(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-04
(45)【発行日】2022-03-14
(54)【発明の名称】外来患者案内システムの受付機
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/22 20180101AFI20220307BHJP
G16H 40/00 20180101ALI20220307BHJP
【FI】
G06Q50/22
G16H40/00
(21)【出願番号】P 2017199686
(22)【出願日】2017-10-13
【審査請求日】2020-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000147833
【氏名又は名称】株式会社イシダ
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】寺本 拓
(72)【発明者】
【氏名】北川 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】國崎 嘉人
【審査官】大野 朋也
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-210864(JP,A)
【文献】特開2003-143648(JP,A)
【文献】特開2017-058974(JP,A)
【文献】特開平11-311037(JP,A)
【文献】特開2006-259908(JP,A)
【文献】特開2017-117277(JP,A)
【文献】特開2004-280544(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0138649(KR,A)
【文献】特開2015-060563(JP,A)
【文献】特開2007-323482(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に割り当てられる患者識別情報を記憶するサーバ、及び前記患者に携帯されるとともにメッセージアプリがインストールされた携帯端末、と通信可能な外来患者案内システムの受付機であって、前記メッセージアプリにより前記携帯端末にはメッセージアプリユーザ識別情報が割り当てられており、受付機は、
メッセージを表示する表示部と、
患者の応答を取得する応答入力部と、
情報処理を行う処理部と、
を備え、
前記サーバにおいて前記患者識別情報と前記メッセージアプリユーザ識別情報とが関連付けられていることを前記処理部が認知した場合に、前記表示部は選択画面を表示し、
前記選択画面は、前記患者
の案内機器として、病院の案内端末及び前記患者の前記携帯端末のいずれを使用するかを、前記応答入力部を用いて応答するよう前記患者に促す、
受付機。
【請求項2】
外来患者案内システムの受付機であって、
メッセージを表示する表示部と、
患者の応答を取得する応答入力部と、
情報処理
及びサーバとの通信を行う処理部と、
を備え、
前記患者の案内機器として前記患者の携帯端末が登録されていることを
前記サーバとの通信によって前記処理部が認知した場合に、前記表示部は選択画面を表示し、
前記選択画面は、前記患者の前記案内機器として、病院の案内端末及び前記患者の前記携帯端末のいずれを使用するかを、前記応答入力部を用いて応答するよう前記患者に促す、
受付機。
【請求項3】
前記患者の前記案内機器として前記患者の前記携帯端末が登録されていないことを前記処理部が認知した場合に、前記表示部は前記選択画面を表示しない、
請求項1又は請求項2に記載の受付機。
【請求項4】
前記患者の前記案内機器として前記患者の前記携帯端末が登録されていること、及び前記患者の前記携帯端末が前記案内機器として機能できない状態にあることを前記処理部が認知した場合に、前記表示部は前記選択画面を表示しない、
請求項1から3のいずれか1項に記載の受付機。
【請求項5】
前記病院の前記案内端末を発行する案内端末発行部、
をさらに備え、
前記表示部が前記選択画面を表示しない場合に、前記案内端末発行部は、前記患者の前記案内機器として前記案内端末を発行する、
請求項3又は請求項4に記載の受付機。
【請求項6】
患者識別情報を取得する患者識別情報入力部、
をさらに備え、
前記受付機は
前記サーバと接続されており、
前記サーバにおいて前記患者識別情報及び前記携帯端末の識別情報が関連付けられている場合に、前記処理部は、前記患者の前記案内機器として前記患者の前記携帯端末が登録されていると認知する、
請求項1から5のいずれか1つに記載の受付機。
【請求項7】
前記携帯端末の前記識別情報は、前記携帯端末にインストールされたメッセージングアプリのユーザ識別情報である、
請求項6に記載の受付機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外来患者案内システムの受付機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特開2017-117277号公報)には、病院で用いられる案内システムが開示されている。案内システムは、患者を適切なタイミングで目的の場所へ案内するためのものである。患者の案内は、患者に貸与される専用の案内端末を通して行われる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
スマートフォン又はタブレット型コンピュータなどの携帯端末が普及した今日、患者には、専用の案内端末ではなく自分が所有する携帯端末を介して案内を受けたいというニーズがある。その一方で、携帯端末を持つ患者が、状況に応じて、自分の携帯端末ではなく専用の案内端末によって案内を受けることを望む場合もありうる。
【0004】
本発明の課題は、案内システムにおいて、患者に多くの選択肢を与えることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1観点に係る受付機は、外来患者案内システムの受付機である。受付機は、患者に割り当てられる患者識別情報を記憶するサーバ、及び前記患者に携帯されるとともにメッセージアプリがインストールされた携帯端末、と通信可能である。メッセージアプリにより携帯端末にはメッセージアプリユーザ識別情報が割り当てられる。受付機は、メッセージを表示する表示部と、患者の応答を取得する応答入力部と、情報処理を行う処理部と、を備える。サーバにおいて患者識別情報とメッセージアプリユーザ識別情報とが関連付けられていることを処理部が認知した場合に、表示部は選択画面を表示する。選択画面は、患者の案内機器として、病院の案内端末及び患者の携帯端末のいずれを使用するかを、応答入力部を用いて応答するよう患者に促す。
この構成によれば、患者は、自分の患者識別情報と、自分が所有する携帯端末に割り当てられるメッセージアプリユーザ識別情報とが関連付けられている場合には、病院の案内端末及び自分の携帯端末のいずれを使用するかを選択できる。したがって、案内機器に関し、患者により多くの選択肢を与えることができる。
本発明の第2観点に係る受付機は、外来患者案内システムの受付機である。受付機は、メッセージを表示する表示部と、患者の応答を取得する応答入力部と、情報処理を行う処理部と、を備える。患者の案内機器として患者の携帯端末が登録されていることを処理部が認知した場合に、表示部は選択画面を表示する。選択画面は、患者の案内機器として、病院の案内端末及び患者の携帯端末のいずれを使用するかを、応答入力部を用いて応答するよう患者に促す。
【0006】
この構成によれば、患者は、案内機器として自分が所有する携帯端末が登録されている場合には、病院の案内端末及び自分の携帯端末のいずれを使用するかを選択できる。したがって、案内機器に関し、患者により多くの選択肢を与えることができる。
【0007】
本発明の第3観点に係る受付機は、第1観点又は第2観点に係る受付機において、患者の案内機器として患者の携帯端末が登録されていないことを処理部が認知した場合に、表示部は選択画面を表示しない。
【0008】
この構成によれば、患者は、案内機器として自分が所有する携帯端末が登録されている場合には、選択画面を見ることがない。したがって、患者に無関係な選択画面を提示することがないので、患者を煩わせる事態が起こりにくい。
【0009】
本発明の第4観点に係る受付機は、第1観点から第3観点のいずれか1つに係る受付機において、患者の案内機器として患者の携帯端末が登録されていること、及び患者の携帯端末が案内機器として機能できない状態にあることを処理部が認知した場合に、表示部は選択画面を表示しない。
【0010】
この構成によれば、患者の携帯端末が案内機器として機能できない場合には、患者は選択画面を見ることがない。したがって、患者に不必要な選択画面を提示することがないので、患者を煩わせる事態が起こりにくい。
【0011】
本発明の第5観点に係る受付機は、第3観点又は第4観点に係る受付機において、病院の案内端末を発行する案内端末発行部、をさらに備える。表示部が選択画面を表示しない場合に、案内端末発行部は、患者の案内機器として案内端末を発行する。
【0012】
この構成によれば、受付機の表示部が選択画面を表示しない場合には、案内端末が発行される。したがって、患者は案内端末により案内を受けることができる。
【0013】
本発明の第6観点に係る受付機は、第1観点から第5観点のいずれか1つに係る受付機において、患者識別情報を取得する患者識別情報入力部、をさらに備える。受付機はサーバと接続されている。サーバにおいて患者識別情報及び携帯端末の識別情報が関連付けられている場合に、処理部は、患者の案内機器として患者の携帯端末が登録されていると認知する。
【0014】
この構成によれば、患者の案内機器として患者の携帯端末を登録することは、サーバにおいて患者識別情報と携帯端末の識別情報を関連付けることにより行われる。したがって、患者識別情報と携帯端末の関連付けの管理が行いやすい。
【0015】
本発明の第7観点に係る受付機は、第6観点に係る受付機において、携帯端末の識別情報が、携帯端末にインストールされたメッセージングアプリのユーザ識別情報である。
【0016】
この構成によれば、メッセージングアプリのユーザ識別情報が患者識別情報と関連付けられる。したがって、メッセージングアプリが有する機能を、患者の案内に利用することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る受付機によれば、案内システムにおいて、患者に多くの選択肢を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、案内システム100の構成を示す概略図である。
【
図2】
図2は、受付機50の外観を示す概略図である。
【
図3】
図3は、案内端末55の外観を示す概略図である。
【
図4】
図4は、初診受付時の手続きを示す図である。
【
図5】
図5は、携帯端末56の登録時の通信動作を示す図である。
【
図6】
図6は、携帯端末56の画面に表示されたパスコードを示す図である。
【
図7】
図7は、携帯端末56の画面に表示された登録完了のメッセージを示す図である。
【
図8】
図8は、再来受付時の通信動作を示す図である。
【
図9】
図9は、受付機50のタッチパネルディスプレイ51に表示される選択画面を示す図である。
【
図10】
図10は、携帯端末56の画面に表示された選択完了のメッセージを示す図である。
【
図11】
図11は、携帯端末56の画面に表示された案内のメッセージを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る受付機の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、本発明に係る受付機の具体的な構成は、下記の実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0020】
(1)全体構成
図1は本発明の一実施形態に係る案内システム100の構成を示す。案内システム100は、病院にいる患者Pを適切なタイミングで目的の場所へ案内するものである。案内システム100は、病院敷地10の内部に設置される部分と、病院敷地10の外部に設置される部分からなる。
【0021】
(2)詳細構成
(2-1)病院敷地10の内部の部分
(2-1-1)建屋15
病院敷地10には建屋15が設けられている。建屋15の外側には駐車場11等が設けられている。建屋15の中には、ルータ20、病院内サーバ30、アクセスポイント機器40、受付機50、登録機60が設置されている。さらに、建屋15の中にいる患者Pは、案内機器Gを持っている。案内機器Gとは、病院が所有する専用の案内端末55又は患者Pが所有する携帯端末56を指す。
【0022】
(2-1-2)ルータ20
ルータ20は、建屋15の中に設置された機器が建屋15の外に設置された機器と通信できるようにする。建屋15の中に設置された機器は、図示しないハブによりルータ20と共にネットワークを構成する。
【0023】
(2-1-3)病院内サーバ30
病院内サーバ30は、案内システム100全体の動作を管理する。病院内サーバ30は、ルータ20に接続されている。病院内サーバ30は、電子カルテデータベースE、案内統括部C、受付機管理部A、案内機器管理部Iの機能ユニットを有する。これらの機能ユニットは連動している。病院内サーバ30は、単一のコンピュータとして構成されてもよい。代替的に、病院内サーバ30は複数のコンピュータから構成され、それぞれのコンピュータがいずれかの機能ユニットを担当してもよい。
【0024】
電子カルテデータベースEは、患者ID、患者Pの氏名、生年月日、性別、受診した部門、病歴、検査結果、治療記録などを記憶する。患者IDとは、患者Pを識別するために病院が患者Pに割り当てる情報である。患者IDは、それぞれの患者Pに固有の番号又は文字列である。患者IDは電子カルテデータベースEにおいて主キーを形成する。
【0025】
案内統括部Cは、患者Pと案内機器Gの対応関係を記憶するとともに、患者Pに対して適切なタイミングで案内のメッセージを送信する。
【0026】
受付機管理部Aは、受付機50を管理する。
【0027】
案内機器管理部Iは、案内機器Gを管理する。
【0028】
(2-1-4)アクセスポイント機器40
アクセスポイント機器40は、建屋15の中の無線通信のアクセスポイントとして機能する。好ましくは、アクセスポイント機器40は、WiFi通信を行うことができる。
【0029】
(2-1-5)受付機50
受付機50は、患者Pの診察の受付を行う。
図2は、受付機50の外観を示す。受付機50は、タッチパネルディスプレイ51、診察券投入部52、案内端末発行部53、処理部54を有する。受付機50の内部には、多数の案内端末55が格納されており、受付機50は案内端末55の充電器としても機能する。
【0030】
タッチパネルディスプレイ51は、画像出力手段である表示部51aと、患者Pの応答を取得する応答入力部51bとを有する。診察券投入部52には、診察券を搬送するモータと、診察券に記録されている情報を読み取るリーダが設けられている。案内端末発行部53には、案内端末55を搬送するモータが設けられている。処理部54は情報処理を行う。処理部54は、さらに、タッチパネルディスプレイ51、診察券投入部52、案内端末発行部53の制御を行う。処理部54は、さらに、病院内サーバ30の受付機管理部Aと通信を行う。
【0031】
患者Pは、病院に到着して最初に、診察券を診察券投入部52に入れる。その後、受付機50は、診察券に記録されている患者IDを読み取る。その後、受付機50は診察券を診察券投入部52から出し、患者Pに返却する。患者Pが案内端末55による案内を希望する場合、受付機50は案内端末発行部53から案内端末55を出し、患者Pに渡す。
【0032】
(2-1-6)登録機60
図1に戻り、登録機60は、病院の関係者である病院職員Sが操作する病院内端末である。患者Pが案内機器Gとして自分の携帯端末56を登録することを希望した場合に、病院職員Sは、登録機60を用いて携帯端末56の登録を行う。
【0033】
(2-1-7)案内端末55
案内端末55は、病院に所有され、患者Pへ貸与される専用の機器である。
図3は、案内端末55の外観である。案内端末55は、表示部55a、確認キー55b、無線通信部55cを有する。表示部55aは、患者Pを適切な行先へ案内するためのメッセージ又は地図などを表示するためのものである。確認キー55bは、患者Pがメッセージなどを受け取ったことを示すために、患者Pによって押されるものである。無線通信部55cは、アクセスポイント機器40と無線通信を行うためのものである。無線通信によって、案内端末55は病院内サーバ30の案内機器管理部Iからメッセージなどを受信し、確認キー55bが押された事象の報告を病院内サーバ30の案内機器管理部Iに送信する。
【0034】
(2-1-8)携帯端末56
図1に戻り、携帯端末56は患者Pが所有する機器である。携帯端末56は、例えばスマートフォン又はタブレット型コンピュータである。携帯端末56には、メッセージアプリをインストールすることができる。
【0035】
携帯端末56が建屋15の中にあるとき、携帯端末56はアクセスポイント機器40と無線通信をすることができる。携帯端末56が建屋15の外にあるとき、携帯端末56は無線通信キャリア会社の基地局90と無線通信をすることができる。
【0036】
(2-2)病院敷地10の外部の部分
病院敷地10の外部に設置される部分は、公衆回線網65、メッセージアプリサーバ70、メッセージアプリ連動サーバ80、基地局90である。
【0037】
(2-2-1)公衆回線網65
公衆回線網65は、不特定多数の機器の間でネットワークを構成する。
【0038】
(2-2-2)メッセージアプリサーバ70
メッセージアプリサーバ70は、病院外サーバの1つである。ここでいう病院外サーバとは、病院外部の公衆回線網65上の機器からアクセスされるサーバのことをいう。病院外サーバは、第一義的には病院敷地10の外部に設けられるが、病院敷地10の内部に設けられてもよい。メッセージアプリサーバ70は、メッセージアプリのサービス提供者によって運用される。メッセージアプリサーバ70は、公衆回線網65を介してメッセージアプリの一般ユーザに対してサービスを提供する。このサービスにおいて、ユーザは、登録した特定の通信相手とメッセージを交換することができる。
【0039】
メッセージアプリは、例えばLINE株式会社のLINE(登録商標)であり、この場合、通信相手は「友だち」と呼ばれる。メッセージアプリは、それ以外のアプリであってもよい。
【0040】
(2-2-3)メッセージアプリ連動サーバ80
メッセージアプリ連動サーバ80は、病院外サーバの1つである。メッセージアプリ連動サーバ80は、病院によって運用される。メッセージアプリ連動サーバ80は、メッセージアプリにおける病院アカウント(病院が有するいわゆる公式アカウント)の動作を管理する。メッセージアプリ連動サーバ80は、公衆回線網65に接続される。メッセージアプリ連動サーバ80は、メッセージアプリのAPIを利用することによって、メッセージアプリサーバ70と連動する。
【0041】
メッセージアプリ連動サーバ80は、後述するメッセージアプリユーザIDを記憶するが、患者IDの受信又は記憶をすることはない。
【0042】
(2-2-4)基地局90
基地局90は、無線通信キャリア会社によって運営される。基地局90は、無線通信によって、携帯端末56を公衆回線網65に接続させることができる。
【0043】
(3)動作
(3-1)初診受付
患者Pが初めて病院を訪れた際の初診受付は、
図4に示す手続きにより行われる。まず、ステップS101で、患者Pは初診受付窓口へ行き、患者Pが自分の個人情報をフォームに記入して、病院職員Sに渡す。次に、ステップS102で、病院職員Sは患者Pに対して固有の患者IDを割り当てる。ステップS103で、病院職員Sは電子カルテデータベースEに患者IDと個人情報を入力する。その後、患者Pは診察を受ける。ステップS104で、患者IDを記録した診察券が発行される。診察券は、磁気カード又はICカードなどの、記憶手段を有するカードである。ステップS105で、診察終了後に、患者Pは病院職員Sから診察券を受け取る。次回以降、患者Pは病院を訪れるときに診察券を受付機50の診察券投入部52へ投入する。
【0044】
(3-2)携帯端末56の登録
患者Pは、案内機器Gとして、自分が所有する携帯端末56を使用することができる。その場合には、事前に、自分の携帯端末56を案内機器Gとして登録する。登録は、
図5に示す手順により行われる。
【0045】
ステップS201にて、患者Pは、自分が所持する携帯端末56に、病院が指定するメッセージアプリをインストールする。患者Pがインストールを実行することにより、患者Pの携帯端末56にメッセージアプリユーザIDが割り当てられるとともに、患者アカウントが作成される。メッセージアプリユーザIDとは、メッセージアプリユーザを識別するためにメッセージアプリサーバ70がメッセージアプリユーザに割り当てる情報である。メッセージアプリユーザIDは、それぞれのメッセージアプリユーザに固有の番号又は文字列である。
【0046】
次に、ステップS202において、患者Pはメッセージアプリの通信相手(LINE(登録商標)では前述のとおり「友だち」)として病院アカウントを登録する。ステップS203にて、メッセージアプリサーバ70が、メッセージアプリ連動サーバ80に対して、患者Pを通信相手として登録してよいか問いかける。ステップS204において、メッセージアプリ連動サーバ80は、登録の許可とともにパスコードを、メッセージアプリサーバ70へ送信する。パスコードは、例えば、メッセージアプリユーザIDに何らかの変換を施したデータである。すなわち、パスコードは、メッセージアプリユーザIDの情報を含んでいる。ステップS205において、メッセージアプリサーバ70は、携帯端末56に対し、パスコードを含むメッセージを送信する。
図6は、ステップS205における携帯端末56の画面である。ここでは、パスコードがバーコードとして表示されている。患者Pは、病院内にある登録を行う場所である携帯端末登録窓口へ向かう。そこで、患者Pは、病院職員Sに診察券を渡すとともに、携帯端末56に表示されたパスコードを提示する。
【0047】
図5に戻り、ステップS206において、病院職員Sは、診察券を専用のリーダに入れて患者IDを読み出し、患者IDを登録機60によって案内統括部Cへ送信する。ステップS207は、患者IDに対応する個人情報(氏名・生年月日・性別など)を登録機60へ送信する。登録機60は、個人情報を表示し、病院職員Sに見せる。病院職員Sは、この個人情報に基づいて、携帯端末登録窓口に来ている人間が患者P本人であることに間違いがないかチェックする。この時、病院職員Sは、患者Pに身分証明書の提示を求めてもよい。
【0048】
次いで、ステップS208において、病院職員Sは、携帯端末56に表示されたパスコードをバーコードリーダで読み取ることにより、パスコードを登録機60へ入力する。登録機60がそのパスコードを病院内サーバ30の案内統括部Cへ送信する。案内統括部Cはパスコードをメッセージアプリ連動サーバ80へ送信する。ステップS209において、メッセージアプリ連動サーバ80は、パスコードに相当するメッセージアプリユーザが存在するか確認し、存在を肯定するときはそのメッセージアプリユーザのメッセージアプリユーザIDを登録機60へ送信する応答を行う。メッセージアプリ連動サーバ80がメッセージアプリユーザの存在を否定するときは、メッセージアプリユーザIDを登録機60へ送信する応答を行わない。
【0049】
ステップS210において、病院職員SがメッセージアプリユーザIDと患者IDの関連付けを実行する。すなわち、登録機60は関連付けコマンドとともに、患者IDとメッセージアプリユーザIDの両方を案内統括部Cへ送信する。案内統括部Cは患者IDとメッセージアプリユーザIDを関連付けて記憶する。この時、案内統括部Cは、患者IDを病院の建屋15の外部、すなわち病院敷地10の外部へ送信することはない。ステップS211において、案内統括部Cは登録機60に対して登録の完了報告を送信する。これにより、病院職員Sは、登録が成功したことを知る。関連付けの作業は、必ず教育された病院職員Sが行う。患者Pによる携帯端末56の操作をトリガとして、関連付けが自動的に行われることはない。登録機60は、患者Pによって触れられることのないように厳重に管理される。
【0050】
ステップS212において、案内統括部Cはさらにメッセージアプリ連動サーバ80に登録の完了報告を送信する。ステップS213において、メッセージアプリ連動サーバ80は、患者Pに対して登録の完了を知らせるメッセージをメッセージアプリサーバ70に送信する。ステップS214において、メッセージアプリサーバ70はそのメッセージを患者Pの携帯端末56へ送信する。
図7は、ステップS214で携帯端末56が受信するメッセージを示す。このメッセージにより、患者Pは、自分の携帯端末56が案内機器Gとして登録されたことを知る。
【0051】
(3-3)再来受付
既に診察券を持っている患者Pは、受付機50で診察の受付を行うことができる。この再来受付は、
図8に示す手順により行われる。
【0052】
ステップS301において、患者Pが診察券投入部52に入れ、受付機50は患者IDを読み取る。ステップS302において、受付機50の処理部54は患者IDを案内統括部Cへ送信する。
【0053】
ステップS303において、案内統括部Cは、その患者IDに関する携帯端末56の登録ステータスを受付機50の処理部54へ送信する。登録ステータスとは、その患者IDについて、案内機器Gとして携帯端末56が登録されているか否かを意味する。換言すれば、登録ステータスとは、診察券に記録された患者IDが、何らかのメッセージングアプリユーザIDと、案内統括部Cにおいて関連付けられているか否かを意味する。
【0054】
患者Pの案内機器Gとして患者Pの携帯端末56が登録されていることを、処理部54が登録ステータスに基づいて認知した場合に、表示部51aはステップS304において選択画面を表示する。
図9は選択画面を示す。選択画面は、患者Pの案内機器Gとして、病院の案内端末55及び患者Pの携帯端末56のいずれを使用するかを、応答入力部51bを用いて応答するよう患者Pに促す。患者Pは、自分がその日に案内機器Gとして使用したい端末に相当するエリアに手で触れることによって、選択を行う。
【0055】
図8に戻り、ステップS305において、選択内容は案内統括部Cへ送信される。患者Pが選択した案内機器Gが自分の携帯端末56である場合、ステップS306において、携帯端末56が選択されたことを伝える信号をメッセージアプリ連動サーバ80へ送信する。ステップS307において、メッセージアプリ連動サーバ80は、選択を受け付けたことを患者Pに知らせるメッセージをメッセージアプリサーバ70に送信する。ステップS308において、メッセージアプリサーバ70はそのメッセージを患者Pの携帯端末56へ送信する。
図10は、ステップS308で携帯端末56が受信するメッセージを示す。このメッセージにより、患者Pは、その日、自分の携帯端末56が案内機器Gとして使用可能であることを知る。
【0056】
一方、ステップS303において、患者Pの案内機器Gとして患者Pの携帯端末56が登録されていないことを処理部54が登録ステータスに基づいて認知した場合に、表示部51aは選択画面を表示しない。表示部51aが選択画面を表示しない場合に、案内端末発行部53は、患者Pの案内機器Gとして案内端末55を発行する。
【0057】
ステップS305で案内端末55が選択された場合にも、案内端末発行部53は、患者Pの案内機器Gとして案内端末55を発行する。
【0058】
(3-4)案内
図11は、患者Pが案内機器Gとして選択した携帯端末56の案内画面である。診察の時間が近づくと、携帯端末56のメッセージアプリは患者Pを案内するメッセージが受信する。
【0059】
(4)特徴
(4-1)
患者Pは、案内機器Gとして自分が所有する携帯端末56が登録されている場合には、病院の案内端末55及び自分の携帯端末56のいずれを使用するかを選択できる。したがって、案内機器Gに関し、患者Pにより多くの選択肢を与えることができる。
【0060】
(4-2)
患者Pは、案内機器Gとして自分が所有する携帯端末56が登録されている場合には、選択画面を見ることがない。したがって、患者Pに無関係な選択画面を提示することがないので、患者Pを煩わせる事態が起こりにくい。
【0061】
(4-3)
受付機50の表示部51aが選択画面を表示しない場合には、案内端末55が発行される。したがって、患者Pは案内端末55により案内を受けることができる。
【0062】
(4-4)
患者Pの案内機器Gとして患者Pの携帯端末56を登録することは、病院内サーバ30において患者IDと携帯端末56の識別情報を関連付けることにより行われる。したがって、患者IDと携帯端末56の関連付けの管理が行いやすい。
【0063】
(4-5)
メッセージングアプリのユーザ識別情報が患者IDと関連付けられる。したがって、メッセージングアプリが有する機能を、患者Pの案内に利用することができる。
【0064】
(5)変形例
以下に本実施形態の変形例を示す。
【0065】
(5-1)変形例A
上述の実施形態では、パスコードはメッセージアプリユーザIDに何らかの変換を施したデータである。これに代えて、パスコードはメッセージアプリユーザIDそのものであってもよい。
【0066】
(5-2)変形例B
上述の実施形態では、パスコードは携帯端末56においてバーコードとして表示される。これに代えて、パスコードは、2次元バーコード又はドットコードとして表示されてもよい。
【0067】
さらには、パスコードは数字又は文字として表示されてもよい。この場合、病院職員Sは目視でパスコードを読み取り、登録機60に接続されたキーボードなどの入力手段によってパスコードを入力してもよい。
【0068】
(5-3)変形例C
上述の実施形態では、患者Pの案内機器Gとして患者Pの携帯端末56が登録されていることを、処理部54が登録ステータスに基づいて認知した場合に、表示部51aはステップS304に示す選択画面を表示する。これに代えて、患者Pの案内機器Gとして患者Pの携帯端末56が登録されている場合であっても、患者Pの携帯端末56が案内機器Gとして機能できない状態にあることを処理部54が認知した場合には、表示部51aは選択画面を表示しない処理を行ってもよい。機能できない状態とは、例えばメッセージアプリサーバ70がダウンしている状態などである。この場合、案内端末発行部53は、患者Pの案内機器Gとして案内端末55を発行してもよい。
【0069】
この構成によれば、患者Pの携帯端末56が案内機器Gとして機能できない場合には、患者Pは選択画面を見ることがない。したがって、患者Pに不必要な選択画面を提示することがないので、患者Pを煩わせる事態が起こりにくい。
【符号の説明】
【0070】
10 :病院敷地
15 :建屋
20 :ルータ
30 :病院内サーバ
40 :アクセスポイント機器
50 :受付機
55 :案内端末
56 :携帯端末
60 :登録機
65 :公衆回線網
70 :メッセージアプリサーバ
80 :メッセージアプリ連動サーバ
90 :基地局
100 :案内システム
A :受付機管理部
C :案内統括部
E :電子カルテデータベース
G :案内機器
I :案内機器管理部
P :患者
S :病院職員
【先行技術文献】
【特許文献】
【0071】