(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-04
(45)【発行日】2022-03-14
(54)【発明の名称】キャパシター及び実装基板
(51)【国際特許分類】
H01G 4/33 20060101AFI20220307BHJP
H05K 1/18 20060101ALI20220307BHJP
【FI】
H01G4/33 102
H05K1/18 S
(21)【出願番号】P 2017223957
(22)【出願日】2017-11-21
【審査請求日】2020-09-24
(31)【優先権主張番号】10-2017-0066229
(32)【優先日】2017-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】パーク、ノー イル
(72)【発明者】
【氏名】ムーン、ビョン チョル
(72)【発明者】
【氏名】リー、イル ロー
(72)【発明者】
【氏名】シン、ヒュン ホー
(72)【発明者】
【氏名】リム、セウン モ
(72)【発明者】
【氏名】カン、イン ヨウン
【審査官】田中 晃洋
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-515353(JP,A)
【文献】特開2013-168633(JP,A)
【文献】特開平10-093023(JP,A)
【文献】特表2005-521228(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/33
H05K 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のトレンチを含み、容量部、及び前記容量部の周囲に配置される
第1及び第2マージン部を有する基板と、
前記基板の一面に配置され、且つ前記複数のトレンチを充填するように配置される誘電層と、
前記誘電層の一面に配置され、前記容量部から前記
第1マージン部に引き出される第1引き出し部を含む複数の第1電極層と、
前記誘電層を挟んで前記複数の第1電極層と対向するように前記誘電層の一面に配置され、前記容量部から前記
第2マージン部に引き出される第2引き出し部を含む複数の第2電極層と、を含み、
前記複数の第1電極層の前記第1引き出し部及び前記複数の第2電極層の前記第2引き出し部は、前記
第1及び第2マージン部から前記容量部の方向に傾いた階段状に積層さ
れ、
前記複数の第1電極層と連結される第1連結電極層及び前記複数の第2電極層と連結される第2連結電極層を含み、
前記第1連結電極層の少なくとも一部が前記第1マージン部に配置され、前記第2連結電極層の少なくとも一部が前記第2マージン部に配置される、キャパシター
。
【請求項2】
前記誘電層、前記複数の第1電極層、及び前記複数の第2電極層を覆うように配置される第1絶縁層をさらに含み、
前記第1絶縁層は、前記第1引き出し部に対応する位置に配置される第1開口部と、前記第2引き出し部に対応する位置に配置される第2開口部と、を含む、請求項
1に記載のキャパシター。
【請求項3】
前記第1開口部及び前記第2開口部は前記容量部と前記
第1及び第2マージン部との境界に対応するように長く配置される、請求項
2に記載のキャパシター。
【請求項4】
前記
第1連結電極層は前記第1
マージン部の前記第1絶縁層上に配置され
て、前記第1開口部を介して前記複数の第1電極層と連結され
る、
前記
第2連結電極層は前記第2
マージン部の前記第1絶縁層上に配置され
て、前記第2開口部を介して前記複数の第2電極層と連結され
る、請求項
2または
3に記載のキャパシター。
【請求項5】
前記第1連結電極層及び前記第2連結電極層は単層である、請求項
4に記載のキャパシター。
【請求項6】
前記第1連結電極層及び前記第2連結電極層上に配置され、前記第1連結電極層及び前記第2連結電極層を部分的に露出させる第2絶縁層をさらに含む、請求項
4に記載のキャパシター。
【請求項7】
露出した前記第1連結電極層及び前記第2連結電極層を覆うように形成された第1外部電極及び第2外部電極をさらに含む、請求項
6に記載のキャパシター。
【請求項8】
基板に配置された複数のトレンチを含み、前記複数のトレンチが位置する容量部、及び前記容量部の周囲に配置される
第1及び第2マージン部を有する複数のセル(cell)を含むキャパシターであって、
前記複数のセルは、前記容量部に配置され、前記複数のトレンチを充填するように配置される誘電層と、前記誘電層を挟んで交互に配置される第1電極層及び第2電極層と、を含み、
前記第1電極層は前記容量部から前記
第1マージン部に引き出される第1引き出し部を含み、前記第2電極層は前記容量部から前記
第2マージン部に引き出される第2引き出し部を含み、
前記第1電極層の前記第1引き出し部及び前記第2電極層の前記第2引き出し部は、前記
第1及び第2マージン部から前記容量部の方向に傾いた階段状に積層さ
れ、
複数の前記第1電極層と連結される第1連結電極層及び複数の前記第2電極層と連結される第2連結電極層を含み、
前記第1連結電極層の少なくとも一部が前記第1マージン部に配置され、前記第2連結電極層の少なくとも一部が前記第2マージン部に配置される、キャパシター
。
【請求項9】
前記誘電層、前記第1電極層、及び前記第2電極層を覆うように配置される第1絶縁層をさらに含み、
前記第1絶縁層は、前記第1
マージン部に配置される第1開口部と、前記第2
マージン部に配置される第2開口部と、を含む、請求項
8に記載のキャパシター。
【請求項10】
前記第1開口部及び前記第2開口部は前記容量部と前記
第1及び第2マージン部との境界に対応するように長く配置される、請求項
9に記載のキャパシター。
【請求項11】
前記
第1連結電極層は前記第1
マージン部の前記第1絶縁層上に配置され
て、前記第1開口部を介して前記第1引き出し部と連結され、
前記
第2連結電極層は前記第2
マージン部の前記第1絶縁層上に配置され
て、前記第2開口部を介して前記第2引き出し部と連結され
る、請求項
9または
10に記載のキャパシター。
【請求項12】
前記第1連結電極層及び前記第2連結電極層は単層である、請求項
11に記載のキャパシター。
【請求項13】
前記第1連結電極層及び前記第2連結電極層上に配置され、前記第1連結電極層及び前記第2連結電極層を部分的に露出させる第2絶縁層をさらに含む、請求項
11に記載のキャパシター。
【請求項14】
露出した前記第1連結電極層及び前記第2連結電極層を覆うように形成された第1外部電極及び第2外部電極をさらに含む、請求項
12に記載のキャパシター。
【請求項15】
基板と、
前記基板の一面に配置される半導体チップと、
前記基板の他面に配置されるキャパシターと、を含む実装基板であって、
前記キャパシターは、
複数のトレンチを含み、容量部、及び前記容量部の周囲に配置される
第1及び第2マージン部を有する基板と、
前記基板の一面に配置され、且つ前記複数のトレンチを充填するように配置される誘電層と、
前記誘電層の一面に配置され、前記容量部から前記
第1及び第2マージン部に引き出される第1引き出し部を含む複数の第1連結電極層と、
前記誘電層を挟んで前記複数の第1連結電極層と対向するように前記誘電層の一面に配置され、前記容量部から前記
第1マージン部に引き出される第2引き出しを含む複数の第2連結電極層と、を含み、
前記複数の第1連結電極層の前記第1引き出し部及び前記複数の第2連結電極層の前記第2引き出し部は、前記
第2マージン部から前記容量部の方向に傾いた階段状に積層さ
れ、
複数の第1電極層と連結される第1連結電極層及び複数の第2電極層と連結される第2連結電極層を含み、
前記第1連結電極層の少なくとも一部が前記第1マージン部に配置され、前記第2連結電極層の少なくとも一部が前記第2マージン部に配置される、実装基板。
【請求項16】
前記キャパシターは前記半導体チップと対向する位置の基板の他面に配置される、請求項
15に記載の実装基板。
【請求項17】
前記キャパシターはLSC(Land-side Capacitor)である、請求項
15または
16に記載の実装基板。
【請求項18】
前記実装基板は半田ボールをさらに含み、
前記キャパシターは前記半田ボールよりも厚さが薄い、請求項
17に記載の実装基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレンチを有するキャパシター及び実装基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォン、ウェアラブル装置などの携帯用IT製品の薄型化が進んでいる。これに伴い、全体的なパッケージの厚さを減少させるための受動素子の薄型化に対する必要性も増大している。
【0003】
そのため、積層セラミックキャパシターよりも薄い厚さを実現することができる薄膜キャパシターの需要も増加している。
【0004】
薄膜キャパシターは、薄膜(Thin Film)技術を用いて薄型のキャパシターを実現することができるという利点がある。
【0005】
また、薄膜キャパシターは、従来の積層セラミックキャパシターと異なって低いESLを有するという利点を有するため、最近、AP(Application Processor)用デカップリングキャパシター(Decoupling Capacitor)への適用が検討されている。
【0006】
かかるAP(Application Processor)用デカップリングキャパシター(Decoupling Capacitor)として薄膜キャパシターを用いるために、上記薄膜キャパシターはLSC(Land-side Capacitor)の形態で製作されている。
【0007】
しかし、従来の埋め込み方式のキャパシターは、キャパシターの不良が生じた時に再作動(Rework)が不可能であるため、全体的な損失コストが非常に大きくなる。これにより、再作動が可能なLSC(Land-side Capacitor)形態の薄膜キャパシターの実現が必要である。
【0008】
一方、LSC(Land-side Capacitor)形態の薄膜キャパシターは、半田ボール(Solder ball)の間に介在されるため、できるだけ小型に設計し、半田ボールの除去面積を最小化する必要がある。
【0009】
これとともに、薄膜キャパシターの容量を増加させるために、容量を実現する表面積を増加させることができるトレンチ(trench)型構造を薄膜キャパシターに適用させる研究が進んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】米国特許公開第2013-0161792号公報
【文献】日本特許登録第4628794号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、キャパシターの容量を著しく向上させることができ、連結電極層を最小化することができる構造を有するキャパシターを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述の課題を解決するための方法として、本発明は一例により新規な構造のキャパシターを提案しようとする。具体的に、本発明の一実施形態によるキャパシターは、複数のトレンチを含み、容量部、及び上記容量部の周囲に配置されるマージン部を有する基板と、上記基板の一面に配置され、且つ上記トレンチを充填するように配置される誘電層と、上記誘電層の一面に配置され、上記容量部から上記マージン部に引き出される第1引き出し部を含む複数の第1電極層と、上記誘電層を挟んで上記第1電極層と対向するように上記誘電層の一面に配置され、上記容量部から上記マージン部に引き出される第2引き出し部を含む複数の第2電極層と、を含み、上記複数の第1電極層の上記第1引き出し部及び上記複数の第2電極層の上記第2引き出し部は、上記マージン部から上記容量部の方向に傾いた階段状に積層される。
【0013】
上述の課題を解決するための方法として、本発明は他の例により上述の新規な構造のキャパシターを提案しようとする。具体的に、本発明の他の例によるキャパシターは、基板に配置された複数のトレンチを含み、上記トレンチが位置する容量部、及び上記容量部の周囲に配置されるマージン部を有する複数のセル(cell)を含むキャパシターであって、上記セルは、上記容量部に配置され、上記トレンチを充填するように配置される誘電層と、上記誘電層を挟んで交互に配置される第1電極層及び第2電極層と、を含み、上記第1電極層は上記容量部から上記マージン部に引き出される第1引き出し部を含み、上記第2電極層は上記容量部から上記マージン部に引き出される第2引き出し部を含み、上記第1電極層の第1引き出し部及び上記複数の第2電極層の第2引き出し部は、上記マージン部から上記容量部の方向に傾いた階段状に積層される。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一実施形態によるキャパシターは、各電極層の引き出し部がセルのマージン部から容量部の方向に傾いた階段状を有するため、連結電極層を最小化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態によるキャパシターを概略的に示した斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態によるキャパシターを概略的に示した平面図である。
【
図3】
図2の平面図において、4つのセルを概略的に示した拡大平面図である。
【
図4】
図3のI-I'に沿って概略的に示した断面図である。
【
図5】(a)は第1引き出し部を概略的に示した拡大断面図であり、(b)は第2引き出し部を概略的に示した拡大断面図である。
【
図6】(a)は第1引き出し部を概略的に示した平面図であり、(b)は第2引き出し部を概略的に示した平面図である。
【
図7】3層以上の誘電層を有する他の実施形態によるキャパシターの第1引き出し部を概略的に示した断面図である。
【
図8】本発明の一実施形態によるキャパシターにおいて、第1及び第2連結電極層が複数のセル上に形成されていることを概略的に示した平面図である。
【
図9】本発明の一実施形態によるキャパシターにおいて、第1及び第2連結電極層が複数のセル上に形成されていることを概略的に示した平面図である。
【
図10】第1及び第2連結電極層と第1及び第2外部電極とを連結する構造を説明するために概略的に示した平面図である。
【
図11】第1及び第2連結電極層と第1及び第2外部電極とを連結する構造を説明するために概略的に示した平面図である。
【
図12】第1及び第2連結電極層と第1及び第2外部電極とを連結する構造を説明するために概略的に示した平面図である。
【
図13】本発明の他の実施形態によるキャパシターの実装基板を概略的に示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(または強調表示や簡略化表示)がされることがあり、図面上の同一の符号で示される要素は同一の要素である。
【0017】
図面に示すX方向、Y方向、及びZ方向は、それぞれ長さ方向、幅方向、及び厚さ方向に表現されてもよく、順に第1方向、第2方向、及び第3方向に表現されてもよい。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態によるキャパシターを概略的に示した斜視図であり、
図2は、本発明の一実施形態によるキャパシターを概略的に示した平面図である。また、
図3は、
図2の平面図において、4つのセルを概略的に示した拡大平面図であり、
図4は、
図3のI-I'に沿って概略的に示した断面図である。
【0019】
以下、
図1から
図4を参照して、本発明の一実施形態によるキャパシター100について説明する。
【0020】
本発明の一実施形態によるキャパシター100は、本体101と、本体の外側に配置される第1及び第2外部電極191、192と、を含む。
【0021】
本体101の形状は特に制限されないが、一般に、六面体形状であることができる。また、その寸法は特に制限されないが、例えば、0.6mm×0.3mmのサイズを有し、1.0μF以上の高積層及び高容量の薄膜キャパシターの本体であることができる。
【0022】
本体101は基板110を含む。基板110は、Si、SiO2、Al2O3、MgO、LaAlO3及びSrTiO3からなる群より選択される何れか1つまたはこれらの組み合わせであることができる。例えば、基板110は、シリコンウエハー(wafer)を用いたものであってもよい。
【0023】
基板110は、基板110の一面に配置される容量部Aと、容量部Aの周囲に配置されるマージン部Mと、を有する。このような容量部A及びマージン部Mは、1つのセル102a、102bを構成する。本発明の一実施形態によるキャパシター100は複数のセル102a、102bを含む。
【0024】
基板110には、基板110の一面から基板110の内側に貫通する複数のトレンチ105が配置される。例えば、複数のトレンチ105は容量部Aに配置されることができる。
【0025】
トレンチ105は、基板110の一面をエッチングすることで形成されることができる。
【0026】
トレンチ105は、第1方向(X)または第1方向(X)に垂直な第2方向(Y)に長く形成されるか、第1方向(X)または第2方向(Y)に一定間隔で規則的に形成されることができる。但し、本発明において、トレンチ105が第2方向(Y)に長く、第1方向(X)に一定間隔で規則的に形成されることを基準として説明する。
【0027】
基板110の一面に配置され、且つトレンチ105には、誘電層111、112を挟んで互いに交互に配置される第1及び第2電極層121、122が充填される。
【0028】
本発明の一実施形態によるキャパシター100は、少なくとも1つ以上の誘電層111、112を含むことができる。例えば、
図4を参照すると、2層の誘電層111、112が含まれる場合、基板110の一面とトレンチ105には、第1電極層121、第1誘電層111、第2電極層122、第2誘電層112、及び第1電極層121が順に積層されることができる。
【0029】
第1及び第2電極層121、122は導電性材料を用いて形成されることができる。第1及び第2電極層121、122の材料は、誘電層111、112として何を用いるかに応じて決定されることができる。誘電層111、112が酸化金属(metal oxide)などの常誘電体で形成される場合、第1及び第2電極層121、122の材料は窒化金属(metal nitride)を含むことができる。例えば、第1及び第2電極層121、122はTiNであることができるが、これに制限されるものではない。
【0030】
第1及び第2電極層121、122は、ALD(Atomic Layer Deposition)またはAVD(Atomic Vapor Deposition)工程により形成されることができるが、これに制限されるものではない。
【0031】
誘電層111、112は酸化金属(metal oxide)などの常誘電体で形成されることができる。誘電層111、112は、Al2O3、ZrO2、HfO2のような酸化金属のうち何れか1つまたはこれらの組み合わせを含むことができる。誘電層111、112は、Al2O3、ZrO2、HfO2のような酸化金属を単一材料として含んで形成されることができる。これと異なって、誘電層111、112は、漏れ電流を防止する特性を向上させるために複合層で形成されてもよい。誘電層111、112が複合層である場合、誘電層111、112はZrO2-Al2O3-ZrO2の複合層であることができる。
【0032】
誘電層111、112は、ALD(Atomic Layer Deposition)またはAVD(Atomic Vapor Deposition)工程により形成されることができるが、これに制限されるものではない。
【0033】
第1電極層121及び第2電極層122は誘電層111、112を挟んで互いに対向するように配置され、第1電極層121及び第2電極層122にそれぞれ異なる極性の電圧が印加されると、キャパシターとして動作することができる。
【0034】
これにより、容量部Aにおいて、第1電極層121及び第2電極層122が誘電層111、112を挟んで互いに交互に配置されることで、MIM(Metal-Insulator-Metal)の構造を有するようになる。
【0035】
MIM構造の上部には、誘電層111、112、及び第1電極層121、並びに第2電極層122の上部を覆うように絶縁層181が配置されることができる。絶縁層181はシリコン酸化物(SiO2)であることができるが、これに制限されるものではない。
【0036】
第1電極層121は容量部Aからマージン部Mに引き出される第1引き出し部L1を含み、第2電極層122は容量部Aからマージン部Mに引き出される第2引き出し部L2を含む。
【0037】
図5において、(a)は第1引き出し部L
1を概略的に示した拡大断面図であり、(b)は第2引き出し部L
2を概略的に示した拡大断面図である。
【0038】
図5の(a)及び(b)を参照すると、第1及び第2引き出し部L
1、L
2は、マージン部Mから容量部Aの方向に傾いた階段状に形成されることができる。複数のセル102a、102bにおいて、互いに隣接する一対のセル102a、102bのうちそれぞれを第1セル102a及び第2セル102bと定義することができる。また、第1セル102a及び第2セル102bのそれぞれの中央部を基準として、第1及び第2セル102a、102bが接する部分の領域を第1領域、それ以外の領域を第2領域とすることができる。この際、第1引き出し部L
1は第1領域に配置されることができ、第2引き出し部L
2は第2領域に配置されることができる。
【0039】
第1引き出し部L1では、積層方向に下部から、第1電極層121、第1誘電層111、第2電極層122、第2誘電層112、及び第1電極層121が順に積層される。また、第1引き出し部L1は、積層方向に下部から、マージン部Mから容量部Aの方向に上がる階段状を有することができる。
【0040】
階段状を有する第1引き出し部L1の構成のうち第1電極層121の一面の少なくとも一部には、誘電層111、112または第2電極層122が配置されない。第1電極層121が階段の構成において踏面の役割を果たし、第1電極層121、第2電極層122及び誘電層111、112の一端部が階段の構成において蹴上面の役割を果たす。但し、これに制限されるものではなく、階段状の第1引き出し部L1において、第1電極層121だけでなく第2電極層122及び誘電層111、112も踏面の役割を果たすことができる。
【0041】
第1引き出し部L1の上部に配置された第1絶縁層181は、第1引き出し部L1に対応する位置に配置される第1開口部141を有する。例えば、第1開口部141は第1電極層121の一面に配置される。
【0042】
図5の(a)を参照すると、第1引き出し部L
1には第1連結電極層151が配置される。この際、第1連結電極層151は第1開口部141を介して第1引き出し部L
1と連結される。具体的に、第1連結電極層151は第1開口部141を介して第1電極層121と連結される。
【0043】
第2引き出し部L2では、積層方向に下部から、第1電極層121、第1誘電層111、第2電極層122、第2誘電層112、及び第1電極層121が順に積層される。また、第2引き出し部L2は、積層方向に下部から、マージン部Mから容量部Aの方向に上がる階段状を有することができる。
【0044】
階段状を有する第2引き出し部L2の構成のうち第2電極層122の一面の少なくとも一部には、誘電層111、112または第1電極層121が配置されない。第2電極層122が階段の構成において踏面の役割を果たし、第1電極層121、第2電極層122及び誘電層111、112の一端部が階段の構成において蹴上面の役割を果たす。但し、これに制限されるものではなく、階段状の第2引き出し部L2において、第2電極層122だけでなく第1電極層121及び誘電層111、112も踏面の役割を果たすことができる。
【0045】
第2引き出し部L2の上部に配置された第1絶縁層181は、第2引き出し部L2に対応する位置に配置される第2開口部142を有する。例えば、第2開口部142は第2電極層122の一面に配置される。
【0046】
図5の(b)を参照すると、第2引き出し部L
2には第2連結電極層152が配置される。この際、第2連結電極層152は第2開口部142を介して第2引き出し部L
2と連結される。具体的に、第2連結電極層152は第2開口部142を介して第2電極層122と連結される。
【0047】
従来は、トレンチ型キャパシターにおいて、第1及び第2電極層と連結電極層とを、0.25~0.5μm程度の直径を有するビア(via)を介して連結してきた。すなわち、従来のようなビア(via)を用いる場合、別にレーザーなどを用いてビア(via)を形成し、ビアを導電性物質でそれぞれ充填する工程が必要となり、ビアの小さい直径によってキャパシターの等価直列抵抗が増加するという問題があった。しかし、本発明の一実施形態によるキャパシター100は、開口部を介して第1及び第2電極層と第1及び第2連結電極層とをそれぞれ連結するため、従来に比べて容易に開口部を形成し、より広い接触面積を確保して等価直列抵抗を減少させることができる。
【0048】
さらに、従来のトレンチ型キャパシターは、外部電極と各電極層とを連結するために複数の連結電極層が必要であった。このような複数の連結電極層は、トレンチ型キャパシターの厚さを増加させる要因となる。しかし、本発明の一実施形態によるキャパシターは、階段状の第1及び第2引き出し部L1、L2を用いるため、第1及び第2連結電極層151、152を単層で形成することができる。これにより、第1及び第2連結電極層151、152がキャパシター100の厚さに与える影響を最小化し、キャパシター100を薄型化することが可能となる。
【0049】
図6において、(a)は第1引き出し部を概略的に示した平面図であり、(b)は第2引き出し部を概略的に示した平面図である。
【0050】
図6の(a)及び(b)を参照すると、第1及び第2開口部141、142は一方向に長く配置されることができる。すなわち、従来のような円形のビアではなく、一方向に長く形成される第1及び第2開口部141、142を介して第1及び第2電極層と第1及び第2連結電極層とをそれぞれ連結するため、キャパシターの等価直列抵抗を著しく減少させることができる。
【0051】
例えば、第1及び第2開口部141、142を容量部Aとマージン部Mとの境界に対応するように長く形成することで、キャパシターの等価直列抵抗を著しく減少させることができる。
【0052】
図7は、3層以上の誘電層を有する他の実施形態によるキャパシターの第1引き出し部L
1'を概略的に示した断面図である。
【0053】
図7を参照すると、本発明の他の実施形態によるキャパシターは、第1~第6誘電層111、112、113、114、115、116を含むことができる。
【0054】
このように、3層以上の誘電層を含む場合、従来のトレンチ型キャパシターは、誘電層の数だけ増加した各電極層を外部電極と連結するために、連結電極層の数を少なくとも2層以上に増加させるしかなかった。このように連結電極層の数が増加すると、キャパシターの厚さが厚くなるという問題がある。
【0055】
これに対し、本発明の他の実施形態によるキャパシターは、階段状の第1引き出し部L1'を用いるため、第1連結電極層151を単層で形成することができる。これは、第2引き出し部及び第2連結電極層にも同様に適用されることができる。したがって、本発明の他の実施形態によるキャパシターは、3層以上の誘電層を含むにもかかわらず、第1及び第2連結電極層がキャパシターの厚さに与える影響を最小化し、キャパシターを薄型化することが可能である。
【0056】
図8は、本発明の一実施形態によるキャパシターにおいて、第1及び第2連結電極層が複数のセル上に形成されたことを概略的に示した平面図である。
【0057】
図8を参照すると、複数のセル102a、102bにおいて、互いに隣接する一対のセル102a、102bのうちそれぞれを第1セル102a及び第2セル102bと定義することができる。また、第1セル102a及び第2セル102bのそれぞれの中央部を基準として、第1及び第2セル102a、102bが接する部分の領域を第1領域、それ以外の領域を第2領域とすることができる。この際、第1引き出し部L
1は第1領域に配置されることができ、第2引き出し部L
2は第2領域に配置されることができる。
【0058】
キャパシター100のESL(Equivalent Series Inductance)を低くするためには、キャパシター100の連結電極層をどのように配置するかが非常に重要である。すなわち、容量を実現する(+)極性及び(-)極性を、電気の流れを考慮して配置する必要がある。連結電極層と各電極層とをビアを介して連結していた従来のキャパシターでも、このように電気の流れを考慮してESLを低くしようとする試みがあったが、トレンチ型キャパシターの構造的限界により、各セルの対称性が著しく低いという問題があった。
【0059】
しかし、本発明の一実施形態によるキャパシター100は、
図8のように、第1及び第2連結電極層151、152を一方向に長く形成し、且つ互いに交互に配置することで、連結電極層の対称性を極大化して、ESLを最小化することができるという効果を奏することができる。
【0060】
この際、第1連結電極層151に対応する位置には第1引き出し部L1のみが配置され、第2連結電極層152に対応する位置には第2引き出し部L2のみが配置されることを確認することができる。
【0061】
図9は、本発明の一実施形態によるキャパシターにおいて、第1及び第2連結電極層が複数のセル上に形成されていることを概略的に示した平面図である。
図8と異なって、
図9の第1及び第2連結電極層151'、152'は1つ以上のセル102a'、102b'を完全に覆うように配置されることができる。この場合、第1セル102a'は第1引き出し部L
1のみを含み、第2セル102b'は第2引き出し部L
2のみを含むように配置されることができる。
【0062】
図9のように、第1及び第2連結電極層151'、152'を一方向に長く形成し、且つ互いに交互に配置することで、連結電極層の対称性を極大化して、ESLを最小化することができるという効果を奏することができる。
【0063】
図10から
図12は、第1及び第2連結電極層と第1及び第2外部電極とを連結する構造を説明するために概略的に示した平面図である。
【0064】
各図を参照して、第1及び第2連結電極層と第1及び第2外部電極とを連結する構造について説明する。
【0065】
図10において、(a)を参照すると、第1絶縁層181に第1及び第2連結電極層151、152がY方向に長く形成され、X方向に交互に配置される。第1及び第2連結電極層151、152の上部には第2絶縁層182が配置される。第2絶縁層182は、(b)のように、開口を介してX方向に第1連結電極層151のみを、または第2連結電極層152のみを露出させる。(c)を参照すると、露出した第1連結電極層151を覆うようにX方向に第1外部電極191が配置され、露出した第2連結電極層152を覆うようにX方向に第2外部電極192が配置される。
【0066】
第1外部電極191及び第2外部電極192は導電性物質を含むペーストを用いて形成されることができる。必要に応じて、第1外部電極191及び第2外部電極192上にめっき層をさらに含むことができる。
【0067】
図11において、(a)を参照すると、第1絶縁層181に第1及び第2連結電極層151、152がX方向に長く形成され、Y方向に交互に配置される。第1及び第2連結電極層151、152の上部には第2絶縁層182が配置される。第2絶縁層182は、(b)のように、開口を介してY方向に第1連結電極層151のみを、または第2連結電極層152のみを露出させる。(c)を参照すると、露出した第1連結電極層151を覆うようにY方向に長く第1外部電極191が配置され、露出した第2連結電極層152を覆うようにY方向に長く第2外部電極192が配置される。
【0068】
図12を参照すると、3端子の外部電極を含む実施形態も可能である。
図12において、(a)を参照すると、第1絶縁層181に第1及び第2連結電極層151、152がX方向に長く形成され、Y方向に交互に配置される。第1及び第2連結電極層151、152の上部には第2絶縁層182が配置される。第2絶縁層182は、(b)のように、開口を介してY方向に第1連結電極層151のみを、または第2連結電極層152のみを露出させる。この際、X方向の両端部側では第2連結電極層152のみが露出し、中央部では第1連結電極層151のみが露出する。(c)を参照すると、露出した第2連結電極層152を覆うようにY方向に長く第1及び第2外部電極191、192が配置され、露出した第1連結電極層151を覆うようにY方向に長く第3外部電極193が配置される。
【0069】
図13は、本発明の他の実施形態によるキャパシターの実装基板を概略的に示した断面図である。
【0070】
図13を参照すると、本発明の他の実施形態によるキャパシターの実装基板1000は、基板210と、基板210の一面に配置される半導体チップ220と、基板210の他面に配置されるキャパシター100と、を含む。
【0071】
この際、キャパシター100としては、本明細書で説明した一実施形態によるキャパシター100を用いることができる。本発明の一実施形態によるキャパシター100を、いわゆる薄膜キャパシターと呼ぶが、薄膜キャパシターは、従来の積層セラミックキャパシターと異なって低いESLを有するという利点を有するため、最近、AP(Application Processor)用デカップリングキャパシター(Decoupling Capacitor)への適用が検討されている。特に、キャパシターがデカップリングキャパシターとして用いられる場合、APに隣接して配置する必要がある。したがって、本発明の他の実施形態によるキャパシターの実装基板1000は、APに用いられる半導体チップ220を基板210の一面に配置し、半導体チップ220と対向する位置の基板210の他面にキャパシター100を配置することができる。
【0072】
このように、半導体チップ220と対向する位置に配置されるキャパシター100をLSC(Land-side Capacitor)と呼ぶ。このようなLSC(Land-side Capacitor)型のキャパシター100は、半導体チップ220と対向する位置の基板210の他面に配置されるため、基板210をメイン基板310に実装するためには、半田ボール(Solder ball)230よりも厚さを薄くしなければならず、できるだけ小型に設計して、半田ボールの除去面積を最小化する必要がある。
【0073】
すなわち、本発明の一実施形態によるキャパシター100は、各電極層の引き出し部がセルのマージン部から容量部の方向に傾いた階段状を有するため、連結電極層を最小化することができ、これによって半田ボールを薄く形成することが可能である。
【0074】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。
【符号の説明】
【0075】
100 キャパシター
101 本体
105 トレンチ
110 基板
111、112 誘電層
121、122 第1及び第2電極層
141、142 第1及び第2開口部
151、152 第1及び第2連結電極層
181 第1絶縁層
182 第2絶縁層
191、192 第1及び第2外部電極