(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-04
(45)【発行日】2022-03-14
(54)【発明の名称】食品包装用袋
(51)【国際特許分類】
B65D 30/02 20060101AFI20220307BHJP
B65D 65/10 20060101ALI20220307BHJP
B65D 85/50 20060101ALI20220307BHJP
【FI】
B65D30/02
B65D65/10 Z
B65D85/50 100
(21)【出願番号】P 2017134098
(22)【出願日】2017-07-07
【審査請求日】2020-06-29
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】591161623
【氏名又は名称】株式会社コバヤシ
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100188765
【氏名又は名称】赤座 泰輔
(74)【代理人】
【識別番号】100112900
【氏名又は名称】江間 路子
(74)【代理人】
【識別番号】100136995
【氏名又は名称】上田 千織
(74)【代理人】
【識別番号】100163164
【氏名又は名称】安藤 敏之
(74)【代理人】
【識別番号】100198247
【氏名又は名称】並河 伊佐夫
(72)【発明者】
【氏名】穂積 洋毅
(72)【発明者】
【氏名】笠松 晴奈
【審査官】田中 一正
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-301341(JP,A)
【文献】特開2016-050042(JP,A)
【文献】特開2014-188883(JP,A)
【文献】登録実用新案第3136064(JP,U)
【文献】特開2005-036357(JP,A)
【文献】特開平09-066943(JP,A)
【文献】実開平03-008182(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 30/02
B65D 65/10
B65D 85/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
防曇剤を含有するポリプロピレン積層フィルムと耐油性を有する紙とがヒートシールにより接合された接合部を有する食品包装用袋であって、
該ポリプロピレン積層フィルムは、該耐油性を有する紙と貼り合わせる面側にヒートシール層を有し、他方の面側にポリエチレンテレフタレートフィルムを有し、
該耐油性を有する紙は、該ポリプロピレン積層フィルムと貼り合わせる面側に樹脂層が積層されていない、
ことを特徴とする食品包装用袋。
【請求項2】
前壁部と、後壁部と、該前壁部及び該後壁部の上端側に設けられる開口部と、を有する食品包装用袋において、
該前壁部は、1枚の防曇剤を含有するポリプロピレン積層フィルムから構成され、
該後壁部は、1枚の耐油性を有する紙から構成され、
該ポリプロピレン積層フィルムは、該耐油性を有する紙と貼り合わせる面側にヒートシール層を有し、他方の面側にポリエチレンテレフタレートフィルムを有し、
該耐油性を有する紙は、該ポリプロピレン積層フィルムと貼り合わせる面側に樹脂層が積層されていない紙であり、
該前壁部の下端部と該後壁部の下端部とがヒートシールにより接合され、該前壁部の左右の端部と該後壁部の左右の端部とがヒートシールにより接合されたことを特徴とする食品包装用袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品包装用袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、コロッケ、フライなどのいわゆる揚げ物は、店頭で調理され、食品を包装する食品包装用袋に入れられた状態で販売されることがある。この際に、食品包装用袋は、収納物である食品を外部から視認することができるものが好ましい。特許文献1には、無色透明で可撓性を有する合成樹脂フィルムから形成された食品包装用袋が記載されている。特許文献1の食品包装用袋は、合成樹脂フィルム同士が製造効率に優れるヒートシールによって接合され、袋形状としている。
【0003】
食品包装用袋に入れられた食品は、販売された後に、食品包装用袋に入れられた状態で電子レンジにて再加熱されてから食されることがある。しかし、特許文献1に記載された食品包装用袋では、合成樹脂フィルムに通気性がないため、再加熱の際に、食品から発生する水蒸気や水分によって、食品の表面にべたつきや湿り気が発生し、食感のいわゆるサクサク感が損なわれるおそれがあるものであった。
【0004】
これに対して、合成樹脂フィルムと通気性を有するシート状の紙とをヒートシールによって接合し、袋形状とする食品包装用袋であれば、この食品包装用袋は、袋内の食品を外部から視認することができつつ、食品の表面のべたつきや湿り気の発生を抑制することができるものとなる。しかしながら、紙とヒートシールによって接合することができる安価な合成樹脂フィルムは存在しなかった。
【0005】
紙にヒートシールによって接合することができる合成樹脂フィルムとして、ポリエステル系ヒートシール性フィルムが特許文献2に記載されている。特許文献2には、食品を外部から視認することができ、紙とのヒートシール性を有するポリエステル系ヒートシール性フィルムと、通気性を有する紙と、を部分的にヒートシールすることにより袋状とした食品包装用袋が記載されている。これにより、食品包装用袋は、収納物である食品を外部から視認することができるとともに、再加熱の際に、食品の表面のべたつきや湿り気の発生を防止することができるものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2014-69808号公報
【文献】特開2017-7726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、紙とのヒートシール性を有するポリエステル系ヒートシール性フィルムは、とても高価なものである。これに対して、食品包装用袋は、商品に付随する包装材であり、使い捨て部材として使用されるものであるため、高価な原材料を使用し難いという問題点があった。
【0008】
本発明は、再加熱の際に、食品の表面のべたつきや湿り気の発生を防止することができ、食感のいわゆるサクサク感が損なわれず、且つ、安価である食品包装用袋を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る食品包装用袋は、防曇剤を含有するポリオレフィンフィルムと耐油性を有する紙とがヒートシールにより接合された接合部を有することを特徴とする。
【0010】
ポリオレフィンフィルムは、紙にヒートシールによる接合を施しても密着することが困難、もしくは、密着しても実用強度を有しないものであった。これに対して、本願発明者は、ポリオレフィンフィルムが防曇剤を含有し、紙が耐油性を有する紙であることによって、実用強度を有するヒートシールによる接合を施すことが可能であることを見出したものである。
【0011】
本発明の食品包装用袋によれば、収納物である食品を外部から視認することができるとともに、再加熱の際に、食品の表面のべたつきや湿り気の発生を防止することができ、食感のいわゆるサクサク感が損なわれず、且つ、安価である食品包装用袋を提供することができる。
【0012】
また、本発明に係る食品包装用袋は、耐油性を有する紙と耐油性を有する紙とがポリオレフィン不織布を介在させてヒートシールにより接合された接合部を有することを特徴とする。
【0013】
本願発明者は、耐油性を有する紙と耐油性を有する紙とを接合させるのに、比表面積の大きいポリオレフィン不織布を介在させることにより、実用強度を有するヒートシールによる接合を施すことが可能であることを見出したものである。
【0014】
本発明の食品包装用袋によれば、再加熱の際に、食品の表面のべたつきや湿り気の発生を防止することができ、食感のいわゆるサクサク感が損なわれず、且つ、安価である食品包装用袋を提供することができる。
【0015】
また、本発明に係る食品包装用袋は、前壁部と、後壁部と、該前壁部及び該後壁部の上端側に設けられる開口部と、を有する食品包装用袋において、
該前壁部は、1枚の防曇剤を含有するポリオレフィンフィルムから構成され、
該後壁部は、1枚の耐油性を有する紙から構成され、
該前壁部の下端部と該後壁部の下端部とがヒートシールにより接合され、該前壁部の左右の端部と該後壁部の左右の端部とがヒートシールにより接合されたことを特徴とする。
【0016】
本発明の食品包装用袋によれば、収納物である食品を外部から視認することができるとともに、再加熱の際に、食品の表面のべたつきや湿り気の発生を防止することができ、食感のいわゆるサクサク感が損なわれず、且つ、安価である食品包装用袋を提供することができる。
【0017】
また、本発明に係る食品包装用袋は、前壁部と、後壁部と、該前壁部及び該後壁部の下端に連接される底部と、該前壁部及び該後壁部の上端側に設けられる開口部と、を有する食品包装用袋において、
該前壁部は、1枚の防曇剤を含有するポリオレフィンフィルムから構成され、
該後壁部と該底部は、1枚の耐油性を有する紙から構成され、
該底部の内側に、ポリオレフィン不織布が敷設され、
該底部の前端部と該前壁部の下端部とが該ポリオレフィン不織布を介在させてヒートシールにより接合され、該底部の左右の端部の前側と該前壁部の左右の端部の下側とが該ポリオレフィン不織布を介在させてヒートシールにより接合され、該底部の左右の端部の後側と該後壁部の左右の端部の下側とが該ポリオレフィン不織布を介在させてヒートシールにより接合され、
該前壁部の左右の端部の上側と該後壁部の左右の端部の上側とがヒートシールにより接合されたことを特徴とする。
【0018】
本発明の食品包装用袋によれば、収納物である食品を外部から視認することができるとともに、再加熱の際に、食品の表面のべたつきや湿り気の発生を防止することができ、食感のいわゆるサクサク感が損なわれず、安価であり、且つ、底部が自立可能な立体形状である食品包装用袋を提供することができる。
【0019】
ここで、上記食品包装用袋において、前記ポリオレフィンフィルムがポリプロピレンフィルムである構成とすることができる。
【0020】
これによれば、ポリプロピレンフィルムがポリオレフィンフィルムの中でも耐熱温度が高いため、食品包装用袋は、より高い再加熱の温度であっても耐えうることができる。
【0021】
また、上記食品包装用袋において、前記ポリオレフィン不織布がポリプロピレン不織布であることを特徴とする。
【0022】
これによれば、ポリプロピレン不織布がポリオレフィン不織布の中でも吸油性が高いため、食品包装用袋は、再加熱の際に食品から流出する油を吸収し、食品の表面のべたつき抑えることができる。
【0023】
また、上記食品包装用袋において、前記耐油性を有する紙が内添法耐油紙であることを特徴とする。
【0024】
これによれば、内添法耐油紙が耐油性を有する紙の中でも通気性に優れるため、食品包装用袋は、再加熱の際に食品から揮発する水分を外部に放出し、食品の湿り気の発生を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】第1実施形態の食品包装用袋の斜視図である。
【
図2】第2実施形態の食品包装用袋の収納物を収納した状態の斜視図である。
【
図3】第2実施形態の食品包装用袋の底部を広げた状態の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態の食品包装用袋は、防曇剤を含有するポリオレフィンフィルムと耐油性を有する紙とがヒートシールにより接合された接合部を有することを特徴とするものである。
【0027】
ポリオレフィンフィルムは、その主要元素が炭素と水素であり、食品包装用袋に使用され、ゴミとして燃焼されることによって二酸化炭素と水とに分解され、有害なガスが出ないため、環境にやさしいフィルムである。しかし、一般に、ポリオレフィンを含めた合成樹脂フィルムは、紙に対してヒートシールによる接合が困難なものである。これに対して、本願発明者は、ポリオレフィンフィルムが防曇剤を含有するものであり、紙が耐油剤を含有するものであることによって、ポリオレフィンフィルムと紙とが実用強度を有するヒートシールによる接合を施すことが可能となることを見出したものである。これは、ポリオレフィンフィルムが不純物である防曇剤を含有することによって、ポリオレフィンフィルムの軟化点が下がり、ヒートシールの際に、耐油性を有する紙の耐油剤がアンカー材として作用することによって、ヒートシールが可能になったものと推測される。
【0028】
ポリオレフィンフィルムとしては、ポリエチレンフィルム(ポリエチレンを80質量%以上含有するフィルム)、ポリプロピレンフィルム(ポリプロピレンを80質量%以上含有するフィルム)、ポリブテンフィルム(ポリブテンを80質量%以上含有するフィルム)、ポリエチレン-ポリプロピレン共重合体フィルム、ポリプロピレン-ポリブテン共重合体フィルム、ポリエチレン-ポリプロピレン-ポリブテン共重合体フィルムなどを使用することができる。これらの中でも電子レンジの加熱に耐えられる高い耐熱温度を有する、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリエチレン-ポリプロピレン共重合体フィルム、ポリプロピレン-ポリブテン共重合体フィルム、ポリエチレン-ポリプロピレン-ポリブテン共重合体フィルムがより好ましく、さらに汎用である点から、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレン-ポリプロピレン共重合体フィルムがさらに好ましい。なお、ポリオレフィンフィルムが共重合体である場合には、共重合体は、ランダムコポリマーであることが好ましい。ホモポリマーからなるフィルムよりも軟化点を低くすることができるためである。
【0029】
ポリオレフィンフィルムは、防曇剤を含有することによって紙とのヒートシールが可能となるものである。また、ポリオレフィンフィルムには、必要に応じて各種の添加剤、例えば、ワックス類、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、減粘剤、熱安定剤、着色用顔料、着色防止剤、紫外線吸収剤などを添加することができる。
【0030】
防曇剤とは、水滴の付着等によりフィルムが曇ることを防止するために添加される界面活性剤である。防曇剤は、フィルム表面を防曇剤によって親水性にすることにより防曇効果を発揮するものであるが、実施形態のポリオレフィンフィルムにおいては、ポリオレフィンに不純物としての防曇剤が添加されることによって、ポリオレフィンフィルムの軟化点を下げ、ヒートシール性を向上させるものである。防曇剤としては、市販品を使用することができ、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、アルキルジエタノールアミン、アルキルジエタノールアミン脂肪酸エステルなどを好適に使用することができる。防曇剤の添加量は、ポリオレフィンフィルムに対して、0.1~5質量%が好ましい。ポリオレフィンフィルムのヒートシール性が十分なものとなるからである。添加量が0.1質量%未満だと、ポリオレフィンフィルムの軟化点が下がらず、ヒートシール性が不十分となるおそれがある。一方、5質量%を超えると、ヒートシール性が十分であるものの、フィルムにとっての不純物が多くなりフィルムの引裂き強度等の強度が劣るおそれがある。防曇剤の添加量は、より好ましくは、0.5~3質量%であり、さらに好ましくは、1~2質量%である。
【0031】
防曇剤を含有するポリオレフィンフィルムの厚みは、10~50μmが好ましい。フィルムの厚みが薄いほどヒートシール性は向上するが、10μm未満だとフィルムの加工が困難になり、また、フィルムの強度が低下するおそれがあるからである。一方、フィルムの厚みが50μmを超えると、ヒートシール性が低下するおそれがある。フィルムの厚みは、より好ましくは、12~45μmであり、さらに好ましくは、15~40μmである。
【0032】
防曇剤を含有するポリオレフィンフィルムは、ポリオレフィンや防曇剤などの原材料を溶融押出成形により無延伸フィルムを形成し、未延伸フィルムを一軸延伸または二軸延伸することによって得られる。このとき、溶融押出成形を複数用意し、未延伸フィルムを多層とすることにより、ポリオレフィンフィルムを多層フィルムとすることができる。多層フィルムとするときは、防曇剤を含有するポリオレフィンが外側の層となるような層構成とする必要がある。なお、ポリオレフィンフィルムは、無延伸フィルムであっても延伸フィルムであっても実施形態のポリオレフィンフィルムとして使用することができるが、引張強さなどの物理的強度が勝ることから、延伸フィルムがより好ましい。
【0033】
防曇剤を含有するポリオレフィンフィルムは、市販品を使用することができ、一例を挙げると、AF-642(フタムラ化学株式会社製ポリプロピレン防曇フィルム)、WH-OP(三井化学東セロ株式会社製ポリプロピレン防曇フィルム)、パイレンフィルム-FG(東洋紡株式会社製ポリプロピレン防曇フィルム)、パイレンフィルム-OT(東洋紡株式会社製ポリプロピレン防曇フィルム)などを使用することができる。なお、これらは、二軸延伸フィルムである。
【0034】
耐油性を有する紙とは、耐油剤を含有することによって耐油性が付与された紙である。耐油性とは、油が紙を通過して反対面に漏れ出さない油バリア性を有すること、付着した油が耐油性を有する紙の表面に広がりにくく、油が染み込んだような外観を呈さないことなどの特性をいう。紙が耐油剤を含有することによって、ヒートシールの際に、耐油剤がアンカー材として作用し、防曇剤を含有するポリオレフィンフィルムとのヒートシールが可能になると推測される。
【0035】
耐油性を有する紙は、製造方法からの大別により、内添法耐油紙と、外添法耐油紙とがある。内添法耐油紙とは、耐油紙の製造の食物繊維その他の繊維を膠着させる際に、耐油剤を添加させることによって紙に耐油性を持たせるものであり、高い通気性を有しているものである。外添法耐油紙とは、製造された紙の表面の例えば一方に耐油剤を被覆させることによって紙に耐油性を持たせるものであり、通気性がやや劣るものである。耐油性を有する紙は、高い通気性を有することから、内添法耐油紙がより好ましい。
【0036】
耐油性を有する紙は、通気性の指標である透気抵抗度(JIS P 8117:2009(紙及び板紙-透気度及び透気抵抗度度試験方法(中間領域)-ガーレー法)3.1ISO透気度)は、3~300secであるものが好ましい。食品から発生する水蒸気や水分を食品包装用袋の外部へ放出し、食品の表面のべたつきや湿り気の発生を防止することができ、液体調味料の食品包装用袋の外部への染み出しが生じることを防ぐことができるためである。耐油性を有する紙の透気抵抗度が3sec未満だと、紙から水蒸気や水分ばかりか食品にかけられているソースなどの液体調味料の食品包装用袋の外部への染み出しが生じるおそれがある。一方、300secを超えると、水蒸気や水分の食品包装用袋の外部への放出量が少なく、食品の表面のべたつきや湿り気の発生を防止することが困難となるおそれがある。耐油性を有する紙の透気抵抗度は、より好ましくは、5~100secであり、さらに好ましくは、10~60secである。
【0037】
耐油性を有する紙は、その目付量が20~100g/m2であるものが好ましい。食品包装用袋の強度として十分な強度を有しているためである。耐油性を有する紙の目付量が20g/m2未満だと耐油性を有する紙の引裂き強度が十分でなく強度不足となるおそれがある。一方、100g/m2を超えると耐油性を有する紙の引裂き強度等が過剰なものとなり、かつ、食品包装用袋の製品単価が上がるおそれがある。耐油性を有する紙の目付量は、より好ましくは、30~80g/m2であり、さらに好ましくは、40~60g/m2である。
【0038】
耐油性を有する紙は、市販品を使用することができ、一例を挙げると、ブラウンカード(日本製紙クレシア株式会社製内添法耐油紙)、NF耐油紙(特種東海製紙株式会社製内添法耐油紙)、NF耐油紙(株式会社TTトレーディング製内添法耐油紙)、プライム(天間特殊製紙株式会社製内添法耐油紙)、UEC(天間特殊製紙株式会社製内添法耐油紙)などを使用することができる。
【0039】
ヒートシールによる接合は、防曇剤を含有するポリオレフィンフィルムと耐油性を有する紙とを重ね合わせ、加熱された金属バーを押し付けて、ポリオレフィンを一旦溶融し、次いで加熱バーを剥がし、冷却固化して融着(シール)させる。加熱バーの設定温度は、150~300℃が好ましい。効率よくヒートシールを行うことができるからである。設定温度が150℃未満だと、ヒートシールに要する時間が長くなり、製造効率が劣る。一方、300℃を超えると、ヒートシールは可能であるものの、加熱バーにポリオレフィンフィルムがくっついた際に溶けてしまい製品ロスが多くなるおそれがある。なお、融着の設定時間は、被融着物(食品包装用袋)の融着の状態を確認して適宜変更する。
【0040】
ヒートシールの融着性の指標は、ヒートシール強さ(JIS Z 0238:1998(ヒートシール軟包装用袋及び半剛性容器の試験方法)7.袋のシートヒール強さ試験)にて測定する。そして、ヒートシール強さ(剥離強度)が、1.0N/15mm以上であるものが好ましい。食品を食品包装用袋に入れ携帯や持ち運ぶ際の十分な強度を確保しているためである。ヒートシール強さが1.0N/15mm未満だと、携帯や持ち運ぶ際にヒートシールによる接合が破断するおそれがある。なお、ヒートシール強さは大きいほど好ましいが、ポリオレフィンフィルムや紙の引き裂き力を超える10N/15mmを超えることはない。ヒートシール強さは、より好ましくは、2.0N/15mm以上である。
【0041】
次に、第1実施形態の食品包装用袋を
図1に基づいて説明する。なお、以下の説明において、食品包装用袋の収納物を入れる入口側を上、底側を下側とし、食品包装用袋のポリオレフィンフィルム側を前、耐油性を有する紙側を後側とし、食品包装用袋の食品が入っている側を内、その反対側を外側とする。
【0042】
第1実施形態に係る食品包装用袋は、
図1に示すように、前壁部10と、後壁部20と、前壁部10及び後壁部20の上端側に設けられる開口部40と、前壁部10から上方に向かって延設される蓋部41と、を有している。
【0043】
前壁部10と蓋部41は、1枚からなる略矩形状の防曇剤を含有するポリオレフィンフィルムから構成され、後壁部20は、略矩形状の耐油性を有する紙から構成されている。なお、蓋部41は耐油性を有する紙から構成されることも可能で、前壁部10は、1枚からなる略矩形状のポリオレフィンフィルムから構成され、後壁部20と蓋部41は、1枚からなる略矩形状の耐油性を有する紙から構成される態様であっても良い。
【0044】
ポリオレフィンフィルムは、前壁部10の下端部10cが耐油性を有する紙の後壁部20の下端部20cとヒートシールされ、接合部51が形成されている。また、前壁部10の左右の端部10a,10bと、後壁部20の左右の端部20a,20bとが、それぞれヒートシールされて、ポリオレフィンフィルムと耐油性を有する紙とがヒートシールされた接合部51が形成されている。第1実施形態に係る食品包装用袋は、下端部10c(20c)と左右の端部10a,10b(20a,20b)の3辺がヒートシールされることにより、袋形状に形成されている。
【0045】
(第2実施形態)
第2実施形態の食品包装用袋は、防曇剤を含有するポリオレフィンフィルムと耐油性を有する紙がヒートシールにより接合されることに加え、耐油性を有する紙と耐油性を有する紙とがポリオレフィン不織布Sを介在させてヒートシールにより接合されている。なお、防曇剤を含有するポリオレフィンフィルムを用いずに、耐油性を有する紙と耐油性を有する紙とがポリオレフィン不織布Sを介在させてヒートシールにより接合させた食品包装用袋であっても良い。また、第2実施形態の食品包装用袋において、第1実施形態の食品包装用袋に記載された事項と重複する事項については、第1実施形態の食品包装用袋に記載された事項と同じであるとし、その事項の記載を省略した。
【0046】
ポリオレフィン不織布Sとは、ポリオレフィン繊維を固めてシート状とした生地である。耐油性を有する紙と耐油性を有する紙とを接合するのに従来は接着剤などを使用していたが、ポリオレフィン不織布Sを介在させることによって、耐油性を有する紙と耐油性を有する紙とをヒートシールすることが可能となることを見出したものである。ポリオレフィン繊維を固めて形成されたポリオレフィン不織布Sの表面積が大きいため、ポリオレフィン繊維は、軟化しやすく、耐油性を有する紙と耐油性を有する紙とをヒートシールによる接合が可能になったものと推測する。なお、ポリオレフィン不織布Sは、その主要元素が炭素と水素であり、食品包装用袋に使用された後に、ゴミとして燃焼されることによって二酸化炭素と水とに分解され、有害なガスが出ないため、環境にやさしいものである。
【0047】
また、ポリオレフィン不織布Sは、親油性であり、ポリオレフィン繊維を固めてシート状とした生地であるため表面積が大きいため、揚げ物などの食品から染み出る食用油を吸収することができるものである。このため、ポリオレフィン不織布Sを、ヒートシールの部位の間に介在させて、食品包装用袋の底部内側に敷設させることにより、ポリオレフィン不織布Sが、食品包装用袋に包装された揚げ物の食用油を吸収することができ、揚げ物のいわゆる脂っこさを低減することが可能となる。
【0048】
ポリオレフィン不織布Sとしては、ポリエチレン不織布(ポリエチレンを80質量%以上含有する不織布)、ポリプロピレン不織布(ポリプロピレンを80質量%以上含有する不織布)、ポリブテン不織布(ポリブテンを80質量%以上含有する不織布)、ポリエチレン-ポリプロピレン共重合体不織布、ポリプロピレン-ポリブテン共重合体不織布、ポリエチレン-ポリプロピレン-ポリブテン共重合体不織布などを使用することができる。これらの中でも電子レンジの加熱に十分に耐えられる高い耐熱温度を有する、ポリプロピレン不織布、ポリブテン不織布、ポリエチレン-ポリプロピレン共重合体不織布、ポリプロピレン-ポリブテン共重合体不織布、ポリエチレン-ポリプロピレン-ポリブテン共重合体不織布がより好ましく、さらに汎用である点から、ポリプロピレン不織布、ポリエチレン-ポリプロピレン共重合体不織布がさらに好ましい。なお、ポリオレフィン不織布Sが共重合体である場合には、ランダムコポリマーである共重合体が好ましい。耐熱性を有しつつ、ホモポリマーからなる不織布よりも軟化点を低くすることができるためである。
【0049】
ポリオレフィン不織布Sは、その目付量が5~50g/m2であるものが好ましい。耐油性を有する紙と耐油性を有する紙とのヒートシールが容易なものとなるためである。ポリオレフィン不織布Sの目付量が5g/m2未満だとポリオレフィン不織布Sの引裂き強度が十分でなく、製造時において誤って引裂かれてしまうおそれがある。一方、50g/m2を超えるとポリオレフィン不織布Sの厚みにより耐油性を有する紙と耐油性を有する紙とのヒートシールによる接合が困難になるおそれがある。ポリオレフィン不織布Sの目付量は、より好ましくは、7~30g/m2であり、さらに好ましくは、10~20g/m2である。
【0050】
ポリオレフィン不織布Sは、市販品を使用することができ、一例を挙げると、ストラティック(出光ユニテック株式会社製ポリプロピレン不織布)、クランボン(倉敷繊維加工株式会社製ポリプロピレン不織布)、クラフレックス(株式会社クラレ製ポリプロピレン不織布)、6615-1A(東京メディカル株式会社製ポリエチレン-ポリプロピレン共重合体不織布)などを使用することができる。
【0051】
ヒートシールによる接合は、ポリオレフィン不織布Sを介在させて耐油性を有する紙と耐油性を有する紙とを重ね合わせ、加熱された金属バーを押し付けて、ポリオレフィンを一旦溶融し、次いで加熱バーを剥がし、冷却固化して融着(シール)させる。加熱バーの設定温度は、150~300℃が好ましい。効率よくヒートシールを行うことができるからである。設定温度が150℃未満だと、ヒートシールに要する時間が長くなり、製造効率が劣る。一方、300℃を超えると、ヒートシールは可能であるものの、過剰な熱量を使用しているため、製造コストが嵩むおそれがある。なお、融着の設定時間は、被融着物(食品包装用袋)の融着の状態を確認して適宜変更する。
【0052】
次に、第2実施形態の食品包装用袋を
図2~
図4に基づいて説明する。第2実施形態に係る食品包装用袋は、
図2及び3に示すように、前壁部10と、後壁部20と、前壁部10及び後壁部20の下端に連接される底部30と、前壁部10及び後壁部20の上端側に設けられる開口部40と、前壁部10から上方に向かって延設される蓋部41と、を有している。
【0053】
前壁部10と蓋部41は、1枚からなる防曇剤を含有するポリオレフィンフィルムから構成され、後壁部20と底部30は、1枚からなる耐油性を有する紙から構成されている。
【0054】
後壁部20の上下方向の略中央から下側の後壁下方部21と底部30の内側には、
図4に示すように、ポリオレフィン不織布Sが敷設され、後壁下方部21と底部30は、耐油性を有する紙とポリオレフィン不織布Sの二重構成となっている。なお、ポリオレフィン不織布Sは、底部30の内側のみに敷設される構成であっても良い。
【0055】
二重構成の耐油性を有する紙とその内側に敷設されたポリオレフィン不織布Sは、
図4に示すように、底部30と後壁部20(後壁下方部21)との境界部分に谷折り線30bが形成され、谷折り線30bは、底部30の後端部32aと後壁部20の下端部20cとの境界を形成する。
図3に示すように、底部30の前端部39と後端部32aとの間には、山折り線30aが形成される。なお、山折り、谷折りは、食品包装用袋の内側から見た状態をいう。
【0056】
底部30と、前壁部10と後壁部20は、
図3に示すように、底部30の前端部39と前壁部10の下端部19とがポリオレフィン不織布Sを介在させてヒートシールにより接合され、底部30の左右の端部の前側35,36と前壁部10の左右の端部の下側15,16とがポリオレフィン不織布Sを介在させてヒートシールにより接合され、底部30の左右の端部の後側37,38と後壁部20の左右の端部の下側27,28とがポリオレフィン不織布Sを介在させてヒートシールにより接合されている。
【0057】
前壁部10と後壁部20は、
図2に示すように、前壁部10の左右の端部の上側13,14と後壁部20の左右の端部の上側23,24とがヒートシールにより接合されている。
【0058】
すなわち、
図3に示すように、底部30の後端部32aを除いた底部30の外周と前壁部10及び後壁部20の下側とがヒートシールにより接合され、
図2に示すように、前壁部10の左右と後壁部20の左右とがヒートシールにより接合されることにより、食品包装用袋は、袋状の形態となる。
【0059】
具体的には、
図3に示すように、左右の接合部端部57と接合部分岐部56との間は、後壁部20の左右の端部の下側27,28と、底部30の左右の端部の後側37,38とが、ポリオレフィン不織布Sを介してそれぞれヒートシールされ、耐油性を有する紙と耐油性を有する紙とがポリオレフィン不織布Sを介在させてヒートシールされた接合部53が形成される。左右の接合部分岐部56と接合部前端部58との間は、前壁部10の左右の端部の下側15,16と、底部30の左右の端部の前側35,36とが、ポリオレフィン不織布Sを介してそれぞれヒートシールされ、ポリオレフィンフィルムと耐油性を有する紙とがポリオレフィン不織布Sを介在させてヒートシールされた接合部52が形成される。左右の接合部前端部58と58の間は、前壁部10の下端部19と、底部30の前端部39とが、ポリオレフィン不織布Sを介してそれぞれヒートシールされ、ポリオレフィンフィルムと耐油性を有する紙とがポリオレフィン不織布Sを介在させてヒートシールされた接合部52が形成される。
図2に示すように、左右の接合部分岐部56と不織布境界部55との間は、前壁部10の左右の端部の上側13,14と、後壁部20の左右の端部の上側23,24とが、ポリオレフィン不織布Sを介してそれぞれヒートシールされ、ポリオレフィンフィルムと耐油性を有する紙とがポリオレフィン不織布Sを介在させてヒートシールされた接合部52が形成される。左右の不織布境界部55と接合部上端部59との間は、前壁部10の左右の端部の上側13,14と、後壁部20の左右の端部の上側23,24とがヒートシールされ、ポリオレフィンフィルムと耐油性を有する紙とがヒートシールされた接合部51が形成される。
【0060】
底部30は、
図3に示すように、底部30の後端部32a(谷折り線30b)と接合部52,53とで挟まれた耐油紙で構成され、内側にはポリオレフィン不織布Sが敷設される。
【0061】
第2実施形態に係る食品包装用袋を折り畳んだ状態から、折り曲げられている山折り線30a部分を押し込んで底部30を広げて、食品包装用袋は、収納物Pを収納して自立可能な立体形状となる。
図2に示すように、食品包装用袋は、収納物Pが開口部40から収納されて、底部30を下にして陳列台Bに陳列される。
【実施例】
【0062】
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、前・後記の趣旨に適合しうる範囲で適宜変更して実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
【0063】
ポリオレフィンフィルムとして、表1に記載のものを用いた。
【0064】
【0065】
表中、PPは、ポリプロピレン樹脂を指し、PE-PPは、ポリエチレン-ポリプロピレン共重合体樹脂(ランダムコポリマー)を指す(以下同じ。)。ポリオレフィンフィルムa、b及びcは、防曇剤を含有するポリオレフィンフィルムであり、ポリオレフィンフィルムdは、防曇剤を含有しないポリオレフィンフィルムである。また、ポリオレフィンフィルムa及びdは、単層フィルムであり、ポリオレフィンフィルムb及びcは、2層の積層フィルムであり、ポリオレフィンフィルムbがヒートシールをしない側の層にポリプロピレン樹脂からなる層を設け、ポリオレフィンフィルムcがヒートシールをしない側の層にポリエチレンテレフタレート樹脂からなる層を設けている。なお、これらポリオレフィンフィルムは、二軸延伸フィルムである。
【0066】
耐油性を有する紙として、表2に記載のものを用いた。
【0067】
【0068】
紙fは内添法耐油紙であり、紙gは外添法耐油紙である。紙hは、比較のために用いた耐油性を有しない上質紙である。
【0069】
ポリオレフィン不織布Sとして、表3に記載のものを用いた。
【0070】
【0071】
不織布jはポリプロピレン樹脂からなる不織布であり、不織布kはポリエチレン-ポリプロピレン共重合体樹脂からなる不織布である。
【0072】
(試験例)
表4~6に記載の試験例の条件に従い、食品包装用袋を作成した。試験例に用いた食品包装用袋の形状は、長方形とし、その3辺の端部をヒートシールにより接合して袋状とした。そして、各々の試験例の食品包装用袋について、剥離強度を測定し、収納物の状態、紙の油や水分の染み出しの状態を確認した。測定方法等の詳細を以下に記載する。
【0073】
剥離強度は、ヒートシール強さ(JIS Z 0238:1998(ヒートシール軟包装用袋及び半剛性容器の試験方法)7.袋のシートヒール強さ試験)に準拠して測定した。そして、剥離強度(ヒートシール強さ)が、2.0N/15mm以上であるものを○、1.0N/15mm以上、2.0N/15mm未満であるものを△、1.0N/15mm未満であるものを×、として評価した。
【0074】
収納物の状態及び紙の油や水分の染み出しの状態は、収納物の食品として50gのコロッケ2個を食品包装用袋に入れ、電子レンジで加熱(500W・1分)し、5分後にその状態を確認した。そして、収納物の状態は、食品の表面のべたつきや湿り気の発生がなく、食感のいわゆるサクサク感が損なわれていないものを○、食品の表面のべたつきはないものの湿り気の発生があるものを△、食品の表面のべたつきやの発生が確認できたものを×、として評価した。紙の油や水分の染み出しの状態は、紙が油や水分によって濡れ色になってなく、紙から油や水分の染み出しが見られないものを○、紙の一部が油や水分によって濡れ色になっているが、紙から油や水分の染み出しが見られないものを△、紙から油や水分の染み出しが見られるものを×、として評価した。なお、ヒートシールの剥離強度が十分な強度を有していない試験例では、収納物の状態及び紙の油や水分の染み出しの状態の確認試験ができないため“評価不可”とした。
【0075】
試験例1~3,5,6及び8~11は実施例であり、試験例4及び7は比較例である。なお、第1実施形態に係る食品包装用袋は、試験例1~7の内の1つのヒートシールを施すことにより製造することができる。また、第2実施形態に係る食品包装用袋は、試験例1,8及び10の組み合わせ、又は、試験例1,9及び11の組み合わせによって製造することができる。
【0076】
(試験例1~4)
試験例1~4の結果を表4に示す。試験例1~4は、耐油性を有する紙に紙f(内添法耐油紙、目付量50g/m2、透気抵抗度15sec)を用い、ポリオレフィンフィルムに各種のポリオレフィンフィルムを用いて試験を行った。ポリエステルフィルムに防曇剤を含有するポリオレフィンフィルムa、bまたはcを用いた試験例1~3では、剥離強度は十分に保たれ、食品の表面のべたつきや湿り気の発生もなくサクサク感が損なわれず、油や水分の染み出しは見られなかった。しかし、防曇剤を含有しないポリオレフィンフィルムdを使用した試験例4では、剥離強度が十分でなかった。ポリオレフィンフィルムに防曇剤が含有されていないため、ポリオレフィンフィルムの軟化点が下がらなかったためと推測する。
【0077】
【0078】
(試験例5~7)
試験例5~7の結果を表5に示す。試験例5~7は、ポリオレフィンフィルムにポリオレフィンフィルムa(PP樹脂、ノニオン系防曇剤含有、厚み20μm)を用い、耐油性を有する紙に各種の紙を用いて試験を行った。耐油性を有する紙に内添法耐油紙からなる紙fを用いた試験例5では、剥離強度は十分に保たれ、食品の表面のべたつきや湿り気の発生もなくサクサク感が損なわれず、油や水分の染み出しは見られなかった。外添法耐油紙からなる紙gを用いた試験例6は、剥離強度は十分に保たれ、食品の湿り気の発生がわずかに見られたが、油や水分の染み出しは見られなかった。紙に上質紙からなる紙hを用いた試験例7では、剥離強度が十分でなかった。上質紙からなる紙hには耐油剤が含有されていないため、ヒートシールのアンカー効果が得られなかったと推測する。なお、試験例1~3,5,6は、袋の3辺の端部が第1実施形態と第2実施形態に係る食品包装用袋の接合部51に相当するヒートシール部である。
【0079】
【0080】
(試験例8,9)
試験例8,9の結果を表6に示す。試験例8,9は、袋の3辺の端部が第2実施形態に係る食品包装用袋の接合部52に相当するヒートシール部である。ポリオレフィンフィルムにポリオレフィンフィルムa(ポリプロピレン樹脂、ノニオン系防曇剤含有、厚み20μm)を用い、耐油性を有する紙に紙f(内添法耐油紙、目付量50g/m2、透気抵抗度15sec)を用い、その間に、ポリオレフィン不織布Sとして各種の不織布を用いて試験を行った。ポリオレフィン不織布Sに、ポリプロピレンからなる不織布jを用いた試験例8、ポリエチレン-ポリプロピレン共重合体からなる不織布kを用いた試験例9、共に、剥離強度は十分に保たれ、食品の表面のべたつきや湿り気の発生もなくサクサク感が損なわれず、油や水分の染み出しは見られなかった。また、ポリオレフィン不織布Sが収納物に含まれる食用油を適度に吸収していた。
【0081】
【0082】
(試験例10,11)
試験例10,11の結果を表7に示す。試験例10,11は、袋の3辺の端部が第2実施形態に係る食品包装用袋の接合部53に相当するヒートシール部である。2枚の耐油性を有する紙に紙f(内添法耐油紙、目付量50g/m2、透気抵抗度15sec)を用い、その間に、ポリオレフィン不織布Sとして各種の不織布を用いて試験を行った。ポリオレフィン不織布Sに、ポリプロピレンからなる不織布jを用いた試験例10、ポリエチレン-ポリプロピレン共重合体からなる不織布kを用いた試験例11、共に、剥離強度は十分に保たれ、食品の表面のべたつきや湿り気の発生もなくサクサク感が損なわれず、油や水分の染み出しは見られなかった。また、ポリオレフィン不織布Sが収納物に含まれる食用油を適度に吸収していた。
【0083】
【符号の説明】
【0084】
10…前壁部、10a,10b…端部、10c…下端部、13,14…左右の端部の上側、15,16…左右の端部の下側、19…下端分、20…後壁部、20a,20b…端部、20c…下端部、21…後壁下方部、23,24…左右の端部の上側、27,28…左右の端部の下側、30…底部、30a…山折り線、30b…谷折り線、32a…後端部、35,36…左右の端部の前側、37,38…左右の端部の後側、39…前端部、40…開口部、41…蓋部、51…接合部、52…接合部、53…接合部、55…不織布境界部、56…接合部分岐部、57…接合部端部、58…接合部前端部、59…接合部上端部、B…陳列台、P…収納物、S…不織布。