(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-04
(45)【発行日】2022-03-14
(54)【発明の名称】即時決済システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/08 20120101AFI20220307BHJP
【FI】
G06Q20/08
(21)【出願番号】P 2021031591
(22)【出願日】2021-03-01
【審査請求日】2021-03-01
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517013531
【氏名又は名称】株式会社ゼロプラス
(74)【代理人】
【識別番号】100151208
【氏名又は名称】植田 吉伸
(72)【発明者】
【氏名】大場 正樹
【審査官】大野 朋也
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-245382(JP,A)
【文献】特開2006-243821(JP,A)
【文献】特開2005-302047(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0260806(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品の注文を行う発注
者からの注文に基づいて、前記商品を納品するとともに前記商品に対応する検収用コードを前記発注者に送付する
即時決済システムであって、
前記発注者が前記商品について検収済みであることを登録するための検収登録部と、
納品された前記商品が検収され、
前記発注者が携帯端末を用いて前記検収登録部にアクセスするためのアクセス情報が記載されたコードである前記検収用コードに基づいて前記商品について検収済みであることが登録された際に、前記商品の購入代金
を受注者に即時に支払う支払い部と、
前記商品が納品されてから前記検収済みであることが登録される間での経過時間に基づいて、前記経過時間が短くなると前記発注者の評価が高くなるように評価を行う発注者評価部と、
を備えることを特徴とする即時決済システム。
【請求項2】
請求項
1に記載の即時決済システムにおいて、
前記
検収用コードは、納品された前記商品とともに同封される請求書に表示されていることを特徴とする即時決済システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、即時決済システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、企業間において、商取引が行われている。商取引において、発注者である企業が、例えば、部品を注文した場合に、受注者である企業が、当該部品を製造した後に発注者に納品する。
【0003】
本発明に関連する技術として、例えば、特許文献1には、販売者のサーバと購入者の情報機器とが通信ネットワークを介して接続され商品、サービス及び情報等を購入できるオンラインショッピングにおいて、通信ネットワークに決済機関のサーバが接続されていて、購入者の情報機器は、販売者のサーバの販売情報を検索し、必要な商品、サービス及び情報等の購入情報を作成し、その購入情報を決済機関に対して、その購入に対する決済承認と注文代行を依頼する目的で送信し、決済機関のサーバは、購入者が送信した購入情報を受信し、あらかじめ用意してある購入者の信用度の情報を参照し、購入の可能な場合にのみ、販売者のサーバに対して注文情報を送信する手段を備えたことを特徴とする注文決済システムが開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、買い手による商品或いはサービスの、代金指定決済日を含む注文に対して、売り手は前記注文データと自己のデータベースとを照合して買い手の本人確認を行うと共に通信手段にて買い手の口座残高を確認するための決済照会要求を該金融機関に送り、該決済照会要求を受け取った金融機関は、該決済照会要求に基づいて買い手の口座残高を確認し、買い手が支払い可能である事の確認後、買い手が決済可能であることを認証する決済認証データを売り手に返送し、該決済認証データを受け取った売り手は、商品或いはサービスを買い手に提供し、金融機関は買い手の口座から指定決済日に当該代金を商品或いはサービスを販売した売り手の口座に電子的に振り替えることを特徴とする単層型の期日指定型代金決済方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2002-63532号公報
【文献】特開2003-203190号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、受注者が製造した商品を発注者に納品した際に、納品書を同封するとともに、発注者が検収を行っている。企業の事業規模が大きいほど、取引も多く、一般的に、一ヶ月単位で見た場合に、複数の企業との間で多数の受発注がなされている。
【0007】
取引毎に請求書を発行して、都度、銀行などの金融機関を通じて振り込みを行うとなると経理部門の負担が大きくなる。このような課題に鑑み、近年の商取引においては、一ヶ月単位で、月末にまとめた請求書を発行し、翌月の末日あるいは翌々月の末日などに支払いが実行されるのが商慣習になっている。
【0008】
しかしながら、売掛金を得ても実際に現金が手に入るのが翌々月などのように先になると、その間に従業員への給与を含む必要経費の支払いなどによって資金繰りが圧迫されることがあるため、支払いサイクルを短くすることが望まれている。
【0009】
本発明の目的は、発注者の経理処理の手間を削減しつつ、受注者に対して必要な費用が迅速に支払われることを可能とする即時決済システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る即時決済システムは、商品の注文を行う発注者からの注文に基づいて、前記商品を納品するとともに前記商品に対応する検収用コードを前記発注者に送付する即時決済システムであって、前記発注者が前記商品について検収済みであることを登録するための検収登録部と、納品された前記商品が検収され、前記発注者が携帯端末を用いて前記検収登録部にアクセスするためのアクセス情報が記載されたコードである前記検収用コードに基づいて前記商品について検収済みであることが登録された際に、前記商品の購入代金を受注者に即時に支払う支払い部と、前記商品が納品されてから前記検収済みであることが登録される間での経過時間に基づいて、前記経過時間が短くなると前記発注者の評価が高くなるように評価を行う発注者評価部と、を備えることを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る即時決済システムにおいて、前記検収用コードは、納品された前記商品とともに同封される請求書に表示されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、発注者側の経理処理の手間を削減しつつ、受注者に対して必要な費用が迅速に支払われる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係る実施形態の即時決済システムを示す図である。
【
図2】本発明に係る実施形態の即時決済システムにおいて、即時決済を行う手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明に係る実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。以下では、全ての図面において同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、本文中の説明においては、必要に応じそれ以前に述べた符号を用いるものとする。
【0017】
図1は、本発明に係る実施形態の即時決済システム10を示す図である。
図2は、本発明に係る実施形態の即時決済システム10において、即時決済を行う手順を示すフローチャートである。
【0018】
即時決済システム10は、発注者4からの注文に応じて、受注者6が納品した場合に迅速に決済を行うことを可能とするシステムである。即時決済システム10は、サーバ装置11を備えている。
【0019】
サーバ装置11は、ネットワーク2を介して、発注者4、受注者6及び決済者8と接続されている。サーバ装置11は、発注処理部12と、受注処理部14と、納品登録部15と、検収登録部16と、発注者評価部18と、支払い部20と、記憶部22とを備えている。
【0020】
発注者4は、商品の注文を行う企業などの組織又は個人である。発注者4は、パーソナルコンピュータ等の端末を通じてサーバ装置11と接続されている。例えば、発注者4が自動車などを作る製造業の場合に、自動車を構成する部品を製造する企業に対して当該部品を注文する。
【0021】
受注者6は、発注者4からの商品を受注し、当該商品を製造する企業などの組織又は個人である。受注者6は、パーソナルコンピュータ等の端末を通じてサーバ装置11と接続されている。例えば、発注者4が自動車などを作る製造業の場合に、受注者6は、自動車を構成する部品を製造する企業である。
【0022】
受注者6は、発注者4からの注文に基づいて、商品を納品するとともに商品に対応する検収用コードを発注者4に送付する。また、受注者6は、当該商品を納品完了した旨の情報をサーバ装置11に送信する。
【0023】
検収とは、商取引において、発注者4が受注者6によって納品された商品(品物)が発注した通りの数量あるいは仕様で間違いないことを確かめ、その上で商品を受け取る作業である。ここでは、発注者4が検収用コードを用いて、納品された商品の検収を終えたことを登録する必要がある。
【0024】
ここで検収用コードは、受注者6から発注者4に商品が届けられたときに付随して納品書件請求書に記載されている。納品書は、いつ商品が届いたのかなどを確認するための書類である。請求書は、納品された個数や金額などの明細が記載された債権書となる。納品書件請求書は、上記納品書と請求書とを兼ね備えた書類である。
【0025】
検収用コードは、検収登録部16を用いて検収を行った旨を登録するためのアクセス情報が記載された二次元コードであるものとして説明するが、もちろん、一次元コードであってもよい。アクセス情報は、例えば、発注者4がパーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末などを用いて、WebサイトのURLなどを含む情報であってもよい。
【0026】
決済者8は、発注者4が受注者6に注文した商品の費用を支払う組織又は個人である。受注者6は、パーソナルコンピュータ等の端末を通じてサーバ装置11と接続されている。
【0027】
決済者8は、発注者4から予め預かった預り金の中から受注者6の銀行口座などに振り込むものとして説明するが、発注者4の肩代わりで受注者6に振り込みを行った後、所定の手数料を加算した費用を発注者4から回収するものとしてもよい。
【0028】
発注処理部12は、発注者4から商品の注文があった場合に、指定された商品に関する情報と、当該商品の必要個数などの情報を取得し、受注者6から取得した納期を発注者4に送信する機能を有する。
【0029】
受注処理部14は、発注者4から注文に基づいて、注文された商品及び個数など受注者6に送信し、商品の納期を受注者6から取得する機能する。
【0030】
納品登録部15は、発注者4から注文された商品について受注者6が納品したことを登録する。具体的には、受注者6は、タブレット端末などを用いて、商品の納品が完了した旨の登録を行う。
【0031】
検収登録部16は、発注者4から注文された商品が受注者6によって納品され、納品された商品の検収を発注者4が終えたことを登録する。具体的には、発注者4は、タブレット端末などを用いて、納品書件請求書に記載された検収用コードを読み取って検収登録部16にアクセスし、「検収済み」であることを登録する。
【0032】
発注者評価部18は、受注者6によって商品が発注者4に納品されてから検収登録部16の機能により検収済みであることが登録される間での経過時間に基づいて、発注者4の評価を行う機能を有する。例えば、納品された日に検収済みである旨が登録された場合と、納品されてから1週間経過した後に検収済みである旨が登録された場合とでは、当日に検収された方が1週間経過後に検収したよりも評価が高くなる。この評価は、受注者6が発注者4と商取引を行う上での参考にすることが出来る。
【0033】
支払い部20は、納品された商品が検収され、検収用コードに基づいて商品について検収済みであることが登録された際に、商品の購入代金を受注者6に即時に支払う機能を有する。具体的には、支払い部20は、検収登録部16により検収済みであることが登録された際に、検収済みの商品を納品した受注者6の金融機関の口座に商品の購入代金の費用を振り込む手続きを行う。
【0034】
記憶部22は、発注者4、受注者6及び決済者8に関する情報を記録する機能を有する。また、検収登録部16及び発注者評価部18によって検収済みがなされ、評価された数値などを記録する。
【0035】
即時決済システム10において、記憶部22以外の各機能は、ハードウェア構成、ソフトウェア構成の何れによっても実現することが可能である。例えば、ソフトウェアによって実現する場合、これらの機能は、実際にはCPUあるいはMPU、RAM、ROMなどを備えて構成されたサーバ装置上において、RAMやROM、ハードディスク等の記録媒体に記憶された即時決済プログラム(アプリケーションソフトウェア)が動作することによって実現することができる。
【0036】
続いて、上記即時決済システム10の作用について説明する。従来、商品の受発注を行う商取引において、受注者が製造した商品を発注者に納品した際に、納品書を同封するとともに、発注者が検収を行っている。
【0037】
企業規模が大きいほど取引が多く、一般的に、一ヶ月単位で見た場合に、複数の企業との間で多数の受発注がなされている。取引毎に請求書を発行して、都度、銀行などの金融機関を通じて振り込みを行うとなると経理部門の負担が大きくなる。
【0038】
近年の商取引においては、一ヶ月単位で、月末にまとめた請求書を発行し、翌月の末日あるいは翌々月の末日などに支払いが実行されるのが商慣習になっているが、支払日までの間に資金繰りが苦しくなる虞がある。このような課題に対して、即時決済システム10は顕著な効果を発揮する。
【0039】
最初に、即時決済プログラムが起動されると、発注者4からの注文があったか否かを判断する(S2)。S2の工程において、注文がないと判断された場合には、再び、S2の工程へと戻る。
【0040】
S2の工程において、発注者4からの注文があったと判断した場合には、受注者6に対して注文情報を添付し、その後、受注者6からの納品があったか否かを判断する(S4)。S4の工程において、納品がないと判断された場合には、再び、S4の工程へと戻る。
【0041】
S4の工程において納品があると判断された場合には、発注者4が商品の検収を行ったか否かを判断する(S6)。S6の工程において、検収がなされていないと判断された場合には、再び、S6の工程へと戻る。
【0042】
S6の工程において、納品された商品に対して、検収がなされたと判断された場合には、当該商品を納入した受注者6の金融機関の口座に商品購入代金が支払われる(S8)。
【0043】
S8の工程の後は、商品が納品されたときから検収が終えた経過時間に応じて、発注者4の評価を決定する(S10)。S10の工程の後は、END処理へと進む。
【0044】
本発明によれば、発注者4からの注文に応じて、受注者6が商品を製造して納品を完了し、この納品の際に同封する納品書件請求書に記載された検収用コードを用いて発注者4が検収を終えたことを登録した際に、即時に受注者6に対して購入代金が振り込まれる。
【0045】
したがって、受注者6は、一ヶ月単位でまとめて請求書の発行をする必要はなく、また、発注者4も複数の商品が入り混じった請求書を精査する必要がないため、不要に経理部門の人数を増やす必要がない。
【0046】
また、受注者6も従来のように商品の納品から1~2ヶ月後に入金があるといったタイムラグがなく、すぐに商品代金が振り込まれるため、この売上を従業員の給与や必要経費の支払いをすることができ、資金繰りを安定させることが出来るという顕著な効果を奏する。
【0047】
即時決済システム10によれば、検収を終えた商品と、費用の支払いを一対一で対応させることができるため、様々な利点がある。
【0048】
従来のように、例えば、50枚の請求書(総額1000万円)に対して、一ヶ月単位でまとめて費用の支払いを行われた場合、例えば、銀行振り込みで「999万9500円 株式会社〇〇」という記載があった場合に、500円の差額が生じているが、この差額が、どの請求書に対して発生したものであるのか不明であり、この差額の原因を突き止めるために会社の総務や経理などの関係者が重大な労力をかける必要があった。
【0049】
しかしながら、即時決済システム10によれば、検収を終えた商品と費用の支払いが一対一で対応しているため、例えば、ある商品がある日に100個納品したにもかかわらず、99個しか検収されておらず、99個分の費用しか振り込まれていなかった場合には、その日に行き違いなどが生じていたことが、後から容易に調べることができる。
【0050】
また、即時決済システム10によれば、お金の支払いに対して、様々な情報を付加した状態で記録することができ、お金に紐づいた情報を管理することで会計処理に用いることもできるため、経理業務などの工数を大幅に削減することができるという効果を奏する。
【0051】
なお、即時決済システム10によれば、納品された商品が検収された場合に即時決済されるものとして説明したが、システムを利用する者は、必ずしも即時決済を選択する必要はなく、従来通り、例えば、一ヶ月単位で支払金額を清算して、翌月の末日あるいは翌々月の末日などに支払いが実行されるような決済手段を選択するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0052】
2 ネットワーク、4 発注者、6 受注者、8 決済者、10 即時決済システム、11 サーバ装置、12 発注処理部、14 受注処理部、15 納品登録部、16 検収登録部、18 発注者評価部、20 支払い部、22 記憶部。
【要約】
【課題】発注者の経理処理の手間を削減しつつ、受注者に対して必要な費用が迅速に支払われることを可能とする即時決済システムを提供することである。
【解決手段】即時決済システム10は、商品の注文を行う発注者4と、発注者4からの注文に基づいて、商品を納品するとともに商品に対応する検収用コードを発注者4に送付する受注者6と、納品された商品が検収され、検収用コードに基づいて商品について検収済みであることが登録された際に、商品の購入代金を受注者6に即時に支払う支払い部20と、を備える。
【選択図】
図1