(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-04
(45)【発行日】2022-03-14
(54)【発明の名称】酢酸含有飲料
(51)【国際特許分類】
A23L 2/52 20060101AFI20220307BHJP
A23L 2/00 20060101ALI20220307BHJP
A23L 2/68 20060101ALI20220307BHJP
A23L 2/54 20060101ALI20220307BHJP
【FI】
A23L2/52
A23L2/00 B
A23L2/00 D
A23L2/00 T
A23L2/54
A23L2/68
(21)【出願番号】P 2020088738
(22)【出願日】2020-05-21
【審査請求日】2021-12-03
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596126465
【氏名又は名称】アサヒ飲料株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【氏名又は名称】水野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100128783
【氏名又は名称】井出 真
(74)【代理人】
【識別番号】100128473
【氏名又は名称】須澤 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100160886
【氏名又は名称】久松 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】久保田 洋史
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 徳子
【審査官】茅根 文子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-083729(JP,A)
【文献】特開2017-176107(JP,A)
【文献】特開2017-012016(JP,A)
【文献】特開2004-168936(JP,A)
【文献】特開2017-035003(JP,A)
【文献】特開昭61-047173(JP,A)
【文献】特表2016-515812(JP,A)
【文献】特開2015-123053(JP,A)
【文献】国際公開第2020/010486(WO,A1)
【文献】特開2005-15686(JP,A)
【文献】J. Appl. Glycosci.,2009年,Vol. 56,pp. 281-286
【文献】宮地秀夫,ビール醸造技術,1999年,pp. 351-358
【文献】日本釀造協會雜誌,1976年,Vol. 71, No. 10,pp. 753-761
【文献】日本醸造協会誌,2017年,Vol. 112, No. 11,pp. 737-745
【文献】3・1・2 レモンフレーバー,特許庁公報 周知・慣用技術集(香料)第II部 食品用香料,日本国特許庁,2000年01月14日,pp. 113-120
【文献】楊栄華 ほか,香酸柑橘類の果皮精油の匂い特性の比較,日本食品工業学会誌,1992年,Vol. 39, No. 1,pp. 16-24
【文献】COELHO, E. et al.,Vinegar production from fruit concentrates: effect on volatile composition and antioxidant activity,J. Food Sci. Technol.,2017年,Vol. 54, No. 12,pp. 4112-4122
【文献】我如古菜月 ほか,果実浸漬酢の酸味抑制効果の検討,美味技術学会誌,2012年,Vol. 11, No. 2,pp. 15-21
【文献】Appletiser,INTERNET ARCHIVE Wayback Machine [online],2019年09月30日,[検索日 2022年2月15日], インターネット<URL: https://web.archive.org/web/20190930170031/https://www.appletiser.com/en/products/appletiser/>
【文献】Volatile Compounds in Food,Seventh Edition,1996年,1.12-1.13
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 2/00-2/84
C12C 1/00-13/10
C12F 3/00-5/00
C12H 1/00-6/04
C12J 1/00-1/10
C12L 3/00-11/00
C12G 1/00-3/08
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/FSTA/AGRICOLA(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
その含有量が10~1000ppmである酢酸と、その含有量が1~6000ppbであるリナロールおよび/またはその含有量が1~4000ppbであるゲラニオールを含有し、
そのBrix値が3.5~10である、炭酸飲料
(ビールテイスト飲料を除く)。
【請求項2】
その含有量が10~1000ppmである酢酸と、その含有量が1~6000ppbであるリナロールおよび/またはその含有量が1~4000ppbであるゲラニオールを含有し、
そのBrix値が3.5~10である、炭酸飲料(アルコール飲料を除く)。
【請求項3】
その含有量が1~6000ppbであるリナロールおよびその含有量が1~4000ppbであるゲラニオールを含有する、請求項1
または2に記載の炭酸飲料。
【請求項4】
その含有量が10~1000ppmである酢酸を含む炭酸飲料において、その含有量を1~600ppbとしてリナロールおよび/またはその含有量を1~4000ppbとしてゲラニオールを含有させることを含む、酢酸由来の刺激の低減方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酢酸を含有する飲料に関する。
【背景技術】
【0002】
酢酸を含む飲料(例えば特許文献1)が知られている。酢酸を含む飲料においては、飲んだときに、酢酸による刺激を感じることがある。当該刺激は、具体的には、酢酸由来の飲んだ瞬間に感じる刺激(飲んだ瞬間に鼻に抜けるツンとした刺激)と、酢酸由来の飲んだ後に残る刺激(飲んだ後に喉の奥でカッと熱くなる、バーニング感のような刺激)とがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、酢酸を含む飲料を飲んだときに感じられる、酢酸由来の刺激を低減できる新規な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、酢酸を含有する飲料において、当該飲料を炭酸飲料とし、所定量でリナロールまたはゲラニオールを含有させた。その結果、所定量のリナロールを含有させることで少なくとも酢酸由来の飲んだ瞬間に感じる刺激を低減でき、また、所定量のゲラニオールを含有させることで特に酢酸由来の飲んだ後に残る刺激を低減できることを見出し、本発明を完成させた。
【0006】
本発明の要旨は以下のとおりである。
[1]
その含有量が10~1000ppmである酢酸と、その含有量が1~6000ppbであるリナロールおよび/またはその含有量が1~4000ppbであるゲラニオールを含有する、炭酸飲料。
[2]
そのBrix値が1~10である、[1]に記載の炭酸飲料。
[3]
その含有量が1~6000ppbであるリナロールおよびその含有量が1~4000ppbであるゲラニオールを含有する、[1]または[2]に記載の炭酸飲料。
[4]
その含有量が10~1000ppmである酢酸を含む炭酸飲料において、その含有量を1~6000ppbとしてリナロールおよび/またはその含有量を1~4000ppbとしてゲラニオールを含有させることを含む、酢酸由来の刺激の低減方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、酢酸を含む飲料を飲んだときに感じられる、酢酸由来の刺激を低減できる新規な技術を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の1つの実施形態について、詳細に説明する。
本実施形態は酢酸を含有する飲料に関し、酢酸を10~1000ppmの含有量で含有する。また、本実施形態の飲料は炭酸飲料であるとともに、その含有量が1~6000ppbであるリナロールおよび/またはその含有量が1~4000ppbであるゲラニオールを含有する。
なお、本明細書においては、酢酸由来の飲んだ瞬間に感じる刺激と酢酸由来の飲んだ後に残る刺激を総称して単に酢酸由来の刺激ともいう。また、酢酸由来の刺激の低減、とは、酢酸由来の飲んだ瞬間に感じる刺激および酢酸由来の飲んだ後に残る刺激のうち少なくとも一方が低減されていることを意味する。
【0009】
本実施形態の飲料において、酢酸の含有量は、上記のとおり10~1000ppmである。酢酸含有量10ppm以上、1000ppm以下との範囲を満足する飲料について本発明の構成を適用することで酢酸由来の刺激を低減することができる。また、飲料のおいしさの観点から、酢酸の含有量は10~600ppmが好ましい。
飲料の酢酸含有量は、例えば高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって測定することができる。
【0010】
本実施形態の飲料に含まれる酢酸についてその由来は特に限定されない。例えば食酢などのような酢酸を主成分とした成分が飲料に添加されて含有されるようになる態様でもよく、また、後述する飲料に味および/または香りを付与する成分などに由来して飲料に含まれていてもよい。
【0011】
また、本実施形態の飲料は、炭酸飲料である。本明細書において炭酸飲料とは、飲料中に二酸化炭素(炭酸ガス)を溶存させた飲料をいう。
本実施形態の飲料が容器詰めの炭酸飲料である場合、その炭酸ガス圧は特に限定されず当業者が適宜設定できるが、酢酸由来の刺激をより低減できるため、1.0~4.5Volとすることが好ましく、2.0~3.0Volとすることがより好ましい。
本明細書において、炭酸ガス圧とは、1気圧、0℃における容器詰めの炭酸飲料中に溶解している炭酸ガスの容積と飲料の容積比をいう。
炭酸ガス圧は、試料を20℃とした後、ガス内圧力計を取り付け、一度活栓を開いてガス抜き(スニフト)操作を行い、直ちに活栓を閉じてから激しく振とうし、圧力が一定になった時の値として得ることができる。
【0012】
また、本実施形態の飲料は、リナロールおよびゲラニオールのうち少なくともいずれかを含有する。リナロールおよびゲラニオールについてその由来は特に限定されず、天然物由来または合成品である化合物が飲料に添加されてもよく、また、後述する飲料に味および/または香りを付与する成分などに由来して飲料に含まれていてもよい。
【0013】
リナロールはモノテルペンアルコールに分類される化合物である。本実施形態の飲料がリナロールを含有する場合に、その含有量は1~6000ppbである。また、酢酸由来の刺激の低減の観点から、リナロールを含有する場合のその含有量は10~4000ppbがより好ましい。また、飲料のおいしさの変化なども考慮すると含有量の上限値は1000ppbとすることが挙げられるので、10~1000ppbがさらにより好適な態様として例示できる。
ゲラニオールもモノテルペンアルコールに分類される化合物である。本実施形態の飲料がゲラニオールを含有する場合に、その含有量は1~4000ppbである。また、酢酸由来の刺激の低減の観点から、ゲラニオールを含有する場合のその含有量は2~1000ppbがより好ましい。また、飲料のおいしさの変化なども考慮すると含有量の上限値は500ppbとすることが挙げられるので、5~500ppbがさらに好ましい。
また、酢酸由来の飲んだ瞬間に感じる刺激と酢酸由来の飲んだ後に残る刺激の両方を低減できるので、本実施形態においては1~6000ppbのリナロールおよび1~4000ppbのゲラニオールを含有する飲料が好ましい。
【0014】
なお、リナロール、ゲラニオールの含有量はガスクロマトグラフ質量分析計(GC/MS、アジレント・テクノロジー社製、7890A GC/5975C MSD)を用いた固相マイクロ抽出法(SPME)法により定量することができる。
定量には標準添加法を用いる。測定サンプルについて3サンプルずつ準備し、その定量結果の平均値を測定結果とすることができる。準備した測定サンプルを含む20mLバイアル瓶を、60℃で10分間の加熱処理を施した後、当該バイアル瓶の気相部分にSUPELCO社製のSPMEファイバー(DVB/CAR/PDMS)を挿入し、5分間、揮発成分を捕集する。このSPMEファイバーをGC/MSに設置し、300秒間焼成することにより、捕集した揮発成分を脱離することができる。
GC/MSの分析条件は以下の通りである。
カラム:アジレント・テクノロジー社製、DB-WAX UI 0.25mm×30m×
0.25μm
オーブン温度:40℃で5分、その後3℃/分で180℃、20℃/分で230℃まで昇温。
キャリアガス:ヘリウム
注入口温度:230℃
注入方法:スプリットレス
【0015】
本実施形態の飲料は、酢酸、炭酸ガス、リナロールおよび/またはゲラニオールに加えて、本発明の目的を達成することができる範囲内において他の成分を含んでもよく、特に限定されない。
【0016】
例えば、本実施形態の飲料は、飲料に味および/または香りを付与する成分を含んでもよい。このような成分の一例として、果汁、緑茶、紅茶などの茶葉やコーヒー豆からの抽出物、香料などを挙げることができる。
果汁とは、果実を破砕して搾汁又は裏ごし等をし、必要に応じて皮、種子等を除去した液体成分をいう。果汁が由来する果物については、例えば、柑橘類、バラ科植物の果物、ブドウ、パイナップル、グァバ、バナナ、マンゴー、アセロラ、ライチ、パパイヤ、パッションフルーツ、ブルーベリー、キウイフルーツ、メロンなどが挙げられる。柑橘類としてはオレンジ、うんしゅうみかん、グレープフルーツ、レモン、ライム、柚子、いよかん、なつみかん、はっさく、ポンカン、シークワーサー、かぼす等が例示できる。また、バラ科植物の果物としてはアンズ、イチゴ、ウメ、サクランボ、スモモ、西洋ナシ、日本梨、ビワ、モモ、リンゴ、プルーン、ラズベリーなどが例示できる。例えばこれらのうち1種または2種以上の果物の果汁が選択されて本実施形態の飲料に含有されるようにしてもよい。
果汁や抽出物は、搾汁処理や抽出処理により得られるものをそのまま飲料中に添加してもよいほか、例えば濃縮、還元、発酵、凍結乾燥といった処理を経て飲料中に添加されたものであってもよい。
【0017】
さらに、本実施形態の飲料は、味および/または香りなどを付与するその他の成分、例えば市販の飲料において用いられている飲料成分が含まれるようにしてもよい。このような成分としては、消泡剤、酸味料、炭酸水素ナトリウムやクエン酸ナトリウムやリン酸ナトリウムや塩化ナトリウムなどのナトリウム塩、硫酸マグネシウムなどのマグネシウム塩、リン酸カリウムなどのカリウム塩、塩化カルシウムなどのカルシウム塩、pH調整剤、保存料、抗酸化剤、甘味料、アミノ酸などを挙げることができる。
本実施形態の飲料において、pHは特に限定されず、当業者が適宜設定でき、例えば2.0~4.0とすることができる。
【0018】
また、本実施形態の飲料においては、クエン酸酸度も特に限定されず、当業者が適宜設定でき、例えば0.1~0.4g/100mlとすることができる。
本明細書において、クエン酸酸度とは、飲料100ml中に含まれる有機酸量をクエン酸に換算した場合のグラム数[無水クエン酸g/100ml]を指す。飲料のクエン酸酸度は、JAS規格の酸度測定法に定められた方法、具体的には、0.1mol/L水酸化ナトリウム標準液をアルカリ溶液として使用した中和滴定法(定量式)により測定できる。なお、飲料が後述する炭酸飲料である場合には、クエン酸酸度の測定に供する前に炭酸ガスを常法により脱気した後、測定に供する。
【0019】
また、本実施形態の飲料において、Brix値も特に限定されず、当業者が適宜設定できるが、本発明の構成を適用することで範囲外にある場合と比較して酢酸由来の刺激をより低減できるため、飲料のBrix値は1~10が好ましい。
なお、本明細書においてBrix値とは、試料の温度(液温度)20℃における糖用屈折計の示度をいう。Brixの測定は、公知の方法、装置を用いて行うことができる。Brix値の調整は、例えば甘味料の配合量の調整などにより行うことができる。当該Brix値の調整は、特に限定されないが、例えば飲料を調製する段階において行うことができる。本明細書の実施例では、ATAGO社製のデジタル屈折計RX-5000αを用いて20℃で測定した値を測定した。
【0020】
本実施形態の飲料は、例えば、原料水に飲料中に含まれる成分を酢酸含有量:10~1000ppm、リナロール含有量:1~6000ppbおよび/またはゲラニオール含有量:1~4000ppbとなるように添加、混合し、得られた飲料(混合液)に二酸化炭素を溶存させて炭酸飲料とすることで製造できる。
成分を添加する方法や順序などは特に限定されず、当行者が適宜設定できる。上記の原料水は、水自体のほか、含有される成分の溶液等であってもよい。
また、飲料中に二酸化炭素を溶存させる処理も特に限定されず、例えば、原料水に他の成分を溶解等させた溶液に二酸化炭素を溶存させた水を混合して炭酸飲料とする方法(ポストミックス法)や、上述の溶液に二酸化炭素を直接噴き込んで溶解させる方法(プレミックス法)が挙げられる。
【0021】
本実施形態の飲料は、容器に封入された容器詰飲料とすることができる。
容器への封入方法などは特に限定されず、例えば常法に従って行うことができる。
容器も飲料に用いられる公知のものなどを適宜選択して用いることができ、素材や形状など特に限定されない。容器の具体例としては、例えば、透明又は半透明のビン、PETボトル等の透明又は半透明のプラスチック容器、スチール缶やアルミニウム缶等の金属缶などが挙げられる。
【0022】
以上、本実施形態によれば、その含有量が10~1000ppmである酢酸を含む飲料において、飲料を炭酸飲料とし、その含有量を1~6000ppbとしてリナロールおよび/またはその含有量を1~4000ppbとしてゲラニオールを含有させることで、飲料を飲んだときに感じられる酢酸由来の刺激を低減することができる。
その結果、酢酸を含有する飲料について嗜好性を高めることができるので、商品価値のより高い飲料とすることができる。
また、本発明の一態様として、その含有量が10~1000ppmである酢酸を含む炭酸飲料において、その含有量を1~6000ppbとしてリナロールおよび/またはその含有量を1~4000ppbとしてゲラニオールを含有させることを含む、酢酸由来の刺激の低減方法も提供することができる。
【実施例】
【0023】
以下の実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0024】
[試験1<炭酸ガスの有無による影響、及び、リナロールとゲラニオールによる酢酸臭低減効果の確認>]
イオン交換水に以下の表1に示す含有量で原材料を混合し、炭酸ガスを圧入して実施例、比較例、参考例の飲料を調製した。また、実施例、比較例、参考例の飲料のBrix値は6.7、クエン酸酸度は0.23質量%、炭酸ガス圧は2.7Volであった。
【0025】
実施例、比較例、参考例の飲料について、飲料開発に熟練したパネルが官能評価を実施した(n=5)。評価は、比較例1を対照として、以下の基準で、最も良い(または認められる)ものを7、最も悪い(または認められない)ものを1とする7段階評価を実施した。なお、評価点は、各パネルによって得られた数値を平均して算出した。結果を表1に示す。
【0026】
おいしさ;
7 かなり良い
6 良い
5 やや良い
4 変化なし
3 やや悪い
2 悪い
1 かなり悪い
【0027】
酢酸由来の飲んだ瞬間に感じる刺激、酢酸由来の飲んだ後に残る刺激;
7 非常に認められる
6 かなり認められる
5 とても認められる
4 比較的認められる
3 少し認められる
2 僅かに認められる
1 全く認められない
【0028】
【0029】
表1から理解できるとおり、実施例1-1~3の飲料においてはいずれも比較例1の飲料と比較して、酢酸由来の刺激が低減していた。一方、参考例の結果から理解できるとおり、炭酸飲料でない飲料においては酢酸由来の刺激が比較例1の飲料と比較して感じられず、また、リナロール、ゲラニオールの添加による酢酸由来の刺激の低減もほぼ認められなかった。
【0030】
[試験2<リナロール含有量、ゲラニオール含有量の違いによる低減効果の確認>]
リナロールを表2に示す含有量に変更した以外は実施例1-1と同様の方法で実施例3-1~7の飲料を調製した。また、ゲラニオールを表2に示す含有量に変更した以外は実施例1-2と同様の方法で実施例4-1~7の飲料を調製した。
表2、表3の飲料においてBrix値は6.7、クエン酸酸度は0.23質量%、炭酸ガス圧は2.7Volであった。
飲料開発に熟練したパネル(n=4)による評価とした以外は試験1と同様の方法で官能評価を行った。結果を表2、3に示す。
【0031】
【0032】
【0033】
表2、3から、実施例2-1~7、3-1~7の飲料いずれにおいても比較例1の飲料と比較して酢酸由来の刺激が低減されたことが理解できる。また、リナロールの含有量が4000ppbを超えると、酢酸由来の刺激の低減効果が変わらなくなり、1000ppbを超えると、おいしさの評価が向上しなくなることが分かる。一方、ゲラニオールの含有量が1000ppbを超えると、酢酸由来の刺激の低減効果がほとんど変わらなくなった。また、100ppb付近がおいしさの評価が高く、500ppbを超えてゲラニオールを添加してもおいしさの評価は向上しなかった。
【0034】
[試験3<酢酸量の違いによる低減効果の確認>]
リナロール、ゲラニオール、酢酸の含有量を表4に示す含有量に変更した以外は実施例1-3と同様の方法で実施例の飲料を調製した。
表4の飲料においてBrix値は6.7、クエン酸酸度は0.23質量%、炭酸ガス圧は2.7Volであった。
飲料開発に熟練したパネル(n=4)による評価とした以外は試験1と同様の方法で官能評価を行った。結果を表4に示す。
【0035】
【0036】
表4から理解できるように、実施例4-1~3の飲料はいずれも比較例1の飲料と比較して酢酸由来の刺激が低減していた。
【0037】
[試験4<Brixの違いによる低減効果の確認>]
Brix値を表5に示す値を有するようにして調製したほかは実施例1-3と同様の方法で実施例の飲料を調製した。また、Brix値を表5に示す値を有するようにして調製したほかは比較例1と同様の方法で比較例2の飲料を調製し、実施例5-2の飲料についての対照として用いた。
実施例、比較例の飲料のクエン酸酸度は0.23質量%、炭酸ガス圧は2.7Volであった。
飲料開発に熟練したパネル(n=4)による評価とした以外は試験1と同様の方法で官能評価を行った。結果を表5に示す。
【0038】
【0039】
表5から理解できるように、実施例5-1、2の飲料は、それぞれの対照である比較例1、2の飲料と比較して、酢酸由来の刺激が低減していた。