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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-04
(45)【発行日】2022-03-14
(54)【発明の名称】逆流防止弁
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/06 20060101AFI20220307BHJP
   F16K 15/14 20060101ALI20220307BHJP
【FI】
A61M1/06
F16K15/14 C
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2017128898
(22)【出願日】2017-06-30
(65)【公開番号】P2019011820
(43)【公開日】2019-01-24
【審査請求日】2020-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000112288
【氏名又は名称】ピジョン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098796
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 全
(74)【代理人】
【識別番号】100096806
【弁理士】
【氏名又は名称】岡▲崎▼ 信太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100121647
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 和孝
(74)【代理人】
【識別番号】100187377
【弁理士】
【氏名又は名称】芳野 理之
(72)【発明者】
【氏名】落合 志文
(72)【発明者】
【氏名】田中 雄市郎
(72)【発明者】
【氏名】杉山 良仁
【審査官】加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】実開昭55-015495(JP,U)
【文献】特開2014-147496(JP,A)
【文献】実開平01-148179(JP,U)
【文献】特開2012-026515(JP,A)
【文献】実開昭61-97473(JP,U)
【文献】実開平1-141318(JP,U)
【文献】特表2016-529990(JP,A)
【文献】特表2010-523283(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 15/00-15/20
A61M 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体に設けられた開口部を開閉し、前記開口部を通過する流体の逆流を防止する逆流防止弁であって、
可撓性を有する基部と、
周囲を前記基部に囲まれた状態で前記基部に接続され、前記基部の厚さよりも薄い厚さを有し、前記開口部を開閉する弁部と、
を備え、
前記弁部は、円形の底部を有するとともに前記基部から前記開口部に向かって突出したドーム状を呈し、前記基部の弾性により前記本体に向かって予め付勢され通常状態で前記開口部を密閉し、前記流体が前記開口部を一方向に通過する際に前記開口部を開放し、
前記弁部の端部は、外部には露出せず、全周囲にわたって前記基部に接続されていることを特徴とする逆流防止弁。
【請求項2】
前記弁部と前記本体との干渉量は、前記本体に対する取り付け部分から離れると大きくなることを特徴とする請求項1に記載の逆流防止弁。
【請求項3】
前記基部に付設され、前記本体に取り付けられる取付部をさらに備え、
前記取付部は、前記取付部の側面から外側に向かって突出した突起部を有することを特徴とする請求項1または2に記載の逆流防止弁。
【請求項4】
前記取付部は、前記基部と前記取付部とが互いに接続された部分に設けられ前記基部および前記取付部から外側に向かって肉が盛られた肉盛部をさらに有することを特徴とする請求項に記載の逆流防止弁。
【請求項5】
前記取付部の片側において前記基部に付設され、前記基部からみて前記取付部が延びた方向とは反対方向に延びた把持部をさらに備えたことを特徴とする請求項またはに記載の逆流防止弁。
【請求項6】
前記本体は、母乳を搾るときに使用される搾乳器の本体であることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の逆流防止弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開口部を通過する流体の逆流を防止する逆流防止弁に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、筒状の基部と、基部の下端から下方に延び下端においてノーマリークローズとして閉じられた一対の面状可動部を有する弁体と、を備えた弁装置が開示されている。特許文献1に記載された弁装置において、一対の面状可動部の下端の合わせ目には、スリット状の切れ目が形成されている。特許文献1に記載された弁装置は、例えばダックビル弁などと呼ばれる。
【0003】
特許文献1に記載された弁装置などのようなダックビル弁は、一般的に、合成樹脂などにより一体的に形成されている。そして、スリット状の切れ目は、弁装置の全体が合成樹脂等により形成された後に、一対の面状可動部の下端の合わせ部分が例えばカッタやプレス等を用いて切断あるいは切開されることで形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-152144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、一般的に、一対の面状可動部の下端の厚さは、一対の面状可動部の上端の厚さよりも薄い。そして、相対的に薄い部分が、一対の面状可動部の下端部として外部に露出している。そのため、弁装置のうちで相対的に薄い面状可動部の下端部が裂けやすいという点においては改善の余地がある。また、一対の面状可動部の下端の合わせ部分が例えばカッタなどで切断あるいは切開されると、スリット状の切れ目は、鋭利な形状を呈する。そのため、スリット状の切れ目が裂けたり変形したりしやすいという点においては改善の余地がある。
【0006】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、裂けや変形などの破損が生ずることを抑えることができる逆流防止弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題は、本発明によれば、本体に設けられた開口部を開閉し、前記開口部を通過する流体の逆流を防止する逆流防止弁であって、可撓性を有する基部と、周囲を前記基部に囲まれた状態で前記基部に接続され、前記基部の厚さよりも薄い厚さを有し、前記開口部を開閉する弁部と、を備え、前記弁部は、円形の底部を有するとともに前記基部から前記開口部に向かって突出したドーム状を呈し、前記基部の弾性により前記本体に向かって予め付勢され通常状態で前記開口部を密閉し、前記流体が前記開口部を一方向に通過する際に前記開口部を開放し、前記弁部の端部は、外部には露出せず、全周囲にわたって前記基部に接続されていることを特徴とする逆流防止弁により解決される。
【0008】
前記構成によれば、逆流防止弁は、可撓性を有する基部と、本体に設けられた開口部を開閉する弁部と、を備える。弁部は、周囲を基部に囲まれた状態で基部に接続されている。また、弁部の厚さは、基部の厚さよりも薄い。そして、弁部は、基部の弾性により本体に向かって予め付勢され通常状態で開口部を密閉し、流体が開口部を一方向に通過する際に開口部を開放する。このように、基部の厚さよりも薄い弁部が周囲を基部に囲まれているため、弁部の端部は、外部には露出せず、全周囲にわたって基部に接続されている。これにより、弁部の端部が裂けることを抑えることができる。また、例えばカッタなどで切断あるいは切開された切れ目は弁部には設けられておらず、弁部は、基部の弾性により本体に向かって予め付勢され、通常状態で本体の開口部を密閉している。一方で、弁部は、流体が本体の開口部を一方向に通過する際に開口部を開放する。そのため、弁部は、鋭利な形状の部分を有しておらず、スリット状の切れ目を介して流体を通過させるわけではない。これにより、弁部が裂けたり変形したりすることを抑えることができる。以上より、前記構成の逆流防止弁は、裂けや変形などの破損が生ずることを抑えることができる。
また、前記構成によれば、弁部は、円形の底部を有し、基部から本体の開口部に向かって突出したドーム状を呈する。そのため、弁部が本体の開口部を密閉した状態において、均一の力が弁部にかかる。すなわち、弁部が本体の開口部を密閉した状態では、弁部が本体から受ける力は、弁部と本体との接触部分の全体にわたって均一である。そのため、弁部と本体との間に隙間が生ずることを抑えることができ、ドーム状の弁部が開口部を通して本体の吸引空間に吸い込まれることでより高い密閉性を確保することができる。
【0009】
また、例えばカッタなどで切断あるいは切開し切れ目を形成する工程が不要である。そのため、逆流防止弁の製造工程を簡略化することができる。さらに、前述したように、基部の厚さよりも薄い弁部は、周囲を基部に囲まれている。言い換えれば、弁部の厚さよりも厚い基部が、弁部の周囲を囲んでいる。そのため、弁部が開口部を通して本体の吸引空間に過度に吸い込まれることを抑えることができる。そのため、弁部が本体の吸引空間に過度に吸い込まれることを防止する構造は、開口部の周りには不要である。これにより、使用者は、逆流防止弁が取り付けられる本体の開口部の周りを容易に洗浄することができる。
【0010】
好ましくは、前記弁部と前記本体との干渉量は、前記本体に対する取り付け部分から離れると大きくなることを特徴とする。
【0011】
前記構成によれば、弁部と本体との干渉量は、全周囲にわたって必ずしも一定ではない。弁部と本体との干渉量は、本体に対する取り付け部分から離れると大きくなる。そのため、弁部と本体との干渉量を調整することにより、基部の弾性により本体に向かって弁部を予め付勢することができる。これにより、弁部は、通常状態で本体の開口部をより確実に密閉することができる。
【0014】
好ましくは、前記基部に付設され、前記本体に取り付けられる取付部をさらに備え、前記取付部は、前記取付部の側面から外側に向かって突出した突起部を有することを特徴とする。
【0015】
前記構成によれば、逆流防止弁は、基部に付設された取付部をさらに備える。取付部は、本体に取り付けられる部分に相当し、取付部の側面から外側に向かって突出した突起部を有する。これにより、逆流防止弁を本体に取り付ける作業者は、逆流防止弁が本体に確実に取り付けられたことを操作感覚により判別することができる。また、突起部が取付部の側面から外側に向かって突出しているため、取付部が本体から外れることを抑えることができる。
【0016】
好ましくは、前記取付部は、前記基部と前記取付部とが互いに接続された部分に設けられ前記基部および前記取付部から外側に向かって肉が盛られた肉盛部をさらに有することを特徴とする。
【0017】
前記構成によれば、取付部は、肉盛部をさらに有する。肉盛部は、基部と取付部とが互いに接続された部分に設けられている。肉盛部では、基部および取付部から外側に向かって肉が盛られている。そのため、基部と取付部とが互いに接続された部分と、本体と、の間において、干渉部分を確保することができる。そのため、取付部と本体との間において、より高い密閉性あるいは密着性を確保することができる。
【0018】
好ましくは、前記取付部の片側において前記基部に付設され、前記基部からみて前記取付部が延びた方向とは反対方向に延びた把持部をさらに備えたことを特徴とする。
【0019】
前記構成によれば、逆流防止弁は、把持部をさらに備える。把持部は、取付部の片側において基部に付設されている。また、把持部は、基部からみて取付部が延びた方向とは反対方向に延びている。そのため、逆流防止弁が本体に取り付けられた状態において、使用者は、把持部を掴み引っ張ることで逆流防止弁を本体から容易に外すことができる。これにより、使用者は、逆流防止弁や逆流防止弁が取り付けられる本体の開口部の周りを容易に洗浄することができる。
好ましくは、前記本体は、母乳を搾るときに使用される搾乳器の本体であることを特徴とする。
前記構成によれば、本発明に係る逆流防止弁は、母乳を搾るときに使用される搾乳器の本体に設けられた開口部を開閉し、開口部を通過する母乳の逆流を防止する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、裂けや変形などの破損が生ずることを抑えることができる逆流防止弁を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態に係る逆流防止弁を表す斜視図である。
図2図1に表した切断面A1-A1における断面図である。
図3】本実施形態に係る逆流防止弁が取り付けられた搾乳器を表す斜視図である。
図4図3に表した切断面A2-A2における断面図である。
図5図3に表した領域A12を拡大した拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して詳しく説明する。
なお、以下に説明する実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0023】
図1および図2を参照して、本実施形態に係る逆流防止弁を説明する。本実施形態に係る逆流防止弁7は、逆流防止弁7が取り付けられる本体に設けられた開口部を開閉し、開口部を通過する流体の逆流を防止する。本体としては、例えば使用者が母乳を搾るときに使用する搾乳器の本体や、飲料物を供給する飲料サーバ装置などの本体が挙げられる。但し、逆流防止弁7が取り付けられる本体は、これだけには限定されない。逆流防止弁7が取り付けられる本体の例については、図3図5に関して後述する。
【0024】
図1および図2に表したように、本実施形態に係る逆流防止弁7は、基部71と、弁部72と、取付部73と、把持部74と、を備える。なお、取付部73および把持部74は、必ずしも設けられていなくともよい。取付部73が設けられている場合には、逆流防止弁7は、本体に対して着脱自在に設けられる。また、把持部74が設けられている場合には、使用者は、把持部74を掴むことで、逆流防止弁7を本体に容易に取り付けたり本体から容易に取り外したりすることができる。
【0025】
逆流防止弁7は、例えば合成樹脂等の弾性体により一体成形されており、全体として可撓性を有する。そのため、基部71および弁部72は、可撓性を有する。逆流防止弁7の材料としては、例えば、シリコーンゴムやエラストマー、天然ゴム等などが挙げられる。
【0026】
図1に表したように、弁部72は、周囲を基部71に囲まれた状態で基部71に接続されている。具体的には、弁部72は、円形の底部を有するとともに、基部71から所定方向に向かって突出したドーム状を呈する。弁部72が突出した所定方向は、例えば逆流防止弁7が取り付けられる本体の開口部に向かう方向である。
【0027】
図2に表したように、弁部72の厚さt1は、基部71の厚さt2よりも薄い。そのため、弁部72は、基部71と比較すると撓みやすく、本体の開口部を密閉することができる。具体的には、弁部72は、基部71の弾性により本体に向かって予め付勢されており、通常状態で本体の開口部を密閉する。この詳細については、図3図5に関して後述する。一方で、弁部72は、流体が本体の開口部を一方向に通過する際に本体の開口部を開放する。このようにして、本実施形態に係る逆流防止弁7は、本体の開口部を通過する流体の逆流を防止する。
【0028】
取付部73は、基部71に付設されている。本実施形態に係る逆流防止弁7では、取付部73は、基部71の上面711に設けられ、基部71の上面711から突出している。取付部73は、逆流防止弁7が本体に取り付けられるときの「本体に対する取り付け部分」に相当する。取付部73は、側面733から外側に向かって突出した突起部731を有する。そのため、逆流防止弁7を本体に取り付ける作業者は、逆流防止弁7が本体に確実に取り付けられたことを操作感覚により判別することができる。また、突起部731は、取付部73が本体から外れることを抑えることができる。
【0029】
取付部73は、肉盛部732をさらに有する。肉盛部732は、基部71と取付部73とが互いに接続された部分に設けられている。具体的には、肉盛部732は、基部71の上面711と、取付部73の側面733と、にわたって設けられている。肉盛部732は、基部71および取付部73から外側に向かって肉が盛られた部分である。肉盛部732が設けられていることにより、基部71と取付部73とが互いに接続された部分と、本体と、の間において、干渉部分を確保することができる。この詳細については、図3図5に関して後述する。
【0030】
把持部74は、取付部73の片側において基部71に付設されている。本実施形態に係る逆流防止弁7では、把持部74は、取付部73からみて一方側の基部71の側面712に設けられている。把持部74は、基部71からみて取付部73が延びた方向とは反対方向に延びている。すなわち、図1に表した逆流防止弁7においては、取付部73は上方向に向かって延びている一方で、把持部74は下方向に向かって延びている。把持部74が設けられていることにより、使用者は、把持部74を掴むことで、逆流防止弁7を本体に容易に取り付けたり本体から容易に取り外したりすることができる。
【0031】
本実施形態に係る逆流防止弁7によれば、基部71の厚さt2よりも薄い厚さt1の弁部72は、周囲を基部71に囲まれている。そのため、弁部72の端部は、外部には露出せず、全周囲にわたって基部71に接続されている。これにより、弁部72の端部が裂けることを抑えることができる。また、例えばカッタなどで切断あるいは切開された切れ目は、弁部72には設けられていない。弁部72は、基部71の弾性により本体に向かって予め付勢され、通常状態で本体の開口部を密閉している。一方で、弁部72は、流体が本体の開口部を一方向に通過する際に開口部を開放する。そのため、弁部72は、鋭利な形状の部分を有しておらず、スリット状の切れ目を介して流体を通過させるわけではない。これにより、弁部72が裂けたり変形したりすることを抑えることができる。以上より、本実施形態に係る逆流防止弁7は、裂けや変形などの破損が生ずることを抑えることができる。
【0032】
また、例えばカッタなどで切断あるいは切開し切れ目を形成する工程が不要である。そのため、逆流防止弁7の製造工程を簡略化することができる。さらに、前述したように、基部71の厚さt2よりも薄い厚さt1の弁部は、周囲を基部71に囲まれている。言い換えれば、弁部72の厚さt1よりも厚い厚さt2の基部71が、弁部72の周囲を囲んでいる。そのため、弁部72が開口部を通して本体の吸引空間に過度に吸い込まれることを抑えることができる。そのため、弁部72が本体の吸引空間に過度に吸い込まれることを防止する構造(例えばリブ構造や網状構造)は、本体の開口部の周りには不要である。これにより、使用者は、逆流防止弁7が取り付けられる本体の開口部の周りを容易に洗浄することができる。
【0033】
次に、図3図5を参照して、逆流防止弁7が取り付けられる本体の例を説明する。図1および図2に関して前述したように、本実施形態に係る逆流防止弁7は、例えば使用者が母乳を搾るときに使用する搾乳器の本体や、飲料物を供給する飲料サーバ装置などの本体に取り付けられる。図3図5では、逆流防止弁7が搾乳器2の本体3に取り付けられた場合を例に挙げて説明する。
【0034】
図3図5に表した手動搾乳器(説明の便宜上、以下の説明では単に「搾乳器」と称する)2は、乳児に直接母乳を与えることが困難な場合、乳頭が傷ついている場合、乳腺炎を予防する場合などに用いられ、使用者が手動で操作をして搾乳できる器具である。使用者は、搾乳器2を自ら手で持って使用する。そのため、搾乳器2は、軽量であって、かつ、片手での操作を可能とし、疲労を軽減できるものが好ましい。
【0035】
搾乳器2は、本体3と、フード4と、ハンドル5と、ボトル6と、を備える。フード4は、乳房の形状に対応するラッパ状または略ドーム状に形成され、乳房にあてがわれる。フード4のうちで最も径の小さい縮径部41は、本体3のケーシング31の上部に設けられた装着部311に接続される。使用者がフード4に囲まれた空間S1に乳房を挿入すると、空間S1は、使用者の乳首を密封するように収容する収容空間S2を有するようになる。収容空間S2の内部が負圧に設定されることで、搾乳可能な構造が形成される。
【0036】
本体3は、ケーシング31と、ベース部32と、ベースパッキン33と、ダイヤフラム34と、結合部35と、を有する。本実施形態に係る逆流防止弁7は、本体3のケーシング31の内部に取り付けられ、ケーシング31の内部に形成された開口部313を開閉し、開口部313を通過する母乳の逆流を防止する。
【0037】
ケーシング31は、比較的軽く、かつ、硬質な合成樹脂材料により成形されている。ケーシング31の材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリシクロオレフィン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニルサルフォン等が挙げられる。フード4が装着される装着部311は、気体や搾乳された母乳などが通過する第1通路312を有する。図4に表したように、第1通路312は、ケーシング31内の略中央部に形成された内部空間S3と、ベースパッキン33の貫通孔331と、ベース部32の内部に形成された第2通路321と、を介して、連通部S4と空間的に繋がっている。
【0038】
ベース部32は、ベースパッキン33を介してケーシング31に保持されている。ベースパッキン33は、ケーシング31とベース部32との間に挟設され、ケーシング31に対してベース部32を保持するとともに、ケーシング31とベース部32との間の隙間を母乳が流れることを防止する。すなわち、ベースパッキン33は、ケーシング31に対してベース部32を保持する保持機能と、ケーシング31とベース部32との間の隙間を母乳が流れることを防止する逆流防止機能と、を有する。
【0039】
ベース部32の上部には、ダイヤフラム34が設けられている。ダイヤフラム34は、例えば合成樹脂等の弾性体により一体成形されており、全体として可撓性を有する。ダイヤフラム34は、伸ばされることでベース部32の上部に引っ掛けられ接続されている。具体的には、ダイヤフラム34の下端部344がベース部32の上部に設けられた溝部322に引っ掛けられることにより、ダイヤフラム34は、ベース部32に取り付けられている。
【0040】
ベース部32は、装着部311とは反対側の位置に設けられたアーム323を有する。アーム323は、ダイヤフラム34がベース部32に接続される位置よりも上側の位置まで延びている。好ましくは、アーム323は、ダイヤフラム34に隣接した位置で、ダイヤフラム34の上端よりも上側の位置まで延びている。アーム323の上端部には、ハンドル5を回動自在に支持する支軸部324が形成されている。支軸部324は、ハンドル5の幅方向Xに沿ってアーム323から延び、両端部においてハンドル5の内側に設けられた一対の軸受部51に着脱可能に接続されている。これにより、ハンドル5は、ベース部32の支軸部324を中心として支軸部324の回り(図4に表したY方向)に回動することかできる。すなわち、ケーシング31は、使用者が片手で握ることができる大きさを有する。図4に表したように、ケーシング31は、親指TBが容易に密着できる湾曲状の窪み部317を、フード4側の外周側面に有する。使用者は、親指TBを窪み部317に置いた状態で、親指以外の任意の指FGをハンドル5のレバー部52に当て、ケーシング31とレバー部52とを同時に片手で把持することができる。そして、使用者は、ケーシング31とレバー部52とを把持した手を握ったり緩めたりすることで、支軸部324を中心にハンドル5の回動操作を行うことができる。なお、ハンドル5の軸支構造は、これだけには限定されない。例えば、ハンドル5の軸受部51は、円形状の貫通孔であってもよい。この場合には、アーム323の支軸部324は、貫通孔としての軸受部51に通される。
【0041】
ベース部32とダイヤフラム34との間に形成された連通部S4は、負圧が付与される領域(空間)である。なお、ベース部32がダイヤフラム34に接続されて連通部S4を覆い封止できる限りにおいて、ベース部32の構造は、図4に表した構造には限定されない。例えば、ベース部は、連通部S4の負圧が付与される空間の周囲を囲むように十分な高さのある壁部を有する円筒状又はカップ状の部材として形成されていてもよい。ダイヤフラム34が変化することによりベース部32とダイヤフラム34との間に形成された連通部S4が負圧状態になると、フード4により囲まれた空間S1は、ベース部32の第2通路321と、ベースパッキン33の貫通孔331と、ケーシング31の内部空間S3と、第1通路312と、を介して負圧状態になる。
【0042】
ケーシング31の内部空間S3の下側は、開口部313を通してボトル6に向かって開口している。図5に表したように、本実施形態に係る逆流防止弁7は、開口部313が形成された部分において、取付部73によりケーシング31に取り付けられている。図1および図2に関して前述したように、取付部73は、側面733から外側に向かって突出した突起部731を有する。そのため、図5に表したように、逆流防止弁7がケーシング31に取り付けられると、作業者は、逆流防止弁7がケーシング31に確実に取り付けられたことを操作感覚(例えばクリック感など)により判別することができる。また、突起部731は、取付部73の側面733から外側に向かって突出しているため、取付部73がケーシング31から外れることを抑えることができる。
【0043】
また、図1および図2に関して前述したように、取付部73は、肉盛部732をさらに有する。そのため、図5に表したように、基部71と取付部73とが互いに接続された部分(肉盛部732が設けられた部分)と、ケーシング31と、の間において、干渉部分を確保することができる。すなわち、本体3のケーシング31は、肉盛部732に食い込むことできる。そのため、取付部73とケーシング31との間において、より高い密閉性あるいは密着性を確保することができる。
【0044】
逆流防止弁7の弁部72は、基部71の弾性により本体3のケーシング31に向かって予め付勢されており、通常状態で開口部313を密閉する(ノーマリークローズ)。すなわち、逆流防止弁7は、ケーシング31に取り付けられた状態において、基部71の弾性によりケーシング31に向かって押し付けられ、仮想的にケーシング31と干渉する部分(重複する部分)を有する。つまり、基部71の弾性により、ケーシング31に向かう方向のバイアスが逆流防止弁7にかかっている。図5に表したように、逆流防止弁7の弁部72と、本体3のケーシング31と、の干渉量は、弁部72の全周囲にわたって必ずしも一定ではなく、逆流防止弁7がケーシング31に取り付けられた部分(取付部73)から離れると大きくなる。具体的には、逆流防止弁7がケーシング31に取り付けられた状態において、取付部73からみて相対的に遠い位置における弁部72とケーシング31との干渉量D2は、取付部73からみて相対的に近い位置における弁部72とケーシング31との干渉量D1よりも大きい。つまり、ケーシング31のうちで基部71の上面711に接触する面と、ケーシング31のうちで弁部72と接触する部分(開口部313の周囲部分)と、の間の角度は、基部71の上面711と、弁部72のうちでケーシング31と接触する部分(弁部72の周囲部分)と、の間の角度よりも小さい。このように、弁部72とケーシング31との干渉量を調整することにより、基部71の弾性によりケーシング31に向かって弁部72を予め付勢することができる。これにより、弁部72は、基部71の弾性により本体3のケーシング31に向かって予め付勢され、通常状態で開口部313をより確実に密閉することができる。
【0045】
連通部S4が負圧状態になると、ケーシング31の内部空間S3は、ベース部32の第2通路321と、ベースパッキン33の貫通孔331と、を介して負圧状態になる。そうすると、逆流防止弁7の弁部72は、ケーシング31の開口部313を通して内部空間(吸引空間)S3に吸い込まれる。ここで、弁部72は、円形の底部を有するとともに、基部71から開口部313に向かって突出したドーム状を呈する。言い換えれば、弁部72の中心と、弁部72のうちでケーシング31と接触する部分(弁部72の周囲部分)と、の間の距離は、弁部72の全周囲にわたって略同一である。そのため、弁部72が開口部313を密閉した状態において、均一の力が弁部72にかかる。すなわち、弁部72が開口部313を密閉した状態では、弁部72がケーシング31から受ける力は、弁部72とケーシング31との接触部分の全体にわたって均一である。そのため、弁部72とケーシング31との間に隙間が生ずることを抑えることができ、ドーム状の弁部72が開口部313を通して内部空間S3に吸い込まれることで、より高い密閉性を確保することができる。
【0046】
このとき、図1および図2に関して前述したしたように、弁部72が開口部313を通して内部空間S3に過度に吸い込まれることは抑制される。そのため、弁部72が内部空間S3に過度に吸い込まれることを防止する構造(例えばリブ構造や網状構造など)は、開口部313の周りには不要である。これにより、使用者は、逆流防止弁7が取り付けられる開口部313の周りを容易に洗浄することができる。また、図1および図2に関して前述したしたように、逆流防止弁7は、把持部74を備える。そのため、使用者は、把持部74を掴むことで、逆流防止弁7を本体3から容易に取り外すことができる。これにより、使用者は、逆流防止弁7が取り付けられる開口部313の周りをより一層容易に洗浄することができる。
【0047】
連通部S4の負圧状態が解除され、開口部313および弁部72の領域(内部空間S3)に搾乳された母乳が所定量まで貯留されると、逆流防止弁7の弁部72は、母乳の重量や負圧の解除(圧力の変化)に基づいて開口部313を開放する。これにより、搾乳された母乳は、開口部313を通りボトル6の内部に導かれる。
【0048】
ケーシング31は、ボトル6に対して着脱可能に設けられた着脱部314を下端部に有する。着脱部314は、ドーム状あるいは筒状を呈し、逆流防止弁7が開口部313を開放したときに内部空間S3に連通する空間S5を有する。着脱部314の内側には、雌ネジ部315が設けられている。一方で、ボトル6の上端部の外側には、雄ネジ部61が設けられている。着脱部314の雌ネジ部315と、ボトル6の雄ネジ部61と、は互いに螺合可能とされている。なお、ボトル6は、搾乳器2の専用品でもよいし、着脱部314に適合した哺乳瓶等であってもよい。また、ボトル6は、成形された容器ではなく、袋状とされていてもよい。本実施形態の着脱部314の端部は、搾乳器2の専用品としてのボトル6だけではなく、任意の哺乳瓶を着脱可能にするため、任意の哺乳瓶の瓶口に対応した開口部316とされている。
【0049】
ダイヤフラム34は、負圧を発生させるための負圧発生部材である。本実施形態では、ダイヤフラム34は、ベース部32の上部に接続され、連通部S4を覆っている。図4に表したように、ダイヤフラム34は、複雑に屈曲して、全体として比較的扁平な有底の円筒体に近いシート状を呈する。具体的には、ダイヤフラム34は、外側で起立した第1壁部341と、上端部が一体に内側に折り返された内側壁部としての第2壁部342と、を有する。第1壁部341は、外径を保持する程度の剛性を有する。第2壁部342の厚さは、第1壁部341の厚さよりも薄い。第2壁部342は、変形部として設けられている。第2壁部342の下端には、底面部343が接続されている。底面部343は、比較的広い内側底部として第2壁部342と一体的に形成され、円筒形状の下部を塞ぐように第2壁部342から中心に向かって延びている。すなわち、第1壁部341および第2壁部342は、互いに同じ材料で形成されている。そして、第1壁部341および第2壁部342において、材料の厚みを互いに異ならせることにより、互いに異なる剛性が付与されている。このため、ハンドル5の操作による外力がダイヤフラム34に作用した場合おいて、第2壁部342は、第1壁部341が変形しないレベルの外力が作用したときであっても変形することができる。
【0050】
ダイヤフラム34は、比較的弾性に富んだ柔軟な変形材料、すなわち、JIS-K6253(ISO7619)におけるA型デュロメータによる硬度がHS30~70程度の合成樹脂により形成されている。ダイヤフラム34の材料としては、例えば、シリコーンゴムやイソプレンゴム、SEBS(スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン)等のエラストマー等が挙げられる。本実施形態では、ダイヤフラム34の材料としてシリコーンゴムが利用される。好ましくは、第1壁部341の部分の材料の厚さは、例えば約1.5mm以上、3.0mm以下程度である。具体的には、ダイヤフラム34の第1壁部341は、下方に延びており、下端において内側に曲折した下端部344を有する。下端部344の厚さは、第1壁部341の部分と同様に、例えば約1.5mm以上、3.0mm以下程度である。
【0051】
ダイヤフラム34がハンドル5の操作の作用を受けると、変形部としての第2壁部342が変形する。そうすると、底面部343とベース部32との間に形成された連通部S4の空間の容積が変化する。これにより、ダイヤフラム34は、連通部S4に対して一定量の負圧を付与する。つまり、ダイヤフラム34の変形により、連通部S4が負圧状態になる。連通部S4が負圧状態になると、第2通路321、貫通孔331および内部空間S3を介して、第1通路312内の空気が吸引され、母乳が吸引(搾乳)される。この際、第1壁部341は殆ど変形せず、ベース部32に対する接続状態が保持される。
【0052】
なお、本実施形態のダイヤフラム34は、起立した第1壁部341を有する。そのため、ベース部32の高さがあまり高くなくとも、ダイヤフラム34は、ベース部32よりも上方で十分に変形して、連通部S4において所要の負圧を発生させることができる。但し、ダイヤフラム34の形状は、これだけには限定されない。例えば、ベース部が連通部S4の周囲を囲むように十分な高さの壁部を有する円筒状またはカップ状の部材として設けられた場合には、ダイヤフラムは、円筒状またはカップ状のベース部の上側の開口部を覆うように接続されるとともに、円筒状またはカップ状のベース部の内側に向かって窪んだ形状を有していてもよい。この場合には、ダイヤフラムは、円筒状またはカップ状のベース部の内側において変形することができる。また、ダイヤフラム34は、着脱式に限られず、ベース部32に固定されていてもよい。
【0053】
結合部35は、ダイヤフラム34に設けられ、ハンドル5と連結し、ダイヤフラム34の第2壁部342を変形させる。結合部35は、変形部としての第2壁部342の材料よりも硬い硬質材料で形成されている。結合部35の材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリシクロオレフィン、ポリエーテルサルフォン等の合成樹脂が挙げられる。結合部35は、平たい円盤状の基部351を有する。基部351は、底面部343の下側(連通部S4側)に配置されている。
【0054】
また、結合部35は、基部351から上方に突出して軸状に延びた連結部352を有する。連結部352は、ハンドル5と連結している。具体的には、連結部352は、ダイヤフラム34の底面部343の中央部に形成された通し孔(基部351よりも小径な孔)に挿通されて、底面部343の上側に露出することで、ハンドル5に連結可能とされている。連結部352に連結されたハンドル5を使用者が引き上げると、基部351がダイヤフラム34の底面部343を押し上げる。そうすると、ダイヤフラム34の第2壁部342が連通部S4の空間を大きく変形させる。なお、本実施形態の基部351は、ダイヤフラム34の底面部343の下側において、底面部343には接続せずに配置されている。但し、基部351の設置形態は、これだけには限定されない。例えば、基部351は、底面部343の上側に固定されていてもよい。
【0055】
連結部352は、連結部352の延伸方向Z(図3および図4参照)において互いに並んで配置された第1突出部353および第2突出部354を有する。第1突出部353および第2突出部354のそれぞれは、連結部352の軸部から径外方向に突出している。第1突出部353と第2突出部354との間には、第1係合部355が設けられている。第1係合部355は、第1突出部353と第2突出部354との間において窪んだ部分(溝部分)である。また、第2突出部354と基部351との間には、第2係合部356が設けられている。第2係合部355は、第2突出部354と基部351との間において窪んだ部分(溝部分)である。
【0056】
ハンドル5は、第1係合部355または第2係合部356と係合することにより連結部352と連結している。これにより、ハンドル5と連結部352との延伸方向Zにおける連結位置は、変更可能とされている。そのため、ハンドル5が連結部352を引き上げる距離は、変更可能とされている。これにより、ダイヤフラム34の変形量を変更することができる。すなわち、図4に表したように、第1係合部355および第2係合部356は、延伸方向Zにおいて互いに離れて段階的に形成されている。そのため、ハンドル5と係合部355、356との係合位置に応じて、ハンドル5が連結部352を引き上げる距離は、段階的に変更可能とされている。
【0057】
ハンドル5は、長尺の形状を有し、全体として、比較的硬質であって軽量な合成樹脂により成形されている。ハンドル5の材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリシクロオレフィン、ポリエーテルサルフォン等が挙げられる。ハンドル5は、ダイヤフラム34の上方に配置されて、ダイヤフラム34を持ち上げるリフト部53と、リフト部53から曲折して本体3の側面に位置するレバー部52と、を有する。
【0058】
リフト部53には、連結部352と連結される被連結部54が設けられている。被連結部54は、連結部352の連結位置を保持するための保持開口部と、連結部352を挿入するための挿入開口部と、を有する。保持開口部と挿入開口部とは、互いに空間的に接続されている。保持開口部の内径は、第1係合部355および第2係合部356のそれぞれの外径よりも僅かに大きい一方で、第1突出部353および第2突出部354のそれぞれの外径よりも小さい。これに対して、挿入開口部の内径は、第1突出部353および第2突出部354のそれぞれの外径よりも大きい。これにより、使用者は、連結部352を挿入開口部に挿入した後、連結部352を保持開口部に向かってスライドさせて第1係合部355または第2係合部356を保持開口部に入れることにより、ハンドル5と連結部352とを互いに位置決めすることができる。
【0059】
レバー部52は、レバー状に形成され、取手の役割を果たす。レバー部52の外側の領域は、使用者が親指以外の指FGを置く領域に相当する。つまり、レバー部52の外側表面は、使用者が親指以外の指FGを当てる表面に相当する。使用者が指FGを当てるレバー部52の外側表面と、使用者が親指TBを置く窪み部317と、の距離は、レバー部52の外側表面と窪み部317との間に本体3のケーシング31を挟んで使用者が把持できる程度の距離である。使用者がケーシング31を挟んで把持した手を握ることで、レバー部52は、図4に表した矢印A11の方向に押されて本体3に接近する。そうすると、ハンドル5が支軸部324を中心に回動する。そうすると、ハンドル5のリフト部53は、結合部35を介してダイヤフラム34を上に持ち上げる。そうすると、連通部S4の空間の容積が拡大して負圧状態となる。これにより、フード4により囲まれた空間S1および収容空間S2は、ベース部32の第2通路321と、ベースパッキン33の貫通孔331と、ケーシング31の内部空間S3と、第1通路312と、を介して負圧状態になる。このようにして、母乳の搾乳が行われる。
【0060】
レバー部52は、指FGを置く領域から下側に向かうに従って、除々に外側に向かうように湾曲している。これにより、ハンドル5の下端部55は、やや外側に跳ねるような外観を呈する。そのため、使用者がレバー部52を本体3に接近させた場合において、指FGハンドル5の下側にずれることを抑えることができる。
【0061】
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は、上記実施形態に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。上記実施形態の構成は、その一部を省略したり、上記とは異なるように任意に組み合わせたりすることができる。
【符号の説明】
【0062】
2・・・搾乳器、 3・・・本体、 4・・・フード、 5・・・ハンドル、 6・・・ボトル、 7・・・逆流防止弁、 31・・・ケーシング、 32・・・ベース部、 33・・・ベースパッキン、 34・・・ダイヤフラム、 35・・・結合部、 41・・・縮径部、 51・・・軸受部、 52・・・レバー部、 53・・・リフト部、 54・・・被連結部、 55・・・下端部、 61・・・雄ネジ部、 71・・・基部、 72・・・弁部、 73・・・取付部、 74・・・把持部、 311・・・装着部、 312・・・第1通路、 313・・・開口部、 314・・・着脱部、 315・・・雌ネジ部、 316・・・開口部、 317・・・窪み部、 321・・・第2通路、 322・・・溝部、 323・・・アーム、 324・・・支軸部、 331・・・貫通孔、 341・・・第1壁部、 342・・・第2壁部、 343・・・底面部、 344・・・下端部、 351・・・基部、 352・・・連結部、 353・・・第1突出部、 354・・・第2突出部、 355・・・第1係合部、 356・・・第2係合部、 711・・・上面、 712・・・側面、 731・・・突起部、 732・・・肉盛部、 733・・・側面、 D1、D2・・・干渉量、 FG・・・指、 S1・・・空間、 S2・・・収容空間、 S3・・・内部空間、 S4・・・連通部、 S5・・・空間、 TB・・・親指

図1
図2
図3
図4
図5