(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-04
(45)【発行日】2022-03-14
(54)【発明の名称】自動運転車及び自動運転車用プログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20220307BHJP
G08G 1/123 20060101ALI20220307BHJP
B60W 50/10 20120101ALI20220307BHJP
B60W 60/00 20200101ALI20220307BHJP
G01V 8/10 20060101ALN20220307BHJP
【FI】
G08G1/00 X
G08G1/123 A
B60W50/10
B60W60/00
G01V8/10 S
(21)【出願番号】P 2020088514
(22)【出願日】2020-05-21
(62)【分割の表示】P 2018116653の分割
【原出願日】2015-04-16
【審査請求日】2020-05-21
(31)【優先権主張番号】P 2014093515
(32)【優先日】2014-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】514228217
【氏名又は名称】みこらった株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091546
【氏名又は名称】佐藤 正美
(74)【代理人】
【識別番号】100206379
【氏名又は名称】丸山 正
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 將洋
(72)【発明者】
【氏名】佐古 曜一郎
【審査官】上野 博史
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-054116(JP,A)
【文献】国際公開第2014/024254(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0231824(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00
G08G 1/123
B60W 50/10
B60W 60/00
G01V 8/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自律走行を行う自動運転モードを有する自動運転車であって、
前記自動運転車の利用者の降車時に、前記利用者による、降車後の
前記自動運転車の移動先の指定と時間及び/または時刻の指定とを含む前記自動運転車の降車後の振る舞いの設定を受け付けるための設定受付手段と、
前記設定受付手段で受け付けられた前記降車後の振る舞いの設定に含まれる前記移動先の指定と前記時間及び/または時刻の指定に基づいて、前記指定された前記降車後の移動先に前記自動運転モードで移動
して、前記指定された前記時間及び/または時刻に前記移動先に居るように制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする自動運転車。
【請求項2】
前記時間及び/または時刻の指定は、前記自動運転車が
所定時間後に前記指定された移動先に居るべき
前記所定時間後及び/または
前記自動運転車が前記移動先に居るべき
所定時刻の指定である
ことを特徴とする請求項1に記載の自動運転車。
【請求項3】
前記時間及び/または時刻の指定は、前記自動運転車が前記指定された移動先で待機する時間
の指定
を含む
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の自動運転車。
【請求項4】
前記時間及び/または時刻の指定は、時間を把握するための情報の入力によりなされ、
前記制御手段は、前記時間を把握するための情報に基づいて、時間及び/または時刻を把握する
ことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれかに記載の自動運転車。
【請求項5】
前記時間を把握するための情報のリストを提示する提示手段と、
前記提示手段により提示された前記リストの中からの前記利用者による選択を受け付ける選択受付手段と、
を備えることを特徴とする請求項4に記載の自動運転車。
【請求項6】
前記提示手段は、前記リストを画像表示及び/または前記リストを音声で報知するものであり、
前記選択受付手段は、前記利用者による選択操作の受付手段及び/または音声入力による選択指示の受付手段で構成される
ことを特徴とする請求項5に記載の自動運転車。
【請求項7】
前記時間を把握するための情報は、前記降車後の前記利用者の行動に係わる情報である
ことを特徴とする請求項4~請求項6のいずれかに記載の自動運転車。
【請求項8】
前記降車後の前記利用者の行動に係わる情報は、前記行動の目的である
ことを特徴とする請求項7に記載の自動運転車。
【請求項9】
前記降車後の前記利用者の行動に係わる情報は、前記行動に要する時間の情報である
ことを特徴とする請求項7または請求項8に記載の自動運転車。
【請求項10】
前記降車後の前記利用者の行動に係わる情報は、前記行動に要する時間を推定するための情報である
ことを特徴とする請求項7または請求項8に記載の自動運転車。
【請求項11】
前記推定するための情報は、経験値または統計値によるものである
ことを特徴とする請求項10に記載の自動運転車。
【請求項12】
前記利用者が急いでいる様子やゆっくりしている様子などの前記利用者の状態を判断し、前記判断の結果と、前記時間を把握するための情報とを用いて、時間を把握する
ことを特徴とする請求項4~請求項11のいずれかに記載の自動運転車。
【請求項13】
前記降車時の状況や混雑度を含む前記利用者のTPOを判断し、前記判断の結果と、前記時間を把握するための情報とを用いて、時間を把握する
ことを特徴とする請求項4~請求項12のいずれかに記載の自動運転車。
【請求項14】
前記利用者が降車した場所での駐車スペースの有無を判断し、前記判断の結果と、前記時間を把握するための情報とを用いて、時間を把握する
ことを特徴とする請求項4~請求項13のいずれかに記載の自動運転車。
【請求項15】
前記降車後の利用者の行動に係わる情報は、前記利用者の所定の施設の利用、前記利用者の所定のイベントまたは大会への参加、前記利用者のスポーツ観戦、または前記利用者のコンサートや映画などの視聴に係わる情報である
ことを特徴とする請求項7~請求項14のいずれかに記載の自動運転車。
【請求項16】
前記指定される前記移動先には、前記利用者が降車した位置を含む
ことを特徴とする請求項1~請求項15のいずれかに記載の自動運転車。
【請求項17】
前記降車後の振る舞いの設定の入力を受けたときに、入力された前記降車後の振る舞いに含まれる前記移動先と前記時間及び/または時刻の指定に基づく移動が可能か否かにより、前記降車後振る舞いの設定の受付が可能か否かを判断する判断手段と、
前記判断手段の判断結果を前記利用者に報知する手段と
を備えることを特徴とする請求項1~請求項16のいずれかに記載の自動運転車。
【請求項18】
運転者の乗車の有無を判別する運転者有無判別手段及び/または乗車者の乗車の有無を判別する乗車者有無判別手段を備え、
前記制御手段は、前記運転者有無判別手段または前記乗車者有無判別手段で前記運転者または前記乗車者が乗車していないと判別された
場合に、前記指定された前記降車後の移動先に前記自動運転モードで移動するように制御する
ことを特徴とする請求項1~請求項17のいずれかに記載の自動運転車。
【請求項19】
前記運転者有無判別手段は、画像認識装置、音声認識装置、運転席に設けられた着座センサ、及びハンドルまたはタッチパネルに設けられたタッチセンサのうちのいずれか1つ以上を有する
ことを特徴とする請求項18に記載の自動運転車。
【請求項20】
前記乗車者有無判別手段は、画像認識装置、音声認識装置、運転席以外の乗車席に設けられた着座センサ、及びタッチパネルに設けられたタッチセンサのうちのいずれか1つ以上を有する
ことを特徴とする請求項18または請求項19に記載の自動運転車。
【請求項21】
前記利用者の顔画像、音声、指紋、静脈、虹彩などの生体情報を記憶する生体情報記憶部と、
前記利用者の降車後の再乗車時に、前記利用者の生体情報を取得する生体情報取得部と、
前記取得された生体情報と前記記憶された生体情報とを比較することで認証を行う生体情報認証手段と、
を備えることを特徴とする請求項1~請求項20のいずれかに記載の自動運転車。
【請求項22】
メッセージを表示する表示画面及び/またはメッセージを音響再生するスピーカと、
前記降車後の振る舞いの設定を受け付ける際に用いられるメッセージを記憶するメッセージ記憶部とを備え、
前記設定受付手段は、前記メッセージ記憶部に記憶されているメッセージを用いた対話形式で前記降車後の振る舞いの設定の入力を受け付ける
ことを特徴とする請求項1~請求項21のいずれかに記載の自動運転車。
【請求項23】
前記降車後の振る舞いの設定を入力した前記利用者に対する通信のための連絡先を記憶する通信先記憶部と、
前記利用者から前記自動運転車が呼出を受けた時に、前記利用者の連絡先が前記通信先記憶部に記憶された連絡先と一致するか否かで認証を行う通信先認証手段と、
を備えることを特徴とする請求項1~請求項22のいずれかに記載の自動運転車。
【請求項24】
一時的利用が可能な自動運転車であって、
前記降車後の振る舞いが前記自動運転車の返却または利用の終了を含む
ことを特徴とする請求項1~請求項23のいずれかに記載の自動運転車。
【請求項25】
前記自動運転車を一時的に利用する利用者の顔画像、音声、指紋、静脈、虹彩などの生体情報を登録する一時的生体情報登録手段と、
前記自動運転車の返却時または利用の終了時に、前記登録されていた前記利用者の生体情報を抹消する生体情報抹消手段と、
を備えることを特徴とする請求項24に記載の自動運転車。
【請求項26】
前記自動運転車を一時的に利用する利用者に対する通信のための連絡先を登録する一時的通信先登録手段と、
前記自動運転車の返却時または利用の終了時に、前記登録されていた前記利用者の通信先を抹消する通信先抹消手段と、
を備えることを特徴とする請求項24または請求項25に記載の自動運転車。
【請求項27】
前記一時的利用が可能な自動運転車を提供する提供会社が発行するID及び/またはパスワードを前記一時的に利用する利用者に発行する発行手段と、
前記発行されたID及び/またはパスワードで認証を行うID認証手段と、
を備えることを特徴とする請求項24~請求項26のいずれかに記載の自動運転車。
【請求項28】
前記一時的利用が可能な自動運転車は、レンタカー会社から提供されるレンタカー、タクシー会社から提供されるタクシー、ハイヤー会社から提供されるハイヤー、カーシェアリング会社から提供される自動運転車である
ことを特徴とする請求項24~請求項27のいずれかに記載の自動運転車。
【請求項29】
前記設定受付手段が、前記利用者の再乗車を伴う降車後の振る舞いを受け付けたときに、前記利用者の再乗車時の認証用情報を前記降車後振る舞い設定の情報の一部として取得して設定情報記憶部に記憶し、
前記制御手段は、前記設定情報記憶部に記憶した前記認証用情報を用いて、前記利用者の再乗車時の認証を行う
ことを特徴とする請求項1~請求項28のいずれかに記載の自動運転車。
【請求項30】
前記利用者の再乗車時の認証用情報は、前記利用者の顔画像、音声、声紋、静脈、虹彩などの生体情報である
ことを特徴とする請求項29に記載の自動運転車。
【請求項31】
自律走行を行う自動運転モードを有する自動運転車が備えるコンピュータを、
前記自動運転車の利用者の降車時に、前記利用者による、降車後の
前記自動運転車の移動先の指定と時間及び/または時刻の指定とを含む前記自動運転車の降車後の振る舞いの設定を受け付けるための設定受付手段、
前記設定受付手段で受け付けられた前記降車後の振る舞いの設定に含まれる前記移動先の指定と前記時間及び/または時刻の指定に基づいて、前記指定された前記降車後の移動先に前記自動運転モードで移動
して、前記指定された前記時間及び/または時刻に前記移動先に居るように制御する制御手段、
として機能させるための自動運転車用プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動運転車及び自動運転車用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
運転者による運転操作が無くても自律走行可能な自動運転車が提案されている。また、この自動運転車の特質を利用した種々の発明が提案されている。例えば、特許文献1(特開2012-48563号公報)には、予め、ユーザが時刻と場所(目的地)の指定を含むスケジュール情報を自動運転車に記憶させておくと、そのスケジュール情報に基づいて、自動運転の目的地を定めて移動するようにする自動運転車が提案されている。
【0003】
例えば、ユーザAが降車した後には、記憶されているスケジュール情報に基づいて、次にユーザAが自動運転車の使用を開始する場所を推定し、その推定された場所が現在位置であればその場所で待機し、推定された場所が現在地とは異なるときには、その推定された場所に移動して待機するようにする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述の特許文献1の発明においては、ユーザが、事前に、少なくとも日時、場所の指定を含むスケジュール情報を自動運転車に登録して記憶する必要があり、厄介であると共に、実際に乗車中の利用者が、降車後の行動態様や行動目的に応じて臨機応変に自動運転車に指示を与えることができないという問題がある。
【0006】
この発明は、上記の問題点を解決することができる自動運転車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明は、
自律走行を行う自動運転モードを有する自動運転車であって、
前記自動運転車の利用者の降車時に、前記利用者による、降車後の前記自動運転車の移動先の指定と時間及び/または時刻の指定とを含む前記自動運転車の降車後の振る舞いの設定を受け付けるための設定受付手段と、
前記設定受付手段で受け付けられた前記降車後の振る舞いの設定に含まれる前記移動先の指定と前記時間及び/または時刻の指定に基づいて、前記指定された前記降車後の移動先に前記自動運転モードで移動して、前記指定された前記時間及び/または時刻に前記移動先に居るように制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする自動運転車を提供する。
【0008】
上述の構成の発明によれば、運転者または乗車者などの利用者は、降車時に、降車後の移動先の指定と時間及び/または時刻の指定とを含む自動運転車の降車後の振る舞いの設定をする。そして、制御手段により、自動運転車は、移動先の指定及び時間の指定に基づいて、指定された降車後の移動先に自動運転モードで移動するように制御される。
【発明の効果】
【0009】
この発明による自動運転車によれば、運転者または乗車者などの利用者は、降車時に、自動運転車の降車後の移動先の指定及び時間の指定を含む振る舞いの設定をすることができるので、非常に便利である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】この発明による自動運転車の実施形態の電子制御回路部の構成例を示すブロック図である。
【
図2】この発明による自動運転車の実施形態で用いられる降車後振る舞い記憶部の記憶内容の例を示す図である。
【
図3】この発明による自動運転車の実施形態における処理動作の概要を説明するためのフローチャートを示す図である。
【
図4】この発明による自動運転車の実施形態における降車後振る舞い設定受付動作の流れを説明するためのフローチャートの一部を示す図である。
【
図5】この発明による自動運転車の実施形態における降車後振る舞い設定受付動作の流れを説明するためのフローチャートの一部を示す図である。
【
図6】この発明による自動運転車の実施形態における降車後振る舞い設定受付動作の流れを説明するためのフローチャートの一部を示す図である。
【
図7】この発明による自動運転車の実施形態における降車後振る舞いの処理動作の流れの例を示すフローチャートの一部を示す図である。
【
図8】この発明による自動運転車の実施形態における降車後振る舞いの処理動作の流れの例を示すフローチャートの一部を示す図である。
【
図9】この発明による自動運転車の実施形態における降車後振る舞いの処理動作の流れの例を示すフローチャートの一部を示す図である。
【
図10】この発明による自動運転車の実施形態における降車後振る舞いの処理動作の流れの例を示すフローチャートの一部を示す図である。
【
図11】この発明による自動運転車の実施形態における降車後振る舞いの処理動作の流れの例を示すフローチャートの一部を示す図である。
【
図12】この発明による自動運転車の実施形態における降車後振る舞いの処理動作の流れの例を示すフローチャートの一部を示す図である。
【
図13】この発明による自動運転車の実施形態で用いられる降車後振る舞いの具体例を説明するための図である。
【
図14】この発明による自動運転車の実施形態で用いられる降車後振る舞いの具体例を説明するための図である。
【
図15】この発明による自動運転車の実施形態で用いられる降車後振る舞いの具体例を説明するための図である。
【
図16】この発明による自動運転車の実施形態で用いられる降車後振る舞いの具体例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明による自動運転車の実施形態を、図を参照しながら説明する。
【0012】
[自動運転車1のハードウエア構成例]
図1は、この発明の実施形態の自動運転車1の電子制御回路部10のハードウエア構成例を示すブロック図である。なお、この実施形態の自動運転車1は、電気自動車の場合の例である。ただし、バッテリーは、
図1では図示を省略した。
【0013】
この実施形態の自動運転車1は、自動運転モードと、手動運転モードとを備えている。手動運転モードは、自動運転車ではない通常の自動車と同様に、運転者のアクセルペダル操作、ブレーキペダル操作、シフトレバー操作及びステアリング操作(ハンドル操作)に応じた走行ができるモードである。また、自動運転モードは、運転者がアクセルペダル操作、ブレーキペダル操作、シフトレバー操作及びステアリング操作をしなくても、自動運転車1自身が自動的(自律的)に障害物を回避しながら進路変更をして走行するモードである。
【0014】
なお、自動運転車1の運転者は、例えば後述するタッチパネル112を通じた所定の操作により、手動運転モードで走行中の自動運転車1を自動運転モードに切り替えることができると共に、自動運転モードで走行中に、運転者がアクセルペダル操作、ブレーキペダル操作、シフトレバー操作またはステアリング操作をすると、自動的に手動運転モードに戻るように構成されている。
【0015】
図1に示すように、電子制御回路部10は、コンピュータを搭載して構成されている制御部101に対して、システムバス100を通じて、無線通信部102、モータ駆動制御部103、ステアリング駆動制御部104、手動/自動運転モード切替制御部105、レーダー106、カメラ群107、センサ群108、周囲移動体把握部109、現在位置検出部110、表示部111、タッチパネル112、カーナビゲーション(以下、カーナビと略称する)機能部113、利用者認証部114、利用者認証用情報記憶部115、呼出者認証部116、呼出者認証用情報記憶部117、降車後振る舞い設定受付部118、降車後振る舞い記憶部119、振る舞い制御処理部120、タイマー回路121、音声入出力部122、のそれぞれが接続されている。
【0016】
モータ駆動制御部103には、モータ駆動部131が接続されている。ステアリング駆動制御部104には、ステアリング駆動部132が接続されている。手動/自動運転モード切替制御部105には、手動運転操作検知部133が接続されている。また、カーナビ機能部113には、カーナビ用データベース134が接続されている。利用者認証部114には利用者認証用情報記憶部115が接続されている。呼出者認証部116には、呼出者認証用情報記憶部117が接続されている。降車後振る舞い設定受付部118には、降車後振る舞い記憶部119が接続されている。さらに、音声入出力部122には、音声収音用のマイクロフォン135と音響再生出力用のスピーカ136が接続されている。
【0017】
無線通信部102は、この実施形態では、携帯電話網を通じて電話通信や電子メール通信などの通信を行う機能を備える。すなわち、この実施形態の自動運転車1の無線通信部102は、携帯電話網における加入者端末としての機能を備え、携帯電話端末としての加入者番号を有している。制御部101は、この無線通信部102を通じて、呼出者からの呼出要求を受けたときの処理を行う機能と、携帯電話の加入者電話番号が登録されている利用者の携帯電話端末に対して発信して、必要なメッセージを通知する機能とを、ソフトウエア処理機能として備えている。利用者の携帯電話端末としては、例えばスマートフォンが用いられる。
【0018】
モータ駆動制御部103は、制御部101の制御の下に、この実施形態の電気自動車で構成される自動運転車1のモータ駆動部131への駆動信号の供給を制御して、自動運転車1の走行開始、走行速度制御(ブレーキ制御及びアクセル制御を含む)、走行停止などを制御するようにする。
【0019】
ステアリング駆動制御部104は、制御部101の制御の下に、この実施形態の自動運転車1のステアリング駆動部132への駆動制御信号の供給を制御して、自動運転車1の進路変更の制御をするようにする。
【0020】
手動/自動運転モード切替制御部105は、タッチパネル112を通じた選択操作入力に応じて、自動運転車1の運転モードを、手動運転モードと、自動運転モードとのいずれかに切り替える制御を行う。手動運転操作検知部133は、運転者によるアクセルペダル操作、ブレーキペダル操作、シフトレバー操作、さらにはステアリング操作の操作情報を受けて、その手動運転操作情報を手動/自動運転モード切替制御部105に供給する。
【0021】
手動/自動運転モード切替制御部105は、自動運転車1が手動運転モードのときには、この手動運転操作検知部133からの手動運転操作情報を、モータ駆動制御部103、ステアリング駆動制御部104に供給して、モータ駆動部131、ステアリング駆動部132を、運転者の各種ペダル操作、シフトレバー操作、ステアリング操作(ハンドル操作)に応じて制御する。
【0022】
また、手動/自動運転モード切替制御部105は、自動運転車1が自動運転モードのときには、後述するようにして、レーダー106、カメラ群107、センサ群108、周囲移動体把握部109の出力に基づいて制御部101で生成される自動運転操作情報を、モータ駆動制御部103、ステアリング駆動制御部104に供給して、モータ駆動部131、ステアリング駆動部132を、自動運転操作情報により駆動制御する。なお、自動運転モードにおいては、カーナビ機能部113において、運転者などにより設定された行先(目的地)に対する現在位置からの経路が探索され、その探索された経路に沿って走行するように制御される。
【0023】
レーダー106は、自動運転車1の車両の周囲に存在する人や物との距離を測るためのもので、レーザー・レーダーやミリ波レーダーなどからなる。レーザー・レーダーは、例えば天井やバンパー付近に埋め込まれ、ミリ波レーダーは、例えば車両の前部及び後部に設けられている。レーザー・レーダーとミリ波レーダーの両方を備えてもよいし、一方のみであってもよい。また、準ミリ波レーダーやマイクロ波レーダーなど、その他のレーダーを用いてもよい。さらに、レーダーと同様の目的でソナー(図示せず)を用いることができる。
【0024】
カメラ群107は、自動運転車1の車内を撮影する1~複数個のカメラと、自動運転車1の前方、側方、後方など、車外の周囲を撮影する1~複数個のカメラとを含む。車内を撮影するカメラは、例えば運転席と助手席の間に設置されたバックミラー(後写鏡、ルームミラー)やフロントウインドウの上部などに取り付けられ、運転席に座った人物(運転者)の所作を撮影するカメラの他、助手席や、後部座席に座った乗車者(同乗者)の所作を撮影するためのカメラを含む。また、自動運転車1の周囲を撮影するカメラは、例えばバックミラーの左側方及び右側方に取り付けられ、自動運転車1の左前方及び右前方を主として撮影する2台のカメラ(ステレオカメラ)や、自動運転車1の例えばドアミラーまたはフェンダーミラーに取り付けられて左右の側方を撮影するカメラ、自動運転車1の後方を撮影するカメラ、さらにルーフに取り付けられ広角で周囲を撮影する全方位カメラ(360度カメラ)や魚眼カメラ、などを含む。
【0025】
センサ群108は、ドアの開閉や窓の開閉を検知する開閉検知センサ、シートベルト着用を検出するためのセンサ、運転席や助手席などの座席に乗車者が着座したことを検知する着座センサ(例えば重量センサや圧力センサ)、運転席のハンドルや後述するタッチパネル112を人がタッチしたことを検知するタッチセンサ(例えば静電容量センサ)などの他、車外の近傍の人物を検知する人感センサ(例えば赤外線センサ)や自動運転のための補助となる情報を取得するための各種センサからなる。自動運転のための補助となる情報を取得するための各種センサとしては、例えば車両やタイヤの振動を検出するための振動センサ、タイヤの回転数を検出する回転数センサ、方位を検出するための地磁気センサ、加速度を検出するための加速度センサ、角度や角速度を検出するためのジャイロセンサ(ジャイロスコープ)、などが含まれる。また、この実施形態では、センサ群108には、右ウインカーや左ウインカー(方向指示器)やハザードランプ(非常点滅灯)の点灯を検知するセンサも含まれている。
【0026】
周囲移動体把握部109は、レーダー106やセンサ群108、また、カメラ群107の撮像画像を用いて、自車の周囲の移動体(人物を含む)を把握するようにする。周囲移動体把握部109は、例えばベイズ理論に基づいた処理を行うことで、周囲の障害物や移動体を把握するようにする。
【0027】
現在位置検出部110は、GPS衛星からの電波を受信して、自車の現在位置を検出する。現在位置検出部110は、GPS衛星からの電波により検出された位置の精度は悪いので、GPS衛星からの電波の受信で検出された現在位置の情報のみではなく、センサ群108に含まれる1~複数個のセンサ及びレーダー106、カメラ群107の撮像画像(ナビ機能を併用)などをも用いると共に、例えばベイズ理論に基づいた処理を行うことで、より精度の高い現在位置を検出確認するようにしている。
【0028】
自動運転車1は、自動運転モードにおいては、現在位置検出部110や周囲移動体把握部109において、レーダー106、カメラ群107、センサ群108、GPS衛星からの電波の受信で取得した位置情報などの各種情報、つまり、人間の目や耳から得る情報に対応する情報をベイズ理論などの機械学習により処理し、これに基づき、制御部101は、自車の進路変更や障害物の回避など知的な情報処理(人工知能)及び制御(人工知能)を行って、自動運転操作情報を生成する。
【0029】
表示部111は、例えばLCD(Liquid Crystal Display;液晶ディスプレイ)からなる。タッチパネル112は、LCDからなる表示部111の表示画面の上に、指によるタッチ入力が可能なタッチセンサが重畳されて配設されたものである。表示部111の表示画面には、制御部101の制御に基づき、ソフトウエアボタン(キーボードの文字入力用ボタンを含む)を含む表示画像が表示される。そして、タッチパネル112は、表示画面に表示されているソフトウエアボタン上の指によるタッチを検出すると、そのタッチを制御部101に伝達する。これを受けた制御部101は、ソフトウエアボタンに対応する制御処理を実行するように構成されている。
【0030】
カーナビ機能部113に接続されているカーナビ用データベース134には、国内の地図及び経路案内データが、予め格納されている。カーナビ機能部113は、カーナビ用データベース134に記憶されている地図や、経路案内データに基づいて、自動運転車1が指定された目的地まで移動するのを補助するように案内するための機能部である。この実施形態では、カーナビ機能部113は、手動運転モードと、自動運転モードとで、若干異なる処理をするように構成されている。
【0031】
すなわち、手動運転モードにおいては、カーナビ機能部113は、表示部111の表示画面上において、目的地までの経路(ルート)を明示的に表示する地図上に、現在位置検出部110で検出確認されている自車位置を重畳表示した画像を表示すると共に、自車の移動に伴い、地図上の自車位置(現在位置)を移動させ、かつ、ルート上の交差点や分岐点など、経路案内が必要な箇所で音声案内をするようにする。これは、通常のカーナビ機能と同様である。
【0032】
一方、自動運転モードにおいては、カーナビ機能部113は、自車の現在位置が目的地までのルート上から離れているときには、その離間方向及び距離の情報を制御部101に通知すると共に、自車の現在位置が目的地までのルート上に在るときには、自車の移動に伴い、ルート上の交差点や分岐点などの手前で、ルートに沿った進路方向の変更指示情報を制御部101に通知するようにする。制御部101は、このカーナビ機能部113からの通知された情報と、現在位置検出部110の現在位置確認結果及び周囲移動体把握部109の把握結果とに基づいて、自車がルート上を指示された通りの進路をとって移動するように、モータ駆動制御部103を通じてモータ駆動部131を制御すると共に、ステアリング駆動制御部104を通じてステアリング駆動部132を制御するための自動運転操作情報を生成する。したがって、自動運転モードにおけるカーナビ機能部113及び制御部101による目的地までの経路案内により、乗車者が無人の状態においても、自動運転車1は、目的地まで移動することができる。
【0033】
そして、この実施形態では、カーナビ機能部113は、周辺検索機能をも備えている。カーナビ用データベース134には、地図情報に加えて周辺検索のための駐車場、コンビニ、などの拠点情報(POI(Point Of Interest))が記憶されている。なお、周辺検索機能は、カーナビ機能部113が備えるのではなく、制御部101が、例えば現在位置検出部110で取得した現在位置情報などの位置情報を含めた周辺検索要求を、無線通信部102を通じてインターネット上の周辺検索サーバに送って、その検索結果を取得するようにする機能として実現するようにしてもよい。
【0034】
利用者認証部114は、利用者認証用情報記憶部115に記憶された利用者の認証用情報と、その時の利用者から取得した認証用情報とを用いて、利用者認証を行う。ここで、利用者とは、運転者が主であるが、運転者以外の乗車者であってもよい。この実施形態の自動運転車1は、運転者が存在していなくても、自動運転モードにより自律走行が可能である。
【0035】
この実施形態では、例えば、直近の降車者の顔画像と、新たな利用者(乗車者)の顔画像との一致/不一致により利用者認証を行う。このため、この実施形態においては、この利用者認証部114は、画像認識手段の構成とされている。
【0036】
利用者認証用情報記憶部115には、この実施形態では、カメラ群107の内の所定のカメラで撮影された降車者の顔画像が記憶される。この実施形態では、この利用者認証用情報記憶部115には、カメラで撮影された直近の降車者の顔画像が、記憶されていた以前の降車者の顔画像に重ね書きされて更新記憶される。もちろん、重ね書きせずに、以前の降車者の顔画像を残しておいてもよい。
【0037】
なお、利用者の音声により利用者認証を行うこともでき、その場合には、自動運転車1は、降車者の音声をマイクロフォン135で収音して、利用者認証用情報記憶部115にその降車者の音声を記憶する。そして、利用者認証部114は、話者音声認識機能を備えるものとして構成されて、記憶されていた音声と、マイクロフォン135により収音された利用者の音声との一致/不一致を判定することで、利用者認証を行う。
【0038】
また、利用者の指紋により利用者認証を行うこともでき、その場合には、自動運転車1には、指紋読み取り装置が設けられると共に、利用者認証用情報記憶部115には、降車者の指紋が記憶され、利用者認証部114は、指紋認識機能を備えるものとして構成されて、記憶されていた指紋と、指紋読み取り装置により取得された新たな利用者の指紋との一致/不一致を判定することで、第1の利用者認証が行われる。利用者認証には、静脈、虹彩、その他の生体情報を用いることでき、それらの場合も、同様の構成の変更により可能となる。
【0039】
呼出者認証部116は、呼出者認証用情報記憶部117に記憶された呼出者の認証用情報と、無線通信部102で呼出(呼出し)を受けた時に取得した呼出者から取得した認証用情報とを用いて、上述した第1の呼出者認証を行う。この実施形態では、直近の降車者の携帯電話端末の電話番号と、呼出者の携帯電話端末の電話番号との一致/不一致により呼出者認証を行う。
【0040】
呼出者認証用情報記憶部117には、この実施形態では、タッチパネル112を通じて入力された直近の降車者の携帯電話端末の電話番号が記憶される。この呼出者認証用情報記憶部117に記憶される電話番号は、以前に記憶されていた電話番号に重ね書きされることで、直近の降車者のみの電話番号とされる。もちろん、重ね書きせずに、以前に記憶されていた電話番号を残しておいてもよい。
【0041】
呼出者認証部116は、無線通信部102への呼出者からの着信があった時に、その着信の電話番号を取得して、呼出者認証用情報記憶部117に記憶された電話番号との一致/不一致を判定して、呼出者認証を行う構成とされている。
【0042】
なお、呼出者認証部116と呼出者認証用情報記憶部117の構成に関しても、利用者認証部114及び利用者認証用情報記憶部115の構成と同様に、認証用情報として使用する情報の違いに応じて構成が変更されるものである。
【0043】
降車後振る舞い設定受付部118は、この実施形態では、運転者や運転者以外の乗車者などの利用者の降車時における、当該利用者による自動運転車1がすべき降車後振る舞いの設定を受け付けて、受け付けた設定情報を内蔵する記憶部(図示は省略)に記憶する。この実施形態では、降車後振る舞い記憶部119には、予め利用者により降車後振る舞いが登録されて記憶されている。降車後振る舞い設定受付部118は、降車後振る舞い記憶部119に記憶されている降車後振る舞いのリストを利用者に呈示し、そのリストの中から、利用者により選択設定された降車後振る舞いの情報の設定を受け付ける。
【0044】
この場合に、図示は省略するが、降車後振る舞いリスト(後述の
図2参照)の各降車後振る舞いの項目をアイコンボタンの構成として、利用者が、希望するそれぞれのアイコンボタンをタッチパネル112において操作指示することで、降車後振る舞いの情報の選択設定入力をすることができる。降車後振る舞い記憶部119に記憶されている降車後振る舞いの例及び降車後振る舞い設定受付部118の設定受付処理については後述する。
【0045】
なお、降車後振る舞い設定の入力方法としては、音声による各降車後振る舞いの読み上げ入力とすることもできる。制御部101は、そのための音声認識機能を備えているものである。
【0046】
振る舞い制御処理部120は、利用者の降車後の自車についての振る舞いを、降車後振る舞い設定受付部118で受け付けた降車後振る舞いに基づいて実行する。この場合に、運転者が乗車しているときには、当該運転者による制御指示に従って自車の移動制御をすべきという観点から、制御部101は、この実施形態では、利用者が降車した後、自車内に運転者が存在しない場合にのみ、受け付けた降車後振る舞いに基づいた制御処理を実行する。この振る舞い制御処理部120による振る舞い制御処理の例については、後で詳述する。
【0047】
タイマー回路121は、現在時刻を提供すると共に、所定の時点からの時間計測を行う機能を有する。
【0048】
音声入出力部122は、マイクロフォン135で収音した音声を取り込んで、例えば音声認識処理のためにシステムバス100に送出するようにする。また、音声入出力部122は、図示は省略するが、外部に放音する音声メッセージデータを記憶するメモリを内蔵すると共に、そのメモリから読み出された音声メッセージデータを、アナログ音声信号に変換する音声合成器やD-A変換器を内蔵している。そして、音声入出力部122は、制御部101の制御により選択された音声メッセージを、スピーカ136に供給して、音声として外部に放音するようにする。記憶する音声メッセージとしては、後述するように、例えば「降車後振る舞い設定をしますか?」などの問い合わせメッセージや、「認証しました。」、「認証できませんでした。」などの通知メッセージ、降車後振る舞い設定入力を受け付ける際の対話型メッセージなどが用意されている。
【0049】
以上のように、自動運転車1の電子制御回路部10は構成されるが、
図1に示した各処理ブロックのうち、モータ駆動制御部103、ステアリング駆動制御部104、手動/自動運転モード切替制御部105、周囲移動体把握部109、現在位置検出部110、カーナビ機能部113、利用者認証部114、呼出者認証部116、降車後振る舞い設定受付部118、振る舞い制御処理部120、音声入出力部122、の各処理機能は、制御部101がプログラムを実行することで行うソフトウエア処理として実現することができる。
【0050】
[降車後振る舞い記憶部119の記憶情報の例]
前述したように降車後振る舞い記憶部119には、利用者が指定したい降車後振る舞いが予め記憶保持される。この降車後振る舞いとしては、自動運転車1に予め自動車会社などによりデフォルトとして登録されているものの中から選択することもできるし、利用者が設定して記憶させるようにすることもできる。また、無線通信部102を介して、インターネットのクラウド上に記憶したものを利用することもできる。
【0051】
図2は、この実施形態において、降車後振る舞い記憶部119に記憶されている降車後振る舞いの例を示すものである。各降車後振る舞いの例について説明する。
【0052】
「既定の駐車場へ移動」は、利用者が降車した後、予め登録されている既定の駐車場へ自動運転車1が移動するようにするもので、駐車場への移動により降車後振る舞いは終了となる。ここで、既定の駐車場としては、複数の駐車場を登録することができ、「自宅の駐車場」、「会社の駐車場」、「契約駐車場」などを登録することができる。駐車場の登録は、その位置情報と、「自宅の駐車場」、「会社の駐車場」、「契約駐車場」などの駐車場の名称(種別)とを記憶することを意味している。利用者は、降車後振る舞いとしてこの「既定の駐車場へ移動」を選択設定するときには、既定の駐車場の名称も併せて選択設定するものである。
【0053】
「近隣の駐車場で呼ぶまで待機」は、自動運転車1が利用者の降車位置近傍の駐車場を検索して、その駐車場で待機し、その後、利用者が、携帯電話端末で、自動運転車1の無線通信部102を通じて呼出の電話通信をすると、その呼出に応じて、自動運転車1は、利用者が降車した場所に戻るようにするものである。この場合に、この実施形態では、降車時に利用者は、呼出時の認証用情報と、再乗車のための認証用情報を登録するようにする。
【0054】
自動運転車1の振る舞い制御処理部120は、携帯電話端末を通じた利用者による呼出があった時に、登録されている呼出時の認証用情報を用いて呼出者の認証を行い、認証がOKであったときにのみ呼出に応じて、利用者が降車した場所に戻る移動制御を行う。この実施形態では、呼出時の認証用情報として、例えば呼出者の携帯電話端末の電話番号(加入者番号)が、降車時に登録され、呼出者からの着信を受けた時に、呼出者の電話番号が登録された電話番号であるか否かにより認証を行う。
【0055】
そして、自動運転車1の振る舞い制御処理部120は、利用者の再乗車を検知したときには、登録されている再乗車時の認証用情報を用いて再乗車者の認証を行い、認証がOKであったときにのみ再乗車者により自車の利用を許可するように制御する。この実施形態では、再乗車時の認証用情報として、例えば利用者の顔画像を降車時に登録しておき、利用者の再乗車時に、顔画像による顔認識により、利用者が登録された降車者であるか否かにより認証を行う。
【0056】
なお、呼出時の認証用情報としては、携帯電話端末の電話番号に限られるものではなく、メールアドレスであってもよい。また、パスワードやIDなどを登録しておき、呼出者からの呼出の着信に基づく通信において、そのパスワードやIDなどを送ってもらって、両者の一致を確認することで認証を行うようにしてもよい。電話番号やメールアドレスと、それらパスワードやIDとの組み合わせを呼出時の認証用情報としてもよい。
【0057】
また、再乗車者の認証用情報としては、顔画像のみではなく、声(音声)や指紋、静脈、虹彩などの生体情報であってもよいし、さらには、パスワードやIDを用いるようにしてもよい。また、それらの組み合わせを認証用情報としてもよい。
【0058】
「ここで待機」は、自動運転車1は、利用者が降車した場所で、そのまま待機するものである。この場合に、この実施形態では、降車時に利用者は、再乗車のための認証用情報を登録するようにする。この再乗車のための認証用情報は、前述した「近隣の駐車場で呼ぶまで待機」において説明したものと同様とすることができ、この実施形態では利用者(例えば運転者)の顔画像とする。
【0059】
「地点Aに向かう」は、自動運転車1は、利用者が指定した場所に向かう動作をするものである。地点Aは、利用者により降車時に指定される。この地点Aは、予め登録してある地点の中から設定してもよいし、例えば地図上において指定したり、住所を入力して指定したり、特定可能な建物名などを指定したりするようにしてもよい。また、緯度と経度の二次元座標(または標高を加えて三次元座標)で指定してもよい。さらに、地点Aが電話番号で特定できる場合は、電話番号を入力して指定してもよいし、地点AがURL(Uniform Resource Locator)やメールアドレスで特定できる場合は、URLやメールアドレスを入力して指定してもよい。
【0060】
この「地点Aに向かう」の場合の再乗車者は、降車した利用者に限られるものではない。そこで、再乗車者の認証用情報として、この実施形態では、パスワードやIDが設定される。
【0061】
「呼出に応じて迎えに行く」は、利用者が降車した後は、自動運転車1は呼出があるまでは自由な動作を行うことができるが、利用者が、携帯電話端末で、自動運転車1の無線通信部102を通じて呼出の電話通信をすると、その呼出に応じて、自動運転車1は、利用者が指定した場所に迎えに行くようにするものである。この場合に、迎えに行く場所の情報は、利用者が自動運転車1に呼出の電話通信をしたときに、その電話通信において自動運転車1に送られる。例えば利用者の携帯電話端末が備えるGPSによって測位された現在位置の情報が、迎えに行く場所の情報として、利用者の携帯電話端末から自動運転車1に送られる。更に、この場合にも、利用者は、降車時に、呼出時の認証用情報と、再乗車のための認証用情報を登録するようにする。呼出時の認証用情報及び再乗車のための認証用情報に関しては、「近隣の駐車場で呼ぶまで待機」と同様の処理を行う。
【0062】
「地点Bで待機」は、自動運転車1は、利用者が指定した場所で待機して、利用者の再乗車を待つものである。地点Bは、利用者により降車時に指定される。この地点Bは、予め登録してある地点の中から設定してもよいし、例えば地図上において指定したり、住所を入力して指定したり、特定可能な建物名などを指定したりするようにしてもよい。また、緯度と経度の二次元座標(または標高を加えて三次元座標)で指定してもよい。さらに、地点Bが電話番号で特定できる場合は、電話番号を入力して指定してもよいし、地点BがURLやメールアドレスで特定できる場合は、URLやメールアドレスを入力して指定してもよい。
【0063】
そして、この場合の利用者の再乗車時の認証用情報としては、前述した「近隣の駐車場で呼ぶまで待機」において説明したものと同様とすることができ、この実施形態では利用者(例えば運転者)の顔画像とする。
【0064】
「所定時間後に降車位置に戻る」は、利用者が降車後に所定の用事を行っている所定時間後、降車位置(現在位置)に戻る(移動せず居ることを含む)ことを前提とした降車後の振る舞いである。利用者は、降車時に、「所定時間」を直接的に設定したり、「所定時間」を把握するための情報の入力をしたりする。すなわち、この場合の「所定時間」の設定の仕方としては、
(a)タイマー回路121に対するタイマー時間の設定、
(b)音声入力による設定、例えば「ちょっとだけ用事」、「トイレ」、「食事」、「コンサート」、「野球観戦」、「サッカー観戦」、「大相撲観戦」、「2,3分」、「1時間ほど」など、
(c)表示部111に表示された所定の用事のリストの中からの選択
などが挙げられる。
【0065】
自動運転車1の制御部101が、(b)及び(c)の所定時間を把握するための情報の入力からの所定時間の把握の仕方の例を以下に示す。なお、(b)の場合には、「」で囲んだ文言が音声入力され、(c)の場合には、「」で囲んだ文言がリストの中から選択される。
・「大相撲観戦」 本場所の場合は、ほぼ18時に終了するので、その終了時刻を目安に所定時間を把握する。
・「野球観戦」 プロ野球の場合、開始から約3時間、高校野球の場合、開始から約2時間が目安である。延長戦になると時間が加算される。インターネットを通じて所定のサイトから放送中継などを入手すれば、試合終了時刻が把握できる。
・「サッカー観戦」 前半45分 ハーフタイム15分 後半45分 ロスタイム少々を目安に所定時間を把握する。延長戦になると時間が加算される。インターネットを通じて所定のサイトから放送中継などを入手すれば、試合終了時刻が把握できる。
・「コンサート」 主催者側発表の終演時間が目安である。降車時に、利用者により、その終演時間が入力され、その時刻を目安に所定時間を把握する。
・「映画鑑賞」 終演時間は確定している。降車時に、利用者により、その終演時間が入力され、その時刻を目安に所定時間を把握する。
・「ショッピングセンター」 経験値・統計値を基に所定時間を、例えば2時間として把握する。
・「デパート」 経験値・統計値を基に所定時間を、例えば2時間として把握する。
・「量販店(家電・コンピュータ)」 経験値・統計値を基に所定時間を、例えば1時間として把握する。
・「本屋」 経験値・統計値を基に所定時間を、例えば30分として把握する。
・「花屋」 経験値・統計値を基に所定時間を、例えば15分として把握する。
・「小さい商店」 経験値・統計値を基に所定時間を、例えば15分として把握する。
・「コンビニ」 経験値・統計値を基に所定時間を、例えば15分として把握する。
・「郵便局」 待ち時間によるが、例えば10分として把握する。
・「銀行」 待ち時間によるが、ATMなら5分、窓口なら20分として把握する。
・「塾」 終了時間は確定している。降車時に、利用者により、その終了時間が入力され、その時刻を目安に所定時間、例えば2時間を把握する。
・「レストラン」 例えば昼食30分、夕食2時間として、所定時間を把握する。
・「喫茶」 例えば1時間として、所定時間を把握する。
・「釣堀」 例えば2時間として、所定時間を把握する。
・「神社・仏閣」 初詣など。例えば1時間として、所定時間を把握する。
・「動物園・水族館」 例えば3時間として、所定時間を把握する。
・「車両進入禁止エリア」 「ここから先、車はご遠慮ください」のような表示があるが、その先が見てみたい場合、車を降りて見てくる。例えば15分として、所定時間を把握する。
【0066】
なお、自動運転車1が、利用者の状態(急いでいる様子、ゆっくりしている様子など)やTPO(状況、混雑度など)を判断し、時間を決定してもよい。また、利用者を降ろした場所での駐車スペースの有無も所定時間を判断する条件とするようにしても勿論よい。
【0067】
この例では、降車後振る舞いを「所定時間後に降車位置に戻る」としたが、「所定時刻に降車位置に戻る」とすることもできる。また、両方の降車後振る舞いを用意しておいてもよい。
【0068】
「所定時間後に地点Cに居る」も、利用者が降車後に所定の用事を行うことを前提とした降車後の振る舞いであり、かつ、所定時間後に再乗車する地点として、降車位置(現在位置)ではない別の地点Cに移動するものである。「所定時間後に降車位置に戻る」と同様に、利用者は、降車時に、「所定時間」を直接的に設定したり、「所定時間」を把握するための情報の入力をしたりすると共に、地点Cを設定する。地点Cは、予め登録してある地点の中から設定してもよいし、例えば地図上において指定したり、住所を入力して指定したり、特定可能な建物名などを指定したりするようにしてもよい。また、緯度と経度の二次元座標(または標高を加えて三次元座標)で指定してもよい。さらに、地点Cが電話番号で特定できる場合は、電話番号を入力して指定してもよいし、地点CがURLやメールアドレスで特定できる場合は、URLやメールアドレスを入力して指定してもよい。
【0069】
地点Cが降車位置(現在位置)に近接している場合、「所定時間」の設定の仕方及び自動運転車1の制御部101における所定時間の把握の仕方は、「所定時間後に降車位置に戻る」と同様である。地点Cが降車位置(現在位置)から離れている場合(例えば1km以上)、降車位置(現在位置)から地点Cへの移動時間が、所定時間に大きく影響する。そのため、所定時間は、所定の用事にかかる時間だけでは不足しており、移動にかかる時間を加算して把握する必要がある。移動時間の計算(推定)には、少なくとも移動手段とその手段での移動距離または移動区間の情報の入力が必要となる。したがって、地点Cが降車位置(現在位置)から離れている場合は、利用者が、降車時に、「所定時間」を直接的に設定するのが好ましい。
【0070】
この例でも、降車後振る舞いは「所定時間後に降車位置に戻る」と同様、「所定時間後に地点Cに居る」ではなく、「所定時刻に地点Cに居る」とすることができる。また、両方の降車後振る舞いを用意しておいてもよい。
【0071】
なお、利用者の再乗車や呼出が「所定時間後」や「所定時刻」から、大幅に早かったり、遅かったりした場合(例えば「2時間後に降車位置に戻る」と振る舞い設定されているにもかかわらず、利用者が10分後に戻ってきている場合)は、利用者のなりすましやトラブルの危険性もあるため、認証はより厳重に行うようにする。例えば、必ず複数の認証用情報を組み合わせる、認証時にアラーム音などで警告を出す、再乗車者の顔画像を撮影する、呼出者の音声を録音するなど、を実施する。また、制御部101は、この無線通信部102を通じて、利用者の携帯電話端末に対して、発信して確認することで、利用者の再乗車を認証してもよい。
【0072】
[実施形態の自動運転車1での利用者が降車時の処理動作の例]
次に、自動運転車1に乗車していた利用者、この例では、特に運転者が降車をしようとする際における自動運転車1の制御部101の処理動作の概要について説明する。
【0073】
この実施形態では、自動運転車1に乗車していた利用者、この例では、特に運転者が降車をしようとすると、自動運転車1は、降車後振る舞いを設定するかどうかを降車しようとする運転者に問い合わせをする。この問い合わせに対して、運転者が降車後振る舞いの設定入力をすると、自動運転車1は、当該運転者による降車後振る舞い設定入力を受け付け、運転者の降車後に受け付けた降車後振る舞いに応じた処理を行う。
【0074】
図3は、運転者が降車するときの自動運転車1の電子制御回路部10の制御部101が実行する処理動作の流れの例を説明するためのフローチャートである。なお、この
図3のフローチャートにおける各ステップの処理は、降車後振る舞い設定受付部118及び振る舞い制御処理部120の各処理機能を、制御部101がプログラムを実行することで行うソフトウエア処理として実現するようにした場合として説明する。
【0075】
制御部101は、運転者により、自車のモータ駆動部131の駆動が停止させられたか否か判別する(ステップS1)。このステップS1で、モータ駆動部131の駆動は停止させられてはいないと判別したときには、制御部101は、走行時に必要な制御を継続し(ステップS2)、その後、ステップS1に戻る。
【0076】
ステップS1で、モータ駆動部131の駆動は停止させられたと判別したときには、一般的には、運転者は降車すると予想されることから、制御部101は、降車後振る舞い設定をするかどうかの問い合わせのメッセージを表示部111に表示すると共に、スピーカ136を通じて音声として放音する(ステップS3)。
【0077】
制御部101は、ステップS3における問い合わせに対する運転者からの回答を監視して判別し(ステップS4)、運転者が降車後振る舞い設定をしないと回答したと判別したときには、この
図3の処理ルーチンを終了する。この場合、自動運転車1は、運転者が降車した位置で、モータ駆動部131を停止したまま、停止中の処理として必要な部位への給電を維持しつつ電源もオフとする。また、運転者が降車後振る舞い設定をしない場合における所定の振る舞いを予め設定し、それを実行するようにしてもよい。予め設定される所定の振る舞いは、スケジュール情報になっていてもよい。
【0078】
ステップS4で、運転者が降車後振る舞い設定をすると回答したと判別したときには、制御部101は、降車後振る舞い記憶部119に記憶されている降車後振る舞いを、
図2に示すようなリストとして表示部111の表示画面に表示する(ステップS5)。
【0079】
そして、次に、制御部101は、タッチパネル112を通じた利用者の入力操作を監視して、表示画面に表示されているリストからの降車後振る舞いの選択操作の受け付けを待つ(ステップS6)。このステップS6で、リストからの降車後振る舞いの選択操作を受け付けたと判別したときには、制御部101は、その選択された降車後振る舞いを受け付けるための処理を行う(ステップS7)。ステップS7の選択された降車後振る舞いの受付処理については、後で詳述する。
【0080】
次に、制御部101は、選択された降車後振る舞いを受け付けるための処理を完了したか否か判別し(ステップS8)、選択された降車後振る舞いを受け付けるための処理を完了したと判別したときには、利用者により選択された降車後振る舞いの選択情報及びそれに付随する情報を記憶する(ステップS9)。なお、選択された降車後振る舞いを受け付けるための処理が、所定時間(例えば10分)以内に完了しない場合は、利用者が降車後振る舞い設定をしないと判断し、
図3の処理ルーチンを終了してもよい。この場合、上述と同様に、自動運転車1は、運転者が降車した位置で、モータ駆動部131を停止したまま、停止中の処理として必要な部位への給電を維持しつつ電源もオフとする。また、運転者が降車後振る舞い設定をしない場合における所定の振る舞いを予め設定し、それを実行するようにしてもよい。予め設定される所定の振る舞いは、スケジュール情報になっていてもよい。
【0081】
次に、制御部101は、ドアセンサなどにより利用者の降車を確認すると共に、運転者の有無を判別する(ステップS10)。この運転者の有無は、運転席に設けられている重量センサや圧力センサなどからなる着座センサや、ハンドルやタッチパネル112に人がタッチしたか否かを判別するタッチセンサ、また、カメラ群107の内の運転席の運転者を撮影するためのカメラの撮像画像から判別する。あるいは、マイクロフォン135が収音した運転席の運転者の音声の有無から判別する。そして、運転者が存在しているときには、運転者が降車するのを待ち、ステップS10で運転者が降車して居なくなったことを判別すると、制御部101は、記憶した選択された降車後振る舞いを実行するようにする(ステップS11)。このステップS11において、自動運転車1が走行して移動する場合には、自動運転車1は、自動運転モードにより自律走行するものである。
【0082】
[降車後振る舞い設定受付処理の流れの例]
次に、ステップS7の降車後振る舞い設定受付処理の流れの例について説明する。
図4~
図6は、降車後振る舞い設定受付処理の流れの例を説明するためのフローチャートであり、この例では、
図2に示したリストの各降車後振る舞いのそれぞれが選択されたときの設定受付処理を想定して説明する。
【0083】
この
図4~
図6のステップの処理も、降車後振る舞い設定受付部118の処理機能を、制御部101がプログラムを実行することで行うソフトウエア処理として実現するようにした場合として説明する。なお、この実施形態では、制御部101は、利用者との間で対話形式によるやり取りをして、降車後振る舞いの設定を受け付けるようにする。
【0084】
先ず、制御部101は、利用者により「既定の駐車場へ移動」が選択されたか否か判別し(ステップS21)、当該「既定の駐車場へ移動」が選択されたと判別したときには、既定の駐車場について、利用者に「自宅の駐車場」、「会社の駐車場」、「契約駐車場」のいずれかの選択指定を促すメッセージを、表示部111を通じて報知(併せてスピーカ136を通じて音声報知してもよい)して、利用者からの既定の駐車場の選択指定を受け付ける(ステップS22)。このとき、このステップS22の次には、制御部101は、
図3のステップS8において、受付完了と判別して、次にステップS9で、選択された降車後振る舞い「既定の駐車場へ移動」の選択指定、及び「自宅の駐車場」、「会社の駐車場」、「契約駐車場」のいずれかの選択指定を記憶する。なお、後述するように、既定の駐車場について、「特定の施設の専用駐車場」を選択指定に加えてもよい。
【0085】
ステップS21で「既定の駐車場へ移動」は選択されてはいないと判別したときには、制御部101は、「近隣の駐車場で呼ぶまで待機」が利用者により選択されたか否か判別する(ステップS23)。このステップS23で、「近隣の駐車場で呼ぶまで待機」が利用者により選択されたと判別したときには、制御部101は、利用者に呼出者の認証用情報の入力を促すメッセージを、表示部111を通じて報知(併せてスピーカ136を通じて音声報知してもよい)して、利用者からの呼出者の認証用情報の入力を受け付ける(ステップS24)。前述したように、この例では、呼出者の認証用情報としては、呼出者の携帯電話端末の電話番号が入力される。
【0086】
次に、制御部101は、利用者の再乗車時の認証用情報を取得する(ステップS25)。前述したように、この実施形態では、利用者としての運転者の顔画像をカメラ群107の内の運転席を撮影するカメラで撮影し、その顔画像を再乗車者の認証用情報として取得する。このステップS25の次には、制御部101は、
図3のステップS8において、受付完了と判別して、次のステップS9で、選択された降車後振る舞い「近隣の駐車場で呼ぶまで待機」の選択指定を降車後振る舞い設定受付部118の記憶部に記憶すると共に、呼出者認証用情報としての携帯電話端末の電話番号を呼出者認証用情報記憶部117に記憶し、さらには、再乗車の認証用情報としての「運転者の顔画像」を利用者認証用情報記憶部115に記憶する。
【0087】
ステップS23で、「近隣の駐車場で呼ぶまで待機」が選択されてはいないと判別したときには、制御部101は、「ここで待機」が利用者により選択されたか否か判別する(ステップS26)。このステップS26で、「ここで待機」が利用者により選択されたと判別したときには、制御部101は、現在位置(降車位置)は駐車禁止であるか否か判別する(ステップS27)。駐車禁止であるか否かは、カメラ群107の内の周囲を撮影するカメラの撮像画像から、駐車禁止の標識や標示があるか否かを認識することにより判定するようにする。なお、駐停車禁止の場合も駐車禁止の場合と同様であるが、この実施例では「駐車禁止」に含まれるものとする。
【0088】
ステップS27で、駐車禁止であると判別したときには、制御部101は、利用者に現在位置は駐車禁止であることを通知すると共に、他の降車後振る舞いの設定依頼を促すメッセージを、表示部111を通じて報知(併せてスピーカ136を通じて音声報知してもよい)し(ステップS28)、その後、ステップS21に処理を戻し、利用者からの降車後振る舞いの再設定を待つようにする。
【0089】
ステップS27で、現在位置は駐車禁止ではないと判別したときには、制御部101は、利用者の再乗車時の認証用情報を取得する(ステップS29)。このステップS29での処理は、前述したステップS25と同様であり、この実施形態では、利用者としての運転者の顔画像を再乗車者の認証用情報として取得する。そして、制御部101は、このステップS29の次には、
図3のステップS8において、受付完了と判別して、次のステップS9で、選択された降車後振る舞い「ここで待機」の選択指定を降車後振る舞い設定受付部118の記憶部に記憶すると共に、再乗車者の認証用情報としての「運転者の顔画像」を利用者認証用情報記憶部115に記憶する。
【0090】
次に、ステップS26で、「ここで待機」は選択されていないと判別したときには、制御部101は、「地点Aに向かう」が利用者により選択されたか否か判別する(
図5のステップS31)。このステップS31で、「地点Aに向かう」が利用者により選択されたと判別したときには、制御部101は、利用者に対して「地点A」の設定入力を促すメッセージを、表示部111を通じて報知(併せてスピーカ136を通じて音声報知してもよい)して、利用者からの「地点A」の設定を受け付ける(ステップS32)。この際に、制御部101は、ステップS32では、現在位置を中心とした地図を表示部111の表示画面に表示して、その地図上において「地点A」の設定を受け付けるようにする。あるいは、利用者による「地点A」の住所の入力を受け付けてもよいし、現在地周辺の施設などを呈示して、その選択入力を受け付けるようにしてもよい。また、緯度と経度の二次元座標(または標高を加えて三次元座標)の入力を受け付けてもよい。さらに、「地点A」が電話番号で特定できる場合は、電話番号の入力を受け付けてもよいし、「地点A」がURLやメールアドレスで特定できる場合は、URLやメールアドレスの入力を受け付けてもよい。
【0091】
ステップS32の次には、制御部101は、地点Aでの利用者の再乗車時の認証用情報を取得する(ステップS33)。このステップS33での処理は、ステップS25及びステップS29と同様であり、この実施形態では、利用者としての運転者の顔画像を再乗車者の認証用情報として取得する。そして、制御部101は、このステップS33の次には、
図3のステップS8において、受付完了と判別して、次のステップS9で、選択された降車後振る舞い「地点Aに向かう」の選択指定及び「地点A」の設定情報を降車後振る舞い設定受付部118の記憶部に記憶すると共に、再乗車者の認証用情報としての「運転者の顔画像」を利用者認証用情報記憶部115に記憶する。
【0092】
ステップS31で、「地点Aに向かう」が選択されてはいないと判別したときには、制御部101は、「呼出に応じて迎えに行く」が利用者により選択されたか否か判別する(ステップS34)。このステップS34で、「呼出に応じて迎えに行く」が利用者により選択されたと判別したときには、制御部101は、利用者に呼出者の認証用情報の入力を促すメッセージを、表示部111を通じて報知(併せてスピーカ136を通じて音声報知してもよい)して、利用者からの呼出者の認証用情報の入力を受け付ける(ステップS35)。この例では、呼出者の認証用情報としては、呼出者の携帯電話端末の電話番号が入力される。
【0093】
次に、制御部101は、利用者の再乗車時の認証用情報を取得する(ステップS36)。このステップS36での処理は、ステップS25及びステップS29と同様であり、この実施形態では、利用者としての運転者の顔画像を再乗車者の認証用情報として取得する。このステップS36の次には、制御部101は、
図3のステップS8において、受付完了と判別して、次のステップS9で、選択された降車後振る舞い「呼出に応じて迎えに行く」の選択指定を降車後振る舞い設定受付部118の記憶部に記憶すると共に、呼出者認証用情報としての携帯電話端末の電話番号を呼出者認証用情報記憶部117に記憶し、さらには、再乗車者の認証用情報としての「運転者の顔画像」を利用者認証用情報記憶部115に記憶する。
【0094】
ステップS34で、「呼出に応じて迎えに行く」が選択されてはいないと判別したときには、制御部101は、「地点Bで待機」が利用者により選択されたか否か判別する(ステップS37)。このステップS37で、「地点Bで待機」が利用者により選択されたと判別したときには、制御部101は、利用者に対して「地点B」の設定入力を促すメッセージを、表示部111を通じて報知(併せてスピーカ136を通じて音声報知してもよい)して、利用者からの「地点B」の設定を受け付ける(ステップS38)。この際に、制御部101は、ステップS38では、現在位置を中心とした地図を表示部111の表示画面に表示して、その地図上において「地点B」の設定を受け付けるようにする。あるいは、利用者による「地点B」の住所の入力を受け付けてもよいし、現在地周辺の施設などを呈示して、その選択入力を受け付けるようにしてもよい。また、緯度と経度の二次元座標(または標高を加えて三次元座標)の入力を受け付けてもよい。さらに、「地点B」が電話番号で特定できる場合は、電話番号の入力を受け付けてもよいし、「地点B」がURLやメールアドレスで特定できる場合は、URLやメールアドレスの入力を受け付けてもよい。
【0095】
ステップS38の次には、制御部101は、地点Bでの利用者の再乗車時の認証用情報を取得する(ステップS39)。このステップS39での処理は、ステップS25及びステップS29と同様であり、この実施形態では、利用者としての運転者の顔画像を再乗車者の認証用情報として取得する。そして、制御部101は、このステップS39の次には、
図3のステップS8において、受付完了と判別して、次のステップS9で、選択された降車後振る舞い「地点Bで待機」の選択指定及び「地点B」の設定情報を降車後振る舞い設定受付部118の記憶部に記憶すると共に、再乗車者の認証用情報としての「運転者の顔画像」を利用者認証用情報記憶部115に記憶する。
【0096】
ステップS37で、「地点Bで待機」が選択されてはいないと判別したときには、制御部101は、「所定時間後に降車位置に戻る」が利用者により選択されたか否か判別する(
図6のステップS41)。そして、このステップS41で、「所定時間後に降車位置に戻る」が利用者により選択されたと判別したときには、制御部101は、利用者に対して「所定時間」を計算(推定)するための情報の入力(「所定時間」の直接入力を含む)を促すメッセージを、表示部111を通じて報知(併せてスピーカ136を通じて音声報知してもよい)して、前述したような利用者からの音声入力情報やタッチパネル112を通じた「所定時間」を計算するための情報の入力(「所定時間」の直接入力を含む)を受け付ける(ステップS42)。
【0097】
次に、制御部101は、利用者の再乗車時の認証用情報を取得する(ステップS43)。このステップS43での処理は、ステップS25及びステップS29と同様であり、この実施形態では、利用者としての運転者の顔画像を再乗車者の認証用情報として取得する。このステップS43の次には、制御部101は、
図3のステップS8において、受付完了と判別して、次のステップS9で、選択された降車後振る舞い「所定時間後に降車位置に戻る」の選択指定を降車後振る舞い設定受付部118の記憶部に記憶すると共に、再乗車者の認証用情報としての「運転者の顔画像」を利用者認証用情報記憶部115に記憶する。
【0098】
ステップS41で、「所定時間後に降車位置に戻る」が選択されてはいないと判別したときには、制御部101は、「所定時間後に地点Cに居る」が利用者により選択されたか否か判別する(ステップS44)。このステップS44で、「所定時間後に地点Cに居る」が利用者により選択されたと判別したときには、制御部101は、利用者に対して「所定時間」を計算(推定)するための情報の入力(「所定時間」の直接入力を含む)を促すメッセージを、表示部111を通じて報知(併せてスピーカ136を通じて音声報知してもよい)して、前述したような利用者からの音声入力情報やタッチパネル112を通じた「所定時間」を計算するための情報の入力(「所定時間」の直接入力を含む)を受け付ける(ステップS45)。ステップS45では、「地点C」が降車位置(現在位置)から離れている場合は、「所定時間」を直接入力するのが好ましい。
【0099】
次に、制御部101は、利用者に対して「地点C」の設定入力を促すメッセージを、表示部111を通じて報知(併せてスピーカ136を通じて音声報知してもよい)して、利用者からの「地点C」の設定を受け付ける(ステップS46)。この際に、制御部101は、ステップS46では、降車位置(現在位置)を中心とした地図を表示部111の表示画面に表示して、その地図上において「地点C」の設定を受け付けるようにする。あるいは、利用者による「地点C」の住所の入力を受け付けてもよいし、現在地周辺の施設などを呈示して、その選択入力を受け付けるようにしてもよい。また、緯度と経度の二次元座標(または標高を加えて三次元座標)の入力を受け付けてもよい。さらに、「地点C」が電話番号で特定できる場合は、電話番号の入力を受け付けてもよいし、「地点C」がURLやメールアドレスで特定できる場合は、URLやメールアドレスの入力を受け付けてもよい。
【0100】
フローチャートにおけるステップの図示は省略するが、制御部101は、「地点C」の設定を受け付ける時点で、自動運転車1が、降車位置(現在位置)から「地点C」へ移動するための所要時間を推定し、「所定時間後に地点Cに居る」が降車後振る舞いとして、時間的に可能かどうか判断することができる。この場合、制御部101は、「地点C」の設定を受け付けると、降車位置(現在位置)から「地点C」までの経路をカーナビ機能部113に、その経路探索機能を用いて探索させるようにし、経路を決定する。次に、その経路と自動運転車1の走行速度から、自動運転車1が、降車位置(現在位置)から「地点C」へ移動するための所要時間を推定する。さらに、この推定された移動所要時間と、入力設定されている「所定時間」を比較する。その比較結果により、移動所要時間の方が長いと判断される場合は、「所定時間後に地点Cに居る」という降車後振る舞いを実現することが困難となるため、自動運転車1の移動所要時間が「所定時間」より短くなるよう、「所定時間」または「地点C」の再入力を促すメッセージを報知して、その情報の再入力を受け付ける。もちろん、地点Cが降車位置(現在位置)に近接している場合、このような再入力の必要は、ほとんどない。
【0101】
次いで、制御部101は、地点Cでの利用者の再乗車時の認証用情報を取得する(ステップS47)。このステップS47での処理は、ステップS25及びステップS29と同様であり、この実施形態では、利用者としての運転者の顔画像を再乗車者の認証用情報として取得する。このステップS47の次には、制御部101は、
図3のステップS8において、受付完了と判別して、次のステップS9で、選択された降車後振る舞い「所定時間後に地点Cに居る」の選択指定及び「地点C」の設定情報を降車後振る舞い設定受付部118の記憶部に記憶すると共に、再乗車者の認証用情報としての「運転者の顔画像」を利用者認証用情報記憶部115に記憶する。
【0102】
ステップS44で、「所定時間後に地点Cに居る」が選択されてはいないと判別したときには、制御部101は、利用者が降車後振る舞い設定を中止する操作をしたか否か判別する(ステップS48)。このステップS48で、利用者が降車後振る舞い設定を中止する操作をしてはいないと判別したときには、制御部101は、処理を
図4のステップS21に戻し、このステップS21以降の処理を繰り返す。あるいは、利用者の希望する降車後振る舞いが、
図2で示す、降車後振る舞い記憶部の記憶内容に無いものであると判断し、タッチパネル112から文字入力を促したり、マイクロフォン135を通して、音声入力を促したりするようにしてもよい。また、文字入力や音声入力を促しても、入力がない場合は、利用者の希望する降車後振る舞いはないと判断し、自動運転車1は、運転者が降車した位置で、モータ駆動部131を停止したまま、停止中の処理として必要な部位への給電を維持しつつ電源もオフとする。また、運転者が降車後振る舞い設定をしない場合における所定の振る舞いを予め設定し、それを実行するようにしてもよい。予め設定される所定の振る舞いは、スケジュール情報になっていてもよい。
【0103】
また、ステップS48で、利用者が降車後振る舞い設定を中止する操作をしたと判別したときには、制御部101は、この処理ルーチンを終了する。この場合、運転者が降車後振る舞い設定をしないと判断し、自動運転車1は運転者が降車した位置で、モータ駆動部131を停止したまま、停止中の処理として必要な部位への給電を維持しつつ電源もオフとしてもよい。また、運転者が降車後振る舞い設定をしない場合における所定の振る舞いを予め設定し、それを実行するようにしてもよい。
【0104】
[実施形態の自動運転車1の利用者の降車後の処理動作の例]
次に、
図3のステップS11における利用者の降車後の処理動作例について説明する。
図7~
図12は、運転者が降車して、運転者が不在となったときの自動運転車1の電子制御回路部10の制御部101が実行する降車後振る舞いの制御処理動作の流れの例を説明するためのフローチャートである。この例も、
図2に示したリストの各降車後振る舞いのそれぞれが設定受付されたときのそれぞれに対応する処理を想定して説明する。
【0105】
なお、この
図7~
図12のフローチャートにおける各ステップの処理は、振る舞い制御処理部120と、利用者認証部114と、呼出者認証部116の処理機能を、制御部101がプログラムを実行することで行うソフトウエア処理として実現するようにした場合として説明する。
【0106】
制御部101は、まず、設定された降車後振る舞いが何かを確認する(ステップS51)。そして、確認の結果、設定された降車後振る舞いは「既定の駐車場への移動」であるか否か判別する(ステップS52)。このステップS52で、設定された降車後振る舞いは「既定の駐車場への移動」であると判別したときには、制御部101は、現在位置検出部110で測位された現在位置の情報を取得し、その現在位置から選択設定されて記憶されている既定の駐車場までの経路を、カーナビ機能部113に、その経路探索機能を用いて探索させるようにする(ステップS53)。そして、制御部101は、その経路探索結果を用いて、カーナビ機能部113に、経路案内を行わせるように制御して、自動運転モードにより、自動運転車1を選択設定されて記憶されている既定の駐車場まで移動させるように制御する(ステップS54)。そして、制御部101は、目的の駐車場に駐車したら、降車後振る舞い制御処理を終了する。
【0107】
この「既定の駐車場への移動」が降車後振る舞いとして設定される場合のシチュエーションの例を
図13に示す。
図13の例においては、自動運転車1に乗車した利用者2が自宅のあるマンション3の玄関に到着したときに、当該マンションの指定駐車場を既定駐車場とし、「既定の駐車場への移動」を降車後振る舞いとして指定し、自動運転車1から降車し、自宅に戻る。自動運転車1は、利用者2による降車後振る舞いの設定を受け付ける。そして、自動運転車1は、利用者2の降車の確認の後、設定された降車後振る舞いとして、指定されたマンションの指定駐車場4に、自動運転モードにより移動して駐車する動作を実行し、駐車が完了するとモータ駆動部131を停止し、停止中の処理として必要な部位への給電を維持しつつ電源もオフとする。
【0108】
他の例としては、利用者2が自動運転車1に乗車して出勤のために会社の玄関に到着したときに、会社の駐車場を既定駐車場とし、「既定の駐車場への移動」を降車後振る舞いとして設定し、自動運転車1から降車して、会社のビルの内部に入ることが想定される。この場合には、自動運転車1は、利用者2による降車後振る舞いの設定を受け付けて、利用者2の降車の確認の後、指定された会社の駐車場に、自動運転モードにより移動して駐車する動作を実行し、駐車が完了するとモータ駆動部131を停止し、停止中の処理として必要な部位への給電を維持しつつ電源もオフとするようにする。契約駐車場が既定の駐車場として指定される場合も同様の動作となる。
【0109】
さらに、他の例としては、
図2の例としては挙げていないが、利用者2が自動運転車1に乗車して宿泊のためにホテルなどの宿泊施設に到着したときに、当該宿泊施設の専用駐車場を既定駐車場とし、「既定の駐車場への移動」を降車後振る舞いとして設定し、自動運転車1から降車して、宿泊施設に入ることが想定される。この場合には、自動運転車1は、利用者2による降車後振る舞いの設定を受け付けて、利用者2の降車の確認の後、指定された宿泊施設の専用駐車場に、自動運転モードにより移動して駐車する動作を実行し、駐車が完了するとモータ駆動部131を停止し、停止中の処理として必要な部位への給電を維持しつつ電源もオフとするようにする。宿泊の場合、自動運転車1は、基本的に翌日まで利用されることはない。したがって、宿泊にもかかわらず、当日に利用者が再乗車する場合は、利用者のなりすましやトラブルの危険性もあるため、認証はより厳重に行うようにする。例えば、必ず複数の認証用情報を組み合わせる、認証時にアラーム音などで警告を出す、再乗車者の顔画像を撮影する、呼出者の音声を録音するなど、を実施する。また、制御部101は、この無線通信部102を通じて、利用者の携帯電話端末に対して、発信して確認することで、利用者の再乗車を認証してもよい。さらに、宿泊施設に電話連絡を入れて確認し、利用者の再乗車を認証してもよい。
【0110】
宿泊施設ではなく、アミューズメントパークや動物園などのレジャー施設、ショッピングセンターやデパートなどの商業施設などの場合でも、自動運転車1の利用者2は、当該施設の専用駐車場を既定の駐車場として指定し、同様の動作を行えばよい。利用者2は、頻繁に利用するホテルなどの特定の施設があれば、その専用駐車場を既定の駐車場として登録しておくようにすればよい。
【0111】
次に、ステップS52で、設定された降車後振る舞いは「既定の駐車場への移動」ではないと判別したときには、制御部101は、設定された降車後振る舞いは「近隣の駐車場で呼ぶまで待機」であるか否か判別する(ステップS55)。このステップS55で、設定された降車後振る舞いは「近隣の駐車場で呼ぶまで待機」であると判別したときには、制御部101は、カーナビ機能部113を制御して、現在位置を中心位置とした周辺検索を行わせて、近隣の駐車場を検出する(ステップS56)。
【0112】
次に、制御部101は、現在位置検出部110で測位された現在位置の情報を取得し、その現在位置からステップS56で検出した近隣の駐車場までの経路を、カーナビ機能部113に、その経路探索機能を用いて探索させるようにする(ステップS57)。そして、制御部101は、その経路探索結果を用いて、カーナビ機能部113に、経路案内を行わせるように制御して、自動運転モードにより、自動運転車1をステップS56で検出した近隣の駐車場まで移動させるように制御する(ステップS58)。
【0113】
そして、制御部101は、目的の駐車場に駐車したら、モータ駆動部131を停止して待機状態にすると共に、無線通信部102を監視して、呼出(着信)を受信したか否か判別する(ステップS59)。この場合、目的の駐車場が満車の場合は、再度、別の駐車場を周辺検索し、検出した駐車場に移動することはもちろんである。なお、待機場所は、駐車場ではなくても、駐車できるスペースであれば、同等の役割を果たすことは言うまでもない。
【0114】
このステップS59で、呼出を受信したと判別したときには、制御部101は、呼出者認証用情報記憶部117に記憶されている携帯電話端末の電話番号と着信してきた携帯電話端末の電話番号とを照合して、呼出者の認証がOKであるか否かを判別する(
図8のステップS61)。
【0115】
ステップS61で、呼出者の認証がOKではないと判別したときには、制御部101は、呼出NGの音声メッセージを、着信してきた相手先に、無線通信部102を通じて送る(ステップS62)。そして、制御部101は、処理を
図7のステップS59に戻す。また、ステップS61で、呼出者の認証がOKであると判別したときには、制御部101は、カーナビ機能部113を、ステップS57で探索した経路を逆に辿って経路案内を行わせるように制御して、自動運転モードにより、自動運転車1を、現在位置の駐車場から元の降車位置まで移動する(ステップS63)。
【0116】
そして、制御部101は、運転席に利用者が乗車したか否かを、例えばドアセンサや、重量センサや圧力センサからなる着座センサ、ハンドルやタッチパネル112に人がタッチしたか否かを判別するタッチセンサ、カメラ群107の内の運転席の運転者を撮影するためのカメラの撮像画像、マイクロフォン135が収音した運転席の運転者の音声の有無などを監視することにより判別する(ステップS64)。このステップS64で、運転席への利用者の乗車を判別したときには、制御部101は、利用者認証用情報記憶部115に記憶されている再乗車者の認証用情報としての顔画像と、乗車した運転者をカメラで撮影して得た顔画像とを比較参照して、両者が一致しているか否かを判別することにより、再乗車者の認証がOKであるか否か判別する(ステップS65)。
【0117】
このステップS65で、再乗車者の認証がOKではないと判別したときには、制御部101は、再乗車者の認証ができないために降車を促すメッセージを、表示部111の表示画面に表示すると共に、スピーカ136を通じて放音して、再乗車者の降車を促す(ステップS67)。そして、制御部101は、ドアセンサ、着座センサ、タッチセンサ、カメラの撮像画像、マイクロフォン135の収音音声などを監視して乗車者が降車したか否かを判別し(ステップS68)、降車していないと判別したときには、処理をステップS67に戻す。また、制御部101は、ステップS68で、降車したと判別したときには、処理をステップS64に戻し、ステップS64以降の処理を繰り返す。
【0118】
なお、ステップS65で、再乗車者の認証がOKではないと判別したときには、不審者の可能性が考えられるため、制御部101は、ステップS67のように、再乗車者の降車を促すだけではなく、直近の降車者または自動運転車1の所有者の携帯電話端末に電話あるいはメールで不審者の可能性を連絡するようにしてもよい。メールでの連絡の場合は、カメラで撮影して得た再乗車者の認証のための顔画像を添付してもよい。もちろん、直近の降車者または自動運転車1の所有者が許可しない限り、自動運転車の運転操作は不可能となっている。さらに、不審者の可能性が極めて高いと判断したときは、110番通報してもよい。
【0119】
また、ステップS65で、再乗車者の認証がOKであると判別したときには、制御部101は、乗車した運転者の再乗車を許可し(ステップS66)、その後は、運転者(再乗車者)の指示に従った運転制御モードの処理ルーチンへ移行する。
【0120】
図7のステップS55で、設定された降車後振る舞いは「近隣の駐車場で呼ぶまで待機」ではないと判別したときには、制御部101は、設定された降車後振る舞いは「ここで待機」であるか否か判別する(
図9のステップS71)。このステップS71で、設定された降車後振る舞いは「ここで待機」であると判別したときには、制御部101は、モータ駆動部131を停止して自動運転車1を待機状態にすると共に、処理を
図8のステップS64に進めて、利用者の再乗車を監視し、このステップS64以降の処理を繰り返す。
【0121】
また、ステップS71で、設定された降車後振る舞いは「ここで待機」ではないと判別したときには、設定された降車後振る舞いは「地点Aに向かう」であるか否か判別する(ステップS72)。このステップS72で、設定された降車後振る舞いは「地点Aに向かう」であると判別したときには、制御部101は、現在位置検出部110で測位された現在位置の情報を取得し、その現在位置から、設定されて記憶されている地点Aまでの経路を、カーナビ機能部113に、その経路探索機能を用いて探索させるようにする(ステップS73)。そして、制御部101は、その経路探索結果を用いて、カーナビ機能部113に、経路案内を行わせるように制御して、自動運転モードにより、自動運転車1を地点Aまで移動させるように制御する(ステップS74)。
【0122】
このステップS74の次には、制御部101は、処理を
図8のステップS64に進め、地点Aでの利用者の再乗車を監視し、このステップS64以降の処理を繰り返す。
【0123】
次に、ステップS72で、設定された降車後振る舞いは「地点Aに向かう」ではないと判別したときには、制御部101は、設定された降車後振る舞いは「呼出に応じて迎えに行く」であるか否か判別する(ステップS75)。このステップS75で、設定された降車後振る舞いは「呼出に応じて迎えに行く」であると判別したときには、制御部101は、現在位置は駐車禁止であるか否か判別する(ステップS76)。駐車禁止であるか否かは、カメラ群107の内の周囲を撮影するカメラの撮像画像から、駐車禁止の標識や標示があるか否かを認識することにより判定するようにする。
【0124】
このステップS76で、駐車禁止ではないと判別したときには、制御部101は、当該現在位置で利用者からの呼出を受け付ける状態にしつつ、モータ駆動部131を停止して待機する(ステップS77)。また、ステップS76で、駐車禁止であると判別したときには、制御部101は、カーナビ機能部113を制御して、現在位置を中心位置とした周辺検索を行わせて、近隣の駐車可能場所を探索する(ステップS78)。
【0125】
そして、制御部101は、ステップS78での探索の結果、近隣の駐車可能場所があったか否か判別し(ステップS79)、あったと判別したときには、その駐車可能場所までの経路をカーナビ機能部113に探索させると共に、その経路に沿った案内をさせて、当該駐車可能場所まで、自動運転車1を自動運転モードにより移動させ、そこで、利用者からの呼出を受け付ける状態にしつつ、モータ駆動部131を停止して待機する(ステップS80)。
【0126】
ステップS79で、近隣の駐車可能場所が見つからないと判別したときには、制御部101は、利用者の降車地を中心として周辺地域の範囲で移動を継続すると共に、利用者からの呼出を待つ(ステップS81)。
【0127】
ステップS77、ステップS80またはステップS81の次には、制御部101は、利用者からの呼出を受信したか否かを監視して、呼出を待つ(
図10のステップS91)。ステップS91で、呼出を受信したと判別したときには、制御部101は、ステップS61と同様にして、呼出者の認証がOKであるか否かを判別する(ステップS92)。
【0128】
ステップS92で、呼出者の認証がOKではないと判別したときには、制御部101は、呼出NGの音声メッセージを、着信してきた相手先に、無線通信部102を通じて送る(ステップS93)。そして、制御部101は、処理をステップS91に戻す。また、ステップS92で、呼出者の認証がOKであると判別したときには、制御部101は、着信してきた相手先に、迎えに行く場所の位置情報の送信を依頼する音声メッセージを音声合成により生成して送り、これに応じて相手先から送られてきた迎えに行く場所の位置情報を取得する(ステップS94)。
【0129】
そして、制御部101は、現在位置検出部110で測位された現在位置の情報を取得し、その現在位置からステップS94で取得した迎えに行く場所までの経路を、カーナビ機能部113に、その経路探索機能を用いて探索させるようにする(ステップS95)。そして、制御部101は、その経路探索結果を用いて、カーナビ機能部113に、経路案内を行わせるように制御して、自動運転モードにより、自動運転車1をステップS94で取得した迎えに行く場所まで移動させるように制御する(ステップS96)。その後、制御部101は、処理を
図8のステップS64に進めて、利用者の再乗車を監視し、このステップS64以降の処理を繰り返す。
【0130】
次に、
図9のステップS75で、設定された降車後振る舞いは「呼出に応じて迎えに行く」ではないと判別したときには、制御部101は、設定された降車後振る舞いは「地点Bで待機」であるか否か判別する(
図11のステップS101)。このステップS101で、設定された降車後振る舞いは「地点Bで待機」であると判別したときには、制御部101は、現在位置検出部110で測位された現在位置の情報を取得し、その現在位置から、設定されて記憶されている地点Bまでの経路を、カーナビ機能部113に、その経路探索機能を用いて探索させるようにする(ステップS102)。そして、制御部101は、その経路探索結果を用いて、カーナビ機能部113に、経路案内を行わせるように制御して、自動運転モードにより、自動運転車1を地点Bまで移動させるように制御する(ステップS103)。このステップS103の次には、制御部101は、処理を
図8のステップS64に進めて、利用者の再乗車を監視し、このステップS64以降の処理を繰り返す。
【0131】
次に、ステップS101で、設定された降車後振る舞いは「地点Bで待機」ではないと判別したときには、設定された降車後振る舞いは「所定時間後に降車位置に戻る」であるか否か判別する(ステップS104)。このステップS104で、設定された降車後振る舞いは「所定時間後に降車位置に戻る」であると判別したときには、制御部101は、記憶されている所定時間を計測するための情報に基づいて、所定時間を推定する(ステップS105)。
【0132】
次に、制御部101は、降車位置(現在位置)は駐車禁止であるか否か判別する(ステップS106)。駐車禁止であるか否かは、カメラ群107の内の周囲を撮影するカメラの撮像画像から、駐車禁止の標識や標示があるか否かを認識することにより判定するようにする。ステップS106で、駐車禁止ではないと判別したときには、制御部101は、当該降車位置(現在位置)でモータ駆動部131を停止して待機する(ステップS107)。
【0133】
また、ステップS106で、駐車禁止であると判別したときには、制御部101は、ステップS105で推定した所定時間の間は、降車位置(現在位置)の周辺地域を周回するなど、移動を継続するようにする、あるいは、カーナビ機能部113を制御して、降車位置(現在位置)を中心位置とした周辺検索を行わせて、近隣の駐車可能場所を探索し、その探索の結果として検出した駐車場に移動して、ステップS105で推定した所定時間の間待機する(ステップS108)。なお、このステップS108においては、所定時間が所定の閾値例えば20分以下であれば移動を継続し、所定時間が閾値以上であれば、駐車場など駐車可能な場所を探索して、その駐車可能な場所に移動して待機するようにしてもよい。
【0134】
そして、制御部101は、ステップS108の次には、ステップS105で推定した所定時間の近傍になったか否かを監視し(ステップS109)、所定時間の近傍になったと判別したときには、カーナビ機能部113を制御して、経路案内させて降車位置に戻るようにする(ステップS110)。そして、ステップS107またはステップS110の次には、制御部101は、処理をステップS64に進めて、利用者の再乗車を監視し、このステップS64以降の処理を繰り返す。
【0135】
この「所定時間後に降車位置に戻る」が降車後振る舞いとして設定される場合のシチュエーションの例を
図14に示す。
図14の例は、自動運転車1の運転者2が尿意または便意を催して、公園などのトイレに立ち寄るシチュエーションである。この場合には、運転者2は、降車時に、マイクロフォン135に対して、例えば「トイレ」と音声入力して降車後振る舞いを設定し、自動運転車1を降車する。すると、自動運転車1の制御部101は、運転者2の音声入力「トイレ」を音声認識して、所定時間をこの例では5分と推定し、当該場所で待機する。そして、所定時間以内、あるいは、所定時間よりも許容範囲である若干長い時間内に戻ってくる運転者の再乗車の認証を行って、再乗車を許可するようにする。なお、尿意ではなく便意を催した場合は、「トイレ大」などと音声入力して、所定時間を長めに、例えば10分と推定するようにしてもよい。また、運転者2が女性の場合は、男性の場合より所定時間を長めに推定するようにしてもよい。
【0136】
また、
図15の例は、自動運転車1の運転者2が、大相撲観戦のために、例えば両国の国技館に自動運転車1で出向いた場合である。運転者2は、降車時に、マイクロフォン135に対して「大相撲観戦」と音声入力して降車後振る舞いを設定し、自動運転車1を降車する。すると、自動運転車1の制御部101は、大相撲本場所は午後6時で終了となると判断して、所定時間を推定し、例えば国技館の駐車場あるいは周辺の空きの駐車場に移動して待機し、午後6時になると、運転者2を迎えに国技館の出入口まで移動するように制御する。
【0137】
次に、ステップS104で、設定された降車後振る舞いは「所定時間後に降車位置に戻る」ではないと判別したときには、制御部101は、設定された降車後振る舞いは「所定時間後に地点Cに居る」であるか否か判別する(
図12のステップS111)。このステップS111で、設定された降車後振る舞いは「所定時間後に地点Cに居る」ではないと判別したときには、制御部101は、その他の降車後振る舞いについての処理ルーチンに移行する(ステップS112)。
【0138】
ステップS111で、設定された降車後振る舞いは「所定時間後に地点Cに居る」であると判別したときには、制御部101は、記憶されている所定時間を計測するための情報に基づいて、所定時間を推定する(ステップS113)。
【0139】
次に、制御部101は、現在位置検出部110で測位された現在位置の情報を取得し、その現在位置から、設定されて記憶されている地点Cまでの経路を、カーナビ機能部113に、その経路探索機能を用いて探索させるようにする(ステップS114)。そして、制御部101は、その経路探索結果を用いて、カーナビ機能部113に、経路案内を行わせるように制御して、自動運転モードにより、自動運転車1を地点Cまで移動させるように制御する(ステップS115)。
【0140】
次に、制御部101は、地点Cは駐車禁止であるか否か判別する(ステップS116)。駐車禁止であるか否かは、カメラ群107の内の周囲を撮影するカメラの撮像画像から、駐車禁止の標識や標示があるか否かを認識することにより判定するようにする。ステップS116で、駐車禁止ではないと判別したときには、制御部101は、当該地点Cで利用者からの呼出を受け付ける状態にしつつ、モータ駆動部131を停止して待機する(ステップS117)。
【0141】
また、ステップS116で、駐車禁止であると判別したときには、制御部101は、ステップS108と同様にして、ステップS113で推定した所定時間の間は、地点Cの周辺地域を周回するなど、移動を継続するようにする、あるいは、カーナビ機能部113を制御して、地点Cを中心位置とした周辺検索を行わせて、近隣の駐車可能場所を探索し、その探索の結果として検出した駐車場に移動して、ステップS113で推定した所定時間の間待機する(ステップS118)。
【0142】
そして、制御部101は、ステップS118の次には、ステップS113で推定した所定時間の近傍になったか否かを監視し(ステップS119)、所定時間の近傍になったと判別したときには、カーナビ機能部113を制御して、経路案内させて地点Cに移動する(ステップS120)。そして、ステップS117またはステップS120の次には、制御部101は、処理を
図8のステップS64に進めて、利用者の再乗車を監視し、このステップS64以降の処理を繰り返す。
【0143】
以上の例では、自動運転車1は、自動運転モードと手動運転モードを備えているが、S11などのように運転者のいない無人運転時は、自動運転モードのみの自律走行であり、この場合、手動/自動運転モード切替制御部105と、手動運転操作検知部123はオフ(無効)とされる。
【0144】
また、以上の例は、全て自動運転車1が個人用として使用される場合を想定したものであるが、業務用として使用される場合も勿論想定される。この業務用として想定される、降車後振る舞いとされるシチュエーションの例を
図16に示す。
図16の例の自動運転車1Aは、個人用の乗用車ではなく、A工場を所有する会社の配送用トラックの場合の例である。
【0145】
この
図16の例では、A工場で製造した商品を自動運転車1Aに積載してBセンターに運び、当該Bセンターで自動運転車1に積載している商品の一部を下ろし、その後、自動運転車1をBセンターからCセンターに移動させ、当該Cセンターで自動運転車1に積載している残りの商品の全てを下ろす。そして、Cセンターで全ての商品の荷卸しを終了したら、自動運転車1をA工場に戻すようにする。なお、自動運転車1Aには、A工場、Bセンター、Cセンターの位置情報は予め登録されて記憶されているものとする。
【0146】
図16の例では、荷卸しの作業者2A及び2Bが配送用トラックからなる自動運転車1Aに乗車して移動するようにする。この場合に、作業者2A,2Bのいずれかが運転席に乗車し、その他は助手席に乗車するようにする。なお、作業者2A,2Bのいずれかが降車時に降車後振る舞いの設定入力をするようにするが、必ずしも、作業者2A,2Bのいずれかが運転席に乗車する必要はない。この実施形態では、自動運転車1Aは、常に自動運転モードで移動するようにする。
【0147】
例えば、自動運転車1Aは、まず、作業者2A,2Bを乗車させて、車庫からA工場に移動する。A工場に到着すると、作業者2A,2Bのいずれかは、降車後振る舞いとして、「移動指示があるまで現在位置で待機し、移動指示があったら、Bセンターに移動する」を選択設定する。そして、作業者2A,2Bは、商品を自動運転車1Aに積載し、再乗車する。すると、自動運転車1Aは、作業者2A,2Bの両者あるいは一人を利用者認証し、認証がOKであると判別したら、設定された降車後振る舞いに基づいて、作業者2A,2Bのいずれかからの移動指示を待ち、移動指示がなされたと判別すると、自動運転モードによりA工場からBセンターに向かう。
【0148】
自動運転車1AがBセンターに到着すると、作業者2A,2Bのいずれかは、降車後振る舞いとして、「移動指示があるまで現在位置で待機し、移動指示があったら、Cセンターに移動する」を選択設定する。そして、作業者2A,2Bは、自動運転車1Aに積載されている商品の内、Bセンターに届けるべき一部の商品を自動運転車1Aから下ろす。その後、作業者2A,2Bは、自動運転車1Aに再乗車する。すると、自動運転車1Aは、作業者2A,2Bの両者あるいは一人を利用者認証し、認証がOKであると判別したら、設定された降車後振る舞いに基づいて、作業者2A,2Bのいずれかの移動指示に応じて自動運転モードによりBセンターからCセンターに向かう。
【0149】
自動運転車1AがCセンターに到着すると、作業者2A,2Bのいずれかは、降車後振る舞いとして、「移動指示があるまで現在位置で待機し、移動指示があったら、A工場に戻る」を選択設定する。そして、作業者2A,2Bは、自動運転車1Aに積載されている残りの商品のすべてを自動運転車1Aから下ろす。その後、作業者2A,2Bは、自動運転車1Aに再乗車する。すると、自動運転車1Aは、作業者2A,2Bの両者あるいは一人を利用者認証し、認証がOKであると判別したら、設定された降車後振る舞いに基づいて、作業者2A,2Bのいずれかの移動指示に応じてA工場に移動する。
【0150】
この例では、作業者は二人であったが、一人であっても、三人以上であってもよい。また、BセンターやCセンターで、作業者の一部または全員が入れ替わってもよいし、無人とすることもできる。もちろん、工場やセンターの数はこの例に限るものではないし、配送用トラックが複数台であってもよい。
【0151】
さらに、配送ルートや作業手順が予め決まっている場合でも、それをデフォルトで設定すると共に、当日の荷物の状況や、作業員の人数や状況、あるいは天候によって、デフォルトで設定されている降車後振る舞いを、作業員の降車時に臨機応変に変更することができる。例えば配送ルート変更や作業手順変更をすることができる。
【0152】
[実施形態の効果]
以上説明したようにして、上述の実施形態の自動運転車によれば、自動運転車に乗車中の利用者が、降車時に、降車後の自分の行動態様や行動目的に応じて臨機応変に自動運転車に指示を与えることができ、非常に便利である。例えば利用者が自動運転車に乗車して自宅に帰宅したときに、自動運転車に対して降車後振る舞いの設定をすることにより、自宅から離れている駐車場に自動運転モードにより移動させることが簡単にできる。
【0153】
また、上述の実施形態によれば、利用者は、自動運転車に再乗車する場合であっても、降車後振る舞いの設定により自動運転車を降車地以外の希望する場所に移動させるようにすることができ、利用者の行動に応じた適切な位置で再乗車することができるというメリットがある。
【0154】
また、上述の実施形態の自動運転車は、利用者が再乗車するときには、予め記憶しておいた再乗車者の認証用情報を用いて、再乗車者の認証をすることができるので、他の者に自動運転車に乗車されて利用されてしまうという事態を防止することができる。
【0155】
また、上述の実施形態の自動運転車によれば、利用者が通信手段を用いて呼び出すことが可能である。したがって、利用者は、降車地以外の任意の場所を指定して、自動運転車を呼び出すことにより、当該任意の場所から自動運転車に再乗車することができ、非常に便利である。しかも、呼出者の認証をするようにするので、権限のない他の者により、自動運転車が呼び出されて利用されてしまうという事態を防止することができる。
【0156】
また、上述したように、この発明の自動運転車は、個人の乗用車の用途だけではなく、業務用のトラックの用途として利用することが可能であるという利点もある。
【0157】
[その他の実施形態又は変形例]
上述の実施形態では、手動運転モードから自動運転モードに切り替える制御は、運転者によるタッチパネル112を通じた選択操作入力で行われ、自動運転モードから手動運転モードに切り替える制御は、タッチパネル112を通じた選択操作入力や、アクセルペダル操作、ブレーキペダル操作、シフトレバー操作またはステアリング操作で行われたが、これらの切り替える制御は自動で行うこともできる。例えば、高速道路に進入したら、それを自動運転車のカーナビやGPSで検出し、自動的に自動運転モードにし、逆に、高速道路から一般道路に出るときに、手動運転モードに切り替えることができる。自動運転可能なエリアが規定される場合は、そのエリアを走行しているか否かを自動運転車のカーナビやGPSで判別し、当該エリアを走行している場合は自動運転モード、当該エリア外を走行している場合は手動運転モードとなるよう切り替えてもよい。
【0158】
なお、手動運転モードと自動運転モードの切り替えについては、緊急対応モードがついていてもよい。自動運転モードが万一の故障があった場合に、例えば、緊急対応ボタン(図示せず)を押すことで、あるいは緊急対応用のメニューをタッチパネル112上に準備し、それをタッチ操作することで、自動運転モードが解除され、速やかに減速し、路側帯などに停車するようにする。また、手動運転中に居眠りや注意散漫で、事故を起こしそうになっていると自動運転車がカメラ画像から認識した場合、例えば、自動ブレーキ機能や、自動ステアリング操作で、事故を緊急回避する。
【0159】
また、上述の実施形態では、自動運転モードと手動運転モードの両者を備えている自動運転車を例に説明しているが、手動運転モードのない自動運転車であっても、この発明を構成できる。この場合、常に自動運転モードとなるので、手動運転モードから自動運転モードに切り替える制御や自動運転モードから手動運転モードに切り替える制御は必要がなく、手動/自動運転モード切替制御部105及び手動運転操作検知部133は不要である。その代わりに、自動運転のための制御処理を行う自動運転制御部(図示せず)が設けられる。また、手動運転に必要なアクセルペダル、ブレーキペダル、シフトレバー、ステアリング(ハンドル)などもなくてもよい。ただし、安全確保のために、ブレーキペダル(ブレーキボタン、ブレーキに対応するタッチパネル入力や音声入力などでもよい)を備え、ブレーキ操作だけは手動で対応できるようにしてもよい。また、自動運転であっても、ボタン入力、タッチパネル入力、音声入力などで、走行速度指定や走行速度調整(例えば時速5km速く/5km遅く)を手動で対応できるようにしてもよい。
【0160】
上述の実施形態では、無線通信部は、携帯電話網を利用する場合として説明したが、それに限らず、Wi-Fi(Wireless Fidelity(登録商標))やWiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)など、他の通信方式であってもよい。これらの通信方式で無線通信部が構成される場合は、携帯電話機能がなくても上述の実施形態が実現できるため、携帯電話端末は、携帯電話機能のないタブレットなどの携帯端末であってもよい。
【0161】
なお、携帯電話端末や携帯端末は、スマートフォンやタブレットに限らず、腕時計型端末、眼鏡型端末、衣服タイプの端末、指輪型端末、ノートPCなどであってもよい。
【0162】
上述の実施形態では、再乗車者の認証用情報としては、予め定めた降車者の顔画像や、パスワードやIDとしたが、利用者が再乗車者の認証用情報として、顔画像を使用するか、パスワードやIDを使用するかを選択設定することができるようにしてもよい。また、呼出者の認証用情報についても、利用者が降車時に何を使用するかを選択設定することができるようにしてもよい。
【0163】
なお、上述の実施形態では、運転者が自動運転車1から降車する場合として説明したが、乗車者は存在するが運転者が存在せずに自動運転車1が自律走行した状態から、運転者ではない乗車者が降車した場合にも、同様の処理動作を行うことができ、その場合の降車後振る舞いの設定は運転者以外の乗車者が行い、再乗車者も当該乗車者とされる。
【0164】
呼出者認証のために記憶部に記憶する呼出者の認証用情報の例としては、上述した電話番号に限られるものではなく、呼出者の顔画像などの生体情報、氏名、住所、生年月日、ID、パスワード、メールアドレスなどを、単独で、あるいは複数個を組み合わせて用いることができる。呼出者は、携帯電話端末から携帯電話網を通じて、この認証用情報を自動運転車1に送る。呼出者の顔画像は、携帯電話端末が備えるカメラで撮影したものを利用することができ、呼出者のその他の生体情報は、予め携帯電話端末のメモリに記憶したものを利用することができる。また、呼出者の顔画像などの生体情報、氏名、住所などの呼出者認証用情報は、呼出者が入力したものを利用することができるし、無線通信部102を介して、インターネットのクラウド上に記憶したものを利用することもできる。
【0165】
また、利用者認証のために記憶部に記憶する利用者の認証用情報の例としては、上述の例のような利用者の顔画像に限られるものではなく、例えば利用者の指紋、声(音声)、静脈、虹彩などの利用者のその他の生体情報を用いることもできる。また、利用者の認証用情報としては、利用者の生体情報のほか、氏名、住所、生年月日、ID、パスワード、電話番号及び/またはメールアドレスなどを、単独で、あるいは複数個を組み合わせて用いるようにしてもよい。利用者の顔画像などの生体情報、氏名、住所などの利用者認証用情報は、予め自動運転車1の利用者認証用情報記憶部115に記憶保持されたものを利用することができるだけでなく、利用者が入力したものを利用することができる。また、無線通信部102を介して、インターネットのクラウド上に記憶したものを利用することもできる。
【0166】
さらに、カーナビ用データベース134は、自動運転車1内に設置されていたが、それらのデータベースの一部または全部を、自動運転車1内ではなく、インターネットのクラウド上に設置し、無線通信部102を介して、利用することもできる。また、カーナビ機能部113、利用者認証部114、呼出者認証部116、振る舞い制御処理部120の処理ブロックの一部または全部を、自動運転車1内ではなく、無線通信部102を介して、クラウド上で処理することもできる。
【0167】
なお、上述の実施形態においては、設定した降車後振る舞いのキャンセルについては言及しなかったが、降車後振る舞い設定受付手段で受け付けられた降車後の振る舞いのキャンセルを受け付けるためのキャンセル手段を設けるようにしてもよい。ただし、その場合には、自動運転車には、キャンセルをする権利を有する者の登録を予め受け付けて記憶する登録者記憶部を備えるようにし、キャンセル手段は、キャンセルの要求をしてきた者が登録者記憶部に記憶されている登録者であるときにのみ、降車後の振る舞いのキャンセルを受け付けるようにする。
【0168】
また、上述の実施形4態の自動車は、電気自動車の場合として説明したが、ガソリン車、ハイブリッド車、燃料電池車、その他の駆動方式の自動車であってもよい。
【0169】
なお、以上の説明は四輪の自動車について説明したが、この発明の自動車は、自動二輪車、自動三輪車その他を含むものである。また、この発明の自動車は、普通自動車、軽自動車、トラックのみならず、バス、トラクター、ダンプカー、ショベルカー、フォークリフト、また、一人乗り自動車、原動機付自転車、電動車椅子などであってもよい。
【0170】
なお、この発明の自動運転車は、一時的利用が可能な自動車、例えばレンタカーとしても利用できる。利用者は、レンタカーサービスを行うレンタカー会社で、自動運転車のレンタカーを借りると、一時的な所有者(運転者)として登録される。登録される利用者は、一人でも複数人でも可能である。登録時には、利用者の顔画像、音声、指紋、虹彩などの生体情報やレンタカー会社が発行するIDやパスワードなどを利用者認証用情報記憶部へ記憶し、利用者認証用情報として利用する。また、利用者の携帯電話端末の電話番号やメールアドレス、レンタカー会社が発行するIDやパスワードなどを呼出者認証用情報記憶部へ記憶し、呼出者認証用情報として利用する。そして、利用者の観光やビジネスなどの目的に応じて、1つまたは複数の目的地(目的の場所)を経由してドライブすることができる。利用者は、各々の目的地で降車時に、降車後振る舞い設定受付手段に、「ここで待機」「湖の反対側で待機(湖を半周観光)」「遊歩道の出口で待機(遊歩道を散策)」「ホテルの駐車場で一晩待機(ホテルに宿泊)」「○○会社の駐車場に待機(○○会社で打合せ)」「レストランでランチ」など、降車後の振る舞いを画面から選択入力したり、音声で対話入力したりする。これらの降車後の振る舞いは、レンタカー会社が観光やビジネスなどの用途に応じて、準備することもできる。
【0171】
利用者は、再乗車時の認証用情報として、登録時の利用者認証用情報を用いることができ、降車時に改めて利用者の生体情報などを登録する必要はない。
【0172】
また、利用者は、レンタカーを利用している期間、乗車中も常時あるいは所定時間(例えば3分)毎にカメラで撮影された顔画像を顔認証され、正当な利用者として認められるようにしてもよい。このレンタカーを当該利用者以外が利用した場合、顔認証がされないため、盗難などのトラブルが検知され、レンタカーに搭載されている携帯電話端末機能 などの通信機能を用いて、一時的な所有者である利用者とレンタカー会社に連絡がいくようにする。また、警察に110番通報してもよい。
【0173】
利用者の当該レンタカーの利用が終了すると、利用者は降車するとともに、レンタカーとしての自動運転車に降車後振る舞い設定受付手段に「返却」と入力する。なお、レンタカーとしての自動運転車には、返却専用のボタンを設けたり、タッチパネルで返却表示をわかりやすく設けたりして、利用者が「返却」入力を簡単にできるようにして、利便性を高めることができる。レンタカーとしての自動運転車は、「返却」を受け付けると、最寄りの自分のレンタカー会社の駐車場を返却用の場所として検索して、無人で自律走行(自動運転)して移動する。または、レンタカーとしての自動運転車は、予め指定された返却用の場所に無人で自律走行(自動運転)して移動する。レンタカー料金は、利用終了時点もしくは移動終了後に使用した電気料金(ガソリン車の場合はガソリン代)を含めて計算され、利用者がレンタル時に登録したクレジットカードやデビットカードなどで決済される。レンタカーが電子マネー決済機能を搭載していれば、電子マネーで決済する(支払う)こともできるし、プリペイドカード決済機能を搭載していれば、プリペイドカードで決済する(支払う)こともできる。また、時間レンタル、1日レンタル、複数日レンタルなどで、レンタル時の前払いであってもよい。また、ETC(Electronic Toll Collection System)カードを利用することもできる。なお、返却後は、一時的な所有者としての利用者の利用者認証用情報及び呼出者認証用情報はリセット(抹消)され、利用者の再乗車は認められない。
【0174】
レンタカーは、一般に空港や駅の周辺にあるレンタカー会社まで行かないと返却できないが、この発明の自動運転車のレンタカーであれば、利用者の都合のよい時間に、どこでも乗り捨てが可能であり、非常に便利である。例えば、列車や飛行機の出発時間が迫っている場合、レンタカー会社に行かなくても、駅や空港の入口(ロータリー)で降車し、列車に飛び乗ったり、飛行機にチェックインしたりできる。当該レンタカーは、降車後振る舞いを「返却」とすれば、無人で自律走行(自動運転)して、最寄りのレンタカー会社の駐車場など、所定の返却用の場所に戻る。
【0175】
なお、この発明の自動運転車のレンタカーは、駅や空港の付近一帯に、自律走行(自動運転)専用道路や専用レーンが整備され、その整備区域内に返却用の場所があれば、利用者が当該レンタカーを返却のため降車した後、当該返却用の場所まで、無人の自律走行(自動運転)で極めてスムーズに移動し、容易に返却が完了できる。
【0176】
もちろん、この発明の自動運転車のレンタカーは、自動運転モードと手動運転モードの両者を備えている自動運転車でもよいし、手動運転モードのない自動運転車でもよい。
【0177】
また、この発明は、カーシェアリングにも適用できる。カーシェアリングでは、自動運転車を共同利用する会員を、当該自動運転車(シェアカー)の利用者として登録する。登録時には、会員の顔画像、音声、指紋、虹彩などの生体情報やカーシェアリング会社が発行するIDやパスワードなどを利用者認証用情報記憶部へ記憶し、利用者認証用情報として利用する。また、会員の携帯電話端末の電話番号やメールアドレス、カーシェアリング会社が発行するIDやパスワードなどを呼出者認証用情報記憶部へ記憶し、呼出者認証用情報として利用する。会員は、シェアカーの実際の利用時に、一時的専有利用者として、登録されている利用者認証用情報及び呼出者認証用情報が当該シェアカーで専有利用できるようになり、自由に当該シェアカーを利用できる。自分の所有する車でなくても、降車後の振る舞いを自分の利用目的に応じて臨機応変に設定できるので、自分の所有する車のように扱え、非常に有用である。
【0178】
会員である利用者の当該シェアカーの利用が終了すると、利用者は降車するとともに、当該シェアカーに降車後振る舞い設定受付手段に「利用終了」または単に「終了」と入力する。なお、シェアカーとしての自動運転車には、(利用)終了専用のボタンを設けたり、タッチパネルで(利用)終了表示をわかりやすく設けたりして、利用者が「(利用)終了」入力を簡単にできるようにして、利便性を高めることができる。シェアカーとしての自動運転車は、「(利用)終了」を受け付けると、シェアカーの所定の駐車場、または次の利用者の呼出の場所に無人で自律走行(自動運転)して移動する。なお、利用終了後は、利用者の一時的専有利用者としての利用者認証用情報及び呼出者認証用情報はリセット(抹消)され、利用者の再乗車は認められない。再乗車を希望する場合は、改めてシェアカーの利用申込みをする。
【0179】
さらに、この発明は、タクシー会社やハイヤーサービス会社が提供する、無人で自律走行(自動運転)するタクシーやハイヤーにも適用できる。当該タクシーやハイヤーは、手動運転モードがないか、手動運転モードがあっても、自動運転モードからの切り替えは利用者には不可能となっている。当該タクシーやハイヤーは、利用者の乗車時に、利用者の生体情報などの個人情報を入力させたり、ワンタイムパスワードを発行したりして、利用者認証用情報及び呼出者認証用情報として、所定の記憶部に記憶する。降車時には、利用者が、降車後振る舞い設定受付手段に、降車後の振る舞いを入力できる。呼出時や再乗車時は、利用者が乗車時に記憶された利用者認証用情報及び呼出者認証用情報が、認証のために利用される。利用者は、自分の予定に合わせて途中下車できるため、非常に便利である。当該タクシーやハイヤーの利用を終了するときは、降車するとともに、降車後振る舞い設定受付手段に「利用終了」または単に「終了」と入力する。なお、当該タクシーやハイヤーには、(利用)終了専用のボタンを設けたり、タッチパネルで(利用)終了表示をわかりやすく設けたりして、利用者が「(利用)終了」入力を簡単にできるようにして、利便性を高めることができる。当該タクシーやハイヤーは「(利用)終了」を受け付けると、最寄りの自分のタクシー会社やハイヤーサービス会社の駐車場を利用終了時の場所として検索して、無人で自律走行(自動運転)して移動する。または、当該タクシーやハイヤーは、予め指定された次の乗客(利用者)の待っている場所に、無人で自律走行(自動運転)して移動する。なお、当該タクシーは、最寄りのタクシー乗車場所を、また、当該ハイヤーは、最寄りのハイヤー乗車場所を利用終了時の場所として検索して、無人で自律走行(自動運転)して移動し、次の乗客(利用者)の乗車を待ってもよい。
【0180】
タクシーやハイヤーが電子マネー決済機能やプリペイドカード決済機能を搭載していれば、利用者は、降車時に、電子マネーやプリペイドカードで利用料金(乗車料金)を支払うことができる。また、タクシーやハイヤーがクレジットカードやデビットカードのリーダーを搭載していれば、利用者が乗車時に、利用者のクレジットカード番号やデビットカード番号を登録することで、降車後、自動的にクレジットカードやデビットカードから利用料金(乗車料金)を決済する(支払う)ことができる。また、所定時間利用毎の固定料金(例えば10分以内1000円)や所定距離利用毎の固定料金(例えば1km以内1000円)などで、乗車時の前払いであってもよい。前払いは、電子マネーやプリペイドカードで行ってもよいし、現金収納機を搭載し現金支払いを可能にできる。現金支払いの場合は、簡単のためにお釣りは不可としてもよいし、コインのみ(例えば五百円硬貨のみ)しか受け付けないようにしてもよい。また、ETCカードを利用することもできる。なお、利用終了(決済完了)後は、利用者の利用者認証用情報及び呼出者認証用情報はリセット(抹消)され、利用者の再乗車は認められない。
【0181】
なお、この発明の自動運転車のタクシーやハイヤーは、オリンピックやサッカーのワールドカップの競技会場や選手村などの施設のある区域一帯、また、アミューズメントパークなどの大型施設の敷地内に、自律走行(自動運転)専用道路や専用レーンが整備されていれば、その整備区域内で自由に乗客(利用者)を降ろし、利用終了後は、整備区域内にあるタクシーまたはハイヤーの乗車場所まで、無人の自律走行(自動運転)で極めてスムーズに移動し、効率よく次の乗客を待つことができる。
【0182】
また、上述の整備区域内に、整備区域内移動専用の自動運転車を多数配備し、利用者が有料または無料で、空いていればいつでもどこでも自由に利用するようにする新しいサービスも可能である。このサービスは、整備区域内であれば、利用者は移動手段の心配をすることがないので、大変便利である。この場合、一人乗り車両や二人乗り車両など、超小型車両だと、スペース効率の観点から非常に有用な移動手段かつ輸送手段となる。
【符号の説明】
【0183】
1 自動運転車
2 利用者
10 電子制御回路部
107 カメラ群
108 センサ群
110 現在位置検出部
111 表示部
112 タッチパネル
113 カーナビ機能部
114 利用者認証部
115 利用者認証用情報記憶部
116 呼出者認証部
117 呼出者認証用情報記憶部
118 降車後振る舞い設定受付部
119 降車後振る舞い記憶部
120 振る舞い制御処理部
121 タイマー回路
122 音声入出力部
135 マイクロフォン
136 スピーカ