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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-04
(45)【発行日】2022-03-14
(54)【発明の名称】回収装置を有する熱処理システム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/324 20060101AFI20220307BHJP
【FI】
H01L21/324 R
H01L21/324 G
【請求項の数】 8
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017193750
(22)【出願日】2017-10-03
(65)【公開番号】P2018064094
(43)【公開日】2018-04-19
【審査請求日】2020-07-21
(31)【優先権主張番号】1659810
(32)【優先日】2016-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】500361216
【氏名又は名称】ソワテク
(74)【代理人】
【識別番号】100107641
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 耕一
(72)【発明者】
【氏名】ランドリュ,ディディエ
(72)【発明者】
【氏名】コノンチュク,オレグ
(72)【発明者】
【氏名】シモン,セバスチャン
【審査官】桑原 清
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-223538(JP,A)
【文献】特開2011-129567(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/324
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の基板(10)を収容可能なチャンバ(2)と、基板(10)が前記チャンバに入る領域の反対に存する前記チャンバ(2)の遠位部にあるガス吸気通路(5)と、熱処理中に生成されるガスおよび/または揮発性種用の排気通路(6)であって前記基板(10)が前記チャンバに入る前記領域の近くに存する前記チャンバ(2)の近位部にある排気通路(6)と、を備える熱処理システム(100)であって;前記熱処理システム(100)は、前記チャンバ(2)の前記近位部において、回収装置(200)であって:
・前記チャンバ(2)の前記遠位部の方を向いた取り込み開口(202)を有し、
・前記排気通路(6)と連通する隔室(201)であってガスおよび/または揮発性種が前記取り込み開口(202)を介して前記隔室(201)に入り前記隔室を通過して前記排気通路(6)に至るように構成された隔室(201)を規定する、回収装置(200)、を備え、
前記チャンバは、前記遠位部から前記近位部まで連続的に延びる内壁を有し、
前記回収装置は、第1の壁および第2の壁を有し、
前記第1の壁は、前記内壁に沿って、前記内壁と前記第2の壁の間で延び、
前記隔室は、前記第1の壁と前記第2の壁の間に規定され、
前記回収装置は、取り外し可能であることを特徴とする熱処理システム(100)。
【請求項2】
前記回収装置(200)は、環状断面を有する中空シリンダー部の全体形状を有し、前記環状断面は、前記隔室(201)の断面を形成する、請求項1に記載の熱処理システム(100)。
【請求項3】
前記回収装置(200)は、環状断面を有する中空シリンダーの全体形状を有し、前記環状断面は、前記隔室(201)の断面を形成する、請求項1に記載の熱処理システム(100)。
【請求項4】
前記隔室(201)の前記断面は、1mmから10mmの幅を有する、請求項2または請求項3に記載の熱処理システム(100)。
【請求項5】
前記取り込み開口(202)は、温度が揮発性種の臨界凝縮温度よりも高い前記チャンバ(2)内の位置に存する、請求項1~4のいずれか一項に記載の熱処理システム(100)。
【請求項6】
前記第1の壁は、前記チャンバ(2)の前記内壁に設けられた第1のシリンダー状壁であり、
前記第2の壁は、少なくとも1つのパージ孔(204)を有する第2のシリンダー状壁である、請求項1~5のいずれか一項に記載の熱処理システム(100)。
【請求項7】
前記回収装置(200)は、前記排気通路(6)に挿入可能な部分であって、該部分の一端が前記隔室(201)と連通している部分を備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の熱処理システム(100)。
【請求項8】
前記回収装置(200)は、水晶、シリコンカーバイド、シリコン、窒化アルミニウムおよびアルミナから選択される材料から形成されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の熱処理システム(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の基板を収容可能なチャンバを備える熱処理システムに関する。このシステムには、排出されるべきガスの一部がチャンバの内壁において凝縮することで生じる凝集物と、基板をアンロードする工程において生じる特定の汚染と、を制限するために、回収装置が設けられている。
【背景技術】
【0002】
シリコン基板またはシリコンオンインシュレータ(SOI)基板は、マイクロエレクトロニクス装置の製造に一般的に利用されている。それ自体よく知られているように、そのような基板は、支持基板上に設けられた、シリコンおよび埋め込み酸化物の有用層(useful layer)を含む。上記基板上におけるトランジスタの集積度をさらに高めることを可能にする目的で、基本要素の横寸法およびエッチングの厚さを削減するには、結晶の品質および層の均一性という観点と特定の汚染という観点の双方で、より高品質な基板が必要となる。
【0003】
SOI基板を製造するために、具体的には結合界面またはシリコンおよび埋め込み酸化物の有用層が仕上ったもの(finish)を強固にする(consolidating)工程において、高温の熱処理が行われる。熱処理システム、具体的には縦置きの炉であり複数の基板を同時に処理可能なものである、は、特にこのタイプの工程に適している。図1aに示すように、縦置きの炉1は、主としてチャンバ2(または筒)によって構成され、その内側では、複数の基板10を支持するローディングカラム3が、複数の基板10をロード/アンロードしたりそれらをチャンバ2内で保持したりするための縦方向の並進運動を実行できる。発熱体4、新しいガス用の少なくとも1つの吸気通路5および排出されるべきガス用の排気通路6とともにチャンバ2の周囲に設けられている、もまたこのタイプの炉を構成している。
【0004】
一例では、SOI基板は、シリコンの表面を平滑化するためおよび/または埋め込み酸化物(BOXと称される)の全部または一部を溶解(dissolve)させるために、不活性雰囲気化で高温の熱処理(>1100℃)に曝されることがある。これらの処理条件下では、溶解現象によるBOXの厚さの減少が見られる。ガス状の一酸化ケイ素(SiO)は、上記溶解反応の生成物である。一酸化ケイ素は、縦置きの炉1のチャンバ2内を流れる熱移動ガスの流れによって運ばれる前においては溶解速度に比例する量で、SOI基板の表面からチャンバ2の底に存する炉の排気通路6(排気管とも称される)へと逃げる。溶解現象は、特に、Solid State Phenomena, volume 156-158 (2010),69-76頁に掲載されたO. Kononchuckらによる文書“Novel trends in SOI Technology for CMOS applications”において報告されている。
【0005】
チャンバ2の底では、ガスは、それが発熱体4の近くの領域を離れ排気管6へと流れるときに、徐々に冷える。SiOは熱移動ガスに対して高い可溶性を示すわけではないため、それは、炉1の底の中実部分:主として、チャンバ2の内壁と、排気通路6のダクトと、基板10のローディングカラム3の下部とにおいて、臨界温度未満で凝縮する(図1b)。基板10の処理を通じて、上記凝集物7は厚さを増していき、その厚さは数マイクロメートルに達し得る。SiO、SiおよびSiO2の混合体でできているため、それは、過度に厚くなると、相当程度の応力がかかり、削り屑の形状で剥離する。炉1をロードする段階およびアンロードする段階において、ローディングカラム3はチャンバ2に入ったりチャンバ2から出たりし、基板10はSiO凝集物7があるチャンバ2の底を直接的に通る(図1c)。SiO凝集物7の剥離により、基板10の特定の汚染が生じる。このことで、その最終的な品質は大きく損われる。
【0006】
SiO凝集物7の大部分を回収して炉1のチャンバ2の健全性(integrity)を確保するように、水晶保護スクリーンがチャンバ2の底に配置され得る。これらのスクリーンは、犠牲的である:それらは、交換可能であり、熱処理システムにおける非常に高価な部品であり交換に長時間かかるものであるチャンバ2の耐用寿命を相当程度伸ばすことを可能にする。
【0007】
しかしながら、それらの非常に規則的な交換、そのような交換は経済的に実行不可能である、がなされない場合には、上述の保護スクリーンはSiO凝集物の剥離による基板10の特定の汚染の問題に対する解決策にはならない。なぜなら、ロード工程およびアンロード工程において基板10のローディングカラム3が汚染されたスクリーンの近くを通ることが続けられるためである。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、上述の欠点の全部または一部を解決することを目的とする。本発明の1つの主題は、熱処理システムであって、該基板の品質を損なう特定の汚染を避けるために、該システムのチャンバ内の基板移送領域における凝集物の存在を減少させることまたはなくすことを可能にする回収装置が設けられた、熱処理システムである。
【0009】
本発明は、複数の基板を収容可能なチャンバと、基板がチャンバに入る領域の反対に存するチャンバの遠位部にあるガス吸気通路と、熱処理中に生成されるガスおよび/または揮発性種用の排気通路であって基板がチャンバに入る上記の領域の近くに存するチャンバの近位部にある排気通路と、を備える熱処理システムであって;熱処理システムは、チャンバの近位部において、回収装置であって:
・チャンバの遠位部の方を向いた取り込み開口を有し、
・排気通路と連通する隔室であって回収装置の内表面において揮発性種の凝集物の形成が促進されるように、ガスおよび揮発性種が取り込み開口を介して隔室に入り隔室を通過して排気通路に至るように構成された隔室を規定する、回収装置、を備えることを特徴とする熱処理システムに関する。
【0010】
チャンバ内を流れるガスおよび揮発性種が、揮発性種が凝縮して凝集物が形成され得るチャンバの近位部にある回収装置の隔室内で回収される。凝集物は、いくらか形成されるのが避けられないのであれば、回収装置の隔室の内表面に少なくともある程度生じる。剥離が生じたとしても、粒子は、実質的に、チャンバ内ではなく回収装置の隔室内で生成されることになる:これにより、システムのロードおよび/またはアンロードのためにローディングカラム内に設けられた基板を移送する際の、特定の汚染のリスクが相当程度制限される。
【0011】
本発明の有利な特徴によれば、単独でまたは組み合わせで、以下が採用される:
・回収装置は、環状断面を有する中空シリンダーの全体形状を有し、上記の環状断面は、隔室の断面を形成する;
・回収装置は、環状断面を有する中空シリンダーの全体形状を有し、上記の環状断面は、隔室の断面を形成する;
・隔室の断面は、1mmから10mmの、好ましくは5mmの幅を有する;
・取り込み開口は、温度が揮発性種の臨界凝縮温度よりも高いチャンバ内の位置に存する;
・隔室は、チャンバの内壁に設けられた第1のシリンダー状壁と、少なくとも1つのパージ孔を有する第2のシリンダー状壁と、を備える;
・回収装置は、排気通路に挿入可能なチップであって、該チップの一端が隔室と連通しているチップを備える;
・回収装置は、取り外し可能である;
・回収装置は、水晶、シリコンカーバイド、シリコン、窒化アルミニウムおよびアルミナから選択される材料から形成されている。
【0012】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付図面の参照を伴う詳細な説明により明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1a図1a,1bおよび1cは、先行技術の縦置きの炉の構成を示す。
図1b図1a,1bおよび1cは、先行技術の縦置きの炉の構成を示す。
図1c図1a,1bおよび1cは、先行技術の縦置きの炉の構成を示す。
図2a図2aおよび2bは、本発明に係る、回収装置が設けられた熱処理システムを示す。
図2b図2aおよび2bは、本発明に係る、回収装置が設けられた熱処理システムを示す。
図3a図3aおよび3bは、本発明に係る、回収装置の実施形態を示す。
図3b図3aおよび3bは、本発明に係る、回収装置の実施形態を示す。
図4a図4aおよび4bは、本発明に係る、回収装置の別の実施形態を示す。
図4b図4aおよび4bは、本発明に係る、回収装置の別の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面は、限定的な意味を有するものとして解釈されるべきではない図表示である。図面における同じ参照符号が、似た要素に用いられることがある。
【0015】
本発明は、複数の基板10を処理可能な熱処理システム100に関する。図2aおよび2bに示すように、システム100は、ローディングカラム3によって支持された複数の基板10を収容可能なチャンバ2を備える。また、それは、チャンバ2における遠位部と称される第1部分に、ガスまたはガス混合体用の吸気通路5を備える。遠位部は、基板10がチャンバ2に入る領域の反対に存するチャンバ2の端部を指す。チャンバが横置きまたは縦置きである熱処理システムにおいて、ガスがチャンバ2の遠位部に取り込まれるのは一般的なことである。また、システム100は、熱処理中に生成され得るガスおよび/または揮発性種用の排気通路6を備える。上記排気通路6は、チャンバ2の近位部と称される第2部分に存する;近位部は、基板10がチャンバ2に入る領域の近くに存するチャンバ2の部分を指す。
【0016】
一例では、冒頭で述べたように、SOI基板を平滑化するための熱処理の際、吸気通路5によって取り込まれるガスは、アルゴンなどの不活性ガスである;約1100℃で、埋め込み酸化物の溶解の現象が現れ、これにより、揮発性化合物:ガス状の一酸化ケイ素(SiO)が生成される。SiO揮発性種は、アルゴンの流れによって、排気通路6へと運ばれる。
【0017】
また、熱処理システム100は、チャンバ2の近位部に、回収装置200を備える。回収装置200は、排気通路6と連通する隔室201を規定しており、そこではガスおよび揮発性種は排出されるよう流れる。回収装置200は、チャンバ2の近位部に存し、そこではシステム100における発熱体4からの距離により温度が下がる。この部分では、ガスおよび揮発性種は冷える:そして、ガスおよび/または揮発性種の全部または一部は、それらが接触する要素の壁で凝縮し、本明細書の以下で汚染凝集物と称される凝集物7が形成され得る。隔室201の内側におけるガスおよび揮発性種の強制的な流れにより、回収装置200の上記隔室201の内表面における汚染凝集物の形成が促進される。これにより、ローディングカラム3の下部(すなわち、チャンバ2の近位部に存する部分)とともに、チャンバ2の内壁および/または回収装置200の外表面における上記汚染凝集物7の形成を制限できる。剥離が生じたとしても、粒子は、実質的に、チャンバ2内ではなく回収装置200の隔室201内で生成されることになる:これにより、システム100のロードおよびアンロードの際、ローディングカラム3によって支持された基板10の移送時における特定の汚染のリスクが相当程度制限される。
【0018】
回収装置200の隔室201は、チャンバ2の遠位部の方を向いた取り込み開口202を有する。隔室201は、取り込み開口202によってチャンバと連通している。吸気通路5から排気通路6へとチャンバ2内を流れるガスおよび揮発性種は、取り込み開口202を介して隔室201に入り、隔室201を通過して排気通路6に至る。排気通路6は隔室201に連通している。排気通路6に至るように、ガスおよび揮発性種は、強制的に、回収装置200の隔室201を通って流れる。
【0019】
取り込み開口202は、チャンバ2の中央領域の下、中央領域では基板がローディングカラム3内に保持されている、に存する。
【0020】
有利には、取り込み開口202は、ガスおよび揮発性種の温度が揮発性種の全部または一部の臨界凝縮温度(critical condensation temperature)よりも高いチャンバ2内の位置に存する。凝縮する場合、汚染凝集物は、ガスが取り込み開口202を介して入った後に隔室201の内壁で凝集することになる。これにより、基板のロードまたはアンロードの際に基板へと粒子を放出するおそれまたはローディングカラム3の底部、ローディングカラム3は交換もしくは洗浄が困難で費用がかかる、へと粒子を放出するおそれがある凝集物が壁に形成されることが防止される。
【0021】
縦置きの熱処理システム100の図示のケースでは、取り込み開口202が存する位置の高さは、隔室201に入る際の揮発性種の温度を規定する。この高さは、典型的には、基板10の取り入れ口(縦置きの炉の底に位置する)と取り込み開口202との間の距離に対応する。チャンバ2の内壁における汚染凝集物7の発生を避けるために、回収装置200の高さは、隔室201に入る際の揮発性種の温度が揮発性種の臨界凝縮温度(Tc)よりも高くなるように選択される。
【0022】
例えば、SiOの揮発性種では、隔室201の取り込み開口202に入る際の揮発性種は約1100℃であり、臨界凝縮温度は1050℃程度である。例えば、チャンバ2が170cmの長さと35cmの直径の断面を有する縦置きの炉100では、取り込み開口202の高さは約30cmであり、基板10がローディングカラム3によって支持されている中央領域は、45cmの高さから150cmの高さまで延びている。
【0023】
熱処理システム100で実装される方法、温度プロファイルならびにガスおよび揮発性種のタイプによって規定される、によっては、チャンバ2の内側の回収装置200の取り込み開口202の高さは、揮発性種がその臨界凝縮温度となる高さに調節されるように、異なるものであってもよい。このため、方法によっては、特定の寸法を有する様々な回収装置200があってもよい。
【0024】
明らかではあるが、有利には、回収装置200の取り込み開口202は、チャンバ2の取り入れ領域に最も近い基板よりも低い位置にある。
【0025】
また、同一方法において、熱処理システム100のタイプ(その寸法、その温度制御など)に応じて回収装置200の取り込み開口202の高さは調節されてもよい。なぜなら、チャンバ2の内側の熱プロファイルは、システムによって異なることがあるためである。
【0026】
第1の実施形態によれば、回収装置200は、環状断面を有する中空シリンダー部の全体形状を有する(図3aおよび3b)。この環状断面は、隔室201の断面を形成する。取り込み開口202は、環状断面の部分の形状を有する。有利には、回収装置200は、排気通路6のダクトの内壁を少なくとも部分的に汚染凝集物7から保護するために、排気通路6に挿入可能なチップ203を備える。チップの一端は、隔室201と連通している。
【0027】
図3bは、本発明の第1の実施形態に係るシステム100のチャンバの近位部の部分図である。隔室201の第1のシリンダー状壁は、チャンバ2の内壁に設けられている;本明細書では、シリンダー状壁は、完全なシリンダーまたはシリンダーの一部を形成する壁を指す。第2のシリンダー状壁はチャンバ2の内側に向かって第1の壁の反対にあり、第2の壁は第1の壁の高さと実質的に同じ高さを有する。チップ203は、排気通路6に挿入されている。
【0028】
一変形例によれば、チャンバ2の内壁に設けられた第1のシリンダー状壁が内壁の一部だけではなく全周にわたって延び、一方、第2の壁がシリンダー部のみにおいて隔室を規定していてもよい。
【0029】
図4aおよび4bに示す第2の実施形態によれば、回収装置200は環状断面を有する中空シリンダーの全体形状を有し、この環状断面は隔室201の断面を形成している。取り込み開口202は、環状断面の形状を有する。有利には、回収装置200は、排気通路6に挿入可能なチップ203を備える(図では直接的には見えない、というのは、それは背景にあるためである)。
【0030】
第1の実施形態および第2の実施形態で説明された構成の両方において、ガスの流れが隔室201を通る。取り込み開口202とチャンバ2の取り入れ口との間に存するチャンバ2の近位部に存するガスの体積は、凝集物7が生じないデッドボリュームである。しかしながら、システム100を開くドアの熱保護の観点から、近位部において小さい流れを維持することが有利となり得る。一変形例によれば、隔室201の第2のシリンダー状壁は、少なくとも1つのパージ孔204を有する。これにより、隔室201の取り込み開口202とチャンバ2の取り入れ口との間に存するガスの体積を放出することが可能となる。しかしながら、チャンバ2の内側または隔室201の第2のシリンダー状壁の外表面(すなわち、チャンバ2の内側)における汚染凝集物7の形成を可能な限り制限するには、パージ孔204の総断面を取り込み開口202の断面に比べて無視できるようにする必要がある。
【0031】
有利には、隔室201の断面および取り込み開口202は、1mmから10mmの範囲であり得る、好ましくは5mmである幅を有する。この幅、この幅は回収装置200の厚さを規定している、は、ローディングカラム3をチャンバ2に入れるための必要によって制限される。
【0032】
有利には、回収装置200は、水晶、シリコンカーバイド、シリコン、窒化アルミニウムおよびアルミナから選択される材料から形成されている。
【0033】
有利には、回収装置200は、取り外し可能に構成されている。汚染凝集物7は、システム100から取り外された後に、回収装置200を洗浄することによって除去できる。その後、それは、再利用のために、熱処理システム100に再度取り付け可能である。
【0034】
本発明は、SOI基板を平滑化するための熱処理において特に有用である。ここで、この熱処理はBOXの溶解を引き起こし排出されるべきSiOガス状種を生成するものであり、SiOガス状種は冷えることにより壁で凝縮して凝集物7を形成するものである。
【0035】
自明ではあるが、それは、チャンバ2内に存するガス状種の一部がある温度未満で凝縮して凝集物7が形成されるおそれがありこれに続く凝集物7の剥離により処理された基板の品質が損われる、他のタイプの熱処理に利用可能である。
【0036】
本発明は、縦置き構造(すなわち、チャンバの主たる寸法が縦方向の姿勢をとる)の熱処理システムを参照して例示的に図示されてきた。本発明は、横置き構造の熱処理システムを構成することもできる。
【0037】
さらに、本発明は、説明された実施形態に限定されず、請求項によって規定される本発明の範囲を逸脱することなく変形実施形態が提供され得る。
図1a
図1b
図1c
図2a
図2b
図3a
図3b
図4a
図4b