IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大澤 明子の特許一覧

<>
  • 特許-遮蔽物 図1
  • 特許-遮蔽物 図2
  • 特許-遮蔽物 図3
  • 特許-遮蔽物 図4
  • 特許-遮蔽物 図5
  • 特許-遮蔽物 図6
  • 特許-遮蔽物 図7
  • 特許-遮蔽物 図8
  • 特許-遮蔽物 図9
  • 特許-遮蔽物 図10
  • 特許-遮蔽物 図11
  • 特許-遮蔽物 図12
  • 特許-遮蔽物 図13
  • 特許-遮蔽物 図14
  • 特許-遮蔽物 図15
  • 特許-遮蔽物 図16
  • 特許-遮蔽物 図17
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-04
(45)【発行日】2022-03-14
(54)【発明の名称】遮蔽物
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/12 20060101AFI20220307BHJP
【FI】
H04R1/12
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020193934
(22)【出願日】2020-11-23
【審査請求日】2021-01-23
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520459300
【氏名又は名称】大澤 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100145861
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 薫
(72)【発明者】
【氏名】大澤 明子
【審査官】堀 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特許第6738507(JP,B1)
【文献】特開平06-324685(JP,A)
【文献】NKラボ(NK lab)マイク用飛沫防止シールド 10枚組,[online],2020年07月01日,第1-5頁,[令和3年8月27日検索],インターネット <URL:https://www.amazon.co.jp>
【文献】マイクメーカー開発!ウィルス対策用 飛沫防止 TSマイクシールド,[online],2020年06月18日,第1-4頁,[令和3年8月27日検索],インターネット <URL:https://www.superdelivery.com/p/r/pd_p/8220534/>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/12
H04R 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
音を集音する集音装置を使用するユーザの顔を遮蔽するための遮蔽部を有し、
前記集音装置は、前記ユーザが手に持つ持ち手部と、前記持ち手部の先端側に前記ユーザの音声を集音するための集音部が設けられ、前記遮蔽部を、基端側を前記持ち手部の上部側であって前記集音部の下方側に取り付けつつ、前記集音部に当接するように支持することにより、前記集音装置の持ち手部に対し傾斜するように取り付け、前記集音装置の持ち手部に対する前記遮蔽部の傾斜角度を5°~30°に設定するとともに、前記遮蔽部は、前記集音装置の先端側から突出する突出部を有し、前記突出部の高さ寸法を2cm~8cmとし、前記集音装置を前記ユーザの前記顔に対して傾斜させて交差させつつ前記集音装置の先端側をユーザの口と対向するように位置させた状態で、前記集音装置の前記ユーザの前記顔に対する交差角度よりも鋭角的に小さい交差角度で前記遮蔽部を前記ユーザの顔に傾斜して交差するように対向させ、
前記遮蔽部の基端側に前記音が外部に漏れるようにする穴を設けることを特徴とする遮蔽物。
【請求項2】
前記遮蔽部は、前記集音装置に取り付けられ、前記ユーザの口と外部とを遮蔽することを特徴とする請求項1に記載の遮蔽物。
【請求項3】
前記遮蔽部は、前記集音装置における先端側の前記ユーザの音声を集音するための集音部を覆う覆い部を有することを特徴とする請求項1に記載の遮蔽物。
【請求項4】
前記遮蔽部は、欠け部を有することを特徴とする請求項1に記載の遮蔽物。
【請求項5】
前記欠け部は、曲線状に欠けた形状とすることを特徴とする請求項4に記載の遮蔽物。
【請求項6】
前記欠け部は、前記遮蔽部の先端側および基端側の隅部に設けることを特徴とする請求項4に記載の遮蔽物。
【請求項7】
前記欠け部は、矩形状の前記遮蔽部の先端側および基端側の隅部に設けられ、前記基端側の欠け部の大きさと前記先端側の欠け部の大きさを異なる大きさに設定することを特徴とする請求項6に記載の遮蔽物。
【請求項8】
前記欠け部は、矩形状の前記遮蔽部の先端側および基端側の隅部に設けられ、前記基端側の欠け部の大きさを前記先端側の欠け部の大きさよりも大きく設定することを特徴とする請求項6に記載の遮蔽物。
【請求項9】
前記穴は、楕円形とすることを特徴とする請求項1に記載の遮蔽物。
【請求項10】
前記遮蔽部を前記集音装置に取り付けるための取り付け部を有することを特徴とする請求項1に記載の遮蔽物。
【請求項11】
前記遮蔽部の先端側に凹部を設けることを特徴とする請求項1に記載の遮蔽物。
【請求項12】
前記凹部は、曲線状とすることを特徴とする請求項11に記載の遮蔽物。
【請求項13】
前記凹部の裏面側に前記凹部の裏面側と前記ユーザとの間に介在する介在部材を設けることを特徴とする請求項11に記載の遮蔽物。
【請求項14】
前記介在部材は、弾力性のある材料で構成することを特徴とする請求項13に記載の遮蔽物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遮蔽物に関し、特に音を集音する集音装置を使用するユーザの顔を遮蔽するための遮蔽部を有する遮蔽物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年はコロナウイルスによる感染症が蔓延しており、特許文献1および特許文献2に示すようにマスクやフェイスシールド等の飛沫防止対策が必須となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実用新案登録第3228111号
【文献】実用新案登録第3227932号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、コロナウイルスによる飛沫感染は、飲食店等の屋内で発生することも多くなっている。例えば、カラオケを伴う飲食店では、ユーザが集音装置(マイク)を介して音声を発するときに通常よりも大きな音声を発することが多く、飛沫感染の一因として指摘されていた。このため、このような集音装置(マイク)を介してユーザが音声を発する際の飛沫感染を防止する手段の開発が急務となっていた。
【0005】
本願発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、集音装置の使用を介してのユーザからの飛沫の防止を可能とする遮蔽物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、遮蔽物に係る発明は、音を集音する集音装置を使用するユーザの顔を遮蔽するための遮蔽部を有することを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、音を集音する集音装置を使用するユーザの顔を遮蔽するための遮蔽部を有することとしたので、集音装置の使用を介してのユーザからの飛沫の防止を可能とする遮蔽物を提供することができる。
【0008】
前記遮蔽部は、前記集音装置に取り付けられ、前記ユーザの口と外部とを遮蔽することとすれば、ユーザの口を介しての飛沫を防止することが可能となる。
【0009】
前記遮蔽部は、前記集音装置の先端側から突出する突出部を有することとすれば、ユーザの口を確実に遮蔽することが可能となる。
【0010】
前記遮蔽部は、前記集音装置における先端側の前記ユーザの音声を集音するための集音部を覆う覆い部を有することとすれば、ユーザの口を覆いつつユーザの音声を集音することができる。
【0011】
前記遮蔽部は、欠け部を有することとすれば、ユーザの口を介しての飛沫を防止しつつ欠け部を介して音を程よく外部に漏れるようにすることが可能となり音声がこもることを少なくすることができる。
【0012】
前記欠け部は、曲線状に欠けた形状とすることとすれば、音声が更に程よく外部に漏れるようにすることが可能となる。
【0013】
前記欠け部は、前記遮蔽部の先端側および基端側の隅部に設けることとすれば、遮蔽部の先端側および基端側の隅部のいずれもから音を程よく外部に漏れるようにすることが可能となる。
【0014】
前記基端側の欠け部の大きさと前記先端側の欠け部の大きさを異なる大きさに設定することとすれば、音の漏れのバランスを先端側と基端側で異ならせることができる。
【0015】
前記基端側の欠け部の大きさを前記先端側の欠け部の大きさよりも大きく設定することとすれば、基端側の音の漏れが相対的に大きくなり、更に一層音を程よく外部に漏れるようにすることが可能となる。
【0016】
前記遮蔽部の基端側に穴を設けることとすれば、穴からも音が外部に漏れるようにすることが可能となる。前記穴は、楕円形とすることができる。
【0017】
前記遮蔽部を前記集音装置に取り付けるための取り付け部を有することとすれば、遮蔽部を集音装置に取り付けることができる。
【0018】
前記集音装置は、前記ユーザが手に持つ持ち手部と、前記持ち手部の先端側に前記ユーザの音声を集音するための集音部が設けられ、前記遮蔽部を、基端側を前記持ち手部の上部側であって前記集音部の下方側に取り付けつつ、前記集音部に当接するように支持することにより、前記集音装置の持ち手部に対し傾斜するように取り付けることとすれば、ユーザの口と対向するように遮蔽部を集音装置に取り付けることが可能となる。
【0019】
前記遮蔽部の先端側に凹部を設けることとすれば、例えば、前記凹部を、前記ユーザが前記集音装置を使用するときに、前記遮蔽部の先端側が前記ユーザの鼻の上部または前記鼻の上部の近傍に位置するように位置決めするための位置決め部として機能させることにより、遮蔽部の先端側をユーザの鼻の上部または鼻の上部の近傍に位置するように位置決めして遮蔽部がユーザの口を遮蔽し、遮蔽部によるユーザの口を介して飛沫を確実に防止することが可能となる。
【0020】
前記凹部は、曲線状とすることとすれば、凹部の形状をユーザの鼻の上部または鼻の上部の近傍の形状に対応させることが可能となる。
【0021】
前記凹部の裏面側に前記凹部の裏面側と前記ユーザとの間に介在する介在部材を設けることができる。
【0022】
すなわち、前記介在部材は、弾力性のある材料で構成することとすれば、凹部がユーザの顔に接触することによる痛みや違和感を少なくすることが可能となる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、集音装置の使用を介してのユーザからの飛沫の防止を可能とする遮蔽物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施形態に係る遮蔽物を取り付けた集音装置をユーザが使用する状態を示す右側面図である。
図2】同遮蔽物を集音装置に取り付けた状態を示す正面図である。
図3】同遮蔽物を集音装置に取り付けた状態を示す右側面図である。
図4】同遮蔽物を集音装置に取り付けた状態を示す左側面図である。
図5】同遮蔽物における遮蔽部の構成を示す平面図である。
図6】同遮蔽物における取り付け部の構成を示す図で、(a)は平面図、(b)は側面図である。
図7】同遮蔽物の集音装置への取り付け方法を説明するための図である。
図8】同遮蔽物の集音装置への取り付け方法を説明するための図7に続く図である。
図9】同遮蔽物の比較例を示す図である。
図10】同遮蔽物の他の比較例を示す図である。
図11】同遮蔽物の変形例の構成を示す平面図である。
図12】同遮蔽物の別の変形例の構成を示す平面図である。
図13】同遮蔽物の更に別の変形例の構成を示す平面図である。
図14】同遮蔽物の他の変形例の構成を示す平面図である。
図15】同遮蔽物の対比例を示す平面図である。
図16】同遮蔽物の別の対比例を示す平面図である。
図17】同遮蔽物の更に別の対比例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態に係る遮蔽物を取り付けた集音装置をユーザが使用する状態を示す右側面図、図2は、同遮蔽物を集音装置に取り付けた状態を示す平面図、図3は、同遮蔽物を集音装置に取り付けた状態を示す右側面図、図4は、同遮蔽物を集音装置に取り付けた状態を示す左側面図、図5は、同遮蔽物における遮蔽部の構成を示す平面図、図6は、同遮蔽物における取り付け部の構成を示す平面図である。なお、以下の説明においては、ユーザUを基準に各方向を定めるものとし、ユーザUの前方側を前方(正面側)、ユーザUの後方側を後方(背面側)、正面側から見てユーザUの右側を右方(側方)、ユーザUの左側を左方(側方)、ユーザUの上方側(頭上側)を上方、ユーザUの下方側(脚側)を下方とし、各方向を図中に示すものとする。
【0026】
図1図6を参照して本発明の実施形態に係る遮蔽物1の概要を説明すると、遮蔽物1は、遮蔽部10と取り付け部20を有している。
【0027】
遮蔽部10は、音より詳しくは音声を集音する集音装置100を使用するユーザUの顔U1を前方側の外部に対し遮蔽するためのものである。
【0028】
遮蔽部10は、樹脂やプラスチック等で形成された薄い板状をなしており、集音装置100の外面に沿って湾曲するように取り付けられている。遮蔽物1は、集音装置100をユーザUの顔U1に対して傾斜させて交差させつつ集音装置100の先端100a側をユーザUの口U2と対向(集音装置100の先端100a側がユーザUの口U2よりも若干下側にくるように対向)するように位置させた状態で、集音装置100のユーザUの顔U1に対する交差角度αよりも鋭角的に小さい交差角度βで遮蔽部10をユーザUの顔U1に傾斜して交差するように対向させることができる。
【0029】
遮蔽物1は、遮蔽部10を、遮蔽部10の先端10a側がユーザUの鼻U3の上部または鼻U3の上部の近傍に位置するように、かつ、ユーザUの口U2を前方側の外部に対し遮蔽するように集音装置100に取り付けられる構成とすることができる。
【0030】
ここで、集音装置100は、持ち手部101と集音部102を有している。持ち手部101は、ユーザUが手に持つ棒状の部位である。集音部102は、持ち手部101の先端101a側に球状等の立体形状をなして膨出するように設けられている。集音部102は、ユーザUの音声を集音するための部位である。遮蔽物1は、遮蔽部10の基端10b側を取り付け部20により持ち手部101の上部側であって集音部102の下方側に取り付けられている。遮蔽物1は、遮蔽部10の中間部を膨出する集音部102に当接するように支持することにより、遮蔽部10を集音装置100の棒状の持ち手部101に対し傾斜するように取り付けることができる。集音装置100の持ち手部101に対する遮蔽部10の稜線部10´の傾斜角度γは、5°~30°に設定することが好ましく、7°~20°にすることが更に好ましく、10°~15°にすることが更に一層好ましい。
【0031】
遮蔽部10は、突出部10cを有しており、突出部10cは、集音装置100に取り付けたときに集音装置100の先端100a側から上方側に突出する部分である。また、突出部10cは、遮蔽部10の上下方向の中間から先端10aに達する部分である。
【0032】
ま遮蔽部10は、非突出部10dを有しており、非突出部10dは、集音装置100における先端100a側から突出しない部分である。また、非突出部10dは、遮蔽部10の上下方向の基端10b側から中間に達する部分である。非突出部10cは、集音装置100の先端100a側の集音部101を覆うための覆い部10dとして機能している。
【0033】
遮蔽部10は、例えば、突出部10cの高さ寸法hを2cm~8cmとすることができる。すなわち、遮蔽部10は、例えば、高さ寸法Hを7cm~20cm、突出部10cの高さ寸法hを2cm~8cmとすることができ、覆い部10dの高さ寸法h´を5cm~12cmとすることができる。
【0034】
遮蔽部10は、より好ましくは、高さ寸法Hを10cm~17cm、突出部10cの高さ寸法hを3cm~7cmとすることができ、覆い部10dの高さ寸法h´を7cm~10cmとすることができる。遮蔽部10は、幅寸法Wを10cm~32cmとすることができ、遮蔽部10は、より好ましくは、幅寸法Wを15cm~27cmとすることができる。
【0035】
また、遮蔽部10は、隅部に欠け部10a1,10a2,10b1,10b2を有する構成としている。
【0036】
欠け部10a1,10a2,10b1,10b2は、遮蔽部10の隅部を曲線状に切り欠いて欠けた形状とすることができ、より詳しくは、欠け部10a1,10a2,10b1,10b2は、隅部を円弧状に切り欠いて欠けた形状とすることができる。欠け部10a1,10a2,10b1,10b2は、遮蔽部10の先端10a側および基端10b側のいずれの隅部にも設けることができる。
【0037】
遮蔽部10は、基端10b側の欠け部10b1,10b2の大きさを先端10a側の欠け部10a1,10a2の大きさよりも大きく設定することができる。数式1に示す先端10a側の欠け部10a1,10a2の面積S1に対する基端10b側の欠け部10b1,10b2の面積S2の比Sは、1.2~2.6とすることが好ましく、1.5~2.3とすることが更に好ましい。
[数式1]
S=S2/S1
【0038】
更に、遮蔽部10には、基端10b側の中央部に穴11が設けられている。穴11は複数設けられており、楕円形とすることができる。穴11の大きさは幅寸法Aを2mm~10mmより好ましくは4mm~8mm、高さ寸法Bを4mm~14mmより好ましくは7mm~11mmとすることができる。
【0039】
取り付け部20は、遮蔽部10を集音装置100に取り付けるためのものである。取り付け部20は、遮蔽部10を集音装置100に係合して取り付けることができる。取り付け部20は、雄釦20aおよび雌釦20bを有している。すなわち、取り付け部20は、雌釦20bを集音装置100側に固定して設け、雄釦20aを遮蔽部10側に設けることができる。
【0040】
遮蔽部10には、孔12が設けられている。孔12は、雄釦20aを挿通するためのものであり、取り付け部20は、孔12を介して雄釦20aおよび雌釦20bを係合し遮蔽部10を集音装置100に取り付けることができる。上記した穴11は、上下方向における孔12と遮蔽部10の基端10b側との間に設けられている。
【0041】
ここで、取り付け部20は、雄釦20aを保持するための保持体21を有している。保持体21は、樹脂やプラスチック等で形成された薄い板状体であり、板状体の一方の面に雄釦20aの頭部20a´を保持しつつ雄釦20aの突出する係合部20a´´を露出するように保持することができる。取り付け部20は、保持体21を介して雄釦20aを遮蔽部10側に設けることができる。なお、保持体21は、隅部に欠け部21aを有することとしている。
【0042】
以上のように構成された遮蔽物1の集音装置100への取り付け方法を説明すると次のようになる。
すなわち、図7に示すように、取り付け部20の雌釦20bを集音装置100側に設ける。雌釦20bは、集音装置100の持ち手部101の上部側であって集音部102の下方側に設ける。
【0043】
次いで、図8に示すように、遮蔽部10の孔12に雌釦20bが嵌め込まれるように遮蔽部10を集音装置100に設ける。
【0044】
続いて、図2に示すように、取り付け部20の雄釦20aを遮蔽部10の孔12に挿通しつつ雌釦20bと係合させる。これにより、遮蔽物1を集音装置100に取り付けることができる。
【0045】
以上説明したように本発明によれば、遮蔽物1は、ユーザUの顔U1を前方側の外部に対し遮蔽するための遮蔽部10を有することとしたので、集音装置100の使用を介してのユーザUからの飛沫の防止をすることができる。
【0046】
また、遮蔽部10は、ユーザUの口U2を遮蔽するように集音装置100に取り付けることとしたので、ユーザUの口U2を介しての飛沫を防止することが可能となる。
【0047】
更に、遮蔽部10は、集音装置100の先端100a側から突出する突出部10cを有することとしたので、ユーザUの口U2を確実に遮蔽することが可能となる。
【0048】
更にまた、突出部10cは、高さ寸法を2cm~8cmより好ましくは3cm~7cmとすることとしたので、遮蔽物1は、集音装置100をユーザUの顔U1に対して傾斜させて交差させつつ集音装置100の先端100a側をユーザUの口U2と対向(集音装置100の先端100a側がユーザUの口U2よりも若干下側くるように対向)するように位置させた状態で、遮蔽部10をユーザUの顔U1に傾斜して交差するように対向させることが可能となる。
【0049】
すなわち、図9に示すように、突出部10cの高さ寸法を8cmを超えて設定した場合にあっては、遮蔽部10をユーザUの顔U1に傾斜して交差するように対向させることとすると、集音装置100の先端100a側とユーザUの口U2との距離が大きくなり、ユーザUが使用し辛くなる。
【0050】
このため、突出部10cの高さ寸法を8cmを超えて設定した場合にあっては、図10に示すように、集音装置100の先端側100aをユーザUの顔と平行するように使用することとなるため、集音性能を低下させることとなる。
つまり、突出部10cの高さ寸法を2cm~8cmより好ましくは3cm~7cmとすることで、集音性能の向上を図ることができる集音装置100の使用方法にも繋がる。
【0051】
更にまた、遮蔽部10は、集音部102を覆うための覆い部10bを有することとしたので、ユーザUの口U2を覆いつつユーザUの音声を集音することができる。
【0052】
また更に、遮蔽部10は、隅部に欠け部10a1,10a2,10b1,10b2を有することとしたので、ユーザUの口U2を介しての飛沫を防止しつつ欠け部10a1,10a2,10b1,10b2を介して隅部から音を程よく外部に漏れるようにすることが可能となり音声がこもることを少なくすることができる。また、遮蔽部10の先端10a側に欠け部10a1,10a2を設けることで先端10aをユーザUの顔U1に近付けることができる。更に、ユーザUの顔U1の形状にも適応し易くなりフィット感を向上させることができる。
【0053】
また、欠け部10a1,10a2,10b1,10b2は、隅部を曲線状に切り欠いて欠けた形状とすることとしたので、音が更に程よく外部に漏れるようにすることが可能となる。
【0054】
更に、欠け部10a1,10a2,10b1,10b2は、遮蔽部10の先端10a側および基端10b側の隅部に設けることとしたので、遮蔽部10の先端10a側および基端10b側の隅部のいずれもから音を程よく外部に漏れるようにすることが可能となる。
【0055】
更にまた、基端10b側の欠け部10b1,10b2の大きさを先端10a側の欠け部10a1,10aの大きさよりも大きく設定することとしたので、基端10b側の音の漏れが相対的に大きくなり、更に一層音を程よく外部に漏れるようにすることが可能となる。
【0056】
また更に、遮蔽部10の基端10b側に穴11を設けることとしたので、穴11からも音が外部に漏れるようにすることが可能となる。
【0057】
また、遮蔽部10を集音装置100に取り付けるための取り付け部20を有することとしたので、遮蔽部10を集音装置100に取り付けることができる。
【0058】
更に、穴11は、孔12と遮蔽部10の基端10b側との間に設けることとしたので、孔12を介して遮蔽部10を集音装置100に取り付けることによる穴11の音漏れの効果が低減することを少なくすることが可能となる。
【0059】
更にまた、遮蔽部10を、基端10b側を取り付け部20により集音装置100の持ち手部101の上部側であって集音部102の下方側に取り付けつつ、膨出する集音部102に当接するように支持することにより、集音装置100の棒状の持ち手部101に対し傾斜するように取り付けることとしたので、ユーザUの口U2と程よい傾斜角度で対向するように遮蔽部10を集音装置100に取り付けることが可能となる。
【0060】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されることなく種々の変形実施、応用実施が可能であることは勿論である。
【0061】
すなわち、例えば、上述した実施形態にあっては、遮蔽部10の基端10b側の欠け部10b1,10b2の大きさを先端10a側の欠け部10a1,10a2の大きさよりも大きく設定することとしているが、図11に示すように、基端10b側の欠け部10b1,10b2の大きさを先端10a側の欠け部10a1,10a2の大きさよりも小さく設定することとしても所要の効果を奏する。つまり、遮蔽部10の基端10b側の欠け部10b1,10b2の大きさと先端10a側の欠け部10a1,10a2の大きさを異なる大きさにすることととすれば、音の漏れのバランスを先端側と基端側で異ならせることができる。また、図12に示すように、基端10b側の欠け部10b1,10b2の大きさと先端10a側の欠け部10a1,10a2の大きさをを同等とすることとしても所要の効果を奏する。ただし、遮蔽部10の基端10b側の欠け部10b1,10b2の大きさを先端10a側の欠け部10a1,10a2の大きさよりも大きく設定することで音を程よく外部に漏れるようにすることが可能となり最も好ましい実施形態となる。
【0062】
また、上述した実施形態にあっては、遮蔽部10の穴11を楕円形とすることとしているが図13に示すように円形とすることとしても所要の効果を奏する。ただし、穴11は円形とするよりも楕円形とした方が音を程よく外部に漏れるようにすることが可能となり好ましい実施形態となる。
【0063】
また、上述した実施形態にあっては、取り付け部20は、雌釦20bを集音装置100側に固定して設け、雄釦20aを遮蔽部10側に設けることとしているが、取り付け部20は、雄釦20aを集音装置100側に固定して設け、雌釦20bを遮蔽部10側に設けることとしてもよい。
【0064】
すなわち、取り付け部20は、雄釦20aおよび雌釦20bのいずれか一方を集音装置100側に固定して設け、雄釦20aおよび雌釦20bのいずれか他方を遮蔽部10側に設けることとすればよい。
【0065】
また、遮蔽部10の孔12は、雄釦20aを挿通するための孔12とし、取り付け部20は、孔12を介して雄釦20aおよび雌釦20bを係合し遮蔽部10を集音装置100に取り付けることとしているが、孔12は、雌釦20bを挿通するための孔12とすることとしてもよい。
【0066】
すなわち、孔12は、雄釦20aおよび雌釦20bのいずれか他方を挿通するための孔12とし、取り付け部20は、孔12を介して雄釦20aおよび雌釦20bを係合し遮蔽部10を集音装置100に取り付けることとすればよい。
【0067】
更に、取り付け部20は、保持体21は、板状体の一方の面に雄釦20aの頭部20a´を保持しつつ雄釦20aの係合部20a´´を露出するように保持し、保持体21を介して雄釦20aを遮蔽物1側に設けることとしているが、保持体21は、雌釦20bを保持するとともに、板状体の一方の面に雌釦20bの頭部を保持しつつ雌釦20bの係合部を露出するように保持し、保持体21を介して雌釦20bを遮蔽物1側に設けることとしてもよい。
【0068】
すなわち、取り付け部20において、保持体21は、板状体の一方の面に雄釦20aおよび雌釦20bのいずれか他方の頭部を保持しつつ雄釦20aおよび雌釦20bのいずれか他方の係合部を露出するように保持し、保持体21を介して雄釦20aおよび雌釦20bのいずれか他方を遮蔽物1側に設けることとしてもよい。
【0069】
更に、図14に示す遮蔽物2のように、遮蔽部10の先端10a側の中央部に凹部13を設け、全体をハート型としてもよい。凹部13は、ユーザUが集音装置100を使用するときに、遮蔽部10の先端10a側の中央部がユーザUの鼻U3の上部または鼻U3の上部の近傍に位置するように位置決めするための位置決め部として機能させることができる。
【0070】
このように、遮蔽部10の先端10a側に凹部13を設けることで、遮蔽部10の先端10a側をユーザUの鼻U3の上部または鼻U3の上部の近傍に位置するように位置決めすることができ、遮蔽部10がユーザUの口U2を遮蔽し、遮蔽部10によるユーザUの口U2を介して飛沫を確実に防止することが可能となる。また、遮蔽部10の先端10a側をユーザUの鼻U3の上部または鼻U3の上部の近傍に位置するように位置決めすることで、集音性能の低下の防止を可能とする集音装置100の使用方法にも繋がる。
【0071】
ここで、凹部13は、曲線状より詳しくは円弧状とすることができ、凹部13の裏面13´側(ユーザUと対向する面側)に凹部13の裏面13´側とユーザUとの間に介在する介在部材14を設けることとしてもよい。介在部材14は、弾力性のある材料で構成することができ、弾力性のある材料は、スポンジ状の材料またはゴム状の材料とすることができる。
【0072】
凹部13は、曲線状より詳しくは円弧状とすることにより、凹部13の形状をユーザUの鼻U3の上部または鼻U3の上部の近傍の形状に対応させることが可能となる。また、凹部13の裏面13´側に介在部材14を設けることにより、凹部14がユーザUの顔U1に接触することによる痛みや違和感を少なくすることが可能となる。
【0073】
[実施例]
以下本発明の実施例について説明する。本実施例は、ユーザUを30歳代の女性1名、40歳代の男性4名、40歳代の女性2名、50歳代の男性1名の8名が使用した例である。
図15に遮蔽部10の隅部に欠け部10a1,10a2,10b1,10b2を形成せずに遮蔽部10の形状を単に矩形状とした対比例を示す。図15に示す対比例は、突出部10cの高さ2cm~8cm(より詳しくは3~7cm)とし、集音装置100の持ち手部101に対する遮蔽部10の稜線部10´の傾斜角度γを、10°~15°(より詳しくは13°)とした例であり、表1に示すように、いずれのユーザUも音声がこもるという評価であった。また、図15に示す対比例では、先端10aをユーザUの顔U1に近付けることができず、集音装置100の先端100a側とユーザUの口U2との距離が大きくなり、いずれのユーザUも使用し辛いという評価であった。
【0074】
これに対し図16に示すように、遮蔽部10の先端10a側の隅部に欠け部10a1,10a2を形成した場合にあっては、表1に示すように、ユーザUのうち半数の4人は図15の対比例よりも音声がこもることが少なくなったという評価となった(4人は図15との違いが特にないとの評価であった)。また、図16に示す例では、同じく表1に示すように、先端10aをユーザUの顔U1に近付けることができ、集音装置100の先端100a側とユーザUの口U2との距離が小さくなり、いずれのユーザUも使用し易いという評価となった。
【0075】
更に図17に示すように、遮蔽部10の先端10a側および基端10b側の隅部のいずれにも欠け部10a1,10a2,10b1,10b2を設け、遮蔽部10の基端10b側の欠け部10b1,10b2の大きさを先端10a側の欠け部10a1,10a2の大きさよりも大きく設定した場合にあっては、表1に示すように、いずれのユーザUも図16に示す例よりも音声がこもることが更に少なくなったという評価となった。
【0076】
更にまた図5に示すように、遮蔽部10の基端10b側の中央部に更に穴11を設けることとした場合にあっては、表1に示すように、いずれのユーザUも図17に示す例よりも音声がこもることが更に少なったという評価となった。
【0077】
また更に、図14に示すように、遮蔽部10の先端10a側の中央部に更に凹部13を設けた場合にあっては、遮蔽部10の先端10a側の中央部をユーザUの鼻U3の上部または鼻U3の上部の近傍に位置するように位置決めし易くなり、表1に示すように、いずれもユーザUも使用感が更に向上したという評価であった。
【0078】
なお、図12に示すように、遮蔽部10の先端10a側および基端10b側の隅部にいずれにも同等の大きさで欠け部10a1,10a2を形成した場合にあっては、表1に示すように、いずれのユーザUも図5の例よりも音声がこもるという評価となった。
【0079】
また、図13に示すように、遮蔽部10の穴11を円形とした場合にあっては、表1に示すように、図5の例よりも音声がこもるという評価となった(図15図16図17図5図14図12図13は、いずれも突出部10cの高さ2cm~8cm(より詳しくは3~7cm)とし、集音装置100の持ち手部101に対する遮蔽部10の稜線部10´の傾斜角度γを、10°~15°(より詳しくは13°)とした例である)。
【表1】
【符号の説明】
【0080】
A:幅寸法
B:高さ寸法
U:ユーザ
U1:顔
U2:口
U3:鼻
W:幅寸法
H,h,h´:高さ寸法
α,β:交差角度
γ:傾斜角度
1,2:遮蔽物
10:遮蔽部
10a:先端
10a1,10a2:欠け部
10b:基端
10b1,10b2:欠け部
10c:突出部
10d:覆い部(非突出部)
11:穴
12:孔
13:凹部
13´:裏面側
14:介在部材
20:取り付け部
20a:雄釦
20a´:頭部
20a´´:係合部
20b:雌釦
21:保持体
21a:欠け部
100:集音装置
100a:先端
101:持ち手部
101a:先端
102:集音部
【要約】
【課題】集音装置の使用を介してのユーザからの飛沫の防止を可能とする遮蔽物を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る遮蔽物1は、音声を集音する集音装置100を使用するユーザUの顔U1と外部とを遮蔽するための遮蔽部10を有する。遮蔽部10は、板状をなし、集音装置100の外面に沿って湾曲するように取り付けられ、集音装置100の先端100a側をユーザUの口U2と対向するように位置させた状態で、遮蔽部10をユーザUの顔U1に傾斜して交差するように対向させつつ、遮蔽部10の先端10a側がユーザUの鼻U3の上部または鼻U3の上部の近傍に位置するように、かつ、ユーザUの口U2を遮蔽するように集音装置100に取り付けられる構成とする。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17