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特許7034735樹脂成分を含む汚染水用のろ過処理装置並びにその運転方法
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  • 特許-樹脂成分を含む汚染水用のろ過処理装置並びにその運転方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-04
(45)【発行日】2022-03-14
(54)【発明の名称】樹脂成分を含む汚染水用のろ過処理装置並びにその運転方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/44 20060101AFI20220307BHJP
   B01D 61/02 20060101ALI20220307BHJP
   B01D 63/06 20060101ALI20220307BHJP
   C02F 1/52 20060101ALI20220307BHJP
【FI】
C02F1/44 A
B01D61/02 500
B01D63/06
C02F1/44 D
C02F1/52 K
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018009474
(22)【出願日】2018-01-24
(65)【公開番号】P2019126767
(43)【公開日】2019-08-01
【審査請求日】2020-11-13
(73)【特許権者】
【識別番号】594152620
【氏名又は名称】ダイセン・メンブレン・システムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100098408
【弁理士】
【氏名又は名称】義経 和昌
(72)【発明者】
【氏名】中塚 修志
(72)【発明者】
【氏名】稲田 昭夫
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 浩志
【審査官】高橋 成典
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-131191(JP,A)
【文献】特開昭54-013474(JP,A)
【文献】特開昭52-156182(JP,A)
【文献】特開平05-337470(JP,A)
【文献】特表2013-523450(JP,A)
【文献】特開昭63-274406(JP,A)
【文献】特開2011-240299(JP,A)
【文献】特開昭51-066285(JP,A)
【文献】特開昭53-032867(JP,A)
【文献】特開昭52-131266(JP,A)
【文献】特表2016-506867(JP,A)
【文献】特開2007-000788(JP,A)
【文献】特開平06-126280(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/44
1/52 - 1/56
B01D 61/00 - 71/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚染水タンク、撹拌タンク、懸濁液ろ過器、被処理水タンク、及び複数の逆浸透膜モジュール、ろ過水タンクを備える、ろ過処理装置であって(以下においてnは4~10の正の整数であり、1つのろ過処理装置において、nは同じ数を示すものである)、
前記汚染水タンクと前記撹拌タンクが汚染水ラインで接続され、
前記撹拌タンクが、撹拌機及び凝集剤供給装置を備えており、前記撹拌タンクと前記懸濁液ろ過器が懸濁液引き抜きラインで接続され、
前記懸濁液ろ過器が、目開き0.1~5mmの濾布又は金網が、透水性の支持体内に保持されたものであり、
前記懸濁液ろ過器と前記被処理水タンクが懸濁液ろ過水ラインで接続され、
前記逆浸透膜モジュールが、筒状の外部ケーシング内に逆浸透膜の管状膜エレメントが複数収容されているものであり、
前記筒状の外部ケーシングが、被処理水入口、濃縮水出口及びろ過水出口を有しているものであり、
前記複数の管状膜エレメントが、それぞれの両端部が通水可能に接続され、全体として1本の管状膜エレメントになるように形成されたものであり、前記1本の管状膜エレメントの第1端開口部が前記被処理水入口と接続され、前記第1端開口部とは反対側の第2端開口部が前記濃縮水出口と接続されているものであり、
前記逆浸透膜モジュールが、第1逆浸透膜モジュールから第n逆浸透膜モジュールまでの合計でn台の前記逆浸透膜モジュールの組み合わせからなるものであり、
第1逆浸透膜モジュール(10)から第n逆浸透膜モジュール(40)までの組み合わせが、下記の第1段から第n段までのように組み合わせられており、
さらに被処理水タンク(1)と合計でn台の前記逆浸透膜モジュールの間に3つのポート(71a)、(71b)、(71c)を有する三方弁(71)と3つのポート(72a)、(72b)、(72c)を有する三方弁(72)が配置されており、三方弁(71)と三方弁(72)が被処理水の通液方向を交互に変更可能な通液方向変更具となるものであり、
被処理水タンク(1)と接続された被処理水ライン(2a)が分岐され、前記分岐された被処理水ライン(2a)の一方が三方弁(71)のポート(71a)と接続され、前記分岐された被処理水ライン(2a)の他方が三方弁(72)のポート(72a)と接続されている、樹脂成分を含む汚染水用のろ過処理装置。
(第1段)
前記被処理水タンク(1)が、被処理水ライン(2a)、三方弁(71)のポート(71a)、ポート(71b)、被処理水ライン(2b)で第1逆浸透膜モジュール(10)の第1被処理水入口(10a)と接続され、
第1逆浸透膜モジュール(10)の第1濃縮水出口(10b)と第2逆浸透膜モジュール(20)の第2被処理水入口(20a)が第1濃縮水ライン(11)で接続され、
第1逆浸透膜モジュール(10)の第1ろ過水出口(10c)と前記ろ過水タンク(4)が第1ろ過水ライン(12)で接続されている。
(第2段から第n-1段まで)
前段の逆浸透膜モジュールの濃縮水出口と逆浸透膜モジュールの被処理水入口が前段の濃縮水ラインで接続され、
逆浸透膜モジュールの濃縮水出口と次段の逆浸透膜モジュールの被処理水入口が濃縮水ラインで接続され、
逆浸透膜モジュールのろ過水出口と前記ろ過水タンクがろ過水ラインで接続されている。
(第n段)
第n-1逆浸透膜モジュール(30)の第n-1濃縮水出口(30b)と第n逆浸透膜モジュール(40)の第n被処理水入口(40a)が第n-1濃縮水ライン(31)で接続され、
第n逆浸透膜モジュール(40)の第n濃縮水出口(40b)が第n濃縮水ライン(41b)で三方弁(72)のポート(72b)に接続され、
三方弁(71)のポート(71c)と三方弁(72)のポート(72c)が接続ラインで接続されており、前記接続ラインと被処理水タンク(1)とが第n濃縮水ライン(41a)で接続され、
第n逆浸透膜モジュール(40)の第nろ過水出口(40c)と前記ろ過水タンク(4)が第nろ過水ライン(42)で接続されている。
【請求項2】
前記逆浸透膜モジュールが、筒状の外部ケーシング内に内径5~20mmの逆浸透膜の管状膜エレメントが15~50本収容されているものである、請求項1に記載のろ過処理装置。
【請求項3】
前記逆浸透膜モジュールが、筒状の外部ケーシング内に内径5~20mmの逆浸透膜の管状膜エレメントが15~50本収容されているものであり、前記逆浸透膜の管状膜エレメントが酢酸セルロースからなるものである、請求項1に記載のろ過処理装置。
【請求項4】
汚染水タンク、撹拌タンク、懸濁液ろ過器、被処理水タンク、複数の逆浸透膜モジュール、ろ過水タンクを備える、ろ過処理装置であって(以下においてnは4~10の正の整数であり、1つのろ過処理装置において、nは同じ数を示すものである)、
前記汚染水タンクと前記撹拌タンクが汚染水ラインで接続され、
前記撹拌タンクが、撹拌機及び凝集剤供給装置を備えており、前記撹拌タンクと前記懸濁液ろ過器が懸濁液引き抜きラインで接続され、
前記懸濁液ろ過器が、目開き0.1~5mmの濾布又は金網が、透水性の支持体内に保持されたものであり、
前記懸濁液ろ過器と前記被処理水タンクが懸濁液ろ過水ラインで接続され、
前記逆浸透膜モジュールが、筒状の外部ケーシング内に逆浸透膜の管状膜エレメントが複数収容されているものであり、
前記筒状の外部ケーシングが、被処理水入口、濃縮水出口及びろ過水出口を有しているものであり、
前記複数の管状膜エレメントが、それぞれの両端部が通水可能に接続され、全体として1本の管状膜エレメントになるように形成されたものであり、
前記1本の管状膜エレメントの第1端開口部が前記被処理水入口と接続され、前記第1端開口部とは反対側の第2端開口部が前記濃縮水出口と接続されているものであり、
前記逆浸透膜モジュールが、第1逆浸透膜モジュール(10)から第n逆浸透膜モジュール(40)までの合計でn台の前記逆浸透膜モジュールの組み合わせからなるものであり、
第1逆浸透膜モジュール(10)から第n逆浸透膜モジュール(40)までの組み合わせが、下記の第1段から第n段までのように組み合わせられており、
さらに被処理水タンク(1)と合計でn台の前記逆浸透膜モジュールの間に3つのポート(71a)、(71b)、(71c)を有する三方弁(71)と3つのポート(72a)、(72b)、(72c)を有する三方弁(72)が配置されており、三方弁(71)と三方弁(72)が被処理水の通液方向を交互に変更可能な通液方向変更具となるものであり、
被処理水タンク(1)と接続された被処理水ライン(2a)が分岐され、前記分岐された被処理水ライン(2a)の一方が三方弁(71)のポート(71a)と接続され、前記分岐された被処理水ライン(2a)の他方が三方弁(72)のポート(72a)と接続されており、
さらに予備被処理水ライン(80)及び予備濃縮水ライン(81)を備えており、
前記予備被処理水ライン(80)の第1端開口部が三方弁(71)のポート(71b)と第1逆浸透膜モジュール(10)の第1被処理水入口(10a)の間の被処理水ライン(2b)にポート(82a)、(82b)、(82c)を有する三方弁(82)を介して三方弁(82)のポート(82b)に接続され、前記予備被処理水ライン(80)の第1端開口部とは反対側の第2端開口部が第2逆浸透膜モジュール(20)の第2被処理水入口(20a)から第n逆浸透膜モジュール(40)の第n被処理水入口(40a)までの何れかと接続可能なものであり、
前記予備濃縮水ライン(81)の第1端開口部が三方弁(72)のポート(72b)と第n逆浸透膜モジュール(40)の第n濃縮水出口(40b)の間の第n濃縮水ライン(41b)にポート(83a)、(83b)、(83c)を有する三方弁(83)を介して三方弁(83)のポート(83b)に接続され前記予備濃縮水ライン(81)の第1端開口部とは反対側の第2端開口部が第1逆浸透膜モジュール(10)の第1濃縮水出口(10b)から第n-1逆浸透膜モジュール(30)の第n-1濃縮水出口(30b)までの何れかと接続可能なものである、樹脂成分を含む汚染水用のろ過処理装置。
(第1段)
前記被処理水タンク(1)が、被処理水ライン(2a)、三方弁(71)のポート(71a)、ポート(71b)、被処理水ライン(2b)で第1逆浸透膜モジュール(10)の第1被処理水入口(10a)と接続され、
第1逆浸透膜モジュール(10)の第1濃縮水出口(10b)と第2逆浸透膜モジュール(20)の第2被処理水入口(20a)が第1濃縮水ライン(11)で接続され、
第1逆浸透膜モジュール(10)の第1ろ過水出口(10c)と前記ろ過水タンク(4)が第1ろ過水ライン(12)で接続されている。
(第2段から第n-1段まで)
前段の逆浸透膜モジュールの濃縮水出口と逆浸透膜モジュールの被処理水入口が前段の濃縮水ラインで接続され、
逆浸透膜モジュールの濃縮水出口と次段の逆浸透膜モジュールの被処理水入口が濃縮水ラインで接続され、
逆浸透膜モジュールのろ過水出口と前記ろ過水タンクがろ過水ラインで接続されている。
(第n段)
第n-1逆浸透膜モジュール(30)の第n-1濃縮水出口(30b)と第n逆浸透膜モジュール(40)の第n被処理水入口(40a)が第n-1濃縮水ライン(31)で接続され、
第n逆浸透膜モジュール(40)の第n濃縮水出口(40b)が第n濃縮水ライン(41b)で三方弁(72)のポート(72b)に接続され、
三方弁(71)のポート(71c)と三方弁(72)のポート(72c)が接続ラインで接続されており、前記接続ラインと被処理水タンク(1)とが第n濃縮水ライン(41a)で接続され、
第n逆浸透膜モジュール(40)の第nろ過水出口(40c)と前記ろ過水タンク(4)が第nろ過水ライン(42)で接続されている。
【請求項5】
前記逆浸透膜モジュールが、筒状の外部ケーシング内に内径5~20mmの逆浸透膜の管状膜エレメントが15~50本収容されているものである、請求項4に記載のろ過処理装置。
【請求項6】
前記逆浸透膜モジュールが、筒状の外部ケーシング内に内径5~20mmの逆浸透膜の管状膜エレメントが15~50本収容されているものであり、前記逆浸透膜の管状膜エレメントが酢酸セルロースからなるものである、請求項4に記載のろ過処理装置。
【請求項7】
請求項1~3の何れか1項に記載のろ過処理装置の運転方法であって、
前記汚染水タンク内の樹脂成分を含む汚染水を、前記撹拌タンクに通液させ、前記撹拌タンク内の前記汚染水に凝集剤を添加して混合することで懸濁液を得る工程1、
前記懸濁液を前記懸濁液ろ過器に送ってろ過し、ろ過して得られた被処理水を前記被処理水タンクに送る工程2、
前記被処理水タンク内の前記被処理水を、第1逆浸透膜モジュールから第n逆浸透膜モジュールの順に通液させて、各逆浸透膜モジュールでろ過する工程3、及び
前記通液方向変更具となる三方弁(71)と三方弁(72)により、前記被処理水の通液方向を変更して、前記被処理水タンク内の前記被処理水を、第n逆浸透膜モジュールから第1逆浸透膜モジュールの順に通液させて、各逆浸透膜モジュールでろ過する工程4を有する、ろ過処理装置の運転方法。
【請求項8】
請求項4~6の何れか1項に記載のろ過処理装置の運転方法であって、
前記汚染水タンク内の樹脂成分を含む汚染水を、前記撹拌タンクに通液させ、前記撹拌タンク内の前記汚染水に凝集剤を添加して混合することで懸濁液を得る工程1、
前記懸濁液を前記懸濁液ろ過器に送ってろ過し、ろ過して得られた被処理水を前記被処理水タンクに送る工程2、
前記被処理水タンク内の前記被処理水を、第1逆浸透膜モジュールから第n逆浸透膜モジュールの順に通液させて、各逆浸透膜モジュールでろ過する工程3、
前記通液方向変更具となる三方弁(71)と三方弁(72)により、前記被処理水の通液方向を変更して、前記被処理水タンク内の前記被処理水を、第n逆浸透膜モジュールから第1逆浸透膜モジュールの順に通液させて、各逆浸透膜モジュールでろ過する工程4、
前記予備被処理水ラインの前記第2端開口部を第2逆浸透膜モジュールの第2被処理水入口から第n逆浸透膜モジュールの第n被処理水入口までの何れかと接続し、前記被処理水タンク内の前記被処理水を、前記予備被処理水ラインから、前記予備被処理水ラインに接続された逆浸透膜モジュールから第n逆浸透膜モジュールの順に通液させて、各逆浸透膜モジュールでろ過する工程5、
前記予備濃縮水ラインの前記第2端開口部を、第1逆浸透膜モジュールの第1濃縮水出口から第n-1逆浸透膜モジュールの第n-1濃縮水出口までの何れかと接続し、前記被処理水タンク内の前記被処理水を、前記被処理水ラインから、第1逆浸透膜モジュールから前記予備濃縮水ラインに接続された逆浸透膜モジュールの順に通液させて、各逆浸透膜モジュールでろ過する工程6、
前記予備被処理水ラインの前記第2端開口部を第2逆浸透膜モジュールの第2被処理水入口から第n逆浸透膜モジュールの第n被処理水入口までの何れかと接続し、前記予備濃縮水ラインの前記第2端開口部を、第1逆浸透膜モジュールの第1濃縮水出口から第n-1逆浸透膜モジュールの第n-1濃縮水出口までの何れかと接続し、前記被処理水タンク内の前記被処理水を、前記被処理水ラインから、第1逆浸透膜モジュールから前記予備濃縮水ラインに接続された逆浸透膜モジュールの順に、及び前記予備被処理水ラインから、前記予備被処理水ラインに接続された逆浸透膜モジュールから第n逆浸透膜モジュールの順に少なくとも何れかに通液させて、各逆浸透膜モジュールでろ過する工程7、
工程5を実施した後、前記通液方向変更具となる三方弁(71)と三方弁(72)により、前記被処理水の通液方向を変更して、前記被処理水タンク内の前記被処理水を、第n濃縮水ラインから、第n逆浸透膜モジュールから前記予備被処理水ラインに接続された逆浸透膜モジュールの順に通液させて、各逆浸透膜モジュールでろ過する工程8、
工程6を実施した後、前記通液方向変更具となる三方弁(71)と三方弁(72)により、前記被処理水の通液方向を変更して、前記被処理水タンク内の前記被処理水を、前記予備濃縮水ラインから、前記予備濃縮水ラインに接続された逆浸透膜モジュールから第1逆浸透膜モジュールの順に通液させて、各逆浸透膜モジュールでろ過する工程9、並びに
工程7を実施した後、前記通液方向変更具となる三方弁(71)と三方弁(72)により、被処理水の通液方向を変更して、前記被処理水タンク内の前記被処理水を、第n濃縮水ラインから、第n逆浸透膜モジュールから前記予備被処理水ラインに接続された逆浸透膜モジュールの順に、及び前記予備濃縮水ラインから、前記予備濃縮水ラインに接続された逆浸透膜モジュールから第1逆浸透膜モジュールの順に少なくとも何れかに通液させて、各逆浸透膜モジュールでろ過する工程10を有しており、
工程1、工程2、工程3、及び工程4が必須工程であり、さらに工程5と工程8、工程6と工程9及び工程7と工程10のそれぞれの組み合わせから選ばれる少なくとも一組の工程を実施する、ろ過処理装置の運転方法。
【請求項9】
前記複数の管状膜エレメントが、それぞれの両端部が通水可能に接続され、全体として1本の管状膜エレメントになるように形成されており、前記管状膜エレメント内にスポンジボール入れた状態で内膜面洗浄を行う、請求項7又は8記載のろ過処理装置の運転方法。
【請求項10】
被処理水に対して請求項7~9のいずれか1項に記載のろ過処理装置の運転方法を実施した後、さらにろ過処理した後の濃縮水の水分と固形分とを分離する蒸発工程を実施することで、濃縮水の液体排出量をゼロとするZLD(Zero Liquid Discharge)を達成する、被処理水の処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1又は複数の逆浸透膜モジュールを使用した、樹脂成分を含む汚染水用のろ過処理装置並びにその運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ろ過処理に用いられる膜分離としては、特許文献1に開示されているように精密ろ過(MF)や限外ろ過(UF)の膜分離が採用されているが、近年の環境規制、排水再利用、ゼロエミッション等の環境負荷低減が要望されており、処理水質の更なる向上が望まれている。
【0003】
ろ過処理用の膜モジュールにおいて、特許文献1に開示されているように管状膜エレメントを全体として1本の管状膜エレメントになるように形成されたものを用いた膜モジュールがあり、その詰まりにくい形状の利点を生かしてクロスフロー方式によるろ過が行われ、処理の難しい高粘度/高濁質の原液、含油廃水、果汁、食品プロセス液、中水・下水・排水処理分野における溶液の分離、濃縮処理や排水減容化処理に好ましく用いられている。
【0004】
またろ過処理装置としては、安定したろ過処理運転を行えること、ろ過処理装置の構造が簡単であることが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2002-282657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ろ過処理装置の構造が簡単であり、樹脂成分を含む汚染水を処理した場合でも逆浸透膜モジュールが閉塞することなく安定したろ過処理運転を行うことができる、1又は複数の逆浸透膜モジュールを使用した前記汚染水用のろ過処理装置並びにその運転方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、第1のろ過処理装置として、汚染水タンク、撹拌タンク、懸濁液ろ過器、被処理水タンク、及び1~3台の逆浸透膜モジュール、ろ過水タンクを備える、ろ過処理装置であって、
前記汚染水タンクと前記撹拌タンクが汚染水ラインで接続され、
前記撹拌タンクが、撹拌機及び凝集剤供給装置を備えており、前記撹拌タンクと前記懸濁液ろ過器が懸濁液引き抜きラインで接続され、
前記懸濁液ろ過器と前記被処理水タンクが懸濁液ろ過水ラインで接続され、
前記逆浸透膜モジュールが、筒状の外部ケーシング内に逆浸透膜の管状膜エレメントが複数収容されているものであり、
前記筒状の外部ケーシングが、被処理水入口、濃縮水出口及びろ過水出口を有しているものであり、
前記複数の管状膜エレメントが、それぞれの両端部が通水可能に接続され、全体として1本の管状膜エレメントになるように形成されたものであり、前記1本の管状膜エレメントの第1端開口部が前記被処理水入口と接続され、前記第1端開口部とは反対側の第2端開口部が前記濃縮水出口と接続されているものであり、
1~3台の前記逆浸透膜モジュールが、前記逆浸透膜モジュールの数に応じて下記のように組み合わされている、樹脂成分を含む汚染水用のろ過処理装置を提供する。
(前記逆浸透膜モジュールが1台の場合)
第1逆浸透膜モジュールの第1被処理水入口と前記被処理水タンクが被処理水ラインで接続され、
第1逆浸透膜モジュールの第1濃縮水出口と前記被処理水タンクが第1濃縮水ラインで接続され、
第1逆浸透膜モジュールの第1ろ過水出口と前記ろ過水タンクが第1ろ過水ラインで接続されている。
(前記逆浸透膜モジュールが2台の場合)
第1逆浸透膜モジュールの第1被処理水入口と前記被処理水タンクが被処理水ラインで接続され、
第1逆浸透膜モジュールの第1濃縮水出口と第2逆浸透膜モジュールの第2被処理水入口が第1濃縮水ラインで接続され、
第1逆浸透膜モジュールの第1ろ過水出口と前記ろ過水タンクが第1ろ過水ラインで接続され、
第2逆浸透膜モジュールの第2濃縮水出口と前記被処理水タンクが第2濃縮水ラインで接続され、
第2逆浸透膜モジュールの第2ろ過水出口と前記ろ過水タンクが第2ろ過水ラインで接続されている。
(前記逆浸透膜モジュールが3台の場合)
第1逆浸透膜モジュールの第1被処理水入口と前記被処理水タンクが被処理水ラインで接続され、
第1逆浸透膜モジュールの第1濃縮水出口と第2逆浸透膜モジュールの第2被処理水入口が第1濃縮水ラインで接続され、
第1逆浸透膜モジュールの第1ろ過水出口と前記ろ過水タンクが第1ろ過水ラインで接続され、
第2逆浸透膜モジュールの第2濃縮水出口と第3逆浸透膜モジュールの第3被処理水入口が第2濃縮水ラインで接続され、
第2逆浸透膜モジュールの第2ろ過水出口と前記ろ過水タンクが第2ろ過水ラインで接続され、
第3逆浸透膜モジュールの第3濃縮水出口と前記被処理水タンクが第3濃縮水ラインで接続され、
第3逆浸透膜モジュールの第3ろ過水出口と前記ろ過水タンクが第3ろ過水ラインで接続されている。
【0008】
また本発明は、上記した第1のろ過処理装置の運転方法であって、
前記汚染水タンク内の樹脂成分を含む汚染水を、前記撹拌タンクに通液させ、前記撹拌タンク内の前記汚染水に凝集剤を添加して混合することで懸濁液を得る工程1、
前記懸濁液を前記懸濁液ろ過器に送ってろ過し、ろ過して得られた被処理水を前記被処理水タンクに送る工程2、
前記被処理水タンク内の前記被処理水を、1又は複数の前記逆浸透膜モジュールに通液させて、各逆浸透膜モジュールでろ過する工程3を有する、ろ過処理装置の運転方法を提供する。
【0009】
また本発明は、第2のろ過処理装置として、汚染水タンク、撹拌タンク、懸濁液ろ過器、被処理水タンク、及び複数の逆浸透膜モジュール、ろ過水タンクを備える、ろ過処理装置であって(以下においてnは4~10の正の整数であり、1つのろ過処理装置において、nは同じ数を示すものである)、
前記汚染水タンクと前記撹拌タンクが汚染水ラインで接続され、
前記撹拌タンクが、撹拌機及び凝集剤供給装置を備えており、前記撹拌タンクと前記懸濁液ろ過器が懸濁液引き抜きラインで接続され、
前記懸濁液ろ過器と前記被処理水タンクが懸濁液ろ過水ラインで接続され、
前記逆浸透膜モジュールが、筒状の外部ケーシング内に逆浸透膜の管状膜エレメントが複数収容されているものであり、
前記筒状の外部ケーシングが、被処理水入口、濃縮水出口及びろ過水出口を有しているものであり、
前記複数の管状膜エレメントが、それぞれの両端部が通水可能に接続され、全体として1本の管状膜エレメントになるように形成されたものであり、前記1本の管状膜エレメントの第1端開口部が前記被処理水入口と接続され、前記第1端開口部とは反対側の第2端開口部が前記濃縮水出口と接続されているものであり、
前記逆浸透膜モジュールが、第1逆浸透膜モジュールから第n逆浸透膜モジュールまでの合計でn台の前記逆浸透膜モジュールの組み合わせからなるものであり、
第1逆浸透膜モジュールから第n逆浸透膜モジュールまでの組み合わせが、下記の第1段から第n段までのように組み合わせられている、樹脂成分を含む汚染水用のろ過処理装置を提供する。
(第1段)
第1逆浸透膜モジュールの第1被処理水入口と前記被処理水タンクが被処理水ラインで接続され、
第1逆浸透膜モジュールの第1濃縮水出口と第2逆浸透膜モジュールの第2被処理水入口が第1濃縮水ラインで接続され、
第1逆浸透膜モジュールの第1ろ過水出口と前記ろ過水タンクが第1ろ過水ラインで接続されている。
(第2段から第n-1段まで)
前段の逆浸透膜モジュールの濃縮水出口と逆浸透膜モジュールの被処理水入口が前段の濃縮水ラインで接続され、
逆浸透膜モジュールの濃縮水出口と次段の逆浸透膜モジュールの被処理水入口が濃縮水ラインで接続され、
逆浸透膜モジュールのろ過水出口と前記ろ過水タンクがろ過水ラインで接続されている。
(第n段)
第n-1逆浸透膜モジュールの第n-1濃縮水出口と第n逆浸透膜モジュールの第n被処理水入口が第n-1濃縮水ラインで接続され、
第n逆浸透膜モジュールの第n濃縮水出口と被処理水タンクが第n濃縮水ラインで接続され、
第n逆浸透膜モジュールの第nろ過水出口と前記ろ過水タンクが第nろ過水ラインで接続されている。
【0010】
また本発明は、上記した第2のろ過処理装置の運転方法であって、
前記汚染水タンク内の樹脂成分を含む汚染水を、前記撹拌タンクに通液させ、前記撹拌タンク内の前記汚染水に凝集剤を添加して混合することで懸濁液を得る工程1、
前記懸濁液を前記懸濁液ろ過器に送ってろ過し、ろ過して得られた被処理水を前記被処理水タンクに送る工程2、
前記被処理水タンク内の前記被処理水を、第1逆浸透膜モジュールから第n逆浸透膜モジュールの順に通液させて、各逆浸透膜モジュールでろ過する工程3を有する、ろ過処理装置の運転方法を提供する。
【0011】
本発明のろ過処理装置は、1台からn台までの逆浸透膜モジュールの組み合わせからなるものである。nは、好ましくは4~10の正の整数であり、1つのろ過処理装置において、nは同じ数を示すものである。
本発明のろ過処理装置において、例えばn=4のときは、次のように組み合わされている。
(第1段)
第1逆浸透膜モジュールの第1被処理水入口と被処理水タンクが被処理水ラインで接続され、
第1逆浸透膜モジュールの第1濃縮水出口と第2逆浸透膜モジュールの第2被処理水入口が第1濃縮水ラインで接続され、
第1逆浸透膜モジュールの第1ろ過水出口とろ過水タンクが第1ろ過水ラインで接続されている。
(第2段)
第2逆浸透膜モジュールの第2濃縮水出口と第3逆浸透膜モジュールの第3被処理水入口が第2濃縮水ラインで接続され、
第2逆浸透膜モジュールの第2ろ過水出口と前記ろ過水タンクが第2ろ過水ラインで接続されている。
(第3段)
第3逆浸透膜モジュールの第3濃縮水出口と第4逆浸透膜モジュールの第4被処理水入口が第3濃縮水ラインで接続され、
第3逆浸透膜モジュールの第3ろ過水出口と前記ろ過水タンクが第3ろ過水ラインで接続されている。
(第4段)
第4逆浸透膜モジュールの第4濃縮水出口と被処理水タンクが第4濃縮水ラインで接続され、
第4逆浸透膜モジュールの第4ろ過水出口と前記ろ過水タンクが第4ろ過水ラインで接続されている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ろ過処理装置の構造が簡単であり、樹脂成分を含む汚染水を処理した場合でも逆浸透膜モジュールが閉塞することなく安定したろ過処理運転を行うことができる、1又は複数の逆浸透膜モジュールを使用した前記汚染水用のろ過処理装置並びにその運転方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】逆浸透膜モジュール4台を用いたろ過処理装置の概略図。
図2】管状膜エレメント概念図
図3】逆浸透膜モジュールの概念図。
図4】逆浸透膜モジュールの縦断面図。
図5図1のろ過処理装置に通液方向変更具を接続させたろ過処理装置の概略図。
図6図1のろ過処理装置に予備ラインを配置させたろ過処理装置であって、予備ラインと逆浸透膜モジュールが接続前のろ過処理装置の概略図。
図7図6のろ過処理装置であって、予備ラインと逆浸透膜モジュールが接続後のろ過処理装置の概略図。
図8図5のろ過処理装置に予備ラインを配置させたろ過処理装置であって、予備ラインと逆浸透膜モジュールが接続前の概略図。
図9図8のろ過処理装置であって、予備ラインと逆浸透膜モジュールが接続後の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(1)図1のろ過処理装置及びその運転方法
<ろ過処理装置>
図1のろ過処理装置について説明する。図1のろ過処理装置は、汚染水タンク100、撹拌タンク110、懸濁液ろ過器120、被処理水タンク1、逆浸透膜モジュール10~40の合計4台、及びろ過水タンク4を備えている。また図1のろ過処理装置において、逆浸透膜モジュールは1~3台としてもよい。
【0015】
樹脂成分を含む汚染水が入った汚染水タンク100は、汚染水ライン101により撹拌タンク110に接続されている。汚染水ライン101には前記汚染水を送るためのポンプ102が配置されている。
【0016】
撹拌タンク110には、撹拌機111、及び凝集剤供給装置112が付設されている。
撹拌タンク110は、凝集剤添加により得られた懸濁液を懸濁液ろ過器120に送るために、懸濁液引き抜きライン113により懸濁液ろ過器120に接続されている。懸濁液を懸濁液ろ過器120に送るために、懸濁液引き抜きライン113は、撹拌タンク110の底部で接続されていることが好ましく、また懸濁液引き抜きライン113に懸濁液を懸濁液ろ過器120に送るためのポンプが配置されてもよい。
【0017】
懸濁液ろ過器120は、懸濁物を取り除くことができるものであれば公知のろ過器を用いることができる。懸濁液ろ過器120は、例えば、懸濁液が通過する筐体内において、目開き0.1~5mmの濾布又は金網が、透水性の支持体(網籠状のもの等)内に保持されたものを用いることができる。
懸濁液ろ過器120は、懸濁液をろ過することにより得られた被処理水を被処理水タンク1に送るために、懸濁液ろ過水ライン121により被処理水タンク1に接続されている。
【0018】
被処理水が入った被処理水タンク1と第1逆浸透膜モジュール10の第1被処理水入口10aは、被処理水ライン2で接続されている。被処理水ライン2には、ポンプ3が配置されている。
第1逆浸透膜モジュール10の第1濃縮水出口10bと第2逆浸透膜モジュール20の第2被処理水入口20aが第1濃縮水ライン11で接続され、第1逆浸透膜モジュール10の第1ろ過水出口10cとろ過水タンク4が第1ろ過水ライン12で接続されている。
第2逆浸透膜モジュール20の第2濃縮水出口20bと第3逆浸透膜モジュール30の第3被処理水入口30aが第2濃縮水ライン21で接続され、第2逆浸透膜モジュール20の第2ろ過水出口20cとろ過水タンク4が第2ろ過水ライン22で接続されている。
第3逆浸透膜モジュール30の第3濃縮水出口30bと第4逆浸透膜モジュール40の第4被処理水入口40aが第3濃縮水ライン31で接続され、第3逆浸透膜モジュール30の第3ろ過水出口30cとろ過水タンク4が第3ろ過水ライン32で接続されている。
第4逆浸透膜モジュール40の第4濃縮水出口40bと被処理水タンク1が第4濃縮水ライン(最終濃縮水ライン)41で接続され、第4逆浸透膜モジュール40の第4ろ過水出口40cとろ過水タンク4が第4ろ過水ライン42で接続されている。
【0019】
ろ過水タンク4と各逆浸透膜モジュールを繋げる第1ろ過水ライン12~第4ろ過水ライン42には、ろ過効率を上げるために吸引ポンプを配置してもよい。
また汚染水タンク100、撹拌タンク110、被処理水タンク1及びろ過水タンク4には、温度計、水位計、濁度計などの各種計測機を配置してもよく、また汚染水、懸濁液、被処理水又はろ過水を通液させる各種ラインには、圧力計、流量計などの計測器や通液を制御するための開閉バルブ、予備タンクを配置してもよい。前記内容は、下記の図5~9のろ過処理装置においても同様である。
【0020】
本発明に用いられる逆浸透膜モジュールについて説明する。
本発明の管状膜エレメント60の概念図を図2に示す。本発明の管状膜エレメント60は、図2に示す通り、被処理水を逆浸透膜の管状膜エレメント60で形成された内径5~20mmの管内を通してろ過するものである。
管状膜エレメント60は、紙、不織布などの通水性の支持体の管内表面に逆浸透膜の層を有するものである。逆浸透膜としては酢酸セルロースなどの公知のものを用いることができる。
また管状膜エレメント60は、複数の管状膜エレメント60の接触による磨耗を防止するために、図2に示す通り、繊維強化プラスチック(FRP)やステンレス(SUS)などからなる支持管63に内包されていてもよい。支持管63は、管状膜エレメント60でろ過されたろ過水を通水するための通水孔64を複数有してもよい。支持管63の内径は、管状膜エレメント60の内径より少し大きい内径であることが好ましい。
【0021】
本発明の逆浸透膜モジュールの概念図を図3に、本発明の逆浸透膜モジュールの縦断面図を図4に示す。
本発明の逆浸透膜モジュールは、筒状の外部ケーシング50内に逆浸透膜の管状膜エレメント60が複数収容されているものである。
筒状の外部ケーシング50は、被処理水入口51、濃縮水出口52及びろ過水出口53を有している。
外部ケーシング50内の管状膜エレメント60の本数は、好ましくは10~100本であり、より好ましくは15~50本であり、管状膜エレメント60の長さは1~5mが好ましい。
外部ケーシング50内の複数の管状膜エレメント60は、それぞれの両端部が通水可能に接続され、全体として1本の管状膜エレメントになるように形成されたものであり、前記1本の管状膜エレメントの第1端開口部61が被処理水入口51と接続され、第1端開口部61とは反対側の第2端開口部62が濃縮水出口52と接続されている。
複数の管状膜エレメント60のそれぞれの両端部を接続する方法としては、モジュール両端に配した特殊ヘッダーもしくはU字状の接続管65が用いられる。
なお外部ケーシング50内の複数の管状膜エレメント60は、束になった状態で収容されており、図4の逆浸透膜モジュールの縦断面図では、便宜上、複数の管状膜エレメント60が開けた状態で図示しており、管状膜エレメント60の本数も一部省略して図示している。
【0022】
<ろ過処理装置の運転方法>
図1のろ過処理装置の運転方法について説明する。
図1のろ過処理装置の運転方法は、下記工程1~3を有する。
(工程1)
工程1は、ポンプ102を作動させ、汚染水タンク100内の樹脂成分を含む汚染水を、撹拌タンク110に通液させ、撹拌タンク110内の前記汚染水に凝集剤を添加して混合することで懸濁液を得る工程である。
【0023】
汚染水は、工場等から排出される樹脂成分を含むものである。汚染水に含まれる樹脂成分としては、電着塗装用樹脂が挙げられ、エマルジョン塗料用樹脂等の非水溶性樹脂の水分散物の形態のものと、水溶性樹脂が水に溶解された形態のものが含まれる。
本発明のろ過処理装置の運転方法は、本発明の効果をより享受する観点から、電着塗装工場より排出される汚染水に対して効果的である。電着塗装工場より排出される汚染水には、電着塗装用樹脂、切削油等の有機成分、及び鉛等の金属成分が含まれることがある。
本発明のろ過処理方法が対象とする汚染水に含まれる樹脂成分濃度としては1~2,000ppmが挙げられる。
【0024】
撹拌タンク110内の前記汚染水に、凝集剤供給装置112から凝集剤を添加して撹拌機111により混合することで、汚染水中に含まれる有機成分及び/又は金属成分が凝集して懸濁することで、懸濁液を得ることができる。凝集剤としては、汚染水中に含まれる成分に応じて公知のものを用いることができ、例えば、特開2006-122795号公報の〔0020〕及び実施例1に記載のカルシウム系凝集剤、同公報の〔0022〕に記載の無機凝集剤、カチオン性高分子凝集剤、アニオン性高分子凝集剤、ノニオン性高分子凝集剤、低分子有機系凝集剤、特開2009-119427号公報の〔0020〕に記載の無機化合物、高分子凝集剤、特開2002-166102号公報に記載の凝集剤を挙げることができる。特に、電着塗装工場より排出される汚染水をろ過処理する場合、無機凝集剤、カチオン性高分子凝集剤、アニオン性高分子凝集剤から選ばれる1種以上を用いることが好適である。
凝集剤の添加量は、1~2000mg/L(汚染水1L当たり)、好ましくは10~1000mg/Lの範囲である。
凝集剤添加後に1~15分程度、好ましくは5~10分間撹拌する。
【0025】
(工程2)
工程2は、工程1で得られた懸濁液を、懸濁液引き抜きライン113から懸濁液ろ過器120に送ってろ過し、ろ過して得られた被処理水を、懸濁液ろ過水ライン121から被処理水タンク1に送る工程である。
工程2におけるろ過は、懸濁液から懸濁物質を取り除くことができればよく、ろ過して得られた被処理水に微小なフロック(直径1mm以下の凝集体)が混入してもよい。また工程2は、工程1で得られた懸濁液が汚泥として撹拌タンク110内に残らないように撹拌後、すみやかに懸濁液を懸濁液ろ過器120に送ることが好ましく、撹拌を続けながら懸濁液を懸濁液ろ過器120に送ることがより好ましい。
【0026】
(工程3)
工程3は、ポンプ3を作動させ、被処理水タンク1内に送られた被処理水を、被処理水ライン2から第1逆浸透膜モジュール10に送り、続いて第1逆浸透膜モジュール10から第4逆浸透膜モジュール40の順に、各濃縮水ライン11、21、31を通して通液させて、各逆浸透膜モジュールでろ過する工程である。
第4逆浸透膜モジュール40を通液した被処理水は、第4濃縮水ライン(最終濃縮水ライン)41から被処理水タンク1に戻される。
各逆浸透膜モジュール10、20、30、40でろ過されたろ過水は、各ろ過水ライン12、22、32、42からろ過水タンク4に送られる。
【0027】
図1のろ過処理装置は、各逆浸透膜モジュールを直列に繋げているため、被処理水の流路が1つであり、配管構造が簡単である。
また樹脂成分を含む汚染水をろ過対象とする場合に、工程1、2で、予め汚染水中に含まれる樹脂成分を凝集させて取り除くため、各逆浸透膜モジュールを閉塞させることなく、安定してろ過処理運転を行うことができる。
また管状膜エレメントの膜面が汚れた場合でも、被処理水の流路が1つであることから、スポンジボールなどで管状膜エレメントの内膜面洗浄を行うことも操作が容易であり、安定したろ過処理運転を行うことができる。
【0028】
(2)図5のろ過処理装置及びその運転方法
<ろ過処理装置>
図5のろ過処理装置について説明する。図5のろ過処理装置は、被処理水の通液方向を交互に変更可能な通液方向変更具70を備えること以外は、図1のろ過処理装置と同じである。
【0029】
通液方向変更具70は、被処理水ライン2(2a、2b)と第4濃縮水ライン(最終濃縮水ライン)41(41a、41b)との間を接続するように配置される。
通液方向変更具70は、被処理水の通液方向を交互に変更可能にするものであればよく、公知のものを用いることができ、例えば、複数の三方弁からなるものを用いることができる。
【0030】
図5では、通液方向変更具70として、三方弁71と三方弁72を組み合わせたものを用いている。三方弁71のポート(入口又は出口)71aと被処理水タンク1とが被処理水ライン2aで接続され、三方弁71のポート71bと第1逆浸透膜モジュール10の第1被処理水入口10aとが被処理水ライン2bで接続され、三方弁71のポート71cと被処理水タンク1とが第4濃縮水ライン41aで接続されている。また三方弁72のポート72aと被処理水タンク1とが被処理水ライン2aで接続され、三方弁72のポート72bと第4逆浸透膜モジュール40の第4濃縮水出口40bが第4濃縮水ライン41bで接続され、三方弁72のポート72cと被処理水タンク1とが第4濃縮水ライン41aで接続されている。またポンプ3は被処理水ライン2aに配置されている。
【0031】
<ろ過処理装置の運転方法>
図5のろ過処理装置の運転方法について説明する。
図5のろ過処理装置の運転方法は、下記工程1~4を有する。なお工程3、4を行う順序は、どの順番から行ってもよい。
【0032】
(工程1、2)
工程1、2は、図1のろ過処理装置の運転方法の工程1、2と同じである。
【0033】
(工程3)
工程3は、図1のろ過処理装置の運転方法の工程3と同じである。なお三方弁71は、ポート71a及びポート71bを開放し、71cを閉じ、三方弁72は、72aを閉じ、72b及び72cを開放して、被処理水タンク1内の被処理水を、被処理水ライン2(2a、2b)から各逆浸透膜モジュールに送るように運転する。第4逆浸透膜モジュール40を通液した被処理水は、第4濃縮水ライン(最終濃縮水ライン)41(41a、41b)から被処理水タンク1に戻される。
【0034】
(工程4)
工程4は、通液方向変更具70である三方弁71及び72により、被処理水の通液方向を変更して、ポンプ3を作動させ、被処理水タンク1内の被処理水を、被処理水ライン2aと第4濃縮水ライン41bを通して第4逆浸透膜モジュール40に送り、続いて第4逆浸透膜モジュール40から第1逆浸透膜モジュール10の順に、各濃縮水ライン31、21、11を通して通液させて、各逆浸透膜モジュールでろ過する工程である。
【0035】
通液方向変更具70は、三方弁71のポート71aを閉じ、ポート71b及びポート71cを開放し、三方弁72のポート72a及びポート72bを開放し、ポート72cを閉じて、ろ過処理運転を行う。
被処理水タンク1内の被処理水は、被処理水ライン2aと第4濃縮水ライン41bを通して第4逆浸透膜モジュール40に送られ、続いて第4逆浸透膜モジュール40から第1逆浸透膜モジュール10の順に、各濃縮水ライン31、21、11を通して送られる。第1逆浸透膜モジュール10を通液した被処理水は、被処理水ライン2bと第4濃縮水ライン41aから被処理水タンク1に戻される。
各逆浸透膜モジュール10、20、30、40でろ過されたろ過水は、各ろ過水ライン12、22、32、42からろ過水タンク4に送られる。
【0036】
図5のろ過処理装置は、図1のろ過処理装置の効果に加えて以下の効果が挙げられる。
通常、被処理水の水圧は、上流側の逆浸透膜モジュールの方が高く、下流側の逆浸透膜モジュールの方が低くなる。そのため上流側の逆浸透膜モジュールの方が管状膜エレメントの膜面が汚れにより詰まりやすいが、図5のろ過処理装置では、上述の通り、通液方向を変更することにより、上流側の逆浸透膜モジュールと下流側の逆浸透膜モジュールを変更することができ、各逆浸透膜モジュールの管状膜エレメント全体を有効に利用することができる。
また逆浸透膜モジュールの洗浄の際に、ろ過処理運転時の通液方向とは逆の通液方向にして洗浄をすると、管状膜エレメント内の汚れを効果的に除去することができ、洗浄に必要な薬品及び工数を削減することができるため、安定したろ過処理運転を行うことができる。
【0037】
(2)図6、7のろ過処理装置及びその運転方法
<ろ過処理装置>
図6、7のろ過処理装置について説明する。図6、7のろ過処理装置は、予備被処理水ライン80及び予備濃縮水ライン81を備えること以外は、図1のろ過処理装置と同じである。図6は予備被処理水ライン80及び予備濃縮水ライン81を各逆浸透膜モジュールと接続する前のろ過処理装置の概略図であり、図7は予備被処理水ライン80及び予備濃縮水ライン81を各逆浸透膜モジュールと接続後のろ過処理装置の概略図である。
【0038】
予備被処理水ライン80の第1端開口部80aが被処理水ライン2に接続され、第1端開口部80aとは反対側の第2端開口部80bが第2逆浸透膜モジュール20の第2被処理水入口20aから第4逆浸透膜モジュール40の第4被処理水入口40aまでの何れかと接続可能である。
予備被処理水ライン80の第1端開口部80aと被処理水ライン2の接続部には、被処理水の通液方向を変更できるように三方弁82が配置されている。またポンプ3は被処理水ライン2と予備被処理水ライン80の両方に送水できるように被処理水ライン2上の被処理水タンク1と三方弁82の間に配置されている。
予備被処理水ライン80の第1端開口部80aは、被処理水タンク1と直接接続されてもよい。その場合、被処理水ライン2と予備被処理水ライン80の両方に送水できるように、被処理水ライン2と予備被処理水ライン80の両方にポンプが配置される。
【0039】
予備濃縮水ライン81の第1端開口部81aが第4濃縮水ライン41に接続され、第1端開口部81aとは反対側の第2端開口部81bが第1逆浸透膜モジュール10の第1濃縮水出口10bから第3逆浸透膜モジュール30の第3濃縮水出口30bまでの何れかと接続可能である。
予備濃縮水ライン81の第1端開口部81aと第4濃縮水ライン41の接続部には、被処理水の通液方向を変更できるように三方弁83が配置されている。
予備濃縮水ライン81の第1端開口部81aは、被処理水タンク1と直接接続されていてもよい。
【0040】
<ろ過処理装置の運転方法>
図6、7のろ過処理装置の運転方法について説明する。
図6、7のろ過処理装置の運転方法は、下記工程1~3、工程5~7を有する。なお工程3、5~7を行う順序は、どの順番から行ってもよい。
【0041】
(工程1、2)
工程1、2は、図1のろ過処理装置の運転方法の工程1、2と同じである。
【0042】
(工程3)
工程3は、図1のろ過処理装置の運転方法の工程3と同じである。なお三方弁82は、ポート82a及びポート82cを開放し、ポート82bを閉じ、三方弁83は、ポート83bを閉じ、ポート83a及びポート83cを開放して、被処理タンク1内の被処理水を、被処理水ライン2から各逆浸透膜モジュールに送るように運転する。第4逆浸透膜モジュール40を通液した被処理水は、第4濃縮水ライン(最終濃縮水ライン)41から被処理水タンク1に戻される。
【0043】
(工程5)
工程5は、予備被処理水ライン80の前記第2端開口部80bを第2逆浸透膜モジュール20の第2被処理水入口20aから第4逆浸透膜モジュール40の第4被処理水入口40aまでの何れかと接続し、被処理水タンク1内の被処理水を、予備被処理水ライン80に通液させて、各逆浸透膜モジュールに被処理水を送り、各逆浸透膜モジュールでろ過する工程である。
【0044】
図7では、予備被処理水ライン80の前記第2端開口部80bが第3逆浸透膜モジュール30の第3被処理水入口30aと接続されている。
ポンプ3を作動させて、被処理水タンク1内の被処理水を、被処理水ライン2、予備被処理水ライン80の順に送り、第3逆浸透膜モジュール30、第4逆浸透膜モジュール40の順に通液させて、各逆浸透膜モジュールでろ過するように運転する。
第4逆浸透膜モジュール40を通液した被処理水は、第4濃縮水ライン41を通して被処理水タンク1に戻される。
三方弁82、83は、三方弁82のポート82a及びポート82bを開放し、ポート82cを閉じ、三方弁83のポート83a及びポート83cを開放し、ポート83bを閉じて、ろ過処理運転を行う。
【0045】
(工程6)
工程6は、予備濃縮水ライン81の第2端開口部80bを、第1逆浸透膜モジュール10の第1濃縮水出口10bから第3逆浸透膜モジュール30の第3濃縮水出口30bまでの何れかと接続し、被処理水タンク1内の被処理水を、被処理水ライン2に通液させて、各逆浸透膜モジュールに被処理水を送り、各逆浸透膜モジュールでろ過する工程である。
【0046】
図7では、予備濃縮水ライン81の第2端開口部80bが第2逆浸透膜モジュール20の第2濃縮水出口20bと接続されている。
ポンプ3を作動させて、被処理水タンク1内の被処理水を、被処理水ライン2から第1逆浸透膜モジュール10、第2逆浸透膜モジュール20の順に通液させて、各逆浸透膜モジュールでろ過するように運転する。
第2逆浸透膜モジュール20を通液した被処理水は、予備濃縮水ライン81、濃縮水ライン41の順に通液して被処理水タンク1に戻される。
三方弁82、83は、三方弁82のポート82a及びポート82cを開放し、ポート82bを閉じ、三方弁83のポート83b及びポート83cを開放し、ポート83aを閉じて、ろ過処理運転を行う。
【0047】
(工程7)
工程7は、予備被処理水ライン80の第2端開口部80bを第2逆浸透膜モジュール20の第2被処理水入口20aから第4逆浸透膜モジュール40の第4被処理水入口40aまでの何れかと接続し、予備濃縮水ライン81の第2端開口部81bを、第1逆浸透膜モジュール10の第1濃縮水出口10bから第3逆浸透膜モジュール30の第3濃縮水出口30bまでの何れかと接続し、被処理水タンク1内の被処理水を、被処理水ライン2及び予備被処理水ライン80の少なくとも何れかに通液させて、各逆浸透膜モジュールに被処理水を送り、各逆浸透膜モジュールでろ過する工程である。
【0048】
図7では、予備被処理水ライン80の前記第2端開口部80bが第3逆浸透膜モジュール30の第3被処理水入口30aと接続され、予備濃縮水ライン81の第2端開口部80bが第2逆浸透膜モジュール20の第2濃縮水出口20bと接続されている。
ポンプ3を作動させて、処理水タンク1内の被処理水を、被処理水ライン2及び予備被処理水ライン80の少なくとも何れかに通液させて、各逆浸透膜モジュールでろ過するように運転する。
【0049】
被処理水ライン2にのみ通液させる場合、三方弁82のポート82a及びポート82cを開放し、ポート82bを閉じ、三方弁83のポート83b及びポート83cを開放し、ポート83aを閉じて、ポンプ3を作動させることで、被処理水タンク1内の被処理水を、被処理水ライン2から第1逆浸透膜モジュール10、第2逆浸透膜モジュール20の順に通液させて、各逆浸透膜モジュールでろ過するように運転する。
第2逆浸透膜モジュール20を通液した被処理水は、予備濃縮水ライン81、濃縮水ライン41の順に通液して被処理水タンク1に戻される。
【0050】
予備被処理水ライン80にのみ通液させる場合、三方弁82のポート82a及びポート82bを開放し、ポート82cを閉じ、三方弁83のポート83a及びポート83cを開放し、ポート83bを閉じて、ポンプ3を作動させることで、被処理水タンク1内の被処理水を、被処理水ライン2、予備被処理水ライン80の順に送り、第3逆浸透膜モジュール30、第4逆浸透膜モジュール40の順に通液させて、各逆浸透膜モジュールでろ過するように運転する。
第4逆浸透膜モジュール40を通液した被処理水は、第4濃縮水ライン41を通して被処理水タンク1に戻される。
【0051】
被処理水ライン2と予備被処理水ライン80の両方に通液させる場合、三方弁82の全てのポートを開放し、三方弁83の全てのポートを開放して、ポンプ3を作動させることで、被処理水タンク1の被処理水を、被処理水ライン2と予備被処理水ライン80の両方に送り、各逆浸透膜モジュールに通液させて、各逆浸透膜モジュールでろ過するように運転する。
第2逆浸透膜モジュール20を通液した被処理水は、予備濃縮水ライン81、濃縮水ライン41の順に通液して被処理水タンク1に戻され、第4逆浸透膜モジュール40を通液した被処理水は、第4濃縮水ライン41を通して被処理水タンク1に戻される。
【0052】
図6、7のろ過処理装置は、図1のろ過処理装置の効果に加えて以下の効果が挙げられる。
粘度や濁度などの被処理水の水質や各逆浸透膜モジュールに通液する循環流量によって、直列に連結された逆浸透膜モジュールの入出口の圧力損失が大きい場合に、予備被処理水ライン80と予備濃縮水ライン81の予備ラインを使用して、より小数の逆浸透膜モジュールで循環できるようにすると圧力損失を下げることができるため、安定したろ過処理運転を行うことができる。
また各逆浸透膜モジュールの管状膜エレメントの膜面汚れ具合、粘度や濁度などの被処理水の水質、及び各逆浸透膜モジュールに通液する循環流量に応じて、最適な逆浸透膜モジュール連結数を容易に調整することができ、各逆浸透膜モジュールの管状膜エレメント全体を有効に利用することができる。そのため洗浄に必要な薬品及び工数を削減することができるため、安定したろ過処理運転を行うことができる。
また逆浸透膜モジュール連結数を変更した場合でもポンプ3の1台のみでもろ過処理運転を行うことができるため、オペレーションコストを上げることなく、安定したろ過処理運転を行うことができる。
【0053】
(2)図8、9のろ過処理装置及びその運転方法
<ろ過処理装置>
図8、9のろ過処理装置について説明する。図8、9のろ過処理装置は、予備被処理水ライン80及び予備濃縮水ライン81を備えること以外は、図5のろ過処理装置と同じである。図8は予備被処理水ライン80及び予備濃縮水ライン81を各逆浸透膜モジュールと接続する前のろ過処理装置の概略図であり、図9は予備被処理水ライン80及び予備濃縮水ライン81を各逆浸透膜モジュールと接続後のろ過処理装置の概略図である。
【0054】
予備被処理水ライン80の第1端開口部80aが被処理水ライン2bに接続され、第1端開口部80aとは反対側の第2端開口部80bが第2逆浸透膜モジュール20の第2被処理水入口20aから第4逆浸透膜モジュール40の第4被処理水入口40aまでの何れかと接続可能である。
予備被処理水ライン80の第1端開口部80aと被処理水ライン2bの接続部には、被処理水の通液方向を変更できるように三方弁82が配置されている。
【0055】
予備濃縮水ライン81の第1端開口部81aが第4濃縮水ライン41bに接続され、第1端開口部81aとは反対側の第2端開口部81bが第1逆浸透膜モジュール10の第1濃縮水出口10bから第3逆浸透膜モジュール30の第3濃縮水出口30bまでの何れかと接続可能である。
予備濃縮水ライン81の第1端開口部81aと第4濃縮水ライン41の接続部には、被処理水の通液方向を変更できるように三方弁83が配置されている。
【0056】
<ろ過処理装置の運転方法>
図8、9のろ過処理装置の運転方法について説明する。
図8、9のろ過処理装置の運転方法は、下記工程1~10を有する。なお工程3~10を行う順序は、どの順番から行ってもよい。
【0057】
(工程1、2)
工程1、2は、図1のろ過処理装置の運転方法の工程1、2と同じである。
【0058】
(工程3)
工程3は、図1のろ過処理装置の運転方法の工程3と同じである。なお三方弁71は、ポート71a及びポート71bを開放し、ポート71cを閉じ、三方弁82は、ポート82a及びポート82cを開放し、ポート82bを閉じ、三方弁83は、ポート83bを閉じ、ポート83a及びポート83cを開放し、三方弁72は、ポート72aを閉じ、ポート72b及びポート72cを開放して、被処理タンク1内の被処理水を、被処理水ライン2(2a、2b)から各逆浸透膜モジュールに送るように運転する。
第4逆浸透膜モジュール40を通液した被処理水は、第4濃縮水ライン(最終濃縮水ライン)41(41a、41b)から被処理水タンク1に戻される。
【0059】
(工程4)
工程4は、図5のろ過処理装置の運転方法の工程4と同じである。なお三方弁71は、ポート71b及びポート71cを開放し、ポート71aを閉じ、三方弁82は、ポート82a及びポート82cを開放し、ポート82bを閉じ、三方弁83は、ポート83bを閉じ、ポート83a及びポート83cを開放し、三方弁72のポート72a及びポート72bを開放し、ポート72cを閉じて、被処理タンク1内の被処理水を、被処理水ライン2a、第4濃縮水ライン41bの順に通液させてから、各逆浸透膜モジュールに送るように運転する。
第1逆浸透膜モジュールを通液した被処理水は、被処理水ライン2b、第4濃縮水ライン41aの順に通液して、被処理水タンク1に戻される。
【0060】
(工程5)
工程5は、図6、7のろ過処理装置の運転方法の工程5と同じである。
図9では、予備被処理水ライン80の前記第2端開口部80bが第3逆浸透膜モジュール30の第3被処理水入口30aと接続されている。
ポンプ3を作動させることで、被処理水タンク1内の被処理水を、被処理水ライン2(2a、2b)、予備被処理水ライン80の順に送り、第3逆浸透膜モジュール30、第4逆浸透膜モジュール40の順に通液させて、各逆浸透膜モジュールでろ過するように運転する。
第4逆浸透膜モジュール40を通液した被処理水は、第4濃縮水ライン41(41a、41b)を通して被処理水タンク1に戻される。
なお三方弁71は、ポート71a及びポート71bを開放し、ポート71cを閉じ、三方弁82のポート82a及びポート82bを開放し、ポート82cを閉じ、三方弁83のポート83a及びポート83cを開放し、ポート83bを閉じ、三方弁72のポート72b及びポート72cを開放し、ポート72aを閉じて、ろ過処理運転を行う。
【0061】
(工程6)
工程6は、図6、7のろ過処理装置の運転方法の工程6と同じである。
図9では、予備濃縮水ライン81の第2端開口部80bが第2逆浸透膜モジュール20の第2濃縮水出口20bと接続されている。
ポンプ3を作動させることで、被処理水タンク1内の被処理水を、被処理水ライン2(2a、2b)から第1逆浸透膜モジュール10、第2逆浸透膜モジュール20の順に通液させて、各逆浸透膜モジュールでろ過するように運転する。
第2逆浸透膜モジュール20を通液した被処理水は、予備濃縮水ライン81、濃縮水ライン41(41a、41b)の順に通液して被処理水タンク1に戻される。
なお三方弁71は、ポート71a及びポート71bを開放し、ポート71cを閉じ、三方弁82のポート82a及びポート82cを開放し、ポート82bを閉じ、三方弁83のポート83b及びポート83cを開放し、ポート83aを閉じ、三方弁72のポート72b及びポート72cを開放し、ポート72aを閉じて、ろ過処理運転を行う。
【0062】
(工程7)
工程7は、図6、7のろ過処理装置の運転方法の工程7と同じである。
図9では、予備被処理水ライン80の前記第2端開口部80bが第3逆浸透膜モジュール30の第3被処理水入口30aと接続され、予備濃縮水ライン81の第2端開口部80bが第2逆浸透膜モジュール20の第2濃縮水出口20bと接続されている。
ポンプ3を作動させて、処理水タンク1内の被処理水を、被処理水ライン2(2a、2b)及び予備被処理水ライン80の少なくとも何れかに通液させて、各逆浸透膜モジュールでろ過するように運転する。
【0063】
被処理水ライン2にのみ通液させる場合、三方弁71のポート71a及びポート71bを開放し、ポート71cを閉じ、三方弁82のポート82a及びポート82cを開放し、ポート82bを閉じ、三方弁83のポート83b及びポート83cを開放し、ポート83aを閉じ、三方弁72のポート72b及びポート72cを開放し、ポート72aを閉じて、ポンプ3を作動させることで、被処理水タンク1の被処理水を、被処理水ライン2(2a、2b)から第1逆浸透膜モジュール10、第2逆浸透膜モジュール20の順に通液させて、各逆浸透膜モジュールでろ過するように運転する。
第2逆浸透膜モジュール20を通液した被処理水は、予備濃縮水ライン81、濃縮水ライン41(41a、41b)の順に通液して被処理水タンク1に戻される。
【0064】
予備被処理水ライン80にのみ通液させる場合、三方弁71のポート71a及びポート71bを開放し、ポート71cを閉じ、三方弁82のポート82a及びポート82bを開放し、ポート82cを閉じ、三方弁83のポート83a及びポート83cを開放し、ポート83bを閉じ、三方弁72のポート72b及びポート72cを開放し、ポート72aを閉じて、ポンプ3を作動させることで、被処理水タンク1の被処理水を、被処理水ライン2(2a、2b)、予備被処理水ライン80の順に送り、第3逆浸透膜モジュール30、第4逆浸透膜モジュール40の順に通液させて、各逆浸透膜モジュールでろ過するように運転する。
第4逆浸透膜モジュール40を通液した被処理水は、第4濃縮水ライン41(41a、41b)を通して被処理水タンク1に戻される。
【0065】
被処理水ライン2(2a、2b)と予備被処理水ライン80の両方に通液させる場合、三方弁71のポート71a及びポート71bを開放し、ポート71cを閉じ、三方弁82の全てのポートを開放し、三方弁83の全てのポートを開放し、三方弁72のポート72b及びポート72cを開放し、ポート72aを閉じて、ポンプ3を作動させることで、被処理水タンク1の被処理水を、被処理水ライン2(2a、2b)と予備被処理水ライン80の両方に送り、各逆浸透膜モジュールに通液させて、各逆浸透膜モジュールでろ過するように運転する。
第2逆浸透膜モジュール20を通液した被処理水は、予備濃縮水ライン81、濃縮水ライン41(41a、41b)の順に通液して、被処理水タンク1に戻され、第4逆浸透膜モジュール40を通液した被処理水は、第4濃縮水ライン41(41a、41b)を通して被処理水タンク1に戻される。
【0066】
(工程8)
工程8は、予備被処理水ライン80の第2端開口部80bを第2逆浸透膜モジュール20の第2被処理水入口20aから第4逆浸透膜モジュール40の第4被処理水入口40aまでの何れかと接続し、且つ通液方向変更具70により、被処理水の通液方向を変更して、被処理水タンク1内の被処理水を、第4濃縮ライン41bに通液させて、各逆浸透膜モジュールに被処理水を送り、各逆浸透膜モジュールでろ過する工程である。
【0067】
図9では、予備被処理水ライン80の前記第2端開口部80bが第3逆浸透膜モジュールの第3被処理水入口30aと接続されている。
通液方向変更具70により、被処理水の通液方向を変更して、ポンプ3を作動させることで、被処理水タンク1内の被処理水を、被処理水ライン2a、第4濃縮水ライン41bの順に送り、第4逆浸透膜モジュール40、第3逆浸透膜モジュール30の順に通液させて、各逆浸透膜モジュールでろ過するように運転する。
第3逆浸透膜モジュール30を通液した被処理水は、予備被処理水ライン80、被処理水ライン2b、第4濃縮水ライン41aの順に通液して、被処理水タンク1に戻される。
なお三方弁71は、ポート71b及びポート71cを開放し、ポート71aを閉じ、三方弁82のポート82a及びポート82bを開放し、ポート82cを閉じ、三方弁83のポート83a及びポート83cを開放し、ポート83bを閉じ、三方弁72のポート72a及びポート72bを開放し、ポート72cを閉じて、ろ過処理運転を行う。
【0068】
(工程9)
工程9は、予備濃縮水ライン81の第2端開口部81bを、第1逆浸透膜モジュール10の第1濃縮水出口10bから第3逆浸透膜モジュール30の第3濃縮水出口30bまでの何れかと接続し、且つ通液方向変更具70により、被処理水の通液方向を変更して、被処理水タンク1内の被処理水を、予備濃縮水ライン81に通液させて、各逆浸透膜モジュールに被処理水を送り、各逆浸透膜モジュールでろ過する工程である。
【0069】
図9では、予備濃縮水ライン81の第2端開口部80bが第2逆浸透膜モジュール20の第2濃縮水出口20bと接続されている。
通液方向変更具70により、被処理水の通液方向を変更して、ポンプ3を作動させることで、被処理水タンク1内の被処理水を、被処理水ライン2a、第4濃縮水ライン41b、予備濃縮水ライン81の順に送り、第2逆浸透膜モジュール20、第1逆浸透膜モジュール10の順に通液させて、各逆浸透膜モジュールでろ過するように運転する。
第1逆浸透膜モジュール10を通液した被処理水は、被処理水ライン2b、第4濃縮水ライン41aの順に通液して、被処理水タンク1に戻される。
なお三方弁71は、ポート71b及びポート71cを開放し、ポート71aを閉じ、三方弁82のポート82a及びポート82cを開放し、ポート82bを閉じ、三方弁83のポート83b及びポート83cを開放し、ポート83aを閉じ、三方弁72のポート72a及びポート72bを開放し、ポート72cを閉じて、ろ過処理運転を行う。
【0070】
(工程10)
工程10は、予備被処理水ライン80の第2端開口部80bを第2逆浸透膜モジュール20の第2被処理水入口20aから第4逆浸透膜モジュール40の第4被処理水入口40aまでの何れかと接続し、予備濃縮水ライン81の第2端開口部81bを、第1逆浸透膜モジュール10の第1濃縮水出口10bから第3逆浸透膜モジュール30の第3濃縮水出口30bまでの何れかと接続し、且つ通液方向変更具70により、被処理水の通液方向を変更して、被処理水タンク1内の被処理水を、第4濃縮水ライン41b及び予備濃縮水ライン81の少なくとも何れかに通液させて、各逆浸透膜モジュールに被処理水を送り、各逆浸透膜モジュールでろ過する工程である。
【0071】
図9では、予備被処理水ライン80の前記第2端開口部80bが第3逆浸透膜モジュール20の第3被処理水入口30aと接続され、予備濃縮水ライン81の第2端開口部80bが第2逆浸透膜モジュール20の第2濃縮水出口20bと接続されている。
通液方向変更具70により、被処理水の通液方向を変更して、ポンプ3を作動させることで、処理水タンク1内の被処理水を、第4濃縮水ライン41b及び予備濃縮ライン81の少なくとも何れかに通液させて、各逆浸透膜モジュールでろ過するように運転する。
【0072】
第4濃縮水ライン41bにのみ通液させる場合、三方弁71は、ポート71b及びポート71cを開放し、ポート71aを閉じ、三方弁82のポート82a及びポート82bを開放し、ポート82cを閉じ、三方弁83のポート83a及びポート83cを開放し、ポート83bを閉じ、三方弁72のポート72a及びポート72bを開放し、ポート72cを閉じて、ポンプ3を作動させることで、被処理水タンク1の被処理水を、被処理水ライン2a、第4濃縮水ライン41bの順に送り、第4逆浸透膜モジュール40、第3逆浸透膜モジュール30の順に通液させて、各逆浸透膜モジュールでろ過するように運転する。
第3逆浸透膜モジュール30を通液した被処理水は、予備被処理水ライン80、被処理水ライン2b、第4濃縮水ライン41aの順に通液して、被処理水タンク1に戻される。
【0073】
予備濃縮水ライン81にのみ通液させる場合、三方弁71は、ポート71b及びポート71cを開放し、ポート71aを閉じ、三方弁82のポート82a及びポート82cを開放し、ポート82bを閉じ、三方弁83のポート83b及びポート83cを開放し、ポート83aを閉じ、三方弁72のポート72a及びポート72bを開放し、ポート72cを閉じて、ポンプ3を作動させることで、被処理水タンク1の被処理水を、被処理水ライン2a、第4濃縮水ライン41b、予備濃縮水ライン81の順に送り、第2逆浸透膜モジュール20、第1逆浸透膜モジュール10の順に通液させて、各逆浸透膜モジュールでろ過するように運転する。
第1逆浸透膜モジュール10を通液した被処理水は、被処理水ライン2b、第4濃縮水ライン41aの順に通液して、被処理水タンク1に戻される。
【0074】
第4濃縮水ライン41b及び予備濃縮ライン81の両方に通液させる場合、三方弁71のポート71b及びポート71cを開放し、ポート71aを閉じ、三方弁82の全てのポートを開放し、三方弁83の全てのポートを開放し、三方弁72のポート72a及びポート72bを開放し、ポート72cを閉じて、ポンプ3を作動させることで、被処理水タンク1の被処理水を、第4濃縮水ライン41bと予備濃縮ライン81の両方に送り、各逆浸透膜モジュールに通液させて、各逆浸透膜モジュールでろ過するように運転する。
第3逆浸透膜モジュール30を通液した被処理水は、予備被処理水ライン80、被処理水ライン2b、第4濃縮水ライン41aの順に通液して、被処理水タンク1に戻され、第1逆浸透膜モジュール10を通液した被処理水は、被処理水ライン2b、第4濃縮水ライン41aの順に通液して、被処理水タンク1に戻される。
【0075】
図8、9のろ過処理装置は、図1のろ過処理装置、図5のろ過処理装置及び図6、7のろ過処理装置で述べた効果の全てを兼ね備えている。
さらに図8、9のろ過処理装置は、逆浸透膜モジュールの洗浄の際に、予備被処理水ライン80と予備濃縮水ライン81の予備ラインを使用し、且つ通液方向を変更して、より小数の逆浸透膜モジュールを選択して洗浄を行うことができるため、管状膜エレメント内の汚れを効果的に除去することができ、洗浄に必要な薬品及び工数を削減することができる。
【0076】
本発明のろ過処理装置は、汚染水をろ過処理した後の濃縮水の液体排出量をゼロとするZLD(Zero LiquidDischarge)に使用することができる。
本発明のろ過処理装置をZLDに使用するときは、ろ過処理した後の濃縮水の水分と固形分と分離する蒸発工程を実施する。
本発明のろ過処理装置によりろ過処理をした場合は、濃縮水中の固形分濃度が高められているため、蒸発工程における使用エネルギー量を削減することができるようになるので好ましい。
【実施例
【0077】
[実施例1]
図5のろ過処理装置を用いてろ過処理運転を行った。
工程1、2の汚染水の凝集方法については以下の通り行った。
汚染水は、カチオン電着塗装工程により排出される工場排水であり、カチオン電着塗装用樹脂、切削油などの有機成分(COD:7,000ppm)の他、重金属成分として鉛を10ppm含有している。
汚染水タンク100内の汚染水400Lを、ポンプ102を作動させて、撹拌タンク110に送り、凝集剤供給装置112よりケーユーシステム(株)製アルミ系凝集剤の有効成分が40g含まれる水溶液を添加し、撹拌機111で5分間撹拌混合した後、凝集剤供給装置112より多木化学(株)製アニオン系高分子凝集剤の有効成分が8g含まれる水溶液を添加し、撹拌機111で5分間撹拌混合して、懸濁液を得た。撹拌を継続しながら、撹拌タンク110の底部に接続されている懸濁液引き抜きライン113から懸濁液を懸濁液ろ過器120に送り、ろ過することで被処理水を得た。懸濁液ろ過器120は、懸濁液が通過する筐体内において、容量100Lの目開き1mmの金網を懸濁液がろ過されるように配置されたものを用いた。懸濁液ろ過器120を通過した被処理水には除去できなかった微小なフロックも含まれていると思われるが、そのまま工程3、4を行った。
【0078】
工程3、4の被処理水のろ過方法については以下の通り行った。
逆浸透膜モジュールは、図2、3に示す通り、内径11.5mmの管状ポリエステル不織布支持体の管内表面に0.2mmの酢酸セルロース逆浸透膜を積層させた長さ2,500mmの管状膜エレメント60を、U字状の接続管65を介して18本直列に連結させたものを用いた。
この逆浸透膜モジュールの性能は、膜間圧力2.5MPaでの2,000ppmの食塩水溶液の食塩阻止率が85%以上であり、透過速度は20~40L/時であった。
この逆浸透膜モジュール4本を、図5の通り接続してろ過処理装置を作成し、工程1,2で得られた被処理水のろ過処理運転を行った。
ろ過処理運転は、被処理水タンク1内の被処理水を、ポンプ3を作動させて、三方弁71、72を用いて、30分ごとに通液方向を変更して、工程3と工程4を繰り返し行いながら工場排水のろ過処理を行った。なお各逆浸透膜モジュールでろ過されたろ過水は、各ろ過水ライン12、22、32、42からろ過水タンク4に送られ、また各逆浸透膜モジュールを通過した濃縮水は、被処理水タンク1内に戻され、再びろ過処理が行われる。
280分のろ過処理運転で、被処理水タンク1内の濃縮液の量は40L(10倍濃縮)となった。
【0079】
ろ過処理運転中における、被処理水の入口圧力、被処理水の出口圧力、被処理水の出口流量、ろ過水流量、及び被処理水温度は以下の範囲で推移した。
入口圧力(被処理水ライン2aにて測定):4.0~5.0MPa
出口圧力(濃縮水ライン41aにて測定):2.5~4.0MPa
出口流量(濃縮水ライン41aにて測定):24~38L/分
ろ過水流量(各ろ過水ライン12、22、32、42の全てが合流する地点にて測定):1.1~1.6L/分
被処理水温度(被処理水タンク1内にて測定):32.7~47.0℃
【0080】
ろ過処理運転前の工場排水、ろ過処理運転後のろ過水タンク4内のろ過水について、COD(化学的酸素要求量)と鉛濃度を測定した。結果を表1に示す。
【0081】
【表1】
【0082】
[比較例1]
実施例1と同様の仕様の図5のろ過処理装置を用いたが、実施例1とは異なり、工程1、2を行わず、実施例1と同じ工場排水400lを被処理水タンク1内に投入し、実施例1と同様の方法で工程3、4を行った。
ろ過処理運転を始めて10分程度で逆浸透膜モジュールが閉塞し、ろ過処理運転を中断した。
【0083】
実施例1と比較例1の結果から、有機成分又は重金属成分の含有量が多い汚染水のろ過処理において、工程1、2が必要であることが分かる。また工程2において凝集物をある程度取り除くことができれば、逆浸透膜モジュールを使用したろ過処理において微小なフロックは存在していても問題なく処理できることが明らかになった。
【符号の説明】
【0084】
1 被処理水タンク
4 ろ過水タンク
10 第1逆浸透膜モジュール
20 第2逆浸透膜モジュール
30 第3逆浸透膜モジュール
40 第4逆浸透膜モジュール
50 外部ケーシング
51 被処理水入口
52 濃縮水出口
53 ろ過水出口
60 管状膜エレメント
70 通液方向変更具
80 予備被処理水ライン
81 予備濃縮水ライン
100 汚染水タンク
110 撹拌タンク
120 懸濁液ろ過器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9