のビーコンを用いる方法とRFIDを用いる方法とを示したが、本発明では、医療者の滞在施設を特定できる方法であれば、音波を用いる方法等の別の方法を用いることもできる。音波を用いる方法の場合、スピーカーが本発明の発信機であり、マイクが本発明の受信機である。
【0058】
以上説明したように、本発明によれば、オンコールで呼び出されて日付をまたいで勤務する可能性がある医療者の退勤時刻を決定することができる。
また、本発明は退勤時刻と出勤時刻の間隔が退勤判定時間以上であることを退勤時刻と出勤時刻の決定条件の一つとしている。このため、本発明によれば、短時間の外出や休憩等によって退勤時刻と出勤時刻が決定されることを防ぐことができる。
【0059】
また、退勤時刻決定システム1によれば、医療者が複数の施設(例えば本務先と兼務先)に滞在していた各滞在時間を容易に求めることができる。検知部210は、医療者が各施設に滞在している間、施設毎の滞在情報280を取得する。施設毎の滞在情報280に基づいて検知時間帯を施設毎に求めることにより、施設毎の滞在時間を求めることができる。また、施設毎の滞在時間を合計することにより総滞在時間を求めることができる。
例えば、退勤時刻決定システム1によれば、医療者の本務先がA病院であり、兼務先がB病院である場合に、その医療者についてA病院とB病院における各滞在時間を求めるが、その医療者が退勤したことはA病院の滞在情報280のみで判定することもできる。
【0060】
以上、本発明の実施形態について説明したが、設計または開発上の都合やその他の要因によって必要となる様々な修正や組み合わせは、請求項に記載されている発明や発明の実施形態に記載されている具体例に対応する発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0061】
1…退勤時刻決定システム、10…ネットワーク、100,100A,100B,100C…検知システム、101…ビーコン発信機、102…ビーコン受信機、110…検知信号取得装置、120…検知信号、131…ビーコン発信機、132…ビーコン受信機、140…検知信号、151…RFタグ、152…RFタグ読取機、160…検知信号、200…退勤時刻決定装置、210…検知部、220…未検知時間帯決定部、230…退勤時刻決定部、240…出勤時刻決定部、245…出力部、250…記憶部、260…医療者テーブル、270…滞在施設テーブル、280…滞在情報、290…退勤時刻決定プログラム

【要約】
【課題】日付をまたいで勤務する医療者の退勤時刻を決定する。
【解決手段】検知システムに含まれる発信機と受信機は、一方が医療者によって所持され、他方が1つ以上の施設に設置されている。検知部210は、検知システムから送信される検知信号を受信すると、検知信号の検知時刻を特定し、検知信号に含まれる発信機識別情報と受信機識別情報とに基づいて医療者とその医療者の滞在施設とを特定し、検知時刻を含む医療者の滞在情報を取得する。未検知時間帯決定部220は、医療者の滞在情報に含まれる検知時刻に基づいて連続的に取得されていたとみなされる一連の滞在情報が途切れた時刻に始まり、かつ所定の時間以上滞在情報を取得できなかった時間帯を未検知時間帯と決定する。退勤時刻決定部230は、決定された未検知時間帯の中から終わる時刻が24時を超えている未検知時間帯を1つ選択し、その未検知時間帯が始まる時刻を医療者の退勤時刻と決定する。
【選択図】図8
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