(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-04
(45)【発行日】2022-03-14
(54)【発明の名称】表示制御装置および表示制御方法
(51)【国際特許分類】
H04H 60/70 20080101AFI20220307BHJP
G09B 29/10 20060101ALI20220307BHJP
G09B 29/00 20060101ALI20220307BHJP
H04H 20/51 20080101ALI20220307BHJP
H04H 60/50 20080101ALI20220307BHJP
H04H 60/44 20080101ALI20220307BHJP
【FI】
H04H60/70
G09B29/10 A
G09B29/00 C
H04H20/51
H04H60/50
H04H60/44
(21)【出願番号】P 2017219540
(22)【出願日】2017-11-14
【審査請求日】2020-09-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【氏名又は名称】鵜飼 健
(72)【発明者】
【氏名】福島 竜也
【審査官】佐藤 敬介
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-119525(JP,A)
【文献】特開2009-214963(JP,A)
【文献】特開2014-048579(JP,A)
【文献】特開2009-198409(JP,A)
【文献】国際公開第2008/010391(WO,A1)
【文献】特開昭60-172848(JP,A)
【文献】特開平04-351027(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0216186(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04H 60/70
G09B 29/10
G09B 29/00
H04H 20/51
H04H 60/50
H04H 60/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の移動放送局から送信された各信号から、前記複数の移動放送局の位置情報および識別情報を取得する取得部と、
前記取得された位置情報に対応する位置に、前記識別情報が表示された地図を表示させる表示制御部
とを備え、
前記信号は、前記移動放送局の位置情報および識別情報が重畳されたオーダワイヤ信号を含む、表示制御装置。
【請求項2】
前記表示制御部は複数の地図を同時に表示させ、
前記複数の地図のうちの1つは、前記複数の移動放送局のすべての識別情報が表示された地図であり、前記複数の地図のうちの他の少なくとも1つは、前記複数の移動放送局のうちの一部が表示された地図である、請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項3】
前記取得部は、前記位置情報および識別情報に、タイムスタンプを加えたログ情報を生成し、前記ログ情報を記憶部へ記憶させる、請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記記憶部に記憶されたログ情報に基づいて、指定された過去の任意の時間における、前記識別情報が表示された地図を表示させる第1の履歴表示制御部を
備える、請求項
3に記載の表示制御装置。
【請求項5】
前記表示制御部は、前記記憶部に記憶されたログ情報に基づいて、指定された移動放送局の移動履歴が表示された地図
を表示させる第2の履歴表示制御部を備える、請求項
3に記載の表示制御装置。
【請求項6】
前記表示制御部は、前記識別情報が表示された地図が表示されている移動放送局のうち、何れかの移動放送局から、予め定めた期間、前記オーダワイヤ信号が送信されなくなった場合、この移動放送局の識別情報の前記地図における表示を終了させる、請求項
1に記載の表示制御装置。
【請求項7】
プロセッサによって実施される表示制御方法であって、
前記プロセッサが、複数の移動放送局から送信された
、前記移動放送局の位置情報および識別情報が重畳されたオーダワイヤ信号を含む信号から、前記複数の移動放送局の位置情報および識別情報を取得し、
前記プロセッサが、前記取得された位置情報に対応する位置に、前記識別情報が表示された地図を表示させる、表示制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、複数の移動放送局の位置を地図上に表示させるための表示制御装置および表示制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、テレビ業界では、現場に赴いた移動放送局から、通信衛星を経由して報道素材伝送や中継を行うSNG(Satellite News Gathering)システムが広く用いられている。
【0003】
通信衛星を用いる通信は、移動放送局から直接、映像や音声などの情報を通信衛星へ送り、通信衛星を経由して放送事業者の本局のような固定放送局へ送る仕組みになっている。このため、地上に中継点を設ける必要がない。
【0004】
このような利便性から、現場からの情報(事件、天気予報、災害情報等)をリアルタイムの映像とともに伝えるため、あるいは、スポーツの試合やコンサート等のイベントの現地からの生中継等のために、各放送事業者とも、多数の移動放送局を保有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、各放送事業者が、多数の移動放送局を保有していることに関し、以下のような問題がある。
【0007】
放送事業者は報道の目的から、保有する移動放送局を全国各地に移動させなければならない。事件等が発生した場合、本局では、現場に最も近い位置に配備された移動放送局に対して、現場に移動するように指示する必要がある。事件の内容によっては、1つの現場に対して、複数の移動放送局を配備しなければならない場合もある。このため、本局では、各移動放送局の現在位置をリアルタイムで把握しておく必要がある。
【0008】
一般的に本局は、各移動放送局の移動計画を把握しており、また、各移動放送局と電話等により連絡をしているので、各移動放送局の位置をある程度把握している。しかしながら、移動放送局はある中継場所から中継場所へ移動する際、放送設備の調整や終了作業に要する時間や、移動時間や移動経路といった交通事情など不確定な要素を避けることができないため、本局が各移動放送局の位置をリアルタイムで把握している訳ではない。
【0009】
したがって、例えば移動放送局を直ちに現場へ急行させたい場合であっても、本局は、どの移動放送局に対して指示を出すべきかを迅速に決定できない。そして、必ずしも適切とは言えない移動放送局に対して移動指示してしまう可能性もある。
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、複数の移動放送局の位置をより正確に把握することができる表示制御装置および表示制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明では、以下のような手段を講じる。
【0012】
実施形態の表示制御装置は、複数の移動放送局から送信された各信号から、複数の移動放送局の位置情報および識別情報を取得する取得部と、取得された位置情報に対応する位置に、識別情報が表示された地図を表示させる表示制御部とを備え、前記信号は、前記移動放送局の位置情報および識別情報が重畳されたオーダワイヤ信号を含む。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態の表示制御装置が適用されるシステムの構成例を示す機能ブロック図である。
【
図2】本発明の実施形態の表示制御装置の構成例を示すブロック図である。
【
図3】モニタ画面から2つの地図が同時に表示された例を示す模式図である。
【
図4】ローカル地図に移動履歴が表示された例を示す模式図である。
【
図5】本発明の実施形態の表示制御装置の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の実施形態の表示制御方法が適用された表示制御装置を図面を参照して説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施形態の表示制御装置が適用されるシステムの構成例を示す機能ブロック図である。
【0016】
複数の移動放送局8は、通信衛星9を経由して、システム10へ向けて信号を送信する。
【0017】
これら移動放送局8は、それぞれ車両番号のような固有の識別情報が付されている。また、GPS受信機のような測位手段が備えられている。
【0018】
移動放送局8から送信される信号の周波数帯域幅は、例えば12GHzであり、TVキャリア信号のみならず、オーダワイヤ信号をも含む。
【0019】
オーダワイヤ信号とは、TVキャリア信号よりも、周波数帯域幅が非常に狭く、TVキャリア信号以外に構築されている音声連絡線である。移動放送局8と本局との間で音声連絡がなされる場合、オーダワイヤ信号が使用される。また、オーダワイヤ信号に、別の情報を重畳することも可能である。したがって、移動放送局8は、信号を送信する際に、オーダワイヤ信号に、移動放送局8に付されている識別情報と、測位手段によって測定された位置情報とを重畳する。また、移動放送局8は、TVキャリア信号にも、識別情報と位置情報を重畳することができる。
【0020】
システム10は、放送事業者の本局のような固定放送局に設けられており、通信衛星9からの信号を、アンテナ12において受信する。
【0021】
アンテナ12は、この信号を受信機14へ出力する。
【0022】
受信機14によって受信された信号は、必要に応じて偏波(例えば、V偏波またはH偏波)処理された後に、周波数デバイダ16へ出力される。
【0023】
周波数デバイダ16は、受信機14から出力された信号から、1つのチャンネルの周波数帯域のTVキャリア信号を取り出すために、例えば12GHzを1GHzへ分割するように、この信号を周波数分割する。そして、この周波数分割によって取り出された信号を、スペクトルアナライザ18およびオーダワイヤモデム19へ出力する。
【0024】
スペクトルアナライザ18は、周波数デバイダ16から出力された信号に対してスペクトル分析を行い、その分析結果である、スペクトル分析されたTVキャリア信号aを、表示制御装置20へ出力する。なお、スペクトルアナライザ18は1つに限定されず、複数設けるようにしても良い。複数設けた場合、複数の周波数帯域のTVキャリア信号を、同時にスペクトル分析することができる。
【0025】
オーダワイヤモデム19は、周波数デバイダ16から出力された信号から、オーダワイヤ信号bを抽出し、表示制御装置20へ出力する。
【0026】
図2は、本発明の実施形態の表示制御装置20の構成例を示すブロック図である。
【0027】
表示制御装置20は、入出力インターフェースユニット30、制御ユニット40、および記憶ユニット50を備えている。
【0028】
入出力インターフェースユニット30は、スペクトルアナライザ18から出力されたTVキャリア信号aと、オーダワイヤモデム19から出力されたオーダワイヤ信号bとを受信して、制御ユニット40へ出力する。また、ユーザインターフェース(UI)70を介してなされた、例えば本局のオペレータのようなユーザからの指示情報cを、制御ユニット40へ出力する。また、制御ユニット40から出力された表示指示dをモニタ画面60へ出力する。
【0029】
記憶ユニット50は、記憶媒体として、例えばSSD(Solid State Drive)やHDD(Hard Disk Drive)等の随時書き込みおよび読み出しが可能な不揮発性メモリを使用しており、本実施形態を実施するために使用する記憶領域として、ログ情報記憶部52および地図情報記憶部54を備えている。
【0030】
制御ユニット40は、コンピュータを構成するCPU(Central Processing Unit)およびプログラムメモリを有し、本実施形態を実施するために必要な制御機能として、復調部41、取得部42、および表示制御部44を備えている。なお、これらの制御機能はいずれも上記プログラムメモリに記憶されたプログラムを上記CPUに実行させることにより実現される。
【0031】
復調部41は、入出力インターフェースユニット30から出力されたTVキャリア信号aを受信し、TVキャリア信号aを復調し、TVキャリア信号aに重畳されている識別情報と位置情報とを取得する。さらに、識別情報と位置情報に、タイムスタンプを加えたログ情報Aを生成し、ログ情報Aをログ情報記憶部52へ記憶させる。
【0032】
取得部42は、入出力インターフェースユニット30から出力されたオーダワイヤ信号bを受信し、オーダワイヤ信号bに重畳されている識別情報と位置情報とを取得する。さらに、識別情報と位置情報に、タイムスタンプを加えたログ情報Bを生成し、ログ情報Bをログ情報記憶部52へ記憶させる。
【0033】
表示制御部44は、地図情報記憶部54に予め記憶されている地図情報Mを取得する。また、ユーザインターフェース70へ入力されたユーザの指示情報cに応じて、ログ情報記憶部52からログ情報を取得する。そして、地図情報Mを用いて、ログ情報に含まれる位置情報に対応する位置に、ログ情報に含まれる識別情報が表示された複数の地図を、モニタ画面60から同時に表示させる。
【0034】
ログ情報としては、ログ情報A、Bの何れを用いることも可能であるが、ログ情報Bを用いた場合の方が、ログ情報Aを用いた場合よりも、リアルタイム性に優れている。
【0035】
なぜなら、ログ情報Aから位置情報を取得するためには、復調部41においてTVキャリア信号aを復調する必要がある。このためには、移動放送局8が、実際にTVキャリア信号を送信することが必須となる。ところが、移動放送局8から実際にTVキャリア信号の送信が開始されるのは、信号状態の調整等の終了後となるので、移動放送局8がその場所に移動しても、すぐになされる訳ではない。したがって、ログ情報Aから取得される位置情報は、移動放送局8の移動が完了してからのタイムラグがある。それに対して、オーダワイヤ信号bは、常時送信可能であるので、ログ情報Bは、移動放送局8の移動とともにリアルタイムで生成することが可能であるからである。
【0036】
ユーザは、ユーザインターフェース70を用いて、ログ情報A、Bのうちのどちらを使用するかを指示情報cにおいて指定し、この指示情報cを、表示制御部44へ送信する。
【0037】
図3は、モニタ画面60から2つの地図が同時に表示された例を示す模式図である。
【0038】
全体地
図62は、すべての移動放送局8の位置を把握するための広い範囲を示す地図であり、ローカル地
図64は、複数の移動放送局8のうちの一部の移動放送局8の位置を把握するための特定のエリアを示す地図である。
【0039】
全体地
図62には、移動放送局8の識別番号を表示することができるが、移動放送局8の数が多い場合、表示された識別番号が重なって見えにくくなる場合には、例えば車両のアイコンのようなシンボルで表示し、ユーザが、ユーザインターフェース70に備えられたマウス等によって、対応するアイコンを指定すると、識別番号が表示されるようにしても良い。
【0040】
ローカル地
図64には、例えば現場付近のような、指定されたエリアに存在する移動放送局8の識別番号が表示されている。
【0041】
全体地
図62に表示されるエリア、および、ローカル地
図64に表示されるエリアともに、任意に拡大縮小することができる。
【0042】
なお、このエリアの指定は、例えば、ユーザが、ユーザインターフェース70に備えられたマウス等を用いて、全体地
図62において所望のエリア63を指定することによってなされる。また、システム10の起動時には、デフォルト画面として、例えば固定放送局の所在地に応じたエリア(例えば大都市周辺)が表示されるように指定しても良い。
【0043】
移動放送局8からの信号が送信されることに伴い、ログ情報記憶部52には常時新たなログ情報A、Bが記憶され、これに応じて、モニタ画面60上の全体地
図62およびローカル地
図64上における移動放送局8の表示位置も更新されて行く。したがって、ユーザは、モニタ画面60に表示された全体地
図62およびローカル地
図64を見ることによって、移動放送局8の現時点における位置を把握することができる。
【0044】
一方、移動放送局8からの信号が途絶えると、ログ情報記憶部52には新たなログ情報A、Bが記憶されなくなる。この状態が予め定めた期間続いた場合、表示制御部44は、この移動放送局8の識別情報の地図上における表示を終了させる。
【0045】
それに加えて、表示制御部44は、過去の任意の時間における全体地
図62およびローカル地
図64をモニタ画面60から表示する機能も有している。
【0046】
これを実現するために、表示制御部44は、分布履歴表示制御部44aを備えている。この機能を使用するために、ユーザは、ユーザインターフェース70から、時間(例えば、過去の具体的な時刻、または、5分前、30分前、2時間前、24時間前等)を指定した指定情報cを入力し、表示制御装置20へ出力する。
【0047】
この指定情報cは、表示制御部44によって受信され、分布履歴表示制御部44aへ出力される。分布履歴表示制御部44aは、指定情報cで指定された内容に該当するタイムスタンプを付されたログ情報をログ情報記憶部52から取得し、取得したログ情報に基づいて、全体地
図62およびローカル地
図64を、モニタ画面60から表示させる。これによって、過去に遡った移動放送局8の分布履歴を把握することができる。
【0048】
さらにそれに加えて、表示制御部44は、特定の移動放送局8の移動履歴を示すローカル地
図64をモニタ画面60から表示する機能も備えている。
【0049】
これを実現するため、表示制御部44は、移動履歴表示制御部44bを備えている。この機能を利用するために、ユーザは、ユーザインターフェース70から、移動放送局8の識別情報および期間を指定した指定情報cを入力し、表示制御装置20へ出力する。
【0050】
この指定情報cは、表示制御部44によって受信され、移動履歴表示制御部44bへ出力される。移動履歴表示制御部44bは、指定情報cで指定された識別情報および期間に該当するログ情報をログ情報記憶部52から取得し、取得したログ情報に基づいて、
図4に示すようなローカル地
図64を、モニタ画面60から表示させる。
【0051】
図4は、ローカル地図に移動履歴が表示された例を示す模式図である。
【0052】
図4によって、特定の移動放送局8の移動履歴65を把握することができる。なお、
図4では、簡略のために、1つの移動放送局8の移動履歴65しか示していないが、指定情報cに、複数の移動放送局8を指定することによって、複数の移動放送局8の移動履歴65を、ローカル地
図64に同時に表示することもできる。また、移動履歴65を、全体地
図62上に表示することもできる。
【0053】
次に、以上のように構成した本実施形態の表示制御装置20の動作について説明する。
【0054】
複数の移動放送局8から、通信衛星9を経由して、システム10へ向けて信号が送信される。移動放送局8には、それぞれ車両番号のような固有の識別情報が付されている。また、GPS受信機のような測位手段が備えられている。
【0055】
移動放送局8から送信される信号には、TVキャリア信号のみならず、オーダワイヤ信号も含まれる。オーダワイヤ信号には、移動放送局8に付されている識別情報と、測位手段によって測定された位置情報とが重畳されている。また、TVキャリア信号にも、識別情報と位置情報を重畳して良い。
【0056】
システム10では、通信衛星9からの信号が、アンテナ12において受信され、アンテナ12から受信機14へ出力され、受信機14において、必要に応じて偏波(例えば、V偏波またはH偏波)処理された後に、周波数デバイダ16へ出力される。
【0057】
周波数デバイダ16では、受信機14から出力された信号に対して周波数分割がなされ、1つの周波数帯域のTVキャリア信号が取り出され、スペクトルアナライザ18およびオーダワイヤモデム19へ出力される。
【0058】
スペクトルアナライザ18では、周波数デバイダ16から出力された信号に対してスペクトル分析がなされ、その分析結果であるTVキャリア信号aが、表示制御装置20へ出力される。
【0059】
オーダワイヤモデム19では、周波数デバイダ16から出力された信号から、オーダワイヤ信号bが抽出され、表示制御装置20へ出力される。
【0060】
図5は、本発明の実施形態の表示制御装置の動作例を示すフローチャートである。
【0061】
スペクトルアナライザ18から出力されたTVキャリア信号aは、入出力インターフェースユニット30によって受信され、復調部41へ出力され、復調部41において、復調され、TVキャリア信号aに重畳されている識別情報と位置情報とが取得される。さらに、識別情報と位置情報に、タイムスタンプを加えたログ情報Aが生成され、ログ情報記憶部52へ出力され、ログ情報記憶部52に記憶される(S1)。
【0062】
オーダワイヤモデム19から出力されたオーダワイヤ信号bは、入出力インターフェースユニット30によって受信され、取得部42へ出力され、取得部42において、オーダワイヤ信号bに重畳されている識別情報と位置情報とが取得される。さらに、識別情報と位置情報に、タイムスタンプを加えたログ情報Bが生成され、ログ情報記憶部52へ出力され、ログ情報記憶部52に記憶される(S2)。
【0063】
なお、
図5では、ステップS1の後にステップS2が示されているが、これは必ずしも、ステップS1の後にステップS2が実行されることには限定されず、ステップS1とステップS2とが同時に実行されることも、ステップS1が実行されず、ステップS2のみが実行されることも、ステップS1の前にステップS2が実行されることもある。
【0064】
次に、表示制御部44によって、地図情報記憶部54から地図情報Mが取得される(S3)。また、入力されたユーザの指示情報cに応じて、表示制御部44によって、ログ情報記憶部52からログ情報Aまたはログ情報Bの何れかが取得される(S4)。
【0065】
表示制御部44では、地図情報Mと、ログ情報とが用いられることによって、ログ情報に含まれる位置情報に対応する位置に、ログ情報に含まれる識別情報が表示された複数の地
図62、64のように、2つの地図がモニタ画面60から同時に表示される(S5)。
【0066】
全体地
図62は、すべての移動放送局8の位置を把握するための広い範囲を示す地図であり、ローカル地
図64は、複数の移動放送局8のうちの一部の移動放送局8の位置を把握するための特定のエリアを示す地図である。
【0067】
なお、ローカル地
図64から表示されるエリアの指定は、例えば、ユーザが、ユーザインターフェース70に備えられたマウス等を用いて、全体地
図62において所望のエリア63を指定することによってなされる。
【0068】
移動放送局8から信号が送信されることに伴い、ログ情報記憶部52には常時新たなログ情報A、Bが記憶され、これに応じて、モニタ画面60上の全体地
図62およびローカル地
図64上における移動放送局8の表示位置も更新されて行くので、ユーザは、モニタ画面60に表示された全体地
図62およびローカル地
図64を見ることによって、移動放送局8の現時点における位置を把握することができる。
【0069】
また、表示制御部44の分布履歴表示制御部44aによれば、ユーザによって指定された時間(例えば、過去の具体的な時刻、または、5分前、30分前、2時間前、24時間前等)に基づいて、該当するタイムスタンプを付されたログ情報がログ情報記憶部52から取得され、取得されたログ情報に基づいて、全体地
図62およびローカル地
図64が、モニタ画面60から表示される。これによって、過去に遡って、移動放送局8の分布履歴を把握することができる。
【0070】
さらに、表示制御部44の移動履歴表示制御部44bによれば、ユーザによって指定された特定の移動放送局8および指定期間に基づいて、該当するログ情報がログ情報記憶部52から取得され、取得されたログ情報に基づいて、
図4に示すようなローカル地
図64が、モニタ画面60から表示される。これによって、特定の移動放送局8の移動履歴65を把握することができる。
【0071】
上述したように、本実施形態の表示制御方法が適用された表示制御装置によれば、すべての移動放送局8の位置が表示された全体地
図62と、一部の移動放送局8の位置が表示されたローカル地
図64とを、モニタ画面60から同時に表示することができる。しかも、この表示は、リアルタイムの状態を対象とすることも、過去の任意の時点における状態を対象とすることも可能である。また、特定の移動放送局8の移動履歴を表示させることもできる。
【0072】
これらによって、オペレータは、各移動放送局8の現在の位置のみならず、過去の任意の時点における位置さえも、視覚的に容易に把握することが可能となる。
【0073】
したがって、例えば事件が発生し、何れかの移動放送局を、直ちに現場へ急行させる必要性が生じた場合、オペレータは、急行させるべき移動放送局を、容易に、かつ適切に決定できるようになる。
【0074】
(変形例1)
上記実施形態では、
図3に示すように、モニタ画面60から2つの地
図62、64が同時に表示される例について説明したが、本発明の表示制御装置20は、同時に表示される地図は2つに限定されるものではなく、3つ以上の地図を同時に表示するようにしても良い。例えば、1つの全体地
図62の他に、2つ以上のローカル地
図64を表示することによって、第1のエリアにおける移動放送局8の位置と、第2のエリアにおける各移動放送局8の位置とを同時に表示することができる。
【0075】
また、表示のレイアウトも、
図3に例示されるものに限定されず、全体地
図62の中に、部分画面として、ローカル地
図64を配置しても良い。また、前述したように、2つ以上のローカル地
図64を表示する場合、第1のエリアのローカル地
図64と、第2のエリアのローカル地
図64とを切換表示するようにしても良い。
【0076】
(変形例2)
移動放送局8の位置を地図上に示すために、単に識別情報を表示するだけではなく、移動放送局8のステータスの違いに応じて、表示方式を変えて表示することによって、付加的な情報を提供することも可能となる。
【0077】
例えば、復調部41がTVキャリア信号aを受信することで、現在、TVキャリア信号を送信している移動放送局8を把握し、表示制御部44は、ローカル地
図64から、この移動放送局8の識別番号を赤で表示し、それ以外の移動放送局8の識別番号を赤以外の色で表示する。これによって、移動放送局8の位置情報のみならず、どの移動放送局8が現在、TVキャリア信号を送信しているのかを把握することが可能となる。
【0078】
また、別の例として、XPD測定が終了した移動放送局を、赤で表示し、未終了のものを黒で表示するようにしても良い。
【0079】
このように、移動放送局8のステータスの違いに応じて、表示方式を変えて表示することによって、様々な付加情報を提供することも可能となる。
【0080】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0081】
8 移動放送局、9 通信衛星、10 システム、12 アンテナ、14 受信機、
16 周波数デバイダ、18 スペクトルアナライザ、19 オーダワイヤモデム、
20 表示制御装置、30 入出力インターフェースユニット、40 制御ユニット
41 復調部、42 取得部、44 表示制御部、44a 分布履歴表示制御部、
44b 移動履歴表示制御部、50 記憶ユニット、52 ログ情報記憶部、
54 地図情報記憶部、60 モニタ画面、62 全体地図、63 所望のエリア、
64 ローカル地図、65 移動履歴、70 ユーザインターフェース。