(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-04
(45)【発行日】2022-03-14
(54)【発明の名称】画像読取装置、画像読取装置の制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/04 20060101AFI20220307BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20220307BHJP
【FI】
H04N1/04 106Z
H04N1/12 Z
G03G15/00 107
(21)【出願番号】P 2017239513
(22)【出願日】2017-12-14
【審査請求日】2020-07-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000104652
【氏名又は名称】キヤノン電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】特許業務法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【氏名又は名称】永川 行光
(72)【発明者】
【氏名】影山 智明
【審査官】橋爪 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-046809(JP,A)
【文献】特開2011-244057(JP,A)
【文献】特開2009-089248(JP,A)
【文献】特開2016-127330(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/04- 1/207
G06T 1/00
G03B 27/50-27/70
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿束から原稿を1枚ずつ分離して給送する給送手段と、
前記給送手段で分離される原稿を搬送路に沿って搬送する搬送手段と、
前記搬送手段で搬送中の原稿の後端が前記給送手段を通過することを検知する原稿検知手段と、
前記搬送手段で搬送中の原稿の画像を、前記
原稿の搬送方向と直交する方向に延びる1ラインを単位として先端側から順次走査して読み取る画像読取手段と、
前記1ラインの走査時間を第1走査時間とする第1読取条件と、前記1ラインの走査時間を前記第1走査時間よりも短い第2走査時間とする第2読取条件とを切り換えて前記画像読取手段に読み取りを行わせる制御手段と
、
前記給送手段が前記原稿束から原稿を1枚ずつ分離して給送するか否かを判定する判定手段と
を備え、
前記制御手段は、
前記判定手段にて1枚ずつ分離して給送すると判定された場合、前記画像読取手段に前記原稿の先端側から前記第1読取条件で画像の読み取りを行わせ、前記原稿検知手段の検知結果に基づいて、前記第2読取条件に変更して前記画像読取手段に画像の読み取りを継続させ
、
前記判定手段にて1枚ずつ分離して給送しないと判定された場合、前記第2走査時間とする前記第2読取条件にて前記画像読取手段に画像を読み取らせる
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記画像読取手段は、原稿に対して光照射するための光源と、原稿からの反射光を受光する受光素子とを有し、
前記制御手段は、前記第1読取条件に対応する第1点灯時間で前記光源を点灯し、前記第2読取条件に変更した場合、前記第2読取条件に対応する第2点灯時間で前記光源を点灯することを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記第2読取条件として画像を読み取っていた原稿の後端が前記画像読取手段を通過した後、次の原稿の先端が前記画像読取手段に到達する前のタイミングで、前記第1読取条件に変更することを特徴とする請求項1または2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記画像読取手段によって得た画像データの明度を前記第1読取条件に対応する第1明度補正条件で補正する画像補正手段をさらに備え、
前記制御手段が前記第2読取条件に変更した場合、前記画像補正手段は、前記第2読取条件に対応する第2明度補正条件を用いて画像データの明度を補正することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項5】
原稿束から原稿を1枚ずつ分離して給送する給送手段と、
前記給送手段で分離される原稿を搬送路に沿って搬送する搬送手段と、
前記搬送手段で搬送中の原稿の後端が前記給送手段を通過することを検知する原稿検知手段と、
前記搬送手段で搬送中の原稿の画像を、前記
原稿の搬搬送方向と直交する方向に延びる1ラインを単位として先端側から順次走査して読み取る画像読取手段と
を備える画像読取装置の制御方法であって、
前記1ラインの走査時間を第1走査時間とする第1読取条件と、前記1ラインの走査時間を前記第1走査時間よりも短い第2走査時間とする第2読取条件とを切り換えて前記画像読取手段に読み取りを行わせる制御工程
と、
前記給送手段が前記原稿束から原稿を1枚ずつ分離して給送するか否かを判定する判定工程と
を有し、
前記制御工程は、
前記判定工程にて1枚ずつ分離して給送すると判定された場合、前記画像読取手段に前記原稿の先端側から前記第1読取条件で画像の読み取りを行わせ、前記原稿検知手段の検知結果に基づいて、第2読取条件に変更して前記画像読取手段に画像の読み取りを継続させ
、
前記判定工程にて1枚ずつ分離して給送しないと判定された場合、前記第2走査時間とする前記第2読取条件にて前記画像読取手段に画像を読み取らせる
ことを
含む特徴とする画像読取装置の制御方法。
【請求項6】
コンピュータに、請求項
5に記載の画像読取装置の制御方法を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートフィード型ドキュメントスキャナや複写機などのシート(原稿)を1枚ずつ分離して搬送し、原稿の画像を読み取るための画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シートフィード型の画像読取装置では、原稿台に置かれた原稿束から1枚ずつ原稿を分離して給送することで原稿の画像を読み取るため、画像読取手段の上流側に原稿束を1枚ずつ分離するための分離機構を設けていた。この分離機構は、原稿束を上流側に戻す方向、もしくは分離機構上にとどまらせる力をかけることで、次の原稿が分離機構よりも下流に進むことを防止し、1枚ずつ原稿を搬送路へ送り出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の画像読取装置では、分離機構を通過する際の原稿に加わる搬送負荷によって、分離機構の通過前後で原稿の搬送方向における原稿の縮率が安定せず、原稿の読取画像の一部が歪んで読取不良が発生するおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明にかかる画像読取装置は、
原稿束から原稿を1枚ずつ分離して給送する給送手段と、
前記給送手段で分離される原稿を搬送路に沿って搬送する搬送手段と、
前記搬送手段で搬送中の原稿の後端が前記給送手段を通過することを検知する原稿検知手段と、
前記搬送手段で搬送中の原稿の画像を、前記原稿の搬送方向と直交する方向に延びる1ラインを単位として先端側から順次走査して読み取る画像読取手段と、
前記1ラインの走査時間を第1走査時間とする第1読取条件と、前記1ラインの走査時間を前記第1走査時間よりも短い第2走査時間とする第2読取条件とを切り換えて前記画像読取手段に読み取りを行わせる制御手段と、
前記給送手段が前記原稿束から原稿を1枚ずつ分離して給送するか否かを判定する判定手段と
を備え、
前記制御手段は、
前記判定手段にて1枚ずつ分離して給送すると判定された場合、前記画像読取手段に前記原稿の先端側から前記第1読取条件で画像の読み取りを行わせ、前記原稿検知手段の検知結果に基づいて、前記第2読取条件に変更して前記画像読取手段に画像の読み取りを継続させ、
前記判定手段にて1枚ずつ分離して給送しないと判定された場合、前記第2走査時間とする前記第2読取条件にて前記画像読取手段に画像を読み取らせる。
【発明の効果】
【0006】
かかる本発明によれば、高品質な画像読み取りを実行できる画像読取装置を実現できる。例えば、原稿を搬送しながら画像を読み取る画像読取装置において、画像読取中の原稿の後端が分離機構を通過するときに画像データの搬送方向における縮率が変わってしまうことを有効に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の一実施形態に係る画像読取装置の概略図。
【
図3】本発明の一実施形態に係る画像読取装置の搬送路を示す概略図。
【
図4】本発明の一実施形態に係る画像読取装置の動作を示すフローチャート図。
【
図5】本発明の一実施形態に係る画像読取装置の動作を示すフローチャート図。
【
図6】本発明の一実施形態に係る画像読取装置の動作を示すフローチャート図。
【
図7】本発明の一実施形態に係る画像読取装置給紙部を示す概略図。
【
図8】本発明の一実施形態に係る画像読取装置の動作を示すフローチャート図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0009】
(実施形態1)
図1は本発明の一実施形態に係る画像読取装置Aの概略図である。
<装置の構成>
画像読取装置Aは、載置台1に積載された一又は複数の搬送媒体Sを1つずつ装置内に経路RTにて搬送してその画像を読み取り、排出トレイ2に排出する装置である。読み取る搬送媒体Sは、例えば、OA紙、チェック、小切手、名刺、カード類等のシートであり、厚手のシートであっても、薄手のシートであってもよい。カード類は、例えば、保険証、免許証、クレジットカード等を挙げることができる。
【0010】
<載置台>
載置台1には搬送媒体Sが載置されたことを検知するための載置台媒体検出センサ110が設けられている。載置台媒体検出センサ110は発光素子と受光素子からなる反射型光学センサであり、搬送媒体Sが載置台に載置されることで、搬送媒体Sで反射された発光素子の光を受光し搬送媒体Sを検出する。
【0011】
<原稿の給送機構>
経路RTに沿って搬送媒体Sを給送する給送機構としての第1搬送部10が設けられている。第1搬送部10は本実施形態の場合、送りローラ11と、送りローラ11に対向配置される分離ローラ12と、を備え、載置台1上の搬送媒体Sを搬送方向D1に一つずつ順次搬送する。
【0012】
送りローラ11には、モータ等の駆動部3から伝達部5を介して駆動力が伝達され、図中矢印方向(経路RTに沿って搬送媒体Sを搬送させる正方向)に回転駆動される。伝達部5は例えば電磁クラッチであり、駆動部3からの送りローラ11への駆動力を断続する。
【0013】
<駆動部>
駆動部3と送りローラ11とを接続する伝達部5は、例えば、本実施形態では、通常時において駆動力が伝達される状態とし、搬送媒体Sの逆送の場合に駆動力を遮断する。送りローラ11は伝達部5により駆動力の伝達が遮断されると、自由回転可能な状態となる。なお、このような伝達部5は、送りローラ11を一方向のみに駆動させる場合には設けなくてもよい。
【0014】
<分離構造(分離機構)>
送りローラ11に対向配置される分離ローラ12は、搬送媒体Sを1枚ずつ分離するためのローラであり、送りローラ11に対して一定圧で圧接している。この圧接状態を確保するため、分離ローラ12は揺動可能に設けると共に送りローラ11へ付勢されるように構成される。分離ローラ12は、トルクリミッタ12aを介して駆動部3から駆動力が伝達され、実線矢印方向(送りローラ11の正方向とは逆方向)に回転駆動される。
【0015】
分離ローラ12はトルクリミッタ12aにより駆動力伝達が規制されるため、送りローラ11と当接している際は送りローラ11に連れ回りする方向(破線矢印方向)に回転する。これにより、複数の搬送媒体Sが送りローラ11と分離ローラ12との圧接部(ニップ部)に搬送されてきた際には、一つを残して2つ以上の搬送媒体Sが下流に搬送されないようにせき止められる。
【0016】
また、不図示の分離設定部から分離動作を行わない非分離モードが選択された場合は、駆動部3からの駆動力の伝達がOFFされ、分離ローラ12は圧接している送りローラ11に従動して回転する状態となり、分離はOFFされる。
【0017】
本実施形態においては、分離機構として分離ローラ12を設けたが、分離ローラ12のような構成の代わりに、搬送媒体Sに摩擦力を付与する分離パッドを送りローラ11に圧接させて、同様の分離作業を持たせるようにしてもよい。
【0018】
<原稿の搬送構造>
第1搬送部10の搬送方向下流側にある搬送機構としての第2搬送部20は、駆動ローラ21と、駆動ローラ21に従動する従動ローラ22とを備え、第1搬送部10から搬送されてきた搬送媒体Sをその下流側へ搬送する。
【0019】
駆動ローラ21にはモータ等の駆動部4から駆動力が伝達され、図中矢印方向に回転駆動される。従動ローラ22は駆動ローラ21に対して一定圧で圧接し、駆動ローラ21に連れ回る。この従動ローラ22は、バネ等の付勢ユニット(不図示)によって駆動ローラ21に対して付勢された構成としてもよい。
【0020】
このような第2搬送部20よりも搬送方向下流側にある第3搬送部30は、駆動ローラ31と駆動ローラ31に従動する従動ローラ32とを備え、第2搬送部20から搬送されてきた搬送媒体Sを排出トレイ2へ搬送する。つまり、この第3搬送部30は排出機構として機能する。
【0021】
駆動ローラ31にはモータ等の駆動部4から駆動力が伝達され、図中矢印方向に回転駆動される。従動ローラ32は駆動ローラ31に対して一定圧で圧接し、駆動ローラ31に連れまわる。この従動ローラ32は、バネ等の付勢ユニット(不図示)によって駆動ローラ31に対して付勢された構成としてもよい。
【0022】
排出トレイ2は、画像読取装置Aに対して回動可能なように、画像読取装置Aの下方に設けられた第1ヒンジ101を介して軸支されている。また、第1ヒンジ101側の第1排出トレイ2aとその先端側に接続された第2排出トレイ2bとから構成されており、第2排出トレイ2bは第1排出トレイ2aに対して回動可能に軸支されている。
【0023】
<画像読取構造、制御>
ここで、本実施形態の画像読取装置Aでは、第2搬送部20と第3搬送部30との間に配置される画像読取ユニット70によって画像の読み取りを行うため、第2搬送部20及び第3搬送部30は搬送媒体Sを定速搬送する。
【0024】
第2搬送部20及び第3搬送部30の搬送速度は常に第1搬送部10の搬送速度以上とすることで、先行搬送媒体Sに後続搬送媒体Sが追いついてしまう事態を回避できる。例えば、本実施形態では、第2搬送部20及び第3搬送部30による搬送媒体Sの搬送速度を、第1搬送部10による搬送媒体Sの搬送速度よりも速くなるように速度制御するようにした。
【0025】
なお、第2搬送部20及び第3搬送部30による搬送媒体Sの搬送速度と、第1搬送部10による搬送媒体Sの搬送速度とを、同一の搬送条件とした場合でも、駆動部3を制御して後続搬送媒体Sの給送開始タイミングを間欠的にずらすことにより先行搬送媒体Sと後続搬送媒体Sとの間に最低限の間隔を形成することも可能である。
【0026】
<重送検出>
第1搬送部10と第2搬送部20との間に配置される重送検出センサ40は、静電気等で紙などの搬送媒体S同士が密着し、第1搬送部10を通過してきた場合(つまり重なって搬送される重送状態の場合)に、これを検出するための検出センサ(シートの挙動や状態を検出するセンサ)の一例である。
【0027】
重送検出センサ40としては、種々のものが利用可能であるが本実施形態の場合には超音波センサであり、超音波の発信部とその受信部とを備え、紙等の搬送媒体Sが重送されている場合と1つずつ搬送されている場合とで、搬送媒体Sを通過する超音波の減衰量が異なることを原理として重送を検出する。
【0028】
<レジストセンサ(原稿検知センサ)>
媒体検出センサ50は第2搬送部20よりも上流側で、第1搬送部10よりも下流側に配置された上流側の検出センサ(シートの挙動や状態を検出するセンサ)としての一例であり、第1搬送部10により搬送される搬送媒体Sの位置、詳細には、媒体検出センサ50の検出位置に搬送媒体Sの端部が到達又は通過したか否かを検出する。
【0029】
媒体検出センサ50としては、種々のものが利用可能であるが、本実施形態の場合には光学センサであり、発光部51とその受光部52とを備え、搬送媒体Sの到達又は通過により受光強度(受光量)が変化することで搬送媒体Sを検出する。
【0030】
本実施形態の場合、搬送媒体Sの先端が媒体検出センサ50で検出されると、搬送媒体Sが重送検出センサ40により重送を検出可能な位置に到達しているように、上記の媒体検出センサ50は重送検出センサ40の近傍においてその下流側に設けられている。
【0031】
なお、この媒体検出センサ50は、上記の光学センサに限定されず、例えば、搬送媒体Sの端部が検知できるセンサ(イメージセンサ等)を用いてもよいし、経路RTに突出したレバー型のセンサでもよいし、搬送媒体Sに従動回転するエンコーダを用いてもよい。
【0032】
媒体検出センサ50とは別の媒体検出センサ60が画像読取ユニット70よりも上流側に配置されている。第2搬送部20よりも下流側に配置された下流側の検出センサとしての一例であり、第2搬送部20により搬送される搬送媒体Sの位置を検出する。
【0033】
媒体検出センサ60としては、種々のものが利用可能であるが、本実施形態の場合、媒体検出センサ50と同様に光センサであり、発光部61と受光部62とを備え、搬送媒体Sの到達又は通過により受光強度(受光量)が変化することを原理として搬送媒体Sを検出する。なお、本実施形態では、第2搬送部20の搬送方向上流側と下流側のそれぞれに媒体検出センサ50、60を配置したが、何れか一方だけでもよい。
【0034】
<分離部原稿検知センサ>
180は分離部原稿検知センサである。
図7を用い、分離部原稿検知センサ180の構成を説明する。分離部原稿検知センサ180は送りローラ11と分離ローラ12が当接する位置付近と搬送方向に垂直な位置に設置され、搬送媒体Sの後端が送りローラ11と分離ローラ12のニップ位置(接圧位置)を通過することを検知する。
【0035】
このような分離部原稿検知センサ180は、送りローラ11及び分離ローラ12のニップ部において、搬送媒体Sの後端が保持されている状態から抜け出るタイミングを検知するセンサである。すなわち、分離部原稿検知センサ180が搬送媒体Sの後端を検知したときには、搬送媒体Sの後端はニップ部から完全には抜け出ていない。
【0036】
分離部原稿検知センサ180としては、媒体検出センサ50と同様に種々のものが利用可能であるが、本実施形態の場合には光学センサであり、発光部53とその受光部54とを備え、搬送媒体Sの到達又は通過により受光強度(受光量)が変化することを検知する。発光部53とその受光部54は
図7で示すような位置に配置されている。
【0037】
このような分離部原稿検知センサ180は、送りローラ11及び分離ローラ12が接圧されるニップ部の幅方向両側において、搬送媒体Sの給送方向(送り方向)に複数個の光学センサを一列に配列した構成としてもよい。その場合には、光学センサの配列のうち最上流側にある光学センサの位置は、上述したニップ部の両側もしくはニップ部よりも少し上流側に配置するのが好ましい。
【0038】
これにより、搬送媒体Sの後端がニップ部を通過するタイミングを高精度に検知することができる。特に、ニップ部よりも少し上流側から光学センサによって搬送媒体Sの後端を検知できれば、ニップ部を抜ける前から移動状況を把握できるため、搬送媒体Sの後端がニップ部を抜けるタイミングを高精度に検知することができる。
【0039】
また、ニップ部の両側に設けたことで、搬送媒体Sが斜行した状態を考慮し、両側の光学センサの検知領域を搬送媒体Sの後端が抜けたタイミングで搬送媒体の後端がニップ部を抜けたタイミングとして検知することができる。
【0040】
<イメージセンサ(CIS)の配置>
媒体検出センサ60よりも下流側にある画像読取ユニット70は、例えば、光学的に走査し、電気信号に変換して画像データとして読み取るものであり、内部にLED等の光源、イメージセンサ、レンズアレー等を備えている。
【0041】
本実施形態の場合、画像読取ユニット70は経路RTの両側に一つずつ配置されており、搬送媒体Sの表裏面を読み取る。経路RTの片側にのみ一つ配置して、搬送媒体Sの片面のみを読み取る構成としてもよい。また、本実施形態では、画像読取ユニット70を経路RTの両側に対向配置した構造としているが、例えば、経路RTの方向に間隔をあけて配置してもよい。
【0042】
<外部装置(パソコン)からの開始指示受信による駆動>
画像読取装置Aの基本的な動作について説明する。制御部80は、例えば画像読取装置Aが接続されたホストPCから画像読み取りの開始指示を受信すると、第1乃至第3搬送部10乃至30の駆動を開始する。載置台1に積載された搬送媒体Sはその最も下に位置する搬送媒体Sから1つずつ搬送される。
【0043】
<レジストセンサの出力に応じた読取開始>
制御部80は、媒体検出センサ60の検出結果(詳細には、搬送媒体Sの先端検知)に基づくタイミングで、第2搬送部20により搬送されてきた搬送媒体Sの、画像読取ユニット70による画像の読み取りを開始し、その後、媒体検出センサ60の検出結果(詳細には、搬送媒体Sの後端検知)に基づいて読み取りを終了し、その間で読み取った画像を一次記憶して順次ホストPCへ送信する。画像が読み取られた搬送媒体Sは第3搬送部30により排出トレイ2に排出されてその搬送媒体Sの画像読取処理が終了する。
【0044】
<排紙構造>
排出トレイ2は、画像読取装置Aに対して回動可能なように、画像読取装置Aの下方に設けられた第1ヒンジ101を介して軸支されており、第1排出トレイ2a及び第2排出トレイ2bによって本体前面を覆うように構成されている。
【0045】
<表示パネルの構成>
第2排出トレイ2bの収納状態において、第2排出トレイ2bと重なる位置に設けられた表示パネル90には、表示画面が配置されている。
【0046】
<画像読取装置の制御ブロック説明>
図2を参照して画像読取装置Aのブロック図について説明する。
制御部80はCPUや周辺機能を備えたマイコン等のデバイスで、周辺機能として記憶部182、操作部183、通信部184等を備える。
【0047】
制御部80は記憶部182に記憶されたプログラムを実行することにより、画像読取装置A全体の制御を行う。記憶部182は例えばRAM、ROM等から構成される。操作部183は、例えば、スイッチや表示パネル90に設けられたタッチパネル等で構成され、操作者からの操作を受け付ける。
【0048】
通信部184は、外部装置との情報通信を行うインターフェースである。外部装置としてPC(パソコン)を想定した場合、通信部184としては、例えば、USBインターフェースやSCSIインターフェースを挙げることができる。また、このような有線通信のインターフェースの他、通信部184は無線通信のインターフェースとしてもよく、有線通信、無線通信の双方のインターフェースを備えていてもよい。
【0049】
符号81はイメージセンサで光電変換素子がライン状に配列され、スタート信号に同期して1ラインの画像を読み取る。符号86はLEDなどで構成される光源であり、イメージセンサ81と光源86は画像読取ユニット70に含まれる。
【0050】
符号82はイメージセンサ81から出力された画像信号を増幅し、A/D変換を行うことでデジタルデータに変換する増幅部・A/D変換部で、このほかにオフセット調整機能などを備えたAFE(Analog Front End)ICを用いても構わない。
【0051】
符号83は得られた画像データの明るさを調整するための画像濃度調整部、符号84は画像データに様々な画処理を施す画像処理部である。画像処理部84で処理された画像データは不図示のバッファメモリ等に一旦蓄えられ制御部80を介して通信部184に送られる。
【0052】
符号85は、画像を光走査するときの時間を設定するための光走査時間設定部で、イメージセンサ81の1ラインの光走査時間を設定する。ここでいう1ラインの光走査時間の設定とは、予め決められた1ラインの光走査時間をイメージセンサ81の読取条件に適用することである。1ラインの走査時間は通常、所望の解像度と搬送媒体Sの搬送速度によって決められる。符号87は光源点灯部で、イメージセンサ81の出力信号が所望のレベルとなるように光源86の点灯時間を1走査時間内で調整可能となっている。
【0053】
符号88は駆動部で
図1における駆動部3,4が含まれる。符号89は駆動部88を駆動させるための駆動制御部で、符号180は
図1で説明した分離部原稿検知センサであり、符号40は搬送媒体Sの重送を検知する重送検出センサ、符号50,60は搬送媒体Sの検知を行う媒体検出センサにあたる。
【0054】
符号90は表示パネルで本実施例では液晶パネルを用い、読み取った画像データを表示可能な構成としたが、画像読取装置Aの外部に接続されたホストPC等の表示装置をもちいても構わない。
【0055】
<画像読取装置の動作フロー>
次に
図4のフローチャートを用いて本実施形態の動作を説明する。
画像読取装置Aに接続されたホストPCもしくは操作部183からスキャン開始が指示されると、制御部80は載置台媒体検出センサ110により、載置台に搬送媒体Sが置かれているかどうかを検出する(ステップS501)。載置台に搬送媒体Sが置かれていない場合、ユーザによって搬送媒体Sが置かれるまで待機する。この時、表示パネル等に搬送媒体の載置を促すメッセージを表示してもよい。
【0056】
ここで、載置台に搬送媒体Sが置かれている場合、制御部80は光走査時間設定部85に対して、光走査時間T1をセットする(ステップS502)。光走査時間T1はイメージセンサ81の解像度や搬送速度などによってあらかじめ決められた値である。
【0057】
イメージセンサ81は光走査時間T1の間に、光源86から照射され搬送媒体Sに反射された光を蓄積し、画像信号として後段に出力する。第1光走査条件としての光走査時間T1がセットされると、制御部80は搬送開始指示を行う(ステップS503)。
【0058】
光走査時間T1は搬送速度V1と解像度(副走査)によって、下記式1によって決めることができる。
光走査時間T1=25.4mm÷(副走査解像度×搬送速度V1)・・・・式1
【0059】
また、光源切り替えによって赤、青、緑の画像データを得るイメージセンサを用いた場合は、各色の光走査時間は上記式で導いた時間の1/3となる。
【0060】
載置台1に積載された搬送媒体Sは1枚ずつ搬送路RTに給紙され搬送される。搬送媒体Sの先端がイメージセンサ81の読取位置付近(実際には読取位置より少し手前)に到達するタイミングを確認(ステップS504)し、イメージセンサ81の読取位置に到達するタイミングで画像読取が開始される(ステップS505)。
【0061】
搬送媒体Sの位置は
図1に示す媒体検出センサ50,60によって検知され、一定速で搬送媒体Sが搬送されることで、一定時間後に読取開始位置に到達すると判断できる。次に、分離部原稿検知センサ180によって搬送媒体Sの後端が送りローラ11と分離ローラ12のニップ位置を通過することが検知されると(ステップS506)、制御部80はイメージセンサ81の光走査時間をT2へ変更して、画像読取を継続する(ステップS507)。
【0062】
詳細には、分離部原稿検知センサ180が搬送媒体Sの後端を検知すると、その検知信号が制御部80に伝達され、制御部80が検知信号を受けると光走査時間設定部85を制御し、光走査時間設定部85がイメージセンサ81の光走査条件として光走査時間をT2に変更する。
【0063】
このように、搬送媒体Sの後端が送りローラ11と分離ローラ12のニップ位置を通過することは分離部原稿検知センサ180によって検出可能である。また、光走査時間T2はT1>T2の関係となっている。実際には、分離部原稿検知センサ180が搬送媒体Sの後端を検知したタイミングでは、搬送媒体Sの後端は送りローラ11と分離ローラ12のニップ部を抜け出ていない。そのため、光走査時間設定部85がニップ部を抜け出るタイミングを考慮して光走査時間T2への変更を行って、画像読取を継続する。この光走査時間T2は、搬送媒体Sの後端がニップ部を抜けたことで僅かに速度が上がることへ対応するため、光走査時間T1を所定の調整値分だけ短くした時間で設定される。
【0064】
これにより、実際に搬送媒体Sの後端が抜け出るタイミングと、光走査時間T2への変更に基づくイメージセンサ81の読取制御とを実質的に同調させるべく、搬送媒体Sの後端がニップ部を抜け出るときの速度変動分を考慮してイメージセンサ81の読取制御への所定のフィードバックを行うことで、画像の縮率が安定した画像読み取りを実現することができる。
【0065】
ここで
図3A,
図3Bを用いて、搬送媒体Sの搬送速度の変化について説明する。
図3A,
図3Bは
図1で説明した画像読取装置Aの搬送路RTの概略図である。
図3A,
図3Bに示した番号は
図1と同様であるので重複する説明は割愛する。符号401は搬送方向を示す矢印である。
【0066】
図3Aの状態では搬送媒体Sは送りローラ11および駆動ローラ21,31の回転によって矢印401の方向に搬送されている。駆動ローラ21,31の搬送速度は送りローラ11よりも若干速くなっており、これにより搬送媒体Sがたわむことを防止している。
【0067】
搬送媒体Sの後端はまだ送りローラ11と分離ローラ12のニップ部を通過しておらず、分離ローラ12によって、搬送方向と反対の方向へ力を受けている。このため、搬送媒体Sは送りローラ11および駆動ローラ21,31の搬送力に対して、抵抗となる力が加えられ、駆動ローラ21,31の搬送速度よりもほんの少しだけ速度が遅くなっている(搬送速度V1)。
【0068】
次に、
図3Bの状態について説明する。
図3Bでは搬送媒体Sの後端が送りローラ11と分離ローラ12のニップ部を通過しており、分離ローラ12の力を受けていない。このため、搬送媒体Sが搬送方向に進むのに抵抗となる力が存在せず、搬送媒体Sは駆動ローラ21,31の搬送速度で搬送される(搬送速度V2)。
【0069】
つまり、搬送媒体Sは
図3Aの状態と
図3Bの状態で搬送速度が異なることになる。つまり、イメージセンサ81の1ラインの光走査時間を常に同じ時間とすると、送りローラ11と分離ローラ12のニップ部の通過前後で、読み取った画像の1走査時間当たりに搬送媒体Sが進む距離がことなるため縮率が異なってしまう。
【0070】
したがって、第1搬送部10と第2搬送部20との間で搬送媒体Sが介在するときと、第1搬送部10を搬送媒体Sが抜けて第2搬送部20及び/又は第3搬送部30によって搬送されているときとで、搬送媒体Sが受ける搬送力の状態が変化する。これに伴って画像を読み取る条件が一定のままだと画像の縮率が変化してしまうため、本実施形態ではイメージセンサ81の光走査時間を搬送速度の変化に合わせて変更して画像読取を継続するようにし、縮率の変化を低減した画像を取得している。
【0071】
イメージセンサ81の光走査時間T2であるが、T1と同様下記に示す式2で導くことができる。
光走査時間T2=25.4mm÷(副走査解像度×搬送速度V2)・・・・式2
【0072】
イメージセンサ81の光走査時間は、搬送媒体Sの後端が送りローラ11と分離ローラ12のニップ部を通過すると搬送速度が速くなることから、その分短く設定することで、縮率の変わらない画像が得られる。
【0073】
搬送媒体Sの後端が読取位置を過ぎると(ステップS508)、1ページ分の画像の読み取り動作は完了となる(ステップS509)。
【0074】
1ページの読み取り動作が完了した時点で、再度、制御部80は載置台1に搬送媒体Sが置かれているか載置台媒体検出センサ110を確認する。載置台1上に搬送媒体Sがまだ残っている場合、ステップS502に戻りイメージセンサ81の光走査時間をT1に戻す。なお、光走査時間をT1に戻す動作は、搬送媒体Sの先端がイメージセンサ81に差し掛かるまでに実施するようにすればよい。載置台1に搬送媒体がなくなった場合は読み取り動作終了となる。
【0075】
以上のように構成することによって、搬送媒体Sの後端が送りローラ11と分離ローラ12のニップ部を抜ける前後で、読み取った画像の媒体搬送方向における縮率が変化してしまうことを防止でき、媒体搬送方向における縮率の精度が高い画像データを提供することが可能となる。
【0076】
次に、分離設定部から非分離モードが選択された場合の動作を、
図8のフローチャートを用いて説明する。なお、
図8では、
図4のフローチャートと同じ番号の箇所については同じ動作を示しているので、重複する説明は割愛する。
【0077】
ステップS501で載置台に搬送媒体Sが置かれていることを検知すると、分離設定部が分離モードもしくは非分離モードのどちらを選択されているか確認する(ステップS511)。
【0078】
分離モードが選択されていた場合、ステップS502以降の動作は
図4のフローチャートと同様であるので、重複する説明は割愛する。非分離モードが選択されていた場合、制御部80は光走査時間設定部85に対して、光走査時間T2をセットする(ステップS512)。
【0079】
非分離モードのときには、分離ローラ12に搬送方向と逆方向の駆動が伝わらず、送りローラ11に追従して回転するため、分離ローラ12によって搬送媒体Sは搬送方向と反対の方向へ力を受けない。このため、搬送媒体Sは駆動ローラ21,31の搬送速度V2で搬送されるので、最初から光走査時間をT2に設定する。
【0080】
搬送媒体Sの搬送が開始され(ステップS513)、搬送媒体Sが読取位置に到達すると(ステップS514)、読取が開始される(ステップS515)。読取動作は搬送媒体Sの後端が読取位置を過ぎるまで続けられる(ステップS508、ステップS509)。載置台1に搬送媒体Sがない場合は読み取り動作終了となる。
【0081】
以上のように構成することによって、分離モード、非分離モードが切り替え可能な構成も持った画像読取装置においても、分離ローラ12の影響で、読み取った画像の媒体搬送方向における縮率が変化してしまうことを防止でき、媒体搬送方向における縮率の精度が高い画像データ、つまり高品質な画像データを提供することが可能となる。
【0082】
このように、本実施形態の画像読取制御によれば、分離作用のための給送負荷が搬送媒体Sの読み取りに影響しないように、給送負荷がなくなるタイミングを搬送媒体Sの後端がニップ部を抜けるタイミングとして画像を読み取るときの光走査条件を制御するようにした。
【0083】
ここで、本実施形態では、画像を読み取るときの光走査条件として、分離の給送負荷が生じているときに画像を読み取る条件(第1光走査条件)と、分離の給送負荷が生じないときに画像を読み取る条件(第2光走査条件)とを予め設定しておく。
【0084】
そのため、例えば、第2搬送部20及び第3搬送部30によって搬送中の搬送媒体Sの後端が第1搬送部10のニップ部にも残った状況下、すなわち、分離給送側の負荷が生じている場合においては、第1光走査条件で画像の読み取り制御を行いつつ、これに続けて、第2搬送部20及び第3搬送部30によって搬送中の搬送媒体Sの後端が第1搬送部10のニップ部から抜ける状況下、すなわち、分離給送側の負荷が生じていない状況に移行するときには、その移行タイミングに合わせて第2光走査条件で画像の読み取り制御へ移行する。
【0085】
これにより、本実施形態では、第1搬送部10のニップ部を抜ける前後で画像の読取条件を搬送媒体Sの搬送速度の変化に合わせて調整することが可能となり、読取画像の縮率が媒体搬送方向と同一方向において変化が少ない画像データ、つまり、高品質な画像データを取得することができる。
【0086】
特に、本発明の構成は、第1搬送部10のニップ部と、画像読取センサの読取位置との間の距離が比較的短い装置体系において、搬送媒体Sの後端が第1搬送部10のニップ部に残っている状態から当該搬送媒体Sの画像を読み取り開始制御するような小型の画像読取装置に適用することで、上述した作用効果を奏することができる。
【0087】
(実施形態2)
図6は本発明の一実施形態に係る画像読取装置Aの動作フローを示すフローチャートである。本実施例で用いる画像読取装置Aの装置の構成、ブロック図は実施形態1で用いたものと同様であるので説明は割愛する。
【0088】
画像読取装置Aに接続されたPCもしくは操作部183からスキャン開始が指示されると、制御部80は載置台媒体検出センサ110により、載置台に搬送媒体Sが置かれているかどうかを検出する(ステップS601)。載置台に搬送媒体Sが置かれていない場合、ユーザによって搬送媒体Sが置かれるまで待機する。
【0089】
次に、制御部80は光走査時間設定部85に対して、光走査時間T1をセットする(ステップS602)。光走査時間T1はイメージセンサ81の解像度や搬送速度などによってあらかじめ決められた値であり、イメージセンサ81は光走査時間T1の間に、光源86から照射され搬送媒体Sに反射された光を蓄積し、画像信号として後段に出力する。
【0090】
光走査時間T1がセットされると、制御部80は搬送開始指示を行う(ステップS603)。載置台1に積載された搬送媒体Sは1枚ずつ搬送路RTに給紙され搬送される。搬送媒体Sがイメージセンサ81の読み取り位置付近に到達する(ステップS604)と画像の読み取りが開始される(ステップS605)。
【0091】
搬送媒体Sの位置は
図1に示す媒体検出センサ50,60によって検知され、一定速で搬送媒体Sが搬送されることで、一定時間後に読取開始位置に到達すると判断できる。次に搬送媒体Sの後端が送りローラ11と分離ローラ12のニップ部を過ぎることが検知されると(ステップS606)、制御部80はイメージセンサ81の光走査時間をT2へ変更する(ステップS607)。光走査時間T2はT1>T2の関係となっている。
【0092】
光走査時間が短くなることによりイメージセンサ81が光を蓄積する時間も短くなる。このため、若干であるが光走査時間の変更前と変更後で読み取った画像の明るさが異なってくる。この明るさの違いを補正するため、
図2のブロック図に示す画像濃度調整部83で、画像の濃度補正値を変更(ステップS608)し、その搬送媒体Sに対する画像読取を継続する。
【0093】
ここで、変更する値は事前に光走査時間T1とT2用にそれぞれ最適な値が用意されており、不図示の不揮発性メモリ等に記憶されている。このように、画像明度調整手段によって、光走査時間変更後の画像濃度を調整することで、均一な濃度の画像データを得ることができる。
【0094】
なお、画像明度調整手段は、光走査時間T1に対応する第1の値(第1明度補正条件)に基づいて明度を調整する第1画像明度調整手段と、光走査時間T2に対向する第2の値(第2明度補正条件)に基づいて明度を調整する第2画像明度調整手段とに実施する構成を分けてもよい。
【0095】
搬送媒体Sの後端が読取位置を過ぎると(ステップS609)、1ページの画像の読み取り動作は完了となる(ステップS610)。
【0096】
1ページの読み取り動作が完了した時点で、再度、制御部80は載置台1に搬送媒体Sが置かれているか載置台媒体検出センサ110を確認する。載置台1上に搬送媒体Sがまだある場合、画像の補正値をもとに戻し(ステップS612)、再度S602に戻りイメージセンサ81の光走査時間をT1に戻す。
【0097】
画像の補正値を戻す動作と光走査時間をT1に戻す動作は同時でも順番が変わっても構わない。これらの動作は、搬送媒体Sの先端がイメージセンサ81に差し掛かるまでに実施されればよい。載置台1に搬送媒体がない場合は読み取り動作終了となる。
【0098】
搬送媒体Sの後端が送りローラ11と分離ローラ12のニップ部を抜ける前後で、読み取った画像の搬送方向における縮率が変化してしまうことを防止でき、かつ、搬送媒体Sの後端が送りローラ11と分離ローラ12のニップ部を抜ける前後で、画像の濃度が変わってしまうことを有効に防止することができる。
【0099】
(実施形態3)
図6は本発明の一実施形態に係る画像読取装置Aの動作フローを示すフローチャートである。本実施例で用いる画像読取装置Aの装置の構成、ブロック図は実施形態1で用いたものと同様であるので重複する説明は割愛する。
【0100】
画像読取装置Aに接続されたPCもしくは操作部183からスキャン開始が指示されると、制御部80は載置台媒体検出センサ110により、載置台に搬送媒体Sが置かれているかどうかを検出する(ステップS701)。載置台に搬送媒体Sが置かれていない場合、ユーザによって搬送媒体Sが置かれるまで待機する。
【0101】
次に、制御部80は光走査時間設定部85に対して、光走査時間T1をセットする(ステップS702)。光走査時間T1はイメージセンサ81の解像度や搬送速度などによってあらかじめ決められた値であり、イメージセンサ81は光走査時間T1の間に、光源86から照射され搬送媒体Sに反射された光を蓄積し、画像信号として後段に出力する。
【0102】
光源86はあらかじめ光走査時間T1の間にどれくらいの時間点灯させるか決められており、その点灯時間によってイメージセンサ81の出力レベルを調整可能であり、あらかじめイメージセンサ81の出力レベルが所望の値となるように点灯時間は調整されている。これにより、光走査の条件として、光源の点灯時間を最適化しておくことにより、均一な濃度の画像データを得ることができる。
【0103】
光走査時間T1がセットされると、制御部80は搬送開始指示を行う(ステップS703)。載置台1に積載された搬送媒体Sは1枚ずつ搬送路RTに給紙され搬送される。搬送媒体Sがイメージセンサ81の読み取り位置付近に到達する(ステップS704)と画像の読み取りが開始される(ステップS705)。
【0104】
搬送媒体Sの位置は
図1に示す媒体検出センサ50,60によって検知され、一定速で搬送媒体Sが搬送されることで、一定時間後に読取開始位置に到達すると判断できる。次に搬送媒体Sの後端が送りローラ11及び分離ローラ12の当接(接圧)部となるニップ部、すなわち分離作用を発生させるための分離負荷発生部を過ぎることが検知されると(ステップS706)、制御部80はイメージセンサ81の光走査時間をT2へ変更(ステップS707)し、その搬送媒体Sに対する画像読取を継続する。光走査時間T2はT1>T2の関係となっている。
【0105】
光走査時間が短くなることによりイメージセンサ81が光を蓄積する時間も短くなる。このため、若干であるが光走査時間の変更前と変更後で読み取った画像の明るさが異なってくる。この明るさの違いを補正するため、
図2のブロック図に示す光源点灯部87で、光源の点灯時間を長く調整し、イメージセンサ81の出力レベルが変わらないようにする。(ステップS708)。
【0106】
また、調整後の光源点灯時間が光走査時間T2よりも長くなってしまう場合は、光源の明るさを明るくし、光走査時間T2以内に抑えるように調整する。これにより、均一な濃度の画像データを得ることができる。
【0107】
搬送媒体Sの後端が読取位置を過ぎると(ステップS709)、画像の読み取り動作は完了となる(ステップS710)。1ページの読み取り動作が完了した時点で、再度、制御部80は載置台1に搬送媒体Sが置かれているか載置台媒体検出センサ110を確認する。載置台1上に搬送媒体Sがまだある場合、光源点灯時間をもとに戻し(ステップS712)、再度S702に戻りイメージセンサ81の光走査時間をT1に戻す。
【0108】
ここで、光源点灯時間を戻す動作と光走査時間をT1に戻す動作は同時でも順番が変わっても構わない。これらの動作は、搬送媒体Sの先端がイメージセンサ81に差し掛かるまでに実施されればよい。載置台1に搬送媒体がない場合は読み取り動作終了となる。
【0109】
搬送媒体Sの後端が送りローラ11と分離ローラ12のニップ部を抜ける前後で、読み取った画像の媒体搬送方向における縮率の変化が少なくなり、かつ、搬送媒体Sの後端が送りローラ11と分離ローラ12のニップ部を抜ける前後で、画像の濃度が変わってしまうことを有効に防止することができる。
【符号の説明】
【0110】
A 画像読取装置
S 搬送媒体
1 載置台
2 排出トレイ
2a 第1排出トレイ
2b 第2排出トレイ
3、4 駆動部
5 伝達部
10 第1搬送部
11 送りローラ
12 分離ローラ
20 第2搬送部
21 駆動ローラ
22 従動ローラ
30 第3搬送部
31 駆動ローラ
32 従動ローラ
40 重送検出センサ
50、60 媒体検出センサ
70 画像読取ユニッ
90 表示パネル
80 制御部
81 イメージセンサ
82 増幅部、AD変換部
83 画像濃度調整部
84 画像処理部
85 光走査時間設定部
86 光源
87 光源点灯部
88 駆動部
89 駆動制御部
110 載置台媒体検出センサ
180 分離部原稿検知センサ
182 記憶部
183 操作部
184 通信部