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▶ セルゲイ・シンゴフの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-04
(45)【発行日】2022-03-14
(54)【発明の名称】3Dプリンタ
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/165 20170101AFI20220307BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20220307BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20220307BHJP
   B29C 64/209 20170101ALI20220307BHJP
   B29C 64/40 20170101ALI20220307BHJP
   B22F 10/14 20210101ALI20220307BHJP
   B22F 10/40 20210101ALI20220307BHJP
【FI】
B29C64/165
B33Y10/00
B33Y30/00
B29C64/209
B29C64/40
B22F10/14
B22F10/40
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2019511434
(86)(22)【出願日】2017-09-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-10-17
(86)【国際出願番号】 US2017052593
(87)【国際公開番号】W WO2018057670
(87)【国際公開日】2018-03-29
【審査請求日】2020-09-10
(31)【優先権主張番号】62/397,549
(32)【優先日】2016-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519059100
【氏名又は名称】セルゲイ・シンゴフ
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(72)【発明者】
【氏名】セルゲイ・シンゴフ
【審査官】▲高▼村 憲司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0073099(US,A1)
【文献】特開2016-060169(JP,A)
【文献】特開平07-241834(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0210010(US,A1)
【文献】特開2005-067138(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00 - 64/40
B22F 10/00 - 12/90
B28B 1/00 - 1/54
B28B 11/00 - 19/00
B33Y 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元の目標形状を有する物体を形成するための方法であって、
a)造形用粉末、支持用粉末、および結合剤を用意することと
b)造形用粉末の3次元形状を集合的に形成する、支持用粉末でパターン化された造形用粉末の一連の層に、前記造形用粉末および前記支持用粉末を分注することと、
c)一連の層に前記造形用粉末と前記支持用粉末を分注した後に、少なくとも前記造形用粉末に前記結合剤を用い、それにより造形用粉末および結合剤で作られた前記物体を形成することであって、前記造形用粉末は、前記結合剤により、前記支持用粉末よりも強固に結合可能であり、前記造形用粉末と前記支持用粉末は前記結合剤を用いる前に結合していないことと、
d)前記支持用粉末から前記物体を分離することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記造形用粉末および前記支持用粉末は、注出可能である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記結合剤は液体であり、前記造形用粉末は前記結合剤によって濡らすことが可能であり、前記支持用粉末は前記結合剤によって濡らすことが不可能である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記造形用粉末および前記支持用粉末は、前記結合剤が用いられたときに、固体粒子のままである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記結合剤の結合特性を活性化させるために、前記結合剤が加熱される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記造形用粉末が金属粉末であり、前記結合剤が溶融金属である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記造形用粉末が金属粉末であり、前記結合剤が金属であり、前記結合剤が固体粒子の形態で用いられ、次いで、前記結合剤を溶融する温度まで加熱される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記造形用粉末が鉄粉末であり、前記支持用粉末が二酸化ケイ素粉末であり、前記結合剤が溶融鉄-炭素合金である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記造形用粉末が銅であり、前記支持用粉末が二酸化ケイ素粉末であり、前記結合剤が溶融銅-銀合金である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記造形用粉末がセメント粉末であり、前記支持用粉末が二酸化ケイ素粉末であり、前記結合剤が水である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
3次元の目標形状を有する物体を形成するための方法であって、
a)造形用粉末、支持用粉末、および結合剤を用意することであって、前記造形用粉末は、前記結合剤により、前記支持用粉末よりも強固に結合可能であることと、
b)造形用粉末の3次元形状を集合的に形成する、支持用粉末でパターン化された造形用粉末の一連の層に、前記造形用粉末および前記支持用粉末を分注することと、
c)前記造形用粉末に前記結合剤を用い、それにより造形用粉末および結合剤で作られた前記物体を形成することと、
d)前記支持用粉末から前記物体を分離することと、
を含む、方法であり、
前記結合剤はエポキシであり、前記造形用粉末は前記エポキシによって濡らすことが可能なポリマーであり、前記支持用粉末は前記エポキシによって濡らすことが不可能なポリマーである、方法
【請求項12】
3次元の目標形状を有する物体を形成するための方法であって、
a)造形用粉末、支持用粉末、および結合剤を用意することであって、前記造形用粉末は、前記結合剤により、前記支持用粉末よりも強固に結合可能であることと、
b)造形用粉末の3次元形状を集合的に形成する、支持用粉末でパターン化された造形用粉末の一連の層に、前記造形用粉末および前記支持用粉末を分注することと、
c)前記造形用粉末に前記結合剤を用い、それにより造形用粉末および結合剤で作られた前記物体を形成することと、
d)前記支持用粉末から前記物体を分離することと、
を含む、方法であり、
前記結合剤が接着剤であり、前記造形用粉末は前記接着剤によって濡らすことが可能なポリマーであり、前記支持用粉末は前記接着剤によって濡らすことが不可能なポリマーである、方法
【請求項13】
3次元の目標形状を有する物体を形成するための方法であって、
a)造形用粉末、支持用粉末、および結合剤を用意することであって、前記造形用粉末は、前記結合剤により、前記支持用粉末よりも強固に結合可能であることと、
b)造形用粉末の3次元形状を集合的に形成する、支持用粉末でパターン化された造形用粉末の一連の層に、前記造形用粉末および前記支持用粉末を分注することと、
c)前記造形用粉末に前記結合剤を用い、それにより造形用粉末および結合剤で作られた前記物体を形成することと、
d)前記支持用粉末から前記物体を分離することと、
を含む、方法であり、
前記造形用粉末が第1のガラス転移温度を有し、前記支持用粉末が前記第1のガラス転移温度よりも高い第2のガラス転移温度を有し、前記結合剤が前記第1のガラス転移温度
よりも高いが前記第2のガラス転移温度よりも低い温度まで加熱することによって用意される、方法。
【請求項14】
異なる色の2種以上の造形用粉末をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
3次元の物理的物体を作るための装置であって、
(a)フレームと、
(b)容器と、
(c)造形用粉末で少なくとも部分的に満たされる造形用粉末注出器、および支持用粉末で少なくとも部分的に満たされる支持用粉末注出器であって、それぞれが、分注開口部、および前記分注開口部を制御可能に覆う分注栓を有する、造形用粉末注出器および支持用粉末注出器と、
(d)前記容器の上で前記フレームによって支持され、移動要素を含む、注出器移動および分注栓作動アセンブリであって、前記移動要素が、前記造形用粉末注出器および前記支持用粉末注出器に選択的に交互に取付け可能であり、取り付けられた抽出器を3つの直交する次元において制御可能に移動させること、および、前記分注栓を制御することが可能である、注出器移動および分注栓作動アセンブリと、
(e)目標3次元形状を受信するための入力部を含み、前記注出器移動および分注栓作動アセンブリを制御して、前記注出器を移動させ、前記栓を選択的に開き、それにより粉末を前記容器内に注ぎ込ませ、および、それにより、造形用粉末の前記目標形状を集合的に形成する、支持用粉末でパターン化された造形用粉末の一連の層を前記容器内に作り出す、演算アセンブリと、
を備える、装置であり、
第1の補充タンク、および少なくとも1つの第2の補充タンクをさらに含み、前記第1および第2の補充タンクが、それぞれ、注出器がドッキングされ得る対応するドッキング・ステーションを有し、前記注出器が前記補充タンクから物理的に支持され、前記補充タンクから粉末を受け取り、前記第1の補充タンクが造形用粉末を収容し、前記第2の補充タンクが支持用粉末を収容する、装置
【請求項16】
3次元の物理的物体を作るための装置であって、
(a)フレームと、
(b)容器と、
(c)造形用粉末で少なくとも部分的に満たされる造形用粉末注出器、および支持用粉末で少なくとも部分的に満たされる支持用粉末注出器であって、それぞれが、分注開口部、および前記分注開口部を制御可能に覆う分注栓を有する、造形用粉末注出器および支持用粉末注出器と、
(d)前記容器の上で前記フレームによって支持され、移動要素を含む、注出器移動および分注栓作動アセンブリであって、前記移動要素が、前記造形用粉末注出器および前記支持用粉末注出器に選択的に交互に取付け可能であり、取り付けられた抽出器を3つの直交する次元において制御可能に移動させること、および、前記分注栓を制御することが可能である、注出器移動および分注栓作動アセンブリと、
(e)目標3次元形状を受信するための入力部を含み、前記注出器移動および分注栓作動アセンブリを制御して、前記注出器を移動させ、前記栓を選択的に開き、それにより粉末を前記容器内に注ぎ込ませ、および、それにより、造形用粉末の前記目標形状を集合的に形成する、支持用粉末でパターン化された造形用粉末の一連の層を前記容器内に作り出す、演算アセンブリと、
を備える、装置であり、
少なくとも2つの注出器を備え、第1の注出器が第1のサイズとされた開口部を有する微細注出器であり、第2の注出器が前記第1の開口部よりも大きい第2のサイズとされた開口部を有する高速注出器である、装置
【請求項17】
前記第2のサイズとされた開口部よりも大きい第3のサイズの開口部を有する第3の注出器をさらに備える、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記第1および第2の注出器が造形用粉末で満たされる、請求項16に記載の装置。
【請求項19】
各注出器のための補充タンクを含む、請求項16に記載の装置。
【請求項20】
3次元の物理的物体を作るための装置であって、
(a)フレームと、
(b)容器と、
(c)造形用粉末で少なくとも部分的に満たされる造形用粉末注出器、および支持用粉末で少なくとも部分的に満たされる支持用粉末注出器であって、それぞれが、分注開口部、および前記分注開口部を制御可能に覆う分注栓を有する、造形用粉末注出器および支持用粉末注出器と、
(d)前記容器の上で前記フレームによって支持され、移動要素を含む、注出器移動および分注栓作動アセンブリであって、前記移動要素が、前記造形用粉末注出器および前記支持用粉末注出器に選択的に交互に取付け可能であり、取り付けられた抽出器を3つの直交する次元において制御可能に移動させること、および、前記分注栓を制御することが可能である、注出器移動および分注栓作動アセンブリと、
(e)目標3次元形状を受信するための入力部を含み、前記注出器移動および分注栓作動アセンブリを制御して、前記注出器を移動させ、前記栓を選択的に開き、それにより粉末を前記容器内に注ぎ込ませ、および、それにより、造形用粉末の前記目標形状を集合的に形成する、支持用粉末でパターン化された造形用粉末の一連の層を前記容器内に作り出す、演算アセンブリと、
を備える、装置であり、
前記注出器が、それぞれ、プラグ・ロッドを含み、前記注出器移動および分注栓作動アセンブリが、前記プラグ・ロッドを垂直に移動させて前記開口部を開閉するプラグ・ロッド作動装置を含む、装置
【請求項21】
前記プラグ・ロッド作動装置が、前記プラグ・ロッドを周期的に回転させて、前記注出器の内容物の攪拌も行う、請求項20に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体の製造のための3Dプリンタの技術分野におけるものである。
【背景技術】
【0002】
3次元(3D)印刷法が現在存在する。例えば、特許文献1、2などの手法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開第2015/0210010号明細書
【文献】米国特許出願公開第2002/0145213号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の技術のほとんどは、使用するのに費用がかかり、特定のプリンタで使用することができる材料の範囲は、通常、かなり限られる。これは、特に3D印刷法を通じて金属部品を作り出すことを望む者にとっては、厄介なことである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の独立した態様では、本発明は、造形用粉末、支持用粉末、および結合剤を利用する、3次元の目標形状を有する物体を形成するための方法の形態を取り得る。造形用粉末は、結合剤により、支持用粉末よりも強固に結合される。造形用粉末および支持用粉末は、造形用粉末の3次元形状を集合的に形成する、支持用粉末でパターン化された造形用粉末の一連の層に分注され、結合剤は、造形用粉末および支持用粉末の層に用いられて硬化させることができ、それにより、造形用粉末および結合剤から成る物体が形成される。最後に、支持用粉末が、形成された物体から除去される。
【0006】
第2の独立した態様では、本発明は、フレームとパンとを含む、3次元の物理的物体を作るための装置の形態を取り得る。造形用粉末注出器が、造形用粉末で少なくとも部分的に満たされ、支持用粉末注出器が、支持用粉末で少なくとも部分的に満たされ、注出器のそれぞれは、分注開口部と、分注開口部を制御可能に覆う分注栓とを有する。注出器移動および分注栓作動アセンブリが、パンの上でフレームによって支持され、移動要素を含み、この移動要素は、造形用粉末注出器および支持用粉末注出器に選択的に交互に取付け可能であり、取り付けられた注出器を3つの直交する次元において制御可能に移動させること、および、分注栓を制御することが可能である。目標3次元形状を受信するための入力部を含むコンピュータアセンブリが、注出器を移動させ、栓を選択的に開き、それにより粉末をパンに注ぎ込むように、および、それにより、造形用粉末の目標形状を集合的に形成する、支持用粉末でパターン化された造形用粉末の一連の層をパン内に作り出すように、注出器移動および分注栓作動アセンブリを制御する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1.1】3つの異なる角度から見た、本発明の1つの実施形態による3Dプリンタの斜視図である。
図1.2】3つの異なる角度から見た、本発明の1つの実施形態による3Dプリンタの斜視図である。
図1.3】3つの異なる角度から見た、本発明の1つの実施形態による3Dプリンタの斜視図である。
図2.1】図1.1の3Dプリンタの構成要素である3Dプリンタフォークの詳細図である。
図2.2】図1.1の3Dプリンタの構成要素である3Dプリンタフォークの詳細図である。
図2.3】図1.1の3Dプリンタの構成要素である3Dプリンタフォークの詳細図である。
図3.1】3つの異なる角度から見た、図1.1のプリンタの構成要素である3Dプリンタ注出器の詳細図である。
図3.2】3つの異なる角度から見た、図1.1のプリンタの構成要素である3Dプリンタ注出器の詳細図である。
図3.3】3つの異なる角度から見た、図1.1のプリンタの構成要素である3Dプリンタ注出器の詳細図である。
図3.4】図3.1の3Dプリンタ注出器の詳細断面図である。
図3.5】図3.1の3Dプリンタ注出器の詳細断面図である。
図4.1】図3.1の注出器を保持している、図2.1の3Dプリンタフォークアセンブリの詳細図である。
図4.2】図3.1の注出器を保持している、図2.1の3Dプリンタフォークアセンブリの詳細図である。
図4.3】図3.1の注出器を保持している、図2.1の3Dプリンタフォークアセンブリの詳細図である。
図5.1】上昇位置にあるプラグ・ロッドを示す、図3.1の3Dプリンタ注出器の断面図である。
図5.2】上昇位置にあるプラグ・ロッドを示す、図3.1の3Dプリンタ注出器の断面図である。
図6.1】2つの異なる角度から見た、図1.1の3Dプリンタの一部分を形成する3Dプリンタ補充アセンブリの詳細図である。
図6.2】2つの異なる角度から見た、図1.1の3Dプリンタの一部分を形成する3Dプリンタ補充アセンブリの詳細図である。
図7.1】注出器がない状態の、図6.1の3Dプリンタ補充アセンブリの詳細断面図である。
図7.2】注出器がある状態の、図6.1の3Dプリンタ補充アセンブリの詳細断面図である。
図8A】窯内に配置される前の、充填されて覆われるプロセスにおけるパンを示す図である。
図8B】窯内に配置される前の、充填されて覆われるプロセスにおけるパンを示す図である。
図8C】窯内に配置される前の、充填されて覆われるプロセスにおけるパンを示す図である。
図8D】窯内に配置される前の、充填されて覆われるプロセスにおけるパンを示す図である。
図9A】3Dプリンタの代替実施形態の前面-上面-側面等角図である。
図9B図9Aの3Dプリンタの前面-底面-側面等角図である。
図10A】内部構造をよりはっきりと見せるためにフレーム要素が取り除かれた、図9Aのプリンタの前面-上面-側面等角図である。
図10B】あまり急ではない画角における、図10Aのプリンタ部分の前面-上面-側面等角図である。
図11A図9Aのプリンタの一部分を形成するフォークアセンブリの前面-上面-側面等角図である。
図11B図11Aのフォークアセンブリの後面-上面-側面等角図である。
図11C図11Aのフォークアセンブリの側面図である。
図12A】互いに継合された、図11Aのフォークアセンブリ、および図9Aのプリンタの一部分を形成する注出器の側面図である。
図12B図12Aに示された部品の組合せの後面-上面-側面等角図である。
図13A】9Aのプリンタの一部分を形成する注出器の上からの等角図である。
図13B図13Aの注出器の断面図である。
図13C図13Aの注出器の下からの等角図である。
図14A】9Aのプリンタの一部分を形成する注出器の代替実施形態の上からの等角図である。
図14B図14Aの注出器の断面図である。
図14C図14Aの注出器の下からの等角図である。
図15A図9Aのプリンタの一部分を形成する注出器のためのドッキング・ステーションの等角図である。
図15B図15Aのドッキング・ステーションの断面図である。
図16A図9Aのプリンタの一部分を集合的に形成する、注出器が取り付けられたドッキング・ステーションの等角断面図である。
図16B図16Aのドッキング・ステーションおよび注出器の側断面図である。
図17A図9Aのプリンタのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
定義:本出願において使用される「金属」という用語は、金属合金を含む。
【0009】
ここで、本発明の原理の理解を促進する目的のために、図面に示された実施形態に言及し、それらを説明するために特定の用語が使用される。しかしながら、これによって本発明の範囲を限定する意図はないことを理解されたい。説明される実施形態におけるいかなる変更およびさらなる修正、ならびに本明細書において説明されるような本発明の原理のいかなるさらなる適用も、本発明が関連する当業者には通常思い浮かぶものと考えられる。
【0010】
注記:N.1~N.4(Nは整数)と符号付けされた一組の同様の要素があって、それらのうちの任意の1つが、例えばNと符号付けされる場合、N.1~N.4のうちのどれが言及されているかは問わない。例えば、注出器10.1~10.4のうちの任意の1つが言及される場合、その注出器は「10」によって参照される。
【0011】
図1.1、図1.2、および図1.3は、3Dプリンタを様々な角度から示す。3Dプリンタ8は、パン4(容器とも呼ばれる)と、それぞれがドッキング・ステーション30.1~30.4に対応する注出器10.1~10.4の組とで主に構成され、注出器10は、関連する補充タンク11によって補充され得る。また、剛体フレーム3が、ドッキング・ステーション30.1~30.4および注出器移動アセンブリ116(図10A)を支持する。アセンブリ116は、フォークアセンブリ5(「移動要素」と呼ばれる場合もある)を含み、このフォークアセンブリ5は、選択された注出器10に取り付き、注出器10をドッキング・ステーション30から取り外し、フォークアセンブリ5が注出器10を作動させるときのパターンに沿って注出器10を移動させて、粉末を(以下で論じられる注出器プラグ・ロッド19により)選択的に分注する。注出器10は、アセンブリ5上に存在するとき、フォーク6の上に載る。したがって、注出器移動アセンブリ116は、注出器移動および分注栓作動アセンブリ116とも呼ばれ得る。
【0012】
3Dプリンタは、造形用粉末および支持用粉末を使用して、パン4内で3D物体を1層ずつ造形する。各層は、造形用粉末で満たされた1つまたは複数の領域から成るが、その層内のパン領域の残りの部分は、支持用粉末で満たされる。1つの実施形態では、注出プロセスの速度を向上させるために、ある領域の一部分が、層の注出中に飛ばして進められて、後でその上に層を注出するときに充填され得る。全ての層が注出された後、造形用粉末は、結合剤によって結合されて、結果として3D物体になり、次いで支持用粉末から分離される。
【0013】
粉末は、以下の要求事項が満たされるのであれば、任意の適切な材料から作られ得る:
1.造形用粉末および支持用粉末は、注出可能であるか、または、少なくとも適切な機構により所望のパターンに配置可能である。
2.造形用粉末は、結合剤により強固に結合可能である。
3.支持用粉末は、結合剤により、造形用粉末が結合可能であるのよりもはるかに弱く結合可能である。
4.造形用粉末および支持用粉末は、形状の歪みを防ぐために、プロセス中は主に固体粒子の形態のままである。
【0014】
上記の要求事項を支援するために周囲ガスが適切に選択されることも、重要である。例えば、結合剤による造形用粉末の結合性に酸化が悪影響を及ぼす場合、周囲ガスは、酸化を防ぐように選択されるべきである。例えば、いくつかの実施形態では、周囲ガスは、アルゴンである。これらの実施形態では、機構は、気密チャンバ内に閉じ込められる。代替実施形態では、コークスの形態の炭素などの、酸素と結合する物質が、パン4が加熱される前にパン4に入れられる。
【0015】
好ましい実施形態では、鉄粉末が、造形用粉末として使用され、二酸化ケイ素粉末が、支持用粉末として使用され、炭素含有量の多い溶融鉄-炭素合金が、結合剤として使用される。様々な炭素含有量の鉄-炭素合金が使用され得るが、4.3%の炭素含有量が、最も低い溶融温度-摂氏約1147度-を有するという利点を有する。この合金は、一般に「銑鉄」として入手可能であり、本明細書では、これ以降単純に「銑」と呼ぶ。この実施形態では、粉末は、露出した造形用粉末を最上層が有するように、注出される。
【0016】
鉄粉末およびSiO2粉末の3Dパターンが作り出された後、造形用粉末の形状を変形させるのを避ける方法で、貫通孔を有する分離器110が、粉末の上方に配置され、銑片、およびコークスなどの炭素片が、分離器上に配置される。銑は、SiO2粉末が溶融銑の流れを阻止するのを避けるように、露出した造形用粉末の表面の上方に位置するべき分離器110の穴を覆うべきである。次いで、パン4は、残りの部分をSiO2粉末(いくつかの方法では、砂)で満たされる。炭素片は、加熱されたときに酸素を一酸化炭素に変換して鉄の酸化を防ぐために必要とされる。パン4は、蓋で閉じられ、窯へ移されて、加熱される。窯温度は、銑の溶融温度を上回るが鉄粉末の溶融温度を下回るように選択される。温度が十分に高くなると、銑は溶融して、毛管作用により鉄粉末に染み込むが、銑は、溶融鉄による濡れに耐性を有する二酸化ケイ素粉末には染み込まない。パンは、保持時間と呼ばれる特定の時間にわたってその温度に保持される。保持時間中、溶融銑の炭素原子は、鉄粉末の粒子中に拡散し、したがって、炭素含有量を均一にする。保持時間が長いほど、拡散はより良好になる。パンが冷却された後、プリントされた物体は、支持用粉末から分離され、銑の残りが切り離される。プリントされる物体は、溶融銑がパッドおよびネックを通じて物体に染み込んで、物体をパッドおよび銑の残りから分離するネックを切断または破壊することをより容易にするように、頂部に位置する追加的な細いネックと、その上方の平坦なパッドを有するように設計されることが好ましい。結果として得られるプリントされた物体の材質は、炭素鋼である。所望の特性および寸法を達成するために、さらなる後処理および熱処理が使用され得る。
【0017】
別の実施形態では、造形用粉末は、銅粉末であり、支持用粉末は、二酸化ケイ素であり、結合剤は、銅-銀合金である。
【0018】
さらなる実施形態では、結合剤として溶融物質を使用する代わりに、化学プロセスが使用されて、造形用粉末の粒子を結合させる。
【0019】
1つの実施形態では、造形用粉末は、セメントであり、支持用粉末は、二酸化ケイ素であり、結合剤は、セメントに染み込んで結合を生じさせる水である。
【0020】
別の実施形態では、結合剤としてエポキシが使用される。造形用粉末は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエーテル・エーテル・ケトン(PEEK)、ナイロン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)、ポリ乳酸(PLA)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリカーボネート(PC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン・テレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリ(メチル・メタクリレート)(PMMA)、ポリベンゾイミダゾール(PBI)、ポリエーテル・スルホン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレン・オキシド(PPO)、またはポリフェニレン・スルフィド(PPS)などのポリマーであり、支持用粉末は、同じリストからの別のポリマーである。支持用粉末に使用されるポリマーは、エポキシによって濡らすことが不可能であり、造形用粉末に使用されるポリマーは、エポキシによって濡らすことが可能である。
【0021】
別の実施形態では、エポキシの代わりに接着剤が結合剤として使用される。接着剤は、化学的なものまたは熱的なもののどちらであってもよい。
【0022】
別の実施形態では、造形用粉末の粒子を結合させるために熱が使用される。造形用粉末は、支持用粉末のガラス転移温度よりも低いガラス転移温度を有するように選択される。結合に使用される温度は、物体を破壊することなく支持部を物体から分離することができるように、造形用粉末のガラス転移温度を上回りかつ造形用粉末粒子同士を強固に結合させるのに十分であるが支持用粉末粒子を強固に結合させるほどには十分に高くないように、選択される。選択される温度は、形状の歪みを防ぐために、2種の粉末のどちらかの融点を下回るべきである。
【0023】
別の実施形態では、色彩に富んだ物体を作り出すために、異なる色の複数の造形用粉末が使用される。
【0024】
再度図1.1、図1.2、および図1.3を参照すると、注出器移動アセンブリ116は、ステッパ・モータ1.X、1.Y、1.Zを含み、これらのステッパ・モータは、それぞれ、送りねじ2.X、2.Y、2.Zを回転させて、注出器10を保持しているフォークアセンブリ5をX軸、Y軸、およびZ軸に沿って3次元で移動させる。
【0025】
図2.1、図2.2、および図2.3は、フォークアセンブリ5の詳細を示す。フォークアセンブリ5は、フォークアセンブリ5に接触する部分という点で同一である4つの注出器10のうちの任意の1つを保持することができる。
【0026】
図3.1、図3.2、図3.3、図3.4、および図3.5は、注出器10の詳細を示す。
【0027】
図4.1、図4.2、および図4.3は、フォークアセンブリ5(これは注出器10を保持し移動させるので、移動要素と呼ばれる場合もある)を示す。
【0028】
次に図2.1から図2.3を参照すると、フォークアセンブリ5は、送りねじ2.Pを回転させて注出器制御キャリッジ15を垂直に移動させる、注出栓作動用ステッパ・モータ1.Pを有する。この論述のためにフォークアセンブリ5と係合される注出器10の頂部を示す3.1を次に参照すると、キャリッジ15は、下方に移動するときに、ばね17(図2.3)を介してシーソー16を押して傾けさせる。シーソー16は、傾くときに玉軸受18を押し上げ、それにより注出器プラグ・ロッド19(図3.4)を持ち上げ、その結果、ロッド19の端部は注出器穴20に栓をしなくなり、したがって、粉末が穴20から流れることが可能になる。プラグ・ロッド19の端部は注出器穴20に栓をするので、この端部は「栓」と呼ばれる場合もある。
【0029】
フォークアセンブリ5はまた、クロー21を回転させるプラグ・ロッド回転用ステッパ・モータ1.Sを含む。キャリッジ15が下降されると、クロー21が、ノブ22(図3.1)と係合してそれを回転させる。図3.5を参照すると、ノブ22は、心棒23および連結器24を介して注出器プラグ・ロッド19に接続される。心棒23は、ブリッジ26の内側で別の2つの玉軸受(図示せず)により水平方向に保持されるが、自由に回転することおよび垂直方向に摺動することができる。ばね25が、プラグ・ロッド19の閉じる力を増大する。
【0030】
図5.1および図5.2は、プラグ・ロッド19がわずかに曲がっていることを示し、そのため、棒が上に移動するときに、棒の下端部もまた横方向に移動し、それにより、ロッド19が回転するときに粉末を攪拌し、したがって流量および粘稠性が高められる。ロッド19はまた、可撓性であり、そのため、底面の傾斜に沿って下方に移動するときに、その先端を注出器の中心へ、および穴20内へとスライドするように案内して、開口部を封止する。
【0031】
1つの実施形態では、4つの注出器、すなわち、支持用粉末のための2つの注出器と、造形用粉末のための2つの注出器とが存在する。各タイプの粉末のための2つの注出器のうち、1つの注出器は、より高い解像度の注出ためのより小さい穴20を有し、1つの注出器は、より高速の注出のためのより大きい穴20を有する。
【0032】
図6.1、図6.2、図7.1、および図7.2は、注出器補充機構を示す。各注出器10.1~10.4は、それ自体の補充タンク11.1~11.4それぞれから補充される。補充タンク11.1~11.4は、パイプ12によりインジェクタ・チャンバ13に接続される。図7.2に詳細に示されるように、インジェクタ・チャンバは、底部に穴35を有し、この穴35は、補充開口部として機能し、補充栓として機能する栓14によって閉じられる。歯車付きステッパ・モータ31が、ケーブル32の巻取りおよび繰出しを行い、それによりヒンジ33上で補充アセンブリを傾けさせる。補充アセンブリが傾けられるときに、インジェクタ・チャンバが垂直に移動する。注出器10.1~10.4がそのドッキング・ステーション30.1~30.4に係合され、インジェクタ・チャンバが下降されるときに、注出器の棒34が、インジェクタプラグ・ロッド14を押し上げ、それにより穴35を開いて、粉末が補充タンクから注出器に流入することを可能にする。インジェクタ・チャンバが持ち上げられるとき、または注出器10.1~10.4が存在しないときに、棒14は下方に移動して、穴35を閉じる。
【0033】
図17Aを参照すると、プリント処理が始まる前に、ステレオリソグラフィ(STL)ファイル162がコンピュータ160にロードされ、このコンピュータ160は、スライサ・プログラムと一般に呼ばれる、一時的でないコンピュータ可読記憶装置からロードされるコンピュータ・プログラムを実行し、このコンピュータ・プログラムは、STLファイルを、制御盤161によって理解され得る動作コマンドの一形態であるG-コードに変換する。制御盤161は、プリント処理を通してモータ1.x、1.y、1.z、1.p、および151を制御する信号一式を作り出す。このプロセスの開始時に、フォークアセンブリ5は、ドッキング・ステーション30から所望の注出器10を取り出して、その注出器10をパン4の上方の所望の場所に位置決めする。ステッパ・モータ1.Pは、(上記で説明されたような)貫通孔20を開いて、粉末がパンに流入するのを可能にする。粉末が貫通孔20から注出されるときに、ステッパ・モータ1.Xおよび1.Yは、フォークアセンブリ5をXおよびYパターンで移動させて造形用粉末または支持用粉末のどちらかの所望のパターンを作り出すように、制御盤161によって制御される。次いで、ステッパ・モータ1.Pは、穴20を閉じ、粉末の流れを止めて、注出器を補充ドッキング・ステーション30に戻す。次いで、フォークアセンブリ5は、所望の通りにパンが満たされるまで、異なる注出器10を取り出したりする。
【0034】
図9Aから図16Bは、プリンタ8の実施形態に対する代替実施形態108を示す。実施形態108は、ドッキング・ステーション30およびフォークアセンブリ5との著しい違いをいくつか有する、ドッキング・ステーション140およびフォークアセンブリ105を含む。全体的に見ると、ドッキング・ステーション140は、モータを含まない。むしろ、補充動作は、以下でさらに説明されるように、フォークアセンブリの一連の運動によって行われる。また、フォークアセンブリ105は、ステッパ・モータ1.pではなくDCモータ151を使用して、注出器プラグ・ロッド19を上げ下げする。もう1つの違いとして、プリンタ108は、窯基部131の上に配置され得るように、長さ調節可能な脚130を備える。1つの使用方法では、パン4およびその内容物が所定の位置で加熱され得るように、プリンタ108は、造形用および支持用の粉末を配置した後、持ち上げられて離され、窯の残りの部分が窯基部131に載せられて、窯を完成させる。
【0035】
初めに図15A図15B、および図16Aを参照すると、各ドッキング・ステーション140は、粉末注出口143に通じる粉末通路142を画定する。ステーション140は、支持ボール163(1つだけ示されている)をさらに含む。さらに、ロッカ・アーム141が、ステーション140にヒンジ留めされ、1対の歯145、および栓146を有する。ばねが、ロッカ・アーム141を粉末の流れを遮断する位置に動かし、この位置では、栓146は、通路142と注出口143との間に介在する。注出器10がドッキングされる予定であることをコンピュータ160が判定すると、コンピュータ160は、注出器10の頂部の一部分が歯145の直下に位置する位置へ注出器10を移動させ、次いで注出器10を押し上げて歯145を持ち上げ、それによりロッカ・アーム141を粉末分注位置へ移動させるように、モータ1.x、1.y、および1.zに命令し、粉末分注位置では、栓146が注出口143の頂部から持ち上げられる。次いで、注出器は、注出器10の縁148が支持球163の上に載り、歯145が注出器10の上面に接触するように、さらに移動されてドッキング・ステーション140に接触し、それにより、歯は、注出口143を塞がない位置に位置決めされた栓146を維持する、上昇位置に維持される。最後に、注出器10がフォークアセンブリ105の上には載っていないときに、フォークアセンブリ105を下降させて注出器10から離れさせることにより注出器10がフォークアセンブリ105によって解放されるときに、注出器10を保持するために縁148の底面にある1対のくぼみ170(図13C)は1対の支持球163(図15A)に係合される。この設計は、4つの電気モータを際立たせ、費用、複雑さ、および潜在的な維持費を減少させるという利点を有する。
【0036】
図12Aを参照すると、ヒンジ149においてフォークアセンブリ105にヒンジ留めされた作動アーム150が、下方に延在する押板156を含む。アーム150が下降されると、押板156は注出器ロッカ・アーム16(図13A)を押し下げ、注出器ロッカ・アーム16は玉軸受18を持ち上げ、玉軸受18は注出器プラグ・ロッド19を持ち上げて、粉末が流れ出ることを可能にする。アーム150がその上昇位置に戻るときに、注出器プラグ・ロッド19は、ばね25により下方に動かされて、粉末の流れを止め、ヒンジ留めされたアーム16、および玉軸受18もまた、非分注位置に戻る。図13A図13Cに示された注出器10と図14A図14Cに示された注出器10との間には、いくつかの違いがある。図13A図13Cに示された穴20は、より微細な粉末の線を配置するために、より小さい。プリンタ8の場合と同様に、注出器10がフォークアセンブリ105上に位置するとき、注出器10はフォーク106の上に載る。
【0037】
上記のアーム150の運動は、DCモータ151(図12B)によってもたらされ、このDCモータ151は、スプール154を回転させて、プーリ157に係合され、スイッチ152に係止された鋼ケーブル155を引っ張るかまたは緩める。アーム150がその下降位置にある状態から始まり、押板156は、スイッチ152をそのケーブル弛み位置に配置したケーブル155にわずかな張力が存在するように、ロッカ・アーム16の上に載る。粉末の分注を止めることが求められた場合、DCモータ151は、スプール154を回転させてケーブル155を巻き取り、それにより、スイッチ152をそのケーブル緊張位置(動作に影響を及ぼさない移行)に切り替えさせ、ケーブルをプーリ157上で引き寄せて、それにより、アーム150を引っ張り上げ、アーム150は、アーム150の経路に沿って配置された処理を止める信号を作り出す別のスイッチ(図示せず)に接触するまで、上昇し続ける。DCモータ151は、内部の歯車アセンブリの摩擦により、その位置を維持し、アーム150は、アーム150を移動させて粉末を分注するときがくるまで、同じ位置に留まる。この動作が求められると、DCモータ151は、ケーブル155を繰り出して、板156がアーム16の上に載るまでアーム150を下降させるように、スプール154を回転させる。この時点において、ケーブル155は、スイッチ152がケーブル弛み位置に移行するように十分に弛み、これは、コンピュータ160によって認識されるか、または代替実施形態では制御盤161だけによって認識されて、処理が止められ、DCモータは所定の位置で再度停止される。
【0038】
フォークアセンブリ105は、部分的に囲まれた空間188を通って延在する垂直のチューブ186(図10B)に支えられて垂直に移動し、上部玉軸受182の対および下部玉軸受184の対が、移動を円滑にする。垂直のチューブ186は、キャリッジ190に支えられて移動し、このキャリッジ190は、チューブ192上で左右に移動され、チューブ194(図10B)上で前後に移動される。チューブ192および194は、キャリッジ190の、したがって同じくチューブ186上で移動するフォークアセンブリの移動のための、軽量であるがしっかりとした骨組を提供する。他に記したように、この運動は、モータ1.X、1.Y、および1.Zを原動力とする。
【0039】
実施例1:
1つの実施例では、高炭素鋼の3D印刷された物体を作り出すために、以下のパラメータが使用された。
【0040】
造形用粉末:IRON100
IRON100に関する仕様および発注情報は、インターネット上のhttp://www.iron-powder.com/wp-content/uploads/2014/03/IRON100_Specifications.pdfで見つけることができる。
【0041】
以下は、IRON100に関するいくつかの情報である:
化学分析(重量による)
Fe 99.5%+
O 0.200%
C 0.030%
Si 0.030%
流量 29.00sec/50g
粒子サイズ <212ミクロン
中央粒子サイズ:100ミクロン
支持用粉末:OK85
USSilicaの製品であるOK85に関する仕様は、以下のインターネット・アドレスで見つけることができ、以下に複写される。
【0042】
http://www.ussilica.com/sites/ussilica.com/uploads/files/product-data-sheets/industry/foundry/OK85.pdf
粒形:球
融点:華氏3100度
無機質:石英
典型的な化学分析:SiO2(二酸化ケイ素)99.8%
粒子サイズ:<425ミクロン
中央粒子サイズ:150ミクロン
ソレルメタル等級RF1
炭素 ケイ素 マンガン リン 硫黄
4.25% 0.15% 0.022% 0.033% 0.013%
入手可能な鋳塊サイズ(約):
185×120×55mm(7.25”×4.7×2.5)
重量(約):
5.54kb(12lbs.)
注出器穴径:小さい方の穴に対しては1mm、大きい方の穴に対しては4mm
注出中の注出器の水平移動速度(1秒間当たりのミリメートルでの):
造形用:2
支持用:8
窯の設定:
ランプ:1時間当たり摂氏600度
保持温度:摂氏1250度
保持時間:4時間。
【0043】
実施例2:
別の実施例では、以下のことを除いて、同様のパラメータが使用された:
OK85粉末は、最大粒子の25%および最小粒子の5%を除去するためにフィルタを通された
IRON100粉末は、最小粒子の20%を除去するためにフィルタを通された
注出器穴径:小さい方の穴に対しては1mm、大きい方の穴に対しては2mm
注出中の注出器の水平移動速度(1秒間当たりのミリメートルでの):
造形用:16
支持用:20
窯の設定:
ランプ:1時間間当たり摂氏600度
保持温度:摂氏1180度
保持時間:2時間
次に図8Aから図8Dを参照すると、3Dプリンタにより造形用粉末および支持用粉末でパン4を満たすプロセスが完了した後、開口部を有し、この開口部を通る液体の流れを促す形状とされている棚110が、この粉末の上に載せられる。銑片111およびコークス片112が棚110上に配置され、蓋113が、それら全てを覆って配置される。次いで、砂などの不活性粒子状物質が、蓋113にある穴114から注がれる。これは、棚がずり上がるのを防ぎ、かつ、SiO2粉末をきつく詰め込んでおくのを支援し、それにより、溶融銑がSiO2を持ち上げるのを防ぐ。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、3D印刷法を介して物体を製造することに産業上の利用可能性を見出す。
【0045】
複数の例示的な態様および実施形態が上で論じられたが、当業者は、それらのいくつかの修正、置換、追加、および部分的組合せを認識するであろう。したがって、以下の添付の特許請求の範囲、および今後導入される請求項は、あらゆるそのような修正、置換、追加、および部分的組合せを、それらの真の主旨および範囲内にあるものとして含むと解釈されることが、意図されている。
図1.1】
図1.2】
図1.3】
図2.1】
図2.2】
図2.3】
図3.1】
図3.2】
図3.3】
図3.4】
図3.5】
図4.1】
図4.2】
図4.3】
図5.1】
図5.2】
図6.1】
図6.2】
図7.1】
図7.2】
図8A
図8B
図8C
図8D
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図11C
図12A
図12B
図13A
図13B
図13C
図14A
図14B
図14C
図15A
図15B
図16A
図16B
図17A