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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-04
(45)【発行日】2022-03-14
(54)【発明の名称】棚
(51)【国際特許分類】
   A47B 96/02 20060101AFI20220307BHJP
   A47B 57/04 20060101ALI20220307BHJP
   A47B 96/06 20060101ALI20220307BHJP
   A47F 5/08 20060101ALI20220307BHJP
【FI】
A47B96/02 C
A47B57/04 B
A47B96/02 G
A47B96/06 K
A47F5/08 B
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2017071429
(22)【出願日】2017-03-31
(65)【公開番号】P2018171272
(43)【公開日】2018-11-08
【審査請求日】2020-02-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000104973
【氏名又は名称】クリナップ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120400
【弁理士】
【氏名又は名称】飛田 高介
(74)【代理人】
【識別番号】100124110
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 大介
(74)【代理人】
【識別番号】110000349
【氏名又は名称】特許業務法人 アクア特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】間辺 慎一郎
【審査官】油原 博
(56)【参考文献】
【文献】英国特許出願公告第00865101(GB,A)
【文献】特開2001-269227(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 57/04、57/42、96/02、96/06
A47F 5/00、5/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面に取り付けられる棚であって、
前記壁面に固定される2つ以上のブラケットと、
前記ブラケットに着脱可能に取り付けられる棚板とを有し、
前記棚板には該棚板の壁側の端部から垂直方向に離間した位置で支持された保持部材が設けられていて、
前記ブラケットは、
前記ブラケットの下部から、壁から離れる方向である手前側に延長されて前記棚板を下から当接して支持する支持部と、
前記支持部より壁側に配置されていて、高さが異なる複数の係合部とを備え、
前記保持部材を係合させる係合部を高さが異なる係合部に変えることにより、前記棚板は複数の異なる角度で前記ブラケットに取り付け可能であることを特徴とする棚。
【請求項2】
前記棚板の前端には、前記保持部材とは逆方向に突出するリブが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の棚。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁面に取り付けられる棚に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、支柱などを含む壁面には、各種物品を収納あるいは陳列するために、備え付けの棚が設けられている。このような棚としては、壁面に対する棚板の角度を切り替えられるものが知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1には、左右に立設した支柱と、支柱に取り付けられる支持ブラケットと、支持ブラケットに支持される棚板とを備えた棚板の支持構造が開示されている。この構造では、支柱の前面に設けられた係止孔に、支持ブラケットの後端部に形成されたフックを係止している。さらにこの構造では、支持ブラケットの後端縁下部に角度調整部材を回転可能に装着し、この角度調整部材を回転させることで、支持ブラケットの後端縁と支柱の前面との間の距離を変化させ、支持ブラケットの支柱に対する傾斜角度を調整している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-87794号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし特許文献1に記載の構造では、傾斜角度を調整するためには、支持ブラケットとは別部品である角度調整部材を支持ブラケットに回転可能に装着する作業、さらには角度調整部材を回転させる作業も必要となり、また、それらの作業も容易ではない。さらに、角度調整部材の機構が露出するため、外観上も無骨な印象を与えてしまう。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑み、壁面に対する棚板の角度を容易に切り替えることができ、利便性を向上できると共に、簡潔な外観で美観を向上させた棚を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明にかかる棚の代表的な構成は、壁面に取り付けられる棚であって、壁面に固定される2つ以上のブラケットと、ブラケットに着脱可能に取り付けられる棚板とを有し、棚板には該棚板の壁側の端部から垂直方向に離間した位置で支持された保持部材が設けられていて、ブラケットは、ブラケットの下部から、壁から離れる方向である手前側に延長されて棚板を下から支持する支持部と、支持部より壁側に配置されていて、保持部材と係合する複数の係合部とを備え、保持部材を係合させる係合部を変えることにより、棚板は複数の異なる角度でブラケットに取り付け可能であることを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、棚板はブラケットの支持部と係合部の2点によって支持(保持)される。これにより、棚板をブラケットに安定して支持可能であると共に、着脱容易である。そして係合部が複数設けられていることから、保持部材を係合させる係合部を異ならせるだけで、棚板の角度を容易に切り替えることができ、利便性を向上できる。また、機械的な角度調整機構がないため、簡潔な外観で高い美観を備えることができる。
【0009】
上記の保持部材は、棒状の部材であり、係合部は、保持部材を係止する爪状の部位であるとよい。このように、保持部材が棒状であるので、係合部に対する向きがない(任意の角度で係合可能である)。このため、保持部材が設けられた棚板を左右反転しても、保持部材は、爪状の部位である係合部と確実に係合できる。よって、棚板は、左右反転してもブラケットに安定して取り付け可能となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、壁面に対する棚板の角度を容易に切り替えることができ、利便性を向上できると共に、簡潔な外観で美観を向上させた棚を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態における棚を示す図である。
図2】棚板を拡大して示す図である。
図3】ブラケットを拡大して示す図である。
図4図1の棚とは棚板の置き方を変えたスタイルの棚を示す図である。
図5図1の棚とは棚板の置き方を変えた他のスタイルの棚を示す図である。
図6】本発明の変形例における棚を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0013】
図1は、本発明の実施形態における棚100を示す図である。棚100は、例えば浴室の壁面102などに取付けられ、各種物品を収納あるいは陳列するために用いられる。棚100は、壁面102に固定される2つのブラケット104と、ブラケット104に着脱可能に取り付けられる棚板106とを有する。なお棚100が取付けられる壁面102は、ブラケット104に対応する位置に立設された支柱であってもよい。
【0014】
図2は、棚板106を拡大して示す図である。棚板106には、その側端108、110に沿って左右一対の2つのサイドキャップ112、114が取付けられている。また棚板106の上面116のうち、壁面102から離れる方向である手前側の端には、リブ118が形成されている。リブ118は、棚板106の上面116から上方に突出していて、棚板106に収納あるいは陳列された各種物品が手前側から転落することを防止する。
【0015】
さらに棚板106には、サイドキャップ112、114を介して、ブラケット104に対して棚板106を保持するための保持部材である棒状のパイプ120が取付けられている。なお以下では、サイドキャップ114については説明を適宜省略するが、サイドキャップ112と左右対称の構造を有していて機能等も同様である。

【0016】
サイドキャップ112には、傾斜部122が設けられている。傾斜部122は、棚板106の壁側の端124から棚板106に対して下方に傾斜していて、その先端付近でパイプ120を支持している。このようにして、パイプ120は、棚板106の壁側の端124から下方に離間した状態で、図示のように、サイドキャップ112、114間に掛け渡されている。
【0017】
図3は、ブラケット104を拡大して示す図である。ブラケット104は、本体部126と、支持部128と、複数(ここでは2つ)の係合部130、132とを備える。支持部128は、本体部126の下部134から手前側に向かって上方に傾斜するように延びる部位である。
【0018】
係合部130は、本体部126の手前側の縦壁140に形成され、図1に示すようにパイプ120を挟み込むことで、パイプ120と係合可能な爪状の部位である。係合部132は、本体部126の上部142に形成され、上部142から上方に突出していて、パイプ120を引っ掛けるなどして(図5参照)、パイプ120と係合可能な爪状の部位である。
【0019】
また棒状であるパイプ120は、爪状の係合部130、132に対する向きがないため、棚板106を左右反転した場合であっても(図4参照)、係合部130、132と確実に係合できる。なお係合部130、132いずれも、支持部128より壁側に配置されている。
【0020】
図1に示す棚100では、棚板106が支持部128の先端部138により下から支持され、サイドキャップ112、114を介して棚板106に取り付けられたパイプ120が係合部130と係合している。つまり、棚100では、棚板106がブラケット104の支持部128と係合部130の2点によって支持(保持)されているため、棚板106をブラケット104に安定して支持可能であると共に、着脱容易である。
【0021】
さらに棚100では、ブラケット104により2点支持された棚板106がブラケット104に水平に支持されている。したがって棚100では、棚板106に各種物品を安定して収納あるいは陳列できる(以下、フラットスタイルと称する)。
【0022】
図4は、図1の棚100とは棚板106の置き方を変えたスタイルの棚100Aを示す図である。棚100Aでは、図示のように、棚板106を左右反転させた状態でブラケット104に取り付けている。
【0023】
棚100Aでは、棚板106に設けられたサイドキャップ114の傾斜部122に支持された棒状のパイプ120が、ブラケット104の係合部130と係合している。さらに棚100Aでは、棚板106の上面116が支持部128の先端部138によって下から支持されている。つまり、棚100Aでは、左右反転した棚板106であってもブラケット104の支持部128と係合部130とによって支持されているため、棚板106をブラケットに安定して取り付け可能であると共に、着脱容易である。
【0024】
さらに棚100Aでは、棚板106の下面144を上側にしてさらにパイプ120が下側に位置するように棚板106をブラケット104に取り付けることで、棚板106が手前側に向かって上方に傾斜した状態となっている。棚100Aは、この状態でパイプ120を用いて各種物品を収納でき、さらにパイプ120が棚板106の下面144から離間しているため水切りを行うことができる(以下、水切りスタイルと称する)。
【0025】
図5は、図1の棚100とは棚板106の置き方を変えた他のスタイルの棚100Bを示す図である。棚100Bでは、棚板106に設けられたサイドキャップ112の傾斜部122に支持された棒状のパイプ120が、ブラケット104の係合部132と係合し、さらに棚板106の下面144が支持部128の先端部138(図3参照)によって下から支持されている。
【0026】
このように棚100Bでは、棚板106がブラケット104の支持部128と係合部132の2点によって支持されることで、図示のように、棚板106が手前側に向かって下方に傾斜した状態でブラケット104に支持可能となる。このため、棚100Bは、棚板106をブラケットに安定して取り付け可能であると共に、着脱容易である。
【0027】
さらに棚100Bでは、棚板106の手前側の端に設けられたリブ118が棚板106の下縁となるため、各種物品を斜めに収納あるいは陳列することができる(以下、ディスプレイスタイルと称する)。
【0028】
上記説明したように、本実施形態によれば、棚板106を支持する支持部128と複数設けられた係合部130、132のうち、パイプ120を係合させる係合部130、132を異ならせるだけで、棚板106の角度を容易に切り替えることができ、利便性を向上できる。さらに、機械的な角度調整機構がないため、簡潔な外観で高い美観を備えた棚100、100A、100Bを得ることができる。
【0029】
上記ブラケット104では、2つの係合部130、132を設けるようにしたが、これに限られず、縦壁140などにさらに他の係合部を設けることで、壁面102に対する棚板106の角度をさらに細かく設定できるようにしてもよい。
【0030】
図6は、本発明の変形例における棚200を示す図である。図6(a)はフラットスタイルを示す図、図6(b)はディスプレイスタイルを示す図である。図6(a)に示すように、棚200は、壁面202に固定されたブラケット204と、ブラケット204に着脱可能に取り付けられる棚板206とを有している。
【0031】
棚板206には、その側端に沿って取付けられたサイドキャップ208を介して、棒状のパイプ210が取付けられている。サイドキャップ208には、パイプ210を支持する脚部212が設けられている。脚部212は、棚板206から下方に向かって垂直に延びている。
【0032】
ブラケット204は、その下部214から手前側に向かって上方に傾斜するように延びる支持部216と、下部214と上部218とをつなぐ縦壁220とを有する。上部218は、棚板206の壁側の端222を上から支持する係合部として機能する。また上部218の先端には、手前側に向かって上方に傾斜するように伸びる係合部228が設けられている。
【0033】
そして図6(a)に示すように、棚板206の下面224を支持部216の先端部226により下から支持して、棚板206の壁側の端222を上部218に係合することにより、棚板206が水平に支持される(フラットスタイル)。
【0034】
さらに図6(b)に示すように、棚板206を支持部216で支持しつつ、パイプ210を係合部228によって支持することによって、棚板206が手前側に向かって下方に傾斜した状態でブラケット204に支持可能となる(ディスプレイスタイル)。
【0035】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、壁面に取り付けられる棚に利用することができる。
【符号の説明】
【0037】
100、100A、100B、200…棚、102、202…壁面、104、204…ブラケット、106、206…棚板、108、110…棚板の側端、112、114、208…サイドキャップ、116…棚板の上面、118…リブ、120、210…パイプ、122…傾斜部、124、222…棚板の壁側の端、126…本体部、128、216…支持部、130、132、228…係合部、134…本体部の下部、138、226…支持部の先端部、140…本体部の縦壁、142…本体部の上部、144、224…棚板の下面、212…脚部、214…ブラケットの下部、218…ブラケットの上部、220…ブラケットの縦壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6