IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 能美防災株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-移動ロボット 図1
  • 特許-移動ロボット 図2
  • 特許-移動ロボット 図3
  • 特許-移動ロボット 図4
  • 特許-移動ロボット 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-04
(45)【発行日】2022-03-14
(54)【発明の名称】移動ロボット
(51)【国際特許分類】
   B64C 39/02 20060101AFI20220307BHJP
   B64D 47/08 20060101ALI20220307BHJP
   G05D 1/00 20060101ALI20220307BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20220307BHJP
   G08B 25/10 20060101ALI20220307BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20220307BHJP
   H04M 1/72 20210101ALN20220307BHJP
【FI】
B64C39/02
B64D47/08
G05D1/00 Z
G08B25/04 K
G08B25/10 A
H04N7/18 D
H04N7/18 K
H04M1/72
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2017198368
(22)【出願日】2017-10-12
(65)【公開番号】P2019074782
(43)【公開日】2019-05-16
【審査請求日】2020-09-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】特許業務法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坪川 克秀
(72)【発明者】
【氏名】森田 英聖
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-163511(JP,A)
【文献】特開平06-132915(JP,A)
【文献】特開平08-307501(JP,A)
【文献】特開2001-287681(JP,A)
【文献】特開2015-192245(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/00
G08B 25/10
G08B 25/04
B64C 39/02
B64D 47/08
H04N 7/18
H04M 1/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影手段と、
自機の位置を測定する測位手段と、
前記撮影手段により撮影された画像が解析された結果、人が検出されると、前記測位手段により測定された位置を示す位置情報をサーバに送信する送信手段と
収音手段と、
放音手段と、
前記検出された人との通話を可能にするために、前記収音手段と前記放音手段とを起動するとともに、自機と前記サーバとの間に通話回線を確立する通話制御手段であって、自機の飛行を停止する通話制御手段と
を備える無人航空機である移動ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災等の異常発生時に要救助者の避難を支援するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、火災等の異常発生時に要救助者の避難を支援するためのシステムが知られている。例えば、特許文献1には、入退出管理システムで管理される常勤者の居場所データに基づいて安否確認の対象者の一覧を生成して出力する災害時安否確認システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-011721号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、不特定多数の人が出入する建物では、火災等の異常発生時に、どこにどれだけの人がいるのかを把握することが難しく、そのため要救助者の避難に時間がかかってしまうという問題があった。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、火災等の異常発生時に要救助者の避難を支援することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)上記の課題を解決するため、本発明に係る移動ロボットは、撮影手段と、自機の位置を測定する測位手段と、前記撮影手段により撮影された画像が解析された結果、人が検出されると、前記測位手段により測定された位置を示す位置情報をサーバに送信する送信手段とを備える。
【0007】
(2)好ましい態様において、前記移動ロボットは、前記検出された人に対して発信機を放出する発信機放出機構をさらに備える。
【0008】
(3)さらに好ましい態様において、前記移動ロボットは無人航空機であり、収音手段と、放音手段と、前記検出された人との通話を可能にするために、前記収音手段と前記放音手段とを起動するとともに、自機と前記サーバとの間に通話回線を確立する通話制御手段であって、前記放音手段により放音される音声信号、または、前記収音手段により収音される音声信号に対してノイズキャンセル処理を実行するか又は自機の飛行を停止する通話制御手段とをさらに備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る移動ロボットによれば、火災等の異常発生時に要救助者の避難を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】救助支援システム1の構成の一例を示す図である。
図2】無人航空機2の構成の一例を示すブロック図である。
図3】サーバ3の構成の一例を示すブロック図である。
図4】要救助者検出時の動作の一例を示すシーケンス図である。
図5】無人航空機2が要救助者Pに対して発信機Tを放出している様子の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
1.実施形態
1-1.救助支援システム1の構成
図1は、本発明の一実施形態に係る救助支援システム1の構成の一例を示す図である。この救助支援システム1は、火災等の異常発生時に建物内の要救助者の避難を支援するためのシステムである。救助支援システム1は、建物内の要救助者を探索する無人航空機2(本発明に係る「移動ロボット」の一例)と、無人航空機2に対して探索を指示するサーバ3とを備える。サーバ3は、例えば、建物内の防災センタに設置される。無人航空機2とサーバ3は、無線LAN等の通信回線4を介して通信可能となっている。
【0012】
1-1-1.無人航空機2の構成
無人航空機2は、航空の用に供することができる飛行機、回転翼航空機、滑空機又は飛行船であって構造上人が乗ることができないもののうち、遠隔操作又は自動操縦により飛行させることができるものである。本実施形態に係る無人航空機2は、その一例として、回転翼航空機(より具体的には、クアッドコプタ)である。無人航空機2は、主たる構成として、機体本体201と、機体本体201に取り付けられて、後述するプロペラ駆動部208により回転駆動される4枚のプロペラ202とを備える。
【0013】
図2は、無人航空機2の構成の一例を示すブロック図である。無人航空機2は、制御部203と、記憶部204と、通信部205と、撮影部206と、測位部207と、プロペラ駆動部208と、センサ部209と、第1収音部210と、第2収音部211と、放音部212と、発信機放出機構213と、電磁弁駆動部214と、電源部215とを備える。
【0014】
制御部203は、CPU等の演算処理装置とRAM等の揮発性メモリとを備え、記憶部204に記憶される探索用プログラムを実行する。記憶部204は、フラッシュメモリ等の記憶装置であり、制御部203により実行される探索用プログラムを記憶する。また、記憶部204は、サーバ3から提供される飛行経路情報を記憶する。この飛行経路情報は、無人航空機2がその待機場所を出発し、所定の探索領域内を巡回飛行して再び待機場所に戻ってくるまでの探索用の飛行経路を示す情報である。また、記憶部204は、要救助者情報テーブル2041(図示略)を記憶する。この要救助者情報テーブル2041には、検出された要救助者の位置と、検出された日時とが対応付けて格納される。通信部205は、サーバ3と通信回線4を介して通信を行うための通信インタフェースである。
【0015】
撮影部206は、無人航空機2の周囲を撮影するための撮影手段である。具体的には例えば、CCDカメラである。撮影部206は、例えば、進行方向に対して斜め下方向を撮影可能なように機体本体201に取り付けられる。測位部207は、周知の屋内測位技術を用いて無人航空機2の現在位置を測定する測位手段である。具体的には例えば、UWB(Ultra Wideband)を利用して位置を測定する。なお、変形例として、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)やWi-Fi(登録商標)やIMES(Indoor Messaging System)を利用して位置を測定してもよい。また、衛星からの電波を受信可能な環境であれば、衛星測位を行ってもよい。
【0016】
プロペラ駆動部208は、各々、プロペラ202を回転駆動させるためのモータ及び駆動回路を4組備える。センサ部209は、無人航空機2の姿勢を制御するために利用されるセンサ群を備える。具体的には例えば、加速度センサと、ジャイロスコープと、高度センサと、磁気センサとを備える。
【0017】
第1収音部210は、検出された要救助者の音声を収音するための収音手段である。具体的にはマイクである。第1収音部210は、例えば、機体本体201の底面に取り付けられる。第2収音部211は、無人航空機2の周囲の環境音(具体的には、プロペラ202の回転音)を収集するための収音手段である。具体的にはマイクである。第2収音部211は、機体本体201において、第1収音部210よりもプロペラ202に近い位置に取り付けられる。第2収音部211により収音されたプロペラ202の回転音は、後述するノイズキャンセル処理に利用される。放音部212は、サーバ3の利用者(通話相手)の音声を放音するための放音手段である。具体的にはスピーカである。放音部212は、例えば、機体本体201の底面に取り付けられる。
【0018】
発信機放出機構213は、検出された要救助者に向けて小型の発信機を放出するための機構である。具体的には例えば、複数の発信機を収容する弾倉状の容器と、当該容器の開口に設けられた電磁弁とを備える。なおここで発信機とは、自機の位置情報を定期的にサーバ3に対して発信する装置である。具体的には例えば、図示を省略するが、測位部と通信部と電源部とを備える。測位部は、周知の屋内測位技術を用いて自機の現在位置を測定する測位手段である。具体的には例えば、UWBを利用して位置を測定する。なお、変形例として、BLEやWi-Fi(登録商標)やIMESを利用して位置を測定してもよい。また、衛星からの電波を受信可能な環境であれば、衛星測位を行ってもよい。一方、通信部は、測位部により測定された位置を示す情報を、通信回線4を介してサーバ3に発信するための通信インタフェースである。また、電源部は、リチウムポリマーバッテリ等のバッテリである。次に、電磁弁駆動部214は、発信機放出機構213の電磁弁を開閉させて、発信機を外部に放出させるための駆動回路である。電源部215は、リチウムポリマーバッテリ等のバッテリである。
【0019】
無人航空機2の制御部203は、記憶部204に記憶される探索用プログラムを実行することにより、飛行制御部2031と、撮影画像送信部2032と、画像認識部2033と、人検出通知部2034(本発明に係る「送信手段」の一例)と、通話制御部2035と、発信機放出制御部2036という機能を実現する。
【0020】
飛行制御部2031は、記憶部204に記憶される飛行経路情報と、センサ部209により継続的に測定される各種のセンサ値と、測位部207により継続的に測定される位置とに基づいて、無人航空機2を探索用の飛行経路に沿って自動的に飛行させる。
【0021】
撮影画像送信部2032は、無人航空機2が探索飛行中、撮影部206により継続的に撮影される画像(空撮画像)をサーバ3に対して送信する。
【0022】
画像認識部2033は、無人航空機2が探索飛行中、撮影部206により継続的に撮影される画像に対して周知の画像認識技術を適用して、人(要救助者)の検出を試みる。そして、要救助者を検出すると、測位部207により測定された無人航空機2の現在位置(言い換えると、要救助者の位置)を示す位置情報と、検出日時を示す日時情報とを対応付けて要救助者情報テーブル2041に格納する。
【0023】
人検出通知部2034は、画像認識部2033により人の存在が検出されると、画像認識部2033により要救助者情報テーブル2041に格納された位置情報と日時情報を含む人検出通知をサーバ3に送信する。
【0024】
通話制御部2035は、サーバ3から送信される通話要求を受信すると、サーバ3の管理者と、画像認識部2033により検出された人との通話を可能にするために、第1収音部210、第2収音部211及び放音部212を起動するとともに、サーバ3と無人航空機2との間に、所定の通信プロトコルに従って通話回線を確立する。通話回線を確立後、通話制御部2035は、放音部212により放音される音声を表す音声信号に対してノイズキャンセル処理を実行する。具体的には、第2収音部211により収音されたプロペラ202の回転音と逆位相の音声信号を生成し、この音声信号を通話相手の音声信号と混合して出力する。その結果、生成された逆位相の音声とプロペラ202の回転音とが打ち消し合って、通話相手の音声が聞き取りやすくなる。なお、確立された通話回線は、サーバ3から送信される切断要求を受けて切断される。
【0025】
発信機放出制御部2036は、サーバ3から送信される発信機放出要求を受信すると、電磁弁駆動部214を制御して、発信機を外部に放出させる。
【0026】
1-1-2.サーバ3の構成
図3は、サーバ3の構成の一例を示すブロック図である。サーバ3は、制御部31と、記憶部32と、表示部33と、操作入力部34と、収音部35と、放音部36と、通信部37とを備える。
【0027】
制御部31は、CPU等の演算処理装置とRAM等の揮発性メモリとを備え、記憶部32に記憶される探索用プログラムを実行する。記憶部32は、HDD等の記憶装置であり、制御部31により実行される探索用プログラムを記憶する。また、記憶部32は、無人航空機2に提供する飛行経路情報を記憶する。また、記憶部32は、要救助者情報テーブル321(図示略)を記憶する。この要救助者情報テーブル321のデータ構成は、上述の無人航空機2が備える要救助者情報テーブル2041と同様である。表示部33は、液晶ディスプレイ等の表示手段である。操作入力部34は、操作ボタンやタッチパネル等の入力装置である。収音部35は、サーバ3の管理者の音声を収音するための収音手段である。具体的にはマイクである。放音部36は、検出された要救助者(通話相手)の音声を放音するための放音手段である。具体的にはスピーカである。通信部37は、無人航空機2と通信回線4を介して通信を行うための通信インタフェースである。
【0028】
サーバ3の制御部31は、記憶部32に記憶される探索用プログラムを実行することにより、送信部311と、受信部312と、表示制御部313と、通話制御部314という機能を実現する。
【0029】
送信部311は、操作入力部34を介して探索を指示する操作が入力されると、記憶部32に記憶される飛行経路情報を含む探索要求を無人航空機2に対して送信する。また、操作入力部34を介して発信機の放出を指示する操作が入力されると、無人航空機2に対して発信機放出要求を送信する。
【0030】
受信部312は、無人航空機2から送信される人検出通知を受信すると、受信した人検出通知に含まれる位置情報と日時情報を対応付けて要救助者情報テーブル321に格納する。
【0031】
表示制御部313は、無人航空機2から送信される空撮画像を受信すると、受信した空撮画像を表示部33に表示させる。また、表示制御部313は、無人航空機2から送信される人検出通知を受信すると、要救助者が検出されたことを通知するメッセージを表示部33に表示させるとともに、受信した位置情報に基づいて建物内の地図上に要救助者の位置をプロットして表示させる。
【0032】
通話制御部314は、操作入力部34を介して通話を指示する操作が入力されると、サーバ3の管理者と、無人航空機2の近傍に居る要救助者との通話を可能にするために、収音部35及び放音部36を起動するとともに、サーバ3と無人航空機2との間に、所定の通信プロトコルに従って通話回線を確立する。確立された通話回線は、サーバ3が無人航空機2に対して切断要求を送信することで切断される。
【0033】
1-2.救助支援システム1の動作
救助支援システム1において実行される探索飛行について説明する。無人航空機2の制御部203は、サーバ3から送信される探索要求を受信すると、記憶部204に記憶される探索用プログラムを実行する。その際、探索要求に含まれる飛行経路情報は、無人航空機2の記憶部204に記憶される。探索用プログラムの実行後、無人航空機2の飛行制御部2031は、記憶部204に記憶される飛行経路情報と、センサ部209により継続的に測定される各種のセンサ値と、測位部207により継続的に測定される位置とに基づいて、無人航空機2を探索用の飛行経路に沿って自動的に飛行させる。無人航空機2が探索飛行中、撮影画像送信部2032は、撮影部206により継続的に撮影される空撮画像をサーバ3に対して送信する。また、画像認識部2033は、撮影部206により継続的に撮影される画像に対して周知の画像認識技術を適用して、要救助者の検出を試みる。画像認識の結果、要救助者が検出されると、以下に説明する、要救助者検出時の動作が実行される。図4は、この動作の一例を示すシーケンス図である。
【0034】
画像認識の結果、画像認識部2033は要救助者を検出すると(S1)、測位部207により測定された無人航空機2の現在位置を示す位置情報(言い換えると、要救助者の位置)と、検出日時を示す日時情報とを対応付けて要救助者情報テーブル2041に格納する(S2)。情報の格納が完了すると、人検出通知部2034は、ステップS2で要救助者情報テーブル2041に格納された位置情報と日時情報を含む人検出通知をサーバ3に送信する(S3)。
【0035】
サーバ3の受信部312は、無人航空機2から送信された人検出通知を受信すると、受信した人検出通知に含まれる位置情報と日時情報を対応付けて要救助者情報テーブル321に格納する(S4)。また、表示制御部313は、この人検出通知を受信すると、要救助者が検出されたことを通知するメッセージを表示部33に表示させるとともに、受信した位置情報に基づいて建物内の地図上に要救助者の位置をプロットして表示させる(S5)。このメッセージを見たサーバ3の管理者が、操作入力部34を介して通話を指示する操作を入力すると、通話制御部314は、サーバ3の管理者と、無人航空機2の近傍に居る要救助者との通話を可能にするために、収音部35及び放音部36を起動するとともに、サーバ3と無人航空機2との間に、所定の通信プロトコルに従って通話回線を確立する(S6)。その際、無人航空機2の側でも、通話制御部2035により、第1収音部210、第2収音部211及び放音部212が起動される。その結果、管理者と要救助者の間で音声通話が可能になる。その際、無人航空機2の通話制御部2035は、放音部212により放音される音声を表す音声信号に対して上述のノイズキャンセル処理を実行する。その結果、プロペラ雑音が低減されて、管理者の音声が聞き取りやすくなる。音声通話の開始後、サーバ3の管理者が、操作入力部34を介して発信機の放出を指示する操作を入力すると、送信部311は無人航空機2に対して発信機放出要求を送信する(S7)。
【0036】
無人航空機2の発信機放出制御部2036は、サーバ3から送信された発信機放出要求を受信すると、電磁弁駆動部214を制御して、発信機を外部に放出させる(S8)。図5は、無人航空機2が要救助者Pに対して発信機Tを放出している様子の一例を示す図である。同図に示すように無人航空機2が発信機を放出する際、サーバ3の管理者は要救助者に対して、音声通話を通じて、発信機を拾って携帯するよう促してもよい。要救助者に発信機を携帯させることで、要救助者の位置を追跡することが可能になる。
【0037】
その後、サーバ3の管理者が、操作入力部34を介して通話回線の切断を指示する操作を入力すると、通話制御部314は無人航空機2に対して切断要求を送信し、その結果、通話回線が切断される(S9)。通話回線の切断後、所定の時間が経過すると、無人航空機2は探索飛行を再開する。
以上が、要救助者検出時の動作についての説明である。
【0038】
なお、上記の動作において、人検出通知の送信後、所定の時間内にサーバ3から通話要求を受信しない場合には、無人航空機2は探索飛行を再開する。
【0039】
以上説明した救助支援システム1によれば、要救助者の位置を把握することができる。要救助者の位置を把握したサーバ3の管理者は、把握した位置を救助者に通知することで、救助者を要救助者の救助に向かわせることができる。また、本救助支援システム1によれば、無人航空機2により自動的に要救助者の探索が行われるため、探索のための人手が不要になる。また、要救助者に発信機を携帯させることが可能であるため、要救助者が移動してもその位置を追跡することができる。また、検出した要救助者とサーバ3の管理者との間で通話が可能であり、その際、ノイズキャンセル処理によりプロペラ騒音が低減される。
【0040】
2.変形例
上記の実施形態は、下記のように変形してもよい。なお、下記の2以上の変形例は互いに組み合わせてもよい。
【0041】
2-1.変形例1
無人航空機2は、探索飛行の際にサーバ3から飛行経路情報を提供されているが、飛行経路情報を予め記憶部204に記憶しておいてもよい。
【0042】
2-2.変形例2
無人航空機2に、操縦用の送信機から発信される電波を受信可能な受信機を備えさせ、無人航空機2を手動により操縦可能としてもよい。その場合、FPV(First Person View)用のカメラを無人航空機2に備えさせ、一人称視点で操縦してもよい。
【0043】
2-3.変形例3
探索飛行の際、無人航空機2で行われる画像認識処理を、サーバ3側で行うようにしてもよい。その場合、サーバ3は、無人航空機2から継続的に送信されてくる空撮画像に対して周知の画像認識技術を適用して、要救助者の検出を試みる。そして、要救助者を検出すると、検出した旨を無人航空機2に通知する。この通知を受けた無人航空機2は、測位部207により測定された無人航空機2の現在位置(言い換えると、要救助者の位置)を示す位置情報と、検出日時を示す日時情報とを対応付けて要救助者情報テーブル2041に格納する。
【0044】
2-4.変形例4
無人航空機2の通話制御部2035は、サーバ3からの通話要求を待たずに、画像認識部2033による要救助者の検出を契機として、無人航空機2とサーバ3の間に通話回線を確立するようにしてもよい。
【0045】
2-5.変形例5
無人航空機2の通話制御部2035は、要救助者とサーバ3の管理者の音声通話の際、放音部212により放音される音声を表す音声信号に対してノイズキャンセル処理を実行する代わりに、プロペラ駆動部208を制御して、無人航空機2の飛行を停止させてもよい。このようにすれば、プロペラ騒音の問題が解消される。
【0046】
2-6.変形例6
無人航空機2の発信機放出制御部2036は、サーバ3からの発信機放出要求を待たずに、画像認識部2033による要救助者の検出を契機として、電磁弁駆動部214を制御し、発信機を外部に放出させるようにしてもよい。その場合、放出した発信機を要救助者に携帯してもらうために、予め発信機の本体に、携帯を促すためのメッセージを付しておくようにしてもよい。または、発信機の放出時に、携帯を促すための定型の音声メッセージを放音部212から放音させるようにしてもよい。
【0047】
2-7.変形例7
無人航空機2は、要救助者を探索するための移動ロボット(具体的には、遠隔操作又は自動操縦により移動させることができるロボット)の一例である。移動ロボットの移動手段はプロペラに限られず、車輪や無限軌道であってもよい。
【符号の説明】
【0048】
1…救助支援システム、2…無人航空機、3…サーバ、4…通信回線、31…制御部、32…記憶部、33…表示部、34…操作入力部、35…収音部、36…放音部、37…通信部、201…機体本体、202…プロペラ、203…制御部、204…記憶部、205…通信部、206…撮影部、207…測位部、208…プロペラ駆動部、209…センサ部、210…第1収音部、211…第2収音部、212…放音部、213…発信機放出機構、214…電磁弁駆動部、215…電源部、311…送信部、312…受信部、313…表示制御部、314…通話制御部、321…要救助者情報テーブル、2031…飛行制御部、2032…撮影画像送信部、2033…画像認識部、2034…人検出通知部、2035…通話制御部、2036…発信機放出制御部、2041…要救助者情報テーブル
図1
図2
図3
図4
図5