(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-04
(45)【発行日】2022-03-14
(54)【発明の名称】プリドピジンを使用する神経変性眼疾患の治療
(51)【国際特許分類】
A61K 31/451 20060101AFI20220307BHJP
A61F 9/007 20060101ALI20220307BHJP
A61K 9/06 20060101ALI20220307BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20220307BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20220307BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20220307BHJP
A61P 27/06 20060101ALI20220307BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220307BHJP
【FI】
A61K31/451
A61F9/007 170
A61K9/06
A61K9/08
A61K9/20
A61P27/02
A61P27/06
A61P43/00 105
A61P43/00 111
A61P43/00 121
(21)【出願番号】P 2018544853
(86)(22)【出願日】2017-02-24
(86)【国際出願番号】 US2017019266
(87)【国際公開番号】W WO2017147366
(87)【国際公開日】2017-08-31
【審査請求日】2020-02-13
(32)【優先日】2016-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513051520
【氏名又は名称】プリレニア・ニューロセラピューティクス・エルティーディー
【氏名又は名称原語表記】Prilenia Neurotherapeutics Ltd
【住所又は居所原語表記】HAMENOFIM 10, HERZLIYA, ISRAEL 4672561
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【氏名又は名称】鵜飼 健
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(72)【発明者】
【氏名】ルス、ヘルマン・クルト
(72)【発明者】
【氏名】ゲバ、ミカエル
(72)【発明者】
【氏名】ラウフェル、ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】オルバッチ、アリク
【審査官】梅田 隆志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2004/103263(WO,A2)
【文献】亀井 淳三,日本薬理学雑誌,1999年,Vol.114, No.1,pp.35-41.
【文献】SQUITIERI, F., et al.,Journal of Cellular and Molecular Medicine,2015年,Vol.19, No.11,pp.2540-2548.
【文献】DYHRING, T. et al.,European Journal of Pharmacology,2010年,Vol.628, No.1-3,pp.19-26.
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/451
A61F 9/007
A61K 9/06
A61K 9/08
A61K 9/20
A61P 27/02
A61P 27/06
A61P 43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
神経変性眼疾患に罹患している対象の治療における使用のための有効な量のプリドピジンまたは薬学的に許容されるその塩を含有する医薬組成物であって、前記プリドピジンは全身投与によって投与され、投与されるプリドピジンの量が100mg/日~315mg/日であるか、または前記プリドピジンは眼への局所投与によって投与され、投与されるプリドピジンの量が0.1mg/日~50mg/日である医薬組成物。
【請求項2】
前記プリドピジンが、前記対象において前記神経変性眼疾患の症状を軽減または抑制するのに有効である、請求項1に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項3】
前記神経変性眼疾患が、緑内障、加齢黄斑変性、視神経症、および色素性網膜炎からなる群から選択される、請求項1または2に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項4】
前記神経変性眼疾患が、滲出型加齢黄斑変性(「滲出型AMD」)または萎縮型加齢黄斑変性(「萎縮型AMD」)である、請求項3に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項5】
前記神経変性眼疾患が、レーバー遺伝性視神経症である、請求項3に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項6】
前記神経変性眼疾患が、緑内障である、請求項3に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項7】
前記症状が、網膜神経節細胞損傷または網膜神経節細胞消失である、請求項2から6のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項8】
前記量のプリドピジンが、前記対象において網膜神経節細胞消失または損傷を軽減または予防するのに有効である、請求項1から7のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項9】
前記網膜神経節細胞消失が、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%軽減される、請求項8に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項10】
前記網膜神経節細胞消失が、50%を超えて、60%を超えて、70%を超えて、または80%を超えて軽減される、請求項8に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項11】
前記量のプリドピジンが、対象において網膜神経節細胞生存度を向上させるのに有効である、請求項1から10のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項12】
前記量のプリドピジンが、前記対象において、網膜神経節細胞を細胞死から保護するのに有効である、請求項1から11のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項13】
前記細胞死が、眼内圧の上昇によって誘導される、請求項
1から12のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項14】
治療が、前記対象において前記神経変性眼疾患の進行を遅くすることを含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項15】
治療が、緑内障に罹患している対象において、視野喪失が失明へと進行するのを遅くすることを含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項16】
治療が、緑内障に罹患している対象において失明を予防することを含む、請求項1から15のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項17】
前記治療が、前記対象において軸索変性を軽減することを含む、請求項1から16のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項18】
プリドピジンが、プリドピジン塩酸塩である、請求項1から17のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項19】
前記プリドピジンが、全身投与によって投与される、請求項1から18のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項20】
前記プリドピジンが、液体またはゲルの形態で投与される、請求項19に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項21】
前記プリドピジンが、眼内、眼周囲、または眼投与によって、好ましくは、結膜への点眼液適用によって投与される、請求項1に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項22】
前記プリドピジンが、液体、ゲル、クリーム、またはコンタクトレンズの形態で投与される、請求項1または21に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項23】
前記プリドピジンが、点眼液、眼内蓄積注射、眼科ゲル、結膜に挿入された錠剤、またはプリドピジンが充填されたレンズの形態で投与される、請求項1、21または22のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項24】
投与されるプリドピジンの量が、100mg/日~250mg/日、または100mg/日~180mg/日である、請求項19または20に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項25】
1用量で投与されるプリドピジンの量が、0.2mg~20mgである、請求項1、21から23のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項26】
前記プリドピジンが、定期的に投与される、請求項1から25のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項27】
プリドピジンが、1日1回、または1日1回より高い頻度で、または1日1回より低い頻度で投与される、請求項26に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項28】
プリドピジンが、1日2回または1日3回投与される、請求項26に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項29】
プリドピジンが、1日おきに、または週1回投与される、請求項26に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項30】
プリドピジンの定期的な投与が、少なくとも3日、30日を超えて、42日を超えて、8週間以上、少なくとも12週間、少なくとも24週間、24週間を超えて、6か月以上、12か月を超えて、18か月を超えて、または24か月を超えて継続される、請求項26から29のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項31】
前記対象が、ヒト患者である、請求項1から30のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項32】
前記対象に、前記神経変性眼疾患治療のための第2の薬剤をさらに含む、請求項1から31のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項33】
前記第2の薬剤が、βアドレナリン拮抗薬、アドレナリン作動薬、副交感神経作動薬、プロスタグランジン類似体、または炭酸脱水酵素阻害薬である、請求項32に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項34】
前記第2の薬剤が、対象において眼内圧の上昇を軽減する、請求項32に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項35】
前記第2の薬剤が、プロスタグランジン作動薬、ベータ遮断薬、炭酸脱水酵素阻害薬、アルファ作動薬、またはこれらの組合せである、請求項34に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項36】
前記第2の薬剤が、ラタノプロスト、ビマトプロスト、トラボプロスト点眼液、ウノプロストン点眼液、タフルプロスト、ベタキソロール点眼液、カルテオロール、チモロール、レボブノロール、メチプラノロール、ドルゾラミド、ブリンゾラミド、アセタゾラミド、メタゾラミド、ブリモニジン、アプラクロニジン、またはこれらの組合せである、請求項34に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項37】
前記対象に、プリドピジンと前記第2の薬剤とを含む用量固定複合剤が投与される、請求項32から36のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項38】
神経変性眼疾患に罹患している対象の治療において、付加療法として、または神経変性眼疾患の前記治療のための第2の薬剤と組み合わせて使用するための、所定量のプリドピジンまたは薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物。
【請求項39】
前記医薬組成物中の前記量のプリドピジンが、約22.5mg、約45mg、約67.5mg、約90mg、約100mg、約112.5mg、約125mg、約135mg、約150mg、約180mg、約200mg、約250mg、または約315mgである、請求項38に記載の医薬組成物。
【請求項40】
前記医薬組成物中の前記量のプリドピジンが、0.2mg~20mgである、請求項38に記載の医薬組成物。
【請求項41】
所定量のプリドピジンまたは薬学的に許容されるその塩と、眼への投与に適する薬学的に許容される賦形剤とを含む眼科用医薬組成物。
【請求項42】
前記神経変性眼疾患の前記治療のための第2の薬剤をさらに含む、請求項41に記載の眼科用医薬組成物。
【請求項43】
前記眼科用医薬組成物中のプリドピジンの濃度が0.0001~10.0w/v%である、請求項41または42に記載の眼科用医薬組成物。
【請求項44】
神経変性眼疾患の治療において使用するための、請求項41から43のいずれか一項に記載の眼科用医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本出願は、その全内容が参照によりここに援用される、2016年2月24日出願の米国仮出願第62/299,290号の権益を主張する。
【0002】
本出願にわたり、様々な刊行物が筆頭著者と刊行年で参照されている。そうした刊行物の完全な引用は、特許請求の範囲の直前の参考文献の部に示す。参考文献の部において引用される刊行物の開示は、ここに記載する本発明の日付における技術水準についてより詳細に述べるために、その全体が参照により本出願に援用される。
【背景】
【0003】
緑内障は、少なくともある程度は眼内圧(IOP)の上昇が原因である、眼への進行性の損傷を特徴とする一群の眼疾患である(Merck Manual of Diagnosis and Therapy(1999))。加えて、緑内障は、網膜神経節細胞(RGC)死、軸索消失、および穴の開いた様相の視神経乳頭を特徴とする(Alward 1998)。緑内障の分類は、たとえば、原発閉塞隅角緑内障、続発開放隅角緑内障、ステロイド緑内障、外傷性緑内障、色素分散症候群、偽落屑症候群、続発閉塞隅角緑内障、血管新生緑内障、ブドウ膜炎、ならびに緑内障および他の眼病理を始めとする、いくつかのサブタイプを包含する。他の眼の神経変性疾患には、種々の形態の黄斑変性、色素性網膜炎、およびすべての種類の視神経症が含まれる。
【0004】
緑内障は、視野テストによって、また「陥凹部」を検出する視神経の検眼鏡検査によって、視力喪失が起こる前に診断することができる。正常な成人の平均IOPは、15~16mmHgであり、正常範囲は、10~21mmHgである。緑内障の一管理形態は、投薬の局部適用を使用してIOPを下げることを主体とする(Coleman 1999)。
【0005】
緑内障性視神経症は、特定の病態生理学的変化に引き続いてRGCおよびその軸索が死ぬ結果として起こると思われる。RGC死の過程は、損傷開始の原因となる原発性の傷害の後、変性途中の細胞を取り囲む過酷な環境に起因する、より緩慢な続発性の変性が続く、二相性であると考えられる(Kipnisら 2000)。
【0006】
RGC死の引き金となる分子機序は、特定されていない。神経栄養因子の欠乏、虚血、グルタミン酸またはアミロイドベータオリゴマーの慢性的な上昇、および無秩序な一酸化窒素代謝が、可能性のある機序ではないかと推測される(Farkasら 2001)。加えて、RGC死をもたらす機序は、他の種類の神経傷害と、特色、たとえば、活性酸素種によるシグナル伝達、ミトコンドリアの脱分極、転写によって調節される細胞死の誘導が共通している(Weinrebら 1999)。
【0007】
プリドピジン
プリドピジン(かつてはACR16、Huntexil(登録商標))は、ハンチントン病と関連する運動症状を有する患者の治療向けに開発された独特な化合物である。プリドピジンの化学名は、4-(3-(メチルスルホニル)フェニル)-1-プロピルピペリジンであり、その化学物質登録番号は、CAS346688-38-8である(CSID:7971505、2016)。プリドピジン塩酸塩の化学物質登録番号は、882737-42-0である(CSID:25948790 2016)。プリドピジンおよび薬学的に許容されるその塩の合成方法は、米国特許第7,923,459号およびPCT出願公開第WO2017/015609号で開示されている。米国特許第6,903,120号は、プリドピジンについて、パーキンソン病、ジスキネジー、ジストニー、トゥレット病、医原性および非医原性の精神病および幻覚症、気分および不安障害、睡眠障害、自閉症スペクトラム障害、ADHD、ハンチントン病、加齢関連認知障害、ならびにアルコール乱用および麻薬性物質乱用に関連した障害の治療を主張している。
【0008】
プリドピジンの神経変性眼疾患、特に緑内障に対する効果は、以前には報告されていない。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、神経変性眼疾患に罹患している対象を治療する方法であって、対象に、対象を治療するのに有効な量のプリドピジンを投与することを含む方法を提供する。
【0010】
本発明はまた、対象において網膜神経節細胞損傷もしくは消失を予防または軽減する方法であって、対象に、対象において網膜神経節細胞損傷もしくは消失を予防または軽減するのに有効な量のプリドピジンを投与することを含む方法を提供する。
【0011】
本発明は、神経変性眼疾患に罹患している対象を治療する方法であって、対象に、対象において網膜神経節細胞に神経保護をもたらすのに有効な量のプリドピジンを投与することを含む方法を提供する。
【0012】
本発明はまた、
a)所定量のプリドピジンを含む第1の医薬組成物と、
b)神経変性眼疾患に罹患している対象を治療するための医薬組成物の使用についての説明書と
を含むパッケージを提供する。
【0013】
本発明はまた、神経変性眼疾患に罹患している対象に投薬するための、または投薬で使用するための治療用パッケージであって、
a)それぞれ所定量のプリドピジンを含む1以上の単位用量であって、前記単位用量中の前記量の前記プリドピジンは、前記対象に投与されると、対象を治療するのに有効である、単位用量と
b)1または複数の前記単位用量を収容するための完成した医薬品容器であって、前記容器は、前記対象の治療における前記パッケージの使用を指示する表示をさらに含有するまたは含む、医薬品容器と
を含む、治療用パッケージを提供する。
【0014】
本発明はまた、神経変性眼疾患に罹患した対象を治療するための、所定量のプリドピジンを含む医薬組成物を提供する。
【0015】
本発明はまた、神経変性眼疾患に罹患している対象の治療において使用するための、所定量のプリドピジンを含む医薬組成物を提供する。
【0016】
本発明はまた、神経変性眼疾患治療のための第2の薬剤を含む医薬組成物と共に併用療法で使用するための、プリドピジンを含む医薬組成物を提供する。
【0017】
本発明はまた、神経変性眼疾患に罹患している対象の治療において、付加療法として、または神経変性眼疾患治療のための第2の薬剤と組み合わせて使用するための、所定量のプリドピジンを含む医薬組成物を提供する。
【0018】
本発明はまた、神経変性眼疾患に罹患している対象の治療において有用な、所定量のプリドピジンまたは薬学的に許容されるその塩を含む単位剤形としての医薬組成物であって、前記組成物中の前記量の前記プリドピジンは、前記対象に1以上の前記単位剤形の前記組成物が投与されると、対象を治療するのに有効である、医薬組成物を提供する。
【0019】
さらに、神経変性眼疾患に罹患している対象の治療において使用するためのプリドピジンが提供される。
【0020】
ここでは、神経変性眼疾患に罹患している対象の治療において使用する医薬を製造するためのプリドピジンが提供される。
【0021】
図面は、Brn-3aで染色した眼切片の写真である。すべての図面において、上方の3枚のパネルは、Brn-3a染色した健康な眼の代表的な切片であり、下方の3枚のパネルは、Brn-3a染色した高張食塩水(HSI)処理眼の代表的な切片である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】1群-ddH2Oについての神経節細胞抗体:Brn-3aの代表的な免疫染色像。
【
図2】2群-プリドピジン3mg/kgについての神経節細胞抗体:Brn-3aの代表的な免疫染色像。
【
図3】3群-プリドピジン30mg/kgについての神経節細胞抗体:Brn-3aの代表的な免疫染色像。
【
図4】4群-プリドピジン60mg/kgについての神経節細胞抗体:Brn-3aの代表的な免疫染色像。
【発明の詳細な説明】
【0023】
本発明は、神経変性眼疾患に罹患している対象を治療する方法であって、対象に、対象を治療するのに有効な量のプリドピジンを投与することを含む方法を提供する。
【0024】
一態様では、プリドピジンの投与は、対象において神経変性眼疾患の症状を軽減または抑制するのに有効である。
【0025】
一態様では、神経変性眼疾患は、緑内障、加齢黄斑変性、視神経症、および色素性網膜炎からなる群から選択される。
【0026】
一態様では、神経変性眼疾患は、緑内障である。別の態様では、神経変性眼疾患は、滲出型加齢黄斑変性(「滲出型AMD」)または萎縮型加齢黄斑変性(「萎縮型AMD」)である。さらなる態様では、神経変性眼疾患は、レーバー遺伝性視神経症(LHON)である。
【0027】
一態様では、症状は、網膜神経節細胞損傷または網膜神経節細胞消失である。
【0028】
一態様では、方法は、対象において網膜神経節細胞消失または損傷を軽減することを含む。
【0029】
一態様では、前記量のプリドピジンは、対象において網膜神経節細胞消失または損傷を軽減または予防するのに有効である。別の態様では、網膜神経節細胞消失は、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%軽減される。さらなる態様では、網膜神経節細胞消失は、50%を超えて、60%を超えて、70%を超えて、または80%を超えて軽減される。
【0030】
一態様では、治療は、患者における網膜神経節細胞生存度を、50%を超えて、60%を超えて、70%を超えて、または80%を超えて向上させることを含む。
【0031】
別の態様では、治療は、患者における網膜神経節細胞消失を、50%を超えて、60%を超えて、70%を超えて、または80%を超えて軽減することを含む。
【0032】
本発明はまた、対象において網膜神経節細胞損傷もしくは消失を予防または軽減する方法であって、対象に、対象において網膜神経節細胞損傷もしくは消失を予防または軽減するのに有効な量のプリドピジンを投与することを含む方法を提供する。一態様では、前記量のプリドピジンは、対象において網膜神経節細胞生存度を向上させるのに有効である。別の態様では、プリドピジンの量は、対象において、網膜神経節細胞を細胞死から保護するのに有効である。一部の態様では、細胞死は、眼内圧の上昇によって誘導される。
【0033】
別の態様では、治療は、対象において眼の神経変性疾患の進行を遅くすることを含む。一部の態様では、治療は、緑内障に罹患している患者において、視野喪失が失明へと進行するのを遅くすることを含む。一部の態様では、治療は、緑内障に罹患している患者において失明を予防することを含む。
【0034】
一態様では、プリドピジンは、プリドピジン塩酸塩である。
【0035】
ここで開示する方法および使用について、投与経路は、たとえば、経口であってもよい。投与経路は、効果が(たとえば、局部投与として)局所性であるか、または(たとえば、経腸または非経口投与として)全身性であるかによって分類される場合もある。ここで使用する「局所投与(Local administration)」とは、その作用が望まれる場所への直接の化合物または組成物の投与を意味し、全身投与を具体的に除外するものとする。
【0036】
ここで使用する化合物または組成物の「局部投与(Topical administration)」とは、身体表面、たとえば、皮膚、または粘膜、たとえば眼への化合物または組成物の適用を意味するものとする。ここで使用する「眼投与」とは、対象の眼、または対象の眼の周りの皮膚(眼周囲皮膚)もしくは眼の周りの粘膜、具体的には結膜への化合物または組成物適用、すなわち、局所投与を意味するものとする。眼投与の例としては、眼への直接の局部投与、眼瞼への局部適用、または眼もしくは眼窩の一部分への注射が挙げられる。加えて、ここで使用する「眼科用医薬組成物」とは、眼投与向けに製剤された医薬組成物を意味する。本発明のプリドピジンおよび医薬組成物の量は、経口投与、局部投与、全身投与、局所投与、または眼投与によって投与することができる。
【0037】
一態様では、プリドピジンは、全身投与によって投与される。一部の態様では、プリドピジンは、経口投与によって投与される。
【0038】
別の態様では、プリドピジンは、エアロゾル、吸入可能な粉末、注射剤、液体、ゲル、クリーム、固体、カプセル剤、または錠剤の形態で投与される。
【0039】
一態様では、プリドピジンは、眼への局所投与によって投与される。別の態様では、プリドピジンは、局部投与によって投与される。さらなる態様では、プリドピジンは、眼内、眼周囲、または眼投与によって投与される。一部の態様では、プリドピジンは、液体、ゲル、クリーム、またはコンタクトレンズの形態で投与される。
【0040】
別の態様では、プリドピジンは、たとえば、点眼液、眼内蓄積注射、眼科ゲル、結膜に挿入される錠剤、またはプリドピジンが充填されたレンズとして、対象の眼に直接投与される。一態様では、プリドピジン塩酸塩が対象の眼に投与される。
【0041】
一態様では、プリドピジンは、点眼剤によって投与するのに適する製剤の一部である。点眼剤は、液体またはゲルの形態、好ましくは、液体の形態である場合がある。プリドピジンを液体またはゲルの形態で眼に局部的に投与するとき、プリドピジンの全身投与と同じ臨床効果を生じさせるのに、より少ない量のプリドピジンしか必要とならない。
【0042】
一態様では、全身に投与されるプリドピジンの量は、22.5mg/日~315mg/日、90mg/日~315mg/日、90~250mg/日、または90~180mg/日である。別の態様では、投与されるプリドピジンの量は、約22.5mg/日、約45mg/日、約67.5mg/日、約90mg/日、約100mg/日、約112.5mg/日、約125mg/日、約135mg/日、約150mg/日、約180mg/日、約200mg/日、約225mg/日、約250mg/日、または約315mg/日である。
【0043】
一態様では、全身に投与されるプリドピジンの、1用量での量は、約22.5mg、約45mg、約67.5mg、約90mg、約100mg、約112.5mg、約125mg、約135mg、約150mg、約180mg、約200mg、約250mg、または約315mgである。
【0044】
別の態様では、プリドピジンは、対象の眼に直接投与される。一部の態様では、プリドピジンは、眼への直接の投与、たとえば、眼への局部投与向けに、たとえば点眼液として製剤され、プリドピジンは、0.1mg~50mg、または0.2mg~20mgの用量範囲で調製される。
【0045】
一態様では、局所投与されるプリドピジンの量は、0.1mg/日~50mg/日または0.2mg/日~20mg/日である。別の態様では、局所投与されるプリドピジンの、1用量での量は、0.1mg~50mgまたは0.2mg~20mgである。
【0046】
一態様では、プリドピジンが定期的に投与される。
【0047】
一態様では、プリドピジンが1日1回投与される。
【0048】
別の態様では、プリドピジンが、1日1回より高い頻度で、または1日1回より低い頻度で投与される。一態様では、プリドピジンが、1日1回より高い頻度で、たとえば、1日2回または3回投与される。別の態様では、プリドピジンが、1日1回より低い頻度で、たとえば、1日おきに、または週1回投与される。
【0049】
一態様では、プリドピジンの定期的な投与は、少なくとも3日、30日を超えて、42日を超えて、8週間以上、少なくとも12週間、少なくとも24週間、24週間を超えて、または6か月以上継続される。一部の態様では、たとえば、緑内障を有する対象の治療において、治療は、プリドピジンが、12か月を超えて、18か月を超えて、24か月を超えて定期的に投与される、長期的な治療である。
【0050】
一態様では、対象は、ヒト患者である。
【0051】
一態様では、方法は、神経変性眼疾患治療のための第2の薬剤を投与することをさらに含む。別の態様では、第2の薬剤は、βアドレナリン拮抗薬、アドレナリン作動薬、副交感神経作動薬、プロスタグランジン類似体、または炭酸脱水酵素阻害薬である。
【0052】
別の態様では、第2の薬剤は、対象において眼内圧の上昇を軽減する。さらなる態様では、第2の薬剤は、プロスタグランジン作動薬、ベータ遮断薬、炭酸脱水酵素阻害薬、アルファ作動薬、またはこれらの組合せである。追加の態様では、第2の薬剤は、ラタノプロスト、ビマトプロスト、トラボプロスト点眼液、ウノプロストン点眼液、タフルプロスト、ベタキソロール点眼液、カルテオロール、チモロール、レボブノロール、メチプラノロール、ドルゾラミド、ブリンゾラミド、アセタゾラミド、メタゾラミド、ブリモニジン、アプラクロニジン、またはこれらの組合せである。
【0053】
一態様では、対象には、プリドピジンと第2の薬剤とを含む用量固定複合剤が投与される。
【0054】
本発明はまた、
a)所定量のプリドピジンを含む第1の医薬組成物と、
b)神経変性眼疾患に罹患している対象を治療するための医薬組成物の使用についての説明書と
を含むパッケージを提供する。
【0055】
一態様では、パッケージは、神経変性眼疾患治療のための所定量の第2の薬剤を含む第2の医薬組成物をさらに含み、説明書は、神経変性眼疾患に罹患している対象を治療するために第1と第2の医薬組成物を一緒に使用することを規定する。
【0056】
一態様では、プリドピジンの量および第2の薬剤の量は、同時に、同時期に、または付随的に投与されるように調製される。
【0057】
本発明はまた、神経変性眼疾患に罹患している対象に投薬するための、または投薬で使用するための治療用パッケージであって、
a)それぞれ所定量のプリドピジンを含む1以上の単位用量であって、前記単位用量中の前記量の前記プリドピジンは、前記対象に投与されると、対象を治療するのに有効である、単位用量と
b)1または複数の前記単位用量を収容するための完成した医薬品容器であって、前記容器は、前記対象の治療における前記パッケージの使用を指示する表示をさらに含有するまたは含む、医薬品容器と
を含む、治療用パッケージを提供する。
【0058】
一態様では、治療用パッケージは、神経変性眼疾患治療のための所定量の第2の薬剤をさらに含み、それぞれの量の前記単位用量中の前記プリドピジンおよび神経変性眼疾患治療のための前記第2の薬剤は、前記対象に付随的に投与されると、対象を治療するのに有効である。
【0059】
本発明はまた、神経変性眼疾患に罹患した対象を治療するための、所定量のプリドピジンを含む医薬組成物を提供する。
【0060】
本発明はまた、神経変性眼疾患に罹患している対象の治療において使用するための、所定量のプリドピジンを含む医薬組成物を提供する。
【0061】
一態様では、神経変性眼疾患治療のための所定量の第2の薬剤をさらに含む医薬組成物。
【0062】
一態様では、プリドピジンおよび第2の薬剤は、同時に、同時期に、または付随的に投与されるように調製される。
【0063】
本発明はまた、神経変性眼疾患治療のための第2の薬剤を含む医薬組成物と共に併用療法で使用するための、プリドピジンを含む医薬組成物を提供する。
【0064】
本発明はまた、神経変性眼疾患に罹患している対象の治療において、付加療法として、または神経変性眼疾患治療のための第2の薬剤と組み合わせて使用するための、所定量のプリドピジンを含む医薬組成物を提供する。
【0065】
一態様では、医薬組成物中のプリドピジンの量は、約22.5mg、約45mg、約67.5mg、約90mg、約100mg、約112.5mg、約125mg、約135mg、約150mg、約180mg、約200mg、約250mg、または約315mgである。
【0066】
一態様では、医薬組成物中のプリドピジンの量は、0.1mg~50mg、または0.2mg~20mgである。
【0067】
本発明はまた、神経変性眼疾患に罹患している対象の治療において有用な、所定量のプリドピジンまたは薬学的に許容されるその塩を含む単位剤形としての医薬組成物であって、前記組成物中の前記量の前記プリドピジンは、前記対象に1以上の前記単位剤形の前記組成物が投与されると、対象を治療するのに有効である、医薬組成物を提供する。
【0068】
本発明はまた、所定量のプリドピジンと、眼への投与に適する薬学的に許容される賦形剤とを含む眼科用医薬組成物を提供する。
【0069】
一態様では、神経変性眼疾患治療のための第2の薬剤をさらに含む眼科用医薬組成物である。一態様では、神経変性眼疾患治療のための第2の薬剤は、抗緑内障薬である。
【0070】
別の態様では、眼科用医薬組成物中のプリドピジンの量は、0.1mg~50mg、または0.2mg~20mgである。
【0071】
一態様では、眼科用医薬組成物は、液体の形態である。一部の態様では、眼科用医薬組成物中のプリドピジンの濃度は、0.0001~10.0w/v%、0.001~5w/v%、0.01~1w/v%、0.1%~10w/v%である。
【0072】
本発明はまた、対象における神経変性眼疾患の治療において使用するための眼科用医薬組成物を提供する。
【0073】
本発明はさらに、医薬組成物を含む点眼液を提供する。本発明は、加えて、点眼液および医薬組成物を含む容器を提供する。
【0074】
本発明はまた、本発明の方法において使用するための、点眼液、または点眼液を含む容器を提供する。
【0075】
さらに、神経変性眼疾患に罹患している対象の治療において使用するためのプリドピジンが提供される。
【0076】
ここでは、神経変性眼疾患に罹患している対象の治療において使用する医薬を製造するためのプリドピジンが提供される。
【0077】
用語
ここで使用するとき、また別段記載しない限り、次の用語はそれぞれ、以下に明記する定義を有するものとする。
【0078】
ここで使用するとき、「プリドピジン」とは、プリドピジン塩基または薬学的に許容されるその塩、ならびにプリドピジンおよび塩の誘導体、たとえば、ジュウテリウム富化された型を意味する。
【0079】
「その塩」とは、化合物の酸または塩基塩を作ることにより改変されている、当該化合物の塩である。この点において、用語「薬学的に許容される塩」とは、本発明の化合物の比較的非毒性である無機および有機の酸または塩基付加塩を指す。たとえば、そのような塩を調製する一手段は、本発明の化合物を無機塩基で処理することによるものである。
【0080】
ここで使用する「神経変性眼疾患」とは、具体的には、網膜細胞および/またはその軸索を含む、眼における神経感覚細胞および/または視神経の変性が関与する疾患である。神経感覚細胞には、網膜神経節細胞、網膜色素上皮細胞、円錐体、杆体、および網膜の他のすべての神経またはグリア細胞型が含まれる。神経変性眼疾患の実例は、緑内障、滲出型および萎縮型AMDを含めた加齢黄斑変性(AMD)、すべての変形形態の色素性網膜炎、限定はしないが虚血性視神経症(ION)、レーバー遺伝性視神経症(LHON)を始めとする視神経症、およびたとえばシュタルガルト網膜症を始めとする網膜症である。
【0081】
一部の態様では、神経変性眼疾患は、すべての臨床形態の緑内障、たとえば、原発緑内障または続発緑内障を含めた、緑内障である。原発緑内障は、たとえば、原発開放隅角緑内障(POAG)、正常眼圧緑内障(NTG)、原発閉塞隅角緑内障(PACG)、急性閉塞隅角緑内障(AACG)、および閉塞隅角緑内障(ACG)である。続発緑内障は、たとえば、偽落屑緑内障、色素性緑内障、血管新生緑内障、ステロイド緑内障、および治療抵抗性緑内障である。
【0082】
ここで使用するとき、ミリグラムで測定されるプリドピジンの「量」または「用量」とは、調製物の形態にかかわらず、調製物中に存在するプリドピジン(4-[3-(メチルスルホニル)フェニル]-1-プロピル-ピペリジン)のミリグラムを指す。たとえば、「90mgのプリドピジン」を含有する単位用量は、調製物の形態にかかわらず、調製物中のプリドピジンの量が90mgであることを意味する。したがって、塩、たとえば、プリドピジン塩酸塩の形態であるとき、90mgのプリドピジンという用量を提供するのに必要な塩形態の重量は、塩の存在のために90mgより多いことになる。
【0083】
ここで使用するとき、「単位用量(unit dose)」、「単位用量(unit doses)」、および「単位剤形」とは、1個/複数の単一の薬物投与実在物を意味する。
【0084】
ここで使用するとき、数値または数値範囲の文脈における「約」は、列挙または主張される数値または数値範囲の±10%を意味する。
【0085】
ここで使用するとき、「有効」とは、プリドピジンの量を指すとき、所望の治療応答を得るのに十分であるプリドピジンの量をいう。有効性は、たとえば、網膜神経節細胞消失または損傷の軽減によって測定することができる。
【0086】
「対象に投与する」または「(ヒト)患者に投与する」とは、対象/患者に、医薬品、薬物、または治療薬を与え、投薬し、または適用して、状態、たとえば、病理学的状態と関連する症状を和らげ、治癒させ、または軽減することを意味する。投与は、定期的な投与となり得る。ここで使用するとき、「定期的な投与」とは、一定の期間によって隔てられた反復/繰返し投与を意味する。投与間の一定の期間は、好ましくは、時によってばらつきがない。定期的な投与には、たとえば、1日1回、1日2回、1日3回、1日4回、週1回、週2回、週3回、週4回などの投与が含まれ得る。
【0087】
ここで使用するとき、「眼への投与に適する薬学的に許容される賦形剤」は、眼への直接の投与に適することがわかっている、または適すると予想される、いずれの賦形剤も包含する。
【0088】
点眼剤の製剤において通常使用されている賦形剤(または添加剤)を、プリドピジンと共に使用することができる。賦形剤は、第四級アンモニウム塩、たとえば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウムなど;カチオン性化合物、たとえば、グルコン酸クロルヘキシジンなど;p-ヒドロキシ安息香酸エステル、たとえば、p-ヒドロキシ安息香酸メチル、p-ヒドロキシ安息香酸プロピルなど;アルコール化合物、たとえば、クロロブタノール、ベンジルアルコールなど;デヒドロ酢酸ナトリウム;チメロサール;ソルビン酸などを始めとする保存剤を含んでもよい(米国特許第6,114,319号)。点眼剤によって投与するのに適する製剤は、緩衝剤、たとえば、酢酸塩、たとえば、酢酸ナトリウムなど、リン酸塩、たとえば、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素塩二ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素塩二カリウムなど、アミノカプロン酸、アミノ酸塩、たとえば、グルタミン酸ナトリウムなど、ホウ酸およびその塩、クエン酸およびその塩などを含んでもよい(米国特許第6,114,319号)。点眼剤によって投与するのに適する製剤は、賦形剤、たとえば、安定剤、酸化防止剤、pH調製剤、キレート剤、増粘剤などを含んでもよい(米国特許第6,114,319号)。酸化防止剤の例としては、アスコルビン酸およびその塩、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、トコフェロール、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、ピルビン酸およびその塩などが挙げられる(米国特許第6,114,319号)。キレート剤の例としては、エデト酸ナトリウム、クエン酸およびその塩などが挙げられる(米国特許第6,114,319号)。pH調製剤の例としては、塩酸、リン酸、酢酸、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、硫酸、アンモニア水溶液などが挙げられる(米国特許第6,114,319号)。点眼剤によって投与するのに適する製剤のpHは、眼科学的に許容される範囲内、たとえば、pH5.0乃至pH8.0のいずれの点にあってもよい。プリドピジンが点眼剤または点眼液によって投与されるとき、プリドピジンの濃度が0.0001~10.0w/v%になるように製剤を調製することが好ましい。
【0089】
薬学的に許容される塩
本発明に従って使用される活性化合物は、目的の投与に適するいかなる形態で提供してもよい。適切な形態には、本発明の化合物の薬学的に(すなわち、生理的に)許容される塩、およびプレドラッグまたはプロドラッグが含まれる。
【0090】
薬学的に許容される塩の例としては、限定はせず、非毒性の無機および有機酸付加塩、たとえば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、過塩素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、アコン酸塩、アスコルビン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、桂皮酸塩、クエン酸塩、エンボン酸塩、エナント酸塩、フマル酸塩、グルタミン酸塩、グリコール酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフタレン-2-スルホン酸塩、フタル酸塩、サリチル酸塩、ソルビン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、トルエン-p-スルホン酸塩などが挙げられる。このような塩は、当業界でよく知られ、記載されている手順によって生成することができる。
【0091】
医薬組成物
本発明に従って使用される化合物は、生化合物の形態で投与してもよいが、任意に生理的に許容される塩の形態の活性成分を、1種以上の佐剤、賦形剤、担体、緩衝剤、希釈剤、および/または他の通例の医薬用補助剤と一緒に医薬組成物として導入することが好ましい。
【0092】
一態様では、本発明は、したがって、活性化合物または薬学的に許容されるその塩もしくは誘導体を、1種以上の薬学的に許容される担体、ならびに任意に、当業界で知られ、使用されている他の治療および/または予防成分と共に含む、医薬組成物を提供する。担体は、製剤の他の成分と適合し、そのレシピエントに有害でないという意味で、「許容」されなければならない。
【0093】
本発明において有用な剤形を作製するための一般技術および組成は、次の参考文献に記載されている。7 Modern Pharmaceutics第9章および10章(Banker&Rhodes共編、1979);Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets(Liebermanら、1981);Ansel、Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms第2版(1976);Remington’s Pharmaceutical Sciences第17版(Mack Publishing Company、ペンシルベニア州イーストン、1985);Advances in Pharmaceutical Sciences(David Ganderton、Trevor Jones共編、1992);Advances in Pharmaceutical Sciences第7巻(David Ganderton、Trevor Jones、James McGinity共編、1995);Aqueous Polymeric Coatings for Pharmaceutical Dosage Forms(Drugs and the Pharmaceutical Sciences第36集(James McGinity編、1989);Pharmaceutical Particulate Carriers:Therapeutic Applications:Drugs and the Pharmaceutical Sciences第61巻(Alain Rolland編、1993);Drug Delivery to the Gastrointestinal Tract(Ellis Horwood Books in the Biological Sciences.Series in Pharmaceutical Technology、J.G.Hardy、S.S.Davis、Clive G.Wilson共編);Modern Pharmaceutics Drugs and the Pharmaceutical Sciences第40巻(Gilbert S.Banker、Christopher T.Rhodes共編)。これらの参考文献は、その全体が参照により本出願に援用される。
【0094】
ここで使用する「治療する」は、たとえば、疾患または障害、たとえば緑内障の抑制、後退、もしくは静止を誘導すること、あるいは疾患または障害の症状を緩和する、減らす、抑止する、抑制する、その重症度を軽減する、解消もしくは実質的に解消する、もしくは改善させることを包含する。治療は、対象において、眼の細胞、たとえば網膜神経節細胞に神経保護を施すことをさらに含む。プリドピジンの「神経保護」活性については、ここで開示する。神経保護は、ニューロン、たとえばRGCを傷害もしくは死から保護すること、またはb)ニューロンの機能、たとえばRGCを向上させることを含む。ここで使用するとき、「神経保護」とは、神経変性を軽減する、予防する、減衰させる、および/またはその進行を逆転させることを指す。ここで使用するとき、「神経変性」とは、ニューロン、たとえばRGCの、傷害または死による、進行性の消失を指す。
【0095】
対象における疾患進行または疾患合併症の「抑制」とは、対象において疾患進行および/または疾患合併症を予防または軽減することを意味する。
【0096】
緑内障と関連する「症状」は、緑内障と関連するいかなる臨床または検査徴候も包含し、対象が感知または観察し得るものに限定されない。
【0097】
ここで使用するとき、緑内障に「罹患」している対象とは、緑内障と診断されている対象を意味する。
【0098】
ここで使用するとき、「ベースライン」時の対象とは、ここに記載するとおりの療法におけるプリドピジン投与前の対象である。
【0099】
「薬学的に許容される担体」とは、過度の有害な副作用(たとえば、毒性、刺激、アレルギー反応)がなく、妥当な利益/リスク比に適った、ヒトおよび/または動物での使用に適する担体または賦形剤を指す。当該化合物を対象に送達するための、薬学的に許容される溶媒、懸濁化剤、または媒体となる場合もある。
【0100】
パラメーター範囲を示す場合では、その範囲内のすべての整数、およびその10分の1も、本発明によって示されていると理解される。たとえば、「0.1mg~40.0mg」は、40.0mgまでの0.1mg、0.2mg、0.3mg、0.4mgなどを包含する。
【0101】
ここで使用するとき、「用量固定複合剤(fixed-dose combination)」または「投与量固定複合剤」とは、2種の活性薬剤を含む医薬を指す。通常、2種の薬剤は、患者にとって容易に入手可能な手段で分離するのが非常に難しい。非限定的な例としては、2種の薬剤を含む錠剤、丸剤、または溶液が挙げられる。
【0102】
本出願では、比較上の用語、たとえば、「対象において、網膜神経節細胞消失は、少なくとも10%軽減される」を使用するとき、比較は、類似疾患に罹患している対象、たとえば、関係のある事前の臨床研究における対照対象を基準とし、健康な対象を基準としない。たとえば、網膜神経節細胞消失は、同じく疾患に罹っている、プリドピジンでの治療を受けていない対象における平均網膜神経節細胞消失と比較したものであってもよい。すなわち、比較値は、臨床研究のプラセボ群を参考にして得たものであってもよい。
【0103】
本発明の組合せは、ここに記載するとおりの少なくとも薬学的に許容される担体、添加剤、佐剤、または媒体を用いて、その同時、別々、または順次の投与用に製剤してよい。したがって、2種の活性化合物の組合せは、
・同じ医薬製剤の部分をなす組合せとして投与され、次いで、2種の活性化合物が同時に投与されてもよいし、または
・それぞれが活性物質の一方を含んだ2つの単位の組合せとして投与されて、同時、順次、または別々の投与の可能性が生じてもよい。
【0104】
ここで使用するとき、「同時期投与」または「同時期」に投与するとは、各薬剤の個々の治療効果の部分的な重複を可能にするのに十分な密な時間的近接性で与えられる2種の薬剤の投与を意味する。
【0105】
ここで使用するとき、「付加」または「付加療法」とは、療法を受ける対象が、1種以上の試薬の第1の治療計画を開始した後、1種以上の異なる試薬の第2の治療計画を、第1の治療計画に加えて開始する結果、療法において使用される試薬のすべてが同時に始動するとは限らない、療法において使用する試薬の集まりを意味する。たとえば、IOPを低下させる点眼液での療法をすでに受けている緑内障患者に、プリドピジン療法を加えること。
【0106】
前述の態様について、ここで開示する各態様は、開示される他の態様のそれぞれに適用可能であると考える。たとえば、方法態様において列挙した要素を、ここに記載する医薬組成物、パッケージ、および使用態様において使用することができ、逆もまた同様である。
【0107】
本発明は、以下の実験細目を参考にすることでより深く理解されるが、詳述された具体的な実験が、その後に続く特許請求の範囲においてより完全に記載される本発明を例示するだけのものであることは、当業者に容易に理解される。
【0108】
実験細目
例1
ラット緑内障モデルにおける網膜神経節細胞(RGC)生存についてのプリドピジンの神経保護効果の評価
この研究の目的は、ラット緑内障モデルにおいて、慢性高眼圧症(OHT)および/またはRGC変性に対する保護におけるプリドピジンの効果を評価することである。Brown Norwayラットの一方の眼において強膜上静脈に高張食塩水を注射することにより、眼内圧(IOP)を生じさせる。このモデル(「Morrisonモデル」)では、ある特定の緑内障ヒト患者における病因と同様に、IOPの増大および慢性高眼圧症(OHT)に応じてRGC変性が生じる。
【0109】
研究は、4つの群(それぞれn=8~11):1群(3mg/kgの経口プリドピジン 1日1回、n=8)、2群(30mg/kgの経口プリドピジン 1日1回 n=9)、3群(60mg/kgの経口プリドピジン 1日1回 n=10)、および4群(媒体、n=11)を含む。
【0110】
材料
被験物質:水溶液中のプリドピジン塩酸塩
対照物質:水溶液中0%のプリドピジン塩酸塩
動物
数および種:研究およびアウトライン指定データは、Brown Norwayラット(ドブネズミ(Rattus norvegicus))から収集する。OHTモデルではラットが歴史的に使用されており、承認されている他の前臨床代替法は存在しない。
【0111】
性別:雄、体重/週齢範囲:0.1gの最高精度で秤量して、およそ225~450グラム、少なくとも12週齢(成体)
手順
4つの群の8~11匹の動物に、対照または被験物質を経口投与した。
【0112】
動物の投与前管理および選抜:
臨床観察を1日1回行った。投与開始前に動物を週1回秤量した。
【0113】
眼の検査:
研究のために選抜された動物を、被験または対照物質の最初の投与前に検査して、両眼に異常、損傷、および疾患がないことを確実にした。すべての動物における両眼の前区評価を行い、Combined Draize and McDonald-Shadduck Scoring Systemsに従って採点した。後区評価は、眼病変のためのPosterior Segment Scoring Scaleに従って行った。眼の刺激、眼の欠陥、または既存の角膜傷害の徴候を示さないラットだけを研究において使用した。
【0114】
眼内圧(IOP)測定:
覚醒している動物において、Tono-Pen Vet眼圧計(Reichert,Inc.、ニューヨーク州デピュー)を使用して、両眼からIOPを測定した。各眼から10回のIOPの読みを記録し、平均をとった。すべての測定時点にわたってほぼ同じ時間(たとえば、午前10時乃至午後2時)にIOP測定を行って、IOPの概日変動性を最小限に抑えた。ベースラインIOP測定は、-2週目(投与前)(IOP-1)に行った。IOP測定の前に、角膜を0.5%のプロパラカインHCl眼科用液剤で局部的に麻酔した。
【0115】
HSI手順:
研究では、動物ごとに同じ眼において、週1回の注射を2週間(-2および-1週目)の、強膜上静脈への高張食塩水注射(HSI)によって、緑内障モデルを生じさせた。HSIは、外科用顕微鏡下で行った。OHT眼において上方または下方の強膜上静脈を露出させ、眼の周りに閉鎖リングを据えて強膜上静脈を隔離した。OHT眼において、注入ポンプ(Lomir Biomedical、ニューヨーク州マローン)を使用して、50~500μLの精密濾過された高張食塩水(NaCl、1.8~2.0M)を、強膜上静脈を介して角膜縁血管網に注射した。使用していれば、閉鎖リングは、食塩水注射後すぐに取り外した。(-2週目の)最初のHSIから少なくとも1週間後、同じ眼の別の強膜上静脈において、2回目のHSIを行った(-1週目)。高張食塩水注射が施された眼をOHT眼と称し、対側眼を非OHT眼として設計した。
【0116】
動物の鎮静:
HSIの前に、40~80mg/kgのケタミンおよび5~10mg/kgのキシラジン(筋肉内もしくは腹腔内注射)、または1~3%のイソフルラン(吸入)を使用する適切な麻酔法で動物を鎮静させた。HSIの間は、0.5%のエリスロマイシンまたは適切な眼軟膏または平衡塩類溶液(BSS)で眼の表面を処置した。動物を鎮静させている間、眼を湿らせておき、乾燥しないようにした。動物は、覚醒し、ケージに戻されるまで、温かくしておいた。動物を、8~12時間毎にブプレノルフィン0.02~0.1mg/kg(皮下または筋肉内)で処置(24時間)あたり2回処置し、必要に応じて処置を延長した。
【0117】
用量の投与:
ラットを4つの群に分けた。研究の間、各群の動物に、次の4項目のうちの1つを与えた。
【0118】
1群:対照溶液(媒体)
2群:3mg/kgの経口プリドピジン 1日1回
3群:30mg/kgの経口プリドピジン 1日1回
4群:60mg/kgの経口プリドピジン 1日1回
最初のHSI当日から、投与の最終日とされた安楽死まで、概ね午前8時乃至午前10時に、ラットに1日1回経口投与した。各経口用量の体積は、1mLとした。
【0119】
投与後の手順:
臨床観察を少なくとも1日1回行った。ケージの傍らでの1日1回の臨床観察には、加えて、限定はしないが、皮膚、毛皮、眼および粘膜、呼吸器系、循環器系、中枢自律神経系、身体運動活動、歩行活動、ならびに挙動パターンの変化を含めた。中枢神経系徴候(急発作、振戦、唾液分泌過多)、過敏症、排泄物の変化、および/または下痢の存在の観察に特に注意が向けられた。
【0120】
瀕死のおよび死んだ動物:
臨床観察の一環として、瀕死である/死んでいるかについて、動物を1日1回観察した。次の観察まで生存することが見込まれない状態の動物を、人道的に安楽死させ、屍検し、眼球を収集した。
【0121】
測定および判定基準:
週1回および安楽死の前に動物を秤量した。週1回および安楽死の前に、眼の検査と題した部において上述したとおりに両眼を検査した。2回目のHSIの1週間後から週1回、および安楽死の前に、IOP測定を、IOP測定と題された部において上述したとおりに行った。合計で、HSI投与後に8つの時点(IOP-2~IOP5)を設けた。各日の概ね同じ時間に各IOP測定を行った。
【0122】
屠殺:
研究の終わりに、動物を二酸化炭素吸入によって安楽死させた。動物が屠殺された後、両眼を直ちに摘出した。
【0123】
網膜の調製:
両眼を4±2℃の4%パラホルムアルデヒド固定液中で少なくとも24時間固定した。網膜を切開し、免疫組織蛍光法までリン酸緩衝食塩水(PBS)に浸しておいた。
【0124】
免疫組織蛍光法:
網膜を70±12℃で少なくとも1時間凍結させることによりPBS-0.5%Triton X-100で透過処理し、新鮮なPBS-0.5%Triton X-100ですすぎ、ブロック用緩衝液(PBS、2%正常ロバ血清、2%Triton X-100)に希釈された適切な一次抗体(Brn-3a(14A6):Santa Cruz Biotechnology カタログ番号sc-8429、RGCマーカー、Pezda、2005)と共に、4±2℃で終夜インキュベートした。網膜をPBS 0.5%Triton X-100で3回洗浄し、ブロック用緩衝液に希釈された蛍光結合型二次抗体(抗マウスIgG(H+L)、Alexa Fluor 594、#A21203)と共に室温で2~4時間インキュベートした。最後に、PBS-0.5%Triton X-100で少なくとも3回洗浄した後、網膜をすすぎ、さらなる加工処理用に4±2℃のPBSに浸しておいた。
【0125】
全網膜のフラットマウント:
免疫組織蛍光染色の後、網膜に4本の放射状の切れ目を入れ、退色防止溶液を用いながら網膜を平らにマウントした。スライドは、可視化および画像処理まで4±2℃に保った。
【0126】
RGC可視化および画像処理:
網膜における染色されたRGCを、蛍光顕微鏡検査によって可視化し、評価した。染色されたRGCを画像処理し、視神経乳頭の中心から適度に離れている2つの区域(内側1箇所、遠位1箇所)を、各網膜四分円において選択する(網膜あたり8箇所の領域が採用される)。RGCの画像は、さらなるRGC計算のために保存した。
【0127】
RGC計算:
画像解析ソフトウェアImage Jを使用して、染色されたRGCをカウントした。RGCの数は、1mm2あたりの細胞数で示される。
【0128】
評価判定基準
研究の結果は、生存中および生存期間後の観察ならびにいずれかの顕微鏡観察に関して考察された。
【0129】
IOP判定基準:
2回目のHSI後の各時点について、IOP上昇は、OHT眼におけるレベルと正常眼(非OHT眼)におけるレベルの差またはIOP差(ΔIOP)として算出した。データを分析し、OHT眼において個々のIOP測定値が50mmHg以上でなかったラットについて報告した。動物あたりのΔIOPが6mmHg以上であるとき、動物においてOHTが引き起こされており、動物は、研究に加えられる。さもなければ、動物を研究から外すこととした。媒体群、3mg/kg群、および60mg/kg群のそれぞれから1匹の合計3匹の動物が、HSI手順後のIOPが低いために除外された。
【0130】
4回の用量投与後IOP測定(IOP-2~IOP-5)のΔIOPが平均され、各動物の平均ΔIOPとなった。各群について、OHT眼におけるIOP上昇が持続している8匹の動物をより大きなプールから選択し、群を、平均ΔIOPについてマッチさせる。IOPが低下している動物だけを神経変性について評価した。他の動物は、研究から外した。
【0131】
データを分析し、OHT眼において個々のIOP測定値が50mmHgを超えていないラットについて報告した。OHT眼における個々のIOP測定値が50mmHgを超えていた場合、動物を研究から外すこととした。
【0132】
OHT網膜におけるRGC消失パーセント(%)を、次式:[100-(100×OHT/非OHT平均網膜あたりRGCカウント)]を使用して、同じ動物の非OHT網膜におけるRGCカウントと比較して算出した。各非OHT網膜におけるRGCカウントを、その動物についての100%とみなした。媒体対照群における動物は、少なくとも20%の消失(43% 以下の表1を参照されたい)を示し、これによって、モデルが有効になった。
【0133】
データ分析:
最初に、一元配置分散分析を使用して、群間の統計的有意差に対処した。統計的有意性のあった事象では、Dunnettの多重比較検定を使用して、試験群のデータを対照群のデータとさらに比較した。
【0134】
付加的なまたは別の統計的検定を実施してもよい。対照動物と試験動物間の差があれば、差が偶然によるものである確立が5%以下である(p≦0.05、両側)場合に限り、統計的に有意であるとみなした。統計分析は、Minitab、Minitab Inc、ペンシルベニア州ステートカレッジを使用して行った。有意差は、文献および史実データとの比較によって、生物学的関連性についてさらに評価した。
【0135】
結果/結論
プリドピジンの眼内圧に対する効果を評価するために、最高用量のプリドピジンを用いて、14日間パイロット研究を行った。プリドピジンそれ自体は、IOPを低下させなかった。
【0136】
主研究では、HSI当日にプリドピジン処置を開始し、41日間継続した。IOPを週1回測定して、IOPが持続していることを確認した。
【0137】
41日目に、ラットを屠殺し、(両眼からの)網膜を固定した。各網膜について、8つの組織学的切片におけるRGCの数をカウントした。網膜神経節細胞消失の%で測定したとおりの結果を、表1および
図1~4に示す。
【0138】
共焦点蛍光顕微鏡検査によって網膜像を評価した。(抗Brn-3aで染色された)生存RGCの数をカウントした。OHT網膜におけるRGC消失パーセントを、次式:(100-(100×OHT/非OHT平均網膜あたりRGCカウント))を使用して、同じ動物の非OHT網膜におけるRGCカウントと比較して算出した。各非OHT網膜におけるRGCカウントを、その動物についての100%であるとみなした。
【0139】
図1において、罹患眼(下方パネル)では、健康な眼(上方パネル)より生細胞(明るい点)カウントが有意に少ない。HSI処置された眼では、健康な眼に比べて、43%のRGC消失があった。
【0140】
図2において、少ないプリドピジン処置で処置した罹患眼(下方パネル)では、25%のRGC消失しか見られない。
【0141】
図3において、30mg/kgのプリドピジンで処置した罹患眼(下方パネル)では、21%のRGC消失しか見られない。
【0142】
図4において、60mg/kgのプリドピジンで処置した罹患眼(下方パネル)では、7%のRGC消失しか見られない。
【0143】
【0144】
データは、3、30、および60mg/kgのプリドピジンでRGCの神経保護が良好であったこと、ならびに30および60mg/kgのプリドピジンでRGCの神経保護が統計的に有意であったことを示している。
【0145】
プリドピジンは、ラット緑内障モデルにおいて有益な効果を示した。
【0146】
プリドピジンが(経口投与によって)与えられているラットは、対照群ラットに比べて、RGC生存度の向上およびRGC消失の軽減を示した。
【0147】
加えて、視神経の組織学的検査によって、プリドピジンで処置したラットにおいて、軸索変性が有意に少ないことも示された。視神経をなす網膜神経節細胞軸索は、網膜神経節細胞が死ぬ結果として変性する。より多くのRGCが死ぬにつれて、より多くの軸索が死に、結果として、視神経はより萎縮性になる。
【0148】
プリドピジンは、眼内圧に影響を及ぼさなかった。プリドピジンで処置した動物では、RGCの生存度の有意な増大およびRCG消失の軽減が、用量依存的に示された。
【0149】
プリドピジンは、上記例1におけるラット緑内障モデルにおいて有益な効果を示す。43%のRGC消失を示す対照群ラットに比べて、プリドピジン(経口投与により3、30、および60mg/kg)が与えられているラットは、それぞれ、24%、21%、および7%のRGC消失を示す。モデルにおけるRGC消失は、30mg/kg(p<0.05)および60mg/kg(p<0.01)でのプリドピジン処置によって、有意に改善された。
【0150】
例2
プリドピジンの局部投与
2群、3群、および4群のラットのHSI処置眼にプリドピジンを経口投与する代わりに局部投与することを除いて、例1のラット緑内障モデルを上述のとおりに実施する。4群のラットに投与されるプリドピジンの量は、3群において投与されるプリドピジンの量より多く、3群のラットに投与されるプリドピジンの量は、2群のラットに投与されるプリドピジンの量より多い。例1と同様に、1群のラットにはプリドピジンが投与されない。プリドピジンによって、2、3、および4群では、用量依存的に、1群に比べてRGCの生存度が有意に増大し、RCG消失が軽減された。
【0151】
例3
併用療法
1、2、3、および4群それぞれのラットを、経口プリドピジンに加えて、1回目のHSI当日から、投与最終日である安楽死まで1日1回、概ね午前8時乃至午前10時にIPO低下点眼液でも処置することを除いて、例1のラット緑内障モデルを上述のとおりに実施する。このモデルにおいて、プリドピジンをIPO低下点眼液と組み合わせてラットにこのように定期的に投与することで、プリドピジンを単独で投与する、またはIPO低下点眼液を単独で(同じ用量で)投与するより、ラットの処置における有効性は増大する(少なくとも相加効果または相加効果を上回るものが得られる)。併用療法ではまた、過度の有害な副作用または処置の安全性への影響もなく、ラットの処置における有効性が実現される(少なくとも相加効果または相加効果を上回るものが得られる)。
【0152】
併用療法は、臨床的意義のある利点をもたらし、次のように、プリドピジンまたはIPO低下点眼液を単独で(同じ用量で)投与するより、患者の治療において有効である(少なくとも相加効果または相加効果を上回るものをもたらす)。
1.併用療法は、2、3、および4群におけるRGCの生存度を1群に比べて増大させるという点で、より有効である(相加効果または相加効果を上回るものをもたらす)。
2.併用療法は、2、3、および4群におけるRCG消失を1群に比べて軽減するという点で、より有効である(相加効果または相加効果を上回るものをもたらす)。
【0153】
例4
緑内障に罹患している患者の治療についてのプリドピジンの有効性の評価
プリドピジン(経口)の長期(たとえば、1日1回または1日2回)投与は、緑内障のヒト患者の治療において有効である。プリドピジンの長期(たとえば、1日1回または1日2回)投与は、対象において緑内障と関連する症状を軽減するのに有効である。
【0154】
ここに記載するとおりのプリドピジン組成物は、緑内障に罹患している対象に全身投与され、または対象の眼に局部投与される。組成物の投与は、緑内障に罹患している対象の治療に有効である。組成物の投与は、対象において、緑内障の緑内障関連症状を軽減するのにも有効である。組成物の投与は、対象において、RGC損傷および/またはRGC消失を軽減し、視野のさらなる縮小を(部分的に)予防するのに有効である。
【0155】
例5
萎縮型加齢黄斑変性(AMD)に罹患している患者の治療についてのプリドピジンの有効性の評価
プリドピジン(経口)の長期(たとえば、1日1回または1日2回)投与は、萎縮型AMDのヒト患者の治療において有効である。プリドピジンの長期(たとえば、1日1回または1日2回)投与は、対象において萎縮型AMDと関連する症状、たとえば、視力の低下を軽減するのに有効である。最終的には患者の機能的な失明につながる視力低下は、和らげられ、または止められる。一部の患者では、視力がある程度回復する。視力低下についての病理学的相関は、網膜の変性範囲、具体的には黄斑の進行性の拡大(すなわち、地図状萎縮)である。変性範囲の進行の有意な減速は、たとえば、コンピューターを使った蛍光技術によってモニターされる。
【0156】
ここに記載するとおりのプリドピジン組成物は、萎縮型AMDに罹患している対象に全身投与され、または対象の眼に局部投与される。組成物の投与は、萎縮型AMDに罹患している対象の治療に有効である。組成物の投与は、対象において萎縮型AMDの萎縮型AMD関連症状を軽減し、萎縮型のAMDが後期の滲出型へと進行するのを回避するのにも有効である。
【0157】
例6
滲出型加齢黄斑変性(AMD)に罹患している患者の治療についてのプリドピジンの有効性の評価
プリドピジン(経口)の長期(たとえば、1日1回または1日2回)投与は、滲出型AMDのヒト患者の治療において有効である。プリドピジンの長期(たとえば、1日1回または1日2回)投与は、対象において滲出型AMDと関連する症状を軽減し、視界を改善するのに有効である。
【0158】
ここに記載するとおりのプリドピジン組成物は、滲出型AMDに罹患している対象に全身投与され、または対象の眼に局部投与される。組成物の投与は、滲出型AMDに罹患している対象の治療に有効である。組成物の投与は、対象において滲出型AMDの滲出型AMD関連症状を軽減するのにも有効である。
【0159】
例7
色素性網膜炎に罹患している患者の治療についてのプリドピジンの有効性の評価
プリドピジン(経口)の定期的(たとえば、1日1回または1日2回)投与は、色素性網膜炎のヒト患者の治療において有効である。プリドピジンの定期的(たとえば、1日1回または1日2回)投与は、対象において色素性網膜炎と関連する症状を軽減するのに有効である。
【0160】
ここに記載するとおりのプリドピジン組成物は、色素性網膜炎に罹患している対象に全身投与され、または対象の眼に局部投与される。組成物の投与は、色素性網膜炎に罹患している対象の治療に有効である。組成物の投与は、対象において色素性網膜炎の色素性網膜炎関連症状を軽減するのにも有効である。
【0161】
例8
視神経症に罹患している患者の治療についてのプリドピジンの有効性の評価
プリドピジン(経口)の長期(たとえば、1日1回または1日2回)投与は、視神経症のヒト患者の治療において有効である。プリドピジンの長期(たとえば、1日1回または1日2回)投与は、対象において視神経症と関連する症状を軽減するのに有効である。
【0162】
ここに記載するとおりのプリドピジン組成物は、視神経症に罹患している対象に全身投与され、または対象の眼に局部投与される。組成物の投与は、視神経症に罹患している対象の治療に有効である。組成物の投与は、対象において視神経症の視神経症関連症状を軽減するのにも有効である。
【0163】
レーバー遺伝性視神経症に罹患している対象を、プリドピジンで、この例のようにして治療すると、類似した成果が得られる。
【0164】
上で列記した例のいずれにおいても、プリドピジンは、局所的に、すなわち点眼液によって眼に直接投与してもよく、類似した結果が得られる。
以下に、本願の出願当初の請求項を実施の態様として付記する。
[1] 神経変性眼疾患に罹患している対象を治療する方法であって、前記対象に、前記対象を治療するのに有効な量のプリドピジンを投与することを含む方法。
[2] プリドピジンの前記投与が、前記対象において前記神経変性眼疾患の症状を軽減または抑制するのに有効である、[1]に記載の方法。
[3] 前記神経変性眼疾患が、緑内障、加齢黄斑変性、視神経症、および色素性網膜炎からなる群から選択される、[1]または[2]に記載の方法。
[4] 前記神経変性眼疾患が、滲出型加齢黄斑変性(「滲出型AMD」)または萎縮型加齢黄斑変性(「萎縮型AMD」)である、[3]に記載の方法。
[5] 前記神経変性眼疾患が、レーバー遺伝性視神経症である、[3]に記載の方法。
[6] 前記神経変性眼疾患が、緑内障である、[3]に記載の方法。
[7] 前記症状が、網膜神経節細胞損傷または網膜神経節細胞消失である、[2]から[6]のいずれかに記載の方法。
[8] 前記量のプリドピジンが、前記対象において網膜神経節細胞消失または損傷を軽減または予防するのに有効である、[1]から[7]のいずれかに記載の方法。
[9] 前記網膜神経節細胞消失が、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%軽減される、[8]に記載の方法。
[10] 前記網膜神経節細胞消失が、50%を超えて、60%を超えて、70%を超えて、または80%を超えて軽減される、[8]に記載の方法。
[11] 前記量のプリドピジンが、対象において網膜神経節細胞生存度を向上させるのに有効である、[1]から[10]のいずれかに記載の方法。
[12] 前記量のプリドピジンが、前記対象において、網膜神経節細胞を細胞死から保護するのに有効である、[1]から[11]のいずれかに記載の方法。
[13] 前記細胞死が、眼内圧の上昇によって誘導される、[12]のいずれかに記載の方法。
[14] 治療が、前記対象において前記神経変性眼疾患の進行を遅くすることを含む、[1]から[13]のいずれかに記載の方法。
[15] 治療が、緑内障に罹患している対象において、視野喪失が失明へと進行するのを遅くすることを含む、[1]から[14]のいずれかに記載の方法。
[16] 治療が、緑内障に罹患している対象において失明を予防することを含む、[1]から[15]のいずれかに記載の方法。
[17] 前記治療が、前記対象において軸索変性を軽減することを含む、[1]から[16]のいずれかに記載の方法。
[18] プリドピジンが、プリドピジン塩酸塩である、[1]から[17]のいずれかに記載の方法。
[19] 前記プリドピジンが、全身投与によって投与される、[1]から[18]のいずれかに記載の方法。
[20] 前記プリドピジンが、経口投与によって投与される、[19]に記載の方法。
[21] 前記プリドピジンが、エアロゾル、吸入可能な粉末、注射剤、液体、ゲル、固体、カプセル剤、または錠剤の形態で投与される、[19]または[20]に記載の方法。
[22] 前記プリドピジンが、眼への局所投与によって投与される、[1]から[18]のいずれかに記載の方法。
[23] 前記プリドピジンが、局部投与によって投与される、[22]に記載の方法。
[24] 前記プリドピジンが、眼内、眼周囲、または眼投与によって、好ましくは、結膜への点眼液適用によって投与される、[22]または[23]に記載の方法。
[25] 前記プリドピジンが、液体、ゲル、クリーム、またはコンタクトレンズの形態で投与される、[22]から[24]のいずれかに記載の方法。
[26] 前記プリドピジンが、点眼液、眼内蓄積注射、眼科ゲル、結膜に挿入された錠剤、またはプリドピジンが充填されたレンズの形態で投与される、[22]から[25]のいずれかに記載の方法。
[27] 投与されるプリドピジンの量が、22.5mg/日~315mg/日、90mg/日~315mg/日、90mg/日~250mg/日、または90mg/日~180mg/日である、[19]から[21]のいずれかに記載の方法。
[28] 投与されるプリドピジンの量が、約22.5mg/日、約45mg/日、約67.5mg/日、約90mg/日、約100mg/日、約112.5mg/日、約125mg/日、約135mg/日、約150mg/日、約180mg/日、約200mg/日、約250mg/日、または約315mg/日である、[19]から[21]のいずれかに記載の方法。
[29] 1用量で投与されるプリドピジンの量が、約22.5mg、約45mg、約67.5mg、約90mg、約100mg、約112.5mg、約125mg、約135mg、約150mg、約180mg、約200mg、約250mg、または約315mgである、[19]から[21]のいずれかに記載の方法。
[30] 投与されるプリドピジンの量が、0.1mg/日~50mg/日または0.2mg/日~20mg/日である、[22]から[26]のいずれかに記載の方法。
[31] 1用量で投与されるプリドピジンの量が、0.1mg~50mgまたは0.2mg~20mgである、[22]から[26]のいずれかに記載の方法。
[32] 前記プリドピジンが、定期的に投与される、[1]から[31]のいずれかに記載の方法。
[33] プリドピジンが、1日1回投与される、[32]に記載の方法。
[34] プリドピジンが、1日1回より高い頻度で、または1日1回より低い頻度で投与される、[32]に記載の方法。
[35] プリドピジンが、1日2回または1日3回投与される、[32]に記載の方法。
[36] プリドピジンが、1日おきに、または週1回投与される、[32]に記載の方法。
[37] プリドピジンの定期的な投与が、少なくとも3日、30日を超えて、42日を超えて、8週間以上、少なくとも12週間、少なくとも24週間、24週間を超えて、6か月以上、12か月を超えて、18か月を超えて、または24か月を超えて継続される、[32]から[36]のいずれかに記載の方法。
[38] 前記対象が、ヒト患者である、[1]から[37]のいずれかに記載の方法。
[39] 前記対象に、前記神経変性眼疾患治療のための第2の薬剤を投与することをさらに含む、[1]から[38]のいずれかに記載の方法。
[40] 前記第2の薬剤が、βアドレナリン拮抗薬、アドレナリン作動薬、副交感神経作動薬、プロスタグランジン類似体、または炭酸脱水酵素阻害薬である、[39]に記載の方法。
[41] 前記第2の薬剤が、対象において眼内圧の上昇を軽減する、[39]に記載の方法。
[42] 前記第2の薬剤が、プロスタグランジン作動薬、ベータ遮断薬、炭酸脱水酵素阻害薬、アルファ作動薬、またはこれらの組合せである、[41]に記載の方法。
[43] 前記第2の薬剤が、ラタノプロスト、ビマトプロスト、トラボプロスト点眼液、ウノプロストン点眼液、タフルプロスト、ベタキソロール点眼液、カルテオロール、チモロール、レボブノロール、メチプラノロール、ドルゾラミド、ブリンゾラミド、アセタゾラミド、メタゾラミド、ブリモニジン、アプラクロニジン、またはこれらの組合せである、[41]に記載の方法。
[44] 前記対象に、プリドピジンと前記第2の薬剤とを含む用量固定複合剤が投与される、[39]から[43]のいずれかに記載の方法。
[45] a)所定量のプリドピジンを含む第1の医薬組成物と、
b)神経変性眼疾患に罹患している対象を治療するための医薬組成物の使用についての説明書と
を含むパッケージ。
[46] 神経変性眼疾患の前記治療のための所定量の第2の薬剤を含む第2の医薬組成物をさらに含み、前記説明書が、神経変性眼疾患に罹患している対象を治療するために前記第1と第2の医薬組成物を一緒に使用することを規定する、[45]に記載のパッケージ。
[47] 前記量のプリドピジンおよび前記量の前記第2の薬剤が、同時に、同時期に、または付随的に投与されるように調製されている、[46]に記載のパッケージ。
[48] 神経変性眼疾患に罹患している対象に投薬するための、または投薬で使用するための治療用パッケージであって、
a)それぞれ所定量のプリドピジンを含む1以上の単位用量であって、前記単位用量中の前記量の前記プリドピジンは、前記対象に投与されると、前記対象を治療するのに有効である、単位用量と
b)1または複数の前記単位用量を収容するための完成した医薬品容器であって、前記容器は、前記対象の治療における前記パッケージの使用を指示する表示をさらに含有するまたは含む、医薬品容器と
を含む、治療用パッケージ。
[49] 前記神経変性眼疾患の前記治療のための所定量の第2の薬剤をさらに含み、前記単位用量中のそれぞれの量の前記プリドピジンおよび前記神経変性眼疾患の前記治療のための前記第2の薬剤が、前記対象に付随的に投与されると、前記対象を治療するのに有効である、[48]に記載の治療用パッケージ。
[50] 神経変性眼疾患に罹患した対象を治療するための、所定量のプリドピジンを含む医薬組成物。
[51] 神経変性眼疾患に罹患している対象の治療において使用するための、所定量のプリドピジンを含む医薬組成物。
[52] 神経変性眼疾患の前記治療のための所定量の第2の薬剤をさらに含む、[51]に記載の医薬組成物。
[53] 前記プリドピジンおよび前記第2の薬剤が、同時に、同時期に、または付随的に投与されるように調製されている、[52]に記載の医薬組成物。
[54] 神経変性眼疾患の前記治療のための第2の薬剤を含む医薬組成物と共に併用療法で使用するための、プリドピジンを含む医薬組成物。
[55] 神経変性眼疾患に罹患している対象の治療において、付加療法として、または神経変性眼疾患の前記治療のための第2の薬剤と組み合わせて使用するための、所定量のプリドピジンを含む医薬組成物。
[56] 前記医薬組成物中の前記量のプリドピジンが、約22.5mg、約45mg、約67.5mg、約90mg、約100mg、約112.5mg、約125mg、約135mg、約150mg、約180mg、約200mg、約250mg、または約315mgである、[50]から[55]のいずれかに記載の医薬組成物。
[57] 前記医薬組成物中の前記量のプリドピジンが、0.1mg~50mg、または0.2mg~20mgである、[50]から[55]のいずれかに記載の医薬組成物。
[58] 神経変性眼疾患に罹患している対象の治療において有用な、所定量のプリドピジンまたは薬学的に許容されるその塩を含む単位剤形としての医薬組成物であって、前記組成物中の前記量の前記プリドピジンが、前記対象に1以上の前記単位剤形の前記組成物が投与されると、前記対象を治療するのに有効である、医薬組成物。
[59] 所定量のプリドピジンと、眼への投与に適する薬学的に許容される賦形剤とを含む眼科用医薬組成物。
[60] 前記神経変性眼疾患の前記治療のための第2の薬剤をさらに含む、[59]に記載の眼科用医薬組成物。
[61] 前記眼科用医薬組成物中のプリドピジンの前記量が、0.1mg~50mgである、[59]または[60]に記載の眼科用医薬組成物。
[62] 前記眼科用医薬組成物が、液体の形態である、[59]から[61]のいずれかに記載の眼科用医薬組成物。
[63] 前記眼科用医薬組成物中のプリドピジンの濃度が0.0001~10.0w/v%である、[59]から[62]のいずれかに記載の眼科用医薬組成物。
[64] 神経変性眼疾患の治療において使用するための、[59]から[63]のいずれかに記載の眼科用医薬組成物。
[65] [50]から[55]および[57]から[64]のいずれかに記載の医薬組成物を含む、点眼液または点眼液を含む容器。
[66] [1]から[18]、[22]から[26]、[30]、および[31]のいずれかに記載の方法において使用するための、点眼液または点眼液を含む容器。
[67] 神経変性眼疾患に罹患している対象の治療において使用するためのプリドピジン。
[68] 神経変性眼疾患に罹患している対象の治療において使用する医薬を製造するためのプリドピジン。
【0165】
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